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1952-06-03 第13回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月三日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員の異動 三月十九日決算委員長において郡祐一 君を委員に指名した。 三月二十日委員山田佐一君辞任した。 四月十七日決算委員長において山田佐 一君を委員に指名した。 四月二十一日委員小酒井義男君辞任し た。 四月二十三日決算委員長において小酒 井義男君を委員に指名した。 同日委員山田佐一君辞任した。 四月二十五日委員溝淵春次君辞任し た。 四月二十八日委員小酒井義男君辞任し た。 五月七日決算委員長において溝淵春次 君、山田佐一君及び小酒井義男君を委 員に指名した。 五月二十八日委員山田佐一君辞任し た。 六月二日委員溝淵春次君辞任した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     飯島連次郎君    委員            郡  祐一君            長谷山行毅君            伊藤 保平君            森 八三一君            小酒井義男君            カニエ邦彦君            菊田 七平君   政府委員    厚生省兒童局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   説明員    厚生省兒童局養    護課長     竹下 精紀君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   参考人    関東財務局長  井上 義海君    東京国税局長  渡辺喜久造君    東京民生局長 畑 市次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度決算会計検査院検査  報告第三三三号聖十字学園に対する  国有財産売渡に関する件   —————————————
  2. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 只今より決算審査に関する小委員会を開会いたします。本日は昭和二十四年度決算会計検査院検査報告批難事項第三百三十三号聖十字学園に対する国有財産売渡に関する件を議題に供します。参考人として関東財務局長井上義海君、東京国税局長渡辺喜久造君及び東京民生局長畑市次郎君、政府委員として厚生省児童局長高田正巳君、説明員として会計検査院検査第三局長小峰保栄君の五名のかたに出席を求めて、これより前回に引続き質疑を行います。御質疑のあるかたは御発言を願います。
  3. 小酒井義男

    小酒井義男君 関東財務局長井上さんにお尋ねをしますが、前回に一応御答弁にもあつたように記憶をしておるわけでありますが、聖十字学園のその後の売買契約解除についての経過一つお尋ねいたしたい。
  4. 井上義海

    参考人井上義海君) 四月の十五日付を以ちまして聖十字学園と締結いたしました売買契約解除通知をいたしました。それから同じ四月の二十二日付を以ちまして売却いたしました土地について第一次抵当、第三次抵当権が設定されておりまするので、その抵当権の消滅について通知いたしました。更に翌二十三日に売却いたしました不動産は、聖十字学園登記済みでございまするので、万一これが更に転売されるようなことがあつては困りまするので、所有権移転の仮登記手続を民事局に提起いたしました。これの仮登記は五月の二十一日に設定されております。然るところ五月の二日聖十字学園のほうから、契約解除通知に対しまして財務局のほうで再考して欲しいという陳情書が出されております。これに対しまして更に五月十九日付を以ちまして契約解除を再考することは非常に困難でありまするから、契約解除後の措置につきましてできるだけ話合いで円満に解決して行きたいと思いまして、来局を求めて、五月三十日に園長さん並びに理事長さんが来局されまして、第一次の話合いをいたしたのであります。大体従来までの経過は以上申上げましたようなことでございます。
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますとこのたびの解除は、全面的に解除をする措置をとられたということであろうと思うのですが、第一回の話合いをお進めになつて、引続いて話を進められると思うのですが、大体どういうような方針でこれを処理せられるつもりでありますかどうか、今お考えなつておることがあつたら……。
  6. 井上義海

    参考人井上義海君) 契約は全面的に解除いたしたのであります。従いまして一応債権債務関係といたしましては、代金といたしまして四百十五万円を徴收しておりますので、これは相手方に対して返還をする。それから上野信用金庫等に転売されておりまする土地建物でありまするが、これはすでに信用金庫のほうに登記済みでありまするので、金庫自体について直接再考できませんので、損害賠償金銭賠償をいたすわけであります。そういう賠償金、更には太陽家簡易宿泊所食堂等について相当用役費或いは補償費と申しますか、そういうものもあるのであります。そういうものの清算、それから先ほど申しましたように土地について第一、第二の抵当権を設定されておりますから、そういうものの所有権、いろんな問題がありますので、できればそういうものが円満に進捗いたしまするようにと思いまして話合いをいたしたわけであります。第一回の話合いにおきましては園長さん、理事長さんも非常に好意的であつたようでありまして、併し聖十字学園自体といたしましては、今それだけの資金は到底自分のところではない模様でありまするので、適当なものがここに出まして相当これらの債務を完済いたしますのには金が要るのでありまするが、そのときに一つの話といたしましては、或る大学がこの土地買つて、売つたらという話もあるのです。そういうことがありますれば、そういうような関係において解決するのじやないかと思います。併し果してその大学がそこに出て来るかどうかということもまだしかく具体的にはきまつておりません。将来そういう話合いも進められて行くもののようでありまして、そういうことが具体的に話が進行して参りますれはだんだんと話合いでこの問題も解決されて行くのではないかと思います。それがどうしても駄目だということになりますと、結局聖十字学園のほうといたしましては抗争して行く、争つて行くというようなお考えのようであります。併し私どもといたしましては、複雑な債権債務関係は残りましたけれども、できるだけ円満にこれが解決される。大蔵省といたしましても歳入確保の面から適当にこれが処理されることを最も好ましく考えております。そういう線で今話合いを進めておる次第であります。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、これの処理については聖十字学園も仲に入れて話合いを進めて行かれるということになるわけですか。取消しをして財務局と新しい買受人との間で話合いを進められて行くのか、どういうことになるのですか。
  8. 井上義海

    参考人井上義海君) 取あえずの処置といたしましては、聖十字学園自体としてはそういう資力がないのであります。どうせこれを円満に解決するといたしますれば、資金力のある第三者が出て来ると思います。今では先ほど申しましたような或る学校ということになつております。そういうことであれば、学校であれば非常に好ましいと思つております。そういうような関係において将来は三角関係において解決されて行くのではないか、そうなることはこちらも非常に希望しておる次第であります。できるだけ急いで、訴訟沙汰にならないように解決したい、こう考えております。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから抵当にして、どのくらいの債務を持つておるかということと、そして新しい買受人にこれを現在売拂つた場合に、債務と新しく売拂つて取入れる金額はどういうようなことに大体なりそうかということについておわかりになつておつたら……。
  10. 井上義海

    参考人井上義海君) 抵当権は第一抵当といたしまして日本通運が初め五百九十九万円の設定をされておりましたが、上野信用金庫に転売されましたときの代り金の一部をそちらに充てまして百七十万円を充当返済されておりまするので、差引四百二十九万円、日本通運の第一次抵当権がございます。第二次抵当といたしまして原広市、小倉光次、両氏の名前において五百万円の抵当権がございます。これは契約解除いたしました現在といたしましては、財務局といたしましては、こういう抵当権は当然消滅して、返して頂きたいという、聖十字学園に対しては請求をするわけであります。従いまして理論的に申しますと、私のほうで返すものは返します。代り金をとつておりますから返します。それから聖十字学園からは今のような転売した土地に対する損害賠償と、それから一次、二次の抵当権を消滅されました土地を返還して頂く、その後におきまして第三者に更地をして処分する、こういうことになるわけであります。ただ先ほども申しましたような簡易食堂簡易宿泊所なり太陽の家というものは委託経営者受諾者相当な金をこれに注ぎ込んでおるので、そういう補償費というような問題は予算面でどうこうということはむずかしいので、第三者売拂いますときにそういうことも勘案しながら行くということになろうかと思うのであります。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 これを解除して新しく売拂つた場合には、現在のあの地方の土地価格等から換算した場合にどのくらいの金額で売ることができるかというようなことについてはまだお調べになつたことはありませんでしようか。
  12. 井上義海

    参考人井上義海君) その点はまだ実際には評価に当つておりません。併しその時よりも時価は相当つておりまするので、その当時の売抑価格よりも相当高い値段になろうかと思うのでありますが、ただ只今申しましたようになかなか複雑な問題がありまして、二十二年当時更でこれを売るような状態とは相当つてきております。そういういろんな要素は相当勘案しながら処分して行かなければならぬのじやないかと思つております。地価そのものは現在においては相当つております。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから前回一部契約解除なつた当時、つまり二十六年の二月頃でしたらですね、いろいろなそういう複雑な問題が進行しておらなかつたんじやないかと思います。そのときもう少し愼重に調査をせられておれば、この問題の解決がもう少し早く行つたんじやないかというふうに我々思うわけなんですが、その取扱について十分であつたかどうかという点については財務局としてはどうお考えなつておりますか。
  14. 井上義海

    参考人井上義海君) その点ではこれはもう結果論的に申しますると、誠に申訳がなかつたわけでありましてその当時全面的解除をしておれば現在よりもたやすい状態において処分ができたと思います。ただこの聖十字学園社会事業そのものが初めから当初設立の趣旨に反した事業であるということが明瞭にわかつておりましたならば、更改契約をいたしまするときに断固全面的解除をやつたと思うのでありますけれども大蔵省としては直接その事業自体についての監督官庁の立場にはないのであります。又簡易宿泊所その他のそういつた事業社会事業そのものではないにいたしましても、それにどう申しまするか、併置して併存してやり得る事業であるというような解釈も成立つてつたようでありまするし、又これについて監督官庁のほうから、事業自体監督官庁のほうから特別のそういつた條件とか指示とかいうこともなかつたのであります。契約官庁としての大蔵省のほうで事業のさような認定をして全面解除をすることが如何なるものであるかということを考慮いたしましたが、もう一つは道路に面しました三十八軒でございましたか、店舗に転売されております。その他二、三転売されておりまするが、それらと今度は大蔵省財務局と直接契約をしたわけであります。それらの店舗聖十字学園のほうにも金を拂つております。大蔵省はそういうものは認めませんので、直接契約したものでございまするから、三十八軒の店舗、その他の転売を受けた者から申しますと、二重の支拂をしておるわけで、大蔵省はどこまでも直接契約として代金支拂を督促いたしまするので、結局聖十字学園のほうはそれを又三十八軒の店舗その他に返してやらなければならない。そういう返してやることがここで全面解除をすると非常に困難になつて来るのじやないかというようなこと等を考えまして私どものほうとしては全面解除するほうがむしろ手続としては非常に簡單なので、今申しましたような三十八軒その他と直接契約をするにつきましては、担当の係りといたしましては非常な苦労をいたしました。それが最もそのときといたしましては穏当の措置であろうという解釈でやつたのであります。併しまあ結果論的に申しますと、今おつしやいましたように、これは何と申しましても申訳がないわけであります。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 社会事業団体であるかどうかということについては厚生省のほうでおやりになつておるのですが、それの実際に国有財産拂下げとか貸付というようなことをする場合には、やはり相手方資力支拂能力というようなことについては一応調査をされた上でおやりになるべき性質のものだと思うのです。そういう点については財務局としてはどういうような方法で調査をおやりになつておるのかどうか。
  16. 井上義海

    参考人井上義海君) その点はまあできるだけこの支拂能力という点につきまして、歳入官庁としての大蔵省のほうでございますので、できるだけ慎重な調査をしたいのであります。何分にもこの東京都内のこの厖大な各種の財産一つの課でやつておりまして、厖大な件数の処理をいたしまするのになかなか徹底した調査は実のところはしにくかつたのであります。本件につきましては、これは前回のときにもいろいろ批難があつたのは御尤もだと思つたのであります。一応責任者園長なり理事長責任者が見えまして、直接責任者からいろいろな話を聞き、又書面提出も求めまして書面の上ではたびたび補足的な書類を出して頂きまして審査をしたのであります。それ以上突込んだ調査はしなかつたのであります。それからこの国有財産を、殊に終戦後陸海軍厖大財産を引継ぎまして、終戰後処理いたしております時期的段階から見ますと、二十二、三、四年の初め頃、この朝鮮動乱の起る前までは厖大財産を引継いではおりまするが、これを処理するにつきまして、むしろ売るのに非常に苦労をしたのであります。今は逆に買手が多くて、競願があつて処分に因るという、その困り方が全く逆になつておる。従つて現在では最近の処分につきましては代金確保徴收ということについてさほどそのほうでは苦労いたさない。併し朝鮮動乱の起る前まで頃の状態というものは、その財産を引継いで採算の取れる事業というものはなかなかない。経済も疲弊しておりましたし混乱しております。それで何しろ一つ代金確保をやらなければならぬ、予算にも雑収入で相当見込まれております。その範囲のものを確保しなければならぬということで、代金確保と徴収ということには非常に苦労……、今で考えまするとむしろ考え過ぎるくらい苦労しておつたのであります。本件につきましてもその点で十分調査はできなかつたのでありまするが、一般的に申しますると、どうも完全に支沸能力があつて、問題ないというような拂下げというものは実際問題としては少なかつたのであります。本件につきまして本殊にこの社会事業でありまするので、なかなか十分な資金を以て買うというのはほかの社会事業団体でも余り少いので、非常に苦労されて寄附なんか集められて補助金なんかでやつておられるのが非常に多いかと思うのです。本件などいろいろいきさつがあつたので、一応まあそういうことがありまして、信用もし、又責任者からも直接聞き、又書類面では相当整理した書類を出して頂いてそれで契約をした、こういうふうなことになつております。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 無論こうした取扱については部下を監督して行く上においての局長としての何があると思うのですが、この問題について直接扱つた人は、今この問題についての責任をどういうようなふうに追求せられておりまするか。
  18. 井上義海

    参考人井上義海君) これは二十四年の三月、二十三年の終り頃から二十四年の初め頃の事件でありまして、その当時直接担当しておりました者は現在おりません。私もそのときは直接責任の地位にもなかつたので、まあこういう事件がありましたので、今後の売拂いについては十分に、只今御指摘の点は、更に資力資金関係調査いたしまして、こういう問題の再現いたしませんように十分努力をする覚悟ではおります。
  19. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは次に東京国税局長さんにお尋ねしますが、私どもも現地を調査に参り、そうしてあの中には浴場とか母子寮という名目アパートもあります。そして一部はタイプライターか何かの工場に使つておる部分を見受けて来たわけでありますが、あれが社会事業であるという名目でやつておりますが、実際はアパートに居住しておる人たちも、決して社会事業でない、営利事業であるということを私どもに言つておるわけであります。あれについて従来課税をしておらないようなふうに聞いて来たわけなんですが、そうであつたかどうかということと、課税しなかつたということであれば、どういう理由で課税がされなかつたのかということを一つ御説明願いたいと思います。
  20. 渡辺喜久造

    参考人渡辺喜久造君) お答えいたします。お設のように聖十字学園の中にあります幾つかの事業につきましては、課税なつているものが極く僅かありますが、その他は課税なつておりません。この問題は私最近になつて知りまして、急速に調査させましたのですが、昨年の秋に所轄の神田税務署でその点をやはり気がつきまして、もう名目学園事業のようになつているが、事実は学園事業でないようだ、更に調べて参りますと、学園のほうも最近二十五年の改正税法以来、営利事業を営んでおりますと課税の問題があるわけなんですが、こちらのほうも別に収益事業を営んでいないと、これはもう明らかに一応学園のものであるかのごとく恰好をとりながら、実は学園事業でない。こういうことに気がつきまして調査を開始しておつたのですが、たまたまいろいろこちらでお取上げになつておるような問題もありましたものですから最終までの調査に至らないで、ちよつと見違つていたような事情があつ先ようであります。  課税関係を申上げますと、太陽食堂というのがあります。これは奥戸清さんというかたがやつておりますが、この太陽食堂は二十四年の六月に開業をしたということに私のほうの調査なつておりますが、二十四年分の課税はできておりません。二十五年分につきましては二十一万五千円の所得金額課税所得であります。二十六年分については二十六万九百三十円の課税所得、これは課税ができております。併し課税ができておりますのはこの太陽食堂一つでありまして、太陽というのがありますが、これを経営しているのは私のほらの調査では実際は北島鉱さんという人ですが、このかたは浅草で別に弁天湯というものを経営しておりまして、こちらのほうにつきましてはずつと課税を受けておりますが、太陽湯のほうにつきましては課税ができておりません。それから簡易宿泊所がございますが、これは松井修一郎さんというかたが経営しているように私のほうでは調査しております。このかたは旅館組合とか信用組合等の報酬がありまして、そのほうの課税はできてはおりますが、この簡易宿泊所経営によつて課税はできておりません。それからサンポー・タイプというのがございますが、これは猪又豊子さんと石井三郎さん、この二人のかたの共同経営なつておりますが、これも二十四年三月から開業しておりますが、課税ができておりません。  それからアジア貿易というのがありますが、これはその後丸福貿易というのが、もう少し実態をよく調べてみないとはつきりしませんが、経営者は大体同じ、こういう会社があります。これはアジア貿易としましては二十四年の九月から二十五年八月までの間に八十五万八千九百四十五円の欠損申告をしております。これは税務署申告の是認をしております。それから丸幅貿易に……、今申上げました二十四年九月から二十五年八月の欠損申告はこれは丸幅貿易であります。現在はアジア貿易がやつておりますが、アジア貿易のほうからは二十五年四月から二十六年二月までの欠損としまして三十四万七千七百五十九円の欠損申告が出ております。これにつきましてはまだ一応の申告が受理してあるだけで、その後における調査は進んでおりません。後に調査する計画になつております。それからもう一つ藤谷松次さんというかたが経営している母子寮がございます。これも二十六年の六月から開業されておりますが、二十六年分の課税はできておりません。なお以上はいずれもそれぞれのかたからは申告は出ておりません。従つて税務署調査しましたところによりまして、更正決定をするなりそういう措置をとるべきでありますが、現在まで、できておりません。で、これが結局聖十字学園事業ではないかというふうに一応我々のほうで誤認した結果であります。最近の調査によりましてその事実がはつきりしましたので、一応納税者のかたに修正申告或いは申告提出を慫慂しまして、その申告提出されない場合におきましては我々のほうで止むを得ず更正決定をするという手段に出たいと思つております。
  21. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと従来課税をしておらなかつたが、今後はこれを営利事業として課税対象として取扱つて行く、こういうふうの方針をおとりになつた……。
  22. 渡辺喜久造

    参考人渡辺喜久造君) さようでございます。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからこれは私たちのやはり調査の過程でわかつたことなんですが、何か神田和泉町以外に、例えば浅草松葉町附近にも学園名義或いはいろいろな仮装名義を使つておるかもわかりませんが、食糧加工というような仕事をやつておることも実はあるように私どもは調べておるのですが、そういう点について御承知かどうか。又管轄外の、東京国税局管轄外でありますが、伊豆の伊東とか或いは川崎の駅前等でも学園名義を持つたところの営利事業が行われておるのではないかと思われる点がありますが、こういうことについてお気付になつておるかどうか。そういうものがあつた場合には、国税局管轄が違う場合、それを管轄しておる局のほうへ連絡をするというようなことが、局と局との間で行われておりますかどうか、そういう点について一つ……。
  24. 渡辺喜久造

    参考人渡辺喜久造君) お答えいたします。今お話になりました一つ太陽食品加工所というのだと思います。これは二十五年二月開業しまして、ドロツプ製造をやつてつたのでありますが、あめ製造をしているんじやないかという話がありまして、その物品税脱税嫌疑で一応調べたことはございましたが、これはあめを作つておるのじやなくて、課税されたあめ買つて来てドロツプを作つているというので、物品税関係につきましては嫌疑は晴れたのでありますが、ただ今お話のようにこれは学園事業であるかのごとく一応見えたものですから、私のほうではそのつもりでおりましたが、だんだん調べて参りますと、事実は城野鉄五郎さんというかたが経営している。二十五年分、二十六年分、余り大きな額ではありませんが、一応の課税所得が我々のほうの調査の上では見込まれておりますが、現在まで申告もございませんし、課税もされておりません。これは至急先ほど申上げました分と合せまして申告を求め、申告を出さなければ更正決定手続をするということによつて課税して行きたいと思つております。  それからもう一つお話の出ました分は、伊東にあるグリーン・ハウスという名前の分だと思います。この件は、この聖十字学園の今申しました全体に亘つてでございますが、これは国税庁のほうでもやはり関心を持ちまして一応の調査をしました。それで私のほうへも国税庁のほうから注意がありまして調査を開始した、そのときの同じ手続名古屋国税局長には国税庁のほうからこの問題について調査をするように指令が出ているということを国税庁のほうから確認して参つております。従いまして東京国税局から名古屋国税局のほうへ連絡はしてございませんが、国税庁のほうから名古屋国税局のほうに連絡してございますので、名古屋のほうでこれについては何らかの調査を進めているものと思つております。なお川崎の点につきましては私まだ聞いておりませんが、お話の点がありましたら伺わして頂きまして更に調査を進めたいと思つております。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 そういう管轄外連絡は、例えば東京国税局のほうでそういう問題を気付かれた場合には、やはり国税庁のほうを通じてそれを管轄しておる国税局のほうへ通知の行くというふうな、何か指令でもあつてやられておるのか、国税庁のほうがそれに気付かなければ、管轄外国税局からはそうしたことを全然やられておらないのかという点なんですが、それはどうなんでしようか。
  26. 渡辺喜久造

    参考人渡辺喜久造君) 別に特にきまつたルートはありません。ないと思います。東京国税局で以てよその局のそうした問題が気付きますと、その当該局に直接資料を遜りまして、そちらで調査してくれということを依頼することもございますし、或いは注意を喚起することもございます。それから事件によりましては、大体事件の重要性が大体それをきめますが、相当大きな事件でありますと、国税庁のほうに問題を提供しまして、国税庁からその当該局に通知してもらう、こういう扱いもございます。この事件はたまたま国会のほうから御注意がございまして、我々承特に調査を始めたという関係で、国税庁のほうが我々にいろいろ調査を命じたという経緯がありまして、伊東の問題につきましては国税庁のほうから名古屋のほうへ調査しろと、名古屋のほうで一応調査を続けていることになつております。
  27. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは次に東京都の民生局長さんにお尋ねをしますが、この磯川という男が社会事業を営むに当つてこれを財団法人とするということになつたわけなんですが、そのときに磯川の人物或いはその資産というような点について十分御調査をなさつておるかどうか。
  28. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 私昨年の十月に民生局長に相成つたのでございまして、当時の状況につきましてはこの問題と直接関係ありました上平局長に伺つたのでございますが、余り正確な御記憶はないようでございました。そこで私ども考えまするのに、やはり今御指摘になりましたように、磯川その人自身に対する個人の調査、それから財産調査等につきましては、これは殆んどしておらないというように私ども承知しておるのであります。ただ問題は当時の社会経済情勢からいつて、非常に浮浪者が殖えておる。それから簡易宿泊施設等竜戦災で焼けておるというようなことのために、東京都としては一人でも多くの浮浪者を収容し、又家のない人々に対しできるだけ多くの住居を提供したいというようなことから、このときにこうした事業をやりたいというので、一つつてもらいたいというようなことから財団の公益法人の許可をつけまして、東京都が厚生大臣に対しまして申請副申をしたというような状態でございます。確かにその当時個人調査財産調査の著しく愼重を欠いたということは是認せざるを得ない。かような次第であります。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 この聖十字学園に対して民生局のほうの係員が相当頻繁に出入りをして、そうしていろいろその間に饗応を受けるというようなことがたびたびあつたよう調査の際には私ども聞いておりますが、そういうことをお気付きになつておるか、或いはお気付きになればそれらの係に対して何らか粛正をするようなことをおやりになつておりますかどうか。
  30. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) この問題につきましては先に申上げました当時の主管の局長から伺つたのでありますが、殆んどそれらの人についてのまだ記憶もないような状況であります。それからどなたがどう言つたか知りませんが、よくこの問題につきましては、あちらもこちらも饗応をしたとか、或いはこの問題をこうすればいろいろなほうに波紋を生ずるというようなことを言う向きがあるのでございますが、少くとも現在の私の部下にはさような者はおらんと考えております。若しありとせば私綱紀粛正の意味におきまして断固これらは処分いたしたい、かように考えております。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 この前も実は厚生省のほうの説明によりますと、これを社会事業団体として認可するのは、大体その都道府県の調査に基いて、その申告があればそれを団体乏して認めて来ておるというような説明もあつたわけなんですが、そうしますと、都の民生局などがやはりその調査をして、責任を以てそれが社会事業団体であるという認定をする立場にあると思うのです。それが今の説明ですと、非常に申請の手続を形式上とつておるということであつて、実際それだけの責任のある事務の取扱いがなされておらないのじやないかというふうに我々思うわけなんですが、そういう点についてやはり今でもそういうよらな取扱いをしておられるのかどうか、一つ御説明……。
  32. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 只今聖十字学園の問題があり、その他いろいろな問題がございまして、その個人調査財産調査等につきましては十分にいたしておるのでありますが、当時の状況からいいますと、社会状況から御覧のような状況であり、又その個人調査財産調査等については、これは私のほうといたしましても甚だ遺憾だということを申上げなければならないように思つております。
  33. 小酒井義男

    小酒井義男君 続いてこの学園が、こういう問題が現実に出て来たわけなんですが、これを都としてその後どういうふうの扱いをして来ておられますか。例えば社会事業を行う法人としての認可の取消し或いはこれの団体の解散の命令というようなことがなされておるかおらないか、どろなんですか。
  34. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) これは聖十字のほうから自主的に解散をいたしたいというようなことは二、三回私の部下にも話があり、又その責任者から直接に私に会つたときにお話がございましたが、爾来そうした書類は私のほうに参つておりません。そこでこの問題が起りまして以来、私どもは独自の監査を行い、且つ又本年の二月厚生省東京都が合同の監査を幾日かに亘りましていたしまして、そこでこの学園につきましては、このやり方が適当でないというように考えまして、都からは厚生省に対しまして適切な措置を講ずることを申上げております。と同時に東京都といたしましては、あそこの直営施設でございまする太陽の家、ここにほ家出人の一時保護をいたしておりますが、従来これに対しまして生活保護法の第三十條によつて保護の委託をしておりましたが、四月一日からこれを打切りました。それと同時に三里塚の児童の養護施設につきましても新たに児童の入所を措置するということを取止めたのでございます。学園が直営しており、且つ又東京都と直接関係ありまする二つの問題につきましてはそういう措置を講じております。ただ三里塚の児童の養護施設につきましては、これ又厚生省東京都と一緒に幾日かに亘りましてくまなく現地につきまして調査をいたしたのでありますが、この部分だけにつきまして申上げますと、別にこの施設が悪いというような結論は出ておらないのであります。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると二つの事業に対してほこれの取扱いを停止したということになると、まだ何か残つておるものがありますか。
  36. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) ほかに私のほうと直接の関係のございまするものは現在のところないと考えております。
  37. 小酒井義男

    小酒井義男君 東京都の民生局長にお願いをしておきたいことは、国税庁にしてもこういう処理の非常に困難な問題ができて来たのについては、やはり国税庁としての調査その他についての責任を是認せられておるのですが、私はやはりこういうことになつて来る出発点はですね、都におけるところの申請の手続の際にもう少し厳重に私はこれをやつて頂くことが必要だと思うんです。それがためにやはり厚生省としても都の申請というようなことに大体基いて従来認可をして来たということになつておると思うのですから、そういう点は一つ結果的に及ぼす国損というような点を十分考えてやつて頂く必要があるんじやないかと思うので、その点一つ御注意願いたいと思うんです。  それから厚生省のかたにお尋ねしますが、やはり東京都の民生局からの推薦に基くといつても、これが社会事業団体としてのいろいろ資格を備えておるかどうかというようなことについては一応調査をせられる責任があるんじやないかと思うんです。そういうことについて従来の扱い方、そうしてこういう問題が起つてから何かその扱い方について変更されたような点がありましたら一つ御説明願いたい。
  38. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 只今厚生省の児童局長はほかの委員会で差支えがあるようですが、説明員の児童局の養護課長が代つてお答えしますから差支えありませんか。
  39. 小酒井義男

    小酒井義男君 ええ。
  40. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) お答えいたします。従来こういう法人の許可に際しましては、東京都の民生局長から話がありましたように、主として私どものほうでは東京都の意見を、提出する意見を尊重してやつておりますので、直接法人について調査いたしておるというようなことはありませんでございますが、最近におきましてはこういうような事件に鑑みまして、今年の五月の末日で、こういつた法人は社団法人に初替えることになつております。その際の審査につきましては軍に書類審査ではなくして、疑問の点につきましては一つ係官或いは法人の代表者、こういつた者を呼びまして審査をいたしております。現在の状況ではかような状態であります。
  41. 小酒井義男

    小酒井義男君 聖十字学園の問題については新聞紙上等にもその内容が伝えられておるわけなんです。そういうことを、都合でそういう問題があるのに全然お気付きにならんということは私はないと思うんですが、関係事業でありますから、それを今まで本省としては全然調査もされておらないし、そうしてそれに対するところの処置というようなものがなされておらんというようなことに対しては少し、たとえ東京都に対してそういう問題が委託してあるにしても無責任じやないかというようなふうにとれるわけなんです。そういうことについては一体どうお考えなつて募りますか。
  42. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) 聖十字の問題につきましては、従来は私どものほうで直接監査いたすことはございませんですが、問題になりましてからは、東京都の神田和泉町の事業、それから千葉県の養護施設の事業、これらにつきましては東京都と合同で監査いたしております。でこれらの措置につきましては、先ほど東京都からお話がありましたように、相談して今後の措置をきめるようにいたしております。
  43. 小酒井義男

    小酒井義男君 東京都と相談をせられる前に、こういう問題が起つた場合に、厚生省として法人としての認可の取消しとか或いは解散の命令というようなことはやれないものかどうか、それをですね、手続厚生省でやれない問題であるか、やれるのを東京都からこういう問題が相談がかけられるまで放置されておつたものであるかどうかということについてお尋ねしておるわけなんです。
  44. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) 厚生省自体で解散と申しますか、認可の取消は勿論できるわけでありますが、申請が東京都になつておりますし、東京都の意見も十分尊重すべきじやないかと、かように考えております。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると現在でもやはりそういう建前でおやりになつておるわけですか。
  46. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) さようでございます。
  47. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで将来も差支えないというふうにお考えなつておりますか、厚生省としてですね、まあすでに現在こうした問題ができておる。それでそれの認可をするときに、厚生省の建前からもやはり調査をして、そうして都の申請に対して過誤がないかということを確かめるということが私は必要じやないかと思うのですが、そういうことについて将来これをおやりになるお考えがあるかですね、今までやつておればそれでいいんだというふうにお考えなつておるかどうかということなんです。
  48. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) 将来経由官庁の手を経ないで、厚生省独自の立場でやる場合があるかというふうに了解しておりますが、やはり東京都に……。
  49. 小酒井義男

    小酒井義男君 都から申請をして来た場合に、その申請の書類だけを信用して将来も扱つて行かれるのか。そうじやなしに、やはり厚生省としての責任上、そうした條件を完全に備えておるかどうかということを調査をされた上で認可をするという方法を私はとるべきじやないかと思うのです。そういうことについて厚生省はどうお考えなつておるかということをお尋ねしておるのです。
  50. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) わかりました。私のほうでもそういうふうにやりたいと考えております。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは質問じやないのですが、私どもも施設を全部調査したのです。で児童養護というような建前でいろいろ補助金も受けておられるのですが、保護施設というものは極めて非衛生的な不完備なものだというふうに私ども見ておるのですが、ああいうものをやはり認めるという、補助を出して認めるということは、実際この都のほうで取消をされたということでありますからあれですが、今まで調査されれば当然この社会事業団体としての認可を受けることができない内容のものだというふうに思つておるのです。それからそういう点についてはやはり共同の私は責任ですね、ただ都だけの責任だというんじやなしに、厚生省としても十分調査をされた上で、将来これを扱つて行くというふうに考えて頂くように申添えておきたいわけなんです。  それからもう一つ続いて会計検査院の小峰局長にお尋ねするのですが、学園拂下げ地を目的外に使用したり或いは処分したりしておつたことについて契約解除大蔵省に指示したときの事情ですね、それはどういうふうであつたか、御説明願いたい。
  52. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 小酒井さんの御質問にお答えいたします。これは昭和二十五年の二月に関東財務局の検査に行つたわけであります。そういたしまして二十四年の十一月にこの代金の一部、三百五十万円でございますが、これが国の収入になつていたわけでありまして、関係書類も一応揃つていたわけでございます。それで現地を拝見したいと、こう申上げてこの現地に実地検査官が参りましたのが、この事態を見付ける第一回の端緒だつたわけであります。当局もこういう社会事業団体が妙なことをやつているということは御承知がなかつたようなわけであります。それから私どもとしては文書で照会を出し、更にこの検査報告の三百三十三号、これで事情を具しまして、條件違反、契約にこれははつきり社会事業に使うと、全部社会事業に使うと、こういうことが條件になつております。條件に違反したときは解除すると、こういう條項が契約に入つているのであります。これは国有財産法の規定によつて入れる條項でありますが、その條項があるにかかわらず、そのまま放つておくというのはよろしくないというので、検査報告に條件違反として契約解除すべきものと、こういうふうに掲げた次第でございます。私どもとしては初めから全面的解除ということを検査報告でも謳つているわけでありますが、その後いろいろな事情もあつたとは思いますが、一部の更改という措置を二十六年の二月におとりになりまして、それから相当部分を聖十字学園に留保したわけであります。その留保されたものは更に転売されたり、或いは妙な所にアパート母子寮と称するアパートが建つてしまつたり、一層事態を複雑にしたわけでありまして、その後事ますます解決は困難になりましたが、当局者本最近でありますが、二十七年の四月になりまして、漸く会計検査院の批難した方針と同様の処置をおとりになつた。こういう経過なつておる次第であります。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると検査院としては全面的な解除をするようにという方針であつたと、ところが一部の契約解除だけで、その後は引続いて目的外に使われておつたわけなんですが、それは御承知であつたかどうか。そうしてそれに対して重ねて何か指示をされたようなことがあつたかどうか。
  54. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 一応批難いたしましたが、その後暫らくは、実地検査の機会もございませんので、私どもといたしましては、たしか今年の何月でございましたか、今年に入りまして、又改めて全面解除の趣旨の照会を出した次第であります。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 今年というと、ずつと以前にこの問題が新聞等にも発表されたことがあつたわけなんですが、御承知だと思うのですが、都内にああした問題があつたのに対して、検査院のこの活動が極めて不十分でなかつたかというようなふらに見られる節もあると思うのです。そういうことについて局長として、あれで十分検査院としての手続の点においては完全なことがなされておつたというようにお考えなつておりますかどうか。
  56. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 批准いたしました案件のあと始末をよく見守るということに盡きると思いますが、これは会計検査院といたしましても、できるだけのことはやつておるつもりです。本件が新聞に出ましたのが、丁度この委員会でお取上げになる、或いは衆議院の行政監察委員会でお坂上げになる、こういうような事態と関連いたしまして新聞に相当大きく出たように承知しております。で私どものほうだけの手で処理できる段階をいわば脱してしまつたわけであります。当局者の折角御努力中でもございますし、もう私どものほうで幾ら進行させようと思つてもなかなか事態は複雑でございますし、そう急には処理ができない段階にもうすでに昨年からこれはなつておるのでございまして、いろいろな各委員会の御審議振りなり、或いはその他を拝見した上で、更に政府の処置を見守るというほかは、私どもとしてはなかつたのでありまして手近の案件で、事案でございまするから、或いはもつと検査院のほうで委員会の進行振りなり何なりということにおかまいなしに、どんどんと強い意思表示をするというのも一つの方法かも知れませんが、政府は一応一部更改ということで、検査院の批難とは若干相当食い違う方向に御決定になつたわけであります。それを更に押して全部解除しろということを改めて意思表示するということは、実はそう急にはいたしかねた次第でございます。
  57. 森八三一

    ○森八三一君 厚生省にお伺いしますが、東京都と合同で聖十字学園の監査をなさつたというのでありますが、それはいつでありますか。
  58. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) 東京都の施設に対しましては二月の十九日から二十二日四日間であります。千葉のほうの施設につきましては二月十八日から二月二十一日、同じく四日間の期間監査をいたしました。
  59. 森八三一

    ○森八三一君 先刻小峰局長お話もあり、検査院が報告されておる報告書によりますれば、すでに事件は二十五年の二月に指摘をされておる。このことは厚生省もすでに当時御存じでなければならんと私は理解をいたします。検査院の指摘は、国有財産売渡しに関しまして処置当を得ないということで、直接には大蔵省関係のほうに批難がなされたと思いますが、その事業の内容は厚生関係事業でありますので、当然これは厚生省でもその当時御存じであつたはずと理解をいたします。にかかわらず今年の二月まで検査をおやりにならなかつたということは一体どういう理由なのか、検査院は目的外に物を処分してけしからんと、こういう批難をしておるというのに、厚生省ではそうでない、こういう見解でおやりになるというのか。その意味は一体どういうことなのですか。
  60. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 厚生省東京都が合同して監査をいたしましたのは本年の初まりでございますが、東京都で監査をこれはずつと毎年やつております。で年に二回ずつやるという建前になつておるのでございますが、監査人員も非常に少いものでございますから年に一回ずつ……それで二十四年から毎年やつておりますが、聖十字学園の仕事のやり振り、又運営その他等、これは公益法人としてのやり方としては非常にまずい、こういうことは都のほうから学園のほうへ直接言つております。委託経営をしてみたり或いは賃貸借で食堂等経営することは適当でない。これは直営方針に改めてそうして社会事業としての本来の姿でやるべきだ、こういうことを警告を発しておつたのであります。併しながら何らこれに対して反省をするという色もないので、民生局といたしましては厚生省のほうに、これはまあ適当な措置を講ずることが適当ではないかというようなことを申しておつたのであります。併しながらこの中には太陽の家、児童の保護施設等もございますので、なかなか簡單に結論が出なかつたのでこぎいますが、こういうような段階になりますというと何らかこれは適切な処置を講じなければ、この従来の方式というものは根本的に改革できないというようなことであります。
  61. 森八三一

    ○森八三一君 只今民生局長お話によりますと、昭和二十四年以来年に一回乃至二回聖十字学園の経理なり或いは事業の内容等について詳細な監査が行われております。非違の点についてはその都度指摘をし反省を求め、厚生省にもそのことを報告がしてあるというようなお話であつたと思いますが、そういたしますと、二十五年の二月に検査院が財務局の監査をいたしました際に、目的外にこういうような厖大土地等が処分をされておるというようなことを発見する以前に、都としてはすでにおわかりになつておつたということではないかと思いますが、そう理解していいのかどうか。検査はりいたしましたがお気付きにならなかつた、検査院の検査で初めてこの問題が発覚したということなのか、その辺はどういう事情になつておりますか。
  62. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 今のお話の点につきまして、私今両者の関係詳細にまだ検討を加えておりませんけれども、二十四年度の監査によりますと、どうも書類帳簿の整理が十分でないし、建設の関係の負債の整理もしてないというようなことでこれに注意を與えております。それから二十六年度につきましても同様で、二十六年度につきましては更に詳細なこれにつきまして批判と注意を與えております。厚生省との合同監査以外の東京都でやりました前三回の監査の結果の処置はそういうわけであります。
  63. 森八三一

    ○森八三一君 東京都で検査をなさいましても、今お話によりますると、こういうような非違の事件があつたということは帳簿等の整理が十分でないというようなことから恐らく発覚されてはいなかつたのではないかというように受取れると思います。そこで、もう一ぺん厚生省にお伺いいたしたいのは、二十五年の二月に検査院がこういう問題を指摘して政府に警告を発しておるのでありまするが、この事実をつかんで、昭和二十七年の二月まで東京都に対して監査をすべしとかいうような指示を與えられたのかどうか、そういうような指示は與えられなくて、民生局長お話のように東京都は東京都独自の立場で恒例的な検査をおやりになつておつたという経過であるのか、本省としての取扱はどうであつたかを一つお伺いしたいと思うのです。
  64. 竹下精紀

    説明員(竹下精紀君) 私児童局に参りましたのが今年の三月でございまして、この点につきましては適確なお話ができないと思いますので、後刻局長から又お答え願いたいと思います。
  65. 森八三一

    ○森八三一君 それでは今の点は他の機会に、どういうように本省としては検査院の指摘を受けた後、聖十字学園の問題について直接の担当官庁たる東京都に対して措置がとられましたかはお答え願うことにいたしまして、検査院のかたにお伺いいたしたいと思いますが、二十五年の二月に契約第十條でありましたかを指摘せられて、契約解除すべしと注意を與えられた、その際のお気持です。これは軍純に契約解除すれば、それで聖十字学園土地建物等を転売を受けた者との間の関係は別であつて、政府と聖十字学園との間は契約十條に基きまして單純に処置がなされるというような考えでおやりになつたのか、注意はいたしまするが、内容は極めて複雑であるので、この問題の解決は非常に困難であると、う感覚をお持ちになりつつおやりになつたのか、その辺はどうでございましたか。
  66. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の点にお答えいたしますが、これは二十五年二月の検査後に出しました照会でもはつきりと、売抑の指定條件に違反している、本件契約條項第十條によつて解約するを至当と認めるがどうか、こういう趣旨のものを出しております。その後新しい事態がたくさん起きまして、事態が一層複雑になつたわけでありますが、当時といたしましても、もらすでに一部転売をしておりますので、契約解除いたしますと相当いろいろ三者の関係で、国と聖十字学園と、転売を受けた者との間の関係相当複雑であろうということは勿論考えた上でこの照会を出したわけであります。併しながら現在ほど事態が複雑ではございません。この非常に複雑になりました現在でも解除できるのでありまして、当時としては今ほどむずかしい問題は紀きなかつたのじやないだろうか、私どもとして照会を出しました当時は、今のことは十分に考えながらこうしてはどうかと、こういうような趣旨の照会を出したわけであります。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 法律的には素人でありまして、よくわかりませんので、或いは間違つた質問をいたすかと思いますが、政府と聖十字学園との契約には、目的通りに使用しない場合には軍純にその契約解除するという契約なつておる、そのものを第三者が目的外に買受けをしたという場合に、法律的な関係は、政府と聖十字学園との間における契約を知らなかつたということと思いまするが、その知らなかつたということは、政府に対してどういう関係なつて来るのか。恐らく注意を與えられたときには、検査院としてはそういうことまでも十分考えてなされたと思いますが、法律的にこれはどうなりまするのか、お伺いしたいと思います。
  68. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の点でありますが、先ほど私十條と申上げましたが、十一條の誤りであります。十一條に甲は乙が本契約條項に反し、その義務を誠実に履行しないと認めたときは無條件で本契約解除すると、こういう條項でございます。十一條でございます。今の点でありますが、これは解除いたしますと、御承知のように当初に遡つて契約がなくなります。それで国が転売を受けた者との間に直接の契約を改めて結ぶことになるわけであります。政府は二十六年、昨年の二月に一部更改の措置をおとりになつたときに、すでにその処置をとつているのであります。三十八軒の転売を受けました人と政府は直接に契約を改めて締結すると、こういうことをもうすでにおやりになつておるわけでありまして、残りのものを大体において又聖十字学園に留保したと、こういう関係であります。聖十字学園に留保されたものについて又新しい問題をその後に紀してしまつたと、こういう事態でありまして、転売を受けました三十八軒というものとは、この更改なり契約解除によりまして新しい直接の法律関係が国との間に生じると、国は代金をもらわなくちやいかんわけでありますが、転売を受けました者はすでにその代金聖十字学園に拂つてしまつた、こういうところに又新しいいろいろな問題が起きるわけではありますが、一応法律関係は今申上げましたように、聖十字学園と転売を受けた人との間の契約も当然に消滅するわけでありますが、国と聖十字学園との間の契約もなくなつてしまうと、こういう関係になるわけであります。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 今お伺いいたしましたのは、多少私の言葉が足らぬ関係と思いますが、契約十一條によつて目的に違反した使用がなされておるので、その條章に基きまして政府と聖十字学園との間に契約を破棄するということは可能である。ところがすでに聖十字学園は、そのものを目的外に処分をしましたので、第三者が買受けをしておるという事実が存在をしておると、その事実は法律的に政府がこれを認めなきやならないという立場におかれるのかどうかという点をお伺いしたので、それは聖十字学園と政府との間に、あの不動産を処分するときに十一條の契約があるので、他日政府が軍純に取消した場合には、第三者聖十字学園との間における一種の詐欺にひつかかつたというような関係になるのではないか、政府はそれに対して責任を負う必要は毫末もないというように理解されるのじやないかと思いますが、そういうことは一体どうなるのか、そういう点でございます。
  70. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 御質問の趣旨がわかりましたので御説明申上げます。今の場合にはまあ詐欺とは申しませんが、元になる国と聖十字学園土地なり工作物の所有譲渡という契約がこれはなくなるわけであります。初めに遡りまして、それで聖十字学園と転売を受けた人との間には今目的物がないわけであります。聖十字学園は持つておらん、自分のものでないものを、国のものを売つたことに結局なつてしまう。それで改めて政府と転売を受けた人との間に必ず契約を結ばなければいけない義務は毫も政府にはないわけであります。法律上はこれはありませんが、実際の場合に、もう転売を受けまして、居住して営業をやつております。こういう場合に、ただ法律上の理窟だけで、政府はその居住者に売つてやる義務はないのだと、こう言つて突つ放すことは実際問題としてこれはできないと思います。又政府といたしましても、それを明け渡さしたところで何らそこにいいことはないのでありまして、居住している人に改めて新らしい契約を結びまして、適当な価格で売るというほかは、法律上の議論はともかくといたしまして、事実上そのほかに方法は私はないと思うのでありまして、政府はその措置をおとりになつたわけであります。転売を受けた人々と個々に契約をお結びになつて、そして改めて値段をきめて売ると、こういう措置をとつたわけであります。事実上こうするほかに方法はなかつたろうと思います。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 只今小峰局長のお答えで私の聞かんと欲するところはよくわかりました。そこで財務局長にお伺いしたいのは、すでに只今質疑応答に現われたような形において処置をせられたものの、新らしい契約に基く売却代金はことごとく納入されておるのか、聖十字学園との関係があるので、今なおそれは未納になつておりまするのか、その辺の経理の実態はどうなつておりますか、お伺いしたいと思います。
  72. 井上義海

    参考人井上義海君) お答え申します。更改契約をいたしました先の三十八軒は全部代金は納まつております。日通からも納まつております。それから個人で藤谷さんという個人があります。これからも……アジア貿易がまだ一部代金を拂つて、今非常に強硬な督促をやつておりますが、これはまだ一部処分未納になつております。あとは全部……。
  73. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) さつき留保されている児童局長がお見えになりましたから……。
  74. 森八三一

    ○森八三一君 先刻厚生省にお伺いをいたしたのでありまするが、その当時の状況が養護課長では御存じがないということでお答えが保留になつたのでありまするが、局長が御出席でありますので重ねてお伺いをいたしたいと思います。  それは聖十字学園が、東京都内に所在をいたしておりまする国有財産拂下げを受けたのでありまするが、その拂下げの目的通りにこれを使用いたしませんで、検査院の財務局監査に関連をいたしましてその事実が発覚をし、昭和二十五年二月に検査院はこれを指摘して、政府に注意を喚起いたしたのであります。問題は国有財産の処置当を得ないということでありますので、大蔵関係に直接に注意がなされたと思いまするが、この事業の内容は厚生関係事業のことでありますので、その当時本件につきましては厚生当局でも御存じがあつたはずであると理解をいたすのであります。そこで厚生省といたしましては、この種事業の監査等については、第一線の官庁でありまする都道府県にその監査等を命ぜられておるという関係でありますので、直接厚生省が手を下すということはなかつたと思いますが、東京都に対しまして調査を命ずるとかいうような措置を講ぜられたかどうか、その経過をお伺いをいたしたい。先刻の答弁によりますると、本年の二月に東京都と一緒になつて初めて検査をしたということでありまするが、二十五年の二月に指摘された事件を本年の二月まで放置せられたということは余りにも怠慢であると思いまするし、恐らくそうではなかつたので、この間に直接には手を入れませんでも、東京都に対しまして然るべき措置が講ぜられておつたんではないか、こう思いますので、その経過をお伺いいたしたのであります。
  75. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) お答えいたします。前にほかの委員会に出ておりまして、大変出席が遅れましたことを申訳ございません。極く率直にお答えをいたします。今のお話で、二十五年の二月に会計検査院の検査報告が出ておるのに、その後本年の二月まで何をしておつたのか、その間に特別なお前のほうは知つてつたのかどうか、こういうお話でございますが、率直に申上げますると、二十五年の二月にこの検査院の検査報告が出ておりまするのでございまするが、甚だ迂闊なことでありまするが、これが国有財産売渡に関するというところで出ておりましてその問題として、この契約條項に違反するから返還をさすべきであるというふうな意味合いにおいてまあ出ておるのでございます。私ども実は気付くべきであつたのでありまするが、気付かなかつたというのが率直なところでございます。それでなお国有財産の、この法人を認可いたしました当時の事情は、或いは課長から御説明を申上げたかと思いまするが、聖十字学園は千葉県のほうで前からこの養護施設を経営をいたしておりましてそれで法人を認可いたしました当時は、その養護施設が法人の主たる事業という恰好で認可をいたしたのでございます。まあさような訳合もございましてその後国有財産拂下げを受けたとか何とかいうことになるのでございまするが、さてその批難の事項にありまする国有財産拂下げ契約に違反をしておるじやないかというようなことも、実はその財産拂下げのほうに関しましては所管庁からのこういうふうな條件で、こういうふうなことで拂下げたからというような連絡は実は受けておりません。さようなわけで、別個な問題としてまあ事が運ばれたこともございまして、実は私ども気が付かなかつたと、実に正直にお話を申上げるのであります。その後この問題が持ち上りまして、いろいろと当時のことをひつくり返しましていろいろと取調べたのでございます。なおこの東京都のほうに平素からこういう仕事の、まあ法人の監査と事業の監査は別でございまするが、法人の監査は東京都のほうにお願いを申上げておるわけでございますが、その御報告厚生省のほうにも書面で来ておるわけでございます。これによりますると、これはこの事件の起る前でございまするが、借金があつてどうも法人としては適当でない、可とかその関係のことを整理をするように目下指導中であるというふうな趣旨の御報告であつたように、これは正確に今私書類を持つておりませんので、私の記憶によりますれば、さような御報告があつたように思うのでございます。まあさようなことがちよつと、的確にこういう不適当な事態が起つておるという監査結果の報告ではございませんけれども、借金があるというふうな問題があるというふうな御報告がとにかくあつた。又検査院のこういう検査報告もあつたということで、本来ならば何らか厚生省としまして特別な措置をとるべきであつたと私は今日思います。併しながら正直なところは、問題が大きくなつてから初めていろいろと対策を講じて来たと、こういうことでございます。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 局長の率直なお話でよく理解をいたしました。そこで財務局一つお伺いいたしたいのは、この件はたしか東京都の副申があり、それを受けて厚生省もです、厚生省主管の衛生試験所の戰災跡地を大蔵省のほうに移管をし、その処分をすることについて東京都からこういうような申出もあるので聖十字挙国のほうに適当なものであれば拂下げをしてやつてくれたらよろしかろうというような意見が附いておつたと思います。大蔵省は主管省でありまする厚生省の意見を十分尊重をし、書面審査をした結果は適当であるという当時の情勢において判断をされて拂下げをされた。その手続は私は非常に適当であると思います。ところが昭和二十五年の二月にこういうような検査院の批難が指摘された。そのときに財務局といたしましては、事業法人の監査等については大蔵省が当つておるわけではないはずでありますので、こういう批難を受けました厚生省としてはどういうようにこの公益法人を見ておられるのかという点を、当然政府内部における連絡事項としておやりになるのが私は筋じやないか。検査院の批難はありましても、大蔵省としては法人を監査したり何かすることは到底不可能なことなんで、そういう実態はどうかということはやはり主管省のほうへ連絡をされる、よく実態を調べてもらつて検査院指摘の通りであれば、そこで初めて財務局としては発動して行くという順序が妥当のように思いますが、そういう連絡が一体あつたのかないのか。もう契約十一條違反ということだけで当然財務局責任処分をするということで、事業実体の管轄省である厚生省とは何らお話にならなかつたろうか。その点はどうなんですか。
  77. 井上義海

    参考人井上義海君) その点につきましては検査院から二十五年の二月に指摘がございまして、先ず第一に転売という契約條項違反、これはもうはつきりした事実です。もう一つ社会事業であるかどうかという事業自体の問題がある。この点につきましては担当係官から都のほうとは一応事務的に、口頭であると思いますけれども連絡はとりまして、ああいつた事業は、本来ほ社会事業ではないが、生必的な事業として大体認められるものかどうかということは一応口頭で連絡しまして、その点につきましても疑問には持ちましたのであります。いろいろその当時事業内容についても考えたのでありまするが、全然認められないことでもないだろうというようなその当時の考え方でありまして更改契約をしたということで、それと先ほど小峰局長から初めから全面解除しろというような指示をしたというようなお話がございましたが、これはその照会文の的確な何がないので、私も正確なことほ申上げられませんですが、こういうような違反の事実があるんだという、どういう措置財務局はとるんだというような照会であつたかのように聞いております。勿論これにつきましては財務局だけの独自の見解ではないのです。勿論検査院とも事務的な口頭の連絡もとりまするし、今申しましたように東京都とも連絡をとりまして、一面先ほど御指摘のございましたような善意の第三者、転売先の買受人、これは非常に迷惑至極な話でありまして、これらが二重に代金を拂つておりますし、それがうまく聖十字学園が返してやつて大蔵省のほうに新規契約に基く代金を納めるということが円満に進みますようにといういろいろな配慮から、その時といたしましては更改契約をしたほうが手続として煩瑣でありますけれども、最も穏当であり妥当であるだろうということでやつたのでありまして、会計検査院が……全面解除しろしろという、ただ形式的に言うので、それは全面解除よりもということじやなくて、関係方面ともいろいろ連絡しまして、それがそのときとしては最も妥当だろうということであつたのですが、勿論結論的に第二の転売がありましたが、これは誠に申訳ありまおん。抗弁の余地は全然ありませんが、そのときといたしましてはそれが最も妥当な措置であろうと、先の転売の代金の安排いの考え、それからもう二十二、二十三年頃の社会事情が、非常に必要だつたことについては先に指摘した通りいろいろ現実もあつたのですが、そういうことから更改契約のときの事情といたしましては、それが最も妥当だろうという財務局考え方ではあつたのであります。
  78. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 東京都のほうから先に伺うのですが、先ず本件の一番その間違いのもとなつたという点、これはそもそもその社会事業をやり得るところの力も持つていないし、又そういう意思も持つていない、当初から。ただ持つてつた意思としては、とにかくこれを安く政府から取つて、そうしてこれで銭儲けをしようというのが当初からの偽わらざるその意思であつた。ところがそういうようなその者に対して昭和二十三年二月五日以前ですね。以前に東京都知事が、なぜこれに対してやつてくれいという依頼をしたかということ、それからその依頼状の内容はどういうような依頼状であつたかということ、先ずこの点から一つ伺いたい。
  79. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 今のお尋ねのうち、こうした社会事業をする力と意思のない者に対して社会事業をさせることに根本的な間違いがあるというお話ですが、私も至極同感でございまして、力がなくても、意思がなくても、両方なければ全然駄目であります。でこの点につきましては私もこの行政をやつて行く上について十分注意をいたしておるのであります。でこの前も私は伺いまして申上げたのですが、実はこういうようなことでまあ実は私も困つておるのだ、そこで当時の上平局長にも会つてこの話をしたのでありますが、当時の社会経済事情からすれば、先刻他の委員からもお話がありましたが、一軒でも家を早く建てたい、浮浪児の処置を一入でも早くしたいというつようなことからつまあその人の個人の調査なりその資力調査ということもろくにせずにいたしたというようなことが実情だと、こういう話があつたのであります。参考のために手許にこぎいますから昭和二十二年の十三月六日に知事から厚生大臣に出しました依頼書をここで読上げさして頂きたいと思います。  件名は「簡易宿泊所及び保育所用焼跡貸奥方依頼について」、本文は、簡易宿泊所は戦災前においては東京都直営のもの十四、社会事業宿泊所が四十五、簡易宿泊所が、いわゆる木賃宿でありますが、四百十八のごとき多くの宿泊施設により浮浪者、日雇労務者等の便宜を図つていたのであるが、これらの簡易宿泊施設はおおむね罹災し、これが機能を全く喪失しているため、戦災による住宅難に加えて現在の経済情勢により住宅供給又は貸家、貸間紹介等の社会的救済保護の方法がないから、都市復興及び進駐軍労務者のため日雇労務者は日に激増し、これら宿泊なき者が公園、ガード下などに徘徊浮浪しており、これらの者を收容保護せねばならぬが、職のある宿所なき者などであるから有料簡易宿泊所の設置が喫緊事と思料せられるにつき、都直営の無料、有料宿泊所の新設を計画するも財政上意のごとくならざるため、社会事業家による簡易宿泊事業の円滑を図ることが急務と思料いたしますから左記所在敷地並びに燒建物の貸奥方特別の御詮議によりお取計い願いたい。所在地、千代田区和泉町二番地燒建物(旧衛生試験所)、別紙、図面というようになつております。  で僭越でありますけれども、ちよつとこの際附加えさして申上げたいのでありますが、当時私労働局の勤労課長をしておりましてこの進駐軍労務で非常に苦労したのであります。明日何百人を芝浦の岸壁へ集めろと、こういう御下命がある。ところが当時の状況といたしますと、まだ勤労動員署から安定所に切換えがうまく行つておらない。そして従来はレーバー・ボスがありまして、或る程度この調整をした。それもできないというようなことで、私の部下の職員等は朝早く百何十人もの日雇労務者と一日この芝浦の岸壁に過すというような現状でありました。当時まだ労務者が、ここにも書いてありますように宿所がないので、ガード下だとか公園におるというために、私も当時非常手段として焼けました小学校、中学を一時借りるというようなことをいたしました。これが癌となりまして、二、三年前までこの学校の復旧にも非常に困難を来たしたというような状況で、又その当時の状況といたしましては、非常手段を講ずるのほかないというようなことでありました。併しそれはそれといたしましても、何としてもやはりこうした社会事業をするにつきましてはその人の力、意思というものを十分に調査研究をして適当な処理をしなければならんということはこれは当然であります。甚だこの点遺憾に存じております。
  80. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでその今お聞きをいたしましたその依頼状の中にはですね、そういう事情で、当時の事情であるから衛生試験所を一つ処分をして、拂下げをしてもらいたいと、そういうような施設にしたい、してもらいたいというような趣旨のことはわかるのですがそこでそれを誰それに拂下げてくれというようなことが本文の中には明確になつていないのですか。例えばこの本件聖十字学園代表者誰それということにはなつていないんですか。
  81. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 今のこの文書は副申でございますので、従つて本文の中にはどこの誰というのは……副申だけを持つてつておるのでございますから……、失礼いたしました。
  82. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、この場合の東京都の意思というものは、聖十字学園の代表者という指定した人間を目当にこれの拂下げを、依頼状を出されたと、こう解釈していいんですか。
  83. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) そうでございます。
  84. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今度はそういう者に、聖十字学園の代表者に特にこの依頼状を書くということですね、これについては一体どろなのか、というのはまあ東京都の管内では相当御信用なざる、こういう社会事業団体なり社会事業家が多々私はあると思うのですね、あると、若しかこういうようなものをそういう施設にする、或いは我々であれば、物を買う場合或いは物を建築を依頼する場合、そういう場合にはできるだけいわゆる信用のある店へと或いは信用のあるところに建築を依頼すると、こういう形になるんですね。ところが東京都の中には私は相当な数め社会事業団体があり、而も東京都としても、社会的にも又十二分に信用ができる者があるにもかかわらず、特にこれを選んだということ、この経緯について一つ御説明を願いたい。
  85. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) これは当時の民生局長でありまする上甲さんにお眼にかかつてお話をしたのでございまするけれども、これは要するに磯川さんという人が参つての話に私は伺つております。それからいま一つは、社会事業家はたくさんございますけれども、あれだけの燒跡を、大きな施設というものをする熱情と申しますか、意欲に駆られたといいますか、そういうような人は当時まだ見つからなかつたというように私ども考えておるのですが、そのときたまたま磯川さんが参つたので、それじや一人でも二人でもここへ入れてもらつたら大変結構なことだからというので、十分の調査もせずに出したというのが本件の誤りのもとだというように私考えております。
  86. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではまあその点は非常に杜撰であつたということも東京都のほうからおつしやるんですからつ、これを今更責めて見ても、これはまあ過ぎ去つたことでありますが、もう一つは、ここに磯川が事業を開きましてから今日までの間において、東京都或いは政府から東京都を通じて出された補助金であるとか或いはその他の赤い加根の募金の金であるとか、或いはいろいろな浄財が集められておると思うんですが、これがどれだけの金額がここに行つておるかということ、これは今直ぐでなくとも、あとから資料にいたしましてお出しを願えれば結構だと思つております。それからまだ東京都のほうにも二、三お伺いしたいという点がありますが、これをお伺いすると非常に時間も長くなりますので、今係りの者から、非常に時間もお急ぎでほかに御用事があるそうでありますから、私はこの程度に一ついたしておきまして、次に厚生省のほうに伺うんですが、厚生省昭和二十三年の二月の五日に大蔵省に対して東京都知事の依頼を副えてそうして貸付け若しくは拂下げ方の申請があつたと、こういうことですが、これは厚生省としてはどういうような根拠で、ただ單に東京都から依頼状が来たからというだけで大蔵省にこれを紐付きにして要求されたのかどうかということ、それとも又これが要求する前にですね、十二分な調査をして、そうしてこれなれば間違いないという確信の下に大蔵省に対して御要求されたのか、その点について伺いたいと思います。
  87. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この前もお許しを得たと思いますが、この用途廃止並びに財産関係は児童局の所管でございませんで、会計課の所管でございます。従いまして私からお答えするのは適当でないと思うんでありますが、当時の会計課の事情を私聞いて来ましたので、それに基いてお答えをしたいと思います。お許しを得たいと存じます。この二十三年の二月四日付で大蔵省のほうに厚生省が出しました書類は、たしか厚生省としては当該国有財産はいわゆる公用財産としてもう使用する意思はないから、これを雑種財産でございまするか、さようなものにしてもらいたい。従つて大蔵省にこの財産を引継ぎますと、こういう趣旨の照会がございます。なお、その引継ぎについては聖十字学園というものからこういうふうなことで願い出があると、それに対して東京都のほうから副申が附いておるから、それをお含みの上で御処理を願いたい、こういうふうな、私書類をよく覚えておりませんけれども、そんな趣旨のものであつたと思います。従いましてその当時会計課といたしましてこの法人が適当なものであるかどうかということを審査をいたしたようなことはないと私は想像いたします。
  88. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 もう一つはですね、厚生省のこの本件の衛生試験所がまだ引継がれない以前、いわゆる厚生省の所管にある当時、この間にですね、それの処分についてどれだけのものはどこに持ち去つて、そうしてそれを何に現在使つておるか、それからいつどれだけのものを売拂つたか、誰に売拂つたかということの明細ですが、これを一つ資料としてお出しを願いたい。それから厚生省のほうの資料は一応その程度にいたしておきまして大蔵省財務局ですか、財務局のほうは、これを厚生省から引継いで、そうして今日までに土地建物以外のいわゆる施設或いはスクラツプ等の拂い下げその他についての資料をお出しを願いたい。そういたしますると、土地建物以外のいわゆる財産というものの処分の状況がこれではつきりして来る。当時衛生試験所にありましたところの施設の見取図並びに附属品等は大体において調査をしてありつますから、それと売却その他によつて移された、他に所管替えされたものとの間で一致するかどうか、これを先ず検討してみたいと、こう思つております。それから当初に大蔵省が検査院のその注意があつて、そうして三十八軒の店舗とそれぞれ更改契約をしたと、その後又全面的に解除をされたということですが、その全面的に解除をされた分についての処置はどういう工合にするつもりか、現在どういうことになつておるのか、それをちよつと説明願います。
  89. 井上義海

    参考人井上義海君) その件につきましては先ほど一応御説明申上げたのでございますが、四月十五日付で契約全面解除通知を出しました。二十二日書付で抵当権が設定されておりますから、それの消滅をして頂きたいという通知を出しました。更に翌日不動産が転売されることを懸念いたしまして、所有権移転についての手続を民事局に提起いたしまして、これが五月の二十一日に設定をされております。それからその後五月二日付を以て契約解除について再考されたいという陳情書が出ておりまするが、これにつきましては契約解除を再考することは非常に困難である。解除後の措置を円満に遂行して行きたいから話合いをしたいということで、第一回の話合いは五月三十日に園長理事長が来られまして話をしたのでございます。それで今後も引続いて話合いをしまして、できるだけ円満に抵当権は消滅さして頂いてそれから私どものほうから返す代金、それから委託事業として相当用役費をかけておられます。そういうものを一つ、それから上野信用金庫に転売されておりますが、これはすでに上野信用金庫登記済みでありますので、損害賠償金銭賠償になると思いますが、そういう金額の算定、そういうものについて今具体的に折衝中であります。できるだけ円満な解決を見たいと努力しております。
  90. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  91. 飯島連次郎

    委員長飯島連次郎君) 速記を始めて。それではなお本件に関しては資料の要求等も二、三ありましたので、この資料の提出を求めた上で追つてもう一度本件について協議をしたいと思います。  本日はこれで散会いたします。    午後零時五十五分散会