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1952-04-26 第13回国会 参議院 外務委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十六日(土曜日)    午後四時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     有馬 英二君    理事            野田 俊作君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            中山 福藏君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            大隈 信幸君            大山 郁夫君            兼岩 傳一君   政府委員    外務参事官    (外務大臣官房    審議室勤務)  三宅喜二郎君    入国管理庁長官 鈴木  一君    入国管理庁審判    調査部長    鈴木 政勝君   事務局側    常任委員会専門    員       坂田 志保君    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○外国人登録法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 只今から外務委員会を開会いたします。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係命令の措置に関する法律案並びに外国人登録法案を議題といたします。本件につきましては小委員会を設けまして、小委員会において御審議を願いましたのであります。つきましては、これから小委員長の御報告をお願いいたします。
  3. 中山福藏

    中山福藏君 本日小委員会におきましては、約三時間半に亘りまして付託された議案について種々審議を重ねたような次第であります。委員会におきましては、各委員より極めて周密極まる政府委員に対して質疑が行われ、同時に非公式に極めて懇談的な立場においていろいろ相談が行われまして、結局この法案を如何に取扱うかということにつきまして、いろいろと協議いたしました結果、重点的に審議を進めたほうがいいだろうというので、結局曾祢委員から提出されました、何人もこれが大体この法案の重点だろうという点、三点につきまして審議を重ねたような次第であります。曾祢氏のお足しになりました原案につきましては、時間がありませんから、ここに省略いたしますが、結局各委員からいろいろの意見が出まして只今読上げますような修正をしたら如何であろうかという点に落着いたのであります。今その大体の私どもの申合せた点を私が只今朗読いたしますから、お聞取り願いたいと思います。  その要点というのは大体二点に集約されております。第一の点は、出入国管理令附則の第二項の次に左の二つ項目を加えるという点と、第二の点は、二十四條の日韓会談というものができる、そのときと、それから平和條発効のときとの時間の空白を生じた場合に強制送還をされるというような慮れはないかどうかという点について大体の議論が尽されたのでありまするが、この点につきましては、私が只今読上げる出入国管理令附則第二項の次に附加いたさんといたしておりまするところの項目には入つていないのでありまして、全然これは私が只今読上げるうちには、こういう点についての議論は入つておりません。でありますから、附則についての各委員意見只今読み上げることにいたします。   出入国管理令附則第二項の次に、  次の二項を加える。  3日本国との平和條約の規定に基   き、同條約の最初効力発生の日   において日本国籍を離脱するも   ので、昭和二十年九月二日以前か   ら同條約の最初効力発生の日ま   で引続き本邦在留するもの(昭   和二十年九月三日から同條約の最   初の効力発生の日まで本邦に出生   したその子を含む)は出入国管理   令弟十九條及び第二十二條規定   にかかわらず本邦在留すること   ができる。但し、将来別に法律が   定めるところにより、そのものの   在留資格及び在留期間を定めるも   のとする。  4前項に規定するもの及び昭和二十   年九月二日以前から引続き外国人   として本邦在留するもので、そ   のものの国籍又は市民権の属する   国の特別の事情のあるものについ   ては第五十三條の規定にかかわら   ず本人の希望を徴して送還先を決   定するものとする。   第二條第六項を削る。  これが挿入せんとする二つ項目であります。これにつきまして政府委員意見が述べられております。  第三の附則につきましては、内容は何ら政府原案と変らないから政府原案差支えはない、こういう意見でありました。第二の附則4につきましては、前記の規定を設けることは面白くない。それはどういうわけかというと、日韓会談に反響があるから、どうも面白くないように思うという御意見でありました。  それから第二十四條の点につきましては、取りまとめて申上げる意見はないと申上げても差支えはないと思います。但し取りまとめて申上げる意見がないということは、意見量が全然なかつたというのではなくて、種々雑多の重要なる点について各項目亘つて質疑応答が交されたのであります。従つてこの二十四條の点につきましては、十分政府委員と各委員との間に更に質疑応答を重ねて頂きまして、適当な処置を講じて頂きたいと、かように思つておる次第であります。  大変簡単で杜撰でありまするが、小委員会審議の径路並びにその結果を申上げたような次第であります。
  4. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 次に只今の御報告並びにその他につきまして御質疑をお願いいたします。
  5. 杉原荒太

    杉原荒太君 この小委員会において、小委員の皆様が非常に御苦心になりました点につきましては、心から敬意を表するものでありますが、只今拝見しました小委員会における御意見について私疑問の点がありますので、その点を先ずお尋ねしたいと思います。  先ずこの附則3として掲げんとする案につきまして、本文但書からできておりまするが、本文のほうを見ますると、これは非常に重要な、前の政府側から提出されておりまする第二條の第六項とは実体的に非常に違つた点があるのではないかという疑問を私持つものであります。先ほどの御報告によりますと、政府側では実質的には違わないというふうに見ておられるようでありますけれども、こういう書き方をいたしますると、そこに実質的に非常な大きな相違が出て来る結果になるのじやないかと私は思う、と申しまするのは、この附則本文によりますというと、「第十九條及び第二十二條の2の規定にかかわらず本邦在留することができる」。と、こういつてしまうのであります。ここで本邦にずつと在留することができるということがきまつてしまうのであつて、これは何らそこに期間の制限もないわけであります。殆んどこれは永住的になるという結果になる。但書のところに書いてありますのは、ただそのもの在留資格在留期間だけを将来別の法律できめるということだけが規定してあるのであつて、その在留期間というものは、これは幾らでも更新できるのです。先ず本文のほうで本邦在留することができるということがきまつてしまつている以上、これでその本文のほうを動かすわけに行かん、それが第一点であります。それから第二に疑問の点は、ここの今の本文で「第十九條及び第二十二條の2の規定にかかわらず」として引用してありますこの規定の受け方が法文として非常におかしい、十九條及び二十二條の2を見ますというと、これは一定の在留資格を有することがなくして、こういう者は本邦在留することができるというふうになつておりますので、この「2の規定にかかわらず」というときは在留資格、こういうふうな書き方では、私はこれは法文として体をなしていないような感じがするのであります。  それから第三には、附則としてこういうことを掲げているというのもおかしいのじやないか、こういう重要な実体規定附則で掲げるというようなことは非常に私は立法技術としてもおかしなことだと思う。この附則についてはそういうように私は思う。先ずそれだけ取りあえずお聞きしたい。
  6. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それについて答弁をお求めになりますか。
  7. 杉原荒太

    杉原荒太君 説明して頂きたい。
  8. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 誰に説明を……。
  9. 杉原荒太

    杉原荒太君 どなたか委員長から一つ適当に取計らつて頂きたい。
  10. 中山福藏

    中山福藏君 一言申上げておきますが、これは修正案というのではなくて、各委員意見をまとめて、大体こういうふうな方向にこの問題を持つてつたらどうだろうという一種の意見でありまするから、何とぞそういう気持一つ審議を賜われば結構だと私は考えております。
  11. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ほかに御質疑はございませんか。
  12. 平林太一

    平林太一君 政府委員お尋ねをいたしたいのでありますが、只今委員長報告に対して杉原君より御意見がありました。なお只今二條第六項を改めて私は法文を熟読いたしまして、只今委員長の御報告によりますと、各委員意見を総合したというお話でありました。これを委員会におきまして、この意見を総合的な結論としてお出しになられるに当りましては、容易ならざる御深慮を払われたことと思いますので、この点深く謝意を表するにやぶさかでないものであります。  そこで政府お尋ねをいたしたいのでありますが、この意見外務委員会で採用せられまして、一応これが成文化するということになりますれば、第六項は一応削除せられて、新たにこういうものが別に挿入せられるのでありまするが、そういうことに相成つた場合に、現在の案でありまする第六項のこの本質、或いはこれが第六項がそのままで運用せられる場合と比較いたしまして、この意見の結果がどういうような影響を持つか、いわゆる実質上に本質においてどういう結果になるかということを、政府提案者といたしましての見解をありのままに一つ承わりたいと思います。
  13. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 平林君に委員長から申上げます。これは小委員長が御報告になりました通り、小委員会結論ではないのでありまして、こういう意見が出たということであります。それでありますから、そういうように御承知を願います。
  14. 平林太一

    平林太一君 併し参考までに今私の申上げたことに対する政府当局見解を質したい、かように存じます。慎重を期する意味において……。
  15. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 只今お話がございました附則に三項を入れて、第二條の六項を削るという点でございますが、政府見解といたしましては重要なる事項でございますので、やはりこれは第二條附則規定すべきものではなしに、入るべきものであるのでありまして、特にこの内容宏ら申しまして、我々としては法制的に見ますと、「かんな」をかけました結果が、第二條の六項というような法文が出て参つたのでございまして、恐らくこの三項を更に法制的に「かんな」をかけられますと、結局第二條の六項と同じものが出て来るのではないか、従いまして政府といたしましては、原案以外には案がないというふうに感じておるわけであります。
  16. 平林太一

    平林太一君 只今政府の意のあるところを承わりましたので了承いたしたわけでございますが、第六項は私はこの委員会の御意見、言換えますれば、修正的な御意見になるのでございまするが、むしろ私は小委員会といたしましては、非常な御努力を払われたことに対しましては、よくこれを肯き得られるのでありまするが、そういたしますというと、第六項におきまして、すでに特別なる法律日韓会談の……、無論これは日韓の親善の上におきまして、この会談日韓両国が排他的になるような結果に結論付けられるような会談でないことは予測されるのであります。理想的にも現実的におきましても……。でありますから、特にその特別法を設けまして、只今委員会が御心配になつておられますることを抜本塞源的にその際に処理せられるものである、こういうふうに私は承知いたすのでありまするが、それでありまするから、その点はやはりこの原文はそのままにいたしまして、而も只今委員会結論として、かような貴重な御意見ができましたことに対しましては、当然会議録の最重要なる事項として会議録に掲載することを委員会におきましてお願いいたします。これは小委員長報告になつておりますが、なおこれは殊更に重要なる資料といたしまして、この原文を採択、取上げることにいたしまして、そうしてこの取扱いをそのようにいたしたい、又いたすべきであると私はかように考えるのであります。そう申しますことは、先般来私の考えは一貫いたしております。いわゆる国内法ではありません。国外に対しまするいわゆる外国人登録及び外国人出入に対しまする管理規則でありますから、この点は我が国の講和の発効を控えまして、これだけ程度くらいの何と言いますか、我がほうが極めて端的な露骨に申しますれば、これは武張つておるものとは私は考えておりません。併しながら私から申しますれば、極めて謙虚なる態度で以てこれを申上げ得るところの気持を表明いたすに当りましても、武張つておる。併しこの程度の武張つておるということは、いわゆるこの独立後我が国が発足をいたすに当りまして、これだけは許容せられるべきものだと思います。私は国際的に見ましても、若しそれ、これを余りにあれにし過ぎましていたしますというと、やはり謙虚が過ぎまして、いわゆる一つの屈従的なものになるということは豈それこれに関係する当事者のみにかかわりません。これはいわゆる対外的な国際上におきまして、如何にもこの終戦以来の我々は惰性に慣れまして、そうして卑屈な、いわゆる非常なこの何と言いますか、いわゆる諺にも申上げます通り、人はみずからを卑めば人文これを卑しめる、みずからその正しきを正しきとするところにいわゆる他も又尊敬を払うのである、然るに卑屈な、みずから卑しめる考えを起すというと、おのずから先方もこれを卑めるということは、豈それ国際間だけの問題でありません。個人間におきましても、このことは私は金科玉條考え差支えないと思うのであります。いわんや国際間においておやであります。そういう意味におきまして、私はこの法案本質に鑑みまして、この原案を私はこれが修正せられるというようなことは、そういう点におきまして誠に遺憾を禁じ得ない点があります。遺憾と申しますよりは、それでは余りにも漸くこの全国民努力が報いられて、そうして漸く一人立ちをして、そうして対内、対外との事情がここにはつきりした、そこで釘付けされるという点に対しまして、是非これはこういうくらいの程度のことは許されるべきものである、それがこのように別な面におきましてこれを修正されて、そうしてこういうような具体的なことになりますことは、非常にそういう点におきまして私はこれは大切に考えなければならんと思う次第であります。我々は今日これを審議いたしておりますることは、ややもいたしますれば、この狭い部屋で、ときには狭い部屋の環境に支配される場合もありまするが、この法律は八千万全国民に薄しまするところの、共通いたしまするところの、又直ちにそれが相手続いたしておりまするところのこの問題でありますることを思いますれば、そういうふうに考えるのであります。でありますから、このことに対しましては、只今私が申上げました通り、この小委員会の貴重なる資料に対しましては、十分これを尊重して、又これに相違背ない方向にこれを結論付けられるということにおきまして、これを会議録に十分にこれを取扱をいたすということにいたしまして、この原案はそのままにこれをいたして、本日これが議決せられるようなことを私は念願してやまない次第であります。この点私の希望を申上げまして、委員各位に対しましての私の所懐をこれは申述べておく次第であります。
  17. 曾禰益

    曾祢益君 私は小委員会の業務に参加した一人といたしまして、これは杉原委員の御質問に対する答弁を申上げる筋合じやないのですが、只今いわゆる附則第三項という新たな案文ができました趣旨等は、私はこういうふうに考えておるのだという点を、一応私の気持を御説明申上げようと思うのです、大体昨日の岡崎国務大臣説明を聞きましても、要するに朝鮮人台湾八の諸君が、これに対しては大体永住的な取扱を認めてやろう、こういう気持であるということは明確になつたと思うのであります。ただその場合に、勿論これはその当該地域の管轄の当局である大韓民国或いは中国の政府等との交渉をやつておる過程にありますために、法律の表面においては、差当りこれらの話合いが付いて、新たに法律が出るまでは、出るまでの期間のことだけを取扱つて、いわゆる完全な資格ではないが、在住を認めて行こう、こういうまあ体裁になつておるわけです。そこで私たち気持としては、それは一応わからないでもないけれども、殊に対外交渉に関連することであることは十分にわかります。更に又対外交渉に当つては、これも昨日の委員会議論が出たわけですが、岡崎国務大臣が一応朝鮮或いは台湾におつた日本人の問題に関連さしたような相互主義というものを一応出す、この点も私としては当然であつて、決して日本におつた、もともと今までは日本人であつたこれらの諸君のためにのみ極めて、いわば譲るべからざるものを譲つたというふうに言つてはならない、この点もわかります。併し一方において、現在の法文書き方はこの協定ができて法律ができるまでの間の暫定的なことしか書いてない。そこに非常な不安があるし、而も政府当局説明によれば、大体の腹としては相互主義の問題の成り行きにかかわらず、大体永住権を認めて行くのじやないかというような点が明らかになつたことが一つ。第二には、主として私自身としては今日の政府当局説明で明らかにすることを得たのですけれども、現実においては韓国との間の交渉内容に関連するから、はつきりは言えないけれども、この日本側の腹としては、これらの人々には相当寛大な條件で、一般的のこの出入国管理令規定しておるような厄介な條件でなくて、簡単な手続きで永住権を正式に認めてやろう、こういう気持も持つていらつしやる、こういうことも明らかになつたのであります。私どもは正式に考えてそこに安心を与える、即ちこれに該当する人たちに対しては在留することができるということをはつきり言い切つたらどうだ。ただその場合に二つの問題がある。一つは、近く韓国及び台湾政府との間に交渉ができて、それによつて具体的な條件がきまるであろう、このことであります。その点は記載しておいても差支えないのじやないか、だから在留ということは事実上の権利としてこれは与え切つて條件と申しますか、俗に言えば條件でありまするが、厳格に言えば在留資格及び在留期間等は、この交渉によつて決定されるという趣旨のことを書いて差支えないのじやないか、そこで但書を加えたのではないかと思うのであります。  第二の点は、ただそれだけにいたしますると、法令の建前から言いますると、然らばこの法律が各法律ができるまでの間却つて当局の意に反した厄介な手続を強要する結果になつてもいけない。そこで「第十九條及び第二十二條の2の規定にかかわらず」、要するに手続を要せずして一応在留が認められる、そういうことを書いたならば該当する人たち安心を与えるんじやないか、かような考慮から、こういう趣旨一つの試みの案というものができた、かように私は承知しているわけです。従いまして、その法律的な点については私は到底杉原委員にかないませんから、よく御説明し得ないのでありまするが、「第十九條及び第二十二條の2の規定にかかわらず」ということを書いた趣旨は、私は煩雑な手続を経過的にも要らないんだという趣旨で書いたんだろうと思います。それから一応資格を与えてしまう、資格と言いますか、その居住を認める、在留を認めるということを言い切つて、更に法律によつて定められた條件云々ということが出て来ることのちよつと異様な点は、むしろ国際関係できまつていないことと、現状において一応法律を出さなければならんということのズレから来でいるものだと私は承知するわけです。  最後にこれを附則第三項に設けるのがいいか、或いは仮にこういうものをやるとすれば、大体原案のように第二條の六の修正で行つたほうがいいかという点は、一面から言うと杉原君の言われたように、重要な事項であるから附則でないほうがいいという御意見も勿論あると思いますが、これは主として実は他意ないのであつて、この点は法制局意見によりまして、大項は第二十二條の2ということの例外規定なんだから、そこに在留を認めるというような杉原君の御指摘のような基本的な案が出て来るのはおかしいから、一応ほかのところに置こうと、ほかのところに置くという場合には一応附則に置いたらどうかというようなことで附則に置いた、こういうような経過を辿つたように私は承知しているのです。  以上意は尽しませんが、一応の趣旨の御説明に多少資するところがあれば幸いだと思います。
  18. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) この際一言政府気持を申上げまして御参考に供したいと思いますが、只今質疑がございました、曾祢委員からのお話もございました附則に三項を設けるという点でございますが、先ほどこれに対しまして政府見解をいささか申上げたのでありますが、政府といたしましては、前回岡崎大臣からも懇々申されましたように、長く日本におられました朝鮮台湾人たちに対しては特別な扱いをしておる、いきなり外国人になるけれども外国人なつたということでいろいろ困ることがあるかも知れないが、それをできるだけ救済して、今まで長く日本日本人として働いておられたということについて十分な考慮を払う、特にこういう管理令或いは登録法というようなものの処理につきまして、無用の混乱を起させないようにというくれぐれもの政府のつもりを岡崎大臣からもよくお話があつたと存じます。特に只今問題になつておりますような附則の三のような問題につきましても、いずれこの法案が成立いたしますれば、政府といたしましては十分なこの法案に対します説明なり、声明なりいたしまして遺憾のないようにいたすわけでございますが、特に従来から日本に長くとどまつておりました朝鮮台湾人たちに対しては政府としても無用の混乱の起きないように、安心して在留できるということにつきまして、十分徹底した方法によりまして処置をいたしたいと、かように考えております。従いまして衆議院、参議院両国会におきましての長い審議によりましても、すでにそういう政府態度が外部に反映しておるとは存じますが、一層そういう点はこの法案が成立いたしますれば、その機会に声明をしてはつきりいたさせるわけでありますので、只今提案になつておりますような若し修正がなくとも十分その目的は達する。政府といたしましては、原案通りに進めて行きたい、その際において政府としては十分な趣旨の徹底を図るということをこの際特に申上げたいと存じます。
  19. 曾禰益

    曾祢益君 今の政府委員の御発言に関連して、私は先ほどの私の申上げた点で重要点を忘れておりましたから、これもやはり委員会空気として、小委員会空気が大体私はこう見ているということをお話申上げて置きたいと思います。そこで法文としては不備な点はあるかも知れませんが、法文案は今私が説明したような趣旨から、お手許に配つた案文になつたのでありますが、これと共に只今政府からの発言があつたように、これだけでは実は相当不十分だということは法文上よくわかるのです。従つて今度出るであろうところの法律趣旨が、ここは到底相、手国との交渉関係があつて、これが全貌を出して関係者安心を与えることはできないということもよくわかるから、我々としては他の方法によつて法令に書くことなく、而もその骨子は非常に緩やかな寛大なものであつて手続を簡略にしてやるんだという趣旨は適当な恰好で、例えば本会議場における政府説明等によつて、或いは政府の声明によつて明らかにすることを期待し、それと一体になつて法文としては必ずしも非常によくできたものでないかも知れないが、法文もこの程度で多少は安心を与える、更に足りないところは、いずれは別の法律が出ればわかることだというものの、その趣旨が寛大なものである、手続を簡易にするものであるということは、この法文と合せて説明答弁或いはできれば声明等によつてつてつたならば、両両相待つて我々の目的とするところが達成するんじやないか、こういう意味で当然に政府からもつと今みたいな抽象的なことでなく、この点に関連しました具体的なものを出してもらうということは一体になつてつたということを補足して置きたいと思います。
  20. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 委員長から政府に質問をいたします。先ほど杉原君から、この修正意見附則第三にしたいという、これについて政府見解と違うということについてまだ政府から弁明がないようでありまするから、それについて弁明を求めます。
  21. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) 先ほど長官から第三項の修正案につきまして、政府としての見解を申述べたわけであります。なお杉原委員からいろいろと御意見がございました点等を総合いたしまして、改めて政府として修正第三項につきまして意見を申上げたいと思います。この第三項は杉原委員の御指摘のように、根本的に違うというように杉原委員は解釈されておるようでございますが、政府当局といたしましては、むしろ成るほど杉原委員の御解釈のように読めば或いはそういう疑いも起きるような感じはする。併しながらむしろ実は私どもこれを読みまして、何と申しますか、小委員会でいろいろ御審議なつた経過とか、そういうものも私ども出席しておりまして、その間に御意見を申上げた等の経緯から申しまして、かなり何と申しますか、気持がわかつた意味でこれを読みますると、原案とはそう違いはない、ただ言葉の表わし方等が、いろいろこれを読みますものが感じの点で、或いは杉原委員の言われるようなふうな感じを持つて読むことがあるということは私ども感じまするけれども結論的には大体政府原案と同じような結果である。併しながらこの内容個々についていろいろと法制上から見ますると、いろいろと意見があるということは小委員会においても私政府意見として申上げたところでございます。例えば十九條というような字句を引用されておつたというような点につきまして、法制上は意見があるわけでありますが、そういつたような細かい点を除きまして、結論的には政府原案内容的には大した違いはない。そこで政府意見としては、そういうことであるならば、何故国会が政府原案と違つた修正案内容的に、立法の趣旨が全然違うものならばいいけれども内容的に少しも、というと語弊がありますが、大体において違わないようなものを何故に修正されるかという点について政府は納得いたしかねる、かような趣旨を根本的に政府としては意見がある次第でございます。そして又この修正案書き方によしますれば、いろいろとこれを読む人が、何と申しますか、或る種のあいまいというような点も、この條文の書き現わし方から出ておるようにも思われますし、そういう点から申しまして、むしろ政府原案のほうが、法文上からも、又根本の趣旨から言つても正しいのではないか、かように考えられるわけでございます。簡単でございますが、御意見を申上げました。
  22. 有馬英二

    委員長有馬英二君) どなたか御発言はございませんか。
  23. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今日は土曜日の午後にもかかわらず、法律案が非常に重要なので、我々は特に小委員会において長い時間をとらないように、非常に議事の進行を図つて討議いたしたのであります。その御報告は先ほど小委員長からございましたが、小委員長法律の專門家でありますために却つて問題の本質はつきりと我々に理解されなかつたように思うので、この点につきまして私は簡単に問題の所在を明らかにし、そうして併せて政府の所信を質したいのであります。それは本日の小委員会は事柄が非常に重要であり、将来アジアにおける日本の発展、日本の建設に重要な関係があるというので、慎重審議、十分にその委曲を尽そうというので催されたものであり、そこで論議の中心になりましたのは曾祢委員の出された修正案、そうしてそれは三点ございまして、いずれも問題の本質関係するところの重大な内容でありました。第一のものは、如何に平和條約を理由にしたと言いながら、人情もなく追返すというような感じではいけないのではないか、且つこれが非常な社会不安を激化しておるのじやないかという点。それから第二は、この二十四條による強制送還の條項があまりにも常識を逸脱して苛酷なものになつておるのではないかという点。第三は、一体送り還すというけれども、どこへ送り還すのか。朝鮮は不幸にして二つに分れて現在流血の不幸にあるし、台湾、中国の関係又然り、然りとすれば一体どこへ送り還すのか、こういうことのために非常に人道に外れたような不幸な状況が起るというので、この第三点。これが論議されまして、第一と第三につきましては、小委員長報告通りほぼ、例えば杉原委員などの御見解によれば多少の問題がありましようとも、一応体をなした法律、技術的に見て体をなした修正案になつて出て、これが小委員長から御報告になつたのであります。そこで私は、一つ政府に質し、一つ委員長或いは小委員長に質したいのでありますが、我々は先ほど申しましたように、連日の審議で非常に疲れておる、そうして土曜日の午後にまでこうしてやつた、この小委員会審議のその結論が、ただ一つの印刷物を得たというだけなのでしようか。私の理解するところによれば、成るほどこの小委員会で決定権はない。無論本委員会において決定すべきであるが、併しこれだけのものが各会派の代表が出て、二については保留という、これはあとで言及しますが、一と三につきましては、不十分ながら一応法律技術的に旦て或る線を得た。少くともこれは各会派に持帰つてこの問題に対して態度を決定するということに値いするところの私は一応の結論を得たものである、無論小委員会に決定権はない。併しながら単にここに、単にこういう書き物、プリントにして出したものを得たというような軽いものではないと思いますが、委員長或いは小委員長にその点についてお尋ねします。
  24. 中山福藏

    中山福藏君 私どもは小委員会におきまして、問題の重点を摘出いたしまして、先ずこれが法案全体を通じての骨子だというところに狙いを置いて審議を進めて行ごうということになりまして、誰かがこの問題について持合せの案はないですかということになりまして、結局曾祢委員から私案があるといつてお出しになつて委員がこれを一応朗読しまして、これならば先ず大体法律を一貫しているところの精髄であるというのでお互いに審議を進めて行つたのであります。而して得たものが結局お手許に配付しました記録でありますが、私どもは決して浮調子な気分でこれを書き上げたのではございません。先ず大体この政府提出の原案がこういう点において粗漏な感じがするのではないか。そのような点があるのじやないかというようなことになりまして、再三反復してくどいほど同じことを繰返して政府の御意見も聞いたのでありますが、大体において私どもの信ずるところによれば、これは私どもの小委員会におきまして、各委員から申された意見をまとめて文章にまとめて皆様方に提示をいたしまして、こういう点を一つ我々は審議をしたのだから、小委員会の意のあるところを一応見て頂いて、そうして更にそれについての深い検討を煩わさなければならん、こういうことになつたのでありまして、単に小委員会において児戯に類したような行動をとつたというようなことは絶対にございませんです。私に対する御質問というのは、結局そういうようなことをお尋ねになつているのだろうと思いますが、如何ですか。
  25. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 つまりあなたの御報告と、その後の取扱いの形を見ておりますと、我々あれだけの時間を尽し、あれだけ周到な考えでまとめたところの扱い方について、ただこういう話が出たというのでは我々いささか心外であつて、これは相当に各会派の話合いで委曲を尽したつもりであり、従つてごの取扱いについては相当に各会派とも慎重な態度をとるに値する問題であるということをお尋ねしたのでありますが、そういう点は大体御了承願えたわけではありませんか。
  26. 中山福藏

    中山福藏君 私は委員長として各委員の申されることを取りまとめて、皆様がたのお申出によつて取りまとめてそれを記録したつもりでいるわけであります。従つてそれが軽重の関係につけては、もう如何なる委員会でもこれは私ども国民を代表して審議しているのでありますから、相当真劍に取扱いをしたつもりであります。従つてこれは修正案ではないということを冒頭に私は申上げているわけであります。私は修正案なら修正案の形をとつて御提出あるのが当然じやないかと案は委員長としては考えているわけであります。
  27. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それはその通りでありますが、これはこれを承認するかしないかということは、本格的に修正案として出され、無論所定の手続を経て出されて問題になるのでありましようし、或る会派はこれを承認しないでありましようし、或る会派はこれを承認するでありましよう。併し小委員会の成果ということはどういうことになるのでしようか。
  28. 中山福藏

    中山福藏君 小委員会の成果と申しますと、これは私個人の考え方でありまするが、各委員の申された事項並びにそのうしろに控えておりますところの党の御意見というものが意見として現われたものと考えております。従つてそういう意見をまとめまして一応記録されたわけでありまして、その取扱いにつきましては、各委員個人の意見ではいけない、その背後にありますところの政党の御意見を一応承わつて……。で、この案を一応政党に持つてつてその意見をまとめた上でお互いに一つ態度を決しなければならない、こういうふうに私申上げたと覚えております。
  29. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それで大体私は了承いたします。そういう御慎重な態度は私は承認できると思います。ただ時間をお急ぎになつた点で第二の問題になりますが、当初これは一番問題になりまして、遂に妥結に到達できなかつたところの第二の問題についての御報告を御省略になつたように思いますが、私は第二の問題として、私はこの法律案の最重要なものであるこの二十四條の強制送還について、曾祢委員の提示されましたハ、二、ホというような程度修正では到底この問題は解決できないのです。これは将来我が国の内政及び外交上に大きな暗影を残すであろうということを指摘して、更に私はオ、ワ、カ、ヨを適用しなければならない、そうして二十四條の二項も又これは適当でないというふうの意見を申述べ、それに関連して岡田委員その他から非常な御論議があつたということの御報告はありませんでした。これは非常に遺憾なことでありまして、妥結には成るほど到達できなかつたけれども、これはこの法案審議における各党の態度及び将来の責任にとつて重要な問題であろうと考えますので、これにつきましては、私はやはり速記録の上で明らかにして置かなければならんと思いますが、時間もすでに経つておりますので、私は速記録に載つていなかつたことを載せて置くという意味で、極く簡単に先ほど小委員会お尋ねし、且つ政府委員の御答弁されたことを簡潔に私は速記の上に残す意味において質疑することをお許しを願いたいと思いますが、それはこういうことであります。この二十四條の強制送還をどういうふうに今まで実行しておられるか、及び今後どういうふうに実行される考えであるかということを、これの答弁を願いたいと思います。
  30. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 只今の二十四條の今までの運用ということにつきましては、特にこの管理令が昨年十一月一日から施行になつておりますけれども朝鮮台湾人たちにはこの二十四條が適用になつておりませんので、二十四條によると強制送還ということは現在までは行なつておらないのでございます。で、今後この原案がいよいよ成立いたしまして、実行に入るということになりました場合に、政府としてはどういうような態度でこの二十四條を運用するか、この点につきましていろいろ各方面で疑いを持たれまして、相当論議の対象になつておるということを十分承知いたしておりますので、政府といたしましては、非人道的な取扱をしないのであるという意味で特にこの運用方針というようなものにつきまして、我々の関係者以外にもこれを明らかにいたしたいと存じます。例えば問題になつております二十四條の中で癩患者であるとか、精神病者であるとか、或いは貧困者というので公共の負担になつておるというようなものは一応送還をすることができるということで送還の対象になつておりますが、こういう人たちに対しましては、特に社会の秩序を害するというような悪質な人たちのみに限つて考える。そうして各決定に当りましては、送還先の相手国の医療施設というようなものも考えて、粗手国と十分連絡の上に処置をする。又第四号のあとのほうにございますいわゆる行政上の判断で処置をいたしますような場合につきましては、特に公正且つ慎重を期することにいたしまして、末端でこの業務を扱つております入国審査官に対しましては、本庁の個別的又は包括的な指示に基いてやるようにという訓令を発することといたしたいと存じます。くれぐれもこの二十四條の適用につきましては、人道上苛酷の結果を生ぜしめないようにということを眼目にいたしましてこの二十四條を運用して参りたいと、かように考え、又これを周知させるということを申上げておきます。
  31. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 小委員会におきましては、もう少しあなたは具体的にこの問題を明らかにしておられると思うのです。それは今までは何法によつてどういうふうな送還方法を、密入国者その他に対する外国人登録令を運用して……、これは他の委員のかたの質疑で、私の質疑ではありませんでしたけれども、それに対して今まではどういう法律によつてどういうふうの件数をどういうふうにしてされたかということをこの際もう一遍繰返して頂きたい。そうして速記に明らかにしておいて頂きたい。それから第二に、この法律が効果を発生して参りますと、あなたは、過去のこれに関して犯した者には及ぼさないが、この法律が発生したその日からこれは効果を現わして来て云々と或いはこの出た法律によつて萎縮して、こういうことは一つも犯されなくなるであろうというような希望もありましたが、それはそれとして、どういうふうにこれが運用されて行くのかということを、小委員会で御発表になつ程度でも結構ですが、その点明確にして頂きたい。それから第三に、やはりこれも小委員会であなたたち政府委員が明快にされた点ですが、送り還す場合には、これは朝鮮人を全部、平和條約並びにその他の法律関係から言つて大韓民国に所属するものであるから、それへ送り還すべきであるという法律論、そういう点もやはり明確に一つしておいて頂きたいと思います。
  32. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 先ほどの問題に補足いたしまして、なお二、三点申上げたいと存じます。この管理令が十一月一日から施行されておりまして、朝鮮台湾の人には現在は適用されていない。然らば現在何の法規が適用されておるかと申しますと、これは今回の法律で廃止をお願いしております外国人登録令という古い法令によりまして、不法入国者は必ず送還するという密入国者に対する強制送還ということを規定しております外国人登録令によつて強制送還が行われておるのでございます。その次の点といたしまして、二十四條の強制送還規定がいつから動き出すかと申しますれば、それは平和條発効と同時にこれが動き出しまして外国人に適用されるということになるのでございますが、この中に盛られております内容についても、やはりこの管理令が動き出しましてから適用を受けるという関係で、例えば何か犯罪を犯したということで送還されるという規定がこの中にございますが、その犯罪を犯しました時がいつであるか、それは申すまでもなく、この平和條発効後にそういう行為があつたということによつて、それに基いた刑事手続が済み、そうして一年以上の刑に処せられたと、そういう後に初めて送還ということが行われて来るのでございまして、この法律が効力を発生してから起きた活動に対してこの規定が適用されるということになるわけでございます。それからなお送還の問題につきまして、更に明らかにするようにという点でございますが、現在朝鮮の問題につきましては、朝鮮の土地が平和條約によりまして、平和條約の発効と同時に、日本側としましては大韓民国の独立というものが法的に確認されるわけでございますが、朝鮮におきます唯一の政権は大韓民国であるのでございまして、而して大韓民国におきましては、大韓民国の国内法によりまして、朝鮮人たち国籍というものは全部大韓民国の国民であるということに規定をいたされておるのでありまして、日本政府といたしましては、大韓民国を唯一の政権としておる関係で、我々の扱います朝鮮人たちは大韓民国の国民であるとして、大韓民国が又自分の国民である以上は責任を持つて引受けるということになつておりまするので、大韓民国の人は大韓民国に送還の問題が起きました場合には送還するということが手続上行われねばならない筋合になつて来るわけでございます。台湾につきましては、台湾人たちは、これは送還につきましては、台湾に送り還すということは、現在におきましても、現在の中国政府の承認を得て現在日本におられる人たちでありますので、この人たちが中国政府のある台湾に送り還されるということにつきましては、実際上の問題は何ら起きなないと思います。なお日本におりますいわゆる台湾以外の中国の人たちにつきましては、これはいろいろむずかしい点もございますが、実際に中国大陸と日本との交通がございません関係で、送り還す、韓国におけるがごとくに日本から船を仕立てて強制送還をするという途は今のところはないのでございます。
  33. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そこで私は小委員会におきましては、これは小委員長から報告がないので、私は速記録にとどめて明らかにしておきたいのでありますが、この曾祢委員提案しておられますハ、二、ホという忌わしい病気であるとかいう全く非人道的な條項による強制送還の問題も妥結するに至らなかつた。又私がそれに附加えたオ、ワ、カ、ヨ、これらは労働者としてストライキに参加するとか、ビラを撒いたとかいう理由で、これは強制送還されるのでありますし、ヨという條項に至りましては、外務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行なつたと認定するだけで……認定です、一外務大臣が認定しただけでその人が送り還される、つまり朝鮮人であれば、先ほどの理由で大韓民国へ送り還される、台湾へ送り還されるということになつてしまう。これはいま日韓の協定が進んでおるし、日台の協定も進んでおり、朝鮮の停戦の問題が進行しており、中国の中華人民共和国の承認という問題もこれは舞台裏では進んでおる、こういうような大きな変革の前夜にこのような乱暴な……、これが如何に乱暴であつたかということは、同僚伊藤修氏の連合委員会における質問に対して政府は全く答弁ができなかつたし、それからこれらの條項は破防法以上のものである。曽つて大橋君が問題にされた団規令そのものである。そして現在それを遥かに緩和した形の破防法でさえも、学術会議以下の日本の朝野を挙げて反対を受けておる。それらに二重、三重に輪をかけて乱暴な、かような強制送還の條項をこの際参議院の法務委員会、特にこの小委員会において慎重審議するにおいては、これをせめて半年間、一年間だけでも、もう少しこれの発動を留保することによつて、アジアの政治経済の推移を見、又内においては他民族に対する日本民族の周到な態度を示すということを私は提案したのでありますが、曾祢委員の極めて明快なるハ、二、ホでさえもこれが妥結するに至らなかつた。いわんや私の問題といたしました点は、小委員会では遺憾ながら採用されて成文をなすに至らなかつたということだけを小委員長報告に加えて私から報告して議事録にとどめておきたいのであります。以上であります。
  34. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ほかに御発言ございませんか。
  35. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私はちよつとこの問題とは離れますが、外国人の帰化の問題について伺いたい。それは昭和二十年九月二日以前から引続き住んでおる、そうして特に日本人を配偶者としているというような人々で今度外国人なつた、或いは又従来から中国の国籍を持つて永い間住んでおつて日本人を配偶者としておるような人もたくさんおる。そういうふうな人々が日本に帰化をする、そうしてその人々が帰化をする場合にいろいろ法律があるのでありましようが、そういう人々の日本国籍への帰化については何か簡易な手続でこれから入つて来る外国人、まあ一般の外国人の帰化の手続よりも容易な方法で帰化ができるようにする、こういうことを政府考えておられるか、そういうような、手続規定法律を持つておられるか、そこをお伺いしたいのです。
  36. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 帰化の問題につきましては、所管は法務府の所管ではございますが、我々の承知しておりますところで申上げますれば、只今お話のような、長いこと日本におられたということは帰化の條件としては非常に有利な條件になつておるわけであります。従いまして国籍法によつて帰化の手続が行われるわけでございまして、事実上日本に長く平穏におられたということは帰化をされる際の有利な條件であるということは申上げられるわけでございます。
  37. 杉原荒太

    杉原荒太君 小委員会委員長から御報告がありましたが、この二つの事柄について、最初の問題につきましては、先ほど私自分の所見を申述べたのでありますが、第二点についての私の意見を申述べたいと思います。この送還先について、こういうふうな案をお考えなつた御趣旨は私もよく了解できます。ところが若しここにあるような案文で以て仮に改正案ができるとしますというと、それと今のこの五十三條とを比較して見ますと、法理的に見ますというと、却つてこの今のこつちのほうが本人の意思というものを認める範囲が少くなることになると思います。と申しますのは、その理由は二つありますが、一つは五十三條によりますというと、「国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。」そして「前項の国に送還することができないときは、」とある。これはその特別の事情……、その原因の如何を何ら限定していないわけなんです。法律上、事実上如何なることであつても、前項によりがたいと認められたときは必ずせねばならん。それからもう一つ最も重大な点は、五十三條によりますと、そう認定されたときは、これは必ず本人の希望によらなければならんことになる。ところがこつちの小委員会の案によりますと、それはただ希望を徴するだけで、送還先の決定権は依然として官憲にありということになつてしまう。
  38. 曾禰益

    曾祢益君 これも先ほどと同じことで、私は小委員会の案をここで守るとかいう意味もないし、そういう意味じやないのですが、ただ杉原委員の御発言の中で、こういう趣旨には御賛成であるやに承わつたので非常に私も安心したわけなんですが、そこで五十三條の二項で、例えばこういうふうに申上げてよいと思いますが、要するに朝鮮人の場合は全部韓国に送り還すことに人道問題が起るのではないか。そこで一応政府の御説明では韓国政府のほうは当然に統一政府とか、唯一の政府ということを建前に立つているので、いわゆる北鮮系統と認められるような、生地がそうであるとか、或いは思想的傾向がそうであるという人も韓国のほうは、大韓民国のほうでは受取方については異存がない。従つてこつちが仮にそれを送ろうと思えば、明白に北鮮系である人を大韓民国に送つた場合に非人道的な扱いがあるかも知れない可能性のある人の場合にいわゆる送還することにはならないのではないかと解釈せられます。御説のようにそういう場合は送還不能と認めて本人の意思のみによつてやるというのは実は賛成なんですそういう解釈がとれれば……。ところがそうじやないのじやないかということが非常に朝鮮の場合には危惧されているわけです。一方今度台湾及び中国の場合、台湾人についてはこれは台湾政権に還す。台湾政権のほうは当然OKである。こういうことになるわけですね。そこでその中で台湾政権に還した場合に、やはり非人道的な扱いが起りはせんかということも起りましようし、文通にいわゆる国民政府台湾政府ですがね、反対のほうの過去の記録を持つておりまして、例えば対日協力者というような廉によつて台湾政府に還させられては困るという人があるかも知れない。そういう場合も五十三條の第二項で不可能とは少くとも政府考えていない。それから第三に、もともと中国人であつた人、中国本土としての……。これらの場合についても事実上恐らく中国本土に還すということは事実上不可能だということで、暫らくの間は杉原委員の言われたような、或いは第二項でやることはできるということになる。或いは確信を持てるものと思います。そういう場合には確かに中国本土に仮に還せるようになつたとすれば、非常に非人道であると言うグループの人は、第二項によつて本人の意思だけで還すことは非常に都合がいいということになるかも知れませんけれども、これを要するに全部の場合を、総合いたしますと、政府のほうでは台湾人、朝鮮人の場合には、これが不可能とは考えていないようであります。従いまして五十三條の二項で行けば、我々の趣旨としてはむしろそのほうがいいと思いましたが、そうできないとなると、然らば本人の希望によつてのみきめるかということを、実はそういう案も出たのです。ところが本人の希望だけできめるということになると、今度は政府が大韓民国なり、台湾政府なり、或いは中共政府と将来なるかも知れませんが、交渉する場合に本人の希望だけできめられたんでは怪しからんという問題が起りはしないか。やはり自分らとしては元中国人、元台湾人を含めて、朝鮮人に関する管轄権を持つているのだから、本人の希望によつてきめると原則的に考えたのではかなわない、困るという非常にやはりそこにジレンマが起るのではないか、まあ我々としてそこまで考える必要はなかつたかも知れないが、立法府のものとしては……。併しまあ政府の立場も我々も考えつつ、やはり国際問題だからやつて行く必要があるという、そういうことになりまして、非常に不徹底のきらいはあるけれども、第五十三條二項では多くのものは救われない。而も人道問題が起るという感覚の下に、そういう場合に本人の意見を徴してきめるという程度にしておけば人道問題も救われるし、又相手国に対する政府交渉でも一様にも二様にも申訳は立つのではないか、こういうような気持から法制的にああいう作文になつたように私は考えております。ちよつと御説明になりますが……。
  39. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私杉原委員の明快な御説明でよく了解しました。ところが杉原委員は五十三條の二項について非常に明快な御説明がありましたが、殊に我々の心配するのは第一項なんです。ところが第一項たるや「国籍又は市民権の属する国」というので、平和條約と大韓民国の国籍その他で高飛車に……。ところがすでに昨日ですか、問題を出されております。その問題を政府は飛び越えてどんどんやつてしまうと、この第一項に対する救済規定をどうするかというのは曾祢委員見解なので、併せてもう一遍あなたの明快な一つ法律的な御意見を拝聴しておきたいと思うのです。つまりこの第一項のそういう場合の何でもかんでも大韓民国へ送り込むのだという、こういう意思強固な方針に対して、小委員会で一応まとまりましたこれによつてどの程度の救済の効果があるかという点を一つ承わつておきたいと思います。
  40. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ちよつとお諮りいたしますが、大体質疑が出尽したんじやないかと思つております。只今お述べのようなことは、すべて御意見のように私は承わりますから、従つて討論に移りたいと存じます。如何でしようか。
  41. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちよつと議事進行について、これはちよつと速記をとめて下さい。
  42. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ちよつと速記をとめて……。    午後五時五十九分速記中止    —————・—————    午後六時二十三分速記開始
  43. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記を始めて……。熱心に御審議を頂きまして感謝いたします。そこで大体皆さんの御質疑も終つたようでありまするから、質問は今日で打切りまして、明後日の朝討論に入つて進めたいと思います。さよう御了承願いたいと思います。
  44. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の質問に対する政府側答弁が残つておりますから、それを一つその前にして置いて頂きたい。
  45. 三宅喜二郎

    政府委員三宅喜二郎君) 昨日の杉原さんの御質問……、今日の第二点ですか。
  46. 杉原荒太

    杉原荒太君 昨日のです。
  47. 三宅喜二郎

    政府委員三宅喜二郎君) 昨日ですか。
  48. 杉原荒太

    杉原荒太君 今日答弁する約束だつたのです。
  49. 三宅喜二郎

    政府委員三宅喜二郎君) 昨日の杉原委員の御質問の点は、日米通商條約において、日本における外国人の経済活動について最恵国待遇を与えるのか、内国民待遇を与えるのか、どういう方針で臨むのかという御質問であつたと思います。その点につきまして、その交渉に当つておりまする関係官に私確かめたのでございまするが、この問題は非常に交渉中の事項に関して機微である。どの活動については内国民待遇、どの活動については最恵国待遇というような非常な機微な問題を含んでおりまするので、現在ではお答えすることは困難である。併しただ一点はつきり申上げられることは、飽くまで相互主義に則つてつておる、これだけのことは申上げてもよろしいということでございましたから、そういう点だけをここに明らかにしてお答えをいたしたいと思います。  それから入国管理令の第四條との関係かと思うのでありまするが、それは私が昨日答弁した通りであるという意見でございます。
  50. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) ポツダム政令関係外務省関係命令の措置に関する法律案の第二條の六項に、「日本国籍を離脱する者で、」という、「離脱する」という法令上の字句と申しますか、表現が、国籍法にいうところの離脱と混同しやすい、いわゆる国籍法に言う離脱というのは、自己の意思に基いてするような場合に「離脱する」という表現をしておる。そこでこの第六項の場合は、むしろそういうことではなくして、国籍を失う、喪失すると書くほうが適当であると、かような御意見のように承わつたのでありますが、この点につきましては、昨日そういう御意見がありまして、法制意見局ともいろいろ打合せで参つたのでありますが、誠に御意見通り「離脱する」と書いてございますが、この意味は勿論、これは失う、喪失するという意味でございます。併しながら御指摘のように、国籍法との関係上、「離脱する」という言葉が不適当ではないかと、こういう御意見でございますが、この点はこれは国籍法との関連なしにこれは使つたものであつて、必ずしも国籍法に規定しておる通り書く、それほどの必要もなかろう、新らしくこれを書くとすれば、国籍を失うと書くほうがベターであるということは十分了承するけれども、御指摘のように、離脱と書いたらいろいろ混乱が起きるというようなことはない、その意味でこれは離脱とあるけれども国籍法に言う離脱ではなくて、この場合失うという意味であるから、この点御了承を願いたいと、かようにお答え申上げます。
  51. 團伊能

    ○團伊能君 先ほで曾祢君から御発言がありましたように、二十八日に講和発効するという特殊な事情によりまして、月曜日の討論におきましては、理事会とお諮り頂きまして、討論時間等の御按配を願いたいという希望を申述べておきます。
  52. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は先ほどちよつと懇談会のときに申上げましたが、私も一二質問が残つておりますが、これは一時間かかるところを数分に縮めて、ちよつと質問だけさして頂きたいと思います。それで打切りに賛成いたします。一つは、この密入国嫌疑で大体五百名ほど強制送還されており、密入国嫌疑で捕われた後釈放された人の証言によりますと、現に大村の収容所におるものの中で、約半分が戦前から日本に在住していた人たちであるというふうなことを聞いておりますが、これに対してちよつと政府の御回答を得たいと思います。
  53. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 現在密入国で大村におります人数は百名足らずだと思います。これは入国管理庁が一昨年の十月できまして以来、密入国者を検挙いたしまして、それを送還いたしておりますが、現在まで三千五百名くらいの程度でございます。全部を送りました数が……。それからその中に従来から日本にいた人たちが半数あるのではないかというお話がございましたが、これは曽つて日本におつて、そして戦時疎開で朝鮮に帰つたというような者が、何らか日本に親戚とか、そういうものがあるのでそういうものを訪ねて密入国して来たというケースが相当ございますが、大体今申上げましたようなものが大半でございます。
  54. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 三千五百名ほど密入国嫌疑で逮捕されたのか、送り還されたのが三千五百名か。
  55. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 送り還しました数字でございます。
  56. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 逮捕はどのくらいですか。
  57. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 逮捕は、これはお手許に資料が差上げてあると思いますが、そう大して違つておりません。
  58. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一つお尋ねしておきたいと思います。昨年の六月二十二日、警視庁の軍事法廷で、検事から韓国の某高官の要請によつて、金宝聖という人の起訴を却下されたいということがあつて、裁判長がそれを認めて即時釈放されました。ところが釈放と同時に警視庁では密入国の疑いとして再逮捕の形をとつて逮捕し、昨年の十月三十日に出入国管理庁の決定であるとして本国送還になつておりますが、この金宝聖という人は戦争前から日本に住んでいた人なんですが、お尋ねしたいのは、昨年の十月三十日に出入国管理庁の決定として本国に送還をなさつております事実について御答弁願いたいと思います。わかつておりますか。
  59. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) そういう人を送り還しましたのは事実でございますが、何日であるかということは今わかりませんが、送り還されたのは事案です。
  60. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 事実ですか。
  61. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) それは事案でございます。
  62. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 事案……。その金宝聖君を十月三十日に送り還されましたのは、密入国の疑いとおつしやいますけれども、これは戦争前からずつと住んでいた人ですが、密入国の疑いありとして再逮捕の形をどうしてとられたか。又釈放のときには大韓民国の某高官の要請によつて起訴を却下されたいということで、警視庁の門を出し、その門を出ると同時に逮捕されたということは、こういうことは事実として承認されますか。
  63. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) その詳しい点は今存じておりません。
  64. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それでは私の質問したところを明後日の討論の前に回答して頂きたいと思います。今できなければ。……お尋した点はわかりましたか。
  65. 有馬英二

    委員長有馬英二君) よろしいそうです。
  66. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ではこれで終ります。
  67. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ちよつとお諮りいたしますが、今朝の公報で、日本国との平和條約第十五条に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件というのが議題として載せてあるのでありますが、只今から、これは極めて簡単で、西村條約局長が待機しておりますが、甚だ簡単でありまするから、時間が大分遅れていますから……。よろしうございますか。御異議ございませんか。
  68. 曾禰益

    曾祢益君 ちよつと委員長。それはどういう……。予備審査ですか、それとも……。
  69. 有馬英二

    委員長有馬英二君) いや衆議院が今日上つたのです。
  70. 曾禰益

    曾祢益君 今日上つておるのですか。
  71. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それで今から若しできれば條約局長から説明を聞いて、そうして明後日これについて質疑応答をして頂きまして、採決をして頂  こうかと考えております。
  72. 曾禰益

    曾祢益君 説明はもう聞いたのです。
  73. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 失礼いたしました。説明はこの前聞いたのです。
  74. 曾禰益

    曾祢益君 どうですかね。説明は聞いたのですから、質疑等については、今日はもう朝から晩までやつているのですから、勘弁してもらえないですかね。
  75. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 明後日にいたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それではそういうことにいたします。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後六時三十六分散会