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1952-05-21 第13回国会 参議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十一日(水曜日)    午後一時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            長谷山行毅君            溝淵 春次君            飯島連次郎君    委員            郡  祐一君            瀧井治三郎君            西山 龜七君            宮田 重文君            伊藤 保平君            森 八三一君            栗山 良夫君            小林 孝平君            カニエ邦彦君            田中  一君            菊田 七平君   政府委員    通商算産業大臣    官房会計課長  伊藤 繁樹君    郵政省監察局長 成松  馨君    郵政省経理局長 中村 俊一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    郵政省郵務局輸    送課長     竹下 一記君    会計検査院事務    総局次長    山名酒喜男君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)(第十二回国会  継続)   —————————————
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今より決算委員会を開会いたします。  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算ほか二件を議題に供します。  本日は前回に引続き郵政省所管の分について御審議を願いたいと思います。批難事項の問題に入る前に郵政省から委員長宛書面が参つておりますから、専門員をして朗読させます。
  3. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) この書面前回審議のときに郵政省出入の或る商人が甚だ面白くないことをしたようであるが、それについて同じような事件電通省においてはその商人出入を差しとめることにしたという話でありましたが、前回のこの席では郵政省のかたからその点について余り明瞭でないお答えがあつたのであります。それでよく調査されましたところが、事情がわかつたものでありまするから、只今読上げまするこの書面郵政大臣官房資材部長大塚茂さんから決算委員長宛で出されたのであります。    昭和二十四年度決算検査報告事項に対する補足説明について   昭和二十七年五月十六日の貴委員会におきまして、昭和二十四年度決算検査報告中第五一八号「物品を高価に購入したもの」に対しまして、御説明申上げましたが、なお説明不充分の点がありましたので、左記を補足いたしますから、よろしくお取計い願います。     記   契約相手方東京三友物産株式会社に対しましては、昭和二十五年九月以降当省への出入を禁止いたしまして、その後は全然契約を締結いたしておりませんから御諒承願います。  以上……。
  4. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に批難事項第五三〇号及び第五三一号、即ち財務諸表に関する事項を問題に供します。先ず専門員の御説明を願います。
  5. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 五三〇号と五三一号は、財政諸表に関してその表示適確でないものと批難されているものであります。検査院報告によりますると、郵政事業特別会計貸借対照表借方のほうに十七億円余りの金額計上されていないものがある。その項目は繰替払の未補填額というわけであります。それが計上されていないが、それは検査院の御見解では、繰替払いをした簡易保険保険金なり郵便年金なんかについて、その特別会計歳出予算不足であつたので、こういうような表示方法をしておる。即ち未だ補填されないほうのお金は、これを当然資産勘定計上すべきであるのにそれが計上していない。その代りそれと算盤を合せるために、保管金保管金勘定という項目から同じだけの金額が減少されておる。それは財務諸表表示方法としては適切でない、こういう御批難であります。それに対して当局から出ておりまするこの説明書によりますると、郵政事業特別会計はいろいろ複雑な金銭の出入りなどを含んでいるので、なかなか計算がしにくいから、正確にそれをやろうとすればやつてできないことはないが、非常に煩雑な手数経費とを必要とする。それでやつてないと一応書いてありまして、それにすぐ引続いて、併しながらこれらの歳入歳出関係現金は一括して保管金として計上してある。一々項目を分けないで一括して保管金として計上してある。但し別に詳細な計算表を作りまして、その計算の内訳を明らかにしております。こういう弁明が出ておるのであります。この弁明を見ますると、弁明それ自体が前後撞著しておるということでもありまするし、又検査院指摘されておりまするその指摘の的を外れたことで、ただ徒らに忙しい忙しい、事務が煩雑だということばかり書かれておるのであります。それでよく当局のかたについてその事情を詳細に聞きましたところが、結局この問題は当時簡易生命保険事業を合理化する必要があつた。それは戦争前の古い契約などは、契約一件僅か二百円、三百円、五百円というような小さい契約がたくさんあり、その掛金のごときは毎月々々僅か二十銭、五十銭といつたような僅かな金額なものがあるので、それでは到底今日の物価騰貴事情の下においては、そのような事業をやつておるわけにはいかない。徒らに費用倒れになつて困るというので、この事業合理化のために保険金増額運動を起されたのであります。勿論保険法改正されまして、契約金額を何万円と相当大口まで契約ができるようになりまして、それに従つて、一口に申せば大口契約の補充、もつと正確に申しますれば、従来の小口契約を増額させるというような方法をとつたのであります。そういたしますると、勿論その結果としまして、新たに簡易保険契約はたくさんできまするから事業は非常に健全になります。併し予算の中に計上してありまするところの解約払戻金、即ち従来の小口契約解約をしたというような形になりますると、その払戻金を払おなければならない。それが予期しない金額に上るものでありまして、当時予算の範囲内でできる限りの方法をとりましたけれども、到底その金が足りない。併しながらそれは解約された契約払戻金を払うということは法律上当然の義務でありまして、どうしてもやらなければならないことであります。それでその辺に都合の悪い、法律運用が円滑を欠くという点がありましたので、結局こんな形に整理をしたのであるということであります。それで法律運用が従来のままでは甚だ窮屈で実情に適しないということは、これはもう今日の事情では明瞭なわけでありまするから、次の年度、即ち二十五年度からは簡易保険のほうも、それから郵便局のあの郵便事業も、それから電通省電信電話のほうなどにいたしましても、事業の分量が多くなつて、それがために費用が多く要るという場合には、一定の予算以上に特に必要なる経費を支出してもよろしいというふうに改正されておるのであります。その改正の結果といたしまして、二十五年度以後はこのような不都合はもう決して起らないことになつております。どうかまあ二十四年度のところは、事情も止むを得なかつたことであり、保険事業の経営を健全化しようという点からやつたことでありまして、二十五年以後には適当な方法郵政電通を通じてとられておりますと、こういうふうの説明であつたのでございます。そういうふうに事情内容はつきりわかりますれば、まあ強いてこれはやかましく言うほどのことでもないのではないか、併しいずれにいたしましても、検査院の御指摘のように、決算報告貸借対照表などには借方金額借方貸方金額貸方、収支をすべてとつて資産負債状態を明瞭に作ることが適当でありまするので、二十五年度以後には十分注意をいたしましたという、こういう返答であります。  それからちよつと、これに関連いたしまして、一つこういう希望がございますので、こんなふうにでもして頂ければ、審査の上に有益ではなかろうかと思いまするが、簡易生命保険及び郵便年金決算報告の中には貸借対照表及び損益計算書が添付されておらないのであります。これはもう今日始まつたことでなくて、大正五年にこの事業が始まつて以来そうなつておるわけであります。ほかの特別会計を見ますと、ものによつてはないものもありまするが、簡易生命保険事業のごとくに、詳細なる事情を国民に公表するという必要のありまする種類のものにはほかの特別会計では貸借対照表などが添付されておるのでありまするから、どうかこの郵政省におきましても、今後はこれを添付されるようにして頂いたならば、なおよろしいかと気がついたのでございます。  それから次の五百三十一号は、出納官吏取扱つた歳入歳出金の計理額及び資金残高が甚だ不正確でありまして、検査院検査によれば、金額の符合しないものが大変多いから、もつと正確にやらなければいかんという御注意でありまして、これに対して当局からの弁明書には、何分にもこの特別会計には郵便貯金だとか、郵便為替だとか、各庁の国庫金出入りとか、簡易保険とか、随分巨額に上る金額で、而も全国多数の郵便局で扱つておる、口数から言えばまあ大変な口数で、その金額は小さい金額が集まり集まつて大きい金額になつている。そういうふうの場合に或いは報告書が延着になり、悪くすれば郵便が不着になるというようなこともあり、或いは取扱者算盤違いというようなことも実際問題としては免れないのでありますので、どうかお許しを願いたいが、今後は十分よく注意するようにいたしますということであり、なおこの二十四年度の不符合につきましては、その後十分調査の結果、現在までには殆んど判明をしているが、なお引続き整理中であるということであります。そういうような事情でございます。
  6. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に会計検査院及び郵政省当局において特に説明を要する事項がございますれば、御説明を願います。
  7. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 五三〇号及び五三一号の問題の両点は、只今専門員からお話がありましたのと同趣旨でございまして、特に附加えて申上げることはございません。
  8. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 只今専門員のかたから御説明がございました通り、私どもほろからお出しいたしました説明書の書き方と申しますかが、十分意を尽しておらなかつたという点があつたように存じます。で、この際これを補足する意味におきまして、少し申上げておきたいと存じます。  五三〇号は問題は二点あるのでありまして、第一点は繰替払の未補填額の十七億何がしというものを財務諸表貸借対照表借方のほうへ計上してないではないか、こういうふうに、つまり計上すべきものを漏らしておるではないかというような感じに受取られるのであります。ところがそれは漏らしておるのではございませんで、御承知のように郵便局簡易保険、ほかもそうでありますが、簡易保険掛金を収納いたしますというと、それは簡易生命保険会計ほろ郵政省から払込まなければならない。それから保険金支払いましたならば、その支払いましたものは郵便局の窓口において立替払いをしておりますので、その分は保険局会計のほうからこれを貰わなければならない。つまり保険において差上げるものと保険局からもらうものと、こういう両方があるわけでございますが、今までの私どものほうの財務諸表表示では、その保険会計に差上げるものと、保険会計からもらうものとの差引いたしましたネツト保管金として上げておるのでございます。従つてここにいう十七億何がしというものが計上してないということは、これはまあこれをすらつと読んだためにそういう気がするということでございますが、計上はしてあるのでございます。差引して計上してあるので、決してほかに隠してあるわけでも計上漏れでもないのであります。その点を申上げておきます。  それから第二点は、保険会計のほうの予算不足であつたために、補填を受けなかつたということ、これが延いて財務諸表の上にはつきりしてないと、こういうことでございますが、この事情は二十四年度に特有の事情でございまして、この委員会で一番最初に専門員さんからも、又、会計検査院のほうからもお話がございました、つまり簡易保険事務費が相当多額にかかつておるではないか、これを合理化する必要があるというお話がありましたが、それに関連することでございまして、私どもはできるだけ簡易保険事務費を減少したい、こういう意図の下におきまして、先ほどもお話がありましたように、少額契約をできるだけ高額契約に振替えて行きたいというので、二十四年には国会法律を提出いたしまして、少額契約整理に関する法律ができたわけでございます。この少額契約整理というのは、一応少額契約解約いたしまして、その解約還付金というものを支払らうわけでございます。従つて少額契約整理といたしますと、例年ならば満期か或いは特に必要があつて解約いたしました際に保険金支払うおけでありますが、こういう人為的に少額契約を解消いたしますというと、それだけ保険金払い還付金支払わなければならん。その金額は実は件数にいたしますと千五百万件ぐらいやつたのでありますが、そういう非常な多くの少額契約を解消いたすために還付金が一時に殖えた。これに対して遺憾ながら予算不足いたしておつた。こういう特殊の事情でございまして、二十五年以降はそういうことは一切ない、少額契約整理は続けておりますが、それに対して予算的措置もいたしておりますので、こういうことは載せておらないのでございます。この二点を補足して御説明申上げておきます。
  9. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 質疑のあるかたは御発言を願います。
  10. 森八三一

    ○森八三一君 今郵政省の御説明で、払込む金と払出す金とを差引きしてネツトだけが上つておる、未計上ではない、未記載でもない。案質的には記載されておるんだということの意味はよくおかりました。わかりましたが、そういう計理では、私は郵政事業特別会計の計理形態というものを詳細に承知いたしませんので、了解いたしませんから間違つた質問を言うのかも知れませんが、計理の通念から行けば、これは差引きネツト計上するということは、その事業の実質を物語らないということになるので、この計理としては非常にまずい計理だと思う。かようなことでは不正があつてはつきりせんために非常に困難な問題が巻き起つて来るという危険があるように思うのですが、現在でもそういう計理が行われているのかどうか。
  11. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 御尤もな御質問と存じます。御説明を申上げますと、この保管金計上いたしておりますものは、簡易保険郵便年金のそういう金額だけでございませんで、御承知のように郵政省所管には郵政事業特別会計に所属する郵政歳入金郵政歳出金、こういうものが先ずおいてあるわけです。そのほかに簡易生命保険受払金、或いは郵便年金受払金、これは会計的に申上げますというと、簡易生命保険特別会計歳入歳出金でございます。それからそのほかに貯金受払い貯金を払つたり受けたりすること、それから又国庫金取扱つておりますが、この国庫金郵便局受払いをいたしております。そのほか失業保険或いは又収入印紙、いろいろな、数え挙げて見ますというと、十個以上の関係を持つ会計との金のやりとりをやつておるわけであります。そういうことで、現業ではそれを一々現金に入れるわけじやないものでございますから、すべて現金一団として計理をいたしておるのでございます。それではその内容受払いがわからんではないかという御質問でありますが、これはすべて郵便局からその日に受払いをいたしました金額は、すべて出納日報を以ちまして全国三十九カ所にある調査局という所へ送つておるのでございます。この調査局では、大体一府県調査局でありますが、その府県内の各郵便局のそういう受払いを全部集計いたしまして、そうして管内のA局B局との間に交渉のありました例えば資金課徴金受払いといつたようなもの、出したもの、受けたもの、そういうものが来るものでございますから、それを対照して、突き合せて正確かどうかということを検討して、そうしてそれが又集まりまして中央に参るわけでございます。同時に今度は先ほど申上げました会計との間の受払い、つまり簡易保険から言いますというと、簡易保険特別会計からは郵政会計に対しまして、保険年金取扱に要する事務費の繰入れをやつてもらつておるわけでございますが、そういう繰入れは地方の郵便局単位では送りませんで、中央収入出納官吏の所へ送ります。その受払い収入出納官吏の所ではこれを毎日集計しておるわけでございます。そういうものを年間差引合計いたしますというと、どの会計支払うのが幾ら、どの会計から受取るものは幾らということは、これはわかるのであります。従つて郵政事業特別会計にのみ今貸借対照表作つておりますが、この郵政事業特別会計における貸借対照表郵政歳入歳出金を中心といたしまして大体できておりますが、その際にこの簡易生命保険或いは又郵便貯金国庫金、そのほか関係のありますたくさんの会計権利義務をすべてこれを源泉別財務諸表の上に挙げるということは、実は郵政会計自体には何ら関係のないことでございまして、いわゆる歳入歳出外現金として通過する性質のものでございます。で、それが全然内容がわからないものではございませんので、先ほど申上げたような詳細なるものを以て受払いをしておりますので、それの点をただ郵政事業特別会計貸借対照表には一団として保管金として挙げておる、こういう恰好になつておるのでございます。大変複雑説明がまずかつたんでございますが、大体そういうことでその間に不都合の点もございますし、内容はつきりいたしておらないが、こういろ仕組になつております。この点に関する制度昭和二十二年郵政事業特別会計法改正以来そういうことで今日までやつております。で、検査院のほうでお話のようなことが全然できないというわけではございません。併し大変な手数に対してそれだけの実益があるかどうかという問題がそこにあろうかと考えます。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 今の説明を聞きますと、わかつたようにも思いますのでありますが、前項私の質問いたしましたこと、更に検査院指摘されておりますのは、歳出予算不足であつたために、その分だけは未補填で繰越したというように指摘されておるところとの関係からいたしまして、私の持つた疑問はまだ多少氷解されん点もあるように思うのでございますが、検査院ではどう見ておりますか。
  13. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 五三〇号ですが、今郵政省局長からお話がありましたように、要点が二点ありまして、第一点は財務諸表表示適確でないということ、第二点は予算超過したものが予算超過したようにならなくて、予算超過支払立替分財務諸表の上から消えておりはしないかということ、つまり実質的には予算超過支払、それから形式的には財務諸表表示適確でないということがここへ出ておる。それで今御質問がありましたように、この財務諸表の上に表示するものは総計主義でなければならないので、純計で挙げるということは、これは只今質問趣旨にありましたように、全体の活動状況財政状態というものは隠されてしまう虞れが多分にあるのではないか、変な話ですが、現金の多い分と現金少い分とどちらも事故であつた場合に、それを純計で差引いて出すというようなことは、原因がわからなくなつて財務諸表の上の全体の活動状況財政状態というものが純計では不正確になるということ、その建前で私どもも出したわけでございます。年度末には立替分がとにかく十七億ある。簡易生命保険及び年金関係預り金がまだ相当あるわけでございますが、立替請求債権が十七億四千二百万円ばかりあるので、それを財務諸表の上に現れていた保管金のほうでプラスしたものを出した、保管金に預かつたものをプラスして出した。総計で出すべき筋合のものでありますが……。実質的には或るほど現金計算で行くと純計の上では合うということになりますが、建前としては、貸借というものはそういう純計で出すべき性質のものではないので、両方でちやんと出して、債権は債務ではつきり出し、保管金保管金できちんと出そう、こういう議論の立て方でございます。ここは財務諸表総計主義という建前を私のほうはとつて出したものでございます。
  14. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは、今郵政省のほうではなかなかそういうわけに行かんと、やりにくい、やつてやれないことはないが、非常に手数がかかつて大した効果もないのじやないかというお話ですが、それほど今検査院言つたようにするためには、今郵政省言つたよう手数がかかるのか、もつと検査院検査をして眺めた上で、簡単にやり得る方法があるのかですね、それは検査院のほうはどうなんですか。
  15. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 五三〇号の政府の答弁にありますように、別に詳細な計算表を作成して、おのおの計算仕訳を明瞭にするように措置しておるということで、とにかく保管金がどこのために幾ら保管金、どこのために幾ら保管金があるという現状を明らかにするという措置が行われておるわけです。そうすれば最終試算表に出て来て貸借対照表に出て来るのは、これは貸借対照表作成上の本当に手間だけの話なんで、基本になる仕訳資料が詳細な計算表を作成してあるのだから、おのおの計算貸借対照表に載せるだけの手間です。毎月々々整理してこれをきちんと財務諸表に出すということは手間がかかるかもしれませんが、少くともその年度末における貸借対照表としては詳細な計算から引出して来ればいいわけですから、私はできると考えております。
  16. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) これは併しそう簡単には参らない。只今私が詳細な計算ができておると申しますのは、いわゆる貸借対照表を作るための、いわゆる仕訳及び合計残高試算表として貸借対照表基礎資料としてそういうものを作つておるのでありませんので、これは郵便局におけるその日の受払いというものを御承知のように現金出納日報というもので作つておる、それを集計いたして参りますと、そういう間の関係計算上出て参る、こういうことでありまして、合計残高試算表作つて、そうしてそれを貸借対照表に作るという、こういうことにやるには、やはり全部のほうの仕訳例によつて仕訳をして出して日々整理をしておかなければできないんで、このことはそういうことでこれは大変な手数なんですが、この郵政事業特別会計貸借対照表制度を採用いたしまして、まだ日が浅いのでありますが、現在そういうことがまあ間違いなくできるようになつたということで、相当やつてみますと、そう簡単なことではないのであります。それで郵政事業歳入歳出にではない他のいわいる歳入歳出会計に繰入れる、これが一々金額にすると何兆という金になりますが、そういうものを一々十幾つの特別会計関係のあることを仕訳にするということはこれは大変な手数であるということを申上げておるのであります。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点がどうもはつきりしないと思うのですが、大体結論的にこの最終のものが出ておるのだから、従つてその結論的なものは何によつて出たか、それらのものの集計扱い方がどうのこうのということでやれるかやれないかという問題ではなかろうか。いずれにしてもその最終集計に至るまでの間においては、やはり一通りその手数を経て来なけばならない。経ずし最終的なものが出るわけではないのだから、従つてその道中においてどういう工合に一体処置されたのか、こういう問題じやなかろうかと思う。それはおやりになつてみてやれないということは勿論これは言つておられないが、非常にその国費を費やすかどうかということですね。非常に国費を必要とするかどうかということ、それが一体どの程度そうするための国費が必要であるか。どの程度の人員が要るか、いわゆる人件費、物件費がどれだけ要るか、そうするために……ということになるだろうと思う。それは一体どの程度のものですか。まあ会計検査院が言うようにやるためにですね。
  18. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 今カニエ委員からの御質問に対しまして、実はこれは的確に人件費、物件費を申上げることはちよつとできませんが、少なくとも検査院がここで御指摘になつておりますのは、これは簡易保険郵便年金だけを御指摘になつているんですが、これは簡易保険郵便年金だけの問題ではないと思うんです。この論を進めて参りまするというと、郵便貯金も、そうして保険もそうでしよう。そういう保管金を全部ばらばらにいたしまして、そうしてそれの貸し借りというものに当てて行こう、こういうことでありますので、そうなりますというと、これはまあ計算をいたして見ませんとわかりませんが、私どもいろいろ郵政事業特別会計貸借対照表作つている点から申しますると、相当のこれは……。こういうことしか申上げられませんが、なお国費でありますならば、そういうふうなものを計算して差上げてよいかと存じますが、如何でございますか。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 検査院はそう至難ではない、やれる、ところが郵政省ではやれんと言う、やれないことはないが相当困難である。果していずれが正確であるかということについては我々も一応検討をやはりして見なければいかん。従つてそれらについては郵政省のほうに何か意見があれば簡単な資料でも出して頂く、検査院のほうも意見があれば適当にそれらについての一つ意見をもつと具体的にですよ、抽象的でなく、これは検査院報告は別に抽象的というわけじやないが、これをなお一層掘下げて一つ示して頂きたい。  もう一つ伺つておきたいのは、いわゆる現在おやりになつていることは、まあいわゆるどんぶり勘定だ、プールして、中でどんぶりにして、そこで結論はこうだということに出て来ているんじやないか。その基礎が一つ一つ明確になつているということじやなくして、全部どんぶりした上でやつたようなものだ、こういうことじやないかと思うんです、一口に言えば……。だから結局国の事業は、これが国民に対するところの影響も非常に強いところから考えて見ると、やはりでき得るならばそういう明確なものにするほうが適当ではないか。併しながらそれをこしらえるためには相当にいわゆる国費を使つて、そうしてやつて見て、それが全体の利益に何もならないということならばこれは別として、恐らく会計検査院が言つているように、やはりそうすることが直接、間接に業務の合理化を図り、そして又業務能率の上においても明確になつて来るというような点では、少々の国費を使つてもやはりいいんじやないかというような考え方をしているわけです。そういうような考えからして、それまでには至らないというような御意見があらば一つこの際承わつておきたいと、こう思うのです。
  20. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 一つこの問題につきましては、私どものほうとしても十分今カニエ委員の御親切なお話趣旨を含むようにいたしまして、研究をいたして、そうして私どものほうとしてこの問題に対しては改めて御意見を一つ申上げたいと存じます。この際私ちよつと承わつておきたいのは、これは単なる簡易保険郵便年金だけのことでありますけれども、この問題を検討するには、どうしてもそれだけではなくして、保管金というものの中身をすべてばらしてしまう、こういう趣旨である場合と、それから簡易保険だけを挙げるという場合は、これは相当違うわけでありますから、その点を一つ御意見を伺つておきたいと思います。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私はでき得ればやはり全体のものをばらして、そうしてこれをいわゆる一本の縦筋において行く、そうして最終的にそれを横に結んで行くという考え方を持つておるのですが、併し恐らく永年郵政省のほうでやつて来られて、それを一挙にそうするということは非常にまあ実際問題として困難があるのじやなかろうかと思われるのです。そこでやはりでき得る限り大きなものから明確にして行く、こういうことで逐次その線に沿つて改善を加えるということでなければ、実際問題としてはいかんのじやないかと思われるのです。併しながら、仮にこの場合十あるものを大きなものを二つやる、併しながらあとの八つはそのままにしておくということであれば、結局やはり全体のものが明確にならんことになるのです。だからそういう意味ではやはり明確にしなければならんという考え方ですね。そこでたまたまこれが国のいわゆる事業であるからまあこういうことになつておるのでしようが、これが民間のいわゆる銀行であるとか、或いは民間事業団体の事業であつたら、果してこういうことをやつているかどうかということなんですね。恐らく私は如何に複雑でも、手数がかかつても、これが民間の事業であり、又銀行等の場合であれば、やはり明確にきちつとしておるのではないか、恐らくは明確になつているのではないか。そういう点で一つお考えを願いたいと思います。  なお検査院のほうに承わつておきたいのは、検査院のお考えは、今の郵政省のお問いに対してどういうようにお考えになつておりますか。
  22. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 保管金は、郵政省でもお話のありますように、非常に厖大な金額になるし、又その内容も十七、八項目になることは事実でありますが、大体併し保管金の貸し借りがはつきりしなければ、支払元受高を超過して支払つてはならんとかいつたような制限も、貸しが幾らある、借りが幾らあるということがはつきりしなければ、支払元受高をとにかく超過して払うというような問題も、その法律の制限を確実に忠実に守つて行くことがなかなか困難ではないかいとうことで、願わしいことは、これだけの保管金源泉別の貸し借りをはつきりして頂くことは何としても望ましいことである。併し今お話のように、これを全部一遍にやるということはなかなか困難である。併しこういうふうに予算を超過して支払いをして、簡易保険立替払いがあるのに、立替金が財務諸表に載らんのは何としても変だと、だから最小限度そういうような異例のものから片を付けて行つて、全体として貸し借りがはつきりして行く方向に持つて行くことが事務の修練として望ましいと、こういう意見であります。
  23. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕    〔委員長退席、理事長谷山行毅委員長席に着く〕
  24. 長谷山行毅

    ○理事(長谷山行毅君) 速記を始めて下さい。
  25. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 実はこの際ちよつと私弁明をいたしておきたいと思いますのは、先ほどから、今のようなやり方では、歳入不足であつてもその支払元の補填をするせんということまでどうも不明確じやないか、そういうことではどうも困るというようなことで、何かこう各会計とのやりとりの数字が明確でないというような印象を受けるようなお話がございましたが、これは財務諸表の上でそういうものが保管金として一括して上つておるという問題と、それからそういう内容保険会計のほうに幾ら支払い、保険会計から幾らもらう、そういう計算はつきりしていないということとは全然別問題でありまして、これは財務諸表にそういうばらばらにした形式のものを上げるか、一括した形式のもので財務諸表へ上げておくかというそれだけの問題でありまして、郵政省として、保管金の内訳がどういうふうになつてつて、どこの会計からは幾らもらわなければならん、又幾ら払わなければならんということは、毎日これはもう現業の窓口で受払いした金額出納日報というものに上つてはつきりしているのでございます。従つて、そういう計算方式で明らかにすることがよろしいか、それとも年一回の財務諸表にそういうものを上げるのがいいかということは、一つの技術的の問題でもあるわけでございます。それで我々のほうの計算が如何にも不明確であるというような印象を若しお与えしたというようなことでありますれば、これは私は非常に遺憾なことでありまして、そういうことは絶対にございません。これは私どものほうの計算組織を御覧願いますというと、一目瞭然でありましてむしろ精細に過ぎるくらいの精細なことをやつているわけであります。これは勿論国家資金というものの計理には当然そうあらねばならんことをやつているに過ぎませんが、これを財務諸表の上にばらばらにして上げるかどうかという問題は、その計算内容はつきりしているかしておらんかということとは別の問題として私は申上げているのでありますから、どうぞその点誤解がないと思いますけれども、申上げておきたいと思います。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の通りで、恐らくそれはほかの建設省とか或いは各省の内容と違つて現金そのままを出し入れしてやるのですから、それは今郵政省から言われた通りでなければならんでしよう。又そんなことでなかつたらこれはもう大変なことになつてしまう。だからこれはまあそれで当然だろうと思う。が併し、先ほどから議論のあるのは、やはり明確にするということが直接間接いろいろな成績の上にもよい結果を来すようなことも或る場合においてはあるのではなかろうかということ、それから建て方自体がやはりそういうことのほうが本筋ではなかろうかということ、そこでまあいろいろそれを実行するためには、一体可能であるか、或いは困難であるか、そうすることが結論的に非常にいい点はどういう面が出て来るか、そうするために欠陥はどういうものが現われて来るかということについて検討しなければ我我もわからん問題なんです。そこで今言つたように、会計検査院にも、両方に一応書面なり或いは何なりでお出しを願いたいと、こういうことを要求しているわけです。
  27. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) ちよつと私の言葉も足らなかつたかも知れませんぶ、詳細な計算表が出れば、世間普通にやつておる貸借対照表の立て方の方向に持つて行くのが正しいのではないかという議論の建前から持つてつたわけなんです。郵政事業特別会計貸借対照表は、立替金は保管金と差引き計算で、とにかく載つていないのだという約束ずくがどこにも書いておつてはつきりして、そうして世間どこでもそういうふうな立替払いは差引き計算になつて、とにかく保管金の中から引落されて載つているのだという一つの約束ずくになれば、それも一つの行き方なんですが、併し世間普通の行き方で行けば、大体総計主義ということになればこれが上つて来るのではないか。それに関連して今のお話のように保管金源泉別の貸し借りの問題が出て来るのではないか、こういうお話が出て来まして、それもまあ普通の行き方で行けばそういうふうに行くほうがよくはないかということでありまして、この問題は結論的に私の気持を申上げますと、郵政事業特別会計財務諸表にはとにかくそういうものが約束されるのだということが一つの通り相場になつてしまえば、経営首脳者は財務諸表を見ればわかるわけではないかということになるわけです。そういう約束ずくが普通の人にはわからんということになれば、経営首脳者としてはそういうものが載つておれば、全体の財政状態はつきりするのではないかという議論になるわけでございます。結論的には、誤まつておるとか誤まつておらんとかいうことではなくて、経営首脳者が財務諸表を見たときにどういう気持で見るかという見方の問題を、世間一般の人から見た場合にどうなるかと、こういうことになると思います。
  28. 長谷山行毅

    ○理事(長谷山行毅君) 他に御質疑はございませんが……別に御発言もなければ、第五三〇号及び第五三一号は質疑を終了したものと認め、第五三二号から第五五五号までを一括して問題に供します。先ず専門員から説明を願います。
  29. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 五三二号は、職員の不正行為により国損を生じたものというものが一件挙つておるのであります。次に五三三号から五五五号までの間に、職員の不正行為によつて欠損を生じた、それを欠損補填という形で処置をつけたというものがたくさん挙つておるのであります。これは貯金局とか簡易保険局とかなどに関係する事故なのでありまして、ここに挙げてありまするものは、一件十万円以上のものだけがここに挙つておるのであります。  それから次に五五一号から五五五号までの間には、郵便専用自動車の請負料が当を得ないものというのでありまして、検査院検査報告には、最初にそれらの事情が詳しく載つておりまするが、結局その実例を挙げると左の通りであるという書き方で、五五一号以下の一つ一つの事件が挙げられてあるのであります。先ず五五一号は作業時間等の計算を誤まつたものというのであります。次の五五二号は出発時刻の指定が当を得ないもの、次の五五三号は就業時間の算出当を得ないもの、次の五五四号は車両の指定が適当でないもの、最後の五五五号は荷物の量を算出することが適当でなかつたものというのでありまして、それらにつきまして、当局弁明といたしましては、いずれもこの当時それぞれの事情で鉄道との関係とか、その他いろいろなことで余儀ない事情があつてこんなことになりましたが、誠に不注意の結果で申訳がないという弁明であります。ただここでちよつと読んだだけでどうかと思いましたのは、五五二号の問題でありまして、この検査院指摘によりますると、例えば午後四時に郵便局を出るように約束をして自動車を借上げるということにすればよいものを、三時五十九分というような時から自動車を借上げるので、たつた一分間の違いで一時間分の自動車借上料を払うというようなことになつておる。こんな極端な例がある。一分乃至七分というようなつまらないことで一時間と計算されておる。ところが検査院の見解では、これを時間をそれぞれ数分間ずつ繰下げて、四時出発又は五時出発に変更しても業務遂行上何ら支障がないというふうに書かれておるのであります。当局からのそれに対する説明書によりますると、これは運送又は集配便の始発時刻を基礎に置いて、それから逆算して計算をすると、こんなふうの妙な時間になるけれども、まあ止むを得ないことでもある、但しすべてがそうだというわけではなくて、中には業務上の便宜のみを図つて、時間のほう、言い換えればその費用のほうを注意しなかつたものもあつて申訳がないというような説明になつておるのであります。なおその後の始末を聞いてみたところが、ここに挙げられておりまするのは、路線が十八路線があります。それらの中で大抵のものはそれぞれ時間を繰下げて適当に整理をいたしました。尤も中には多少時間を反対の方向に繰上げたりしたものもあつたりいたしまして、結局合理的な方法に改めることにいたしましたと、こういう説明がついておるのであります。一つ一つの事件につきましては特に申上げることはございませんのです。
  30. 長谷山行毅

    ○理事(長谷山行毅君) 関係当局から特に説明を要する事項がありましたら、先ず御説明をお伺いしたいと思います。
  31. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 只今専門員のかたから御説明がありました通りでありますが、特に国家に国損を及ぼしたもの、或いは不正行為によつて大切な国のお金を費消したり、或いは横領したりといつたようなことに対しましては、今後そういつたようなことを防止するために、郵政省といたしましても従来に増して一層の努力をいたしたいということをここに申上げたいと存じます。一体どういうことをしておるかという点を申上げますというと、御承知のようにこの会計措置につきましては、これは会計関係法令を遵守いたすということはもう勿論でありますが、それに対しまして、会計法規では、或る一つの支出なら支出をやる場合でも、一人の人が命令をし、そうして執行するというようなこと、これはもう一番間違いのもとでございまして、そういうようなことは勿論いたしませんで、命令者と執行者というものを厳然と分ける、或いは又郵便局の窓口等におきましても、事務をやります主任のものと、それから現金取扱うものとは別の人を以てやらせるというようなことで、犯罪等の起る間隙をなくする。或いは又先ほどもちよつと触れましたが、毎日々々の現金取扱いを、多額のものをやつております郵便局では、それぞれ毎日その受け払い現金の内訳を日報といたしまして送りまして、そしてそれを中間でチエツクするために特に調査局というものを設定いたしまして、そこでその内容現金との不符合を是正をせる、こういう方法もとつておるわけであります。それからなお内部的な監査といたしましては、会計検査をやつておることは申上げるまでもありませんが、そのほかに特に郵政省では、二十四年の電気通信省と郵政省が分割いたしました機会に、特に他の省にはございません郵便監察官の制度、司法警察権を持つた監察官制度というものを設けられまして、本省に郵政監察局、地方の各郵政局の所在地に十ヵ所の地方郵政監察局というものがありますと、同時に、各府県に駐在監察官を置きまして、そうして最も専門的に、最も能率的に、今まででしたら一々それらのことにつきまして郵政局所在地から出て参つてつたのでありますが、事務の連絡と経費の簡約ということも会計を考えます場合には必要でありますので、監察官制度と駐在制度といつたようなことをも考えまして、特に犯罪或いは事故というものの絶滅、或いは摘発ということ、或いは業務指導というようなことをやつておるわけであります。なお監察制度ができました後におきまして、申告制度を採用いたしまして、一般通信事業を利用せられるかたから、不着或いは延着その他一切の郵政事業に対しまして申告をして頂くという新しい制度も採用しておるようなわけであります。又貯金関係におきましては、これは御承知通り郵便局の窓口と、それの原簿を持つておりますところの支局というものは、それぞれ別にございますので、支局の原簿というものが一番頼りになる。従つて各種郵便局を通じまして、貯金通帳をときどき引上げまして、それが原簿と合致しておるかどうかというような監査もやつておるというような、いろいろなことを制度的にはやつておるのでございますが、何と申しましても、こういつたことに対しては、従業員の事業に対する正義感というもの、これを活用するということが根本問題と考えますので、それらの点につきましては常に努力を続けておるようなわけであります。それからなおここでちよつと申上げておきたいことは、従来から郵政省には従業員の教育機関といたしまして、郵政研修所というものがございますが、この研修所の制度は、以前税務講習所或いは鉄道教習所といつたようなものと同様にありました時代には、そこで教育する場合には、事業知識は勿論のこと、一般人格教育ということに主眼を置いた教育をやつてつたのでございますが、占領以後、こういう教育というものはもう事業教育でたくさんだ、いわゆる普通学教育とか、或いは又人格教育といつたようなものは国民学校等ですでに修得しているところであるから、事業教育専門にやれ、こういうような風潮になりまして、そのために実は人としての教育ということがいささかおろそかになつたという傾向がございます。併しこれは今日そういう傾向を矯めますために、これからの研修所の教育方針は、そういう人を作つて行くということを重視する方針で、本年四月からすでに始めておるわけでありますが、そういつたようないろいろなことを考え合せ、或いは実行いたしまして、今後とも十分犯罪の防遏等につきまして努力をして参りたいと存ずるのであります。幸いにいたしまして、この部内者犯罪は、昭和二十四年監察制度ができまして、非常に監察官の努力によつて発見が多数であつたというような事情もございまして、それから更に社会情勢の安定化と申しますか、そういつたようないろいろな事情もございましようが、二十五年を契機といたしまして、だんだん部内者犯罪は減少の傾向にあることを附加えて申上げておきたいと思います。
  32. 長谷山行毅

    ○理事(長谷山行毅君) 質疑のあるかたは御発言を願います。
  33. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 五三二はどういうもので、これは山本某というのが現金を三百八十七万三千余円ですか、これを一度に持つてつたのですか。
  34. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 只今のお尋ねに対しましてお答えいたします。  これは札幌郵政局におきまして、山本某というものがたまたま俸給請求の補助者として仕事をしておりましたために、相当長い間に亘りまして毎月の俸給請求をごまかして着服しておつたという事件でございます。
  35. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで三百八十七万三千円から、二十五年の十月末現在で一万三千円しか返していないということですが、あとはそうするといつ返すことになるのですか。
  36. 成松馨

    政府委員(成松馨君) この人間は業務士詐欺横領罪によりまして、昭和二十四年の十月に起訴されまして、十二月に懲役二年の判決言渡しがあつたのでありますが、そういう関係で、金を弁済するにいたしましても、生活困難であるからということで、本人が出所するのを待つて回収しようという考えでおつたのでありますが、出て来まして就職してはおるのでありますけれども、なお返すことができないので、分納を願い出て参つたのであります。従いまして毎月分納さしておるのでありますが、五百円ずつ確実に分納しておるのでありますが、まだなかなか全額を回収するまでには至らないのであります。
  37. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういうことになると、何ですかね。本人以外にはもう取れんということになつて、一体こういうような補償能力のないものに金をなぶらす、或いは補助者にしておくというようなことを全部やつておくと、非常な危険なことになりはせんですかね。それはどうなつておるんですかね。    〔理事長谷山行毅君退席、委員長着席〕 金をなぶらすとか、或いは、又それの補助者にしておるということに対してですね、その弁済能力のないようなもの、何ら弁済の方法も持つていないものに全部やらしておくのですか。
  38. 成松馨

    政府委員(成松馨君) お答えいたします。郵政省関係の仕事におきましては、現金を扱う面が非常に多く、従事している人員数も多いのでございますが、現在の制度におきましては、補償能力あるものに限つてそういうものを扱わせるというところまでは行つておらないのでございます。
  39. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると結局ですね、盗みどくということになりはせんですかね。そういうことになると、仮に懲役には勿論行かなければならん。併しこの今の事実で行くと、二年行つて三百八十七万円、そうすると約月に十五万円の稼ぎになる。そうすると十五万円なら悪くはない。一ヵ月十五万円の率で行くのならこれはいい。そうすると結局本人が懲役に行くということさえ覚悟をきめてかかれば、大変なことになりはせんかね。全部が全部郵政省の従業員がそうだとは言いませんよ。併しながらそういうことで済むということになれば、これは生活に困つて金も使いたい。又この際つかんでおいて、それで将来一つ何か商売でもしようというふうな考え方のものがないとは保証できんですね。これはそうは行かんのだという方法があればいいが、今あなたの言われているように、何ら補償能力はないわ。それに親、親戚も責任をとらんわ、本人は懲役に行つた、出て来た、金は使つて、ないという、その結果、実際上は取れないということになる。その損失は国民が税金で払う。そういうようなことになつてはこれは困ると思うのですがね。
  40. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 誠にお話通りでございまして、例えば犯人が出納官吏の補助員というような場合には、出納官吏に責任を問いまして、善処命令を出して貰うということもございますが、そういう場合でなく、本人が若し無資産でございますと、その資産を差押えてみましても何ら役にも立ちませんので、実際問題としては国の損失に帰してしまうということがあるのでございます。
  41. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 国の損失に帰してしまう、それは国の損失になるんですよ、当然に。今あなたのいわれるように、そういう国の損失になるということを言つて、その上に立つ者が涼しい顔をしておられたのでは国民はたまらない。それでその点はどうなるのか。本人にそういうようなことをやらしておいて、そうしてそういうことで済むということが一般にわかれば、中で少し度胸のある者は、月十五万円の稼ぎだからちよつとやつてやろうというようなことになつて、やり出したらこれは困るのじやないか。そのたんびに国民が税金でその穴埋めをやつて行く。その上に立つておる役人が、それはどうもしようがないじやないかということでは、これは困りはせんか。それはどういうことになるんですかと言つておるんです。
  42. 成松馨

    政府委員(成松馨君) 今の点につきましては、例えば補償能力があれば非常に結構でございますけれども、補償能力のないものに対しては、何か補償制度を設けるというようなことで、事件が起つた場合に、そういう制度から、そういうような資金から補償してもらうということになれば、事業の経営者の立場から見ましても、非常に結構であると思つております。アメリカあたりでは何かそういうふうな制度もあるというふうな話を聞いておりますので、その実態を知りたいと思つて研究しておるところでございます。
  43. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 こういうことは郵政省では、私がこの国会に来てすでにもう五年になるんですが、その間年々あるんですよ。何年もの間研究しておりますでは、これは困るじやないか。そういうようないい方法があれば早く見付けて来て、それがアメリカにあるか、イギリスにあるのかわからないが、早く見付けて来て、そういうことをして、いささかでも国民に対してはこういうようないわゆる損を与えないという方法を考えなければいかん。考えることがあなたの仕事であります。それを考えずに、そういう方法もあるそうなと。それからですね。一つ考えようと今思つておる、二年目に尋ねて見れば同じことを言う、三年目に聞いても同じことを言う。そのうちに君がかわつてしまう。又代りの者が同じようなことを言うんじや困る。だがらいつそれをやる、いつそれを研究してやるか、それを答弁して頂きたい。
  44. 成松馨

    政府委員(成松馨君) これはまあお説の通りで、私ども非常に困つたことだと思つておりますが、いつという時期につきましては、ちよつと定まつた時期を申上げかねますけれども関係部局方面にもよく御相談を申上げて、結論を出したいと考えております。
  45. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件に対しての答弁は、文書を以てでも一応その措置についてどう考えるが、いつからこれをそういう方法を、いつ改善するということについては、やはりこれは所管大臣から御答弁願いたい。それで早急に方法がなければ、それなら止むを得ない、あるなら改善しなければならん、かように考えます。  次に職員の不正行為がこれは随分たくさんあるんです。これは各省の不正行為から見てどうも多いと思う。併しながらやはり仕事が仕事ですから、勢いまあ金を扱う人数もそれに応じて多いんじやないか。だからこういう数字の上において、報告の上においても相当な量が出て来るということも、勢いこれは止むを得ないじやないかという気もするのですが、いずれにしても、これらについても同様今言つたように、できる限りの方法をやはり検討して、そして是正をしなければならない。今郵政当局から弁明があつたように、二十四年度、二十五年度を契機として非常に減少して来たということは、これは我々としても非常に好ましいことであります。併しながらなおそれが一層減少するように努力をして頂きたいと思います。  それから五五一号から五五五号までの間については、これは大体個々の事案の内容について、会計検査院からちよつと御説明を願いたい。
  46. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 郵便専用自動車の請負料は、ここにありますように、二十四年度及び二十五年度の第一・四半期が九億百六十二万余円になつております。これは大体赤自動車で、郵便の取集めと、それから郵便局の子局から親局に廻す、親局から今度鉄道に乗せて行く、或いは鉄道に着いた郵便を親局から子局に持つて行く、そういう場合の赤自動車の動き方の問題で、その赤自動車が一日に、八時間以上動くと割増がつく、或いは又二十三時から五時までに動くと、深夜割増がつく、それから道路が悪いというと、悪路割増がつく、それから積卸に大きな重量のものが載るというと、運転手及び助手に別に積卸人夫賃を払う。そういつた勘定で見積りを立てて、それで郵便逓送株式会社ほか六十五業者との間に契約をやつて、それで金を払つておるわけであります。そこで時間計算で私のほうで見ましたのは、この計算に間違いがないか、道路がよくなつたのに依然として悪路割増を払つていないか、又例えば一回に一トンしか荷物が動かないのに、四トンということで大きな車種の自動車を配置していないか、或いは小包郵便等で、闇の当時で餅が来るとか、米が来るとかいうようなことで、非常に重い小包郵便が来ておつた。その当時の重い郵便物の算出だけで、現実にはそういうものがだんだん減つて来るということになると、小包郵便物も軽くなる、軽くなつた事態に応じて契約内容が変更されて、積算金額が減額されるような注意が行われておるかどうか、そういつたような点で、全体的な動きを全国に亘つて見ようということで見たわけであります。一つの企業会計としては、そういうふうに赤自動車の費用をどこか下げて行く余地はないかという見方で見ましたところが、今のようにここで一例を挙げますと、第一には「作業時間等の計算を誤つたもの」、二が「出発時刻の指定が当を得ないもの」、三が「就業時間の算出当を得ないもの」、四が「車両の指定が適当でないもの」、五が「荷量の算出が適当でないもの」、こういう項目を挙げておりますが、そこで第一の問題は、深夜作業時間及び就業時間が予定時間以上に延びる場合の時間の計算、並びに積卸費としての賃金の問題はどうかということで、そこでそういう項目整理をしたものが五五一号でございますが、そこは深夜作業時間と総就業時間を、これは現実に誤つて一時間勘定違いしてプラスした問題と、それから自分の局で賃金を払つて積卸をやつていながら、そいつを赤自動車のほうで請負料の中にこめて支払つたという問題で、勘定を細かくして積み重ねて行きますと、百十八万円だけ余計払い過ぎになつている。  それから五五二号は、配達時間等を逆算して来るというと、甚だしいのは、三時五十九分から仕事をやるために赤自動車が車庫を出たという計算になるので、三時五十九分というと、五時までの間に一時間一分あるわけでありますが、一時間に満たない時間は一時間に加算するというので、三時五十九分に出ましても、五時までに二時間勘定で深夜割増を与えるというので、例えばその問題は熱海、伊東、下田間の問題でありますが、それで月間千六百八十三円だけ余計な計算になる。一分間ぐらいは下げて、四時から車庫を出ても大した差支えはないではないか、そうした見方で行きますと、七分から一分の端数を節約して、途中の作業の時間のところで少し能率を上げたら、逆算しなくてもいいじやないかという問題です。  それから五五三号は時間加算料で、八時間を超えて就業する場合の時間加算でございますが、これはもう汽車の時間表に、汽車の発着に間に合うようにということで、就業時間をきめて、それで八時間以上の就業時間になるのでやるという勘定になつておるのですが、その後調べて見ますというと、汽車の発着時刻の改正によりまして、現実に就業時間というものは減つておるのが、依然として前の事実に基いての目積りで金が払われておる。  それから五五四号は、郵便物の積載荷量に対して、例えば一トン程度のものに対して四トン車を配車しておるとか、或いは固めて送れば一遍で済むのが、たくさんの車数を出しておるとか、或いは荷量が非常に減つておれば、大型自動車に小型を廻すというような変更をしたらいいじやないかという考え方でやつておれば、七百五十二万円で足り、差額が四百万円ぐらいは出るのじやないか。  それから五五五号は、今の小包郵便物で、変な話ですが、餅や米が送られた当時の荷量で、例えば四トンあるということで計算になつておるのですが、私のほうで現実に行つて見ますと、平均一トンしかないというようなものがありまして、そういう勘定で一トンにしてもいいのではないかという金の勘定が百六十五万円、こういう性質のものでありまして、一つ一つ自動車の動き、荷量の計算、車種の指定、そういうものをずつと洗つて見ました結果、こういうことになつたわけであります。
  47. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで洗つてつた結果、これはどういう方法にすれば合理的にもつと安くつくということになるのですか。
  48. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) そこでこの問題につきましては、新規契約をいたします場合に、事態の変化に即応して、その事態に対応する新らしい契約を結ぶし、又前任者がきめた問題で、後任者がその任に臨みまして、そこで点検して見て、事態の変更があればそこで変えるということもありましようし、又そういうふうに契約したときと違つた状態でなくして、契約自体の誤算から出たものもありまして、要するに今申上げましたように、企業会計運用するのですから、ぼやつと出て英たのではなくて、詳細にいろいろの資料を総合し、点検し、そこで節約する余地はないかということでつめて、そのまま計算して行くという方向に行くべきであるのを、漫然と前年に契約したままを、そのまま何らの意思表示もなくして、後の契約を更新して行くという事態に乗つかつた問題が相当多いわけでありまして、そこで本件は、当初から当局者が誤つた算定に基いて契約したり、実地の調査が不十分なままに契約したり、又は契約内容を状況の変化に伴い作業の実際に即応するよう更改しなければならないのに、請負人に有利な取扱なつたままの状況で契約の更新があつたり、契約の條項に従つて金を払つたりということになつておる。そこで基本的に、そういう経営の首脳者は、そういつた点についての十分な注意が行き届かず、途中で契約の更改をして行くべきではないか、契約の更改によつて支払の減額を行う方向に持つて行くべきだと、こういう意見なんです。
  49. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでこの契約内容は各地方々々において異なつておるのか、一貫した契約内容になつておるのか、その点はどうなんですか。
  50. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 一応の勘定の建て方になりますが、単価は公マル単価で出ております。従つて物差しは全国大体基準は同じ物差しになつておりますが、それを適用すべき基本的な事実、即ち郵便取扱の時刻、汽車の発着の問題、時間がそれぞれ違つて参ります。それから現実に適用いたします郵便物の荷量がどういう問題になるとかということで、その物差しのほうは一本になりますが、現実の事態が非常に変動がございますので、その現実の事態に対応する要素を入れて、各局それぞれ違つた結論のものになつておるわけであります。
  51. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この問題は、全部に亘つて運用の問題であるかと思うのですが、そこでこの賃金は、一般の町にある自動車の一時間の使用賃金とどういう工合に違うのですか。これは同じことになつておりますか。
  52. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 民間における貨物自動車の運賃と単価は同一でございます。それでこれは、私どものほうでは、郵便専用自動車請負料算出内規という全国一本のものがありまして、これは物価庁の認可を得ておる。それから民間のほうは、自動車組合で以てそういう単価をきめましたものを、やはり物価庁の認可を得ております。
  53. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで民間のいわゆる一時間の単価と、それからあなたのほうの郵便自動車の一時間の単価と同じなんですか。
  54. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) 同様でございます。
  55. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、非常に郵便自動車の一時間の支払値段というものは高きに失しはしないかと思われませんか。というのは、普通の一般の貨物自動車の一時間のいわゆる価格というものは、これは先ず一番大きく響くのはタイヤの消耗であります。これは相当私は違うと思う。恐らく先ず倍は違うのじやないか。一般のものが五であるならば、郵便車の場合は十使えるのではないか。先ずそれほど大きな実際開きがなくても、相当な開きがあるのではなかろうか。それからガソリンの消費については、これはまあ大体一緒でしよう。恐らくこれは一緒でしよう。併しながら機関部その他のいわゆる破損の程度というものは、これはもう問題にならない。これは殆んどタイヤに比例して違うのではないか。そういうようなものであるのに、なぜ一体ほかの単価と同じような計算にしておるかどうか。その点はどうですか。
  56. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) 只今の御質問に御説明申上げますが、郵便専用自動車の場合の一時間当りの単価は、一般の貸切貨物の一時間当りの単価と同一ではございます。併しながら郵便専用自動車を私どもが丸抱えにいたしまして運営をする面におきまして、若干一般の場合と違つた面がございます。例えば一日の丸抱えの時間と、その中には車が動かない時間がございます。待合せ時間と申しておりますが、この待合せ時間に対する支払というのは、私のほうでは一時間当り単価の半分しか支払つておりません。そういう点では一般の貨物に対する場合よりも、つまり五割だけ安く支払つておる。そういつたような点を入れますと、大体の額といたしましては、丸抱えの場合、市中の貸切トラツクを借ります場合よりも大体一割見当安くなるのではないかと思います。
  57. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これは詳細に資料を今ここに検討したものがないから、はつきり今の答弁に対して、それが適当であるか、或いは適当でないかというようなことは、これはまあ言明はできません。併しながら丸抱えであるか丸抱えでないかということにおいて、御承知のように差が違うということを言おうとしておられるのでしようが、当然これは郵便専用車であればもう丸抱えは当り前のことなんで、そうであればもつとほかに契約の立て方があるのじやなかろうか、丸抱えであつて、そうして時間制度にしておる。それで待ち時間は今言うように、少しほかの待ち時間よりは安いが支払つておるという……。
  58. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) 郵政省の専用自動車に対する算出内規というものがございますが、それでそう予定しておりまする単位を、どんな業者にも、つまり契約の相手方にもそのまま支給するというやり方ではございません。郵便物運送委託法というのがございまして、これは一般競争によつて契約者をきめることになつておりまして、その入札の場合に業者のほうに見積価格を出させる、その安きについて落札いたします。こういう関係で算出内規できめられた単価がそのまま契約金額になる、こういうことにはなつておりません。そういう点で少しお考えを願いたいと思います。
  59. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると契約の更改されるのは何ヵ年ごとにやつておるのですか。
  60. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) 四ヵ年ごとであります。
  61. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうして過去において四ヵ年ごとに業者が変つた事例がどのくらいあるのですか。
  62. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) これは第一回の契約を二十五年の五月に行いましたから、まだ一回だけでございます。
  63. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いや、今まで郵政事業を何十年かやつておるでしよう。やつてつて、その間に四年目ごとに必ず変つつておるのかどうか、恐らく私は変つておるというようなものは殆んど少いのじやないか。あつたとしても極くもうそれは殆んどないに等しいものじやないか、恐らく何十年も前の請負業者がそのまま何年も四ヵ年日ごとにそうやつて、今言われたように更改契約にしているけれども、併しながら実体はそのものがずつと継承してやつて来たのじやないか。
  64. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) 一般公開入札で、業者の入札の形による契約をやりましたのが、二十五年の五月からでございまして、それまでは随意契約という形でやつております。従いまして、四ヵ年日ごとに更改するということではございません。契約者の仕事ぶりを見ておりまして、仕事の仕方が非常にまずい、怠つておるというような場合には随意解約する、こういう建前で従来来ておつたわけでございます。
  65. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その解約した例は幾つぐらいあるのですか。
  66. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) 正確な数字を持つておりませんが、そんなに余計にはないと思います。
  67. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 結局弊害は、ボデーの色にしてもああいう特殊なものであるから、従つて独占化しやしないか、今度新らしくこういう入札制度によるが、今までは随意契約であつた、だから随意契約でやつておる時分は殆んど独占事業に変りないと思うのです。業者は……そこに大きな弊害があるのじやなかろうか、結局こういうことになつても、実際はやはりそういう独占会社の形態で今後運営されていくのじやないか、こう思うのですが、そういうような点はないですか。
  68. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) お答えいたします。この郵便逓送車は郵便専用自動車として昔は全くもうほかのものには一切使わない、一切色もああいうふうに赤くしたというようなわけで、全く何といいますか、その余暇に使うことができない制限がありました。それから時間を非常に限定されておりまして、そのために一般の業者が必ずしもそれに応ずるだけの台数と、そうして経験がなかつたというので、今まではそういうふうに随意契約でやつておりましたが、二十五年以来これはもう建前も実際も、それに参加する人はこういうような公開で競争入札に参加できる、こういうことになつておりまするので、これはもう大いに参加して頂くほうは歓迎するわけであります。建前としてこれを一定のものに釘付けするというような考えは全然ございません。
  69. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 建前としてはそうでしようけれども、実際問題としてはやはり特定のものが次から次へとだんだん今までのようにやられるのじやないか、実際運用の点ではそういうことにはなりはしないか。
  70. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) これは実際問題としては、まだ第二回目がありませんので過去の例を申上げるわけに参りませんが、相当これは東京都とか、大阪とか広島とか、北九州とかといつたような逓送数の非常に多いところでは、相当な台数の郵便車を備えなければいかん。それに応ずるだけの資本と施設及び人員を持つている人でなければ、事実上参加不可能なんであります。従つて極く田舎のほうの、一つか二つあればよろしいというところでは、昔やつてつた人がやめまして、あとにどんどん代りの人がやつておりますが、そういうふうな厖大の施設を持たなければならんという制限がある限りにおいて、自由自在にたくさんの人が出て来るということはないか知もれません。併しながらそういうところに大いに資本を投下してやるというかたがいらつしやれば、どんどん参加していいわけです。決して我々は門戸を閉ざしているものでもございませんし、決してそういう意思もございません。
  71. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 問題はそこにあると思うのです。形式としては成るほどそういう門戸を開いているけれども、実際としてはその人間がやる以外にないのです。実際にそんなあなたの言われておるような、東京とか大阪で何百台の赤自動車を、一遍にはやめさせられるほうも困るなら、新たにやるというのも、実際事実問題としてやれないのじやないですか、そんなことやれる筈はないのです。だからそれは結局そういう実態であれば、実態に即した方法でやらにやいかんじやないか、要は。実態に即さないのですよ、今言つているそれは、参加して一般入札にすれば、入つて来てもらつたらいい、口ではそう言うけれども、実際にはそういう制度をお取りになつても、これは固有財産の払下げを競争入札でするというふうには行かん。だからそうであれば、そこには必然的に独占化する。だからそういうような実態であれば、それにふさわしい契約方法を考えなければこれは困るじやないか。例えばここで今検査院が言つているように、車庫から出発をする、そうして要はやはりその積卸し現場に到達してから戻つて来る間の時間、これが実際は実動時間です。車庫から出て来るということにすれば、近い車庫はそれでいいでしようが遠い車庫はどうなるか、車庫に来るまでの間が三十分かかる地域、それが一時間かかる地域、十五分で来られる地域、これらについては結局どうなるのか、結局はやはりそういう算定の仕方であれば、そこには勢い不合理なものが出て来やせんかというようなことも出て来るし、それから又積卸しに、当然その運転手だけ或いは又助手がおつても積卸しの賃金を払つておる。ところが実際は局の者が積卸しを現場ではしておつたということがまあたまたま検査の結果見付かつた。これらも結局はどちらもが個人の事業であればこういう問題は起きないのですよ。これが国の事業ですからこういう問題が起きて来るのです。勢いその請負業者のほうが、民間側が、そこの本庁側の労務の親方に附届けでもする、又たまには月に一遍ぐらいは儀礼的に一ぱい飲ますということになれば、これは人間ですから人情ですよ。君のほうは手がないか、それじやまあ君これ手伝つて積んでやれ、お前してやれ、現場では勢いこういうことになるのですよ。然らばそれを一々どうやつて監督をしてどうするかというようなことになれば、積卸しに一人ずつ番人を付けなければならんだろうと思う。そういうことはできないですよ。併しこんなことは恐らく私は実際には随所にやはり行われておると思う。検査院はここに一つぐらい挙げておりますけれども、殆んどやはり行われておるのじやないか、これは又行われて当り前なんですよ。現場に働く者がいや俺は郵政省の役人だからと、運転手が一人で一生懸命やつておるのにほかでぽかんと眺めて一服吸うて手を拱いて見ている、これはできんですよ。どうしたつてそんならおい手伝おうということにならざるを得ない。そういうものがやはり積み重つて来れば何百万円になり、何千万円になつて来るということは、これは当然過ぎるほど当然な問題なんですよ。だからこういうような点もやはりその契約の上で何らか方法を考えておけばそういうことにならなくなるんじやないか。それから検査院は道路の状況ということをまあ言つておるが、実際道路の状況ということはこれは著しく経営の上に響くことはもうこれは言うまでもない。アスフアルトの道を十キロ走るのと、山道の而もバランスも尋常な優秀のならいいが、山に発破をかけて割つて来たようなバラスを道に敷いてあれば、これはタイヤを鉋で削つて行くようなものだから、これは勢い違う。これは当然だろうと思う。併しながらこういうものについても一々厳密に言えば、道路が改修になつた、あそこは鋪装になつた、ここは今度は雨でどろどろになつたから工事した、これはバラスのいわゆる質が悪いからというようなことを言つておれば、なかなか大変だろうと思う。検査院が言うことは理窟は理窟です。併しながら実際運用の上ではそうはやはり現実に行かないのじやないか。  それから荷物のいわゆる積載量の問題についでも、年末等の米や餅を運ぶときの契約と、それからふだんのいわゆる郵便物を運ぶときの状態とは、これはもう目方も違うじやないか。ところが成るほどこれは違いますが、そこまで厳密なことはなかなかやれないでしよう。まあ我々の考え方から見ますれば、結局この郵便物というようなものは、これはもう幾ら積んだつて四トン車或いは五トンに山盛り盛つてみたつてボタを丁度積み切りに持つて行くのとこれは同じことなんです、大したことはありません。自動車ということになれば……荷車で人が引くということになつて来れば、それは変つて来る。そうじやないのですよ、これは……。だからこういつたことを一々科学的に検討して、そうしてそのたびに契約の立てかたを変えるというようなことをやつてつたのでは、これは困るじやないか、もう少し何とか合理的な方法でやればやれぬものかということですね、これはどうなんですか。
  72. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 私のほうも、ここに書いてありますことは臨時的な状況によつて小廻りをきかせるということではなしに、今の悪路割増の問題といたしますと、非常に悪かつた道路が立派になつて来た、そういう安定しているのにやはり悪路割増を払うのはおかしいじやないかと、そういう問題がやはり二十五年度二十六年度に出て参りました。それからやはり荷量の計算もずつと一年間下つて来ている、そうして安定した状況になつて、この安定した状況は動かんであろうという、一つの恒常的な條件が変更したのに、やはり前の幾ら小廻りはきかんとは言え、小さな会社でしたら小廻りきくのですが、小廻りといいますか、郵政省ですから、小廻りではない、なかなか大廻りですが、その程度に安定して、そういうように安定して、恒常的な條件が変更になれば、そこまで契約の変更なり、契約額の積算等の内容に変更を加えていい筋じやないかということで出している問題でありまして、ここにありますのは比較的そういような意味において無理のない事項を出しているものでございます。
  73. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の契約の点ですが、契約の点でまあ何とか方法がないかというと、これを先ず郵政省のほうから御答弁願いたい。
  74. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) お尋ねの契約方法に何か特別の実情に合うようなものはないかというような意味の御質問と思いますが、まあ大体大きな筋といたしましては、やはり従来やつております契約は御承知のように一般競争による契約、随意契約というのがあるわけでありますが、これはまあ原則としてそういう意味契約方法のどれを取るかということになれば、やはり一般競争による契約を取りたいと存じます。それからその契約内容についてでございますが、例えばこの問題の二十四年度の当時は、これは木炭車が非常に多かつた従つて出発前の準備時間、こういうようなものは実は一時間と、いうような時間を見込んだ契約になつております。併しこれは当時の実際の実情がそうであつたからというので、それをそのまま依然としておいておくということは実情に合わぬわけでありますので、そういうものはガソリン車になれば、これは少くとも準備時間は半分にするとかいうような、そういう個々の契約内容を実情に合わせて行くということは、これはもう是非やらなければならぬことでありますし、私どももやつているのであります。又ここに指定されておりますところの一分違いで以て一時間のものを出している、これも成るほど契約内規にはそうなつておりますが、併しこれはもう企業会計でありますためにその法規を運用するという面から考えますると、まあ常識外れということになりますので、これは運用で一時間一分が出ないような方法が講ぜられるならば講ずるということで、これはもう内容そのものを変えるというのではなしに、運用でこれは解決できる問題なんであります。そういうようなこととか、或いは又先ほどカニエ委員がおつしやいました道路等によりまして、検査院がおつしやるように、もう恒常的なものでありますならば、これはもう当然改訂をしなければなりませんけれども、それが時々刻々雨が降れば川になり、天気になれば石ころ道になるというようなものに一々応ずるということは、これはもう実際問題としてできませんので、そこまで極端にはできませんが、契約内容のポイントである要素に変更が来た場合には、それを適時変えて契約を改訂して行く、こういうことは是非やらなければなりませんし、私どもその後やりました結果、本件につきましては只今のところすべて措置済みでありますが、約五十七万円ばかりの節約、これはこの件ばかりではございませんで、その後汽車の発着時刻の変更等の場合にそれに合わして改訂した分もございますが、とにかくそのように請負料の節約を図つている。従つてこの郵便事業につきまして、人件費を除く経費の大部分というものは汽車逓送料及び自動車逓送料でございますので、郵便事業の合理化ということは、言い換えればこの逓送料の合理化ということであります。従つてカニエ委員の御親切なる御意見は私ども全く同感でありますので、そういうことで契約内容の改訂には積極的にやつて参りたいと思つておりますし、本件がありました以後に相当内容の改訂をいたしているような次第でもあります。
  75. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 勿論そういう工合に合理化を図られるならば、もつと安く上がるのではないかということは、これはもう言うまでもないと思うのです。今ちよつと言われましたが、二十四年度のときは木炭車であつた従つて木炭車のときで、今はまあ殆んどガソリン車になつているのでしようが、木炭車で、それからやはりその時間手当を一時間見ているというようなこと、これが私はそういう考え方がよくないのではないか、要は実際に物を運んだ、或いは数量というか或いは実働の時間で行くか、そんなエンジンがかかつて来る時間まで何も一時間見込む必要はないじやないか、見込むとすれば実働の中にそれを織込んでやればいいじやないか、要は実際問題として木炭車を動かすのに一時間もかかつているような馬鹿はおらんですよ、なんぼ二十二年度か、二十四年度かにしても、戦争中にもそんな馬鹿はおらんですよ。大体三十分もかかればどんなことをしたつてできるのです。それから仮にこの一時間ということがいいか悪いか、適当であるかないかということは別として、そういうことにするよりもここへ繰込んだほうが、これは自動車を扱うのは技術屋でありますから、勢い一時間以上もかかる馬鹿もたまにはやはりあると思うのです。それからそう技術が下手でなくても、機関の故障の場合でもそういうことが生じて来る。併しながら、技術の達者な者であれば、実際は十五分或いは二十分でぱつぱとかけてしまうのです。だから結局そういうことは、何もそういうところに一時間与えなくても、こちらのほうの中に入れておけば、これは相手が業者ですから一番最短距離を選んで工夫しますよ。一時間かかるものであれば、どうしたら三十分でできるか、三十分もかかつてつたのでは勘定が合わないから二十分でやろうじやないかというように、方法はやはり考えますよ。だから結局は実際物を運んだ量とか、或いはそれに使つた実働時間がなんぼであるとか、そういう工合に変えるほうが適当ではないかと私ども考えるのです。車庫の問題にしても、仮に逓送発着場所に来るまでの間において十キロある車庫を持つておるとか、或いは三キロで到達する車庫を持つているという場合、これはもう実際において実働で行けば、これは業者は考えますよ。そんな十キロのところに車庫を置いておいたのでは困るから、結局何とかして便利なほうに車庫を移してやろうじやないかということにやはり集るのではないか。そういう点はやはり合理化して行けばもつといいのではないかと思うのです。  それからもう一つ大きく言うならば、こういうような先ほど言つたように実際は固定して独占的な産業になり得る性格のものであるということであれば、これはもういつそそんなものは名目だけ一般入札でもできるとか、或いは一般の人でも入つて来られるように門戸を開いてあるとかいうようなことを言わずに、もつと根本的にこれを一体化した経営にする、そうしてそれに一つの政府とそれらの業者の間の契約、或いはいろいろな制裁の方法等の規定をやつて、それにやらすということのほうが、むしろこれはもう合理的にいろいろな面で安く上がるのではないかというようなことも考えられるのではないか。これは検討してみなければ何とも言えませんよ。そういうような点でもう少しこれはやはり合理化される必要があるのではないか、こう思われるのです。これはまあ一応意見でありますが、次はこの会計検査院批難されましたこの事項に対して、それぞれの業者と折衝された結果どういうことになつて結末がついておるか、これについて御報告を願いたい。
  76. 竹下一記

    説明員(竹下一記君) 会計検査院から指摘を受けました事項につきましては、線路別にそれぞれ措置済みでございます。線路は随分数が多うございますので、今ちよつと数が出ないのですが、二十五年度及び二十六年度両年に亘りまして指摘されました点を十分くみ入れまして矯正いたしております。又郵便事業の仕事の上での都合も考えまして、検査院指摘されました通りではございませんが、私のほうの都合もくみ入れまして、これも措置済みでございます。
  77. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 検査院批難したこれらの事項について郵政省のほうで処理した内容についてそれで意見がないのか、それでいいという考え方なのか、検査院のほうで意見があつたら聞きたいと思います。
  78. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 大体私のほうでは、専用自動車の請負料の問題については、二十五年度でも同様に出しておりますが、二十四年度批難いたしました局には再度参りまして点検をいたしておりまして、大体私のほうで満足すべき状態に入つておりますが、なおほかの局につきましても同様な観点から検査をいたしました結果出て参りました批難事項は、二十五年度にまだ相当掲記してございます。
  79. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 別に御発言もなければ、第五百三十二号から第五百五十五号までの質疑は終了したものと認めます。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時九分散会