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1952-06-06 第13回国会 参議院 経済安定・大蔵・通商産業・建設連合委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月六日(金曜日)    午前十一時四十三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君            永井純一郎君    委員           大野木秀次郎君            古池 信三君            奥 むめお君            杉山 昌作君            須藤 五郎君   大蔵委員    理事            大矢半次郎君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            森 八三一君            下條 恭兵君   通商産業委員    委員長     竹中 七郎君    理事            小林 英三君            結城 安次君            松本  昇君            栗山 良夫君    委員            泉山 三六君            重宗 雄三君            中川 以良君            山本 米治君            加藤 正人君            小松 正雄君            島   清君            西田 隆男君            石川 清一君   建設委員    委員長     廣瀬與兵衞君    理事      赤木 正雄君    委員            石川 榮一君            楠瀬 常猪君            深水 六郎君            前田  穰君            松浦 定義君            三輪 貞治君   衆議院議員            福田  一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    公益事業委員会    技術長     平井寛一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 一郎君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    経済安定事務官 佐々木義武君    経済安定技官  藤波 恒雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○電源開発促進法案衆議院提出)   ―――――――――――――
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは、電源開発促進法案に関しましての連合委員会を開会いたします。  今日で通算いたしますと、公聴会の分を含めれば第十九回、これを除きまして十七回目の審議になると思います。前回に引続きまして質疑を続行いたしますが、なお、先だつてお話がありまして、一時連合委員会から去つておられましたところの大蔵委員会から申入れがありまして、経済安定委員会におきまして御相談の結果、ともかくも連合を再びして頂くことになりましたので、連合は四つの連合委員会になるわけであります。御了解の上御質問を継続お願いいたします。
  3. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は、前回公益委員会に対して、提案者から配付されておる資料と、公益委員会のほうの見解とに相違があるかないかという点をお尋ねしておいたのでございます。で、一々この提案者からの資料、厖大なものに対してこの委員会の席上で検討を加えてもらうのは、時間的にも甚だ大変だと思いましたので、資料を附して出して頂くようにお願いしておいたのであります。只今ここに私は公益委員会事務局から出ました資料を頂いたところでございまして、読みかけたところですが、他のかたがたにも非常に参考になると思いますから、この資料に対して、公益委員会一つ説明を先ずお願いするほうがよかろうと思いまするので、そういうふうにお運びを願います。
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 公益委員会側説明されますか。皆さん如何ですか、必要ありますか。
  5. 木内四郎

    木内四郎君 来てるのならやつてもらいたい。来てるのですか。
  6. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 公益委員は今日はどうしても来られんということで、技術長並び経理長が出席されております。全部説明を聞く必要があれば説明させますし、どういたしますか。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 説明してもらいましよう。
  8. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 公益委員会のほうへお願いいたします。
  9. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) それではお手許只今差上げました資料をおおむね読みながら御説明申上げたいと思います。電源開発に関する計画乃至見通しにつきましての御配付を受けました参考資料が計数的に見て果して妥当であるかどうかという点につきましては、この当該資料作成前提となりまする事項、即ち開発地点選定の仕方、或いは低利政府資金が流れて出るルートをば特殊会社のみに限定するというような基本的な考え方については、又おのおのの立場からいろいろと批判が限りなく行われると考えられるのであります。併しながら、これらの基本的な線を一応認めて、内容の計数的な点に入りますると、その計算の過程においては、数字とり方等の技術的な面においては、頂きました資料だけによりましては、この計算基礎は十分につまびらかにし得ないうらみはあるのでありますが、特に問題として考えられる点はないように考えるのであります。ただ以下に申上げまするような諸点について多少検討の余地があるのではないかと考えられるのであります。逐次申上げてみたいと思います。  第一は、計画出発点となつておりますところの需用想定の面でありますが、この点につきましては、経本の案ではやはり需用伸びが少なめになつておるのではないかという感じを受けるのであります。従いまして、全般開発計画は、その規模をば更に大きくいたすのでないと、計画の完了後における需給の均衡というものは達成し得ないのではないかと考えられる節があるのであります。御参考にここに数字を少し載せて置きましたが、昭和三十一年度末の需用想定におきまして、経本から提出されましたものにおきましては、需用端の数でありますが、四百七十九億八千万キロワツトアワーという数字が出ております。公益委員会側のほうで電気事業者その他から出ましたものをまとめて調べておりますものは、四百八十八億、この数字自身は殆んど同じように見えるのでありまするが、経本の案の中には自家用需用をも含めておるのでありまして、これが括弧の中にありまする約八十三億キロワツトアワーになるのであります。従いまして、同じベースに比べまするのには、経本数字から八十億程度を引いたものと公益委員会の四百八十億の開きという間隔になるわけであります。  それから第二の点は、特殊会社開発地点選定につきましては、委員会のほうで見ますると、必ずしもその特殊会社を対象としなくても他の経営形態でも遂行ができるのではないかと思われるものも若干見受けられるのであります。又予定通り着工いたしますには、なお調査が不十分ではないかと考えられるようなもの等も若干あるような感じがするのでありますが、これらの点はむしろ見解相違に属するものではないかと思いまするので、深く触れないことにいたします。  それから第三の点は、これは小さな③の間違いでありますから御訂正願います。特殊会社発電原価算定の面であります。小さく(1)(2)(3)とありまするのを(ハ)と読み替えて頂きたいと思います。その第一は前提となりまする建設費算定はこれは当然個々地点ごとの積上げ計算であると見られるのでありますが、その個々内容計数的根拠手許にない限りちよつと的確な検討はいたしかねるのでありますが、大体この算定基礎となつておりまする建設現場の人員の数でありますが、これがいろいろ御説明を伺いますると、別の意味があるようでございますが、ただ数字だけを見ますと、少なきに失するのではないかと感じた次第であります。それから修繕費そのほかの一般の運転経費でありまするが、これは今回の料金値上げ前の電力会社の数値を基礎として使つておられるやに見受けたのでありますが、この点は特殊会社であるからどうであるかと、或いは普通の電力会社であつたならばどうであるというふうなそういう差異はないのでありますから、どちらでやつても同じような程度のものになると思いますので、特に問題とすることはないのじやないかと思うのであります。結局問題は第三の最後の点にあるのでありまするが、それは特殊会社電力会社との発電原価開きというものは、資本費特に金利及び配当計算において開きが多く現われておるのであります。でこの点が論議の焦点となるわけであろうと思うのであります。特殊会社の場合を見ますると、資本構成の七〇%近くを占める株式資本に対しまして、六%の低率配当に抑えてありまする結果、電力会社のほうは逆に今後の開放が主に借入資本によつて行われるということを想定しておりまするので、その金利はどうしても資本の九%ぐらいになつておるのであります。その前後となつていると思うのであります。そうした借入資本によるという建前をとつております場合の金利との間に開きが大きく出て来ると思うのでありますが、配当六%を実施いたしますためには、勿論税込計算とする必要があるのであります。併し法人税法によりまして、電力その他の重要産業に対しましては、建設の終りました翌年から三年間は法人税、これは大体利益に対しまして四二%程度でありまするが、この法人税の免除が行われることになつております。そこで六%相当原価……その期間は大体三年間は六%相当配当をする相当額原価に織込むことによつて足りるのでありますけれども、第四年目からは法人税が当然課せられることになりますので、この配当を維持しようといたしますると、株式資本に対しましておおむね一割程度の金額を原価に織込まなければならなくなるわけなのであります。そういたしますと、その時期においては電力会社の場合の計算とまあ殆んど差異がなくなるのではないか、原価的に差がなくなるのではないかということが言えるのであります。結局問題は、政府出資という形で六%程度の低コストの資金を流すということが特殊会社に対してのみ行える、こういう考え方をとるかどうかというところに問題が帰着して来るのじやないかと思うのであります。大体の見ました点は以上であります。
  10. 下條恭兵

    下條恭兵君 それでは先ず公益委員会にお尋ねいたします。この資料の第一点について、「電源開発に関する計画乃至見通しについての経本配付参考資料が計数的に見て妥当なものであるかどうかについては、当該資料作成前提となる事項即ち開発地点選定の仕方や低利政府資金の流れる」云云と書いてあつて、而も公益委員会では一応この基本的な線を容認する限りにおいては云々とこう書いてあります。今又そういう説明があつたようであります。妥当かどうかということ、私どもはこの計画は妥当であるかどうかということを知りたいためにいろいろお尋ねしているのに、この基本的な線を認めてしまえばこうだというふうに今御説明があつたようであります。一体妥当であると認めておられるのか、それとも妥当であるかどうかということを検討するのが面倒くさいのか、何か差障りがあつて検討するのをやめたのか、この点はつきりさして頂きたいと思うのであります。
  11. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 只今需用想定等につきましては、委員会としましては、これは電力会社が過去の実績とか、或いは現在のいろいろな手許にあります具体的な事情の上等に立つて、五年間の需用伸び想定いたしましたものを委員会においての席上でいろいろ内容的に検討いたしまして、それを認めて一応その数字を以て計画基礎としているわけなんでありまして、従いまして将来の問題でありまするので、委員会としては経本数字は妥当でないとか妥当であるとかいうことは、ちよつとここで申上げかねるように思うのであります。
  12. 下條恭兵

    下條恭兵君 その点が重要なので、基本的な点において提案者の出した資料基礎になるものを妥当と認めておられるのであれば、あとは大した問題はないと私は思うのであります。むしろ私がこの前資料をお願いいたしましたのは、このそれぞれの当座の資料の中のどこかに公益委員会のほうの見解と、この特殊会社案計画基礎になつている資料との間に大きな食違いでもあるとすれば、将来の電力問題に重大な支障が来るであろうということからお尋ねしたのでありまして、従つてこの公益委員会資料の問題になるのは、私は第一点だと思うのであります。今いろいろ遠慮しながら説明しておられるように私には聞きとれるのでありますけれども、私のお尋ねしたいのはそういうことでなしに、公益委員会は今度いろいろな調査もしておられると思うし、研究もしておられると思うし、且つ又意見も持つておられるはずだと思うのであります。従つて従来持つてつた意見なり方針なり計画と、それからこの促進法に基く計画との間にどういう点に食違いがあるのか、ないのかということを私はお尋ねしたわけであります。どうも今の答弁者の御答弁甚だ私には不十分だと思いますけれども、今日は委員長委員長代理も見えておられませんから、この点はあとに譲ることにいたします。  次に私がお尋ねしたいと思いますことは、この資料の第二にあります需用想定でございます。この需用想定自家用を含む場合と自家用を含まない場合とで、公益委員会経本との間には大変な開きがあると思うのでありまして、このことは折角特殊会社まで作つて三十一年度において需給のバランスをとろうという御説明でありますけれども、こういうふうに需用想定が仮に経案通りであつて済むならば、私はこれに越したことはないと思うのでありますが、若し公益事業委員会の案のほうが妥当であるとすれば、三十一年度になれば又電力問題で大きな問題が起きて来ると思いますので、この点に対してどちらが正しいのであるか、これを我々是非突きとめておきたいと考えるのであります。そこで私は経本側資料は、これはどういう根柢に基いて三十一年度をこれだけあれば十分間に合うということが言えるのであるかという点を、先ず安本のほうの専門のかたから御説明をお聞きしたいと思うのです。
  13. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 御説明申上げます。経済安定本部資料公益事業委員会資料との差異と申しますか、需用想定における差異は専ら前提条件を如何にとるかという点にあると思います。公益事業委員会のほうの需用想定基礎は私よく存じませんが、仄聞するところによりますと、大体各電力会社において現在考えられます現実的な見解を調整総合しましてできたものだというふうに聞いております。それに反しまして、経済安定本部のほうの需用想定は、この前から何遍も申上げましたように、前提は主として日本生活水準を今後五カ年間に如何に上げるべきか、大体現在ありまする遊休工場、或いは現在決定しておりまする工場といつたようなものを将来この五ヵ年後に効率的に運転する場合には、勿論効率的な意味と言いますのは、有効需用市場等も或る程度勘案いたしまして、無理のない経済循環を考えた場合にはどういうふうになるだろうというふうな、主として生活水準の問題と国の経済全般工場遊休度、それを合理的に運転した場合にはどうなるかという二点を押えまして、それに必要な需用量というものを算定いたしておりまするので、どちらが正しいかという問題は、むしろ考え方をどこに置くべきかというところに帰着するのだと、こういうふうに考えております。
  14. 下條恭兵

    下條恭兵君 公益委員会のほうから一つ今の佐々木説明員に対する見解をお聞きしたいと思います。
  15. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 公益委員会で、各電力会社としての需用想定の原案を作つてもらいますのにつきましては、相当詳細な調査をしたのであります。でそれぞれの会社の細かいこの需用地点別に分けまして、それを更に各産業部門別に当然需用が分れて検討せられたのでありまして、地元のそれぞれの産業、或いはその産業面生産計画等もいろいろ考慮に入れてやつたのでありまするが、ただ希望的な数字を集計するということをやりますると、どうしても数字が過大になりますので、この点につきましては、従来とも申込に対する達成率とか、いろいろなものの実績記録等もありまするし、そうしたものをできるだけ参酌いたしまして、そうして問題によりましては、例えば地方の産業局その他にも御協力を願う、こういうふうな方法をとりまして、この辺が穏当の数字であろうと考えましたものを集計したものと心得ております。従いまして、委員会としましては、只今見解としてはやはりこの程度理想としてはどうしても需用伸びはこのくらいまではあるものと考えておるのがいいのじやないかと思うのでありまするが、ただ経本のほうでいろいろとこれを日本の国民全体の経済伸びという大きな視野から別途に御研究になつておられまするので、我々も電力会社をして早くそうしたものも具体的なものができた上に立つて需用想定もその面も見ながら立てることを考えておるのでありまするが、その当時まだそういう新しい計数的のものは出ておりませんので、止むを得ずそういうふうになつたのであります。現在におきましては、経本のほうでお出しになりましたそういう資料をも我々のほうでも目下いろいろと検討をして、この辺の点についてどこら辺まで、どういうところがいいところであるかということについて更に検討を進めつつあるのでありまするが、まだ結論に達しておらないのであります。ただ経過的にそのおよその数字を見まして、私ども感じておりますることは、例えば生産計画規模等については余り大きな違いはないのじやないかという感じを受けておりますが、その生産減退量とり方については私ども数字的にまだ違いがあるのじやないかと思つておりまするので、その辺の点を更に掘下げる必要があるのじやないか、こう考えております。減退量はできるだけ下げるのが理想でありまするけれども、現実の工場のいろいろな現存の設備等から見まして、まだなかなかそう短期間に取上げ得ないような事情がありまして、この辺の判断をどこにおくかということが大きな問題ではないかと考えております。
  16. 下條恭兵

    下條恭兵君 それではその次の何について公益委員会のかたにお尋ねいたしますが、特殊会社開発地点選定について大分議論があるように見受けられるのであります。石狩川北上川がここに例に挙つておりまするが、石狩川北上川は特殊会社でなくてもやれるということは、公益委員会見解といたしましてはどういう点からそういうふうに見たのか、その辺をもう少し我々に詳しく御説明を願いたいと思います。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと関連して……。特殊会社開発予定地点になつておるものについて、この特殊会形態でなくてはどうしてもやれない、こういうふうに考えられるのかどうか、その点を併せて説明をして頂きたい。公益事業委員会見解ですよ。
  18. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 公益事業委員会といたしましては、今後の電気事業の面における需用に対応するための開発はできるだけ電力会社において行われるものと考えておるわけであります。自家用関係は別といたしまして……。それでその場合に二つの会社に跨がつておるような特に大きな河川等のごときものにつきましては、場合によつてはその関連のある二社が共同で別の会社を作るということはあり得る、又それも必要であるとこう見ておるのでありまするが、そうでない程度の中小の大きさのものについては、おおむねこれは電力会社をしてやらすことができるものであると考えておるのであります。又そうでない例えば総合開発的な性格がむしろ大きく打出されておるようなものにつきましては、或いは県営その他の別の開発方法等もあるのでありまして、それも併せて計画の中には相当数量を織込んであるのであります。従いまして、今御指摘のありましたような地点につきましては、現在のところでは、これは大体電力会社でもやられるかと考えておりますし、現にこの石狩川のごときは然別だと思うのでありますが、すでに電力会社計画として準備を進めておるわけであります。なぜ特にこれを開発会社によつてやらなければならぬか、北海道のような場合はむしろ別会社的ないわゆる挺入を必要とするいわゆる十勝系統の糠平というようなもつと大きなものは、地元会社の自力だけでは相当やりにくい、そういうものをむしろ取上げて頂きたいという感じを持つておるのであります。発電というよりは、むしろ他の治水、利水的な面の要請が強く出て、その面と発電も併せ考えるというものも別途にそれぞれの地域にあるのでありますが、これらは先ほど申上げましたように県営その他の形が現に相当地点が滑り出しておりますし、計画にも相当数量を織込んであるのでありまして、これを特に国策による特殊会社でやらなくちやならないとは今のところでは考えておらない、こういう意味でございます。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつと関連して……、午後で結構でございますが、それまでに提案者のほうにちよつと計算をされてお示し願いたいと思います。それは新設発電設備によるところの発電原価試算表参考資料を三つ頂いております。この間非公式に説明伺つて、私は奇異に感じたのでありますが、それは特殊会社候補地点における三十一年度の発電原価が一円八十七銭、非常に安くなつておるわけであります。その理由をいろいろ伺つておりましたところ、これは未稼動設備の部分が相当たくさんありまして、従つて三十二年度末の二円四十五銭というのが落付いた価格である。三十一年度の一円八十七銭というのはそれは極く参考的に示した数字に過ぎない、こういう説明がありまして了承いたしました。ところが更に実は天龍の佐久間の発電所が非常に有利な地点であるので、これを入れたことによつて相当下つたというような意味のことも聞いたのであります。そこで私はこれを電力会社がやるのか、特殊会社がやるのかによりまして、この発電単価そのもの大分変更を来すのではないかと考えるのでありますから、三十二年度分の中でこの二円四十五銭が出ました数字の中から天龍の分を除きました分は幾らになるか、それから逆に電力会社のほうの水力へ天龍を入れましたならば、これが幾らになるか、これの計算を是非とも出して頂きたい、こう考えます。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの公益事業委員会のほうの見解をもう一度念を押して確めますが、要するに資金さえあれば、この特殊会社で現在発案者が予定されておるような開発地点電源開発というものは既存の九電力会社、或いはその連合体において開発できるという見解ですか。
  21. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) さようでございます。
  22. 下條恭兵

    下條恭兵君 今の点ですが、この公益事業委員会只今説明を聞いておりますと、公益事業委員会ではここに書いてある特殊会社というのは、我々は資料全般から言つて特殊会社というのは、今度の促進法に基いた特殊会社というふうに解釈しておりますが、今ここの資料に書いてある公益事業委員会特殊会社というのは必ずしも促進法に基く特殊会社でなくても、二社に胯がるような地域には二社の共同会社でするというような考え方も、それをも特殊会社と言つておるかのように聞えますが、どういうことですか、これが一点。もう一つは今石狩川北海道電力会社ですでに開発にかかつておるようなふうに私聞きとれたのでありますけれども、果してそうであるかどうか。石狩川において北海道電力が着工していないまでも、どの辺まで仕事が進んでおるかというような点を併せて御説明願いたいと思います。
  23. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 先ず特殊会社という言葉でございまするが、その言葉の使われておりまするのは、只今御審議のありまする特殊公社法に基く会社の場合を私どもとしては考えております。で先ほど申上げました一社でなくて二社で連合でやるという場合、或いは他の一般の状況も入つておるというような別会社を作るというのは、必らずしも御審議中の法案に基く特殊会社とは考えておらないわけでございまして、これは会社において直接になすものの延長、或いはそれに類するものといつたような考えを持つております。それから石狩川の問題でありますが、これは石狩川のどの地点がこの計画の中に特に入つておりまするかによつて、或いは私の思い違いかとも思いまするが、私どもは然別の地点と考えておりまするが、然別につきましては、もう二十七年度の新規計画としてすでに資金の対策等も立てて、工事にかかるべく今準備を進めておるのであります。そのことのつもりで申上げたわけであります。
  24. 下條恭兵

    下條恭兵君 提案者にお尋ねいたします。今の石狩川はもうすでに着工しておるように、二十七年度の計画に入つているように言つておりまするが、この点はどうなんですか。或いはそれを取上げて特殊会社でやろうというのですか、それともそれは別にして、石狩川のそのほかの地点をおやりになるお考えであるか、この点をお尋ねいたします。
  25. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 代つて説明申上げます。石狩川の中で只今申されました然別につきましては、特殊会社としては予定いたしておりません、地点が違います。この地点は芦別川、幾春別川のうちで熊追沢、桂沢、三笠の三地点でございまして、目下国で公共事業といたしましてのダムの建設地点でございます。それから北上川でございますが、この地点も従来国営といたしまして、国で治水或いは利水等の立場から主として国土総合開発的な見地からダムを建設しておつた地点でございまして、規模は割合に小規模でございますけれども、まだ残された点もこの中にはございますので、そういう点も併せて国土総合開発という点からして、この特殊会社で取上げたらよかろうじやないかということで取上げておるわけでございます。
  26. 下條恭兵

    下條恭兵君 公益委員会に伺います。資料の三番目につきまして、建設費算定について資料がなくて検討できない、こういうことを書いておられますが、公益委員会ではこの石狩川についてもお尋ねすると、ほんの一部だけでしか何を持つておられないように聞えたのですが、公益委員会としましては、日本電力資源に対して全般的な調査やそういうことはやつていられないのですかどうですか。若しいられるとすれば、この建設費なんかも当然地点別に計算して見て、そうしてこの今出ておる資料が妥当であるかないかということはわかりそうだと思うのですが、それを避けておられるのはどういうわけなんですか。避けておられるのか、それとも本当に勉強しなくて資料がなくて……どちらなんですか。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと関連して。私もこの前の連合委員会において、今度でき上つた特殊会社原価計算についての批判を公益委員会が責任を以てやつてもらいたいということを申上げました。たまたま下條委員の御希望と同じようなんでございまして、本日出ておるわけでありますが、下條委員と同じ私も考えを持つので、むしろ建設費がどれだけかかるかということが問題であつて、特に三なんかについて詳しく書いてありますが、これはお書き願わなくても金利の問題、配当の問題というようなことについては我々としてはわかるわけであつて、特に専門的な公益委員会としてこの特殊会社で予定されておる建設費が妥当なものであるかどうかというようなことについての見解を聞きたいわけなんです。是非その点について御見解を披瀝して頂きたいと思います。
  28. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) ここに書いてありますのは、的確な云々と書きましたのは、私ども手許に御提案になつております計画案の内容は細かく頂いておらないのでわからないということを申上げたのであります。御承知のようにそれぞれの地点の、これはただ何々河川で何キロワツトと書いてある、我々これではわかりません。例えば一つの河川には甲、乙、丙、丁といういろいろの候補地点を持つておりますし、それのどれとどれで以て何キロになつておるかということをはつきりつかまないときには、又地点別の建設費がそれぞれに出ておるのでないと御質問の点に対する的確な御返答は申上げかれるということを申上げたのであります。極く特殊の例で、天龍川なら天龍川の例について申しますと、これは天龍川の計画でも、これはそういう地点だけで三十方キロワツト程度でやるか三十五万キロワツトの規模でやるかということについては、何回か計画は次々と変えられております。どの部分でやつたらいいか、そういう地点のほかにもう一つ下の秋葉、元は二カ地点計画であつたのでありますが、東京及び中部の電力会社ではこれをば一ヵ地点として開発すべく計画を進めておりますが、その分と併せて考えるか、別でやるかということもやはり考えなければならない。同じ地点でも、同じキロワツト数の取り方についても、厳密に申せば建設費の額は違つて来るわけであります。これらの地点別の明細なものが私ども手許にございませんので、これはどうだということは的確に申上げかねる。それは積上げであるか、その内容がわからないということを申上げたわけでありますが、概括的に申しまするならば、恐らくそういう点は十分内容を見ますと穏当なものじやないかと思うのでありますが、ただ違うであろうと予想されまする点は、建設利息をば払うか払わないか、この特殊会社の場合には恐らく建設利息は大体要らないというふうにお考えになつておるように伺つておりますので、その程度の分は建設費の予想額は差があるんじやないか、これはやはり比較する場合に私どものほうとしては見ておるわけであります。以上であります。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、発案者にお尋ねをいたしますが、今公益事業委員会において的確に建設個所等具体的な計画はわからないということでありますが、発案者のほうにおいてはそういつた開発地点についての具体的な計画をお持ちでありますか。
  30. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 試案として出しました案につきましては、地点別にちやんと計算してどこをどういうふうなやり方でやるとどれくらいになる、こういうふうにやつてあるわけであります。これは甚だ恐縮でありますが、只今公益事業委員会の平井さんからもお話がありました通り発電所というものは、作ります場合でもその作り方にもよります。それから同じ地点でも二千キロ、三千キロくらいの容易に出力を出すような機械を誂えることもできることは御存じの通りだと思いますが、そこが違うのであります。同じ計画でも若干の計数の相違が出て来ることはあり得るのでありまして、ましてその地点を上げるか下げるかで又違う。そのやり方と言いますか、計画の本当の具体的な内容によりませんというと、恐らく公益事業委員会の言われるように、そこの比較というものはなかなかむずかしくなる。又計算をされる人がどんな考え方でそういうものを、当地の労賃をどういうふうに見るか、建設資材をどういうふうに見るかということで金高が違つて参ります。これはなかなかむずかしい問題であろう、かように考えておるわけでございます。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 福田さんの言われたことは私も承知いたしておりますが、少くとも原価計算資料が出ておるわけであつて発案者においては一応将来変るかも知れませんが、二の資料提出時においてはこういうふうなことでやるという計画はおありのはずであります。又あるようにおつしやつてもおられます。そこでその案を公益事業委員会のほうへお示しになつて、十分公益事業委員会においてその建設費検討ができるような資料を渡して頂きたいと私は要望をいたします。そうして特に申述べる趣旨は、こういつた特殊会社形態で実施するのと、本当の民営でやるのと、いろいろ今おつしやつたような作り方等においてもそこに差異が出て来るんじやないかというふうに私は考えるのでありまして、そういう意味からも十分公益事業委員会側において検討をしてもらつて、その結論によつて我々は判断の材料にしたいと思うのであります。
  32. 下條恭兵

    下條恭兵君 今小林委員から資料の希望が出たのでありますが、私は先ほど電気の素人であるために極めて大ざつぱに考えまして、公益事業委員会に失礼なことを申上げたかも知れませんけれども、私の考え方というのはお聞きの通りでありますから、御了承願つておきたいと思います。私はこれはなかなか厖大なもので、だんだん説明を聞いてわかつて来るとますます大変だと考えておるのでありますが、従つて小林委員資料を要求されたような、当然これはもうこれだけの計数的な計画が出たのですから、提案者側のいわゆる設計書というものがあるのだと思いますから、それを出して頂くことは勿論でありますし、そうしてそれによつて検討してみなくちやなりませんが、同時にそれを公益事業委員会のほうに廻して、そうして公益事業委員会意見を求めるというようなやり方は私は時間もかかりますのみならず、而も時間がかかるばかりでなく、果して提案者計画しておるようなものが妥当であるかどうかということに対しても又疑問も出て来ると思いますから、公益事業委員会のほうに一つお願いいたしたいのは、今ここで安本側と公益事業委員会側の答弁を聞いておりましても、いろいろな案があるということははつきりわかるので、これはむしろ公益事業委員会側のほうから公益事業委員会が従来計画し或いは調査し、そうしてそれに基いての立案したものが恐らくあるであろうと思うから、この推定されておる河川についてだけその公益事業委員会の案もそつくり一つ建設費を添えていろいろな条件を整えた資料を出して頂いて、それを見せて頂きたいと考えるのであります。あと私は今日は委員長委員長代理も来ておりませんので、私はこの見通しについて根本的なことで資料の第一番目の問題に対してお尋ねしたいと思いますが、これは松本委員長でもお見えになつたときに特に伺うことにいたしたいと考えます。
  33. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに御質問ございませんか。
  34. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 先ほどの御質問に関連しておるのでございますが、一番問題になるのは、私は公益事業委員会のほうからお伺いしたいと思いますが、今の電力会社は資産程度、或いはいろいろな点におきまして、安本のほうと申しますか、提案者のほうでやる能力がないというようなふうに私は伺つております。現在東京電力或いは中部電力、或いは東北電力というもので金があればやる、この前の公聴会でも言われましたが、実際一つの例をとりましても、天龍を二社がやるといたしまして、金があればいいと言うが、金ができる見通しは当分あるかどうか、公益事業委員会においてそういうことができるかできんか、この点を一つ明確に御答弁願いたい。
  35. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 天龍川につきましての御質問でありまするが、現在東京電力及び中部電力ではこれを共同で以て是非開発したいというのでいろいろの準備を進めつつあるわけでありまするが、これは天龍川だけに限つた問題ではないのでありまするが、現在これだけの厖大な開発計画を推進いたしまするのには、電力会社としましては資金の問題というのは非常に大きな問題なのであります。従いまして、できるだけ自力でやるという熱意を持つておりますものの、やはり例えば今年度の計画を見ましても、約一千億の工事計画を持つております中で、見返資金が約三百億その中に入つております。それから又そのほかの例えばいろいろな金融面の御援助も政府から頂いておるわけであります。そういうふうな前提の上に立ちまして、更に又天龍川の場合には将来何とかして、例えば外資も導入し得るような形に持つて行きたいという意図も加えまして、そうして資金計画を立てておるのでありまして、天龍川自体には見返資金云々ということは考えておりませんけれども、市中銀行だけで以てその資金を十分やれるということはちよつと言い切れないかと思いますが、資金の目途さえつくならば、電力会社はこの程度のことも優にやつて行く、又目途をつけ得るであろうという意図で会社の設立を考えておるものと御了承願いたいと思います。
  36. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今私は天龍川だけを言つたのではなくて、ほかの問題でいろいろの御意見かあるのでありまして、まだ三、四か或いは四、五でも民間でできると言うんですから、現在の電力会社、先般の公聴会のどなたかと思いますが、まだ今の電力会社ではそういう能力がないとこう限定せられておられたようでございますが、只今公益事業委員会のほうからのお話で、見返資金はこれは当てにしないが、開発銀行或いは外資のほうでも或る目途ができるというようなことを言われておるのでありますが、今の電力会社は非常に外責問題その他があつて、実際それはできないというように公益事業委員会はお考えなのか、そんなことはないというようにお考えなんですか、その点もう一度お伺いしたい。
  37. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 外資の問題につきましても、これはただ電力会社だけで似てできるというわけではないのでありまするが、やはりいろいろ例えば外資の問題については全般的な国のいろいろな措置も要ることと思うのであります。そうした御援助を願うことによつて、ああいう形で滑り出すならば外資も入りやすいであろう、又入るであろう、こういう考えを持つておるわけです。又開発資金というものは非常に厖大でありますから、どうしても市中銀行だけというわけに行かないのであつて、例えば見返資金或いはその他の政府融資とかいうものがあれば、それだけ余計工事はできるということが言えるのでありまして、外資の問題についても同じような線で是非これはやりたいと考えております。
  38. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 午前の分はこの辺で休憩したらどうかと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは休憩に入ります。午後は一時半から再開いたします。    午後零時三十四分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十五分開会
  40. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは電源開発促進法案につきましての午前中の連合委員会に引続きまして、午後の会議を始めます。  午前中に引続きまして質疑を続行いたします。質疑のありますかたから御発言をお願いいたします。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 午前中に私伺いました発電原価計算ができましたならば、ちよつとお知らせを頂きたいと思います。
  42. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 先ほど栗山委員から御質疑がありました点は、参考資料の三の発電原価計算表におきまして、天龍川の地点特殊会社のほうから抜いたらば、二円四十五銭というのが幾らぐらいになるかと、こういう御質問であつたと存じますが、計算して見ますと、概略二円六十五銭くらいに当ります。なお天龍川の地点電力会社のほうに加えたらばどうなるかという御質問も併せてあつたように存じておりますが、そういたしますと、電力会社の水力だけの原価が約二円六十三銭くらいに当ります。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今の二円六十五銭というのは、やはり減価償却費或いは支払利息その他について若干軽減されておる点がありますが、そういうものを当然見込んでの話でございますか。
  44. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) お答えいたします。天龍を除きましたほうは、当初の条件の通りで除いております。それから電力会社に加えますときには、金利を九分ということに仮定いたしまして計算しております。あとの条件は同様でございます。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 これで三十二年度末における、要するに特殊会社並びに電力会社開発をされた電力発電原価のいろいろな内部的な、構成された費用の妥当であるかないかは別としまして、只今伺いました計算だけを基礎にして考えますると、天龍特殊会社につけるか、或いは配電会社につけるかによりまして、これほど大きな差が出て来ることが明らかになつております。要するにそうした特殊会社にいろいろ有利な条件を与えましてやりましても二円六十五銭、そうして普通の状態でやらせました電力会社のほうは二円六十三銭で、二銭安くなる、電力会社のほうが安くなるという結論が出たのであります。そこで私はこういうことがあろうかということを大体予想して、いろいろと計算しておつたのでありますが、自分でできなかつたものですから、伺つて初めてはつきりいたしましたが、そこで提案者に私は伺いたいのであります。ということは、大体今まで特殊会社を礼讃するために、発電原価においても安いのだ、こういう説明を繰返して来られたのであります。併し私はその説明は根本的に間違いではなかつたか、特殊会社というものは財政投資を以て行いまして、そうして民間の会社ではできないような大規模な、そうして而も中には能率の悪いものもありましよう、中には国土総合開発の観点から申しまして、発電原価が非常に割高になる地点もありましよう。そういう地点も含めてやるわけでありますから、発電原価そのものは電力会社と比較いたしまして安い高いと言うことが根本的に間違つておる。どちらかと言えば、特殊会社というものは発電原価が高くてもやるのだという思想がなくてはいかんのではないかということを私は第一回の質問以来展開して来たのでありますが、提案者はそれを否定されて来ました。併し現実に今の計算を見ますと、明瞭にその結果が出ておるわけであります。従つてこの点につきまして、提案者は今の具体的の数字を基にしてどういう工合に説明をされるか、これを重ねて伺いたいと思います。
  46. 福田一

    衆議院議員(福田一君) お答えいたします。先ず第一には、実は天龍川の地点と他の大電源地帯との電気の質を考えて見ますというと、これは天龍川の地点のほうが他の地点よりは実は余りいいとは申せません。こういう点が第一点でございます。それから今あなたは天龍川を引離しまして、そうして民間でやる場合の計算にして見るというと二銭安くなるではないかという、こういうお話でありますが、私たちの考えておるのは、全国的に見まして電気がこれだけ足りない、それだから非常にこういうような試案で述べておるような地点で全部やらなければならない、こう言つておるのでありますから、従つて若しこれを民間でやつた場合に高くなるか安くなるかということをここに明らかにする場合には、今私たちが試案に述べておりまする地点全部を民間の会社でやつた場合において、如何なるコストが出て来るかということで比較なさらなければ、これは比較にならないと思つております。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは総建設費を基にして計算されておるので、全部の建設費の結果がここに出て来ておるのだから、今の提案者の言われたことは当らないわけであります。総建設費の中でたまたま天龍という非常に有利な地点が、その原価計算に非常に影響を与えておるということがわかりましたから、抜き出して若干の比較検討をして見ただけの話でありまして、今の提案者の御発言は私の意図するところに何ら反駁の資料にはならないわけであります。ただ私が今申上げたことは、今提案者が言われたように、今度の電源開発は国家的の要請の下に、特殊会社電力事業者も、又公共団体も自家用も、挙げて一致して開発をするのである、そういうことをしばしば言われておるときに、そういうことを言いながら、これは速記録をお読みになればわかりますが、あなたは途中においては現在の電力事業者は従つて開発の能力がないのだということを、相当現在の電力会社を非難されたような言葉も残つておるのであります。従つてそういう考え方が私は根本的に間違いではないか。若し本当に提案者の言われるように、一致協力して開発担当者が心を合せてやるということでありますならば、相手方を誹謗するようなそういう説明でなくして、特殊会社もやる、電力会社もやる、そうして自家用も、或いは公営も、すべて一緒になつてやるのだ、特殊会社というものは発電単価というようなことについてそう電力会社ほどの重点を置かない、もつと高い国家的の要望の下に行うのであると、こういう説明をされるならば、私は立ちどころに理解をするのですけれども、そういう説明が頂けないので、私は重ねて質問をしておるわけであります。いわゆる物の考え方に対して一貫性を一つ堅持してもらいたいということなんであります。
  48. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 天龍川の問題に関連いたしまして、民間の電力会社に余力がないと申上げましたのは、余力という意味はいろいろの面があるでありましようが、私が余力と言いました意味は、財政的な面においてそれだけの余力を持つておいでにならないだろうということを申上げたのであります。先般中部電力の社長がおいでになりまして、今度の天龍川の開発について、資金面についてどういう計画があるかというお話が委員のほうから質問がありましたときに御説明になりましたが、これは二十億円で会社作つて発足する、増資をいたしまして八十億円にする、八十億円にして、社債を一般から八十億円借りる、あとの足りない二百億円は、百億円はこれを外資導入による、又残りの百億円は政府資金を当てにしておる、こういう御説明があつたのです。その御説明によつても明らかなごとく、自分と言いますか、東京電力と中部電力だけの資金の面では、自分だけの力ではできないということをはつきり仰せられておるのであります。用も外資導入の問題について考えますならば、外資導入は今のところ国際復興開発銀行から我々は借りるということを一応誰でも予想するのでありますけれども、これは今までの例があるのでありますけれども、民間の会社には余り希望しておらないという数字がはつきり出ておる。民間の会社について、例えば今まで十六件世界中に貸付けておりますけれども、そのうちで政府機関、政府に貸しておるのが四件、それからガバーメント・コーポレーシヨンと言いまして、政府出資会社に貸しておるのが九件、民間のものに貸しておるのは僅かに例外的に三件であります。他は不明でありますが、さような面から見ましてもなかなか困難である。而もこの国際開発銀行が貸します場合には、必ず政府保証ということを要求いたしておる。ところが現在は法律第三十二号というのがありまして、民間の会社に対しては政府は保証することもできなければ、又保証金を出すこともできません。こういうような面から見ますならば、今の法制からいたしますならば、この電力会社が二つ集まられて、民間会社をお作りになつても、政府がそれを保証することができません。ところが外資導入については政府保証或いは中央銀行或いはこれに準ずるものの保証というものが絶対条件になつておる。こういうようないろいろな面を考えますというと、外資導入の面においてもこれが果して一番適当な方法であるかどうかということは、なかなか疑問があります。又もう一点、政府資金を当てにすると言われるのでありますが、政府がこれに出資いたすということになれば、これは特殊会社になるでありましよう。今度はこれに対して資金運用部資金を貸付けるということに相成りまするというと、これは又今、前九つの電力会社、その他が発電計画をやつております資金繰りの中に、新らしく百億円の金を又ここに用意しなければならないという問題があつて、他産業を圧迫する面があることはこの間の公聴会でちやんとそういう御意見が出ておる。こういうような面から考えてみまして、現在民間の会社が二つお集りになつてそうして電力会社をお作りになる、こういう場合においても国家財政資金或いは又外資導入ということを離れては私はこの会社は仕事ができないだろう。そういう面から見て、又もう一面においては他産業に対する財政的な財政資金の圧迫というような面も考えてみますというと、やはり私たちが総括的に申したのでありますけれども、余力がない。いわゆる財政的に余力をお持ちにならないということは当つておるとまだ私は考えておるものであります。こういう意味で、私は電力会社というものはそういう力を今のところ持つておられない。併し今電源の開発というものは国家的な要請であり、日本としてはどうしてもやらなければならないものでありますから、そこでこういう特殊会社作つて、政府が実施する形において一応外資導入の受入機関を作つて、そうしてこれに外資を導入することを極力推進する。併しこれは相手があることでありますからして、万一入らない場合も慮つて、どうなるかというちやんとした裏付を持つて我々は仕事をしなければならない。そこで政府出資、或いは社債を出し得るというような形において資金運用部資金等も利用するという形において一応これをやらなければならないということを政府も言つており、又政府委員ももつと余計にやらなければいけないだろうということをはつきり言つておられるのでありまして、こういう意味で私は今栗山さんの言われました御意見には賛同いたしかねるのであります。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 只今福田氏の御説明でありますが、政府出資会社へやれば特殊会社になるということでありますが、すでに見返資金等によるいわゆる特銀に対しての出資も行われております。こういう形体でなければ政府出資はできないということは言えないわけであります。それから又成るほど只今お引きになつた法人に対する政府の財政援助の資金に対する法律はありますが、やる気になればそういう特例を設けて財政援助をする途も開けるわけであります。法律を以てすればできるわけでありまして、この民間会社に対してできないということはないわけであります。それから外資に対して、例えば世界銀行等の融資が民間には一社であり、而して他は政府並びに政府機関ということでありますが、まあこの点は大分問題があるのでありますが、併し当初大蔵大臣は単一目的の特殊会社でなければ全然できないというような答弁が私の質問に対してあつた、直ちに私は反駁して民間会社にも一社ではあるけれども出ておるし、そして更に単一目的の特殊会社ということはない、特殊政府機関というわけではないのに政府出資を受けておる場合もあるというような話もしたのであります。全くその通りでありまして、必ずしも単一目的の政府機関でなければ世界銀行から金が出にくいということはない。そうなつて来ると、現在大蔵委員会で審議をいたしておりますが、日本開発銀行法を改正して外資の借入れができるような変更をいたしております。これに対しては現在の改正案では不十分であつて、国家が外資の借入れを保証するという規定がないので、我々としては万一の場合を慮つてそういう修正を考えておるのであります。そうなれば日本開発銀行で、万一政府機関でなければ外資が入らない、世界銀行からの投資の対象にならないということになれば、開発銀行を使つてそれをクツシヨンに入れて民間会社に出すという方法があり、やる気になつて考えれば方法はあるのじやないか。全然今のどうしてもこの特殊会社を作らなければ他に方法がないということは考えられないというふうに私たちは考えております。
  50. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今小林さんの仰せられたことは私は一応御意見として肯ける点があるのであります。併しおよそ政治をやる場合におきましては、一番よい方法をとるということがいいのでありまして、例えば外資導入の場合におきましても、民間会社には僅かに例外的な一件しかない。政府並びに政府機関の場合は十三件あるというならば、やはり十三件のほうをとるのが、これが私は政治だと思う。これこれこういう道がある、山に登るにはこつちからもあつちからも登れないこともない。こつちの道は平坦で登れるという場合ならば、山に行くには平坦な道を登るべきだと私は思う。これが私は政治の道だと思うのであります。全然例外だとか、或いは非常に困難がある場合においては困難を避けて、平易な道で行つて目的を達するというのが一番いいのじやないか。これが政治でありまして、私は小林さんの今言われる御意見は間違つておると申すものではございません。併し私はここが政治ではないかと考えておるのであります。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 これは見解相違になりますから、余り押問答してもいけませんが、私は民間会社でも直接実際に例があるのだから、一社であつても例があるのだからやれんことはないのじやないかと思いますが、併し日本開発銀行ということを持出したので、一歩私の考えを譲つても、どうしても相手が政府機関でなければならない、世界銀行の借款の相手は政府機関でなければならないということになつたとすると、日本開発銀行を使う途があるということを言つておる。すでに日本開発銀行は千百五十二億二千万円の資本金になるのであります。そうして資本金及び準備金の範囲においては債務保証もできますし、又借入れもできる。又見返資金の私企業投資分は千六十五億そのうちあつて、又これを早晩これに繰入れるということになると、合せて二千二百億円程度資本金になる、その範囲における外資の借入等は十分やれる、今のままの法律を以てしてもやつて行けるという途が開かれておるのでありまして、そういうすでにでき上つておる機関を活用するということを考えたほうが、それは今世界銀行に対して借入れを申込む場合において、福田さんの意見が政治的に考えてやりやすい途だとおつしやるが、そういうような既存の機関を使つても、而もこの電源開発というものは一日を争つてやるということであるならば、ここに新らしい会社を作つたりごたごた設立に日数を使い、それが軌道に乗つてこの仕事にかかるまでにはかなりの時間がかかります。すでに動いておる機関を使つて行くということがより一層仕事を始めて行く上においてとるべき途ではないか、こういうのが私の見解であります。
  52. 栗山良夫

    栗山良夫君 今提案者は……、私は今天龍の問題を別に論争していたわけじやないのですが、天龍の問題を細かく御説明を頂いたんで、なお更よくわかるわけでありますが、そういうことでなく、今その御答弁の中で、例えば天龍をやるために余り極端なことをすれば、金融措置をとれば他産業を圧迫することになる。外資を入れないでやれば圧迫するということを言われましたが、それは文字通りそういう工合に御理解になつておるでしようか。
  53. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 必要といたしまする資金の限度において、とにかく資金運用部資金などというものは限度がございます。併し天龍をやる上において或る一定限度がそれが必要だとあれば、その限度において他の産業が必要とする面を圧迫することになるでございましよう。そういたしますと、それは今たまたま一天龍の問題が具体的な例に挙つたわけでありますが、実はこの委員会においてももつと広く全体の問題としてこれが論争されたことがあります。それは確か同僚の木村委員からであつたろうと思いますが、大蔵大臣は外資の導入が当分すぐ見込がないようなお話を言われたのです。そのときに国内資金量としては足りないのではないかというようないろいろの論争をされましたときに、大蔵大臣は一般産業の融資規制をしてでもやる、こういうようなことを言われたわけです。従つてそれでは他産業を圧迫することになりはしないか、鉱工業の生産水準を引上げながら国民生活の水準を漸次向上させて行くというこの法律案の大前提が崩れやしないかということを質問したのでありますが、一向にそういうことはないと言つてこれは否定をされております。これは提案者も否定されたはずであります。そういう場合に今あなたが言われることが真実であるとすれば、外資導入ができるということがはつきりしなければ、今のままで滑り出し、そうして外資が入らんということになれば相当大きな圧迫を他の産業に加える、こういうことになるのではないですか。これはどうもそう理解せざるを得ない。
  54. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 大蔵大臣も私も他産業資金が潤沢であるとは言わない。或いは資材の面におきましても他産業を圧迫する場合があり得るかも知れんということは申上げましたけれども、今栗山さんが仰せられたようなことは言つておりません。併しあなたの御質問を換えて言いますならば、若し他産業を圧迫しておるとすれば、ここに更に又大龍をやるために百億のものが追求されればなお他の産業を圧迫することになりはしませんか。
  55. 栗山良夫

    栗山良夫君 僕はそういうでたらめなことを言つておるわけじやないですよ。全体のことを言つておる。天龍もちやんと中に入れて発言をしておる。天龍を抜き出して私は言つておりません。天龍を入れてあなたの提出された全都の計画についてそういうことになりはしないかと、こういうことを申上げておるので、余り質問を曲解しないようにしてもらいたい。私は只今のお話は皆さんがお聞きになつておる、今までずつとお聞きになつたことによりまして、大体どちらが正しいことを言つておるか、まあ御判断がつくと思いますからにれ以上申上げません。  それからその次に、人員関係のことでまだ私質問が全部尽きておりませんので、それをお願い申上げたいと思いますが、この人員関係の問題については国鉄の小千行発電所建設工事に従事しておる技術員のデータをもらいたいということを述べておりますが、まだ頂いておりませんので、それをちよつとお聞かせを願いたいと思います。
  56. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 人員のことはあとで申上げますが、実はあなたからお叱りを受けて甚だ恐縮でございますが……。
  57. 栗山良夫

    栗山良夫君 叱つたわけではありません。曲解されるから……。
  58. 福田一

    衆議院議員(福田一君) そこで、あなたが曲解されると言われると困るので、私が申上げているのは決して曲解ではないのであります。というのは天龍をやろうとしているのは、政府資金でやろうとしている。財政資金でやろうと思います。今私たちが問題にしておるのは資金運用部資金の面を言つているのです。だからその性質が違う。他産業を圧迫することは困るから、だから財政資金を出しておるんだから、若し天龍川を財政資金でやろうとしているのに運用部資金でやるということになると、その限度において他産業を圧迫するのではありませんか。こう申上げたのです。
  59. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはちよつと屁理屈でして、私が申上げたのはこの電源開発の全体のことを申上げておる。で更にその資金も、民間資金も或いは政府の資金運用部資金等のような投資に廻し得る資金も、或いは財政資金も、全部を引つくるめたいわゆる日本の国内の資金計画から出て来るところの資金というものを対象にして申上げておるので、その個々のものを抜き出して、ここで他産業を圧迫するとかしないとか、そういうことを申上げておるわけではございません。従つてその点もよく御理解を願いたい。それから、従つて天龍だけの論争をするということなら別でありますが、私はそれを直接の題目に取上げてはいないので、たまたま先ほど発電計画の話をしたときに出て来たから話がそういうふうに発展したので、全体のことを申上げておるのです。どうぞその点は曲解のないようにお願いいたします。
  60. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと申添えますが、池田大蔵大臣並びに周東経済安定本部長官も出席しておりますから、必要がございましたら御質問下さい。
  61. 栗山良夫

    栗山良夫君 国鉄の小千谷の何はございませんか。
  62. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 技術員の資料の御要求でございますが、栗山さんから御要求があつた資料は、確か開発会社で収用する技術者の具体的な内訳がどうであるかという資料と、それから外地等から引揚げましたいわゆる潜在技術者はどのくらいあるのかという資料と、もう一つは現在の電力会社の持つております技術者の数並びに内訳がどうかという御要求のみと伺つておりまして、只今お尋ねのありましたような技術員を採用する際に、その基準が如何なる基準になすべきかというような資料の御要求は、通産省側も私もちよつと記憶してございませんので、只今用意しておりません。
  63. 栗山良夫

    栗山良夫君 採用するその基準を示して下さいとは私は申上げておりません。よく聞いて頂きたいのですが、この前外地の引揚者或いは電力会社等の資料を頂いたわけであります。ところがそこのなかに実例として、只今或る電力会社の主な発電地点に対する従業員の一覧表がありました。それはそれを基にして各発電所特殊会社の本店と現地における従業員の基準表というものを出されて一カ所五十名乃至町名である、こういうことを言われたのですが、然らば国鉄でやつておる昨年の夏に完成をしましたあの小千谷の発電所に従事した技術員、それは同名あつたかを調べて頂きたいということを前にお願いしてあります。
  64. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 只今の点はこちらの手落ちだつたと思いますので、早速揃えて御報告申上げます。
  65. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは私はなぜそういうことを申上げておるかと申しますと、この間一番最初に出された従業員の計画に対して余りに少な過ぎたので、これでは発電所工事はできないでしようと申上げましたところが、のちに大体現地に六百人くらいいるということを、数量を三倍くらい訂正されて出して来られた、而もそのなかの大部分は電力会社の協力を得るとか、いろいろそういう方法で賄つて行きたいということを言われたのでありますが、その基礎数字発電所一カ所当り五十乃至百人という数がこれ又現実の土建工事としては非常に少い、そこで私はそういうような杜撰な計画では困るのではないかというので、国鉄の現場の例も是非とも示してもらいたい。これは相当大きな人間でやつております。現実に私は六月の初めに同僚議員の諸君と共にこれは通産委員会委員でありますが、只今関西電力がやつておりまする国内の単一地点としては大容量のほうに属するベストテンの中に属すると思いますが、木曾川の丸山発電所の工事を見て来まして、そうしてつぶさに現場の責任者のかたから聞いて見ましたが、関西電力のいわゆる丸山発電所の技術員は、これは技術員だけであります、技術員は大体百五十名、そして請負関係の人のなかで労務者でなくて技術者として従事するのが大体二百名、こういう数字を承わつて来ておるのであります。従つて特殊会社がやろうとする地点は、あの丸山発電所よりも更に大規模地点が多いわけでありますから、従つてそんな五十名乃至官名というような数字ではこれはできないじやないか。こういう工合な感をますます深くするので、従つて伺つておるわけであります。それから小千谷の発電所も私は昨年の秋見学をして来ておりますが、そんな少い人間であの工事をやつてはいなかつたはすであります。従つてそういう点をもつと調べて出して頂きたい、こういうことを申上げたのでありまして、若し本日頂けなければ、一つ次回にその数字を是非とも示して頂きたい。私はやはり技術に関係あるものでありまして、今度の特殊会社の件と更に電力会社とを含めての総合された電源開発の仕事の面におきましては、この人の問題、特に技術者の問題については極めて高い関心を持つておるのであります。従つてこの点は一つ十二分に研究をされて、そうして御説明を頂きたい、こう思うわけであります。
  66. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 御要求の資料につきましては、できるだけ早く出すようにいたしますが、併しその点についても、あなたと私たち提案者との見解は大体もう言うべき点は言い尽しておるやに承わつておるのであります。これは法案自体のまあ運行の問題にも関係があると言えば勿論関係がございますけれども提案者といたしましては毎々申上げておりますように、大体この人員を以てやれるということを申上げて、あなたはこれではできない、できないという裏付としての資料を御要求になつておる。資料も随分その点で一番まああなたがたくさん資料を御要求になりまして、できるだけ御要求に副うようにたくさん出しておるはずでありますが、なお次から次とまあ御要求があるわけでございます。私はそれに対して出さないということは申上げませんけれどもです、併しこれは問題をどこに求めておるかと言えば、人員が足りるか足りないかという点に来ておるわけであります。私たちはあなたがたに資料をお出しいたしまして、これでやつて行けると思いますと、こう申上げておるのでありまして、栗山さんはやつて行けないと、こうおつしやる。まあ見解相違に相成るかと存ずるのでございます。まあ一つこれ以上私からその人員の問題について議論というか、おこがましいことを申上げても無駄かと思います。何とぞ提案者がそう言つておりますところを一応御理解を願いまして、そうしてまああなたとしては絶対にいかんということでありますれば、又これはあなたとしての態度がおありになるだろうと思う。提案者といたしましては確信を以て出しておるということだけを申上げまして、私の答弁を終ります。
  67. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、それは非常におかしいので、見解相違だと言うけれども建設要員の問題はこれは見解相違じやないのですね、これは必要な数だけなければできないわけですから……。この前私がその点を相当細かく而も強くあなたに申上げたときに、あなたは意見として十二分にこれは考えると、こういうことを言われておるわけでありまして、決して当時の御回答は見解相違ではなかつたはずであります。十分考える、こういうことであります。考えるとおつしやつたから、そこで私は更に心配になつていろいろのことを申上げておるわけなんです。更にこの問題については絶対人員の数の問題が出て参ると、果してそういうような人員は有機的に活動体として構成し得るかどうかという問題もあるのでありまして、その点も私はこれは究めておかなければならん、こういう工合に考えるわけであります。で、たまたま公益事業委員会から平井技術長が、多年の権威者である平井技術長がお見えになつておりますから、そういうような本社側の技術員が二十五人でありましたか三十人、これは全技術者を含めてです。土木、建築、機械、電気、これを含めて特殊会社の本社の技術要員が二十五名乃至三十名、そうして現場の技術者が二百十人だと思いますが、その程度の人でこの厖大な特殊会社の技術要員というものは足りるかどうか、それで十分工事ができるかどうか、一カ所当り五十名乃至百名、これは全部の技術者を含めてであります。これで十分足りるかどうか、これを一つお聞かせを願いたいと思います。
  68. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 午前中にもちよつと触れたと思うのでありますが、私ども見ましても、あの人数では少なきに失するのじやないかと思つている次第でございます。
  69. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) なお申上げますが、大蔵大臣並びに経済安定本部長官は成るべく早く退席さしてもらいたいという重ねての要請もありますので、質問がありましたならば、お先にお願いいたします。
  70. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは周東長官にちよつとお伺いしたいのでありますが、過日この委員会に公述人を呼びまして、そうして各界各層の御意見を伺つたのでありますが、その中で北海道の船橋さん、九州の具島さん、これの御意見は大体一致しておりました。而も本法律案に対して賛成ということが前提条件で述べられたのであります。その中で一番はつきりしておりましたのは、北海道の船橋さんの御意見でありますが、この船橋さんは電源開発を急がなければならんので、是非とも一日も早くこの法律案の成立を望むと、併し望むのは無条件ではありませんので、北海道は非常に電力も不足をしておる、電力代も全国に比較して非常に高い地位にある、こういうものを作られて、そうして電力代を是非とも安くしてもらいたい、本州並みにしてもらいたい、そのためには特殊会社発電設備の貸付だとか譲渡だとか、そういうことをしてはいかん、そういうことはやめて、永久に特殊会社が持ち続けて、そうしていわゆるまあ卸売りをやりまして、そうして地域差を安くしてくれ、電気を安くしてくれ、こういう要望がありましたが、その船橋さんの要望に対しまして、周東安定本部長官は、この法律案が成立いたしましたときには、その要望に十分応えられる、こういう工合にお考えでありますかどうかを伺いたい。
  71. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 私船橋さんのお話を直接伺つておりませんが、今の御質問の内容であるといたしまするならば、この点につきましては十分今後において考慮さるべき問題だと思います。私どもといたしましては、飽くまでも九分割された各会社の機能を伸ばして行きたいということが前提であります。特に電源開発について大きな資金的な非常に困難があるということで、特殊会社を作るのは外資導入を得やすからしむるためにああいう形を取りました。併し開発された後にはでき得べくんばそういうふうな電力会社に渡して行きたい、こういうふうに思つておるのでありますが、北海道のような特殊の地域において今後開発された後においてその土地の事情については、その点については十分研究いたしたいと思います。原則は成るべく既設の電力会社等に貸付をいたしまして活用して行くことがよろしかろう、こういう考えで今のところございますが、十分公述人の御意見参考にいたしたいと思います。
  72. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは私の質問の、二つ問題があつたわけでありますが、そのうちの一つをお答え願つたわけであります。それは発電設備の貸与、或いは譲渡ということはやめさせて、卸売を継続してもらいたいという意見に対しましては、やはり原則として電力事業者に渡して、そうして船橋さんの希望に副うようにいたしたい、こういう御回答を頂いたわけであります。ところが私のもう一つの重要な質問はいわゆる地域差料金を減じてもらいたい。これは熱烈な要望があり、これに対して答えられるかどうかということで、只今のお話の中では御回答がなかつたわけです。
  73. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 電力料金をできるだけ安くしたいということは、これは北海道に関する問題だけでなくして、本土も全体的に電力の量を殖やすということによつて電力料の値下りを狙つておるということは私はつきりと申上げ得る。殊に日本といたしまして少いものを補うために、又従来水力電気の発電所の少い地方、こういう地方に止むなく遠い所から運んだり或いは火力を以てこれを補つたりしているところから相当に高い地域差ができていると思います。これらに対しまして、今のお示しのような北海道地区に対してこの開発会社等が水力発電を起しますれば、これは直接その地域に主体がどうなろうとも配電されるものでありまして、従来の遠い所から持つて来たり、或いは火力を以て補うよりは安くなるものであり、或いは又安くしなければならん、こう考えております。
  74. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、船橋さんの言われたのはそういう意味ではないのでありまして、いわゆる特殊会社作つてつてくれる電気は現在非常に全国的に地域差があるわけであります。東京などと比較すると非常に高い。これを特殊会社が作つた電気でいわゆるプールをしまして、そうして東京並みに安く下げてくれ、こういうのが御意見なんです。従つて私は今まで御説明を頂いたところでは、仮に北海道で作りました発電所でも発電所個々にいわゆる設備の譲渡なり、貸与なり、電力の卸売につきましては、投下資本に対して六分の利潤も織込みまして、そうして電力会社への卸売単価が決定されて行くわけであります。そういうふうに私ども聞いておりますが、そういう形では仮に特殊会社を作りましても、九州、北海道地域差料金というのは安くなりません。もうこれは今度絶対に安くなりません。地域差料金の幅というものは狭まりません。従つて船橋さんの要望には応えられない。これは九州も同様であります。周東長官にお伺いしたいのは、特殊会社ができましたときには、本州の中央部にできた特殊会社が作つた発電原価、それから北海道の作りました発電原価とを地域差料金を修正するということによつてプールをしまして、そうして卸売りなり、設備の譲渡なり、貸与なりをやられる、そこまでのお考えがあるかどうか、これをお伺いしているわけなんです。
  75. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 地域差の問題については私ども極力そういう方向に持つて行くように研究はいたしたいと思つておりますが、今日の状態においては九つに分れております、それに対して新らしい安い発電設備によつて得た電力量を豊富にすることによつて全体的にはだんだんと下げ得るとは思いますが、一足飛びに平均して値下げ均一ということはなかなか困難だと思います。併し御趣旨の点については今後大きな研究課題としてこれは残される問題であり、殊に今後において貸付によつてこの会社が暫らく持つという場合においても、或いは譲渡の場合においても、特殊の条件をつけるというようなことも考えられると思いますが、その方向に向つては是非とも我々は努力して行きたいと思います。
  76. 栗山良夫

    栗山良夫君 どうも私の率直な質問にちよつとまだお答えを願つていないように思うのですが、もう少し具体的に伺います。まあ仮に申しますと、北海道地域差というものがどの程度減るかということはこれは資料を頂いております。三十一年末における九ブロツクにおける発電原価がどういう工合になるか、これは頂いておりますが、地域差は相当にやはり上つております。激しくなつております。そこで勿論火力の依存度が若干低まつておりまして、総体の発電原価はほんの少しではありますが、下る傾向にあります。これは当然そういうことはありますけれども、各ブロツクの横の比較、地域差というものは相当な幅ができております。そこで財政投資を以て作つた発電所でありますから、福田さんから御説明を頂いたように、個々発電所を対象として貸与なり、譲渡なり或いは卸売りの原価をきめるというのは、それで競合するということでなくて、例えば東京の発電原価一〇〇と出ますと、それに対して東京のほうが地域差は安いのだから一五〇くらいの原価で東京電力なり、中部電力なりに売込みまして、そうしてそこで五〇という幅が出ますから、それだけを北海道のほうの発電原価より更に切つて、そうして売る、こういうような積極的な地域差を修正するような心構えを持つておられるかどうか、これを伺つておるわけであります。
  77. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 只今申上げましたように、地域差というものはでき得る限りこれを幅を狭め、少くしたい、こういうふうに考えておりますが、開発後におきましては、これらのそのときにおける市場コストを考えまして、電気の需給関係を考えつつ、その方向に向つて努力いたしたいと思います。
  78. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからやはりこの前の公述人の中で、日本農民組合の久保田さんでありましたが、久保田さんは多勢の公述人の中でただ一言非常に異つたことを言われました。それは今度の電源開発によつて相当電力が生れて参りまする場合に、その電力の使用実績といたしまして、一般平和産業なり、或いは国民の一般生活水準の向上のために使われるのであるならば歓迎をしますけれども、作つた電気がいわゆる特需と申しますか、こういつたような軍需商業的なところへ流れ、而もそういう産業は大口産業でありまして、今までの電気料金の設定の例から見ますと、個別原価を割つたような非常に割安な料金で送られる、これはそういうことがありますので、国民経済投資というものが一部大口産業にサービスをすることになるので、そういうことは絶対反対である。そういうことは厳重に避けてもらいたい。こういう御発言がございましたが、今度の需給規定を拝見いたしますと、その想定の中には明瞭にはそういうものが出ておりません。私どもは今日いろいろな傾向を見ておりますと、そういうことになるのではないかという危険も持つているのでありますが、この点は安定本郡の長官といたしましてはどういう工合にお考えになつているか、それを伺いたいと思います。
  79. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 今までの審議過程を通じて大体そういう御質問を受けます。恰かも電力開発は国民と無関係な産業に使われて、国民の生活に必要なものには余り使われんから、国費を出してやるのは反対だということを聞きますが、これはどうか一つ認識を改めて頂きたいのであります。今度の電力開発というのは、日本産業全体に対する必要な動力を得たいというところにおいて、国家として勿論国民の生活を高める上においてやはり産業の復興ということが一番大切な問題であります。それがために必要な動力源を獲得するということが狙いであつて、個別的に開発の目的が特殊な国民と何も関係のない産業にこれが用いられるというようなことを考えて開発はいたしておりません。その点はよく御了承を願いたい。
  80. 栗山良夫

    栗山良夫君 私、今電気のいわゆる開発された後の利用面についての御質問を申上げておるのでありますが、これはなぜかと申しますと、公述人の大勢の人々が言われましたことは、電源開発については誰も異存がないわけでありまして、その開発された電気がどのように使われるかということについて、いろいろの条件が附いておりまして、従つて私はその中の主なものの二、三についての所見を質しておるわけでありますから、さように御了承を願いたいと思うのであります。特にその問題に含めまして、先ほどの問題に移るわけでありますが、長官は、将来の研究題目として、特殊会社が作りました電気というものは、本州と北海道のような送電連係のないような所に対しましても、積極的に地域差を縮小するような恰好で努力をしたい、研究をしたいということをおつしやつたわけであります。これは、北海道のような送電連係のないような所におきましては、そういう卸売なり賞与なり譲渡なりの単価においてプール的な操作をするよりほかに途がないことは、日発当時から行われた通りでありまして、明らかなことであります。従いましてその点は問題ございませんが、本州のように十分に送電連係のできまするような所、こういうような所は、わざわざそういうことをいたしませんでも、特殊会社が作りましたところの二百万キロに近い電力をば、やはり一つの送電連係を以ちまして、そうして各電力会社に卸売を行なつて行くということになれば、自動的に、むずかしい計算をしなくても、各地区の地域差料金というものは、この特殊会社に起きました電気の運営だけによつて決して行くことができるわけであります。これは日発当時行われたことをそのまま採用するわけでありますが、そこまで将来おやりになる意思がありますかどうか、この点をもう一度伺つておきたい。
  81. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お話の点なんかにつきましては、今後において十分研究をいたしたいと思います。
  82. 栗山良夫

    栗山良夫君 提案者に伺いますが、提案者は、この問題について、私としばしば意見の交換をして参つたのでありますが、さような意思のないことを今まで繰返し述べておられますが、只今安本長官が言われた通り考え方をお変えになりまするかどうか、これを伺いたいと思います。
  83. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 私は安本長官と違つた答弁をしたとは思つておりません。同じように御答弁をしておつたと思つております。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 ここに速記録を持つて来ておりますから、私一々読み上げて指摘してもいいですが、それはちよつと違うのですよ。わざわざ私が確かめておるのはなぜかというと、肝心なところへ行くと、あなたはなかなか雄弁家ですから、うまくそらされてしまう。そらされているわけです。肝心のところへ行くと必ずそれている。私今朝から速記録を読んでいるのですから間違いないわけでありますが、それでわざわざ念を押しておるので、今安本長官と変らないということであるならば、これは今まであなたがおつしやつたことは、ここでとにかく考え方が変つたのだ、こういう工合に私は理解をいたしておきたいと思いますが、それでよろしうございますか。
  85. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 表現の問題につきまして、言葉が与える影響をどういうふうに御解釈になるかということをここでおきめ願つても、どうもちよつと困るのでありまして、私の或いは表現は……、私は、今安本長官の申されておりましたように、譲渡とかいうような場合でも条件を附けることができると言つておつたのは、あなたの御意見のように、私はあなたの言われておるような意味において、又安本長官が言われた意味において、具体的な言葉を以て表現しておつたと私は考えるので、さようにあなたも御了解になつておるのだろうと思つて申上げた。その言葉の意味をどうもいろいろと、どういうふうに考えるとおつしやいましても、ちよつとどうもお答えをいたしかねます。
  86. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは言葉の意味じやないのです。そういうことで私が御質問を申上げて、そうしてあなたが答弁をせられましたから、従つて然らば実際に試算をしたならば三十一年の末はどういうことになりますかというので、あなたに資料を要求いたしまして、そうして九ブロツク別の需給バランスの試算表と、それから各ブロツクの発電原価の単価表ももらつておるわけであります。それが今周東長官の言われたようになつていない。若しそのときに今周東長官が言われたと同じようなお考えをあなたが持つておられるならば、これがそういう疑問を残さないような数字になつて現われていなければならんわけであります。それが現われていないから、私は繰返し申上げておるわけであります。
  87. 福田一

    衆議院議員(福田一君) そういう具体的な御質問でしたらよく了解いたしたのでありますが、それは安本長官も研究をすると言つておられるのでありまして、研究したものが数字になつてはまだ出て来ないだろうと思います。
  88. 栗山良夫

    栗山良夫君 研究をするということは、私の質問は、ただ二と二とかけたら幾つになりますかという質問ではないのでありまして、私の質問の中には、やはり私の意見を含めてそうして質問を申上げておるわけでありますから、その研究をするということは、おのずからどういう方向に研究をするということを約束されたのかは明らかになつておるわけであります。  そこで話が大分進みましたから、重ねて安本長官に伺いますが、只今私が意見を付して質問しておることに対して御賛成を得、研究をするということを約束されました以上は、とにかく現在、昨年五月行われました電力事業の再編成というものは、とにかく一応好ましくないものである。何らかのてこ入れをしなければならんということを確認せられたものと私は理解をいたしますが、さように考えてよろしうございますか。
  89. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 一体電気の料金等については、九つに分割されておる今日、各地域において地域差ができておる、これは当然な話であります。併しそれを将来に向つてどういう方法にするか、これは問題ですが、できるだけそういう地域差の少くなるようにいろいろ研究しましようということと、直ちに九分割電力再編成が失敗であつたということとは普通には結びついておりません。その点は余り早く結論をお出しにならんほうがよろしかろう。私どもは行政の立場から見ても、電力を一般に安く使わせたいということで、電力開発を考え、そうしてその開発されたものをできるだけ少いほうにうまく配給して行こう、こういうことが狙いで、根本はどうかといえば、豊富にしてできるだけ安く電力を供給さしたいということにあるのですから、全般的に見れば、当然それで各地域における電力料金が出て来るということが一つ考えられるし、それになお進んで地域差の落ちるように研究いたしたい、こういうことを申上げた次第であります。
  90. 栗山良夫

    栗山良夫君 電力料金の高低の問題と地域差の問題とはちよつと性格が違うのでございまして、くどいようでありますけれども、もう一遍質問さして頂きます。即ち電力料金の絶対値が下がると、安いと言われましたが、電力開発をやつて行けば安くなるわけはないので、高くなるわけでありますが、併しながらその絶対値の高くなるのを成るべく防ぐ、そうして客観的には安いようにして行きたい、こういうことだろうと思います。絶対値そのものは私はそれでいいと思う。電源開発をやれば上るけれども、その上り方を成るべく少くして行きたい、努力して行きたいということは甚だ私は結構なことだと思うのであります。併しその絶対値を安くするということと、九ブロツクにおける値幅に差を設けて、その差を圧縮するということは別問題であります。同じような比率で九ブロツクの料金が下げられる、或いは上げられるのが若干抑制されるというのと、九ブロツクの料金差が現在のままあるということは別問題であります。従つて私はこの地域差を減らすということは、先ほど長官も地域差ということをお言葉の中に言われましたが、地域差を減らすということは、ただ漫然研究したのではできない、或る意思を以てやはり操作をしなければできないわけであります。従つて先ほどの御答弁の中には、そういう意思を以て操作をするように研究する、こういう工合に私はおつしやつたと伺つておるわけであります。従つてそういうことをおやりになるならば、これはあの再編成をやりましたときの精神とは違うのでございまして、これは昨年五月に行いましたが、実はその前に自由党が再編成の法律案を提案されたときにはつきり書かれてあるわけであります。そのときと違うわけであります。従つてそのときの考え方を若干変えられたのかということを質問しておるわけでありまして、実際電力料金を安くするということと地域差ということとは若干性格が違うわけであります。その点重ねてお伺いします。
  91. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お話の点よくわかつておるのでありまして、だから先ほど一番の目標は申上げました。九分割しておる以上は地域差があるのは当然です。併しその地域差を下げるために努力しようと言つたのは、新らしくできておる九会社によつて、コストの低い電力発電されれば、それをどういうふうに譲渡しますか、貸付けしますか、配電する場合に或る条件を附けて分けることもございましようし、そうなつたならば、そういうことによつて或る程度地域差を縮小するということもできるのじやないかと思うのです。問題は産業立地的に考えて、発電所が遠い所にあつたり、或いは火力発電を余儀なくされるというところにおいて電力料金が高くなるということは当然なんです。これをこういうふうな会社ができたときに、そこで安くできたものを需給調節面において或いは貸付け、譲渡する、相手方のそのときの事情を考えて、譲渡する場合においてできるだけ九分割であつても安くする道がありはせんか、その点について篤と研究するということを申上げたわけであります。
  92. 小林英三

    小林英三君 私は議事の進行についてお願いしたいと思います。そのあとで御質疑をしたいと思います。本案は、本日まで極めて慎重な審議があつたのであります。殊に公聴会を二回開かれ、たしか連合委員会のごときは、本日までに十七回の多きに亘つて開かれております。十分に慎重審議の機会の議会を与えられましたことについては、私どもは佐々木委員長並びに当該委員の各位に対しまして大なる敬意を表したいと思うのであります。この連合委員会におきましては、種々有益な質疑が行われました。これからも委員から多少の質疑が残つておると存ずるのであります。併し私は会期も余すところ余日もなく、現在安本の当該委員会におきましても、その他の案もお持ち合せでありましようし、又経済安定委員会以外の我々の委員会におきましても、それぞれ重要の法案を持つておるのであります。従つてそれらの重要法案の審議につきましても、各委員会相当の期日が切迫しておると考えるのであります。今後連合委員会において十分な審議をいたすことは、これは必要かも知れませんけれども、およそ私はものには限度があると思うのであります。それで今後更に進んで連合委員会を継続なさるという場合におきましては、私は折角委員長がこれまでの審議に対して努力、御考慮ということを持たれるつもりでありましても、むしろ委員長に、逆に何らかの意図があるかのごとく誤解される憂いもあると私は信じておるのであります。この意味からいたしまして、私は連合委員会は、この委員会は、本日どんなに遅くまで質疑が行われても結構でありますから、本日限り連合委員会を打切つて頂きたい、こういう動議を提出いたしたいと思うのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  93. 下條恭兵

    下條恭兵君 珍らしく小林さんが委員会に顔を見せたと思いましたら、今連合委員会の審査打切りの動議を出されたのでございますが、私は昨日大蔵委員会で、特に委員長にも今日限りにならぬようにということをお願いしたわけです。特に我々の大蔵委員会におきましては、今日木村委員が所用があつて出ておりませんけれども、是非発言の機会を得たいと言つておりまして、これは今日私から委員長に伝えて置いて欲しいと頼まれたようなわけであります。この法案は、確かに近来珍らしく大きな連合委員会として審査を続けて来たことは小林さんの御指摘の通りであります。又この法案がなぜこういうふうに続けられたかと言えば、九分割に次いで、この法案は日本産業に及ぼす影響が、いろいろ重大な関連があるということは、私が指摘するまでもないことでありまして、それであればこそこういうふうに審議が続けられて来たと思うのであります。会期はあと余すところ幾らもないと言われますが、それは間違つておるのじやないかと思うのであります。二週間延長されたばかりでありまして、これは延長前であれば、あと二日か三日というときなら、私は会期がないということは承服いたします。けれども今会期は延長されまして二十日まであります際に、今日いつまでもやつて、これで打切れと言われましても、小林さんはさつき出席しておられないからわからなかつたかも知れませんけれども
  94. 小林英三

    小林英三君 いや出席しておりましたよ。
  95. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は今資料を要求したばかりで、この資料はまだ出て来ないと思いますし、そういう今までの経過から言いまして、むしろ余り早く無理にこの法案の審議を、連合審査を打切ろうという考え方というものは、これは非常に私どもの賛成がしたいところでありますから、反対の意思を表明して置きます。
  96. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今議事進行の動議が次々と出ておりますが、重要でありますから、もう少し御発言をお願いいたします。
  97. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今下條君から慎重に審議をいたそうと、私は虚心にこの委員会に出席しておりまして、小林君の言われました通り、このくらい慎重審議をいたした委員会というのは他に少いだろうと思います。委員長のお骨折りは大いに感謝するのでありますが、併しながら委員の中でも、すでに総体的な質問は一応済んだから、逐条の質問をいたしたい、そのため一日逐条の質問をいたした。資料の提出でも、初めからしばしば委員長も、資料は速かに要求して欲しいという御発言をしておられる。そうしてそれぞれ資料の提出がされておるのであります。本日資料の提出を御要求になつ委員のあることも私承知しております。それらにつきましては、適当に提案者なり政府側からの説明で大体は意を尽されたことと思うのであります。それから会期が延長には相成つておりますけれども、他の委員会もそうでありましようと思いますけれども経済安定委員会等の連合委員会は、他の連合委員会よりも遅れてやりましたからやむを得ないと思いますが、他に法案もたくさんあることは委員長がすでに御承知の通りだと思います。これらを考え合せますならば、二週間程度の会期の延長では、小林君の言われる通り極めて差迫つておる状態と見ることが妥当だと思うのであります。議事の進行については、前回委員会においていろいろな意見の開陳があつた後、委員長から、この問題については関係委員長の打合せをいたして、その上決定をいたす、関係委員長の打合せの内容等、私ここで若し言えとおつしやるならば、聞き知つておる範囲において申しますが、必ずしもそれに触れませんけれども、いろいろな意見はありましたが、そのあと委員長の関係委員長の打合せで決定いたしたいということには全会一致で賛成をいたして、そのように決定をいたしたのであります。従いまして小林君からすでに動議も出ておりますことでありますし、委員長において、今日を以て遅くとも、如何ほど遅くなつてもよろしうございますから、今日中に十分な審議を終つて打切られるよう、私も要求いたす次第であります。
  98. 栗山良夫

    栗山良夫君 どんなに遅くなつてもとおつしやつても、これは程度問題でありまして、大体委員会の審議というものは、これは急場でありますので、それまでに終るか終らないか、我々も熱心にやつてはおるつもりですが、私はだからそういうふうなことでなしに、やはり委員会を進めて行つて、そうしてやはり皆さんの御意見で今日打切りまして、又やるならやるというふうにきめられたほうが穏当ではないか。まだ質問をやつておりまする途中に突然に動議を出されて、そして今日中におしまいにしてやろうと言い出したり、大体連合委員会というものは、採決してきめることは、私できない立場になつているのではないかと思いますが、その点は委員長、どういうことになるのか、一つお調べを願いたいと思います。採決が若しできないということであれば、打切りたいという人と、打切りたくないという人とあるわけでありますが、どちらのほうをとりますか、それは国会法か参議院規則においてどういうふうに始末できるものか、その点も一つ、先ずそちらのほうが重要でありますから、委員長のほうからそれを一つおつしやつて頂きたいと思います。
  99. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 栗山委員から、委員長の解釈と言いますか、連合委員会の始末につきましてのお話がありましたので、私の了解しておる範囲内のことを申上げたいと思います。本来連合委員会は、付託されました本委員会におきまして、連合委員会が必要であると認めた事項について、その相手方の委員会に申出て、その相手方委員会がその必要を認めて、付託された委員会に申出されましたときに、再び付託された本委員会で決定をして、連合委員会を開くということになつております。なおその打切り、或いは委員会の運用内容につきましては、規定は恐らく、或いは参議院規則だつたと思いますが、一カ条きりでありまして、ほかはありません。ただ従来の経緯に徴して見ますと、連合委員会を本来普通の委員会と同等に扱いまして、例えば法案自体の最後の採決までできるような情勢にして、本当の委員会と同じように扱おうという改正案が、数年前だつたと思いますが、持出されましたときに、それはそういうものではないということで否決されまして、それ以来の運営の状況は、大体委員長の責任におきまして、委員長理事の打合会で議事日程をきめ、議事の進行をきめてそれをやつておるのが慣例だと思います。但し法解釈によりますと、それでやれなかつた場合は、最後の決定機関、或いは委員長の裁量が工合が悪いという場合の最後の決定機関は、付託されております本委員会の議決によつてきめるのが一番順当な解釈であろうと思います。解釈としてはそのように考えております。なお先ほど郡君から発言されましたが、そこまでお話が出ますれば私も申上げますが、一昨日でしたか、その前でしたか、大蔵委員会からの再度の連合委員会の申出がありました際に、この連合委員会の申出を受ける受けないは経済安定委員会として決定をする必要がありましたために、経済安定委員会開きまして、その件を議しました。その件を議した場合に、委員会の空気といたしましては、この法案の審議には、もう連合委員会意見を聞くのは相当行つたから、もう大体においていいのではなかろうかという意見が支配的でありまして、これを決定すべしという意見もあつたように覚えておりますが、それは他の通産並びに建設連合委員会もあることであるから、一つその後におきまして、この連合委員会の運営を相談しておりましたところの委員長理事打合会、それに関係委員長に参加して頂きまして、従来議事の進行を諮つておりました。その機関のそのやり方がその翌日に予定されておりましたがために、その今のような経済安定委員会の意向を十分に経済安定委員長、私でありますが、私が持込みまして、その委員長理事打合会において十分相談をし、大蔵委員長にもその点を十分了解してもらつてきめるようにということで話を一応つけたわけであります。正式な決定は、つまりこの委員会の打切り及び大蔵委員会連合申入れの拒絶、それを正式には決定したければならんのでありますが、そのような空気が支配的であつたことは今申上げた通りであります。それからその次に、一昨日ですか、連合委員会の運営を相談されております今の機関におきまして、先ほど申上げました機関におきまして、つまり委員長理事の打合会に関係委員長が参加されて相談される機関におきましても、今のような発言が支配的でありまして、そのときの話は、先ほど郡委員からまあ暴露しようとまで言われましたが、要するに今日で打切るべしということであつたということも了承しております。併しながら委員長といたしましては、今の二つの機関が、この委員会の打切り並びに連合委員会の打切り並びに今後の議事日程等につきまして、委員会の運営のための最大の、どういいますか、まあ最大の機関だと心得ておりますが、最後の責任は委員長自身が負う、こういうふうに考えておる次第でございます。
  100. 栗山良夫

    栗山良夫君 その委員長理事の打合会でどういうふうな話がありましたか、私は直接その委員会に出ていないので知りませんが、通産委員会におきましては、竹中委員長が我々に報告されたことは、そうして我々が了承しましたことは、今日の委員会においてできるだけ打切りにするように、このことについては賛成を表して来た。併しながら必らずしも、いろいろ問題が残つた場合に、今日で打切るということを確約して来たわけではない。こういう工合にはつきり、これは私ではありませんが、委員のどなたかの質問がありましたときに、竹中君はそういうふうに答えられております。従つて私は、今日質問が終らないのに打切りをしなければならん、こういう工合に理解していないのでありますから、その点はそう御了承願つておきたいと思います。それから先ほどの御発言の中に、なんだか今日質問をしておるものは、ことさらに議事の引延しをやつておるかのような印象を受けなければならん発言がありましたが、私は今日も大分発言しておりますので、ちよつと釈明をしておきます。ぼくは、特殊会社の技術要員の問題につきましては、この前から質問しておりますが、結論が出ていないわけです。先にも国鉄の小千谷の話をしておりましたが、忘れたと言われるので、これは結論が出ておりませんので、今日やつておるわけです。今日もできないからこの問題は次回にということを先ほど申上げたわけです。それから逐条審議を終つてから、総括質問のようなことをやるのはおかしいということを郡さん先ほど言われましたが、私は過日読みました公述人の述べられた意見の中で、将来の電源開発を含めて、電気事業の運営上非常に重要なポイントがありますので、その点について私は質問をしておるのであります。北海道の船橋さん、九州の貝島さん等の述べられた意見というものは、原案に賛成でありましたけれども、附けられた条件というものは、この原案が通過しても私はそれは成就しないものである、そういう確信を持つておりますので、従つて政府なり、或いは提案者の本当の腹を伺つておかなければ、私は公述人から貴重な意見を身近に承わつた一人としまして、責任を感じておりますので、そういう工合に伺つておるのであります。どうかその点は、郡さんも小林さんも一つ誤解のないようにお願いしたい。こう思うわけであります。
  101. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 小林委員の動議に対しまして御発言ございますか。
  102. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今栗山さんからお話がありましたので……、昨日通産委員会におきましてこの問題が出たのでございます。ところが私のほうは非常に円満に行こうと、こういうのでありまして、丁度小林さんからも連合委員会打切案が出ましたのでございますが、結論は出しません。これは大体委員長からお話の通りに、今日で大体済むではないか、併しながら絶対ということはないのでございますので、我々のほうでは努力いたしますということでお諮りいたしたのでございまして、今日は我々努力いたしまして成るべくやつて頂きたい。我々のほうは、最後の決定権はあなたがたのほうの委員会にあるのでございますから、我々はそういうことを信じまして、自分の通産委員会におきまして打切りということを明言ができませんので、そこの言葉の点におきまして非常に誤解がありますが、我々は円満に行きたいと、こういうのが趣旨で、さように申したのでございますから、その点御了承を賜わりたいと思います。
  103. 中川以良

    ○中川以良君 通産委員会におきましては、只今竹中委員長から御報告ございましたごとく、大勢の空気は今日一ぱいで以て連合委員会を打切る、而もこれはできるだけ紛糾を避けて円満に行こうというような申合せがあつたことは、只今のお話の通りであります。そこで本日小林君、郡君から動議が提出されましたごとく、大体もう長い間連合委員会をやつて、慎重審議をいたしておりますので、もうこの程度で打切るべきではないかということは、私も全く同感でございます。而もこれは只今当該委員長から御報告のあつた捕りに、委員長理事の打合会においてもさような空気が支配的であつたということからも最早はつきりしておるところであります。そこで栗山君は電気に非常な御造詣の深い御専門家であるので、これは何ぼ質問されても、恐らく尽きるところはないと思います。栗山君が非常に熱心にやつておられるところは私は心から敬意を表するのであります。決して議事の引延し、妨害をやつておられるというようには毛頭も私は考えておりません。そういう意味におきまして、通産委員会においてはなお幾多の法案を抱えておりまして、そういう方面に慎重に審議をいたす時間を我々としてはもらいたいのでありまして、専門家である栗山委員の御質問のために、通産委員会がいつまでも連合委員会に時間を割かれるということは、私どもは好まないところであります。そこで若し栗山委員がなお御質問になるならば、これは委員外発言として十分に御質疑をされれば私は足りることと存じますので、この点一つ公平なる佐々木委員長におきましては、十分に一つ御賢察を頂きまして、この際円満なる解決を委員長において一つ御決定に相成りまするように、私は切に希望をいたす次第であります。
  104. 栗山良夫

    栗山良夫君 今日の委員会は、私たけが発言しておるようにおつしやつたのですが、それはちよつと違うので、私のために連合委員会が開かれておるのではないわけですから、(笑声)そういうことのないように一つお願いしたい。それから私は決して異を立ててやつておるのじやないので、私の長い体験から通じて出ておるのであります。こういう会社を作りまして、金がなければできないのはわかつておりますけれども、金の次には人の問題であります。いい人が得られなければできないのであります。人の問題を一生懸命論議しておりますと、提案者は、この前のときには私は大分口をすつぱくして申しましたら、それは意見として十分に尊重して善処したいということを言われた。ところが今日の場合は、お前の意見はお前の意見、おれの意見はおれの意見だから、この辺で意見相違で分かれようじやないかという御発言があるわけであります。そういう恰好では、私が熱心に本当に電気事業のためを思い、電源開発のためを思つて議論しておることが実を結ばないわけであります。従つてそうなれば、勢いこれはもつとつきつめて質疑応答を繰返しながら、そこを明らかにして行かなければならん。決して私は議事の引延しをやつておるわけじやないので、提案者のほうが却つて事態を、何と言いますか、私の頭を混迷させるようなふうに御答弁をなさるものですから、従つて勢いそういうことになつてしまうのでありまして、どうか一つ、私一人が吊し上げになつておるようでありますが、(笑声)吊し上げなさるのは幾らなさつても私は構いませんけれども、私はそういう信念でやつておりますから、御了承願いたいと思います。
  105. 小林英三

    小林英三君 栗山君の先ほどの御発言の中で、私でありましたか、或いは郡君を指されたのか知りませんが、私の発言には栗山君があたかも引延しをするがごとき発言は一切いたしておりません。栗山君の御質疑に対しては敬意を表しております。
  106. 中川以良

    ○中川以良君 私も栗山君の御造詣深い点、誠に敬意を表するものでありまして、決して御発言を封じておるのではないのであります。御質問があるならば、委員外発言として十分御質問頂いたらどうか。通産委員会におきましても、大体の空気が今日一ぱいで打切ろうというのですから、今日一ぱい十分やつて頂いて、残つたならば委員外発言でなお御継続になつたらいい、そう申上げておる。その点誤解のないようにして頂きたい。そこで委員長小林君から動議が出ておるのでありますが、それはどういうふうにして委員長として……。(「委員長一任」と呼ぶ者あり)
  107. 栗山良夫

    栗山良夫君 連合委員会の打切りの動議を出されたのは小林君でありまして、それに対して反対の動議を出されたのは下條君でありまして、私じやないのですから、どうぞ一つ間違わんようにしてもらいたい。(笑声)
  108. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 小林君からの動議並びにこれに関連するところの下條君からの動議、これは先ほど申上げましたように、連合委員会として決定するのにはちよつと不穏当と言いますか、前例に徴してむずかし過ぎると思います。先ほどのお話の中におきましても、委員長において然るべくというわけで、委員長つておるわけでありますが、委員長はこのように決定したいと思います。ともかくも今日できるだけ力一ぱいやつてみまして、その後におきまして委員長の責任において、若し必要があれば、その所管であります経済安定委員会、或いは従来の相談機関でありますところの委員長理事打合会等に相談をすべきであると委員長が考慮いたしますならば相談をし、つまり今日力一ぱいやりまして、そのあとの処置は委員長におきまして責任を以てやりたいと思います。若しその措置に御不満であり、或いは今の御発言、動議等におきまして、私の取上げ方が御不満でありましたならば、これはどうも委員長裁きかねるわけでありますから、不信任でも、どうぞ適当にお裁き願いたいと思います。
  109. 下條恭兵

    下條恭兵君 委員長の聰明な政治的裁量に一任することにいたします。
  110. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは只今のように御了解願いましたといたしまして、質問を継続いたします。
  111. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほどの周東長官に重ねて伺います。
  112. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとお待ち下さい。今周東長官は四時過ぎと言いましたか、四時半と言いましたか、その頃までちよつと用事があるので退席する、再度出て来るという話であります。池田大蔵大臣に対する御質問はありませんか。
  113. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は外資のことばつかり気にするようで恐縮ですけれども、この間周東長官に一応お尋ねしたのでありますが、周東長官からは私が得心するような答弁がなかつたのでありますけれども、いずれ大蔵大臣にお尋ねしたいと考えましたので、そのままに打切つておつたわけであります。外資の問題につきましては、大蔵大臣並びに安本長官と、公益委員会の松本委員長などとは大分見解相違があるように私はこの委員会を通じて承知しておつたわけであります。でありまするが、先般はからずも日豊工業に対するワールド・バンクの投資の問合せが新聞に載つておりました。周東長官も大体あの新聞記事を誤まりがないように言つておられましたので、その通りだろうと思うのですが、それから又先月の二十九日か三十日と思いますけれども、国際通貨基金に加入の決定に伴つて、毎日新聞の特派員ですか、ワールド・バンクの総裁に会見した記事が載つておつたのであります。あの記事を私今日、大蔵大臣がこの委員会においでになると思わずに、実は持つて来なかつたので、読み上げるわけには行きませんけれども、あの記事を見てみますと、どうも日豊工業の場合なんかは、開発銀行の保証があればというような条件であつたように考えますし、それからワールド・バンクの総裁の談話のほうを見てみました場合でも、特にこういう特殊会社などを作らなくても、日豊工業のようなやり方でも外資が入つて来るというような感じが私にはしたのでありますが、大蔵大臣はこの点に対してどういうふうにお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
  114. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は日豊工業に対しまする外資の問題の新聞を読んでおりません。又或る新聞社の特派員のワールド・バンク総裁との会見談も読んでおりません。従いまして正確なお答えはできませんが、この問題につきましては、本委員会であつたかどうかはわかりませんが、たびたび申上げておる通りでございます。今までの例から申上げますと、世界開発銀行からの融資はおおむね政府機関である、こう考えておるのであります。
  115. 下條恭兵

    下條恭兵君 私はどうも、何だか大蔵大臣と公益委員会意見が対立している、公益委員会のほうの考え方のほうが外資の問題に対しては当つて来たような感じがするのでお尋ねしましたのですが、新聞の記事も読んでいないしということであれば、又新聞を持つて来ていないので、読上げるわけに行きませんから、それはそれにして置きます。  私もう一つ大蔵大臣にお伺いしたいと思いますのは、今度の公聴会を通じましても、賛成の意見相当あつたことは事実でございますが、中には賛成だと言つているけれども、公述の内容は反対に近いような意見もあつたように思つたのであります。私は今大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますのは、先ほどから栗山委員と福田代議士の間に、盛んに人が足る足らんといつて喧嘩……喧嘩じやありません、議論が続けられておるようでありますけれども、これはまあ水掛論であるというふうに福田代議士言われますから、そう考えてもいいと思いますが、私電源開発会社の従業員の表を見ておりまして、又今度資金計画の主要資金の表を見ていますときに、大蔵大臣はこれだけの金を一年間に使うのに、この人数で果して妥当に使えるとお考えであるかどうかということ、これは極めて大掴みな常識的な問題としてこのくらいの人数でやれるものであるかどうか、やつても間違いが起きないものであるか、間違いが起きるものであるかということに対してどう考えておるか、お尋ねしたいのであります。私がこういうことをお尋ねする理由は、いずれの公述人でも、この会社の総裁なり、その他の人選を非常に注意しなくちやならんということをもう一人残らずが言つておるのであります。ということは、やはりみんなまあこういう資料まで読んで来られた方ばかりではないかも知れませんけれども私が考えておるような心配を持つておる人が相当あるから、少くも公述人の全部がそうだつたから、そういうふうな公述があつたものと思うのですが、この点に対する大蔵大臣のお考えを承わりたいと思います。
  116. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お尋ねの資料並びに金の使い方のもの、まだ私見ておりませんので、お答えしかねます。併しこの電力開発に関しまする特殊会社の首脳部はお話の通りに立派なかたをお選びしなければならんということは同感であります。
  117. 下條恭兵

    下條恭兵君 大蔵大臣は非常に多忙であることは私も想像できますが、新聞もお読みにならんし、これだけ重要な委員会でたびたびここへ出ておられるけれども、こういう資料を全然目を通しておらんというのは私はどうかと思いますが、そういうことは又別の機会で申上げてもいいと思いますので、私それじやここでこれは表を持つておりますから読み上げます。役員が九人に、総務部に三十人、経理に十五人、企画に二十五人、総計七十人であります。これだけの人数で二十七年度に第一期発電だけで千百四億二千五百万円の金を使おうと、こういうわけです。これは第一期だけです。
  118. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私、新聞も読むことは読みます。読むことは各新聞を読みますが、個々の問題について私の注意を引くようなものでない場合には読まない。それから資料も、各委員会に出た資料を大蔵大臣が皆見よと言つたら大変なことであります。だから、今の御質問の企画部が何人、重役が九人、それはそのくらいで多過ぎるくらいじやないかと思いますが、企画部の問題なんか総裁や重役会で機構その他をお考えになるものであつて、今私はここで三十人が多いとか少ないとか、それからどういういつからいつまでの計画か、それから民間の連中にどれだけの工事費を請けさすか、いろいろな点があるので、大蔵大臣にそういう会社規模をお聞き下さるのは、もう少し私が勉強してからにして頂きたいと思いますが、大体そこまで私は実は目が届かないのであります。
  119. 下條恭兵

    下條恭兵君 新聞をお読みになる時間がないある、そんなことを今私は問題にするのじやないのです。大蔵大臣は、実はここで安本から出した資料で、いつか小林委員から、二十八年度の資金計画について、見返資金が三百何億本々と、私も今数字を記憶しておりませんが、三百七十億についての質問があつたときも、全然そんなものは見ていないといつて蹴飛ばしておられたと思う。今日又私はこうしてお尋ねしても、全然資料も、そんなものは急がしくて見ていられないし、新聞も、少くともこれだけ外資の問題がこの委員会だけでもしばしば繰返し繰返し問題になつておりますし、且つ又大蔵大臣といたしましても、外資法の改正案を大蔵委員会に提案しておられるというような際に、外資に関する新聞の記事に関心をお持ちにならなかつたということは、私にはちよつと理解ができませんけれども、そんなことはそれはそれで結構でございます。ただ私が今お尋ねしていますのは、私が今読み上げた数字で、常識で二十七年度百十二億の金を、而も電源開発は急速に取運ばなくちやならんという際に、たつたこれだけの人数でこの仕事をやつてつて、それで間違いの起きない理想的な仕事が取運べるがどうかということを常識的に考えてどう判断されるか、これだけのことを聞いておるのでありますから、これに対するお答えなら私はできるはずだと思うのですが、これだけでもお答えがなければ、私は今日はこれで大蔵大臣に対する質問を打切つておきます。
  120. 永井純一郎

    永井純一郎君 議事進行について。この特殊会社がこれだけの大きな仕事をやつて行く上についての必要な陣容等について、大蔵大臣がなんにも知らないというような極めて無責任な答弁がなされております。従いまして我々が議事をなるべく早くまじめに進めようと思つても、これじや進まれないわけです。よく調べてお答えするというようなことを大蔵大臣は言つておりますから、一応休憩してもらつて、そういうことの相談を私はしたい、こう思います。(「賛成」「必要なし」と呼ぶ者あり)
  121. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 資金関係のことにつきましては関係がございますが、電力開発会社ができるその陣容につきましては、大蔵大臣の直接の所管ではございません。併しどういう形態で行くかという問題は関係のものがおきめになるので、先ほど申しましたように、大蔵委員会で出た資料を安本長官が全部御存じのわけでございません。今の会社の経営方式、或いは工事請負人、現場の問題、こういうところから機構を全部見てでないと、唐突にこの人員でいいかどうかということを所管外の人にお聞き下さつても、これはなかなかすぐお答えできない。こういうことは所管大臣或いは発案者がお答えになるのが適当な問題だと思います。
  122. 永井純一郎

    永井純一郎君 大蔵大臣の只今の御答弁も非常におかしいのでありまして、あなたのほうから国費を多分にこの会社には出すわけです。而も税金や、或いは預金部の零細な国民から集まつた金が集中的に使われるわけです。こういつたような状態にあるからこそ、参議院ではいい加減な機構や、杜撰な計画に基く会社がそういうものを扱つて、第一期計画だけで何千億というような金を使うことに対して、審議に当る審議権を持つ国会が心配をするのは当然なことです。従つてあなたが今御承知なければ、大蔵省に婦つて、関係の局長なり担当者と相談されて、そしてこれらの重要な問題についてはまじめな答弁をなさるべきだと思う、こう我々は考えております。特に参議院におきましては、二院制度の参議院における特殊性がございますので、私どもはそういう点、重大だと思いますことは慎重に審議したい、こう思いまするので、先ほどの下條君に対する質問に研究をしてお答えになると、こうおつしやつた点もありまするので、それを待つて譲与を進めたい、こう思いますので理事会でも開いてもらつて……。
  123. 郡祐一

    ○郡祐一君 今の永井君の御発言でありますが、私は少しおかしいと思うのであります。(笑声)大蔵大臣の責任でここで答弁して下さることが一番適当なのでありまして、うちへ帰つて局長以下に聞いて御返事になることはないと私は思う。本委員会としては、むしろ大蔵大臣が自分のお考えを……、何も細かい数字を言つて頂く必要はないと私は思います。従いましてそのような意味合いで休憩をされる必要はないと思う。一々議事の進行が大変賑やかになつて、それは委員長の裁きで結構だと思いますけれども只今の永井君の御発言で休憩ということを委員長がされようとするならば、私はその必要はないと、かような意味合いで発言をいたした次第であります。(「大蔵大臣が勉強して答弁すると言つたじやないか」と呼ぶ者あり)
  124. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 十五分間休憩いたします。    午後四時十四分休憩    ―――――・―――――    午後四時五十一分開会
  125. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。質問の御継続をお願いいたします。
  126. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 電源開発株式会社人員表という資料を拝見いたしましたが、おおむねこの人員で適当だと考えます。政府としても成るべく人員を少くして、有能な人を入れて行こうと、こういう考えでございます。これで大体お答えになると思います。
  127. 下條恭兵

    下條恭兵君 多分そういう答弁をなさるだろうと思いましたし、それならさつき私が読み上げた数字でできたのだろうと私は考えるのであります。併し私は若い時分、こういう発電所の工事ではありませんけれども、自分で現場監督なんかもやつた経験があるのですが、どういうふうにしてこの準備をおやりになるのか知りませんけれども、さつき私は百八億と言いましたけれども間違いで、これは年間ならば百十二億、二十七年度百十二億です。百十二億を経理の関係の職員が僅か十五人で以て百十二億の金をさばくというようなことを、大蔵省では一体、主計局あたり何人くらいでおやりになつておるか知りませんけれども、民間の会社といえども、巨億からの金を合理的に使つて行こうというのに、十五人の経理の職員で、これが完全に理想的運営ができるということは私の常識ではないので、大蔵大臣は、それはそうお考えになるならば、提案者一つ、この十五人で百十二億の金を二十七年度に上手に使えるとお考えなのか、これを一つ提案者見解を先ず伺います。
  128. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 毎々申上げておりました通り、私はこの程度の人員でやつて行けるものと考えております。
  129. 下條恭兵

    下條恭兵君 福田代議士、まさか、じやないが、当然にこの会社の総裁になるわけでも何でもなかろうと思いますけれども、若し仮にあなたがおやりになるとしたならば、有能な人間が来れば、その十五人くらいで百十二億を使えるか、この点はこれは栗山君の話とは別に、私は自分の少しばかりの仕事をやつた経験から言いまして、これで仕事がやれると思えないのですよ。仮におやりになるとしたら、十五人の経理の職員とすれば、この中には計算するような例えば女事務員を含めてか、或いはそうでないのかも知れませんけれども、いずれにしてからが、二十七年度百十二億を使うのに、十五人の職員だけでおやりになるとなると、二十七年度それじや、具体的に言つて、本店のほかに何カ所くらいに支店なり出張所なり開設されるのか、これを一つ伺います。
  130. 福田一

    衆議院議員(福田一君) その他の問題は審議会がございまして、私たちは試案ということで出しておるのでありまして、促進審議会で支店をきめます。又総裁が任命されますならば、どことどことに支店を置くということできめるわけでございまして、その上でないとちよつと申上げかねるかと存じます。
  131. 下條恭兵

    下條恭兵君 そういたしますと、どうも、こんなふうに言うと、又さつきのように質問のための質問だなんて言われるのがいやですから、私は成るたけこういうふうにお尋ねしないつもりですけれども、そういたしますと、この資料というものは空想みたいなものでしかないということになるのですが、そういうことになるじやありませんか。
  132. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 提案をいたしますまでには、政府並びに電力関係の人たちともよくいろいろと御意見を承わつておりますので、この試案を私の空想とお考えになるかどうかは別といたしましても、私はこれは空想と言われるほどの非現実的なものではない。やはり一応どなたがお考えになつても、法案が示しておりますような趣旨によつて選んで行きますというと、これらの地点は当然問題になる。これに或いは一、二追加される分があり、或いはその中で審議会で必要がないと言われる分があるかも知れませんけれども、大体としてはこういうつもりで試案を作つたわけでございます。
  133. 下條恭兵

    下條恭兵君 余り自由党の委員諸公から時間稼ぎのように誤解されるのもいやだから、この問題はこれでやめておきます。  とにかく私でなくても、さつきから公述人からも、たびたび首脳部の人選を誤るなということを言われたようですが、首脳部の人選が幾ら誤らなくても、幾ら立派な人選をしましても、神様でない以上は、十五人の人間で百億からの金を使つて、而もこれが合理的に計画通りに迅速に運用できるなんていうことは、これは想像できないのです。これは恐らく福田代議士も肚の中では認めておいでになるのではないかと思いますし、そこでお聞きの大蔵大臣も、多分さつきの答弁と若干別な気分になられるのではないかと思いますけれども、このことはやめておきまして、それで私は、大蔵大臣は私の質問を、新聞を取寄せて御覧になつて……新聞であるかどうか知りませんけれども、あの外資の問題について新聞を御覧になつて来られたら御答弁を願います。
  134. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 何新聞であつたかも知りませんが、まだその記事は見ておりません。
  135. 下條恭兵

    下條恭兵君 日豊工業の記事は日本経済新聞、日付けは忘れましたが、三月の二十四、五日頃と思います。それからワールド・バンクの総裁に会つた記事は毎日新聞のたしかこれは三十日か三十一日の夕刊と、翌日の朝刊と、両方に出ておつたと思いますからお調べになつて、次の機会に御答弁をお願いすることにいたしまして、私は今日はこれで私の質問は打切りにいたします。
  136. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今お話によりますと、日豊工業でございますか。
  137. 下條恭兵

    下條恭兵君 そうです。
  138. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は、日本工業と聞いたのです。日豊工業なら知つております。ただ先ほど答えたように、日本工業の問題については聞いておりません。日豊工業の問題は、私は新聞は読みません。併しこの問題は、昨年からの懸案でございまして、徳山の燃料廠、これは私知つておりますので、新聞にありまして、又新聞に載つておるのよりこちらが詳しい、こういう気持ちで読んでおりました。これはあります。これは併しどういうふうな持ち分にするか。それから私は開発銀行とは承知していないのです。輸出入銀行と承知しております。その点は新聞にはどうなつておりますか、私の想像しておるのは、輸出入銀行の問題と考えておるのであります。
  139. 下條恭兵

    下條恭兵君 或いは、私も今日はスクラツプも何も持つてきておりませんから、輸出入銀行とあれと勘違いしたかも知れません。併しこの間私の質問で、安本長官もやつぱりワールド・バンクのほうだということで答弁していましたので、多分間違いでなかろうと思いますが、改めてお調べ願つて結構です。ただ輸出入銀行の場合であつても何でもいいのですが、あの外資導入に対する日豊工業に対する先方からの照会というのを、私があの記事を読んでおりますと、ああいう形のほうが、電源開発にしても、丁度あの形というのは、松本公益委員長などが言つておられたケースに似ておるように私は思つたのですが、こういう方法で十分電源開発にも外資が導入できるのではないかということを私は考えるわけで、この点に関して大蔵大臣はどういうふうに考えておられるか、御質問するわけです。
  140. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そこが大変な問題なんです。アメリカの輸出入銀行と開発銀行というのと性格が違うのです。そこでアメリカの輸出入銀行というものは、アメリカの資材を輸出しますときの金融をつけるものであるのであります。で私は、日豊工業の問題につきましては、農機具製造機械その他のものが来る、或いはパテントその他、これが輸出入銀行の職分でございます。輸出入銀行は、今でも綿花借款で四千万ドルを出しております。日本にこういうのは、アメリカの生産物を輸出するための金融機関によつてこれは来ましよう。併しワールド・バンクというのは、問題のワールド・バンクの電源開発等に貸付けるというものは、殆んど全部相手が政府であります。そこでワールド・バンクの金融につきましては、政府関係機関としてのほうが来いい、こう言つておるのであります。だから輸出入銀行か、開発銀行か。これは輸出のキーポイントであります。お答えする重要なところでありますから、御承知願いたいと思います。
  141. 下條恭兵

    下條恭兵君 わかりました。その輸出入銀行であつたかも知りません。私も、或いは安本長官も勘違いしておつたかも知れんと思うので、それはそれでわかりましたが、聞くところによりますと、ワールド・バンクのほうは、我々の持つている資料から言つても、一口で何億ドルというような、日本で今電源開発に希望するような大きな金額をワールド・バンクに期待するのは困難だというふうに聞いておりますが、この点の見通しはどうなんですか。
  142. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これはワールド・バンクの今後の資金計画その他によるのでございます。そうして日本からの払込が六十何百万ドルになつておりまするが、ワールド・バンクがアメリカでどういうふうな資金計画作つて開発銀行債を出すとか、いろいろなことによつてきまる問題でございます。今から大体どれだけの金額ならできるとか、それ以上はできないということをきめてかかるべきものでもございますまい。
  143. 下條恭兵

    下條恭兵君 それじや一点伺いますが、まあ大蔵大臣は、必ずしも金額は小さくない、大きい金額も将来期待できるかも知らんというお考えのようでありますので、そのお考えはそれで結構と思いますけれども、大蔵大臣としましては、ワールド・バンクだけに電源開発資金を期待して、それ以外の資金、いわゆる民間外資というものに対しては全然お考えがないのかどうか、その点をお伺いしたい。
  144. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは外資はあの手この手でやらなければなりません。民間投資の問題も、或いは向うの輸出入銀行の問題も、開発銀行の問題も、又できれは政府借款、政府が直接向うの民間から借入れるいろいろな繋ぎがありましようが、あれこれでやつているのであります。これは電源開発と直接ではございませんが、間接に非常に関係のある火力発電、これの機械の購入或いは特殊資材の買入等、こういうものはおおむね輸出入銀行で、そうしてこれは相当有望だと考えております。
  145. 下條恭兵

    下條恭兵君 さつきの輸出入銀行のことで私思い出したのでありまするけれども、今日本では設備の近代化のためにも、いろいろな機械が必要で、非常に欲しいと思つているわけですが、こういうものを輸出入銀行から入れて、そうして一方国内的には、大蔵大臣がいつも言われるように、電源開発をどんどん進めて行くというような方法があるかどうか。輸出入銀行から、ほかの機械ですよ。火力発電用の機械とか、或いは水力発電用の機械でない一般の産業機械のようなものを入れて行くという考え方を……。
  146. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今ドルを相当つております。併し相当つておりますが、日本の将来のことを考えますと、やつぱり五、六億ドルとか六、七億ドルは運転資金その他で要りまするし、そうたくさん使うわけにも行きません。併し近代化の必要の面で相当の機械の購入も徐々に計画されているのであります。機械をアメリカから輸入するにつきましては、できるだけ輸出人銀行に関係した外資の導入の交渉をしたい、こういう気持で進んでいるのであります。
  147. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はこの機会に、外資導入につきまして二、三の点について大蔵大臣にお伺いをしてみたいと思います。  電源開発について外資を導入するということは、これは過去長きに亘つて実際に電源を開発して来られた民間会社その他において行われて来たところであります。日発で電力開発するようになる前に、東邦電力、大同電力その他の多くの民間の会社が外資の導入に非常な努力を傾けられたことは、我我はいろいろな実例を知つているわけであります。それにつきまして、その当時の各会社が導入をされました外資の償還ですね。これは将来の日本電力に対する外資導入についてもいろいろな影響を持つものであると思われまするので、この際その償還成績はどういうものであつたか、一般の産業に対する外資の導入の場合とどういうようなものであつたか、或いは途中で又これらの会社が解散或いは合同いたしまして、結局その償還の責任が政府の肩替りになつていると思うのでありまするが、その償還すべき残額は具体的に個別的にどういうふうの状態にあるか、この点についてお伺いいたしておきます。
  148. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 省電力会社並びに東京市或いは東拓、満鉄等が外貨債を発行して外資の導入をいたしたのであります。御承知の通り昭和十六年でございましたか、外貨債処理法が出まして、全部それを政府が肩替りした。それが今の外債支払の問題になつて来ているのであります。これは英国或いは米国で主として発行しているものでございます。英貨債は六千二、三百万ポンド、米貨債は六千七百万ドル、それからフランが大体五億三千万フラン、それをドルに直しますと百二十万、こういうのが元本として残つております。別に一億五千万ドル程度の未払利子十年近くの間に未払利子が残つておるのでありまして、総体をドル換算いたしますと、大体四億五千万ドル未払がございます。これだけの現在額があるのであります。このうち期限の来ているのもございますが、そのままになつております。利子も約十年間払つておりません。これは今後債権者と話合いをする問題であるのであります。今東邦電力、大同電力或いは台湾電力個々電力会社の残高の記憶はございません。大蔵省としては各銘柄ごとに調査はいたしております。
  149. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 勿論恐らくそういう数字について御記憶にはなつていないでありましようけれども、私がさつき申しましたのは、それらの未償還の外信が電力に関係いたしまして、具体的に個別的にどの程度であつたか、勿論合計されたドル換算の四億五千万ドルのこの内訳についてお伺いをしておるわけであります。今御記憶がなければ、あとで又適当な方法一つお知らせを願います。  次に、これらの外債の支払が、さつきも申しましたように、長きに亘つて完了してない。こういうことが将来の外資の道人についても一つの問題にかるということは考えられるわけでありますが、それについて政府が償還計画を、本年度たしか外債の償還が二百億幾らでありましたか、我々の審議いたしました二十七年度予算においてもあつたわけでありますが、このうち今御説明になりました電力関係の外債についての償還計画はどのようになつておりまするか、重ねてお伺いいたします。
  150. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 四億五千万ドルに上つておりまするこの外債の元利払いをどうするかということがまだきまつておりませんので、これから向うの債権者側と相談に入るための今用意をしておるわけであります。それから二百十億円の予算の分は、この外債の処理ばかりでなしに、賠償の問題もありますし、又対日援助の問題もございまして、今御質問の電力会社の分として明年度どれだけ払うかというようなことはまだきまつておりません。
  151. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 具体的に本年電力会社の外債の支払がきまつていないといたしましても、二十七年度の二百十億という予算、外債償還の予算の中には電力関係のものも含んでおるのでありますかということをお伺いしておるのです。又どれだけ含んでおるかということをお伺いしておるのです。
  152. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうものも、外債を払う建前でございますから含んでおります。併し電力関係の分がどれだけ含んでおるかということは只今申上げられません。
  153. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私の発言の中で、先の個別的な具体的な残額、電力関係の外債の各会社別の残額ですね。これについての資料の提出を求めておるのですが、この点一つ委員長から確認をして頂きたいと思います。
  154. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 資料要求につきましては、従来の扱い通りにいたしますから、御了承をお願いいたします。  栗山君、周東長官が見えましたから……。
  155. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど私、長官に御質問しておる途中で緊急動議が出まして、話がとぎれておりますが、一つ続いてお願いをしたいと思います。  先ほど特殊会社開発した電力と、その電力を運営いたしまして地域差料金の是正の問題について御意見を承わつていたのでありますが、そのときに、将来そういう方向に研究をしたいとおつしやつたことについて、私は、それならば昨年行われた再編成というものはまあ完全な失敗ということでは、御依命を頂けないと思いますが、とにかく相当な欠点があつたということを御認めになるのではないかというお尋ねをいたしましたところ、それは栗山の言うことは、話が少し飛躍をし過ぎる、こういうことでありました。そこで私はこの問題は重要な問題でありますので、重ねて伺いたいのであります。この今度の開発促進法が、大体私どもが随分研究もし、提案者並びに長官等の御意見を聞きましても釈然とし得ない点がまだありまするのは、要するに電力行政なり、或いは電源開発を含めましての将来に亘る電気事業の経営につきまして、はつきりした基本方針というものが確立をせられていない。そうしてそういう基本方針が確立をされておりまして、そうしてそれを具体化する一つ方法としてこういう計画が出されて参るとするならば、もつとわかりやすく、私どもの理解のしやすいことになるであろうと思います。私は社会党でありまするから、社会党の政策以外には金輪際理解できないというものではなくして、自由党の政策でありましても、そういうような基本方針が明確になつておりますれば、私どももそれを理解することはちつともやぶさかでないと思いますが、それができていないと思います。それが最も中心になる問題でもあろうかと思いますので、繰返しておる次第であります。  そこで地域差料金というものを是正するような意向があるかと思いますると、又再編成をやつたことは地域差料金を認めておることであるからして、これは残すのであるというようなこともおつしやるのであります。どうもそこが徹底をしない。御答弁の徹底を欠いておる憾みがありますので、従つて率直に、曾つて日本発送電という機関を通じまして、全国の電気事業者に対しましては、いわゆる電力のプールが行われまして、均一料金の制度をとつておられたのでありますが、それに近いような形にまで特殊会社が起しました電力を運用いたしまして、地域差料金の是正に努められるのか、或いはそうでないといたしますならば、先ほど研究をするとおつしやつたのは、どの程度のことをおやりになろうとするのか、その点を明らかにせられたいと思うのであります。
  156. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 栗山さんはなかなか誘導訊問が上手だから、あなたの考え方のようにうまくはまればいいが、(笑声)私はそのように考えられない。やはり電源開発についても、将来の電気の配電についても、今の九分割の線というものはまだ心配であるとも何とも私は考えていない。従つてその結果は、産業立地的に考えて、先ほど申したように地域差の出るのは当然です。面してそのままの形を認めつつ、なお且つその間に処して地方的にこれを調整するということは考えられる。新らしい電源開発株式会社というか、それの開発地域というものは、例えば九州地区、四国、近畿、関東、皆あるわけで、その間に財政基金を投じた特殊会社が、できるだけコストを安くして開発をして、電気を豊富にすることによつて、その間におけるコストの引下げをするということはできましよう。コストの引下げをするということが第一眼目、同時にその次は、この会社の持つ、でき上つたものをどの地域にどういうふうに按配するかによつて、その地域における地域差を平均化させるか。できる限りの調節をするということは当然できることだと考える。これを一元的に、あなたの腹中にある、どうしてもここに来て日発のようなものを作れと言われるのがあなたの肚で、その肚を持つてのあなたの御質問であるとするならば、それは私もまだ認めていないのですから、はつきり申上げておきます。
  157. 栗山良夫

    栗山良夫君 肚の中まで探つて頂いてどうも恐縮ですが、私が申上げておるのは、結論を先に出して、それで満足の行く御答弁を頂きたい、そう言つておるわけではありません。例えば頂きました参考資料の七番によりますと、三十一年度の発電原価を、一番低い北陸を一〇〇にとりますと、やはり北海道などは二四七になつております。二四七という指数になります。九州も三〇五という指数になります。これは現在の地域差よりは若干減りますけれども、やはり各産業としては相当堪え得られないような指数であろうと思う。そこで只今おつしやつたようなことでありまするならば、この資料七で提示をせられた三十一年度の全国各ブロツクにおける地域差というものは、そう大して幅が狭まらない、こう考えなければならんと思います。そこで重ねて伺いますが、北海道の船橋氏などがここで強く要望せられました。北海道のために電源開発を行なつた、地域差料金を撤廃して本州なみに是非ともしてもらいたい、そのためにこれは賛成すると言われましたが、その船橋さんの御要望には、只今の長官のお考えでは三十一年頃になりましてもなお且つ副い得ない、こういう工合に逆に理解してもよろしうございますか。
  158. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) その資料については、差上げておりますように、我々はできるだけ地域差を縮小し、つめるということの現われであると私は思つております。これは船橋さんのは直接聞いておりませんが、全部地域差をゼロにせよということはできないでしよう。これははつきり我々の考えておる行き方とは違つております。併しその間にあつても、先ほども申上げたような趣旨において、これをできるだけ少くさせるということについて、今後においてもなお工夫はして行く必要はあります。そのお手許に出した資料において若干とおつしやいますけれども、とにかく地域差を狭めることについて我々努力して行きたいということの片鱗がそこに現われておると私は思う。
  159. 栗山良夫

    栗山良夫君 これはですね。えらい強い意思を御発表になりましたが、私は少くとも地域差を減らすという意図でこういう表が結論として出たとは考えません。これは電源開発をやりまして、そうして特殊会社のいわゆる計算に載つておりまする電気を、現在の九ブロツクの電力会社電力と混みにしまして送つて、送つた場合にひとりでに、昨年二十六年度においては、一番低い北陸を一〇〇といたしました場合に、全国平均が二二二になつておりましたのが、二〇四、二〇下り、こういう結論が出ておるのでありまして、これは自然的にそうなつた。私のお聞きしているのは、それを更に強く意識的にやるお考えはないかということをお聞きしておるのでありますが、どうも大分繰返してお尋ねをいたしましたが、大体お考えはわかりました。そういうような積極的な、船橋さんなどが要望されたような意図はお持ちになつていないということが明らかになりましたので、この点はこれで止めておきたいと思います。  私はその次に、これは先ほど下條君が大分質問せられました人の問題につきまして、提案者並びに長官にやはりお尋ねしたいと思います。先ほど国鉄の山辺発電所の工事の従業員を調べてもらいましたところが、これは土木建築と電気機械を合せまして三百四十五人、国鉄が全部直営でやつたということでありますから、そう理解して三百四十五人になつております。最盛期と書いてありますが、これは国鉄の工事の仕方がどういう工合であつたかは知りませんけれども、私どもが承知しておる間においては、その土木建築工事というものはそう大して、全期間を通じて技術者の移動はないはずでありますから、大体工事期間の過半数に亘つてこの程度の人が稼動したものと見て差支えないのであります。この山辺発電所の従業員の数は三百四十五人でありますが、私がこの間六月の初めに調べて参りました木曾川の丸山発電所、これは発電所の機能は丸山のほうがちよつと大きいのでありますが、国鉄のほうは尤もあの程度まで拡張し得る工事まで引続いてやつておりますから、    〔委員長退席、経済安定委員会理事郡祐一君委員長席に着く〕  大体同じ規模発電所と見て差支えないのでありますが、その木曾川発電所の工事は、会社の直営の技術要員が百六十名、請負工事に従事する、これは労務者じやございませんが、技術要員が二百名現に働いているわけです。三百六十名でありますから、大体あの程度発電所の機能ですと、三百五十人程度の人が要るということが、これは現実に証明されるわけであります。請負、直営入れて三百五十人程度の人が要る、そのうちで直営だけにいたしますと、百五十人程度が要るということに相成るのであります。ところがこの出されました資料によりますと、工事現場が十カ所であります。大体六百名程度の現場の従業員が要るということでありますが、これは五十乃至有名という基準を基にして出されておりますけれども、十カ所でありますならば、この例をとりますと、丸山或いは山辺の発電所よりも更に大きな地点があるわけであります。従つて十カ所でありますれば、千五百名程度の人が要ることになるのではないか、こう考えるのであります。これは先ほど来、そんなに人は要らんということを力説をされまして、意見相違であると言つておられましたけれども、現実に私は具体的な実例を以てお話をしておるのでありますから、従つてその点はどうか一つ提案者においても、率直に先ず実例をお認めを願いましたその上で議論をして頂きたいと思うのであります。そういう工合になつて来ましたときに、私が聞きます点は一点でありますが、この説明書を見ますと、六百人要りますけれども、大体二百四十名程度にしまして、あとの三百六十名程度の人は電力会社等の協力を得て参りたい、こういうことでございます。ところが原案で大体三百四十名、千五百名程度要るということになりますと、外から非常に協力を得なければならないのであります。そのときに今外からの協力機関と申しますと、一番対象になりますのは電力会社でありますが、電力会社においては、只今電産の組合において、この特殊会社への技術要員の転出は絶対に反対であるということで強い意思表示をいたしております。従つて私は、恐らく電力会社からはこの特殊会社へ技術要員は期待できない、期待薄ではないか、仮に会社の首脳部との話が付きましても、従業員の身分というものはその人の自由意思によるものでありますから、そう大した期待はできない、こう考えるのでありますけれども、現に丸山発電所なんかを見学いたしまして、森副社長等の説を聞きましても、更に電源の開発を進めて行かなければならない、最高首脳部を、或いは最高の技術陣営の人は、これ以上増す必要はないけれども、中級以下の技術要員というものは、今後どんどん殖やして行かなければならないということが言われております。恐らく外へ転出させる余裕はない。又最高首脳部が転出しますれば、その関西電力なら関西電力の全国の開発計画が崩れて行くわけでありますから、それは不可能なことであります。そういう点からいたしまして、実際にこの特殊会社ができましたときに、技術要員の充足というものは非常に困難になるのじやないかということを懸念するのであります。下請けに次ぐ下請けを以てすると申されましたが、これは恐らくいい工事ができませんので、私はこの前指摘をしておきました通りに、おやめにならなければならんだろう。中心になるところだけは直営で是非ともやらなければならん。国鉄のごときにおいても全部直営でやつておる、こういうことでありますから、そうならなければならないだろうと思います。そこでその他の充足期待と申しますと、この間内海さんがここで証言をされたように、海外の引揚者であるとか、或いは又停年退職をした、老境に入つた人がたくさんおるということでありますが、そういう失業救済的な組織では、私はこの画期的な大工事というものは、なかなか能率的にも、又質の点においてもうまく行かないのではないかということを懸念するのでありますが、私が申述べておりますことは、決して架空の議論ではなくて、現実の事態を直視しまして心配をしておる点でありますから、一つ慎重にお答えを頂きたい。特に電気事業技術員調査というものを頂いております。二十七年四月末のを頂いております。技術員は全国で九万三千三十六人あるということになつておりますが、これは恐らく私は全技術者のことであろうと思いますが、この中で電源開発に従事し得る人というのは極く僅かである、こういうことを言わざるを得ない。資料要求のときに、電源開発に直接従事し得る人が何人かということを調べて頂くことをお願いしましたが、これは全部の総員が載せられておるようでありますが、この中の極く僅かであろう、こういうことを考えます。従つて只今の質問に対しまして、一つ提案者或いは長官等から、今まで御計画なつた技術要員の充足の計画というものは、これは根本的に私は工事の施行に支障のあるような数であろうと指摘をいたしますので、お考えを重ねて伺いたいと思うのであります。
  160. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 先ほど栗山委員から言われました地域差の問題でちよつと附加えておきたいと思うのでありますが、安本長官並びに私が申上げております意味は、数字の上では第一期計画では余り違つておりません。併し第二期計画等をやります上においては、又この面を大いに考慮いたしますならば、或る程度効果を上げ得るのではないか、又効果を上げ得るように考えてみたいものである、こういうふうにお答えをいたしておるということを一つ御理解願いたいと思います。それから人員の問題でございますが、十カ地点をやるのでありますけれども、私が前々申上げておりまするように、非常に大きい地点につきましては、どうしてもこれは直営というか、会社としてやりますように考えておりますが、二万キロ、三万キロ程度地点でございますれば、これは全面的に電力会社の協力を得て、そうして国全体としてこの電源の開発を進めるようにいたしたい、かように前々申上げておるのでありまして、こういう点から見ますと、前に資料を差上げましたような、この人員でやつて行けると私たちは考えておるのでございます。  これ以上の点につきましては、如何ほど私が御説明をいたしましても、どうも御理解を願えないと思うので、どうしてもこれは見解相違ということに落ちついて来るのではないかということを私は先ほど申したのでございますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  161. 栗山良夫

    栗山良夫君 ここまで私が力説してそういう御答弁を頂ければ、僕としては一応の責任のあることだけは述べたのでありますから、あとは実際にそういうことになりましたときに、いわゆる仕上げをごろうじろということになるのでありますから、私はそういう意味でこの話を打切つておきますが、ただ今のお話の中で、二方キロ、三万キロ程度のものは、全面的に電力会社の協力を得るとおつしやつたのですが、それはどういう意味でございますか。
  162. 福田一

    衆議院議員(福田一君) そのやり方、その場合にもいろいろございましようが、それは会社首脳部がきめることであり、審議会等も決定すべきものでありましようが、提案者といたしましては、場合によつてはその電力会社に、何と言いますか、仕事の代行を依頼するような形もとり得るかも知れません。或いは又人員を出してもらつて、そうしてこの仕事をやるような行き方もできるかも知れません。まあいずれにいたしましても、電力会社に対して一つ協力を願つて、結局はその電力会社が運営されるようなことになるわけでございますから、そこで大いにやつて頂くようにお願いするようにしたほうがいい、かような考え方を持つておることを申上げたのであります。
  163. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、大体はよくわかりましたが、電力会社のほうでは、人の協力を得ると言われましても、これは恐らく独立の機関でありますから、出張というようなことは、今までの慣例上あり得ないことでありますから、籍を抜いて行くとか、或いは出向するということになりましよう。そういうことは、現在の電気に従事しておる従業員諸君は反対である。そういうことは絶対に身分の保障上の点からせんということを、経営者はどう考えておるか知りませんが、言つておるわけであります。従つてそういう形の協力というものは、恐らく私は、電産が健在である限りにおいては絶対にないと思います。そうすると結局あとは、金を出して下請のようにして電力会社にやらせる、こういうことになると思いますが、そういうことをお考えになるわけですかね。
  164. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 私は、電産のおかたとそういう意味でよく会社の首脳部のかたがお話をされ、又この特殊会社の首脳部等も、よく電源開発の重要性をわかつて頂いて、そうして協力を求めますならば、この電産のおかたといえども、電気を開発するということの必要性は十分認識して頂けると思うのでありますから、御協力が得られるものだと思います。私たちはそのつもりでこの案を立案いたしております。併し不幸にいたしまして、電産がそういうことを拒否されるという場合におきましては、そのときになつて考えていいと考えておるわけであります。
  165. 郡祐一

    委員長代理(郡祐一君) 他に御質疑はございませんか。
  166. 栗山良夫

    栗山良夫君 僕は今日はこの程度で終ります。
  167. 郡祐一

    委員長代理(郡祐一君) 御質疑がございませんければ、議事の運営につきましては先ほど佐々木委員長が申述べました通りに扱うことにいたします。散会いたします。    午後五時三十九分散会