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衆議院議員(
福田一君)
お答えをいたします。実は今質問されましたときにも仰せられました
通り、私といたしましてはその問題についてしばしば
お答えをいたしておるつもりでございます。又
西田さんの仰せられた
通り、この問題を提起するに当りましては、只今申されました一社案か数社案或いは
公社でやるか
特殊会社でやるかというような問題については一応も二応も
研究をいたしたつもりなのでございます。
そこで私が御
説明申してお
つたことではまだはつきりしない面があるからもう一度はつきりしたところを言えと、こういう御趣旨のように承わ
つたのでありますが、私
たちがこの
電力再
編成が行われまして以来の
電気事業のあり方というものをずつと見ておりまして、昨年の
異常渇水が出て来ましたときの状況その他から見まして、何とい
つても
電気が不足である、例えば
各地におきましていろいろの
電気料金の差がついて来るとか、或いはその他の面におきましてもいろいろの問題が
電力再
編成のときに出ておるのであります。併しもろもろの問題を
解決する上において一番大事なことは何かと言えば、これは
電気の量が足りないからいけない、
電気の量をふやさなければならない、こういうことを
考えたわけであります。この点では
西田さんも同
意見だと仰せられております。そこで
電気をふやすという建前からいたしまして、これは
電力会社の
人たちに大いにや
つてもらわなければならないのだから、
電力会社の
人たちはどの
程度までやる意思があり、やられ得るかということをすぐ調査いたしたのでありますが、これは
あとの問題とも関連しますけれども、なんとい
つても
電気事業というものは今のところ
公益事業ではありますけれども併し一面においては
営利事業です、
独立採算制をと
つた営利専業ということにな
つておるわけであります。そこでその
営利性を持
つた電力会社としても、大いにこれは
電源の
開発をや
つてもらわなければならんわけですが、今まで
公益事業委員会或いはその他で
通産省等へいろいろと
電気の増強について案を出されておるのを
研究いたしてみますと、大体今後四年くらいの間に二百五十万キロは自分の力でやれるというつもりで案を出して
おいでになる。そうするとそれについては勿論
政府の
相当の
資金面における
援助がなければいけないということを言われておるわけでありまして、その点は誠に御尤もなことでありますから、私
たちもとしましてはでき得る限りにおいて
資金の
援助をすることが必要である、こう私
たちは
考えたわけであります。そこでその次に
公営事業などがどれくらいやれるかということを見てみましたところが、これは二十万キロぐらいやれる、それから
自家発もこれは
開発銀行から
資金を一部廻しまして、
自己資金を必要とはするのでありますが、これは五十万キロぐらいはやれる。合計いたしますと大体において三百二十万キロほどの
電源の
開発ができるということは見通しがついたのであります。そこで三百二十万キロで
アワーに直してどれくらいのものが増強できるかといいますと、大体我々の
考えておるのでは百三十億前後のものが増強できる、こういうことに相成るわけであります。併し今度は
電気を必要とする面から
考えてみますと、やはりこれは前々から申上げております
通り今後四年間くらいの後には四百八十億キロワット
アワーばかり必要である。こう
考えてみますればその間に
相当のまだ
ギヤツプがある、必要とする
電力に対して供給し得る
電力の量というものは
相当ギヤツプがある。それを然らばどういうふうにして
開発したならば
日本の
経済が再建できるか、こう
考えをいたしてみましていろいろ今度は
民間の
会社にや
つてもらう
考えがある。或いは又
金融公庫というか
電源開発公庫というようなものを
作つてやる
やり方、或いは又
民間の数社が
寄つて一種の
特殊会社を
作つてそれに
政府が
援助を與える
やり方、いろいろあるわけでございます。これはいろいろの
方法があるわけでありますが、私
たちといたしましてはそれらにつきましてもいろいろ
研究をいたしたわけであります。
そこでこれに関連いたしましてもう
一つ私
たちが
考慮をしなければならないと
考えてお
つたことは実は
外資の
導入の問題でございます。
外資の
導入の問題につきましては、先般
松本公益事業委員長からこの席上におきまして、
政府の又
自由党の
考えておるような
やり方をしても絶対に
外資は入らないという御
意見をお持ちのようでございます。これについてはいろいろ
議論があることだろうと思うのでありますが、併し我々が了承いたしておりまするところでは今の
電力会社に対して
外資が入ることはなかなかむずかしいということであ
つたのであります。これはなぜむずかしいかといいますと、
電気料金をもつとどんどん
値上げをしましてそうして
電力会社が非常に金が儲かるということになりますれば、私はこれは
外資が入る公算があると思うのでありましてこれは御尤もな御
意見だと思うのでありますが、併し今の
政治情勢から
考えてみまして、結局この
電気というものは或る
程度犠牲産業にな
つておると思うのであります。
犠牲産業にな
つておるというのは
電気料金の
値上げは直ちに
個人の生活というか私生活にも響きます。又それが直ちに
原料工業その他の
工業面にも響いて参りまして、これがインフレを促進するとか物価高を刺激するというような面が現われて参るのでありまして、そこで私
たちがそういうような
電気料金の急激な値上をして
電力事業というものが非常に
採算のとれる、儲かるものにすることができるかどうかということを
考えてみますと、これはなかなか急にそこまで持
つて行くということは
政治全体の面から見て非常にむずかしいのであります。こういうことを
考えれば
電力事業の持
つておる
特異性から
考えましていわゆる
料金を急激に上げて行くというようなことは非常に無理が伴
つて来るわけでありまして、それは
電力会社でも三割も四割も配当するというほど金が儲かるようになれば、それは
外資の対象になることは私どもといえども明瞭に認め得るのでありまして、
GHQの
関係者の
方面でももつと
電力料金の値上をしたらいいじやないかという御
意見をしばしば私
たちにも申されたのでありますが、私
たちといたしましては急激に
電気料金の値上をするということは非常にいけない、無理がある。将来これを順次、いわゆる
犠牲産業でなくて普通の石炭とか何かのように同じ
動力源でありますからして、或る
程度犠牲を強いられないようにして、そうして一般の
電燈等は据置にしておいても
動力としての
電力というものはこれは値上をして行くような
方向に持
つて行くべきだと思いますけれども併しそれはなかなか急には行かない。こういう
見地から見ますと、私は
外資の
導入の問題もそう皆が
考えているほど
電力会社が
外資の
導入をするとか
言つてお
つてもこれは非常にむずかしい、又
GHQの
関係者のうちにもそういう御
意見を持
つておられる人があ
つたのでありまして、私
たちとしましてはやはりこれは今の形ではなかなかむずかしいのじやないか、無きずな何か
一つのものを作り上げたほうが
外資の
導入に役立つという
一つの
考え方を持
つたわけであります。これが先ず今度の
特殊会社案を出す
一つの
根拠にな
つております。
次の問題は、然らばそういうことばあるとしても
電源の
開発というものは非常に重要であるとするならば、
九つの
電力会社は今
資金が足りないで困
つておる、その
資金を充足してやればそれでいいのじやないか。こういう
考え方もあるのでありまして、すでに見返
資金を出しておる、或いは
資金運用部資金の面でも協力するというような形にな
つている以上は、それをもつと充実強化するのも
一つの案であると
考えられるわけでありまして、当然あなたの仰せられる
通りでありますが、併しそういうことをや
つてみますと、今
電力会社というものが再
編成後どういう
立場に置かれておるかといえば、かなりまだ
国民からいたしましてはどうも
合理化が足りないというような
不満の声が非常に出て来ておるわけであります。そういうような
不満があるところに今度の
政府の
資金を結局はまあふやして貸付けてやるというと、その
政府資金というものは
税金から取上げた国の予算を使うのだということになる場合においては、これはどうも私
たちとしては、それを
国民が
納得してもらうということは、若しそういうことをいたしますならば、
自由党はそういう
電力会社のために国の
税金を投入しておる、そうして
電力会社を利益させるというような
印象を與えるのではないかということを非常に
考えたわけでありまして、そういう面で私
たちはこれはどうも
電力会社に対して国の
資金を出すということは無理が起る、かようにまあ
考えたわけであります。こういうような
考慮もございました。
然らば、今度は
特殊会社というようなものを作
つた場合において、これを一社にするのがよいか、或いは四社にするのがよいかというような問題もございますが、私は、やはり国の金を使うのでございますからして成るべく
諸掛り費というものは少くしたほうがいい、四つの
会社を作りましてそうして各自に総裁ができたり或いは社長ができる、いろいろの
事業をや
つて行く、各個がいろいろの
電源を
開発して行くという
やり方では、或る
意味においてやはり非能率というか経理の面における金の使い方の面でまあ何とい
つても損が起きはしないか、こういうことを我々は
考えたのであります。そういうわけでこれは一社にしたほうがいい。又もう
一つの
考え方といたしましては、いざ
工事をやる場合におきましてもなかなか
工事というものは
一つだけを目標にしてや
つておるといろいろの困難が生じて来たりしまして順調に進まない場合があります。併し一社でや
つておる場合には、
片一方のほうでうまく
機械が使えない場合でも、それを融通して、又
片一方でその仕事をや
つて行けるというような特徴もあり得るわけでありまして、こういう面から
考慮するとやはり一社のほうがいいんではないかという私
たちは
考えを持
つたわけであります。
特にまあそれと同時にもう
一つ根本的な
考え方は、しばしば御
説明申しておるのでありますけれども、大
規模なところでそうして
国土総合開発の
見地から有利な
地点を
特殊会社としてはやることにな
つておるのでありますが、こういうようなものは、やはり一応
営利会社という
立場に立
つておるところの
電力会社よりは、やはり国の協力を得、又
援助を得ておるところの
特殊会社というようなものでやりますればこの
関係者も安心をするのでありましようし、又実際問題としていろいろの
法律関係等が出て来た場合においても、
審議会において調整按配できるという
意味で、私は
解決が早いのではないか。やはり
電力会社ということになりますと、今の
国民が受けておる
印象は何とい
つても金を儲ける
会社だという
感じが強いのでありまして、そういうような
会社が問題の
解決に当ろうといたしますとなかなか困難が伴
つて来ることは、これはどうも認めざるを得ないのであります。そういう場合においても国がや
つておるのだというところで
一つの信頼が出て来るのではないか。
従つて、
国土総合開発というような高い
見地からと、そうして今言
つたようないろいろな問題を
解決するという
意味においては、やはりここで
特殊会社を作り面もそれを
一つにいたしておきまして、そうしてこれが
法案に盛られておりますような
国土総合開発の而も大
規模なもの、或いは
治山治水に
関係のある所であ
つて面も
電源の
開発をしなければならないというような所では、まあこの
会社でやらせるということにしたほうがいいのではないかというような、まだまだ或いは言い盡さないものもありますけれどもそのような観点からいたしまして
特殊会社というものの構想をまとめたわけでありまして、私
たちは、その面においては決して再
編成に対する物の
考え方が
間違つてお
つたとも
考えておりませんし、又
電力の持
つておりますところの
特殊性というものを
考えて決して
間違つた方向に歩んでいない、まあかように私
たちは
考えておるわけでございます。