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1952-05-22 第13回国会 参議院 建設委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十二日(木曜日)    午後二時十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君    委員            石川 榮一君            楠瀬 常猪君            前田  穰君            松浦 定義君            東   隆君   衆議院議員            瀬戸山三男君   政府委員    建設省道路局長 菊池  明君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   法制局側    参     事    (第三部第一課    長)      村田 育二君   説明員    建設省住宅局住    宅企画課長   赤塚 榮治君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○証人喚問に関する件 ○宅地建物取引業法案衆議院送付)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。先に決定いたしました住宅金融金庫法の一部を改正する法律案に関する証人の件についてお諮りいたします。証人として出頭を要求しておりました、日本損害保険協会会長田中徳次郎氏が先約あり、出席不能のため、総務部長今井久次郎氏の出頭を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  次に宅地建物取引業法案を議題に供します。御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 前回の委員会では、この法案に織込んでなかつた資格或いは試験の問題について総括的な質疑をいたしましたが、逐条的に解釈の点についてお伺いしたいと思います。先ずこの第四条の「事務所所在地」とありますが、事務所というのは、自宅でも看板を上げるならば事務所ということの認定ができるのでしようか。
  5. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 御説の通りでありまして、宅地建物取引業を営む主たる事務所、これは別にいわゆる普通の事務所式のものでなく、自分の家でも、そこで事務を主たる事務としてとれば事務所になる。こういう次第であります。
  6. 田中一

    田中一君 次に、第四条の1の二号ですが、「個人である場合においては、その者の氏名」。これは無論女でも差支えないと思いますが、年令は、この後のほうの、六条にありますように、成年者ということに制限されているのですね。
  7. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今田中さんの御承知通りでありまして、末成年者でも、未成年者がやる場合には、法定代理人代理人として……。成年者でなければならないということはないのであります。
  8. 田中一

    田中一君 二項の一、「宅地建物物取引業経歴書」、これは登録を受けようとする最初の、この法律ができ上つて、この法律が施行されるときには、先般の提案者説明のように、誰でもいいということになるのじやないかと思います。従つてこの経歴書の場合は、更新を受けようとする場合に限るということなんでございますか。
  9. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今田中さんの御承知通りでありまして、ここに出ておりますのは、通常の場合を一応書いてございますので、宅地建物取引業を営んでおつた人はその経歴書を、初めての人は無論経歴書はないのであります。なければならないで、ないという事実を書けばいいのであります。
  10. 田中一

    田中一君 三項の「三千円以下の登録手数料」というのは、三千円以下というのは幾らにきめられようとなさつておるのですか。
  11. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これは各府県条例に任せておりますので、その県の財政状態その他の事情と、それからその事業者の大体の数などを勘案して、県のほうできめてもらう、都道府県できめてもらうという考え方であります。この法律が制定されまして、建設省の所管になりますれば、行政的の指導をすることにいたしたいと、こういうふうに考えております。従つて最低幾らというようなことは、現在のところは、これはまあ府県業者の数であるとかということを勘案してそれぞれきめる、こういう考えであります。
  12. 田中一

    田中一君 他にも業法がいろいろ施行されておりますが、その他の業法などで取る場合に、どのくらいのものも手数料として納めておりますか。
  13. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 私も全部のことは存じませんが、例えば建設業登録全国で五千円じやないかと思いますが、そのほかの登録について、今詳細を調べておりません。
  14. 田中一

    田中一君 私は、第一回の、何といいますか、この法の施行に当つて申込人は、先般質疑いたしましたような資格の点が制限されております。従つて或る地域においては、もう六十くらいの世話好きのお婆さんが、或いは真面目に親切に、こういう取引業と同じような業務を営んでおるものもあるかも知れません。又税金も納めて、ただ個人的な気持で世話好きな人がやつておる場合もあると思います。従つてそういうかたがたは、それによつて一応生計を営んでおると思うのであります。まあ税金の問題が、実態がどうか、これははつきりしませんが、一応そうしたお世話をすることによつて生計を営んでおるものも相当あると思うのです。無論この法律は、そういうもぐり的なものを一応取締ろうという趣旨もあるでしようが、三千円以下と一応決めておりますが、提案者意図は、どうもはつきりと三千円がいいのか、二千円がいいのか、千円がいいのかということをはつきりした理由を持たずして、三千円と書き込んだようであります。従つて若し三千円を取るものと仮定するならば、その三千円の金がないために、今までそれによつて生計を営んでいた人たちが非常に生活の脅威を受けるというような点があるんじやないかと思うのです。そういう点については、この法律が施行されたために、失業者を生むというような点もありますので、若しもできるならば、都道府県条例でもつてこれを決めるということよりも、一応の、法律の上に書けなければ、省令で決められないという場合もあると思いますから、通達かなんかで一応の基準を示すというようなことは考えられないものか。これはもう議員提出法案ですが、政府委員伺つてもいいと思うのですが、大体沢山ありますところの業法登録手数料というものは幾らが妥当であるか、実際どれくらいのものを取つておるかという、そういう点を提案者がおわかりにならなければ、政府委員で御答弁願いたいと思うのです。
  15. 赤塚榮治

    説明員赤塚榮治君) この登録料の問題でございますが、建設業法におきましては、やはり三千円と心得ております。その三千円はどういうふうに使用されるかという、そういう使用の基本については、これはいろいろその県によつて違うと思いますけれども、これは、通常その手数料というものは、登録簿を作成しましたり、或いは業者に対する、登録者に対する通知をいたしましたり、いろいろ事務的なものが相当多いと存じますので、通常こういう条項において定められておるその三千円というものを一応基準として、ここに挙げた次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 今政府のほうからお話の、三千円と一応きめたと、提案者は、一体どのくらい取るのが妥当だと思つておりますか。又府県によりましていろいろ違いがあると思いますが、大体構想としては、幾らくらい取るというつもりでおつて、ここに三千円と書き込んだのですか。
  17. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これは、先ほども申上げましたように、建設業法におきましては、御承知のように、都道府県限りの建設業は三千円、全国は五千円と確定いたしておるのでありますが、この場合は、私どもの考え方といたしましては、やつぱり三千円と確定することが地方によつて適当でないという意味におきまして、まあ先ほど政府説明員のかたがおつしやつたように、一応最高は三千円にきめる。地方実情によつて登録業者が多い少いによつて事務が相当違つて来ると思いますので、その点は法律一定することは困難である、こういう考え方であります。そこで行政指導はできやせぬかというお話でありますが、そういう点は、建設省に私は要請をして、できるだけ行政指導で、先ほど田中君のおつしやつたような弊害はないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  18. 田中一

    田中一君 では三千円以下でなければやつぱり駄目なんですね。成るべくそうしたこれによつて制限を受けないというようなものであつて、その実情を勘案して全部を登録させるというような意図の下に登録手数料の問題も考えたと思うのです。この場合どうですか。
  19. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) お説の通りであります。
  20. 田中一

    田中一君 第六条の虚偽の記載があつた場合に、それは間違いじやないかといつて虚偽とはつきり判定することはどういう形で判定するか。いわゆる間違いというものもあろうと思うのです。その場合には、悪意な虚偽の場合も善意の間違いの場合も、事実それを一応申請者に向つて確めて、その上で拒否権を発動するというように了解してよろしうございますか。
  21. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 勿論第六条には、ただ登録を拒否しなければならないというふうになつておりますが、ここに書いてありますように、登録申請者について事実調査した後となつておりますので、ただその計画がこうなつておるからという簡単なことでは実際上やらない。又そういう趣味で突行いたして行く次第であります。
  22. 田中一

    田中一君 第七条の、他の都道府県区域事務所を有するということは、第四条の登録申請の1の四、事務所所在地、これは無論支店出張所を含めたものを最初登録申請の場合には出すと、それに対して直ちにまとまつたところの区域、まとまつたところの都道府県届出地域に、こういうふうに了解してよろしいですね。
  23. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今お尋ねの趣旨通りであります。
  24. 田中一

    田中一君 その場合、あとから支店出張所などを設置する場合には、それも必ず追加申請と言いますかをしなければならないのですか。この登録申請の場合は……。
  25. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) それは変更になりますから、変更届出をいたしまして、従つて又第七条によりて、便宜更に連絡の通知をすると、こういうふうに解釈いたしております。
  26. 田中一

    田中一君 変更でなく、追加の場合を私言つているのです。
  27. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) やはり事務所が多くなれば、登録条件変更になりますので、第八条に御覧の通り、「第四条第一項各号に掲げる事項について変更があつたとき」、こういう趣旨解釈いたしております。
  28. 田中一

    田中一君 その場合、支度、出張所に対する税金問題は、これは皆本店で処理するということになるわけですね。
  29. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 国税についてはそうだと思います。
  30. 田中一

    田中一君 第三章の業務でありますが、第十四条の「対価支払を不当に遅延する行為をしてはならない。」、その対価支払を不当に遅延するというのはどの程度考えておるのですか。又それは、条例又は政令でそうした意味解釈を知らすのですか。どのくらいの日を考えておるのです。
  31. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これは、まあ最初に依頼するというような場合に約束もあるだろうと思いますが、その点はまあ社会の、何といいますか、通念によつて、適当であるか不当であるか、正当の理由というようなふうに解釈してよかろうと思います。
  32. 田中一

    田中一君 この十五条の契約書の問題ですが、この契約書は、何か基礎的な契約約款というようなものを条例政令できめるのでございますか。
  33. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 立案者といたしましては、特別にそういう契約書の書式というものを含めるという考えは持つておりません。実際問題しては、全部の業者がそういうふうにやろうとは考えておりませんけれども、登録して業としてやるかたは、よく契約書の形式を以てやつておりますので、特にこういう契約書を作らなければならないというような政令を作るという考えは全然持つておりません。
  34. 田中一

    田中一君 この点は、契約書という書面を必ず作らなければならないということに解釈してよいのでございますか。
  35. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 必ずしも契約書を作らなければならないというふうには考えておりません。それで実際上の運用ができれば講わんのでありまして、契約書を要するようなものについては、勿論これは当事者としては、契約書を作らなければならないと思いますが、全部がそうしなければならないとは想定しておりません。
  36. 田中一

    田中一君 私は、こういう不動産取引通念と実際から申しまして、大部分のものは、この売買そのものが裸視の対象になることが多いのです。従つて大体実際取引地価一万円でやつておるにかかわらず、登録しておるところの地価というものはおおむねそれより低いのです。従つて平常取引は、おおむね表面に出るものは、例えば坪一万円の土地売買を周旋しても、実際は三千円乃至四千円くらいの価格で取引したような形で処理するのが通例でございます。これは提案者もよく御承知だと思いますが、建物にしましても、それから土地にしましても、或いは地上権にしましても、殊に地上権などというものは全然書類によつて記録の上に残らないのが通例です。従つて地上権設定といいますか、何といいますか、地上権設定書は、設定をすれば別としても、大体において話合で以て進んでいるのです。そういう場合、国民の利益は、無論売つたほうも買つたほうも利益を受けるのです。これは税の本当の徴収の建前から行きますと、不正なることだと考えるのですその際に、それを取締るような考え方が、この業務規定の中にちよつとないように考えておるのですが、これは現在取引業務通念というものは、そのような取引をやつておるのです。この点については、それを規制するといいますか、初めにあるように、取締るということが第一条にありますが、取締るという見地から、どういうような対策をお持ちか、伺いたいと思います。
  37. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 御説は極めて御尤もであります。それで、これは内輪の話になりますが、最初に案を立てましたときに、この業者はいわゆる帳簿を備えなければならないというような規定も一応考究いたしました。そこでその帳簿には直実を記載しなければならないということも、一応そういう筋の案が出ておつたのであります。併しこの案を立てましたのは、今田中委員お話に出ましたように、結局当事者利益を害さないようにするというのが目的であります。実際上の取扱いを全部ここに明らかにするということが目的ではないのであります、この法律建前は……。そういう意味で、そういう部面が、別に徴税の基礎になる法律でないのでありますから、特にそういう点を強調しなかつたということであります。ただ当事者に特別な不利益をかけない、そういう趣旨の立法でありますから、税法とはちよつと違つた意味に立案いたしている次第であります。
  38. 田中一

    田中一君 実はこの業務のいわゆる業務者には、原則としてはつきりとその旨を十三条に謳つておるのです。併しながら今の私が申上げたような点は、提案者もそれを御納得しているように伺いましたが、この点については、若しも土地建物取引業法というものがあり、完全に正しく施行されたとするならば、そういう点に非常に問題が残るだろうと思うのです。従いましてこの点につきましては、私今要求したいのは、国税庁のどなたかに、この次にここに出席して頂くように要求いたします。若し今日間に合えば……、或いはこれは直接国税ということになるのですか、ちよつと私わかりませんけれども、その点について一応念を押したいのですから、関係の政府委員のかたに御出席頂きたいと思います。それから大体こうした業法には、何か基本的な、基礎的な契約約款のようなものを規定した業法もあると思う。ここにたくさん、この業務を営むための登録その他に条件がたくさんございます。と同じように、この条件だけは必ず記載しなければならないのだというような点がなくちやならないと思うのです。それが業務処理原則、いわゆる信義と誠実ということになつて来ますが、ただこれが依頼者土地取引業者二人だけの問題を扱うばかりでなくして、やはり社会に及ぼすところの好結果、いい結果というものがなければならないと思うのです。その点について、今提案者は、依頼者業者だけの問題だから、それに利益を与えようというのだから、そこまではこの法律は手をつけてないのだという御提案ですが、それでは法律作つた真提案者意図には反するじやないかと思うのです。まあそのうちの一つの今の税の問題について、認定の問題についても、一応今申上げたようなかたの出席を、今すぐ来て頂けば審議したいと思いますし、これは委員長適当にお取計らい願います。  次に、只今私が質問した問題と絡みまして、十七条には、報酬の額は、都道府県知事がきめる。こういうことになつております。この報酬も、結局先ほど提案者が他の条でおつしややつたように、都道府県条件がおのおの違う場合がある。だから都道府県知事に任してあるのだという御説明だろうと思いますが、これも全国的に基本的な線を打出すことが、やはりこの土地建物取引業者をして正しい意味業務を取り営ます基ではないか、こう行えております。これについてはどうお考えになりますか。
  39. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) お説のようなことも尤もでありますが、御承知通りに、地方によつてこの報酬の額が現在においても相当違つておる点があります。取引高の三分であるとか、五分であるとか、いろいろあるようでありますが、又取引の額によつてもその歩合が違つて来る。この法律にあります通り土地建物売買から、各種の行為がありますので、それを法律一定するということは実情に沿わない場合もありましようし、又極めて困難であります。そこでこのように、十七条では、地方実情に応じたように、都道府県知事にきめてもらう、これが一番いい方法だろうと、提案者といたしましてはそういう考えでおるわけであります。
  40. 田中一

    田中一君 実際この業務取締という点から行きますと、例えば、おれの家を百万円で売つてくれ、あと君儲けるなら儲けてもいいというような取引も実際に見ますとあり得るのです。そうしますと、これは取引業者が一週自分で買つて売ることもできる。よくそういうことも事例を承知しております。その場合に、正しい報酬というものを、報酬だけはここで以て一応基準をきめようというように解釈しておりますし、殊に都道府県知事がきめたところの報酬以上を取つちやならないということになつておるものを、非常に脱法行為を助長するような点があるのじやなかろうかと思います。脱法といいますと、この法律本当の精神を生かさないという点があるのではないかと思います。昨日から伺つておりますと、そういうような税の問題も野放しにし、殊に一応ここに最高報酬というものを規定しておりますが、これは実はただ規定しておるだけにとどまつて、これに対して陰で何をするかわからない。もう少し健全なる業者を作ろうという意図ならば、その点何らかの施策があつて然るべきだと思います。野放しな、ただ業者依頼者との話合というものだけに依存しておる形が見えると思うのです。これではこの法律があつてもなくてもいいようなものです。その業務実態にもう少し突込んだ御考慮が払われていいと思う。これは昨日も申上げたように、賛成者不賛成者もあり、たくさんな陳情もあつて提案者としてはもろもろの意思を織込んで一応作ろうといつた気持もおありでしようし、殊に全く野放しになつて、何人いるか、どこに誰がいるかわからないというような状態であるということも、率直に提案者が告白なすつたよう承知しておりますから、もう少しこの点について、法を悪く運用されるということを是正する意味において、何らかの手をお打ちになるお考えはないかどうか、それがあつてこそ、初めて提案者意図が行われるというように考えたいと思うのですが、如何でございましようか。
  41. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今田中委員も御承知通りで、現在は完全にこれは野放しになつておるわけであります。そこで昨日の委員会でも申上げましたように、先ず現在の野放しになつておるかような業者に対して、この程度法律を作り、そしてだんだん正常に奪いて行こう、こういう意図であります。初めから余りに厳格にするというと、営業の自由というようなものも害される虞れもありますし、この際はこの程度でしばつて行こうという考え方であります。
  42. 田中一

    田中一君 私は今の程度提案者の御説明ですと、実際はこの法律作つても同じことじやないかと、こういうような感じを持ちますが、一応一網かけて、雑魚をふるい落して、又その中から法律を改正すれば改正しようじやないかと、こういうような御意図のように了解いたしましたから、その点は今の徴税のほうのかたがた政府のほうの意見を聞きましてから、もう一度提案者質疑いたしたいと思います。
  43. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  44. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 田中委員の御質問に重複するかも知れませんが、一、二点をお伺いしたいと思います。この法案趣旨は、結局物を売る人も非常に安心して売ることができると、又買う人も安心して物を買うことができると、これがこの法案趣旨だと私は思います。従つてこの第十七条の報酬の件につきまして、都道府県知事の定めるところによる、これは実に漠たるもので、無論各都道府県において違いましようが、大体どの府県でどれという基準は今でもあるものですか、ないものですか、それをお伺いしたい。
  46. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 県によつて基準があるというふうには考えておりませんが、実際の取扱いは、私も全部の詳細を調べておるわけではありませんけれども、勿論金額によつても、先ほど申上げましたように、歩合が違うことがあります。地方によつては、取引高の三分であるとか、又五分であるとか、一つのそういう業者の慣習といいますか、大体そういうようなものがありますが、従つて都道府県知事が一方的にきめるようになつても、実際問題としては、そういう業者の組合なり協会なり、そういうものと懇談をして、大体の基準をきめると、そういう取扱いにやつてもらいたい。提案者として希望はそういう考えであります。
  47. 赤木正雄

    赤木正雄君 やはりこの法案をお作りになる以上は、各府県の今までの慣例なんかをお調べになつて一定基準をお示しになつたほうが私はいいと思います。それを一つお伺いしたい。それから第十八条に、「不当に高額の報酬を要求する行為」、これが業務に関する禁止となつております。仮に今申す第十七条によつて都道府県一定の額をきめておくならば、これも「十七条に違反すれば」、こういうふうに書けばいいと思います。それからもう一つお伺いしたいのは、第十六条の秘密を守る義務、これは、よし例えばその業者業務をやめてしまいましても、売つた人は、自分は何ぼで売つたとか何とか、それを暴露されると、土地所有者なり、或いは家の所有者が、元の所有者が非常に迷惑をするというようなこともあり得ると私は思うのです。そういうことを考えますと、この秘密を守る義務といたしましては、第二十条の登録の取消、これだけありまして、これではあまり軽いんじやないか。場合によつては、法の第二十四条を適用して、よしその業をやめても、そういう不徳義なことをした者に対しては、或いは罰金を取るとか、或いは相当の処分をするとか、そうなすつたほうが、この業者の業をやめてからの適正な処置を図る上に、又ややもすると、こういう業者は今までも相当もぐりの人が多いのでありますからして、そういうことは厳重にしたほうがいいと思うのですが、如何でしようか。
  48. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今の秘密を守る義務については、赤木先生御指摘の通りに、仮に業を止めました後も、義務を負わしております。そこで第二十七条の第一項、第三号に、第十六条の規定に違反した罪を掲げております。併しこれは他人の秘密に関するものでありますから、その人に対する罪になりますので、従つてこれは親告罪にいたしたいと、こういうふうに、第二項には、告訴を待つて公訴を提起する、こういうふうにいたしておる次第であります。
  49. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  50. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記始めて。
  51. 田中一

    田中一君 今赤木委員からも大体何か、その取引実態を立証するようなものがなくちやならないというようにも考えていられるようですが、私は、この契約書の送付というものを明文としてはつきり出ている限り、これは、この契約書というものをその事務所なら事務所に必らず備えつけるとか何とかというものがなければ、ここに契約書の送付ということが書いてあるだけでは、何ら契約書義務ずけたものではないという提案者側の説明ですけれども、意味ないと思うのです。この点について、まあここで修正するというような意図の下ではなくても、もう少し的確な妥当な提案者気持を表明して頂きたい。
  52. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) たびたびの御質問でありますが、御承知通り、この法文にもあります通りに、この項目は各般に亘つているわけであります。従つて全部に契約書をつけるということは、実際問題として必らずしも必要でない場合があると思います。それで多くの場合は、まあ土地建物売買であるとか、そういうときには、これは当然契約書がなければならんのが普通でありますが、多くの場合はつけていると思います。そこで法文で全部に契約書を強制するということは妥当でないという考え方から立案いたしておりますが、実際の指導といたしましては、それはまあ業界としましては、協会その他を作るという動きがあります。そういう実際の行政指導でやつて行つたほうが適正ではないか、こういうふうに考えております。
  53. 田中一

    田中一君 これは政府委員ちよつと要求したいのですが、曾つてあつた、地方条例であつた取締令、これがあれば、参考資料として御配布願いたいと思います。  次に第二十条の2の五号です。これはどういうことをここで規定しておるものですか。
  54. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 第二十条の第二項第五号の問題でありますが、「その他業務に関して著しく不当な行為をしたとき。」これは具体的にどういう場合ということは、なかなか提案者といたしましても、事実問題が起らなければ、非常にむずかしい問題だと思います。そこでこれは、それこそ社会通念と申しますか、最初業務の精神に帰つて、この十三条は、信義、誠実を旨としなければならない、こういうことでありますので、業者がこういう他人の財産その他について取引その他に関与して事業をする、そういうものとしてそれは極めて不適当である。こういう社会通念考えられる場合を包括的にここで規定いたしてあります。こういう場合でありまして、これが多く起つて来るということは事実上そうたくさんはない、こういう考え方で、包括的な規定をここに書いておるのであります。
  55. 田中一

    田中一君 そうしますと、取引業者実態を把握できなかつた。又一、二、三、四で示したもの以外に何かあるんじやないかということを定めるべき実際の取引そのものに対する実態がまだ握られなかつた。だから包括的にこういうものを置いて、一、二、三、四の四号に示したもの以外のものを取締ろう、こういう御意図なんですか。
  56. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) そういう趣旨であります。
  57. 田中一

    田中一君 そうすると、結局私が申したような実際の業務というものを提案者としては把握できないということなんですか。
  58. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 実際の業務を把握できないという意味ではないのでありますが、ここに営業の一部又は全部の停止を命じたり、又は登録を取り消す、そういう場合の事由を一から四まで掲げておりますが、こればかりで全部を包括できるかどうかということは、相当実際問題として疑問があると思います。その他やはりこういう他人の財産その他について業務する者として、これは非常に不適当だという場合が起り縛るという可能性がありますので、そういう場合を想定して、ここに第五号を規定いたしておる次第でございます。
  59. 田中一

    田中一君 結局これは、都道府県知事認定の問題になると思うのですが、これもこの五号が、二十号あつても三十号あつてもいいから、若し強いていうならば、提案者のお気付きの点を挙げて、登録を取り消すという程度のことならわかると思うのです。これを挙げて包括的な認定で以て法律を運用されるというようなことは、私は立法精神から避けたいと思うのです。従つてこれは軽い罰則なんですがね。これは従つてこの取り消すことができるという該当行為というものを二十号でも三十号でも挙げられて、こういう包括的なものを認定でそれをきめるということを先ず法律の上からとりたいと、こう考えるのですが、これを削除するというような気持はございませんですか。
  60. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) すべての会社の情勢を一々列挙するということは、なかなか実際問題として困難だと思いますので、やはりこういう規定を置く方が私は適切だ。従つてこれを修正するという考えは現在持つておらないのであります。従つてこういう場合は、今田中委員の御心配になつておるようなことが、いわゆる行政官のほしいままな気持によつて起るということは最近は少いと思いますが、ないとは限りませんので、第三項に、そういうことは取引業者の意見をよく聞いてからそういう裁断を下すということにいたしております。若し又それに対して不服があれば、これは滅多にないことでありますけれども、訴願の途も講ずる。こういうわけであります。
  61. 田中一

    田中一君 こういう法律の立て方について、法制局から課長が来ておりますから、聞きたいのですが、こういうような立て方は、ほかの事業法にもたくさんありますか。
  62. 村田育二

    ○法制局参事(村田育二君) 詳細に調べませんと、実際にこれに似た例がないということまではつきり申上げられませんが、大体においてこういう例は余りないんじやないかということをお答えできると思います。
  63. 田中一

    田中一君 私は提案者に申上げたいのは、どうもこの宅地建物取引業というものの実態を、ただ業者の……これは言い過ぎになれば提案者にあやまりますが、業者の申出のみをとり上げて、実際の取引をしておる依頼者業者との関係です。従つて依頼者利益になるように、つまり業法と言いながら、結局国民大衆なんです、依頼者は。この利益を余り侵害しないというような建前から立法をして頂きたいと思うのです。その意味で、まだ罰則その他雑則などありますが、できるならば、私は衆議院でどういう経緯で審議なさつたか存じませんが、これに対する立法上の欠陥が多いのじやないかと考えるために、適当な人を、証人といいますか、お呼び願つて、その間違いをなくしたいと考えるのですが、衆議院ではどういう形で以てこれを御審議なさつたのですか。
  64. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) その前に、国民大衆を守るような法律にしてもらいたいという御趣旨でございますが、勿論これは、最初田中委員から、この法律の精神はどこにあるかという御質疑がありましたときに、業者取締る面、又業者の向上を図りたい、この二つの面があるということを申上げたのでありますが、業者取締るというのは、勿論業者に対して事を依頼した、又業者の仲介によつてものを解決したい、こういうことをする者は、すべてこれは全部国民大衆だ。従つてそれに対して不当な損害をかけないというためにこの法律作つておりますので、大きな狙いは国民大衆を保護するという趣旨を盛つておるつもりであります。  それから衆議院においての経過はどうであつたかということでありますが、衆議院においては、別に証人とか参考人とかに来て頂いて審議したのではございません。
  65. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  66. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて。
  67. 田中一

    田中一君 この二十三条の適用の除外、これは、現在信託会社及び信託業務を兼営する銀行というのは、不動産取引をやつているところが多いと思うのですが、これの示されている法律はどこにあるのですか。業務の範囲ですね。これは法律でどういう規制をしているのですか。
  68. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これは御承知通り、信託業法、それから信託業を兼営する銀行については、特別な法律があるわけでありまして、これこそ厳重な帳簿作つて、営業状態を明らかにすることになつているのです。同時に大蔵大臣の監督を受けるというふうな厳重な監督規定がこれ以上にありますので、二重の法律を適用するのは適当でないと、こういう意味で適用を除外いたしてあるわけであります。
  69. 田中一

    田中一君 第四章の雑則に、業者事務所に立入つて帳簿その他のものを検査させるということを示していますが、これも無論三項で、犯罪捜査のために認められるものではないと、こうなつておりまするが、先ほど契約書作成行為そのものを義務ずけられたものではないというのならば、これは実際立入りなんかして調べたところで何にもならないのですね。口頭契約になつてしまうのです。殊に小さい業者、たつた一人でもこれは商売できるものであります。一人でやつている場合などは、自分の懐でどんぶり勘定でやつていれば、それは全然わからないですね。あえてそういうものをルーズにしておいて、ここにこうした立入検査ができる、立入検査の問題をいつていますが、ちよつて立て方の均衡がとれないのではなかろうかと思うのです。そんなものはございません、商売を一遍もしませんと言つても、これは通るわけなんです。そういう点を何かつかまえどころがないと、この業は商品を買うわけでもないし、物を売るわけでもないし、床屋のように人が立て込むわけでもないし、それを認定するのに苦しむと思うのです。あえて税とは申しません。業務実態をつかむために、その場合に、何らかの業務分野に立入検査をすれば事実がわかるというようなものがないと、この法律の立て方がちよつとおかしいのではないかと、こう考えるのですが、この点について、提案者ばかりでなく、法制局の意見をちよつと聞きたいと思うのですが、この十五条の契約書を出しますね。これと関連して、第四章雑則の二十一条の報告及び立入検査をして、「帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる」と書いてありますね。ところがこちらの業務規定には、業務の関係の者に対しては、何らそういう書類を置かなければならないというような規定がないわけです。そうすると、この法律の立て方が片手落ちではないかということを言つているわけですが、これはどうですか。
  70. 村田育二

    ○法制局参事(村田育二君) 一般的な立入検査の規定は、多分ほかの法律にありますものと殆んど同じでございまして、帳簿、書類というようなことが書いてございます。従いまして、当然ほかの規定におきまして、帳簿の備付けとか、書類の作成義務を課しておらない場合でも、立入検査の場合に、これを備付けておるのが一般でありますから、これに書いてあるのが、必ずしも備付けとか作成を強成しなければいかんということにはならないかと思います。
  71. 田中一

    田中一君 提案者に伺うのですが、これも先ほど申上げたように、商品もなければ、客も立て込んでいないし、それから何ら業を営むのに帳簿も何も要らないくらいなんです。それでもできるということなんですね。従つてそれをつかもうとするには、何か取引なら取引をやつたとやうことを明示するような方法をとらないと、やはり先ほどつたように、野放し同然なことになるのではないか。全部が全部野放しということではなくても、野放し同然の状態になることもあるという点について、甚だくどいですけれども、この点について、先ほど再三提案者も御説明なさつていらつしやるけれども、私としてはどうしてもその点が納得できないのですが、どうでしよう。
  72. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 御心配の点は尤もだと思います。併しこれは、書式を強制するということも必ずしも適切でないと、実際問題としては、今御心配のように、何もしないで、ただ懐の中でやるということも考えられる、又全国的にないとも言えないのでありますが、併し登録をして、登録上の標識を掲げて、相当な継続行為をする以上は、何か事実問題としては帳簿は実際あると、現在でも帳簿なしに仕事をしておるところは殆んどないと我々は見ておるわけですが、多くの業者帳簿も何も備えないでやるということはちよつと想像されないと提案者としては考えておるわけです。
  73. 田中一

    田中一君 その点について、私は一方三千円の登録手数料をもつと安くして、現在までにやつておつた未亡人とか、お婆さんとか、隠居仕事にやつてつて自分の生活費とか小遣いを稼いでおつた人もあるわけです。非常に弱い業者と申しますか、今まではもぐりであつたかも存じませんが、そういう業者が推定三万人とか四万人とかあるということをおつしやつておるわけですが、そういうものも数に入つておるわけです。従つて試験制度でありますか、一応常識的な試験制度もやらない、ただ一応人を見て筋にかけるというようなことだけでは、どうも僕はこの法律そのものがあなたの立法の精神をそのままここに現わしたものじやないように考えられるのです。それはまあ、私がそういう考え方を持つのでありますが、そのほかの委員かたがたはどういうお考えを持つか存じませんけれども、質疑は今日は大体この程度にしておきまして、一応この点について意見だけを申上げておきます。
  74. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ほかに御質疑ございませんか。
  75. 石川榮一

    ○石川榮一君 大体田中委員の熱心な御質問で盲点は突いておると思います。又提案者考え方は、その理想は持つていらつしやるようですが、今まで野放しになつておるものを、一応この法律によつて一つの枠に入れまして、そうしてそのかたがたの自覚を懲悪いたしまして、行政指導によつて、今田中さんのおつしやるような理想に近ずけようという狙いのようでありまして、含みが相当あると思います。私はこの御提案に対する心遣いにつきましては賛成いたしますが、できることでしたら、田中委員の御心配なさるような点につきましても、何らか提案者においてお考えおきを願いまして、若し必要があれば、細則のようなものでも附ける或いは附則のようなものでも附けるということにして、理想の実現に一歩でも近ずくように提案者から御心配が願えるかどうか、これを伺つておきたい。
  76. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 立案当時から、今田中委員や石川委員の御心配になつた点を我々も相当考究いたしたのであります。たびたび申上げます通り、現在の段階ではこの程度であろう、併し今お話のように、行政指導等によつてやるべきのが適切であれば、それもやろう、こういう考えでおりますので、更に御意見を体して、今後法律が成立されますれば、建設省の所管になりますので、建設行政当局とも相談して善処いたしたい、こういう考えでおります。
  77. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは今日はこれを以て閉会いたします。    午後三時三十三分散会