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大山郁夫君 それからもう
一つ、これも多分御
答弁が得られないかと思うのでありますが、これを持ち出したのは、もう
一つこれと関連して非常に重要な
記事をやはり見たので、これは
国連軍と直接に、これほど第八軍の司令官とい
つたような、
国連軍と非常な深い
関係があ
つて、重大なる責任を持
つておる人の言
つたことでないので、
国連軍ということを中心にして見ますれば、少し間接のものであると思うのでありますが、併し非常に重大な
記事だと
思つたのは、これは
日本の
新聞で丁度二日前に、三月二十四日の
新聞に出たのでありますが、それは総司令部の外交局長シーボルト
大使が二十三日、つまり三月二十三日の夜カトリックの団体であるナイト・オブ・コロンバスの会合に出て、いろいろな
報告をしたというその中にこういうことを
言つておる。その中にある
言葉ですが、クレムリンの主人公は
日本を評価するに当
つて、その工業能力、優秀な技術と八千四百万の
人的資源に非常な
重要性を置いておる。これはクレムリンがそういうものに
重要性を置いておるというので、これは何も私が言おうとするものに
関係はないのでありますが、その次の
言葉にこれはかなり重大な
意味があるのではないかと思うのであります。独立
日本は自由諸国にと
つて偉大な資産となるであろう、こういう文句が書いてあるのであります。自由諸国ということを附加えてお
つたのだが、いい加減な
言葉だと思
つておるので、この
言葉に
重要性を置かないけれども、大体において自由諸国にと
つて偉大なる資産と見られるのは、どういう目的に使用せられようとしておるのかという問題に直ぐ疑いを持つのであります。それを読んで私はいろいろに頭が撹乱されたような感じがした。この二日後にヴァン・フリートのこの
記事が
日本のタイムズに載
つた、こういうような
記事を読んで、これはやはりずつと以前のことでありますが、まだ私が
アメリカにおるときだ
つた、終戰後直ぐのことであ
つたのでありますが、終戰後
日本が占領された、そうして
連合軍が
日本にや
つて来たので、連合国の一人の将官、今名は言わないことにします。材料を持ち合せませんので、手許に材料のないときは私は名前を言わないことにしておりますので……、或る将軍がこういうことを
言つてお
つた。
日本人は非常に立派だ、非常に立派な体格で知能からい
つても体格からい
つてもよき
軍隊を作るもので、私はこれを
一つの大きな
軍隊に編成して、みずからこれを指揮して用いて見たいという
記事を見て
一つのシヨツクを受けたのであります。
日本はもうポツダム宣言で非軍事化されているというときに、まだこういうことを言う人があるのかというシヨツクを受けたのでありますが、シヨツクを受けた最も大きな原因は、
日本人を
一つの大きな
軍隊に編成して、みずから指揮してこれを用いて見たい、こういうような
言葉が書いてお
つた。で一体何に用いるのか。そのときから私は申すように、
アジアの
共産主義を征伐するために
アジアの
人的資源を用いたいというような
言葉を、そのときは聞かなか
つたが、私の
考えはすぐそこまで飛んで行
つてしま
つたのであります。そうしてこれは私の頭の中に長く残
つてお
つて、この
国連の問題だとか、或いは講和條約の問題を
考えるときにしよつ中私につきまと
つてお
つた一つの
考えなんでありますが、到頭最後に辿りついたのは、さつきあ
つた三月二十六日の
日本タイムズに載
つてお
つたあの
記事であ
つて、そうして
アジアの
共産主義と闘うためには
アジアの
人的資源を用いる。若しこういうことを言
つたとすれば、これは非常に重大な
意味があると思うのであります。
日本に軍事基地を作るとか、或いは
日本に再軍備をするとかいうようなことが言われているが、そういう
日本における
施設とか或いは軍事力というものは大陸を征伐するために用いられる。
共産主義と鬪うためにあると言うが、併し中国は中華人民共和国とな
つてお
つて、中国人民
政府の
支配下にある。そうして同時に共産党の味方で、中国の多くの人は共産党の指導力としているところの
政府を支持しているものと見ることができるのじやないか。それだけじやない。あのヴェトナムにもやはりこの
共産主義を持して鬪
つている大きな勢力があるのだし、それから又ビルマだ
つて、マレーだ
つてそうだし、それからインドなんかのネール首相は成るほど自国では共産党と鬪
つている。併し
承認されておらないが、この人民
政府、中国の人民
政府はこれを認めているのだし、それから
国連に人民
政府が入
つておらないことはこれは間違いだというようなことを言
つたことも記憶している。それからサン・フランシスコのあの講和会議に参加しなか
つたその
一つの理由としては、やはり中華人民共和国、人民
政府が参加しないような対日講和というようなものは無
意味だというようなことがその理由にな
つてお
つたと思うのでありますが、とにかく
アジアにおける
共産主義に対する態度というものはこれによ
つてわかる。即ちインドのネール首相の態度はそういう
言葉によ
つてもはつきりとわかると思うのであります。だからもう
日本が
アジアにおける
共産主義と闘わなくてはならないということにな
つて来ると、非常に重大な問題になると思うので、それで今この問題を話したわけなんでありますが、併しこの点は事業問題で、さつき言
つた、私の読んだ
日本タイムズにある
記事は本当に真相を伝えたものであるか否かということをお聞きした。事実の正鵠であるか否かということさえわかればいいのでありまするから、別にこの点に関しては
外務大臣の御
答弁を得る必要はないと思います。
それで前々回の本
委員会において問題とな
つてそうして私が十分満足するような
説明を
政府から得なか
つた、そのことについてお尋ねしたいと思うのであります。それは先ず大体私の
質問の
趣旨を繰返す必要があるのではないか、
質問の
趣旨を言おうと思うとどうしても今までの経過をお話しなければならない、こう思うのでありますが、非常に
簡單にかいつまんで、つまり私が提出した問題に関してここで
政府の
委員と私との間に行われた問答、その経過だけを極く簡単に言うことを許して頂きたいと思うのであります。私は先ず第一に
国連加入の
承認を求められた。そうするとやはり我々は
国連というものを第一に批判して行かなければならない、無批判的に入
つてはならない。我々はあの
国連憲章を読んで、そうして光彩燦然たる文句が並べてあるのに非常に眩惑してしま
つてそうしてこれほど立派なものはない、
国連は神聖にして侵すべからずというような感じさえ持
つたこともあるような気がするのでありますし、非常に非民主的な感じなんで、昔の憲法にあ
つた天皇は神聖にして侵すべからずとい
つたあの條文が非常に非民主的であるが、
国連は神聖にして侵すべからずというような
考えというものは非常に非民主的であるのであります。併しながら無批判的に一番初めからそれにすつかり魅惑されてしま
つたことを今日恥じておるようなわけなんであります。というのはなぜであるかと言えば、殊にあの
朝鮮戦乱のしよつぱなから
国連がと
つた態度というものは必ずしむ批判の余地がないものではないと私には
考えられたからなんであります。それでそういうような点から
国連を批判するのに何から批判を始めなければならないか、そのテストになるものとして、私は
国連が先ず一体
侵略ということに対してどういう解釈をと
つているのか、それから始めなければならない。勿論
侵略というだけではない、平和の破壊とか中和に対する脅威、それから
侵略これは
国連憲章の第七章の主題とな
つておるもので
便宜上
侵略々々というだけの
言葉を言いましたが、併し中和の破壊とか平和の脅威というものをやはり同じように我々は取扱わなければならないと、こう思うのでありますが、私がただ
侵略と言うときには
侵略のことを
言つているのではなくて、平和に対する破壊、平和の脅威というものを含んで
言つておるものであるというふうにお
考えおきを願いたいと思うのであります。それで我々がこの
侵略という
言葉に対して
国連がどういう解釈をと
つておるか、又
侵略というものをどう定義付けておるかということを知らなければならないとする理由は別に申上げるまでもない。なぜならば、この
国連が
侵略に対してどういろ解釈をと
つておるかということは非常に重大なる結果をもたらすからなんである。例えばこの
国連憲章の第三十九條には、「
安全保障理事会は、」……この
国連と申しますが、勿論
安全保障理事会は
国連の主要機関の
一つだから、私は
国連という
気持と、安保
理事会の
気持或いは
国連総会という
気持はそう違わないのでありますが、とにかく「
安全保障理事会は、季刊に対する脅威、平和の破壊又は
侵略行為の存在を決定し、」こういう
言葉がある。且つ「国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、
勧告をし、又は第四十一條及び第四十二條に
従つていかなる
措置をとるかを決定する。」それから四十一條、四十二條がありますが、四十二條の場合が非常に重大じやないか。つまり第四十一條には、
国連が、或る国が中和を破壊しておるとか、平和を脅威しておるとか、或いは
侵略をしておるとかということをいよいよ
決議によ
つてそれをきめる。そういうときに兵力を用いないような
措置に関しての規定が、それが第四十一條の規定だと思う。それから四十二條のほらはずつと進んで兵力を用いる場合即ちそういう場合には、この安保
理事会は、「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の
行動をとることができる。この
行動は、
国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の
行動を含むことができる。」というふうにな
つて、その次の四十三條には、そういう建前から
国連がこの
加盟国のおのおのに対する武装
軍隊であるとか、援助並びに通過権を含む便益を提供することを要求することができるようにな
つてそうしてそういう、要求があ
つたときには、要求を受けた
加盟国はやはりそれに従わなければならないというようなことが書いてあるので、
日本の場合においてはかなりこれは重大なる、つまり武装
軍隊、それから援助又は通過権を含む便益ということに対する解釈にもよるのでありますが、とにかく或る場合においては本の憲法で、戰争放棄の憲法によ
つて日本は
軍隊を持
つておらない。それでもやはり
国連へ入
つて、こういうときの場合の義務を、つまり
侵略だと認められた国に対して武力制裁に参加する義務というようなことができないというような、こういうことになるようになれば、又
日本は再軍備はもつと増強しなければならない。そうして憲法の改正もしなければならないというような大きな問題にな
つて来るので、なかなか軽々しくこの問題を見ることができない。こう
考えるのであります。それで
侵略ということに関していろいろの側から私はこれを見て
政府委員の
答弁を求めたのでありますが、併しながらその
答弁は
一つも満足の得られる
答弁ではなか
つた。少くとも私には満足の行く
答弁ではなか
つたのであります。それで先ず第一に
外務大臣にお伺いしたい。この
国連は
侵略ということをどういうふうに解釈しているのであるか。どういう定義をつけているのか。
なお、この
質問に対してちよつと附加えを許して頂きたい。
政府委員のかたは別に
国連は
侵略に対して何らの定義を持
つておらない。その場合その場でこれは
侵略だというふうに
決議する。こういうふうなお答えだ
つたけれども、併し
国連はそんなでたらめなことはしまい。
国連に加入を求められている以上は
国連というものはまつ直ぐなことをする機関であるから、それで加入を求めるというので、若しも
国連がそういうことをする機関、でたらめなことをする機関だとすれば加入を一方において求めながら、一方においては加入してはいけませんと
言つているのと同じである。
政府はそういうふうには解釈しておらない。
政府はこの
国連が
侵略というものに対して平和の破壊、平和の脅威、
侵略ということに対して批判する場合には立派な尺度を持
つているものと
考えているはずだと思うのでありますが、この点に対して先ず
外務大臣のお答えを要求するのであります。