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1952-05-27 第13回国会 参議院 外務委員会 第33号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年五月二十七日(火曜日) 午後一時三十七分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
有馬
英二
君
理事
徳川
頼貞
君 野田 俊作君 曾祢 益君
委員
杉原
荒太
君 團 伊能君 平林 太一君
伊達源一郎
君 金子 洋文君 大隈 信幸君
大山
郁夫
君 兼岩 傳一君
政府委員
外務政務次官
石原幹市郎
君
外務参事官
(
外務大臣官房
審議室勤務
)
三宅喜二郎
君
外務省アジア局
長 倭島
英二
君
事務局側
常任委員会專門
員 坂西 志保君
常任委員会專門
員
久保田貫一郎
君
説明員
外務省国際協長
力局
第一課 須山 達夫君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
中華民国
との
平和條
約の
締結
につい て
承認
を求めるの件(
内閣送付
) ○
国際連合
への
加盟
について
承認
を求 めるの件(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
有馬英二
1
○
委員長
(
有馬英二
君) それでは本日の
外務委員会
を開会いたします。
中華民国
との
平和條
約の
締結
について
承認
を求めるの件を
議題
といたします。先ず
政府
の
説明
を求めます。
倭島英二
2
○
政府委員
(倭島
英二
君) 御審議頂きまする
日本国
と
中華民国
との間の
平和條
約について御
説明
を申上げたいと思います。すでにお
手許
にこの條約の
説明書
を差上げておりますので、御覧頂いておるかと思いますが、全般的に大体の御
説明
を申上げようかと思います。 先ず先般
本條
約を提案いたしました際に、その
提案理由
を
説明
いたしました際に、
大臣
から一応申上げたわけでありますが、先ず全般的にこの條約の何と申しますか、
政府
が
交渉
いたしましたときの基本的な
考え方
を二、三申上げておきたいと思います。そうすれば逐條的に
あと
で御
説明
をする際の、何らかの御
参考
になるかと思うのであります。 第一にこの條約の
交渉
に当りまして基本的な問題として
考え
られましたのは、今般の條約は
サン・フフンシスコ條
約の
原則
に基いてやろうということになりまして、而もその
原則
に基いて二国間の條約を
締結
する。
従つて
その二国間でございますから、二国間に
関係
のある
事項
を
規定
をするというのが
建前
でございまして、
サン・フランシスコ條
約の中には多数の
国家
が入
つて
おりまので、いろいろな
規定
が盛られているわけでありますが、このたびの
中華民国
との間では、
我が国
と
中華民国
との間の直接の
関係
のある
事項
に成るべく限りたいというのが、我々の
交渉
の
一つ
の
考え方
であ
つた
わけであります。ただ
中国
のほうではできるだけ、あの
サン・フフンシスコ條
約のときに招請せられなか
つた
、参加しなか
つた
ということを大変残念に思
つた
らしくて、なるたけ
サン・フランシスコ條
約に近いものを結びたいというのが
中国側
の
希望
であり
考え方
でございます。
従つて中国側
が
最初
に提案しました第一回の
草案
においては、
サン・フランシスコ條
約の全体の二十
七條
あるうちから、どう見ても
我が国
との間に
関係
がないという数
ヵ條
を落しまして、二十二
ヵ條
ぐらいの
草案
をこさえております。我々のほうはこれに対して極く
簡單
な、二国に直接
関係
ある條約を
考え
てお
つたの
でありますが、結局いろいろ
交渉
の結果、
最後
に調印されましたように、十四
ヵ條
にするということに落ちついたわけであります。 それから第二に、
交渉
の際に
考え
られた問題は、
中国
がいろいろな、皆様も御存じのような
経緯
を経まして、現在
中華民国政府
が
台湾
にあるという特別な
状況
、
現実
の
状況
がございますが、
我が国
といたしましては、できるだけ
現実
の
状況
というものに即応した條約を作りたいという重なる紙の上のペーパー・アレインジメントというような條約はできるだけ避けたいという
方針
を持
つて
お
つたの
でありますが、
中国側
のほうでは現在の困難なる
状況
のみではなくして、いろいろまだ将来の発展、従来の
経緯
というものを
考え
たそういうことを取入れた條約にしたいという
希望
が強か
つた
わけであります。
従つて最後
にできました條約は、そういう
双方
の国の
考え
をいろいろ話し
合つて盛つた
わけであります。それからこの條約
交渉
に当りまして、
あと
で各條について又御
説明
を申上げますが、先ほど申上げましたように、
サン・フランシスコ條
約の
方針
、基本的な
考え方
に従うと申しましても、我がほうとしましては、できるだけこれを
相互
的に平等の
立場
で
締結
する條約にしたいというのが、我々の
方針
でございまして、
サン・フランシスコ條
約においては、片務的な
書き方
にな
つて
いるところも、この日
華條
約におきましては、
相互
的、或いは平等の
立場
でこれをきめるという
建前
に大
部分
な
つて
おります。大体以上のような
考え方
が條約全体を通じましての、特に我がほうの
方針
であ
つた
わけであります。 さてこれから條約の案文について大体御
説明
申上げたいと思います。條約の前文につきましては、大体御覧になりますように、
善隣関係
、緊密な
協力
ということと、
戰争状態
の結果生じた諸問題の
解決
という
三つ
の
事柄
を
相互
に考慮しまして、この條約を
締結
することにな
つたの
だということで、この点については特に問題がないかと存じます。 それから全権の
任命権者
の問題につきまして、
日本国政府
ということと、
中華民国大統領
ということにな
つて
おりますが、これは御承知の
通り我が国
においても、
憲法
によ
つて
その
任命権者
がきま
つて
おりまするし、
中国憲法
によりますれば、又
中国
の
憲法
では
大統領
ということにな
つて
おりますので、
日本
の
関係
では
政府
、
中華民国
の
関係
では
大統領
ということに
なつ
たわけであります。 第
一條
に移りますが、第
一條
もこれは
戰争状態
を終了するという
規定
でございます。特にこの
関係
で御
説明
を附加いたしますれば、
中華民国
が
我が国
に対して
宣戰
を布告いたしましたのは、一九四一年十二月九日ということでこざりいまして、この布告せられた
戰争状態
を、この條約の成立によ
つて
終了せしめるという
趣旨
の
規定
でございます。 第
二條
は、これは
サン・フランシスコ條
約の
二條
に
規定
せられたもののうち、
中華民国
に
関係
の深い
條項
が記載せられておるわけであります。
従つて
ここにも
はつ
きり
サン
、
フランシスコ條
約の「第
二條
に基き」ということを書きまして
台湾
、
澎湖島
、
新南群島
、
西沙群島
というものに対する
権利
、
権原
、
請求権
を放棄したという事実をここにそういうことが
サン・フランシスコ條
約に
規定
せられておる、そうな
つて
おるという事実をここに書いたもけであります。 第三條は、これは
台湾並び
に
澎湖島
に関する
財産
と、
請求権
の
関係
をどう取扱うかという
規定
でございまして、結局
我が国
と、
中華民国政府
との間の特別取極めの主題として、今後
交渉
をしてこれをきめるという
趣旨
の
規定
でございます。 その次の第四條は、
中華民国
が、
我が国
に対して宣戦を布告いたしまする前に、
日本
と
中国
との間で
締結
せられましたすべての條約、
協約
、
協定
は戦争の結果として無効と
なつ
たという事実をここに記載したわけであります。ここに申しまする
中国
というのは、これは
中華民国
のみならずそれ以前の清国との
関係
の條約、
協定
、
協約等
を含むという
趣旨
でございます。 次の第五條は、これ又
サン・フランシスコ條
約に
規定
せられておりまする事実をここに書いたわけでありまして、
中国
に
関係
した特殊の
権利
、
権原
、
利益
を放棄しておるという事実をここに記載して、すでに
サン・フランシスコ條
約できま
つて
いることをここに又載せたわけであります。 次の第六條は、
二つ
の
部分
に分かれておりますが、第一項の点で
両国
が
相互
の
関係
において
国際連合憲章
第
二條
の
原則
を指針とすることを
約束
した。それから次の第二項は、
国際連合憲章
の
原則
に
従つて
協力
するということであるが、特に経済の分野において
協力
をするという
趣旨
のものであります。 それから第
七條
、第
八條
、第九條、この三
ヵ條
におきましては、将来この
関係
の條約或いは
協定
を
締結
することに
努力
をするという
條文
にな
つて
おります。第
七條
は、
通商関係
の條約或いは
協定
を速かに
締結
するように
努力
をしよう、これは
双方
がそういうふうに合意するということであります。 それから
八條
は、
民間航空
について更に
協定
を速かに
締結
するように
努力
しよう。 それから第九條は、漁業の
関係
について條約或いは
協定
を速かに
締結
することに
努力
しよう。この三箇條とも今後の
努力
をしようということをお互いに約したわけであります。 第十條は、これは
台湾並び
に
澎湖島
の
住民
或いはそこに前
住民
であ
つた人
が
日本
に来たり或いはほかの国に行
つて
いる場合もございますが、その
人たち
の主として
便宜
のために設けられた
條文
でございまして、
便宜
と申しますと、例えば現在の法律上の
建前
では
台湾並び
に
澎湖島
というものの最終的な
領土帰属
が
はつ
きりしておらないわけでありまして、而も
台湾並び
に
澎湖島
は
サン・フランシスコ條
約が発効いたしますと、
我が国
から離れてしまう、離れてしまうについて、而も従来
台湾籍民
と言われてお
つた人たち
が
日本
の
国籍
を失う、而も
失つたあと
その
国籍
が
はつ
きりしないままであ
つて
は甚だ不便でありまして、旅行するとき等にどこの旅券を持
つて
来れば
我が国
に入るときに認めるというような問題を生じますので、この十條においては
台湾並び
に
澎湖島
の
住民
或いは以前にそこの
住民
であ
つた者
或いはその子孫というものは
中華民国
の
国籍
を有するものとみなす。
中華民国
の
国民
に含まれているものとみなす、みなすという
規定
であります。 それから
ちよ
つと十
一條
を飛ばしまして十
二條
、十
一條
は
あと
で申しますが、十
二條
は、これは若しもこの條約の
解決
の際に紛争が生じたような場合には、
平和的手段
によ
つて
解決
しようということであり、十三條は批准の
関係
。十四條はどういう言葉を使うかという
條文
であります。 それで今まで御
説明
申上げました各條は大体まあ
中華民国
と
我が国
との間に直接こういう
規定
を設けておくべきだとか、設けておいたほうが便利であるとかいう
規定
でございますが、十
一條
はこれと多少趣きを異にいたしまして「この條約及びこれを補足する
文書
に別段の定がある場合を除く外、
日本国
と
中華民国
との間に
戰争状態
の
存在
の結果として生じた問題は、
サン・フランシスコ條
約の
相当規定
に
従つて
解決
するものとする。」という
規定
でございます。この條約文或いは
議定書
、
交換公文
その他の
附属文書
で定めた別段の定があるものはそれに全部よる、このほかに現在
考え
て見て直接
関係
はないと思われる或いは
関係
があ
つて
も、もうときたま何かそういうケースもあり得るというようなものも
考え
得るので、そういう
事柄
が起
つた
際にはそれを処理するのは
サン・フランシスコ條
約の
相当規定
によ
つて
これを処理しようということであります。
従つて
この十
一條
とほかの
條文
と大体ひつくるめて
中国側
の
希望
のように大体
サン・フランシスコ條
約にほぼ近いものにしたいという
希望
に近付いたわけでありまして、かかる
規定
を置くことに
なつ
たわけであります。 大体それで
簡單
でございますけれども、この條約の
本文
のほうの御
説明
に代えたいと存じます。 次は、
議定書
でございますが、
議定書
は
二つ
の
部分
からな
つて
おります。第一は、今御
説明
申上げました十
一條
について更に次のような
了解
をするということが
三つ
書いてございます。それから第三の
部分
が
通商関係
でございます。 第一の第十
一條
の
適用
についての
了解
というものの第一点は、
サン・フランシスコ條
約
相当規定
によ
つて
解決
するということにな
つて
おりますが、十
一條
はそういう
建前
にな
つて
おりますが、その
サン・フランシスコ條
約にいろいろ
期間
が出て来る場合がございます。その
期間
が出て来る場合にはその
期間
の始まるときでありますが、その始まるときにおける
了解事項
でございます。その
期間
は
中華民国
の
領域
のいずれの
部分
に関してもこの條約がこれらの
部分
に対して
適用
可能と
なつ
たときから直ちに開始する。まだ
適用
可能でない地域があるという
建前
であります。 それから第二項の点は、
サン・フランシスコ條
約第十四條の
賠償
に関する
賠償條項
が何にも書いてないと、第十
一條
の
規定
によ
つて
将来
適用
されることになるわけでありますが、その
適用
の問題につきまして「第十四條(a)1に基き
日本国
が提供すべき
役務
の
利益
を自発的に放棄する。」ということを書いたわけであります。つまり
サン・フランシスコ條
約第十四條には(a)
あと
(b)
二つ
ございますが、その(a)の1のところにいわゆる
役務賠償
のことが書いてございます。その
役務賠償
というものは、
中華民国
は
日本国民
に対する寛厚と善意の表徴としてこれを自発的に放棄するということをここに書いたわけであります。
従つて
ここにこういう
規定
がございますと、十四條の
適用
ということが起きましても、十四條の
適用
から
サン・フランシスコ條
約の……、
ちよ
つと間違えました、こういうふうな
規定
がございますと、この條約の第十
一條
の
規定適用
ということで、
サン・フランシスコ條
約の第十四條が引かれるような状態が生じましても、
役務賠償
ということは起らないということをここに明確にしたわけであります。 第三項の点は、
サン・フランシスコ條
約の十
一條
、これは
戰犯関係
の
條項
でございますが、この
戰犯関係
とそれから十
八條
、これは戰前の
債権債務
の問題でありますが、その
二つ
の
サン・フランシスコ條
約の
條項
は、
日華両国
の
関係
においては実施しない。つまり條約の第十
一條
の実施から除外するということを明らかにしたわけであります。 次に
通商
、
航海
のところに移りますが、先ほども御
説明
申上げましたように
通商
、
航海
につきましては、この日
華條
約の第
七條
で将来速かに本格的な條約を
締結
するということにな
つて
おりますが、差当
つて
の
両国
間の
協定
を設けようということになりまして而もそれはこの
部分
に明らかに、末項に明らかにな
つて
おりますように、一年間を
限つて通商関係
についての
規定
を置いたわけであります。これは
従つて
暫定的な
規定
である、而もこの
規定
の中には
サン・フフンシスコ條
約の
建前
では、
国民
、
産品
及び
船舶
というものについて
最恵国待遇
というものと、或いは場合によ
つて
は内
国民待遇
ということを
規定
しておるのでありますが、この際
日華
間り條約、而もそれか一年間の暫定的な取極においては内
国民待遇
という問題を外しまして、
最恵国待遇
ということだけについてここに
規定
を設けたわけであります。これくらいで
差当り
や
つて
お
つて
、間もなく本格的なものに移りたいという
考え
から、この程度の
規定
に
なつ
たわけであります。その中で(a)の(1)は大体ここに書いてあるところで明瞭だと思います。
貨物
の輸出入に対して、又はこれに関連する関税、課金、制限その他の規制に関して
最恵国待遇
を與えることを
相互
に
約束
をする。 それから(a)あの(11)のほうは海運、
航海
及び
輸入貨物
に関する
最恵国待遇
の
関係
を
規定
しておるわけであります。 それから(b)の点につきましては、
最恵国待遇
を與えるということを
約束
をしたわけでありますが、
最恵国待遇
を與える結果、内
国民待遇
を結局許與することになり、その内
国民待遇
を許與する結果を生ずる際に、いずれの国よりも、他の国よりも余計多く
待遇
を與える、許與するという結果にならんように
相互
に大体平等な
関係
、内
国民待遇
を許與するようにしようというのがこの(b)の
規定
でございます。 それから(c)の
規定
は、これも別に大して
説明
を要しないと思いますが、
政府
の
商企業
の国外における売買は、
商業的考慮
だけでやる、ほかの政治的な
考慮等
によ
つて
操作しようという
規定
であります。 それから(d)はこの取極の
適用
に当
つて
の
船舶
の籍はどう
考え
るか、又
産品
はどういうふうに
考え
るかという
規定
でございます。 それから(d)の(11)の点は
差別
、その
差別待遇
を絶対しない
建前
にな
つて
おるのが普通の條約の
建前
でありますが、特にこのような場合、例えば
内水航行
だとか、
沿岸貿易
だとか、或いは為替の安定のために国がとる措置というようなことについては、
差別待遇
をとり得るということを明らかにしたわけであります。
議定書
はそれくらいにいたしまして次に
交換公文
に移りたいと思います。
交換公文
は
三つ
ございまして、第一号、第二号、何も何号という号がついておりませんが、もう
一つ
第三番目に
交換公文
がございます。 第一号の
交換公文
は、これは多少この條約に特有と申しますか、特別なものかと思います。
最初
に御
説明
申上げましたように
日本政府
の
建前
といたしましてはこの條約はできるだけ
現実
の事態に即するようにしたいという
方針
でございまして、その
趣旨
から、この條約が
適用
せられる
範囲
と申しますか、
適用
せられる
関係
について
双方
の
了解
をしておきたいというのがこの第一号の
交換公文
の
趣旨
でございます。即ち「この條約の
條項
が、
中華民国
に関しては、
中華民国政府
の
支配下
に現にあり、又は今後入るすべての
領域
に
適用
がある」ということについて
双方
の
政府
が
了解
をするという
趣旨
の
交換公文
であります。 それから第二号の
交換公文
は、これは
民間航空
の
関係
でございますが、これについて、
民間航空
についても先ほど御
説明
を申上げましたように條約文の第
八條
の中で将来速かに本格的な
航空関係
の
協定
をするということを
約束
をしておりますが、その
協定
蚕
締結
されるまでの間は、
サン・フランシスコ條
約の
関係規定
が
適用
される。この点は
中国側方
現在持
つて
おります
航空関係
の乗入れ等の権益を
差当り
認めるという
趣旨
の書簡であります。 それから三番日の
交換公文
は、これは従来
我が国
の漁船がマッカーサー・ラインを突破したとか、それに触れたということで
中華民国政府
で抑留をしました船が二十九隻ほどございましたが、その二十九隻の処分の問題は、戰争中に起きた
請求権
の問題とは切離して、それとは別途に
両国
で
交渉
をして
解決
をしようということになりまして、その
趣旨
でここに
交換公文
を取交したわけであります。
従つて
この二十九隻の拿捕されている船については、今後
交渉
をして
解決
をするということになるわけであります。 御
参考
までに更に同意された
議事録
というものがお
手許
に配付されておりますが、これは以上申述べました條約の
本文
、
議定書
或いは
交換公文
いずれの中においても触れなか
つた
、触れた問題もありますが、更にこの
議事録
の中において
双方
の国の
了解
を
はつ
きりしておこうじやないかという問題が四つございましたので、それで特に同意された
議事録
というものを作
つた
わけであります。
議事録
の第一は、先ほど御
説明
申上げました
交換公文
第一のこの條約の
適用範囲
の
書き方
のところに
中華民国政府
の
支配下
に現にあり、又今後入るすべての
領域
にこの條約の
條項
の
適用
があると書いてございますが、その「現にあり、又は今後入るすべての
領域
」という表現の「又は」という問題について、
中国側
がこういう
解釈
をしたいという
希望
がありましたので、その
通り
御
解釈
にな
つて異存
がないということを
はつ
きりしたわけであります。 それからこの
議事録
の第二点は、これも
中華民国代表
がその
了解
した、自分が
了解
をするところと
日本
の
了解
するところと
同一
であるかどうかという
質問
をしたのに対して、
同一
であると
言つたの
でありますが、その
事柄
はそこに書いてあります
通り
、従来満
洲国
とか
江精衛政権等
が
日本
に持
つて
お
つた財産
、
権利
又
利益
というものについて、
サン・フランシスコ條
約か或いはこの日
華條
約の
規定
に
従つて双方
が同意した際に処理をするというふうに
考え
るがどうかということで、その
通り
であるという返事をしたのであります。 第三の点は、これは
ちよ
つとこみ入
つて
おりますが、先ほど
ちよ
つと御
説明
申上げましたように、この日
華條
約の第十
一條
というところによ
つて
、
サン・フランシスコ條
約の第十四條というものが
適用
される
関係
が生ずる。その
適用
される
関係
の中で、
役務賠償
というものは積極的に捨てるということを書いてありますが、今度はもう
一つ
十四條の(a)の2のところに、
在外
の資産はこれを
関係国
が取るということにな
つて
おる。併しその中で
外交機関関係
の
財産
はこれは取らないで免除するという
書き方
にな
つて
おります。ところがこの
中華民国
の
関係
につきましては、その
外交関係
の
財産
にいたしても、
中華民国
の同意なしに設置された
外交
上又は領事上の
機関
の
財産
というものは、これは免除しないというふにしたい。多少持
つて
廻つた言い方
でありますが、それは取上げるというふうな
了解
にしたい、その
通り
であるか、
日本側
はその
通り
であるとこれに同意したわけであります。 それから
議事録最後
の点は、これも今引用しました
サン・フランシスコ條
約第十四條の
解釈
についてでありますが、多少疑義もないではないということもありましたので、
双方
の間で
はつ
きりしておこうということになりまして、第十四條の
賠償
に関する
規定
の(a)というところでは、
役務賠償
とそれから
在外財産
の問題と
二つ
あるので、それで
中華民国
は
役務賠償
を放棄したということであるから、十四條というものの
適用
で残るのは
在外
、
中国
にある
財産
だけであるという
了解
でありますが、そういうふうに
了解
してよろしいかというので、
我が国
のほうからその
了解
について念を押しまして、
中国
のほうでそうであるというふうに合意したわけであります。 以上で條約の
本文
と、それから
議定書
、
交換公文
、更に
参考
として今御
説明
申上げました
議事録
が結ばれてこれで
本條
約の
関係文書
は全部であります。一応御
説明
申上げます。
—————————————
有馬英二
3
○
委員長
(
有馬英二
君) それでは次に
国際連合
への
加盟
について
承認
を求めるの件を
議題
といたします。前回に引続いて質疑を行います。
兼岩傳一
4
○兼
岩傳
一君
ちよ
つと
速記
をとめて
懇談会
の形態でお願いしたいのですが……。
有馬英二
5
○
委員長
(
有馬英二
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
有馬英二
6
○
委員長
(
有馬英二
君)
速記
を始めて。
大山郁夫
7
○
大山郁夫
君 それではどこから始めていいかわからんけれども、やはりその
国連憲章
の第
七條
ですね、それに関することはかなり
日本
の
立場
から重大な
関係
があるのじやないか。殊に
国連加入
の可否を決定する上において非常に重大な
関係
があるのじやないかというふうに
考え
られるので、私はまだ
條文
をすつかり精読していないので、とんちんかんの
質問
をするのではないかということを多少恐れるのですが、併しこの第
一條
の平和に対する
脅威
、
平和破壊
及び
侵略行為
に関する
行動
、あそこで
安全保障理事会
が平和に対する
脅威
とか、平和の
破壊
又は
侵略行為
の
存在
を次定する、こういうふうにな
つて
それからいよいよどこかの国が
侵略
するというふうな決定をしたときには、或る場合には
軍事行動
をとる、決定する、
軍事行動
をとるということを決定するということが
あと
から出て来るというふうに思
つて
いますが、
軍事行動
をとるということを決定するというと、各国に、
加盟国
にいろいろ要求をするということにな
つて
来るので、又この兵力とか、それから何とか便益とか、そのほかのものを提供せしめるというような非常に重大な結果を含むようなことにな
つて
来るので、それで
侵略
というのは一体どういうふうに
考え
ておるのか。
国際
間に
侵略
に対する
定義
が
考え
られておるか、又
日本
の
政府
はどういうふうに
考え
ておられるかということ、その
侵略
の
定義
を尋ねてみたい。というのは、この一昨年の、
国連
の
安全保障理事会
においてソ連の
代表
のマリクが、たしか、あの
朝鮮
の問題はこれは内乱の問題で
国際
間の問題じやない、
一つ
の国に
二つ
のセクションがあ
つて
南北相
争つて
おるので、つまり
民族統一
ということを中心にして
争つて
お
つたの
だが、併しこの
侵略
という二とは
国際
間の問題で
一つ
の
国家
が他の
国家
に襲撃を加える、そういうときに
侵略
の問題が生ずる、即ち
一つ
の
国家
が他の
国家
を襲うということは
侵略
であります。併し
朝鮮
の場合にはそういうことがないというような
説明
をしてお
つたの
で、この
説明
はかなり私に受入れらるように思うし、又
国際
間に受入れられているということをマリクが言
つた
と思うのです。一九三三年の
国際
連盟においてソ逋が
説明
をして、大体実質的にその
説明
を受入れられたというような、こういう演説をしてお
つた
ように思うのです。私は病中に読んだので読み違いしているかも知れないけれども、だけれどもマリクは確かにそういう
説明
をしてお
つたの
です。その
説明
は非常に尤もらしいと思う。それで
国際連合
が、
安全保障理事会
が
侵略
があると決定するときには、その結果が非常に重大だから、
従つて
その
国際連合
において
侵略
というものにどういう
定義
がとられておるか、どういうふうに
考え
られておるか、又
日本
の
政府
がどういう
定義
を受入れられておるかということが、これが大変重大な問題とな
つて
来ると思うので、先ずその点から
政府
の意見をお伺いしたのであります。どういう
定義
をと
つて
おるか、
立場
をと
つて
おるかということさえ、それを伺えば私の意思は達せられると思うのです。
石原幹市郎
8
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 只今のお尋ねでありまするが、この
侵略
ということの
定義
というようなものは、これは別にないかと思うのでありますが、ただその事態が起りました際の各般の情勢を総合判断いたしまして、その都度
安全保障理事会
といいまするか、この
国連
の組織において判断を下している、こういうことになるのではないかと思うのでありまして、なお若干技術的のことにもなりますので、そのほうの專門の須山
説明員
から補足させることにいたします。
大山郁夫
9
○
大山郁夫
君 これを聞かないと、これは非常に重大なことじやないか、根本的に重大な問題じやないかと思うのです。この
説明
を是非聞きたいと思うのです。
須山達夫
10
○
説明員
(須山達夫君)
侵略
の
定義
につきましては、只今御
質問
の中でお述べになりましたように、非常に議論が多い問題であります。で、
国際連合
といたしましては、この非常にむずかしい問題を、只今までのところどの
機関
においても
解決
済みまでには行
つて
おりません。それでありますから、先ほど政務次官から述べられましたように、
安全保障理事会
が、現に或る行為を目指して、どれが
侵略行為
であるかということをみずから決定するわけで、その場合の準則というものはできていないわけでございます。
大山郁夫
11
○
大山郁夫
君 それじや同じような事態があ
つて
も、つまり
安全保障理事会
の頭次第で、それが
侵略
に
なつ
たり、
侵略
にならなか
つた
りするような場合も
考え
られるのですか。そのときの風次第で或る行為が
侵略
に
なつ
たり、
侵略
にならなか
つた
りするというような御
説明
のようにも思うのでありますが、そういうあやふやなものでしようか。
須山達夫
12
○
説明員
(須山達夫君) 平和に対する
脅威
にいたしましても、平和の
破壊
にいたしましても、
侵略行為
ということにいたしましても、
安全保障理事会
の決定がそういうふうになれば、そういうふうになるのでありまして、
安全保障理事会
には御承知の
通り
五大国一致の
原則
がありまして、それが手続の問題以外の場合には
適用
があるわけでありまして、一国でも、五大国のうちの
一つ
が、これは平和に対する
脅威
でない、或いは平和の
破壊
でない、又は
侵略行為
の
存在
がないと認める場合には、そういう決議は成立しないというのが普通の場合のことであります。
大山郁夫
13
○
大山郁夫
君 認める………。
須山達夫
14
○
説明員
(須山達夫君) いや認められないわけであります。
一つ
の、五大国のうちの
一つ
がそう見ない場合には、そう見られないということになるわけでございます。
大山郁夫
15
○
大山郁夫
君 そうすると、
ちよ
つとこの
安全保障理事会
で多分六月の二十五日か、八日か、デートを忘れましたが、ああいう決議をするときには、勿論その五大国のうちの
中国
からの
代表
は出なか
つた
。勿論
国民
政府
の
代表
はお
つた
けれども、併し
国民
政府
だけで、たしか
中国
の
政府
というものは出ていないと思うのでありますが、勿論
中国
は
国際連合
に列席いたしていなか
つた
からかも知れないけれども、その原因から、ソ連側の
代表
があのときいなか
つた
と思うのでありますが、つまり五大国のうち二大国が抜けている、それで決議して、それで
侵略
だというレッテルが貼られたように私は記憶しているのですが、あの場合には五大国が揃
つて
意見が合致しなければ、その決議は成り立たないというのだが、あの場合には成立ち得るということを認めるわけなんでしようか。その点を
はつ
きりと
一つ
……。
石原幹市郎
16
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) これは
中国側
としましては、例の
国民
政府
代表
がこの会議にたしか出てお
つた
わけでございまして、それからああいう事態の処理は緊急に判断をいたしまして対処しなきやならない、こういうことでたしか、まあソ連はいなか
つた
ようでありまするが、緊急事態として開会をして決定して行
つた
ものと
考え
るのであります。
大山郁夫
17
○
大山郁夫
君 緊急事態にそういうことができるという
條文
の基礎はどこにあるのでしようか。
国連
にそれはないと思うのです。勿論私は
国連憲章
を実は皆読んでしま
つて
おるわけではないから、或いは私の思い過ごしかも知れませんが……。
石原幹市郎
18
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) ああいう事態が起りました際に、これに対する措置というものは遷延、ぐずぐずしてお
つて
は、これは効果が挙らないということから、急速にそれに対する対処策を講じなければならんわけでございますから、そのときたしかソ連のほうは出席がなか
つた
わけであります。ないけれども、飽くまで待つというわけにも行かないということで、急速に決定し、ああいう措置が始められたのである、かように私は
考え
ております。
大山郁夫
19
○
大山郁夫
君 それは確かにそういうふうに
了解
しておりますが、併しその
條文
の基礎がどこにあるかということなのです。 それから又ソ連が出席しなか
つた
というのは、
中国
の
政府
が、
中国
の人民が認めた
政府
がそこへおらないから、すべてのことは無効だと、こういう理由でソ連が出席していなか
つたの
で、ただ勝手に出席していなか
つたの
とわけが違うのでありますが、そういう場合にも、いなか
つた
けれども、緊急事態と認めて、或る決議……その決議が有効になるというような、そういうようなことの
條文
の基礎がどこにあるのか、これを聞きたいのです。確かに五大国の意見が一致するということは、やはり
国連
の憲章を決定するに非常に重大な
條項
と見られたのです。それでソ連のほうからも主張したが、併しソ連のほうが主張しただけではなく、アメリカでもたしかソ連に主張したと思うのでありまして、アメリカはその
條文
が入らなか
つた
ら
国際連合
に
加盟
しない。アメリカの声明というものはそれを條件として、そうして
国連憲章
を認めるというふうにな
つて
、ヤルタの会議においても、かなりルーズベルトとスターリンなんかの両者が主張してお
つた
と私は
了解
をしておるのです。五ヵ国の意見が一致してはじめてその決議が有効になるということは……。だから非常に決議が重大なんだが、それほど重大とな
つて
おる決議というものを覆すほどの根拠がどこにあるかということ、その問題が聞きたいのです。
石原幹市郎
20
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) いずれにしても当時の
安全保障理事会
に、ソ連側の出席がなか
つたの
であります。出席がなか
つた
という、任意に出席がなか
つた
という結果に基いて
理事
会が開かれ、ああいう措置が行われた、こういうことにな
つて
おります。
大山郁夫
21
○
大山郁夫
君 任意に出席がなか
つた
と解することは、私としてはできないのではないかと思うのです。ソ連にも相当の理由があ
つたの
で、それに対する糾明も何もしていなか
つた
ように思う。 それからもう
一つ
。勿論まあ速いことになりますが、たしかあのときは南鮮、或いは韓国、韓国のほうの
代表
者が呼ばれて自分たちの
立場
をステートメントした。それがあ
つた
と思いますが、北鮮のほうではすつかり
委員
会として
委員
を任命してそうしていつでもできるように用意してお
つて
、自分たちの言うことも聞いてくれというふうに言
つて
いたが、そのほうのことを
国連
のほうで聞かなか
つた
という、安保
理事
会のほうで聞かなか
つた
というように私は記憶しておるのでありますが、かなりあのときは非常に片手落ちな、お粗末千万な審議をして、決議をしたように
考え
ておりますが、併し又そういうようなことは非常に各人の判断の問題になるから、そういう点を議論していたらきりがないと思うのでありますが、ただその
條文
があるかないか。
條文
の基礎があるかないかということはすぐ確められることなので、その
條文
の基礎があるかないか、それは一言にしてお答えができると思うのであります。それを聞きたいのです。ただその場合に、そういうように
考え
たからそういうことにしてしま
つて
、そうして決議したというだけでは、少し
説明
が足りないのじやないか。
條文
の基礎がどこにもあるか、これを聞きたい。
須山達夫
22
○
説明員
(須山達夫君) これは当時の議事記録は何ら秘密にな
つて
おるわけではないのでありまして、世界のどの人もやろうと思えば、
国連
の本部なり何なりに行きまして
議事録
を見ることができるのであります。その
議事録
を我々も調べて見ておるわけでありますけれども、先ず第一に、五大国の
一つ
が欠けてお
つた
からその場合には決定ができないのではないか、欠けてお
つて
もできるという
條文
を出せという御
質問
でありますが、これに対しましては、そのような議論をせずに直ちに
理事
会は決定をしたということを我々は知
つて
おるだけでありまして、それ以上の、そのときの決定が合法であ
つた
かなか
つた
かという議論は、後の
理事
会においてソ連
代表
がその合法性を争
つた
ときに問題と
なつ
たわけであります。そうしていろいろ議論はなされまして、それも又皆新聞等で周知の事実でありますけれども、結局におきましてはこの時期における
安全保障理事会
の
行動
を報告して総会に出さなければならない、これは又憲章の
規定
に基くものでありますけれども、その報告を採択いたします
安全保障理事会
は、これは秘密会でありましたが、結局
あと
の公表によりますと、この場合にはソ連
代表
もおりましたけれども、拒否権を用いずにそのままその報告は総会に……、ソ連はその場合には棄権をいたしまして、その報告はそのまま総会に提出されております。
大山郁夫
23
○
大山郁夫
君 それでソ連の
代表
のマリクがあの点を争
つた
ことは勿論私も知
つて
おります。だが丁度あのときは私は死にそうな病気で、新聞も読んだり読まなか
つた
りして、
あと
のことは知らないのですが、併し争
つた
ときに対してソ連以外の国から殊にアメリカ、イギリス、フランスのほうから何かそれに対する反対論を言
つた
に違いないと思うのでありますが、或いは言わなか
つたの
か、言
つた
とすればどういうことを
言つたの
か、その点を伺いたいのです。それさえ伺えば大体この問題は
解決
が付くのじやないか。勿論この
侵略
に対しては
国際
連盟時代においてもかなり論ぜられたので、きま
つた
意見がないうちに、或いは幾らかあるように記憶しております。過去の漠然たる記憶だから、
はつ
きりと言うことはできませんが、相当に
国際
連盟においてもアグレツシヨンということに対するいろいろな論争があ
つた
と思う。それから又一ヵ国が欠けていたときに決議をして無効だというようなことはこれはもう
国連
のあの手続法のうちにかなり大切な問題にな
つて
おるのじやないか。いわゆるサブスタンティヴ・マターとプロシデュラル・マターという
二つ
あ
つて
、サブスタンテイヴ・マターのほうは必ず五大国が出席して行わなければならない。プロシデュラル・マターのほうは欠けていてもかまわないというように当時問題が論争せられてお
つた
ように、もう三年か五年かの前のことでありますが、甚だ記憶が漠然としておりますけれども、そういうことがあ
つた
と思うのでありますが、この
侵略
という問題は、勿論誰が聞いても、いわゆるプロシデユラル・マターのほうでなくて、サプスタンテイブ・マターのほうに限
つて
おるので、そうしてわざわざそのためにそういう
規定
があ
つたの
だから、それを無視するについてはよほどの根拠がなければならないので、マリクの争
つたの
は私は尤もだと、こういうふうに読んでおりました。併しそれに対して何か反対論が出たのに違いないので、あのときは新聞を読んだり読まなか
つた
りしていたので、私はよく知らないので、それでお尋ねするので、どういう反対論が、それを覆えすほどの反対論はどういう基礎の上になされたかということをお尋ねしたいと思うのであります。
須山達夫
24
○
説明員
(須山達夫君) それではその点を私のほうも記憶によ
つて
お答えいたすわけでありますが、大体私の感じでは、
二つ
の大きな議論がなされておるように思いました。その
一つ
は、手続
事項
でない
事項
いわゆる実質的な
事項
について五大国の
一つ
が棄権をしながらその決定が成立している例がそれまでにたくさん相当にあ
つた
。表決の二十
七條
を読みますと、「常任
理事
国の同意投票を含む七
理事
国の賛成投票」がなければならんわけでありますけれども、すでに棄権の場合にもそういうような決定が成立する例ができておる。だから出て来ない場合にもそれと同じように
考え
られるという議論が
一つ
であります。 それからもう
一つ
は、憲章の二十
八條
に、
安全保障理事会
は継続して任務を行うことができるように組織するとあります。「継続して任務を行いうるように組織する。」、「シヤル・ビー・ソウ・オーガナイズド・アズ・ツー・ビー・エイブル・ツー・ファンクション・コンテイニュアスリイ」という言葉が使
つて
あります。組織していなければならないという意味が含まれておるわけでありますが、で「このために、
安全保障理事会
の各
理事
国は、この機構の所在地に常に
代表
者を置かなければならない。」、こういうふうに
規定
してありまして、
安全保障理事会
というのはこのように重要な役割を負
つて
いるのであるから、その
理事
国が必ず出て来れるようにな
つて
おらなければいけないということは、この二十
八條
で
規定
してある。それにもかかわらず出て来なか
つた
というのは、出て来なか
つた人
がどうも工合が悪いのだというふうな駁論がなされておるというふうに私は記憶しております。
大山郁夫
25
○
大山郁夫
君 それで記憶から勿論言
つて
下さ
つて
非常に有意義だ
つた
と思うのでありますが、併しただ記憶というのでなしに、この点は
はつ
きりして頂きたい。
侵略
ということは非常に重大な意味を帶びておると思います。殊に
ちよ
つと常識から言
つて
、
侵略
ということは
一つ
の
国家
と他の
国家
との間に行われることじやないかと思うのでありますが、同じ国の中において
二つ
のセクションが
争つて
おるということに
侵略
の問題が起るかということが
一つ
、それからもう
一つ
は、先に手出しをしたほうが
侵略
だというようなことが言われる。それで北鮮のほうが先に手出したというのでありますが、又北鮮側の
説明
を聞いたりなんかしてみると、そうではなくて、あの李承晩の下において
一つ
の軍隊ができた。アメリカが訓練して、非常に強い軍隊で、もう鎧袖一触で北鮮が参
つて
しまうというような
考え
で李承晩があの三十八度線をぐつと一齊に一面に越して、そうして先に手出ししたのであ
つて
、それに対して抵抗して、あれが戰乱のもとだというのが、これは北鮮の
立場
だと思うのであります。北鮮がそういうような主張をしてお
つた
ように私は記憶しております。そうすると、やはり両方の意見が違
つて
おるというと、東洋人の
考え
では片言訴えを聞かずというようなことが滲みわた
つて
おるので、私たちはやはりあのときに北鮮の
代表
者も呼んで、両方の場合からケースを成立さしてそうして
最後
に判断を下すのが、これは当然だと思うのでありますが、それをやらないで、片方だけの言うことを聞いてそうしてすつかり問題の答えをきめてしま
つた
というのは、かなり手続に大きな欠陷がある。常識から
考え
て、殆んど我々の理解を超越したようなやり方だというふうに
考え
るのでありますが、その点に対して
政府
はどういうふうにお
考え
でしようか。
須山達夫
26
○
説明員
(須山達夫君) 只今の点につましては、少し事実の御記憶が違
つて
おる点もあるかと存じます。それは北鮮のほうが李承晩のほうから先に手を出して来たのだということを申したかも知れませんけれども、
国連
のほうの
安全保障理事会
の決定は、先ず六月二十五日に行われたのでありますけれども、その日の決定は、この三十九條に基く
侵略
というものをまだ決定したわけではないのでありまして、その日には速やかに
軍事行動
を終止することを要求したわけであります。その次にはこれはどちらに対してということは言
つて
はおりません。
ちよ
つと失礼しました。先ず第一にその日におきましては平和の
破壊
であるということは先ず第一に決定いたしております。そうしてその次に
軍事行動
を直ちに停止すること、それから北鮮に対しては直ちにその軍隊を三十八度線以内に引込めるようにということを要求いたしております。そうしてその決議の
あと
で、以前から
国連
総会の決議によ
つて
できておりまして
朝鮮
に派遣されておりました
朝鮮
委員
会、これは
加盟国
の
代表
からできておる
委員
会でありますが、その
委員
会は
朝鮮
においていろいろな
国際連合
から任された任務を持
つて
おりましたが、その中に監視して報告する任務があ
つた
わけであります。その
朝鮮
委員
会からの報告が来たので、六月二十七日の
理事
会は、その報告に基いて決議をいたしまして、その決議の中で、南鮮を助けて武力攻撃を撃退するために必要な援助を與えるようにということを
国連
加盟国
に勧告したわけでありまして、
最初
の決議の場合には南鮮の
説明
は開いておらなか
つた
と記憶いたします。で二十五日はそうじやなくて、二十七日は、最も決定の主たる動機にな
つたの
は、北鮮が二十五日の決議の要求に
従つて
軍事行動
をやめなか
つた
ということと、そのようなことが
朝鮮
委員
会から、自分の
国連
の
機関
である
朝鮮
委員
会から報告があ
つた
ということを基礎にいたしておるというふうに
了解
いたしております。
大山郁夫
27
○
大山郁夫
君 それでつまりあの
国連
の
委員
会といいますか、あのコミッションは、あれはどういうふうな構成だ
つた
か、かなり不公平なものであ
つた
ように私は記憶しておるのでありますが、その構成はどういうものであ
つて
、又その
国連
の
委員
会というのがどういうようなソースからいろいろなインフオーメーシヨンを得たかということですね、そういうこともいろいろこの問題を
解決
するに重大なデーターじやないかと思う。そういう点について
ちよ
つと
はつ
きりさせた御答弁を願いたいと思うのですね。これはもう議論じやなくて、事実なんですから……。
須山達夫
28
○
説明員
(須山達夫君) そのときの
朝鮮
委員
会のメンバーにつきましては、
手許
にどの国がお
つた
かということは資料がございませんので、只今すぐというわけには参りません。
大山郁夫
29
○
大山郁夫
君 この次のときにでも
ちよ
つと伺いたいと思います。 それからまだ
ちよ
つと私
質問
を整理していないんだが、それで
国連
がいよいよ或る国が
侵略
者だというふうに決定した場合に、
加盟国
に対していろいろな要求をする。これは第四十三條じやなか
つた
かと思いますが、
国際
平和及び安全の維持に貢献せんがため、
国連
のすべての
加盟国
は、
安全保障理事会
の要求に基き、且つ特別
協定
に
従つて
、
国際
平和及び安全の維持のため必要な武装軍隊、援助及び通過権を含む便益を利用させることは
約束
する。こういうふうに、
安全保障理事会
のほうから要求があ
つた
場合に、特別の
協定
に
従つて
、要求せられるままに武装軍隊だとか、援助及び通過権を含む便益を利用させることを
約束
する、こういうふうにな
つて
おるのでありますが、これは、
国連
は全部一遍に要求する場合もあれば、又このうちの
一つ
ずつ、即ち或る場合においては武装軍隊、或る場合においては武装軍隊は要求しないけれども、そのほかの援助とかそれから便益とかいうふうに
一つ
一つ
のものを分けて、そうして全部一遍に要求するのじやなくて或る場合においては
一つ
だけ、或る場合においては全部というように、そういうふうな取極めにな
つて
いるのでしようか。
一つ
ずつ分けて
考え
ることができるか、みんな
一つ
の総括的に
考え
なければならんのか。私の言うこと意味わかりましたかどうか知らないが……。
石原幹市郎
30
○
政府委員
(
石原幹市郎
君)
国連憲章
四十三條の特別
協定
というのは、これは実はまだできていないのであります。だからこの特別
協定
に基いて発動するという事態には現在のところでは
国連
の組織はまだな
つて
おりません。
大山郁夫
31
○
大山郁夫
君 そうすると、仮に全部一遍に提供することを要求された場合には、例えば甘木がそういう要求を受けた場合には、武装軍隊を供給しなければならないということにな
つて
来ると、今の
日本
の
憲法
に確かに牴触することになるわけですね。
憲法
第九條と両立しないわけになるわけだが、そういうときにはどうなるんですか。
石原幹市郎
32
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 先ほど申上げましたように、この四十三條の特別
協定
はまだできておりませんから、そういう問題はないと思いまするし、それから又
日本
は御承知のごとく現在の
憲法
によりまして軍備は全然持
つて
いないのでありまするから、只今仮定的の御
質問
をなさいましたような事態は起らないと思います。
大山郁夫
33
○
大山郁夫
君 仮定的と言われるけれども、起り得ることなんで、その用意はして置かなければならない。そんなことは
考え
ないで
国際連合
へ飛び込んでしま
つて
、そうしていよいよそういう事態にな
つて
武装軍隊を要求されるというようなことがあ
つた
り、それからその他の便益を提供しろというような要求があ
つた
ときに、そのとき間に合わないようなことになるんだし、又事実加入するという段にな
つて
来ると、又
国際連合
のほうからこういう問題を
日本
に向
つて
起すと思うのです。その時の答案をこちらは用意しておかなければならん。そういう意味から、一体これはどういうようなことを意味しておるのかということを究明しておかなくちやならん。それで私は、
政府
はどういう
解釈
をと
つて
おいでになるかということをお尋ねしたいのです。
石原幹市郎
34
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) この四十三條の
協定
がまだないということは、先ほど申上げた
通り
でありまするが、仮にこの
協定
が或る国を中心として結ばれるようなことになりましても、
日本
がそれに入
つて
なければ、何もこれに基いて発動するということはあり得ないわけでありまして、
日本
は先ほども申上げましたように現在の
憲法
下におきましては軍備というものは持
つて
ないのでありまするから、直接兵力を貸すとかどうとかというような特別
協定
に、仮に
国連
に加入いたしまして後においても、参加のあり得ようはずがない、こう只今のところでは
考え
ております。
大山郁夫
35
○
大山郁夫
君 勿論その入
つて
いないのだから、入らないときめてしま
つて
は問題は起らないけれども、これから入ろうというようなふうに
考え
を向けて行けば問題になると思う。確かに問題になるはずなんですが、
日本
が問題にしなくても、こちらから加入さしてくれと言
つて
行けば、向うのほうから、お前のほうに武装軍隊があるか、それで
国連
のほうから要求するものに、要求に応じて、要求されたものを提供する力があるかということは、当然向うのほうから問題にすべきなんです。加入ということを
考え
る以上は…。この問題は非常に重大だからあらかじめ
考え
ておかなければならないので、その時にな
つて
まごついてしまうというようなことがあ
つて
はならないと、こう思うのであります。それでやはり、もつと
はつ
きりお答えを得ておきたい。 それからもう
一つ
、私が尋ねたいのは、やはりいよいよ加入すつということにな
つて
来ると、そういう要求にも応ずるような準備をしておかなくちやならないということにな
つて
来ると、当然再軍備ということが問題にな
つて
来る。今は警察予備隊は軍隊でないというふうに
説明
があ
つた
ように思うのでありまするが、だからもつと警察予備隊よりも装備の
はつ
きりしてある軍隊を揃えておきたいと、こういうふうにな
つて
来ると、又
憲法
の改正が問題になりやしないか。再軍備のために
憲法
を改正するということにな
つて
来ると、
国民
は非常に反対するが、
国連
へ加するのだから再軍備をする、こういう意味を持
つて
おる再軍備だから、
憲法
改正も相当に理由があるというようなところへ問題が行きやしないか、こういう気分が私はあるのです。やはりだからこの点は
はつ
きりと
政府
のお答えを承わ
つて
おきたい、こう思うのであります。
石原幹市郎
36
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) この問題は今までもたびたび論議が大分繰返されておるのでございますが、
日本
はたびたび言
つて
おりますように、軍備がないということは、これは御承知の
通り
であります。軍備を持
つて
ないという前提の下に、
国連
の
加盟
を申請しておるのでありまして、現在までのところ軍備のない国で現に
加盟国
もあり、その後
加盟
を認められた国もある、こういう事情を了承の下において加入の申請をしておるのでありまして、ただこの特別
協定
において、兵力その他を貸すということの
協定
には入り得ないのでありまするが、入
つた
以上はいろいろあらゆる援助と申しまするか、援助の
関係
には立たねばなりませんので、それは便益の供給とか、そういう
日本
の
憲法
下において、許されておる
範囲
内の
協力
、援助、こういうことは勿論して行かなければならん、こういうふうに私は
了解
しておるのであります。
大山郁夫
37
○
大山郁夫
君 今の御
説明
で
一つ
はわかりました。即ち今
日本
は軍隊を持
つて
おらないという前提で
加盟
を向うへ申請しておるというお話であ
つたの
でありますが、そうすると結局
日本
に或る特例を認めさせる、即ちこの
国連
が、或る国を
侵略
したと認め、武力制裁を加えるということを決議したときに、
日本
だけはその武力制裁に参加する義務から解除せられる、こういう條件で
国連
へ入ることができるかという、そこへ問題が行きやしないかと思います。その点はどらですか。例えば
国際連合
のほうへはスイスは入
つて
いない。というのは永世中立国だという理由で……、それじや永世中立ならこの義務が、つまり武装制裁に参加する義務が履行できないという
建前
に立
つて
、スイスというのは、
国連
へ入
つて
いないと思うのであります。
日本
の場合は、若し武装を持
つて
おらないで、
日本
の軍隊を持
つて
おらないで、それでも入ろうというならば、スイスさえ得ておらない特例を、
日本
に認めさせようという
建前
から入
つて
行こうという意味でありましようか。
石原幹市郎
38
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) スイスが入
つて
ないことは、只今お話になりました
通り
でありまして、中立という観念は、この
国連
の思想とは必ずしも相容れない、こういうことになるのであります。それで
日本
は、先ほども申上げましたように、みずから武力を持
つて
こういう制裁
行動
に参加するということは、これは先ほどから申上げておるように、軍備がないから勿論これはできないことでありますが、併しその他の、いわゆる援助、通過に対していろいろの便益を供するとか或いは又施設を使わすとか、その他の
協力
、援助ということは、これは当然でき得る。
国連
に加入いたしました以上はでき得るわけであります。加入しなくてもすでに
平和條
約によりまして、
国連憲章
の精神に副うて、
日本
は
行動
するということを謳
つて
おるのであります。そういう面で
協力
援助が当然でき得ると私は確信をしております。
大山郁夫
39
○
大山郁夫
君 それではその兵力とかその他の援助とか便益ということを別々に
考え
るとこういうことができるのでございますね。
一つ
のまとま
つた
ものとして、全体として
考え
るのじやなくて、
一つ
一つ
が全体をなしておる、兵力は兵力として全体をなしておる、援助は援助として全体をなしておる、便益は便益として全体をなしておるものだというふうに、この
三つ
が
一つ
一つ
全体をなしておる、こういうふうに
考え
ておるわけですか。
石原幹市郎
40
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 四十三條の特別
協定
というものは、やはり国によりましていろいろのここに書かれてありますような、全部の援助、出動するという
約束
をする国もありましよう。又そのときの国情によりまして、兵力のない国も現にあるのであります。そういう国は兵力を出すという特別坂極をすることはこれはもう当然できない、そういう国はその他の援助、或いは便益を供する取極をする、こういうふうになるのじやないかと
考え
ております。
杉原荒太
41
○杉原
荒太
君 只今の
大山
先生の問題にしておられる点は、これは根本的な
加盟
に当
つて
の重要な点で、
はつ
きりしておかなければならない点だと私も思う。今までたびたび
政府
のほうで、この点についての見解を表明しておられる、これはそれとして私はわかるのでありまするが、これは今問題にな
つて
おる三十九條だけでなく、もつと前のこの第
二條
の大
原則
のところの、一般的の
原則
に基くところの
関係
においても問題になるので、非常に大事な点だと思うのですが、殊に
日本政府
の見解として、ここの先ほどの
大山
先生のお説のごとく、兵力とか援助とか便益とかというものを、それぞれ個別的に
考え
得るかどうかという点、これを若し総括的であるならば、その義務を
日本
は果し得ないと
考え
る。どうしても個別的に分割してなし得ることでなくちやならんと思うのだが、それにしてもそういうふうに
解釈
することが
国連
においての
一つ
の有権的の
解釈
に合致するというような根拠はどこにあるか。何かそういう点について私の推測では、この例えば
平和條
約の中に、すでに
日本
は
国連
加盟
の意思あることを宣言してお
つて
、連合国はこれを歓迎するということを言
つて
おる。そして
日本
には現在軍備がないということは承知しておるから、あの
平和條
約に
加盟
した国に関する限りは、その辺の
解釈
で同様な
解釈
が推定されるのでありますが、
あと
のほうの、或いは
平和條
約に入
つて
いない国の意思というものは、これは
はつ
きりしないのであります。例えば
国連
の事務当局あたりの憲章についての有権的な
解釈
でそういうふうにな
つて
おるというような、何か根拠がありますか。
須山達夫
42
○
説明員
(須山達夫君) 憲章の
解釈
問題は、これは
国際
司法裁判所の勧告的意見を聞くのが通常でありまして、事務局の有権的
解釈
というようなものは、私聞いておらないのであります。ただ問題にな
つて
おりまする四十三條の特別
協定
というものは、これは先ほど
説明
されました
通り
、ソ連或いはイギリス、或いはアメリカもまだ特別
協定
というものは結んでおらないわけであります。
杉原荒太
43
○杉原
荒太
君 その点わか
つて
おるのです。そういう問題じやない。
須山達夫
44
○
説明員
(須山達夫君) 例えば
国際連合
に初めから
加盟
しておりますパナマとかコスタリカ、この
両国
は軍備を有しない国であります。それから後に
加盟
いたしましたアイスランドも又明白に軍備を持
つて
おらないということを述べて
加盟
を認められておるような前例があるわけでございます。そういうことからして、それから又この四十三條の中に、その三項におきまして、特別
協定
というものは「署名国によ
つて
各自の
憲法
上の手続に
従つて
批准されなければならない。」ということが書いてありますので、当然に
憲法
の制約を受けるということは、四十三條の第三項のほうから意味がとれるわけであります。
従つて
初めから軍備のない国がおるということと、後に軍備のない国が入
つて
来たということ、それからこの四十三條の三項の
憲法
の制約を受けるという
三つ
の点からして、軍備を有することが決して
加盟
の條件にな
つて
いるとは
考え
ておらない次第であります。
大山郁夫
45
○
大山郁夫
君 それでは
ちよ
つと私の
考え
……、非常に言いにくいのですが、スイスの場合においては、スイスは永世中立の
立場
をと
つて
おるからという理由で
国連
へ
加盟
しておらないし、
加盟
が許されておらないということにな
つて
おるわけでありますが、
日本
の場合は現在勿論
憲法
で軍隊を持
つて
おらないということが
一つ
と、もう
一つ
は、これはポツダム宣言及び降伏
文書
で、
日本
は四つの国に対して、ともかく中立ということではないけれども、無條件降伏したというので、それからこの問題は変
つて
いないと私は思うのでありますが、そうするとやはり中立という言葉は使えないにしても、事実上中立、どの国とも戰わないということを
約束
しておるようにな
つて
おるのではないか、降伏
文書
が
はつ
きり言
つて
おる。ポツダム宣言のときは、あれが出されるときには三ヵ国だけで、後にソ連か来たので四つであるが、降伏
文書
では明らかに相手が四つにな
つて
おる。そうしてその四つの国に無條件降伏しておる、その文句が今そのまま、別に取消されておらないと思います。その点でスイスと同じ
立場
にあるのじやないか。それと竜講和條約或いは安保條約においてアメリカと軍事同盟を結んだような調子にな
つて
お
つて
、相手が
侵略
国として問題になる点があ
つて
、相手があ
つて
軍事同盟というものが結ばれたのだから、あのポツダム宣言によ
つて
日本
が持
つて
お
つた
ような中立的地位というものは全然なくな
つて
しま
つた
、そういう
解釈
なのでしようか。若しあの降伏
文書
に示してあるように、四つの国と戰さをしないというのならば、中立という文句は使
つて
いないけれども、スイスと同じような中立の地位を保
つて
行くのじやないかと思う。そうすると、スイスも入れないのならば、
日本
も入れない、こういうことにな
つて
来はしないか。それとも降伏
文書
で四つの国と戰わないという、無條件降伏というものは、講和條約によ
つて
無効にな
つたの
か、どつちの
解釈
をとるべきものかということをお尋ねしたいと思
つて
おります。
石原幹市郎
46
○
政府委員
(
石原幹市郎
君)
日本
はみずから戰争をするということは、これはあり得ないと思うのでありますが、併し世界平和維持のためにできておりまする
国連
には
協力
をして行きたい。こういうことでございまして、スイスは永世中立と言いますから、永世中立で、いわゆる
国連
がいろいろな
行動
をとる際にも、その
立場
上援助
協力
はできないということになりますから、当然加入を認められない、こういうことに
なつ
たと思うのであります。
日本
は別に永世中立と宣言しておるわけでもないのでありまして、みずから
日本
が、今お述べになりましたような国々と積極的に戰争をするなどということは、これはあり得ないと思いますが、
国連
に
協力
するということは、これは何ら私は不思議はない、かように
解釈
したします。
大山郁夫
47
○
大山郁夫
君 永世中立ということを宣言はしておらないけれども、ポツダム宣言は、ともかく
日本
を民主化すると同時に、非軍事化するということを言
つて
しま
つたの
で、非軍事化ということを認める以上は、もう戰争はしないという、あの時宣誓したのと同じ意味を持
つて
おるのじやないか、こう思うのであります。中立という言葉が当らなくても、中立と似たような地位を
日本
が持
つて
お
つた
。その
解釈
は、私は明らかにとれると思うのであります。併し講和條約及び安全保障條約によ
つて
、もうそういうようなものは、
日本
は取消しも何もしやしないけれども、あの降伏
文書
によ
つて
示したその
日本
の地位というものはすつかり消滅したのか、そういう
解釈
を
政府
はと
つて
おられるのか、これを聞きたい。
石原幹市郎
48
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 御
質問
のお答えに
ちよ
つと距たるかどうかわかりませんが、ポツダム宣言というものはこの
平和條
約によりましてと
つて
代
つた
と言いまするか、
平和條
約を結んで、それが発効したことによりまして、我々はポツダム宣言というものはもう、條約に代
つて
おる。こういうふうに
考え
るのでありまして、その
平和條
約において
日本
は
国連
に加入をしたい、又
国連
に
協力
をすることを精神とするということを掲げておるのでございまして、お尋ねの
趣旨
に当
つた
かどうかわかりませんが、そういう
建前
から
日本
の只今のいろいろな措置がとられておるわけでございます。
大山郁夫
49
○
大山郁夫
君 それではその
日本
の講和條約によ
つて
、ポツダム宣言の効力というものはすつかり消えてしま
つた
どいうお
考え
なのですね。甘木は別に何もそういうことは宣言しないけれども、講和條約を
締結
した、それでもうポツダム宣言の効力というものはすつかりなくな
つて
しま
つた
という
解釈
をと
つて
おられる。それについて
ちよ
つと附け加えておきたいのは、確か降伏
文書
では四ヵ国を向うに廻して、そうして四ヵ国に対して
日本
は宣誓したのだが、あの講和條約というものはそのうちの
二つ
の国は認めていないので、五分々々というわけにも行かない、四つのうちの
二つ
の国は認めて、
二つ
の国は認めていないというような、こういうような
関係
にな
つて
いやしないか。それにもかかわらず講和條約を
日本
は結んでしま
つたの
で、そうしてあの
二つ
の国、私は
中国
とそれからソ連のことを意味しておるのでありますが、
中国
は
台湾
政府
のことを言
つて
おるのじやなくて、
中国
人民
政府
のことを言
つて
おるのでありますが、
二つ
の
政府
が認めなか
つたの
を、勝手に
日本
がそういう国と相談をしないで、もうポツダム宣言の効力は消えてしま
つた
というような
解釈
をと
つて
妥当なのでありましようか。
政府
はそれを妥当だと思
つて
いらつしやるのか、これを聞きたい。
石原幹市郎
50
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) ポツダム宣言はその目的を達しましてこれが終結をして
平和條
約に我々は代
つた
ものとこういうふうに
考え
ております。それから
二つ
の国、
二つ
の国とおつしやいまするが、
二つ
の国をまあ中心といたします世界中の四十八ヵ国でありまするが、殆んど大多数の国とこの
平和條
約が調印されているわけでございまして、世界的に
日本
の
立場
が、
平和條
約を中心とする
立場
が認められておると、我々はかように
解釈
をして行きたいと思います。
大山郁夫
51
○
大山郁夫
君 併しポツダム宣言に関する限りは、
日本
の相手は確か四つの国だというふうに
考え
ております。勿論その講和條約のほうは又話は別問題にな
つて
来るけれども、その講和條約のほうは多数の国がそれに参加しておる。それだから
日本
は
二つ
の国に対して何も相談しないでポツダム宣言というものは効力を失
つたの
だというふうに言
つて
いいものでありましようか。
石原幹市郎
52
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) ソ連はこの
平和條
約の会議には出て来たのでありまするが、この條約にまあ、調印しなか
つたの
でありますから、大体そういう
関係
に相成
つたの
でありまして、この会議にはやはり出て来て、而もそのときソ連といたしましてはいろいろの修正案というか、代案を出したことは御承知の
通り
であります。その中におきましても、
日本
がこの
国連
に
加盟
をしたいという
部分
につきましては何らの反対の意思表示をしておらないという点につきましては、まあ、ソ連の
考え方
を一応推測し得る材料になるのじやないかと、我々かように
考え
るのであります。先ほど申上げましたように、世界中の国々が
日本
の
立場
を
承認
しており、しつつあるというこの
現実
の事態に基いて
日本
の諸般の措置をとり、
行動
をするということは当然のことではないかと思うのであます。
杉原荒太
53
○杉原
荒太
君 只今
大山
委員
の御
質問
に対して
政府
側から、降伏
文書
というものは
平和條
約によ
つて
取
つて
代られたという御
解釈
の御発表、これはこの
委員
会で
最初
のことだと私は思うのであります。私の知
つて
おる限りこの参議院の中では初めてであ
つた
ように思うのですが、これは非常に重大なことだと思うので、それだけに
政府
側ではいろいろと各般のことを御研究の上の結論だと私は推測するのですが、而もその意味は、取
つて
代
つた
というもののその
範囲
は、一切の
関係
において、つまりソ連等も含む
関係
においてという意味だと
解釈
する。そうすると、一方においてソ連との
関係
においてはまだ戰争
関係
が終了していないと、こう言
つて
いい。恐らく休戰
関係
にあるというふうなくらいに言えるだろう、休戰
関係
にあるということの根拠はどこにあるかというと、いわゆる降伏
文書
というものの公式的の性質を、あれは一種の休戰條約的な性質を、持
つて
おるということが根拠にな
つて
おるのだろうと思う。その休戰條約的な性質を持
つた
ものがなくな
つて
しま
つた
というならば、一体日ソ
関係
というものはどういう
国際
法規の
関係
にあるものと
解釈
しておるのか、その点の御意見を伺いたい。
石原幹市郎
54
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) ポツダム宣言がその目的を達しまして大体
平和條
約の形に変
つた
ものであるということは、これは衆議院等においてもすでに何回かこういう
趣旨
のことは前の條約局長その他からも出ておると思うのでございまして……。
杉原荒太
55
○杉原
荒太
君 ポツダム宣言というより降伏
文書
ということを私は言
つて
いるのであります。
石原幹市郎
56
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) そういう点は我々素人ですから、
一つ
正確に直して頂きたいと思います。そこで一応
日本
といたしましては、ソ連を含んだ
関係
においてさような状態であるというふうに
日本
の
立場
においてはこれは
考え
るわけであります。併し相手のソ連としてどういう感じを持
つて
おるか、
考え方
を持
つて
おるかということは、これはここで我々から申上げられるところではないのであります。そこで今後のソ連との
関係
についてでありまするが、これはまあ非常に重大なる問題でありまするので、私からこういうことを申上げるより、これは
大臣
からその間の御
関係
は正確な関連をお聞き取り願いたいと思います。
大山郁夫
57
○
大山郁夫
君 又蒸返すのでありますが、先ほどこの講和條約を
締結
したことによ
つて
ポツダム宣言の目的が達せられたとおつしや
つた
と思うのですが、これはどういうことでしようか。ポツダム宣言の目的というものは分ければたくさんに分けられるでしようが、一番大きいのが
日本
を民主化するということと、非軍事化するということだが、講和條約によ
つて
却
つて
再軍備の問題なんを生ずるようなことにな
つて
しま
つて
、非軍事化の目的というものは達せられたどころか逆にな
つて
しま
つた
ように思うのですが、それに対する
政府
のお
考え
はどうでしようか。
石原幹市郎
58
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) それはまあポツダム宣言と申上げましたのは、降伏
文書
とも言いますけれども、
日本
は降伏をしたのでありまするが、それが先般やはり
平和條
約が
締結
されまして、
関係国
といわゆる
日本
が独立を回復して平和の
関係
に相成
つたの
であります。降伏ということ並びにそれに基きましたことは一応、一応といいまするか、当然これは
平和條
約に代
つて
、
日本
は
平和條
約を基準といたしまして、これからの
日本
に対する或いは
日本
としての措置がされると、こういうふうに
解釈
しており、そう
解釈
せざれば
平和條
約等の意義、目的、目標もないと、かように
考え
ております。
大山郁夫
59
○
大山郁夫
君
ちよ
つとさつきのお答えと私の予期していたお答えと違うと思うのですが、降伏した目的が達せられたとおつしや
つたの
ですが、けれども私の
言つたの
は
日本
のあのときの降伏なんで、降伏一般ではなくて、あのときの
日本
の降伏というものはポツダム宣言を受諾して降伏するということをたしか書いてあ
つたの
だから、だからやはりポツダム宣言の問題にな
つて
来る。だからポツダム宣言の目的は講和條約を
締結
せられたことによ
つて
達せられたと、こう言うと、あのポツダム宣言の目的というものは、先ず
日本
を民主化するということ、非軍事化するということが主に
なつ
でいたのだと思うのですが、その目的が達せられたという、こういう論理的な帰結にな
つて
来ると、こう思うのでありますが、併し私の
考え
では、民主化も勿論そうだが、今破防法が問題にな
つて
いるようじや
日本
の民主化ということは、これこそ私はお茶番以上の喜劇で問題にならぬと思いますが、併し非軍事化のほうもそうなんで、安保條約というもので
日本
は軍事同盟のようなものを結んだ結果にな
つて
しま
つたの
で、
日本
の土地はアジア大陸
政府
の基地になり、
日本
の
国民
はアジア大陸
政府
の下手人となるようなところにまで来ており、再軍備と結びついているので、非軍事化の目的が達せられたどころではなくて、非軍事化の目的を覆えされてしま
つた
、全然反対の目的が達せられているというふうに私たちはとらなければならんと思いますが、
政府
はさつきポツダム宣言の目的が到達せられたとおつしや
つたの
ですが、どう
解釈
しているのかこれをお伺いいたしたい。
石原幹市郎
60
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) つまり降伏
文書
にありまする大体の
條項
は、その目的を達せられたとこういう
考え
の下につまり相手国との間に今回の
平和條
約が
締結
されるに至
つたの
でありまして、
日本
の民主化も一応できた、勿論今後も民主化を続けて行かなければならんことは勿論のことでありますが、民主化はできたと、それからあの降伏
文書
にありまする
日本
の非軍事化も一応達成したと、こういう認定の下に、前提の下に今回の
平和條
約が
締結
されるに至
つた
と我々は
解釈
をしているのであります。
曾禰益
61
○曾祢益君 只今の御
質問
並びに答弁に関連してですね。どうも伺
つて
おりますと、ポツダム宣言とそれから降伏
文書
というものも、なんですか、こんがらが
つて
おるような感じがしますし、この問題は非常に重要なことであるので、改めてそれを外務
大臣
から明確な
一つ
答弁をして頂きたいと思います。それで私は、
日本
がこの拘束を受けたのは降伏
文書
と
考え
ております。勿論内容的にはポツダム宣言を引用されておりますが、そこで
政府
の
考え
は、先ほどの杉原
委員
の発言にも
関係
あるのですが、
政府
の
考え
は降伏
文書
については
平和條
約ができたから、
平和條
約が効力を発生した国であ
つて
、而も降伏
文書
の相手方の国、これは四ヵ国に限らないわけです。いわゆるポツダム宣言の四ヵ国に限らないのであります。これらの国との
関係
においてはすでに降伏
文書
は使命を達成した。講和條約が正式の條約としてこれに変
つた
、こういう
解釈
をと
つて
おられるのかどうか、これが第一点。すでにその場合でも降伏
文書
関係国
であ
つた
例えばソヴイエトであるとか、まだその国との間に講和條約ができない国との
関係
においては、ポツダム宣言に直接行くのじやなくて、降伏
文書
によるところの休戰の状態というものはこれは続いているものだと私たちは
解釈
しているのです。その点はそうじやなくて、この点も又その国が
平和條
約に参加しようがしまいが、他の平和的な
解決
が、個別講和ができなくても、それでも降伏
文書
がなくな
つて
しま
つた
と認められるかどうか。この点は非常に重要ですから、勿論
大山
委員
のポツダム宣言の内容的な問題に関する
政府
の御答弁があると思いますが、法律的な点については改めて正式に御回答を賜わりたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
杉原荒太
62
○杉原
荒太
君 いやむしろ今曾祢君の言われたその点、私も
質問
した点だ
つたの
だから、その点が明確にならんと、その点の決心をしないで、さつきの結論的なものが出るはずがない。そこが一番大事なところなんだから、これは單なる法律問題でなく、非常に政策的に重大な問題だ。それと引離してただ結論のところを言われても我々は非常に意味が薄い、是非その点を
はつ
きりと
一つ
……。
大山郁夫
63
○
大山郁夫
君 それからこの問題は終結しておらないのだけれども、先ほど来のお話
通り
に
大臣
の答弁に廻すということにして、問題を転換いたしまして、今度のなにの
国連
協力
ということが、頻りにそういう言葉を繰返されましたが、一体
国連
との
協力
ということはどういうような内容を持
つて
いるものかということを承わりたい。殊に私の場合強調したいのは、最近非常につまり新
中国
との、普通中共貿易という言葉で言い現わされておりまするが、この新
中国
との貿易ということが非常に重大な問題とな
つて
来ている。ところが
日本
は
中国
との貿易なしには将来の経済というものは成立
つて
行かないと私たちは
考え
ている。勿論吉田総理はそんなことはない、
中国
との貿易なしに繁栄していると私の
質問
に対して言われたこともある。最近は岡崎外相も言われました。あの中共貿易に対しては冷淡でおられるようでありますから、
立場
も違うのだけれども、だから
立場
の相違までも今、云々しようというのじやないけれども、一体
日本
はあの
朝鮮
動乱が起
つて
からこのかた、非常にアメリカの注文に応じてつまり
中国
への輸出ということを非常に制限したのですね、普通の連合国が制限している以上に……。あのパリーの
協定
、一九四九年十二月のあのパリーにおける
協定
によ
つて
なお又ソ連圏内、或いは
中国
への輸出を制限していると思うのでありますが、
日本
の輸出品目というものは非常に多か
つた
ように思う。そうして非常に大変な程度に制限をしている。そういうようなことは皆その
国連
協力
の内容にな
つて
いるものであるか。それから又例の特需の注文を受けて
日本
の産業が動員された。これもやはり
国連
協力
の内容のうちに入
つて
いるか。これらが私の聞こうとしている大きな点になるのですけれども、とにかくその内容を一々具体的に言う前に、一体
国連
との
協力
というものはどういうふうな意味で、どういう内容を持
つて
いるものかという一般論から先に聞きたいと思います。そういう
説明
をお願いします。
石原幹市郎
64
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 極く大ざつぱに言いますならば、世界の平和と安全を維持する、これに
協力
して行くということ、それから経済或いは又社会福祉の増進のために、
国際
機構を通じて
協力
をして行く。それからその他更にまあ
国連
の決議、或いは
国連
の勧告というものに応じまして、その
趣旨
に副うて
行動
して行く、まあ抽象的、大ざつぱに申上げたならば、そういうことになります。
大山郁夫
65
○
大山郁夫
君 それで、議論は限
つて
質問
だけにしますが、あの
日本
の
中国
への禁輸と
国連
との
関係
ですが、
国連
が勿論支持しているのに違いないが、それとの
関係
を承わりたい。それから又
日本
以外の他の連合国の勢力下にある諸国は、たしかパリー・リストとか何とかいう
文書
によ
つて
きめているので、
日本
が輸出禁止をされているものも、かなりたくさんの種目を輸出していると思うのでありますが、勿論あのパリー・リストとかいうのはこれは
国連
の総会できめられたものだから、それと
国連
との
関係
は
はつ
きりしている。
日本
の
中国
への輸出禁止、エンバーゴーというのとこれはどういう
関係
にあるか。それともう
一つ
はバトル法と
国際連合
との
関係
はどういうことにな
つて
いるか、この点をお伺いしたい。それは実は知らないことなんで教えてもらいたいと思うのです。
石原幹市郎
66
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 中共に対しまするいろいろの戰略物資になるような物等の禁輸措置は、これはやはり
国連
協力
の
一つ
であろうと思います。それからバトル法と
国連
協力
ということはこれは直接の
関係
はないと思います。これは御承知のように、アメリカから援助を受けておる国がアメリカと
争つて
いると申しまするか、そういう国にいろいろ戰略物資になるような物を出した際にはその援助を断ち切ると、こういう
建前
にな
つて
おる。これは直接の関連はないと思います。それから何かパリー、リストといいまするか、これは私も詳しいことはよく知りませんが、それはあれできめられておるものと
日本
との間が広いものもあり、狭いものもあり、必ずしも一致しないと思うのでありまするが、抽象的に書いてある
関係
等で具体的の
適用
にいろいろの相違というか、開きが出て来ると、こういうことではないかと思います。
大山郁夫
67
○
大山郁夫
君 バトル法と直接の
関係
がないとおつしやいましたが、勿論
国連
の今主導権を握
つて
おるのはアメリカで、そして又バトル法はアメリカの議会が通過せしめたものだから、そういう意味で
関係
は勿論あると思うのでありますが、
日本
の場合、
日本
に命ぜられた禁輸というものを
国際連合
はどういうふうにサポートしているか。勿論サポートしていることはわか
つて
いるのだけれども、どういうふうないろいろな決議とかがあ
つた
か、又決議というものがなか
つた
かというような、そう事実問題として
ちよ
つと少し御
説明
を願いたい。
石原幹市郎
68
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) 中共貿易について
我が国
が受けておりまする
国際
的制約と申しますのは、これは
国際連合
が一九五一年五月十八日の総会で行いました中共及び北鮮向け戰略物資の輸出禁止に関する決議、これに基いて
日本
がいろいろの勧告を受けておるわけであります。これであろうと思います。
大山郁夫
69
○
大山郁夫
君 それはともかく
国連
というものは勿論あの禁輸を支持しておるというわけになるわけですね、
日本
に課せられたエンバーゴー、これを
国連
は支持しておる、まあ反対しておらないということはこれは明らかだが、併し……。
石原幹市郎
70
○
政府委員
(
石原幹市郎
君) これは先ほど申しましたように一九五一年五月十八日の総会でこういう決議があり、その決議に基いて事務総長から当時総司令部を通じまして
日本政府
に伝達されたものでありまして、
日本政府
はこの決議の
趣旨
に賛成をいたしましてや
つて
おる、こういうことであります。
大山郁夫
71
○
大山郁夫
君 いやわかりました。まだ
質問
を確かに頭の中に持
つて
いたのですが、今
ちよ
つと失念しましたので、この次のときになお
質問
を許して頂きたいと思います。
杉原荒太
72
○杉原
荒太
君
一つ
質問
をいたしたいと思います。一昨年の十一月の
国連
の平和のための統合決議についても、これは私が言うまでもなく、非常に重大な決議で、実質的にはこの
国連憲章
の修正にもなり、今後の
国際
紛争が
現実
に起
つた
場合に集団的な
軍事行動
が如何なる方法で起るかというと、実質にこれに
国連憲章
にいろいろ書いてあるけれども、殆んどそれによるのではなくして、恐らく一昨年の十一月の平和のための統合決議に基く
行動
だろうと推察される。それだけにこの決議は非常に重要なものだと思う。私の聞きたい点は、
日本
が
国連
に
加盟
した場合に、その効果が今の私の言
つた
決議を受諾したと
同一
の
関係
に
日本
が立つわけですか。
須山達夫
73
○
説明員
(須山達夫君) 只今お触れになりました平和のための統合決議を
日本
が
国連
に加入することによ
つて
受諾したと
同一
の
関係
に立つことになるかという御
質問
でありますが、これは
国連
の決議の効果というものはどの
加盟国
に対しても等しいものでありまして、それは
安全保障理事会
の例えば四十
一條
、四十
二條
のような場合には拘束力を持ち、それから三十九條の前段の場合には勧告であり、総会の決議の多くはやはり勧告であります。
従つて
この決議を受諾したと同じような効果を生ずるというようなことは、そういう御
質問
は私よく意味がわからないのでありまして、
日本
が将来
加盟
いたしました後にどのような
立場
に立つかということでありますれば、ほかの
加盟国
と同様に、総会の勧告をその時々に評価して、自分がそれに従うことができ、且つ自分がそうや
つた
らいいと認めるものは、そのように
行動
すればいいのでありまして、総会の決議から直ちに独制
行動
をとらなければならない義務を発生するものではないと
考え
ております。
杉原荒太
74
○杉原
荒太
君 今お答えの点よくわかるのですが、私の尋ねんとした点は、表現が非常にむつかしいからなんですか、あれの本質は勧告だと私は
解釈
しておる。それだからその勧告としてのあれに基く強制
行動
をとるということも、これは又具体的な事件が起
つた
場合のことと思う。併しあの決議というものは、まだ具体的な事件が発生していない場合にとるべき方途についての
一つ
の決議なんです。それに対する
関係
についてはほかの
加盟国
と
同一
の地位に
日本
が立
つて
来るわけですか。
須山達夫
75
○
説明員
(須山達夫君) お説の
通り
同一
の
関係
に立つわけでございます。
有馬英二
76
○
委員長
(
有馬英二
君)
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
有馬英二
77
○
委員長
(
有馬英二
君)
速記
を始めて下さい。 本日は閉会に御異議ないようでありますから、本日はこれを以て閉会といたします。 午後三時五十一分散会