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1952-04-24 第13回国会 参議院 経済安定・通商産業連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十四日(木曜日)    午前十一時二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    委員           大野木秀次郎君            小滝  彬君            杉山 昌作君            須藤 五郎君   通商産業委員    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            結城 安次君    委員            中川 以良君            松平 勇雄君            山本 米治君            加藤 正人君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    公正取引委員会 古内 広雄君   事務局総務部長    公正取引委員会    事務局商事部企    業課長     竹中喜満太君   事務局側    常任委員会專門    員       渡辺 一郎君    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件事業者団体法の一部を改正する法律  案(内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では事業者団体法の一部を改正する法律案に関する経済安定と通商産業連合委員会を開会いたします。  前回提案理由説明を聞いて質疑に入つたのでありますが、今日新たに配付された資料がちよつとありますので、その配付資料につきまして一つ簡單に御説明願います。
  3. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 只今のお手許に提出いたしました事業者団体法施行状況等について資料について簡單に御説明申上げます。  事業者団体御存じのように、その成立の場合、解散の場合、組織変更の場合等につきまして、事業者団体法に基きまして公正取引委員会届出をいたすことになつております。それでその第一表は年度別届出受理件数でございます。成立届解散届変更届なつておりまして、昭和二十三年七月に事業者団体法が公布施行されましてから二十四年の三月まで、それから二十四年の四月から二十五年の三月まで、二十五年の四月から二十六年の三月まで、それから二十六年の四月から本年三月までというように区分いたしております。成立届適用除外団体、例えば協同組合その他は、これはやはり成立届は出さなければなりませんことになつておりますので、これが約四年間に七万七千三十三件、それから適用団体としまして、事業者団体法適用を受けるものは一方八千六百二十四件、計九万五千六百五十七件となつております。それから解散届のほうは適用除外団体につきましては、最初の一年半で二千九百四十六件、二十五年の四月から昨年二月までに二千百五件、それから本年の三月までに四百七十六件、計五千五百二十七件となつております。適用団体につきましては、それが初めの一年半に千二百六十件、それから昨年の三月まで一年間に八十三件、本年の三月までに百六十七件、計千五百九件、で、合計七千三十六件となつております。変更届のほうは初めに五百八十三件、次の年に四千九百四十六件、それから昨年三月までに八千七百七十件、本年の三月までに三千二百四十三件で、合計一万七千五百四十二件となつております。それから次の事業者団体届出書業種別分類表でございますが、これは公正取引委員会届出でられましたものを事業種別に分類いたしまして、農業林業水産業鉱業建設業製造工業商業金融業運輸通信業サービス業、その他に分けまして分類いたしました。適用を受ける団体といたしましては農業が三千百六十二件、林業が九百五件、水産業が四百七十七件、鉱業が百十七件、建設業が二百三十四件、製造工業が三千三百六十六件、商業が三千八百九件、金融業が二百八十六件、運輸通信業が九百四十二件、サービス業が七百十六件その他が二千百一件、計一万六千百十五件となつております。それから適用除外団体のうち、協同組合につきましては、農業協同組合が二万二十八件、事業協同組合は三百六十三件、水産業協同組合は三千二十四件、鉱業事業協同組合が六十六件、建設業事業協同組合が百五十六件、製造工業事業協同組合が四千百九十八件、商業事業協同組合が六千六件、金融業信用協同組合が六百二十五件、運輸通信業事業協同組合が三百七十七件、サービス業事業協同組合が三百十五件、合計二万五千百五十八件となつております。それから適用除外団体の中の特別法等に基く、例えば土地改良その他のものでございますが、農業については二万五百四十八件、製造工業が二百件、金融業が百五十九件、合計二万一千七件となつております。これらを全部合せますと、七万二千二百八十件となつております。  それから次に、現行法では事業者団体法規定すでに御承知のように、許容活動禁止行為とこの中間の行為公正取引委員会認可が必要であるということになつておりますので、公正取引委員会認可申請がありましてこれを認可したものを年度別に書上げてございます。それで昭和二十三年度におきましては、認可申請受理件数が四十件、認可件数が一件、取下げたものが十四件、昭和二十四年度におきましては受理件数が四件、認可件数が二件、不認可なつたものが五件、取下げたものが三十二件、昭和二十五年度におきましては、受理件数が二十二件、認可件数が十九件、取下げたものが二件、昭和二十六年度におきましては、受理件数が四十八件、認可件数が四十六件、審査中のものが二件、取下げ一件、計受理件数百十四件、認可件数六十八件、不認可件数五件、審査中のものが二件、取下げたものが三十九件となつております。その下に書いてありますように、認可した行為は、自動車登録番号標交付代行業務とか、それから漁業用無線施設設置経営、家畜の登録事業とか、荷後炭の蒐集処分、入社会の主催、商標権商号権侵害の防止、取引高税印紙売捌、こういうものを認可しております。不認可いたしましたものにつきましては、特定の事業者の状態を明示する表の作成、会員のための商品購入の斡旋というようなものを不認可いたしております。  それから事業者団体は、公正取引委員会認可を受ければ自然科学研究施設所有経営をすることができることになつておりますので、これに基く認可申請受理件数認可件数、取下件数が書き上げてあります。受理件数昭和二十三年度におきまして十九件、認可件数零、取下件数八件、二十四年度におきましては、受理件数四件、認可件数十三件、取下件数零、二十五年度におきましては、受理件数五件、認可件数六件、取下件数零、二十六年度におきましては、受理件数三件、認可件数四件、取下件数零、合計受理件数三十一件、認可件数二十三件、取下件数八件。それから次に四でございますが、これは事業者団体法違反被疑事件一覧表でございます。どういう手がかりによりまして、公平に違反事件審査したかという表でありますが、これは一般よりの報告検事総長よりの通知職権による認知の三つの方法に分けております。昭和二十三年度におきましては、一般よりの報告が三件、検事総長よりの通知は二十三年度より二十六年度まで全部ございません。職権による認知は百九件、昭和二十四年度におきましては、一般よりの報告が十件、職権による認知が九件、昭和二十五年度におきましては、一般よりの報告が六件、職権による認知が十二件、昭和二十六年度におきましては、一般よりの報告が九件、職権による認知が四件、計一般よりの報告が二十八件、職権よりの認知が百三十四件。それから終りの事業者団体法違反事件年度別一覽表という表がございます。これは公正取引委員会違反といたしまして勧告を出す、或いは審判にかかる表でございまして、違反といたしましては、団体法のみに違反したものと、独禁法団体法両方違反したものを分けて掲げてございます。昭和二十三年度におきましては、勧告はございませんで、審判開始決定をしたものが二件、事業者団体法独占禁止法両方に跨がるものはございません。括弧の中はそのうちで審決のあつたものであります。昭和二十三年度は二件に審判決定をしております。昭和二十四年度におきましては、勧告が、団体法違反が一件、独禁法団体法両方に跨がるものが一件、審判開始決定をしたものが、団体法違反が六件、両方跨がるものが五件、合計十一件、そのうち審決のあつたものが、団体法違反のものが七件、全部審決でございます。それから独禁法団体法両方に跨がるものは六件のうち五件でございます。従いまして昭和二十四年度におきましては、勧告審判決定合せて十三件、審決されたものが十二件でございます。昭和二十五年度におきましては、勧告団体法独禁法に跨がるものが二件、審判開始決定したものが団体法違反が十五件で、両方に跨がるもの七件、合計二十二件、この年に審決の下りたものが団体法違反が十五件のうち十四件、両方に跨がるものが九件のうち七件、計二十四件、そのうち二十一件について審決をしております。昭和二十六年度におきましては、勧告団体法違反が三件、独禁法に跨がるものはございません。審判開始決定したものが団体法違反が五件、独禁法団体法に跨がるものが二件、合計七件、このうち審決が下りたものが団体法違反が八件のうち七件、両方に跨がるものは二件のうち一件、計十件のうち八件、最後の計では団体法を施行いたしましてから今日までに団体法のみの違反として勧告を受けたものが四件、審判開始決定を受けたものが二十八件、独占禁止法団体法両方に跨がるものは勧告を受けたものが三件、審判開始決定したものが十四件、勧告合計七件、審判開始決定合計四十二件、そのうち審決の下りましたものが四十九件のうち四十三件でございます。  以上でございます。
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 質疑を続行いたしたいと思いますが、前回委員会におきまして、操短問題をめぐりまして、公取通産省との関係を質す意味通産大臣出席要求があつたのでありますが、今日よんどころない事情通産大臣出席しかねるというお話しであります。それで出席要求された委員側でも、それでは止むを得ないから、別の機会或いは別な委員会で必要があれば質疑をやるからというお話がありまして、従つて今日は通産省関係出席はありませんで、公取横田委員長以下の政府委員だけであります。御了承願いまして質疑を続行いたしたいと思います。
  5. 竹中七郎

    竹中七郎君 先ずお伺いいたしたいのですが、事業者団体法改正は長い間の懸案でありますが、これはいつも私的独占禁止法改正と並列して考えられておりましたのに、今回独占禁止法には何ら触れることなく団体法改正案だけを提案されましたのは、如何なる理由によるものでありましようか。政府独禁法改正する意図を持つておられるのか。換言すれば独禁法並びに団体法を更に徹底的に検討して、これが改正案を用意するのかどうか。この点を先ずお伺いいたします。
  6. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 先日今回の改正法提案理由を説明いたしまして、これに附加いたしまして、今回の改正案提案するに至る経過を極めて簡単に申上げたのでございまして、その点をもう一度申上げますと、大体今回独占禁止法改正案を出すことが困難であつた理由はおわかり願えるかと思いますので、もう一度繰返して申上げたいと存じます。  御承知のように独占禁止法は二十二年にできまして、その後間もなく外資の導入或いは証券の消化等理由を以ちまして、むしろ日本側からも勿論でございましたが、占領軍側といたしましても、これが少しきつ過ぎる、緩める必要があるということを察知されまして、ここに間もなく或る程度の幅のある改正が行われましたのでございます。例えば年役兼任でございますとか、或いは株式保有の問題でございますとか、或いは国際契約につきましては、一々厳格に公正取引委員会認可を必要としておりました等の点を緩和いたしまして、かなり一般の希望に副うような線に緩んで参つたのであります。これと並行いたしまして、事業者団体法ができまして、これにつきましては、独禁法が緩むと同時に事業者団体法という極めてきつい法律ができましたもので、これに対しては制定後間もなく直ちに改正の問題が起りまして、これが結局現在までずつと続いて来ているわけでございます。独禁法につきましては、関係方面におきましても、あの程度改正をすれば、先ずそれでよいという態度を持しておりました結果、こちらといたしましても、余り独占禁止法そのものに更に改正を加えるということについては、うちうちはいろいろ検討はしておりましたが、強い形で向うへ交渉するというようなことはなくして過ぎて参つたわけであります。ところが団体法につきましては、或る程度了解を得られそうでありながら、種々の事情からいたしましてそれが得られず、そのまま過ぎておりました。ところが昨年の春になりまして、御承知のようにリツジウエイ声明が出まして、これらの新らしい法律について再検討をすることが許されるというような事態に至りましたので、御承知のごとく政府におきましては、直ちに政令諮問委員会を設けまして、これに独占禁止法事業者団体法その他諸般の法令の改正問題について諮問をいたしたわけでございます。この政令諮問委員会で直ちに両法を取上げまして、独占禁止法につきましても、かなり大幅の改正をすることを決定いたしました。これは具体的に申しますと、事業者共同行為を可能にいたしまするために、第四條と第六條に相当の改正を加えて、国家経済上必要のある場合は政府認可を以て協定を適法化するということを認めるという改正、その他主要なる部分に亘りまして、例えば株式保有の点、或いは重役兼任の点、その他数点に亘りまして、かなりの改正を加えるということを政府答申をいたした次第でございます。政府におきましては、この政令諮問委員会答申検討しまして、これよりはやや後退はいたしておりまするが、大体この委員会の線に沿つた要項を七月の二十日の閣議で決定をいたしまして、これを一応事務当局を通じまして関係法面のほうに出したのでございます。この独禁法の四條と六條の改正につきましては非常に関係方面では愼重態度をとりまして、かくのごとき事業者協定を適法化する必要の実際上の有無ということをもつと説明しろということで、その点を強く要求して参りまして、安本を中心といたしまして、政府におきましても、そのいろいろな、日本においてはその必要のある具体的の事情を書面にしたためまして出しましたが、いずれも向うの完全なる了解を得るに至らなかつたようでございます。そうしておりますうちにだんだん関係方面のほうの意向がこちらにわかつて参りまして、到底その四條や六條に手を付けるような大幅な改正は先ず困難であるということが察知せられましたので、政府はその四條、六條の改正を断念いたしまして、十一月の十五日に、その点を除きましたその他の部分につきまして、独禁法改正案、それから団体法につきましては、実はお話を落してしまいましたが、政令諮問委員会ではこれは廃止するか、或いは適当なるものは独占禁止法の中に取入れるというような趣旨答申でございましたが、政府は廃止することは適当でなく、団体法に適度の修正を加えるという線で参りまして、その線は大体今回提案になりましたものとほぼ似ております。そういうものが十一月の十五日に、先ほど申しました独占禁止法改正案と、それから只今申しました団体法改正案とが向うに出されたのであります。これが関係方面ではガバメント・セクシヨン、リーガル・セクシヨン、それから勿論主管の係でございます畳SS、それに向う外交部が加わりまして相当愼重検討したようでございますが、十一月の二十八日になりまして、全面的にこれは認めがたいという回答がございました。我々といたしましては、独占禁止法改正案の中にも、又殊に事業者団体法につきましては、大体今までの我々の折衝経過から見ましても、相当向うが認めてくれていい部分があるように考えられましたのに、全面的にこれを否定して参りましたにつきましては、非常に不可思議な感じを持つたのでございますが、それから約十日程経ち決して、実は何らかのインフオーメイシヨンがあるであろうと思つてつてつたところが一向何らの話がございませんので、こちらから出向きまして、ESS当該の係の人と話をいたしましたところが、結局独占禁止法については殆んどもう改正余地はない、全然これに手を触れてはならんとは言わない、まだ改正を認めてもいい余地はあるけれども、大体独占禁止法については、これは改正は認めがたい。それから団体法につきましては、だんだん話をして参りますと、大体我々の考え方と非常に近いものが感ぜられましたのでございます。で、これは公取のものが参りまして、向うのそういう意向を聞いて参つたのでございまして、早速内閣のほうにもその趣旨を伝えまして、そこで内閣は今申しました向うの認める範囲内において案を出そうか、或いは講和発効を目の前に控えておりますので、それを待つてもつと完全なものを提案するということで、いろいろ考えられたようでありますが、結局講和発効前に改正案を出すことは見合せようということに一応なりまして、その趣旨関係方面のほうに伝えたのでございます。ところが関係方面としましては、やはり或る程度改正は一応やつてもらいたいというような気持があるらしく見えまして、かたがた殊事業者団体法につきましては、規定が非常に厳格にできておりますので、この適用担当しております我々といたしましても、できるだけ早く適当な線に緩和をするということを望ましく感じておりましたので、その後いろいろ内閣のほうとも折衝いたしまして、結局事業者団体法改正を、早急に関係方面と具体的な折衝をしながら、改正を先ず事業者団体法について行なつたらどうかということになりまして、その後鋭意関係方面関係官折衝をいたしました結果、まとまりましたのが実は今回提案いたすようになりましたこの改正案なのでございます。なお独禁法につきましても、その後も引続きこれを行おうかと思いましたのでございますが、この点は先ほどから申しましたように、やや困難な事情もございますし、なお関係方面担当官もこの面に触れますことについては非常に好まないような様子も見えまするし、なお緩めるにしても、今度は手続的にむしろ独占禁止法を強化する、例えば現在は公正取引委員会だけがこの法律を取扱つておりますので、例えば罰則にいたしましても、公正取引委員会が告発をしなければ、検事局でこれを取上げて裁判に持つて行くことができないことになつておりますのを改めて、検事局が独自の立場から独占禁止法なり、事業者団体法違反裁判所に起訴できるというふうにするとか、或いは公正取引委員会が発動しない場合でも、民間の、例えば独禁法違反によつて被害を受けておる個々の会社が直接裁判所に訴え出て、この独占禁止法の救済を仰ぎ得るような措置を講ずると、そういうような面を独占禁止法改正の形で入れて来るというようなけはいも見えましたので、この際そういう空気のところへ改正案の話を持つて参りましても、全然妙なことになるわけでございますので、それらの諸般事情考えました上、実は団体法につきましては……。この際独占禁止法につきましては、この際改正案を出すということを差控えた次第でございます。
  7. 竹中七郎

    竹中七郎君 先般のお話によりますというと、このまあ独禁法或いは団体法におきまして、独禁法改正するということはいかないが、個々法律一つつて行きだいとかいうようなお話がありましたが、そういう点はどうなりますか。
  8. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は先般も申上げましたように、現在の情勢におきましては、独占禁止法原則そのものに非常に一般的な形で穴をあけるというようなことは非常にむずかしいように思われますので、実際に日本のいろいろな特殊事情なり、或いは特殊の業種につきまして、余りに自由競争の線を推し進めることは、むしろ不適当であるようなものにつきましては、その個々事情、場合々々の事情によりまして適用除外の法制を作るということが、広い意味におきまして、この経済民主化の線に沿つて日本経済を建て直して行きます上に非常に適当なように思われますので、これは、この問題につきましては、いろいろな考え方があろうかと存じますが、少くとも公正取引委員会といたしましては、大体只今申上げましたような線でいろいろな問題を考えて参つております。
  9. 竹中七郎

    竹中七郎君 実際この問題でまあGHQのほうからいろいろな問題があるのは、実際日本産業というものが戦前のように、まあ日本経済的競争相手即ち英国と申しますか、繊維関係で言いますならば、そういうことになるのでございますが、アメリカ政府英国に非常に遠慮してと申しますか、そういう問題であるか、或いはアメリカ自体の問題であるか、或いは我が国内の問題であるか、この点はどんなふうにお考えなつておられますか、お伺いします。
  10. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) この点は非常にむずかしい問題でございまして、私の申上げることが或いは正鵠を失するかと思いますが、私の観察いたしまするところを率直に申上げますと、これは非常にアメリカ考え方に基くものだと存じます。で、この点は先ほど来申上げましたような独禁法改正に対して非常に反対的な態度を示しておりますのは、出先のGHQなり、或いは当該担当の係りのESSの単なる考えではないようでございまして、例えば先般の政府最初提案を蹴つて参りましたのにつきましては、一々ワシントンに報告をいたしまして、それに基いてやつておる問題は、米国本国であるということを担当の人もはつきり申しておりましたし、なおこの考え方は、国連においてアメリカがとつております態度に極めて明瞭に現われております。国連におきましては御知承のように、一九五一年の国連経済理事会、一九五一年の九月でございましたか、経済理事会決議を以ちまして、国際的のいわゆるカルテルその他競争制限的な面を嚴重に取締りたいというような趣旨からいたしまして、この決議によりまして、特殊な委員会が設けられまして、その委員会国際間のそういう問題についていろいろ検討いたしました結果、少くとも一九五三年の三月までに適当な提案考え、提出するというような決議もいたしておりますし、なお先般もちよつと申上げましたが、最近にアメリカがコロンビアと締結いたしました通商條約の中にも、全く今の線に沿いましたような規定が入つております。それを御存じとは存じますが、申上げますと、この通商航海條約の十八條に、「締約国は、私的若しくは公的の商業企業により又は、この企業の間の連合協定又は他の取極によつて行われているか又は効力の生じた商慣行であつて国際貿易上の競争を制限し、市場への接近を限定し、又は国際貿易上の独占的統制を助長する傾向を有するものが、両国間の通商に有害な影警を及ぼすことがあるということを認める。従つて、各締約国は、他方の締約国要求によつて、この商慣行に関して協議を行い前記の有害な影響を除去するために適当と認める措置をとることに同意する。」こういうような條項が入つておりまして仄聞するところによりますと、日本国との間の條約にもこの秘の規定が予定せられておるように聞いております。このアメリカの一貫した態度というものは、かなり実ははつきりしておるわけでございまして、これはいわゆる国際的な取引に関して言つておることでございまするが、併し国内の問題につきましても、アメリカ自身が反トラストの線を非常にはつきり維持しております。日本についてのそういう問題につきましても、相当強い関心を持つていることは事実のように思われます。結局は独占禁止法を現在のそのままの形で持たなければならんということはないと存じまするけれども、その基本的な線に触れますること、殊に国際貿易的な面におきまして、その基本的な線に触れて参りますということは、非常に今後のアメリカとの外交上の重要な問題になるのではないかと感ずるような次第でございます。
  11. 竹中七郎

    竹中七郎君 次にこれは、公取、或いは安本のほうが本当かと思いますが、公取としてのお考え方をお伺いしたいと思います。事業者団体に対する政府の基本方針というようなわけでございますが、現在自由競争企業の濫立を来たし、生産の無統制を生じ、勢い経済界に波乱を著しくするのでありますが、その波乱を少くするために、企業の集中となり、カルテルや或いはトラストがでるきのは自然の勢いであつて、これらの重業者団体に対して無統制、無秩序な自由競争の中に秩序が生まれると思うのであります。その事業者団体を抑圧してしまうことは、経済の安定をもたらすゆえんではないと思われますが、政府としてはどんなようなお考えを持つておられますか。これをちよつと……。
  12. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 政府と申しましても、私は公正取引委員会の立場で申上げたいと思います。只今お託の問題は、実は非常な根本的な大問題でございまして、結局今仰せのような線によりまして、経済の運営をやつて参りまするか、或いは自由競争の線というものをしつかり立てまして、飽くまでもその線で行つて、工合の悪い点だけに適当な制約を加えながら、飽くまでもこの線で行く、この結局二つの行き方の問題になると思います。大体反トラストの精神というものは、今申しましたうちの実はそのあとのほうの考え方によるものでございますので、我々といたしましては、実はその線に沿つてできておりまするこれらの法律を運用する立場にもございまするので、大体先ほど申しました適用除外考え方も、実は後の立場をとりながら、それに適度な修正を加えて行くという立場から出ることでございまして、大所高所から見まして、この線がよいか、或いは今仰せられましたような線が日本のためにはよいかということは、これは国会なり国民なりが諸般事情をよくお考え下さいましておきめ願えばよいことと思います。我々の立場といたしましては、まさに第二の立場によつて仕事をするということになつておりますので、日本事情をいろいろ考慮いたしまして、この法律の津用には十分注意をいたすつもりでございまるが、我々といたしましては、一応今第二の立場で仕事をして行くつもりでおるわけでございます。
  13. 竹中七郎

    竹中七郎君 そうしますと、まあ今の、現内閣におきましては、いわゆる公取、あなたの線で今後この問題に取つ組んで行かれる、かように了承いたしましてよろしうございますか。
  14. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) それは実は先ほどお断わり申しましたように、我々の役所の立場でございまして、御承知のように最初政府の出しました、十一月に出しました最近の改正案は、どちらかと申しますと、今我々の考えておりまするよりは、よほど先ほどお示しになりましたような線に近い考え方ではないかと思います。
  15. 竹中七郎

    竹中七郎君 この條項についてお伺いしますが、改正の主要点の一つは、第四條第一項を改めて停止規定にしたことにあると思うのでございますが、停止規定になりますと、これは要らないのではないか。殊に第一項第十号を見ますと、このほかにも独禁法違反せず、第五條にも違反しない行為なら何んでもできるというのだから、停止規定独禁法違反しても、これだけは行えるというなら残しておいてもよいが、そうでもないのになぜこれを残しておく必要があるか。殊に第十七條では依然として団体法独禁法の例外規定でも何でもなく、独禁法は本法によつて少しも変更されていないというのであるから、強いて言えば第四條は第十号だけでよいとも言えるし、又第四條は全く削除してもよかつたのではないか、それをあえて残して置く必要がどこにあつたかという理由をお伺いいたしたいと存じます。
  16. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 只今の御不審は誠に御尤もなのでございましてはつきり申上げますれば、この第四條を削除いたしましても、今回の提案と同じ結果になると思います。ただこれにはいろいろ関係方面折衝いたしました際のことを申上げますれば、結局そこに一号から九号までに挙げてございます行為は、事業者団体がなすべき模範的なる行為としまして一応ここにこの範囲内のことは何らの心配なく行えるということをはつきり示す、いわば教育的な意味を含んでおりまするということと、それから実は第五條の禁止規定というものはこれは法律技術士止むを得ないことかと存じまするが、いろいろ解釈の余地がないではないのでございます。その場合につきまして、四條のほうではつきり、第五條の一項のどれかに入りそうに見えるものでも、四條のほうではつきり載せておるものについては安心して堂々とやれるというような、適用を受けるほうの側から見まして多少の安心感を與えるのではないかというような点を勘案いたしまして、第四條はまあなくとも同じようなことになるかとも存じましたが、一応そういう意味におきまして出した次第でございます。
  17. 竹中七郎

    竹中七郎君 適用除外行為について、即ち第七條でありますが、ここでは二、三の廃止法令を削除しておりますが、九号の公共事業会をも削除しているのは、如何なる理由によるのですか、この点をお伺いいたします。
  18. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 公共事業会は、そもそもポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて出ましたポツ勅でございますので、元来ここへ載せる必要はございませんものでしたが、手違いからここへ載つたものであります。必要がありませんので削除したわけでございます。
  19. 竹中七郎

    竹中七郎君 八條の「排除に必要な措置」とは将来に向つてのものか、過去の行為を取消したり、旧状回復をさせたりすることでありますか、どうか
  20. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 八條の排除措置独占禁止法の場合も同じでございますが、大体目標は現在存続しておりまする違法な状態を排除するということにあるのでございまするが、併し併せまして将来同種の行為が行われる危険のあります場合につきましては、将来に向いまして同じようなことをしてはならないというような排除措置を命ずることができるものといたしまして、従来そういう形でその両方をやつております。なお原状回復ということは、これはちよつとどういう御趣旨かはつきりわかりませんが、ものによりましては、その違法状態を排除することによつて原状が回復せられる場合もあり得るかと存じます。
  21. 竹中七郎

    竹中七郎君 次に第九條第一項の読み替え規定削除の理由はどういうのですか。これによつて不都合が生じはしないか、内容的に変化はあるのかどうか、この点を一つ伺いたい。
  22. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) この読み替え規定は旧独禁法を引いておりまして、昭和二十四年に変りました独占法を引きまして読み替え規定を置くのが正しいやり方でございますが、新独禁法を引きまして読み替え規定を書きますと非常に長くなります。それに最近の法律は準用すると言いまして、読み替え規定を置かない例もございますので、この際削除いたしたのでございます。併しながらこれはある場合と同じでございます。これを落すことによつてどうこうということはございません。
  23. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに御質問ありませんか。竹中さんからの御質問は終つたようでありますが……。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  24. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。それでは現在の段階におきましては質疑も切れたようでありますので、特別に御発言がなければ、質疑は一応今日の段階では打切りたいと思いますが、御承知のように衆議院におきまして、まだ本案は審議中でありまして、現在本院におきましては予備審査の過程であります。聞くところによりますと、衆議院におきましても修正の動きもあるようでありますので、それらの動きを勘案いたしまして、次期日程等につきましては、通産の委員長と御相談の上決定して御連絡申上げたいと思います。特に御発言がなければ今日はこれで打切りたいと思います。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは散会いたします。    午前十一時五十九分散会