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1952-05-19 第13回国会 参議院 経済安定・通商産業・建設連合委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十九日(月曜日)    午後二時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事      郡  祐一君    委員            古池 信三君            山川 良一君            杉山 昌作君   通商産業委員    理事            小林 英三君            松本  昇君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            山本 米治君            清澤 俊英君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   建設委員    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            前田  穰君            徳川 宗敬君            松浦 定義君            東   隆君   委員外議員    栗栖 赳夫君   衆議院議員    福田  一君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    法務府法制意見    第三局長    西村健次郎君    大蔵省理財局長 石田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 一郎君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    経済安定事務官 佐々木義武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電源開発促進法案衆議院提出)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは電源開発促進法案についての経済安定、通商産業建設の三連合委員会を開会いたします。本法案につきましての連合委員会は実質的には第十一回目になつております。質疑を続行いたします。
  3. 西田隆男

    西田隆男君 大分長い間電源開発促進法案についての質疑が行われましてだんだん法案の持つておる内容がわかつて来たようでありますが、まだまだ私の納得の行くような答弁提案者なり政府委員から聞くことができないのは非常に残念に思つております。今日は重複する点があるかも知れませんが四、五の点について提案者一つ率直な御答弁をお願いいたします。  先ずこの法案を全体的に見てみますと、この法案考えられておりまする電源開発を促進するという基本的な問題については私は賛成をするものであります。この前の委員会結城委員からその方法としての特殊会社の問題について提案者との間に随分質疑が重ねられて大体明らかになつたよう考えます。併しこの委員会で問題として質疑が二、三回あつたようにも記憶しておりますが、この法案の中に盛られておりまする全国一社、そうして特殊会社というもので電源開発を行うというこの基本的な考え方について提案者に少しお伺いしたいと思います。それはこの法案内容を検討してみますと、できて来ます全国一社の特殊会社資金の面において或いは資材の面において、言い換えればあらゆる面において政府の強力な指導援助と助成といいますか、そういうことによつて日本電源開発占有権を持つておるというふうに考えられるのであります。従つてこの法案通りました場合においてこの特殊会社に対抗して自由競争電源開発を行うということは、提案者はそれで弊害はないと答弁しておられますけれども、我々から考えますと自由競争原則が破壊されるという懸念を持たざるを得ないのであります。而も栗山委員からも言われておりましたが、現自由党與党とする吉田内閣自由経済原則としておる、にもかかわらずさつき申上げたように、全国一社の特殊会社で時の行政府内閣の強力な指導、補助、援助を受けて日本電源を専売的に開発するというような強力な権力を持つた会社を作るということそれ自体が、自由党吉田内閣の今までやつて来た政策とはいささか矛盾しておるように私にも考えられます。そういう点からいろいろ数社案であるとか、或いは現在ある九つ電力会社に分割して電源開発をしたほうがよくはないかというようないろいろな議論電力の再編成とからみ合つて生れて来ておるだろうと考えます。  私自身ここではつきりどういう方法が一番適当であるかという意見を述べる前に、先ず提案者に伺いたいのは、提案者がこの法律案を提案されるに先立つて、いわゆるいろいろ議論されておりまする数社案とか、或いは電力会社によつて開発させる等々の問題については詳細に検討されたことであろうと考えます。そこで私の納得できるように、勿論国民諸君納得の行くように、なぜこういう特殊会社全国一社の電源開発会社考えねばならなかつたか、言い換えればこの法案の中に盛られておるような全国一社の特殊会社によつて電源開発をされることが最も適当な方法であるという理論的な根拠、この点について提案者から一つ説明を伺いたいと思います。
  4. 福田一

    衆議院議員福田一君) お答えをいたします。実は今質問されましたときにも仰せられました通り、私といたしましてはその問題についてしばしばお答えをいたしておるつもりでございます。又西田さんの仰せられた通り、この問題を提起するに当りましては、只今申されました一社案か数社案或いは公社でやるか特殊会社でやるかというような問題については一応も二応も研究をいたしたつもりなのでございます。  そこで私が御説明申しておつたことではまだはつきりしない面があるからもう一度はつきりしたところを言えと、こういう御趣旨のように承わつたのでありますが、私たちがこの電力編成が行われまして以来の電気事業のあり方というものをずつと見ておりまして、昨年の異常渇水が出て来ましたときの状況その他から見まして、何といつて電気が不足である、例えば各地におきましていろいろの電気料金の差がついて来るとか、或いはその他の面におきましてもいろいろの問題が電力編成のときに出ておるのであります。併しもろもろの問題を解決する上において一番大事なことは何かと言えば、これは電気の量が足りないからいけない、電気の量をふやさなければならない、こういうことを考えたわけであります。この点では西田さんも同意見だと仰せられております。そこで電気をふやすという建前からいたしまして、これは電力会社人たちに大いにやつてもらわなければならないのだから、電力会社人たちはどの程度までやる意思があり、やられ得るかということをすぐ調査いたしたのでありますが、これはあとの問題とも関連しますけれども、なんといつて電気事業というものは今のところ公益事業ではありますけれども併し一面においては営利事業です、独立採算制をとつた営利専業ということになつておるわけであります。そこでその営利性を持つた電力会社としても、大いにこれは電源開発をやつてもらわなければならんわけですが、今まで公益事業委員会或いはその他で通産省等へいろいろと電気の増強について案を出されておるのを研究いたしてみますと、大体今後四年くらいの間に二百五十万キロは自分の力でやれるというつもりで案を出しておいでになる。そうするとそれについては勿論政府相当資金面における援助がなければいけないということを言われておるわけでありまして、その点は誠に御尤もなことでありますから、私たちもとしましてはでき得る限りにおいて資金援助をすることが必要である、こう私たち考えたわけであります。そこでその次に公営事業などがどれくらいやれるかということを見てみましたところが、これは二十万キロぐらいやれる、それから自家発もこれは開発銀行から資金を一部廻しまして、自己資金を必要とはするのでありますが、これは五十万キロぐらいはやれる。合計いたしますと大体において三百二十万キロほどの電源開発ができるということは見通しがついたのであります。そこで三百二十万キロでアワーに直してどれくらいのものが増強できるかといいますと、大体我々の考えておるのでは百三十億前後のものが増強できる、こういうことに相成るわけであります。併し今度は電気を必要とする面から考えてみますと、やはりこれは前々から申上げております通り今後四年間くらいの後には四百八十億キロワットアワーばかり必要である。こう考えてみますればその間に相当のまだギヤツプがある、必要とする電力に対して供給し得る電力の量というものは相当ギヤツプがある。それを然らばどういうふうにして開発したならば日本経済が再建できるか、こう考えをいたしてみましていろいろ今度は民間会社にやつてもらう考えがある。或いは又金融公庫というか電源開発公庫というようなものを作つてやるやり方、或いは又民間の数社が寄つて一種の特殊会社作つてそれに政府援助を與えるやり方、いろいろあるわけでございます。これはいろいろの方法があるわけでありますが、私たちといたしましてはそれらにつきましてもいろいろ研究をいたしたわけであります。  そこでこれに関連いたしましてもう一つたち考慮をしなければならないと考えておつたことは実は外資導入の問題でございます。外資導入の問題につきましては、先般松本公益事業委員長からこの席上におきまして、政府の又自由党考えておるようなやり方をしても絶対に外資は入らないという御意見をお持ちのようでございます。これについてはいろいろ議論があることだろうと思うのでありますが、併し我々が了承いたしておりまするところでは今の電力会社に対して外資が入ることはなかなかむずかしいということであつたのであります。これはなぜむずかしいかといいますと、電気料金をもつとどんどん値上げをしましてそうして電力会社が非常に金が儲かるということになりますれば、私はこれは外資が入る公算があると思うのでありましてこれは御尤もな御意見だと思うのでありますが、併し今の政治情勢から考えてみまして、結局この電気というものは或る程度犠牲産業になつておると思うのであります。犠牲産業になつておるというのは電気料金値上げは直ちに個人の生活というか私生活にも響きます。又それが直ちに原料工業その他の工業面にも響いて参りまして、これがインフレを促進するとか物価高を刺激するというような面が現われて参るのでありまして、そこで私たちがそういうような電気料金の急激な値上をして電力事業というものが非常に採算のとれる、儲かるものにすることができるかどうかということを考えてみますと、これはなかなか急にそこまで持つて行くということは政治全体の面から見て非常にむずかしいのであります。こういうことを考えれば電力事業の持つておる特異性から考えましていわゆる料金を急激に上げて行くというようなことは非常に無理が伴つて来るわけでありまして、それは電力会社でも三割も四割も配当するというほど金が儲かるようになれば、それは外資の対象になることは私どもといえども明瞭に認め得るのでありまして、GHQ関係者方面でももつと電力料金の値上をしたらいいじやないかという御意見をしばしば私たちにも申されたのでありますが、私たちといたしましては急激に電気料金の値上をするということは非常にいけない、無理がある。将来これを順次、いわゆる犠牲産業でなくて普通の石炭とか何かのように同じ動力源でありますからして、或る程度犠牲を強いられないようにして、そうして一般の電燈等は据置にしておいても動力としての電力というものはこれは値上をして行くような方向に持つて行くべきだと思いますけれども併しそれはなかなか急には行かない。こういう見地から見ますと、私は外資導入の問題もそう皆が考えているほど電力会社外資導入をするとか言つてつてもこれは非常にむずかしい、又GHQ関係者のうちにもそういう御意見を持つておられる人があつたのでありまして、私たちとしましてはやはりこれは今の形ではなかなかむずかしいのじやないか、無きずな何か一つのものを作り上げたほうが外資導入に役立つという一つ考え方を持つたわけであります。これが先ず今度の特殊会社案を出す一つ根拠になつております。  次の問題は、然らばそういうことばあるとしても電源開発というものは非常に重要であるとするならば、九つ電力会社は今資金が足りないで困つておる、その資金を充足してやればそれでいいのじやないか。こういう考え方もあるのでありまして、すでに見返資金を出しておる、或いは資金運用部資金の面でも協力するというような形になつている以上は、それをもつと充実強化するのも一つの案であると考えられるわけでありまして、当然あなたの仰せられる通りでありますが、併しそういうことをやつてみますと、今電力会社というものが再編成後どういう立場に置かれておるかといえば、かなりまだ国民からいたしましてはどうも合理化が足りないというような不満の声が非常に出て来ておるわけであります。そういうような不満があるところに今度の政府資金を結局はまあふやして貸付けてやるというと、その政府資金というものは税金から取上げた国の予算を使うのだということになる場合においては、これはどうも私たちとしては、それを国民納得してもらうということは、若しそういうことをいたしますならば、自由党はそういう電力会社のために国の税金を投入しておる、そうして電力会社を利益させるというような印象を與えるのではないかということを非常に考えたわけでありまして、そういう面で私たちはこれはどうも電力会社に対して国の資金を出すということは無理が起る、かようにまあ考えたわけであります。こういうような考慮もございました。  然らば、今度は特殊会社というようなものを作つた場合において、これを一社にするのがよいか、或いは四社にするのがよいかというような問題もございますが、私は、やはり国の金を使うのでございますからして成るべく諸掛り費というものは少くしたほうがいい、四つの会社を作りましてそうして各自に総裁ができたり或いは社長ができる、いろいろの事業をやつて行く、各個がいろいろの電源開発して行くというやり方では、或る意味においてやはり非能率というか経理の面における金の使い方の面でまあ何といつても損が起きはしないか、こういうことを我々は考えたのであります。そういうわけでこれは一社にしたほうがいい。又もう一つ考え方といたしましては、いざ工事をやる場合におきましてもなかなか工事というものは一つだけを目標にしてやつておるといろいろの困難が生じて来たりしまして順調に進まない場合があります。併し一社でやつておる場合には、片一方のほうでうまく機械が使えない場合でも、それを融通して、又片一方でその仕事をやつて行けるというような特徴もあり得るわけでありまして、こういう面から考慮するとやはり一社のほうがいいんではないかという私たち考えを持つたわけであります。  特にまあそれと同時にもう一つ根本的な考え方は、しばしば御説明申しておるのでありますけれども、大規模なところでそうして国土総合開発見地から有利な地点特殊会社としてはやることになつておるのでありますが、こういうようなものは、やはり一応営利会社という立場に立つておるところの電力会社よりは、やはり国の協力を得、又援助を得ておるところの特殊会社というようなものでやりますればこの関係者も安心をするのでありましようし、又実際問題としていろいろの法律関係等が出て来た場合においても、審議会において調整按配できるという意味で、私は解決が早いのではないか。やはり電力会社ということになりますと、今の国民が受けておる印象は何といつても金を儲ける会社だという感じが強いのでありまして、そういうような会社が問題の解決に当ろうといたしますとなかなか困難が伴つて来ることは、これはどうも認めざるを得ないのであります。そういう場合においても国がやつておるのだというところで一つの信頼が出て来るのではないか。従つて国土総合開発というような高い見地からと、そうして今言つたようないろいろな問題を解決するという意味においては、やはりここで特殊会社を作り面もそれを一つにいたしておきまして、そうしてこれが法案に盛られておりますような国土総合開発の而も大規模なもの、或いは治山治水関係のある所であつて面電源開発をしなければならないというような所では、まあこの会社でやらせるということにしたほうがいいのではないかというような、まだまだ或いは言い盡さないものもありますけれどもそのような観点からいたしまして特殊会社というものの構想をまとめたわけでありまして、私たちは、その面においては決して再編成に対する物の考え方間違つてつたとも考えておりませんし、又電力の持つておりますところの特殊性というものを考えて決して間違つた方向に歩んでいない、まあかように私たち考えておるわけでございます。
  5. 西田隆男

    西田隆男君 大分長い間御説明を聞きましたが、あなたの御説明を聞いておりますと今大体五つの要点を挙げられたようであります。外資導入の問題についてはこれはまあいろいろ議論があるでしよう。それから電力会社自由党が金をどうとかこうとかいうような御意見の御開陳があつたようですが、そういう御意見開陳は私はお慣しみになつたほうがいいと思う。そういうことを言うこと自体が何だか過去において臭いにおいがするというように国民は受取るので、そういうことは私は理由にならんと思う。第三の経費の増加がどうこうというような問題も、これも国営或いは公社或いは特殊会社、半官平民会社というようなものと、本当に個人が意欲に燃えてやるのとの比較は、これはもう今あなたがおつしやつたようなことでないことは、私が論議するまでもなく国民が一番よく知つておる問題である。第四の機械利用云々は、これは多少意味がありましよう。第五の電源開発は、こういう一社の会社を作られたというのは国土総合開発治山治水関係ということが一番大きな理由のように私は受取りましたが、この問題については論議すればこれはきりがありませんから一応まああなたの御説明を聞きつ放しということにしておきたいと思いますが、私が今の御説明を聞いて最も奇異に感じますことは、電力需給関係というのは各地域々々の産業構造と密接不可分な関係を持つておる。電力発電総量をふやすということは、抽象的には勿論これは反対ではありません。併しながら電力発電総量をふやすということと、現実日本の国の産業構造から来る需給関係というものは、電源開発をする場合に御説明の中に一言も入つておらないという点については私は非常な奇異な感じを持つ。  そこで提案者にお伺いしたいのは、この電源開発日本現実産業構造との関係をどういうふうに提案者はお考えなつてこ法律案を起草されたか。その点を一つ説明を願いたい。
  6. 福田一

    衆議院議員福田一君) 誠に御尤もな御意見でございまして、その点に触れなかつたのは仰せの通りいけなかつたというか、私の説明が足りなかつたところでございますが、勿論電気総量が足りないという場合においてこれを充足するという場合には、需給関係というものを十分考えて行わなければならないわけでございます。併し需給関係を非常に重視することも大事でありますけれども、実際問題として電気を直ぐに起せる所のいわゆる電源開発が必要であり、これを急速にやらなければいけないということであれば早くできる所から一応著手して行くという考え方になることも一応一つお許しが願いたいと思うのでありまして、私たちはそういう意味合で今までの委員会にもしばしばございましたが、電気総量がふえて行きますればこれを随時へきすうの地といいますか、電気のない地帯にこれを融通を楽にさして行くことができる。こういうふうに考えまして一応私たちが試案として考えたような地点を選びこういうものをやつて行くことによつて、順次日本電気需給バランスをよくして行く。かように考えておるわけでございまして、お説の通り電気需給の問題ということを無視しておるわけではないのでございますからその点は一つ御了承が願いたいのであります。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 抽象的に電気需給バランスの問題を提案者お話になつたようですが、私はもう少し具体的な御説明が承わりたいと思うのです。例えばあなたのほうから出されておりまするこの資料を見でみます、第一期の開発が予定されております地点、言い換えれば東北北陸方面という所の発電量相当にふえる。尤も提案者のお考え方によればいわゆる豊富にして低廉な電力がそこで供給されるということが予見されておる。そうしますと、東北或いは北陸方面の現存する産業は勿論その電源開発の恩恵に十二分に浴し得るだろうと考えます。併し提案者がこの委員会説明されました第一期計画の中には、九州地区と申しますか九州地内と申しますかこれには水力開発は殆んど考えられてない。九州水力電源は現在未開発の分が六十何万キロワットあるそうですが、その電源の中で四割を占めておるという球磨川水系開発ということが提案者の頭の中にはちつとも入つていない。それならば現在の日本産業構造実態から考えて、九州産業は安い電力を供給しなくてもいいのかという問題を考えてみると、これは決してそうではないと、今提案者説明されたのと、提案者がお考えになつておることとには具体的に例を引けば今のような矛盾した点が私には考えられる。而も提案者がこういう委員会の御説明によつて送電幹線は、或る程度の所までしか作らない、あとは現在ある送電線を利用して電力を流すんだ、こういうような御説明があつてつたように私は記憶しております。どんなに豊富な安い電力を発生さしてみても、需用地に持つて行つてそれを訊速にやはり良質な電気として送電ができない限り、その電力は無価値なものである。殊に九州のごとく送電幹線が中国から一本しかないというような状態の所における水力開発を第一期の計画考えられてないという点について、私は非常に提案者の御説明を素直に受入れられない点があると思うのです。若し提案者説明されておるような、各地産業構造実態考え需給バランスを調整して、そうして総合的な国土開発治山治水の点から電源開発をされるものとすれば、私は当然九州球磨川水系開発電源開発の第一期工事に入らなければならんと、こう考えるのでありますが、提案者はこの問題についてはどういうふうにお考えになつて第一期工事の中に球磨川水系開発考えておられないのか、御説明を承わりたいと思います。
  8. 福田一

    衆議院議員福田一君) 具体的に例を示して頂きまして誠に結構な御意見でございます。実はあなたは球磨川のことを考えておらないように、認識が私足りないようにお考えのようでございますが、私は実は球磨川の問題も非常に関心を持つております。たしかもう半年ほど前であつたと思いますが地元の人がおいでになりまして御陳情がありました。その後も二、三回そういうお話を承わつておるのでありまして、特に九州のような火力の多い所で水力の少い地帯において水力発電所を起すということになれば、当然球磨川だとか或いは屋久島だとかいうところの電気の問題を考慮することは、これは当然のことと思うのでありまして、而もこの面は十分考え研究もさしてみたのであります。ところが御承知のように球磨川につきましてはまだ調査が十分に行届いておりません。更に又その関係するところ即ち鉄道の問題或いは道路の問題等についても、これは国のいろいろな施策も一緒に総合的にやらなければならないのでありまして、そういう面における調査とか研究というものも十分に行つておりません。そこでこれを先ず研究もし又解決もいたすことが球磨川水系開発する一番大きな問題である。従つてすぐにやることはむずかしいけれどもこれは当然やらなければならないものであるとして、実は第二期計画の中に一応試案として出してあるのでありまして、若し今申しましたような問題が解決いたしますならば私は当然球磨川はやつて然るベきものと考えておるわけでございまして、私たちはそういう意味合で勿論九州の問題は十分考えをいたしておつたということだけは御承知を願います。  なお又四国に相当発電地点がございます。こういうものを発電いたしまして、そうして送電幹線を中国と四国との間に繋ぎまして、四国で起きました水力電気九州のほうへもつと流して行くというような考え方が試案の第一の計画のうちに載つておるわけでございますが、これだけで地元の皆さんが満足される、或いは又いわゆる西田さんの指摘されました産業構造といいますかその地域の産業を十分能力を出させるかどうかということについては、我々といたしましてもまだ相当無理があるのではないかということを考えておるのでありまして、いずれにいたしましても、九州の地域を私たちが看過する、最も水力電気の少い面も料金が非常に高い九州地域を私たちが看過するという考えは毛頭ない。むしろこういう地点もどしどしいいものがあり計画がはつきり立ちましたならばやつて然るべきものであるという考を持つておることだけをこの席上から明らかにしておきたいと思います。
  9. 西田隆男

    西田隆男君 球磨川水系が調査ができていないから第一期の計画の中に入れてないのだという御説明が主な御説明のようでした。これは併し現在日本水力電源開発の調査が完了している所はそうたくさんないと思います。恐らく提案者考えておられる開発計画の中に含まれておる所も、どの面からいつても完全に開発するだけの調査が完了しているという所は私はないと考えております。従つて、この電源開発促進法案の中に盛られております審議会というものが考えられておりますが、これは電源開発し始めてから審議をして行くのは遅いので、実を言うとこの法案の中に盛られております基本精神を生かすためには、一日も早くこの法案の中でなくて別に国として電源開発の調査会を設けて、そこで調査をしてできればこういう法律が通つたならば、この法案の中には国民税金を使つて電源開発をやるのだから地域をどことどことどこを、いくらのキロワット発電をするのだというようなことを法文の中に明記すべきだと思う。従つて、そうすればさつきの提案者の述べられた国民の疑惑を除けられて計画を予定し、年月を制限し、その間に国の総力を挙げて電源開発を行う。こういうようにして行くのが私は大体順序だと思うのですが、この法案の中にはそれがごつちやになつて織込まれておる。而も今九州球磨川水系を取上げて行きますには調査が完了していないから第一期工事の中には入れなかつた、併し第二期工事には入れるつもりだという今御答弁があつた。私は少くとも黒部川や只見川の開発をされるよりもむしろいま日本現実産業構造から考えて、日本経済の自立に重点をおいて考えるならば、早く球磨川水系の調査を完了して、球磨川水系を第一次の電源開発の中に当然入れなければならん。そういうような考え方電源開発考えられた場合において初めてこの法案が適正妥当なものとしての効力を発揮するのだ、そういうように考えている。これは今ここで論議しても方法ないと思いますが、提案者にもう一ぺん考えてもらうことと、さつき私が申しました電源開発地点電源開発に要する期間というようなものをこの法案の中に私は明記したほうがいいと思うのだが、その点に関しては提案者はどういうような御見解を持つておられるか、もう一ぺん一つ答弁を聞きたい。
  10. 福田一

    衆議院議員福田一君) お説のようにやつて行くのも一方法とは思いまするけれども、私たちとしてはこれは国土総合開発という面から見て参りますと、今まだ国土総合開発といつて地点が指定されただけでありまして、調査がそれほど十分に進んでおるというわけではございません。成るほど電気の充足は非常な大事なことでもありますが、併しそういう面との関連性を持つてよく調査をいたして悔いなからしめることも又非常な大事な国策の一つ考えておるのでございまして、そういう意味からいいましてこの法案で以て審議会を作り、そこの審議会において根本策を検討いたしましてそうして順次これを実現して行くというほうがいいのではないかと考えておるわけでございます。併し今仰せられました球磨川の問題を大いに調査するということについては提案者としてはちよつとも異議がないのでありまして、これを大いに調査を進めることについてはあなたと全然意見を同じうするものでございます。なおそのときに御説明がございましたが、球磨川の調査と只見川の調査或いは天龍川の調査とでは五十歩百歩ではないかというようなお話でございましたが、これはこの前結城委員からも御指摘がありましたように只見とか天龍とかという所では随分昔から研究が進められておるわけでございまして、まあ完全にできていないという意味では或いはお説の捕りかも知れませんけれども、調査の度合というかこの進行状況ということを考えて見ますと、やはりそこにはAクラスとかBクラスとかCクラスというものが出て来てもこれはいたし方がないんじやないか。併しそういうふうに出て来ておるからといつて、ABCというような私はこれを一つの例として申上げたのでありますが、そういうことを言つておりながら、私はそういうものがあるとしても球磨川をやらなくてもいいということを私は申上げているのではなくて、たとえ調査は今のところは遅れておつてもどうしても必要だということになりまするならば、これは大いに研究して成るべく早く調査を進めましてそうして早く実現するように努力するということについては私は西田さんと同じような意見を持つておる者でございます。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 国土の総合開発治山治水の問題と水力電源開発とは密接不可分の関係にはあります。密接不可分の関係にはありますけれども、水力電源開発をするから国土の総合開発考え治山治水考えねばならんというような提案者の御意見には私は反対……これは逆だと思うのです。国土の総合開発治山治水の施策がはつきり決定されて、これと水力電源開発とがどういう関係におかれねばならんかというのは、この電源開発調整審議会ですか、これで審議すべきであつて、私が申上げたような基本的な国土総合開発の問題、治山治水の問題というのはこの法律が通つても通らんでも政府が当然やらなければならんことと私は思うのです。従つて只見川の電源開発の調査は或る程度できておる、球磨川もやるのだというのなら球磨川の調査と一緒に進めて、どのくらい時日が遅れるかも知れませんが結局この法律案が通つて電源開発を始める頃には球磨川開発も私は始めなければならんと思う。そこで今の提案者お話を聞いておりますとまだ結論は出ておらないようですが、大体においてこの会社ができてから水力電源開発の調査の結論をいつ頃までにお出しになるお考えなのか、それを一つ承わりたい。
  12. 福田一

    衆議院議員福田一君) 会社ができる前に、法案通りますれば審議会はすぐ発足をいたすように相成ると思うのでありまして、まあこれは大体同時期になるかも知れませんが、直ちに今までの調査がありましたものを十分研究をし、又同時に今後やるべき地点その他についても調査を急速に進めて行くと、かようなことに相成ると存じます。
  13. 西田隆男

    西田隆男君 それじやまあその問題はその程度にしましてあとの問題に続きましよう。  この法律案を見ますと水力電源開発だけが考えてあつて火力の電源開発については考えておられないようです。日本発電総量をふやすということは、ただ水力だけの問題でなくて火力も並行して考えなければならん。従つて提案者説明しておりますような電力総量をふやすという意味合から行けば当然火力も並行して考えるべきであると思うのだが、この法案では水力だけしか考えておられないようですがどういう理由に基くものであるか、提案者の御意見を承わりたい。
  14. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御尤もな御意見でありまして、その点については実はいろいろ調査もいたしましたし今後もこれを続行いたさなければならないと思つているわけであります。今まで然らばこの法案の中に火力発電所の充足について直接に地点が挙げられておらないということがあつたのでありますが、それは今この法案を提出いたしますまでの間において、石炭の炭価でありますとか或いは火力発電所の能率というような問題をいろいろ研究いたしたのでありますが、今まで得たところにおきましては今のような石炭の炭価であり今までのような火力発電機の能率でございますと相当割高に電気がなるわけでございます。そういうことに相成りましては、片一方において水力発電所を作れば安いものができるのに、この場合において非常に割高な火力発電所を作るということでは、成るほど電気総量を増加するという意味においてはどちらをやつてもいいわけでありますが、高いほうがいいか安いほうがいいかといえばこれはどうしても安いほうをとらざるを得ないことは、国の税金を使うのでありますからいたし方がないと思います。そういう意味がございますけれども将来これから又我々が研究をいたしましてそうして非常に高能率の火力発電機械が近く手に入れられる、まあ日本ではとてもこんなものはできないのでありましてアメリカから蔵入するというようなことになりましようが、今アメリカあたりでもなかなか火力発電所の機械を購入するのはむずかしいようでございまして二年も三年もかからなければこれは手に入れられないようでございます。その機械が手に入つた場合において、今度はその当時の石炭の炭価というものの今後の見通しというものをつけまして、そうして石炭は割合に安く手に入るという見通しがついて来ましたならば、これは或いは場合によつては今後やろうとしておつた水力発電所の一部をやめても火力発電を国でやつてちつとも私は差支えないんだと考えるのでありまして、これは一つの命題といたしまして、いわゆるできます審議会が当然十分この点は考慮をしていい問題だと考えておるわけでございます。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 今の火力発電の問題に対しては私は提案者と全く正反対の考え方を持つのです。国がこれはまあ五割以上の出資になつておりますが、恐らく民間からの出資はこの会社には考えられません。大部分、言い換えれば全部が国の出資になつておる、私はその可能性が非常に強いとこう考えております。国民税金を使つて電力の発生量をふやす、水力が安いから水力だけをやるというのじやこれは国がやるということには大体ならない、国がやる仕事じやない。これは営利会社がやつても安い、電源開発をやらせれば喜んでやるのです。国がやるという建前から考えても、あなたがお考えになつておる例えば豊富にして低廉なる水力電源開発はできるのです。そうすれば日本の現在の水力電源のあるなしの関係から各地方々々には料金の差が相当ついておる。従つてべらぼうに高い火力発電を使つております地区を申しますれば九州ですが、九州地区では産業が非常な負担をしておる。従つてこういう会社でもできるならむしろ安い水力電源開発をすると同時に、高くても火力の電源も当然開発をして水火力が平均いたしまして、そうして火力発電の所には実際の開発しただけの金のかかつていないようなふうにして、安い電源の平均した電力料金でその産業に使わすということを国自体としては当然考えねばならん。それと共に発電総量もふやすというこの二つの考え方から当然水火力の問題は併行して行わなければならん、私は特にそう考えております。  それから石炭の問題を今論議されましたが、福田さんは最近の石炭情勢を御承知ないとみえまして、一時は非常に石炭が高いのだと言つておりましたが、今の電源九州あたりではカロリー当り七十銭ぐらいで九電では買つておるようです。九電の使う石炭が平均四千二、三百カロリー程度ですから、そうしますと三千二、三百円前後の石炭を今使つておる。この前提案者はこの席で六千円しておるからそれが半分ぐらいになつたらと言われておりますが、今はすでに半分まで行かないでもこれに近い石炭の価格になつておるというのが九州実態なんです。従つて火力の発電計画をされてこの法案が発足になつてもべらぼうな割高にはならんと思うのです。九州の火力発電はもう老朽しておるものが相当ある。従つて水力発電と同時に火力発電というものを並行して考えてもらわないと、さつきも育つたよう九州日本における産業の地位の維持ができないということは、日本経済の自立の達成が困難になるというふうに私は考える。  そこで提案者に特に私がお願いしたいのは、将来は考えるであろう或いは審議会等で論議するであろうということでなくて、当然水力電源開発を主とはしても火力もこれと並行してやるんだという考え方をこの法案の中に織込むのが私は適当だとこう考えますが、提案者はそういう考え方にお変えになるわけにはいかないのか、これを一つお聞きしておきたい。
  16. 福田一

    衆議院議員福田一君) お説は御尤もでありますから愼重に研究をさして頂きます。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 もう一つお伺いしたいのは、これは冒頭に私が質問したと思いますが送電幹線の問題です。これを提案者はこの委員会で、地域は忘れましたが、東北北陸方面電源開発をされたのに対して或る地点までは送電幹紙と設置する、それから先は今の送電線を使うという御説明があつたようですが、水力電源相当な量の開発をする、言い換えれば只見、黒部、天龍というような所の開発された電気を送るために送電幹線を新規に作つて、そしてロスその他を軽減される方法を講ずるということも私は電源開発一つの重大な使命だと思うのですが、今までのお考え方通り考えられないのか、或いは今私が申上げておるように送電幹線の問題をもう一ぺん考え直すお考えがあるのか、御答弁願いたい。
  18. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちは、一応試案として作成しました電源開発を完成いたしましただけでは、今の送電線で十分に送電ができると考えておるわけでございまして、或る一定地点まで送電線を持つて参りますればその地点以後は今の送電線でやつて行ける、かように考えておるわけであります。併し今後第二期の計画をいよいよ充実して行くということになりますれば、所によりまして今仰せられたような問題を研究し又実行をいたさなければならない面が出て来るかと思いますので、私たちとしては差当りの問題としては送電幹線全国的な充実という面は考えておりませんが、今後審議会等においてはその面も十分研究いたすべきものと考えておるわけであります。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 もう一つお伺いしたいのは提案者はこの法律案を起草される当時から現在に至るまでの間において、一定の地域において発生される電力というものが現在の消費よりもその地域において相当量増加されることは私は常識だと思うのですが、それはどういうふうにお考えになつておりますか。
  20. 福田一

    衆議院議員福田一君) 勿論この電力の需用というものは漸次増加して行くものと考えておるのでありまして、それは必ずしも発電所が余計できる地域のみでなく発電所のできない地域でも増加をいたして行くものだと考えておるわけであります。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 そういう即発的な抽象的な御答弁でなくして、仮に只見川なら只見川の電源開発をされるという場合、只見川の電源に近い地点にいろいろの産業が恐らく興隆するだろう、産業が興隆すれば只見川の発電所で発電された電力発電地区において相当量使われるということが考えられる。従つて他の地区の現在の産業構造から考えての増加量に対する送電という考え方が多少変らなければならない。私は電源開発されたならば必ずその電源開発された極めてロスの少く供給を受けられる地域に産業が起ると思う。それを提案者は起るとお考えになつておるかということを聞いておるのですから、もう少し具体的に御答弁下さい。
  22. 福田一

    衆議院議員福田一君) それはお説の通り、そういうような発電所ができますればいわゆる深夜の発電というような金利電力を安く使える、いわゆるピーク時でないところの電気を安く使える産業が起きて来ることはあり得ることだと考えております。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 そこで問題になるのがこの水力電源開発と、各地域の地域差料金の問題が当然問題に浮んで来なければならないと思いますが、この点に対しては提案者はどういうふうにお考えになつておりますか。
  24. 福田一

    衆議院議員福田一君) そういうようないわゆる余剰電力を使う工業が起きましても、常時に発電いたしますところの電気の量がふえますことはやはり地域差を緩和する意味において相当の効力があるものと考えておるわけであります。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 それはむちやなんで、只見川で発電された電力九州には行きませんから、結局九州電力料金東北、関東といいますか、北陸、関東といいますか、その附近の近在としましてはその電力料金の差はちぢまりはしませんから、そうむちやな答弁をしては駄目ですよ。もう少し地域的に現実に立脚しての御答弁をしてもらわんと、さつきも九州球磨川開発についても意見を述べましたよ。それは福田さん今の御答弁は乱暴過ぎますな。もう一ぺんやり変えて下さいよ。
  26. 福田一

    衆議院議員福田一君) どうもお叱りを受けて恐縮でありますが、併しどうでございましようか、只見川とか、天龍川とか、或いは音母衣、吉野とかいう所に発電所ができて、そうしてその余剰電力を使う、いわゆる安い電力を使うものができたとしても、相当量のやはり常時電力というものがふえて来るわけであります。そうするとその常時電力がふえるということは、今まで必要といたしておつた所に対して全部その電力をやつてしまうというような考えを私は持つておるわけではないのでありまして、一定分は非常に不足した方面へ流すようにしなければいけない。従つて貸付とか譲渡とかいうような場合においては或る程度の制限を附して、そうしてこの電気を流すということも考えなければいけないということを毎々御説明いたしておるのでありまして、これは順次順送りになります。例えば中国に或る程度電気を今度は東海方面からやる、或いは関西からやる、こういうことにいたしますれば、北陸からやるとすればそこで中国の電力量がふえて来る。その電力量が今度は中国の分を又関西へ渡すように、それは行政的な措置、或いは今後の電気事業の運営、監督等によつて間接的ではありますけれども或る程度効果があるものではないか。要するに今のように放つておきまして、特殊会社ができなくてまだ三、四十億キロワットアワー出ない場合と出た場合とを考えて、出たときのほうが若干でも私は地域差にいい影響を考えるであろう。こういう意味で申上げておるのでありまして、それはそこの地点に余剰電力を使う工場ができたからといつてそれに全部渡すようなそういうやり方には私は相成らんと思うのであります。まあそれが今後公益事業委員会或いは通産省がそれを所管されるとすれば、そういう電気を担当されておりますところの官吏の最も何というか注意をしなければならないところであります。それくらいのことは電気行政をやつておる人は十分わかつてもらえる問題であり、又そういう面で我々議会人も監督いたして行かなければならないと、かように考えておるわけであります。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 どうも福田さんの御答弁はピントがはずれておるので、弱るのですが、私の申上げておるのはそういう意味じやないのです。まあこれが仮に東北電源開発されて関東、関西或いは中国まではどうかして行くかも知れんと思うのですが、その間には行くとしてもあなたの立案の考え方からいつて豊富にして低廉な電力ができるのだ、従つて販売せられる電力料金というものも当然安い料金で販売されなければならんわけなんですね。だから水力電源開発される所、而もその水力で発生した電力を余計に使い得る地区、この地区の電力料金というものと、九州のように離れて送電幹線は三百五千キロのものが一本しかない、而も水力開発は第一期工事には調査ができていないというので考えていない。福田さんのお話では非常に高い石炭を使つて、非常に古い設備で火力発電をしておる九州電力消費者の間の電力料金の差がつくであろう。こういう考えに対してどういうお考えを持つておられるか、こういう一つの具体的に質問をした、そういう質問なんです。それからそれに対するあなたの東北から中国までの電気が流れるであろうと想定され、地域差のことだけおつしやつて九州の問題をお取上げにならないから答弁にならんと思うのですが、その際には九州で発生する電力の消費者の電力料金というものと只見川、黒部川、天龍川等の豊富にして低廉な電力が発生されて、それを安い料金で使う消費者との電力料金の差はどういう工合にお考えになつておるのか、こういう質問なんです。
  28. 福田一

    衆議院議員福田一君) それは説明が足りなかつたと思うのでありますけれども、私の申上げましたのは、中国でそういうふうに安い電気を供給するという場合においては、それは九州に対しては中国から又送るようにという條件が、いわゆる電力の融通の問題においてそういう條件が付せられるということを私は頭の中で考えておつたが、そこまで申上げなかつたのでありまして、私はやはりそういうものができれば、そこで相当地域差というものも成る程度緩和できるのではないか。又そういう方向にもつて行つて運営をするように考えなければならん。もつと具体的に言いますならば天龍川で以て発電をした場合において四十万キロ出てもその天龍川の地域には十万やる、或いは二十万やる、併しあとの分は地域差の高いところに安い料金で流すというような、そういう行政措置をとることが非常に大事であろうということを申上げたのでありまして、それは決して九州の問題を無視しておるというわけではないのでありまして、結局中国へ送りまして、又中国で発電した電気を今度は又九州に安い料金で肩替りして送つて行くということになれば、私は地域差に好影響を與えるであろう、かように申上げたわけであります。
  29. 西田隆男

    西田隆男君 質問の仕方を変えてみましよう、おわかりにならんようだから……。あなたは四国の水力電源開発はお考えになつておるようですが、四国から中国に対する送電幹線は作るのだというお話があつた九州のやつは今私が申上げたように送電幹線は一本しかありません。一本しかないということは電力の融通をやる場合に或る一定量以上はできないということなんです。幾ら安い電力が発生されても九州地区には持つて行けない。だからあなたのおつしやつたことは私にとつて答弁にならんし、意味がない。追究しても仕方がないでしようから、それでは四国で発生した電力を中国に持つて来る送電幹線を作るとおつしやつていますが、今中国から九州に対する送電幹線をお殖やしになるというお考えはお持ちになつておりますか。
  30. 福田一

    衆議院議員福田一君) 我々が想定いたしておりますのは送電線を充足する意味において四十億円くらいの金も想定いたしておるのでありまして、これによつていわゆる十数万キロの送電幹線ができる予定になつておるわけであります。なお私は今特殊会社の分について御説明申上げて、おつたのでありますが、電気全体といたしましては四百万キロ、これは民間でもやりますし、先ほど申上げたように公共団体、自家発等でやります。こういう面を全般的に考えて参りますというと、かなり九州の問題にも好影響を與えるものとかように私たち考えておるわけであります。
  31. 西田隆男

    西田隆男君 提案者は抽象的な答弁だけされるので弱るのですが、四十億円で送電幹線考えておるということは、四十億円くらいは四国から中国に送る幹線で使つてしまう、そんな冗談みたいな答弁をせんように、もう少し真劍に考えて下さい。四十億円の送電幹線用の経費は恐らく中国から九州に送るやつで済んでしまう。ほかのところは何もできんということになる。そういうような基本的な考え方でこの法律案を作られてこの法律案を実施されたらもう大変なことになる、それを私は心配しております。
  32. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私の申上げたのは第一期でありまして、第二期の分としては一応百数十億円の経費を計上しておるわけであります。
  33. 西田隆男

    西田隆男君 その問題はそれくらいにしておきましよう。福田さんをいじめても仕方がないから……。ただ提案者に重ねて私が申上げておきたいのは、九州球磨川水系開発は火力と並行して開発するということが一つと、この法律の審議の最終段階に至るまでに提案者並びに自由党はもう少し真劍に考えて、何らかの措置をとるようなふうに善処されんことを特に要望しておきます。  それから安本長官もお見えになつておるようですが、先ず提案者にお聞きします。この法案の中に考えられておる電源開発をするための資材、その中で特にセメントと銅の問題についてお伺いしたいのですが、セメントは二十六年が六百八十万トン程度の生産をやつておる、安本では二十七年度には七百四十万トン程度考えになつておるようですが、あなたが出された法案を見ますというと二十六年度は三十万トンだけセメントを考えておつたのに百七万トンを第一期の二十七年度に考えておる、セメントは大丈夫だろうと思うのですが、なおセメントに対して自信があるかということを一つと、それから次は銅のことであります。銅は二万数千トン考えておるようですが、併し日本の銅の生産は八万トン余りしかないと思います。このうち或る程度は海外に輸出しておるというわけで、現在の日本の銅の値段はべらぼうに上つておる。それを二十七年度に二万数千トンの銅を電源開発に使うということになると、国内の銅の需給バランスが壊れてとんでもない現象が起きて来はせんかと私は懸念するのですが、こういう点に対して提案者はどう考えておるか、提案者説明ができなければ、安本長官が見えておりますから安本長官からでも結構です。この二つの問題について一つ説明願いたいと思います。
  34. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御尤もな御心配でございまして、実はこの法案を出します時にも、資材の問題は非常に我々も関心を持つたわけでございますが、併しセメントにつきましてはいろいろ研究をいたしました上で、二十七年度はそんなに使うことになつておりませんが、最盛期の二十八年度には百五十万トンぐらいということになつております。それだけのセメントは余り他を圧迫しないで供給できる、こういう観点に立つております。なお銅の問題も御尤もなお考えでございます。これにつきましても実は成るべくアルミ線その他のものを利用することを考え、なお且つ二万数千トンというものは要るわけです。併しこの程度のものでありますれば、これは需給の何んと言いいますか、重点的な使用方法考えることによりまして大体充足できるということを我々は確信をいたしましてこの法案を提出した次第であります。
  35. 西田隆男

    西田隆男君 提案者はよく確信されるのですが、実際はそうじやない。銅の問題は非常に大事なのです。銅の値段は十七万円ぐらいしかしなかつたのが、今は四十万円から五十万円に上昇しておる。二万数千トンの銅を使わないでさえそういう状態なのです。それを二十七年度に二万数千トン使うということになれば、輸出も今まで通りするということになれば、銅の価格というものはべらぼうに上る、で国内の需給バランスが壊われてしまうのでそういうことを非常に懸念するわけですよ。この確信があるとおつしやるけれども、確信だけあつて数量を殖やす確信がない限り、同じ生産量の中から消費が殖えて行くのですから、これは確信があつてバランスが壊われるのは火を見るよりか明らかだ。何らか銅に対して特別の措置をおとりになるのかどうか、これを一つ安本長官答えて下さい。
  36. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お手許に出ておる数字がどうか私よく存じませんが、私の手許にありまする資料では電気銅、大体二十七年度九万四千トン生産になつております。それから二十七年度に使う電源開発関係に予定しておる数量は二万九千トンと大体なる関係から見てこれくらいのことはできると、こう考えております。ただこれに対しては御指摘のように国内における生産関係についてもこれは非常に努力をいたさなければならない。外国からの、日米協力関係等から国内における銅の或る程度の使用制限をするということと関連しつつ原料の鉱石等について輸入の計画を進めておるわけであります。
  37. 西田隆男

    西田隆男君 安本長官にもう一遍聞きますが、今二十七年度は九万四千トンのうち電源開発に一万九千トン、こういうお話ですが、二十八年の銅の生産は八万七、八千トンですか、そんなくらいと記憶しておりますが、これが電源開発用に何ぼ使われておるか、必需に何ぼ使われておるか、そういうことは別として消費が幾らになるか、これを一つ説明して頂かないと、今の九万四千トンのうち一万九千トンの銅は福田君のような確信があるという結論は出ないのです。
  38. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 細かい数字のことについては事務のほうから詳しく説明いたさせます。
  39. 西田隆男

    西田隆男君 二十六年度の内容を特に……、
  40. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 電気銅に関しまして少し内訳を申上げたいと思います。  二十六年度の輸出、特需等は二十六年度はありません。内需の分だけでありますが、特に電線用に使われまする銅の量は六万九千五百六十五トンになつております。その他二万四千十三トンでありまして、計九万三千五百七十八トンになつてございます。二十七年度は輸出に約手トンばかり見込みまして、特需はございませんで、内需のほうは電線用の六万六千、その他二方七千、合せまして九万余千という計算になつております。その内訳を申しますと、年初在庫が二十六年度につきましては二千七百四十四トンでございまして生産が九万一千七百七十二トン、繰越在庫が九百二十八トンになつております。二十七年度は年初在庫が九百三十八トンでありまして、生産が八千トン、輸入が六千トン、繰越在庫が三百三十八トン、こういうような状況になつております。
  41. 西田隆男

    西田隆男君 今の二万数千トンの中に電源開発用の電気銅が含まれておるのですか。
  42. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) そうでございます。これは素材で申上げましたので、製品に換算いたしますと電線といたしましては一万六千九百六十八トンになつております。その一部に電源開発用の電線を含んでおります。
  43. 西田隆男

    西田隆男君 二十六年度の電源開発用になつております電気銅は幾らですか。
  44. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 大体一万トンくらいです。
  45. 西田隆男

    西田隆男君 これは提案者一つお伺いします。提案者は、この法案質疑の過程において新らしく作られる全国一社の特殊会社はそう長くないのだという意味合答弁をしておられたが、この法案に盛らつれておる会社は何年ぐらい大体存続する御予定でお作りになるか、これを一つ伺いたい。
  46. 福田一

    衆議院議員福田一君) 只今審議計画は大体昭和三十五年くらいでまあ完成したいと思つております。そこでこの会社は譲渡或いは貸付ということを目途といたしておりますので、藤波貸付が全部できるということになりますれば、この会社はそこで清算の時代に入るというか、そういうような過程に入つて来ると思いますが、建設ができました曉においてどういう形になるか、それは建設をいたして見て、そうして譲渡貸付する相手方と交渉いたして見なければわかりませんが、はつきりした目度は一応ありますが、はつきりと申上げることはいたしかねると存ずるわけであります。
  47. 西田隆男

    西田隆男君 あなたの答弁を聞いておると結局わからんということになるのですが、目度はどういう目度なのですか。
  48. 福田一

    衆議院議員福田一君) 目度といたしましては三十五年度の第二期計画が終れば、私は一応清算過程に入るものと、こういうふうに申上げたつもりであります。
  49. 西田隆男

    西田隆男君 提案者にお伺いいたしますが、この法案の中に今言われたように譲渡、賃貸、卸売りこの三つのことが会社の仕事として書いてあるようですが、この法案に流れる精神から言つて、この特殊会社水力電源開発をすることが主たる目的であつて、譲渡、賃貸、卸売りというのは、いわば開発をしてからの附随業務と思いますが、従つて三つ書いてあつても、譲渡、賃貸をするということが主としての会社の仕事であつて、卸売りというのは考えないでもいいのだが、万一の場合の考慮に基いてこの卸売りという表現をされておると思いますが、そういう意味ですか、それとも譲渡、賃貸、卸売りというこの三つはそれぞれ相当のウエイトを持つた関係において書かれておるのか、これを御説明願いたい。
  50. 福田一

    衆議院議員福田一君) 譲渡、貸付が主眼でございましてウェイトはそちらに多いのでございます。卸売りというのは一部発電ができるようになりました場合に、全体のプラントができないうちは講演や貸付ができないような場合もありますので、そういう場合を想定してやつておるのでありまして、譲渡、貸付をいたそうといたしましても、相手がどうもそんなものは要らないという場合等を想定いたしまして一応卸売りということを書いたのでありまして、法案の趣旨は譲渡、貸付が本体でございます。
  51. 福田一

    衆議院議員福田一君) 今の問題についてですが、相手があるので相手が要らんといえば仕方がないというような御説明があつたようですが、そんなことは御説明にならんほうがいい。あなたは最初から豊富にして低廉な電力を供給して日本産業の振興発展のためこの電源開発は必要だということを大きく謳つておる。恐らく価格の問題は別として、価格の問題は折合いさえ付けば譲渡を受けないとか賃貸は嫌だという会社はないと思います。従つて提案者に聞きたいのは、安い電源開発がされることは結構なことなのですが、それを譲渡される場合、或いは賃貸をされる場合、やはり相当安い価格で讓渡され賃貸されなければこの法案の目的の達成はできないと思うのですが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  52. 福田一

    衆議院議員福田一君) 勿論豊富低廉というものは目的でありまして、国が金を出して行なつておるものを特に儲けて売らなければならないということはございません。そこで一応の基準というものをそういうところに置いて基準が作られるのでありまして、私たち提案者といたしましてはまあ安い電気を供給するということを目途として、併し損をしないでやらねばなりません。損をしない程度において成るべく安い電気を供給すると、かように考えておるのであります。
  53. 西田隆男

    西田隆男君 今の提案者の御説明は御尤もと思うのですが、やはりそういう考え方でこの会社の存続期限の目度もお考えになつておると思うのですが、そういう考え方であれば、恐らくさつき私が申しましたように譲渡を受けないという会社、或いは賃貸を受けないという会社は私はないと思う。自分たち電源開発をした発電の一キロワット当りの原価よりも安い価格でそれを賃貸したり譲渡したりしてくれると、而も財政資金を使つてつたものをそうやるのだと言われるならば、電力需給バランスが我々が考えておるようにならないで、壊われてしまえば別ですが、問題が出ない限り必ずしも私は譲渡を受ける、賃貸を受ける、これはもうそういうふうに結論を出しておいても差支えないと思うのです。そこで問題は今あなたがたの目度になつておる会社の存続期限という問題になつて来る。従つて三十五年までに電源開発を一応終了するという計画ができておるというものであれば、私はこの法案の中に会社の存続期限というものを当然明記すべきであると思う。この点に対して提案者はどうお考えになつておるか御答弁を願いたい。
  54. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちは譲渡、貸付というものを主体にはいたしておりますが、一応の目度は三十五年ということにいたしておりますけれども、三十五年ということにしておいて、或いは半年なり或いは一年なり又延びるという場合において、又問題が起きるよりは、一応三十五年という想定をしておけば、大体において譲渡、貸付ができれば、そこで清算に入る。とにかく開発が主体であるということをはつきりいたしておりますので、これは運用の面においてお説のように私は運行できるものであろう、とかように考えておるわけでございます。
  55. 西田隆男

    西田隆男君 私は運用の面云々のことを考えておるのではないのです。私はなぜ期限をこれに付けろということを言うかと言えば、十年なら十年、三十五年までに電源開発ができないような状態である、或いは三十五年までに電源開発を終了したものを譲渡、賃貸できないような状態であれば、これは日本経済界にとつては非常に重要な問題なのです。ただ期限が半年延び、一年延びというような簡單な問題でなくて、日本経済全般から考えて、電力需給の問題に対しては非常に重要な問題が惹起されておるときしかそういうことは起きないと思う。従つてこの会社に責任を持たせるという意味において、或いはこういう会社がだらだらいつまでも存続して、そうして国費を費すということのないためにも、私は当然この法案の中にこの会社存続期間というものをはつきり明記すべきであるとこういうふうに考えているが、提案者はこの意見に反対ですか、賛成ですか。
  56. 福田一

    衆議院議員福田一君) その問題は一応御尤もに考えますので、愼重に考慮させて頂きます。
  57. 西田隆男

    西田隆男君 いま一つお尋ねしたいのは、この前の委員会結城委員の御質問に対して、提案者電力会社電源開発をやろうとすれば、あながちこの会社で無理にしようとは考えない、電力会社がやろうと言えば電力会社にやらせるのだ、こういうふうな御意見をお述べになつてつたのですが。その御意見は今日といえども変りませんかどうか、もう一遍一つ答弁願いたい。
  58. 福田一

    衆議院議員福田一君) 電力会社という言葉の意味は、九つの今の電力会社という意味でありまして、これが二つなり三つなり一緒になつてという意味で申上げたのではありませんが、九つ電力会社相当自己資金を調達できるというような見通しがついて、そうして必ずやつて行けるという見通しがついて参りますならば、これは私は当然考慮していいと考えております。
  59. 西田隆男

    西田隆男君 考慮していいという言葉が一つと、九つ電力会社、これは二つ一緒になつてするということでなくて、九つ電力会社というこの二つの発言があつたようですが、この前の結城委員の質問に対する御答弁と今日の御答弁は、この二つの点で非常に大きな変化が起きておると思うのですが、もう一遍提案者はこの條文の十二條に「その規模が大であり、又は国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮することを要するものであるため、政府において会社が行うべきものと定めたものをすみやかに行い、電気の供給を増加することを自的とする株式会社とする。」、この條文に関連して結城委員からの質問があつたのですが、電力会社が現在の水力電源、もつと端的に言い換れば、この法案の中であなたがたが主眼としてお考えになつておるような地点電力会社開発をするというような場合、それをあなたがたはこの会社ができたと仮定して、そのときにそれに対していいを言われるか言われんか。具体的に聞いてみましよう、もつと言えば、天龍川の開発が二つの電力会社によつて共同して行われるようなことを新聞で私は拝見しておりますが、この天龍川の電源開発については、あなたがたは第一の開発にお考えになつているようです、この法律ができれば……。そういう関係にある天龍川の開発を今の電力会社開発するという場合に、提案考はこの法律が通つた後において、それをお認めになるというような基本的な考え方でこの法案作つておられるかどうか、一つこれをはつきり御答弁を願います。
  60. 福田一

    衆議院議員福田一君) 具体的に申上げまして、天龍川の場合に中部と関東が一緒になりまして、この天龍川の開発計画しておられるようでありますが、私たちはそういうものに対しては、これを認めないつもりで案を立案いたしております。
  61. 西田隆男

    西田隆男君 認めないという理由一つ説明願いたい。
  62. 福田一

    衆議院議員福田一君) 天龍川の場合におきましても、資金の面におきして実は今までに二十七年度では三百億円の見返資金電力会社に出しておるのでありますが、ところがその資金を出される場合においても、天龍川を開発するような計画を持つておられなかつたようでありまして、そういう意味でも若し天龍川をやるために金が出せるようでありましたならば、そういうような金は私はよその地点開発に当然振向けていいのではないか、かように考えておるわけであります。又我々がこの法案を出しました意味から言つても、国土の総合開発、而も大規模であるというようなものについては、これはやはり特殊会社でやつたほうがいいのでありまして、我々の考えているのは電源開発の主体というものが、九つ電力会社、公共事業体、それから自家発、もう一つ特殊会社でやるのが一番いい案だと考えておるのでありまして、そういう意味で本案を提出いたしておりますから、二つの会社が連合してやられるという意味においては、私たちはこれを認めるという考えは持つておりません。
  63. 西田隆男

    西田隆男君 そこで私が冒頭に申上げたことが問題になつて来るのです。この法案の中に盛られております全国一社、特殊会社、これは当時のいつの政府でも強力なバツクを持つており、資金は財政資金を転用してこれに使う、こういうこれは構想なんです。従つて今まで提案者説明されておつた内容であれば、まだまだ私はいいと思うのですが、今日の御答弁を聞いて、私が冒頭に申上げましたことの懸念がますます強まつた。いわゆる電源開発のことは専有会社だ、いわゆる一種の電源開発の国家管理だ、こういうふうに断ぜざるを得ない。提案者はいろいろ御答弁をされるだろうと思いますけれども、この審議会内容を見て御覧なさい。安定本部長官等七名の閣僚が入つている。これは純然たる閣議です。閣議で決定してこの法律にどんなことがしてあろうが、若し安定本部長官以下がどこの水力電源開発しようと思えば、これはもう赤子の手をねじるような恰好で、その電源開発にこの会社が乗り出すことができるという慮れが多分にある。いわゆる政治的な電源開発ということが、これは完全に窺われる。そういう点を我々非常にこの法案を読んで見て懸念をしておるわけですが、今提案者が二つの電力会社が共同して開発するなら認めないという理由は、非常に薄弱な理由で、これは日本のいわゆる企業の自由を制限する、極言すれば、そういうふうにも受取れないことはないような提案者の今の御発言である。これは一つ提案者のほうでもお考え直しを願わんといけない。自分たちが法律を作つて国会に出して、それで開発しようという計画の中に織込んでおるものをほかの会社がやるならこれはやらせんぞ、こういうふうな考え方でものを考えられたのは、私は国の政治の運行はうまく行かない。而もこの会社にこれだけのバツクをしてやらせている以上、この会社が若し誤つた考え方電源開発をやつたらば、今の九つ電力会社はとても対抗することはできない。こういうふうに私は考えるのですが、提案者一つすなおな気持で今の天龍川の電源開発の問題をもう一遍考え直してみるという気はありませんか。
  64. 福田一

    衆議院議員福田一君) 今のところでは、そういう気持はございません。
  65. 結城安次

    結城安次君 関連して……、提案者にちよつとお伺いしますが、天龍川を許さないという根拠はどこなんですか。大体天龍川は靜岡県にある、而も静岡県は東京電力と中部電力との共同の場所でその電力の供給工合は東京電力が四割八分、中部電力が五割二分と、いわば半々というその地域に両者が自己の電源不足ということからそれをやろうというのに許さないという理由はどこにあるか、ちよつと御説明を願いたいと思います。ただ若し金というだけならばこれはもう国家資金はお前には使わせない、お前のほうにやつたからこれこれで、それ以外は勝手に作れというのだから、これはできないからやらさせないというなら別ですが、それ以外の理由……。
  66. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちは九分割というのを一応肯定いたしておるのでありまして、九分割という趣旨は一応の地域があるわけでありましてそうしてそこで発電をし、そして充電をするということについては、そういう大規模なものをやることになれば、私は九分割の趣旨とは相容れないものになるのではないかということが第一点、もう一つは天龍川というものは成るほどいろいろいい地点にはなつているけれども、この天龍川で作りました電気というものを、先ほども御説明がありましたけれども、九州だとか中国だとかいうような足りない所にも供給してやるというような意味考えて見ますというと、そうすると二つの電力会社でやつたという場合においては二地域だけにしかこれが均霑できないということになる。こういう面も考えて見て、やはりこれは九分割の本当の趣旨を今度はもう大きく打ちこわすことになつてしまう、私は九分割がここで非常に効率を上げているかどうかということを申上げるのではありませんが、一応ここで九分割という建前をとつた以上は、その趣旨を或る程度貫いて行かにやならん。私たち特殊会社を作つた場合においても、その作つたものを譲渡、貸付するという考えを持つておるのは、この九分割を尊重しておるからであります。そういう意味合において若し今度は東京電力と中部電力が一緒になつて、そうして自分の地域内にあるものを開発するというようなことになつた場合に、相当大きく私は再編成の理論とも相反して来るのではないかということを考えるのでありまして、そういう意味合で私たちは賛成をいたしておらないわけでございます。
  67. 結城安次

    結城安次君 只今の御説明では九分割のところには作らせるが、その両者が共同とか何かならば作らせないというのが一つ。それから作つた電力が、若しそういうふうにするならばよそに廻わすわけには行かないから云々というお話ですが、大体提案者はこの九分割によつて日本の今後の電源が大体妥当に分けられるとお思いですか、どうですか。その点から先ずお伺いしたい。
  68. 福田一

    衆議院議員福田一君) 一部においては妥当でない面もあるかと考えております。
  69. 結城安次

    結城安次君 私は妥当でないのをどうして今後妥当に直して行くかというのが今度の、例えば天龍川のごとき東京、名古屋の合作で行くというのが、両者間の電源をだんだんアヴエーレージして行くというのが一つの目的になると思う。同時に発案者はそういうふうなところではよその地域に流すわけには行かんから云々と、誠に驚いたことである。これは許可の場合に如何なる條件でも付けられる、最初こういうふうにしろ、ああいうふうにしろということは、どんなことでも條件は付けられるんですから、若しよそに廻すならこれは何割、どれだけはどこに廻せという許可條件が過去においても現在においてもあるんです、それをまるでできないかのごとく言つて、これは特殊会社でなければそういう融通はできないんだと、ほかの、つまり九電力会社でやつたのではできないというようなことは、私は独断過ぎる御意見と思いますので、これ以上は聞いてもこれは議論になりますから申上げませんが、誠に驚いた独断だと私は思つております。
  70. 西田隆男

    西田隆男君 今の問題ですが、天龍川の問題に関連してですが、提案者はさつきから電力の融通の問題について行政的な措置を講ぜねばならんということを強く言われておりますが、現在の公共事業令によりますと、公益事業委員会電力の融通については融通命令が出せるという規定があるにもかわらず、なかなか融通命令を出さない。出さないで電力の融通がうまく行つているかというと、なかなかうまく行つていない。従つて提案者の御答弁されるような基本的なお考えであれば、電力の融通に対して何らかの法的措置をとるというふうに私は考えざるを得ないのですが、そういうふうなお考え方を以て今答弁されておるのか、これを一つ答弁願いたい。
  71. 福田一

    ○衆灘院議員(福田一君) 実際面では三千キロワット以上の問題は、安本等においていろいろ割当を決定いたしており、公益事業委員会と連繋をとりながらこれをやつておるわけでありまして、電力の融通の問題においては或る程度コントロールといいすすか、割当が行われておるということは御承知の通りだと思います。(「それはポイントが違う」と呼ぶ者あり)私たちは然らば今後においてそういうようなやり方をするかどうかという御質問でありますが、そういう法的措置をとられるかどうかというお尋ねでありますが、私たちといたしましては将来の問題としては考えますが、差当りそういう法的な措置をとろうとは考えておりません。
  72. 西田隆男

    西田隆男君 あなたの答弁されておることは違うので、私の申上げておることは、地帶間の電力の融通の問題、従つてこの法案内容説明にあなたは電力の融通の問題を非常に答弁のたんびに取上げられておる。従つて現在では公共事業令によつて公益事業委員会が融通命令を出すことができるという一つの規定しかない。併しこの新らしい水力電源開発されて、今ここで審議しておるが、その開発された電源全国的に公平な見地で安い電力をどの地域にも流すのだとあなたはおつしやるが、どの地域にも流すということになれば、今の公共事業令の電力融通命令でなくて、もつと強力な法的措置をされない限り両者間の話合では、電力の融通は現在ですらうまく行つておらない、こういう観点から何か強力な地域の電力の融通に対しては措置をお考えになつて答弁されておるのかという質問をしておるのです、そのつもりで一つ答弁願いたいと思います。
  73. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 提案者に御質問でありますが私のほうからちよつと参考に申上げたいと思います。福田君が説明をいたしておりますのは私は一緒におりましてたびたび伺つておりますが、それは譲渡貸付の場合に各地区における電力の供給のアベレージをするために、その場合にどの地区にはどういうふうに分けるようにという條件をつけて行くことによつて、できるだけ各地区における供給の凸凹を直したい、こういう意思で答弁をしておるようであります。その上に融通命令についての問題はそういうふうに平均いたしまして、昨年の秋以後における異常渇水によつて発電の少ないときに、或る地区においては雨がよく降つて電力は出ておる。そういう場合に地区間における融通をさせるということがもう一つつておる。こういう関係においては公共事業令ですかに規定がありまして、これは公益事業委員会が思い切つてあの法規に基いてやろうとすればできたはずでありまして、できるだけ話合いをつけて行くということであの伝家の宝刀を抜かなかつただけであると思います。従つて今後において公益事業委員会が存続しないならば、当然公益事業委員会令に代るものができるはずでありましようし、そういう関係における場合におきまして融通命令ということは今あるような関係においてやはり一つの法的根拠を持つて行くのじやなかろうかと思います。併し福田君がたびたび答弁しておるのは、西田さんから御指摘のようにどうも産業立地的な発電個所についていろいろ考えておらんのじやないかという御質問に対して、何と申しましても発電適地というものがかたよつてありますから、これを順次開発しておる途中において、余計できる地区に必ずしも産業がまた起つておらない、そういう場合に産業が起つており、面して電力の足りない地区に分けるためにでき一つ発電所の譲渡、貸付の場合に條件をつけてできるだけ平均をとる、こういうようなことを答弁されておつたように思います。これは是非そういうように行きたいと思つております。  それから先ほどから伺つておりまして、九州における球磨川の問題は誠に御尤もであります。今後勿論そういう調査ができれば、そういう面において火力よりも先ず水力ができることが必要でありましようし、今日までのところ多少ほかの地区よりも調査が遅れておるために第二期計画に廻されておるということは、九州地区関係のかたから見ますとこれは非常に残念でもありましようし、又国家的に見てこれは残念なことでありますので、今後の実施に当つてよくこれは考えて行つたらよいと思います。  それから先ほどから天龍の問題が例に挙つて、二つの会社が一緒になつてやろうというのに怪しからんじやないかという西田さんのお尋ねでありますが、私はこの点はもう少し広い気持で両方判断を願つたらいいのじやないかと思います。決してこの特殊会社というものが、今西田さんの御指摘のように、全国各地区思い切つてどこまでも皆やつてしまうというような考えは持つておらないのでありまして、恐らく地区は限定されます。そうしてその限定された地区においてのみ担当し、他の九つ会社もそれぞれ担当した地区において並行して電源開発を進めて行くのであります。面してその間において今御指摘の天龍のごときは、いろいろな総合的な開発関係立場から、又資金の面からいたしまして、この特殊会社がこれを担当して行こう、こういうことであります。担当して開発した発電所は先ほどから福田君が答弁しておりますように、場合によつては中部電力にこれは譲渡されて行くでしよう。或いは貸付けて行かれるでしよう。そうするとその地区がなぜ二つの会社寄つて開発して行かなければならないのかという議論は、これは一つには特殊会社でやつてもいいじやないかということになるので、そのほうは懇談的に考えて頂きたい。なぜ二つの会社寄つて開発するのでなければ認めないのかということを一気に言い切つてしまうと角が立つ、今の九つ会社一つ一つやるというならまだですけれども、今の中部の配電と関東が一緒になつて、二社が一社になつて新らしい会社でやろうとおつしやる、こつちは政府資金を出して必要な貸付をやろうという、そういうところは認めるのに、なぜ二つのところは認めないかという議論があるし、片一方ではこの特殊会社が担当してやつて、そうしてでき上つたら中部の発電会社に貸付をし渡そうというのであつて、そう余りいがみ合つて考えないでもいいじやないか。国家のために電気開発するのにどうしてそう考え方が別々になるのか知らんということを伺つて実は私は心配しておるわけであります。ここのところは私は話合いだと思います。飽くまでもこれは特殊会社作つて佐久間のダムはどこにも渡さんというのではない、でき上つたものを中部電力に渡そう、貸付けしようというのです。ところがあなたのほうでは、昨日伺つておりますと、それはどうしても中部の会社とこの東部の会社を三社合せて新会社作つて特殊会社にやらしてなぜこのほうにやらさんのかというお話でありますが、それぞれ担当がありましよう。大きな所ですから、政府から資金が出たら担当者に作らして、でき上つたら中部に渡そう、中部の会社自体で並行して見返資金等も相当出しておる。それぞれ小さい所でありますが、やはり開発は必ず担当してもらつて頂くことでありますから、そこでなぜ二社はいけないのかという議論は、私は大まかに見ても五分々々の関係で、これは絶対に特殊会社ではいかん、二社合合せたもう一つ民間会社でなければならんという理由がどうもはつきりしない。ここのところは私もそう角立てずに、一つ懇談して話してみたらいいじやないかと思います。私はそこのところ結城さんよくわかつて頂けると思います。
  74. 西田隆男

    西田隆男君 今安本長官のお話でありますが、極めて政治的な話のようであります。それは結城さんも反対しておつたが、私は反対しておるという理由は法律の中に電源開発地点が明記してない、明記してなければ法的に効果は何もない、幾ら審議会できめてみても法的な根拠がない、これができたらやらせない、今向うはやろうと言つておる、その問題です。だから冒頭に電源開発地点を明記すべきではないかということを申上げたわけです。明記してあれば、国会は通る。併しあなたが言われるように、話合いでどうせきめなければならん問題でしようけれども、基本的な考え方として法律の條文の中に書いてもない。ただ提案者が一応第一期の計画としてプライベートに持つておられるというだけの理由で、民間のこれは二つの会社でやつても四つの会社でやつてもかまわない、個人でやつてもかまわない、電力会社の正式な手続で申請して許可しなければならんものを許可しないというような考え方は私はこれはとるべきではない、だからこの法律案内容を検討して見ると、大きな国の力をバツクにして安い金利の財政資金を投與してそうしてやるのだから、これは政府電源開発占有権を持つ会社になつてしまう。これは自由党の本来のいわゆる考え方と違いはしませんかということを私は冒頭に申上げておる。その点を私は聞いておるわけなんです。
  75. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 西田さんのお話はよくわかります。或いは私どものほうでは臭いところにいるから便所の匂いは忘れている気持かも知れませんが、はつきり私どものほうはたくさんやる意思がないのです。非常に大きな個所だとか、総合開発計画と並んでおる所とかいう、いろいろな資金の点なんかも規模の大きい所を担当する一つ特殊会社を作り、その他の部面についてはそれぞれ九つ会社に担当してもらい、自治体も並行してやる、こういうことで早く作ろう、こういうことであります。それはもうわかり切つた前提として考えたというところに御指摘の攻撃点が出ると思いますが、一部には法規の中にはつきりほかのほうは妨げないのだ、電源のごとき急ぐものについて、特別な意味においては特殊会社を作るが、余りほかには及ぼさんということを明記したらどうかという話もありましたが、これは法律の中に書くのがいいか、別に定めるということで政令で書くのがいいのか、この点はなおよく研究してみたいと思います。そうしてはつきりさして行く。そうするとどうせいがみ合うものではないので、電力九つ会社でも、電力というものについて国家的に担当しておるが、そこと担当を分けてやろうということをはつきり説明させて行つたらいいのじやないかと思います。私はここで明記してありませんが、大体御趣旨はわかりますのでよく研究いたします。
  76. 西田隆男

    西田隆男君 今安本長官から非常に話のわかつた答弁があつたのでありますが、この條文の第十二條に書いてあるように、これに匹敵するような所を、これは調査が済んでおるからどうだ、調査が進んでおらんからやれんというような考え方でこの法律は考えておらんと思います。電源開発を促進する、従つてこれに書いてある規模が非常に大きい電源開発、これは川の流れでわかつておる、それから国土の総合の開発に非常に密接不可分の関係があつて、どうしてもやらなければならんというときは、調査は済んでいなくても、基本的な考え方ではこれは地点がきまつておるはずであります。「利用及び保全に関し特に考慮することを要するもの」、これはさまつておるものであります。従つてもう一つ政府において会社が行うべきものと定めたもの」というのは、これは二つのものを追つての條文だと思います。そういうふうにきまつておる。きまつておる大きな地点に対しては電源開発の将来の会社がやつたり、或いは地方公共団体がやつたりする上においての疑念を差挟めない点もあろうし、それ以外の河川をしてどんなふうに最も有利に電力の発生量を殖やすように開発するかということを調査してきめる上から言つても、当然これは大きな電源開発ということは、これは準備ができておるとか調査ができておらんとかということは抜きにして、これに明記して置くということが国民税金を使つて開発するという意味から考えても適切妥当ではないかと、こういうふうに考えるのであります。今安本長官の御答弁を得ましたが、そういうふうに一つ自由党の中でも政府の中でも、是非考えてもらいたい。これは特に私はお願いしておきます。それと関連して最初から申しておりました九州球磨川水系、今の他の基本的考えから球磨川水系を明記することは決して矛盾でも何でもない、それと並行して火力発電の老朽を入れ替えるという意味合いから、並行して是非この法案でやれるように條文に織込まなければならない。この点に対しては自由党政府もよく一つ考えて、この委員会の最終の結論を出すまでに一つ良識ある御答弁を頂けるように御努力を一つ願いたいことを引続いて希望しておきます。
  77. 結城安次

    結城安次君 先ほどの御答弁で大体わかりましたが、私どもはこの法案を受取つたときに、大きなもの、民間事業に適せざるものといろいろなことがありますので、今後民間のものがやるかどこがやるかということは、この電源開発調査審議会ですか、そこでやるかと思つてつたが、只今の御説明で大体もうきめてあつて、これだけはほかのものにさせないのだというように了解しておりますが、それから安本長官から今特殊会社で……、私は実際を言うと、天龍川云々というのはいやなんですが、たまたま出ましたから申上げますが、特殊会社でやつてそれを渡すんだからいいじやないか、何も二つでやる必要はないじやないか、それはおかしいじやないかという話がありましたが、これは文通も成り立つのです。或いは中部独りでもやりたい、併し今金が何しろ御存じの国家資金を出さなければやれないというときなんです。東京電力は何がしの余力があるようだ、二つでやれば容易にできる、而もその土地は両社の営業地として殆んど折半の所だ、その県内にある川を両社が金を出し合つてやろうというのが如何にもおかしいと言う……。これは私はおかしいと言うほうがよほどおかしいと思います。(笑声)これについてお話があれば伺つて置きます。
  78. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お答えいたします。なごやかになつて結構でありますが、私はおかしいと言つてはいないのです。つまり今お話通り中部一カ所では資金関係でできないというので、それでは他の会社と一緒になつてやろう、それは一つの案である。それはその前にそんな御心配をなさらなくとも、国が財政資金を出してできるだけ安く作ろうというものを、私のほうでやるからやめろという必要はないじやないかというのです。問題はやはり金の問題もあります。併し担当をきめてこれをやつて上げます、やりましようというので法案ができておる。私のほうから一つ会社を二つで作るからお前やめろというのはちよつとおかしいじやないか、それはそこまでは話合いでやつたらいいじやないか、そうしてできたものは中部の会社に貸付けてやらせればいいのです。それは外からそういう議論が出るのはおかしいじやないかと言つたのであります。それをあなたのお話のように中部は金がないから東京電力と一緒にやろうというのも一つ方法かも知れません、併し政府のほうから財政資金を出して、そうしてそういう大きな所を担当しましよう、こうきめておるのですから、それをやらして安く作らして見たらいいじやないか。そこは議論になりますが、そういう考え方で以て皆一つ寄つてかかつてこれを一つ早く作ることが必要だ、こう思います。
  79. 結城安次

    結城安次君 私はこれで最後にしますが、今安本長官のお話は誠に同感です。早く作るということもこれも全く希望するところですが、これから仮にこの法案が通つて、それから、又新たにスタツフを作つてやるというよりは、今すでにやろうとしておるものがある。而も不足は金だけだ、仕方がない二つでつまり多くの人の金を寄せてやろうというところを、この間から申上げましたように、どうせ国がやれば、つまり全然日本の現在の通貨に関係なしに金が集まるのだということではなくて、国家資金というのは同じく国の資金である、これを資金に廻してやつてさせてもいいじやないかというのが私がこの間から申上げておるのです。民間資金にどうして国家資金を廻せないかというのがわからない。国家資金を直接働らかせる機関を置けばいいじやないかということを申上げたのですが、私はこれ以上は水掛論になりますので私の質問はこれでやめますが、併しこの法案が出た場合に天龍川は特殊会社でやるべしという議論が出たから、これはこつちに廻すという條件はつけてもいいじやないか。何とかして一ときでも早くでき上るということに専念してもらわずに、ただどうも形式でこれはこうだから国家資金でやるほうがいいのだからやらせるとかやらせないとかいうことは、これは電源開発の促進ではなくて阻害であると思います。私はこの間から民間へ国家資金でも貸せるものなら貸したらいいじやないかということを申上げたのであります。もうこれで申上げません。
  80. 西田隆男

    西田隆男君 大分時間も長くなつたし、福田君お疲れのようでありますから、もう一、二点細かな問題をお聞きしましよう。この法案によりますと、新らしくできる会社電気事業者だと私は思いますが、公益事業委員会特殊会社との関係についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  81. 福田一

    衆議院議員福田一君) 公共事業令によりますというと、電気の供給をする会社は公共事業令によりましてその所管事項になつておるのでありますが、この会社は御承知のように電源開発を目的といたしております。讓渡、貸付をするのでありますから、公共事業令に言う、いわゆる公益事業委員会の所管さるべき会社とは私たちは解釈をいたしておらないのでございます。
  82. 西田隆男

    西田隆男君 そうするとこの條文の中にある電力の卸売をするものは公益事業委員会の管轄下にこの会社はないという解釈ですね。そうするとこの会社の主務官庁と言いますか、それはどこになるんですか。
  83. 福田一

    衆議院議員福田一君) 卸売をいたします場合には勿論公益事業委員会のあれを経なければなりませんが、卸売をしないものの間においては通産省の所管でできると思います。
  84. 西田隆男

    西田隆男君 そうしますと提案者のたびたびの御説明がありましたように、一地点電源開発は終了していない、併し一部の電源開発はできた、電源開発に関しては通産省が担当する、主務官庁でできた電力そのものを野放しにして置くということは考えられない。私たちは恐らく卸売をされるだろうと思いますが、その卸売をするときには公益事業委員会の管轄というふうに二本立てでお考えになつておるのかどうか、もう一遍御答弁願います。
  85. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御説の通りでございます。
  86. 西田隆男

    西田隆男君 その問題についてそういうふうにすることがいいか悪いかということはこれは議論になりますから、私議論はいたしませんが、その答弁は聞いて置きます。  もう一つお伺いしたいのは、この條文の中に、審議会の中に学識経験のある者という表現が使つてあります。七名入つて来るようになつておりますが、学識経験のある者というのは、具体的にどんな人を今提案者はお考えなつてこういう條文を作つておられるか、これを一つ説明願います。
  87. 福田一

    衆議院議員福田一君) 初めは電力事業について学識経験ある者という文句が入つてつたのでありますが、これを修正いたしまして、單に学識経験のある者といたしたのであります。その意味国土総合開発見地からやります関係もあり、又もう一つ委員の数を殖やしましたのも、余り政府意見だけで動かないように、又政府が変つても基本方針が変らないようにという意味で七対七という数字に増加いたしたわけでありまして、学識経験のある者というのは、勿論その中には電気について学識経験ある人も含めるつもりでありますが、併し電気の経験がなく、或いは農業関係、或いは財政の関係、その他電源開発に関連いたしまして特に重要であると思われる業種について学識経験のある者、かように解釈いたしておるわけでございます。
  88. 西田隆男

    西田隆男君 抽象的にはわかりますが、具体的にどういう人をお考えになりておるのか、これは人間の名前でありません。その名前を言えという意味ではありません。もう少し具体的にどういう人を学識経験のある者というふうに考えられるのか、もう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  89. 福田一

    衆議院議員福田一君) 大体いろいろの委員会ができておりますが、そういう場合における学識経験のある者ということになりますれば、その業界といいますか、その専門の問題について特に造詣の深い人ということになれば、これは五人か十人か、大体きまるわけだと思うのでありますが、そういう意味合いでそのうちから選び出す、こういう意味でございます。
  90. 西田隆男

    西田隆男君 どうもはつきりしないのですが、私がなぜこうくどく聞くかと言いますと、よく委員会で学識経験のある者という表現がどの法律にも使つてあるようですけれども、本当に学識経験のある人の意見を尊重して、その意見の帰趨によつて方針が決定されるという委員会と、そうでなくて列び大名式に、悪くいつたらごまかすような意味合いで顔を列べて置いて、実際は大蔵大臣以下の閣僚で決定してしまうような委員会とが考えられるので、だからそういうふうなどつちのほうの委員会提案者は大体お考えになつておるだろうか、こう思つているからくどく聞いておるのです。だからそういう意味合いで一つもう少し具体的に御答弁を願いたいと思います。
  91. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちは一内閣の方針だけできめるということがあつてはいけないという意味において、これを牽制するといいますか、本当に国のために電力の問題を、又電源開発の問題を真劍に考えておられる立派なおかた、こういう意味考えておるのでありまして、そういう意味合いで選考をいたすべき筋合いのものである、かように考えております。
  92. 西田隆男

    西田隆男君 もう一遍くどいようですがお聞きします。そうしますと審議会といいますのは大蔵大臣、農林大臣、安本長官、建設大臣等々の七名の政府審議会委員、この人々がおきめになつたことを他の七名の学識経験がある人たちにお諮りになつて、こういう人たちの御意見を聞かれて、そうして自分たちの持つている案と若し学識経験のある者の意見が違つている場合は、学識経験者の意見のほうを取入れて決定をされるというような委員会の構成をお考えになつておるのか、或いは閣僚並びに学識経験がある人たち議論をされて、そうしてそこで一つの結論を出されて、その結論を政府特殊会社に指図をするというふうな委員会の運営を考えておられるのか、この点を一つもう一遍御答弁願いたい。
  93. 福田一

    衆議院議員福田一君) 学識経験のある者と閣僚が一緒に議論をいたしまして、その土で結論を得て、これがいいということを実行する、こういうふうに考えておるわけでございます。
  94. 西田隆男

    西田隆男君 数を七対七にされた理由如何。
  95. 福田一

    衆議院議員福田一君) 当初は三名にしてございましたが、如何にそういうふうに公平に議論をいたしましても、やはり数が少くては本当の学識経験者の意思が通らない場合が起り得る、いわゆる民主的でない場合も起り得るということを考慮いたしましたので、当初三名にいたして置きましたのを七名にいたしたわけであります。御質問の趣旨は七対七では議論がまとまらない場合どうするかという或いは御質問が出るかと思いますが、その場合は議長が公正に裁断する、こういうことで御了解を願いたいと存じます。
  96. 西田隆男

    西田隆男君 一応あなたの説明でわかるのですが、理屈としてはそういうことでしようが、多数決でやるということじや今言う通り結論が出ません。而も学識経験のある人たちが、政治力を持つておる内閣総理大臣や安本長官や建設大臣や大蔵大臣、公益事業委員会委員長などと政治的に対抗して、自分たち意見をどこまでも押通すような剛直といいますか、剛直清廉な人ばかりならばいいけれども、そうでなければ、これは一種のごまかしの委員会みたいな感じを強くするのです。ですからこの委員会の運用等についても、これは提案者としては、政府としてもよほどよくお考えにならないと、政府の一方的な意思を学識経験者の名に藉口すると言いますか、強制せしめるという非常に悪い面が強く押出される懸念がありますので、この点は特に自由党でも政府でも御注意を願いたいと思います。  大分長い間質問をして来ましたが、これで終えたいと思いますが、今日私が御質問した中で周東安本長官には更に善処方を要望して置きましたが、提案者には私まだお願いをしておりませんので、もう一遍提案者にお願いをしたいのであります。それは九州球磨川水系開発の問題、それから火力問題と併行して行うという問題、それから電力の融通に関して、若しこの法律が通つた後においては何らかの、これは今の公共事業令にあるようなことよりももつと強い法的な措置を考えられたほうが、電力の融通は恐らくスムースに行くだろうということについても、自由党提案者並びに政府と話合いの上で、この法案の最後の審議の過程において私のお願いが聞届けられるように御答弁一つ頂きたい。これを重ねてお願いしまして私の今日の質問は一応打切つておきます。
  97. 福田一

    衆議院議員福田一君) 只今御説明になりました球磨川の問題、火力発電所の問題、或いは電力融通に関する法規の問題等につきましては、我々といたしましても十分研究をさせて頂きます。実は私は提案者としてここへ出て来ておりますが、自由党として又政府としていろいろ相談もいたすべきことがあろうかと思うのでありまして、私一人から專断で申上げることは却つていろいろな支障を来すかと思いますので、十分御趣旨の点を伝えまして研究をさせて頂きたいと思います。
  98. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) お諮りいたします。委員外の質問としてこの法案の審議に関して質疑したいという栗栖赳夫君からのお話がありました。委員長これを許可したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは栗栖赳夫君に御発言を願いたいと思いますが、その前に同氏から要求されておりました答弁者のうち大蔵大臣、通産大臣は都合によつて出席されておりません。それから法務府の法制意見長官の要求がありましたが、これも都合によつて出席されなくて、代理といたしまして法制意見第三局長西村君が見えております。そのほか周東安本長官、それから野田建設大臣、大蔵省関係大蔵省理財局長等々は御要求の通りであります。
  100. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 委員外でございますので、時間も遅うなりましたから成るべく要約して申上げたいと思います。提案者のかたと、それから政府意見とを併せてお尋ねしたいと思います。  私のお尋ねしたいものは四点ございます。中心としてこの資金調達、殊に外資導入がこれで可能かどうか、こういうような意味でお尋ねをいたしたいと思つております。それで先ず安本長官にお尋ねいたしたいのは、しばしば外資導入の見込があるというようなお話でございましたが、これは政治借款であれば別といたしまして、コンマーシヤル・べースの上に立つた経済借款でありますならばそれでもなお見込があるというお考えを今も持つておられるかどうか、その見込があるということは、近くできる見込があるというお話つたんですが、そういうお見込があるということを今も考えておられるかどうか、そうしてこの電源開発促進法案の中に盛られておる外資導入に関する規定もそういう点から割出されておるかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。それからあと提案者のおかたにお尋ねいたしたい、こう思つております。
  101. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お答えいたします。外資導入に関してはしばしばこの席でお尋ねを受けております。私どものほうではいろいろと努力をしておりますが、今どのくらいの額がいつ頃にということを申上げることはまだできないのであります。従つてこれは政府の借款と申しますか、そういう面からすることになるのか、或いは民間関係になるのか、この点は今申上げることができませんが、なかなかそれはこちらの事情もありましよう、調査もしているようであります。困難な状況もありますが、併し私どもはまだ望みを捨てておらん、こういう御答弁をたびたび繰返しております。
  102. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 望みを捨てられちや困るのでありますが、我々も是非これはいたしたい。この法案によつて外資導入を達成いたしたいと、こう私考えておるのでお尋ねするわけであります。それで提案者のかたにお尋ねいたしますが、二十五條にそれに関する規定が見えております。そこでこの法案による開発その他の資金は、相当部分において外資導入ということを前提としてお作りになつておるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  103. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御説明通りこの法案のうちには外資導入される場合を想定いたしました規定が盛り込まれてあるわけでございます。勿論私たちといたしましては、この法案によつて外資が入るということを切望はいたしております。併ししばしば実はそのことで御質問があつたのであります。一応計画といたしましてはまだ外資導入はきまつておりません。きまつておらないのにこの法案を出すというのもおかしな話であります。万一外資が入らない場合も考慮しておかなければ、電源開発外資が入らないでもやらなければならんという建前で一応我々は構想いたしておりますが、栗栖さんの仰せの通りこれは何とかして外資を入れて、そうして安い利息で以て電源開発して、安い電気をたくさん国民に與えるように努力すべきである。こういう意味合いでは栗栖さんと同意見であります。政府もその意味で十分頑張つてつていてくれるものと考えておる次第であります。
  104. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) そういたしますとここにそれならばこの四つの私の質問せんとする問題について十分の御考慮を拂つて頂きたい、こういうふうに思う次第であります。先ず第一の点でございますが、先ほど西田委員からも公共事業令とそれから本法案との関係についてのお話があつたのであります。これをいま少し割つてお尋ねいたしたいと思います。若し提案者のほうで、專門に亘ることでありますならば、法務府のほうのかたもおいでを願つておりますので、いずれからでもいいと思うのでありますが、公共事業令というものはこれはポ勅に基くものでありますから、いずれ近く廃止されると思うのであります。これがどうなるかということを想定してこの法案を出しておられるのか、こういうことを先ず第一にお尋ねいたしたいと思います。審議会委員の一人に公益事業委員会委員長の名前が出ておりますけれども、併し公共事業自体がなくなることは問題ないことでありますので、その代りにどういうものを考え、そうしてこれの法律との関係をどういうように考えてこの法案ができておるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  105. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御質問の通り公益事業委員会は早晩これはなくなるものと想定をいたしてこの法案を出しました。そこで公共事業令の問題でございますが、その場合においてその行政的な機能は通産省に一応移管されるものと想定いたしておるわけでございます。但し今研究をいたしておりますのは、公益事業委員会がやりました公聽会制度というものがございます。これは私は非常に民主的な苦情処理委員会で、電気に関する苦情処理の委員会という意味でアメリカが我々に教えてくれた一つのいい制度であると考えておりますので、これは何らかの形において存続すべきものじやないかということを目下研究をいたしておるのでありまして、成案ができればその面は一つ皆様に又お願いをいたしたいと思つておりますが、電力行政自体は通産者のほうへ一応移管をして行く、かように考えておるわけでございます。
  106. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) そうしますと、通産省のほうに電力行政が行くと、従つて昔の電気事業法か、或いはそれに相当するようなもの、或いは公共事業令の中の必要な部分とかいうものが、法制ができるであろうということは予想されますけれども、その法制の大体のところなどを見ないで、この法律が單独に出るということはどういう関係であるか、こういうことを先ず私は疑わなければならんのであります。そうして大体この法案にある電源開発会社電気事業会社であるかどうかということについては私は疑問がある。それは今電気の供給云々というようなお話でありましたが、これは日本の法制を知る者には全く素人の議論でありまして、電気の供給ということは工場抵当法の第一條第二項にもあるように、電気の供給という言葉を以て発電送電、配電の三つを含めて日本の法制はなつておるのであります。そこで今提案者のおかたの御説明は私はどうも奇怪千万であると思うのであります。やはりそういう意味でないなら、むしろ除外しようとなさる意味は私はよくわかります。それならば適用を受けないという明文を置かないと私はいけないのじやないかと思うのであります。併しそれは第一段でもう一度お尋ねしたいと思います。  それから第二段には、公共事業令に相当するものの適用は受けなくても、この関連が、電力会社とこの開発会社というものは極めて密接な関連がありますから、関連規定を、委員長委員に加えるだけでは足りないのであります。もつとお入れにならなければいかんのじやないか、それは或いは政令に讓るという趣意であるならば、政令の内容を大体のところは明らかにしてもらわなければいかんのじやないか。それから外資導入ということは、法制から一番先に調べて来るものでありますから、この点から極めて落ちがあるように思うのです。これはでき上らせんがために落ちがあると思うのであります。以上の三点について伺います。
  107. 福田一

    衆議院議員福田一君) 政府委員より説明を求めます。
  108. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御説明申上げます。私ちよつと第一の御質問の点を聞き違えたかと思いますが、先ず私からお答えいたします。先ほど公共事業令とそれから公益事業委員会とのこの法律案との関係という点であつたかと思います。公共事業令につきましては、これは御承知のようにポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基くいわゆるポ勅であります。併しこれにつきましては、政府といたしましては別途これを法律化する法案を国会に提案しておりまして、まだ成立しておりません。もう一つそれとは別の問題といたしまして、公益事業委員会そのものにつきましては、この行政機構改革の一環としまして、これを廃止して、通商産業省に持つて参るという法律案を、行政機構改革の法律案を提案しております。従いましてその法律案が成立し、予定のように七月一日から施行になりますと、関連の問題はおのずから解決つくのじやないかと、こういうふうに思つております。私の説明ちよつと御質問を取違えたかと思いますが、御了承願います。  それから第二点は、この電力開発会社が公共事業令による電気事業者じやないのではないかという御質問でございますが……。
  109. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) もう一度申上げます。第二の点は、第一の点は大体よろしうございます。第二の点は、大体提案のかたは、この会社を以て電気事業会社一つとこう考えて立案されたかどうか、若し立案されたとすれば、先ほどの御答弁は不十分であつて、若し電力会社一つと見ればもつといろいろな規定を入れなければいかん。それからそれは或いはそうではない、別個のものと見られるならば、供給云々の説明では不十分であつて、私どもはさようには考えていない。今まで日本の立法例から見てもそうは考えられない。だから明文を入れられにやならん。どちらであるかということを一つお尋ねしたい。  第三の点は、若し別個のものとこうお考えになつても、極めて密接な関連がある、別個で直接には適用はないにしても、関連せしむるために関連規定がこの法案の中に必要じやないか、こういう点なんです。
  110. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御説明いたします。実はその点につきましては、これは御承知のように議員立法でございますので、私のほうでとやかく申上げるのも如何かと思いますが、先ず第一の点につきましては、さつき栗栖委員お話のように、工場抵当法の第一條第二項にある電気の供給というお話でございましたが、この会社が一体電気事業をやる、いわゆる公共事業令の適用を受ける会社であるかどうかという点につきましては、私は條文を拜見しまして、率直に申上げますと、やはり電力開発をする会社だ。従いまして本来生まれながらにして電気事業会社であるというふうにはこれは参らないのじやないか、こういうふうに考えたほうがいいんじやないかと、こう思つておる次第でございます。この意味を以ちまして、恐らくこの法律案にいろいろ監督規定が盛られております。公共事業令と或いは重複するというような規定でございます。これはむしろ従つて純粋に公共事業令にいう電気事業会社でないからこういう規定が入れられたのじやないか、こういうふうに見ておる次第であります。  第三の関連規定をという御質問につきましては、私その御質問の趣旨を或いは取違えておるかも知れませんけれども、恐らくこの会社が今後でき上つて、そうして監督の立場にあるのが先ほど申上げましたように通商産業大臣と、こういうことになりますれば、或いは両者の関連規定を入れるほうが適当であるという、御所論のような結論が出るかとも思いますけれども、先ず運用の場合に差支えないのじやないか。これは私非常に雑駁な見方で、或いはお話の点に適さない御説明かも知れませんが、こういうふうに考えております。
  111. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 第二の点では、法務府で正式な御答弁を願いたいと思います。電気事業法でも、昔のそれから工場抵当法でも、電気の供給ということは、発送電、配電を皆含めたものである。我々はたくさんの発電所だけの工場財団を作りましたけれども、今のお説のようにするならば、それはできないということであります。これを法務府のはつきりした御意見を承わりたいと思います。そこをはつきりしませんと、この説明がこの法案に対する次の規定、或いは外債の担保としての点が非常にあやふやでできなくなるという点で私はお尋ねするわけであります。
  112. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御説明いたします。  私のちよつと御説明が盡さない点、即ち先ほど工場抵当法の一條の二項の供給という字は、発電は入らないというようなことを申上げたつもりはなかつたのであります。ただこの開発会社事業としまして、第二十二條を御覧願いますと、これは発電、そういうことは書いておりませんので、「発電のための電源開発及びこれに附帯する送電変電施設の整備」というような具体的なものになつておりますので、或いは又今私のお答えしたことが御質問の点に触れないかも知れませんが……。
  113. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) どうもぴんと来ないのですが、私の言うのは、工場抵当法の解釈を云々というのではないのです。むしろ日本の法制には一貫した解釈があつて、この公共事業令のごとく仮に送電だけ、狭い意味での送電だけで、配電も或いはこの配電以外のもの、即ち狭い意味の配電ということであつて、配電以外の送電発電をやるものについてはこの規定の対象にならんのだというようなお考えであるというと、これは実際非常に違うと思うのです。時間もいろいろしますから、若し十分の説明ができなければ、御研究をしてやつて頂きたいと思うのです。それから一部分のほんの僅かでもこの送電、配電をやるような場合とか、或いは発電をやるような場合にもなお法の適用を受けると、一部分であるが故に適用を受けないというものではないのでありますから、そこは十分お考えを願つて、改めて御研究の上で答弁してもらつてもいいと思うのです。これはこの次に来る、後に申しますが、外資導入の場合の担保のときに、担保になるかどうかという分れ目はこの点にあるのです。そういう意味でお尋ねしておるのでありますから、十分お考えを願いたいと思います。  それではもう一つ、公共事業令とそれからこの法律との関係について安本長官にお尋ねしたいと思うのでありますが、私はこの法律は設備を貸すとか、或いは設備を作つて讓渡する、或いはこの一部は卸売的なこともする、こう言われておるのでありますが、そういう場合においては、この公益事業であるところの電気事業とどう関連を持たされるかという点について、政府としての御構想があれば一つ漏らして頂きたいと思うのです。
  114. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お答えしますが、その前に先ほどの御質問ですね、研究の上お答えさせますが、先ほど法務府からの答弁は、これは電気工作物をこしらえるものではあるかも知れんけれども、発電送電もしないということなんです。あなたの御指摘の工場抵当法の中には、供給の中にはこれは発電送電皆入るのだから、そういうことをやるならば電気事業者と言えるだろうが、法務府の解釈としては、発電所を作る、ダムを作つたり、発電をするまでの仕事をして、作つたあと発電は自分のほうで大体やる。従つて送電をやらない。設備の讓渡、そういう意味だから、その意味においては電気事業者ではなかろう、そういう答弁をしておりますから、その点御了承願いたい。それならはつきりする。それをなお且つ問題がどうなるかということは、更によく研究させまして、御答弁いたしたいと思いますが、そういう答弁をしたと思うのです。  それからあとの問題でありますが、今の供給、卸売をするというようになると、これは電気を売るわけです。この関係においては電気供給者ということになる。そういう関係においては私は特別なことがなければ公共事業令との関係は持つことになると思います。
  115. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) そうすると今の政府の、法務府と安本長官は私の質問の要点を考え違いしておるようでありますが、そういたしますと工場抵当法による工場財団というものにはならんということになるのですか、そこはどうお考えになりますか。
  116. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 只今の点を御説明申上げます。工場抵当法は改正法案も御審議願つておるようでありますが、これについての詳しいまあ責任ある答弁ですと、民事法務長官のほうが適当であろうと思います。勿論この会社が第二十二の第三号にあります電気の供給事業ということをやる団体になりますと当然これは考えられます。ただ初めの建設をするという団体になるかどうか、ちよつと私はその点はなお研究いたしまして、その責任あるところからお答えをさせて頂きたいと、こう思つております。  それから先ほどちよつと私御説明が足りなかつたように思いますが、この会社電気を供給卸売をやつた場合においても、それは一部の事業であるから公共事業令の適用がないというふうに私の御説明をお取りになつたやに伺いましたけれども、決して私そういう意味ではございません。勿論この会社が供給事業をやればこれは公共事業令の適用を受けます。併しこの会社の本体はどこにあるかと言えば、電源開発ということにあるのでありまして、それを以てこの特殊会社の監督権まで公益事業委員会が持つことにはならないのではないか、こういう気持で御説明したつもりでございます。
  117. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 私はあなたが一部のものと限つているから適用がないとおつしやつたということではないのです、福田さんの話にそういうことがあつたんです、福田さんからの答弁で、それで私言つたんです。ここで今度私の意見を申上げます。電力会社やその他の前例を見ましても、やはり担保ということをこれは考えなければならん。あと二十四條、二十五條についてもお尋ねしました物的担保ということも必要なのであります。その設備を賃貸したり何なりにするようなことでは担保にならんのです。水利権が伴います。そこでその前提としてこれをお尋ねしておつたのでありますから、最後に水利権の問題に移りますから、第一の問題はここにおいておきまして、第二の問題に移りたいと、こう思う次第であります。  第二の問題は、この会社がどうしてもコンマーシヤルベースで外資導入をされると、こう私は考えざるを得ないのでありますが、国家の借入でないものですから、そういたしますと一番外資導入に大事なことは、会社自体がそろばんが成り立ち、そうして本当の経済上の原則によつて運営される会社であるということが十分はつきりしておらんと、外資導入の対象にはならんものであります。この会社のことを見ますると、その上に審議会があるのであります。この審議会は先ほど西田委員の指摘されたように、会長と十名の委員でありまして、そのうち閣僚が七名であります。そうしてそのほかに一人この公益委員会委員長が出ております。あと民間は三名であります。この運営は西田委員も申しましたように閣議と同じだと、こう或いは酷評ができるかも知らんと思うのであります。コンマーシヤルベースで外資導入をし、いろいろ計画をきめるとか何とかいう場合において、この審議会民間的でなく、非常に閣議とそう違わないということ、電源開発というのは相当専門の知識経験を必要とするのであるが、その民間の者が僅かしか入つておらん、こういうことでは審議会政治の力によつて運営される、こういうことに結論付けられると思う。それからもう一つはこの会社自身の総裁、副総裁その他の役員が政府任命であります。そういうような政府任命であると、これも多分に審議会できめたことを、それを民間出の委員は僅かであつて政府出の委員がきめて、それをただ会社で実行して行く、幾ら国家の資金を運用するということではありましても、それでは政治の力によつて運営する会社には、コンマーシヤルベースによる外資導入はできまいということは、これは百も立証されたことだと思うのであります。そこでこれから政治力を取去つて、そうして運営その他についてはやはり採算本位の会社特殊会社といえども会社でありまして、外資導入のための元利金の支拂等には事を欠かさない、その上に二十五條の政府保証を付すると、こういうような行き方で行かんといかんのじやないか、こう思うのでありますが、提案者のかたにその点を一つ、御意見を聞きたいと、こう思つております。
  118. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御説の点のうち、すでにおわかりと思いますが、実は修正をいたしまして、学識経験のある者は七名といたし、民主的な運営を図るようにいたしたわけでございます。なお会社の重役と申しますか、首脳部が政府任命であるということにいたしておりますことについて、実は政府が出資をいたしておりますので、やはり政府資金を使つておる以上はどうしても政府相当監督ができるようにしておかなければいけないのじやないか、こういう点に重点を置きましていたしたわけでありますが、その中でこの総裁とか副総裁という名前がいいかどうかということは、ちよつと実は問題になつておることでありまして、これはむしろ社長でいいのではないか、社長、副社長でいいのじやないかという説もあるわけでございますが、いずれにいたしましても栗栖さんの仰せられますことは、政治力の入らないコンマーシヤルベースの上に立つた会社を作るのでなければ、外資が入らないと思うから、その点はどう考えておるか、こういう御質問と承わつておるのでありますが、御説の通りコンマーシヤルベースのものでありますれば、或いはそのようなことに相成るかも知れません。ただ私たちといたしましては、外資導入のほうも必要でありますが、外資導入というのは相手方のあることでございまして、果してどういうようなものを作りましても完全に入るという保証というものはなかなかむずかしいように思う、そうしますと入らない場合においてもこれをやれるようにいたしておかなければいけない、それには財政資金も使わなければならないということが考えられる、そういう点を考慮いたしまして法案自体の構成ができておりますので、或いはあなたの仰せられますような面ももう少し研究すべきではないかという御議論でありますれば、これは私たちとしても研究はいたしますけれども、実は建前といたしましては、相手方があるので、必ず入るということならいいのでございますが、入らなくてもやはり電気は不足しておるから作らなければいけない、こう考えまして、この法案全体を立案いたしておるという点を御了承願いたいのであります。
  119. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) お考えはよくわかるのでありますが、それについてもう少しお考えを願いたいと思うのであります。一つの点は、私は三十年特殊会社におりまして、総裁、副総裁が政府任命の下に私はおつたものであります。で私が申上げるのは、やはり外資導入もし得るような点を考え、一面においては監督という点もお考えなつたらどうか、両方を調整するということが必要じやないか。そうしますと私三十年も特殊会社におりましたけれども、その経験から見ましても、総裁、副総裁が政府任命で押し付けられるのであればこれは大丈夫です。理事は、あれは大体株主総会で、私どものおりました特殊会社では候補者を出して、それを認可するということであります。それから、監事はこれは自由で、株主総会で選任するということであります。この法案を見ますと、半数以上は政府が必ず株を持つということに書いてありますから、その点は御心配要らんわけでありますので、我々おりました特殊会社より以上進んでおるわけであります。そこで外資導入というような点も考えて、民間色を入れる。又民間相当なエキスパートを入れるためにはこの理事、監事についての選任方法などをお考えなつたらどうか、こういう点を申すのであります。私の持つておるのは古いのでありまして、七名になつておる。これは結構であります。委員のほうは……。
  120. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御質問の趣旨はよくわかりましたので、十分研究をさして頂きたいと思います。
  121. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) くどく申しますようですが、私どもすべて役員が下から上まで任命であると、却つて運用ができない場合がしばしばあると思うのであります。そういう点も併せて一つ、これは單に考慮するという意味でなしに、本当にお考えになつて頂きたい、こう思つておる次第であります。
  122. 福田一

    衆議院議員福田一君) 考慮するというこの言葉の意味になつてしまいますが、私はあなたのお考えを尊重して考慮するという意味であると御了解願いたいのであります。
  123. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) それから時間も余りなくなりますので急ぎますが、第三の点であります。これは担保であります。そこでお尋ねいたしたいのは、二十四條の規定でありますが、二十四條は、これはいわゆるゼネラル・モアゲージと、こう普通言われたものでありまして、古くは東洋拓殖の会社法に出たのが一番最初であります。その後日本送電会社法、或いは電気事業法、延いては公共事業令にもこれが引つぱつてあるのであります。併し外債としてのこの担保は極めて弱い担保であります。なぜならば、これは第二項にも書いてあるように、一般の先取特権……こういうようになりますから、従つて抵当権、質権には非常に弱いものであります。それにあとからどんどん抵当権、質権を設定しても、それは有効であつて、それに対抗できないということになるのであります。そこで発送電についてどうしてこれが電力関係に初めて入つたかということは、丁度ここに古池さんがおいでになられますが、これは私も古池さんにお願いして興業銀行時代に入れてもらつたような次第であります。実は外債の担保には抵当権があつたのであります。これが信託証書に触れるものでありますから、そういう点と、それからいま一つは、どうせ内債を出して、あの頃の昭和十四年以後に外債はできないものでありますから、内債を目当にあれはゼネラル・モアゲイジを入れてもらつたような次第であると、こう思うのであります。そこで外債担保としてはどうしても抵当権である。それから内債ならばこのゼネラル・モアゲイジでも上手に規定を入れるならばできるのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。この法案を見ますと、抵当権設定に関する制限も何もないものでありますから、これはこの会社は抵当権設定ができるものと思うのであります。そうしたならば、外資導入の場合に、抵当権は物上担保でありますから、抵当権設定ということまで考慮してこの法案ができておるかどうかもお尋ねしたいと思うのであります。
  124. 福田一

    衆議院議員福田一君) お説の通り、実は抵当権も設定できるものと考え法案を作つたのであります。
  125. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) そうしますと、抵当権が設定できるものというお考えは全く私も賛成であります。然らばその抵当権である物上担保は何の上に抵当権を設定される、どういう法律によるという点を答え願いたい。それがさつきの問題に関連するわけであります。
  126. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちといたしましては、工場抵当法によるいわゆる抵当物件に対して抵当権を設定する、こういう意味考えておるわけであります。
  127. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) そこで、ここで皆様もその矛盾がはつきりして来たと思うのでありますが、工場抵当法第一條の第一項は、工場の意味を定義しまして、物の加工とか製造といいますが、これに入らんことは確かであります。そうすると第二項は電気の供給、ガスの供給ならば、その場所を工場とみなすというので、これは擬制的な工場になるわけであります。さつきのように、供給という言葉が入らんとすると、ないとすると、この場合は工場財団にならんわけであります。そこで何か立法か、さつきの解釈よりももう少し進んでお考えを願わんと、担保が動かなくなるということであります。
  128. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御説明申上げます。先ほど栗栖委員の御質問の点がちよつとよくわからなかつたのですが、今はつきりいたしました。私の申上げた意味は、この会社が仮に二十二條の第一項の三号で電気の供給ということをやれば、勿論これは工場抵当法に乗つて来るのであります。但し一号、二号の面だけをやると言つた場合には非常に疑問ではないか、殊に発電が入るとしましても、それは供給という言葉の中に発電が入るという栗栖さんのお説のお言葉でありましても、その発電すらもやらない場合には、如何にも乗つて来ないじやないかという疑問が非常にするわけであります。その点につきましての最終的な解釈につきましては、先ほど申上げましたように、一つよく私のほうでも調査いたしまして、研究いたしたい、こう考えております。
  129. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) それならばよくわかるのです。その辺を外資導入でお考えになるならば、もう少し今の点をお考えになつて、若し工場抵当法に入らんものならば、その辺の関連とかということもお考えを願いたい。実は先週の金曜日に私そういう点もあろうと思いまして、工場抵当法のとき法務委員会に出てそのことを話して置きましたから、一つ関連をとつて頂きたいと思います。  それから外債の場合は、物上担保ということに要求があるならし得ると言われました。そこでゼネラル・モアゲージは、自由にそれに優先する抵当権とか質権がどんどん設定されたのでは、契約で縛つても、当事者間で債務不履行的な問題で設定したものは有効になるのであります。それは困るわけであります。この規定を入れましたときは、必ず抵当権の設定その他、即ち所有権以外の権利の目的に設備財産等を提供する場合には主務大臣の認可が必要だという規定を入れておるのであります。これは古池さん入れられたので私はよく存じております。ところがこの規定はそれがない。これがどうしても加えられなければ内債の担保にも私はならんと思うのですが、その辺はどう思われますか。
  130. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実はその面では借入金、或いは社債一年以上のものをする場合には主務大臣の認可を受けなければならないという規定が別にございますので、そこでまあ或る程度制限ができるのではないかと考えておつたのでございますが、御説明の趣旨はよくわかりますし、私どもより以上に御研究のようでございますから、一つその点は十分研究もいたしまして、そしてお答えを申上げることにいたしたいと思います。
  131. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 今の、一年以上と言われましたけれども、この担保権の場合は別でありまして、例えば根抵当で抵当権を設定しておいて、長く縛つておいて、一年以上或いは六カ月或いは三カ月で借替えをやらなければならんことになるとすると、どうにもならんことでありますから、これはどうしても落ちでありますから入れて頂きたい、こう思つておるわけでございます。  それから第四の点でありますが、これはさつきも問題になつたのでありますが、従来の電力会社につきましては、設備だけでは何にもならんのです。設備の中の血管であり、血であるところの水利権というものを非常に問題にしたのであります。そこで日本が出しております電力外債の全部について、最初の例は大同電力の第一回でありますが、水利権は必ずこの財団と一体を成しており、勿論水利権は財団の中には入りませんけれども、財団の契約人が、取得者が出て来た場合には無償で当然水利権も継承される、こういう約束を信託証書にいたしまして、更に立法がないものでありますから、逓信大臣が、大臣は変つてもこれは確かにその点は認めるという念書を入れまして、実は電力外債が全部出ておるのであります。この問題は、水利権の問題がこの電源開発という言葉の中でも極めてあいまい模糊に使われておるのであります。そこで水利権との関係をどうなさるつもりであるかは、これはむしろ建設大臣に私は承わりたいと思うのでありますが……。
  132. 福田一

    衆議院議員福田一君) だんだん專門的な御質問でございまして、どうも或いは私の答えでは満足して頂けないかも知れませんが、水利権は、御承知のように今度の特殊会社がやることになりますれば、その地点については特殊会社が水利権を獲得いたすわけでございます。そこでその水利権によつて電源開発いたしましたものを、一応私たちは讓渡或いは貸付ということを考えておるのでありますから、讓渡いたしました場合は水利権も当然、貸付をいたしておる場合においては水利権はまだ当然特殊会社が持つておる、かようなことになるわけでありまして、この意味合いで、外債の問題が起きて来ましたときに、これに対して水利権の問題も十分何と言うか保証が取れるような措置をとらなければならないということでありますれば、これは今からその問題も考慮して直しておくことが必要かと思うのでありますが、併しその点までは実は私たちも余り研究をいたしておりませんでしたから、一連の御質問と併せまして外資導入見地から、この法案のうちでなお整備いたすべきものがございますならば、御説明なり御質問なりを尊重いたしましてもう一度研究をさして頂きたいと考えております。
  133. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 余り時間がありませんから簡單に一つ……。今の御答弁よくわかるのでありまするが、私は大体既得の電力会社などが、或いは府県などが持つております水利権が一番立地條件が適しておるとかというので有利じやないかと、そうするとほかの新らしい水利権を獲得さしてこの会社がするということになると不利になつて来る。で、ほかの場合では、既得の水利権があつても何かの措置を講じてこの新会社特殊会社に水利権を持たしてそうして開発されるということが順序になるのじやないかと思う。そうすると、何かの措置を講ずる関連規定というものがどこかに入らんといかんのじやないかということが、私さつき申した関連規定などの点もあるのでございます。これはどうでございますか。
  134. 福田一

    衆議院議員福田一君) この御質問の点は、実は私は河川法を今のままあるものとして、そこで今審議会がございますから、その審議会において基本の契約を定めて行く場合において河川法を適用いたしまして、そしてお説のような問題が処理できるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  135. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) もう二、三問だけ……。この水利権というものがない発電設備を以て財団にいたしましても、まあ魂のないもの、これは殆んど担保力の価値がないものでございますから、十分お考えを願いたいと思つております。これでこの問題は打切ります。  これに関連しまして、丁度建設大臣来ておられますので、この会社ができるようになれば、或る地点に対して非常な電源開発を急がれるだろうと思うのでありますが、ところで今この実情を見ますと、日本建設会社その他は資力が非常に弱く、或いは十分の資力を集め得ないような点があるのであります。そこでその点が一つと、それに用いております機械なども、これはもう極めて古いものであつて、非常な時間がかかるものであります。昨年私ども或ることについて或る会社電源開発よりもむしろ国土開発の一環として、建設大臣よく御存じでありますが、苦い経験を持つたのであります。それによりますと、やはり外国の進んだ建設機械を入れて工事を極めて短縮する必要があると思つたのであります。昨年丁度あの九州の上椎葉の発電所の建設問題を実例にとつてみたのでありますが、そうしますと、今までの建設会社その他でやりますと五カ年かかる。それをこの近代化せられた機械によつて機械力を応用していたしますと、三カ年は、二・八年というのですか、まあ約三カ年で済むということで、そうすれば資金が非常にスペアされますし、それからその上短縮されたために、電気が早く廻つて来るために、日本の生産その他にも非常に役立つわけであります。こういうような点について建設大臣は事情をよく御存じと思いますけれども、十分のお考えがあるかどうか、その資金その他についてのお考えも十分、これが会社ができるほうは考慮して頂けるものかどうかを併せてお尋ねいたしたいと思います。
  136. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) この会社ができますと勿論電源開発相当規模に行われるのでありますが、それ以外におきましても、現在政府において直轄をいたしております。又地方公共団体で実行いたしておりますもの、各電力会社でいたしておりますものいろいろありまして、その建前事業機械化ということは、我々の直面をいたしておる極めて大切な問題であります。政府におきましては電源開発に限らず、道路の問題にいたしましても、その他すべての公共工事につきましては、極力その機械化を急ぐようにいろいろと準備をいたしておる次第であります。
  137. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) それからちよつと大蔵省のかたにお尋ねしたいのですが、外資導入の形式でありますが、今日の場合に、コンマーシヤル・べースに立つて外資導入というと、なかなか簡單にはまだ行かんと思うのであります。併し実例を見ますと、世界銀行、ワールド・バンクはたくさんの電源開発のためにいろいろ資金を出したのがあるのであります。こういうような点について或いは御研究があり、相当のお見込があるかどうどうかを承わりたいと思います。
  138. 石田正

    政府委員(石田正君) お答え申上げます。世界銀行がいろいろな開発事業に対しまして融資をいたしておりますることは御承知の通りであります。最近におきましては、電源開発関係におきまするところの融資、これが大分多くなつているわけでございます。従いまして抽象的に申しまするならば、これは交渉してみなければわからないのでありますが、可能性は相当多いということが言えるかと思います。ただ世界銀行におきましては、大体従来の例を見ますると、その開発に必要な資材等を輸入するということに関連して融資をするというのが多いわけでありますが、これが若しそうでありますならば、日本の場合におきましては開発については輸入よりもむしろ国内資材的なものが多いかとも思うのですが、ただ開発銀行のその後の動きを見まするならば、だんだんと必らずしも輸入を伴わないものについても融資をするというような先例ができつつあるというように見受けられるのであります。御承知の通り我が国はまだ国際的の開発銀行には加入いたしておりませんけれども、政府といたしましては早急に、これに加入することを目途といたしまして、この加入に伴いまするところの承認問題、又その出資に伴う問題につきまして、法案をすでに提出いたしまして目下衆議院にかかつておるような次第であります。我々といたしましては、できるだけ加入を実現いたしますると共に、又電力その他の外資導入、その方面からの導入につきましても努力いたしたい、かように考えている次第であります。
  139. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 今お話のように、世界銀行の最近の傾向及びこの会社資金調達に、外資による場合そういうような世界銀行によるというようなことが、和は努力次第、又この会社の持つて行き方、扱い方、経営の仕方次第によつて私はこれはできんことはないと思うのであります。そう思いますと、経営の仕方とか或いは取扱い方とか、政府の持つて行き方、及び会社に十分有能な人を入れられるとか、こういうようなことで、そうして信用をつけるため物上担保をつけるとか、更に又二十五條による政府保証、戰前は日本の信用は高かつたのでありますから、そういうものをつけられるということでお進みになり、通産省はラフでなしにもつともつと虚心坦懐に、いろいろ衆智を集めて規定を作り準備をされて備えたらいいじやないか、本案もそういう意味でお願いしたいということで私の質問を打切りたいと思います。  いろいろ委員外で申しまして恐れ入りますが、これで終りたいと思います。
  140. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに特に発言なければ、今日はもう大分時間がたつておりますので打切りたいと思いますが、異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは散会いたします。    午後五時五分散会