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1952-06-10 第13回国会 参議院 建設委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員の異動 六月九日委員楠瀬常猪君辞任につき、 その補欠として、石原幹市郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君    委員            石川 榮一君            深水 六郎君            前田  穰君            門田 定藏君            東   隆君   衆議院議員            淺利 三朗君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    地方財政委員会    財務課長    奧野 誠亮君    建設省河川局次    長       伊藤 大三君    建設省河川局防    災課長     賀屋 茂一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共土木施設災害復旧事業費国庫負  担法の一部を改正する法律案(衆議  院提出)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 この公共土木施設災害復旧事業費改正案の結果、今までの災害復旧に対する法案との相違におきまして、実際どういうふうに変るか、具体的のことを、政府委員が見えていますから、政府委員から承わりたいと思います。
  4. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) お答え申上げます。ひらたく申上げますと、従来のいわゆる超過工事というものが、従来は災害復旧費から出ておつたのでありまするけれども、これが従来の災害復旧規程におきましては、いわゆる厳密な原形復旧というものは地方財政と睨み合せてスライドに加えておりましたのと、超過工事はこれをスライドに入れず、一般改良補助率でやつて参りましたのを、この超過工事原形復旧と同様に、スライドに入れまして、そうして補助率原形復旧同率に、だんだんと高率に持つて行くというような改正になつておるのでございます。  更にもう一点は、従来この法律のできましたときにも、非常に御議論のございました、市町村災害復旧費を、一カ所十五万円というのを十万円以上に改めまして、いわゆる小さな災害のたくさん起りましたるところの財政負担市町村が堪えかねるというような問題を救助して参りたい、こういうような改正なつたわけでございます。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 超過工事部分災害を被むつた元の箇所と同じように取扱うということになりますが、そういたしますと、原形復旧という定義において、今までと多少相違しているように考えられますが、それはどうですか。
  6. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 従来ずつと古くにおきましては、いわゆる超過工事という言葉は使わなかつたのでありまして、従来におきましては、こういうようなものも、一応止むを得ない場合においては代替施設も認める。又或る若干の程度原形復旧より程度超過したのも、災害復旧として一律に三分の二を助成して参つたのでありまするが、二十五年度の災害復旧改正に当りまして、災害復旧全額国庫負担、こういう問題が出ました場合におきまして、厳格に原形部分だけは金額、併しそれ以上のものにつきましては三分の二ということで進んで参る、昨年度におきましては、これが原形部分のみについては、地方財政と睨み合せてスライドに入れる。然らざる部分については、これを一般改良事業補助費の例にならつてやるということで以て行つたわけであります。この場合におきましては、従来からやかましくありました原形復旧という言葉災害復旧ということに対しまして、いろいろの異論がありまして、単なる原形復旧ではむしろ国費を無駄に使う。従つてこれを或る程度改良式な、いわゆる程度超過した復旧をいたして、そうして再度の災害を免がれるということをよく考えると共に、原形復旧を超える部分については、災害復旧費を以て出すけれども、スライドに入れずに、改良なみでやるということにいたしたわけであります。このたびその問題につきまして、事務的に処理する場合においても、原形復旧と、それから超過部分とを区別するということはなかなか困難な問題があり、それの取扱いにつきましても、設計二つ作つたり、いろいろ事務的な煩瑣もあり、而も災害復旧ということは、決して原形復旧に囚われることがないと、こういうような御議論も取入れられまして、全体を以てこれを災害復旧とし、而も災害復旧につきましては、これを一律に同率補助を以て進んで行こう、こういうことになつたことと存じます。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 超過工事部分を、やはり原形復旧の一部として処理するということになりますが、そういたしますと、災害復旧費において、実際問題として何割くらい復旧費が増しましようか。大体において……。
  8. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) いわゆる超過という部分につきまして、我々の今までの計算から考えまして、出ておりまするのは、大体原形復旧の二割程度出たと存ずるわけであります。これにつきましては、災害復旧規程相当厳格に規定されておりまして、いわゆる超過というものを認めるということについては、相当緊めておりますので、余り多くこれを出しておるのでありません。従つて多くて二割程度だつたかと存ずるのであります。これを現在の災害復旧、過年度の残額の一千百億程度のものにこれを入れてみますと、これを全部一応スライドに入れました場合におきましては、その全部を包括いたしまして、国費で三十五、六億かと、こう存ずるわけであります。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 超過工事部分は約二割といたしまして、併しその災害復旧する箇所が、無論原形復旧部分と、それから超過工事の分もやはり原形復旧と同じように取扱つて今後処理いたしますが、そういたしましても、やはり災害復旧災害復旧に過ぎないのでありますから、もう一歩進めまして、むしろこの災害復旧、殊に超過工事部分に二割加えるよりも、厳密に原形復旧ということにしましてその代り一定の経費に基く根本河川改修とか、砂防とか、治水体系仕事を進めたほうが、災害を防止する上に当然の考えと思いますが、これのお考えはどうでしようか。
  10. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) 御意見は御尤もであります。併しながら災害様相は従来と非常に変つて参りまして、赤木さんはこのほうにおいては非常に権威のかたでありまするから、釋迦に説法でありますけど、御承知のごとく、この二十五年度前の規定によりますと、原形復旧に復することを目的とするが、併しながら原形に復しがたき場合、その他特別の理由ある場合においては、増築、改築又はこれに代るべき必要な設備を妨げず、こういうような規定によりまして、災害があつた場合に、元の原形だけではその災害復旧目的は達しない。どうしてもこれを再び災害を受けない程度にするとか、或いは災害様相が非常に変りましたために、到底原形復旧というものはなし得ないとか、或いは甚だしく不適当であるという場合を、これを災害復旧工事にみなしておるのであります。みなしておる以上は、やはりこれは災害として取扱うべきものであるというのが今回の改正案の趣意であります。併し従来におきましても、この場合のほかの、原形復旧でもできるにはできるが、併しながらこれでは将来のためにならんという場合には、これと同時に改良費というほうの予算から組合せまして、災害復旧プラス改良費を以てやつている場合も多いのであります。でありまするから、今御指摘のように、改良のほうに主力を注ぐということは、治水根本策から申しますれば、誠に結構なことでありまするけれども、現実災害復旧するという場合になりますと、やはりその個々の事態に即応いたしまして、災害復旧目的を達成する程度まで、即ち原形に復することが著るしく困難であるとか、或いは不適当であるという場合においては、これは災害として取扱う。その範囲においては、やはり災害復旧としてこれを取扱うということは、現実災害復旧の上においては止むを得ないことであると、こう考えております。無論一方において、災害復旧を図ると共に、進んで治水根本を解決するために改良工事主力を注ぐということは、これは治水といたしましては最も重要なことでありまして、御意見は御尤もであると思うのであります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の提案者の御意見はよくわかりました。今の提案者の御意見のような考え方もありますが、つまり災害復旧、又これに関連する改良工事、それに重点を置くか、治水根本策として、それよりも先ず、そういう所は当分放棄しても止むを得ん、再び災害が起らないように根本治水重点を置くか、この二つ考え相違でありまして、これは各簡所々々によつて相違していますから、無論ここでどちらがいいということは言えないと思います。ただ今後治水体系として、どちらに重点を置くかというならば、私は災害復旧も大事でありますが、それよりも、災害が起らないように、河川改修なり、根本河川改修、或いは治水の植林、水源の砂防から、全部行なつて治水の根源を治めるということに国民の指導精神を持つて行くのが今後日本治水に対する、言換えるならば、災害を防ぐ思想観念ではないか、こういうふうに思います。恐らくこれに対しては、提案者も同意見だと思いますが、どうですか。
  12. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) 御尤もな御意見です。ただ現在災害復旧を要するという現状を見ますと、今日まで日本災害の起る地域と申しまするものは、最も重要な地点であります。或いは農業上、或いは都市として、その他の上に及んで、経済上最も重要な地点に従来堤防があり、或いは橋梁がある。こういう現状であります。でありまするから、この起つた災害を放任して、再び荒れるがままに放任しておいて、治水根本計画を立てるということになりますると、一番重点的に必要な所が取除かれる、こういうことになります。併し現在におきましても、政府当局においても実施しておる実相を見ますると、災害が起つても、それを放置しておいても大した影響はないという場所は、比較的これは延び延びになつておる。むしろ重点的に必要な所に主力を注ぐというのが現状であると思うのであります。でありまするから、この災害復旧を要するという箇所は、最も重点的に見なければならんという場所であるということに考えを及ぼしますると、やはりその地方から緩急軽重を取捨いたしまして災害復旧重点を置いて、その上にこれと相伴つて赤木先生の言われるごとく、治水根本策として改良工事を施して行くということと、両々相待つて進まなければならないじやないか、こういうふうに考えております。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 先に政府説明者は、災害復旧として復旧箇所原形に復する、それだけでは進まない。どうしてもこれに伴うて、すべて仕事災害復旧の一部としてするとおつしやいましたが、これに関連して私が承わりたいのは、先年秋田県の大水害で、今まで堤防らしい堤防もなかつたところが、殆んど土砂で埋まつてしまつた。そこに災害復旧として堤防を造りましたが、その際に上流からたくさん土砂が流れて来るからして、その土砂を防がない限り、この堤防造つて災害復旧効果を上げ得がたい。従つて災害復旧と関連して、その上流土砂止め砂防堰堤を設ける。これを質問したに対して、その当時の政府建設次官の岩沢君は、災害復旧として砂防工事をそういう河川にやるのである。そのことをこの委員会説明されたのであります。ところが実際を見ますと、そういう仕事災害復旧で殆んど採択されていない。こういう事実があつたのであります。丁度今この災害復旧の法規が改正されるに際して、先ほど説明員お話があつたことがこれに該当するように私は思います。災害復旧堤防が壊れても、すぐそれに関連して、どうしても上流堰堤造つておかないならば、折角復旧した提防が何ら効果がない。従つてその土砂止め堰堤を必要とする。これに対しての政府のお考え、如何でしようか。
  14. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 只今私の申上げましたことが、何か間違いがありますれば訂正いたしますが、現在の超過という言葉においてとりましたのは、災害復旧、厳格な意味の原形復旧をしても殆んど効果がない、することが不可能であるというような、又経済的に非常に不経済に流れておるというような特殊の場合を、その箇所々々につきまして見まして、それをとつておるのであります。この超過ということを無限に拡げて行こうという考えはなく、この取扱いについても、各省の間におきまして、相当厳格にとりきめいたしておるのでございますので、そこらにおきまていろいろの見解の相違が出て来るわけでございます。今のお話のいわゆる土砂の崩壊によりまして、これが河川の埋塞を来し、どうにもならないといつたような場合におきまして、従来とられておりまするのは、この河川の埋塞を掘鑿するとか、そのために水の漏れるために、掘鑿の代りに或る程度護岸堤防を造るということと比較いたしまして、それよりも上に砂防堰堤をやつたならばよかろうというような判断の場合には、一つ代替施設としてこういうような砂防土砂止めをやつておるということも、これは私採択されておる、こう存じておるわけであります。この範囲をどこまで拡げて行くかということに非常な問題がございますので、こういう問題については、相当厳格な判断の下に査定を加え、更にそういうものにつきましては、一応緊急の対策の砂防というもので考えるだけ考えて、一般費からこれを支出して行くというような二つの建前を、これを噛み合せまして万全を期しておるようなわけでございます。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 災害復旧とは直接関連いたしませんが、今説明員緊急砂防とおつしやいましたから、加えて私は質問いたしますが、昨年山口県の災害に対して、やはり緊急砂防災害復旧のために採用されたのであります。そのときに農林省費用建設省費用が余りにアンバランスであるために、言い換えるならば、建設省渓流工事、これに関連する山腹工事をやる。又農林省山腹工事を主として、これに関連する渓流工事をやる。こういうふうになつていますが、実際農林省のほうは非常に復旧費がたくさん行つて建設省には少かつた。而も本年の三月までに、言い換えるならば、年度を越さないまでに農林省建設省も、仕事をしてしまわねばならない。こういう観点からして、農林省建設省がやるべき渓流工事をずつとやつておる。こういう事実が実際あつたのであります。私は現場を見て来ました。こういう不均衡なことが行政にあるために、私は長年、こういうような行政を一元化して行かなければいけないと言つておりますが、かかる長年の問題でありながら、今まで解決しないことがありますから、今後災害復旧に関して又特別のそういう費用がとられる場合には、今まであつたような弊風を改めるように、公正な費用の按分を特に建設省としては大蔵省に諮つて頂きたい。これは特に我々要望しておきます。とりあえずこれだけ質問いたします。
  16. 田中一

    田中一君 大体これは災害復旧連盟と御相談して提案者が出したことなので、私としてもこれに対しては賛成です。賛成ですが、今言うその地方自治体の補助金が正常に対象物工事に流れているかどうかという点が一番問題だと思うのです。その点を伺いたいのですが、今まだ政府委員も来ていないそうですからそれまでに……。  この改正案の第三点ですか、市町村における工事災害の十万円までのものから適用するという点について、市町村における十万円までの災害というものは、今あなたのほうでそういう資料といいますか、実態をお掴みになつているかどうか。例えば昨年度において、その市町村におけるところの十万円までの災害がどれくらいであつたかという点がおわかりならば、その資料をお出し願いたいのです。
  17. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) お答えいたします。これは的確には実はわからないのでございますが、今まで細かい災害を拾つて見た統計でございますが、町村工事で申しますと、大体市町村工事は全体の二割くらいを大体占めております。大体災害五百億ございますと、百億程度市町村災害になるわけであります。そのうちで推定いたして見ますと、二%程度がこの十万円から十五万円までの間のものでございます。それだからこの十万に落しますと、殖えますものが一億五千万か二億円くらいだろうと思つております。
  18. 田中一

    田中一君 今説明実態は、昨年でしたか、その資料というか、集計してくれということを要求しておつたのです。それはまだ集まつていないのですか。
  19. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 申訳ありませんが、今とつているそうでありますが、まだまとまつておらんそうでありますから、成るたけ急いでいたします。
  20. 田中一

    田中一君 これは昨年の例の大雨のときに、私は京都大阪方画を歩いたときに、もう至るところにそういう小さな災害が多いのです。そのために京都市では非常に困つております。それでそういうものを一旦とりまとめて、丁度幸いこの法案がこういう工合になれば、私は非常に賛成なのです。それをどうするかというような質問をしたときに、それがわからん、実態がわからんという返事だつたのです。もう一年になりますが、至急おとりまとめ願わんと、一体どれくらいになるか、従つて予算措置がどうなるかという点もいろいろあると思いますが、至急お願いいたします。  大体今までの十五万円以上の災害に対する補助金が適正にその工事に使われておつたかどうか、或いは使われない面もあつたのではなかろうかという点について、むろん監査と言いますか、監督建設省は出ておると思いますが、その状況を御説明願いたいと思います。
  21. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 河川局といたしましては、災害の割当がありますれば、それに合せまして、どういう箇所をやるかということを一応県からとりまして、それでそれに基いて補助をはつきり正式に出しているわけであります。その工事に十分まじめに使われていることと存ずるわけでありまして、なお事後におきましても、この中間監査並びに竣工の検査につきましても、人手のある限り、できるだけこれに当つておりまして、間違いのないことと存じているわけでございます。
  22. 田中一

    田中一君 大体何ですか。工事の台帳というものが各自治体にありまして、そうしてそれと、工事ができた、それからどう金を使つたかという書類審査書類監査の点だけだろうと思うのです。私は、どの辺まで、あなたがたがそういう小さい災害なんかに対しても書面で報告を受けて、よろしいということになるのじやないかと思うのですが、従来監査実態というものはどういう方法でやつているか、伺いたいのです。
  23. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 先ほど河川局次長さんからお話になりましたように、この監査は、只今お話のような事務監査もいたします。それから技術のほうは別途に監査いたしておりますので、これは技術上の工事出来方状態というものを見るわけでございますが、ここ数年間の状態は、破壊検査は実はやつておらんのであります。それででき上つたものにつきましては、でき上つたものが表面から見まして適当でないものがございますと、これに手直しを命ずる場合もございます。それから工事中でございますと、工事実施の実情を見まして、やり方をいろいろ指示して、やり変えさせるという方法もとつております。でありますが、これは本省といたしましては、終始この工事を着工いたしまして完成まで附ききつておれんわけでありますから、でき上つたところを見るというあとの監督になるわけでございます。こういう場合が多いわけでございます。それでいろいろ会計検査院あたりからの批難も相当あるようでございますので、最近におきましては、これはおかしいと思われるものにつきましては、どんどん破壊検査をやつて実施状況を見るという方法をとつております。相当厳格に進もうという方針でいるわけであります。
  24. 田中一

    田中一君 前後しましたが、災害補助の決定をする査定ですね。それはどういう方法でやつておりますか。
  25. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これは勿論県からの報告でございます。先ず県からの検査申請がございまして、この申請には、御承知のように場所、それから工法、金額、これが皆書かれまして目論見書という相当大部のものが出るわけであります。県ではそれについて一々復旧設計を作つております。これに基いて現地査定をするわけでございますが、御承知のように、人手が足らないものでございますから、現地査定は、一個所も残さないように現地査定するとというがなかなか困難なのでございます。それで非常に交通が悪いとか、或いは比較的工事が軽少だというようなものにつきましては、机上の実は査定をするものが相当あるのでございます。これは机上のものにつきましては、全部被害写真を添附させるという方法をとつておりまして、被害写真、つまり大体被害があつた。この程度被害とわかるというものを先ず推定いたしまして、それと、作つて出しております設計とを見比べまして、実は査定をするわけなのでございます。こういうものが相当ありますので、この点がいささか不十分なのでございます。それで中間検査におきましては、主として災害査定の、忙がしいときにやる災害査定で、机上査定をしたというものを主として一応見て歩いて、査定した実際と違わないかということを一応確認するということを第一にしております。それから二回目に廻りますときは、実施工事の実際を見る。こういうような、何段にもやる方法を実はとつているわけであります。
  26. 田中一

    田中一君 今度この法律によつて市町村に十万円まで災害の額を引伸ばすと、無論数が相当殖えると思うのです。従つてそれに対してはどういう心組み査定並びに監査をおやりになるか、その心組みを御説明願いたいと思います。
  27. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これは御説のように、箇所相当殖えます。金額は大したことはございませんが、箇所は殖えるのでございます。それでこれはまあ相当人を殖やしてもらわにやいけんということになるのでありますが、実はこの現在査定をしておりますのは、超過工事査定方法をしておるのでございますが、これはまあ非常に煩瑣なんでございまして、現在あります災害箇所を申しますと、超過工事が大なり小なりないところが殆んどないくらいに、超過工事も必ずつくのでございます。つきますと、これは査定設計二つずつ見るのでありまして、原形幾ら、それから超過設計幾らというものを大体見ておりますので、設計はまあ一つのもので、二つ設計を審査するわけでございます。このほうが相当手があいて来る、すいて来やせんかと思つておるわけでございます。それで市町村工事相当箇所殖えますけれども、従来ぐらいの点は超過工事のほうで相当手がすきますので、賄つて行けやせんかと、実はこういう工合考えているわけでございます。
  28. 赤木正雄

    赤木正雄君 大した質問じやないがちよつと……。  災害査定に当りまして、今お話通りに、一々実地に行くことはできない、災害復旧箇所がたくさんある。これはわかりましたが、併し方針といたしましては、やはりその書類査定よりも、現地査定建設省のあり方と思いますから、成るべく現地実施検査に行くという方針にせられるのが適当と思います。そのときに、私は希望といたしまして、やはり建設省から行く以上には、相当権威者が私は行かんといけないと思います。仮に全然橋梁のことを知らん人が、橋梁災害査定をしてもおかしなことだし、又河川を少しも知らない人が河川査定をしてもあまり当を得ていないと思います。それでやはり災害査定には、その専門言つては少し言い過ぎかも知れませんが、成るべく技術にたけた人が行つて、府県の出した設計を指導する、こういうふうな御方針をとられるのが至当と思います。又今後そういう御方針をとつて頂きたいと思いますが、これに対する次長のお考えは如何でしようか。
  29. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 今赤木委員のおつしやることは至極尤もと存じます。従つて建設省におきましては、勿論河川局といわず、河川局の中における防災課のみといわず、道路局並びに河川局全部の技術官をできるだけ動員いたしまして、そうして御説のように一つつて参りたいと存じておる次第でございます。
  30. 赤木正雄

    赤木正雄君 それに関連して、そういう御方針であるならば、今後建設省技術員は、一層技術にすぐれた人を採用されるという御方針で……、まだ学校を出て何もあまり経験ないというかたは、建設省技術員としてどうかと思いますので、この点も一つ今後大臣と御協議されるように私はお願いして、質問を打切ります。
  31. 田中一

    田中一君 赤木さんから質問があつたかとも思いまするが、これは昨年のあの大雨でも御承知のように、まあ京都市のほうの例をとりますけれども、賀茂川の橋梁の木橋の大部分がもう落ちております。そこでこれはたしか次長が御答弁なすつたと思いますけれども、無論原形復旧の原則は原則として、無論改良工事改良費を以て永久橋にするというような説明があつたのですが、現在やはりそのようにやられておりますか。京都市の場合はどうなつておりますか。
  32. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 京都の賀茂川の問題でございまするが、賀茂川には相当たくさんの橋がかかつております。従つてその各橋梁につきまして、勿論原形復旧という建前を崩さんのでありまするが、交通量をよく勘案いたしまして、そうして永久橋として復旧すべきものというようなものは、大体そういうような方針をとつておるわけです。若干二、三木橋で復旧したのもございます。それは上下の橋梁との関係、交通量の関係等を勘案いたしまして、そういうものも二、三あつたかとも存じますが、大体原形をとるようにいたして、その方針工事が進んでおります。
  33. 田中一

    田中一君 このスライドするとしますと、どのくらいが増額になるのでしようか。
  34. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 先ほど赤木委員からの御質問でちつよつとお答えいたしましたが、大体におきまして、現在過年度の残つておりまする部分につきまして、工費として三十五、六億の増加になるかと存じます。
  35. 石川榮一

    ○石川榮一君 又翌年の水によりまして、同じ所が同じような災害を受けたということが仮に起るといたしますと、前の災害工事なるものがその工事におきまして、非常に不正が行われたということも言い得るのであります。特にこの小さい災害につきましては、ややもすると町村等が安易な気持でやりますために、その工事が適正な工事をしないで済ます。そうして更に又明年度同じところがもつと増破をするということも聞くのであります。こういうものに対して、建設省は何か特別な監査機関を設けるとか、或いは連続同じ所が三年も三年も同じように災害を受けるというようなことがあつた場合には、何か法的な措置を講ずるかどうかする必要があると思いますが、こういうものに対する監督はどういたしますか。
  36. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 災害復旧工事につきまして、一番むずかしいのは、やはり今御指摘のように市町村工事だと、こう存ずるのであります。何分にも市町村におきましては、優秀な技術者を丸抱えにして置くということはなかなか困難でありますので、ついその設計などにつきましても、土木請負業者に頼むというような場合もございますので、従つてこの市町村工事につきましては、実は我々のほうとしても、非常にこの監督に苦慮しておるわけでありますが、この問題につきましては、できるだけ府県をして監督せしめるという態勢を、昨年の動きにおきましては若干これを加えて頂いたわけでございます。従つてこの府県が大いに督励いたしましてい市町村工事につきましては、十分に監督して頂くと共に、建設省におきましても、この事後の監査というようなことにつきましても、十分この方面については力を今後は入れたいと、そういう方針で、昨年度もその点に力を入れたような次第でございます。なお再度、災害を何遍も受けるというようなことが絶対にないように、これからも努力いたして参りたいと思います。万一設計などにおいて、計画通りのものを施行していないというような場合におきましては、何らかの処分をいたしまして、そういうようなことが跡を絶つように持つて行きたい。こう存ずるわけでございます。
  37. 田中一

    田中一君 地方財政委員会のかたに伺いたいのですが、この法案通りこの法案が成立しますと、あなたのほうのその平衡交付金との関係ですね。これはどういうことになりますか。
  38. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 今法案を拝見いたしたのでありまするが、この改正の結果、直らに地方財政平衡交付金のほうに影響を及ぼす点は何らないと思います。
  39. 田中一

    田中一君 あなたのほうでは、この先般の今度法律として出る平衡交付金の基準ですね。交付基準、こういうものと、若しも市町村が十五万円限度のものが十万円になつた、従つて余分な補助金が行くことになるのです、各市町村に。その際土木費の基準というものは、何も変えないでよろしいということでいいのですか
  40. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 市町村の分につきましても測定単位を変える必要はないと考えます。ただ一ヵ所の工事が十五万円から十万円に引下げられますと従来は地方団体が単独でやつておりました災害復旧事業及びその財源として発行いたしました地方債の元利償還費、こういうものが測定単位の数値の中にそのまま入つて来なかつたわけであります。単独でやりました部分については、必ずしも市町村間に一律に取扱うことが公平を得るゆえんじやございませんので、こういうものは普通交付金の計算に入れませんで、特別交付金のほうの計算に入れておつたわけであります。ところがそういうものにつきましても、国庫負担が伴うということになりました場合には、需要の地方負担分について発行いたしました地方債の元利償還額は、そのまま普通交付金の計算額に入れて行くわけでございますので、それらの市町村は、それだけ有利に地方財政平衡交付金の計算において取扱われるということになるわけであります。併し平衡交付金のそのままを推計する必要は何らないということであります。
  41. 田中一

    田中一君 そうしますと、これが十五万円が十万円になつたという場合には、市町村、まあ何と言いますか、経費というものの工事費がこの面において余分になり、且つ平衡交付金の額も殖える、こういうことは間違いないのでございますね。
  42. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 大体そういうことになります。
  43. 田中一

    田中一君 たしか市町村の場合でも、この補助工事のみについて測定基準になつておるというように承知しておりましたけれども、そうしますと、このまま額が低下されて十万円だと、五万円分のものが、五万円分といいますが、十万円に減らされたものと同じように平衡交付金も従つて殖えると、こういうことに間違いないわけですね。
  44. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 平衝交付金として殖える殖えないというと、多少誤解が生じますので、少し詳しく申上げさして頂きますと、今まで十五万円未満のものは、これは単独事業になつておつたわけであります。従つてこれらの単独事業について、仮に地方債を発行いたしました場合には、それらの地方債の元利償還額というものを普通交付金の計算の際には使いませんで、特別交付金の計算の際に、それらの元利償還費の大体半分の程度のものを、当該団体の財政需要として見ておつたわけであります。併し十五万円以上のものについては国庫負担金がついておるわけであります。国庫負担金がついておつて、残りの地方負担額について地方債を発行する。その元利償還額というものは、大体そのまま財政需要額として計算をしておつたわけであります。単独事業の分は一律に取扱うことが困難でありますので、国庫負担を伴つておる部分地方事務負担、それの地方債の半分程度にしか計算しなかつた。それが十五万円から十一方円に下つて参りますと、その差額の五万円分についても国庫負担がついて来る。それについての地方事務負担について、その地方債の元利償還額も大体そのまま財政需要額に計算されて来る。その意味において非常に有利になるわけであります。
  45. 田中一

    田中一君 あなたのほうでは、これは、この補助金額をどう使われるかということをお調べになつたことがありますか。
  46. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 補助金と申しますのは、災害復旧事業に対する国庫負担額でありますか。
  47. 田中一

    田中一君 そう。
  48. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 特別に調べたことはございません。
  49. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 別に御発言がないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。    〔「ありません」「省略」と呼ぶ者あり〕
  51. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 他に発言はございませんか……。別に御意見がないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  53. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 全会一致でございます。よつて法案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、爾後の手続は、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 異議ないと認めます。  次に本案を可とされたかたは、成規の手続に基きまして、順次御署名を願います。   多数意見者署名     赤木 正雄  田中 一     石川 榮一  深水 六郎     前田  穰  門田 定藏     東   隆
  55. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは散会いたします。    午前十一時五十分散会