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衆議院議員(
淺利三朗君) この問題は
衆議院においてもしばしば、
補助金の
交付の行方がどうな
つておるか、
工事の
施行がどうな
つておるかということが、しばしば問題にな
つておることは参議院と同様であります。ただ今日の現状から見ますると、余りに
災害の個所が多いので、一々これを
調査するということが至難であることから、先般の
機構改正におきましても、
建設省の
監察官の数を殖やして、そうしてまあ抜打的ではあるけれ
ども、主なものを調べて、そうしてその金を有効適切に使
つておるかどうかということを調ばるというような
方針にな
つております。それからもう
一つは、大蔵省においても最近は、この
予算の支出が余りにルーズになりはせんか、ときどき便乗的にや
つて来るものがありはせんかというので、
災害の
復旧の範囲であるか、或いは
改良費と並行して行われるものであるかというようなことは、ときどき実地を見るという
方針で、大分改善されておると思うのであります。併しこの問題を
審議するに当
つて、そこで今慌ててやりますというと、なかなか簡単に参らんだろうと思います。私
どもがこれを出しましたのは皆さん御
承知のごとく、一番最初の
規定におきましては今度の
改正案と同様で、
原形復旧をすることが
原則であるが、
原形に復することが不適当であるとか、その他改築、増築を必要と認める場合は、これを妨げないという
規定であ
つたものが、御
承知のごとく二十五年のあの
全額国庫負担の際に、若しこれを従来の
通りにしておけば、余りに
地方の便乗が多くなる。そこで初めて
超過工事というものに対しては三分の二の
補助をやるというふうに
改正されたことは、御
承知の
通りであります。然るに二十六年の
スライド制の際に、これを更に狭めまして、
超過工事については三分の二が三分の一の
改良費補助にな
つております。このため
地方は非常に困るのであります。
災害費全体については、
スライド制によ
つて非常に多額の金がもらえますけれ
ども、
個々の
工事については殆ん
どもらえない。これを
実例について見ますと、私の一番よく知
つておるのは、岩手県の一関の水害であります。あれは当初は、
原形復旧は一千万円くらいであ
つたのであります。ところがそれではとても防ぎ得ないというので、
河幅をその倍にして千八百万円の
予算を取
つたのでありますが、当時
用地費は
地元負担三百万円を要する。これができないために延びて遂に
政府からそれを
補助することにな
つてやりましたときには二千八百万円である。そのために今度は新たに
予算を殖やさなければならん。その交渉中に第二回の洪水が参りまして、その結果二億一千万円の
予算を要して
復旧工事をした。若しこういう場合に
原形復旧一千万円であ
つて、あとの二億円に対しては半額
補助ということになりますと、殆んどこれはできないという実情になるのであります。そういう
実例から見まして、この二十六年度の
工事の
改正というものは殆んど
地方が迷惑するということからこれは起
つておるのでありますから、どうぞその
趣旨をお汲み取り下さいまして御承認願いたいと思います。