○
政府委員(阪田泰二君) それでは
昭和二十七
年度の
総合資金需給見込並びに
産業資金の
計画について御
説明いたしたいと思います。
最初に
先ほどお配りいたしました
昭和二十七
年度総合資金需給見込の表でございますが、この表は、大体明
年度におきまする
政府、金融機関その他の
関係の資金の出入りの
関係を総合的に表にして見ましたわけでありまして、その結果が通貨の増減にどういう影響を及ぼすかというところまでここに出しておるわけでございますが、そこにございますように、Iというところでは
政府資金、これは
一般会計、特別会計全部を含めた対民間収支がここに挙げてあるわけであります。IIのほうは金融機関資金収支と書いてございますが、これは
一般の銀行、相互銀行その他の
開発銀行、輸出銀行或いは
国民金融公庫、それから農林漁業特別会計、こういうものもすべて含めました数字であります。その次の下のほうのIIIのその他資金尻、これは閉鎖機関でありますとか、住宅公庫でありますとか、そういう特殊なものの資金尻でございますが、それらのものの資金の受払い
関係を総合しまして、最後に通貨増減、
年度末の通貨発行高がどうなるかと、こういう恰好にな
つておるわけでございます。
第一の
政府資金の対民間収支でございますが、これは御
承知のように、
昭和二十七
年度の
予算は従来と同様、総合バランスをとつた
予算にな
つておりますので、
予算の形式的面から言いますると、収支とんとんの形にな
つておるわけであります。
一般会計は歳入歳出合
つておりまするし、見返資金のほうはやや払超過にな
つておるわけでありまするが、それと同額を資金運用部資金特別会計で引揚超過の形にな
つております。全体として見ればバランスのとれた財政収支にな
つておるわけでございますが、ただ実際問題といたしまして、前
年度から繰越して参りました収支或いは翌
年度に繰越す収支がありまするので、そういうような実際の収支の
関係を現在におきまして或る程度見通しを立てまして、ここでは二十億の払超過というような結果にな
つておるわけであります。前
年度の八百四十五億の引揚超過という数字に比べまして、非常に明
年度は民間の資金収支には影響がない、中立的な形にな
つておるわけであります。
その次の金融機関の収支でありまするが、先ず収入面について申上げますると、明
年度の預金の増加額、これを五千四百七十億と見積つたわけであります。本
年度の預金の増加は相当成績がよかつたわけでありまするが、五千百六十一億とい数字にな
つておりますが、それよりもやや多い数字を見積
つておるわけであります。明
年度の預金の増加の数字もなかなか立てにくいわけでありますが、大体いつも
安定本部でや
つておりますような方法によ
つて、明
年度の
国民所得の予想、大体五兆三百四十億というような数字を見ておるわけでありますが、その中から直接税を引き去りまして、その残りがいわゆる可処分所得、処分可能な所得ということになるわけでありますが、そのうち何割が従来貯蓄されておるか、銀行預金、郵便貯金、簡易保険その他を入れますと、どの程度のものが総額として可処分所得に対して貯蓄されてあるか、こういうところを見たわけでありますが、二十六
年度はその率が大体可処分所得に対しまして一四%ということにな
つております。二十七
年度が、最近無記名定期預金等の制度も認められますし、いろいろ資本蓄積のために非常に力を入れておる
関係で、一四%をやや多く見まして、一四・五%程度の貯蓄が行われるというふうに見込みまして、そのうちの金融機関の分をここに五千四百七十億というふうに考えたわけであります。その次の
政府投融資の
関係は、これは
予算等におきまして
予定しておるものでありまして、金融機関に対する
政府の投融資でありますから、
開発銀行に対する百二十億、
一般会計と見返資金から出ますが、それから輸出銀行に対する七十億、それから
国民金融公庫に対する五十億、それから農林漁業特別会計に対する二百億と、この合計がここに挙
つておるわけであります。その次の
政府預金につきましては、これは本
年度におきましては百五十億の民間金融機関に対する
政府預託金の引揚げを行いましたので百五十億の引揚げの数字が載
つておりまするが、明
年度におきましては、この預託金はなくな
つておるということにな
つておりますので、ここではゼロというふうに考えたわけであります。金融債の
関係は、これは御
承知のように資金運用部の金融債の引受の
計画がなくなりまして、いろいろこの発行については問題があるわけでありますが、一応ここでは当初の見通し
通り、大体五百億程度のものが明
年度発行されるというふうに考えましたわけであります。この五百億に対しまして、資金運用部の金融債引受が現在
予定されておりませんので、下のほうの支出の中の二番目に有価証券保有増という項目があります。そこに二十七
年度として八百七十七億計上してありますが、この中に金融機関で金融債を持つ分といたしまして四百十五億程度含めて計上してございます。
その次にその他資金尻でありますが、これは大体銀行の増資による資金でありまするとか、益金として留保されるものといつたようなものをここに見込んでおるわけであります。総計で経常部資金は七千五十五億になるわけでありまするが、下の支出のほうにありまするように、七千二百二十五億の貸出、証券保有増が見込まれておりまするので、その差額の百七十億の日銀の信用供與増にな
つておるわけであります。日銀の信用供與増の形としては、日銀よりの貸出という形が主となると思いますが、国債のオペレーシヨンというようなこともあり得るわけであります。百七十億ということで、前
年度、二十六
年度の千五百二十八億よりもかなり少くなるというふうに考えておるわけであります。貸出のほうにつきましては、別途
産業資金計画を
あとから御
説明申上げますが、そういうようなものも参照いたしまして、ここで六千三百四十八億の貸出の増加になるというふうな見込にな
つておるわけであります。有価証券につきましては、
先ほど申上げました金融債の大
部分を、ここで金融機関同士で、勧銀、興銀等が発行する金融債を市中銀行が引受けるというような建前でこの中に計上いたしましたほか、社債発行額の大
部分、株式の新規発行額の一割五分程度を金融機関で持つものというふうに見込んでここに計上いたしましたわけであります。その他資金につきまして、余り大きなものはないわけでありますが、一応明
年度は収支はこういうことになりまして、ここで結局
政府資金としまして、二十億円の支払超過になりますし、金融機関としては百七十億、日銀から信用供與の増を受けるということになりますので、合せて百九十億というものが通貨の増加になるという結果になりますので、二十六
年度の通貨は四千六百五十億というものを大体現在においては見込んでおりますので、二十七
年度末即ち二十八年の三月末には、通貨は四千八百四十億になるというように見込んでおるわけであります。
年度間の増加が比較的少い、二十六
年度に比べれば比較的少いわけであります。いろいろここにありますような、金融機関の現在非常なオーバー・ローンの形にな
つておりますが、そういうような形は来
年度から多少改善の方向に向うというような要素等も予想いたしまして、なお明
年度におきまする
国民総生産と言いますか、全体の
経済活動の見通し等も考えに入れまして、この程度の通貨の准行高で大体妥当であろうというふうに考えたわけであります。
その次にもう
一つ配付しました資料で、明
年度の
産業資金の供給見込の表がございますが、これにつきまして御
説明申上げます。これはやはり本
年度の
産業資金の実績並びに明
年度のいろいろの輸入見通し、或いは各方面における資金の需要のいろいろの
計画等もできる限り
調査いたしまして、一応明
昭和二十七
年度における
産業資金の需給の見通しがどの程度になるかという見込を立てたものであります。
昭和二十七
年度におきましては、ここにありますように、自己資金と外部資金とに分けて考えて見ますと、自己資金といたしましては、設備資金で二千四百億円の増、運転資金で八百四十五億の増合計三千二百四十五億の増加になります。外部資金、外部から取入れる資金としましては、ここにありますように、設備資金で二千五十億、運転資金で五千八百八億、合計七千八百五十八億、全体合計いたしまして、設備資金で四千四百五十億、運転資金で六千六百五十三億、合計いたしまして一兆一千百三億の
産業資金の供給が行われろというような見通しを立てたわけであります。
内訳から御
説明いたしますが、大体自己資金と申します中には、社内留保のほかに、ここでは
産業資金の
利益から税金を引き去
つて、社内に留保されたものがあります。そういうもののほかの自己資金としては、
産業資金の総供給額を挙げる建前で、減価償却もここに載せてあるわけであります。合計いたしまして、ここにあるように三千二百四十五億、
昭和二十六
年度の三千百億よりも明年は更に自己資金による資金調達が少し殖えるような計算に見込んだわけであります、いろいろこれは法人
関係の
利益の状況をも見込みまして計算を立てたわけであります。大体御
承知のように、まあ現在の
事業会社の資本構成の状態は、非常に外部の資本が多くて自己資金が少い、不健全な状態にな
つておると言われるわけでありますが、まあ明
年度におきましては、ここにありますように、自己資金で調達される分が大体三割くらい、外部資金で調達されるものが七割くらいの
金額にな
つております。二十六
年度におきましては、大体自己資金分が二割五分くらい、外部資金分が七割四分強ぐらいでございましたから、二十六
年度に比べれば、自己資金で調達される割合が増加しておる、やや健全だという方向に向
つておりますということが言えるわけであります。この自己資金の
関係は二十五、六
年度あたりから、企業の収益状況の好転或いは税制上のいろいろの
措置等によりまして、自己資金で調達される割合が相当増加して参つたわけでありまして、二十四
年度におきましては、自己資金で調達される割合は一割五分二厘、外部資金で調達される割合が八割四分八厘というような割合でありましたから、その頃に比べれば非常に健全な状態にな
つておるということが言えるのであります。ただ御
承知のように、駅前ではむしろ自己資金で調達……設備資金におきましては自己資金で調達される割合のほうが外部資金よりずつと多かつたわけでありまして、そのような程度まではまだ至
つていないわけであります。
それから外部資金でありますが、外部資金ではここにありますように、株式、社債、それからいろいろ金融機関から貸付を受ける分、全部を挙げたものであります。株式につきましては、本
年度は大体六百五十億程度の新規払込がなされるというふうに確実に見通されるわけであります。最近の株式市場の状況なり、或いは明
年度の
経済の見通しから言いまして、大体本
年度は同額の株式の払込を実現することは可能であるというふうに考えます。それから社債のほうもいろいろ電力債の発行その他相当大きなものの発行が見通されるのであります。大体本
年度の見通し額と同程度のものが、毎月三十億程度くらいですか、明
年度も発行されるというふうに見込んでおります。それから見返資金、これは四百六十億、新規の見返資金の繰入れがなくなりましたので、本
年度よりやや減少いたしておりますが、
内訳といたしましては電力
関係の三百億、それから造船の
関係の百四十億、それから中小企業
関係の二十億というものを
予定しております。農林漁業特別会計は、これは
一般会計と、見返資金と、それから資金運用部、この三者から出す
金額の合計でありますが、
一般会計から六十億、見返資金から三十億それから資金運用部から百十億という
金額が本年は出されるわけであります。前
年度の百二十億より相当多くな
つております。それから
開発銀行は、これは二百三十億とな
つておりますが、これは前
年度からの繰越金或いは
開発銀行自身並びに
復興金融金庫の貸付けました金の回収金等を財源といたしまして、明年は貸付を
いたすわけであります。
政府から投資或いは融資いたします
金額は、
先ほどちよつと申上げましたが百二十億でございます。
一般会計から、これは全体としましては百七十億になるわけでありますが、電源
関係で特別に留保され
ているのを除きまして、その他のものとしましては、
一般会計から八十億、見返資金から四十億、百二十億に
なつ
ております。そのほかの回収金を加えまして、明
年度は二百三十億の貸出がなされるというふうに見ておるわけであります。輸出銀行は本
年度は
一般会計から四十億、見返資金から三十億の出資が、或いは融資がされると思いますが、七十億が
政府から出るわけであります。前
年度からの繰越金、回収金を合せまして、百十億の貸出が明年は
される
予定であります。それから資金運用部につきましては、これは直接資金運用部から
産業に出す
金額だけでありますので、帝都高速度交通営団に対する十億円の融資をここに計上してあります。それから電源
開発関係は、これは御
承知の新らしい電源の
開発の特殊の機構に対する出資或いは融資として
予定されている分でありまして、五十億が
一般会計から現在
開発銀行に出資するように見込まれている分、六十億が資金運用部から貯蓄債雰の発行收入金を以て融資される分という
内訳にな
つております。復金の回収金でありますが、これは二十七
年度は、復金は
開発銀行に吸収されてないわけでございますが、
開発銀行のほうに二百三十億という総貸出額を計上してあります
関係上、差引項目として計上いたしましたわけであります。
それから
一般金融機関貸出、これは
先ほどの総合
資金計画に計上してありました六千三百四十八億という
金額があるわけでありますが、それから農林漁業特別会計、
開発銀行、輸出銀行のほうを差引ましたその他の
一般の市中銀行等が貸出します
金額であります。大体そういうように
内訳としては見積
つたのでございます。まあ明
年度の
産業資金の需要の見通しにつきましてはこれは供給側からとして勘定を出して来たのでありますが、明
年度の
産業資金の需要の見通し、なかんずく設備資金の
関係につきましては、現在なお私どものほうでいろいろと各
事業からの資金需要の見通し等もとりまして、いろいろ検討中であります。御
承知のように、電源
関係或いは石炭の増産或いは造船
関係、海運
関係の資金、鉄鋼の
関係の合理化資金、いろいろかなり大きな資金が、必要なものが見通されるものがあるわけであります。併し一方の面におきましては、例えば紡績の
関係といつたような、もう大体設備拡張が一巡いたしまして、明
年度は余り大きなものが見込まれないというようなものもあるわけであります。
明
年度の
産業資金の融資の
方針といたしましては、従来の
方針を大体踏襲するようなことになるわけでありますが、やはり電力とか、石炭、海運、そういうふうな重要な方面に資金を集中いたしまして、不急不要な方面はできるだけ抑えて行く、特に市中の銀行等が設備資金を、いろいろそういう余り感心しない方面に融通するということは、これは抑えて行くというような建前をとりまして、大体
只今いろいろと調べておりますところでは、この程度の需給によりまして、明
年度の設備資金、或いは運転資金の供給が一応行われるのではないかというふうに、私どもとして一応の見通しを立てておるような次第であります。