○
政府委員(
賀屋正雄君)
只今議題とな
つております
外資に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきましては、先に
提案理由の
説明におきまして、
内容のあらましを御
説明いたしたわけでありますが、本日は更に
條文を追いまして、多少詳しくその
内容を御
説明いたしたいと考えます。それに入ります前に、一応
外資に関する
法律、
簡單に
外資法と申しますが、
外資法が成立いたしました、制定されました経緯、大体どういうことを規定しておるかということについて
簡單にお話いたしておきたいと考えます。
御
承知のように
外資法は一昨年の五月に制定せられまして、六月から施行されたのでございますが、終戰によりまして、我が国と諸
外国との間の
経済的な一切の取引は一応全面的に停止されまして、例えば
貿易等も当初はいわゆる
政府貿易という形で分れて、それがだんだん
民間貿易に移行して参
つたわけであります。それから勿論
外貨の保有も、従いまして
日本にはこれを運用するというような権限もなく、
司令部によ
つて保管せられてお
つたというような
状態でありまして、従いまして
外資導入が当初
日本の非常な
希望にもかかわらず、これが入り得ないというような体制にあ
つたわけであります。それが御
承知の
昭和二十四年の三月、
ポツダム政令に基きます
外国人の
財産取得に関する
政令というのが出まして、これに基きまして
外資導入の道がやや開けて参
つたということに相成
つたのでありますが、この
外国人の
財産取得に関する
政令は、
外国人が
日本で
株式でありますとか、土地、工場とい
つたような
不動産を
取得いたします場合には、
外資委員会、
日本政府の一
機関たる
外資委員会の
認可を要する。で、
外資導入をいたします場合に、大体
日本の
会社の株を持つとか、或いはこの
不動産を
取得するというような形で行われるものが多いわけでありますので、この
政令できまして、ぼちぼち
外資導入の実例が現われかけて参
つたわけであります。併しながらこの
政令五十一号ができました
趣旨は、どちらかと申しますと、
日本の
経済の当時置かれておりました
立場からいたしまして、殊に
占領下にあるという特殊の
條件の下において、
外国人によ
つて日本の有益な
資源が徒らに持ち去られるということのないように、どちらかと言えば
日本の
資源を尊重するという
立場から、むしろ外人の
そういつた財産取得を取締
つて行くというような取締的な色彩が強か
つたのであります。こういうような
政令の下におきましては、
外資導入は非常に
希望はいたしますけれども、
外人側からしますれば、なかなか入りにくい、依然として入りにくいという
状態にあ
つたのであります。殊に一番問題となりましたのは、
外資が入ります場合には、当然その外地から
投資して生じました
收益なり、それから
元本を結局は
日本から自分の国の
通貨に換える、
自国に
送金するということについての何らかの
保障がなければ、なかなか
外資を得るということにはならない。これは尤もなことでございまして、
日本で幾ら有利な
投資ができましても、
日本で円で
幾ら收益を稼いでも、それを
アメリカ人でありますれば
ドルに交換するということについての
保障がなければ、
幾ら收益性の多いところにも
外資は入
つて参らないわけであります。ところがこの
日本の
外貨は先ほども申しましたように、
関係方面によ
つて抑えられている。それから法的にも今申しましたように
外貨の
保障をするという
制度がなければならない。これではなかなか
外資が入りにくかろうから、それについての何らかの
外貨の
保障をする
制度を作
つたらどうかということが当時称えられまして、そうしてこの
外資法ができたわけでありまして、従いまして、この
外資法はこの
投資に伴いますところの
元本なり、
外資の
海外送金を
保障するということが一番大きな狙いにな
つているわけであります。で、その際に
外資導入に対する
日本の
政府の
立場でありますが、
外資導入であれば、何でもかんでも
日本に入ればいいという態度はとりませんで、やはり
外資が入ります以上は、将来に向
つて負担を伴いますことは当然でございますので、一応入る際に
導入に先立ちまして、
日本政府の一
機関が審査をいたしまして、その網の目を通し、そして
日本政府がこの
外資は確かに
日本の
経済に役立つという判定をしたものにつきまして
導入を認めるということに、いたしまして、そして
導入を認められたものにつきましては、爾後これに
伴つて元利金を
送金いたす場合には一々
為替管理法によ
つて制限をしない、別段
許可も要らないということにいたしましたのであります。で、この
導入に際して
日本政府がスクリーンをいたしますために、
一定の
外資につきましては、
外資委員会の
認可が要るということにな
つてお
つたわけであります。この
外資法ができましてから、だんだん
外資導入も軌道に乘りまして、後ほど御
説明する機会があろうかと思いますが、殊に
技術援助計画を中心といたしまして、
相当な成績を挙げて参
つたのでありますが、併しながら資金的な
投資の面におきましては、まだ
現行の
外資法につきまして不備な点があると申しますか、もう少しここをこういうふうに直したならばより多くの
外資が期待できるのではないかという議論が出て参りまして、昨年から研究いたして参りました結果、諸
外国の要望、又
日本経済界の
要望等を斟酌いたしまして、今度の
外資法の
改正と相成
つたわけでありまするが、従いまして今度の
外資法の
改正は主として試験的な
投資に対して、
外国人に対して従来よりもより優遇するということが考えられているのでありまして、これを大きく分けますと、先ほど申しました
認可事項を若干
整理いたしましたことと、それから
元本果実の
海外送金につきまして、従来或る
程度の
制限があ
つたのでありましたが、この
制限を多少緩めまして、
保障されますものの範囲を多少横張するということにいたしました。この二点が今回の
改正の
眼目とな
つているわけであります。
そこで
條文に移りまして御
説明いたすわけでありますが、お手許に
外資に関する
法律の
新旧対照表という
見出しで、上下二段に分
つて印刷したものがお配りしてあると思うのでありますが、これによりまして御
説明いたしたいと考えます。上のほうには
現行の
條文がございまして、下の欄が今度の
改正される
條文でありますが、
改正されます点は傍線を附してその点を明らかにいたしております。それから今回の
改正で
変更のない
部分は、下の欄は空白にしてございまして、上段に原文を掲げてございます。
そこでこの第一條から第七條までは
定義の
改正、今回の
改正によ
つて新らしい言葉が出ていますので、その
定義を新らしく設けたこととか、或いは後ほど御
説明いたします実質的な
変更に伴いまして
條文を
整理するとい
つた程度の
改正でございますので、御
説明を省略いたしまして、十四頁の第
八條から御
説明いたしたいと思います。
十四頁の第
八條は、
見出しにもありますように
認可、
許可又は勧告の
基準という
條文にな
つております。
現行の
條文は一項、二項に分れておりまして、第一項は
外資委員会が
認可をいたします場合の言わば積極的な
基準、こういう場合に
認可をするという
基準でございます。第二項のほうは、やはり消極的な
基準と申しますか、これこれに該当する場合には
認可をしてはならないという
基準でございます。今度の
改正も第一項につきましては
條文の
整理をいたしました
程度で、実質的には
変りはございませんが、第二項の消極的な
基準について
相当重要な
改正を行な
つておるのであります。その中で第一号、二号、三号は、これは従来と
変りはございませんが、今度
変りましたのは従来の四号、五号を今度新らしく四号一本にまとめて
改正にな
つておるのであります。従来の
基準はどういうことであ
つたかと申しますと、ここを御
説明いたします場合には、第四号は
株式取得についての
基準でございますので、
株式取得についてどういう場合に
認可が要るか、どういう場合に
認可が要らないかということを御
説明しなければ理解しにくいわけでありますが、
簡單に申上げますと、
外資法におきましては、
株式を
新株と
旧株とに分けて
取扱いを異にしておるのであります。この場合の
新株と申しますのは、その
株式を買いますとか、引受けるということによ
つて、その
株式を発行しておる
会社の資産の増加をもたらす場合の
株式、つまり
新設の場合の
株式でありますとか、増資の
株式、これは
外国人がそうい
つた株に
投資いたしますと、その
投資された金が
会社に入るわけであります。これが
新株でありまして、そうでない株を
旧株と称しておりまして、市場で売買されておる株はこの
旧株になるわけであります。これは單なる株主が変るというだけで
会社自身の経理には全然影響はないわけでございます。
現行制度におきましては、
新株と
旧株と両方につきまして、又
果実についての
送金を
希望する場合と
希望しない場合があるわけであります。
つまり先ほど申上げましたように、株に
投資してその
果実たる
配当金の
送金保証を要求する場合と要求しない場合とがある、これで
新株と
旧株は噛み合
つて来るわけでありますが、
現行制度におきましては、
新株であ
つても
旧株であ
つても、とにかく
外国人がその
配当金の
送金保証を要求するという場合には、すべて
外資委員会の
認可が要る、それから
配当金の
送金の
希望をしない場合は
旧株の場合だけ
認可が要
つて、
新株の場合は
届出だけでよろしい、従いまして例えば
外国人が
日本で合法的に稼ぎました
円価で以て株を買います場合は、その
配当金がたとえ
送金保証を
希望しない場合であ
つても、
旧株の場合は一応
認可が要るということになるわけであります。それから
新株の場合は
配当金の
保証さえ要求しなければ
届出だけでいい、こういうことにな
つておるのであります。そこで今申しました
認可の
申請のあ
つた場合に二つになるわけであります。
新株の
取得であ
つて送金保証を
希望する場合と、それから
旧株の場合は
送金保証を
希望する場合と否とを問わず
認可が要るわけでありまして、この二の場合に
認可が要るわけでありますが。その場合にここに書いてありまするように、
株式持分を
取得いたしますために用います株が、その
取得のために
外貨を持
つて参りまして、
アメリカ人であれば
ドルを
日本に
送金して参りまして、これを合法的に交換、つまり
為替銀行を通じまして三百六十円の公定のレートで以て交換して得た
円価であるか、或いは
ドルその他の
対外支拂手段と同等の
価値のあるもの、こうい
つたものによ
つてこの
株式を
取得する場合でなければ
認可ができない。つまりただ
国内で集めました円で以て
申請して来た場合には
認可ができない。つまり
外貨とか、或いは
外貨に
相当する
価値のある現物の
裏付のある資金でなければ
旧株は買えない。又
新株でも
送金保証は得られない、こういうことにな
つてお
つたわけであります。それから
社債貸付金のほうは一般的に
外国から持
つて参りました
外貨を交換して得た
円価のみならず、本邦において適当な
事業活動によ
つて取得したもの、その他
国内で適法に
取得した
円価であれば、この円で以て
社債を買
つたり、その円を
貸付金にすることは
認可できるということにな
つておるわけであります。この
社債の点は、後ほど御
説明いたしますところによ
つて、今回は実は
條文が要らなくな
つたので削除にな
つておりますが、この四項の
株式の
持分の
取得の
基準がこの下の欄にございますように
相当詳しくな
つておるのであります。この詳しくな
つております
趣旨を
簡單に申しますと、今申しましたように
株式持分の
取得には従来は
外貨なり、
外貨の
価値と同等の
価値のあるものの
裏付のある資金でなければ買えない、
認可してはならないとな
つてお
つたのでありますが、そういうことに相成りますと、例えば
外国人がAという
株式に
投資した、ところが
暫らくそのAの株を持
つてお
つた、ところが今度Bという株に
乘換えたい、こういう
希望があります場合に、このAという株を売却いたしまして手にいたしました
円価は、これはもはや普通の円という
取扱いを受けるのでありまして、その円で以てはこのBの株は買えない、Bの株を買うためには、やはり改めてそのために
外貨をもう一度持
つて来なければならない、従来の
法律の前釈ではそういうことにな
つてお
つたわけであります。これでは非常に
株式に対して
投資する人の
投資意欲というものを無視するものであ
つて、
株式投資の実情に副わないのではないか、又この乘換えを認めることにすれば、従来よりもより多くの
株式投資が期待できるのではなかろうかという考え方から、今回は
最初に
外貨なり、
外貨相当物が入
つておりますれば、それが
国内でAからB、BからCというふうに株の銘柄が変
つて行くということは差支えないのではないか、一々その都度
外貨の
送金を要求するというのは余りにもひどいと考えられますので、このような
改正をいたしたわけであります。そこで第四号のイに掲げてございますところは、これは
外貨又は
外貨相当の
価値あるものということで従来と
変りありませんが、このロ以下につきまして新らしいものが入
つて参つたわけであります。ロは
株式持分又は
受益証券を売却いたしまして得た
代金でありますが、但し
株式持分、
受益証券は、
最初に
外貨なり
外貨相当物を持
つて来て
取得したものであ
つて、その
果実又は
元本の
回收金等の
送金保証のすでに得られておるものに限るわけであります。ただそうい
つた株式の
持分の
買却代金でありましても、その新らしく株を買いますまでの間の
期間を無
制限にいたしておきますと、非常にその間の
証明等に明瞭を欠くことになりますので、
最初のAならAという株を売りまして、これをBという株を買いますには、やはり
認可申請が要るわけであります。Aの株を売
つて、それからBの株を買うのに
認可申請の間が一カ月以上もあります場合に、これが
認可をしない、やはり継続的に乘替えて行くということで、一応売却と
認可申請との間を一カ月という
制限を設けたのであります。それからハは、やはり
送金の
保証のあります株又は
持分について、
会社の解散がございまして、
残余財産の
分配金を
受取つたという場合、そのほかごちやごちやとたくさん細かい規定を並べておりますが、これはまあ
余り現実には例が起らないかとも考えられますが、
残余財産の
分配金と同じ
取扱いにして、
ドルと同じ扱いにして新らしい株の
取得に充てることができるようにしたほうがいいと考えられますものを一応
拾つたわけでありまして、なお最後に締めくくりとして「その他
政令で定めるもの」というのを附加えてあります。非常に細かくなりますので、この辺は省略いたしまして、御質問の際に御
説明いたしたいと思います。これはやはりこの場合におきましても、そうい
つたものの
支拂期日とそれから新らしく
取得いたします株の
認可申請との間に一月の期限を認けておるのであります。
それからニは、
受益証券の
元本の
回收金があ
つた場合、その
代金で以て新らしい株を買い得る。それからホは、以上述べました
代金なり、或いは
残余財産の
分配金等を或る
外国投資家がすでに
受取つてお
つて、まだ新
投資に充てておらない場合には、
相続、
遺贈、
合併等が行えまして、次の代或いは
新設の
会社がその
代金を
受取つたという場合には、やはり被
相続人或いは被
合併会社と同じようにそうい
つた代金を
新株の
取得に充て得ることにいたしたのであります。それからヘは後ほど出て参りますが、今度
外国投資家預金勘定というものができますが、これから出した金は新らしい株の
取得に充てる。以上は株だけについて申上げましたが、第四号の
頭書きにもありますように、イからヘに掲げました
円貨は
株式のみならず、
持分、
受益証券、
社債、
貸付金債権等の
取得にも充当し得ることにな
つております。これが今回の
改正の一つの大きな
眼目でありますが、以下第三項、それから第九條は
條文の
整理程度でございますので
説明を省略いたします。
第九條の二は、
外国投資家預金勘定という
見出しにな
つておりますが、これも実質的には後ほど御
説明いたすところに
讓つたほうがいいかとも思いますが、
簡單に申上げますと、今回、例えば株につきまして
一定の年限を置いた株の
売却代金は
海外へ
送金できることにいたしたのでありますが、その場合に、全額を直ちに
送金させるということは
日本の
外貨事情に不当なる圧迫を加える虞れがありますので、これを小刻みに送らせるという措置をと
つたのであります。そういたしますと、いずれは
送金されます
円貨が或る
程度の
期間国内に滞留するわけでありまして、この滞留しております
円貨をやはり特別の
預金勘定に入れておきませんと、
勘定が不明確になる慮れがありますし、又その
円貨がいろいろ好ましからん用途にも充てられるという虞れもございますので、こうい
つた特殊の
勘定を設けたわけでございます。この第二項の一号から四号に預け入れられるものが限定して書いてございますが、これはいずれ
送金されるいわゆる
送金待ちの恰好にな
つておるようなものでありまして、いわば待合室のような性質の
預金勘定でございます。
次は第二章に参りますが、この第二章は、
現行法では大体
外資導入のいろいろな形につきまして、どういう場合に
認可が要る、どういう場合に
認可が要らないか、こういうようなことを規定した
條文でありまして、
現行法ではおよそ三つに分けて規定しておりまして、先ず第一は
技術援助契約、第二が
株式、
持分、第三が
社債、
貸付金、この三つのタイプに分けまして
認可の
関係を規定しているのでありますが、今度の
條文では、これに新らしく
受益証券が入
つて参つたわけであります。それは後ほど御
説明いたしますが、先ず
技術援助契約の
認可の点について、従来とどういうふうに
変つたかと申しますと、従来は
技術援助契約をいたしまして、その
援助の
対価を
外国投資家の
自国の
通貨で
送金するという場合に限らず、
国内で
円貨で受取るという場合でも、すべて
外資委員会の
認可が要る。但し
対価の
支拂期間が一年以下の場合は
認可が要りませんが、一年以上の場合には、
対価を円で受取ろうが、
海外送金しようが、
外資委員会の
認可が要るということにな
つてお
つたのでありますが、今度の
改正におきまして、この点を改めまして、
契約の
期間或いは
対価の
支拂期間が一年を超えるもののうち、
対価を
海外に
送金したい、つまり
技術援助契約をいたしまして、それから生じて参ります例えばロイヤルテイを必ず
外貨で送りたい、それについての
保証を要求するという場合に
限つて外資委員会の
認可が要るということにいたしたのであります。それが第一であります。その次は、従来は
技術援助契約を締結いたしました
あとで、この
契約の
内容について一部
変更をしたい、
條項を一
部分変えたいというような場合におきましては、従来の
制度では
変更される
部分だけについての
認可申請という途はございませんので、
変更を加えました
契約全体について、もう一度
認可の
申請をし直さなければならないということにな
つておりましたが、これでは徒らに
外国投資家に煩瑣な手続を課することに相成りますので、今回はこの
変りました
條項だけに
変更の
認可申請を受ければいいということにいたしたのが第二点でございます。この
技術援助契約につきましては、以下二点が
変つただけであります。次は
株式、
持分という第二の形の
投資でありますが、従来どうな
つておりましたかという点は、先ほど
基準のところで御
説明いたした
通りでございますが、そのときに一つ落しました問題としましては、第二項第二号というのがございまして、他の
外国投資家から讓り受ける
株式、
持分、これは
新株と同じ
取扱いにな
つております。
つまりAという
外国人がBという
外国人から株を讓り受けるという場合には、
送金の
保証を
希望する場合は
認可が要る、そうでない場合は
届出でいいということにな
つておるのであります。今度の
改正につきましては、この
株式につきましては、実質的には余り大きな
改正はないのでありまするが、この第一項は
條文の
整理だけでございまして、第二項は今申下げました
外国人相互間の讓り受けは
認可或いは
届出が要るとな
つておりましたのを、今度はそのいずれも要らないということにいたしまして、第三号のほうへ落したのであります。それ以外には第二項は
変りはございません。今度の
條文に第三項として非常に長い
條文が出ておりますが、これは
株式につきまして
認可不要のケースを列挙いたしたのであります。その第一は、今申上げました
外国人相互間の売買の場合。第二は、
株式、
持分の
相続、
遺贈の
取得による場合。これは従来はどうな
つてお
つたかと申しますと、実は解釈でこの点を補いまして
認可が要らないことにな
つてお
つたのであります。つまり従来の
條文にありますように、
取得しようとするときは
認可が要るというのでありますが、この
相続、
遺贈によ
つて取得します場合は、
取得しようとする意思が働かないという解釈から
認可を要しないという
取扱いにいたしておりましたが、この
関係を
條文上はつきりいたしたほうがよかろうと考えまして、第二号に掲げたのであります。第三号は株を持
つております
会社が合併した場合でありまして、この場合も合併はそれぞれの国の
法律で合法的に行われ、資産を包括的に承継するわけでありますが、その場合、
日本の株を少し持
つてお
つて、その株の引継について
外資委員会の
認可が要るということにいたしますのも、余りにも無意味でございますので、この場合は
認可が要らないというふうにはつきりいたしたわけであります。第四号は、これは今度は持
つておりますほうの株について、それを発行している
会社が合併されたという場合、
外国投資家は
変りはないのですが、この
外国投資家がAという
会社の株を持
つてお
つた。Aという
会社がBという
会社と合併したという場合でありまして、これは当然Aの
会社の株を持
つておりますことについて、当然の権利として割当てられて来るものでありますので、そのBの株を持つことについては別段改めて
認可が要らないということにいたしたのであります。それから第五号に、新商法によ
つて準備金の資本組入という途が開かれました。これもすでにに持
つております株の当然の権利として割当てられる株でありますので、今更
認可にかけてどうのこうのということもございませんので、
認可を要しないようにいたしたのであります。第六号は、いわゆる無償交付の例でございますが、再評価積立金の資本への組入によ
つて発行される株、これもやはり当然の権利として
取得するものでありますから、これも
認可は要らないということにしたのであります。それから第七号は、分割、併合の場合でありまして、これは実質的には元の株でありますから
認可が要らない。第八号は、利益の
配当金のために発行される株、これも当然の権利として
取得さるべきものでありますから
認可が要らない。第九号は、転換
株式と転換
社債、これはただ形が変るだけでありますので
認可が要らない。第十号は、戰時中敵産として処理されましたものが回復される場合であります。これは当然元の
状態に復してやるべきものでありまして、今更
認可ということもございませんので、
認可が要らない。第十一号は、その補足的な規定として、その他
政令で定める場合というのを設けまして、将来
認可にかけないほうがいいと思われる場合が出る。そうしました場合にこれによ
つて規定して行く、
認可を外すということにいたしたいと考えているのであります。ただここで一つ考えられますのは、講和條約発効も近いわけでありますが、これが発効されますと、恐らく各国との間に通商航海條約が締結されることになると思うのであります。その際に恐らく
株式の
取得というようなことには内国民待遇を與えなければならないということになることも予想されるのでありまして、若し仮にそういうことになりまして、先ほども申しましたように、
日本で稼ぎました
円貨で以て市場で
旧株を買うということを
制限することが條約違反になるというような事態が生じました場合には、その際はこの
政令によ
つて認可が要らないということにいたしたいと考えております。
それから次の第十二條は、今度新らしく入りました
受益証券の規定でありますが、
受益証券は御
承知の
通り昨年
投資信託という
制度が設けられまして、
相当多額に発行されているのであります。それから今国会におきましては、貸付信託法という
法律が別途たしか
大蔵委員会のほうに付託にな
つていると思いますが、これによりまして、やはり
受益証券が発行されることになるわけであります。諸
外国の、殊にアメリカにおきましては、この
投資信託という
制度は
相当普及しているようでありまして、将来
外国人が
日本の
受益証券を買いたいという
希望も
相当出て来ることとも思われます。何分にも今日までのところでは
外資法に規定がございませんので、この間の規制は專ら受替管理法によ
つて行な
つている。
為替管理法によりますと、
受益証券から生じます
元本なり、
果実の
送金保証という
制度がございませんので、何らかこの点を解決しなければ
受益証券に対する
投資は期待できないだろうと思われますので、今度十二條を以ちまして
外国投資家がこの
受益証券の
元本、
果実につきまして、
海外送金の
保証を求めるという場合には
外資委員会の
認可を要することにいたしました。そして
外資委員会が
認可いたしますれば、
あとに出て参ります
條文によ
つて為替管理法によ
つて、こういう細かい規制をしない、
許可を要しないで
元本なり、
果実が
送金ができるということにいたしたのであります。第二項は先ほど株のところで申上げましたように、外人相互間の移転、それから
相続、合併という場合に
認可が要らないということにな
つておりますが、
受益証券についても同じ取扱にするという
趣旨の規定でございます。それから次は
社債の
貸付金の場合でありますが、これは
現行法はどうな
つてお
つたかと申しますと、上欄に書いてございますように、
外資委員会の
認可を要します場合は、
社債に対する
投資或いは
貸付金契約が
外資委員会の
認可を要する他の事項と共に行われる、それはどういう場合かと申しますと、
株式取得は
外資委員会の
認可が要る、或いは技術
援助の
契約をする場合は
外資委員会の
認可が要る、こうい
つたように、例えば、
外国の
会社と
日本の
会社が技術的の提携をする、同時に
日本の
会社の経営に参加するために
一定の割合の株を持つ、それと同時に
投資計画の一環として、その
日本の
会社に金を貸してやる、こうい
つた場合には
貸付金債権の
取得について
外資委員会の
認可が要る、その代り
外資委員会の
認可を得ますれば、この
貸付金契約に基く元利金の
送金が
保証される、こういう体系にな
つてお
つたわけであります。従いまして、今申上げましたような場合ではなくして、ただ單独にこの資金だけを貸すというような場合には、これは
為替管理法によ
つて縛られるのでありますが、
為替管理法には元利金の
送金保証というような
制度はございませんので、従
つてただ單に金を貸すだけという場合は非常に取扱に不利な
立場に置かれまして、
送金保証が得られない、これでは今後こうい
つた形の資金的
外資を
導入する場合には非常に不便で、障害になると考えられますので、今回は下の欄にございますように、
果実元本の
回收金について
送金保証を求める場合には他の
認可事項と共に行われる場合と否とを問わず
外資委員会の
認可を受けることが必要である。その代り
外資委員会の
認可を受ければ、
あとに出て参りますような
條文によ
つて、元利金の
送金は
保証されるということにいたしたのであります。ただこの
期間が一年以下の場合でありますとか、短期の国際商業取引の決済のための貸付というような場合には、
送金保証をいたします実績もございませんので、これは従来
通りといたしました。それから
相続、
遺贈、合併、外人相互間の讓渡の場合に
認可が要らないことは、
株式の
持分、
受益証券の場合と同様であります。
以上が大体この四つの形に分けまして
認可の
関係を規定したのでありますが、十三條の二というのは
変つた事柄の
條文になるわけであります。先ほども御
説明いたしましたように、
株式につきましても、それから
受益証券につきましても、
社債貸付金にいたしましても、
一定の場合には
外資委員会の
認可が要らないという
條文が今度規定されたわけであります。そういうようなこの
外資委員会の
認可を受けないで、こうしたものに対する
投資が行われた場合に、
送金の
保証をどうするか、
外資法の建前は冒頭に御
説明いたしましたように、
外資委員会が
導入の際に一度スクリーンする、そしてそのために
認可制度をと
つておるのでありまして、その代り
認可をいたしました場合に、その爾後の
送金を自由にする、こういう建前にな
つておるのであります。今申しました二、三の例のように、
認可が要らない場合には、それではどのような方法によ
つて送金を
保証するかという問題が出て来るのであります。それは十三條の二によ
つて、投下
外国資本の指定ということで
認可は要らないけれども、
送金保証を求める場合には、指定の
申請をして頂く、そして
外資委員会が指定をいたしました場合には
送金が
保証される、こういうやり方にいたしたのであります。その場合指定につきましては、余り長い間、例えば
相続、
遺贈、合併が行われましてから
相当長い間、間を置いて
申請されましても、その間の事情が不鮮明になる虞れがありますので、一応期限を設けまして、三カ月以内に指定の
申請をして頂くことにな
つております。今申しましたように、
認可が要らない場合ということでありますので、どういう株かということは、この一号、二号、三号、四号、五号、六号というものに大体列挙してあるのでありますが、これは先ほど株のところで、御
説明いたしました
認可が要らないという規定を設けております。第十一條の第三項にまあ対応するものであります。詳細な御
説明は省略いたしたいと思います。それから十三條の三は、これは又別の事柄でございますが、技術
援助の
対価でありまするが、
株式、
持分、
受益証券、それから
社債、
貸付金の
果実、
元本、それから
残余財産の
分配金とい
つたような、
投資に基きます
果実、
元本をすでに
送金ができる
状態にな
つておりますものを或る
外国の
投資家が持
つておりましたところが、その
外国投資家が死んで
相続が行われる、或いはその
外国投資家が
会社の場合に、
会社が合併されて新らしい
会社にな
つたというような場合には、前の被
相続人なり、被
合併会社に
送金の
保証が與えられてお
つたものを、引続き
相続人なり、合併によ
つて新設された
会社に
保証を與えようという
趣旨の規定でございます。その場合にはやはり三カ月以内に確認の
申請をして頂く、非常に
條文はこまごまと細かく書いてございますが、要するにそういうことを規定いたしております。
それから十四條でありますが、これは指定の
條件という
條項でありまして、
外資委員会が従来
認可をいたします場合には、いろいろな
條件が付けられる。無
條件に
認可いたします場合が勿論原則でありますが、
日本の
経済を保護するという
立場から、これだけの
條件は是非満たしてもらわなければ困るというような場合には、
認可をするに際しまして
條件を付けてお
つたわけであります。第二項にありますように、
送金について為替管理の主管官庁が
認可の
條件を付けてほしいということを
外資委員会に言
つて参りました場合には、それをそのまま
認可の
條件の中に包含させる、こういうことにな
つてお
つたのであります。ところが従来ははつきり書いてございますように、
認可をするに際して
條件を付けることができるということにな
つておりまして、一度付けた
條件はもう
変更の余地がないということにな
つてお
つたのであります。ところがこれでは当事者が非常に困る場合があり得るのではなかろうか。例えば
最初の
導入の際には、或る点について不安があ
つたために
一定の
條件を付けた。ところがその後時日の経過と共にそうい
つた不安は解消したという場合が予想されるのであります。その場合には当事者がもうその心配はないから
條件を除いてほしいということを言
つて参りました場合には、それを認める余地が只今は全然ございませんが、止むを得ないという事情があります場合には、当然認めてや
つて差支えないと思われますので、そういうことができるような根拠を十四條に設けたわけであります。
次に第三章に参りまして、これは
送金の
保証に関する規定であります。非常に厄介な
條文でありますが、大体どういう事柄を規定してあるかということを
簡單に御
説明することにいたしたいと思います。従来は非常に
送金の
保証は
簡單でございまして、十五條一條あるだけであります。従来の十五條はどういうことが書いてあ
つたかと申しますと、このいろいろな形の
投資について、
投資をいたします場合に、
認可申請書の中だとか、或いは、いろいろな
契約書、
技術援助契約だとか、
貸付金契約の場合に、
契約書の中ではつきり
元本、
果実を
海外送金したいということを明瞭に示しまして
認可を
申請して来た場合には、
外資委員会の
認可があれば
為替管理法によ
つて許可は必要でない。
外国為替及び
外国貿易管理法第二十七條というのは、
海外に対する
送金を縛
つておる
條文でありまして、この
條文についてもはや支拂が認められたものとするという規定のいたし方をしまして、従
つて一般の
許可、
為替管理法による
許可は必要でない。但し先ほど十四條で申しました
條件を付けた場合は、その
條件に従わなければならない。第二項は、
社債、
貸付金債権の場合は、一番
最初申しましたように、第
八條の第五号がございまして、
国内で合法的に
取得しました
円貨で以ても、
社債を
取得したり、
貸付金債権ができることにな
つておりますので、そうい
つた場合は何も
ドルその他の
外貨なり、
外貨相当の
裏付けのあるものは
日本に入
つておりませんので、そういうものに基く
元本、
果実を
送金させることは不適当でございますので、これを適用しないということにいたしたのでありますが、第二項と第
八條の
社債、
貸付金の
認可基準の
條文は、今度の
社債、
貸付金の
認可が
送金保証を
希望する場合だけ
外資委員会の
認可が要るということにな
つておりまして、それ以外の場合は別段触れておりませんので、この
條文は必要がなくな
つて参つたわけであります。この十五條は従来は技術
援助の
対価、配当、それから
株式、
持分の
配当金、それから
社債、
貸付金の利子、
元本というものは一括して規定してお
つたのでありますが、今度ものしよ
つて取扱いを異にいたしました
関係上、この
條文が十五條と十五條の二、それから十五條の三、四、四つの
條文に分れて参
つたわけであります。十五條は従来と全然
変りのない、技術
援助の
対価の場合或いは
社債、
貸付金利子、
元本の場合、これはこの
契約自体を
外資委員会が
認可いたしますれば、その
契約の
條項に従
つた送金は別段、特別の
條件を付けた場合はそれに従わなければなりませんが、そうでない場合はこの
契約通りの
送金をして差支えないというものでございますので、これだけを別の
條文に一つにまとめたわけであります。ただ変
つて参りましたのは、先ほど申上げましたように、
認可が要らない場合がありますが、その場合は指定の
申請をして頂く。指定の
申請があ
つて外資委員会の指定があ
つた場合には、この
送金が
保証されるというのが新らしく加わ
つて来たわけでございます。第十五條の二は、多少細かい認定を要するものを集めまして、
株式、
持分と
受益証券の
果実と
元本についての
送金の
保証について規定してございます。第十五條の二は、やはり元の十五條と同じように、
外資委員会の
認可があるか、或いは
外資委員会の指定があ
つたときには
送金保証が得られるということを言
つておるだけであります。その場合にどういう範囲のものが
送金保証されるかというのは、この一号から四号までに、これによ
つて区別してあるわけでございます。で、
株式、
持分又は
受益証券の
果実、これは
配当金でありますが、これは従来と同様、別段
制限なく
外資委員会が
條件を附けません場合は原則としてまるまる
送金できる。それから次は、償還
株式の場合でありますが、これは大体期限の定めがあるものでありますので、
最初に
認可をいたします場合には期限の点なんかをよく審査いたしまして、この償還
株式に対する
投資が差支えがないかという
認可を下しました場合には、この利益を以てする償却金はまるまる
送金できるということにな
つておるのでありますが、厄介なのは、この三と四でございまして、三は
株式の
売却代金であります。この
株式の
売却代金につきましては、或る
外国投資家がその株を買いましてから引続き三年間持
つてお
つた後に売却いたしました
代金でなければ
送金を
保証しない。今日買いまして明日なり、一年た
つたところで知
つて、その金を家へ送りたいというのは認めないで、引続いて三年間持
つてお
つたものでなければならないということを言
つておるのであります。で、
條文として細かく書いてありますのは、実は大きな括弧が二カ所入
つておるのであります。この括弧を入れました
趣旨は、この三年の起算点をどこにするか。特別の場合に三年の起算点をどこにするかということを言
つておるのでありまして、
最初の場合は、或る
外国投資家がAという株を買
つた。ところが、その株を発行しております
会社が合併されて、
新設された
会社の株に形が
変つたという場合には、その新らしい株を持
つた時から三年を計算するのでなくて、元持
つてお
つた株を買
つた日を三年の起算点とする、こういう
趣旨が前の括弧であります。それから合併の場合に限らず、分割、
変更があ
つた場合もそうであります。それから
あとのほうの括弧は、その或る
外国投資家が持
つておりました場合に、その間に
相続、遺財が行われた場合或いは
外国投資家自身の合併があ
つたという場合には、
相続人なり、新らしい
新設の
会社が
相続、合併によ
つて取得した日から三年を計算するのでなくして、
最初に被
相続人なり、被
合併会社が
取得した日を三年の起算点とする、前に遡るので浸るという
趣旨を明らかにするために、この括弧が二つ付いておるわけでございます。この括弧を除いて読んで頂けば、そうむずかしい
條文ではないと考えております。
第四項は
受益証券の
元本の
回收金でございます。これは株のように何年という期限は設けませんで、
受益証券の約款できま
つております
契約期限が参りますれば、その
回收金を
送金保証するという
趣旨であります。この場合二つとも但書が付いておりまして、
外国投資家預金勘定が出て参りますが、これは先ほど申しましたように、この期限が過ぎまして売
つたものはまるまる全部送らせません
関係上、これを一度
外国投資家預金勘定に入れる。その入れますのは三カ月た
つたあとで入れられては困る。成るべく早く入れてもらう必要があるので、この三カ月以内に入れておかなければ送れなくなるのであるということを言
つておるだけであります。
それから第二項一号はやはり
送金の
保証でありますが、
売却代金の場合と違いまして、
残余財産の
分配金がどうなるか。或る
会社の株を持
つておりましたところが、その
日本の
会社が解散した。その場合に
残余財産の
分配金を
受取つたという場合には、やはり元の
株式が
送金保証されているという場合には、
最初の
取得の日から三年た
つたのち、やはり
送金の
保証が得られるということにいたしておるわけでありまして、括弧か二つ付いておりますのは、前の
売却代金のところで申上げましたことと同じことであります。それから第二号は
外国投資家預金勘定の利子、これは当然に
送金を許す。今御
説明いたしました第十五條の二は、どういうものが
送金保証されるかと言
つておるのでありますが、第十五條の三は、今度は
送金保証をされますところの
元本の
回收金の
送金額を
制限しておる規定でありまして、例えば
売却代金で申しますれば、三年た
つたあとで売
つた場合にはその全額を送れるというのではなくして、これを小刻みに送らせる。
受益証券に対しましても
元本の償還を受けたときに全部を送らせるということにいたしませんで、
外貨事情に対する影響を考慮いたしまして、これを何年間かに分
つて送らせるということにいたしたわけでございます。第十五條の三の第一項は
売却代金についての規定でございます。これもやはり同じような
趣旨の三年という言葉が出て参りますので、この起算点の
関係から同じような
趣旨の括弧が出て参りまするが、これを除いて読んで頂きますればよくおわかりかと思いますが、要するにこの三年を経過した
あとは毎年二〇%ずつ
送金を認めようということでございますが、この二〇%という計算のやり方には二
通りあるのでございまして、その二
通りのいずれの方法によ
つてもよいという規定のいたし方であります。例えば或る
投資家がAという株を百株買
つた。それを三年間持
つてお
つた。三年間経過した後にこの百株全部を売りまして、その
売却代金の二〇%を
送金するということも勿論認められますし、そうではなくて取りあえずその百株のうちの二十株だけを売
つてあとの八十株はまだ持
つておるという場合は、その二十株を売
つた代金はこれをまるまる送れる。株数で参ります場合と、金額で行きます場合と、この二つの方法のいずれによ
つてもよいということにな
つておるのであります。これは毎年最両眼二〇%ということでありますが、普通に送り得るにもかかわらず
送金しなか
つた。翌年に行
つて前の年の分と合せて四〇%を送りたいということを申しましても、これは認めないのでありまして、その場合には送り得るのは二〇%ですから、本来ならば五年で全部
送金し終るわけでありますが、その間一年なり、二年なり
送金を怠りました場合には、全部送るのは六年なり、七年先に延びるということになるわけでございます。それから第二項は
受益証券の償還期限について、やはり同じく二割ずつ出すという規定。それから第三項は、
残余財産の分配について、やはり毎年二割ずつしか送らせないという規定でございます。で、第四項はそうい
つた送金の
制限は銘柄ごとに計算するということにな
つておるのであります。それから第十五條の四は、先ほど
送金を当然認められておりますところの
元本果実を持
つております
外国投資家が死んで、
相続によ
つて他の
外国投資家が
取得した、或いは合併が行われて新らしい
会社が
取得したという場合に、後の代の
投資家には当然
送金を認めてや
つていいわけでありますが、先ほど御
説明しましたところによ
つて確認の
申請をさせまして、そうして
外資委員会が確認をすれば
送金が認められるという
保証の実質的規定が第十五條の四に出て参
つておるわけであります。
大体以上で今回の
改正の大きなポイントは御
説明をし終
つたわけでありますが、
あと附加えて申上げたいのは、七十六頁の報告の徴集の規定でございます。上欄にもございますように、第二十四條は、従来報告が必要でありましたのは、
認可を受けて
契約を締結したり、
株式、
持分、
社債又は
貸付金債権を
取得したときはその旨を
外資委員会に報告する、つまり
認可申請をしました事後の実行報告に過ぎなか
つたのでありますが、今回は新たに第二項を設けまして、広く
外国投資家、その相手方その他の利害
関係人から
外資に関する
法律の施行を確保するために、必要な限度において報告を徴集することができるということにいたしたのでありまして、例えば
技術援助契約をいたしました場合、果してそれがどの
程度実効が上
つておるかというようなことを事後審査する必要がございますので、そうい
つた報告もとれるようにいたしましたし、又
株式の発行
会社も、この利害
関係人に入るかと思います。又
外国投資家預金勘定の場合でありますが、
外国為替管理
委員会もこの利害
関係人の中に入るかと思います。随時必要な報告をとり得るようにいたしたわけであります。本文のほうは大体その
程度にいたしまして、この
新旧対照表には附則が付いておりませんが、この附則はこちらの国会で配られました
法律案、
改正法そのものの最後のところに表などが入りまして非常に細かいせりふが付いておりますが、お読みにな
つて何のことだかわからなくなると思いますが、私どももときどき思い出すのに苦労するくらいでございますが、要するにここでこの附則を設けました
趣旨を
簡單に申上げますと、従来の
法律によりまして、
外資委員会は
株式の
取得をどんどん
認可しておるわけでありますが、その場合に配当の
送金は
保証されますが、従来はその
元本については全然
保証の途がないわけであります。で、すでに
外資委員会の
許可を得て
取得いたしましたものについて、それでは
売却代金をどういう扱いにするかということでありますが、これは今後入
つて参ります
投資について
元本の
売却代金を、
元本の
送金を認める以上、それより先に入
つたものに対して、これを拒否して不利な扱いにするということは到底できませんので、前に入りましたものにつきましても、やはりもう一度審査をいたしまして、適当なものでございますれば、
元本の配当を、
元本の
送金を認めることにいたす必要があろうかと考えられますので、その場合には
改正法が施行されましてから三カ月以内に、やはり先ほど申しました
認可が要らない場合と同じように
外資委員会に指定の
申請をして頂きまして、
外資委員会が指定した場合には、従来入
つたものについて、配当のみならず
元本についても
送金保証が得られるようにしようというのが、この附則を設けました一番大きな問題で、
あとは
法律、技術的な、従来
認可いたしました
保証の効果が将来も
変りがないというようなことを規定した
條文でございまして、実質的には今申しましたのが一番大きな問題であります。以上非常に長くなりましたが、一応
條文の御
説明を終ります。