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小滝彬君 それに関連して、私も非常に不思議に感ずる点が多いのですが、例えば第三条には、事業の利益に対する
権利であるとか、
土地建物、工場、事業場、若しくはこれらに属する設備又は鉱業権云々というように、非常にたくさんのものが織込まれて飾るわけなんです。而も、こうしたものは
通商条約の対象になるのであ
つて、
通商条約を調べて見ますというと、或るものに対しては内
国民待遇を與え、或るものに対しては最恵国
待遇を與える。先般專門員のかたがお聞きになりますと、
日本とスイスとの今までの
条約ではどうな
つておるかというのに対して、その後調べて見ますと、元の
日本、スイスの
通商条約第一条第四項には、この
財産権に対する内
国民待遇の
規定があります。でありますから、專門員のかたが心配されたように、最悪国約款でやられるということでなしに、先方もこの
条約を復活したなら内
国民待遇を與えなければならんということになる。これは
財産の種類とか事項によ
つて内国民待遇を與える場合と最恵国
待遇を與える場合とが、大体国際慣行によ
つてきま
つておるわけです。そういうわけで、この第三条に列記されておるような事項は内
国民待遇の
規定を
適用するに相当する事項であるわけなんです。然るにこちらのほうでただ
土地の点を重要視したからというので、このまま
外国人を指定して内
国民待遇の特権を與えるということになれば、鉱業権のような場合は別だけれども、その他の場合においてはそういう
規定がないと私は了解しておりますので、
国内法にはそういうことを
制限する
規定はないと了解しておりますので、こういう
措置をとられると、実際問題としては、こちらのほうが先ずこうした特権を
条約を批准した諸国に対しては與えるということになる。これは私は政策として或いはよいことかも知れませんが、少くとも今の御
説明ではどうしても納得できない点があるので、その辺は政策的にむしろ
日本のほうから内
国民待遇を
条約を批准してしま
つた国、中立国には先ず以て與えようというお
考えか、或いは一一
向うの
国内措置を調べるということは手続上面倒だから、だからこういう
措置をとろうという御意向なのか、その辺本当の肚をお聞きしたいと思います。