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1952-05-14 第13回国会 参議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十四日(水曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            高橋進太郎君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            小酒井義男君    委員            瀧井治三郎君            西山 龜七君            宮田 重文君            森 八三一君            栗山 良夫君            成瀬 幡治君            カニエ邦彦君            小林 亦治君            菊田 七平君            紅露 みつ君   政府委員    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君    農林省農地局長 平川  守君    林野庁長官   横川 信夫君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員   食糧庁総務部長 松任谷健太郎君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大澤  實君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出)(第十二回国会  継続)   —————————————
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今より決算委員会を開会いたします  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算ほか二件を議題に供します。本日は農林省所管事項について御審議を願いたいと思います。先ず農地局関係批難事項第四七九号から第四八七号、及び開拓者資金融通特別会計関係の第五〇二号を問題に供します。先ず專門員説明を願います。
  3. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 一番初めの四七九号につきましては、農業水利費分担金地方公共団体負担させて、それを年度内徴収するということになつているのに、徴収決定さえもしていないものが八千万円もあり、収納未済額が一億七千万円もあるという指摘が現われております。ところがこれと同じ出来事が、二十三年度検査報告の四八七号というのに指摘されておりまして、それがその後どうなつておるかということにつきましては、この二十四年度検査報告の二百三十四頁に記されておりまして、まだ十分な成績が上つていないということであります。  なおついでに申上げますると、まだ審議には入つておりませんけれども、二十五年度検査報告の百九十二頁を見ますると、二十三年度の分について、その後の処置が不十分であること及び二十四年度のその後の処置が不十分であること、二つを並べて同じ頁に記されているというような状態なのであります。当局説明書の第七十二頁を見ますると、徴収決定の遅れたのは、法令改正伴つて、その趣旨の徹底に時日を要したためであるというふうに言われており、又未納の多いのは、地方財政が逼迫しておることなどが原因であるというふうに言われておるのであります。ここで特に注意いたしましたのは、この徴収決定の遅れたのは、法令改正に伴いということになつておりまするが、実は二十三年度弁明書にも同様な文字が現われておるのでありまするが、そうたびたび法令改正があつたのかどうかということが一つ気がついたのでございます。  それから次の四八〇号から四八三号に至るこの四件でありますが、それにつきましては検査報告に東京、仙台、岡山、熊本、この四つ農地事務局で直営で農業水利事業などを行なつているが、その工事を前年度中に施行して不経済を来したものがあるとか、計画が不備であつて工事着手見込も立たないで單に準備工事のみに予算を使用したものであるとか、引続いてその工事施行する見込が十分でない工事などを施行したというふうに挙げられておりまして、四県が並べられているのであります。  次に、四八四号と四八五号は、「経費の年度区分をみだつたもの」というのであります。ここでちよつとお断りいたしておきまするが、四八四号だけは農林省全体のことでありまして、特に農地局限つたということではございません。  次に四八六号、「工事施行に当り処置当を得ないもの」と申しますのは、仙台農地事務局工事をやつたところが設計通り施行しておらない。それを完成したものというふうに処理しておるので、工事監督及びその検査が悪いということが最初に記されてあります。これにつきましては当局も全くその通りで申訳がないということでありまするが、ただあとにこの不完全な工事を完全にするために補強工事を請負人の負担で行わせたのであります。その補強工事検査院の御見解では十分ではないという御意見であり、当局におきましてはこれでもう十分と認めるというような御意見のようでります。これは技術に関する問題でありまして、まあどういうわけで不十分と認めるのか、又どういうわけでこれで十分だとかという点をどうぞ一つよく御審議願いたいと思うのでございます。  次に、四八七号の「補助金交付の目的を達しなかつたもの」と申します。るのは、埼玉県の櫛挽ケ開拓農業協同組合に対する補助金を都合によりまして埼玉開拓生産農業協同組合連合会が代理で受取りまして、その金を使い込んだということなのであります。  ずつと飛ばしまして五〇二号というものがありまするが、開拓者資金融通特別会計、そこに挙がつておりますでき事も結局は今申しました連合会がいわば使い込んでしまつたのだということが指摘されているのであります。当時にこの連合会のほうにはいろいろな不正事件がありまして、新聞記事にも現れたような事件があつたのであります。四八七号のほうは、その後完全に解決はついているということであります。五〇二号のほうについてはそれを整理させるように目下努力中であるというふうに答弁されているのでございます。以上でございます。
  4. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に会計検査院及び政府当局の特に説明を要する事項がございましたならば御説明を願います。
  5. 大澤實

    説明員大澤實君) 一つだけ、只今專門員のほうからお話がありました四八六号の仙台農地事務局の西津軽の水利改良事業の、いわゆる設計通りつてなかつたのに対する補強工事というのでありますが、これは実は私自身は技術的な素養がありませんのではつきりとは申上げかねますが、会計検査院に勤務しております工学博士の人にいろいろ書面上で所見を求めた結果、強度は不十分ということであつたのであります。どういうことになつているかと申しますと、最初設計では三メーターなり五メーター杭打ちをしました上で、地下〇・八メーター程度だと思いますが、根入れコンクリートを打ちまして、その上に擁壁を作るという設計であつた。ところが実際に施行いたしましたのは杭はなくて、地下僅か〇・二メーター程度だと思いますが、それぞれのコンクリートを打つた上に擁壁作つて、それでまあ設計通り行つてないではないかということで指摘したわけでありますが、それに対する補強工事としましては、作つたものを掘り返して全部作り替えるわけには行きませんので、その擁壁の前面を掘りまして、そこに地下約〇・八メーター程度と思いますが、コンクリートのブロツクをずつと支えに置いた、こういう補強工事をさせたわけであります。肝心の擁壁自身の基礎が固まつていないので、前だけでは補強工事をされたところも十分な強度ではないのではなかろうか、こういうまあ一つの結論を得ましたので指摘した次第であります。実際問題としましては、昨年も実地検査に参りました結果は、別にその後それが崩れているというような実情はないということであります。
  6. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四七九号でありますが、これは二十二年度、二十三年度一それで本件の二十四年度、それからまだ審議にかかつていない二十五年度を通じてこういう批難があるということ、これは非常にその点やはり問題になるのではなかろうかと思うのですが、併しながらどうしてもこれはそういうものが年々批難として出て来るということの止むを得ざる事情があるのかどうかという点で、先ず検査院からその考え方、それを一つ聞かしてもらいたい。というのは今私が申上げました通り、こうやつて年々同じような性質のものが出て来るということに鑑みて、どうもほかの案件と違つて何かそこには検査院のほうの批難が実際に即さないのではなかろうかというようなことも考えられるし、それから又農地当局としましても、これは年々出て来るが止むを得ない、これはどうしても出さなければならないんだというような事情があるかどうか、その辺について先ず検査院の持つ意見一つ聞かして頂きましよう。
  8. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今の御指摘の点でありますが、これはいわゆる会計検査院の立場から言いますと、法律通り予算執行が行われておるかどうかという面から見ますと、この農業水利分担金は、ちよつと法律の名称を忘れましたが、農地開発営団から引継いだものに対しましては、毎年度事業費予算の四割を当該年度において徴收しなければならん、こういうことになつておるのでありまして、法律の建前からいつてこれは当然当該年度徴収すべきものである、それが徴収してはない、こういう点を言つておるのでありまして、実情としてどうか、県の財政状態その他から考えてどうかということになりますと、その法律規定が少し酷ではないかという感じは確に持つてつたのであります。併しながら法律規定が行われていないというので掲げた次第でありますが、掲げると同時に何とかこの法律改正方法が考慮されて然をべきではなかろうかと思つてつた次第でありますが、これにつきましては、これは農地局のほうから御説明つたほうが適当かと思いますが、確か二十六年度からと思いましたが、法律改正によりまして多少の延納が認められることになつたので、将来においてはこうした事態は出て来ないことになるかと思つております。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでその農林省当局としては一体どうなのかという説明をする前に、この本質的な、これの正確ないわゆる経過、今日までこういう工合な経過だということのその経過なりを一応先ず御説明願つて、そうして今言つたような点についての一つ説明をして頂きたい、かように思います。
  10. 平川守

    政府委員平川守君) 従来の国営事業におきましては、只今検査院のほうから御説明がありましたように、当該年度において県において四割の分担金を出す、こういうことになつておりまして、それが地方財政の窮迫と共になかなか完納できない県ができて参つたという状況であるわけなんです。なお事務的にも当該年度ということでありますので、多少ずれが来るということも実際問題としてございます。今後におきましてはこの事業の四割のうちのかなり部分農民が結局出すわけであります。つまりその国営事業に対しましては国が六割の補助をする、六割の費用負担する、それに対して残り四割は地元負担するけれども、それに対して県によつては二割、或いは二割五分の県費の負担をして補助を出しておるという、こういうような関係にあるわけであります。その地元負担分につきまして、事業費がまだ完成しないときにその負担分を出せるということはこれは酷である、何となればその事業によつて増産効果が上らないうちから負担をさせるということになりますから、今後はその事業完成後、年々の生産量の殖えるに応じてその負担分を十カ年賦ぐらいで拂つて行ごう、こういうことに法律改正をいたしたわけであります。従つてその今後の新しい部分につきましては、そういう点で地元負担分支拂いは比較的円滑に行くのではないかというふうに考えております。ただ県の財政関係もありまして、最近まで昔の分について特に支拂いが非常に遅れがちであるという実情にあるわけでございます。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 併し当初にこの事業を開始する前に、地元なり成いは県なりと国が相談をして、そうしてこれを着手されるのでありますから、勢いそれに対しては当初これを着手する前に相談ができ上つたときには、すでにそういうことの條件というものはお互いに三者が了承をしておるはずなんで、その了承した條件の上にこれが行われたのであるから、それが今言われるような理由でその徴収ができ得ないというようなことは、どうもそういう点から考えておかしいのじやないか、若しも当初からこういうような條件がきめられずに、そのまま行われたものとすれば、それが工事のいわゆる中途或いは終末、或いは完了したそのときにおいて、この負担というものが出るが、これは話にも予定にもしておらなんだという問題がここで出て来るので極めて不合理であり、且つ又徴收困難であるということが生ずるのは、これはもう当然であると思います。これはそうでないとすれば、これはおかしいのじやないか、そうすると当初農林省としてきめられたときに、すでにもうそのときに後は野となれ山となれというような考え方で取敢えずやつたらということでやつたとしか考えられないのです。そうでなければこういうことは、計画がなされてされたものなればそういうことになるはずが理論的には一応ないのじやないか、こういうような感じがするのですが、その点は当初は一体どういうふうな約束でされておるのかという点ですね。
  12. 平川守

    政府委員平川守君) 理論はまさにお話通りでございまして、私どものほうで国営事業を採択いたしますときには、大体県のほうから依頼を受けまして、更に話合地元とやつた上で負担分も明らかにして決定をいたすわけであります。ただ県のほうの予算と申しますのが、御承知のようにいろいろなものが一緒になつておりまして、全体として相当起債に待つというような苦しい財政状態に今あるわけであります。それらと一緒予算が組まれます関係上、その当時は非常に財源が不足して約束のものが抑えなかつたというような事態あとから起つて参るわけでありまして、これは飽くまでも理論としてはおかしいので、我々としましては極力県に対して調停額を支抑え、こういうことを監督、指導いたすわけであります。実際問題としてなかなかそれが思うように集まらないこういう状態にあるわけであります。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 次に先ほど政府当局から御説明なつたように、地方財源が非常に苦しい、それからこの地元負担分に対してその完成したものによつて農村が利益を受けるのだから、その完成してそれを利用するまではその負担分を出すということは、非常に農民としては苦しいということを言われたのですが、それは我々としても今言われた通りであると思う。併しながら、そうであれば農林省としてはそういうものをもつと合理的になさしむるためには、一旦地元負担に対しこの額は一応国の債権として決定しても、その額に対して地方に対する何らか国の施策としての金融措置、これをしてやるということであれば円滑にやはり收まつて行く。そうして会計法においてもこういつた批難が生ずに收まつて行くということになりはしないかという点、そういうような措置をやはり施策として考える必要がないのか。現在ではそういう点は一体どういうことになつているかということ、この点についてお答え願いたい。
  14. 平川守

    政府委員平川守君) 国営事業につきましては先ほど申しましたように今後の事業の分量に対しましては、事業完成地元負担分は十年賦で徴收するということになりましたから、今の問題は今後においては解決いたしました。その他のいろいろ農業水利事業等がございますが、例えば県営事業、こういうものに対しましてはその地元負担分に対して金融をすることがよかろうということで、御承知農林漁業長期融資特別会計があります。その資金地元負担分に対して貸付けるという制度を作りました。従いまして今後の問題としては地元負担分が拂えないということはなくなるかと考えております。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点は一応それで話はわかつて来るのですが、次にこの批難事項に出ております昭和二十五年七月十五日に至つて徴収決定をしていないものが八千余万円あるということですが、この徴収決定を当然しなければならないのをしていないという批難であるが、これは本当なのか。本当だとすればなぜ一体徴収決定をしていないか。それは事務当局で怠慢であつたのか。或いは又これは徴収決定がどうしてもすることができなかつたという事情があつたのが、あつたとすればその事情を具体的に一応御説明を願いたい。
  16. 平川守

    政府委員平川守君) これは事務的に怠慢といえばたしかに怠慢なんでありまして、ただ事業費を各事業所に割振つて実際に事業をいたしますものが、年度内にいろいろの事業所事業所によりましてスムースに事が運ぶものもありますし、かなり年度末に迫つて仕事のきまつて来るものもあるのであります。従いまして年度末きつちりに、全額をきれいに三月三十一日に調定を済ますということは実際問題として多少のズレがなければ困難の場合があるわけであります。ただここにありますように、七月十五日に至つてなお決定いたしておらないということについては、これはかなり部分というものは事務が全体として遅れている、怠慢なんであるというふうに考えられますので、この点につきましては極力当該年度事業費の分配にいたしましても、或いはそれに基く調定にいたしましても、極力迅速に行うように指導いたしているのであります。言い訳がましいことになりますが、例えば事業費自体にいたしましても、従来例えば安定本部認証を得ますのに当該年度事業費が、最初に第一四半期のぎりぎりの終り頃になつて認証を受けるといつたような実情でございます。そういうふうな関係で、事業費自体の割振が四半期ごとにきまりまして、だんだん遅れて参つたといつたような実情もあつたわけでございます。今後におきましてはそういう問題も解決をいたすと思いますし、本年度事業費の割振にいたしましても、四月早々から事業に着工できるようにスピードをかけて配付をいたしました。調定にいたしましても同様速かにさせるようにいたしたいと、かように考えております。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これの徴收決定額についての現在の状況は全部徴収済額ということになつておるか、それともこの批難に現われておる数字というものの中でまだ徴収決定になつておるというものがあるか、その点をお願いします。
  18. 平川守

    政府委員平川守君) この部分につきましては、今資料を詳細調べましてお答えいたします。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではそれはのちほど御答弁を願うといたしまして、四八〇から四八三までのこの批難を一覧いたしますと、相当これは同種類のような批難が多いと思うのですが、そこで合計額にしても相当なものになると思うが、この検査院が言つておるのは、「準備工事のみに予算を使用した、もの、又は継続施行見込の十分でない工事など」をやつた計画は非常に杜撰であつたというようなことを言われておるのですね、ところがこんなに多い、これは一つ二つならともかく、こんなにたくさんなものを杜撰にやつてつた、而も見込の立たないようなものをどんどんやるというのは、何かおかしいような感じもするのですがね、これを見ただけではこれについて一体どういう事情でやつておられたのか、一つ具体的に四八〇でも四八一でも、或いは二でも三でもいいのですが、具体的に例を挙げて御説明を願いたいと思います。
  20. 平川守

    政府委員平川守君) かなり大きな事業でありまするために、いろいろ途中で計画が、実際に作業をいたしてみますと、具体的な、例えば土質が予想外であつたとか、いろいろ事情によりまして、計画が途中で変ることもございます。併しここに批難されておりますようなことは、一つといたしましては例えば工事ができ過ぎと言いますか、はつきり計画もないのに工事をしてしまうというようなこともあるようでありますが、一つにはこういう事業を、かなり長年月かかつて完成しなければならんような事業が一年ごと予算に区切られておりまして、その年度内にその年度内仕事だけをしなければならんというようなことに拘束を受けておるわけでございます。ところが実際問題といたしますと、例えば東北地方等では季節の関係で若干の事業がもう十一月になつたのでどうしてもできないで残つたというようなことがあるわけです。そういう場合にこれを四月にやりたいと、ところが現在の会計制度から言いますと、それは返納ということになりまして、又新らしい予算で新らしくやり直さなければならないというようなことのために、これは今の御指摘のやつの次のになるかも知れませんが、そのためにそれを年度内にしたような形にするといつたようなことがあつたり、或いは年度内にこれだけの工事はどうしてもやつておかないと、あとでこれを実際に水を通したりするような場合において必要だといつたようなことから、地元において地元の要求がやかましくて、若干のでき過ぎ工事をいたしておるといつたようなこともあるようであります。これらは勿論法律に違反いたしますので、私どもといたしましても、巖重に取締つておるわけでありまするけれども、そういう場合がしばしばこの批難事項として出て参つておるということであります。それから例えば準備等費用使つたというようなことでありますが、これもやはり例えば材料を今入れておくことが或いは価格その他の関係で非常に便利である。ところがそれは先の予定になつておる。併し今ここで材料を手に入れておかないと、非常にその工費が嵩んだりするというので、若干のほかの費用材料の購入に充てるといつたようなことが実際問題として起つておるようでありますが、これらはいずれも法律には違反するわけでありますので、そういうことがないように努めておるわけであります。何分にもかなり複雑な大きな事業でありまするために、年度内年度内区切つて、非常にこれを限定した使途に、時期的にも区切つて充てるということはやや無理もあるかと思うのでございます。で私どものほうといたしましては、できることならばこういう事業については継続費というような制度を設けて頂きまして、そうしてその全体の規模において事業が最も能率的に動くような、請負に出すにいたしましても、そういうような制度を欲しいものだというふうに考えておるわけでございます。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の農林省当局のその説明は、農林省として業務の運用上非常にやりにくいという点をまあおつしやつたのであろうと思いますが、そういうことはまあ一応了解できるとしても、今の具体的な四八〇から四八三までの間のその答弁としては、まあ一部これに当てはまるところもあるようですが、どうも当てはまらない点もあるように思うのです。そこで今の農林省当局のこの御説明で、会計検査院のほうとして、本件について一応了承が行くかどうかという点、これをまあ一応伺いたいと同時に、具体的にこの件のどれかを一つつて一つ説明をわかるようにして頂きたいと、こう思うのです。
  22. 大澤實

    説明員大澤實君) この四つのうちの四八〇と四八二が大体同じような事態でありまして、つまり簡単に申しますれば、工事はつきりした計画が全部まとまつていないのに、それの準備行為に着手した。で準備行為で終つているとこういう事態でありまして、まあ公共事業費に相当な額を使用する場合に、これは公共事業費をどう使うかということがまあ一番問題だと思うのですが、会計検査院といたしましては、一応方針としましては、増産効果の挙がるような所をとらえて、一つでも二つでも重点的に早く仕事を終えて、然る後に他に及ぼすと、こういう方法を原則的にとるべきではなかろうかと、それがややもすれば、予算総花式と言いますか、各方面に少しずつ割当てられて、そのために只今申しましたような四八〇と四八二というように、僅かな予算が来た、来たから使わなければならんということはないのですが、使うことになつて、そこでいろいろな機具、機械の購入などに使用して、而も一部は他の事業所にそのまま流用して使つておるというような事態が生じておるので、予算をもう少し重点的に置いたら、こういうことは生じないのではなかろうかと思われるのであります。それと又逆に四八一のような場合は、これは非常に工事がどんどん進んでおるので、予算以上の仕事をしてしまつたという事態ですが、こういうふうに進むということは、結局増産の一日も早くできるような状態にあるのでありますから、こうした所に少しでも多く予算を使えば、長期の仕事をやつたというような結果もできないし、いわゆる合法的にその工事が速かに行われてそうして増産効果も一日も早く挙るのじやないか、こういうふうに考える次第でありまして、まあいろいろな各方面に、事業所あたりの或いは予算の要求、地元のいろいろな要求もあり、なかなかいろいろな点でむずかしい問題もあろうかと思いますが、公共事業費の使用についてはもつといわゆる重点的使用が望ましい、こう考える次第であります。
  23. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 農林省としてもいろいろな事情はあろうと思うのですが、今検査院が言つておる通りに、これは計画が恐らく私は杜撰であるとここに書いてあるが、これは杜撰であるということの本質的な解釈の問題で又違うのじやないかと思いますが、いずれにしても、まあ長年やつておられた技術屋が農林省にはおられて、それが計画をするのですから、恐らくでたらめな計画というものは私はあり得ないのじやないか。これは或る程度計画はやはり立てられておるのじやないか。ところがその計画は立てられておるのであるが、実際はその予算の配分、使い方でまあ止むなくちよちよつとそこらをいじくつておくというような気休め程度なことを知りつつやつておられるのじやなかろうか。知らずにやつたというのなら非常に能力が足りなくて杜撰であつたということになるし、併しそういうことは知つておるけれども、併しながら政策の上で止むを得ないから、これはとてもやれないけれども、さりとてやれんということを言うわけには行かないから、そこでまあちよつとやつてみた、資金繰りをやつてみた、或いは試験的に一部補強をやつてみたとか、こういうようなことの意味のものではないのか。これは私は一応想像をしておるのですが、その点は一体どうなのかということと、それからもう一つは、今大澤局長が指摘されたように、私はやはりやり得る可能性のあるものを重点的に行わなければいかんのじやないか。折角の国費を使うのにあれもやれない、これもやれないというものに総花式にこれを使つてみても、積んでは崩れ、積んでは崩れになつて、その金が活きた金として使われなくなつてしまう。それよりはやはり重点的にこれはこれだけで完成でき得るというものに対してやはり使つて行くという使い方が必要ではなかろうか。と言うてそういう使い方がこれはできないというなら、一応できない理由を重ねて御説明を願いたいと思います。
  24. 平川守

    政府委員平川守君) 非常に数多くの事業でありまするし、又非常に複雑な事業でありまするために、この中にもありますように、例えばいろいろ地元民の意向によつて途中で工事に若干の支障を来たすといつたようなこともありましたり、いろいろの事情からして、すべて計画通りきちんと行くということがなかなか困難であります。事実計画は極力そういう事業の効率ということを重点に考えまして、現に予算の配分にいたしましても、決して総花式に必ずしも配つておるわけではありませんので、事業は今年はこのことをこの地区においてやるのが効率的であるというようなことを十分考えまして、それが基準になつて予算の配分をいたしておるのでありますが、併しそのうちの若干において食い違いが起りまして、そのためにここにありまするような多少費目を変えた使い方をいたしましたり、何かいたしたということはこれは明らかに不当なことでございます。こういう場合にはこれを本来本省に戻しまして、更に適切な場所に配分するというのが正当なわけでございます。計画自体といたしましては、極力お話のような重点的と言いますか、工事の段階から見てこういう程度の工事をやることが最も効率的であるという点に重点をおいて配分もいたし、又計画もいたしておるのであります。こういう不都合な面が出て参りましたことはやはり手落ちであります。これについては誠に遺憾に存じておるわけであります。
  25. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大体これは個々の一つ一つについて掘下げて検討をして参りますれば、より以上明確にわかると思うのですが、時間の関係もありますので、私は個々に掘下げることは見合せますが、併しこの公共事業費関係、特にこの農林省工事関係に対して使われる国費は相当な年々額に達するのであります。それが近時のようにいろいろな不在事件が一般に流布されるというような状態に鑑みて、より一層これらの国費を一銭たりとも無駄に使わないと、こういうことに十二分な留意をされて、特にこれらの工事を速かに、且つ有効な方向に使つて頂きたい。こういうことを一つ申上げて、政府のこれに対する意見一つこの際承わつておきたい、かように思います。
  26. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 ちよつと今のに関連して。水利の改良事業工事等の請負の際に、請負人から保留金というものをとつておく場合があるようでありますが、この保留金というものの性質はどういうものか、如何なる場合にそういうものをとつておるか、一応説明して頂きた。
  27. 平川守

    政府委員平川守君) 只今のカニエ委員のお説誠に私どもまさにその通りに考えておるのであります。殊に最近いろいろ事件がありますことは誠に恐縮に存じております。今後一層監督を厳重にいたしまして、少くとも過ちのないことは勿論、更に一層効率的にこの予算を使用するということについて十分心がけて参りたいと考えております。  なお只今御質問の保留金と申しますのは、これは殊に東北地方等の自然條件に制約された地帶におきまして、一応工事完成をした、併し検査が例えば冬に入りまして、これで完璧であるかどうかが今まだ検査ができない、そこで一部支拂いを保留しておきまして、翌年検査のできる時期になつて検査を済ませまして、それが完全であるときに渡す、こういつた趣旨の金であります。これも用い方を誤まりますると、弊害を生じまするので、これについてはなお間違いのないように検討をいたしたいと、かように考えております。
  28. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の保留金の本来の性質はそういうものであろうと思いますが、これはこの保留金をめぐつていろんな問題が発生しております。これは先ほどからカニエ君の質問にもありましたように、やはり工事に対する年度内の企画をもう少し先きに立てて、雪寒地帶というふうな場所には先きに予算の配分をするというふうな方法とか、何か講じなければ、いつもこういう保留金の問題だけじやなしに、工事そのものも、秋になり冬になればできない、而も不完全な工事に終つてしまうというふうなことがありますので、予算の配分等についてもう少し年度内の全体を見ての配分方法について、何か特殊なそういう地帯に対する構想をお持ちになりませんですか。
  29. 平川守

    政府委員平川守君) 実は例えば東北地帶等におきましても、まあ仕事はできるだけ余計やりたいという関係上、ぎりぎりの季節まで仕事をいたすような配分になるわけであります。そこでこの完成した工事が果して翌年氷或いは雪の被害によつて不完全なものにならないことを確保するため、この保留金の制度があるわけでありますが、一方から申しますると、これはこの当該年度予算当該年度に完全に使つてしまわなければならない、翌年に繰越しができないという現在の制度の欠陷からも来ておるわけであります。この点につきましては、二十七年度からは繰越明許制度というのができまして、従つてそういうまだ完全な検査を済ますには適当でないという段階のものにつきましては、繰越しをいたしまして、翌年検査を完了して支拂いを済ませる、こういうことにいたしますれば、その問題は解消するかと思います。
  30. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の保留金の問題で、これを返すと申しますか、保留していた金を出すのが非常に遅れた、そういう場合にこれが贈収賄の関係に問われた事例も相当あるようでありまするが、そういう事例が相当多いですかどうですか。これが果して犯罪になるかどうかは非常に疑問があると思いますが、ともすればそういうことが起きておるようですが、農林省の管轄内においてもそういうことが相当数に上つて不正事件として取扱われておるようでありますが、そういう状況について一つ御報告願いたいと思います。
  31. 平川守

    政府委員平川守君) これは地帶も主として東北地帯等に限定せられまするし、そう数多くは聞いておりませんですが、一、二それが他の刑事問題に関連して問題になつたことがございます。この取扱方が犯罪になるかならんか、非常にデリケートなところがあるようであります。私どもといたしましても、そういう危険のある取扱方はできるだけ変えて参りたい、今後は只今申上げましたような繰越明許の制度を活用いたしまして、そういう保留金の制度はやめて参ることがいいのではないかと考えております。なお検討いたしたいと思います。
  32. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今ほかの刑事事件と関連して保留金が問題になると、確かにそうだと思うのですが、直営工事事業所等においての予算は何ら接待費も何もないということからして、業者から寄附をもらつて、これは寄附というか、或いは保留金が一部寄附の形に振替えられる場合もあり得ると思うのですが、そういうことのために或いは非常にきれいな気持ちでやられているのかも知れませんけれども、一応形の上で法律上刑事問題として取扱われるような場合が相当多いようでありますので、当事者としましては非常に気の毒な場合があり得るのですが、そういうことに対して何かそういう事犯を起さないような特別な御考慮がありますか。
  33. 平川守

    政府委員平川守君) 御指摘のようなケースが一つ二つございました。これは非常に累を各地に及ぼす虞れがありますので、保留金の問題を犯罪の疑いを起すようなことのないように、一つ明らかにいたしたいと考えております。たまたま先ほど申上げましたような制度が新らしくできましたのでこの制度を活用すれば、保留金というやり方をとらずに済むのじやないかというふうに考えております。それから事業所等において接待費等がないという関係上、そういうものに手を着ける虞れがある。或いはそういうふうに見られる虞れがあるということでございますが、これにつきましても、只今申しましたようなことで、そういう疑いを生ずるような金の留保の仕方とか、そういうところに問題があるのだろうと思います。そういうことを根本的に改正して参りたい、かように考えております。
  34. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今のことに関連してでありますが、それが保留金の一部が寄附の形に変えられて、寄附じやなしにそれは贈賄だということになりますれば、これは裁判になると追徴されるわけなんです。何百万の金を追徴される一人の役人が。これは会計の建前、予算の組み方が実情に適しないということが大きく原因していると思うのですが、それがために一人の役人が起訴せられて、それがために何百万円の金が追徴される、個人に追徴されるわけですから、そういう場合には私はその個人を考えると実にかわいそうだと思う。そういうことのないように十分政府においても会計法を刑事上の問題にからんだ違反を起さないような指導を十分して頂かなければ困る。それからそういうことが起りますれば、事勿れ主義で今度はそのあとに転任して来た者は何もしないで手を供いてじつとしておれば問題は起さんというふうな非常に消極的になる場合がありまして、そうなれば本来の事業が十分行うことができないというふうなことにもなりますので、これは非常に役人の士気にも関係することでもありますし、十分それらの点を考慮せられて、今後末端のそうした事業所等を監督指揮して行かれるように、特に希望しておきます。
  35. 西山龜七

    ○西山龜七君 この四八〇から四八三の批難事項を見てみますと、相当複雑な問題がありますので、当局としては御腐心のほどはわかりますが、こういう問題を起さないように監督が十分に行届き、又そのときどきの情報の通報が当局のほうへありましたならば、こういうことは起らないのではなかろうか、かように思いますが、当局におきましては、こういう問題に対しまして、その年度内にどういう監督をして、どういうような報告を受けておるか、その点をお尋ねしたいと思います
  36. 平川守

    政府委員平川守君) これらの事業を直接担当いたしますものは各事業所でございます。これに対して農地事務局が常に監督をいたしておるわけであります。或る事業計画通り進まずに予算が余りそうであるというような場合には、事務局の中において計画変更をいたしますそうしてその他の速かに工事のできる所一へその金を廻す、こういうことを常に心がけておるわけであります。ただ当該事業所の所長といたしましては、やはり成るべく自分の事業所仕事を進めたいという関係で、本来この四八三のごときは計画の変更を申出て、それを承認を受けて、行うべき工事を勝手に行なつてしまつたという事例なんです。こういう場合におきましては、これが若し年度途中においてこういうふうに変更することが計画としても認められるということでありますれば、計画変更を願出まして、それを認めた上で工事に着かすというふになるべきはずのものであります。ここに四八三にあります立小野の工事と野井倉の工事というのは、それぞれ同一の事業所に属する事業でありまして、ただ当初の計画からいたしますと、行うべき事業を中止して、行うべからざる事業にその金を使つておる、こういうことになつておるのであります。こういうことにつきましては、勿論事業所に対しましては、こういう場合には速かに計画の変更の願出をするように常に申渡してあるわけであります。ただ当該事業所で適当なる変更で、間に合わない場合には他の事業所にこの予算を振向ける、こういう計画の変更を事務局或いは農林省でするわけであります。それについては常に報告を命じ、又職員を派して監査をしておるわけであります。たまたまこういう抜かりができましたので、誠に遺憾に存じております。
  37. 西山龜七

    ○西山龜七君 今の御説明を聞きますと、大部分のものを事業所に任してやるようにも聞こえるのですが、どうしてもこれは農林省のほうで厳重に監督をして、こういうようなことのないように御注意をなされるならば、これは起らなかつたのじやなかろうか、又その監督よろしきを得れば私はこういうことは今後起らないと、かように思いますので、今後その辺を十分に御注意をせられまして、こういうような批難の起らないように御留意を願いたい、かように考えております。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四八四、四八五、これはいずれも経費の年度区分をみだつたものであるという批難でありますが、四八四のごときは六月又は七月に至り完成したものであるのに、それより何カ月も以前に遡つてこれが完成したものとして請負代金の全額を四月の二十八日に支拂つてしまつた、同じ年度区分をみだつたとは言え、何とかこれはもう少し拂いようがあるのではなかろうかと、まあ具体的にはいろいろな方法があろうけれども、いずれにしても完成してしまつて、七月乃至八月になつてから拂うという点がなければならんはずであるのにかかわらず、四月に遡つてつておるということ、これは一体どういうことなのか。或いはこの業者とそれから施行さした当局側の間において、内々に材料の値上りであるとか、いろいろそういいような関係があつて便宜を與えてやつたというのか、或いはもう一つこれを悪く言うなら、業者と当局関係者とが結託をして、そうして早く支拂つてつたというようなことにも解釈をすればできないこともない、想像すれば……。そこでどうも先ほど言つたように、同じ年度区分をみだつたということであつても、これはできてしまつてからその金を支拂つたというなら又理窟はわかる。できないのに何カ月も遡つて何のために全額支拂つたのか、どうも理窟が合わんように思うのですが。併しお調べになつ会計検査院のほうでは、何かお考えがあれば、それは聞かしてもらつていいのですがね。
  39. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今の点はここに「支出している。」と簡単に書いてありますので、只今のカニエ委員の御疑問が出たと思います。これはいわゆる国の支出に使つたという意味でありまして、現金はそのまま……現金のままでしたか、小切手のままでしたか、ちよつと忘れましたが、この会計課のほうで保留してありまして、お話のように七月完了した分は、現金は請負業者に渡しております。ただそれが決算面において四月に支出したことにして、前年度に遡つてしまつた。こういうことであります。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、大体この文章の書き方がどうもはつきりしないということになるのじやないかと思うのですが。併しいずれにしてもそうだとすれば、当然これはどういう形でこの金額が利用されておつたかということです。これは現金でそれが自由になり得る形において保留されておつたというのか、或いはもうすでに小切手として切られたままこれが利用されておつたか、この点についてわかれば政府当局から答弁願いたいと思います。
  41. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 只今の点でございますが、これは小切手のまま押えておきまして、工事完成した場合に請負業者に渡したのであります。そういうふうに便宜的にやりましたけれども、併し御指摘通りこれは会計法上から見まして全く間違いでございまして、弁明の余地はありません。
  42. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  43. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記をつけて下さい。
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四八五、これは六一%しかできていなかつたのにかかわらず、全部できたということで金を支拂つておる。こういうことなのですが、これについて政府の御答弁を願います。
  45. 平川守

    政府委員平川守君) これも実は同様のことでございまして、従来繰越しが認められません関係上、殊に東北等においては冬季間作業のできない場合があるわけでございます。それを予算も十分でありませんために、年度内に支出して一定の工事をやつてしまいたい、ところが実際は冬になるまでに六一%しかできなかつた、こういう場合でございまして、これも法律上何ら弁明の余地のない事柄でございます。ただこれにつきましては、先ほど申上げましたように、二十七年度からは繰越明許の制度ができまして、こういう場合には繰越しを認めてもらうことができます。従つてそのときに全部完成したものとして金を年度内に支拂つてしまうという必要が起りません。今後は本当に完成してから支拂うということができるのであります。この問題は今後絶対に起らないようにできる、こういうふうに考えております。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四八六でありますが、これは工事計画が、所定の工事がなされていない。するべきところをやらずに、いわゆる俗にいう手抜きをやつて、そうしてやつたということなんですか。手抜きをやるということが、これは非常に目に立たんものであればこういうことは考えられるのです。手抜きをやつてつてもわからんということが……。ところがこれは百貨店でちよつと人の隙を見て万引をしたというのと大分違つて、やはり大きな工事なんだから毎日毎日その日に検査をしているものだから、手抜かりということも想像できないですね。業者がかようなことをやつてつても、それをそのままやつたというのは、よほどこれをやつてつた監督者と業者との間の何か話合いというものがなければならないというふうに想像できるのですが、その間の事情はどういうようなことになつて、かような結果が出たのか、御答弁を願いたい。
  47. 平川守

    政府委員平川守君) これは全く検査の疎漏ということでございまして検査官が全く責任を関わるべきものだと思うのであります。ただこの回答の中にありますように、岩木川の流量が非常に多くて、且つ非常に流速が急な際に検査が行われたために法先の測定が十分でなかつた。若干検査がむずかしい場所であつたというようなことがあるようであります。併しこれは明らかに検査の疎漏でありまして、気がつきましてから早速補強工事をさせたというようなわけでございます。特に検査官と業者との間に不純な関係というようなことはないようでございますので、全く検査が徹底を欠いておつてつた次第でございます。なお先ほど検査院のほうからお話になりました補強工事で十分であるかどうかという点につきましては、一応私のほうといたしましては十分であるということになつております。この点につきましては、純技術的な問題でありますので一若し必要がありますれば、技術者から專門的なお答えをいたさせます。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いまの、これは全く検査の手抜かりであつたということですが、そうすると何ですか、農林省工事検査というものは、いつも絶えず誰か農地局か出先のものが工事現場に行つておるということでなく、請負わした業者に設計図面を渡して、仕様書を渡して、そしてそれができ上つたあとちよつと見に行く、こういうようなやり方になつておるのかどうか。そういうやり方になつておれば、これはそのやり方自体をやはり研究して変えなければ、やはりごまかされる可能性はあり得ると思う。というのは表面に露出して誰の目にも見える工事なればいいが、地下に埋没されるような工事ならばそういうやり方をされておつたのでは、恐らくそれは全部こういうような事案ができておるのではなかろうかと思う。恐らくこれは会計検査院としても御承知のように全地域に亘つて、全工事に亘つて検査をしておるのではありません。尤もこれを何といいますか、少い人数でありますから、従つてやはり抜き検査をやつておられるのです。だからたまたま見つけたやつはいいが、見つからんこういうものが一体幾ら全国にあるかということになるので、これは検査をされる、監督方法がそれじや間違つているのではなかろうか。そうでなく、絶えずやはり検査は出先の農地事務局から技術官が検査に常時おるというなら、今あなたの言われるような御答弁では納得が行かない、こういうことになるのです。
  49. 平川守

    政府委員平川守君) 誠に御指摘通りで、実は事業所におきましては、所長以下係官がおりまして常時監督しておるわけであります。監督しておるにかかわらず、ときたまこういうのが出て参りまして、誠にこれは何とも弁明の余地がありませんので、そういうものに対しましては、厳重に戒告或いはその他の処置をいたすようにいたしております。これなぞはたまたま事業所自身も非常に怠慢であり、又これを検査をいたしました係官も十分な徹底した検査をなさなかつたという二つの間違いが重複して出て参つたわけであります。それからなお先ほどの二十四年度の、その後の八千万円ほどの金額の徴收の問題でございますが、これは実はこの中に昭和二十一年度に着工をいたしました国営事業で、法律改正前のつまり四割を、毎年事業費に対して四割を県が出さなければならないという、負担しなければならないという当時の着工の事業でありまして、その後法律改正の見通しがありましたときに、大蔵省及び農林省、県と相談の上で、工事完了の翌年から十五カ年年賦で徴収するという特別の取きめをいたしました地区がございました。これは茨城県の新利根川、新潟県の信濃川の二地区でございますが、これが非常に大きな部分を占めておりまして、これがまだ工事が完了しておりませんために徴収のできない部分が六千万円ほどございます。そのほかは大部分徴収を完了いたしましたが、なお四、五百万円まだ済まない部分がございまして、これにつきましてはなおよく調べまして、ただ単なる怠慢のものであれば早急に徴収を済ますようにいたしたいと思います。八千数百万円の大部分只今申上げました信濃川及び新利根川の工事が完了しないので徴収のできない部分、そのほか二千万円ほどは徴収を済ませました。
  50. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今政府当局からはこれらについては相当な処分をしたように言われておるのでありますが、私のほうの処分報告によると、当時の本件監督者である仙台農地事務局長久保吉造、それから決定者は建設部長狩野徳太郎、それから実行者は灌漑排水課長金子滿、これらに対する処分は何もされていません。ただここに巌重なる注意ということにはなつておるが、これは嚴重なる注意というものは、いわゆる我々のほうから考えるころの処分の部類にはたしか入つていない、こういうこと、我々のほうで処分と言うのはこういうものでなく、相当本人たちが、非常に処分を受けた者が身にしみるという処分でなければならないのであつて、そういう何らの処分らしい処分がされていない。これはただどういう処分をしたいということを今農地局長をここで吊し上げてみたところで、所詮はここに報告された通りであろうと思うから、そういう余計なことは言いませんが、併しやはりこれは事件の性質から見て今後厳重な処分をせなければいかん。それから会計検査院も政府も一応考えてもらいたいと思うことは、ただかかる工事をやつたところの工事者、業者、こういう者に対してはもう相当やはり手ひどい処分をせなければならないことは勿論言うまでもないが、少くとも農林省におけるところのいろいろな国の工事をなさしめるということはこれはやはり差控えなければいかん。それから又その他農林省と言わず、国の各所の工事にしても、こういう人が又ぞろ何度もやるということでありてはならないので、これは全部それをさせないということはどうか、これはまあ一応会計検査院のほうでも考える必要があろうと思うが、少くとも或る一定の期間は工事出入を差止めるとかということは、やはりせなければ業者のほうも反省しないし、又工事監督者、責任者のほうも反省せない。ただ單に国会に出て来て検査院検査報告をする、或いは国のいわゆる決算委員会としては、これはただ單に叱りおくというようなことでこれが年々済まされると、一体いつの日になればこういう不正がなくなるということになるかということは極めて我々心細いと思う。而も年々こういうことは出て来るのだから、だからそういう点は十二分にこれはやはり注意される必要があるのではなかろうか。一応検査院でも検査官会議等にでもやはりこれは報告されて、或る一つ方法を考えてもらうようにしてもらいたい、かように思つております。それから第二段ですね。補強の問題でありますが、そういうことが発見されたから補強を命じた、ところが検査院のほうではいわゆる技術的に見て当初の計画の代りに値いするだけのいわゆる補強ではない。ところが農林省のほうではそれで十分足りると言う、併しながら我々委員会としては現地を視察したわけでもなし、又ここに專門的な技術の知識を有するものでないから、これは何とも結論はつけられません。そこでいずれにいたしましても、元のいわゆるこういう事故がなければ、第二のこういつたような問題は当然起きて来ないのでありますから、この点は十二分に考えてもらいたいと思うと同時に、若しもこのことによつて大きないわゆる事故ができ、又いろいろの農村の惨状がこれによつて起きるというようなことになろうなら、それこそ農林省としての責任をこれはもう天下にとらねばならんことになると思うんです。そういうことも重ねて十二分に先ず注意されて、一つ今後かようなことのないように御留意を願いたい、かように思う次第であります。次四百八十七でありますが、これはですね、検査院の方に伺うのですが、まあ現在は金を返した。そうしてこれはもう解決しておる。少くとも当時はこういう実情であつたということですが、これは相手が生産農業協同組合連合会というものですが、これは個人でいうと、やはり刑事上の問題になりはせんかと思うんですね。当然支拂うべき人の金を途中でこれを流用した。いわゆるほしいままにしたというようなことになれば、これは横領になりはせんかというようなことに思うのですが、そういつた一いわゆる見解はどういうような御見解をとつておられるのか。而して現在は先ほど説明があつたように、全部これは解決はついておるのかどうか、この点についてお答え願いたい。
  51. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今の刑事事件ではないかという点でございますが、これはまあ形式上は補助を受けるところの組合の入植者の委任案によりまして代理人が受取つたというので、まあ国として、農地事務局としては渡してしまつたということになりますので、あとまあ詳しく言えば、この連合会と組合の入植者で背任の問題が或いは起きるかも知れませんのですが、まあ一つの債務不履行的なことになるのではないかという感じを多少は持つております。なおこの国の職員の犯罪でありませんので、検査院としては特に強くそこまで深て究明、検討はいたさなかつた次第でございます。なおその後の処理につきましては、これはたしかあひるの畜舎を作つたとか、或いはその個に貸出したというようなことに一時流用しておつたのですが、その後それぞれの補助金の正当受領者のところに金がそれぞれ渡されて処理がついた、こういうような報告を受けて処置しております。
  52. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今言われたように、検査院としては会計法に基いてやられておるので、国のいわゆる範囲を越えたところまではどうかというような、これは御尤もであろうと思う。併しながら国会としてはやはり一向にそういうことは限界がないのでありますから、勢いこういうことはやはり是正するために非常にそれが今後の運営に役立つということであれば、やはり取上げる必要があるという点で一応御意見を承わつたのでありますが、まあそれは我々も一応又検討をするとして、現在ではもうこの問題は全部解決が済んでおるのですね。
  53. 平川守

    政府委員平川守君) これは実は開拓農業協同組合というものが、御承知のように非常にきちんとした企業会社のようになつておりませんので、経理が確かに不完全なところがございます。たまたまこの事件は櫛挽ヶ原の入植者の住宅に対する補助金連合会が受けまして、代理受領をいたしましたので、直ちにこれをそのまま入植住宅として配分すべき筋のところを、農業協同組合の経理の中身がほかのものと混同いたしておる、そのために一時この金はほかの使途に使われたような形になりましたわけであります。併し実質におきましては、これを何かほかの使途に全然使つてしまうという意図ではなかつたようでありまして、この金額はそのまま開拓者の入植住宅として単位組合に手渡されておるわけであります。この事件ごときは、むしろ農業協同組合連合会に惡意があつて横領的な意思で使つてしまつたということよりは、実態はそういう意思はなかつたけれども、経理が混乱をしておりまして、受取つた金をそちらに使い、ほかの受取つた金をこちらの入植者住宅に使つた。実際の金額は渡しただけの金額を単位組合に手渡しておる。ただその金の費目が混乱しておつたということがあるようでございます。
  54. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは五百二号について先ず簡單に一つ大澤君のほうから説明願いましようか。
  55. 大澤實

    説明員大澤實君) これは開拓者資金融通の融通資金を、これは紐付融資と言いますか、農機具、肥料等の購買の資金として融資を受けたところの農業協同組合、開拓生産農業協同組合のほうではこの農機具や肥料等の購入資金として使わずに、まあそれ自体はやはり開拓の資金ではありますが、羊を買うとか、或いはアンゴラ兎を買うとかいうような方面に、いわゆる初めの紐付融資の目的外に使つてしまつた、そのために初めの開拓者資金融通としての目的が達しなかつた、こういう事件でございます。
  56. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この種のことは、ごこにまあ批難では五〇二に一件ということで上つておりますが、実際は全国各地でこういうことはもうざらにやつておるのじやないかという気がするのですが、これらの金の交付ですね、交付した金が実際何に使われておるかということを農林省としては一々やはり確認しておるということでないのかどうか。ただもう金さえやればいいということでやりつ放しで、やつた金がもう何になろうが、餠になろうが団子になろうがお構いなしというようなことをやつておられるように、こう感じられるのですね、これでみておると。恐らく私は金さえやればいいのだ、理窟をつけて金をやりさえすればいいので、あとはそれが鶏になろうが、豚になろうが、何になろうが、それはかまわぬというように恐らく私はなつておるのじやないかと思うのです。現実は恐らくやつた金が一体何に使われたであろうということを御確認になつたことがあるかないかという点ですね。併しこれは恐らくまあないのじやないか、そこまで細かいところまではまあやつておられぬのじやないかと思うのですが、若しかそういうようなことであるとすれば、何らかの方法を考えて、今後やはり出した金は何に使われるか、その目的にやはり使われておつたかどうかということだけは、一つでき得ないながらも、その中でも最もでき得る方法一つ考えて、書面で回答させるとか、或いは証拠書類を提出せしめるとか何とか、やはり措置をされんことにはいかんのじやないか。ということは、これはのべつまくなしに行われるのじやないか、こう思うので、その点についての農林省の御意見を承りたいと思います。
  57. 平川守

    政府委員平川守君) この開拓者資金融通の資金が、必要な農機具、肥料等に必ず廻すということを確保する目的を以ちまして、その一部分の肥料、殊にここで問題になつておりました炭カルに対する融資でありますが、こういうものにつきましては、現物融資の方法を取るというようなことも試みているわけであります。従つてこの事案におきましても、この連合会は、先ほど申しましたと同じように、どうも経理が非常に混乱しているようでございまして、この金をほかの使途に使つたようなことになつておりますが、こちらで指図いたしました炭カル等につきましては別の資金から出すわけでありません。数量だけは炭カルを買いまして、各組合に配つているようでございます。ただ組合自体が経理の中身が余りよくございませんので、今財政関係の整理を指導いたしているわけでございます。この炭カル等につきましては、比較的そういうことがやり易い関係上、現物融資というような方法によりまして、ほかに流用さしたりしないようにやつております。ただ全般的に、もうそういう細かいところまで巖格にということはお話通り非常に困難でございまして、大きく掴み得る炭カル、或いは特殊の農機具等につきまして、現物を以て融資の形を取るということを試みているのでありますが、その他の一般につきましては、やはり貸付けました金の目的とするものが実際に開拓団に入つているかどうかということを検討をして、常時調べさせまして、開拓団の営農については常時指導をいたしたい。その指導の一環としてそういう細かいものにつきましては県をして調査せしめ、一応報告を求めている。そういう事情でございます。
  58. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今特にこの団体だけがそういつた経理状況が非常に惡いということなのか、やはり一般にこの種の団体は経理がなつておらんというのか、一応検査院のほうで検査されたと思うんですが、検査院検査された感想というかね。そういうものは一体やはり今農林省が言つたように、実際他の経理から見て、そういう非常に経理の整理の状態といいますかね。そういうことは非常に惡い、こういうふうにお認めになつているんですか。
  59. 大澤實

    説明員大澤實君) 検査院が何故こういうことがわかつたと、取上げたかといいますと、先ほど農地局長のほうから説明がありましたように、農機具とか肥料とかいうのは現物融資といいますか、銀行へそれだけの金をまず積ましておいて、実際の引取りの契約ができたときにそれだけの金を渡して肥料を引取られる、こういうことをそれぞれ県でやつているわけであります。普通は幾らの農機具を契約して買つた。いよいよ入るというので、銀行から金が下りるということになつておりますが、その紐付は融資がその目的通りに融資されているということの認証は受けるのでありますが、本件に関しましては、たしかそうした点の手続が多少十分でなかつた、でありますから何に使つたか、ちよつとわからないというので調べた結果が、まあこの農機具等のものには使つてなかつたということが結果として出て来たのでありまして、まあ各組合の経理内容を全部当るわけには行きませんので、そうした融資の初めの方途がいわゆる農林省の指示された手続を取つておるかどうかということを見まして、それを取つてないのを見た結果、これが出て来たのでありまして、或いはこのほかにまだ相当多いような事態があるかも知れませんですが、こちらの検査がそこで徹底しておりませんので、ほかの組合はどうであるかということに対しては、ちよつとお答えがいたしかねる次第でございます。
  60. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ほかに御質問はありませんか。御質疑もなければ、農地局関係の質疑は終了したものと認めて、食糧庁の第四百八十八号、第四百八十九号及び第四百九十八号を問題に供します。まず專門員説明を求めます。
  61. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 四百八十八号の事件につきましては当局からの説明書のほうを見て頂いたほうがわかりがいいかと思いまするが、品物は輸入とうもろこしの粉でありまして、食糧配給公団が持つてつたもので、それは総合配給の不適格品ということになつてつたのであります。それでそれを食糧庁が買戻すということにいたしまして、而もその品物は随分各地方にあつたようでありまするが、ほかの普通の場所には何も問題は起らなかつたのであります。たまたま折悪しく長崎県下のこのたくさんな島にあちらこちらにに散在しておりました。その百品物を引上げて来るがために相当時間がかかつた。それがためにこんな指摘を受けるようなことになつたということであります。その日附を申しますると、四月十八日附で売却の指令がなされたのでありまして、それからようやく十月の二十九日になりまして、島の各地かち集めて来たところのとうもろこしの粉を業者のほうへ引渡した。業者はそれを貰つて味噌を造つたというのであります。ところがこれ又折悪しく、直ぐ続いて十一月の四日に価格の改訂があつたのでありまして、而もその価格の改訂が六月まで遡つて改訂価格を適用するということであつたそうであります。かような複雑な事情がありまするので、当局においては、説明書を出されました当時には、価格の差額を取立てるということはされなかつたのでありまするが、只今になりましては、それを受入れられたという結果になつているのでございます。  その次の四八九号でありまするが、これは北海道におきましては稲が十分長く成長しない。従つてそれで藁を編む、その藁で以て縄を作つたりしましても、弱くて役に立たない。それで常にその材料を内地から移入しているというようなわけでありまするので、普通に我々が関東方面或いは東海道あたりで見ておりまするようなこととは事情が違いまして、農家に相当な負担をかけているというわけだそうであります。そういう特殊事情がありまするので、何とかしてそれだけの償いをつけてやらなければならないという必要を一方において認め、なおそれと同時にこれは食料品を多量に集めて内地に送るということでありまするので、当時の食糧問題解決の上からいたしましても、非常に当局としては重大な責任を持つた仕事なのでありまするので、何とか方法を講じなければならない。そこで当局では物価庁とも協議の結果、食料品の包装代に特別の価格を設けるということについて一応考慮されたようでありまするが、併し特別価格を設けるということは実際問題として困難な事情がある。これが北海道だけならばまだしも、事情を同じくするような地方が内地各地方にもないわけではない。内地各府県に対して刺戟を與えるというようなことにもなるので、その方法もとれない。で余儀なくほかの費目から、運搬費のほうに余裕があつたので、そちらから出されたということなのであります。それで検査院は、その運搬費からこんなものを出すのは予算の使用当を得ないものであると言つて指摘されている次第なのであります。  それから番号は飛びまするが、四九八号に、食糧庁関係の職員の不正行無が一件掲げられているのであります。これだけでございます。
  62. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 会計検査院と食糧庁関係の……特に食糧庁関係ございますか、あれば御説明願います。それでは質疑のあるかた順次質疑をお願いします。
  63. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四八八は、一応は検査院からちよつと説明して下さい、四八八と四八九と二つ一遍に……。
  64. 大澤實

    説明員大澤實君) 四八八号は、先ほど專門員からお話がありましたような次第でありますが、結局四月にまあ売却指令が出た。併し実際に集荷したのが十月になつた。値段は六月に価格改訂があつた。こういう事案に対しましては、検査院の見解といたしましては、十月に集荷しまするときに、それぞれ正規の契約が成立したのだ。だからそのときの価格を以て決済すべきである、こう考えました。四月の売却指令の当時の価格より値上つた六月の価格、これで決済すべきである、こういう見解を持つているわけであります。まあそれに関しましては、先ほど專門員からお話がありましたように、食糧庁のほうでも最近においてその線で御整理になるようなお話でございました。  四八九号のほうは、これも專門員の御説明通りでありまして、北海道の特殊事情で、若しも包装代を多少値増ししなければならないという事情が認められたとしても、これは運搬費ではないのだから、これを運搬費として支拂うのは妥当ではない、こういうわけでございます。  以簡単でございますが、説明を終ります
  65. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四八八はそうすると、食糧庁ではどういうわけでこれをその安い値段で渡すということにしたのかですね。当時はどういう考えで、とにかくまあ相手方を何とかしてその利益を得さしてやりたいという親心でこういうことをやつたのか、その点はどういう考えに立つて、根拠に立つて、かような安い値段で処理をしたのか、先ずその点についてお伺いしたいと思います。
  66. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) この問題につきましては、先ほど專門員から御報告がございましたように、とうもろこしの総合用としての問題が打切られまして、それを公団から買戻しまして、味噌用に渡すというふうな事情のために、長崎県等におきましては、離島その他の関係で、その引取りに非常に日数を要するというような事態であつたのでございます。この関係はまあ政府の責任といたしまして、事務をもつと迅速にして早く引取つて、それで、味噌のほうに送るというふうな手続きが迅速に通常の場合行きますれば、旧価格の関係で適用するということは勿論当然のことだと思われるのでございます。それが事実の問題として困難であつたというような事情でございましたのと、それから価格そのものが十一月になつて決定された。それも六月以降について値上つた価格を適用するというような事情もございましたので、一応食糧庁の判断といたしましては、旧価格を適用すべきが妥当であろうというふうなことでやつた次第であります。
  67. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 会計検査院にお尋ねするのですが、今食糧庁のほうから説明されたようなことであれば、批難しておるということのほうがおかしいのじやないですか。いわゆる旧価格で決済するということが適当であるということで行つておるのだから、それは少し検査院のほうではこういうような批難することがおかしいということになりはせんかね、今の御答弁では。
  68. 大澤實

    説明員大澤實君) 確かにそういう御意見も立つと思います。又検査院の内部で、そうした意見が相当闘かわされた結果、これが掲載されておるわけでありますが、結局これは価格が変つたときに、いつの価格を適用するかということを一応純理論的に考えますと、これは契約時の公定価格で取引すべきである。こういう一応線を引きます。そうすると本件の契約はいつできたかということになりますと、全般的な売却指令というものが四月十人目に出ておるが、個々の引取りのときに受書を出しまして受取る。そのときが契約ではなかろうか。そう考えると、これは価格の改訂に遡つたのでありますから、その引取時と申しますか、受書提出のときの価格を以て仕切る、そのときの価格で決済するのが妥当であろう。こういうような理論的な見地に落着いたのでありまして事情といたしましては只今食糧庁総務部長のほうから御説明がありましたように、離島のために集荷が困難であつたというようかいろいろの事情もあろうと思いますが、一応会計検査院といたしましては、事情は第二としまして、決済としてはこの決済をすべきである。こういう結論に達した次第であります。
  69. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで先ほどですね。聞いたのには、一応こういうことであつたが、価格を直して是正するように今食糧庁のほうでやつておると言うが、それはどういうことになつておるのか、現在は。
  70. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 只今会計検査院のほうからお話がございましたように、理論的な筋でやはりこの問題は解決すべきであろうというふうな見解で一致いたしましたので、二十六年のそれが八月に実は話がつきまして、本年の二月十四日に、追徴金二百六十三万三千百十三円というものを納付させることにして、完了いたしたのでございます。
  71. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、先ほどあなたが言われたがね。旧価格がいわゆる正しいという観点に立つてつたということと、その後又それが間違つておるという観点に立つて是正するということ、それでは全く食糧庁としての信念がなさ過ぎはせんか、そんなことでは。従つてそういうことをやられるたんびに、業者としては非常に迷惑をこうむるのではないか。それが僅かな金ならばいいが、この相手の業者がどの程度のものか私は知りませんが、そういうようなことを考えるなれば、やはりこれは当初にはつきりとした信念におられるなら、やはりこれで進むとか何とかしなければおかしいのじやないかという気がするのですが、その点はどうなんですか。
  72. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 仰せの通りの筋だろうと思うわけでございまして、食糧庁といたしましても、話の筋をつけますためには、十分業界のほうとも了解をつけまして、この問題の実施に移つたのでございます。
  73. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件は食糧庁としても、よほどこれは、こういうことは今後注意して考えてもらうようにして頂きたいということを申上げます。  次に四百八十九号の事案ですが、これは運搬費に余裕があるのに乗じて、運搬費から支出したものであると、これは一体どういうわけでそういうことをしたのか、実際そうでないものをそうであるかのごとくに仕立てて、それで金を余計支拂われておる。こういうことになりやせんかと思うのですが、その点は食糧庁じやどういうようなお考えを持つておられるのですか。
  74. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話通り本件につきまして、運搬費からこの財源を醵出するというような点につきましては、会計法上誠に弁解の余地ない事情であるのでございまするが、一方その当時の事情からいたしまして、北海道におきまする食糧の供出事情と、全国的な食糧事情といつたような点を睨み合せて見ますると、北海道の生産関係は非常に反当収量も少く、又包装資材としての適正を欠いているような藁といつたようなことと睨み合せて見ますると、北海道はどうしても内地から藁を入れまして、非常に割高になつて、それが農家経営を圧迫しておる。何とかその関係を何らかの方法によりまして是正して、農家の供出意欲と申しまするか、それの高揚を図るというようなことが必要であつたのでございまして、当時北海道の農家からの強い要望もあり、北海道庁からも、知事からのいろいろの要望書も出おつたような次第でございましたので、藁の供給確保につきまして、何らかの名目で農家のそういつた関係を考慮してやるというようなことにつきまして苦心をいたしたのでございまするが、正規に申しますれば、包装代の特別価格というものをとるのが建前でございまして、食糧庁といたしましても、当時の物価庁に対しまして協議をいたしたのでございまするが、先ほど專門員からの御説明にもございまするように、北海道だけにさような関係を考慮いたしますれば、それに多少似通つているような内地の府県あたりからもいろいろと又具体的な問題が出て参る。それを一々処理するというようなことになるような特別価格の設定も困難であるというような事情からいたしまして、とにかく北海道を重点的に、その問題を解決さえしますれば、全体の食糧関係の緩和のためにも非常に役に立つというようなことに思いをいたしまして、実は会計法上の問題も多少あつたのでございまするが、物価庁とも相談いたしまして、かような処置をとつた次第なのでございます。
  75. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 すると当然物価庁は一応これで了承したのですか。御相談なつたとき、これでよろしいということを物価庁が言つたから、こういうことになつたというのですか。
  76. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 本件の支出につきまして、物価庁から正式の了解文書をとつたというのではございませんが、全体の運送賃決定の際に、計画内容に含まれておるようないろいろの事項について、物価庁も了承してもらえたという食糧庁の見解の下に実施したのでございます。
  77. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 会計検査院のほうにお尋ねしますが、本件のみでなく、食糧庁全般に亘つてのいわゆる二十四年度検査はどの程度にされたのか、非常に批難の件数が少いと思いますね。非常に少いというのは、食糧庁は非常に大きな特別会計で金を扱つておる。而もその金の支出については、これは不正というよりは、むしろ当局者が僅かな注意をすれば、非常に国費の節減になるという点があるにもかかわらず、注意をせずに、二重運搬をやつて見たり、或いは倉庫賃にしても、或いは又その他の経理にしても、随分無駄なことをやつておるというようなことで、その無駄なことをやられたその結果が、国民の消費の上に、国民経済の支出の上に、それが負担増となつて現われて来るというようなことがまあ非常に問題にされたことがあるのです。最近は統制等の関係から、食管特別会計事務量も相当減つて来ておるのではなかろうかと思われるし、又今後はずつと減るのではなかろうかということは、これは一応想像できますが、併しそういうような事実や事情から考えて見て、この批難されておるものとしては非常に少い。検査院としては、これはもう殆んど食管特別会計に対しては、ちよつと入口を覗きに行つた程度で引返して来たのじやないかどいうような感じが持たれるのですが、それはどういうようなことであつたか、一応承わりたいと思います。
  78. 大澤實

    説明員大澤實君) 検査報告の掲載事項が少いではないかというあれでございますが、食糧事務所が全国各都道府県四十数ヶ所ございまして、検査といたしましては、二十四年度のこの分に関しましては、たしか八〇%ぐらいの事務所にそれぞれ検査に廻つております。そうして検査の主眼といたしましたところは、薪炭の問題もありまして、現品が果して帳簿上あるかということが一つ、もう一つは、只今カニエ議員からも御指摘がありましたが、運送の面において節約ができる余地がありはせんか。この二点が検査の重点として行われたわけであります。その結果現品の面におきましては、まあものが薪炭と違いまして、こうした重要な食糧でございますから、検査しました関係におきましては、不符合という事態も起きて来ない。問題は運送の問題でありますが、これは検査の結果の感じといたしましては、非常に二重な無駄な運送ではなかろうかと思われるような案件が相当ございまして、一応検査報告に掲げようとして審議された案件は、運搬関係でも二十数件あつたかと思いますが、それがいろいろな角度から検討いたしますと、結局食糧、つまりいわゆる八千万の国民が一日もゆるがせにできない食糧が、どこかの地点で不足があつてはならんという食糧庁の一つの方針、これは当然そうあるべき方針でありますが、その方針と、運搬の計画をしたときと、実施したときとのいろいろな諸般の事情をいろいろ考えると、どうも運送は無駄であつたという結論を、自信を持つて言い得る案件が、これは二十四年度においては、審議した結果、どうもちよつと無理ではなかろうか、そういうのは余り酷ではなかろうかということになりまして、それぞれ削除になりまして、これだけに減つたわけでございまして、食糧管理特別会計検査の結果、一応いろいろここに揚げようとして審議した案件は、全部で七十件ぐらいは審議を一応はしたわけであります。少いではないかというのは、こちらの検査も徹底しない点もありましようが、又相当こちらの事情を或いは考え過ぎたということになりましようが、考えた結果であります。なおそうした点は二十五年度検査においても引続き検討いたしまして、二十五年度におきましては、運送の関係におきましても、まあ余りにも極端な例をとり上げて検査報告に掲げてある次第であります。
  79. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 食糧庁のほうに申上げておきたいことは、これは勿論私が言うまでもなく、食糧庁では当然わかり切つた問額でありますが、食糧庁のやつておられるこの仕事が、直接国民生活に重要な影響を持つておる点、それからこの食糧庁ができるだけの合理的な方法を考えて運営されるということ、いやしくも運賃にしても、倉庫賃にしても、或いは又それらいろいろな機関におけるところの運営の合理化によつて、一文でもそれが安くなるというように努力されれば、それだけ国民の負担の軽減に勿論なり得るわけでありますから、従つてこういう重要な点を十二分にお考えになつて、そうして今後ともでき得る限りの善処をして頂く。特にこれは農林大臣並びに食糧庁長官に御出席を願つて申上げたいと思つてつた点でありますが、そういつた点について、万遺憾なきよう今後御留意を願うと共に、いやしくも会計検査院批難に上るようなことのないように、一つお考えを願いたい。かように思います。
  80. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ほかに御質疑はございませんか。別に御質疑もなければ、食糧庁関係の質疑は終了したものと認めます。速記をとめて。    〔速記中止〕
  81. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記を始めて。本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十九分散会