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1952-05-23 第13回国会 参議院 経済安定・通商産業・建設連合委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)    午後二時七分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    理事            郡  祐一君            永井純一郎君    委員            愛知 揆一君            古池 信三君            奥 むめお君   通商産業委員    理事            小林 英三君            結城 安次君    委員            重宗 雄三君            中川 以良君            山本 米治君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            清澤 俊英君            境野 清雄君            西田 隆男君   建設委員    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            楠瀬 常猪君            前田  穰君            東   隆君   衆議院議員            福田  一君   事務局側    常任委員会專門    員       渡辺 一郎君    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       林  誠一君   説明員    経済安定事務官 佐々木義武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電源開発促進法案衆議院提出)   —————————————
  2. 郡祐一

    委員長代理(郡祐一君) 電源開発法案についての連合委員会の第十三回目を開会いたします。答弁者として発議者福田一君及び関係政府委員出席がございます。質疑の通告がありますので、小川君に質疑をお願いいたします。
  3. 小川久義

    小川久義君 先般来欠席をしておりましたのですでに発言があつたかとも思いますが、我々の承知しておる範囲ではこの会社を作ることは外資導入が主眼である、そういうふうに考えておるのですが、最近外資導入もむずかしいやに聞いておるのでありますが、その点はどうでございますか。
  4. 福田一

    衆議院議員福田一君) この法案一つの大きな狙いとして外資導入考えておることは事実でございます。併し前々から説明をいたしておりますように、外資が入らなければそれではしないのかというと、外資が入らなくてもやるように計画を立てておる。併し狙いとしては大きく外資導入ということを考えております。そこで外資の問題ですが、御承知のように政府資金、それから輸出入銀行開発銀行、それから個人投資、こう四つに分けることができると思うのですが、政府資金のほうは私は諸般の情勢から見て非常に困難があると思いますが、開発銀行の場合、又輸出入銀行の場合は相当見込があるものと私たち考えており、更に又政府のほうでもそういうような意見も持つておられるようであり、又現実に交渉を進めておられるようであります。そこで然らばそういう外資導入をする場合にこういうような特殊会社がいいか、或いは個々の地点について会社を作りましてやつたほうがよいかということでいろいろ意見があるのでありますが、我々の調査いたしましたところでは、今まで開発銀行が各国へ貸しておりまするところの状況を見ますと、大半がガヴアンメント・コーポレーシヨン政府出資をしておる会社が主なのでございます。今までに十六件ありますが、そのうち十一件はガヴアンメント・コーポレーシヨン言つて政府出資のものに貸しておるのであります。従いましてこの法案を作りますときにもそういうことを十分考慮いたしまして、開発銀行から金を貸してもらうというのが一番額の上でも又実際に実現する上でも効果があるというので、そういう意味でまあ政府出資ということにいたしまして特殊会社ということで考えた次第でありますが、その十六のうちの五つの中で民間のが一つ二つでありますが、それも殆んど日本でいいますと電力会社全国一社にしたような、そういうような性格の非常に強力なものに貸しておるというような実情になつております。それから開発銀行が今まで貸しました條件を見ますと、今から二十年ほど前によく電力会社外資が入つたのですが、そのときには物上担保といいますか、担保が非常な要件になつておりましたが今は担保はとりません。担保をとらない代りに政府が保証するということが一番の要件であります。政府保証がなければだめなのであります。如何なる場合においても政府が保証するということが問題になるのでありますが、そういう意味合いでこの法案におきましても政府が保証できるような規定を入れておるわけでございます。と同時に開発銀行が貸す條件の最も大きな狙いは、そういうふうに担保をとらないで政府が保証するという意味は、元利とも間違いなく還つて来るというところに狙いをおいておるのでありまして、昔のように為替関係が平常であつて国際関係割合に平穏な時代と、今のような時代とではよほどやはりこの点の狙いが違つておる。そういう意味合い政府保証を強く要求しておりますが、従つてそれと同時にその事業をやりまして、それによつて輸出入関係がどうなる、いわゆる貿易が振興されるかどうか、貿易が振興されて外貨支拂がうまく行くかどうかというところが又一つの大きな狙いになつております。それがいわゆる松本さんがときどき言われておりますがプロジエクトがいいかどうかということであります。計画がいいかどうかという問題でありますが、こういう意味でその計画がよくなければいけない。と同時にそれがインフレーシヨンを起せば為替関係が惡くなつて外貨支拂ができませんから、そういうことのないように考えまして、その点も合せてプロジエクトをよく研究する。そうしてそれでよければ政府保証考える、こういうことになつております。現実の手続といたしましては、国際通貨基金へ入りませんと国際開発銀行に入ることができません。その前提になつておりまする国際通貨基金のほうは大体ここ一、二カ月のうちに入る見通しがついておるようでありますが、そこで開発銀行としても日本銀行も株主として入ることができるようになります。そうすればよほど公算が出て来るものだ、かように考えておるわけでございます。
  5. 小川久義

    小川久義君 外資導入確信がないとすれば、結局国内資金ということになるのでありまして、国内資金ということになれば乏しい現在において電力会社が大体百二十カ所くらいの発電計画を立てておる。それは御承知通りすでに政府資金国家資金が入つたから、見返資金にしましても、資金運用部資金にしましても、その金で九つ会社がやつておる。ところがそれが二つに分けてやらなければならんということになると、発電が非常に遅れると思うのですが、その点はどうですか。
  6. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実はこの特殊会社でやります地点というものは、国土総合開発計画に関連をいたしまして、そうして大規模であつて、灌漑とか排水とか或いはその他の問題に関連しておる大規模地点というのをやることにしておるのでありまして、そこで電力会社、いわゆる営利目的としておる電力会社でやつた場合には非常にむずかしい、そういうような地点をやる。又資金の面も入つておりますけれども、国土総合開発という見地からどうしても国でやつたほうがいいというような地点を選んであるのでありまして、それと同時に治山治水関係から見まして、川にダムを造つたりそのダムをちよとかさ上げすると発電所ができる、そうして安い発電ができるというような地点がいいじやないか、それも入つております。こういう意味で選定をいたしておりますので、今電力会社がやられておることについては我々としても又政府といたしましても大いに協力をいたして行きますけれども、そういう大規模なもので、国土総合開発関係があり、いろいろな法法関係があり、いろいろな官庁に関係のあるようなものは、これは一営利会社でやるよりもその間の調整を図る意味からいつても、特殊会社いわゆる政府出費会社でやつたほうがうまく行くのではないか、こういう見地からこの特殊会社でやる地点を一応試案として皆さんのお手許にも差上げておるのであります。決して九つ電力会社のやることを邪魔しないように、むしろそれを促進するという意味資金獲得等については努力はしなければいけないということを法文にも謳つておるようなわけでありますから、九つ電力会社にも十分やつてもらう、併しそれじやできない、まあむしろ特殊会私でやつたほうがいいと思うような地点はこれでやる、それから公共団体にもやらせる、又自家発もやらせる、こういうことにして国を挙げて電源開発をしようというのが私たち狙いであり、この法案の持つておる狙いであります。
  7. 小川久義

    小川久義君 理論はよさそうでありますけれども、乏しい国家資金でそう電力会社へも金を出してやる、こつちのほうへも金を入れてやるという余裕が僕はなさそうに思うのです。  それからもう一つは、日本電力の現在の事情からして今年、来年くらいに完全に使われる電気が必要なので、五年、十年あとへ行つてそういう大仕掛のものを果して起す必要があるかないか、これも僕は疑問だと思います。いろいろの資材の面から見ましても、経済の面から見ましても、大きなものを五年も十年もかかつて、その電気を起す時分には電気がさほど要らなくなることが予想されるのじやないかと思うのですが、そういう見通しについてどうお考えですか、伺つておきたいと思います。
  8. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私は、御尤もな御見解であり、大変御心配になつておる点はよくわかるのでございますが、これはこの場合特殊会社がやらんでもいいのじやないかという建前から御質問があるといたしますれば、実は特殊会社がやつておるのはダム式のものでございます。火力代用のものが多いのでございます。そこでそういうような万一事態が起きた場合においても、これをやつておきますと、火力割合に焚かないでまあ安い電気が起きるようになる。そういう意味合でも電気値段といいますか、電気料金の面でいい影響を與えるであろう、こういう狙い一つつておるわけであります。併しそういうような事態が起きては大変なのでありまして、日本国民生活がそういうような事態が起きるということになれば、まだまだこれは切り下げなければならんというようなことさえ考えなければならないので、我々としては何とかして国際貿易関係も改善し、あらゆる努力拂つてとにかく起した電気を全部使うように産業政策を導いて行く、これによつて国民生活向上させてそうして日本経済を再建する、こういうふうにして行かなければならない。その面で全努力を挙げるべきである。かように考えてこの法案を出しておるわけでございます。
  9. 小川久義

    小川久義君 又別の面から見ますと、僕はこういうことは、国民税金においてやるべきものじやない、国民は過重な税金に苦しんでおる、悩んでおるそういう時期に、一方にやる機関がなければ別ですが、九つ電力会社は鋭意その発電努力をしておる。そこにわざわざ過重な税金に悩んでおる国民税金を以て又やるということが、生活向上じやなくて国民生活を困窮に導く虞れがあると思うのですが、その点の御見解はどうですか。
  10. 福田一

    衆議院議員福田一君) 今税金で、まあ政府出資でやるのでありますので、それは確かに国民税金でやるいうことになるのでありますが、併し日本経済を再建し、又国民生活を安定して行こうという場合には、何と言つて日本では産業を起すよりほか仕方がございません。そこで、その意味で一応まあ我々の計画といたしましては、三十一年度までには四百八十億キロワツトアワーの発電をして、そうして今ある遊休施設を動かして行く、こういうことにしなければならない。そうしますと、鉱工業の生産も大体戰前の二倍になるということになりますので、そうすれば国民所得も増加いたします。その結果は、廻り廻つてやはり国民生活の改善になるのでありますから、私たちがいろいろの公共事業をやりましたり、或いは産業を助成するためにこの国の予算というものを作つて、そうしてこれを運営して行く面から考えてみると、そういう意味では私は同じ目的を持つものであるからその点で国民のかたたちにも納得して頂ける、かように考えておるわけでございます。
  11. 小川久義

    小川久義君 御尤ものようにも聞えますが、その産業の発展、拡大、拡充に対して利益を得る国民は、全国民の数からいうと至つて少数なものである。国民税金を充てても大多数の者はそれに対しての恩恵がないのじやないか、こう思うのです。ただ国民の一部の者で、国家的に考えると、国全体から見ますとよさそうなのでありますが、その内容を割つてみますと、その税金電気を起したことによつて出しつ放しという国民の数が極めて多いので、それに対して利益の者はごく少数じやないか。そうすると、却つて苦しんでいる国民をより以上苦しませることになると思うのですが、その点はどうですか。
  12. 福田一

    衆議院議員福田一君) 一応御尤もの御懸念でありますけれども、まあ例えば肥料という工業にとつて見ましても昨年来非常に電気が足りないというので、肥料生産が非常に遅れたことがございます。その結果、大変電気料金の値上げが起きたりし、又それが影響して肥料値段が随分上つたこともあるのでございまして、今のところ、そういう肥料などというものは、これはもう農民全般関係のあるものが、最近は大分肥料のほうに電気を廻して増産もうまく行つて、今度は又肥料が余つておるということが言われておる。つい二カ月くらい前までは一俵千百円くらいしておりました硫安が今は八百何十円ということになりまして九百円を割ろうとしております。まあみんな安い肥料を買えるようになつた。こういうことでありまして、私は成るほどそれは一面においてそういうような税金を使うということは、国民に負担をかけるということもありましようが、産業が起きて来ました場合は、決して私は資本家だけがそれによつて利益を得るものでもなし、又一面においてそういうように直接にこれが還元される場合もあると思います。これはまあ一例を申上げたのでありますが、そういうような意味で私たちとしては産業を起して行くということは、結局国民所得を増加して行くということになるのだと、まあこの配分の問題については、その所得をどういうふうに資本家にどう分けるか、労働者にどう分けるとか、或いは関係のない者にどう影響して行くかという問題、いろいろありましようけれども、いずれにしても日本国民所得が増加するということでなければ、国民生活向上ということはむずかしいのではないか、こういう意味で、やはりこれはやつて然るべきでものではないか、かように存じておるものであります。
  13. 小川久義

    小川久義君 例を挙げられましたが、昨年は僕は渇水期電力不足の絶頂に東北へわざわざ派遣されて調査行つて来たんですが、あれは三十何年来の渇水期でありまして電気が起きなかつたという事情でありまして、今度のやつは国民税金発電会社を作る、政府出資をしておる。つまり国民がやるのでありまして條件が違うと思いますが、これ以上申上げませんが、特に民主主義を唱えて又実践しておる現在において、その会社の機構、人事がことごとく総理大臣の一存によつて任命されて、又その任命された者によつて計画されるということは、今の行き方に逆行のようにも考える独善的なものができる、さように考えるのですが、提案者のお考えはどうですか。
  14. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私は、成るほど委員政府任命ということになつておりますので、そういう御懸念の起きることはよくわかりますけれども、如何なる政治形態を以ていたしましても、やはりこういう場合においては政府任命ということになろうかと存ずるのでありまして、政府がやるという形がどうしても多くなることは、これは政治というものの本質から考えてみまして、一応議会というものが構成され、その議会の中から総理大臣を出して行くということ、それを矯正するという意味では、総選挙というものがこれをちやんとチエツクするようになつておるのでありますから、民主主義政治をやつて行くという意味では、政府が一応そういう問題をやらなければならない。政府のやり方が惡ければ直くこれは選挙に響いて来て今度はそういうことができなくなる、そういう政府がやめになつて別政府が出て来る。これが民主主義のあり方だと思いますから、政府を信頼するかしないかという問題は、これは国民の一応の判断に待つ、或いは又言論機関判断に待つ、或いは議会判断というようなものが全部総合されて判断されて行くわけであります。従つて、裏を返して言えば、政府はそういう方面から全部監視を受けてそうして政治をやつておるのでありますから、そう自分の思う通りのことをする、何でも自分近親者とか、縁故者だけを入れるというようなことは私はできるものではないと思いますし、提案者としてもそういうような事態があれば自由党としてもそういうことは十分政府に対し警告を発するつもりでありますが、いずれにいたしましてもそういう意味民主主義的な而も立派な人間を選んで、そうしてこの法案の運営を図るようにさせて行きたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 小川久義

    小川久義君 私の根本的に納得の行かないのは、我々が電力再編成に当つては九分割で行くべきである、北海道、四国、九州、本州の分はサイクルを五十と六十のサイクルに分けて分割すべきであるということを強く主張しておつたのですが、これが政府の手によつて九つに分断され、その九つに割つたのは政令の形ではありますが政府に責任があると思う。その政府九つ会社作つてその会社を育てるのは僕は一つの義務でもあると思う。その九つ電力会社がどうしても発電しない、又できないということがありましたならば援助すべきであるが、それを今度別にして、お前の好きなようにやるだけやれ、我々は政府出資政府一つの別動体のような機関作つてやるということは、生み出した子供を捨て子するようなことになる。こう思うのですが、同じ発電をするならば、先ほど僕が申上げましたように、今年来年あたりで百万キロになり百二十万キロ発電できると思う、金さえ出してやれば。そうすれば何も新たに別に作つてやらなくてもいい。而もそういう九つ会社を生み出しておいた現政府が、又新たに別のものを作るということはどうしても根本的に僕は納得行かない。この九つ電力会社を育ててやれば完全にできると思う。昨年までは電力に関する特別委員会を参議院では設置いたしまして、あらゆる角度から調査研究を進め、又会社計画も詳細に書面で出してもらい、口頭報告実情をお聞きしておるのですが、その計画も、先ほど申上げたように、資金さえあればできる、資金がないだけである。その乏しい資金を今度はお前にもやる、こつちにも欲しいということは、却つて発電を阻害する、遅延する、こう思うのですが、その点はどうなんですか。同じ政府の手で全国一社ではいかんということで九つに分断されて、今又その日発とは形態が違いますが、発電だけは全国一社で行くということが僕はどう考えても納得が行かないのです。それなら初めから日発に力をつけてやらせばよかつたので、特に発電だけはやるんだということは、電気事業というものは発電から配電まで一貫性がなければならんと思う。ところが発電だけはやるんだ。それでは会社は僕はうまく行かんのではないか。相当確信がおありですか。
  16. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実は政府が第八国会だと思いますが、いわゆる九分割案の法律を出しておることは事実であります。そのときの説明にも、建設の面では建設公社のようなものを作つて開発をやつたほうがいいと思う、そういうことは考慮しておるということを前の議事録を読んで頂きますと出ておるのでございまして、その当時からそういう思想はあつたわけであります。同時に私たちは一応九分割を肯定いたしておるのであります。従つて、これが作りました発電所というものは、これは讓渡するのが建前で、又貸付する、どうしてもそれができない場合において、そういうような状態が起きた場合に、卸売をするということだけを考えておるのでありまして、結局は譲渡、貸付ということを考えておるわけでありますから、そこで、それならばあなたのおつしやるように、九電力会社にやらしたらいいではないかということになりますが、それは先ほど申しました通り外資導入とか或いは国土総合開発というような見地から見まして、どうしてもこの会社でやらしたほうがいいのではないか、かように考えてこの法案を出しておるのでございます。
  17. 小川久義

    小川久義君 その発電に当りまして、日本技術者が相当不足するのではないか。九つ電力会社はその会社の立場から発電計画を進め実行に移しておる、そこへ技術者が吸收される。又新らしいものができてそこへ技術者が行く、日本には大して技術者はいないのではないか。数の上ではそう二つのところへ十分配置できるだけの技術者がいないと思うのですが、その点どうですか。
  18. 福田一

    衆議院議員福田一君) その点はいろいろ案を作りますときに研究をいたしたことでありますが、私は今の電力会社に対しましても大いに協力を求めるということが必要であるということを考えております。場合によつては一部の小さいようなものは電力会社にやつてもらう場合も考慮しておるのでございますが、併し、然らば今の電力会社人たちのうちでも全然余裕がないかということになりますと、これはいろいろそこの会社事情々々によつて違いましようけれども、先任の技師長が一番えらいとするとその次に副技師長がおられる。その場合どつちも優秀な人でダブつておられる場合も私は考えられないわけもないと思います。又上がつかえておれば下から入つて来る人がだんだんつかえて来るということになりますので、そういう意味で全然電力会社に人が足りないということは考えておりません。同時に電力会社に対して我々は成るべく協力を求めて応援をしてもらう、場合によつては嘱託、或いは一部を委託するというようないろいろな方法があると思います。設計等につきましては、今工務所というものが戰後でございますが三つか四つ大きなものができております。こういうものも利用したらいいと思います。又土木業者のうちにも中には非常に立派な技術者がおりますのでそういう面も利用する、こういうことも考えられる。もう一つは、実は外地からも相当引揚者がございます。これは大学を出た人だけで二百三十六人、高專を出た人が四百五十二人、その他の人が二千三百四十七人、合計三千人と推定しておりますけれども、これはまだまだ殖える。今だんだんわかつた数字を順次調べておるのであります。この前実は栗山さんからそういう御質問がありまして、調べておつたのは途中であつたものですから、若干これより数字は減つておりまして、今後はだんだん殖えて来る。これは殆んど全部動員できる数字でございまして本当に仕事がやつてもらえる。特に土木とか電気とかいうものを見ましても、電気だけでも大学を出た人が百四十六人、高等專門学校を出た人が二百八人おられる。土木の面では大学を出た人が七十三人、高等専門学校を出た人が百八十八人おるのでありまして、建築とか機械とかいうものはいろいろありますけれども、ここで今申上げませんが、少くとも今御心配になつておられるような土木電気だけを合計いたしましても六百人くらいおるわけであります。ところが今私たち考えております会社の要員というものは、大体四百人、五百人と考えておるのであります。それは決して土木だけではございません、土木電気合せて二百三、四十人、四、五十人くらいと思うのであります。こういう者と外地引揚者人たちを或る程度活用するということも考慮いたしますならば、人員が足りないということはあり得ないのではないか、かように私たち考えておるのでございます。
  19. 小川久義

    小川久義君 そうすると、このコストが高くつくと思うのですが、その点どうですか。
  20. 福田一

    衆議院議員福田一君) これでやりますと御承知のように建設中は利息を拂いません、政府資金に対して。建設後においては、六分の配当をするということに相成つております。そこで全部今第一期計画ができて八十四万キロワツトでき上ることになると、六分の配当をいたしましても一キロワツトアワー二円四十五銭でありますから、今電力会社がやつておられるのと新らしくやるのを合計いたしますと、二円七十五銭ということになります。これはなぜ安いかというと建設中の利息が安い。いわゆる配当が電力会社でありますと一割五分、政府資金でありますと六分、資金運用部資金を借りた場合その他の点も考慮いたしまして、政府資金が多く流れ出ておるということが一つの大きな原因だと思います。いずれにいたしましても非常に安い電気が起きる、かように考えております。
  21. 小川久義

    小川久義君 御説明によりますれば安くなるのですが、会社に貸しておると同率の利息をとり税金をとるということになると現在の会社のやつよりも相当高くなるのではないかと思いますが、国のやることで、国の資金だから利息は拂わない、それから税金も取らない、それを差引くから安くなるので、会社の現在のものよりも高いと思う。それならばその無利子の金を、而も発電事業に対しては税金を免除するという法律を作つてやれば、もつともつとより以上効果的に発電ができるのじやないかと思うのですが、その点どういうふうに考えておりますか。
  22. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実は法人税の場合におきましては、会社の場合にはもうちやんとそういうふうになつております。この場合も同じでございます。特殊会社でも、登録税とか固定資産税の面で若干特殊会社のほうが有利というようになつておりまして、税金の面では殆んど違いございません。そういうふうにして電源開発を促進しておるわけでございます。問題は利息というか配当というか、これが一番大きな問題であります。その面では確かに配当や利息が安いということでまあ特殊会社の場合はやつておるのでありますが、この点は先ほど来申上げておりますように、外資導入を図る、或いは国土総合開発見地から見て一応建設をしておいて、そうしてそれを電気会社に渡すと、こういうことにするので、電気会社がこれが結局買い取つてやれば、もう自分の作つたのと殆んど同じになる。併しその收支というものは、これは必ず会計検査院の検査というものがありまして、嚴重にこれが監督を受けるということになりますから、この面で税金を……営利を今のところ日目的にしてやつておる電力会社に貸した場合、まあ会計監査その他がないような場合を考慮いたしますと、我々といたしましては、やはりそういう税金のようなものは、そういう嚴重な監査のあるところでやつて行くほうがいいのではないかと、まあかように考えておるわけでございます。
  23. 小川久義

    小川久義君 政府側の考え方も聞きたいのですが、丁度建設委員会では証人を喚問して調査している案件がありますので、最後にもう一つだけ考え方を伺いたいと思うのですが、あらゆる問題がそうなんですが、特に発電事業はあらゆる人が一丸になつてやる。これがスムースに電気を生み出す根本だと思う。ところがこの開発会社の案に対しては、恐らく專門的に電気関係のある人は反対だと思う。特に九つ電力会社は、東北を除いて、他の会社は一律に反対だと思いますが、従つてそれに繋つている人は反対のように聞いておる。そうするとそこに先ず和が欠けてしまつておる。それから先ほど電気会社技術者を借りて来ることも可能だとおつしやいましたが、仲よく協力し合う態勢にあれば、それはこの技術者も通れて行け、これも貸してやるということになると思いますが、今のような強力な反対の態勢にある以上は、その技術者の譲り合いは困難だと思う。従つて資金の取合いが始つて来る。外資導入がそう確信もなさそうですから、国内資金でやる。乏しい国家資金でやる以上は、その取合いが始る。それで政府自分がこしらえた会社だから、どうしてもその資金をその会社に持つて来なければならない。そうすると、九つ電力会社計画した人たちが留守になる。留守になるとそこに電気が起きなくなる。金がないから電気が起きなくなる。そうするとここでプラスになつてもこつちでマイナスになる。そうするとプラス・マイナス・イコール・ゼロというような形になるのじやないか。そういう形になるとすれば、何も反対を押切つて僕はこの会社を作る必要はなさそうに思います。果して円満に会社と手を握り合つて、都合の惡いことはその特殊会社でやつてくれ、これは僕のところでやろうという形なら、技術者の譲り合いもできましようし、資金も円滑に話合いもつくと思いますが、真向うから反対の情勢にある現状から考えると、それではその和が取れないと思う。和が取れないとすれば、今のお考えのような発電が順調に進まないと思うのですが、その点の御見解を伺いたいと思います。
  24. 福田一

    衆議院議員福田一君) 資金の問題から申しますというと、資金の面で九つ電力会社に対しましては見返資金を出すことにいたしております。それから預金部で引受けますところの金融債の一部は電力会社に割当てるということにいたしているのでありまして、九つ電力会社の間でそういうような問題が起きると思いますが、併し九つ電力会社でなく、特殊会社でやりますものは、これは政府出資でございますから、これらのいわゆる資金の出所というものは全然別途のルートになつております。ですからその面では資金の取合いということは起きない。併し今仰せられた通り、和が保てなくては仕事がうまく行かんじやないかというお説は御尤ものお説だと思うのでありますが、この法案につきましても、成るほど電力会社の公聴会などを見ますというといろいろ御意見もあるようでありますから、必ずしも、電力会社が全部みんな猛烈に反対されているというのじやないのであります。なかなか一致しておらないようなところで、場所によつてはしてもらつてもいいというようなことを言つているところもあるのでありまして、これは差障りがありますから例は申上げられませんけれども、非常に強硬に反対されているところはむしろ少いのじやないか、こう思つておりますが、併しいずれにしても一部にでも反対があるということでは、和を破るということに同じことになりますから、そういう意味合いにおきまして和を以て行かなければならないのじやないか、それは非常に仕事の能率に差支えるのじやないかということは御尤もでありますが、併し一応私たち民主主義国家に生きております者は、議会というものを認めなければならない。議会を認めるということは、議会が若しそういう法律を作つたということになれば、これに協力するということが私は建前だと思いまして、そういう意味合いで今度は首脳部になつ人たちも辞を低くして電力会社に頼めば、そうすれば常識を持つておられる人であつたならば、国会のきめた法律について協力する気持になつて頂けるであろう。併しその度合いは元から反対しておつた場合と賛成しておつた場合とは違うじやないかと言えば御尤もで、そこまで追及されれば確かにその面でそういうことが起り得るでありましようが、和を保つという意味で、できるだけの一つ努力をいたし、そうして協力を求めて我々の誠意のあるところを披瀝して頼めば、何とかそこで話がつくのじやないか、それをやつて行けばあらゆる問題について私はこれはやり得る。又そういう訓練をして行くことが日本民主主義どいうものを育てて行く途だと思うのであります。日本はよく意見が違うというと嫁にもやらぬ聟も取らぬというような昔政党政治があつたようでありますが、あれではいけない。私は意見が違つてつても、いよいよきまつたとなれば、それをみんなでやつて行くというところに本当の民主主義のよさがあるのだと思います。これなどもその試煉をする意味一つのいい法案ではないかと思う。そういう意味合いで、できるだけ努力して、あなたの御心配の点はよくわかるのであります。確かにそういう面は一つの欠点にもなつておりましようが、何とかしてそういうことを抜きにして、とにかく電源開発をして、我々の生活をよくして行こうじやないかというところで誠意を披瀝して頼めば、私は電力会社の人といえどもこの大局的な見地に立つて必ず御協力をして頂けるようになるのだ、又首脳部にもそういうことを十分努めてもらわなければならない、かように考えている次第でございます。
  25. 小川久義

    小川久義君 先ほども申上げましたように今年、来年というものが僕は日本電気事業の山だと思う。そうすると繰返すようになりますが、その機構を作つてそこで計画して、仮に作つて発電するというのじや今年、来年になかなかできそうにないと思う。従つて特に、僕は富山ですが、北陸電力は今年来年一ぱいにできる電気、これを主眼に発電をしていると思うのです。そういう行き方ではなかなかならんと思う。このような新らしい会社をお作りになつても、やがては電気の飽和状態になつたときにはどこかに持つて行かれるにしても、結局投じた資本と收益のバランスが取れんから、何かこの新らしい会社でどんどん発電されたことが、営利目的とする会社の破滅を導く虞れもあると思う。そういう点から総合するとどうも納得が行かんのですが、この次又機会がありますれば何らか意見のお聞かせを願つて、実は先ほど申上げましたように建設委員会で証人を喚問しておりますので、これで失礼いたします。
  26. 奥むめお

    ○奥むめお君 私小川委員質問に関連してお伺いしたいのですが、先ほど小川さんも御指摘なすつたように国家の金を使つてするのだから、これは国民全体に豊富に電気が行くようでなければならんという問題を指摘しておりましたけれども、私ども一番関心をおきますのはその点でございます。これだけ大きな予算を取つてお始めになる仕事の計画として、私どもから言えば、こういうふうになつてどの程度一般国民電気が豊富になるか、数字的な見通しですね、それを詳しく伺いたいことが一つでございます。まあ私ここでそう言つて意見を申上げれば、先ほど福田さんはこういう仕事にしても政府を信用しなければ駄目だ、できないじやないかというお話だつたのですけれども、今度は私どもから言いたいことは又そこなんです。近い例を言えば、今日のこの法案そのものでも、電源開発促進法と非常にいい名前が附いている。これで反対したら促進反対かと、こうやられるわけですね。誰だつて電源開発促進に反対な者は一人もいない。併しこれに含まれている具体的な法案そのものにはいろいろ問題がある。それからいろいろ不安なところも指摘すればあると思う。例えば促進法案と出ているからこれは反対のしようがない、これに反対する、そんな者は一人もいないじやないかということになるのです。今日の午前中にも麦の統制撤廃、この統制の撤廃ということは、自由党の今まで掲げていらつしやつた旗印しですね。併し本当に麦の統制を撤廃しているかと言えば、統制を撤廃して困つているのは消費者であつて、農民はちつとも統制を撤廃していないわけです。買上値段もきまつているわけだし、加工されているわけだし、自由党はそういう利口なことをされるので、私ども余計電源開発特殊会社法案というものに対してしつかり見て行かなければならんという気持を、憶測を余計持つわけです。ですから先ず第一番に数字的に、どういうふうに国民全体として、電力がこういうにされて安くなつてこういうふうになるのだ、こういうふうに殖えるのだ、割当はこうなるのだということを一つ見せてほしいと思います。
  27. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実はこの特殊会社がやります電気は、これができますというと、日本が使います、必要とすると想定しておる電力の一割になります。その一割が二円四十五銭という数字で提供されるわけであります。その場合譲渡、貸付をするときには建設のコストというか、ネツトの分に利息と六分の配当が附くわけですから、そこでそういう数字が出て来るわけです。いずれにしても一割が二円四十五銭で、今これをそれだけの分をそれじや……或る一地点でできるわけじやない、ほうぼうでできるのです。そのできた分をどういうふうに分配するか、そのどつちにしても、電気は安くなるのですから、それをどういうふうに分配するかということはそのときの行政機関がやらなければならんことでありまして、今でも実は電気の配分ということは起きているのですが、そのときにやることになるのですが、ここでこうしますということはこの法案には出ておりません。出ておりませんけれども、少くとも一割の分だけは非常に安い電気が出るということが言えるわけです。それは或る意味電気の値が上るのを少くとも抑えている、それから又非常に電気が足りないような地域についても、発電所を起しますけれども、大規模のものはそこで作つたものをそこだけで使わないで高いところに廻して行くということにすれば、この料金の差が随分あります。電気については非常に地域差というものも大きいのです。こういうものも改善されて行く、このように考えておるわけでありますが、或いは私の説明が足らなければもう一遍質問をお願いいたします。
  28. 奥むめお

    ○奥むめお君 先ほどの問題ですが、数字の上で別にお出し頂ければ、あとで紙に書いて出して下されば結構だと思います。
  29. 福田一

    衆議院議員福田一君) ちよつと説明員が補足して説明してくれるそうです。
  30. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) その前に奥先生から資料の提供の要求がございまして、一応お手許に差上げたわけであります。  それから一般民需用の電力が今後どういうふうに上昇して行くだろうかという御質問かと思いますが、人口の増加率は五%ぐらい上るのに対しまして、産業以外の一般民需用の電力は二〇%ぐらい上昇するという建前になつておりまして、従いまして産業用のみならず、一般民需関係電力が殖えるという予定でやつておるのでございます。もう一つは、先ほど福田さんからお話がありましたように、この開発計画ができまして電気をフルに使用した場合に、生活水準は現在農村、都市を合せまして約八十二、これを九十三、四までに上げたいというので、逐年二%ぐらい生活水準を上昇させるということを頭に描きながら計算したのでございます。今申しました先の数字と併せお考えを願いまして、電気だけは殖えて参りますれば生活水準も上り、民需用の電気も次第に殖えて行くことになります。価格の点につきましては先ほど福田さんが申上げた通りでございます。
  31. 奥むめお

    ○奥むめお君 電気がたくさんになることによつて生活水準も一〇%ぐらい上る見込なのですね。私のほうも生活水準の上ることが一番必要なことだと思うのですけれども、今の日本の力からいつて、非常にたくさん電源開発のために国家資金を投入する。電気一辺倒と言いますか、非常にたくさん投入するわけですね。これは来年も再来年も続けてお出しになる予定だろうと思うのですけれども、日本の前途に横わつておる問題というものは、電気も非常に大事だけれども、軍備もあるだろうし、その他いろいろあると思うのですけれども、続けてこれが御予定のように出し得るというお見込はどういうところから立ちますか。
  32. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御尤もな御質問でございますが、これはむしろ大蔵大臣からお答えしたほうがいいかとも思いますが、私がいろいろ承わつたところで御説明申上げますると、成るほど軍備の問題とかその他いろいろ民生の安定とか、或いはその他の公共事業、或いは産業資金というものがいろいろございます。そういうものも圧迫してしまつたのでは、これは本当のいわゆる民生の安定ということにならないじやないかということになるわけでありますが、併し何と言つても一番大事なことは、私は国民所得を増加して行くような施策を政府としてやつて行くのでなければいけないのじやないか、かように考えておるわけです。まあこれに関連してちよつと先ほどお話が出たのでありますが、例えばこの特殊会社ができなかつたということにいたしまして、現在電力会社がやつておる分だけの発電計画をこのまま政府が援助してやつてつたということにいたしますと、現在でも今二割、電気はコントロールしておる、無駄なところに使わせないことにしてやつておるのですけれども、まだ二割足らない、ところがこれを野放しでやりますと四割くらい足りないだろうというので、とても足りないとこへまだまだ民生用も産業用も電気が殖えようという傾向にありますので、これを若しこういう安い発電所をやらなければ、電気料金は勢い高騰せざるを得ない。これはいろいろの会社経営の分からいつても、又ほかの物価の関係からいつても、又この電気料金の値上げということが私は急上昇して来るのではないかと、こう思うのです。これを国で、国家管理をやつておりますものならば、そこに若しマイナスが起きた場合でも今度はそれを埋めるということがありましようけれども、私たちとしては今電力会社九つになつておるのをもう一遍すぐに一つにしてしまわなければいかんというふうな考え方ではございません。こういうことは御承知のようにいろいろ外国の関係もありますし、それから又そんなことをやりますというと電源開発自体が遅れてしまいます。今電力会社がやつておる分も遅れてしまうというので、却つて不ためだというので私たちはそれを考えておりませんが、そのようにとにかくやらなかつたという場合を考えて頂きますと、これは国民に大きな又電力料金問題が起るということも考えなければならない、そういうことが一つあるわけであります。そこでこれをやつて行く場合に、然らばほかの産業資金を圧迫しないだろうかという御懸念があるわけでありますが、今のところ政府にも相当の税收におきまして自然増収が出ておることは御承知通りでありまして、或る程度の余裕金もある。併しそれは勿論いろいろな面に使わなければならないのだから、それはバランスを取つて行くという面で見ますというと、これは確かに御説の通り電気一辺倒といいますか、電気増進一辺倒といいますか、大体そういうような方向に向いておることは事実でありますが、併し何を言いましても、国民所得を殖やすもとになるものを作つておかなければ、これは長い目で見ますと国家百年の大計を立てるということには相成らんのではないか、そこで国家百年の大計を立てるという見地から見れば、三年、五年、十年の先を見通しまして大体こういう目標に向つて日本産業全体を推し進めて行くという、こういう考え方をしなければならない。そこで三十一年には鉱工業の生産を二倍にするとか、国民所得もこれくらいまで上げる、こういうことにして、それではそういう鉱工業生産をする場合に動力はどうして求めるかということになりますと、これは何と言つて電気を殖やすよりほか方法がないということになりますれば、そこに重点を置いて国の資金を使つて行くということは、これは国民の長い目で見、又現実電気料金の問題に見ても、決して私は国の金を要らないところに使つている、こういうふうには考えられないのでありまして、やはり一番大事なところへ重点を置いて行くということが成るほど必要だと思う。併しそれが無駄に使われるとか或いは間違つて使われるといつたようなことがあつては勿論いけないので、そういう点は嚴重な監督も必要でありましようが、いずれにいたしましても、この今計画いたしておりまする程度の、四年間に大体九百億足らずの金でございますが、年に分けますと二百億前後に相成るかと思うのでありますが、この金は外資導入できなくても必ずやれる、又やらなければならない。又やるように産業を起して行くという方向へ持つて行かなければならない。それで初めて日本の国が復興され、又民生も安定して行くのだ。こういう考え方に立つておるのでありまして、私たちとしましては、外資導入を何とかして先ずやるということが一番の大きな大事な仕事である。併し外資導入されない場合でもこのくらいのものはやつて行かなければならない。むしろまだまだ電気が足りない状態である。第二期計画、第三期計画までやれるようならば、日本は大いに栄えて行くわけでありまして非常に結構でありますが、併しまあ少くとも第一期計画くらいのものは、これは当然やらなければならない、かように考えておるわけであります。而もそれはでき得る限り外資導入を先ず考えて行く、外資導入ができない場合でもこれだけは仰せのように電気一辺倒にいたしてもやらなければいけない、かように考えておるわけであります。
  33. 奥むめお

    ○奥むめお君 もう一つ附加えて伺わせて頂きますが、日本経済の基盤というものは、例えば少し紡績を作り過ぎるとすぐ操短になる。今度は又製鉄のほうでもそうである。こういうふうに非常に基盤が危いところにあると思うのです。ですから私ども一層これらに対して先行きあなたのおつしやるほどの楽観が持てない。いろいろ国民生活の上から申しても、又そのあり方におきましても非常に不安を感ぜざるを得ないと思いますが、如何でございましようか。
  34. 福田一

    衆議院議員福田一君) 確かに敗戰後の日本経済の度合いの浅いと言いますか、企業の基盤がゆるいと言いますか、薄いと言いますか、そういうことは御説の通りであります。併しそういうようになつておるからこそ相当計画を立てまして、そしてそれをもう一遍基盤を強固にして行くという政策をとることが必要なんでありまして、基盤が浅いからだからそのままでいていいわけでもなくて、基盤が浅いからして私たち計画的ないろいろな問題を考えて、そして前へ進めて行くということがなお必要になつて来る。そのほかにおいていろいろの問題が起きましよう。御承知のように例えば紡績でも鉄鋼でも確かにそういうような基盤が薄い、従つていろいろな問題が惹起しておるのは御説の通りでございます。併しそれだけに今後はなお更計画性を持つてこれを順次復興して行く、そうしてその程度を高めてやる、ちよつとくらいの不況では驚かない、こういうふうに経済を導いて行くことが私は政治の一番大事なことじやないかと思うのであります。成るほどそういう面へ金を使うことによつて、そういう面でいろいろの問題と言いますか、ほかの産業に影響が若干あつても、併し先ず一番根幹になる動力というものを考えないでは産業の復興というものはあり得ないのじやないですか。そうすればいろいろ各方面からお説もありますけれども、先ず第一に電源ということを考うべきではないかと思う。先ほど奥さんは電源開発促進という名前がいいから反対できないということを仰せになりましたが、それはもう名前がいいからといつても、反対であるなら反対して頂くより仕方がない。私はそういう名前を附けるのは附けても、とにかく電源開発をしなければいけない。それは決してほかの産業を圧迫していいとか、ほかの産業を無視していいという意味でなく、とにかく電気というものは一番の基礎産業の中の基礎産業であるから、これだけはやつておかなければいけない。それには電気がどれだけ要るかという計画を立て、今建設をする主体にはどういうものがあるか、それをやつたらどのくらいになるか、それでも足りないからこういうものをやろう。と同時に、同時にというとなんですが、外資導入ということを考えると、やはりこの形が一番いいじやないか、又御承知のように電気を安くするのには結局利子を安くするというのが一番でありまして、開発銀行でやりますと年四分五厘、一般市場で公募いたしますと一割一分ぐらいになります。資金運用部資金を使いましても九分で、見返資金では七分五厘でございますから、七分五厘と四分五厘を使うのでは大変な電気料金の差があるので、そういう意味外資導入というものは先ず第一に考えなければいけない問題でありますが、併しこれは相手があることでございますからなかなかできないが、一応それを作つておかなければ、適当な場合に又外資を入れる方法も考えられないのではないかというような見地でやつておりますので、お説の御心配の点は私らも大いに戒心をいたしまして、そして政府としても十分その点を戒心しながらほかの産業に余り影響を與えない、又民生その他にその結果惡影響を與えないようなことをやつて行くことが必要でありますけれども、それだからということで、やめてじつとしているというのは少し臆病過ぎるようになるから、まあ一つここで積極的に計画作つて、そしてそういうものを持つて行くようにして行こう、こういうのが私たちのこの法案を出した気持でございますから、一つよろしく御審議を願いたい。
  35. 結城安次

    ○結城安次君 昨日の小川君の御質問のときに、小川君が民間の融資とこの特殊会社の融資の資金の場合、民間の場合には預金部その他の金を廻す、これは国家資金が行くのだから差支えないというような御説明つたと思うのですが、国家資金というとどの程度まであなたがた国家資金というか……。
  36. 福田一

    衆議院議員福田一君) それは実は私が申したことではないのでありまして、資金の出るルートが違いますということを申上げたわけであります。七つの電力会社に対しましては見返資金を出しております。御承知のように……。それから資金運用部にあります金融債の一部を廻すようになつております。それから自家発には開発銀行から出すようになつております。それから公共事業体に対しては公共事業費の一部から出るように相成つております。こういうふうに資金の出る面が違つておるのですが、今度できる特殊会社のほうは国家の財政資金出資する、出資の形で出すということになつておりますので、そのルートが違つておるということを申上げたわけでございます。
  37. 結城安次

    ○結城安次君 只今の御説明ですと、株の拂込はすべて財政資金のようにも伺いますが、この法案を見ますと、二分の一以上持つていなくちやいかんというので、国は二分の一まで持てばいいわけなのですが、三分の一若しくは四分の一となれば、一般から募集するということになりはしないか。それからもう一つは十倍まで社債を取れる。その社債はこれはやはり財政資金から出すのですか、どうなのですか。財政資金から出すならば、これはまあ民間と牴触をしないかも知れませんが、預金部資金或いは開発銀行若しくは市中銀行から取るとなれば、民間の資金と牴触しないか、これは如何でございますか。
  38. 福田一

    衆議院議員福田一君) 先ず社債の点から申上げますと、これは十倍にいたしましたのは、外資導入があつた場合に、例えば今年中にでも外資導入されるという見通しがついた場合に、今年はまあ五十億なら五十億の出資ということになつております。そうすると一億ドル入りました場合においても二百六十億円という金が入るわけであります。それを社債で借りられるようにしておく必要がある、こういう意味合いで社債は普通の場合でしたら純資産の二倍までということになつておりますけれども、外資導入の場合を考慮いたしまして十倍ということにいたしておるので、社債をそういう意味でたくさん募集するという気持でこの法案に出しておるわけでございません。又この点は政府でもはつきりその点を確認をいたしておるわけであります。  それから今仰せになりましたうちで、それではこの会社資金運用部の金は全然使わないのか。使うということになればそこで牴触するのじやないか、こういう御質に相問成ると思うのでありますが、この会社といたしましても、今年発足をいたしたとしても、今年は五十億、六十億ばかり予定いたしておりますが、併し再来年も百何十億という資金計画は、お手許に出してあると思いますが、確かにそれは若干出しております。併しそれと同時に今度は民間に対しましても出す分をきめておるのでありまして、この程度は出すということをちやんと表でお手許へ出しておると思うのでありまして、その面でやはり民間の会社にもやつてもらう、こういうことになつておるわけでありまして、それではそれをどういうふうに按排するか、実際に今度は二十八年度になつた場合、例えば特殊会社にそれを百億、九つ電力会社が百五十億、実際には二百億しか金が廻せない場合どうするか、こういうふうな問題が起きて来る。お説はそういう問題も含めての意見だと思うのでありますが、そうなりますると、これは工事というものは御承知のようにやつておりますといろいろの事情で遅れる場合もあるし、早くやらなければならん場合もあります。そういう場合に特殊会社でやつておる分についてはもう二百億の中から天引してしまう、こういう考えは全然ないのでありまして、そういう場合には工事の進行状況その他を見合わせまして、そうしてこの金が有効に使われるように、有効に政府としては割振りをいたすべきだと、かように考えておるのでありまして、牴触するということから言えば牴触はいたしましようが、それはその金を国全体としてはこれだけの計画をやらせる企業体がこれだけある、その企業体にどういうふうに按排して行くかということ、こういうことで特殊会社だから特に優先して資金運用部資金を出させる、かようには考えておらないわけでありまして、その点は牴触すると言えばすることになりましよが、やはりその工事の状況その他を見まして割振りをいたして行く、こういうことにいたすべきだと考えておるのであります。
  39. 結城安次

    ○結城安次君 只今の御説明で、小川君のやはり懸念はあり得るということが了解できました。これ以上なんですが、つまり民間の資金特殊会社資金も両方十分に行かなかつた場合には、どうしても特殊会社のほうに多く廻るだろうというのが小川君の懸念でございましたが、この懸念はあり得る。又どうもそれが足りなかつたら出て来るだろう。而も来年或いは再来年からは国家が別の方面につまり資金を要する仕事が多くなるのじやないか、いろいろ理窟は申しませんが、我々自衛上、国費の用途がそういう方面に殖えたという場合には、やはりそういう懸念が起るのじやないかということを懸念するということだけを申上げておきます。
  40. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私は今説明申上げたのは、割合にそういう消極的な意味でというか、説明をいたしたのでありますが、結城さんもおいでになつておられたときに、大蔵大臣が答弁いたしておりますように、こんなものじやまだまだ足りないのだ、まだまだ出すつもりだ、まだまだ政府としてもそういう資金があるのだということを、政府側としてはそういう意見言つておりますので、そんな問題が起るということを我々は実は予想しておるわけじやない。万一そういうことがあれば、そういうことになるということを申したということを一つ御了承を願つておきます。
  41. 結城安次

    ○結城安次君 大蔵大臣はまさにその通り申しました。併し私は別に理窟を言うわけじやありませんが、あの言葉が本当なら、今民間が電源開発に困つているのは資金です。人の問題でもありません、材料でもありません、資金の問題です。あれほどの何があるなら、もう少しこういうものをやる前にどんどんさして、民間で手が廻らないからやるというようにして行くべきものだと思うので、要は奥さんのおつしやる通り促進法なんですから、促進することには賛成しますが、それで次にお伺いしたいのは、先ほど小川君の質問に関連しますが、人、つまり電気の、技師、土木の技師は何百何十名おられるという御説明でしたが、それは誠に数はその通りでありましよう。併し仕事を実際行う場合には、これが学校なら、先生を持つて来れば五十人或いは八十人生徒を並べれば教えられるのだからよろしうございますが、これはそれぞれ皆自分の責任を持つた仕事を分担する場合に、そういう寄せ集めの技師なんかであなたできると思いますか。これはここに建設省の人がいるかどうか存じませんが、建設省の前身である内務省が昭和十二年から東北振興のために東北電力と申しましたか、あすこに役人がたくさん行つて、我々の知つている人もたくさん行つて、どうにもこうにもならぬ。あのときは民間からもずいぶん行つておりますが、お互い仲のいい人たち行つてもなお且つ仕事の上になるとうまく行かない。恐らく三年乃至五年たつて、漸く型について来た。あの東北電力では下にまで技師長説明が伝わるというようになつたのは三年乃至五年後だつたということを現にその技師長言つておるが、今度のやつは大体三十年か三十一年までには仕上げてしまうという御計画ですが、私の考えでは仕上がる頃に行つて漸く人間の陣容が整うのではないか。それまでは行つたところでとんちんかんのことをやつてつて、誠に非能率な成績の挙らんことをしておる間にこの会社の壽命が来るのではないかという気もしますが、この点に関しては十分現業に携つたかたがたの御意見もお聞きになつてつたのでしようか。
  42. 福田一

    衆議院議員福田一君) いろいろそういう專門家の人にもお伺いいたしました。大体できるという確信でやつておるのでありますが、お話の通り、人の和を保つて事業をやるということが事業の要諦であるということは、先ほども申上げましたように御尤もな御意見だと思います。併し私はこれは日本でいわゆる特殊会社というようなものが余り今まではうまく行かなかつたというようなことをよく言われるのでありますが、アメリカあたりでも、或いはイギリスあたりでも、実はそういういわゆるガバメント・コーポレーシヨンというようなものがどんどん仕事をいたしております。そうして成績を挙げております。これはいわば日本人の欠点であつたと思うのでありまして、そういうような欠点があるからそういうことはしないがいいという議論にはならないので、これはますますそういうような場合でも日本人としてはそういうガバメント・コーポレーシヨン式のものでも有効に場合によつては活用できる日本人の性格というものを作つて行くというようなことも考えて見てもいいのではないか、こういうことも私は考えられる。実際の政治問題として、絶対にそれができないということでございますならば、これは又一考を要するのでありますが、我々としてはいろいろお話を聞いて見た上で、これはできる、それをやつて行ける、又先ほども申上げましたように、電力会社にも一つ辞を低くして依頼をすれば電力会社にも協力して頂けるものだと、かように考えておるわけでありまして、そういう人員その他の点でいろいろ御懸念を賜わりますことは誠に御尤もな御心配でございますので、私たちとしても十分これは注意をいたさなければならないところでありますが、併しこれを作つて外資の受入れ態勢を作る。又これによつて総合開発見地から、ほかの電力会社にやらしてはやりにくいようなところをやつて、そして電力会社に渡してやるということになれば、電力会社も私は協力してもらえると思います。これは結局電力会社にとつてもプラスになるのでありますから、大いに一つつて行けるものと、かように私は考えるのでありまして、見通しといたしましては大体やつて行けるものと、かように考えておるわけでございます。
  43. 結城安次

    ○結城安次君 只今外国の例をとつておられたが、私は外国の例を知りませんからここでは何とも申しかねますが、外国の人を呼ぶという場合に、向うでは必ずフオーマンを附けて来る、技師だけではありません、技師の先にフオーマンと申しますか、これが必ず附く、これが手足になるので、やはり私は外国でもそう今日本考えておる、いわば日発ができたようにほうぼうから集めただけ、而もそれをごちやごちやにして分けただけということでは、外国といえども私は仕事ができないと思う。日本でもガバメント・コーポレーシヨンが必ず惡いとは私は言わない。例えば立派にやつておるのは鉄道です。これは長い間の経験からしつくり人の陣立ができたので、今電力の仕事は、電源開発も鉄道にあります、たしか一組か二組は十万か十五万キロやるのに立派にできる組はあります。ただ工学博士何の何、工学士某、技師某と寄せ集めただけでできると思うのは、これは私は少しどうかと思う、という言葉はこういうところに当てはまる言葉じやないかと思いますが、これはもう一度あなたがたによくお考えを願いたいと思います。私はもうこの前申上げました通り、安くて本当に早くできるものなら賛成だ。今我々の困つているのは電気なんだ。賛成だが、併し私の考えでは、今寄せ集めた人間でどうも簡單によくできでるように只今からでもお考え願いたいということを申上げておるのですから、これは最後にもう一遍、結城のやつあんなことを言つておるがどうなんだと……建設省でも古いかたはよく御承知と思います。内務省のもとの土木局あたりから出ておる人も、現に土木局から出ておつたのですが、東北電力なんか困つたのです。三年たつて漸く仕事になつたかなというくらいのことですから、これが急に今日本国民性は変るものとは思いませんので、御心配願いたいと思います。  それからこの前も申上げたが、ちよつとこの前は変つた結果になつたかと思うのですが、民間でやれないような大きな仕事云々とありましたが、やはりこれは民間でやれないものだけやるという御方針でございますか。
  44. 福田一

    衆議院議員福田一君) 前々から申上げておるのでありますが、国土総合開発見地その他から見まして、民間でやるよりはこの電力会社でやつたほうがいいというようなものは、この特殊会社でやるというわけでございます。併しそういうような見地も考慮いたしまして、なお且つ民間でやれるというようなものを全部ここで取上げてやる必要はないと思つておるということを申上げただけでありまして、民間でやれるものならやつていいという意味はそういう意味でございます。なおこの会社といたしましても、民間会社に大いに協力を求めて行くという気持からいたしまして、まあ小さいもので、例えば建設省のダム作つてそれに発電所を作るというようなものでございますならば、民間会社に、実際に監督は会社としてやりましても、民間会社に仕事をやつてもらうというような場合も十分考慮をいたしておるのでありまして、民間会社協力をいたしましてそうしてやつて行くという気持におきましては私は変りないのでございます。全部で一つこの電気開発をやつて行こう、こういうふうに持つて行くべきである、かように考えておるわけでございます。
  45. 結城安次

    ○結城安次君 国土総合開発見地から民間でやるよりは特殊会社でやるほうがいいというものをやるのだという御意見ですが、民間でやるよりは特殊会社でやるほうがいいのだと、ベターだというところはどこで判断するのか、どこの機関できめますか。
  46. 福田一

    衆議院議員福田一君) これはこの法案にもございますように、開発議会ができますので、そこで十分民間の委員のかたも出てもらいますし、七名出てもらうし、政府側も七名出るようになつておりますが、そういうところで民主的に十分検討をして頂きまして、そうしてこちらがいいと、こういうふうにやるべきだということをきめて頂いてやるべきだと思うのでありまして、一応我々が出しておりますのは試案でございます。試みの案としてこういうところが考えられるでございましようということを申上げておるのであります。併し誰が見ましてもそういうような、まあ我々が考えておるところは一応候補地点になるものだと、かように我々は思つておるわけでございます。
  47. 結城安次

    ○結城安次君 いろいろまあこれは議論になりましようが、その点ちよつとお伺いしておきたいのは、つまり電力を安く作る、これは国民全体のためになる、正にお説の通りでして、安くするために低利のものを廻す、税金も民間のより免除の程度が多いというようなことはありますが、電力を安くするには民間たると特殊会社たるとを問わないのですから、民間のほうにも特殊会社に與えるようなつまり安い金を廻すというお考えは、この案を作るときにお考えにならなかつたのですか。この会社へ廻すと同様に民間にも廻そう、民間のほうも安くする、二円何銭とかいいますが、これに利息が安くなつたり何かしますから、民間より安いのは当然だ、同じ地位に立つてどつちが安いかということを、この間もらつたので私の計算によると、どうも同じ利息、同じ税金を拂うと高いような気がしましたが、これはまだ検討中ですが、民間にも安い金を廻してやろうというお考えはなかつたのですか。
  48. 福田一

    衆議院議員福田一君) 勿論この案を検討する場合には、仰せのように豊富な電力を安く作るということが目標でございますから、その場合にどういう主体にやらせるかということをいろいろ考慮いたしたのでありますが、お説のように電気だけを安く作るのだという目的ならば、それだけが目的だということになればそうでしようけれども、併しそれにしてもやはり外資の受入態勢、総合開発というような見地から、これは大きな私は一つ考えるべき観点だと思います。総合開発の問題も考え、又外資導入の問題も考え、そうして安い電気も供給する、豊富な電気も供給する、こうならなければいけないと思うのでありまして、電気だけを作ればいいというだけでは、私は本当の要点をついておるというか、根幹に触れておらないじやないか、そういうような外資導入の問題とか或いは国土総合開発の問題も考慮しつつ、そうして而もなお豊富低廉な電気を作るという、こういうような意味でこの案を考え電源開発というものをどうしたらいいかということを考えると、やはり九つ電力会社にもやつて頂く、又こういう特殊会社作つてやる、これが一番いい案だと、かように考えてこの法案を作つたわけでございます。
  49. 結城安次

    ○結城安次君 私のお伺いしたのは、特殊会社にも安い利息のものを廻すが、同時に電源会社にも廻すようなお考えはなかつたのですかということです。
  50. 福田一

    衆議院議員福田一君) その点は同種類の、例えば資金運用部資金なんかから出るものは同種類のものは皆同じでございます。その点は同じでございます。ちつとも違つておりません。
  51. 結城安次

    ○結城安次君 それから只今のお話では、国土総合開発計画関係あるもの、或いはそれに深い関係のあるものはこれでやつて、民間のほうにはそれに関係ないようにもとれますが、私は今後民間でやるものも或る意味において、考え方によつて電源開発はすべて国土総合開発関係あると思う。ただそれが大きく関係するが小さく関係するかだけの問題である。或いは広いか狭いかだけの問題で、電源開発は恐らく国土総合開発関係のないものは私は今後ないと思う。それでもなお国土総合開発関係あるものはこの何を持つて行つてどこにやらせるかをきめる、そうでないものだけを民間にさせるのだというような御方針ですか。
  52. 福田一

    衆議院議員福田一君) 国土総合開発につきましては、すでに十九カ地点が挙げられておるわけでありまして、指定されております。勿論広い意味国土総合開発という言葉を使いますれば、結城委員のおつしやる通りでありまして、電源開発国土総合開発に関連のないものは一つもないでありましよう、どんなものでも。併し今は国土総合開発ということは地点をちやんと指定しまして、それがどれだけ重要であるかという度合いで以て一応指定されておるのであろうと思いますから、そういうような意味で、国土総合開発という意味はそういう意味言つておるのでありまして、どの電源開発国土総合開発関係がある。そのものを非常に重視してやらなければならない、こういう意味ではないのでございます。その点では府県知事とか或いは建設大臣とか、いわゆる通産大臣とか、或いは今なら公益事業委員会とかがおのおのの立場において国土を十分活用するという意味合いでやはり行政をやつておられるのだろうと思いますが、誰も広い意味国土総合開発を忘れた行政というものはあり得ない。ただ併しこの法案に謳つておりまするものは、そういう意味で特に重要であるものと、こういうふうに考えておるわけであります。
  53. 結城安次

    ○結城安次君 私はもうこれでよろしうございます。
  54. 郡祐一

    委員長代理(郡祐一君) 他に御質疑ございましたら……、では暫時休憩いたします。    午後三時三十五分休憩    —————・—————    午後三時四十六分開会
  55. 郡祐一

    委員長代理(郡祐一君) 休憩前に引続き再開いたします。  次回は先ほど経済安定委員委員長並びに理事の打合会に関係委員長の御出席を願いまして、そうして二十六日の午後一時から開会することにいたしました。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十七分散会