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1952-05-14 第13回国会 参議院 経済安定・通商産業・建設連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十四日(水曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君    委員            古池 信三君            奥 むめお君            須藤 五郎君   通商産業委員    委員長     竹中 七郎君    理事            小林 英三君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            松平 勇雄君            山本 米治君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   建設委員    委員長            廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            前田  穰君            徳川 宗敬君            松浦 定義君   衆議院議員            福田  一君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左エ門君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    建設省河川局長 目黒 清雄君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 一郎君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電源開発促進法案衆議院提出)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは電源開発促進法案に関する連合委員会を開会いたします。  今日は実質的に第九回目でありますが、実は昨日大蔵委員長からお話がありまして、都合によつて今日の連合委員会からは大蔵委員会を除外して頂きたいという申出があつたわけであります。経済安定委員会を開きましてその話を相談するいとまがありませんために、今日は、今日に限つて連合委員会から大蔵委員会が脱落して、三つ委員会という形で今日は開きたいと思います。御了承をお願いいたします。質問は前回に引続いて継続いたします。
  3. 結城安次

    結城安次君 先ずお尋ねするに先立ちまして、立案者に御了解を願つておきます。電力不足の社会に及ぼす影響が如何に甚大でありますかということと、即ち昨年八、九月以来の電力不足が我が国の産業、殊に備蓄の資力のない中小企業に非常な苦難を與えましたことは御承知通りだと存じます。電力不足による生産減、又自然労働問題にも波及しまして労働者の馘首、或いは賃金の不拂、延いては労働者のハンストというような種々憂慮すべき事情が各地に発生いたしましたことは御承知通りだと存じます。私は本議会に電源開発促進に関する法案が提出されましたことは、法案の是非は別といたしまして、電力を急速に増加しなければならないという民意の反映と心得まして非常に愉快に存ずるところであります。先ず電力不足が現在のように窮迫を告げておりまする場合には、私は主義や理想でこの問題は解決すべき問題じやないというのが私の持論であります。続いて結果として第一に、若し本法案家施によりまして電力が早くでき上つて早く供給されるということが確保されて、第二に発電所がこの法案の施行によつて安く、つまり建設費相当な、又それに相応する立派な発電所建設されるということ。又第三に、発電所のような、あとになつて変造、改廃、変更というようなことの殆んど不可能な建造物は、治水利水の面において遺憾なきを期するため拙速を避け、国土総合開発に基いた十分なる調査研究の下にでき上つたものであるという、この三つの事柄が若し満足できまするならば、私は喜んでこの法案に賛成したいと思うのであります。  次いで私は建設関係のかたにお伺いいたすのですが、数年前から国土総合開発計画というものが実施され、調査機関は熱心にせられたはずでありまするが、今までに調査済み、又はやや調査ができ上つたというような所はどこだろうかということをお伺いしたいのであります。緊急電源開発要綱附表というものを頂戴しておりますが、これにある各地点は先ず大体日発及び各配電会社計画したものをそのまま用いた、本当にいわゆる数年前からやかましく論議せられた国土総合開発計画に準拠したものはどれとどれがあるか。或いはこの中の本当に総合開発計画に立脚して発電計画を立てたのはどれであろうというようなことを先ずお伺いしたいのであります。これは建設省関係の御担当のかたで結構であります。
  4. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 国土総合開発につきましては、政府といたしましても極めて重要な問題として大いに力瘤を入れておるのでありまして、これの具体的な問題といたしましては、昨年国土総合開発法に基く指定地域というのを、全国に亘つて十九地域指定いたしたわけであります。その中で、地域によりまして調査がよく行つておる所と、地域によりまして調査がまだ十分行つていない所といろいろに分れておる。我々の関係しております電源開発関係におきましては、北上川水系、或いは利根川水系等におきましては、この調査が相当私は進んでおると、こういうふうに考えております。又四国あたりにおきましては、那珂川の関係であるとか、或いは高知県の関係であるとかいう所におきましても電力発電関係相当研究計画が進んでおるということを申上げられると思います。
  5. 結城安次

    結城安次君 只今大臣の御答弁でほぼその進行の程度はわかりましたが、私は本当に日本国土総合開発をするというならば、一年、二年の簡單な計画調査ではそううまく行くものじやない、恐らく十年、十五年かからなければいけないのじやないかというふうに思われるが、而して日本に十年も十五年も調査した所があるかというと、これはあと建設省関係ありませんから申上げますが、私はあると信じております。数河川は殆んど明治大正時代から発電計画を基礎として水量ということについては十分に調査した所があると思いますので、それらのことはあと申上げますが、第二にお尋ねいたしたいのは、国土総合開発計画方針は大体風水害、これを除いて、つまり国土を安定させるのが目的でありますが、この風害というものはそう恐るべきものではないというのは過去の実績が示しております。多くは風害水害が伴つて来る、いわゆる風水害と申しますが、この風水害の場合に、風はとにかくとして、水害だけでも除くことができますならば、日本国土損害は殆んど救われたと言つてもよいじやないかという考えを私は前から持つておるのでありまするが、この水を防ぐと申しますが、これはどうしても建設省関係の治山、治水利水と、こうなりますが、私は発電計画利水目的でやつてはいけない。治水というものの結果、発電計画を立てるべきものである。即ち一番大きな計画になるようであります。同時に、この資源不足日本において、水ほど大事なものはない。いわばこれは天から降る石炭だ。私は明治四十二年にでき上つた日英水力電気会社という会社の記録を伺つたことがありまするが、そのときに、ホワイト・コールという字をイギリス人の技師が使つております。それほど大事な水を、而も災害国土に及ぼしながら流すというようなことは、建設省としては最も重大な関心を持たなければならない。その水をどういうふうに使つたらよいか、つまり水は、あれくらい穏かなものはいわばないので、あばれさせるとこれは始末におえないというものですが、この水を穏かにするというような考えから見ますと、つまり山には植林、砂防工事、或いは繋留、防砂堰堤、続いて大きなダムを作る、平地においては遊水地帯を作るということ以外には先ずない。そこいらをうまくやつたならば、日本水害は除けるじやないか。然るに年々五、六千億と言われる日本のこの災害を、今大体いろいろの費用を入れて災害予防に使う金は一千億円と伺つておりまするが、そういうことでは、到底これは救われない。建設大臣は、この大きな考えで、ダム建設、或いは発電所とタイアツプして、大きな、まあいわば本当に今ならば馬鹿だと言われるほどのでかい計画をやるようなお考えは如何でしよう。ちよつとお伺いいたしたい。
  6. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 結城委員の御説非常に同感に存ずるところも多いのでありますが、私といたしましては、できるだけたくさんの予算を獲得いたしまして、大規模なるダム建設等によりまして、利水効果を一〇〇%発揮すると同時に、その水を利用いたしまして豊富な電力を起す。又その水を利用いたしまして、田畑の灌漑を完全にいたしまして食糧の増産を図るという方向に進みたいと考えております。但し、現在の財政状況或いは国内の資金蓄積状況から申しまして、只今限度で或る程度満足しなければならないような状況になつておりますが、私は今後できるだけ金を殖やしてもらうことに努力すると共に、この金を如何に有効に、如何に経済的に使うかということについて、更に考えをめぐらしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  7. 結城安次

    結城安次君 只今建設大臣の御答弁で、有効にという言葉がございましたが、誠に御同感です。併し、そのようなこの災害防止費用でこれが有効と言われるだろうかどうか。実は私は利根川関係においてもいろいろ地元関係で話も伺つておりまするが、災害の復旧よりも、年によつては新たに起る災害のほうが多いと、今後ともこのままでは到底行かれないかと思われまするのは、私の郷里の地先利根川でありまするが、私ども子供の頃から今までで約四十何年になりまするが、二メートル以上川床が上つておる。而も毎日川を下りまして、東京から蒸気船が入つて来て、私はそれに乗つて来た、汽車 ない時代。これが蒸気どころか船も入れない。それが今度は利根川の栗橋の鉄橋が完成したので、利根川の取手の鉄橋を一メートル七十とか何とか橋脚を引上げる。そうすれば第六号国道はもう川の底を通るほかない。こういうふうにほうぼうに金を分けて使うということは、まるで賓の河原石積みのようなものだ。これは大臣として、過去のことはとにかくとして、今後、或いは今年より、どういうふうな、今までのようにただほうぼうに金を分けるというようなことでいいだろうか、どうだろうか。災害が起きた所をどこもここも直さなくちやならんことは確かでありましようが、併しどこもここも直すということは、どこもここも直らんということになる。どこかに集中してやらなければならん。国家仕事として重点的に改修して行くというようなことでなければならん。私は非常に物足りなく思つておるのであります。これが本当に、その県或いは市町村ならば又小さく考えるのもよろしうございますが、国家として、建設省として今のような考え方で今後も行くということではどうかと思われますが、建設大臣の御所信を重ねてお伺いいたします。
  8. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) お話利根川に触れましたので、利根川について申上げるほうがよろしいかと思いまして申上げましたのでありますが、お示しの通りに、利根川大変砂が溜まりまして、だんだん浅くなつてつておるということは実情でありまして、先だつても私利根川の河畔で浚渫船を入れて新らしく中下流浚渫を始めましたところが、沿岸の百五、六十カ町村の人が大変喜びまして、たくさんの人が集まりまして、その浚渫着手を喜びまして、私呼ばれましたので列席したのでありますが、聞くところによりますと、利根川には四千五百万立米土砂が溜まつておる。これを取除かなければならんというようなお説が出ておるのであります。四千五百万立米と言えば相当莫大な量でありますが、そういうものが溜まつておる。これは我々といたしましては、浚渫船その他の方法によつて極力これを今後除くように努力いたしたいというふうに考えますが、同時に、毎年々々上流から何百万立米という土砂を流して来るのでは、これはいつまでたつても賓の河原石積みみたいになるのでありますから、その上のほうを固めなければならんというので、只今承知通りに、利根川の、或いは鬼怒川上流におきましては、大きな堰堤を設けまして、上流によく水を溜める。又砂防いたしまして、できるだけ土砂の流出を防ぐ、いろいろな方法を講じてこれに対処いたしたいと考えておるのであります。経費の点につきましては、利根川利水連盟のかたがたから、絶えずいろいろと叱咤激励を受けつつあるのでありますが、全国的に見ますと、相当利根川に対しましては、割合は記憶しておりませんが、多くの部分を割いております。注ぎ込んでおるつもりでありますが、全体の予算の幅がそれほど大きくない関係上、まだ十分に行つていないということは遺憾だと存じますが、今後もこの予算金額の増額も図ると同時に、重点的に施行いたしまして、災害の防除、利水効果を発揚することに努めたいというふうに考えております。今までの旧来の利水対策は、御承知通りに、川床が高くなるということで、両方の堤防を蒿上げするということが中心になつて来たのでありますが、それではいつまでたつても問題が解決しない。どんどん堤防が高くなる。川床が天井になるということがありますので、今後はもとを固めて行く、もとを固めるという点に一番力を注ぎたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  9. 結城安次

    結城安次君 只今大臣の御答弁は誠に私は有難く思つておるのでありますが、親の心子知らずと申します。実は私も利根川については浚渫しろ、ところがむやみに深くすれば大水のたびに又埋まつてしまう。それだけ浅くなるのだから深くしなくてもいいじやないかと言う。私はできるだけ川の底を上げろ、その砂は堤防の内側に置いてもいいじやないか。川底浚つた砂は結局川の両岸の中の面積というものに置いてもいいじやないかとまで極端に申しましたところ、それは絶対にいかんのだ、こうこうこうだということだということで非常にやかましい議論がなされたようでありました。私は浚渫する一面ダム、この二つしかないと思つておりますが、ここでダム、つまり土砂が下に流れるのをとめる、つまり水をとめるということになります。水がきれいになれば溜まつてつて川底は年々下るのでありますから、ダムの大きなものを作りたい。利根川でも大分いろいろほうぼうに計画もありまするが、私はもつと大きなものでなくてはいかんのではないか。そのときに発電会社電源開発をして行くならば、ダム建設には限度があるのです。これこれこれの高さまでは引合うが、それ以上は引合わないということになります。それでは治水目的にはならん。なりますが完全ではない。これは私が前から申上げはおりますが、治水のためのダム河川改修その他はすべて治水を第一に目的として行く。その治水の結果ダムということになるわけでありますが、この治水目的費用を全部電力会社に負わせるということは、これはむずかしいので、電力会社と国との二つの合作で行かなければならんのでありますが、そこで先ほど費用がない。国の金がないからどうも思うように行かない。誠に御尤もでございますが、国の金がないけれども、発電事業には又別の方面からこれは出て来るので、堤防改修その他についての費用は限定されましようが、利水のための費用考え方によると随分と大きく出て来ると思います。この利水業者と国とが連結と申しますか、合体して、本当の目的は五十メートルのダムがいいだろうというところを若し七十メートルにするならば、水の容量が又何千万立方メートル溜まる。そうすればつまり下流洪水をこれだけ防げるということがちやんとそろばんに出て来るはずです。私の聞いたのが或いは誤りかも知れませんが、利根川沿岸において過去何年間の年々の米だけの損害が何十万石、何十万というのは余りに漠としておりますが、何でも二、三十万石は年々潰れておる。二、三十万石を逆に換算して資金化するならば何十億という金になる。どうしても年々二、三十万石の米が助かるならば出していいわけです。そこまで一つ私は建設省としても足を踏み込んで発電計画の旗を持つて先に行く。費用はお前らは幾ら出せる、これこれこれは出せる。あとは国で持とう。併し国で持てなければここまで行こうという話合いをして進んで、それのために御盡力願いますならば、私は発電計画はもつと楽に円満に進むのではないか。ややともすると、地方の要請、いろいろの関係もありましようが、役所と申すと語弊がございますが、成る場合は役所ということもありますが、そのほうの支障のために発電計画の実施ができないという例も多々あるのでありますが、そこまで役所としては踏み込んでやるという今お考えがありますかどうか、ちよつとお伺いしたい。
  10. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 政府といたしましては、財政並びに金融の許す最大限度まで国土資源開発するというふうに努力をいたしておるわけでありまして、建設省といたしましても、或いは直接一般会計の金を使うということもあります。又資金運用部資金を活用するということもありましよう。又場合によりましては、地方団体と一緒になりまして、地方団体が自分の力で以て金融市場から得る金を注ぎ込んでやる、いろいろな態勢考えられるのでありますが、我々といたしましては、その場所、仕事性質等によりまして、最も有効適切な方法を選んでこれを強力に推進して行きたい、こういう方針で進めておるわけであります。
  11. 結城安次

    結城安次君 だんだん大臣のお考えはわかつて参りましたが、考えだけでなく、今の利根川の問題では、或いはその支流の鬼怒川も含んで、どういうふうに今治水利水計画をお立てになつておりますか。どこへどういうふうなダムを作る。どこの所にどういうふうな遊水地帶を作る。或いはどこの発電所はどのくらい出るとか、利根川に関する計画、或いは鬼怒川、利根の水系、これがございましたらお聞かせを願いたいと思います。
  12. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私概略はわかつておりますけれども、担当政府委員が来ておりますから、政府委員から説明をいたさせます。
  13. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 利根川計画は、現在やつておりまするのは、五十里にダム建設中であります。藤原藤原というのは本流上流ですが、群馬県の藤原に一カ所、現在そのほかにダム地点として調査中でありますのが、鬼怒川に一カ所、群馬県内に五カ所ぐらいの地点を探しておるのであります。これらが全部洪水調節に役立つことになりますると、上流において、三千立米洪水を調節することになりまするので、それが利根川本流には相当影響がある。それからこれらの事業を推進するために発電会社、或いは特殊会社との協力態勢も十分整つております。御承知通り藤原は東京電力がやりまして、これらの費用電力会社と我々のところでお互いに分担してやつておるのであります。
  14. 結城安次

    結城安次君 利根川の殆んどの計画只今伺いましたが、大井川について何かあればこれも伺いたいと思います。
  15. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 大井川は御承知通りに、発電関係としては、すでに結城さんの御承知通りに、調査は大分進んでおりまして、相当有望な地点であるということが発見されておると思います。これの治水効果をどう見るかということは、目下調査をしております。と申上げまするのは、大井川の下流地帶耕地に対する影響というものは余りに大きくありませんので、この耕地面積その他生産量といようなものを研究いたしまして、これなんかも利用して或る程度治水効果をやらなければならんじやないかというふうに考えておりまするが、最近まだ調査中であります。
  16. 結城安次

    結城安次君 私は只今大井川として伺いましたのは、大井川の、つまり川をいろいろ研究調査の結果、つまりいろいろの工事を施すということが、つまり民間住宅を動かすとか、或いは用地を潰すとか、これが一番少い川じやないかと思つております。それですからこれらについての一つサンプル、或いはモデルをああいつた所で計画だけはなすつてみたらどうか。利水計画は殆んど私は完全にできておるのじやないかと思うのです。あれは明治時代からの問題でありますから、利水の問題は今更調査の必要は殆んどないのじやないか。ただ治水の面から見てどういうふうになるだろうか。いわば計画してやつてこれが大変な失敗でもしては、つまり地方に及ぼす影響は非常に大きい。併しあすこは仮に計画が多少誤つても、計画自体失敗だけで済む。つまり一般地方に及ぼす影響の非常に少い所であります。これらに対して一つ今後、或いは今何らか調査しておられますかどうか。局長からちよつとお伺いしたい。
  17. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 只今申上げました通りに、治水効果調査いたしますることがなかなか、一応概念としては下流耕地面積が狭いということで、見通しといたしましては治水効果を狙うのがなかなか困難であるというふうにとつておりますが、併しながらやはり将来の点から考えましても、治水効果を狙う必要があるのではないかというふうに考えておりますので、現在は調査中なのであります。
  18. 結城安次

    結城安次君 この間、経済安定本部長官という名前でこういうことを衆議院言つておるのでありますが、水利法を判定し総合計画をするのは希望するところであるけれども、その制定のために暇取つて開発促進ができないから止むを得ずこの法案を出したというようなことを申しておりまするが、建設省といたしましては水利法を制定しなければ、この法案ができなければ発電計画ができない。つまり促進できないということの裏には、これは特殊会社、特別の強権を発動しなければ電源開発はできないのだろうということじやないかと思われまするが、これは追つて安本長官にお尋ねしますが、建設大臣としてはやはりいろいろ地方問題、人家問題等、その他のために強権を発動しなければ電源開発促進はできないものだというふうにお考えかどうか。つまり役所が許可をし、それで行くものならば強権を用いなくともうまく行くのじやないか。又そう用いなければならないようなものならば、民間でやるも役所でやるも同じじやないかというような気がいたしますが、これは建設大臣のお考えは如何でございますか。
  19. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私は私の感じ申上げるよりも私の聞いたところを申上げますと、地方に行きますと、大きなダムを作る、治水のためにダム建設するというような場合には、当然そこに水没地帯、相当ダムが大きければ大きいほど大きな水没地帯が生ずるわけでありまして、その土地の民生に及ぼす影響はかなり甚大なものがある、それからダム溜つた水を使う使い方によりまして、下流農業者、その他のものに及ぼす影響も極めて大きい、こういう問題になつてその当該地方一般大衆諸君の生活とかなり密接した関係を持つているのであります。こういう仕事をする際には、それを実行するものがパブリツクな性質を持つているほうが何となしに安心だ、こういう感じを持つておる。これは地方民の実感でありまして、そういうことを私は地方行つてしばしば訴えられたという事実がございます。
  20. 結城安次

    結城安次君 だんだん建設省のお考えがわかつて来ましたが、ここで大臣に特にお尋ねしておきたいのは、発電計画、今後殆んど変更不可能の発電計画をするのにどこが中心で行くか。ただ單に民間の出願、これをそのまま行くのか、或いは今度の特殊会社法案通つたと仮定したとなれば、そこで出願したものでやるのか、電力審議会というものを作ると申しておりますが、あれを見ましてもそう進んで改変命令というようなことにも行かんように思われますが、今後の私は日本資源というものは電力以外にはない。結局電力を物に化して日本は外貨を獲得しなければならん。殆んど無盡蔵に要するこの電力を單なる会社若しくは県、或いは公共団体の計画に任せておいていいか。逆に申しますと、私はむしろこれはもう日本中の計画を、一河川ごとに治水利水を兼ねたものを建設省が立案して、これによつて電源開発をさせる。その計画に則らないものは電源開発はさせないというくらいに水を大事にするということが、大事に使うと同時 水害を予防するという、この二つの並行した目的を以て今後の日本電源開発をしなければならんと思うのでありまするが、今後の電源開発に関しては役所はやはりそういうふうのお考えですか。或いは今までのような方針で行くのか、その方針一つお伺いしたい。
  21. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今結城委員の御指摘のような方向に私は当然進んで行くと思います。現に今までもそのように進んでおります。今後もそのように進むと思います。ただ建設省が何とがと言われると当り障りがあるから、建設省とばかり限らず、建設省は勿論大株主でありますから大いに努力します。関係各省と十分協力いたしまして、この国土は狭いのでありますから、この狭い国土を一〇〇%活用しなければなりませんので、十分関係各省、又は民間側のお力を借りまして最善の計画を立ててそれを強力に実行して行くべきである、こう考えておる次第であります。
  22. 結城安次

    結城安次君 私の言葉が少し足りませんでした、実は国土総合開発計画建設省にあると私は思つておりましたのであれを指したわけであります。いわゆる国土総合開発計画というもののできた所から発電事業をさせるというふうに私はすべきだということを申上げたのであります。建設省中心というのは私の言葉の誤りでありました。これは訂正しておきます。  それから法案第三條の電源開発に関する総合調整、これが第三條に「経済安定本部総裁は、電源開発の円滑な実施を図るため特に必要があると認めるときは、国土の総合的な開発、利用及び保全、電力の需給その他の事項を考慮して関係行政機関の施策が計画の総合調整を行う」とありまするが、これは只今大臣のお考えとも私の考えともちよつと違うのじやないか。これは総合開発計画に、つまり電力開発計画総合計画とが齟齬した場合には安本長官これを調整するというように取られますが、これは逆じやないでしようか。私はすべてが国土総合開発計画に立脚して行くならば、安本長官のほうから国土総合開発のほうに向つて調整を頼んで来るということになるかと思いますが、これで見ますとそうなつておらんように思いますが、これは如何でございましようか。
  23. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) お示しの点は御尤もの点があるのでありまして、国土総合開発計画の具体的な計画が立つておりますれば、それに従つて当然発電計画も進められて行く、こういうふうに思うのです。併しながら国土総合開発計画はすべて多面的と申しますか、多角的と申しまか、いろいろな事項に亘つておりますので、その完成が遅れる場合がある。そういう場合、併しながら電源開発は急施を要するというような場合におきましては、総合開発計画そのものは全面的にまとまつておりませんでも、その総合開発計画全体をなすところの部分と申しますか、それを形作るところのいろいろなフアクターというものはそれ相当にわかつて来ておるのでありますから、それと十分見合せまして電源開発計画を立てる。それを実行して行くということができるようにいたしたい、こういう趣旨だと思います。
  24. 結城安次

    結城安次君 多分そういうお考えかと存じましたが、この電力をどれくらい作るかということになると、そう日本で一遍に始めなくてもよろしいのでございまして、大体年に四十万、五十万キロ進行して行けば、もう数年で大体充足できるという状態のときに、急ぐから国土総合開発計画が未完了のものでも着手するというのが、私はこれになりはせんかと思つて申上げたのですが、それを未完了のものを着手してはいかんというのが建前で、完了したものがあるのだからそこからやれば、日本にはまだ年四十万、五十万はここ五年、七年見たところで、完了した所でやり得るのだから、こういうのは徒らにあつちもこつちも始めるということになると禍のもとになりはせんかというので、私はちよつと御意見だけ申上げたのですから、これはお含みおき願います。  それから大臣もお急ぎと思いますからあともう一つお伺いいたしておきますが、この第四條になりますが、法案についてはいずれ立案者のほうにあとでお伺いしますが、建設大臣関係のあるのは二カ條ありますので、この河川法その他が非常に私は地方に権限が多過ぎはせんかと思う。若し嚴重に、地方が自己の主張をちつとも曲げないということになつたら、もう地方の思う通りでなければ建設ができないのじやないか。河川法でも何でも皆地方長官が殆んど全権を持つておる。地方長官に冠を曲げられたらもう手も足も出ないというようなことになりはせんか。殊に地方長官は選挙ということの結果、地方との利害が更に前より深くなつて、そうでなくてもこの電力問題というものは殆んど地方問題であります。その地方問題が以前よりも深刻になつて来るというために、例えば国がこれがいいと思つてもそれができないというようなことが今後出て来はせんかと思いますが、これらについて何か是正策がございますかどうか。一例を申上げますと、宮崎県なんかはあると伺つてありますが、会社と県との食い違いのために着手するまでになつておりながやれない。今は電力が私が先ほど冒頭申上げ通り早くできるなら、もう或る程度辛抱しても賛成しようかと思うくらいでありますが、今後大きな問題が、大きな発電所が続々建設されるときに地方との関係、或いは河川法その他のことに対して、何らか力と申しては語弊がありましようが、この国家目的に副うようなものならば、或る程度地方の主張を曲げても行い得るというような方法をお講じになるようなお考えがございますがどうか。
  25. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 河川法の條文の表面におきましては、地方の県知事が水利権の問題につきまして大きな権限を持つておるように見えるのでありますが、その他いろいろな規定によりまして最後的には建設大臣の権限というものが存在しておるわけであります。今までの建設省の経験では、河川法で知事が権限を持つておるから国策遂行上支障を来たしたということは聞いておらないのであります。府県知事が水利権を持つておるために、宮崎で云々という話がございましたが、この問題につきましては県の意向も私聞いておるのでありますが、県の申します点も、国家的に只今御指摘になりましたように河水、利水などを考えた場合には相当な主張があるわけでありまして、この主張と電力会社の言われる主張と両方あるわけであります。これは国家的の見地で以て十分検討して、その最善のものをとる、こういうふうに行くべきだと考えておるのでありまして、只今までのところでは幸い権限の問題でいろいろ実質的に国益を阻害しておるというようなことは我々としては感じていないような次第であります。
  26. 結城安次

    結城安次君 もうこれで私は終ります。今私が宮崎で云々と申しましたのは、ただそういう争いがあるというだけなのです。今まで余り支障がないというようなことは、大臣のおられる東京まで問題が来なかつたということでありまして、これは事業者というものは非常に苦労しておる。容易ならん苦労をして漸くまとめ上げて東京に来るものなんで、東京に来て話をするとき、地方の話はどうなつておるかと言われるので、これは国家的の仕事だから断行してもらいたいと言つてもそう簡單には承知できないし、又言うだけの勇気も事業者にはないものですから、何とかしてまとめる。その苦労というものは非常なものです。今後は何とかもう少し下情に通ずると申しますか、実際事業者が苦労しておるということを御承知願いまして、できるだけ今後はそういう支障はつまらん手数で、無駄な費用でございますから、これらについては特にお考えを願いたいと思います。  委員長申上げます。私は昨日申上げましたように法案並びにその他のことは次に伺いたいと思います。
  27. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) お話の点は極めて御尤もな点でありまして、私の耳に入るまでいろいろその途中で業者のかた等がお困りのことがあろうことは十分お察ししております。今後その点につきましては十分注意して参りたいと思つております。
  28. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今日の質疑予定者のうち建設大臣に対する要求はもうなかつたと思います。建設大臣に対しまして内閣委員長から今頻りに出席方を要請されておりますので、御退席を願いたいと存じます。  次に質問を続行いたします。
  29. 境野清雄

    ○境野清雄君 私は通産委員として今度かけられております法案についての質疑をいたしたいのでありまするが、その冒頭にこの法案関係外であります電力の再編成の問題並びに本法案によります枢要な発電所を一社で独占的に開発するということは何といたしましても、日発の再建とほぼ同一の問題である、こういうような問題を十二分にお伺いしたいのでありますが、たまたま私のほうの同僚議員である栗山君から前に聞かれまして、そうしてその御答弁を得ておりますので、通産委員として、通産委員会としての連合委員会の最終にこの問題について再度質問申上げたいと思うのであります。そういうような関連から行きまして、通産委員会関連としての本法案による運営の面について、或いは技術陣の問題、資金面というようなものについて順次質問をいたしたいと思うのであります。  本法案電源開発調整審議会と、それから電源開発会社との二本建に構成されておるのでありまするが、電源開発会社を作つて更に開発を推進しようとする意図がある半面におきまして、開発に関する基本事項を尨大な調整審議会にかけて審査をするというようなことは却つて促進を阻害し、両者は開発促進の面において相当矛盾しないかと思うのでありますが、この点について提案者の御説明を願いたいと思います。
  30. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 電源開発促進するということについてはどなたも御異存のないことでありまして、私たちも電源開発を大いにやらなければいけないという建前をとつておるのでありますが、併し、だからと言つて、先ほども結城さんから御質問がありましたけれども、何でもかでもどこでもやつていいということにも相成らないのであります。日本の最も宝となつている電源というものを如何に合理的に有効に、又基本方針を立てて使うかということは、将来に亘つて日本の発展のためにも、経済の復興のためにも非常に大事なことと存ずるのであります。そこでこれをいろいろの面から考えまして、そうして最も有効に使うような考え方一つつて行かなければならない、それには関係者、関係各省の連中、或いは民間の権威者等を集めまして、どういうふうに有効にこの水を使うかということの基本方策を作ることが、将来に亘つても非常に大事な問題であると考えましたので、そこでこの審議会を設けたわけでございますが、審議会は従つてそういう建前でありますので、徒らに問題を遷延させるというよりは、そういうような水利の問題とかいろいろな問題で却つて非常に隘路がある。実は実際に電源開発をやつて行きますというと、会社でやられます場合においてもいろいろな隘路が、いろいろな問題で起きて来るのでありますが、そういうような問題を調整して、そしうて早くやらせるという目的を持たせる意味においても作つたのでありまして、今言いましたようにこの基本的な方針と、そうして各関係管庁、或いは関係者との間の調整を図るというこの二つの機能を持たして行くべきである、こういう意味でやつておるのでございまして、審議会は決してそのような、今御指摘になりましたような御心配は起きないであろうと私たちは考えておるわけでございます。
  31. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今お話がありましたが、私どもの考えるところによりますと、大体電源開発調整審議会というようなものでは、関係者が一堂に集りまして、そうして審議するというものは、個々に打合せするのよりはそれは確かに早く決定するというような考え方もありますけれども、審議会の運営をどういうふうにするのか。言い換えまするなら、我々の一般の通念から考えまするなら、関係の各大臣というものが、水力開発に関しまして造詣の深い人ばかりが集まるというようなことは考えられないのでありまして、結局そういうような結果から行きまするなら、官僚の縄張り争いになりやしないかというようなことが一つ大きく懸念せられる。そうしてそういうような官僚の縄張り争いから逆に決定を遅らせる。言い換えまするならこの審議会自体が、最も科学的でなければならない裁定そのものがむしろ政治的に流れまして、却つて裁定自体が非常に遅れるというような懸念が相当あると思うのでありますけれども、その点に対して提案者は如何お考えでありますか。
  32. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 関係大臣が審議会というか、それに出席いたします前には、事務当局が、実はこの審議会には一つの事務局のようなものを設けるつもりでおるのでありまして、その間においていろいろの下相談が行われる、又関係者との相談も行われるわけでございまして、いよいよこの審議会が開かれます場合には、問題のあり方というものは大体皆はつきりいたすわけでございます。そこで決定をいたすのでございますから、そのために遅れるということはないと考えておるのであります。なお又質問者の仰せられましたことは、それによつて政治的に問題が解決せられることになりはしないかということを恐れておいでのようでございますが、その面は学識経験者が七人もこの委員会には入つておりまして、民間側を殖やしたわけでございまして、そういう人たちが入つて、そうして公正にものを考えるということでありますれば、多分にこれは矯正ができると思いますし、又実際の政治自体というものを考えて見ましても、いろいろそれはそういう事例がないとは私は申しませんけれども、政府の当路者になつた者は常に政治的な問題だけで物事を解決して行くということにいたしましたならば、これはなかなか政治というものはやりにくくなるわけでありまして、私はその面ではそれほどこの政治問題というものを重視するということにいたしますというと、すべての委員会の構成とか、政府の行政機関のやり方というものが実際問題として非常にむずかしくなる、かように考えるのでありまして、私といたしましては、これが非常に曲げられた決定がされるとか、或いはそのために非常に遅れるとかいうようなことはなく、却つて促進できるものである、かように考えておる次第であります。
  33. 境野清雄

    ○境野清雄君 いずれにいたしましてもこの調整審議会というようなものに対しては、私どもは相当なこれは議論があるのじやないか、こういうふうに思つておるのでありまして、これは勿論御存じだろうと思うのでありまするが、長らく日本を占領しておりましたアメリカにおきましても、電源開発の問題は、相当長い間日本自体に関心を持つて電源開発の問題にも力を入れておられた或るアメリカ人自体、そのおかたが書いておりますもの自体でも、この電源開発調整審議会或いは電源開発促進委員会というようなものが是であるか非であるかというような議論がしてあるものを見ましても、このような審議会や委員会の設立は、電源開発促進するよりもむしろ遅滞せしめる傾向がある。かかる事柄を取扱う通常の経由機関は、すでに存在している通常の経由機関に更に上記のごとき機関を加えることは、又遅滞の原因となる障碍が一つ殖えることになる、こういうふうにまで謳つておるのでありまして、これは提案者自体におきましても、今までこの法案を提出するまでに、こういう声が相当従来日本に非常に関係の深かつた電気関係のアメリカ人のほうで唱えられておつたというようなことについては、勿論知つておつたと思うのでありまするし、そういうような点に関して一応提案者自体はどんなふうに考えておられるか、その点伺いたいと思います。
  34. 福田一

    衆議院議員(福田一君) アメリカの占領軍がおられましたときにそういうような御意見を持つておられる人があつたということは、実は私は只今拝承いたしたところでありますが、勿論これにつきましてはいろいろ御批判も又御研究もあろうかと存じますが、私たちといたしましては、決してそのようなものではない。又アメリカのかたがどう言われたかということによつて、私たちは今後政治をやるべきものでもなかろうかと思うのでありまして、それはいいことは非常にいいとしてこれを認め、又大いにこれを強力にやつて行かなければなりませんが、併しアメリカのおかたがおつしやつたからというだけでは、我々としては納得が行きかねる場合もあるのであります。勿論境野さんはそういうようなことを私に言われたわけではないことはよく了承いたしますけれども、提案者といたしましては、アメリカの人の中にもこの法案に賛成して頂けた人もあつたということを存じておるのでございまして、決してアメリカのかたの意見が全部一致しておつたというふうにも考えておらないということを申上げたいのであります。
  35. 境野清雄

    ○境野清雄君 勿論私どもが質問するのに、アメリカのほうでこういう話であつたからというようなこと自体を私は決して強調するのでもなし、そういうようなことはむしろ提案者のほうが考え違いであろうと思うのでありまして、私どもはそういう考えでなく、従来長い間日本の電気にも関係しておつたアメリカ……アメリカというのがまずければ、或いは日本にいたしましても、こういうものに相当長い経験を持つておつたかたさえこういうような話をしておるということを申上げたのでありまして、ただ運営面の上から行きまして、電源開発調整審議会というものと電源開発会社というようなものとぴつたり来ておらんというような考えがありますので、それに附随してこういう点を申上げたのであります。なおこういうような問題に関しましては、幸い公益事業委員会からも来ておられるようでありますし、公益事業委員会自体といたしましては、今提案せられておりまする提案者よりももつと長い、前からこういうような問題に関しては一応お考えになつておられたのじやないか。又今のアメリカ側からそういうような議論があつたというようなことも、公益事業委員会としては一応事前の折衝の間に私は聞いておられるのじやないか。聞いておられることそのこと、聞いておられるのか、おられないかというようなことを私は質問するのではないのでありまして、こういうような議論が出たといたしましたなら、そういうものに対して公益事業委員会としての見解はどうであるか、こういうことをお伺いいたしたいと思います。
  36. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 御質問の事柄について、具体的にはつきり私がお答えすべき点を御指摘がなかつたように存じまするので、従いまして私は境野委員お話感じました一、二を公益事業委員会委員として申上げてみたいと思います。只今アメリカ側のこれに対する意見等もお話がありましたが、私はこれについては相当その当時政府、即ち安本並びに自由党政務調査会のかたがたが御交渉になつておりましたことについて、全部ではありません、又ことごとく正確なりと申すわけではありませんけれども、ややその一斑は伺つております。即ちその関係においては余り賛成でなかつたということは言い得られるわけであります。併しこれは只今の御質問にはまつた御返事を申上げているわけでありますのか、或いはただお話の、そういうことにも御質問があつたかと思つて申上げるだけでありまして、若し重ねて御質問等があり、御必要がありますれば、記憾を新たにし、或いは又持つております資料によつて御返事申上げることにいたして、大体概論だけをかように申上げておきます。  それから公益事業委員会としましては、只今大きな電源地点開発につきましてそれぞれ長く準備をし、調査をし、昨今その順序等を取りきめましてそれぞれ出発することのできるものは出発したいと思うております。これも事公に関する問題でありまするから、どういうふうにどこをどうやるか、而もそれはお前のほうは詳しい的確なる考え方があるかということになりますると、相当確実性を持つた方法只今準備いたしております。これも御要求あり次第できるだけ早く提出しても差支えないのであります。只今御質問に対してよい御返事とは存じませんけれど、大体御趣意がその辺にあつたかと思いまして概論だけを申上げます。
  37. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今お話で概略はわかつたのでありますが、私はこの問題に関してはもう一歩突つ込んだ問題を実はお聞きしたい、こういうふうに思つておつたのでありまするが、それは勿論私も確証を得ておるわけではないのでありまするが、以前におきましては、公益事業委員会といたしましては四社案というようなものを出されておつた。而して今後のこの法案で行きますものは一社案、こういうような形になりましたので、従来長い間におきまして公益事業委員会が四社案を立てられておる。そういう片方に政府自体が、突如として一社案が出したということに対しては 一社案と四社案というものの比較検討というものが、占領当時における日本の電気事業界においても相当なされたのではなかつたか、こういうふうに考えましたので、私は四社案と一社案との比較をやりました当時の経過を開きたいと思つておつたのでありますが、これは最後に廻しまして、私は次の質問に移ろうと思います。  次に私が心配しておりますことは、大体こういうような厖大な電源開発というようなものに何が一番大切であるかというようなことになりますと、今日の日本の電気事業から見ますなら、電源開発に対しましては、何としても技術人の問題が一番大きな問題じやないか、こういうふうに考えておるのでありまして、我が国におけるこの電力関係の技術人の量と、現在の配置状況はどういうふうになつておるのか、この点がわかりましたら一言お伺いいたしたい。併せまして特殊会社としての電源開発株式会社に十二分の技術人を現在の九電力会社関係なしに充足ができるのかできないのか。 こういう点について先ずお伺いいたしたいと思うのであります。
  38. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 技術人の分布状態についての御質問でございますが、これはまだ調査をいたしておりませんので、ここで申上げることができないのは甚だ残念でございますが、私たちといたしましては、勿論今度の電源開発法でやります場合には、できるだけこの電力会社の人にも協力をして頂きたいという建前をとつておるのでありまして、こういう面につきましても、今のところ電力会社のおかたは余り御賛成がないようでございますが、若しこの法案が通つて株式会社ができるというような場合においては、必ずや日本の国民として協力するというような気持になつて頂けるものと考えておるわけでございます。なおこの電力会社が協力いたさないという場合は、私たちは想定をいたしておりませんけれども、技術人が今の状況において集められるかどうかということにつきましては、私たちは相当まだ日本には電気に関係いたしまして技術を持つておられるかたで、今第一線に出ておられない人もあり、又休んでおられる人もあると考えておるのでありまして、十分技術人は充足し得られるものだと考えて本法案を提出いたした次第でございます。
  39. 境野清雄

    ○境野清雄君 大体私どのこの通産委員会のほうから見まして、二十六年度における各電力会社開発工事の進み方というようなものを眺めて見ますと、大渇水の状況等もあつたと思いますが、大部分の発電所は予定工事を数ヵ月切上げて竣工しておる。言い換えまするなら、各電力会社自体の現在における開発状況というものは非常にスムースに進すでおるのだ、こういうような点から行きまして、若し資金が続きさえするのなら、このまま私は相当順調に進んで行くのじやないか、こういうふうに思つておるのでありまするが、この点に対して提案者はそういうふうに思つておられるかどうか。前提としてお聞きいたしたいと思うのであります。
  40. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 二十六年度の電気工事のあり方については、大体順調には進んでおると思いますが、まあ地点によつては遅れている所もあり、これはいろいろ差があります。併しまあ非常に電力会社の人たちが一生懸命発電事業をやつていて頂けるということについては、私も境野さんと同様に考えておる次第であります。
  41. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今申上げましたように、順調に工事が進んでおる。その半面におきまして二、三の会社建設関係の内部事情というようなものを見ますと、戰争中及び戰後の開発工事の空白時代あとを受けておりますので、現在の工事では建設関係は人手不足を謳つておる、こういうような現状にあることは事実なんでありまして、今後の見通し、言い換えまするなら、最近出して頂きました提出資料を見ましても、電力会社、或いは県営いずれも工事量はこれは私は殖えるばかりじやないか、こういうふうに思つておるのでありまして、電源開発の遅れを取戻すためにはこれも結構なことでありますけれども、現在でさえ不足気味の工事関係の人員というものは相当大きな問題になるのじやないかと思いますので、こういうものに対して特殊会社設立の場合にはどういう計画でこの人たちを集められるのかをお伺いいたしたいと思います。
  42. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 実際に工事をやります場合において一番先に問題になりますのは、何と言つてもどういう計画ができておるかということでございます。計画の点に関しまするというと、三、四地点につきましては、なかなか前々から調査研究が進んでおりますので、こういう計画も参考として出して頂きますことになれば非常に工合がよろしい。いよいよこれを実際の実施面に移して今度はこれを工事を監督する、設計監督をするというような面になりますと、これは実際の計画ができておりますれば、そうたくさんの人手を必要とするわけではないのでございまして、そういう意味から申しまして、私たちが考え、又試案として考えておるような地点については、大体順調に人も集められる、そうして計画も実施できると考えておる次第であります。
  43. 境野清雄

    ○境野清雄君 この法案によりまする新しい会社というようなものは、大体三十五年度頃には清算に入るのだ。言い換えると、短期の会社というようなことを説明されておるのでありまして、そういうような問題から考えまするなら、現在でさえ今私の申上げましたような不足する建設関係の人を、こういうような三十五年には清算に入るのだ。僅かな短期間きりやらないのだ。短期の会社にこういうような今不足しておる技術人を集められる。勿論私は先ほどから提案者に聞いておりますところによると、提案者自体は余り深く考えておらない。技術人は必ず法案が通れば充足できるのだというような簡單なお考えでおられるようでありますが、こういうような短期の会社に果して今でさえ不足の技術人が集まるかどうかというようなことに非常に懸念を持つのでありますが、この点について伺いたいと思います。
  44. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 実は私はそういう面で今却つて迷惑をいたしておるような次第なのでありまして、いよいよこういう会社ができるなら、是非一つそういう会社へ入れてもらいたいというようなことを言うておる人もあるやに聞いております。又私の所にもそういう話が全然ないわけではありません。私は具体的には法律のあれをいたしておりますから、そういう問題は全然私の關與するところでありませんからと言つて全部お断りしていて、名前も全部聞きません。聞きませんが、今の空気で見ますと、相当民間にもそういう人たちがおられるようであります。又これはこの法案を出つします前に、今御提示になりました問題は大変大きな問題でございますので、いろいろほうぼうの人たちにも相談をし、自由党としても又政府といたしましてもその面は研究いたしたのでありますが、十分その人は得られるという確信を持つに至りましたので、この法案を提出いたしたような次第であります。
  45. 境野清雄

    ○境野清雄君 この法案自体は、資金面と総合調整とに重点を置いた理論的構成からできておりますけれども、実際の工事を進めるのには建設関係の人間にどうしても重点がある、こういうことを考えなくちやならない。そういう点から行きますならば、この一番大きな問題を軽視されておりますので、これが世上で机上の空論だというような批評の出る私は根本問題じやないか、こういうようなふうに考えておるのでありまして、少い人員を有効に使用する、こういうことをどうしても考えなくちやならないので、既設電力会社のこの建設関係の人員を引抜くというようなことは今のお話ではあり得ないというお話でありましたが、私はそうではなく、これは実際に本法案通りまして、建設に着手するという場合には必ず私は建設関係の人員を既設電力会社から引抜くというような状態もできて来る、こういうふうに思うのでありまして、総合調整資金等の便益だけを與えまして、電力会社開発工事担当させるという案と、そうでなく只今法案に出ておりますものとの比較検討されたのかどうか、もう一度申上げまするなら、総合調整とその資金の面だけを心配してやつて電力会社開発工事担当させるということと、この法案にありまするような、電源開発会社自体が開発するというものとの案を比較検討されたのかどうか、されたとしまするなら、その結果はどういう結果が出ておるのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  46. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 電力会社に金を融通することにいたしまして、そうして工事促進するというのも一つ考え方でございます。十分この点はいろいろ考えたのでございますが、私たちといたしましては、国の財政資金を電力会社に融通するために一つ会社を作つて一つの公庫、金庫というようなものを作りまして、そうしてこれを融通して行くということにいたしますというと、電力会社相互の間におきまして、この金を余計取るという意味合でいろいろの問題が起きて来る。いろいろのまあ運動が起る。こういうことは却つて世上いろいろ伝えられておりますような、いろいろの醜聞を起す大きな基いになるということが一つ。もう一つは、電力会社に金を融通いたしまして、この工事をやらせるということにいたした場合には、それが有效適切に使用されるかどうかということにつきましては、実は会計検査院の検査というものを行うことができません。今の法律ではできないのであります。ところが特殊会社にいたしておきますならば、政府は二分の一以上の出資をいたしておりますので、今の会計検査院のほうにおきまして、当然会計検査院のこの調査が行われるというか、検査が行われることになりますので、国民の疑惑を拂拭することができる。又もう一つ、この電力会社に金を融通するということにいたしましても、御承知のように、電力会社は発足してから一年二、三カ月、約一年であります。発足してからまだ一年しか経つておりませんが、その間においていわゆる九分割の趣旨を徹底して、企業の合理化を図るという面におきましては、大分御努力にはなつておることは認めるのでありますが、国民全般にはそういうようなことがまだはつきりいたしておりません。又私たちといたしましても、もう少しやつてもらいたいと思うような点も大分にあるのでありまして、こういうような面を考えて見ますというと、果して電力会社に対してそういう金を、国の資金を流すことがどういうような影響があるか、恐らく今でもこの特殊会社を作つただけでも、こういうことは非常にその工事関係とも絡んでいやなことが起るだろうという噂があるのに、若し私たちがそういう法案を提出したといたしますれば、全く九電力会社は利益を追求しておるとまあ今国民は見ておるのでありますが、そういう利益を追求しておるところの電力会社の走狗になつて、我々は手先きになつておるのだという非難を受けることが非常に大きいと思われる。そういう面も又一つの考慮をいたした点でございます。まあいずれにいたしましても、電力会社に金をやつて、そうして工事をさせるということよりは、やはりこの一つ特殊会社を作りまして、そうしてこれに外資の導入ができるならば導入させるような方針をとる。更に又もう一つは、国民の疑惑を除いて、そうして公正に、而も迅速にこの発電計画を進めるようにしたほうがいいのではないか、まあかように考えましたので、そこで結論といたしまして、一つ特殊会社を作つてやるということにいたしたわけでございます。
  47. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今の両法案の比較検討論は、私は全く逆な考えなのでありまして、これはまあ最後に一つ議論をさせて頂きたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、只今私の申上げました技術陣、或る方面からの私はニユースを得たものによりますと、電源開発の有能な技術者は、殆んど全部と言つてよいほど、現在の九電力会社に配属されておるのだというような話も承わつておるのでありまして、只今私が質問いたしましたいわゆる新らしい電力開発会社におきましては、技術面に相当の私は難点が出て来るじやないか、言い換えまするならば、他の既設の電力会社建設関係のかたがたを抜かない限りは私はなかなかこの電源開発をやることに困難を生ずるのではないかというふうに考えておるのでありまするが、この問題に対して公益事業委員会としては如何ようなお考えを持つておられるか、これを是非承わりたい。なお又公益事業委員会におきましては、先ほども私の申上げましたような、前に四社案を持つておられた、そういうような関係からいたしまして、四社業としまするなら、一社よりも更に人員は分散すると考えられます。工事要員の配置については、この点は公益事業委員会としてはどうお考えになつておるのか。勿論只見川に対する東京或いは東北の合同出資会社というようなことになりまするなら、これは本法案のような性格の異なる会社とは事情は多少違うと思うのでありますが、建設用人員の充足の面から、以上の点について公益事業委員会にお伺いいたしたいと思います。
  48. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 三つの御質問かと存じまするが、電源開発促進して早くやらなければならんということについては国民誰も異議のないことのように思いますのでありまして、私ども公益事業委員会としては、そのいずれでも促進ができ、確実件があり、且つその結果が国民に十分なる電力、それから低廉と申すと語弊もありまするが、適切にして、例えば産業にすると輸出貿易の引合う程度に安く上手に作る、この三つのことを目標として公益委員会としては再編成を考えております。その点について、私どもは私どもの信ずるところに向つて只今進行しておりまして、具体的のその目論見及び方法等は、でき上りました分について部分的に申上げて、例えば天龍川はいつ頃著手してどのくらいに作り上げ、外国の資金はどのくらい借りる見込である、政府からどのくらいの資金を融資を仰ぐ、或いは御投資を願う、又民間から長期資金はどの程度借入れられる見込があるか、或いは関西はいつ頃、関西と申しますのは、只今高い金利でどのくらいに堪え得られるか、かかることによつてどのくらいの安い電力がいつ頃できて、それがどの方面にどういう結果を及ぼすかということについて、それぞれ各地区について検討いたしております。これは初めから再編成のときから公盛委員会も命じられ、且つ九つの分割会社がそれぞれ義務として開発をそれぞれ命じられております。調査費等も政府はこれに支給し、及び見返資金並びに政府の資金というものはすでに数百億の金をもらつて継続事業として進行する予定を持つておる次第であります。このことが私最善なりと信じておることについては先刻申上げ通りであります。  それから一社案、四社業についてどうかというお話でありましたが、私どもの今の大電源開発は、目下天龍川の全部の準備を終つております。次に近く只見川の準備を終るつもりでおります。第三に、政府より調査を命じましたOCT等の報告によりまして、紀州の熊野川、その上流は北山川と申しますが、北山川のダムを第一着手いたして、漸次下流の熊野川の方面に及ぶ計画であります。これも近くOCIの報告に基きまして万全な工事設計をするつもりであります。その次には、中国並びに関西方面の電力、或いは四国方面の工業電力等が非常に不足しておることに鑑みまして、四国の吉野川の上流におきまして、ダム地点開発する計画をして、只今丁度その地域の測量にかかつております。この四点以外に、そのほか数カ地点必要に応じて調査を進め、且つ開発をできるだけ進めなければ……例えば九州におきましても、或いは関西方面におきましても、北陸方面におきましても、又東北、北海道におきましても、電力の需給バランスは一に石炭を焚くことによつて今日の急場の間に合わせておるというようなことでは、非常な国損であります。これをできるだけ早く大きなダム式なものに転換したいと思います。尤もこの計画は初めから、つまり二十六年四月並びに二十六年の十二月の両度の各専門委員会、各会社の協力によりまして、これらの四つの地点は先ずやることにして、あとは随時調査を進めておるわけでおります。私どもも、只今のところではこの四つの地点を一会社以上の人が寄り合い、例えば天龍川におきましても、東京方面の電力が全く水源が関東地方はありませんが、五十サイクル方面のために六十サイクルあります天龍川をやはり五十サイクル地帯に半分近く流すという計画等を以て只今話を進行いたしておる次第でありまして、四つの会社以外に、更に自家用の人たちとも取組み、或いは場合によつては県の公共事業のほうとも取組んで、できるだけかかる大きなダム式或いは治水利水にも特別に関係のあるようなものは県の公共事業とも或いは組合い、或いは組織を考えまして、幾つも地方々々の利害によつてその電力の需給の状態によつてやるつもりでありますが、只今三十一年までの需給バランスを約一割ばかり増加するものと見ておりまするが、それには、やはり以上申上げた四カ地点開発を少くとも本年から着手しなければ三十一年の電力バランスはとれないものであるという計画、計算、研究、たびたび推敲しました結果に基いて実行いたしておりまするので、今本案が委員会にかけられていろいろ御説明のあつたうちに、一社でおやりになる、或いは数社がいいとかいうことについて、私はこれを別に批判はいたしませんが、私どもはその地方々々の電力バランスを少くとも三十一年までには余り地域差等を作らんように電力料金の石炭によつて撥ね返りがないように、できるだけ慎重に努力いたしておりまするから、私は端的に言えば、なかなか一社で、前に日本発送電が一社で全国的なことをやつておりましたような形態になりますれば、それがよしや審議会そのほかで偉い人が寄り合つて評議いたしましても、自然そのことは仕事の進行を妨げるのじやないかということを心配しておるということだけ申上げ得られるのであります。  もう一つ何かありましたけれども、忘れましたから……。
  49. 境野清雄

    ○境野清雄君 現在の九電力会社というようなものが、私どもの考えでは、有能な技術者は殆んど全部九電力会社に配置されておるのではないかというようなことで、言い換えまするならば、この新らしい電源開発法案による会社におきまして、技術陣というものは相当不足するのではないかというようなことを考えておるのでありますけれども、これに対して公益事業委員会のお考えをもう一度お伺いいたしたいと思います。
  50. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 先刻の御返事に何やら残したと思いましたが、技術陣の問題は、私どもはそのことについては余り批判的にどうもあれでは技術陣が駄目だろうとか何とかいう考えを持もません。又無論国会でおきめになつて、そうして技術面が足らん、電力会社の人なり公益事業の者も手伝うべしだということになるのに、この技術的にお手伝いするのはこの前参議院か衆議院かで申上げたように、決して御協力を拒むもんじやないです。ただ多分衆議院委員会申上げたと思うのですが、大体こういうことは無駄なことですからおやめ下さい。若し議会が通過しても私は大反対いたしますよということだけは申上げておきます。それは技術上の協力とか何とかいう、そういう小さい問題ではないのでありますから、どうぞ御承知を願いたいと思います。
  51. 境野清雄

    ○境野清雄君 次に提案者に本法案による資金面の問題について二、三点質題いたしたいと思うのでありますが、大体この特殊会社事業内容というものは相当私は不明確なものじやないかというような点から考えまするなら、投資の対象としては不適確なものだろうというような考えを持つておるのであります。と申しますのは、開発会社目的電源開発にとどまつておりまして、完成した設備は民間会社に渡すのだ、こういうようなことに相成つておりますので、たとえその発生電力を売渡すといたしましても、既設の設備と、新設のものとの間に建設費の上に大きな差額のあることはこれはもう論を待たないのでありまして、そういうような場合、新設の会社の収支が成立つことは不能だということは一応考えられるというような点から見まするなら、新らしいこの特殊会社というものは資本活動の余地がないのじやないか。資本活動の余地のないものなら、言い換えるなら、株式会社の実体を持たないのじやないか、こういうような点を考えまするとき、これは外資にいたしましても、或いは国内の投資対象としても非常に不適格だろう。こういうふうに考えておるのでありまするが、かような面に関して提案者はどんなお考えであるか、伺いたいと思います。
  52. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 詳しい数字は又御質問がありましたときお答えをいたしますが、大体この試算をいたしました結果によりますというと、この発電炭におきまして一キロワツト・アワー一円八十七銭の数字が出て参るわけであります。そこで既設の電力会社が持つております安い設備、大体今から二百五十万キロ、今度の電力会社発電計画を進めました曉におきましては、これは大体一円十三銭という数字が出て参るわけであります。ところがこれは良質の電気ではないのでありまして、どうしても火力を以て補充いたさなければ本当の機能を発揮いたしません。そこで火力のほうを計算いたして見ますというと、六円六十二銭という数字が出て参るのであります。これを総合いたしまして、量がございます、キロワツト・アワーで行かなければなりませんから、そういう量を勘案いたしまして、そうして数字を計算いたして参りますというと大体二円二十二銭ぐらいになる。まあいろいろのものを総合しておりますが、二円二、三十銭ということに相成るのであります。ところがこの電力会社でやります分がまあ大体一円八十九銭でありまして、今度は三十二年度になりますというと、相当量殖えて来る関係で、又すぐ若干値が上りますけれども、いずれにいたしましても電気の必要な量、いわゆる需用量というものを勘案いたしまして、そこで電力会社だけがやつておるということになりますというと、まだまだ火力を余計焚かなければいけません。特殊会社がやりますのは水力発電のみでありますが、一般の電力会社だけがやつておるということになりますと、まだまだ火力を焚かなければいけないということになりまして、この二円二十幾らという数字はうんと上つて参るわけであります。そこで私たちの考えといたしましては、十分その意味でこれをやらなかつた場合を想定して見ましたならば、これは非常に国民としても安い電気が得られることになり、又豊富な電気が得られることに相成る。こういう計算になつておるわけでございまして、又この計算自体から見ましても、外資の導入その他についても十分立派に採算がとれる数字が出て参ると考えておる次第でございます。
  53. 境野清雄

    ○境野清雄君 只今お話の一円八十何銭、平均して二円二十二銭というようなお話がありましたが、これの算定に関しましては、一応この出資金、政府の出資というものに対してはこの法案にある通り無配当というようなことで計算せられたものか、或いは社債の利子はどういうような計算にせられたものか、固定資産税に対して、法人税は勿論免除というような計算であろうと思うのでありますけれども、その今の二円二十二銭になり得る算定基準をお知らせ願いたいのであります。
  54. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 先ほど私が言つた数字のうちでちよつと違つておるのがあるので訂正をいたしますが、三十二年度以降になりますというと、二円四十五銭に相成るわけでございます。特殊会社がやるのは二円四十五銭に相成るわけでございます。その点は一つ御訂正を願いたいのでございますが、そこで今仰せられましたことは資金の内容について社債その他の利子をどういうふうにして勘案したかということでございますが、大体社債は資金運用部資金のうちから二百二十億、まあ民間から百六十三億ぐらいを予定いたしておるのでありまして、資金運用部資金については旧民間からの分はこれは電力会社と同じでありまして、一割一分という数字でございます。なお建設中の、政府が出資いたしましたこの資金に対しては無利子、いよいよ建設が終りました後には六分の配当をするということによりて計算をいたしておるわけでございます。
  55. 境野清雄

    ○境野清雄君 そういうような関係から言いますと、一体この法案の附則にありまするこの十三と十四の面に謳つておりまする開発銀行は、当分の間、日本開発銀行法第十八條の規定にかかわらず、会社の株式を引受けることができる。この面で金が、一応政府資金が開発銀行を潜つて出て来る。次の項で「第十四條第三項及び第十五條の規定の適用に関しては、日本開発銀行が前項の規定により引受けて保有する株式は、政府において、保有するものとみなす。」と、こういうような項があるのでありまするが、只今お話政府出資というものに対しては勿論無利子だというようなお考えでありまするが、この開発銀行を潜つて来たものに対しましては、これはどうしても一割内外の私は利子がつくのじやないか、こういうふうに思うのでありますけれども、この政府において保有するものとみなすという、この株式の保有形体はどういうような考えでおやりになつておるのか。いわゆる会員が出したものに対してもそういうような利子や何かは無利子にするのだというような考えでおられるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  56. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 附則の第十三項と第十四項を設けましたのは、実はこの法案を成るべく早く提出いたしまして、そうして政府出資の点を明らかにいたしたいと考えておつたのでありますが、関係方面との折衝その他に手間取りまして、そうしてこの予算の中に政府出資の分を入れることができませんので、そこで日本開発銀行から今回に限つて暫定的にこの出資をするということをここにきめて十三、十四の両項を追加いたしておる次第でありまして、来年度からは当然予算の中に幾ら出資するかということが入つて来るわけでございます。そこでこれが出資でございますからして、これは建設中においてはこの出資とみなしてございますからして、これには利息はつけません。併し建設が済みました後には、この分についても当然六分の配当を予定いたしておる次第であります。
  57. 境野清雄

    ○境野清雄君 次に只今お話で大体外資は入るというような構想の下はお考えになつておるということは大体考えられるのでありますが、この外資の導入というような問題につきましては、過般四月の下旬かの当委員会におきまして、公益委員会の松本委員長から明快なるお話があつたのでありまして、これに対しては、まあ一応提案者はそのまま鵜呑みにはできないというようなお話があつたので、この点について二、三点お伺いしたいと思うのであります。勿論電源開発を急速にするためには外資導入が、これは考えられるべき問題であり、そして外資導入を前提としてのこのお考えであるということはわかるのでありますが、そういうような必要とせられる外資導入は、大体どんな構想のものであるか。勿論具体的にはきまつておらないと思うのでありますけれども、法案をお出しになりました以上、なお且つその法案に対しての必要を前提とするものでありますので、大体の構想はわかつておるのじやないかと、こういうふうに思つておるのでありまして、この外資導入に関しましては、いわゆるコンマーシヤル・ベースにおいて行うのであるか、或いは政治借款の形式において行われるのであるか、その点についての御構想を伺いたいと思います。
  58. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 外資導入の点に関しましては、私たちは提案者といたしまして、政府が大いにこれを努力いたしておるということを信じてこの法案を提出いたしておるのでございまして、御同様の御質問がありましたことについて、先般安本長官は、今のところその内容は説明することができないというように御答弁があつたと考えておるのでございます。従つて外資の問題につきましては、一つ政府側に御質問を願いたいのでありして、これ以上私が申上げることは却つて差障りがあるかと存じておる次第あります。
  59. 境野清雄

    ○境野清雄君 それでは外資の問題につきましては後日に譲りまして、大体今のお話で技術員の問題なり、資金面なり、運営なりの面だけについては質問をしたのでありますが、一体そういうような経過から行きまするなら、大体政府自体がこの電源開発そのものによりまして、高能率の、低コストのものができるのだというようなお話だつたのでありまするが、この点について一応どなたか質問せられたかと思うのでありまするが、もう一度簡単で結構でありまするが、政府当局の提案者の考えておられる高能率、低コストというような問題についての御所見を承わりたいと思います。
  60. 福田一

    衆議院議員(福田一君) いろいろ今御質問になりました御趣旨は高能率である、それからまあ豊富低廉と言いますか、そういう意味においての電気ができるのではないか、それならば、その根拠を明らかにしたほうがいいのではないか、まあこういうような御質問と承わるのでございます。そこで少し長くなるかも知れませんが、ちよつと大体主な試案として考えておりますところを概略申上げて見ますというと、先ずこの試案を作ります基礎となりましたのは、昭和九年から十一年の物価ベースを一といたしまして、二十六年の六月を三四四、十月が三五七、今年の三月が三五四という数字になつておりますが、大体において余り差がないのでございまして、大体三五〇前後、昨年の六月というものを基礎にいたして数字をはじき出しております。それからもう一つ、この内容の点で、実は参考資料というのを見て頂いて一つ御検討を願いたいのでございますが、この参考資料の3は二十六年の十二月五日に、例の電気料金の初めての値上げがございまして、そのときに公益事業委員会が発電原価を計算いたされまして、出された資料があるのでございます。これを基礎といたしまして大体数字をはじいておるということを御承知願いたいのであります。なお発電地点を六、七カ地点つておるのでありますが、こういうようなものは、北海道庁とか、或いは建設省或いは通産省或いは安本というようなものが今までに調査をいたしました数字を今の物価によりまして改訂いたしまして、そうして建設費というものを一応出したわけでございます。そういうような基礎的な数字からいたしましてはじき出したものでございますが、そういたしますというと、既設の……3を見て頂きたいのでございますが、電力会社は、水力によりますというと、今後やります水力は二円六十五銭に相成つておるわけでおります。境野さんのところに資料行つておりましようか……参考資料3というのを見て頂いて、そこの一番先きに電力会社というのがございますが、その下に水力、火力、総合と、こう相成つております。そこで水力をどういうふうにはじき出しておるか、これは三十一年までに、これから電力会社がやる分を出してありますから御覧を願いたいのでありますが、それによりますと今言つたような基礎に基いて計算をいたしますというと、一キロワツト・アワー二円六十五銭、火力が六円二十銭、総合いたしまして三円七十五銭ということに相成るのであります。公営につきましては、水力は二円七十三銭でございます。自家発を除いておりますのは、作りましても自分の工場で使いますので、一般供給用にはなりませんので除いたのであります。次に特殊会社でございますが、特殊会社のほうは、一応これを貸すという建前にいたしまして、先ず特殊会社建設をするとどういうことになるかというと、特殊会社分といつて経費が出してありますのは、建設した場合の数字が出してあります。その借受けた会社が、今度は人件費をかけて運転して行くという場合におきまして、いろいろの費用がかかりますので、その数字が出ております。その次の計というのは、一般の電力会社と同じでありまして、人件費、燃料費、それが順にどういうようにかかつて行くかということで、その数字が出ておりまして一円八十七銭という数字が出るわけであります。三十二年度になりますというと、建設利息というものは出しませんけれども、配当をいたさなければならないので、そこでこの一円八十七銭が二円四十五銭という数字に相成つておるのであります。六分の配当をするからでございます。それでその次の三十一年度の新旧設備総合発電原価想定というのを見て頂くと、電力会社の分は今までにできております発電所、それから三十一年までにできます発電所を入れて、そうして計算をいはしますというと、ここに出ておりますように一円十三銭、今度は火力のほうが六円六十銭、これは新旧をいろいろ組合せまして、そうして能率の分も考慮をいたしますので、こういう数字に相成つて参るわけでございます。それだけ総合いたしますというと、二円二十二銭という数字が出て参るのであります。公営のほうは前と同じでありまして二円七十三銭、これから作るだけであります。それから三十一年度においては特殊会社は一円八十七銭、これを合計いたしますというと、これは数量であつて、キロワツト・アワーがどれだけ出るかということで、全部合計して行きますと二円二十二銭になる。ところが三十二年度になりますというと、今言つたような配当をいたしますので、これが二円四十五銭になる。併しこれを全部を総合いたしますというと、二円二十四銭でありまして、二銭上るだけでございます。これを要するに今特殊会社がこれだけの発電をいたしますというと、そうすると全般としては二銭の値上りが一応出て来るということになるのでありますが、若しこれが特殊会社がこれをやらないということになりますと、或いはその発電をしないということになりますというと、この電力会社の火力というものがうんと殖えて参るわけでございまして、電気料金の二円二十二銭というのはもつと二円四十五銭になるか、これはまだ数字を差上げてありませんが、相当これが高くなつて参るということは御了解願えると思うのでありまして、こういう意味合で、私たちはこれはどうしてもやらなければいけない、やることが豊富低廉な電気を国民に供給することになる。かように考えてこの数字を立てておるわけでございまして、一つこの資料を御覧願いまして、御検討をお願いいたしたいと思うのであります。
  61. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の問題につきましては、頂いた資料を、私今頂いたので、これは再検討して、もう一つ質問さして頂きたいと思います。大体こういうような形態の電源開発会社というようなものは、開発促進がどんなようなふうな形態で行くかということについてお伺いしたいと思うのであります。既設の電力会社は大体供給区域の独占を認められております半面、需用家からは相当電力の供給を迫られておる、供給の責任から困難を押切つて開発を推進しようとする強い意欲が生じておるのでありますが、自家用の発電の開発者も同じような考えを持つておるのではないか。こういうようなものに相当する企業意欲なり、或いは熱意というようなものは特殊会社においては何に求められるのかというような点を一つお伺いしたい。資金だけは困らんようにしてやるから熱心にやれというようなことでは、開発推進の熱意において著しく劣るのじやないか。こういうようなふうに考えておりますので、既設の電力会社というようなものと、新らしくできます特殊会社というようなものから二つを比較対照いたしますというと、どうしても開発の意欲というようなもの、熱意というようなものについて相当落ちるのじやないかというようなことが考えられるのであります。こういうような点について提案者はどういうようなお考えであるか、一応お伺いいたしたいと思います。
  62. 福田一

    衆議院議員(福田一君) これは提案理由にも御説明申上げたのでございますが、私たちは三十一年度までに実は今も松永さんもその点では御同様の御意見であつたようでありますが、大体四百八十億キロワツト・アワーくらいの電力が必要である。現出は三百二十億キロワツト・アワーを出しておるのでございますが、今せいぜい制限をいたしましても、現在二割ほど電力量が足りません。野放しにいたしますならば、恐らく四割くらい足りないのではないかと思うのでありまして、大体四百三、四十億キロワツト・アワーというものは今でも電力が必要ではないか、かように考えております。そこで最小限にやはり抑えて行つても、四百八十億キロワツト・アワーくらいがどうしても三十一年度には必要である。それは何を目標にするかと言いますというと、鉱工業生産を大体二倍にする。そうして国民の生活水準を大体一三%くらい引上げる。いわゆる未稼働の工場、今賠償指定になつておりましたようなものが解除になりましたが、こういうものを今度は稼働させる、動かすという建前からやつて参りますというと、どうしても四百八十億キロワツト・アワーくらいが必要である。若し野放しにいたしましたならば、今の想定ではもつと必要かも知れません。とにかくそういうような推定をいたしておるわけでございます。これがいわゆる開発意欲の問題に絡んで参るのでありまして、そこで今の電力会社がやつておられますところは、大抵みんないい地点でございまして、割合に安い発電單価と言いますか、山元單価が割合に安い地点を選んで、実はみんな各所選ばれたわけでございます。それを合計いたしますと、二百五十万キロくらいになつておるのでありますから、こういうようなところはもう電力会社といたしましては十分一つやられても決して損が行かない、いわゆる売れるということになるだろうと思うのであります。又特殊会社の分といたしましても、これをやりますというと、たしか特殊会社がやります分では三十六億キロワツト・アワーが出ることに相成つておるのでありまして、まあこの程度のものをやつて漸く四百八十億キロワツト・アワーになるのでございます。これは第一期計画でございますが、少くとも第一期計画だけはどうしてもやらなければいけない。それは今言つたような国民の需用もあるわけだからであります。若し特殊会社の三十六億キロワツト・アワーをやらないということになるとすると、火力が非常に殖えますから電力料金は上ることになる。それは国民のためにならないから殖やさなければならん、特殊会社の分もやつたほうがいいという結果が出て来るのであります。併し問題は開発意欲が果してそこまで出て来るか、作つたものが売れないということになれば、止めつちもうじやないかという心配が出ておりますが、私たちといたしましては、今の想定からいたしまして、どうしてもそれだけの電気が要る、作つて行けば行くほど、先ほど申上げたように、今まで既設のものは安いのであります、これから作るのは高いのでありますから、作れば作るほど電力会社は或る意味で損ということになりますが、これは併し商売の原則でありまして利益があるということになれば、これは二倍も利益があるということになれば誰でも飛び付いてやる。それじや三割になつたら誰もやらないかというと、利益があるということになればやる。たとえ一割でも二割でもやるということになる。利益があるということになればやるのでありまして、これによつて私は電力会社開発意欲が劣えることはないと考えておる次第であります。
  63. 境野清雄

    ○境野清雄君 日本電力は勿論御承知通り水火併用であるのでありますが、特殊会社ダム式を重点とするというようなものの、若干の火力は必要になつて来ると思う。そういうような点から、水力も特殊会社開発しまして、火力は既設の電力会社建設させるというようなことでは、両者の時期的な調整が円満に行かないのじやないかというような点が大きく懸念せられるのでありますが、これに対して提案者はどんなお考えでありますか。
  64. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 火力の問題につきましては、一応九つの電力会社がやつておりますものがあり訂して、それでも一応試案というか、試みの案はそれは数字として対照して考えておるわけでございますが、併し最近はアメリカあたりにおきましては、非常に高能率の火力発電機械ができておるようでございます。この高能率の発電機械を利用いたしました場合に、これは石炭の炭価とも睨み合せて考えなければなりませんけれども、果して石炭の炭価がどのくらいになつたならばむしろ水力発電をやるよりは石炭を使つた火力発電をやるほうがいいかどうかということはいろいろ今研究をいたしておるのでありますが、現在の石炭の炭価でございますと、ちよつとやはり水力のほうが有利になる。まあ大体今石炭はトン当り六千円と押えておりますが、これが三千円くらいになつて来るようになりますと火力のほうが有効だということになる。それからもう少し高能率の機械ができまして、カロリーがもつと悪い石炭でもうんと能率が上るような発電ができるということになりますれば、これはよほど又事情が変つて来るのでありまして、この間の事情は御研究のように我々としても十分に考慮いたさなければならない。そこで火力を国策の会社と言いますか、特殊会社と言いますか、こういうものでやるべきかどうかということも、今後私は研究課題として大いに調査をし又それが引合うということになりますならば、そういう面も取入れて行つていいんではないかと、かように考えておるわけであります。
  65. 境野清雄

    ○境野清雄君 私としましては、さつきの外資導入の問題、それからこの参考資料の3による問題の質問はまだ留保したいのでありまして、この問題に対しては次の連合委員会で質問いたしたいと思うのでありますが、大体私の質問はこの辺で今日は打切りたいと思うのでありますが、最後にどう考えましても私は新規の開発電力というものは、今回値上げされます料金を考えましても収支は相償わないものじやないかというようなふうに考えられるのでありまして、率直に申上げまするなら、開発会社は赤字になつて行く、そのしわ寄せが国民の負担増が必至の情勢になるのではないかということを私は非常に懸念しておるのでありまして、こういう点に関しましてもむしろ技術陣を活用するとか、或いは新旧施設の総合利用ができる、又外資の問題は後日質問しまして、その結果でありますが、外資導入に便になるというようなことから考えましても、水系民間会社が共同で開発をやるほうが私はむしろ有利なのではないかというようなふうに考えられるのでありますがこの新規の開発電力というものは提案者自体は、開発会社自体は赤字にならないというような強いお考えを持つておられるのかどうか、若し持つておられますならそれに対して数字的な御説明でも願いたい。それで私の質問は打切つてよろしうございます。
  66. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 御質問の点は、どうか一つもう一度参考資料を御検討下さいまして御研究を願いたいのでございますが、実を言うと、今度電気料金が上つたからというお話でございますが、今度電気料金が上りましたことによりまして今後の電力会社がやりますところの二円七十五銭という数字は若干殖えて参るだろうと思うのであります。今度の電気料金が上りますと総掛りその他が殖えて参りますので、これはむしろ上りぎみになります。併し今試算をしておりますところのこの一円八十七銭、二円四十五銭という特殊会社の金は殖えて来ないと思つておるのでありまして、殖えても若干の差があるだけであります。そういうようなわけでありますが、いずれにいたしましてもこの会社が損をしないかどうかというお話がある。もう一点は、これは国民の金を電力料金を先拂いしているんではないか、こういうようなお話があるのであります。そこでその点を御説明申上げますというと、成るほどこれは特殊会社がやりまして六分の配当ができる数字でありまして、私たちとしましてはこれによつて赤字ができるとは考えておりませんが、今申しました資金運用部資金の九%などというものはこれは少し高過ぎるのでありまして、これはもつと低いものでやらすべきではないかという考えを持つております。それからこの民間の一割一分というようなものも、これはもう少し将来は考え行つていいんじやないか。これは金利一般の問題に関係いたしますが、従いましてもう少し安い電力が供給できるようにいたしたいものだと考えるのであります。従つて私は赤字が出るということは考えておりませんが、そこでこういうことにいたしまして建設中には利子を拂わない、政府資金を出しておつても拂わない、ということは電気料金の先拂いになつておるんではないかという御質問はその通りだと思います。その面はもうその通りだと思います。併し国民の生活水準をこれで一三%上げることができるということになりますれば、若干の損失と言いますか、国民全体に対して損がありましても私はそれで十分カバーできる。なお且つこれをやらなかつた場合において、そうして電力会社だけに任しておいたという場合においては、火力の分がうんと殖えて参りましてまだまだ電気料金が上るということを考慮いたしますと、やはりこれをやつたほうがいいのではないか、これは全体として国民の利益を増進するのではないか、かように考えておる次第でございます。
  67. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 境野君の御質問の中でちよつと関連して伺いたいのであります。それは技術スタツフの可能性の問題でありますが、この間頂きました参考資料の4でありますが、この4の中で本社と営業、運転、建設に分けてありますが、その総計三十二年度で四百三十一人になりますが、このうちでいわゆる技術者の入つておりますのはどれとどれでありますか。
  68. 福田一

    衆議院議員(福田一君) お答えいたします。本社の分の企画の数字とそれから工務と現場でございます。
  69. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 本社の企画二十五名、これは二十七年度から三十二年度までずつと変化がないようであります。それから建設の現地におきましては、恐らくこれは現場を指しておられるのだろうと思いますが、工務関係のものは六十人から七十人、現場のほうは六十人から百三十五人約二倍ちよつと殖えておるわけであります。そこでその中で電気技術者、機械技術者、土木技術者というのはどのくらいの割合になつておりますか。
  70. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 企画のほうは電気、土木が大体半分ぐらい、それから工務のほうも同じでございます。現場においても土木のほうが主でありまして、電気はその一部分と御了承願いたいのでございます。なおこの数字は非常に少いというようなお考えもございましようが、私たちといたしましては実は今度の開発地点につきましても、小規模なものであり、又計算の明らかなものであれば、或いは電力会社等に工事を委託するような場合も考えられ得るということを想定いたしておるのでありまして、主な地点についてだけ成るべく自分でやる、併しその場合におきましても電力会社に協力を求めまして、そうしてこれは国の経費でやるのでございますから、成るべく総掛り費というものを少くするようなふうに按配してこの数字を出しておるような次第でございます。
  71. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 協力せられる、協力せられんはまあ別でありますが、協力いたしましてもこれは人件費は要るのでありまして、必ず嘱託でありましようと、出向でありましようとも、従業員として予定せられなければならん、必要範囲内であればそうしなければならんわけであります。それから又私はまだ人間が多いとも少いとも申上げていないのでありますが、あなたは少な過ぎるという御懸念のようでありますが、私がお伺いしましたのは、例えば企画で土木に五〇%、十二・五人使う、こういうことになりますと、あとはこういう総合土木工事でありますから、電気技術者も要れば機械技術者も要れば建築技術者も要る。そういう内訳はどういう構成でお考えになつているか、その内訳をお聞きしたいわけであります。少くとも頭に浮びますのは、電気と土木と機械と建設、この専門技術者をどういう工合にあなたはお考えになつておりますか。それは企画も工務も現場も合せてであります。
  72. 福田一

    衆議院議員(福田一君) その内容は私たちといたしましては、これは会社の総裁、副総裁、いわゆる会社の首脳部というものが大体確実な数字をきめるわけでありますが、大体この程度でできるのではないかという数字を出したわけであります。なお首脳部にしてもどういうふうに考えておるかということでございますならば、これは今後研究いたしまして、御報告申上げたいと思います。
  73. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 首脳部が決定すると言われるけれども、私どもはこの特殊会社がこういう工合にして起しました電力のコスト等の計算も提出を求めておるわけであります。そのときにこの人件費というものは相当なやはりウエイトを占めるであろうと我々は考えるのでありますが、それが実現不可能なような人間が予定され、或いは又電力会社から協力を求めるのである、これは人件費をお拂いにならんおつもりでありますか知れませんけれども、そうは行きません。これは仮に電力会社が第二会社を作つて建設工事をやるにいたしましても、それは建設勘定に全部入れるのが常識であります。そういう杜撰な会計、経理というものは許されないわけであります。従つて只今の御答弁では、私の常識からしまして、どうもこういう貧弱な人的構成を持つた会社では、大工事は私はできないと思うのです。本社の企画二十五人で一体どういう内容の仕事をおやりになろうとしておるのか、それを伺いたい。
  74. 福田一

    衆議院議員(福田一君) あなたは大変専門家でいられますから、私は実は電気会社にいたこともないので、余りそう詳しいことを仰せられますと、まあ答弁に窮するというか、頭を下げなければならないことになるかも知れませんが、併し私たちとしてはやはりこういう法案を出します以上は、果してこれができるかどうかということを各方面といろいろ打合せまして、成るべく経費を、総掛りを少くするという建前に基きまして大体これでやれるという推定をいたしまして、そしてこの数字を出しておるようなわけでありまして、なおその内訳等については後日又数字を申上げることにいます。
  75. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 内訳を出して頂けるというお話でありますから、それでは私の希望することを申上げますので、是非一つお願いしたい。先ず第一にこの電源開発に従事し得る電気、土木、機械、建設の技術者というものはそうざらにあるわけではありません。又未経験者はすぐは間に合わないわけであります。そこで一つお調べを願いたいことは、日発にありました当時の技術者、それから配電会社におりました技術者、そういうものが一体何人あるのか、現役のそういう技術者が何人ありますのか、それを一つお調べを願いたい。電気、土木、建設、機械、それに分けましてお調べを願いたい。  それからそのほかにいわゆる満洲或いは朝鮮、台湾等から引揚げて来た技術者、経験者があるはずであります。それが一体国内に何人くらいおるか。それから更にそのほかにいわゆる老齢技術者と申しますか、もう一応任務を終えておるところの予備軍があるわけであります。これは停年退職等になりまして、只今閑職に就くとか、或いは多くの人は土建会社等に入つておりまして、こういうところへ来る人はなかろうと思います。土建会社はこれだけの仕事を下請するわけでありますから、土建会社自体が人的に非常に忙しくなつて来る、従つてこういう特殊会社へ入るという余裕はなくなろうと思いますが、まあ仮にあるといたしましても、調べておく必要がありますから、そういう閑職と申しますか、現役に只今ない人、それが一体何人あるか、これを調べて頂きたいということであります。  それから私は事務系統のことはこれは誰でも大体できると思います。相当やはり経験がなければできない部門もありますけれども、大体まあ充足できるといたしまして、企画と現地の工務現場、これの仕事の内容を実際に電源開発仕事ができるように、これは特殊会社の総裁に御一任をなさるのではなくて、あなたがたが只今提案者として計画をされておるわけでありますから、その頭においてどういう仕事に何人くらい、それには技師もありましようし、技手もありましようし、或いは実際の公務員もありましようが、そういうものを含めましてどういうふうに組織というものを作つて行くか、そういうことを明らかにせられたいと思うのであります。それで只今私が電気関係の技術者の国内にある総数をお調べ願いたいと申しましたことが第一点。  第二点は只今御提出を願いました本社の建設等におけるところの仕事の内容、これは私はいささかそういうことについては、僣越でありますけれども承知をいたしております。従つて表を作つて頂ければ大体の見当が付くわけであります。特に今度の特殊会社におきましては、開発地点はすでに予定されておるわけです。従つて開発地点別にそういうような人員がどれくらい要るのか、その構成を是非とも出して頂きたい。これは只見、天龍、その他今日計画されておりまするすべての見地におけるところの建設要員、それからそれを上積みいたしまして、ピラミツドの頂点として本社で統轄すべきところの人がどれだけ要るのか、これを一つ御提出を願いたいと思うのであります。そういう人的構成ができて参りますと、そこで初めてこの人間でこれだけの電源開発が可能であろうかどうかという判断がつき、従つてその人間で以て人件費を出して、そうして発電コストにどう影響するかということが明らかになつて来るわけであります。ただこの表だけを見せて頂きましても、私はちよつて理解しにくい。特に企画の二十五名では、これは何をおやりになるのか知りませんが、部長一人、課長何人か置きますと、実際の仕事の人は少くなつてしまつて、恐らく福田さんが非常に意気込んでおられる電源開発のスピーデイーな仕事というものはこれじやできない、こう考えるのであります。  それから第三点としてお伺いをいたしたいのは、この会社の従業員諸君の待遇は一体どういう工合にされるか。
  76. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今の企画の問題でちよつと補足説明いたしますが、この企画が少いのは実はコンサルテイング・エンジニアーというものが最近にできまして、相当そういう設計の業務等もいたしておりますので、こういう面も大いに使うべきじやないか、こういう考えで企画の面が少くなつておるということも御了承願いたいのであります。なおそれを使う場合における給與ベースの問題でございますが、これは電産べースを一応考えておるわけでございます。
  77. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほどちよつと漏らしましたが、そういたしますと、この表に出ておる人数は、いわゆる電力会社からの協力を要請されておる人数は入つていないと理解してよろしうございますか。
  78. 福田一

    衆議院議員(福田一君) やり方如何でございますが、電力会社から出向せられる場合、或いは今までの資料を……何にせよ将来は譲り受けたり、或いは貸付けしてもらうのだから、自発的に協力するというような、その協力態勢如何によりましてはこれに増減があることは考えられますけれども、私たちとしては一応これだけの人数を想定しておけばできると、かように考えたわけでございます。
  79. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それですから現在の電力会社の現役ですね、これはこの表の中には予定されているのかいないのか、それを明らかにして頂きたいと思います。この表の中に四百三十一人という最終年度の予定員数、これは各年次に殖えて行くわけでありますが、その中には現在の電力事業者の従業員は予定の中に入つておるのか入つていないのかということをお聞きしたいと思います。
  80. 福田一

    衆議院議員(福田一君) その分は大体工事費のほうに予定をいたしておるのでありまして、これには入つておりません。
  81. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは何名入つておりますか。工事費というのは、この表の中には入つていないのですか。
  82. 福田一

    衆議院議員(福田一君) そうです。
  83. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこをちよつとはつきりして頂きたいのですが、工事費というのは何ですか。
  84. 福田一

    衆議院議員(福田一君) この工事を実際にやります工事費の内容を説明せいと仰せられるとなんですけれども……。
  85. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 いやそうじやない。あなたが工事費の中に入つておるとおつしやつたから、それは何のことですかとお尋ねしておるのです。
  86. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 工事費のうちに、例えばそういう協力を求めた場合において出向された、或いは嘱託になつたというような場合において、工事費のうちにそういうものを計上するつもりである、かように申上げたのであります。
  87. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうするとこの表の中には入つていないということが明らかになりましたが、それは少し、この従事人員数の表を出して頂く上においては、私は不親切だと思うのです。それは出向であろうと嘱託であろうと、会社が使う、給料を出す従業員に変りはないのでありますから、それをやはり入れて頂きたい。若しそういうお考えでありますならば、協力せられるものを列記せられるなりなんなりして、この表を一つお作り変えを願いたいと思います。それからもう一つ重ねて伺いますが、そうするとその工事費のほうへ予定をされて計算をせられた人数は何人くらいになつておりますか。
  88. 福田一

    衆議院議員(福田一君) その数字は余り大きく予定をいたしておりませんので、今のところでは申上げられませんが、あとで調べまして御返事を申上げます。
  89. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから先ほどもうすでにこの特殊会社ができることを予定いたしまして入社希望の声がある、こういうお話がありましたが、それは主としてどういうような系統の人でありますか。
  90. 福田一

    衆議院議員(福田一君) その点は申上げられません。それ以上の問題は、私は何もそういう会社を作る人間でもありませんし、ただ法案を審議しておるだけでございますから、誰からどういうことを言つたということは申上げないでも済むかと思います。
  91. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは今度私が先ほどお願いしましたこの従業員の充足関係の表を出して頂ければだんだんわかつて来ることであろうと思いますから、是非一つお願いします。特に先ほど現役の技術者が何名いるかということを申上げましたが、只今日発電力会社も一緒になつておりまするから、従つて日発或いは配電と分けて頂く必要はないのでありまして、只今の東京電力を初め九電力会社におる現役の、大分けいたしまして四つの部内に従事しておる、発電関係に従事しておる従業員、これを一応表にして出して頂きたい。そうして更に満洲、台湾、朝鮮等に従事をせられて、今日直接電源開発工事に従事をしておられない人が何人あるか。又一応仕事を終えまして、予備軍として停年退職後待機しておられる人がおよそ何人くらいおるか。そういう表を作つて頂きまして、それからこの表の中には、只今御提出になつた資料の中には、電力会社に協力を要請された人数が入つていないということでありますから、それを是非入れたものを作つて頂く。又本社の企画或いは建設等の技術陣の仕事の内容がこれではわかりませんけれども、私はこの程度の人員では過日御説明になりました全発電地点の予定に着手するのには、少し人が少な過ぎる、スタツフが足りな過ぎると思いますので、その構想の内容を是非とも明らかにして頂きたい。特に企画の二十五名というのは、 ○C1等の協力を要請するというお話でありましたが、そういうものは一体どれくらいになつておるのか、その点を一つ明細にお願いしたい、こう思うわけであります。
  92. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 成るべくあなたのおつしやつた資料を揃えたいと思いますが、中には我々の力で調べきれないものもあるかと思いますから、御了承願います。
  93. 古池信三

    ○古池信三君 私先ほど松永委員長代理の御発言なさつたことについてお尋ねをしたいと思うのであります。先ほど、松永委員長代理は、この法案が国会において審議されて可決になつて、成立した曉においては、この案はよくないと思うから、反対をするこういう御発言があつたように聞いたのでありまするか、或いは私の聞違いであつたかも知れませんが、もう一度念のためにお尋ねをしたいと思います。
  94. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 只今お尋ねの通りであります。
  95. 古池信三

    ○古池信三君 これはどうも私腑に落ちないと思うのでありますが、国会を通過しない前でありますればいろいろ御意見を述べられのは、それは自由であると思うのでありまするが、いやしくも国民を代表する国会において審議の結果可決され、成立したとなれば、これは国民が意思決定をなしたものであります。公益事業委員はどんなに偉いおかたであろうとも、これは一種の、広くいえば国民の使用人であります。国の使用人である立場の公益事業委員が、国民が最高の成規の意思決定機関において決定したその政策に対して、公務員たる地位にありながら反対をするということは、どうも私は当を得ないと考えるのでありますが、これについて松永委員長代理の御所見をもう一度お伺いしたいと思います。
  96. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) ただ私の所感を申述べただけで、どういうわけでどうする、いつからどうするということを別に具体的に申上げておりません。従つて公益事業委員会委員であるから、どうするという立場においての御返事を只今申上げるわけに参りません。
  97. 古池信三

    ○古池信三君 今の御答弁でありますと公の立場において反対はできない。併し本案については賛成できんから公けの機関たる立場をやめて、一私人となつて反対をしよう、こういう御意見と承知してよろしいのですか。
  98. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 別にそういう意味を以て、公益委員会をやめて反対するというた意味はありません。併しすべての広汎の意味において私のただ反対の決意を申上げただけであります。
  99. 古池信三

    ○古池信三君 これは非常に大事な問題だと思いますので、重ねてお尋ねをするのでありまするが、反対の御決意のあるところはよく私もわかりましたが、併しながら現在の立場におられた場合、国の一種の使用人たる立場において国民が定めた施策に対して反対をするということは、これは常識から申しても当を得ないと私は考えるのであります。その辺のところは賢明なる松永さんのことですからよくおわかりのことであろうと思うのでありまするが、その私が申上げました関係についてもう一度御所見を伺いたいと思います。
  100. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 古池さんのお心持は何だかわかるように存じまするが、私はこれ以上ただ議論に亘りはせんかとも思いまするし、又私はこの法案が通過するかせんか、未だ確定もしておらん今日において、いや、おれは公益委員会をやめて反対するのだとか、或いは公僕であるから国会の議案に反対するということはけしからんとか言うのは古池さんの御親切、或いはお心持はわかりますけれども、私としてそういうことについて只今御返事する必要はないと考えております。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
  101. 古池信三

    ○古池信三君 只今の御答弁誠に明瞭でありましたが、私はお話のように、この法案が国会を通過して成立するかどうか、これは将来にかかつている問題で、今から予断を許さないことは承知をしております。先ほど来私が申しておるのは、この法案が将来国会を通りまして成立した曉において、而も松永さんが公僕たる国の一機関としての立場におられて反対をなされるということであれば、その辺のことは十分に私は慎重なる態度をとられたいということを考えてこの質問をしたようなわけであります。これ以上質問をしても無駄と思いますから打切ります。(「質問することが無駄だ」と呼ぶ者あり)
  102. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の質疑応答は本委員会の内容とは別な意味におきまして意味もあろうかと存じます。従いまして各委員におきまして適当な御考慮をお願いしたいと思います。  なお先だつて委員会におきまして、下條委員からたしか只見川開発についてだつたと思いますが、OCI関係の資料を公益委員会に対して要求されたと覚えております。その当時松永委員長代理から提出を約束されたと思いますが、その後資料の整備ができかねるとか、或いは別の意味があるとかよくわかりませんけれども、すぐ出しかねるという意味のお話がありましたので、若し附加えて御説明の要がありましたならば、公益委員会のほうで御説明を願います。
  103. 松田太郎

    政府委員(松田太郎君) その点につきまして委員長のほうに直接御連絡を申上げないで大変失礼いたしたのでありますが、あのあとですぐ下條さんにはちよつとお断りを、御了解を得ておいたのでありますが、中間的に先般○CIのクローアー氏が帰りますときに或る程度の話はいたしたのであります。その点につきましてOCIとしてそのことを公表することについて、言い換えれば参議院のほうで御要求があつたが、公表することについていいかどうか、その点も一応そのOCIに聞いた上でないというと出すわけに行かんじやないかと思うが、その点御了承願いたいということを下條さんには実は申上げておきまして、早速OCIのほうに連絡をとりましたところが、そのときの話で、今週末か来週早々には只見川に関する分だけでも正式の報告書を公益事業委員会のほうに提出できることになつておるので、その前に中間的に御報告をと申しますか、そういうものを公表することは御違慮願いたいということでございましたので、今こちらの委員長からお話になりましたような意味で中間的な御報告はお許し願いたい、こういうことでございます。
  104. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今日別に、特にまだ質疑の準備をされておるかたありますか。今日若し質疑の準備がもうないようでありましたならば、あとに譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは本日の委員会、これで散会いたします。    午後四時三十七分散会