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1952-05-30 第13回国会 参議院 外務委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十日(金曜日)    午後三時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     有馬 英二君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            大隈 信幸君            大山 郁夫君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    外務政務次官  石原幹市郎君    外務参事官    (外務大臣官房    審議室勤務)  三宅喜二郎君   事務局側    常任委員会專門    員       坂西 志保君    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君   説明員    外務省国際協力    局第一課長   須山 達夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国際連合への加盟について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それではこれから外務委員会を開会いたします。  前回に引続きまして、国際連合への加盟について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を行います。
  3. 平林太一

    平林太一君 議事進行について。駐米大使新木榮吉君、駐加大使井口貞夫君、駐仏大使西村熊雄君、駐英大使松本俊一君、右四君は伝えられるところによりますと、近く任地に赴かれるやに承わるのでありますが、この際当委員会といたしましては、独立後いずれも初代の大使といたしまして、特にその赴任いたしまするそれぞれの国は、いずれも今後我が国との国際関係におきまして極めて重要性を持つておる国であります。この機会に右四君の出発の前に委員会においては親しく右四君と懇談機会を得たいと私は思います。又定めし四君とも大いに我々に対して述べられたい御意思もあることも臆測せられるのでありますから、この際委員長において適当なる処置を講ぜられまして、或いは参考人として当委員会に招致して出席を求めるという行き方もありましよう。或いは又懇談形式内容を以てこの四君と共に委員との会談の機会を得る方法もありましようが、併し四君ができるだけ出席することを形の上においても内容の上においても整えることを十分にいたしまして、そうしてこのことをいたしたい、かように思うのでありますが、この点委員長のお考えもありましようし、又この際各委員の御意見を伺いまして、それがよろしいようでありましたら、そのようにお取計らいをおきめを願えますれば大変私は仕合せだと思うのでありますが、右のことを一応申上げておきます。
  4. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 了承いたしました。いずれ委員長理事打合会を開きましてよく御協議申上げた上に適当なる処置をとりたいと思います。さよう御承知を願いたいと思います。
  5. 平林太一

    平林太君 結構であります。
  6. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 次に質疑に入ります。
  7. 曾禰益

    曾祢益君 大山委員の御質問の前に極く一、二点だけ御質問申上げたいのですが、この前の委員会で兼岩委員の御質問に対する外務大臣の御答弁の中にあつたと思うのですが、要するに国連軍部隊日本におきまする行動に関しては吉田アチソン交換公文があつて、それによつて規律ざれるということに一応なつておるわけであります。その問題に関する外務大臣の御答弁の中に、国連軍駐留吉田アチソン交換公文において認めておるかの御発言があつたと思うのですが、これは速記録を私まだ調べておりませんが、駐留という言葉を使われたと思うのでありますが、言葉そのもの確めることにいたしましても、私はこの点は非常に重要な点だと思うので、吉田アチソン交換公文の中にある、国連軍部隊であつて、要するに朝鮮に乃至は極東平和安全保障のために行動をしておるようなものは、日本としては引続いてこれらの部隊日本及びその附近に支持することを許し且つ便宜を與えるというような文句があつたと思うのですが、この「支持ずる」という言葉意味が私はかなり正確な表現というよりも一般的であり、ややあいまいな感じがするのですが、これは日米安全保障條約に基く米国の軍隊が、日本に維持されるということが書いてありましたが、あれは米軍配備というような言葉使つておりましたが、こういつたようなかなり長期間亘つて駐留というような意味を包蔵しないのではないか、もつと一般的に軍隊若しくは軍隊に属する個人が日本を利用いたしまして、そうして朝鮮その他の国連軍としての行動に従事するために日本を利用する、その場合には軍隊が通過することもありましようし、一時的に写本におることもございましようが、これを以て国連軍部隊駐留を認めるという趣旨だと解するのは私は少し行き過ぎではないか。大体吉田アチソン交換公文趣旨が、何も国連軍部隊日本に長くとどめておくというのではなくて、その部隊行動を許可し、これに便宜を與えるということが趣旨なんだ、私はかように考えるのです。殊に実際問題といたしますると、このアチソン・吉田交換公文によつてカバーされる部隊は、実は今の意味でカバーされる部隊国連軍部隊の大部分であるところの米軍ではないのでありますから、大体においていわゆる英濠軍ということになる。ところが英濠軍自身は今まで占領軍として日本に確かに駐留しておりました。或いは日本を占領する意味において駐留しておつたと言つたほうが正しいかと思うが、かような意味駐留ということは、国連軍に属する部隊として不可欠な、なくてはならない趣旨のものでは私はない、かように考えるのであります。従いましてこの間の委員会における外務大臣の御発言が、駐留ということをそういう意味において発言さたれのか、或いは私の言つてる程度の、一時的の滞留はこれはあるかも知れない、併し今までみたいな占領軍としておつたよう意味の広汎な地域を事実配備しているような恰好における駐留、或いは逆に言うならば、アメリカ軍隊安保條約、行政協定等によつて或る軍事施設或いは或る地域等駐留するのとは全然性質が異なつて来なければならないと思うのですが、その点を非常に重要なことでありまるからお答えを願いたいと思います。
  8. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは曾祢君の今言われた通り、この交換公文の中にもこんなことは原則としてないという考えで、「不幸にして」という言葉があつて、「不幸にして、国際連合行動を支持するための日本国における施設及び役務の必要が継続し、又は再び生ずるかもしれませんので、」こう書いてありまして、まあ占領軍といえどもこれはいわば暫定的のもので、意外に長くなつたという実際の事情はありまするけれども、決してこれは長い間を予想していたものでないと思います。が、これもその通りでありまして、一時的におるのであります。で、一時的におる場合に、駐留言つてはいけないとかいいということでなく、私は現に軍隊がおるということを言つたのであつて言葉もよく覚えておりませんが、国内軍隊がおると、こういう意味言つたのであります。暫定的であるということは勿論であると考えております。
  9. 曾禰益

    曾祢益君 余り違いがないようにもとれる御返答ですが、併しこれは何と言いましても安全保障條約、行政協定に基いて或る期間日本駐留するというのとは性質が違うと思います。勿論朝鮮動乱ということだけを考えてみれば、特定ではあるけれども、その期間が長くないだろうということを希望的に言うわけですが、併しアチソン吉田交換公文によれば、必ずしも現在の特定朝鮮動乱だけでなくつて、今後とも不幸にして極東方面において国際平和が擬乱されたような場合にも、国連軍部隊に今言つたよう便宜を與えるという包括的な承認になつておるわけですから、従つて問題は期間の長さというよりも、むしろ中心は具体的な配備と申しまするか、施設或いは地域便宜供與の具体的な内容になつて来るとは思いまするが、大体の気持としては、英濠軍日本に占領しておつたようなあれほど広汎な、かなり恒久的な施設を要求するといつたよう内容便宜供與とは趣旨が違うのではないか、必ずしも日本に大部隊駐留しておつて、その一部分がときどき朝鮮に行くというようなことでなくつて、その危險地域に働いているのが原則であるけれども、それの後方兵站的な職能を果すために現に必要な程度においては日本における地域或いは施設を多少使うことは、これは常識の問題で差支えないと思いますが、今までとは本質が非常に違う。日本が完全な本部隊のやや半永久的なところの駐留地である、そういう趣旨便宜供與内容とは全然違つて来なければならないのではないか。繰返して申上げますが、結局は具体的には便宜供與すべき地域範囲施設程度内容、広さ、これに関係すると思いまするけれども、大体のところここにはつきりと転換が来なければならないというふうに考えるのですが、もう一度その点の御説明を願いたいと思います。
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 理論的には曾祢君のおつしやる通りかと思います。ただ実際の問題としては、これは私は軍事的の協定等は知りませんけれども、又言うべきものでもないかも知れませんが、恐らく連合軍の内部では、英濠軍なり或いはどこの部隊もそうですが、一定の数の部隊朝鮮前線に置くということになつておると思います。それも英濠軍についてはかなり大きな数であると考えております。そこで常時一定の数を前線に置くとしますと、今の状況では恐らくそれと同数ぐらいのものを日本に置きまして、一月に一ぺんとか二月に一ぺん交替させる。そうしてその間休養もさせるし、訓練もし直すということであろうと思つております。それからそれ以外に負傷したり或いは病気をしたり、或いは戰死をしたりする人の補充もつけて、常に前線には一定の数を置いておくということになりますと、前線にある数よりは恐らく少し多い程度のものが国内において、それで一定の数を維持するということになると思います。それからそれ以外に補給の問題があり、病院施設等の問題がありますので、そのほうの要員もかなり要ると思います。軍事物資の集積、輸送、その他の関係もございます。従つて前線にある部隊よりはかなり多い数を国内に維持するということに取りあえずはなるだろうと思います。併しながらそれも今言われたように、従来使つてつた施設がまるまる要るということではないようであつて、それよりは少い範囲でいいように聞いております。先方も今まで使つてつた施設の中で現在実際に必要なものだけを日本政府に使用を要請する、こういう立場におるようであります。従つて今よりは減ることは確かであると思います。どの程度に減るかはこれは時期の問題ですが、減ることは確かであろうと思います。今のところ具体的にまだ一々やつておりませんが、その程度のことは言えると思います。
  11. 曾禰益

    曾祢益君 その程度でこの問題は打切りますが、いま一つだけ御質問さして頂きたいと思います。それは国連援助意味において、昨年の五月の総会決議ですが、日本としても国連の総合の勧告従つて中共北鮮等特定の武器、弾薬その他を送らないということは、これは私は日本の安全も窮極において国連安全保障に求めるべき原則から見て当然だと思うのですが、両三日前の衆議院外務委員会つたと思います。私は速記を見ておりませんが、新聞報道によりますると、これに直接関係していたとは言えないかも知れませんが、いわゆる中共貿易の問題に関連する質問に対する外務大臣の御答弁は、むしろ日本がいわゆるバトル法よりも嚴格な対中兵経済制裁といいますか、輸出禁止といいますか、そういうようなものをやつて行くのが当然である。むしろ日本よりか程度の低い国等に呼びかけて、相談して、日本のレベルまでこれを禁止の手を拡げて行く、制限の手を拡げて行くというようにとられる御答弁つたと思うのです。私はこの問題は先ず二つの段階を考えなくちやいけないのじやないか、日本としては、先ほど私自身が申しましたように、総会決議を守りこれに従つて行くということは、これは当然私は原則だと思いまするが、これはかなり各国の判断によつてきめられる部分もありまして、決して細かな規定になつておらない。従つてこういうことはむしろ各国がよく相談し合つてでこぼこがないようにして行くということはこれは当然だと思うのであります。なお又この問題に関連いたしまして、集団措置委員会報告書というものがございまするが、そのいわゆる経済的制裁の場合に、負担が公平に分担されなければならないという趣旨を如上の報告において誰つております。而して地域的に近い国などが多くの場合において不当にこの経済的負担が重くなる、こういうことでは集団保障趣旨が徹底しない、こういうようなことが書いてあることは御承知通りであります。例えて言うならば、これは外務省から頂いた報告書の中にも第五十五項に「集団的経済的措置の計画に当つてその犠牲の異なる負担に対し考慮が拂われ、且つ、個々の国に対する過重の困難を減少するため適当な措置がとられ、また、できる限り、侵略に対する国際連合行動から生ずる全負担が広く均等に配分されることが望ましい。」、更に五十六項の終りには、「集団的措置犠牲を均等に分担することは集団的措置の当然の結果である。」かようなととがあるわけであります。従いまして日本として考えてやつて行かなければならないのは、むしろ日本が不当なこの制限を受けて犠牲が平等でない、経済問題についてでありますが、軍事面は勿論日本として負担すべきものではありません。経済問題についての犠牲が平等でない、これらの点について諸外国に要求すべきものは当然要求して行かなければならないのではないか、我々はそういうふうに考えるわけです。これが、この点から言いましてもなかなか各国における励行がむずかしい、励行がむずかしいから日本もそれをごまかして行けという意味ではまだ私は申しておらないけれども、各国嚴重なる励行を求めるという基本的態度で行くべきであつて日本がそれ以上の品目をわざわざ挙げて、みずからの首を締める理由が私にはわからない。  第二の問題は、バトル法の問題でありましようし、これは私の質問範囲を多少逸脱するきらいがありますが、これについては直接に日本がこれに拘束されるということはちよつと私にはわからないのでありまするが、いずれにいたしましても日本において先ずやらなければならないのは、バトル法の問題よりもこの国際連合総会決議に基く勧告だと思う。然るに岡崎大臣のこの間の御答弁が、字句は別として、大体私が今申上げたような趣旨とするならば、日本みずからがバトル法以上に嚴重なものとしてその水準まで各国を上げて行くということは、我々としてはちよつと了解できない。私自身は冒頭に申上げたように中共、即ち中国本土との貿易日本にとつて死活的に重要であるから、一切の事情を抛つて国連との関係日本安全保障も抛つて、そうして中共との間に戰略物資を含めてもかまわないから全面的な貿易再開をすべしといつたよう趣旨の宣伝には断固として反対ではあるけれども、同時に先ほども申上げたような日本国連援助主義のあり方、而も日本犠牲の平等、負担の平等を堂々と各国に呼びかけて、そうしてその範囲において立派な励行を求めるような外交をやつて頂くのが私はいいのではないか、かように考えますので、この点に関する外務大臣の御意見を伺うと同時に、この問題について新聞報道が、外務省の見解と通産省における現実の措置との間に何らかの食違いがあるということが伝えられておつて、これは決して根拠のないことではないように考えるのでありますが、その点についても明確なる御答弁を頂きたいと存じます。
  12. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はこういうふうに考え衆議院でも言つてつたのでありますが、朝鮮における事態は日本安全保障のために非常に役立つておる。万一朝鮮北鮮軍に席巻されて釜山まで北鮮軍支配下に入つたという場合をまあ仮定しますれば、日本の治安なり安全なりにもかなり大きな影響が来るということは、事変のあつた当初国連軍大分釜山の近くまで押されて来た場合の山口県なり福岡県なりあの方面の人心の動揺というものについてはひどかつたということをお考えになりますれば、思い半ばに過ぎるものがあるのではないか、こうも考えておるのであります。そこで国連軍日本安全保障のためにも戰つておるんだということは曾祢君も御了承になるだろうと思うのであります。そこで日本としては、他の国は軍人の犠牲も忍んで努力しておるけれども、直接これによつて保障されるものは、広く言えば世界の平和なり極東の平和ということになりましようが、先ず南鮮であり次には日本である。従つて日本としては十分なる協力をしても、軍隊を出していない、軍隊がない、従つてそういうものが出ていないという点で、むしろ直接利益を受ける国としてはもつと思い切つて援助してもいいくらいに私は考えておるのであります。併しそれは今以上のことはできないから今のことをやつておる。そこで他方この国連総会決議によつていろいろの措置がとられておる。でこれは今申されたようにできるだけ各国足並みを揃えることが必要であります。併し早くこういう侵略行為を終えしめるためには、できるだけこういう措置嚴重にやるほうが効果があると私は考えております。従つて若し日本と他の国とのやり方差異があつて日本のは嚴しいというのならば、足並みを揃える意味は、むしろ日本に近付けるのがいいのではないかというくらいに考えております。併し新聞はいろいろ伝えておつたようではございますが、そのために日本足並みを揃えるような措置をするとか何とかいうことを私どもは言つたわけではないのでありまして、気持としては足並みを揃えることが大事だ。その足並みを揃える方法としては、むしろこちらに他の国が揃えるぐらいにしたほうがいいという気持を持つておるということを言つたのであります。併し事実上私もいろいろ調べて、これは自分の知識では十分でないと思いますが、例えば輸出貿易管理令、それからバトル法関係、それからよく言われるところの禁輸品のリストがありますが、こういうものを彼此比べて見まして、そうえらい差異はないように私は思つております。非常に差異があるように言われておりますが、ただでこぼこがあり得ると思いますので、足並みを揃える意味において日本のほうに余計なでこぼこがあればそれを調整するのは異存はないのでありますが、第一は、私は自由国家群足並みが揃うということにしなければいけない。その意味衆議院でも申したのであります。  外務省通産省意見が違うというふうに新聞等に伝えておりますが、私の確めましたところでは違つておらないようであります。ただ通産省側はこのでこぼこを正すという点を強く言つたのであります。我々のほうは足並みを揃えるという点を強く言つたので、ニュアンスが違うかも知れませんが、通産省の当局を確めたところでは意見は別に齟齬していないようです。
  13. 曾禰益

    曾祢益君 足並みを揃えることが主であつて、そうしてそれに伴うて気持としては日本は強いほうで行つたほうがよいという点は、第一に足並みを揃えるという点は私賛成ですが、第二の点は非常に政治的な或いは外交的なやり方でありまするが、私は必ずしもその点は賛成できないのでありまするが、実際問題とすればでこぼこ調整の問題になつて来る。そうして日本のほうが行き過ぎておるようなものは、つまりその趣旨を徹底するために必ずしも必要でない或る種の品目があると思う。具体的には一々申上げませんが、例えば紡績機械等については私は必ずしもこの禁輸に該当しないものであろうということは、常識的に考えられる品物があると思うので、そういうものについてはこれを是正し、つまり日本側の出過ぎておるところをカットするというような意味足並みを揃えるという意味考えられるならば、私はその点は了承いたします。
  14. 大山郁夫

    大山郁夫君 私は前々回のこの委員会から懸案になつておる件で私が質問しましたが、政府委員のほうからの答弁が非常に不満足であつたようで、そういう私の質問に対する外務大臣の御答弁を聞きたいと思うのでありますが、併しその前に、必ずしも外務大臣からの答弁を頂かなくても、どなたからでも御答弁が頂けるような問題が一つある。そうして私が後に質問しようと思つておることと非常に大きな関係を持つておるので、それを先ず簡單に先にやらせて頂けないかと思うのですが、如何ですか。
  15. 有馬英二

    委員長有馬英二君) どうぞ……。
  16. 大山郁夫

    大山郁夫君 それは私は偶然に丁度三月二十六日の日本タイムズを読んでおると、かなり国連の問題を我々が批判する際に非常な重大な意味を持つておるのではないかと思われる記事にぶつかつたのであります。それは当時、簡單に申上げますれば、第八軍の司令官ヴァン・フリートアメリカ雑誌USニュースアンドワールドリポート、これに対するコピー・ライテツド・インタビュー、それを與えた。それに朝鮮から放送したようになつておる、その中にこういうことが書いてある。我々はアジアにおける共産主義と戰うためには、アジア人的資源というものに頼らなければならないということを言つておる。それからつ我々は連合諸国、殊にアメリカ或いはヨーロッパにおいてはそのための人的資源というものが十分にないということが書いてあつた。もう一つ先のほうに、朝鮮人というものは非常に立派な兵隊だ、世界中のどこへ出したつて少しも恥しくないような兵隊を作るし、現に作つている。又北鮮軍或い中国義勇軍と戰つておる兵隊の大部分は皆朝鮮軍隊である。こういうふうに書いてあつたと、こう思うのでありますが、かなり重大な記事ではないか。それで第一お尋ねしたいのは、私は日本タイムズで読んだので、元のやつを読んで確めたいと思つたのでありますが、ここのライブラリーへ行つて聞きましたところが、近刊のやつはないということであります。それから政府委員のかたにお願いしてそれを私の手に入るようにということをお願したのですが、まだ手に入つていないのでありますが、多分日本タイムズの三月二十六日の日附のほうにこういうことが書いてのりた、これは御覧になつていないでしようか、現物を私は持つて来ておるのですが、USニュースアンドワールドリポートに述べられたのと大体趣意において違いはないのであろうが、多分政府もこの記事は非常に重大だから注意しておいでになるかと思うのでありますが、先ず真先にこれをお尋ねしたいのであります。
  17. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 説明員から説明をさせてよろしうございますか。
  18. 大山郁夫

    大山郁夫君 大臣答弁には及ばないと思います。
  19. 須山達夫

    説明員須山達夫君) これは私先ほどこちらへ参りまして、政府委員室のほうを通じて、外務省のほうでこの雑誌を取寄せて調べるようにしたいということで調べておるということを聞きましたが、まだ出て来たかどうかということは聞いておりませんので、雑誌が出てでなければ本当にそういう雑誌に載つたかどうかということはわからないわけでございます。
  20. 大山郁夫

    大山郁夫君 それじやまだ政府は御注意なさらなかつたという意味なんですか、これ又相当に重大な記事で、国連関係してかなり無視することができない材料ではないかと思うのですが、今まで注意なさらなかつたというのですか。
  21. 須山達夫

    説明員須山達夫君) 私自身はこれに注意いたしませんでしたが、情報文化局あたりでは或いは注意しておるものかも知れません。
  22. 大山郁夫

    大山郁夫君 それではさつきお願いした通りに、この記事というものは或いはUSニュースアンドワールドリポートに載つた考えられる記事と大体趣意において背馳しておるところはないものであるかということの報告を私は得たいと思うのでありますが、それはやらつれたのですか。
  23. 須山達夫

    説明員須山達夫君) 後刻取調べて御質問にお答えいたしたいと思います。
  24. 大山郁夫

    大山郁夫君 いつそれを頂くことができるのでしようか。
  25. 須山達夫

    説明員須山達夫君) 次回までにはできると思います。
  26. 大山郁夫

    大山郁夫君 それからもう一つ、これも多分御答弁が得られないかと思うのでありますが、これを持ち出したのは、もう一つこれと関連して非常に重要な記事をやはり見たので、これは国連軍と直接に、これほど第八軍の司令官といつたような、国連軍と非常な深い関係があつて、重大なる責任を持つておる人の言つたことでないので、国連軍ということを中心にして見ますれば、少し間接のものであると思うのでありますが、併し非常に重大な記事だと思つたのは、これは日本新聞で丁度二日前に、三月二十四日の新聞に出たのでありますが、それは総司令部の外交局長シーボルト大使が二十三日、つまり三月二十三日の夜カトリックの団体であるナイト・オブ・コロンバスの会合に出て、いろいろな報告をしたというその中にこういうことを言つておる。その中にある言葉ですが、クレムリンの主人公は日本を評価するに当つて、その工業能力、優秀な技術と八千四百万の人的資源に非常な重要性を置いておる。これはクレムリンがそういうものに重要性を置いておるというので、これは何も私が言おうとするものに関係はないのでありますが、その次の言葉にこれはかなり重大な意味があるのではないかと思うのであります。独立日本は自由諸国にとつて偉大な資産となるであろう、こういう文句が書いてあるのであります。自由諸国ということを附加えておつたのだが、いい加減な言葉だと思つておるので、この言葉重要性を置かないけれども、大体において自由諸国にとつて偉大なる資産と見られるのは、どういう目的に使用せられようとしておるのかという問題に直ぐ疑いを持つのであります。それを読んで私はいろいろに頭が撹乱されたような感じがした。この二日後にヴァン・フリートのこの記事日本のタイムズに載つた、こういうような記事を読んで、これはやはりずつと以前のことでありますが、まだ私がアメリカにおるときだつた、終戰後直ぐのことであつたのでありますが、終戰後日本が占領された、そうして連合軍日本にやつて来たので、連合国の一人の将官、今名は言わないことにします。材料を持ち合せませんので、手許に材料のないときは私は名前を言わないことにしておりますので……、或る将軍がこういうことを言つてつた日本人は非常に立派だ、非常に立派な体格で知能からいつても体格からいつてもよき軍隊を作るもので、私はこれを一つの大きな軍隊に編成して、みずからこれを指揮して用いて見たいという記事を見て一つのシヨツクを受けたのであります。日本はもうポツダム宣言で非軍事化されているというときに、まだこういうことを言う人があるのかというシヨツクを受けたのでありますが、シヨツクを受けた最も大きな原因は、日本人を一つの大きな軍隊に編成して、みずから指揮してこれを用いて見たい、こういうような言葉が書いておつた。で一体何に用いるのか。そのときから私は申すように、アジア共産主義を征伐するためにアジア人的資源を用いたいというような言葉を、そのときは聞かなかつたが、私の考えはすぐそこまで飛んで行つてしまつたのであります。そうしてこれは私の頭の中に長く残つてつて、この国連の問題だとか、或いは講和條約の問題を考えるときにしよつ中私につきまとつてつた一つ考えなんでありますが、到頭最後に辿りついたのは、さつきあつた三月二十六日の日本タイムズに載つてつたあの記事であつて、そうしてアジア共産主義と闘うためにはアジア人的資源を用いる。若しこういうことを言つたとすれば、これは非常に重大な意味があると思うのであります。日本に軍事基地を作るとか、或いは日本に再軍備をするとかいうようなことが言われているが、そういう日本における施設とか或いは軍事力というものは大陸を征伐するために用いられる。共産主義と鬪うためにあると言うが、併し中国は中華人民共和国となつてつて、中国人民政府支配下にある。そうして同時に共産党の味方で、中国の多くの人は共産党の指導力としているところの政府を支持しているものと見ることができるのじやないか。それだけじやない。あのヴェトナムにもやはりこの共産主義を持して鬪つている大きな勢力があるのだし、それから又ビルマだつて、マレーだつてそうだし、それからインドなんかのネール首相は成るほど自国では共産党と鬪つている。併し承認されておらないが、この人民政府、中国の人民政府はこれを認めているのだし、それから国連に人民政府が入つておらないことはこれは間違いだというようなことを言つたことも記憶している。それからサン・フランシスコのあの講和会議に参加しなかつたその一つの理由としては、やはり中華人民共和国、人民政府が参加しないような対日講和というようなものは無意味だというようなことがその理由になつてつたと思うのでありますが、とにかくアジアにおける共産主義に対する態度というものはこれによつてわかる。即ちインドのネール首相の態度はそういう言葉によつてもはつきりとわかると思うのであります。だからもう日本アジアにおける共産主義と闘わなくてはならないということになつて来ると、非常に重大な問題になると思うので、それで今この問題を話したわけなんでありますが、併しこの点は事業問題で、さつき言つた、私の読んだ日本タイムズにある記事は本当に真相を伝えたものであるか否かということをお聞きした。事実の正鵠であるか否かということさえわかればいいのでありまするから、別にこの点に関しては外務大臣の御答弁を得る必要はないと思います。  それで前々回の本委員会において問題となつてそうして私が十分満足するような説明政府から得なかつた、そのことについてお尋ねしたいと思うのであります。それは先ず大体私の質問趣旨を繰返す必要があるのではないか、質問趣旨を言おうと思うとどうしても今までの経過をお話しなければならない、こう思うのでありますが、非常に簡單にかいつまんで、つまり私が提出した問題に関してここで政府委員と私との間に行われた問答、その経過だけを極く簡単に言うことを許して頂きたいと思うのであります。私は先ず第一に国連加入の承認を求められた。そうするとやはり我々は国連というものを第一に批判して行かなければならない、無批判的に入つてはならない。我々はあの国連憲章を読んで、そうして光彩燦然たる文句が並べてあるのに非常に眩惑してしまつてそうしてこれほど立派なものはない、国連は神聖にして侵すべからずというような感じさえ持つたこともあるような気がするのでありますし、非常に非民主的な感じなんで、昔の憲法にあつた天皇は神聖にして侵すべからずといつたあの條文が非常に非民主的であるが、国連は神聖にして侵すべからずというような考えというものは非常に非民主的であるのであります。併しながら無批判的に一番初めからそれにすつかり魅惑されてしまつたことを今日恥じておるようなわけなんであります。というのはなぜであるかと言えば、殊にあの朝鮮戦乱のしよつぱなから国連がとつた態度というものは必ずしむ批判の余地がないものではないと私には考えられたからなんであります。それでそういうような点から国連を批判するのに何から批判を始めなければならないか、そのテストになるものとして、私は国連が先ず一体侵略ということに対してどういう解釈をとつているのか、それから始めなければならない。勿論侵略というだけではない、平和の破壊とか中和に対する脅威、それから侵略これは国連憲章の第七章の主題となつておるもので便宜侵略々々というだけの言葉を言いましたが、併し中和の破壊とか平和の脅威というものをやはり同じように我々は取扱わなければならないと、こう思うのでありますが、私がただ侵略と言うときには侵略のことを言つているのではなくて、平和に対する破壊、平和の脅威というものを含んで言つておるものであるというふうにお考えおきを願いたいと思うのであります。それで我々がこの侵略という言葉に対して国連がどういう解釈をとつておるか、又侵略というものをどう定義付けておるかということを知らなければならないとする理由は別に申上げるまでもない。なぜならば、この国連侵略に対してどういろ解釈をとつておるかということは非常に重大なる結果をもたらすからなんである。例えばこの国連憲章の第三十九條には、「安全保障理事会は、」……この国連と申しますが、勿論安全保障理事会は国連の主要機関の一つだから、私は国連という気持と、安保理事会の気持或いは国連総会という気持はそう違わないのでありますが、とにかく「安全保障理事会は、季刊に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、」こういう言葉がある。且つ「国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第四十一條及び第四十二條に従つていかなる措置をとるかを決定する。」それから四十一條、四十二條がありますが、四十二條の場合が非常に重大じやないか。つまり第四十一條には、国連が、或る国が中和を破壊しておるとか、平和を脅威しておるとか、或いは侵略をしておるとかということをいよいよ決議によつてそれをきめる。そういうときに兵力を用いないような措置に関しての規定が、それが第四十一條の規定だと思う。それから四十二條のほらはずつと進んで兵力を用いる場合即ちそういう場合には、この安保理事会は、「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」というふうになつて、その次の四十三條には、そういう建前から国連がこの加盟国のおのおのに対する武装軍隊であるとか、援助並びに通過権を含む便益を提供することを要求することができるようになつてそうしてそういう、要求があつたときには、要求を受けた加盟国はやはりそれに従わなければならないというようなことが書いてあるので、日本の場合においてはかなりこれは重大なる、つまり武装軍隊、それから援助又は通過権を含む便益ということに対する解釈にもよるのでありますが、とにかく或る場合においては本の憲法で、戰争放棄の憲法によつて日本軍隊を持つておらない。それでもやはり国連へ入つて、こういうときの場合の義務を、つまり侵略だと認められた国に対して武力制裁に参加する義務というようなことができないというような、こういうことになるようになれば、又日本は再軍備はもつと増強しなければならない。そうして憲法の改正もしなければならないというような大きな問題になつて来るので、なかなか軽々しくこの問題を見ることができない。こう考えるのであります。それで侵略ということに関していろいろの側から私はこれを見て政府委員答弁を求めたのでありますが、併しながらその答弁一つも満足の得られる答弁ではなかつた。少くとも私には満足の行く答弁ではなかつたのであります。それで先ず第一に外務大臣にお伺いしたい。この国連侵略ということをどういうふうに解釈しているのであるか。どういう定義をつけているのか。  なお、この質問に対してちよつと附加えを許して頂きたい。政府委員のかたは別に国連侵略に対して何らの定義を持つておらない。その場合その場でこれは侵略だというふうに決議する。こういうふうなお答えだつたけれども、併し国連はそんなでたらめなことはしまい。国連に加入を求められている以上は国連というものはまつ直ぐなことをする機関であるから、それで加入を求めるというので、若しも国連がそういうことをする機関、でたらめなことをする機関だとすれば加入を一方において求めながら、一方においては加入してはいけませんと言つているのと同じである。政府はそういうふうには解釈しておらない。政府はこの国連侵略というものに対して平和の破壊、平和の脅威、侵略ということに対して批判する場合には立派な尺度を持つているものと考えているはずだと思うのでありますが、この点に対して先ず外務大臣のお答えを要求するのであります。
  27. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 国連においては侵略の定義を定めようと試みたことが当初にあつたようでありますが、結局意見が一致しないので安全保障理事会がそのときどきの情勢を見て判定するということになつたと了解しております。これはソ連その他国連加盟の非常に多数の国が皆それが適当と認めたのでありまして、何らそれ以上の措置はとつていないと考えます。
  28. 大山郁夫

    大山郁夫君 それでは外務大臣のお考えは、国連というものはこういう重大な問題に対して何らの定義を持たない、その場その場でいい加減に考えて、そうして決議をするというふうに、こういうお考えなんですが。
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いやしくも国連安全保障理事会に代表を送つている国々がそれぞれいい加減なことをするとは到底私は考えません。併し事実侵略と申してもいろいろの場合があろうと考えます。又実際問題としても両方の国がお互いに他方を侵略だと言つている場合も多くあるだろうと思います。そういう場合に彼我の情勢を公平に判断して、いずれが侵略であるかということを決定するのが安全保障理事会の任務だろう思つております。
  30. 大山郁夫

    大山郁夫君 それはどうもどういう尺度を、標準を持つているかということに対する答弁にはならないと思うのであります。まあ持つておらないのだが、結局その時の情勢に応じて適当な判断をする。国連を構成している各国は立派な国だからそう間違つた判断はしまい。こういうくらいのお考えしかないのですか。
  31. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 元来大山委員に逆にお聞きしたいくらいでありますが、一体侵略の定義なんというものは現在の情勢で紙の上に書けるものかどうか。これは恐らく誰がやつても書けないと思います。
  32. 大山郁夫

    大山郁夫君 私は紙に書けるとか書けないとかというようなことは、こういう問題については甚だ素人であつて知りませんが、併しながらともかく過去において紙に書いたものは相当にあるのです。一九二八年の国際連盟でありますが、あのジユネーヴアの会議のときから一つの問題になつて来て、そうしてその推移に対しては多少私は注意を拂つてつた。又国際問題は全然素人だからでたらめな考えを私は持つてつたかも知れないが、併し相当にこの問題には注意を拂つてつたのだが、併し中間は飛ばしてあの国連安全保障理事会の八号三日にマリクソ連代表が相当に明確に定義を言つておるのであります。勿論マリク自身の定義でなく、マリク代表の言つているのソ連が曾つてジエネヴアの軍縮会議に提出した一つ侵略に対する定義、即ち一九三三年軍縮会議に提出した。そうして後に国連安全保障問題委員会が、委員会を構成している十七ヵ国がそれを採択した。委員会全部でなくて十二ヵ国が採択して、その中にイギリス、フランス、アメリカ、ノールウエーというような大きな、非常に著しい強国もみな採択したが、一、二の国がそれに反対したがために問題がずるずるべつたりに引張られて一九三九年まで持込まれた。そうするととうとうあれになつて問題が解決を見なかつたという……。併しながら私記憶から言つているので間違つているかも知れないが、国連安全保障問題委員会を構成している十七ヵ国の主な国が認めた、こうマリクは言つたと思います。二、三の国だけが反対した、それだけの国が一致したのだから、相当にそのときは有利なものと認められたものであると思うのであります。国際情勢がみな変化したから、そのときにいいと考えておつたことがあとで悪くなつたのだというようなお話も出るかも知れないけれども、出れば勿論それは喜んで聞きますが、勿論そのときはそれだけの国が賛成して二、三の国が愚図々々言つてつたためにとうとう問題がうやむやのうちに終つてしまつたのだ。併しイギリス、フランスだのアメリカ、特に朝鮮戦乱に対して当事国であるところの国もそのときは認めた。そのときは認めたということは事実である。マリクがそういうことを言つておるので、若し事実でないとおつしやるなら事実でないということもおつしやつて下すつていいわけでありますが、そのときにあのソ連の出した定義というものは、私たちが今読んでも決していわゆるアウト・オブ・デートとは考えられないのでありますが、その中に殊に私は国際連合のファンクションというものに関連して考えて非常に今でもそれが保持できる。こう考えているのは、侵略というものは国家と国家との間の事柄であるという、こういうことをその定義の中に言つているのであります。国家と国家の中の二つのセクションとか三つのセクションが争つて、そうして喧嘩して、誰が先に手を出したかというようなことは、こういうことは侵略として取扱わないというような解釈が生ずるようなものの言い方になつて、国家と国家との間のことなんでありまして、即ち一つの国家が他の国家の主権を脅威する、或いは武力による襲撃をする。そういう場合に侵略という問題が生ずるということを言つている。そうするとあの朝鮮戰乱のとつぱなに起つたあの問題は朝鮮内部のことで、民族的統一ということを主にして南鮮と北鮮とが争つたので、一国間内における二つのセクシヨンスがお互いに相争つたということになる。あの定義から言えば侵略ということにならない。こういうふうに我々は考えるのでありますが、併し外務大臣侵略というものは、国家と国家との間のそういう衝突があつた場合に始めて問題が起るものであるとこう考えておられるのか、そうでなくて国家の中の二つの部分、三つの部分が争う場合にも侵略という問題が起り得ると考えておられるか。この点をお伺いしたいのであります。
  33. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今の御質問でありますが、可成り前の状況であつたら或いはそれでよかつたかも知れないと思います。併しながら現状におきましては必ずしもそうでないと思います。つまり国家が責任を負わない。例えば朝鮮の場合でも中共政府政府として北鮮を応援しておるわけじやない。中共政府は何も政府として応援しているわけじやないという建前をとつておるのです。中国の義勇軍が北鮮に参加しておるのだ、こう言つておるわけであります。併しながら事実その義勇軍たるや非常に強大なものであつて、実際上は中共の援助を得ておることはこれはもう衆目の認めるところであります。義勇軍が非常に大きな空軍を持つたりするようなことは、いわゆる義勇軍としての観念から言うと甚だ不思議なように思うのであります。従つて現状におきましては、国家と国家ということでそれ以外には侵略はないのだと定義しますれば、国家ということをカムフラージュして事実上国家の行為でありても、義勇軍の行為であるとか、人民の自然の意思の発露であるとか言つて侵略を行う場合もあり得ると考えております。従つてこの定義については例えば間接の侵略と称せられるものであるかも知れませんが、今の現状においては殊に共産主義国家の用いる手段を考えますと、国と国との間の行為だけが侵略行為であると定義することは甚だ現状に副わないと思いますが、恐らく多数の国がやはりそういう意見を持つておるために侵略に関する定義も決定に至らなかつたと私は考えております。
  34. 大山郁夫

    大山郁夫君 中国義勇軍の場合には又別の説明が要るので、暫らくそれは問題の中から除けたい。殊に私はあの朝鮮戦乱の起つたときのあの状況を中心として物を見て頂きたいと、こう思うのでありますが、それでは南鮮と北鮮とが争つておる、そこに侵略の問題が起り得るか。普通の言葉では起り得るのでありますが、北鮮が南鮮侵略したといつて、私たちはそういうことを言えば或る意味でそれは理解することができるのだけれども、併し国際連台というもののファンクションを中心として考えるとそれが言えるか、というのはなぜというと、南鮮と北鮮が争つておるのは明らかに内職なんで、シヴイル・ウオー、内戰なんで、国際連合憲章の中の第二條の第七項にあるように内職非干渉主義をとつておるというふうに私は了承しております。よその国の……、やはり條文を見たほうが早いのでありますが、第二條第七項であります、「この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある……。」この「国内管轄権内」というのは原文のほうでは、原文と言つていいか英文のほうでは、「マタース・ウイツチ・アー・エセンシヤリー・ウイズン・ザ・ドモステイク・ジユアリスデイクション・オブ・エニイ・ステイト」、こういうふうになつておるのであります。それで又元に返りますが、「この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権能を国際連合に與えるものではなく」云々と、こうなつておるのであります。だからこの條文によると、国際連合は内戰非干渉主義をとつておるということはこれは争われない。勿論この解釈を非常に複雑困難にする文句が同じ條文の最後にあります。「但し、この原則は、第七章に基く強制措置の適用を妨げるものではない。」。こういうふうな但書が書いてあるが、併しこれは但書よりも前のほうが重要な意味を持つておると見なければならないので、むしろ但書のような場合を前のほうがモデイフアイスする、そういうふうに解釈するのが正当な條文の解釈の方式であると、こう私は考えておりますが、ともかく第二條第七項の條文によれば内戰非干渉主義をとつておる。だから仮に一つの国の中の二つの部分が争つておる場合でも、この憲章の侵略ということの問題が起り得るとしてもそれは国連が干渉すべきものじやないというふうに規定されておるものであると、私はこう考えておるのでありますが、外務大臣はどうお考えになりますか。
  35. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 国連安全保障理事会はこの事変の起りました一昨年の六月二十五日に、先ずこの敵対行為をやめて双方が三十八度線以内に撤退するように勧告したわけであります。それから続いて二十七日に、二日経つてから更に決議をいたしております。それは国連側の要請にもかかわらず敵対行為がやまず、三十八度線以内に双方が撤退をしていないということで決議をいたしたのでありますが、その理事会が一貫して認めていることは、北鮮からの軍隊による大韓民国に対する武力攻撃が平和の脅威である、こう認めておつたのであります。そうして平和の脅威であるからというので国連としては種々の措置を講じたわけであります。ところがその後におきまして、これは昨年の二月ですが、更に総会決議をいたしております。それは、中共政府朝鮮においてすでに侵略を侵しているものを直接援助し、且つ同地で国連軍に対して敵対行為に従事しているので、みずから朝鮮において侵略に従事しいているものと認める、こういう決議をいたしているのであります。つまり初めは普通の意味の、内戰とも考えられましよう。内乱とも考えられましよう。従つて單なる平和の破壊、こういうふうに考え国連としては措置しておつた。ところが国連のほうで合法的政府と認めている韓国政府に対し武力の攻撃が北方から絶えず行われた。而も中共では義勇軍と称して大量の軍隊及び武器を北鮮側に供與して来た。事実上今度は北鮮の軍事力という以上にはるかに大きなものが中共方面から流れて来て、そうして三十八度線等を前後にして戦闘行為が継続されている。従つて今度はいよいよいわゆる内乱の域を脱して、北方からの侵略行為、これが今申した通り国としてはつきりそういう行為をしているというふうにはなつておりませんので、はつきりどの国が侵略国であるということを非常にはつきり言うことはできなかつたかも知れません。併しながら事実はもう国連総会中共政府侵略行為を犯しているものを直接援助している、こういうふうに言いまして従つてみずから朝鮮において侵略に従事していると思われる、こういうふうに解釈したものと私は了解しております。
  36. 大山郁夫

    大山郁夫君 それでは一国内の二つの部分が争つていても侵略という問題がそこに起り得るということを国連が認めているわけなんですか。そう大臣は解釈しておいでになるのですか。
  37. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 純粋の意味国内の問題であれば、これは平和の破壊にはなるかも知れんが、侵略ということにはなるまいと私は考えております。併しながら、いわゆる間接侵略で、他国、その以外の第三国がこれを陰に陽に非常な力で援助して、そうして一方のほうが他方に対して優勢なる武力攻撃を加えるという場合には、これはいわゆる間接侵略であつて、やはり侵略であろうと考えております。
  38. 大山郁夫

    大山郁夫君 今のお話は、初めは侵略というほどのことでもなかつたのだが、外部のほうから非常に援助があつたからそれが侵略というものに変質したのだということに私はとらなければならないように思うのですが、そうとつていいので、ございましようか、外部の援助があつたがために変質したと…—。
  39. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 初めの状況が果して純粋なる内乱というものであるかどうかは、恐らく国連当局にもはつきりは判明していなかつたかも知れんと思います。ああいう咄嗟の場合ですから……。併しながら、後ほどに至つてこれが間接の侵略であるということは、これは認められたものと思います。
  40. 大山郁夫

    大山郁夫君 さつきの話では、外部の援助、即ちソ連だの、それから中華人民共和国からの援助があつたからだんだんと、初めは何ともなかつたけれどもずつと変質したというようなふうに言われたように思うのですけれども、勿論侵略という言葉は途中であとになつて使つたのではなくて、初めから使つておるので、私病気で寝ておりましたけれども、新聞などにも初めから侵略という言葉使つてつたので、殊に二十七日のアメリカの出した決議案は、北鮮の侵略に対する措置、それも目的とした決議案というものになつてつたと思うのです。併しそんなことを今私はとやかく言おうとするのではないけれども、併しあの問題が、初め何ともないほどの一つの国の中の三つの部分が争つてつたに過ぎなかつたものがどんどん大きくなつについては、外部の援助、ソ連とか或いは又中華人民共和国からの援助があつたためだというようなお話があつたのだが、逆のことも言われると思うのです。アメリカが直ちに武力制裁を加えるということを国際連合で主張してきめてしまつて、そうしてアメリカ軍が出かけたのではなくて、国連軍が出かけたのだというふうにして公では二十七日頃からということになつておりますが、本当はもつと二十七日より早かつたように私は聞いておるのだけれども、まあそんなことをここで今早かつた遅かつたというような埓のあかないことは言わないようにして、とにかくどんどん飛行機を送り、そうして平和な朝鮮の都市をどんどん爆撃して、そうして爆撃されたのは北鮮の都市だけではなくて、南鮮のほうもかなり爆撃されて、爆撃の犠牲になつたのは、これはただ戰闘員ばかりではなくて、非戰鬪員が明らかにたくさん死んだ。私は何百万死んだか知らんけれども、初めから本当にたくさんの朝鮮人が死ぬようになつて、援助々々と言われておるが、南鮮のほうも援助されてさぞ迷惑なことでなかつたのではないかと私は考えておりますが、とにかく平和な都市が爆撃されるやら、そうして又同じ所におられなくなつて朝鮮人があの自分の国内を西に東に北に南に流浪するようになつた。而もどんどん一週間くらいで片付くと言つてつたのが二週間二週間になり、そうすると、一層又こちのほうからどんどん攻撃する。そういうことが最初はそう大きな事件ではなかつたのが大きなものにしたのではないか。それから又中国の義勇軍のお話でありますが、中国の義勇軍が侵略者を助けたというお話であるが、又逆の考えで行けば、国連軍がどんどんと進んで来て、鴨緑江まで迫つて来て、中国から言えば自分の境界線が侵されそうになつて来た。アメリカから言えば六千哩先のことだから、恐らくアメリカに対する侵略というようなことは常識では考えられなかつたと思うのだが、中国は台湾問題も入れて考えておるからもつと侵略ということに考えたのでしようが、もう侵略が自分の眼の前に迫つて来たというように考えたに違いないので、そうして中国の義勇軍が動いたということになつたのでありましようが、ともかく外部の援助のために初め何でもないようなことが後に非常に大きなことになつたとおつしやるならば、私は別に又国連軍の活動が何でもないような問題を非常に大きくしてしまつてそうして南鮮は援助々々と言つたが、援助された南鮮も北鮮と同じように苦しむ結果になつたので、事柄を大きくしたのは必ずしもあの外部からの援助だけではなかつたというように自分は解釈しておりますが、その解釈間違つておりましようか。
  41. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はこういうふうに言つておるのであります。つまり国連と言いますか、或いは連合国と言いますか、これは非常に人のいい考えを持つてつて朝鮮は三十八度線を境としてとにかく一応の安定が保たれておると、どこの国も一方の国を不当に援助して相手国をやつつけるというようなことはないと考えておつたと思います。併しながら不意に北鮮軍が出て来て武力行為を行なつたあの状況を見ますると、初め国連軍は知らなかつたのでありましようが、北鮮の資源、北鮮の工業能力その他から見てあれだけのタンクなりあれだけの武器なりを自分の力で造るだけの私は用意はなかつたと思います。従つて前から外国の援助を受けて武力の強化を図つてつたのであつて従つて初めから間接侵略の様相を備えておつたと思いまするが、それは当時はわからなかつた。わからなかつたからしてあのように不意に襲撃されて不意に攻撃されたという状況で、従つて国連決議も平和の破壊ということにとどまつてつたのだが、だんだん正体がわかつて来ると、これは侵略行為である、こういうことになつた考えております。それでなお国連軍が然らば何もせずにおつたら、これは武力によつて南鮮が席巻されたろうということは恐らく想像されるのでありまして、これは非常に重大なことであります。国連が折角選挙をして朝鮮に統一政府を立てようとしたその行為を阻みながら、片方においてひそかに武力を蓄えて、一挙に予告なしに三十八度線を越えて進撃をして来るということは、非常にこれは重大なことでありまして、国連軍が思い切つた措置を講じたのは当然であります。私はそういうふうに物を見ております。
  42. 大山郁夫

    大山郁夫君 事実問題は、さつきのお話だが、確信を持つてお言いになつておるようには思えない。私もと思う、あなたもと思う、両方ともと思うだから、これは事実問題は又別な解釈の仕方があると思うのですが、それでさつきのお話では、だんだんあの事件が発展して来るというとしまいにそれが侵略ということがわかつて、又侵略という文字をお使いになつたのだから、どうしても初めから侵略という定義をきめてかからなければ、この侵略に対する御答弁がなくて、その場その場の情勢を見ながら侵略であるとかないとかということを決定されるというのでは、政府委員の初めの御答弁と同じだと思うのですが、侵略の定義をきめないであれは侵略行為だと言われたところで、私は解釈に苦しむ。やはり外務大臣侵略ということはどういうことだということをもつと明確に規定して頂きたい。
  43. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは日本外務大臣がきめ得ないのみならず、国際連合各国といえどもきめ得ないのでありまして、従つて現在侵略という定義はないのであります。つまりあなたの言われるような国と国との行為のみを侵略とすれば、すぐ国を使わないでの侵略行為が行われ得ることは、北鮮の事件を見ても明らかでありますから、これは事実を見て判断する以外に方法はないと、こういうことになつておると考えます。
  44. 大山郁夫

    大山郁夫君 定義がなしに侵略ということだつたら何でもできる、丁度イギリスの国会は男を女にすることのほかは何でもできると、それでも遠慮して男を女にすることはできないと言つているのだが、それでは国がその場その場できめるというならば、どんなことでも、これは侵略であるこれは侵略でないということは標準なしにやつておると、そう言うことができるわけでございますか。何か標準がなければならん、標準がないとおつしやるのですか。
  45. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 若し一つの定義を付けまして、その定義のものだけが侵略だと言えばあの手この手で法を潜る方法は幾らでもある。従つて、これは各国の良識と善意に待つよりほかに今の情勢ではいたし方ないと考える。
  46. 大山郁夫

    大山郁夫君 そういうことを言つてつたのでは話がきりがないと思うのでありますが、それならばともかく一定の標準なしに、或る場合には或る行為を侵略決議し、或る場合にはそうでないと決議しているのであるか、このことだけに対してイエスかノーかの返答さえ頂ければ私は満足いたします。確たる定義がないのみならず、その場の情勢に応じて或る行為を侵略と決定したり或る行為を侵略でないと決定すると、そういうのが国連の姿だと、こうおつしやるのですか。この問にだけイエスかノーかの答えを下すつたら私はもうこの質問を続けません。満足して引下ります。又別な問はありますがそのことだけは保留しますから、このことだけにイエスかノーかの返答を頂きたい。
  47. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは或る部分についてはイエスであり、或る部分についてはノーであります。
  48. 大山郁夫

    大山郁夫君 それでは私はどうも満足できません。ひようたんなまずじやちよつと困るのです。やはりはつきりした返答が欲しい。
  49. 平林太一

    平林太一君 関連して外務大臣に質したいと思いますが、只今大山君から縷々お話がありましたが、私は侵略に対する定義をこういうふうに、このことが侵略であるか否かという決定に対するポイントというものは、又いやしくもこのことは他の学説と違いまして現実を無視できない事柄がこの侵略に対する最も考えなければならないことと思うのであります。朝鮮の場合におきまして、北鮮が三十八度線を越えて南鮮に攻撃を開始したと、そうして余勢を駆つて深く南鮮の中に侵入して来た。然るに大山君のお話を伺いますると、これは同一国家においてこういう行動をとつた場合には侵略でないと、それに対する範囲を非常に考えなければならんというようなお話でありまするが、併し北鮮の国家というものは共産国家のいわゆるソ連の衛星国であるということに対しましては世界周知の事実であります。又私どもそれを何ら議論の余地なく認定いたしておるのでありますが、従つてあの行動に対しましては決して同一国家において行われたものとは思わない。いわゆるその国以外のソ連勢力というものが、常に衛星国家としてそうして物心両面共にそういう育成をし、そういう性格であれいたしたものであります。それがいわゆるこの武力に訴えた行動を突如として開始した。この行為に対しまして侵略という、南鮮侵略されたのでありますから、従つて国連はこれに対する判定をして武力に訴えるということは、私はそこに侵略というものが非現実的のものでない、現実を無視することのできないものであるということに思いますから、およそこれに対しまするところの定義というもの、これを侵略と見るか見ないかということに対しましては、これは議論でない、実際によつてこれを判定するということ、又それが極めて的確であると思う。国際連合におきましては、すでに第二條の第四号におきまして「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」、でありますから、国際連合侵略も行使するということは如何なる場合にもないし、これを極端に申しますれば、国際連合の中には国際連合自体が侵略行為をするということは字句の中にいわゆる抹殺されていることである。そうして侵略ということは、国際連合の精神を無視したところの国が一つの意欲を持つてそうして他の国に対しまして攻撃を加えて来たときにおいてそれが発生する。併しこの場合でも国連は決して直すにこれに相対抗するところの行為を用いない、用いることを慎しむ。
  50. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ちよつと平林さん、只今外務大臣に対して質問をやつておるところであります。御質問でなく、あなたの御意見だけを言うのでは、時間が延びておりますから。
  51. 平林太一

    平林太一君 結局質問になるのです。私の考えが如何ということを伺いますから。そういうふうに私は考えるのでありますが、でありますから、いわゆる国連は如何なる場合、例えば今日西ドイツと東ドイツの場合におきましても、ベルリンが如何なる攻撃を共産同から受けても、英国においてはその攻撃を受けるであろうということを予想して、又受けても、直ちにこれを攻撃するということの考えは持たない。そうして事態をできるだけ平和の間に解決したいということを孜々として努める。併し、努めてもなおこの行為が継続される場合におきましてこれは侵略であるということを判定するということでありますから、極めてこれに対しましては誤りがない、狂いがない。そういう時間的に、或いは極めて愼重、自重の態度を以てよくその行為を熟視いたしまして、そこで初めて判定するのでありますから、それに対しまする何ら疑義ははさむ余地のないものであり、侵略の意義は極めて簡單直截のものである。そこに臆測や又深い学説を云々すべきものではない。又、そういうことをいたすということになれば侵略というものは全く泡沫のごときものである。これはぶよぶよいたしました何らよりどころのないものであるということを私は考えるのでありますが、これに対しまして外務大臣は如何なるお考えをお持ちになつておりますか、これは一つ外務大臣のいわゆる信念、或いは包蔵されておるお考えを承わりたいと思う。
  52. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いろいろお話も伺いましたが、只今問題になつておりますのは、国連にいわゆる侵略とは何ぞやということだと思います。ところが国連では侵略行為の存在を決定するということは安全保障理事会の任務になつております。然るに安全保障理事会のメンバーは侵略に関する定義について意見が一致しておりません。従つてここで如何に私がこれが侵略であると定義をいたしましても、安全保障理事会のメンバーを拘束できない限りにおいては、国連侵略の定義というものには当てはまらないと思います。それで安全保障理事会は只今のところ事態を見て、双方の国が相手を侵略国だと言つても実際に事態を見て適当にどちらかを侵略国ときめる場合もありましよう。すべて事態を見て最も適切なる判定を下す以外に方法はないというところに来ておるのでありますから、侵略の定義の問題はそういうふうに一つ御了解を願いたいと思います。
  53. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 大山君に申上げます。侵略に対する質疑はこれで以て打切りにして頂きたいと思います。大体あなたの御趣意外務大臣の御答弁も盡きたように私は思いますから、他の問題に一つお移りを願いたいと思います。
  54. 大山郁夫

    大山郁夫君 じや私は満足する御答弁が得られなかつたということで打切りにいたします。
  55. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 大山君他の問題にどうぞ。    〔平林太一発言の許可を求む〕
  56. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 時間が大変切迫しておりますから……。大山君がまだ済んでいないのです。
  57. 平林太一

    平林太一君 この問題は終つたのでしよう。私のほうが先なのだから。
  58. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 他の問題をやることをさつきから予告しているのですから、それですから大山君にやつて頂きたい。
  59. 平林太一

    平林太一君 それでは議事進行について発言を求めます。本日はすでに相当定刻も迫つておりますし、殊に委員の数は寥々たる僅か四名という状態であります。これ以上審議を続けますことは却てその当を得ていないと思います。本日はこの程度において散会せられるように議長においてお諮り願いたいと思います。
  60. 大山郁夫

    大山郁夫君 私もそれに賛成です。さつきからの余興で私の考えていることがすつかりどつかへ散つてしまつたので次の機会に……。
  61. 平林太一

    平林太一君 余興とはどういうことですか。
  62. 大山郁夫

    大山郁夫君 私にとつては非常に面白かつたのであなたに対するお世辞なんです。
  63. 平林太一

    平林太一君 余興なんということは非常に無礼です。ちつとも私は余興なんて言つておりません。極めて真劍な又大山君とは大いに……。
  64. 大山郁夫

    大山郁夫君 余興でも真劍になり得るのです。
  65. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 大山君に申上げますけれども……。
  66. 平林太一

    平林太一君 お諮りを願いたいと思います。そういうことはここで相当つきておりますから又明日にいたしまして、次回に延期されることをこの程度にいたしてお諮りを願いたいと思います。議事進行であります。
  67. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 平林君から本日はこれくらいでという御提案がありましたけれどもり始めたのが大変遅かつたので、実は外務大臣には非常にお忙がしいところをたびたび要求をして漸く今日遅くとも御出席を願つたのですから、少しくらい延びても外務大臣は私は引止めておいて一向差支ないと思います。どうぞあなたも十分御質問なすつて頂きたいと思います。
  68. 平林太一

    平林太一君 私は委員長意見が相反しますから本日は退席いたします。
  69. 大山郁夫

    大山郁夫君 それでは非常に質問のテンポを早めましてできるだけ早く切り上げるように、イエスかノーかで答えて頂ければいいような質問をいたします。さつきからいろいろ事実問題で、外務大臣もこういうことであつたと思う、私も思うと、両方とも思うばかりで何もその本当の事実というものを我々は握つていない。それからそれのみならず、あの国連が二十七日に決議をしたり、そのほか又本当の事実をはつきりと握つていなかつたのじやないかと思う、又思うのであります。従つてなぜならばあのときに南鮮と北鮮との主張が非常に違つていたのです。南鮮のほうでは北鮮が侵略したとか何とか言つておるのだが、北鮮のほうではもともとあの六月二十五日南鮮のあの軍隊が三十八度線をずつと全面的に越してやつて来てそうしてあの紛争が始まつたのだというふうに言つておるのです。而もその南鮮軍隊というのがもうアメリカのあの指導によつてでき上つた軍隊であり、それから又その前にいろいろマツカーサーがどうの、或いは又あのときにジヨンスン国防長官がやつて来たとか、或いはブラッドレー統合参謀本部議長がやつて来てどうしたとか、いろいろなことを北鮮のほうで非常に具体的な事実と思われるものをずつと並べて言つておるので、そうあの報告というものは必ずしも無視することができなかつたので、又南鮮のほうも無視してはならないので、それで私はマリクが両方の委員会にそれぞれステートメントを出してそれを聞いて、そうしてのちに判断すべきだということを提案したのが一つと、それから又何も武力制裁を加えなくても、先ず第一にいわゆるピースフル・セッツルメントで平和的解決を先に相談しようじやないか、こういう提案をした。若しあの提案が両方容れられていたならば何でもないことが、さつき外務大臣も言われたように大きい国際的秩序を乱すようなことになり、又従つて遡及的に侵略だ、そういうことが害われるようなことになり得るということ、そんなこともなくて済んだのじやないかと思うのであります。があのときにマリクが両方の側の委員会を呼んで聞こうじやないかといつたあの提案は非常に私は正しい。殊に私は東洋人で子供の頃から片言訴えを聞かず、これが公平の原則だということを教え込まれておるので、物事の本当の正しい認識だの或いは判断に到達しようと思つたならば、先ず当事者の両方側を呼んで、そうしておのおのの言うところを言わしめて、そうしてその真相に達することが本当の正しいやり方じやないかとこう思うのでありますが、併したしかあのときは南鮮委員会のほうは呼ばれた。それから又あの国民政府を代表している何か蒋廷黻といいますか、英語ではChiang Ting Fu というあの人なんかも出ている、可二というあの人なんかも出ている、国連朝鮮委員会報告なんかが重じられたりして非常にそこに不公平なことがあつたように私は思うのでありますが、併しともかく我々は国連を批判する立場にあるので、何も国連のやることが皆正しいなんと言わなくてもいいと思うのです。そういう立場にある者から見たならば、あのときに南鮮、北鮮の委員会を呼んで両側からそれぞれの自分自身のケースを質して、そうしてのちに正しい解決に導くのが正しいと思うのでありますが、併しそれをしなかつたということは非常に片手落ちだと私は考えておりますが、外務大臣はそうではない、あれでいいのだとお考えですか、この点イエスかノーかで簡單言つて頂ければいいのです。何も議論しようとは思つていないのですから。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) あれでいいと考えております。
  71. 大山郁夫

    大山郁夫君 それでいいとお考えになりまか。それでいろいろ考えが違うわけだが、ともかくそうお考えになればそれはそれでいいのです。  それからもう一つはさつき言われたあの国連があの場合に、安保理事会が国連加盟国に向つて或る場合には武装軍隊とか、援助、便益、通過権を含む便益を提供しろというふうに要求したらばその要求に加盟国は従わなければならないという規定があると思うのですが、あの武装軍隊とか援助、それから通過権を含む便益なんていうものはこれはみんながよつて一つの総体として見るべきものであるか、或いは個別的に一つ一つ見て行くものであるか、これを政府委員に聞いても満足な答弁が得られなかつたので、これに対してどういうふうに外務大臣はお考えになつておるか、これは重大な問題じやないかと思いますので。
  72. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと御質問趣旨が私にははつきりしませんので。
  73. 大山郁夫

    大山郁夫君 四十三條だと思つたが、「国際の中和及び安全の維持に貢献するため、すべての国際連合加盟国は、安全保障理事会の要請に基き、且つ特別協定に従つて、国際の平和及び安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する。この便益には、通過の権利が含まれる。」とこういうふうに、私は今武装軍隊なんて言いましたが兵力も同じことでありますが、ともかくこのいろんな項目が並べてあります。兵力、擬助及び便益というような安全保障理事会に利用させることを約束するとこうあるのだが、兵力とか援助、便益こういうふうにたくさん項目が並べてあるが、これはこういうような諸項目を一つの全体として、つまりインチグラル・ホウルと見るべきものか、又は一つ一つ別々の独立したものと考えることができるか。言い換えれば安全保障理事会が兵力だけよこせ、或いは援助だけよこせ、便益だけよこせというふうに個別的に要求できるものであるというふうに解釈していいかということです。
  74. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはこの規定にあります通り特別協定のできたときに実行される問題であります。それで特別協定なるものがまだどこの国ともできていないようでありますが、その第二項には「前記の協定は、兵力の数及び種類」とかその他いろいろのことを含むというふうに書いてあります、そこでこれから見ると或る国は兵力を出しましようし、或る国はそうでないものを出す場合ありましようし、それは必ずしも全部を一括して出すのだというふうにはつきりはいたしておらん、その国情によつておのおの内容が違つて来る、こう考えられると思います。
  75. 大山郁夫

    大山郁夫君 つまり兵力というものが要求されることがあり得るので、だんだんと問題は日本の再軍備というほうへこの條文を通じて引つ張つて行かれるのじやないかということを我々は非常に危惧しておるのであります。あの憲法で日本は戦争を放棄しておる、軍隊を持つておらないから、兵力を提供しろというような要求をしないのだというようなことを言つておる時代もあるかも知れんけれども、だんだん情勢が迫つて来ると日本からやはり兵力を寄與させようというか、或いは政府の見解じや警察予備隊なんというものは軍隊じやないと言われるが、軍隊という言葉はこの場合は使えないかも知れんが、警察予備隊なんかも寄與して、そうして侵略を抑えるために、侵略軍に対して武力制裁をするために参加させようというように、こういうふうに問題がなつて来やしないか、こういうことが言われて我々は非常に日本の再軍備というものがこれによつて促進ぜられるという危険が、あり得るし、従つて憲法の改正の問題も起きやしないか、再軍備をするつもりだからだんだん憲法を改正するというふうになつて来ると、大分国民の反対が起るわけだから、国連へ加入して、そうして国連が或る場合に日本に兵力の提供を命ずることがあるから、あらかじめその予備をするために先ず以て兵力をきめておいて再軍備をしよう、それについて憲法を改正しようというふうになつて来ると、ずるずるべつたりに憲法の改正に導かれ得るという、こういう危険が非常にあるので、それで私は殊にこの問題をお聞きしたわけなんであります。けれども、さつきの御答弁ではどうにもしようがないからこれはこれで打切ることにいたしますが、それからもう一つ聞きたかつたのは、これはもうこれこれだと言つて簡單なお答えを頂けばいい。国連との協力ということはどういうことを意味しておるか。さつき曾祢委員からお尋ねになつた貿易ということも、つまり中国との貿易制限ということも協力一つであろうと思うのだし、それから軍需発註においていろいろ工業上の生産をするということ、これも協力ということに含まれている。そのほかいろいろなことが含まれておると思うのでありますがその範囲だけ伺つておきたい。これは我々が国連を批判するために重大な問題だと思うからこれも筋だけ言つて頂けばいいと思います。
  76. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 第一の問題は、大山委員はおられませんでしたがここで数回に亘つて説明を繰返しておつたのです。改めて簡單に御説明しますが、国連の現加盟国といいますか初めに入つてつた国の中にも二カ国は軍隊を持つておらん国が入つております。又後に至つて加盟したアイスランドは、特に自分の国は軍隊がないのだ、従つてそれに関する義務は受諾できないのだということを表明して国連加盟を認められて今入つております。従つて再軍備とか何とかいう問題は、これは国民としてきめることは別問題として、国連に加入したから兵力がなければならないのだという議論にはならないのだということは繰返して申しておるところであります。  なお国連に対する協力としては今言われたようなことで、例えば第一には精神的の協力ということがあるでありましよう、精神的の応援ということ。それから具体的の問題といたしましても、例えば国連軍なり国連措置に対して金融的の措置、財政的の措置、或いは貿易上の措置、更に進んでは食糧を供給するとか、或いは港湾を使用せしむるとか、或いは軍隊の通過まで認めるというところもありましよう。一番大きな問題は無論兵力の利用をさせるということになりましよう。日本ばかりでなく他の国において4現状においてはその中でできる範囲のことをやる、こういうことになつておると了解します。
  77. 大山郁夫

    大山郁夫君 今日私の聞きたいことはまあそれだけで打切ることにいたします、大体説明だけ得ましたから。
  78. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは質問が盡きたものと認めて差支えございませんか。
  79. 大山郁夫

    大山郁夫君 盡きておらないのだが、議事進行上余り妨害するのも何ですからこの辺で打切ります。
  80. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十五分散会