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1952-04-01 第13回国会 参議院 経済安定委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月一日(火曜日)    午前十一時三十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君            永井純一郎君    委員            小滝  彬君            杉山 昌作君            須藤 五郎君   政府委員    外務政務次官  石原幹市郎君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  三宅喜二郎君    経済安定政務次    官       福田 篤泰君    外資委員会事務    局長      賀屋 正雄君   事務局側    常任委員会專門    員       渡辺 一郎君    常任委員会專門    員       桑野  仁君   説明員    外務省條約局第    三課長     重光  晶君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く経済安定本部関  係諸命令措置に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では委員会を開会いたします。  今日は第十一回になるはずでありまして、前回は昨日開きまして、外資に関する法律の一部を改正する法律案提案理由説明を聞いて、すぐに例のポツダム宣言受諾に伴い発する云々の法律案質疑を続行したわけであります。本日の議題としましては、今申上げましたポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案、それから若し時間がありましたならば、昨日かけておりました請願陳情数件の御審議を願いたいと思います。今日は先だつての御要請もありまして、福田経済安定本部政務次官、それから石原外務政務次官、それから賀屋外資委員会事務局長、それから外務大臣官房審議室三宅喜二郎君、これはアジア局関係を担当されておるそうであります。それからそのほかに説明員としまして、外務省重光條約局第三課長、それから永井経済局第六課長が見えております。ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案議題といたしまして、質疑を続行いたします。質疑のありますかたは順次御発言を願います。
  3. 永井純一郎

    永井純一郎君 今日までこの事務当局からいろいろ説明を聞いたわけですが、結局外務省関係の特にこの平和條約との関係になつて来ますので、それらの点について大臣なり或いは政務次官から最後的な取りまとめのお答え願つて、そうして私どもの態度をきめたいということになつたわけです。そこでこの我々が質問したことに対して文書で一応回答を頂いておりますが、なおこの文書を見てもわからない点もあるわけでありますので、二、三外務次官お尋ねをしたいと思います。  その一番初めは朝鮮の問題ですが、この文書によるところの回答によりますと、「平和條約が発効すれば、在日韓人適用除外指定を受ける。また在日韓人大韓民国国籍を有するか否かは具体的には大韓民国が決定する問題である。」というふうに答えておるわけです。そこで私が考えますのには、朝鮮平和條約によりまして、條約批准国、或いは中立国か等が今度指定されるわけですが、同時に朝鮮は條約によつて国民待遇朝鮮人に與える義務があることになつておるわけです。従つて平和條約の関係から言えば、南鮮だとか、北鮮というふうに考えないのであつて朝鮮というものが対象になつており、而もその朝鮮に対して内国民待遇を與える義務日本にあるということになつておりますから、今度の指定する場合もここの文書で書いてあるように、大韓民国というものだけを対象にするということになりますと、これは明らかに南鮮だけというふうに一応これは受け取れます。この文書の解答ではそれは平和條約に相反する、少なくとも平和條約の精神からいうと、妥当でないものではないか、ですから南北鮮を含めた朝鮮というものを指定して行くというようなふうにされるべきだというふうに思いますので、その点を先ずお伺いしたいと思います。
  4. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この問題はまあどういう指定の見方をとるかということにつきましては、只今までのところでは日本は御案内のごとく、大韓民国朝鮮の一応の政権として諸般の折衝をしておるのでありますけれども只今までお答え申上げておるような筋で検討しておるのでありますが、併しこれを如何なる字句で現わすかということにつきましては、先般衆議院審議いたしました出入国管理令の問題、或いは外国人登録法問題等と関連いたしまして、その間にもいろいろの便法を講じて行きたいというような意見も出ておりまするので、外資委員会でも十分研究をいたしまして、如何なる字句で表現するかということについては今後もう少し研究をして見たいと思つております。
  5. 永井純一郎

    永井純一郎君 如何なる字句でというと、まあこれははつきりしないわけですが、その字句の使い方によつて南鮮なら南鮮だけを対象にするんだというようなことにはつきりなつて来るわけですね。
  6. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは建前といたしましては、実質的に朝鮮全部を含むということでいたしたいと思いますし、行かせねばならんと思うのでありますが、そういう意味においてその表現するその字句につきましては、もう少し研究をさせてもらいたいと思うのであります。実質的に全部を含むような形で行きたい、行かねばならんと思つておることは勿論でありまするが、そういう意味での表現方法研究して見たいということであります。
  7. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういう意味朝鮮全部を一応含むようにする、そして実際問題として、例えば日本国内においていろいろな不当な行為、不都合な行為をするような朝鮮人を、国内で十分な利益を受けない、或いは入国を許さない、或いは帰つてもらうというようなことに対する措置というものは、別途の法的な措置を講じて、この指定ということについては一応朝鮮全体が平和條約の精神に則つて含まれるというふうな措置をとつて善処したい、こういうふうに受取れるのですが、そういうふうにとつてよろしうございますか。
  8. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほどもお答えいたしましたように、朝鮮人の今後の入出国の問題、或いは永住許可の問題、そういう問題はすべてポ政令から法律に引き直しました。まだ参議院のほうではこれから御審議願うのでありまするが、その入国管理令並びに外国人登録法の運用によりまして、今永井さんが言われたように、一方だけを非常な差別待遇をやるという意味でなしに、これは長く日本に在住して、而も善良な遵法精神に富んだそういう人に対しては、これは十分不都合、不便のないようにやりたいという意味からいたしまして、先般の審議においていろいろの便法を講じて行きたい、こういうことになつておるのでありまして、そこで今回のこの法令関係にいたしましても、外資委員会とよく検討をいたしまして、向う入国管理令なり外国人登録法によつてとりまする精神とちぐはぐのないように、現わす字句等についても十分研究をしたい。但しこれは日韓会談その他で先方もあることでありますから、どういうことになるか、ここで結論をはつきり申上げるわけには行きませんけれども、そういう気持趣旨で行きたい。そのためにいま暫らく時をおいてもらいたい、こう申上げておる次第であります。
  9. 永井純一郎

    永井純一郎君 大体その問題はわかりました。  次の次は、文言でお答えなつた(10)の南西諸島等についてですが、この文書による答弁によりますと、「南方諸島に対する領土主権は依然として日本に属する以上、その当然の結果としてこれら地域の住民は日本国籍を保有する。」というふうに同答が来たのでありますが、そこで法律の議論として考えられますのは、南西諸島等には日本国籍法というようなものが適用されるのかどうかということを先ず聞きたいのです。
  10. 重光晶

    説明員重光晶君) 国籍法沖繩には適用がないと、然るに日本人にはというような御疑問……。
  11. 永井純一郎

    永井純一郎君 国籍法が先ず適用されるかどうかということなんです。
  12. 重光晶

    説明員重光晶君) その点につきましては、国籍法適用されておるかどうかということは、言葉とりようの問題にもなりますが、元来国籍法というような法律は属人的な性格を持つものであると考えます。従つて日本主権が及ばない地域、例えばブラジルに移住した日本人に対して国籍法適用があるのであります。そういう意味で、元来国籍法は属地的なものではなくて属人的な性格のものであるということを申し上げたいわけでございますが、ところで現在、即ちスキヤツプ占領下にある現在におきましては、沖縄スキヤツプ指令によつて行政分離指令によりまして、沖縄在住者内地官憲との交渉が絶たれておる現状でございます。従つて沖縄には国籍法が元来適用があると考えますが、その国籍法上のいろいろの手続が円滑に行われていないのが現状であると思います。従いまして、これらの手続問題が、平和條約が発効したあとどうなるかということは、結局スキヤツプ行政分離命令平和條約が発効いたしますとなくなるわけであります。結局平和條約の第六條に基いて信託統治が決定するまで行政立法司法の権限を米国が持つておりまするから、これを持つておる米国日本との間で具体的にどういうふうにこれらの手続をするかという取極をやりまして、解決することになると考えます。そういう意味におきまして国籍法は現在でも、それから平和條発効直後におきましても沖縄に……というのは変でありますが、沖縄におる日本人沖縄人でありますが、これに適用があるという言葉で定義しても差支えないと考えております。
  13. 永井純一郎

    永井純一郎君 今のお答えは、法律技術的に考えて行つてもう少し質疑を重ねたいと思いますが、非常に重要な答弁だと思うのですが、講和條発効後も国籍法沖繩人に、沖繩人たち適用があるということは、これは立法司法行政三権米国にある、信託統治地域になるまではあるというふうに何條であつたか、三條であつたかに書いてありますが、にもかかわらず日本法律適用があるということになると、これはそういう意味国籍法のみならず、国籍法だから特別にそうなるのか、或いは憲法以下同じように、政府が條約委員会説明して来たような潜在主権というようなことからして、憲法自体憲法を初めとしてその他の法律が同じように……、そういつたようなふうに解釈できるものであるかどうか、これを一つ伺いたい。
  14. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは只今電光課長からお答えいたしましたように、国籍法は属人的な、人についておる法律であるから、人についておると言つては語弊がありますが、属人的な法律であるから適用があるということを申上げたのでありまして、憲法その他のものが適用のないことはこれは勿論であろうと思うのであります。それで先きほども引例しましたように、仮にブラジルならばブラジルにおきましても、日本人が移住して行つたような場合でも、その日本人については日本人戸籍の扱いといいますか、そういうものについては適用があるのだと、こういう意味のことを申上げたのでありまして、立法司法行政三権アメリカにおいてこれを行使するということになつているのでありますから、憲法その他のものが、地域的の諸般法制適用がないということはこれは当然のことじやないかと思つております。
  15. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういう説明だと一応わかるのですが、従つて国籍法も属人的な法律ではあるけれども、これもやはり私はそういう意味から適用はない、今日の平和條約の範囲ではない、こうやはり法律的には言うべきだろうと思うのですが、重光君の御説明は私は少しおかしいのじやないかと思うのですが、まあそこは今石原君からのお答えはつきりすると思います。従つて国籍法もそうじやないのだ、適用はないのだ、こういうふうに解釈したほうがいいと思うのですが、どうですか。
  16. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 一応私からお答えして、なお足りないところは專門的なほうから申上げたいと思いまするが、これは国籍法が全然適用がないというふうに今永井さんは言われたのですが、そういうことではないのでございまして、いわゆる沖縄のものが日本に来たような場合には、これは当然の日本のいわゆる戸籍と言いますか、国籍関係法律でいろいろの手続をこちらでやるのでありますが、ただこの国籍法沖縄地域内でそのままの形で施行できるかどうかということは、これは沖縄において立法司法行政三権を持つておりまする、指導しまする先方との話合いと申しまするか、どういう形でそれを運営して行くかということについては、今後の話合いによらねばならんと思います。
  17. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういう説明で行きますと、例えば今の説明は、属人的なものであるからやはり適用があるのだ、併しながら具体的にそれを適用があつて、具体的にそれを効果あらしめるためには両者話合い、例えばその両者というのは、沖縄米軍、或いは沖繩に新たにできる政府か、いずれかわからないのですが、私はそれも聞きたいのですが、向う沖繩政府、或いは沖繩に駐留する米軍日本政府との協定によつてそういうことが行われる。そのことによつて日本国籍法というものが沖縄人に及ぶ。そのことによつて国籍はつきり法的にも持つということになるのだというような意味説明であるならば、これはもう憲法などというものも、やはりそういつた形をとつて来ないとおかしいと思うのですけれども、同じく潜在主権があるという説明の下にそういうことが、属人的でないものもそういうふうに考えられる。特に憲法についてはああいう特殊な憲法日本人が作つたわけですから、やはり憲法精神、或いは憲法等法律もそういう協定によつて沖縄入にはやはりそれを進法する、或いはそれに従うというようなことができるということになりますか。
  18. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 憲法は、これは申上げるまでもなく属地的と申しまするか、日本の四つの島と、日本主権が当然に及ぶその範囲にいわゆる施行されるものと思うのでありますが、そこで永井委員の御質問の要旨は、要するに沖縄人は結局日本国籍を持つかどうかというような意味に関連して来るのではないかと思うのですが、日本沖縄を含む南西諸島に対してもいわゆる残存主権を持つている。行く行くはこれは日本主権に帰つて来るのだと、こういう建前をとつておるのでありまして、そういう意味では、これは当然沖縄人日本国籍を持つているものであると我々は解釈しておるのであります。そのほかの関係におきましても、例えば出入国関係、或いは郵便為替関係であるとか、経済的のいろいろの諸般関係にいたしましても、これはできるだけ島民希望に副い得るように先方と折衝いたしまして、自由と言いまするか、日本的な取扱いをして行きたいと、かように思つておるのでありまして、今お尋ね憲法までもというようなことは、これは憲法は当然主権の及ぶ属地的なものであります。立法司法行政三権が一応先方によつて指導、行使されることになつておりまする地域には当然及ばないことと私は考えております。
  19. 永井純一郎

    永井純一郎君 憲法についての問題は、更に突つ込んで行けば或いは特別な、平和的な目的を達成するために特別な規定を盛つておるようなああいう特別な法律でありますから、それを作ることに対する意思がみなそれぞれ特別な、普通の法律の場合と違う私は意思があつたと思う。で、このことについてはまだ議論すればもつとありますが、もつと細かく、それでは今の国籍の問題を細かく言つて、そういうように当然あなたが説明されるように、そういつた意味で当然国籍法適用があつて日本人だというようなふうに取扱うのならば、それでは沖繩における米軍或いは米国人財産を取得することについて、沖縄人財産の侵害というか保護というか、そういつたようなことについて内地と同じような取扱米軍或いは米国人についてしなければならん。しなければ均衡がとれないというようなことに私はなつて来ると思うのですが、その点どうでしよう。
  20. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 今回のこの法令は、これはいわゆる属地法といいますか、属地主義に基く法律でありまするから、沖縄において、沖縄におる米国人沖縄人との間においていろいろのこの取引というか、財産取得その他の関係は、これは沖繩政府といいますか、米軍の定める法制によつて支配されることではないかと思います。
  21. 永井純一郎

    永井純一郎君 ですから、そういうふうにこつちの場合は属人的だから、又今の場合は属地的だからというようなことで簡單に説明をして片付けて行くと、それは明らかに対等でも平等でもないと思うのです、立場が。そこで私がもう一つ突つ込んで聞きたいのは、今当然に国籍法適用があつて日本国籍を持ちたいという場合にも、日本政府向う政府というか、或いは軍との間に協定を私は行うだろうと思うのです。具体的にはその協定があつて初めて沖縄人日本人国籍を持つという法的根拠が明らかになつて来るのだと思うのです。そうすると、その協定を結ぶときに是非とも考えられなければならないことは、自由気ままに、三権を持つておる米国が、自由気ままに沖縄人財産権その他の権利を侵害しないようなことでその協定が結ばれて行かないと、平和條約の精神に私は副わないと思うのです。ですから、先ず協定というものが行われる形が私は国籍の問題について先ずあると思うのですが、その協定を結ぶ見通しなんですが、どうなんですか、国籍特別協定がないかも知れませんけれども、一般的に。
  22. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 私は国籍関係については、これは沖縄におりまする日本人、いわゆる沖縄人日本潜在主権を持つておるのでありますから、これは当然日本国籍を持つておるものだと、こういうふうに考えます。又アメリカにおいて、先方において、向うはどういうふうに考えるかということは、向うの考えもあるでありましようし、私は日本としては当然日本国籍を持つておるものだと、こういうふうに思うのであります。それから、向うと、アメリカ沖繩の今度の政府の間でいろいろのことをきめて行くと思うのでありますが、その際には、日本といたしましても先方に対しまして成るべく島民気持通り、又日本沖縄に対して持つておりまするいろいろの考え方が実現できまするように、そういう意味では先方と十分の打合せなり、協議なりをやつて行きたいと、かように思つております。
  23. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の御説明では、例えば沖繩の中においては、沖繩一つ政府ができて、その政府米軍との間で沖縄人財産権保護等については話合いをするだろう、こういう意味ですか。
  24. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは行政司法立法三権平和條発効後持ちまする合衆国に対しまして、日本がいろいろのことを協議というか、申入れて行くわけでございまして、その際には成るべく先ほど申上げましたように、島民希望が通るように、従来通り諸般のいろいろ取扱をやつて欲しいということを申入れを行い、協議をして行きたいと、こういう気持ちでございます。
  25. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、やはり沖縄人保護、或いはその財産権が不当に侵害されないというようなための相談は、統治権を持つておる米国日本との間で相談をしてやつて行けるわけですね。
  26. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 大体そういうことと思います。それで、その定めましたものを実施して行きまするものがこの沖縄地方政府ではないかと、かように思う次第でございます。
  27. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういうことであれば、米国自体行政協定日本の法規を尊重するということを明らかに約束をしておるのであります。而して又今までの御説明によれば、沖縄人は立派な日本国籍を有する日本人だということもはつきりして来たわけでありまするから、従つて日本から言えば、沖繩における米軍並びに米国人というものは、たとえ統治権を持つていようと、内地における米軍並びに米国人待遇で私はいいと思うのです、そういう今までの御説明趣旨から言えば。つまり米軍並びに米国人内地でも内国民待遇平和條約第十二條によつて受けるのですが、その程度待遇で行けるようなふうに米国の軍と日本政府が折衝するときはやるべきだ、少くとも最低そういう線で行くべきだと、そういうふうに思うわけです。これは今そういうふうにするかどうかということを聞いてみてもお答えにならないかも知れませんが、そういうことを私ども希望したいわけです。一応まだ判然としない点もありますが、この程度でこの問題は打切つて、その次にもう一つ伺いたいと思いますが、これは或いは今後他の特別の立法がされる場合に議論されることになると思いまするが、この際これと関連しますから伺いたいのですが、今進駐軍が接收して使用しておる財産等は、これは講和後は当然一旦解除になるはずと思います。一旦解除なつたものを再び更に米国或いは米国人がそれを使いたいというふうなことになつて来ると思いまするが、その場合の両者関係を規制して行くものは、両国が約束をした平和條約十二條に基くところの内国民待遇で一切が処理されれば私は足りる。それが平和條約にアメリカ日本も、特にアメリカが忠実な私はゆえんである、こう思うわけです。言い換えればそれだけであると、貸す日本人所有権者が、これはもう貸さないのだというようなことが起ると困るので、特に駐留軍のために強制的に收用し得るような特別の立法をするというようなことは、平和條約の精神から言つて不当なものであるというふうに私は考える。一切が内国民待遇で合意の上でそれぞれが処理されて行く、この程度で十分だ、十二條精神というものはそうだ、こう思うわけですが、その点を一つお伺いするわけです。
  28. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは行政協定によつて駐留いたしまする駐留軍、その構成員等がその目的でいろいろやりますることと、それから單に私的の立場においてやりまする場合とで問題が変つて来ると思うのでありまするが、駐留軍立場で行いまする場合は、これはいろいろの施設その他は日本政府がこれを借り上げまして、つまり先方に提供するという、こういう形になるのでございます。今までの立場とは全然変つて来ることになるのであります。ただ日本日本の平和安全を保持してもらいますために安保條約に基いて向う先方が駐留するということになりまするので、その目的からいたしまして、施設のその他の借上げ使用等について十分のことができない際には、日本法令によりまして更にいろいろの措置をとつて行こう、こういうことに考え方がなつておるのでありまして、あながちその点は不当とか、行過ぎということはないと思うのであります。それで單なる私的、私の立場からやりまする際は純然たるこの法令にもありまするように、通常必要とするとか、そういう場合にはこれは全然法令適用はないのでありまして、ただ経済的に経済行為として投資のために土地を求めるとか、家を買うとか、そういうような場合はこの法令対象になつて行く、こういうふうに考えられると思うのであります。
  29. 永井純一郎

    永井純一郎君 経済的に投資をするとか何とかいう場合でない場合で、例えば公的の場合も行政協定に基く場合も何といいまするか、今のままではやはりいやだというものを取り上げるわけには行かん、例えば政府の持つておるものを、財産を使用させる場合は別ですけれども、民間の持つておる工場だとか、施設だとか、住宅とかといつたようなものが、たとえ公的の場合であつて只今あるところ法律ではできないわけです。その場合に特別の立法措置が必要になつて来ると思うのです、強制的に收用するというような……。併しそうすることは日米間の融和のためにも工合が惡いし、又平和條約の精神からもおかしいじやないか、従つてこの法律で処理して行けばいいじやないか、こういう意味なんです。
  30. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは御意見としてそういう意見は確かに一つ考え方としてあると思うのでありまするが、先ほどもちよつと申上げましたように、日本の安全を保持するために安保條約に基きまして先方に駐留してもらう、駐留が行われるのでありまして、従いましてその目的を達しまする上において不都合がありまする際には、その不都合を除去するために日本一つ法制を整備して行く、これもやはり一つ考え方ではないかと思うのであります。これは如何なる形のものが出て参りまするか、只今研究中のようでありまするから、ここでまだ申上げることはできませんが、これもやはり一つ考え方であろうと思うのでありまして、そういうことで今検討が行われておるわけであります。
  31. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういうふうに考えて来ますと、やはり政策的な問題でなしに、一応法文上の法律上の技術上の問題として、或いは課長からでも結構ですから伺いたいのですが、そういうふうに議論して行きますと、結局のところは憲法違反の問題が法律論として出て来ると思うのです。というのは日本憲法は非武装憲法になつておりますが、あの憲法の中で財産権は侵害しちやならないということの規定があるわけなんです。併しながらその財産権にいろいろな制約を加える場合はそれが公共事業の場合には完全な保障が行われて初めてできるというふうに何條だかに書いてありますね、そうすると憲法からいつて、国防のために或いは軍事目的のために、それが外国の軍隊であつたとしても、明らかに航空基地だとか或いは武器製造の工場だとかいう、明らかに憲法から言うとおかしいところの目的のために、而も憲法で保障された個人の財産権が侵害され行くということに法律論としてはなつて来るのです。そうするとそれは明らかに日本憲法の違憲問題がそこで起つて来る。例えば土地收用法という法律の沿革を見ても、あの中には明確に石原君はよく御承知だと思いまするが、軍事的目的のために土地收用ができるということが書いてあつたのです。ところがあれをわざわざ憲法精神に副つてそれを削つたのです。二十二年だか何年だかに削つたのです。そういう点からいつても、土地を強制的に收用するということが、軍事目的のためには日本憲法に副わないという精神からああいう條項が削られたわけなんです。同じことがここで米軍のために強制的にそういうものが收用されて、財産権を侵害するということになると、法律的には明らかに違憲の問題が私は起つて来ると思うのです。そうすると憲法改正はしないしないと言つておる吉田総理の答弁は、こういう具体的な問題になつて来るとどうしても動きが取れないということに私はなつて来ると思うのです。そこで政策の問題として、いや憲法を改正してしまうのだという答弁であれば別ですが、今まで総理が言つておるような線で行くと、こういう具体的な問題の場合もやはり合意の上で、強制收用の憲法違反の問題が起るような、強制的に駐留軍のために取上げて使用するというような法律を、特別な立法はしないで、それは憲法違反になるからしないで、どこまでも合意の上で日米間の間のことがうまく行くように十分指導をして、合意の上でそういう土地を使うとか何とかいうようなことをやつて行くべきであります。この法律で一切が処置されて行くのだという方針を私は政府はとらなければいけないと思うのですが、その辺の一つ考え方をお伺いしたい。
  32. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 今回ここで今御審議をされておりまするのは、これは純経済的立場に立つておる財産権取得、その他の場合を律する法律と思うのでありまして、そして只今いろいろ御議論になつておりまする点は、これはいわゆる先ほどからたびたび申上げておりまするように、平和條約、安保條約から発して参りまして、この行政協定によつていろいろの諸般の取極をする場合の問題をどうするかということで、先ほど来いろいろ説明申上げたわけでありまして、この安保條約なり並びに行政協定で意図しておりまするところが憲法に違反するかしないかというようなことは、先般の予算委員会で十分論議されたことでございまして、我々はこれを別に憲法違反とは今日の段階においては考えていないのでございまして、而も又これから予想されまする諸般法制も、憲法においても公共の福祉に反しない限りにおいていろいろの制限ができるのであります。そういう建前からいたしまして、仮にそういう法制ができるといたしましても、私は憲法違反とかどうとかというふうに考えていないのであります。
  33. 永井純一郎

    永井純一郎君 純経済的の場合はまあ当然ですが、私が言うのは行政協定に基くというか、公の防衛のためにする場合のことをむしろ言つているわけなんです。その場合も平和條約十二條によつて国民待遇範囲でそういう財産権を侵害するような問題が起る場合は処置されるその方向でやるべきだ、それが平和條約の精神に最も副うものだ、こういう意味のことを言つておるのです。例えば土地收用法のようなものを見ても、その経過から見ても明らかに軍事目的という項目をわざわざ削つているくらいですから、ところが軍事目的という字を削つた、又それを復活するような法律ができなければならんというようなことは、ただ憲法違反ではないと簡單に言つてしまえない立場にあると思うのです、法律的には……。ですから私はその法律上の質問をしておるわけなんで、それは法律の技術上專門的な立場からおかしくなりはせんか、こういうことを質問しておるわけなんですが、今ここでいやそれはおかしくない、おかしいということが直ちには結論が私は出ないと思うのですが、同じような答弁が繰返されるのであれば一応この程度で結構なんです。或いは純粋の法律論としてはこうこうだと言つて別個のお答えが願えればなお結構だと思うのです。
  34. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 大体同じことを繰返します答弁を申上げる以外にはないと思います。
  35. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 永井委員から相当詳しく質問があつたようですが、私もう少し補足させて頂きたいと思います。次官にお伺いするのですが、次官は朝鮮の休職問題に対する見通しをどういうふうに立てていらつしやるか。
  36. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはなかなか大きな問題で、私からどうこうというような問題ではないと思いまするが、先般衆議院の外務委員会において岡崎大臣が答えられましたところも、大体只今の段階でここでどうこうということは言うべき筋合でもなし、又言えないと思うが、併し前途何らかの解決を見るのではないかと、我々は考えております。
  37. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 一国の政治家として何ら見通しを持たないで、何らかの解決があるのではないかというそんなことでは大変国民としては心許ないと思うのですが、どうでしようか、もう少し成立つか成立たないか、成立つならその後どういうふうな方法でどういう政治的的ないろいろなことを考ていらつしやるか、その点はどうでしようか。
  38. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは世界の大政治家でもなかなかこれはわからんと思うのです。(笑声)わかつておればこれはすでに解決するなり何なりしておると思うのでありまして、わからんところに非常な悩みがある、世界中悩みを持つておるわけでございまして、併しまあ日本日本として一つ考え方は持つておるのでありまするが、これは併し見通しによつてどうなるかわかりませんし、ここで我々が申上げるべき筋合でもないと思います。但し円満なる解決を期待したいということはこれは世界中の何人もやはり希望しりているところだろうと思うのでありまして、適当なるときに協定ができて、再び平和の線に強く立返り得るように望んでおることは世界の万民の考えているところであろうと私は信じます。
  39. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじや余り政府の責任あるお答えは要求しないことにしますが、若しもお伺いすることができるならば、日韓條約は現在どういう段階にあるか、どういう方向にあるかという点を伺いたいと思うのですが、どうでしようか。
  40. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは只今会談の真盛中にありますので、私からここで会談の現状がどうなつておるかということを申上げることはできないと思います。
  41. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の聞きたい点はなかなかお答えが願えないで残念ですが、少し小さな個々の問題についてお尋ねしたいと思います。三月三十日のこの委員会におきまして、私が大韓民国国籍を持たない北鮮系の人たちは内国民待遇を許さないことになりますかという質問に対しまして、政府委員賀屋君ははつきりそうですと言つておるのですが、その場合韓国の国籍を持たない朝鮮人たち日本でどういう待遇を受けるのでしようか。
  42. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは純法律的に申上げましたならば、只今朝鮮の代表として大韓民国といろいろ折衝いたしております。そこでこの朝鮮人が如何なる国籍を持つかということは、相手国のいわゆる大韓民国国内法をどうきめるかということによつて決定せられるところと思うのでありまして、それ以外に答弁は出ないのでありますが、併し先ほどもちよつと申上げましたように、出入国管理令並びに外国人登録法の実際の切実な問題がすぐ直ちに背後に控えておりますので、そういう取扱いにおいて非常に何といいますか、善良なる朝鮮人に対して、而も長くおつたような人々に対して不都合、不利、不便があつてはいかんのでありまして、外国人登録法による登録の取扱いについては一応便法を考えよう、こういうふうに考えておるのでありまして、それで今回のこの法令の運用取扱方においても大体外国人登録法の登録の形を一応認定してもらつて、今後の措置を講じて行くようにすれば不都合はないのではないかと、我々はかように考えております。併しこれも外資委員会ともいろいろ打合わせをしなければらんことであります。又更には嚴密に言えば、日韓会談等の空気にも若干問題があると思います。先ほど永井委員にもお答えいたしましたが、今暫らく方法その他について研究させて頂きたいと思いますが、方向としては先ほどから申上げておりますように不都合、不利、不便のないようにいたしたいと、かように思つております。
  43. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  44. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。  先ほどの永井委員の質問に対する政府側の答弁、それから只今の須藤委員からの質問に対する政府側の答弁の過程におきまして、ちよつと委員長ここではつきりしておきたいという感じがいたしますので、政府側から成るべく明確な御答弁を願いたいと思います。それは従来朝鮮人取扱いについて、南鮮人と北鮮人とについて差別的な待遇が起り得る危険性について相当心配した質疑が行われておつたのでありまして、従来のそれに対する事務当局側の考え方説明によりますというと、日本側におる在日朝鮮人適用除外指定を受けるのだが、そうして指定大韓民国として指定をするということであつて、その大韓民国人であるかどうかということは大韓民国自身が決定するのだという考え方であつたように受けたのであります。その場合におきましては、日本におる朝鮮人大韓民国国籍を積極的に取得することを躊躇するという場合が相当考えられるような気がして、それを実際に日本におります朝鮮人の中で大韓民国国籍を積極的に取得するという行為を行わなかつた場合には、それには当然に大韓民国国籍を積極的に取得した朝鮮人との間に実質的な差違がどうしても相当出て来るということを心配しておつたのでありますが、先ほどの永井委員の質問に対する御答弁並びに須藤委員の質問に対する御答弁の過程におきまして、この指定の仕方等について外国人登録法取扱いの過程で、もう少し進歩というのか範囲を拡げて、成るべく南北朝鮮人差別待遇をしないような取扱いをしようという話が出て来ておりますので、その辺もう少しはつきりと一つして頂けませんでしようか、つまり指定をすることと、それからの扱いの……。
  45. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほど永井委員に対して私が大体お答えしたところを出ないのでありますが、つまり日本におりまする朝鮮人が如何なる国籍を持つかということにつきましては、只今日本が折衝の相手といたしておりまする大韓民国国籍法の決するところによつて律して行かなければならんと思うのであります。併し現実の問題といたしましては、外国人登録法であるとか或いは出入国管理令等の運用の問題におきまして、韓国籍の登録を拒否するといいまするか、事実上韓国籍として登録しないというような人が若干出て来るのではないかと思うのであります。而もそのうちには長い間日本に在住して善良なる人々であり、日本法令等もよく遵守しておるというような人々につきまして、これを直ちに登録を拒否したものであるとか、或いは出入国管理令違反であるとかということによりまして、これらの措置をとるということは、これは極めて不当、不都合のような場合も或いは考えられまするので、そこで外国人登録法の運用におきましては、従来から日本におつた朝鮮人であるということが証明がつくような人々につきましては、韓国籍に登録しなくてもこれは朝鮮というような登録によりまして取扱いをして行こう、従つて又それは出入国管理令の運用の面にもそういうことが考えられねばならんかと思いまして、そこで今回問題になつておりまするこの法令適用についてもそういう問題が起つて来ると思うのでありまするが、これは外資委員会とのいろいろの今後の打合せ等もしなければならんと思いまするし、それから又日韓会談等にも若干関係のあるところもあると思いまするので、ここでこの法令指定の場合に如何なる字句で表現するかというようなことについて、はつきりここで申上げることはまだできないと思うのでありまするが、気持といたしましては、長年在住する善良なる朝鮮一人に対して、不都合或いは不便のないような措置を講じて行きたいという気持でございます。
  46. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) そういたしますと、もう一つ今度は外資委員会のほうにお尋ねいたしますが、今のような状態でありますというと、従来説明されておりました朝鮮指定ということは、大韓民国指定するというふうに大体説明されておつたと思いますが、その指定字句大韓民国指定するという言葉のその指定の仕方にも変つて来なければならん状態が出ると思いますが、外資委員会のほうでもそういうふうに考えておられますか。
  47. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 只今外務政務次官からお答えになりましたように、具体的に指定いたします場合の表現の方法については、今後研究いたしまして決定いたしたいと考えております。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在の朝鮮人国籍大韓民国の決定によつてきめるということに対しまして、私たちは勿論賛成できない。反対の立場をとつておるのです。朝鮮は統一さるべきものであり、そして統一の方向に動いておる。それが現在の状態ですし、もう李承晩政権というものはすぐ沒落するという過程……すぐ近づいておるような状態で、次官は朝鮮の戰線に対する見通しが立たないと言うのですが、我々共産党ははつきりとした見通しを立てているわけです。それだけ共産党は優秀だというようなことを自慢するわけでもないのですが、まあ見通しは立てているわけなんです。それでそういうことに対しましては私たちは賛成はしがたいのですが、今次官の説明によりまして、とにかく北鮮系の人たち大韓民国国籍を持たない、持つことを拒否する、日本にいる朝鮮人の恐らく八、九〇%の人はそういう態度をとるだろうと思うのですが、その人たちにこれまで通り国民としての待遇を與えられるということがはつきりしたと思うのです。この点私ども了承したいと思います。  次にお尋ねいたしたいと思いますのは、先ほどのお話の中の沖縄の問題なんでありますが、日本政府アメリカ政府相談沖縄の統治がやつて行かれる、いろいろなことが相談の結果、その結果を今度できた、今日実は創立式を挙げるところの沖縄中央政府というものがそれをやつて行くのだという話だつたと思うのですが、そういうことはどこで取決められているのでしようか。
  49. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは今後の問題でございまするが、これは相談と申しましても、こちらは希望なり意見なりを十分向うに言うということでありまして立法司法行政三権アメリカ合衆国が持つのでありまするから、向うがこうだということになればこれは何とも方法がないのでありまするが、十分島民希望等を伝えまして、従来と余り変らないようなことが行われるように希望なり申入れをしたい、こういうことであります。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 何ですか、單なる希望に過ぎないので、実現ができることははつきり自信がないのですか。どうも皆仮定の上に立つておるのが多いように思いますが、審議をして行く上に非常に私たち因ることがあるのですが、そういうことがはつきりできるという確認の下に審議されるのが……、そういうことにしたいと思いますということで本案を審議しなければならんということは非常に困ると思います。
  51. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 足りなければ又補足いたしまするが、先ほども申上げましたように、国籍日本国籍を持つということは、これはここで当然申上げておいていいと思いまするが、沖繩におけるいろいろの行政なりの三権がどういう形で行われるかということについては、これはまだここで日本政府はつきりしたことを、方向を言うことはこれはまだできないのでありまして、先ほども申上げましたように、国籍のいろいろの関係は、もとより経済的な交通において、或いは出入国関係においてもうできるだけ従来通り自由にしてもらいたい。現に出入国管理令等におきましては、沖縄南西諸島関係のそれで律しておつたのでありますが、これは今回は全然廃止せられてそのままであります。全く自由であります。それから登録法関係も従来は適用があつたのでありますが、これも廃止されたそのままで、全然それもございません。そういうふうに今後或いは為替の問題であるとか、いろいろの問題についてだんだん従来通りの形になりまするようにいろいろの折衝を、申入れを行なつて行く、こういうことでございます。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国籍の問題は世界人権宣言の第十五條に一、入はすべて、国籍を持つ権利を有する。二、何人も、ほしいままにその国籍を奪われたり、国籍を変更する権利を否認されたりすることはない。という規定があるということから、沖縄人日本国籍希望することができ、そうして日本国籍を狩りということはできると思うのですが、この前の政府委員のお話では、無国籍の者が世界にもたくさんあるというお話を伺つたのですが、その一、二の例を伺つておきたいと思うのです。この前どなたでしたか、外務省関係のかたの御意見を開きましたが……。
  53. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはユダヤ人などにもあると思いまするし、それから白系ロシアの人なんかにもあるのじやないかと思いますが、併し無国籍人ができるというようなことはもうできるだけ防止しようというのが、これは世界各国のやはり取極があるのでありまして、その線に沿うて行かなければならんと思います。今回の朝鮮関係その他等におきましても、我々は無国籍人の生ずることはないように努力をして行きたいと思つております。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますと、沖縄人は先ほど来次官が日本人だとはつきり言つていらつしやいますし、沖縄自体も潜在意識では日本の領土だとはつきり言つていらつしやるのですが、外務省の官房長の大江さんが二月二十一日衆議院予算委員会第二分科会におきまして、こういう発言をしていらつしやるように思うのですが、強制送還された現行犯の中には、沖縄人三百九十名が含まれており、臨時措置令違反として南西諸島の諸君が八十名送還されるべき予定となつているという答えをしていらつしやるように思うのです。そうすると一体沖繩人というのは日本人であつて、なぜ沖縄に送還されなければならないか、ここで私は今まで次官の言つていらつしやることが、こんなことが行われるならば全くこれは逆のことで、引繰り返されてしまうのじやないか、次官は嘘を言つているのではないかというような感じがするのですが、どうですか。
  55. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは従来占領下関係諸般措置といたしまして、従来、北緯三十度以南の南西諸島に本籍を有する者の渡航制限に関する臨時措置令というのがあつたのでありまして、この措置令の運用によつて沖縄その他に本籍を有する者のいろいろな制限があつたわけであります。そこで只今言つたような問題があつたわけでありまするが、これは先ほど申し上げましたように、今回こういう法令は一切廃止することになつておるのでありまして、今後はこういう問題はないと思います。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今後は全然こういうことはされないということですね。もうこれまでされたことでもすでにおかしいことで、日本人でありながらなぜ沖繩へ送還されなくちやならないか、沖縄日本の領土であり、日本人であつて、こういうことをされることは実におかしくて、どうもそこらに政府当局の言つているごまかしが暴露されているというふうにしか考えられないと思うのですが、それから沖縄は何でしようか、今度は信任統治ということになつたわけでございますね。
  57. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) まだなつておりません。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まだならない……。併し将来はなるのでしようか。
  59. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 将来そういうふうにしてもいいというふうになつたわけであります。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国連憲章の第七十六條の第二号には、信託統治地域の住民の政治的、経済的、社会的及び教育的進歩を促進すること。各地域及びその人民の特殊事情並びに関係人民が自由に表明した願望に適合するように、且つ、各信託統治協定の條項が規定するところに従つて自治又は独立に向つての住民の漸進的発達を促進すること。そういう條項があるのですが、沖縄はこれまですでに自治制が市かれておつて日本沖縄県として立派にやられておつた。ですから未開の土地でも何でもない。ですからこの信任統治という問題でも、非常に縁の遠いところだろうと思うのですが、こういうところでも信任統治に大体できるのですか、どうでしようか。
  61. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはこの前平和條約及び安保條約を審議されました際に、その問題も相当何か十分論議されたようで、殊にここにおられます永井さんと西村條約局長との間で相当の論議がございまして、こういう沖繩信託統治にするというような目的は、国際の平和と安全に寄與するためにやるのだというようなことが謳われているのでありまして、そういうことからできるのであるということは、すでに論議済みのように私は思つております。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは小さいことですが、沖縄人が、若しも日本人ならば、沖繩に住んでいる沖繩人が外国旅行をしようと思うときは、主権日本の旅券によつて旅行するのですか。それはアメリカの旅券によつてするのですか。
  63. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) まだきまつてないと思いまするが、現在もいわゆる占領軍があそこを支配しておつたわけであります。これは日本の旅券で旅行をしておるわけではないのであります。で今後アメリカにおいて立法司法行政三権を持つのでございまして、これはまだきまつておりませんが、そういう際の旅券等は或いは先方において出す、こういうことになるのではないかと思つております。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 すると、今の日本にいる我々が沖縄に旅行し、又は沖繩人であつて日本に住んでいる人たち、在留している人が沖縄に行く場合の旅券はどういうふうになるのでしようか。
  65. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほど申し上げましたように、渡航制限というものはもう全然ないのでありまするから、沖繩日本との間の交通は全然自由であります。それから先ほどのアメリカが出すのではないかと思いますと私答えましたけれども、これは先ほど来からいろいろお話が出ておりましたように、成るべく日本と同じようにしたいという希望を我々は持つておるのでありまして、将来沖縄に或いは日本の事務所のようなものでも設けられれるようなことになれば、そこでその取扱をするということになれば、今度はつまり日本沖繩の在外事務所といいますか、日本沖繩事務所がそういう旅券を発行するということになるかも知れないのでありまして、これはまだ先の問題で決定いたしておりません。
  66. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちよつと話が戻りますが、先ほどあなたのほうでは、沖縄の中央政府というものができたが、その中央政府アメリカの傀儡であり、日本の傀儡である、要するにアメリカ日本との相談の結果を行う、結果においては行政措置を行う政府というようなお答えだつたと思うのですが、そういう政府ならば何も沖縄に特にこの中央政府を作り、日本三権と違つた三権を、三法を作つて政治をやる必要はない。何もそんなものを作らなくたつて日本アメリカ相談してやつたつていいじやないかという議論が成立つと思うのですが、どうですか。何のためにこういう特別なものが必要になつて来るのですか。
  67. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはたびたび申しましたように、立法行政三権アメリカが持つておりまするから、その三権に基いて如何なる施政をやつて行くかというので、実施機関としてそういう政府が作られたわけでありまして、併したびたび申しまするように、いわゆる残存主権というものは日本にあるのでありますから、我々としては一日も早くすべてが日本主権の発揚できるような目が一日も早く来たらんことを我々は念願しておるのでありますが、現在のところでは先ほどから申上げておるような方法以外にないのであります。
  68. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 アメリカ三権を持つているんだがという、その持つているというのは、アメリカひとりでやつてしまつて……、日本と、相談して持つたんでしようか。
  69. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは平和條約第三條においてそういうことが取極められておるわけであります。
  70. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その平和條約に対する態度は実は違いますので、そういうと論議になつて来るわけなんですが、そうすると、もう一つつておきたいと思いますのは、若しも将来日本にですね、兵役が布かれたような場合に、沖縄に住んでおる人たちはどういうふうに扱われますか。
  71. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) そういう仮定の問題に対してはちよつとここで答弁ができないと思います。
  72. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私なぜこういうことを質問したかと申しますと、あのアメリカ三権の支配下にある沖縄人が、アメリカ軍に召集されるとか、そういう兵役の面も、アメリカの兵役の任を負わされる危険があるのかないのかをお伺いしたいので質問したのです。
  73. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 恐らくそういうことはないだろうと思います。
  74. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 重要な問題になるといつもないだろうとか、こうなるだろうとか、だろうでみんな片付けられてしまうんで、どうも全く困るんですが、私たちはその点非常に心配をするわけです。日本人である沖縄人が、内地に居住しておる沖縄人にはそういうことは起らないだろうと思いますが、沖繩に居住している沖縄人にはアメリカ三権が強力に発動して兵隊にも引張られ、或いは軍属的なものにも強制的に引張られるときが来るんじやないか、そのときそれを拒否することができるのかどうか、そこをはつきり私はしておかないと沖縄人が不安があると思うわけです。
  75. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはアメリカ本国においても徴兵制度というものはないのでありまして、而もその日本国籍を有しておる、いわば外国人になるわけでありますから、それに徴兵制度を行うんだとかいうことは、これは考えられないことではないかと思います。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは非常に楽観的な希望であつてアメリカ三権が支配する沖繩において、そういうのんきなことが言つておれるかどうか。これは政府答弁しにくいだろうと思いますが、非常に大きな問題が残つていると思うのです。その点私もこれ以上追及いたしません。  もう一つお伺いしたいと思いますことは、先ほど次官が申しましたように、大韓民国国籍を持たない人たちでも内地に帶留、内地に留まつておることができる、そういう答弁であつたと思うのです。そうすると、この出入国管理会によつて強制送還するという人たちは、戰後日本に密入国をした人というふうに限定していいわけでしようか、対象になる人たちは。
  77. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 朝鮮に、朝鮮といいまするか、強制送還はどういう人をするかどうかということは、これから御審議を願いまする出入国管理令の確か第二十四條でありますか、二十四條に列挙されておるのでありまして、今言われる密入国だけに限りません。いろいろの該当者が列挙されておりまするが、先ほど私が申しましたのは、この善良なる人に対しては不利、不便、不都合のないようにして行きたい。この気持はもう政府の全体が持つている考え方でございます。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 問題になりますのは、送り先の問題になると思うのです。大韓国民国籍を持つた人で、日本の国法に従わない人を強制送還する場合はそれは大韓民国へ、いわゆる南鮮へ送り返すということは成立つかもわからない。併し大韓民国国籍を持たない朝鮮の人がそういう立場に立つたとき、その人たちはどこへ送りますか。
  79. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはちよつと誤解があるかと思うのでありますが、国籍はですね、日本が今折衝している相手の大韓民国国内法がきめるところによつて従うということでありますから、向うが韓国籍を全部持つんだということに決しますれば、恐らく韓国籍ということになると思うのです。ただ韓国籍ではあるが、日本の外国人登録令であるとか、或いはこの出入国管理関係において韓国籍、韓国ではあるがそのままの登録をしない、拒否をすると、こういう人たちに対しての便法を講じようというのが先ほどから申上げているところでありまして、純粋法理論から言いましたならば、この平和條約の発効によりまして、新らしく朝鮮という国がここにでき上るのでありまして、その朝鮮の人々がどういう国籍を持つかということは、ぱつとそこできまらなければ、ここにいわゆる無国籍の者が生じたりいろいろのことになるのであります。国籍は一応はつきりする、こういう私は考えを持つております。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この委員会でこんなことを論議しては相済まないと思うのでありますが、ちよつと質問さして頂きたいと思います。これは国際的な問題だと思うのです。じやあなたのおつしやるように大韓民国の登録はしないが、国籍大韓民国人として扱うのだと、そうしてそれを送還する場合、大韓民国の登録をしていない人たちでも大韓民国に送り還すという御意見ですか。
  81. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これもまあいわゆる議論のための議論のようになるかと思うのでありますが、我々といたしましては、善良な人々に対しては不利、不都合、不便のないようにしたいということは先ほどからたびたび申上げているのであります。併し更に強制退去が行われるようになればどうかと申しますと、これは管理令の五十三條に「退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。」こういうことになるのでありますから、国籍を有する所に送還する、そういうことになるのであります。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 朝鮮人たち大韓民国国籍を持たないということは、これはよほど理由があるわけなんです。それをあなたのほうで一方的に朝鮮人は皆大韓民国国籍を持つているというふうな決定の下においていろいろなことをなされば、これは非常に大きな問題になつて来ると思うのです。国際的にも国内的にもいろいろ問題が起つて来ると思うのです。その点私は心配をして申上げたのですが、大韓民国国籍を持つている人たちは、南鮮の若しも密入国者があつた場合南鮮に送り還されるのはそれは至当かもわかりませんが、そうでなしに北鮮系の人で若しも密入国して来たような人たちが発見された場合、それを送還されるとするならば、当然私はその人たち希望する北鮮のほうに送還するのが、私は至当ではないかと思うのです。これは事、人の生命に関することだと思うのです。今日本にいる朝鮮人たちが非常に問題にしているのは、勿論強制送還というようなそういう人権蹂躙的なことに対しても問題にしているのでありますが、それともう一つは、朝鮮人たち日本から南鮮に送り還されるということは、その人の生命を奪うことになると、生命の危険をあの人たちが感じて非常に問題にしているわけなんですね。ですからそういうことを何ら考慮せず、若しも日本政府が單独な解釈によつてそういう行動をとられるとなると、これはなかなかむずかしい問題が起つて来ると思うのです。ですから私は送還に対しては勿論基本的に反対でありますが、若しも送還する場合ですね、政府がこれをするならばその本人の希望する土地に送還する。三十八度線以北に帰りたいというならば三十八度線以北に帰す。南に帰りたいというのなら南に帰す。而もその送還のためには中立国の船を以て公正な立場でそういうことがなされると、そういうふうな方向にでも政府が行かなかつたらとんでもないことが起つて来るのじやないかということを私は申上げておるわけなんですが、それに対して何かお考えがあるでしようか、どうでしようか。
  83. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) たびたび申上げましたように、従来から日本におりまする朝鮮人であるところの人々に対しましては、あらゆる保護と言いまするか、できるだけの措置を講じて行きたいと、殊に最近、先ほど申上げましたように登録法なり管理令の今後の運用については法が予定しておりますより以上の便法まで講じて行きたいというくらい我々は保護の万全を期しておるのでありまするが、併し今後濫りに不法入国をして来たり、いろいろの不都合のある人までもあらゆる保護を講じて行かねばならぬというようなことは、これは私ここでちよつと論議するわけには参らないと思いまするが、いろいろな政治的な考慮とか配慮とかは別問題といたしまして、法令の運用の上から行きましたならば、当然この五十三條によつて一切の取扱いをしなければならぬと思うのでありまして、密入国者の保護までするということはこれは密入国を奬励するような結果になるようなものでありますから、我々はそういうことは考えておりません。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 御参考までに申上げておきますが、蒋介石政権が華かなりし頃、中国の共産党員が日本に亡命して来たとき、そのときに日本からその亡命者を中国に送り還したときには、こういう方法をとつたと思うのです。中立国の船で香港にまで送り届けて、そうして直ぐ内地には送らなかつた。香港へ送還したということを私たちは聞いておるのです。今政府がやろうとしておる北鮮系の人たちを直ぐ南鮮に送り還す、強権発動で送り還すということは、その人たちに死刑の宣告を下すことだと思う。而も政府のとつている善良なる朝鮮人というその反対の惡質なる朝鮮人ということは、皆食えなくて生活に困つて濁酒を作らなくちややつて行けないというような、そういう苦しい状態にまで日本人自身の手で追い込んだ朝鮮人たちが、濁酒を作つたということで検挙される。それを善良でない惡質の朝鮮人というような認定をして、その人たち南鮮の釜山なら釜山という港に送り還すというようなことをするならば、その人たち南鮮に帰つてどういうひどい目に会うかということ、又南鮮のような所へ朝鮮人がたくさん還されて、そこで生活がやつて行けるかどうかというと、これは人道上からも当局はよく考えなくちやいけないと思う。戰争中には嫌がる朝鮮人たち日本へ暴力を以て引張つて来て牛馬のごとく労働さして、日本の飛行場でも何でも土木建築というものは皆殆んど朝鮮人の血と汗ででき上つたものだと思うのです。そういうふうにこき使つておいて、そうして今日になつて朝鮮人の職業を全部取上げてしまつて、そうして食えぬからというので濁酒を作れば酒税法に触れるとか何とかいうことで彈圧して、その人たちを国外に追放するというようなことを若しなさるならば、これはとんでもないことになると思います。ですから、この出入国管理令を若し実際にやるならば、政府はよほど人道上の立場からものを判断して、そうして飽くまでもその人たちの生命を保護するような方法でなさらないとこれはいけない。そういう方針でなかつたら朝鮮人日本人との間の軋轢というものは、もうこれはとんでもないことになつて来るのではないかという心配を私たちはするわけです。ですから政府当局は大いにその点を考えてもらいたいと思います。
  85. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 須藤さんのお話によりますと、政府は非常に非人道な無理無体なことをやるような前提でいろいろ議論されるのでありますが、これはもう先ほどから申上げまするように、そういうことのできるだけないようにしたいという気持で登録法の運用について便法を考える。それからこの出入国管理令関係法律案におきましても、更に従来からおる人の在留資格であるとか、或いは在留期間につきましては、日韓会談によつて或る一定の期間が置かれるのではないかと思うのでありますが、その期間は大体現状通りで、引続いて或る年限は在留が認められるというような措置まで講ぜられるのでありまして、不都合の少いようにしたいと思つておりますから……。ただ日本法令を少しも守らない、日本に対して非常な不都合を来たすような人までこの日本の中に置いておくということは、これは日本が非常に困るのでありますから、そういう人がある場合には特別の措置をとらなければならんかとも思いまするが、全体の者に対して何らか非常な無理無体な非人道的なことを我々がやろう、政府がやろうとしているのであるというような前提で御議論されることは我々として非常に困るというか、迷惑を感ずるところでありまするので、特にこの点を私はこの機会に申しておきたいと思います。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう時間も迫つておりますから、まあこれは政府に強くそういう点を要望して……。私は併しなんですよ、出入国管理令を作るということに賛成するというのではないですよ。これは基本的に、こういうものを作れば非常に過ちが多くなる、非常に間違いを起し易いし、又朝鮮人立場から申しますれば、非常に侮辱されたようなことになりますし、非常に憤慨しておりますよ、朝鮮人はこういうことに対しまして……。だつてその証拠に毎日よく朝鮮人から請願が来ますですよ。ですから若しもそういうように考えるならば、絶対に間違いないように運営に当りてよく注意されたい、こう思つている。今後国際的な問題を起さないように注意しなければいかんですね。
  87. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは朝鮮人というものが一応国籍が変るのですから、それは外国人としての登録法や、或いは出入国管理令適用を受けることは当然で、出入国管理令とか、或いは外国人登録法とかいうような規則は、法令は世界文明各国どこでもあるわけで、ソ連にも恐らくこれ以上嚴格なものがあるのじやないかと思います。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ソ連にはないですよ。
  89. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはどこにでもあるので、要は運用の問題です。運用については先ほどから申上げているように、理不盡なことのないようにやりたいというのが我々の考えで、それをあなたのほうは何だかそういうことをやるために、こういう法令をこしらえているという前提で議論されますから、そこが非常に違う、そういうふうに宣伝されたり、議論されたりすることは我々として非常に迷惑なんだということを先ほどから申上げております。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは民主的な政府が作つたのなら信用するけれども、そうじやないから……。今日やられていることがそれを立派に証拠立てていると思います。官憲の朝鮮人に対する弾圧とか、そういうことがすべて裏付けになるから、そういうふうに解釈されるのは不徳のいたすところですよ。
  91. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  92. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国宝の問題ですが、国宝に対する、要するに日本国の、日本国内では国宝の存在というものは明らかに場所も指定されていますが、併し売買はできますかね、国宝の売買は。併し外国人が日本の国宝を買つて、そしてその国宝を海外に持ち出すということは自由になるのではないですか、どうですか、これでは。最近日本の国宝が外国に持ち出されるということがよく言われておりますから。日本の国宝がどんどん外国へ出る心配がありますが、何かできましたか、あれば心配ないのですよ。
  94. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 国宝を海外に持ち出すことができるかどうかという点につきましては、文化財保護法というのがございまして、その第四十四條に、「重要文化財は、輸出してはならない。但し、委員会が文化の国際的交流その他の事由により特に必要と認めて許可した場合には、この限りではない。」と、こういう規定がありますので、その点はなかろうと思います。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 輸出はできないけれども、売買はできるのですか、外人に対して売買はできるのですか、売買ができて持ち出しができないというのはおかしな話です。
  96. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 売買の点については所管が違いますので、はつきりした点はわかりませんが、後刻所管官庁に打合せしましてお答えいたします。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それともう一つ、著作権の問題を伺つてよろしいでしようか、これはどうでしようか。
  98. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) そういう細かいことは……。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじややめておきましよう。併し希望しておきたいことは、この前、昨年度の中日貿易、日ソ貿易の品物と金額ですね、それの資料と、それから外資委員会外資法の審議の参考として資料を求めておきましたから、あれを一つお出し頂きたいと思うのです。
  100. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それは外資法の審議の際に出ることになつておりますから……。
  101. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) それも用意はいたしておりますから、ほかの他の委員のかたがたで何か資料の御要求がありましたら、或るべく早く承わつておくほうがいいと思いますが……。
  102. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それは今のこの法案と関係がありませんから、外資法の改正等で必要のある資料は成るベく早くということでありますが、それは別途に御相談申上げたいと思います。  大体御意見になつて来ておりまして、質疑は大体終つたように見受けますけれども質疑は終つたというように認めて差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは質疑は終つたものと認めまして、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では異議なしと認めて討論に入ります。御意見のおありのかたは例によりまして、それぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いします。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は本法案に反対であります。反対の理由は、すでに現在までの質疑の中でいろいろと指摘している点に盡きますので、この際は改めて申述べることを省略いたしたいと思います。
  106. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに御意見のあるかたはございませんか……それでは直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ではそのように決定いたします。採決に入ります。ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案、同案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 多数であります。よりまして本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議におきまする委員長の口頭報告の内容につきましては、本院規則第百四條によりまして、あらかじめ御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員長が議院に提出する報告書につきまして、多数意見者の御署名を順次お願いいたします。   多数意見者署名     郡  祐一  永井純一郎     小滝  彬  杉山 昌作   ―――――――――――――
  110. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  111. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。  それでは議題の第一のポツダム宣言受諾に伴い発する云々の法律案は、今本委員会で可決されたわけであります。今後の委員会の開会予定につきましては、先ほど懇談で申上げました内容に従いまして、一つ委員長に御一任をお願いいたしたいと思います。それから次の議題としておりましたところの地代家賃の統制令廃止に関する陳情、請願の二、三件の処理につきましては、もう暫らく留保して、次の委員会或いはその次の委員会等におきまして御検討願いたいと思いますが、そういうふうに取扱つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではそのように決定いたしまして、特に御発言なければこれで委員会を閉会したいと思いますが……。それでは閉会いたします。    午後一時三十七分散会