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1952-03-27 第13回国会 参議院 経済安定委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)    午前十一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君            永井純一郎君    委員            小滝  彬君            杉山 昌作君            須藤 五郎君   国務大臣    国 務 大 臣 周東 英雄君   政務委員    経済安定本部産    業局長     近藤 止文君   事務局側    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君   説明員    物価庁第三部長 森  誓夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国際的供給不足物資等需給調整に  関する臨時措置に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員会を開会いたします。今日は第九回になると思いますが、前回は昨二十六日に開きまして、国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律案につきまして質疑を行い、同時に陳情四件と請願一件の、大体これは公共事業関係陳情請願でありますが、以上五件の審議をいたしました。本日の議題といたしましては、先日の国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律案と、若し時間がありましたならば、同様に本委員会に付託されておりますところのポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係命令措置に関する法律案の二件でありますが、先ず最初に国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律案議題といたしまして、昨日に引続きまして質疑を行なつて頂きます。本日は要請もありまして、周東安定本部総務長官も見えておりますから質疑を継続いたします。どなたからでもどうぞ。
  3. 永井純一郎

    永井純一郎君 長官国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置についてお尋ねをいたしたいのですが、この法律需給調整の第二條のところに書いてありますように、国際的に供給不足するものということがあるし、それから第二番目には国民経済運行を確保するためその輸入が特に必要な物資、それから国内において供給が特に不足する物資であつて国民経済の正常な運行に寄与するために必要な物資、そういつたようなふうに書いてあるわけです。それで政府が今とつておる統制解除して行こうという政策基本にしてやつておられると思うのでありますが、特に国民経済運行の、特に底の浅いと言われる我が国国民経済運行に最も基本的に必要であると思われる食糧統制の問題が、当然この政策と関連して、政府がどういうふうな方向をとるかということが考えられると思うわけです。で、しばしば委員会なり本会議におきましても、農林大臣なり、大蔵大臣或いは周東大臣からも主食統制については解除をして行くという方向をとるということが言われておりますが、この法律案の中の文句から考えましても、この法律作つて、こういう物資についての計画的な措置をやろうということは、当然同じような考え方が私はむしろ食糧について考えなければならないことであつて、この考え方をとるならば、食糧についても統制解除するという理窟が成立たなくなるというふうに私は考えるわけでございます。そこで事務当局のほうにもこれを作る際の研究された事柄等を聞いたのでありまするが、実際は政府がとる基本的な方策の問題になつて来ると思うので、大臣の御出席を要求しておつたわけですが、食糧についてこそ国民経済運行基本になるのでありますから、適当な統制と言いまするか、計画的な措置こそとらなければならないのであつて、單に需給調整というようなことだけでは円滑な運行が私はできない、こう思うわけであります。従つて先ずお聞きしたいのは、この法律を作られることと、それから食糧統制を近く外して行くのだ、麦の問題が差当つて目の前にあるようですが、そういうことと一体基本的な考え方においてどういうふうにお考えになつておるのかを先ずお聞きしたい、こう思います。
  4. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えしますが、お尋ねの点は御尤もなお尋ねでありますが、主食関係についてはこの法規によらず別途法規によつて必要な処置をとるということになつております。麦については最近統制を外すということになつておりますが、米については統制は継続されて行くわけであります。それは今の食糧管理法に基いてそのほうはやつて行くわけであります。基本的な考え方については矛盾をしないかということでありますが、これは矛盾はないと思うのでありまして、政府のとつている方針としては国民生活国民経済運行需給支障のないようなものについては漸次統制を外して行くという基本方針については変りはないわけであります。従つて主食を除く他の物資については、大体において今日需給数量不足ないと認めて外されて来ておるわけであります。残るべきものは然らば何かという問題であります、これにつきましては、従来のような物調法というようなものを広汎な範囲法律に委任して、政府が必要と認めれば大体いつでも一種の統制ができるような形になつてつたのをやめて、今度の法律にいたしましたゆえんのものは飽くまで消費規制或いは使用制限、或いは又切符制による統制というようなものを或るものについては法律で限定して行こう、こういう考え方で、法律ができて、飽くまで国会の権威というものを尊重して行こうという形で法律列挙主義とつたわけであります。而して今回の法律の中に出ておる統制対象となるべきものは、この法律規定にありますように、国際的に少い物資で而も日本も又国民経済運行のために少いものは少いながらに必要量割当を受ける必要があるもの、これらについてはやはり国内経済運行を確保するために使用制限割当制限をする必要があると認めてそれが一つ対象になる。第二番目においては、アメリカにおいて輸出制限をしておるような物資について、而も日本が必要とするものに対して、有効に使おう、無駄に使わないようにするために統制をする。従つて諸外国から必要量については相当日本輸出が充足されているものについては……、今日あなたも御承知のように或る程度輸入が確保されて、その輸入数量国内生産によつて需給が調整されておるというものについては、麦等については外しますが、全体として米のごとく国内生産輸入数量だけではまだまだ少し欠乏するというものについては統制をとつて行こうという形で、趣旨は一貫しておる。ただ法律根拠が違つているということはありますけれども、大体考え方としてはそういう考え方法律を扱つております。
  5. 永井純一郎

    永井純一郎君 今のお答えではつきりしない点もありますが、端的にお尋ねを申上げますが、米は統制を別途の法律によつて続けて行く、こういうお考えですか。
  6. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今のところはそういう考えでございます。今外すとも外さんとも言つておらんでしよう。
  7. 永井純一郎

    永井純一郎君 農林大臣なり、特に今度の廣川農林大臣は、この前の本会議でも外すということを参議院では答弁をされておる。そこで実際今長官がおつしやるように米については実際統制をして行かれるというお考えはつきりそうなのか、お伺いしたい。
  8. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今ところ米については外すということをまだ言つておりません。
  9. 永井純一郎

    永井純一郎君 農林大臣は本会議言つております。
  10. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは準備整つたあとのことです。
  11. 永井純一郎

    永井純一郎君 いや準備じやなく、政府基本的な方針として外すという方向なんですか、或いは米については外さないということかということをお聞きしているわけです。
  12. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 米については、いつまでもこれを統制をして行くということを言つているのじやないのであります。これはいつの時期にかこれを外すということは言えますけれども、今年外すとか何とかということはまだきまつておらん。
  13. 永井純一郎

    永井純一郎君 今この法律趣旨でも大臣が言われた通り米については我が国不足しなくなるという時期なんというものは来ない。いつまでたつてもこれは来ない。如何に生産に力を入れてみたつて、これは八千万石も九千万石もとれないことは御承知のところです。そういう見地から言うならば、そうして又大臣説明されたこの趣旨から言つても、当然米についてはいつまでたつても或る時期が来たら外すというようなことは考えられない、こう思うのですが、如何ですか。
  14. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私が先ほど申上げましたように、いろいろな準備なりがついた場合においてはやつていいのではないか。一体私ども永井君と意見を異にしておるのであつて、米のみによつて食糧生活が全部賄えるという考え方については、私どもは必ずしもそうは思わない。これは今日すでに御承知のように主食の中に米、麦の割合においては、麦は三分の一強を、占めているのであつて米自体というものだけで全部賄えるという考え方をあなたがお持ちになるとすれば、これは一人当り一石一斗としてそれを人数に掛けたらこれは到底足りないのは当然なことでありまして、そういう考え方はもうすでに今日古いと思うのです。現実の問題としても米麦の混食の問題もあろうし、パン食の問題もあろうし、これは戰前においてもそういう形で続いて来ているのです。それを一層今日の事態として主食の中に占める麦の量は三分の一近くになつており、その間の事態考えたら、それらのものを総合して食糧というものは計画されて行くべきはずだ。今日学童給食を見ると、食生活改善ということから見ましても、やはり米でなければならんというような考え方を識者が持つことが私はいけないのだと思います。多少時間がかかりましても、だんだんとパン食或いは米麦食の混合したものという形に持つて行かなければこれはできない。併し私の言うのは、国民性として米に対する嗜好というものが強いのです、勢いそこに難点があると考えるので、そういう点から考えを進めて行けば何も米だけで全量が賄えるという時期を待たなくても、当然私は外すことができると考えております。
  15. 永井純一郎

    永井純一郎君 たとえ一歩讓つて、米だけによるところの食生活ではない、今後特にそういつた米偏重食生活でなくやつて行きたいということに一歩讓つても、麦を入れてもなお且つ二千数百万石は入れなければならん。特に今の人口の趨勢から行けば、昭和三十年頃に人口は九千万になる。そうすると三千数百万石の、今のような政府の予算で農業生産の行政をやつて行くならば恐らく米麦合せても食糧の増産というものはなかなか困難だと思う。これはもう專門家の大臣がよく御承知だと思う。そうすると、これは四、五年の後には三千万石以上の不足ができる。これは米、麦合せてです。こういうことになれば、一歩讓つても今あなたのお考えになるところの事柄食糧についてはもう当てはまらないということにこれはなるのであります。そこで政府が一体基本的にはどういうふうな考えを持つて進まれるかということが我々にとつては重大な問題になつて来るわけです。こういつたような軍需生産的な、それに必要なものについては、恐らくこれは国際原料割当会議によつて割当てられる品物でありますから、アメリカ等要請によつて紐付き割当をやるということになつて、止むを得ずこういうことをされるのじやないかと思うのですが、食糧などについては全くここに書いてある……、このものについてはむしろこういうことは余り当てはまらないので、食糧なんかにこそここに書いてある国民経済運行とか国内における供給不足のために経済の正常な運行支障を生じないためにこそ、私は一歩讓つて米麦合せて食生活をするということにしても、こういつた措置が必要じやないか。こういうことが五年先、十年先となればなお更のことです。それでもなお且つ、選挙の公約等いろいろあると思いますが、依然として改めないでやはり統制解除して行くのだ、食生活改善するというようなことの理由なんかも挙げて米麦統制をやはり解除して行くのだという方向をどうしてとらなければならんかということは、どうしてもやはり私は理解ができない。が、今おつしやることはおつしやることとしてやつて行く、併し主食については今のような理由統制解除方向に行くのだ、かういうならばここで一つはつきり御答弁願いたい。こう思います。
  16. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私の話を少しまだおわかりになつて頂けないと思いますが、日本国内において少いものでも、輸入が順調に行つているものについては統制して行くという必要はないと思う。ただ木綿にしても原綿、綿なんかは全部輸入でしよう。併しこれは順調に入つて来ているので、これは統制せんでも現在の需給上困つておらない。それでとにかく輸入が逼迫するということになればそれは又別の問題です。が、それはやつておらない。だから今のお話の点の主食についても、麦なり米なり合せて今日順調に年々約二千万石近くのものが、年によつて違いますが、入つてつて、あなたの御承知のように米穀年度初頭においてこの三カ年間というものは、常に政府持越量というものは二千万石前後持つている現況なんです。その点から言えば、一つ需給の状況から言えばバランスして来たということは言える、そういう面においてそういうものは、麦を先ず外す、こういうことなんです。輸入している物は全部統制するということになれば、何もかも今日大部分生活必需品というようなものは輸入しているのですから全部統制せよということになると思う。そうでなく輸入しているものであつても、とにかく需給がバランスして来たものについては順次外すというのが私の考えです。だからそういう意味において私は申上げているのであつて、麦をこの際外すということは別に矛盾しておらないということを言つているのです。たまたまこれが出て来たゆえんのものは今ニツケル、コバルト、或いはタングステンとかいうものですが、そういうふうなものについては、世界的に稀少であると同時に、日本は絶対になくてはならないものである、こういうものを世界的に分けあつて行こうということであればそこに無駄を出さないで、必要な所へ使わせて行こうということで、消費規制なり、統制をするということは、これは当然な行き方で、今日国際経済に結び付いて世界経済の一環になつた日本としては当然こういう措置はとつて然るべきであると思う。
  17. 永井純一郎

    永井純一郎君 それであれば輸入に待つものであつても順調であつて需給のバランスがちやんととれておるのだということであつて、なお且つ米麦と合わせて食生活はやつて行くという考え方に今後立つということであれば、米についてだけやる必要はない。はつきり米もやはり農林大臣が言われるように外すのだと、こうであれば政府考え考えとしてわかるのです。併し今大臣がおつしやつたように米は統制をするんだ、するとははつきりおつしやらないが、米については違うという先ほどのお話であるから一貫して来ない。
  18. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは先ほど説明したように、米については嗜好的なものが残つておるのだと言つたので……、私らは勿論米の関係のみでなく麦についても相当にもう食生活改善をやられてもいいと思いますよ。だからこの前そういうお話が出て来たときとちつとも変つていない。そういう国民的嗜好というものが米について非常に強い関係があるので理論上は食生活改善で、或いはもうパン食とかいうような関係の、澱粉食だけに片寄らなくて、ハン食をやりつつ澱粉、蛋白、脂肪のものを考えつつ食生活改善をやつて行けばやつて行けるのだと思いますが、これは理窟だけでは直ちに食生活というものは改善できない。従つて統制というものに対して撤廃は我々は考えておるが、殊にすぐに米についてだけやるということはきめていないと、米については統制を続けて行く、麦については六月ですか、近くこれを外して行こう、漸進的に進もうということであつて、そこには何らの矛盾もない。こういうことである。
  19. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで大体はつきりしたのですが、米についてもいずれそのうちに解除するという方針であるということはこれでわかるわけです。  それは一応打切りまして、この法律に戻りますが、ここに掲げてある五品目、これは、このうちの白金はたしかそうではないという御説明をされたが、国際原料割当会議によつて割当をせられたものがこの法律対象になるようですが、これはやはりこれによつて割当てられるときにこれはどういうことに使うようにしてもらいたいというような要請があるのですか。これは司令部等から紐付になつておると言いますが……。
  20. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) いや、それよりも、要請ということよりも、非常に少いのを日本にこれだけもらいたいという輸入要請をするときに、大体こういうものに使うから必要なんだということの理由を出すことになつております。それで各国とも少いものを持ち寄つて民主主義国家の間で分けて行こうというのだから、その場合にでたらめに欲しいと言つただけでは、なかなか割当会議割当てられない。そこでこういうものに使うから必要だということの理由書が必要になつて来る。そうすると折角書いておいて理由にしておくだけで日本は行わんというのじや信義にも反するし、又国内的にも必要な方面に行かないということを恐れる。その点に対してはつきり言う必要があるというわけです。
  21. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、そういう要請に基いて割当をもらう。そうしてその使い途は局長が昨日お話になりましたような川遂に使うわけですね。今後大体……。
  22. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) さようでございます。
  23. 永井純一郎

    永井純一郎君 大体わかりました。
  24. 杉山昌作

    杉山昌作君 「国際的に供給不足する」という言葉が、これがどうもあいまいな言葉なんですが、世界の総生産額と総所要額と言いますか、消費額、それを比べて見れば消費のほうが多いというようなのが国際的に供給不足だというとはつきりするのですが、世界の総生産額と総消費額と比べると、必ずしも生産額が少くはないものでも、例えば軍事上の、戰略上理由から輸出を禁止しようというふうなものもあると思うのです。そうすると、そういうふうなものは或る国が戰略上の必要から輸出制限を行う、或いは輸出の禁止をしておるというものは、やはり生産消費の面から行くと、生産が多いものでも、この第二條一項の二号に該当するものとしてやはりここで制限をするというふうなお考えを持つておられますか。
  25. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今お尋ねのございました点でございますが、これは第二條の二号の関係から申しますと、やはり物資といたしましては、国際的に供給不足いたしておりまするものでありまして、なお且つ我が国におきましてどうしてもそれを輸入しなければならない物資ということになるのでございますが、現実に問題になつておりますのは、実際問題といたしましては、生産が需要よりも上廻つてつて、且つ政策的に輸出制限をいたしておるというものは、現実にはございませんわけでございます。実際問題といたしましては、国際的に供給不足するものをやはり対象に現在のところでは考えておるわけでございます。将来の問題から申しまして、そういつた場合も起るかどうかという点でございますが、只今のところではそういつた生産の上廻るような物資というものについては、そういう強い措置をとるような気配もございませんけれども、やはりこれは法律條文にございます通りの書き方で、場合によりますと、そういうものも対象にせざるを得ないというようなことが起るかも知れないと存じます。
  26. 杉山昌作

    杉山昌作君 それからもう一つ、これは條文解釈のようになつてしまうのですが、二條別表に掲げてあるものは、二條と言いますと、僅かに配給統制をするものは別表に掲げておる、これは但書からはつきりそうして出て来る。ところが使用制限譲渡制限或いは第二條第二項の譲渡命令というふうなものは、必ずしも別表に掲げてあるものでなくても、一項の一号、二号、三号に該当するものはやれる、併しその品目は今のところはまだきまつていないと、こういうふうなお考えでございますか。
  27. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点は大体お話通りです。ただ二條の一項の一号、二号はこれは確定しておるものです。それから三号のやつは確定し得べきものであります。特にこういう條件に満ちたものが出て来たときにですね、ただ漠然と何でもやれるという形ではなくて、一号、二号のところでははつきりと国際稀少物資というものは今委員会がありますから、それに属する品物はつきりしておる。二のやつもアメリカその他の国において輸出制限をしておるからこれもはつきりしておる。三のやつはこの文章からはちよつと何が出て来るかわからないのでありますが、結局例えば昨年度のように非常に電力危機のときに、渇水時において火力発司というようなものの関係で石炭をその方面に廻さなくちやならんというような場合、これが或る程度国内においても全体的に不足する関係になりますから、そのときに公益上の観点から制限をしつつ、そういうものは優先的に電気会社に然るべく輸送をさせようというような予想をしておるわけです。非常に制限的な規定をいたしておりまするが、確定し得べきもの、こういうふうに存じておりますが、三号のほうは広いような恰好になつております。
  28. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今の御質問は、二條一項の但書からして別表に掲げたものに限る物資というのは、割当配給に関して認めておるけれども讓渡讓受、引渡というようなものは別表に掲げなくてもできるということになつておるのですね。
  29. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 非常に広くはないかというお話で、それは大体その通り……。
  30. 杉山昌作

    杉山昌作君 この法律は一カ年の有効期間になつておりますので、こういうふうな制限的な措置ですから期限が短かいほうがいいというのも当然のことでもあるようですが、今の国際的な稀少物資割当というふうなもの、これは大体品目等から見ても今の国際情勢等を相当反映しておるものだと思うのですが、そういうことからいつて一カ年ということの見通しはどんなものでしようか。そのあとは必要になればやるのだから、こういうような漫然としたお考えなんでございましようか。
  31. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点は御尤もなんですが、まあいろいろ物調法等につきましても一年ずつ毎年延ばして行きましたああいうふうな事柄を成るたけ止めたいという気持なんでしよう。それで従つて一面には法律列挙主義をとると同時に、そういう情勢が続くならば延ばしてもいい、大体そうでなければ打切るという本来の精神に基いて年限を切つておるという実情ですが、事実上は毎年延ばさなくちやならん事態は相当続くと思います。
  32. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記をとめて。    〔速記中止
  33. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて。
  34. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨日も第一條の字句ですね。「国際経済の円滑な運行」という問題、ここで国際的とはどういう範囲をいうのかという質問に対しまして、局長はいわゆる地図の上でいえば三分の一くらいの面積、いわゆるドル圏アメリカ圏というようなものを国際的だというふうに解釈していらつしやるように伺つたのです。若しそういう解釈がなければこの稀少物資のこの法案を作る必要がないので、ソヴイエトも中国もたくさんのできるものが稀少物資の中にはありますので、その局長解釈が、この法案の上から正しいと思うのですが、長官国際経済という、この国際という考えをいつまで持続なさるつもりか伺つておきたいと思います。
  35. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) まあ、これは世界各国が皆平穏に講和條約によつて結ばれて、友好的な関係に立てればよほどこれは非常に広くなると思います。そういうことを希望いたすわけですけれども、なかなかそう簡單には行かんようです。その間にありまして、今日国際間においてまあ隣邦共助という考え方で、少い物資を有無相通じて助け合つて行こうという立場において現在とられている問題であると思います。だんだんと友好関係世界的に拡まつて来れば、おのずからその範囲は全世界に及ぶ。従つて須藤さんの御指摘のような、ほかの国が入つて来るために供給物資が殖えて来るということになれば、そういう制度はなさんでも済むということが来るかも知れません。そういうことは望ましいことではあると思います。
  36. 須藤五郎

    須藤五郎君 長官はそういうことが望ましいと言つていらつしやるのですが、こういう不都合な法案を作らなくてもいいようにするために、今回国際経済会議というものが開かれたわけなんですが、それに対して日本が一人の参加者も、旅券下附拒否という形で参加できないような状態にしているということが、どうも長官の意思に反しているように思うのです。長官の意思が若しその通り行くならば、進んでそういう使節を送るなりして、こういう無理をしなくてもいいような状態を作る方向に一歩進めなければならないことだと思うのですが、それが逆の方向に向いている。そこでその「国際的」という言葉を、長官はこの解釈をいつまで固持しようとなさるのかということを伺つたのですが、長官は今後ソ連圏と言いますか、ソヴイエトや中国とどんどん積極的に親交を結ぶようにして、そうしてこういう物資のやり取りが自由にできるようにして行こうという御意思を強く持つていらつしやるのですか、どうか伺うのですが、又持つていらつしやるならば、どういうような方法でそれを切り開いて行こうとなさるのか、伺つておきたいと思います。
  37. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もな話ですけれども須藤さんのお話は、日本だけ大いに積極的にやれやれという、日本さえやればできるようなお話ですが、私ども国際的なことは必ずしも一方的には行かんと思います。尤も日本国内治安上の面から言つても、いろいろと支障を生ずる国に対して、関係があるとかないとか言われているときに、むしろそういう面があつて日本が出ようとしてもなかなか出にくいところがあると私は思う。これは私は時の流れを待たなければならんと思います。そうあなたのお話のように飛び込んで行けばそつちから物が供給できるとは私は考えない。
  38. 須藤五郎

    須藤五郎君 それはこちらの日本だけの希望によつてできるかどうかということも問題でしようと思いますが、少くとも私たちが理解している点においては、そういうことを政治的なイデオロギーは別にして、要するに世界中の生活ができるだけ楽になるように、矛盾のないようにしようというのが今度の国際経済会議であつて、そこへ行くことは別に日本として遠慮する必要がないと思うのですが、どうもそのアメリカからの慫慂によるのか、要請によるのか、日本が旅券を下附しない、而もその旅券を下附しないことを裏書きするために、アメリカからも誰も一人も参加しないのだということを堂々と新聞に出して、そういうことで今度の日本の参加をしないような方法をとつたということに対して、どうも私たち了解に苦しむ点があるわけなんです。口ではつきり長官もそういうような方向に行きたいと言つておきながら、行動においてそれを裏切るような行動を常に今日の政府がやつておるということに対しまして、我々国民の代表として非常に不満があるのですが、進んでそういう方向日本を持つて行こうという手を打つていらつしやるのか、ソヴイエトや中国からは大いに手を差延ばして、バーター制で円で物を売つてもいいということに対して、日本が素知らぬ顔をしてそつぽを向いているというのが今日の状態ではないかと思うのです。若しそういう状態が続くならば、日本国民経済もなかなか良好にはならないし、そして、こういう常に何だか紐の付いたような法案作つて行かなければならないというような状態が続くのではないかと思うのですが、そういうことを私が長官に強く要望しても、何かむずかしいと言つてお逃げになるのだから、これは内閣でも変らなければしようがないと思いますが、(笑声)長官の意思だけは伺つておきましよう。  それからこの二條になりますが、「その物資を所有する者に対し、譲渡の時期、価格、相手方その他必要な事項を指定して物資譲渡を命ずることができる。」というのですが、これは第二次大戰のときに、私たちも銅が不足したからということで、水盤を出せの何のと言つて、鉄瓶に至るまで供出を命ぜられたことがあるのですが、そういうことがこの條項でできるのでしようか。
  39. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 今のお話の例のように、戰時中銅の使用制限をいたしまして、又供出を命ずるようなことにいたしました例もございますけれども、そういつた例のことをやろうという考えではないのでありまして、やはりこの法律規定してございますような物資につきまして、これがどうしてもいわゆる譲渡命令等の積極的な命令をしなければ、この法律を運用して参ります場合の目的を達し得ないという場合に限つてこういつた命令がされるわけでございますし、それにつきましては、相当嚴重に補償の規定とか、或いは担保の規定なり、そういつた嚴重な條件をつけまして、そうして実行することになつておりますので、実際問題としましてはこの積極的な命令をいたすということは従来の物調法の例から申しましても例がございませんので、恐らく発動をいたさないでもこの法律の目的をば達し得るというように考えるのでございまして、これも実はその命令は個々の対象物に対しまして、一々個別命令をやるという意味になるのでありまして、一般的な法令によりましてのお話のように生活用品としての銅製品を取上げるということはできないことになつております。個々の相手方に対して個別的な命令をいたすということでなければできないことになつております。そう逸脱した範囲までこの規則が動き得るということにはならないと思います。
  40. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はあの戰時中にひどい目に会つたので特にこの点を念を押しておきたいと思うのですが、白金などの不足した場合、白金の指輪まで供出を命ぜられるというようなことが再び起らないか。そういう心配がないとおつしやいますけれども、こういう法案によつて、そういう非常事態が起つた場合には、この法案を盾にとつてそういうことをなすこともできるのかどうか。絶対になすことができないという気持ですが、なすこともできるという御認識ですか、そこを伺つておきたい。
  41. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 法律解釈から申しますと、今御指摘のような事例が起らないかどうか別問題でございますが、若し具体的に白金の例がいいか惡いか別問題でございますが、具体的にそういつた物資を持つています者に対して個別的の命令を出します場合にはそういつたことができることになるわけでございます、法文の解釈としましては。
  42. 須藤五郎

    須藤五郎君 その危険を私は感じるわけです。いつでも法律を作る場合にはそんな心配はありませんと言つておきながら、さあとなるとその法律が生きて来る。そういうような伏線がどうもここにあるような私たちの特別な勘で臭いを嗅ぐとそういう臭いがぷんとする、きなくさい臭いですね。それで私はこの字句を問題にしたのですが、非常に危いと思います。
  43. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 今のお話でございますが、戰時中も法令によりましてああいうものの供出を命じたのではないのでありまして、やはり国民に協力を求める意味において自発的に出して頂いたことなんです。実際問題としてこの法律でそういつた運用をいたしますことは、事実問題としては不可能なことになると思います。
  44. 須藤五郎

    須藤五郎君 不可能ですか。どういう点で不可能でしようか。
  45. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 例えばですね、一つの一般的な物資で、一般の消費者が持つておりますようなものに対しまして、どの人がどれだけ持つてつて、その人のどの部分に対して出せとか、譲渡せよというような個別的な譲渡命令を出すというようなことは、実際問題として手続の上から言いましても、又どういう人からそういうものが出せるかどうかというような判定から申しましても、実際にそういつた基準もできませんし、この法律の運用としてはそういうことはできないと思います。
  46. 須藤五郎

    須藤五郎君 どうもこれは非常に危いと思いますが、そういう場合百に第六條ですね、検査をさせることができるという條項がございますね。「主務大臣は、その職員に事務所、営業所、工場、事業所又は倉庫に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。」というのですから、これは個人はここには書いてないようでありますが、個人の所有物までにはこれは及ばないと判断していいのだろうと思うのですが、併しこういう強権発動的なことがここにできるとなつておれば、私の心配するようなことは実際には起り得るのじやないのですか。
  47. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それはお話ですが、これは例えば営業所、工場主というようなものに対する事業上の関係が多いですね、だからそういうものに対して必要な場合には個別的命令を出し得るし、そうしてその場合に損失補償もするし、価格も適正なものにする。今お話を聞いておりますと、戰時中のことですが、あれは今局長言つたように、法規でやつたのではなくて、国民の愛国心、実際は無理やりに個人の協力ということで個人個人に出さした。ああいうことはやるつもりはありませんし、又規定もありません。大体事業遂行上或る所へ片寄つて石炭を持つているとか、さつき例に挙げました渇水期における渇水発電をやるのに、どうしても全生産量から見て時期的になかなか石炭が足らん、この際普通の工場にも電気をやらなければ生産ができないのだから、石炭を発電所に廻してくれんか、こういうようなことを大体やるつもりでおります、起るとすれば。従つて個人の生活を圧迫するような形にまで踏み込むようなことは、むしろこの反面解釈からも起り得ますまいし、又やるとすればそういう事業家関係に対して平常から報告を求めたりというようなことに対しては法的根拠が要る、こういうことでこの法律をおいたぐらいですから、むしろ私は非常に人権を尊重しつつ基礎をこしらえたということは認めてもらいたいと思うのです。
  48. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は法律家でないので、そういう論議は非常に不得手なんですが、それではこの法案によつて個人の利益が侵害されるということは絶対ないということに理解していいわけですね。
  49. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) さようです。
  50. 須藤五郎

    須藤五郎君 それからもう一つ、第八條の十年以下の懲役又は百万円以上の罰金に処するということなんですが、私たちは第一條にあります「国民経済の健全な発展を図るとともに」というほうよりもウエイトが「国際経済の円滑な運行」ということのほうにかかつてつて、むしろこれは特権に奉仕するために、もつと露骨に言えば、いやな顔をされるかも知れませんが、心の中では皆様もそういうふうに考えていらつしやるかわかりませんが、いわゆるアメリカの戰時状態に対して協力するためにこの法律ができたのではないかと思うのですが、それにしては外国の利益を守るために日本人が違反した場合に十年以下の懲役又は百万円というこの罰則を作ることは、少し酷に過ぎると思うのですが、その点どういうふうにお考えでしよう。
  51. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは立場立場でいろいろお感じ方が違うのは無理からんと思いますがね。併し何も私どもこの法律を作るのはアメリカに協力することばかりが目的じやなくて、例えば銅にしたところで、ニツケルにしたところで、日本生活になくちやならんものですね。ところがそれらの原鉱石というものは日本にはない。而も世界的にも少い。これはロシアの範囲が入つたところで少い。そういう日本生活に必要なものを何とかして分けてもらわんことには困るわけですね。分けてもらう以上には本当に有効なところで使つてもらいたい、何でもかんでも、装飾品までも銅を使つて作るということは、少いものを分けて行くんだから考えたらどうか、こういうことなんですね。だからそれを無視して折角用途を制限してある銅を贅沢品に使つて儲けようと思つたら、これは日本国内から考えても違反を責めるということはあつていいのじやないですか。だから勿論国際経済から進んで少いものを分け合つて行こうということから言えば、世界経済にも協力する立場から必要ですから、同時にそのことは国内の問題が先なんです。恐らく稀少物資会議割当てられるものは、それに参加しておる国もおのおの国の中で制限しておる。日本は何にもしていないから、日本はくれくれと言つて理由書を書いて来ていながら、もらつたものは日本だけが自由にしておるじやないか、こういうことが非難されるのでして、この点御了解願いたい。これはアメリカの軍拡競争に協力するためにのみこの法律が出されたというような考え方は、私は少し思い過ぎじやないかと思うのですが……。
  52. 須藤五郎

    須藤五郎君 ひがんでいますか。輸入した物資で作る品物まで決定されておる。昨日局長からいろいろ伺つたのですが、それが大体やはり戰力を形作るものばかりですね。直接じやなくて間接にやはり戰力のために使われる物資にそれが作られる。そういう点から皆さんのほうから言うと共産党ひがんでいるように思われるか知りませんけれども、やはり戰争の臭いぷんぷんとして来て、きなくさい臭いがする。そういうことを心配する余り質問しておるわけなんですが、統制物資で作つたものは日本で全部消費されるのでしようか、それが又向うへ輸出されることはないのでしようか。
  53. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは両方あると思います。
  54. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは輸出するという條件附でしようか。
  55. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) いや、そんなことはありません。輸出條件として入れておるのじやないです。
  56. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは輸出を拒否してもいいのですか、向うから慫慂された場合ですね、こちらがそういうものは輸出できませんと拒否することは。
  57. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 要求する場合に、こういうものに使うと言つていますから、必要以上の輸出を要求されても、それは出せないということはあり得ると思います。
  58. 須藤五郎

    須藤五郎君 必要以上というよりも、そういうものは日本で全部要るんだから輸出はしないと言つて日本の自主的な考え輸出を断わることはできるのでしようか、それともこれだけは輸出せいというちやんと紐付で輸入がされておるのでしようか、どうでしようか。
  59. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは一々初めから輸出するために入つて来るというような紐付じやないのです。
  60. 須藤五郎

    須藤五郎君 じや、拒否することはできるのですね。
  61. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは国民の経済上これだけは日本が要るから出せないということも言えます。
  62. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうふうにしつかりと拒否をなさる決心があるのですか。
  63. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今までやつておるじやないですか。そういうことはよく理解してもらわんと困るです。出せませんと言つて半分しか出さん。ボーキサイトを全部外国から輸入しても、それについて日本経済にこれだけは要るんだ、これ以上の必要要求があつても無理だということでやはりお断りしておる。だからもう少しそこらは余り色眼鏡かけんで……。
  64. 須藤五郎

    須藤五郎君 僕は非常に素直な人間でして、色眼鏡をかけて見ることは嫌いなんで、説明を聞いて納得すればそれでいい。
  65. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) そういうことは今まで銅あたりでもこれこれの数量が欲しいと言われても、それはそんなに出せん、これくらいしか出せないということに……。
  66. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう一遍十條の点で、最後の「当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。」という罰則なんですが、そうしますと、これは何でしようか、まあ会社の責任者がこういうことをしちやいかんという注意を与えた、それにもかかわらずそういうことがなされた、その場合にはその監督者が処罰されるのではなく、それを怠つた者が処罰されるということでしようか。
  67. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) お話通りでありまして、その場合には……。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 よく責任というものは、監督者が下の者に転嫁する場合が起つて参りますので、下の者は泣き寝入りで罰則だけを受けなければならんことが往々にして起るのですが、この証明ということはどういうことなんですか。
  69. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは従業員の罰則とか何とかいう規定じやない、法人に対する規定なんです。法人についてはそういう特別の証明がない限りは法人の代表者、社長とか、取締役が罰せられるということが規定してあるのですね、その反対に若し監督をやつたという証明がつくならば、その責任を逃れるという規定があるだけで、それは実際やつた者が罰せられるという規定はない。むしろ法人に対する罪が規定してある、この場合……。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 その証明というものはどういう形でなされるかということを伺つておきたいことと、「法人又は人については、」ということになつておりますので、その不審を質しておきたいと思います。
  71. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 後段のほうは、さつきの御質問は……。
  72. 須藤五郎

    須藤五郎君 その監督が尽されたことの証明があるかどうか、証明ということはどういう形で証明とみなされるか。
  73. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) この証明は実は別段の形式はございませんで、結局裁判上におきましてもそういつた証明ができておつたかどうかということが判定されることになります。
  74. 須藤五郎

    須藤五郎君 それからもう少し続いて質問させて頂きたいと思います。この法案を、私は昨日も申上げたのですが、又色眼鏡でというふうなことをおつしやるかもわかりませんが、世界の再軍備促進によつて重要物質が不足して来た。そこでアメリカのほうからの要請ででき上つたものというふうに我我は理解しているわけです。ところが今日世界の軍拡の状況を見ると、どういう状態になつているかと申しますと、昨年度もアメリカは予定通り軍拡が行かなかつた、非常にテンポが遅れているという状態です。そのために今年度は軍事支出の枠を五十億ドルくらいにまあ切詰めているような状態、そうして軍備の完成化を一九五五年まで延期しているといつたような状態である。英、仏においてもやはり同じようなことが言えると思う。それでむしろ今日におきましては、この重要物資不足しているということよりも、逆に何じやないでしようか、過剰の傾向を辿つて来ているのじやないのだうかというふうに考えられるのです。これは安本から出された資料なんかを見ましても、そういうふうなことが考えられると思いますので、この法案が何だか世界のそういう情勢と少しズレを来たしているように我々は考えられるのです。この点一つ長官の御意見を伺つておきたいと思います。
  75. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 国際情勢についてはいろいろの見方もありまするし、又或いは須藤さんのお話のような見方もありますので、従つて若し軍拡競争というものが少し落着いて来るというようなことで稀少物資関係にゆとりができれば、この法案を発動しないだけであります。これを作つたら必ずやるというものじやないのですからして、発動せずに、使用制限もせずにやつて行くことができることになれば非常に結構でありますし、この法律が通つたらば稀少物資割当会議に出ているものは必ず使用制限するというわけじやない。これは出してあつても発動するのは、もう一遍別ので行きますから……。
  76. 須藤五郎

    須藤五郎君 二、三点伺つておきたいと思いますが、世界景気の動向について長官はどういう見通しを立てていらつしやるか。
  77. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ちよつと世界的景気が中だるをしているということは私も同感です。ちよつと中だるみの恰好かも知れません。従つて世界における物価市場も横這い、ものによつては下りかけているという状況、或いはあなたのさつき御指摘の軍拡競争というものにより延ばされて、買付が撤回されるというようなものも多少あるやに聞いております。
  78. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本経済の本年の動向ということも伺いたいのですが、政府は今まで非常に楽観して、上期には不振だが下期に好景気になるというような見通しを立てていらつしやつたと思うのですが、今後でもそういう考えでいらつしやるのでしようか。日本経済の動向に対する御意見を一つつておきたいと思います。
  79. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは先の予想ですから当ることもあり、当らんこともあるかと思いますが、幸いに今まで我々が見て来た予想は今日までのところ当つております。今後においても今お話のような方向に私ども考えて参ります。何と申しましても日本が直接軍拡競争の当事者ではないし、或る意味においては日本の遊休工場なり、労働力の余剰を持つております、或る意味においては非常に有利な立場にいるわけです、そこへ原材料の獲得なり、動力というものが準備できれば、これはやつぱり生産も上げて行くというのが一つの正しい見方じやなかろうか。今日までそうだ。それから朝鮮事変のああいう一時的のブームの関係で好況に恵まれたということは、常態ではありませんけれども、それができたというのはやつぱり日本にはそれを消化するだけの設備、工場……、余力を持つてつたからできるので、そういう点についてはまだ余力があるのですから、一時的な世界的な景気全体、輸出輸入いろいろな影響を受けていますが、これがいつまでも我々は続くものじやないと思う、そこに一つの新らしい動きが出れば必ず生産は私は上るのだ、それから来る日本の全体的な物資需給の状況は惡くはならん、かように考えております。
  80. 須藤五郎

    須藤五郎君 あんまり悲観的な考えを持つていらつしやらないようですが、私たちは世界経済から見て、どうも日本経済だけがそれから埓外に置かれるということも考えられないし、朝鮮戰線の問題も私たちは必ず休戰状態が来るというような見通しを持つておりますために、特需関係に活路を求めるということは非常に危険だと思います。併し恐らくこういう状態が続くならば日本の事業はだんだん不況になつてだんだんと値が下つてしまう。とにかく下るのじやないかと思うのですね。日本のものがこういうふうにずつと下つて来ることは、結局するところ高い材料を入れたものが今度は日本で精製されて、それが下つてしまつて、そして今度は逆にアメリカのほうから手が伸びて、それが安い値でどんどん買われてほかへ出てしまうというような状態になるのじやないか。そうでもしなかつたら立ち行かないので、幾ら値を叩かれても売らなくちやならん。だから買手があればそれに飛びついて行かなければならないというような状態に日本が追込まれて行く。こいつはアメリカの軍拡を非常に有利にする結果となるのじやないかというふうに考えるのですが、その点は長官どういうふうにお考えですか。
  81. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは私どもは朝鮮事変に伴う分もいつまでも続くものとは考えていない。この状態の後に或る程度の世界的な停頓状態が来る、それに影響されるということも考えておりますが、朝鮮事変が休戰状態が来ることは望むし、その後においてもやはり日本としては従来から東南アジアにおける需給関係というものは、やはり日本が大きな輸出国となる。その間に御指摘の価格関係が影響すると思うのです。従つて私は今やるべきことは企業内部における合理化を促進するということが一つの狙いであると思う。それをやりつつ、一時的な沈滞というか、不景気があつてもそれを次の段階に乘り越えるだけの準備をやるべきであつて、それをやつて行くことによつて、一時的に不景気になつたところで、それで永久に日本が参るものとは私はちつとも考えていない。
  82. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう一つつておきたいことは、最近繊維、ゴム産業の操短問題で非常に賑わつておるようでありますが、私が昨年の暮頃に繊維業者から聞いた話によりますと、日本には綿の輸入が少なくなる。原綿の輸入が少なくなるから来年度はスフを混ぜた混紡が大体多くなるだろうというような話を伺つていたのです。ところが突如として四割操短という話が出たのですが、この四割操短を業者にさせたその法的根拠というものがあるのでしようか。
  83. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) いや、法的根拠はありませんでしよう。だから強制で命令したわけでなく、お互いに作つても引合いがないということであるから自粛しようというふうなことになつたと思います。この間も予算委員会でも通産大臣言つておられましたように強権的にやれという命令はやつておりません。懇談しておるのであります。
  84. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると結局なんでしようか、引合いがないと、外国に出なくなつたから、売れなくなつたから操短を命じた、命じたというより業者のほうから操短を希望したというふうに解釈してよろしいでしようか。
  85. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 懇談的に出たようですね。
  86. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうですが。
  87. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは私は座談ですが、一時的なもので操短があつたから急にああだ、こうだということをそう心配する必要はないと思う。本来あなたも御存じのように戰前においては、日本においては千二百万錘やつてつた。終戰後には二百万錘になつて、このままに置いておけば日本経済の面における国民の必要とする需要の面から見てもとても足らん、而もこれは東南アジアその他における日本が大きな供給の立場に立つてつたのですから、これは成る程度回復したいということは国民の熱望であつた。幸いにして原綿の輸入も順調に進み、朝鮮事変等による景気によつて得られた利益というものは一部は相当紡績面においては設備の拡張に使われた。これは国家的に喜ぶべきことであつて、漸く六百四十万錘にまで殖えた。たまたまそこまで来たところが、今日はそれは日本だけじやなくてイギリスあたりにおいても紡績関係は不景気だ。それによつてできた中で操短をしつつ将来に備えるという行き方は私は一つの行き方だろうと思います。
  88. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本だけの問題ならばこれは心配ないと思う。ところがアメリカにおいてもイギリスにおいても世界中この繊維がだぶついて皆どこでも操短を始めたらしいのですね。そうして長官は東南アジアというものを非常に言つていらつしやいますが、もう昨年におきまして東南アジアの繊維類というものはもう飽和状態に入つてしまつて、東南アジアには日本から輸出する可能性が非常に薄くなつている。これは日本だけじやない。そのためにアメリカにおいてもイギリスにおいても、操短せざるを得ないような状態になつたのですが、この操短に対しましてこれは長い間のことじやない、極く短時日の問題であるというように非常に楽観的な御意見でありますが、私たちはそういうふうに考えられない。この操短は相当長期に続くのじやないだろうか。これは世界情勢から判断してどうもそういうふうに楽観することはできないと思うのですが、その点どうでしよう。
  89. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは長いか短いか、それは景気の見方ですけれども、あなたは昨年から東南アジアは大体繊維類は飽和状態だとこういうお話ですが、私どもはそう思いませんよ。東南アジアに住んでおる人口の大部分は戰前において綿、スフ、人絹各般のものが非常にたくさん需要があつた。私は向うにおける購買力の回復力はそう早くないと思う。それから今までの戰前からの状態において隅から隅まで行き亘つておるとは思わない。購買力の回復の問題等から考えて東南アジア地域の購買力がその範囲において、或いは飽満になつたかも知れない、私は人類のあるところ今までの生産よりずつと少い形において戰後において回復して来た、それを言つておるのですから……。それは私はそう将来を悲観しておりません。ただ今はいろいろな価格の問題なり、東南アジア地区における購買力の回復状態が今まで通りつていない。そこへ持つて来て向うは比較的ポンドのドルに対する関係は割安なんです。ということは、東南アジアは物価が高いのでそういう面において取引の関係もむずかしかつたということも一つ原因していやしないか。もう少しこれが回復して来るということは、そう一月とか、三月とか、半年とかということはそれは別ですが、将来に向つて日本のやつをもつともつと減らさなければならんというふうに考えるのは私は早いのじやないか。殊に今日国民に供給されている繊維類の量というものは戰前までは回復していないのですから、それは終戰後二ポンド、綿、スフ合せて、それが七ポンド弱になつておりますけれども、綿も半分です。そういう状態から考えたら将来日本だけで使う問題についても相当まだ殖やさなければならん、こういう実情であります。
  90. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 須藤君大分意見交換になつて参りました。まだ質問大分ありますか。
  91. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう僅かです。私は後学のためにいろいろ伺つておきたいと思うのですが、日本においても勿論まだ十分繊維類を持つていないと思うのですね。ところが悲しいかな購買力がないということなのです。だから若しも長官がそういうような楽観をするならば日本の購買力を先ず殖やす方法を立てなくちやならん。ところが今日の政府日本人の購買力を殖やさないで、税金ばかり高くしていつまでも上らないような方法をとつておる。それからアジアだつてなかなか購買力というものはそうできないと思うのです。現に業者が飽和状態で物が売れませんと言つておる。それを今度東南アジアで買うような力が出たときにどこから物が行くかと言えばアメリカや英国から物が入る、日本品はそのあとから入ると思うのです。昔のようなダンピングが許されるような時代ならともかく、今日は、そういうようなことができないような状態においては日本品が東南アジアに出るということはなかなか早急には行かないのじやないか。そうすると今日長官が東南アジア、東南アジアとだけ考えていらつしやるが、私は東南アジア一辺倒ではどうしても日本の繊維業者というものは復活しない。そうするとそれじやお前のほうじや中国貿易を言うのだろうとおつしやいますが、その通りなんです。私は日本の繊維業を救う途は中国貿易以外にないと思うのです。中国は非常にたくさん欠乏しておると思うのです。中国は四億何年万という、実数は五億超えておると思うのですが、それはハンカチ一枚ずつ買うと言つたつてそれはもうおびただしい、日本生産品全部持つてつても追付かない分量になると思うのです。なぜそういう有利な市場をこつちでシヤツトアウトしてしまつて、毛沢東関知せずという考え政府はしていらつしやるが、そういう態度をとつて実際に日本の産業が安定して、民生が安定するような方策がどこにあるかということを私は後学のために長官に伺つておきたいと思います。
  92. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 中国に対する問題は御意見御尤もだと思います。今日も中国に対しては綿布は成る程度輸出を許しております。将来だんだんこの点は友好的な関係が生ずるに従つて国民というものとの関連においては自然と取引関係は私は生ずると思うし、これはそうさせたいと思います。
  93. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御質疑も大体終つたようでありますが、最後に私から二、三補足的にお伺いをしたいと思いますけれども、その前に前々回におきまして稀少物資一つの事例になつておりますニツケルの貿易問題につきまして、小滝委員から質問があり、説明を求められた段階でありましたので、物価庁の第三部長を呼んであります、物価庁第三部長から相互貿易のニツケル問題につきまして簡明に一つ御事情を御説明願いたいと思います。若し必要があれば速記をとめてもよろしうございます。……速記をとめて下さい。    〔速記中止
  94. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。  只今説明は、具体的な一つの例として聞き置くことにいたして議事を進行したいと思います。  大体質問も終つたようでありますが、最後に私から補足的に二、三お伺いをしておきたいと思います。第一に、先ほど来永井さん、或いは須藤さん等等から質問がありましたが、その殆んど中心は、この法案の第一條の目的の分と関連するものだと思います。この法案が、従来の物調法でやつてつたものを、物調法を廃棄して、それに代る意味々持つておることと、その代る意味を持ちながら、新たに国際的な経済関係の内容がここに影響をして来ておると、それが見方によつては竹に木を継いだような形に見えるところに一番の問題があつて、そこにいろいろな解釈上及び将来の運用上の疑義が残されておるのだろうと思います。第一條によりますというと、この法案の目的が、国民経済の健全な発展を図るということに目的を置いて、同時に国際経済の円滑な運行に寄与するということを第二次的な目的にしておりますが、それであるのにかかわらず、この法案に盛られておりますところの方法は、国際的に供給不足するような物資などについて、国内的な需給の調整を図るということでありまして、国内的な需給の調整を図る方法を講じて、その結果国民経済の健全な発展を図ると同時に、更にその結果として国際経済の円滑な運行に寄与しようということらしいのでありまして、問題は恐らく間接的に国際経済の円滑なる運行に寄与するということになるでありましようけれども、手段が国内的に物資需給調節であつて、決してこれだけを輸入し、これだけを輸出せいというような、輸出入に対する措置を含んでいないのにもかかわらず、目的が国際経済の円滑な運行というところにあるところに一応の疑問があると思います。従いまして、私は長官に対しこういう疑義のある問題について、この法案が可決されました後に運用される際に、飽くまでも国内的な需給を中心として、その結果が恐らく国際経済運行に寄与するということであろうと思いますから、運用につきましての方針一つ明確にこの際お述べ置き願いたいと思います。
  95. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もなお尋ねであります。飽くまでも法律の本体は、お話のように、国内における国民経済運行を円滑ならしめることが目的でありまして、それがために、国内に必要な物を世界的に少なくとも割当ててもらつて、十分に生産に寄与したいと、それをやる以上は、有効に使用をしたいということから、使用制限、或いは割当制限の問題が起ると思いますので、その点につきましては、事実具体的に使用制限なり割当制限をなす場合においては、御趣旨は十分に尊重いたしまして、具体的に使用制限をなす場合における措置を講じたいと思います。  なお附加えて申しますが、或いは質疑応答中に出たかと思いますが、間接的に国際経済運行にも寄与するということが出ておる、例えば、日本では硫黄等は、日本においては比較的豊富でありますが、やはり世界的には少ない。日本稀少物資として貢献できるものは硫黄だけであります。これなんかは、従来国内における硫黄の使用制限をよくやれと言われるのでありますが、むしろ硫黄はこの中に入る物資でありますが一実際の運用としては、国内における生産を増加して、使用制限せずに、国際的に協力したらというようなことも考えております。これは今委員長の御質問に当るかどうか知りませんが、運用の上においてよく考えるということがそこにあると思います。硫黄のごときは明らかに稀少物資で、第一項に当りますけれども、これは国内では使用制限せずに、むしろ増産計画によつて国際経済に寄与しよう、こういうように考えております。この中に入つておりますが、それだけの注意は持つておるわけであります。
  96. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それから、第二番目に連合委員会の際におきましても問題になりましたのは、本法案の第二條一項第三号の物資の問題でありまして、一応の説明によりましては、三号物資については、国際情勢の激変、天災、異常渇水等の場合において、緊急に重要物資需給調整措置をとる必要がある場合にのみ対象とするのだというふうに述べられたと思います。ところが、この問題がいろいろな意味で国際情勢の激変と言い、等々、判断を要する部分が非常に多いがために、質疑中においてもいろいろなお尋ねが出たように思いまするので、一つの、例えばあのときに出されました、昨年の渇水期における電気というような例、電気の場合の石炭という問題が出ましたが、例えば、今のような例を引かれまして、簡明に一つ出し方、発動の仕方を御説明つておきたいと思います。
  97. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今二條第一項第三号で考えております事例は、この前の委員会におきましても御説明申上げた通りでありますが、昨年の異常渇水のような時期における電力用石炭というのが予想されますのでありまして、そのほかに、今後どういう問題が起るかどうかわかりませんが、手近かな事例といたしましては、現在のところ、そういつたものだけを考えております。
  98. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それから、更に補足的に、例えば、進駐軍の需要に応ずるために本法の発動があるのかどうか、つまり進駐軍需要とか、警察予備隊とか等々の需要に応ずるために、他の内需に優先させて適当な措置をとるような場合に、こういうこの法案が発動されるわけですか。或いは又、国内的におきましても、例えば電源開発というような政策が非常に強力に進められる際に、電源開発のための資材を確保するための手段としても、こういう法律の発動があるかどうか、その辺についても簡單に一つ説明を願いたいと思います。
  99. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) この法律は、どこまでもこの第一條の目的を達しますために、第二條需給調整をやるのでございますので、特に進駐軍の需要、或いはその他の特殊な需要の要求を確保いたしますために、この法律の適用をいたすということは考えておりません。ただ実際問題といたしまして、具体的な五品目の中に、別表に載つております物が割当配給をいたします場合に、或いは予備隊なら予備隊に対して割当が幾ら、或いは電源開発用といたしまして何トンというような割当をいたすことはございますが、そういつた特定の目的のためにこの法律を動かすということは考えておりません。
  100. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それから、その次に、国際供給不足物資ということから、国際原料会議の問題がたびたび出たと思いますが、この国際原料会議というのは、わかつたような、わからんような問題でありますので、これについて、極めて簡明に二、三お答えを願いたいと思うのであります。第一は、この国際原料会議なるものの直接の目的は何であろうか。これに対して現在日本は例えばタングステンとかモリブデンの委員会等、二、三の委員会に参加しておるというように聞いておりますが、この会議全部に対する参加というのがあるのかないのか、その辺の状態、事情を簡明に一つ説明願いたいと思います。
  101. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) この国際原料会議各国が集まりまして、一つ会議体を持つておる形でございまして、その目的といたしておりますものは国際的に不足を来たすと思われます物資につきまして、その各国間の需給関係を調整するために輸出なり或いは輸入なりの割当をいたすということが目的でできた会議でございまして、これは現在のところ十四品目につきましてそれぞれの委員会が七つできておるわけでございます。そこで日本といたしましては、この委員会のすべてのものに参加いたす必要がございませんし、特にこちらがどうしても輸入要請しなくちやならん、或いは或る程度国際的の関係輸出をしなければならんというような関係のあります。委員会にだけ加入をいたすということになると思います。
  102. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) そうするとこの会議は全部の会議に入る、入らんということは問題ではなくて、その中の特定な委員会に参加する、せんということだけが問題なのですか。
  103. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) さようでございます。
  104. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) この今の提案されておりますこの法案の制定が、この国際原料会議への参加するための條件であるとか、結果であるとかいうようなことはありませんか。
  105. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今お尋ね通りで、関係はございません。
  106. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 直接関係はない。それから最後に先ほどの須藤委員お話にもありましたが、最近におきましてこの国際原料会議参加国の間にこの会議に対するいろいろな不満やらいろいろな問題が起きておるように聞いております。特に最近におきます先ほどの周東長官お話にもありましたように、軍拡のテンポの停滞から最近見られるような国際経済状態が出ておりますが、こういう状態の中で、この国際原料会議自身が解体されるとか、その可能性があるとか、こういうような話もちよいちよい聞くことがありますけれども、こういう問題について長官自身は今どういうふうに考えられておりますか、まだそのまま続くというふうに考えておられましようか。
  107. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) まだ廃止されるという話も聞いておりませんので、まだ暫らくは続くのじやないかと思つております。
  108. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 現状のままで……。
  109. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) そうです。
  110. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは最後にもう一つ聞いておきたいと思います。御承知のように現在、今の行政機構改革の問題が俎上に上つておりますことは、我々も、国会側でも聞いておるところでありますが、この法案につきましても、経済安定本部総裁がこれを定めるとか等々の字句が相当に上つておるように見受けられますが、伝えられるところの行政機構改革によつて、若し仮に経済安定本部が廃止されるというようなことであるならば、又伝えられるような改革で以てその廃止と並行的に、例えば経済企画庁というようなものが考えられておるとか聞いておりますけれども、その辺の変化によりまして実際上のこの法律の運用がどういうふうになるのか、簡單に一つ説明を願いたいと思います。
  111. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは御承知通り大体四月一日から施行をお願いすることになるわけですが、行政機構の改革は順調に進みまして改革の実際は七月一日以降になると思います。従つてこれはこのまま進行して頂いおいて、それから七月一日以降施行されるべき機構に関する法律の中で経済安定本部総裁というような形になつておる部分が変更に応じてそれぞれ所管の主務官庁に書替えるということに恐らくなると思います。それとは別個の行政機構改革に伴う法制の中で、各法制に出ている主務官庁の書替えが起る、こういうふうに思つております。
  112. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 法律的にはそうなるのが当然でありますし、それで差支えないことであると思いますが、私が特に心配いたしますのは、現在の政府機構の中で、綜合的なこういう仕事をするのには一番適切であり、そうして一番実力もあり得るという前提に立つて、こういう実質的な権限が経済安定本部総裁においてあるのだろうと思います。それを伝えられるような機構改革でありますならば、他の現業官庁は大体そのままであつて、従いまして別に加わる実力も、綜合的な力も現在とは大差ないような状態になると思いますが、その際若し例えば経済企画庁というような構想が進められるといたしまして、同じようなここの経済安定本部総裁がやるという仕事を、経済企画庁等でやられるといたしましても、今伝えられてあるような経済企画庁の構想では実力的にですね、実際に仕事ができ得なくなるのではないかということを、私は非常に心配しておるわけでありまして、法的な今の手続の問題ではなくて、実質的に経済安定本部総裁がやらなけばならんような仕事ができるような実力を持つた機構が整うように、或いは持つた機構がなお存在するように、一つ機構改革におきましても十分努力されるようにお願いをしておきたいと思います。繰返して申すようでありますけれども、この問題は決して私は法的な、例えば行政機構改革のための設置法の改正がやられる場合の法的な読替えだけの問題ではなくて、綜合的な実力の問題でありますから、十分に今の経済安定本部におきましても、政府におきましも十分考慮されるように特に希望しておきたいと思います。皆さんの質問が終りまして一応の補足的な質問を了したわけでありますが、出席になつていない議員のかたもありますけれども出席になつていない議員のかたは今出席になつておられる議員のかたの会派に所属されるかたばかりでございますので、一応これで質問は済んだものとみなしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは質問は終了したものと認めます。質問が終りまして特に御意見もないようでありますから、これから討論に入りたいと思いますがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは討論に入ります。御意見のありますかたはそれぞれ一つ例によりまして賛否を明らかにして御意見の開陳をお願いいたします。
  115. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ず最初に私は反対をするものだということを申上げておきたいと思います。いずれ本会議におきまして反対の理由を詳しく申述べたいと思いますので、本日は極く簡單に述べたいと思います。私たちの党は平和條約にも反対し、そうして又附随的に起つて来る安保條約にも反対し、それから起つて来るところの行政協定にも反対した。又その行政協定の結果生れて来るいろいろな、もろもろの法案にも反対をする立場にあると思うのです。この法案もいわゆる行政協定と関係のある法案だというふうに私たちは理解をしております。又先ほども世界情勢上こういう法案を作る必要がないのだという意見を述べたのでありますが、長官はその必要がなければこれを発動しないのだという御意見でした。私たちは必要が起つてから作つてもよいのに、必要がないというときにこういう法案を作る必要がない。それにもかかわらずこの法案を作ることは何かの準備のために、こういうものが作られるのではないかという危惧の念を持つわけであります。その点からも反対をしなければならんと思います。それから国際的という言葉解釈、私たちは国際的というものは、結局世界全国、世界中の国々を国際的というふうに解釈するのでありますが、この法案に盛られておる国際的という意味は、或る世界の一部分に限つた国々を指して国際的というふうに考えておる。こういう国際的という言葉が使われておる以上、私たちの希望する世界の平和ということにも近付くことができない。むしろ逆行して行くのじやないかという心配があるためにも、この法案に反対をしなければならん。従つてこの国際的という言葉の意味は、西欧諸国、いわゆるドル圏との取引のみを考慮したものであり、そうしてこの稀少物資統制法案が出るということは、即ちドル圏稀少物資であり、そうしてそれが再軍備に必要な物資であるという点に縛られて、そうしてこの法案ができたものだ、そういうように解釈するのであります。若しも世界中本当にすべての国々が平和の状態に入るならば、こういう法案を作る必要がない、有無相通じて実に鶏かに世界中の生活ができるものだというように私たちは理解しますので、こういう平和とおよそ縁遠いような法案に対しましては反対をせざるを得ない。そういう意味であります。
  116. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに……。
  117. 小滝彬

    ○小滝彬君 私は本案に賛成するものであります。  先ほどからこの国際経済の円満な運行に寄与するという字句が目的にも出ておるので、その点に小委員のかたにも誤解があるかと存じますが、結局これはその第一の国際的に供給不足する物資需給を調整することによつて国民経済の健全な発達を図る上に国際協力が必要であるというものでありまして、むしろ私はこの国民経済の健全な発達を図ることの目的のために国際協力をせざるを得ないという事態であるというふうに了解するものであります。先ほど委員長から質問の出ました国際原料割当会議のごときも、結局各国が協力して、そうして使用の制限なり、使用の目的を正当なものに、必要止むを得ざるものに使うというところにおいて日本もこちらの要求する割当を受けるわけでありますからして、この協力をすることによつて国民経済を健全にすることができる、この協力は今のような時代においては将来必要なものであろうというように考えるのであります。又原料の見通しについては、生産資材よりも製品のほうの生産が遅れるような傾向になつて、今まで述べたこうした割当とか、各国の協調が必要じやないかと見られるのでありますが、大きく見ました場合、今の各国の状況から推しまして、こうした物資が円満に円滑に各国供給ということは期待できないだろうと思いますからして、この法案があつて、これが本当に実施せられまして、これに協力するということは、結局日本経済を豊かにするものである、日本経済を健全に発達さすという点で、是非これが実施をお願いしたいと考えるものであります。殊に先ほどから政府委員のほうから説明がありましたように、この法案が実施された場合は、この適用を最小限度にして生産の増強というものを別個の問題として考えるという御説明でありました。先日も私もモリブデンの点について質問いたしましたが、本日は又硫黄のことについても生産の増強ということによつて、列国との協力を進めて行こうというお考えでありますので、この両方の政策が実施せられましたならば、決してこの法案が、一部で懸念されるような惡い結果をもたらすものではないというふうに考えられるのであります。殊に物調法が三月の末日にエクスパイヤーいたしますので、このあとを全然こうした措置なしにやつて行くということは期待できないのでありまして、この法案はこれまでの物調法に比べては、よほど制限的になつており、そうして政府が專断に物資を決定し、そうして政府だけで必要とする措置をとるということのないように規定されたものでありますからして、今までの物調法とはよほど趣きを異にして、こうした需給調整措置を最小限度にとどめるということに留意されておりますので、私は本案に対しては賛成を表明するものであります。
  118. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに御発言ありませんか。他に御発言ないようでありますので、討論は終局したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは異議ないと認めます。それでは採決に入りたいと存じます。  国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  120. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 多数であります。よりまして、本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきます委員長の口頭報告の内容につきましては、本院規則第百四條によりましてあらかじめ御承認を願うことになつておりますが、委員長におきまして適当に書きますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 異議ないと認めます。  なお委員長が議院、ハウスに提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     郡  祐一  永井純一郎     小滝  彬  杉山 昌作
  122. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。   —————————————
  123. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 最初の予定におきましては、ポツダム宣言の受諾に伴い云々の法律案も今日審議することになつておりましたが、先ほど申上げましたように、昼ぬきで今まで続行して頂きまして、二時過ぎからは本会議が始まると思いますので、この議案は次の機会に譲りまして、今日はこれで閉会いたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは閉会いたします。    午後一時二十九分散会