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1952-05-09 第13回国会 参議院 建設委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君    委員            楠瀬 常猪君            島津 忠彦君            深水 六郎君            三木 治朗君            東   隆君   衆議院議員            鈴木 仙八君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    建設省都市局長 石破 二朗君    建設省住宅局長 師岡健四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊池 璋三君   説明員    建設省都市局都    市建設課長   高谷 高一君    建設省住宅局建    築労災課長   村井  進君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○耐火建築促進法案衆議院提出)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。耐火建築促進法案を議題に供します。御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは都市によつて違いますが、最近建築用材にはどれほど毎年使つていますかね。
  4. 村井進

    説明員村井進君) 私から御説明いたします。建築用材の使用の状況につきましては、資料の二十四頁を御覽願います。二十四頁のところで申上げますが、木材関係につきましては、昭和五—九年ベースと申しますのは、統計も少し十分ではございませんのではつきりいたしませんが、大体推定といたしますと、三千百万石程度使つてつたようでございます。で、爾後終戰後に二十二年は落ちておりまして、二十三年に相当量上りまして四千万石といいう数字が出ております。それから二十四年には少し下りまして、三千三百万石、三十五年に統制が非常に大幅に撤廃されまして四千二百万石程度、爾後少し下り気味でございますが、三千六百万石という程度、昨年の成績に出ました。今年も現在までの趨勢から推しますと、大体その程度の消費ではないかと考えております。それからセメントのほうは二十六頁に簡單に書いてございますが、二十七年度の普通鋼鋼材生産見込は大体四百八十万トンという計画でございますが、いろいろ調査して参りますと……、特に減産をしない限りこの程度生産は確保できるそうであります。それに対しまして建築関係といたしまして消費いたしております鉄鋼の量は、最近構造計算等も大分変つて参りまして、資材を節約して参りました関係上、仮に百万坪程度不燃建築と言われるものができて参りましても、それに要しまする鉄鋼の量は三十万トンは出ない。二十五万トンから三十万トンの間であろうかと存じます。それに一般の鉄鋼、要するに釘とか、針金とか、或いは亜鉛鉄板といつたようなものを加えましても三十五万トン程度ではないかと考えております。それからセメントのほうは……。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 議事進行、時間もないことですからして、質問だけの御答弁で結構でございます。私はセメントのことは質問しておりません。木材のことを聞いたのです。  次に第二條の「都市枢要地蔕」というのはどういうふうな意味のように解しておりますか。
  6. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) 「枢要地帶」は言い換えれば勤労大衆がおりまするような密集した所を枢要地蔕考えております。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 たとえて申しますると東京のごときこの中央官衙のある所は、これは大して密集とも言えませんが、それは枢要地蔕に入るんですか、どうでしよう。
  8. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) 勿論枢要地蔕に入つておりますけれども都市構成上、経済上、或いは建築密度分布等から考えまして、その都市中心部とでも言うところの極めて重要な所でございますが、又それに関連いたしまして、周囲に勤労大象がおりますような極く密集した所も枢要地蔕考えております。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 密集地帯枢要地帶に入りますと、今あるかないか知りませんが、東京でも四谷の貧民窟とか、林町の貧民窟とか、相当密集した所があるが、これは枢要地帯としてやはり防火建設の用地になるのですか。
  10. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) 特に貧民窟というような所は、改良住宅方面でこれはやりたいというふうな意向を当局は持つておりますが、枢要地蔕はやはり都市中心部で、いろいろな点から考えて、経済上、或いは建築密度の多い所を枢要地蔕考えております。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の御説明によりますと、あえて人がたくさん集まつている、いわゆる貧民窟のような所は枢要地蔕ではない、こういうふうに解釈すべきでしようか。
  12. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) 只今の御質問でございますが、やはり私が先ほど申しました通り都市構成上そこが燒かれると、いろいろな面に対して支障を来たすというような所を枢要地蔕考えております。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう少しはつきりいたしたのですが、勿論今の御説明はわかりました。私の重ねてお伺いした、のは、先ほど申した通りに、貧民窟があるかないか知りませんが、仮にあるとするならば、あながちそれが枢要地蔕とは思われないのです。併し人口はたくさんそういう場所に集まつておる。それはやはり今御説明されたような枢要地帶に該当して、そこにこういう法案が適用されるわけでしようかどうでしようか。
  14. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) その一部は場合によるとかかることがあるかも知れませんが、全体いわゆる貧民窟言つていいかどうか知りませんが、そういう地区にこれは適用されない場合もあると存じます。それはほかの方法不良住宅改良というようなことによつてそれが改善されて行くのではなかろうかと思われます。併し一部は、或いは道路ぞいとか表へ出た場合だとかいうような、その部落を防火的な立場から考えて守るというふうな所には、勿論これが適用されると考えております。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう少しはつきりいたしませんと何ですが、この法案目的は、そういたしますと防火建前から余り重要な所でなくてもたくさん人の集まつている、居住しておる所は枢要地蔕としてこの法を適用させる御趣旨でしようか。
  16. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) これはやはり防火建築地帶というふうになつておりますので、大概道路ぞいが主にここに当てはまることになつておりますので、その人口密度と申しますか、建物密集した所全部はかからないと思うのでございます、現在のところ。そこでやはりその一部は適用される考えております。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 次に第二條に「地上階数三以上」とありますが、三以上に限定されたのはどういう趣旨でしようか。
  18. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) 地上三階ということに限定されましたのは、大体が火を守るというような考え方と、それから土地を有利に利用をする、こういう考え方から地主二階に限定されておりますが、四階以上はやはり四階を建てる人はその上になおその土地を有効に使うというふうな考え方、並びにそうした方面には助成の必要がないというふうになつて、火を守るというふうなところから三階程度ならば目的が達し得られるのじやないかという考え方で、三階に限定したわけであります。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 三階以上の建物なら、火を守るというお考えはよくわかりました。それで今までの火災の例と申しますかいろいろな研究もありましようが、三階以上ならば火を守ることになつているのですかどうでしようか、これは各地方の例で……。
  20. 村井進

    説明員村井進君) 非常に技術的な問題でございますから私からお答え申上げます。この火災の問題につきましては非常にむずかしい問題がたくさんございますのですが、これにつきましては建設省建築研究所藤田所長研究を進めておられます。最近論文を発表されましたが、それによりますと大体三階というものでございますと相当の大火事でも有効である。三階と申しますと大体十一メーター以上でございます。十一メーターぐらいでございますと輻射熱遮断に非常に有効である。三階以下でありますと輻射熱遮断が非常に困難である。こういう学問的な点に一応基礎を置きまして作られたものであります。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 第三條の「耐火構造」、この耐火構造に対して非常に疑問を持つものであります。今説明員から学問上のことで、高さのことをおつしやいましたが、今まで学問上から耐火構造言つていながら、実際そういう立派な耐火構造が燒けた例がたくさんございました。耐火構造というのはどういうふうな意味をここでは言うのでしよう、それをはつきりしたい。
  22. 村井進

    説明員村井進君) お答え申上げます。この「主要構造部耐火構造である」と申しますのは柱、梁、外壁、屋根、床、階段というものが耐火構造であるというのでございまして、赤木先生から御指摘になりました今まで耐火構造のものであつても燒けた例があるというお話でありますが、この燒けましたものの例を見ますと、大体窓から火が入りまして内部可燃性物を燒いているという状況でございまして、この火事のために主要構造部が参つてしまつたという例は殆んどないと考えております。結局窓をどうして防火するかという問題でございますが、これにつきましては市街地建築物法規定によりましては一応不十分であつたのでありますが、今回の建築基準法規定につきましては、隣地境界線に接しました窓につきましては網入りガラスを入れる或いはシヤツターをつけるというような規定を置きまして、窓の防火につきましても考えておきましたので、その点も併せて耐火構造ということになつておりますが、今後この規定によりましてできましたものは、前のようなものに比べまして火に対する対抗力相当つているというふうに考えております。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 今窓のことが出ましたが、窓にはシヤツターをつける。非常に熱のある場合にはそのシヤツターがすでに溶けてしまつて、実際問題動かない。これは多く見られる。それでもシヤツターがあればその窓のほうは安全というお考えなんですか。
  24. 村井進

    説明員村井進君) お答えいたします。只今の御指摘になりましたのは建築上のいろいろな欠点を誠に的確に御指摘になりましたので恐縮なんでございますが、シヤツターが動かなかつたという例はお話通りときどき見ております。この例はシヤツター取付枠が非常に悪い、従いましてそれが曲つてしまつたという場合でありまして、普通のこの場合一般に使つておりますシヤツター手動式シヤツターでなくて、自動式シヤツターをつけまして一定の温度に上りますと自然に下つて参るようになつております。従つてそういうようなシヤツターでありますならば、この点は防護できるのじやないか。シヤツター自動式シヤツターもございますが、私ども考えております比較的小さな建築物には、むしろ窓の、要するに扉式防火扉のほうがむしろいいんじやないかというふうにも考えておりまして、それも当然建築基準法ではそれが防火扉として考えられております。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 ガラス窓の、殊にその中に綱を入れると、そうすればいいというふうなお考えでありますが、私はこの前の戦争中の耐火に、やはりガラスの中に網が入つたそのものが飴のように溶けた例を見ているのです。それでもあなたは安全とお考えなんですか。
  26. 村井進

    説明員村井進君) 網入りガラスが溶けますのは、これは温度で申しますと八百度以上になりますと垂れ下つて参ります。ただまあ普通の火災でございまして時間もそう長くないという場合には、網入りガラスはそれほど危險ではないと思うのでありますが、ただ網入りガラスが全部完全になくなつしまつたというような火災の例はまあ余り見ておりませんで、幾分か穴が開きまして、或いは垂れ下りましてそこに間隔が出ておりますが、併しそれは結果でございまして、火災の最も危いときにそういうようなふうにすべての場合になるのじやなく、まあ非常に悪い條件が重りますとさようなことになるのじやないか。従いまして網入りガラスの窓が完全に火を防護できるものであるというふうには私ども考えておりませんが、併しながら普通の場合には相当火災延燒を中に引込まずに相当の時間防護をしてくれるものだというふうに考えております。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の説明員の話では、この防火建築建物は、耐火構造物相当シヤツターにしても、或いはガラスにしても、今までよりよい念の入つたもののように思います。そういたしますと、相当單価がかかると私は思いますが、いつか承わつたときには、この耐火構造物についても非常に單価が安かつた一体單価は幾らぐらいかかるのです。
  28. 村井進

    説明員村井進君) お答え申上げます。私どもといたしましては耐火構造をできるだけ安く作つて参る。で、できるだけ火のほうに対しましても十分耐えられるような構造にして参りたい。で、今申上げましたように窓を大きくいたしますことは、結局火に対しまして力をなくしますので、無用の窓はできるだけ開けさせたくない。かように止むを得ない窓だけで限定いたしまして耐火構造をいたしますと、大規模な建築物におきましては、相当の金がかかりますが、普通の商店建築のごときもので三階建程度のものでございますれば簡易耐火構造でやつて行つて十分でございますので、それでございますれば、私どもが一応計上いたしました五万五千円という單価は実際としてでき得る單価であろうと考えております。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは御参考のために承わりたいのですが、今まで耐火構造物というものが随分官庁方面からも宣伝されました、或いは木材にしてもこういうふうの薬を注入すれば耐火にいいんだ、それで宣伝されまして、それによつて随分建つた家もあります。併しそれが皆燒けてしまつた、こういうのがたくさんあります。そういう場合に今まで官庁でそういうことを宣伝したことは何か責任でもとつているのでしようかどうしているのでしようか。
  30. 村井進

    説明員村井進君) そういう場合に役人が完全に責任をとつておるかという問題でございますが、今までただその中で申上げなければならないのは、要するに開口部から火が入りまして、内部は燒けた、併しながら主要構造部は全部やられたという場合は余りないのでございますので、その分につきましては法規上から考えましても、或いは設計者側から考えましても、中は燒けても主要構造部は燒けていないという意味では耐火構造であるという役目は十分果しておると思います。ただ耐火木材を使わした、或いは防火構造にみなして行く、こういうことにつきましては何分にも火に関するいろいろな学問、或いは木材なら木材に対する注入材の問題とか何とかいつたような問題が採用されましたのは戦争中でございますし、比較的未完成な学問をそのまますぐに実施に移してしまつたという恰好でございまして、やらせましたものといたしましても学問上本当の確信があつて強制したというよりは、これだけやつたほうがよりよかつたのではないかというようなことでやつていたのではないかと考えておるのであります。併し戰災によりまする火災の問題は、これは火元が極めて無数でございまして、そのためにいわゆる防火構造と申しますのは自分の家は燒けるのは止むを得ないという建前なつております。この点が耐火構造と違つておるわけでありますが、そういつた点で非常に折角やつたにもかかわらず効果がなかつた、薄かつたというようなものがたくさんあつたことは誠に恐縮でありますが、これは又行政上の問題等もございますが、一面には学問的な問題もこれについていなかつたというようなことでございます。こういうことを申上げますことは御質問の、御指摘の御質問に対する回答にならんかと思いますが、そういつたようなことではつきり誰がどういう責任を持つかという問題につきましては、おのおのその人が行政官として、或いは技術屋として考えて行くべき性質のものじやないと、かように考えておるのであります。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 次に防火地域というものがありますが、私はこれに対しては都市関係……。都市計画をなさる場合に随分終戰後大分大きな道幅を作つております。これは道幅をこれほどするならば火事がないのだ、そういうことを聞かされて、我々も大きな道幅を承認したものでありますが、この都市計画をなさる場合に或いは道幅というものはどういうふうな観点でおきめになつて行つたんでしようか、もう一遍改めて御説明を承わりたい。
  32. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 都市計画をやります際の街路の幅でございますが、これは第一には交通、第二番目には防火見地からそれぞれ適当と思われます幅員を定めて参ります
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 防火見地から適当、交通は別といたしまして、防火見地からどれほどの道幅をとつておけば安全という観点でやつておられますか。その実例をお話願いたい。
  34. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 随分前の実験でございますが、戦争中だつたかと思いますが、その際の実験によりますと、無風状態において、延燒を防ぐためには無風状態において約三十六メートルの間隔が要るというような実験の結果が出ておるのであります。それに基きましていろいろ考えてやつております。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 重ねてこの防火観点から、街路幅をおきめになつた場合に、やはりこの防火観点から実際の道幅をおきめになつておると私は考えています。私の考え間違つていますか。もう一遍はつきり今までは都市計画観点から街路幅をきめるときに交通防火と、この防火観点からきめてあるのだというものならば、私はこの法案に対して非常に矛盾する点があると思うのです。その点をはつきり承わりたい。
  36. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 只今申上げました通り防火と、それから交通量と両方の要素を考えて幅をきめておるわけでございますが、都市計画上の防火見地からいたしますと、主要の道路というものにつきましては、できるならば三十六メートル以上欲しいわけでございますが、都市の発展上並びに土地経済的な観点からいたしましても、必ずしもすべて三十六メートル以上の道路をつけるということは、実際問題として不可能でありますので、土地状況に応じまして、これを三十メートルに下げますとか、或いは二十数メートルに下げますとかいたしまして、ただその際には何とかしてここに防火建築を、幅員関係では十分取れなかつたから、一つこいつ建物のほうで防火役目を果すような方法をとつて行きたい。こういう考えからいたしまして三十六メートル以下に下げた例もたくさんあると思うのです。
  37. 赤木正雄

    赤木正雄君 道幅をきめるのに、防火観点からして道幅の狭いものに対しては防火建築作つて防火に備えるのだと、こういうような御意見に承わりますが、この法案が出たから初めてそういうことはおつしやるのですか。今までも実際この法案が出ない前もそういう観点から道路幅をおきめになつていたのですか。
  38. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 私は前任者からさように承わつて引継いでおりますけれども、なお十分よく研究してみたいと思つております。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 その観点がこの法案の審議の上に非常に大事なんです。若しも道路幅というものが、ただ実際防火建築をやるのだと、そういう観点からしてあつたのか、或いはそうでなしに、防火建築をしなくてもそれで間に合うのだという観点から道路幅をおきめになつたのか。仮にそういう観点から道路幅をきめていたのなら、交通ということを考えないという点から言うならば、非常にこれは矛盾するのです。そういう点をもう少しはつきり承わりたい。
  40. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 先ほど申上げました通り無風状態においてすら三十六メートル欲しいのだというような考えがありますのにもかかわりませず、実際問題としては、二十メートル、二十二メートルとかそういう狭い幅員道路を作つております関係上、どうしてもそれだけでは防火という役目は果せないと言わざるを得ません。実際問題といたしまして、都市には主要街路で三十六メートル以内の狭いものがたくさんあるわけでありますから、こういう防火帶を作つて頂きますことは、大変都市計画上からも有難い、かように考えております。
  41. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 赤木君、説明員として都市建設課長高谷高一君が来ておりますから、そのかたからお答え願つたら如何ですか。
  42. 赤木正雄

    赤木正雄君 どなたでも結構です。
  43. 高谷高一

    説明員高谷高一君) 只今道路幅員をこの法律で立てる前に、防火地区というようなものを考え道路幅をきめたかどうかというような御質問のようでございますが、都市計画法並びに前の建築物法等によりまして、街路幅員考え都市計画的に考えてきめておつたのですが、その前の建築基準法、或いはその前の建築物法にも甲種防火地区というのが、これは完全な不燃建築物を建てるというその地区を指定する規定があります。それによりまして、先ほど局長からもお話がありましたように、私らとしては、最小限防火帶としては三十六メートル以上の道路を一応欲しいのでございますが、それを止むを得ず縮小するというような場合には、その両側防火地区として指定しようというような考えの下に、これを二十八メートル、或いは二十五メートルというような幅員に狭めたのでございます。それは、二十五メートル、或いは二十二メートルという幅員を縮小しました場合においては、勿論それはこの交通量の問題を主に考えまして、そうして、防火帶としては両側防火地区を指定するという考えの下にやつて来ております。
  44. 赤木正雄

    赤木正雄君 戦争中に、随分防火地帶を作るという意味で家を取壊しました。あのときには一体無論こういうふうな防火建築物はなかつたのですが、併し相当の幅があるならば火を防ぎ得るのだ、そういう意味で、多くの人が家を取壊されたのであります。そのときの道幅の観念は今のお話とはどういうふうになつておりますか。
  45. 高谷高一

    説明員高谷高一君) 戦争中に疎開をやりました当時には、大体五十メートル乃至百メートルぐらいを防火帶として、その幅員の中にある建物を潰そうということで、御承知のように上野から浅草方面に拔ける所とか、或いは深川本所方面へあすこの川を考え錦糸堀附近疎開をいたしました。ところが最近のそれから後の戰災復興事業を始めまして、いろいろ街路の設定をして行く場合に、疎開跡地のような所は成るべくそのまま残そう、例えば京都のように、燒けなかつた所は、疎開跡地堀河通りの五十メートルというような所をそのまま今日道路として防火帶として役立たさせるように整備を急いでおります。それから戰災復興計画の場合には、今度家が全部燒けてしまいましたので、別個の立場から、交通系統というようなものを主に考えまして、街路幅員、或いは街路系統を設定して行つたわけでございます。
  46. 赤木正雄

    赤木正雄君 今京都の例が出ましたが、京都はもうこういうふうに耐火構造にするならば、あの疎開地の五十メートルですか、これはもつと狭くしてもいいわけですね。
  47. 高谷高一

    説明員高谷高一君) 防火帶としては両側に今の不燃建築物が全部建並べばよろしうございますが、京都は不幸にして燒けなかつたために、在来の家で相当混んでできております。そのために、防火地区にして五十メートルとすれば、大概防火の役をなすだろうという考の下に、両側防火地区に指定しておりません。
  48. 赤木正雄

    赤木正雄君 第四條の「防火地域の全部又は一部について、防火建築帶を指定する」云々とありますが、この観点は、つまり者市計画のほうと、それからこの建築のほうと十分協議してこういうことはされるのですか、今後は。
  49. 村井進

    説明員村井進君) 私から御説明申上げます。勿論この防火建築帶の指定をいたします場合には、都市計画できめられました防火地域の中できめるのでございます。又実際にこの防火帶を決定いたします場合には、建設省内部のことでございますのでここには書いてございませんが、当然都市局と私どものほうと協議いたしました上で意見の一致したものできめるようにいたすわけであります。
  50. 赤木正雄

    赤木正雄君 こういう法案ができますと、今まで都市計画として指定された道幅、それに対してもつと狹くしてもいい、そういうふうなものはどうか。ないですか、どうですか。
  51. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 具体的の細かい点まではまだ検討いたしておりませんけれども、概括的に申上げまして、従来の道幅を急にこの法律ができたために、狹めようというようなことは目下のところまだ考えておりません。
  52. 赤木正雄

    赤木正雄君 土地の所有者とか或いは住家の所有者から言いますと、それが非常に大きな問題なんです。後になつて政府は考えて或いはもつと道幅は狹くていいとか、或いはもつと広くしなければならんとか、そうして折角建てた家を取壞す、そういうことになると非常に迷惑千万なことで、やはりこういうようなふうに法案ができるならば、只今あるものでこれはこれほどに改めていいということをはつきりお示しなさるのが一般国民に対する務めだと思いますが、そのお考えはどうなんですか。
  53. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 道幅が十分ありまして、こういう防火建築帶を作らなくても間に合うような所には恐らくこの防火帶としての指定は下りないのであろうと思います。又道幅が狹いためにこのままでは非常に火災上危險であるという所に恐らく防火帶は指定されるものと、かように考えておりますので、この法律ができましたために従来の都市計画は、今にわかに変えなきやならん、かようには考えておらないのであります。
  54. 赤木正雄

    赤木正雄君 第七條の「標準建築費の差額の四分の一」とありますが、四分の一にしたわけはどうなんですか。
  55. 村井進

    説明員村井進君) 予算の関係でございますので私のほうから説明いたします。差額の四分の一にいたしましたのは、昨日資料によつて申上げましたように、差額が補助の基本額と考えられるべきである。要するに木造の建築を作ります場合にはかかるのは当然でありますから、耐火建築物との差額の費用が補助の基本額と考えられる。そういたしまして建築いたしまする本人の利益もございますし、交防火帶ができ上つて参るということによりまする公共の利益もあるわけでございますので、その受益の範囲を一応折半というふうに考えた次第でございます。それで折半にいたしますと、差額の半分というものが補助すべき額になるというふうに考えておるわけでございます。従いまして地方公共団体からはできるだけ財政の許す限り半分までは補助をしてやりたい。さようにいたしまして国と地方公共団体とがその補助金をまだ折半するということに考えておつた次第でございます。従いまして四分の一と申しますのは国の出し分を言つておるのでございまして、この四分の一に更に四分の一を地方公共団体に加えまして、そうして二分の一までやれるようにしたいというふうに考えたものでございます。
  56. 赤木正雄

    赤木正雄君 第十二條の「建築物の賃借権者の総数のそれぞれ三分の二以上の申出」とありますが、この三分の二ときめられたのはどういうわけですか。
  57. 村井進

    説明員村井進君) それぞれ三分の二の数字を出しました根拠でございますが、三分の二の数は土地改良法の土地整理をいたします場合の組合結成の要件でございますのが三分の二ということになつております。又都市区画整理を行います場合にも三分の二ということになつておりますので、これはまあ性格は違うのでございますが、要するに或る一つの仕事をして参りますときに、それの大体当事者の三分の二くらいの同意がございますとまあ多数の同意というふうに認められますような、法律上の解釈と申しますか、そういつたようなやり方がございますが、それを例にいたしまして、この三分の二という数字を出したわけでございます。
  58. 赤木正雄

    赤木正雄君 この法案は結局防火に寄與するのでありますが、仮に一つの道がありまして、その両面に沿うて大きな邸宅がある、その邸宅の左右に小さい家がたくさん並んでいる、こういう場合に邸宅としては一戸でありますが、多数のたくさんの家があつた場合にその三分の二のこの数に該当して一人の土地所有者のその邸宅もこれに該当するということはありますか。
  59. 村井進

    説明員村井進君) 結局そこにそういうものがございました場合に、そこに耐火建築を作る必要がどうしてもあるかないか、こういう問題が一番先の問題であろうかと思います。そういつたような場合におきまして、その廻りの小さな土地を持つている人たちだけで三分の二という要件を満たし、なお大きな、非常に広大な土地を持つている人の土地も一緒に含めてやりたいというお申出が、これは法律に基きますと申出のほうはできるのでありますが、そのためにその要件といたしましては、地方公共団体の長がその土地を含めて耐火建築を作らなければ他に作るものがないというふうな認定ができますし、又地方公共団体がみずからやります場合には予算を通じまして、予算を計上しなければならんので、予算を通じましてそれが適当であるかどうか、妥当であるかというようなことから、又その点につきまして運用上は最初のことでございますので、これは都市計画審議会にかけて意見を聞きまして、或いは最終的には建設大臣におきましてその適否を見るというようなことをいたしまして、何分にも最初の運用でございますので、注意をいたしておりますが、只今赤木先生の御指摘のような場合非常に廻りに小さい家があつて、その数だけで行くというような点は、法律上はさようになつておりますが、実際の運用といたしましては、まあ前にも後にもいろいろの條件考えておりますので、非常に甚だしい不適当な運用は起らないものと考えております。
  60. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はこの法案で一番問題のあるのは私が質問しているような問題が一番問題になつておると思うんです。目的防火なんでありますから、仮に大きな庭があるとか、そういう関係で、又その家が平家ではあつても少しもそれがほかに害をしないというふうな場合には何ら私は三分の二の周囲の人の申出があつてもそういうところは根本方針として防火に適うんですからして何も彼これしないほうがいい、こういう考えを持つています。これは鈴木さん、あなたの御意見どうですか。
  61. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) それはその通りです。徒らに他人の権利を侵していやがる者を無理矢理に引つ張るというふうなことはこれは法律の精神でないと思います。これは防火が自的なんですから、先生の言われる通り、私どももこれは議論の焦点になつたところなんです。御意見全くこの点その通りです。
  62. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の考え鈴木提案者の考えもこれには合致しますが、私は問題になるのはその点だと思うんです。この法案の一番大きな問題はこの運用の如何にかかるが、業者が結託いたしましさ、その周囲の人たちと一緒になりましてあの土地までもというような悪辣な考えもでき得るのです。そうするとこの法の運用の最も悪い場合としてどうでもこれは悪用できます。これは特に何とか或いは法の一部を改正するとかしてもこれは私はこの法律の今後の大きな欠陥ともなり長所ともなると思う。これは特に何かもう少し突つ込んだ考えはございませんですか。
  63. 鈴木仙八

    衆議院議員鈴木仙八君) 最初のと大分変つてそれで三分の二以上というふうなものも入つて来て、それで最初のよりもよほど変つております。
  64. 師岡健四郎

    政府委員師岡健四郎君) 私からちよつと申上げます。十二條の「緊急に防火建築帶を造成する必要があると認める場合において、」こういう措置がとられるわけなんでありまするが、只今お話のありましたような場合におきましては、起業者のこの建築計画を設定して、作ります場合に十分に注意して運用して行きますれば、御心配の、御指摘になりましたような点は十分に避け得ると考えておりますので、この法の運用において、今後十分な注意を拂つて行きたいと考えております。
  65. 赤木正雄

    赤木正雄君 十分に注意とおつしやるが、私は公務員の注意は信用実はできないのです。それで法案の修正の必要はないかと思うのですが、田中先生がお急ぎですからどうぞあなたの……。
  66. 田中一

    ○田中一君 大蔵省のほうに伺いたいのですが、過年度においてもこの防火建築促進法は議員提案としてこの法案が予算を含む法律案でありますので、無論大蔵省のほうに稟議があつたものと考えますが、その際にあなたのほうで取上げられずに今日まで待つてつたこの一年間或いは二年間の間に、我が国においてどのくらいの大火があつたか、又そのためにどのくらいの大きな国の損害があつたかということを考えますときに、なぜ過年度においてこの耐火建築促進法が予算的な措置を、裏付を持つて成立しなかつたかということについて非常に疑問を持つておるのです。一体或いは占領軍がこれを阻止したのか、或いは大蔵大臣がこれを阻止したのかどういう経緯で今日まで大きな災害が年々あるにかかわらず今日まで荏苒日を送つたということの経過を第一に御報告願いたいと思うのです。
  67. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 防火建築の促進についての只今過去においてどうだつたかというお話でありますが、過去のことについていろいろな経緯をこの際いろいろ申上げるのは差控えたほうがいいのではないかと思いまするので、これは御容赦願いたいと思うのであります。この法律の趣旨については十分我々の財政当局としても尊重いたしまして、今後財政面でできるだけのことはいたして参りたい、こう考えております。
  68. 田中一

    ○田中一君 この法案は第六條に規定しております通り、地方公共団体がみずから事業を行うことができるようになつておるんです。その際地方公共団体におけるところの費用の分担が重くなるのではないかという点を考えるわけです。その際大蔵省は融資その他の方法において大体骨を折ろうという御発言が今ありましたが、どのように考えておられるか。本年度は二億円の少い金でございますが、もう一度具体的にどういうふうに考えておるか、御晩明を願いたいと思います。
  69. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在の預金部からの起債の枠というものは六百五十億ということになつておりますが、この法律の地方団体の分は大体一般財源で行けるのではないかと思いますが、そういつても特にそれでは行けないといつたものについては起債の中で処理すべきものだと思つております。今この分として幾らというふうに特に予定して別枠にして行くということは現在のところないのであります。
  70. 田中一

    ○田中一君 学校、或いは官庁営繕、病院その他国が予算を支出してやる建築物に対しこれを防火帶設定と同じような考え方を持ちまして、耐火構造にする予算措置を今各部局から出た場合には無論これに対して共鳴願つてそうした措置をおとり下さることと信じておりますが、その点如何ですか。
  71. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在都市におきましては特別の地蔕におきましては耐火構造物で以て作り、でなければ建築は許されないような建前にたしかなつておると思います。従いまして官庁営繕につきましてはそういつた法律の建前を尊重しまして、そういう地区には原則として耐火建造物をいたしております。又学校につきましても、現在の六・三制の関係でやつておるものにつきまして、都会地におきましては原則としてそういつた地蔕におきましては耐火構造物でやるという建前で予算の積算をし配分をしておるわけであります。
  72. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  73. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十九分散会