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1952-05-28 第13回国会 参議院 建設委員会 第45号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年五月二十八日(水曜日) 午後一時五十四分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
廣瀬與兵衞
君 理事
田中
一君
小川
久義
君
委員
石川
榮一
君 楠瀬 常猪君
徳川
宗敬
君
前田
穰君
門田
定藏君 三輪
貞治
君
松浦
定義
君
衆議院議員
田中
角榮
君
事務局側
常任委員会専門
員 菊池 璋三君
常任委員会専門
員 武井 篤君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
道路法案
(
衆議院提出
) ○
道路法施行法案
(
衆議院提出
)
—————————————
廣瀬與兵衞
1
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君)
只今
から
建設委員会
を開会いたします。
道路法案
同
施行法案
を一括して議題に供します。両
法案
について御
質疑
のおありのかたは順次御
発言
を願います。
三輪貞治
2
○
三輪貞治
君
本法
の第十二條と第十三條におきまして、
都道府県
の
知事
がその
工事
を施行することが困難又は不適当と認める場合、及び
建設大臣
が
工事
が高度の
技術
を要する場合、高度の
機械力
を使用して実施することが適当であると認める場合において、一級並びに二級
国道
を、
建設大臣
が
管理者
である
都道府県知事
に代
つて
その新設、修理その他ができるようにな
つて
います。そこで
北海道開発法
との
関連
ですが、
北海道開発法
においては、ほかの
都府県
と
違つて
、
地方費道
でも
全額国庫負担
にな
つて
おるところもあると思うのです。その場合に
北海道開発法
においては、その
地方費道
もその
開発庁
でやれるようにな
つて
おると思いますが、この
法律
で行けば、一級、二級の
国道
についてのみ、而も
技術
が高度であり、高度の
機械力
を要し、或いは
都府県知事
では不適当と認めた場合のみしかできないようにな
つて
おると思いますが、この
関連
はどういうふうにな
つて
おりますか。
田中角榮
3
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) お答えいたします。
北海道
の
全額国庫負担
で似て
工事
をやるという場合には、
北海道開発法
のみでなくて、
本法
の八十
八條
の
規定
によりましても十分行ない得ることにな
つて
おります。
三輪貞治
4
○
三輪貞治
君 そうしますと、この八十
八條
におきましては、現在
北海道
で行な
つて
おる場合のみならず、
地性
、
気象等
の
自然的條件
が極めて悪くて且つ
資源
の
開発
が十分に行われてない
地域
内の
道路
は
政令
で指定して、同じように
国道
と同様の取扱いができるようにな
つて
いますが、
積雪寒冷地
或いは最近通過いたしました
特殊土壤
の
対策法
、これらの
法律
が適用される
地方
においても、非常に
気象
、
地性
の
條件
が悪くて、
資源
の
開発
が十分に行われていない場所が多いと思うのです。そういう
地域
においてもこの八十
八條
が適用されますか。
田中角榮
5
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) 八十
八條
につきましての御
質問
でありますが、これは
北海道
に対する
特例
は、御
承知
の
通り太政官布告
当時からの
特例
でありまして、現在も認められておる
既得権
であります。併し
北海道
が
開拓地
として
全額国庫負担
で、八十六億の
道路費用
中三分の一も
北海道
に行
つて
しまうというような
状況
では、
北海道
と同じような
地域
にある
内地
には不合理ではないか、でこの
北海道
の
既得権
の問題に対しても再検討を必要とするという議論もあつたのでありますが、私
たち立案者
といたしましても、なお
衆議院
の
建設委員会当局
の案といたしまして、
既得権
であり、現在この
既得権
を削除することは穏当でない、而も時期尚早である、こういう
意見
が圧倒的でありまして、これに対し
既得権
をそのまま認めるということでありました。同時にそれは
北海道
よりも、
内地
であ
つて
も、
状況
の悪い土地に対する
開発道路
をどうするかという
意見
がありまして、このように
衆議院建設委員会
において修正をいたしたわけであります。それで
北海道
に対する
特例
が、
北海道等
に対する
特例
になり、
北海道
以外の
内地
の
特殊地域
においても
政令
で推定する
地域丙
に対しては、
全額国庫負担
の恩典を与えるということに幅を拡げたわけであります。その
意味
におきまして、ただこれが広義に解釈せられまして、
国土開発法等
に
規定
する
特殊地域
内の
道路等
も
全額国庫負担
になるというようなことになりますと、
国家予算
の
財政
の
状況
からいいまして非常に無理がおきるという虞れがありますので、
政令
で特にしぼりまして、厳重に検対した上、
地方財政
の
状況
が許さざる
地域
及び
只今
あなたが申し述べられたような特殊な
地域
に対して、どうしても
全額国庫負担
においてでなければ
道路
の
開拓
ができない、
資源
の
開発
ができないというふうに
政令
で
規定
せられた場合には、
北海道
と同じ
特例
をその
地域
に対しても認めよう、こういうので
規定
いたしたわけであります。
三輪貞治
6
○
三輪貞治
君 それから十二條、十三條では、一級、二級の
国道
に
限つて
のみ
建設大臣
がその
工事
ができるようにな
つて
いますが、現実に
北海道
開発庁
は
地方費道
もや
つて
おると思いますが、この
法律
では
地方費道
、いわゆる
都道府県道
を
建設大臣
が
工事
のできる
規定
がありますか。
田中角榮
7
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) それは十二條、十三條の
規定
は、
北海道
は現に
地方費道
までやれるようにな
つて
おります。これは勿論
全額国庫負担
であるからでありますが、
本法
の
規定
するところは
道路
の
管理者
及び
道路
の
所有権
というものに明確な線を引きたいと、一級、二級
国道
は国の
営造物
、
都道府県道
は
都道府県
の
営造物
、それから
市町村道路
は
市町村
の
営造物
と、こういうふうに
定義
を明確にしてその
責任分野
を明らかにいたすわけでありますので、国が補助するところの
都道府県道
に対しては、
都道府県
が行うことは
原則
的に妥当である。而も一、二級
国道
で、二以上の府県に跨ものであ
つて協議
が整わない
工事区域
とか、高度の
技術
を要し、特に
機械力
を要するものであつたり、新しい工法を以て行う
道路
のために、厳密な
統計資料
をとりたいというようなものに対しましては、将来の審理もいたしたいために
建設大臣
が行う、こういうふうにいたしたのでありますが、八十
八條
の後段の
規定
に基きまして、
政令
で定める場合には、
地方道
に対しても国が行えるという途を開いてありますので、あなたの御
意見
の
通り
に、
北海道
と同様に、場合によ
つて
は国が
工事
が行えるわけであります。
三輪貞治
8
○
三輪貞治
君 それから第十四條におきましては、一級、二級の
国道
の
管理者
を
都道府県知事
と
規定
しております。それから第十五條におきましては、
都道府県道
の
管理
を
都道府県
と、こういうふうに同じ
管理者
が
都道府県知事
であり、
都道府県
であるという
違つた表現
をされておりますが、これは河か特別な意図があるわけですか。
田中角榮
9
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) お答えいたします。これは
営造物
に対する
観念
が
都道府県道
は
都道府県
のものである。なお
都道府県知事
を
管理者
にいたしますのは、これは任命するだけでありまして、いわゆる
都道府県知事
は任命せられるものであ
つて
、
都道府県議会
の
議決
に基かず
行動
ができるわけでありますが、
都道府県
は
都道府県議会
の
議決
に基いてのみ
行動
ができるわけであります。
市町村長
、
市町村
も同断であります。
三輪貞治
10
○
三輪貞治
君 これは
本法
のみならず、過去に定められた
法律
或いは将来においても用語上そういう統一がされるわけですか。
田中角榮
11
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) 理論上そのほうが正しい、こう考えております。
三輪貞治
12
○
三輪貞治
君 三十
一條
の第一項に、
五行目
ですか、「
当該道路
の
交通量
又は
当該鉄道
の
運転回数
が少ない場合、地形上やむを得ない場合その他
政令
で定める場合を除く外、当該交さの方式は、立体交さとしなければならない」、そういうふうに
規定
されております。これは非常に新しい、進歩した
條文
であると思いますが、具体的にですね、それについての
一つ
の御
計画
、即ちどの辺でその
交通量
が、或いは
運転回数
が
規定
されるのか、そういつたような具体的な
基準
がありますか、
立案者
のほうに。
田中角榮
13
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) お答えいたします。三十
一條
の
規定
は
現行法
にない新しい
規定
でありまして、本
道路法
としては画期的な
規定
であります。これは、もうすでに大正八年制定の
現行法
の
道路
に関する
観念
というものが古いということで、
法律
の
改正
を企図いたしたわけでありまして、
道路整備
を行い、
交通
の安全を確保するためには、
立体交叉
が
理想
であることは論を待たないことであります。ただ
理想
というよりも、現在すでに
立体交叉
を
原則
にしなければならない
状況
にあることも御
承知
の
通り
であります。その
意味
で三十
一條
を、
立体交叉
を
原則
とする、但し
財政
上の問題もありますし、
軌道
及び私鉄との関係もありますので
施行法案
におきまして、現在
平面交叉
をしておるものは適用しない、こういうふうにはつきり
規定
いたしておりますが、併し
立体交叉
が
原則
でありますので、将来
改築等
をする場合には、お互いが
協議
をして、
協議
が
整つた
場合、
本法
の
精神
に
則つて立体交叉
に改造いたしたいと、こう考えておるわけであります。なお
只今
御
質問
のいわゆる
立体交叉
を
政令
で定める
基準
という問題につきましては、
運輸
、
建設
両
当局
が
十分協議
の上に、
協議
が
整つた
場合
円満妥結
をし、而も
本法
の
精神
を生かし、なお且つ
財政
的に実現でき得る
状態
において
立体交叉
を行うということであります。
三輪貞治
14
○
三輪貞治
君 その場合に、この
鉄道
については或る
箇所
についての部分的な指定がされるのでありますか、或いは或る何々線という
一つ
の線についてされるのですか。
田中角榮
15
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) これは現実的に
交通量
が増大し、
立体交叉
を必要とするという
部分的箇所
について
協議
が
整つた
場合行われるわけであります。
三輪貞治
16
○
三輪貞治
君 今相当の
交通量
があり、
運転回数
のかなり多い
鉄道
であ
つて
、
本法
の特別な場合で、
立体交叉
にしなければならないと、こういうふうに考えられておる
箇所
が大体どれくらいあ
つて
、目安として大体何ヵ年
計画
ぐらいでこの
立体交叉
をば御
実行
になれると、こうお考えにな
つて
おりますか、と申しますのは、非常に耕しい、いい構想でありますけれども、ただ文章に書れただけで、ただ
財政
上の理由に藉口されて実際に行われなければ、
仏作つて魂
が入らないわけでありますから、お伺いしておるわけであります。
田中角榮
17
○
衆議院議員
(
田中角榮
君) お答えいたします。これは第三十
一條
の
規定
は新らしい
規定
でありまして、今後の問題でありまして、今後は当然この
原則
によ
つて立体交叉
を行うわけであります。
鉄道
が
道路
を踏切る場合には、
経営者負担
で、
鉄道
の
費用
によ
つて鉄道
が
立体交叉
を行う。
道路
が
鉄道
を跨ぐ場合には同じく
立体交叉
を行う、こういうのでありますので、これはもう
法律
の
規定
でありますので、特に苛酷でないという場合には、
原則
的に
法律
の命ずるところによ
つて立体交叉
が行われるわけであります。但し現在のものを
改築
するという場合、これは沢山あります。
箇所
としては
立体交叉
で当然なければならないという所があるのでありますが、
本法改正案
を提出する現段階におきましてそこまで、それで現在のものまでやるということになると、非常に各
企業会社
との問題もありますし、国鉄でさえも
協議
をし、
財政
の許す範囲内において
実行
に徐々に移しておる
状況
でありますので、
本法
は現在
平面交叉
をしておるものに対してはこれを適用しない。但し
改築
を行う場合には、これから将来の
工事
でありますので、
原則
的に
立体交叉
を行う、こういうふうに
規定
しております。
三輪貞治
18
○
三輪貞治
君 それから
当該鉄道
というふうに限られておるわけでありますが、これは
軌道
を含みませんか。
田中角榮
19
○
衆議院議員
(
田中角榮
君)
軌道
を含みます。含みますが、なぜ
軌道
をここに明確に
規定
しなかつたかといいますと、
道路法
は
基準法
でありますし、
軌道法
があるのでありまして、
軌道法
は
道路法
の
特別法
でありますので、当然
軌道法
によ
つて
規定
せられ、なお
軌道法
は
建設
、
運輸
両
大臣
の
共管事項
でありますので、現在の
軌道法
で十分この
理想
は達成できる。なお不備の点がありますが、これは当然
基準法
であるところの
道路法
の
改正
が行われるのでありますから、
軌道法
も同時に行うべきでありますが、これは私
たち
だけの感覚と気持で行うべきではなく、
政府
をして
本法施行
後に督励をし、
政府提案
にして
本法
を合致するように
改正
をせしむるか、若しくは両院の
運輸委員会
の諸君のほうも
本法
に合致するような
改正
をいたして頂きたいということを申込んでおる
状態
であります。
廣瀬與兵衞
20
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君) ほかに御
発言
ございませんか。では別に御
発言
もないようでございますから、
質疑
は尽きたものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
廣瀬與兵衞
21
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君) 御
異議
ないものと認めます。それではこれより
討論
に入ります。御
意見
のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御
発言
もないようでございますから、
討論
は尽きたものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
廣瀬與兵衞
22
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君) 御
異議
ないものと認めます。 それではこれより採決に入ります。
道路法案
及び
道路法施行法案
を一括して問題に供します。両
法案
を原案
通り
可決することに御
賛成
の
かたは挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
廣瀬與兵衞
23
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君)
全会一致
でございます。よ
つて
両
法案
は原案
通り
可決すべきものと決定いたしました。なお本
会議
における
委員長
の
口頭報告
の
内容等
爾後の
手続
は、慣例によりまして、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
廣瀬與兵衞
24
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君) 御
異議
ないものと認めます。 次に両
法案
を可決されたかたは、
成規
の
手続
によりまして順次御
署名
を願います。 多数
意見者署名
田中
一
徳川
宗敬
前田
穰
門田
定藏 三輪
貞治
松浦
定義
瀬楠
常猪
石川
榮一
小川
久義
廣瀬與兵衞
25
○
委員長
(
廣瀬與兵衞
君) 本日はこれを以て散会いたします。 午後二時十一分散会