運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-04-04 第13回国会 参議院 外務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月四日(金曜日)    午前十一時十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            徳川 頼貞君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            中山 福藏君            岡田 宗司君            金子 洋文君            加藤シヅエ君            大隈 信幸君            兼岩 傳一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    外務政務次官  石原幹市郎君    外務大臣官房長 大江  晃君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  三宅喜二郎君    外務大臣官房会    計課長     高野 藤吉君   事務局側    常任委員会専門    員       坂西 志保君    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○在外公館に勤務する外務公務員の給  与に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   ―――――――――――――
  2. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) それでは只今より外務委員会開会いたします。  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律案を議題に供します。政府より説明を求めます。
  3. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律案提案理由を御説明いたします。  昨年九月八日にサンフランシスコにおいて大多数の連合国我が国との間に署名調印されました平和條約は、いよいよ近い将来において効力を生ずる見込でありますが、この平和條約の効力発生に伴いまして、我が国と諸外国との間には正常なる外交関係が回復いたし、諸外国に大公使館領事館が設置されまして、大公使以下多数の外務公務員在外公館に勤務することとなるのであります。  御承知のようにこれらの外務公務員のうち、大使及び公使特別職、その他の者は一般職国家公務員でありますが、これらに支給いたします給与につきましては、いずれも他の国家公務員と異なり、外国に勤務するために必要な特殊の給与が必要であり、更に給与支給方法等につきましても特例を定める必要があります半面、他の国家公務員に対して支給している給与支給の必要のないものもある次第であります。  従いまして現在施行されております特別職職員給与に関する法律及び一般職職員給与に関する法律特例を定めますと共に、在外公館に勤務する外務公務員に対して支給いたします特別の給与について規定いたします給与法規の必要を痛感いたし、政府はここに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律を制定し、以て在外公館に勤務いたします外務公務員支給する給与を保障いたそうとするものであります。  以上がこの法律案を提案いたします理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御採択あらんことをお願いいたします。
  4. 大江晃

    政府委員大江晃君) 私から在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律案内容を御説明いたします。お手許にお配りいたしました説明書はいささか長文でございますから、法案の各條につきまして要点を御説明申上げたいと思う次第であります。  先ず第一はこの法律目的でございまして、特別職である大、公使一般職外務公務員であるとを問わず、在外公館に勤務する外務公務員であればこの法律によつて給与を受けるということを定めてあるのでございまして、これからの御説明の中には在外職員ということでお話申上げたいと思います。  第二條在外職員支給する給与につきまして総括的の規定を設けてございまして、大使及び公使俸給は、いわゆる本俸というものは、これは特別職職員給与に関する法律に基いて一般特別職と同じものであります。その他の在外職員につきましても、やはり本俸及び扶養手当というものは、一般職職員給与に関する法律に基いて支給されます。又年末手当につきましても国家公務員に対する年末手当支給に関する法律に基いて支給されるわけでございます。従いまして在外職員におきましては、大使公使特別職に関しましては在勤俸加俸、その他の在外職員につきましては在勤俸加俸及び特殊語学手当というものをこの法律規定に従つて支給することを定めたのでございます。又在外職員には超過勤務手当支給しないこととしておりますし、一般職職員給与に関する法律規定されております俸給の減額は行わないことにいたしております。  第三條におきましては、給与支払いについて規定いたしておりまするが、これは在外職員扶養家族本邦に残して置くような場合もございまするので、この場合に俸給扶養手当、年末手当というようなものを、一般国家公務員が受ける給与本邦に残して置くということができることを規定したものでございます。  第四條は給与支給方法でございまして、一般公務員は御承知通り月二回給与を受けることになつておりまするが、在外職員に関しましては手続の問題、或いは為替手続上の不利益もございますので、毎月一回月の終りに支給するということを定めております。これに関する技術的の規定を加えたものでございます。  第五條におきましては、これが在勤俸の定め方を規定いたしたものでございまして、在勤俸というものは、在外職員がその土地におきまして国家を代表いたしまして体面が保てるようなものでなければならぬというような関係上、在外公館所在地におきまする物価為替相場生活水準を勘案して適当な額を定めるということを謳つたものでございます。  第六條におきましては、在勤俸支給額規定でございまして、これが別表に掲げました在勤俸各地におきまする年額の表でございますが、これはアメリカドルで以て払うということに規定いたしております。  第七條は在勤俸に関しまする調査報告制度でございまして、為替相場の変動その他によりまして在勤俸を変えて行かなければならぬというようなことがございますので、在外公館長は定期的に調査報告書を出すということを定めております。  第八條、第九條におきまして、この在外公館長から出ます定期報告によりまして、外務人事審議会在勤俸改訂大臣に勧告することを定め、又第九條におきまして在勤俸改訂を必要とする際には、国会開会中は国会にお諮りし、国会が閉会中であれば、緊急の必要があれば政令で行うということを定めたものでございます。  第十條は在勤俸支給する場合の支給期間規定でございまして、到着の日の翌日から出発の前日までというふうにいたしておりまするのは、いずれも旅費の日当を支払いますために、これとダブらないためにこういうふうに規定をいたしたものでございます。又この各項の中におきましていろいろな場合を規定し、殊に休暇帰国の場合に在勤俸を一応受けることができておりますが、これも二カ月以上休暇帰国が超える場合には在勤俸支給を中止するというようなことを規定いたしております。  第十一條におきましては、戰時等特別の事態に際しまして在外公館所在地が移動する場合がございまするので、その場合すでに在勤俸規定されておりまする土地に移ります場合は、その土地在勤俸による、そういうものがない場合におきましては従前おつた在勤地在勤俸給与するということを規定いたしたものでございます。  第十二條は、これは加俸種類を定めたものでございまして、加俸の中には三つございまするが、第一は配偶者加俸でございます。これは御承知通り在外職員在勤地配偶者を伴う場合、第二は代理加俸でございまして、在外公館の長に事故がある或いは転任の場合にこれを代理するもの、第三は兼勤加俸でございまして、在勤地以外の在外公館に兼職を命ぜられた場合に受けるもの、この種類を定めたものでございます。  十三條以下におきましては、この加俸支給額を定めたものでございまして、十三條におきましては配偶者加俸、それは在勤俸の百分の四十ということにいたしております。第十四條におきましては配偶者加俸支給期間の細かい技術的なことを定めてございます。第十五條におきましては、配偶者加俸を受ける在外職員扶養手当支給しないということで、これは当然のことでございまして、扶養手当をダブつてもらわないということを定めたものでございます。第十六條は代理加俸でございまして、代理加俸は百分の二十ということにいたしております。第十七條は代理加俸支給期間でございまするが、これが極めて短い場合のようなときはこれを支給しないというようなことを謳つております。第十八條におきましては兼勤加俸支給額を定めておりまするが、これは百分の十でございます。第十九條におきましてその支給期間規定をいたしておりまするが、これは兼任のためその在外職員目的地行つた日からその目的地を出発するまでと、実際にその国に行つた場合に兼勤加俸というものが受けられるということを規定いたしております。  第二十條におきましては特殊語学手当規定をいたしておりまするが、これは勿論特別職の大公使を除きまして、一般職市外職員に関しまして、語学研修のために奬励という意味も含めまして、百分の二十を超えない範囲で、政令で定めるとこるによつて特殊語学手当を出す。御承知のように英、仏、独、スペイン、或いはロシア語中国語というような、いわゆる世界に広く通用いたしまする語学につきましては、常時在外各地公館長職員に対しまして語学研修を命じておりまするが、ペルシヤ語であるとか或いはインドネシア語であるとか、或いは韓国語、こういうような特殊な語学につきましては、当該国におきましてなかなか語学研修を受けるのがむずかしい、又適当な語学の教師を得ることも困難であるというような点を考えまして、こういう特殊語学手当支給することを規定いたしたものでございます。  第二十一條は、給与端数計算という極めて技術的の問題でございます。  第二十二條罰則規定でございまするが、一般職職員給与に関する法律規定せられておる罰則に倣いまして、同法と同じ罰則を定めております。第二十三條は国外犯罪について定めたものでございまして、在外職員給与国外において支給せられるものでありまするから、罰則規定国外犯罪について適用されるようにしておく必要がありますので、この規定を適用することにいたしたものでございます。  附則におきましては、これは効力発生の時期を定めてございまするが、四月一日までに効力を発生しないときは、平和條約の効力発生を待たずに四月一日から施行するというふうにいたしております。これは附則の三項におきまして、すでに各地に置かれておりまする在外事務所というものが権限拡大を認められまして、現在におきましては殆んど大公使館、総領事館領事館と同等な任務をすでに遂行いたしております。又在外公館の名称及び位置を定める法律案の中において御説明申上げました通り、場合によりましては一、二の個所におきまして在外事務所として残るものもあるというような関係上、在外事務所に置かれておりまする職員給与に関してもこの法律を適用するということを定めたものでございます。  以上が在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律案の概要の説明でございまするが、足りない説明の点も多々あると存じまするので、御質問によつてこれからお答えいたしたいと存ずる次第でございます。
  5. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 この給与というのは量的規定ですが、今まで次官官房長説明量的規定説明一つもない。量的規定説明を全くなさらない説明を聞いたつて理解できない。そうでしよう。給与というのは量でしよう。もう少し量の説明をして下さい。そういう官僚的な抽象的な説明をしないで……。頭は確かか、何の説明ですか、馬鹿々々しい。
  6. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 量的な御説明を申上げます。別表に附いておるのでございますが……。
  7. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 別表だけでなくて、全体としてあらゆる條項に亘る量的規定條項を組織的にきちつと説明しなさい。附足りのような恰好でなくて、それこそがこの法律案内容じやないか、君。
  8. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 御説明申上げます。  在外交館の設置される場所につきまして、大使から公使、それから館員を十二階級に分けまして、先ず内地におきまして大体一般公務員の五級程度の人が、アメリカにおきまして生活し得るにはどのくらいドルが要るかということを一応の基準といたしまして……。
  9. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 手許に渡つている資料との関連において説明して欲しいのです。自分だけわかつておつたつてこちらはわかりやせんです。
  10. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 別表に従いまして御説明申上げます。  それが十号に大体該当いたしまして、月に約二百三十ドルを要する標準になつております。これがアメリカにおきまして中の下乃至は上の下ということにいたしまして、それは年間にいたしますと二千七百五十ドル、それが別表に附いておりまする大使館の一番初めのアメリカ合衆国の十号の二千七百五十ドルということに相成る次第でございます。これを国内一般公務員級別給与増加率を掛けまして九号、八号、七号というふうにだんだん上つて行くのでございまして、その率が十号が大体十割といたしまして、九号が十一割、八号が十三割、七号が十五割と順次上つて行く次第でございます。但し大使及び公使につきましては、その国における外交事務繁雑性乃至は館員の数等を考慮いたしまして、別の観点から又計算した次第でございます。  それから各国における地域差におきましては、アメリカを百といたしまして、大体の物価水準を見まして、それで係数を掛けた次第でございまして、例えばアメリカが一〇〇の場合にはブラジルが九五、アルゼンチンが九〇と、そういうような係数を掛けてこの別表ができた次第でございます。それ以外に量的な説明を申上げますと、個個別々に御質疑がございましたらお答え申上げます。大体別表の算定いたした基準を御説明申上げました。
  11. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういう附足りのような説明をしないで、それがこの問題の中心点なんだから、この在外の基本的な法規、その他各條にありますね。留守家族がどういうふうに受取るか、それから職務俸等々がどうなるか、我々はここへ出て来て卒然として聞くのでなくて、そういうものに対してよくわかるように、そんな附足りのような説明をしてもらいたくないんだ。給与法律だから、給与に関するすべての体系を数学的に説明し、且つその根拠を示して欲しいのだ。次官自身おやりなさい、そんな下僚に任せないで、そんな部下に書いてもらつた抽象的な文句を以て事足れりというような説明じや困る。官房長もつとしつかりしなさい。何です、そんな官僚主義的な説明をして、それで我々に了解を求めるというのは以てのほかです。今のあなたの下僚説明国会議員に対して十分な説明ができたと考えますか。不まじめな態度じやありませんか。そういう説明では何もわからん。先ず基本給、本人の内地におるときはどう、外地にいるときはどう、それから外地におるときはどういう階級において如何ほどの金がどういう費目において与えられ、そうしてそれに対して留守家族はどういう待遇が与えられる、戰争のときはどうと、あらゆる條項文句を以て規定してあるけれども、全部量的な規定なんです。そういうことを組織的に理論的に説明する義務がある。それでなければ審議できん。無用な文句をだらだら、官僚的な、戰争前の古い官僚制度のようなことを今繰返されるのは実際不愉快ですね。それが法律という形体をとるだけなんでしよう。問題の内容というものを正確に国会説明する義務がある。
  12. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 在外職員給与につきましては先ず本俸がございます。これは国内におけると同じものを出すわけでございます。特別職一般職がございます。それにつきましては、特別職特別職給与を、一般職一般職給与を、それは当然頂くわけでございます。それからそれ以外に、在外に参りました場合には在勤俸特別職にありましては第二條にある在勤俸及び加俸、それから一般職在外職員にありましては在勤俸加俸及び特殊語学手当というものをもらうわけでございます。但し特別職には扶養手当というものはございませんが、一般職にはございます。その場合に一般職在外に参りました場合には配偶者加俸というものがございますから、配偶者に関する扶養手当在外に参つた場合にはないわけでございます。内地の場合と違いまして、第四條に、本邦におきましては月に二回給与をいたしておりまするが、外国におきましては送金関係とか、送金費用関係で月に一回下旬に送金をすると、そういうような規定をいたしております。それから内地におきましては超過勤務という手当がございますが、在外におきましては超過勤務支払いをしないという建前にいたしております。  その次に本任の館長、即ち大使公使乃至総領事がおらない場合には、次席の者が代理大使若しくは代理公使をいたす場合に、交際その他種々の費用が必要と相成りますので、代理加俸というのをいわゆる自分在勤俸の二割だけ加俸いたします。但し本任の大使乃至公使が頂く以上に出る場合には、その限度にとめるという代理加俸というものがございます。  それから兼勤加俸というものがございまして、これは例えばスエーデンに行く公使ノルウエー公使を兼任いたしておりまして、ノルウエーへ参りました場合に、その滞在日数に対して自分在勤俸の一〇%だけその滞在期間だけ加俸を加える次第でございます。それから語学加俸というのがございます。これも戰前もございましたのでありますが、これは特殊語学、即ちペルシヤ語とかインドネシア語とか、韓国語、こういう語学を修得する場合には非常な困難と、又先生を得るにしても字引を買うにしてもなかなかむずかしい点がありますので、特別に語学加俸といたしまして特殊語学の勉学に資する次第でございます。  で、アメリカ大使の場合は、金額で申上げますれば在勤体が一万八千八百ドル妻加俸が四割といたしまして七千五百二十ドル、合計二万六千三百二十ドルになります。これは邦貨で九百四十七万五千二百円になる次第でございます。月額は大体邦貨にいたしまして七十八万九千五百九十五円ということになる次第であります。  それから大使本俸は三階級に分れておりまして、月額が三号俸が六万四千、二号俸が六万、一号俸が五万七千、それから公使の場合は、三号俸が六万、二号俸が五万七千、一号俸が五万三千と、そういうような本俸なつております。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 この表を見ただけでは、私どもに一体この年俸が果して妥当なものかどうかがさつぱりわからない。これはただ順序よく上から下までずらりと並べてあるだけで、それぞれの国における賃金、俸給という、そういうものが一体どの程度のものであるか、例えばここにあるアメリカの場合の十二号俸が二千二百五十ドル、この二千二百五十ドルをもらうべき人は、内地では一体外務省でどの程度俸給をもらう人なのかということを先ずお聞かせ願いたい。  それから二千二百五十ドルをもらう人が一体これを月割にすると幾ら、週割にすると幾ら、そうするとアメリカのいろいろな所得階級がありますが、それに比べてこの大使から十二号給までもらう人の暮しがどういうふうになつているか、それの一つ比較表を出して頂きたい。各国について全部それを出して頂きたい、それでなければ審議できません。
  14. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それと関連。私はその場合に日本と大体国力相似たる程度の国を、今岡田委員の言われたようなこの資料に対して、この日本の量をきめられた根拠として、日本と大体国力相似たる国はどこと考えられるか、それらの国はどういう方針でやつておられるかという二、三の例、それを提出願いたい。  それからもう一つは十二号俸のみならず、この大使公使及びこの前の外務公務員法でありましたような基本的な階級人たちに対してのそういうふうな資料を御提示願いたい。
  15. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 岡田委員の御質問にお答え申上げます。  別表アメリカの十号を大体基準にいたしまして、これが年間二千七百五十ドルでございまして、これは月額にいたしますと約二百三十ドル、これは内地公務員の五級乃至六級を考え、外交官試験通つた者程度のものを考えておるわけでございます。これは二百三十ドル外国で、アメリカ生活いたしまして中の下乃至は下の上、アメリカ運転手乃至タイピストのような者が大体これ以上、まあ西と東で違いますが、この三百ドルくらい乃至二百五十ドルということで、向うでは大体それくらいの生活でございます。この比率を今度上へ上げて行きます場合に、国内俸給一般公務員比率をとりまして、九号が一割増し、八号が三割増し、そういうふうに上げて行つた次第であります。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじやわからないので、向う所得階級がどういう工合になつているのか、それの生活水準や何かとの比較をしてもらいたいということを言つているので、まあ大使が一万八千八百ドル、それから公使が一万三千ドルですか、こういうふうに順々に下まで来ておりますが、これが一体向う所得階級のどれくらいのところに当るのか、そうしてこれはどの程度生活をしている人に当るのかということをはつきりさしてもらいたいと思うのです。
  17. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) アメリカ合衆国俸給は、大公使は大体四級に分れておりまして、一級が二万五千ドル、二級が二万ドル、三級が一万七千ドルし、四級が一万五千ドルということになつております。  それからこの、各国とも外交官給与体系在外勤務の場合にはいろんな加俸がありまして、或る程度公表されておらない国もあります。例えばオランダの場合には外務大臣がそのときどき定めるという国もございますし、それから賞与、手当とか、それから子供手当とか、各国給与体系がいろいろばらばらになつおりまして、総額どこが幾らということは実態はなかなかつかめないのでございますが、大体わかり得る範囲におきまして、アメリカが今申上げたような体系なつております。それから……。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも何を聞いても満足な御答弁もできないということは、とにかく国会との連絡係である政務次官がさつぱりこの委員会に対して誠意を持つて臨まれてないことだと思うのです。それだけの準備をしておらんことの証拠だと思うのです。これは石原さんの責任なんだ。どう思いますか、石原さん。
  19. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 今官房長から例を挙げまして御説明いたします。
  20. 大江晃

    政府委員大江晃君) 岡田委員から、例えばアメリカ合衆国大使の一万八千八百ドル以下ずつと各号が、アメリカにおける各界の大体どのくらいのところに当るかというお話でございまするが、まあ一例をとりまして、今会計課長からアメリカ大使階級の中で四階級に分けましてお話申上げたのでありまするが、これによりますると、大体アメリカ大使の三級大使というのが今般日本のワシントンにおる大使の、いわゆる日本といたしましては一級大使に該当いたすわけでございます。その他公使以下の階級につきまして一々該当するあれは資料が実はないのでございまするけれども、先ほどちよつと申上げました第十号というところを基準といたしまして、これが若い、学校を出まして暫くたつた独身の在外職員アメリカにおける最低生活というところを基準といたしまして計算いたしましたものでございまして、これは先ほど申上げた率を掛けたものでございます。  なおこういう日本大使公使俸給と、アメリカ以外の各国との俸給がどのくらいになるかという一例といたしまして、アメリカにありますブラジルスエーデン、ウルガイ、こういうところの大使の受ける給与額を御参考までに申上げたいと思います。こういう大公使の、或いは外務職員外国におきます給与につきましては、これはやはり各国とも外部に発表いたさんものでございまするから、各国につきましてすべて網羅的に情報を得てこれを御披露いたすというわけに行かないのでございまして、たまたまわかつておりまするものの中でブラジルスエーデン、ウルガイと、この三つについて御説明いたします。ブラジル大使俸給は五千四百九十六ドル在勤俸が二万四千五百七十ドル、それに配偶者加俸が二千四百五十七ドル子供手当二千四百五十七ドル、計三万四千九百八十ドル。これは年間でございます。これがアメリカにおきましてブラジル大使の受けている給与でございます。スエーデン大使、これは俸給が五千四百七十二ドル在勤俸が一万三千五百十二ドル、小供手当といたしまして七百六十八ドル物価手当というものが出て参りまして、これが比較的大きく一万百二十八ドル、特別手当というものがございまして九百六十ドル、合せまして三万八百四十ドル、これがスエーデン大使アメリカにおいて受けている給与、すべてひつくるめたものでございますが、ウルガイの大使につきましては、俸給が一万六千五百八十四ドル在勤俸が五百七十六ドル、住居手当といたしまして一万六百四十四ドル、合せまして二万七千八百四ドル、これがウルガイの大使アメリカにおいて受ける給与の全部であります。只今申上げましたように給与体系各国まちまちでございまして、いろいろな手当その他がございまするので、俸給或いは在勤俸だけの面で比較をいたすことは不適当であろう、こういうふうに考えております。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本大使の場合、アメリカに行つている大使、これは一万八千八百ドルですが、これはまあ奥さんと子供さん二人行かれるというような場合になると、総計ひつくるめて幾らもらえるのですか。
  22. 大江晃

    政府委員大江晃君) 配偶者加俸を加えますると年額二万六千三百二十ドルということになつております。月額は二千百九十三ドル、大体二千二百ドルです。こういうことでございます。
  23. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もつと正確に……、今ウルガイやスエーデンブラジルをやられたようにずつとやつて見て下さい。組織的にずつと……。
  24. 大江晃

    政府委員大江晃君) 公使その他の号俸ですか、公使その他でございますか。
  25. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いや、大使です。今岡田委員の要求した大使……。
  26. 大江晃

    政府委員大江晃君) 日本のあれは在勤俸というものだけなんでございます。そうして先ほど会計課長説明いたしました通り本俸というものは、これは内地特別職の受ける給与と同じでございまして、大使といたしましては、在外に出ておりまするときにはこの在勤俸、これに加えまして配偶者加俸、これだけしかないのでございます。
  27. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あれがあるじやありませんか……。
  28. 大江晃

    政府委員大江晃君) 兼勤加俸というのはございまするが、アメリカ合衆国のときには兼勤というものは考えておりません。
  29. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だからそれをずつとやつて見て下さい。改めて言つて見て下さい、そういう思いつき見たいなことを言わないで……。
  30. 大江晃

    政府委員大江晃君) 在勤俸が、大使が一万八千八百ドル配偶者加俸が七千五百二十ドル、合計いたしまして三万六千二百二十ドル、これに本俸が加わります。本俸は先ほど申しました通り大使の三号俸でございますると六万四千円、これは月額でございます。只今の月額に直しますると在勤俸が千五百六十六ドル配偶者加俸が六百二十六ドル、これに只今申しました大使本俸六万四千円が加わるわけでございます。
  31. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あれを説明して下さい。内地に残す家族についての條項がございましたね、何條ですか、それの具体的な数字をちよつと説明して下さい。
  32. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 在外職員外国に参りました場合に、家族、配偶者乃至子供を内地に置いて行く場合には、本俸だけ内地に置くことが、一般職給与乃至は特別職給与手当を含めまして、自分本俸だけは内地に置いて行くことができるわけでございます。家族、配偶者外国に参りました場合には、当人の希望によつてその本俸送金をいたすことができる次第であります。
  33. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) ちよつと話が混乱しますので、速記をとめて。    〔速記中止〕
  34. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 速記を初めて。それでは一応休憩いたします。    午後零時二分休憩    ―――――・―――――    午後二時三分開会
  35. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) それでは午前に引続いて会議を開きます。
  36. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大臣が来られたならばお尋ねしたいことを別に持つていますけれども、次官以下がおられますので、もう少しさつきの続きを一つ聞かして頂きたいと思います。  第何條でしたかね、もう一遍一つ量的規定説明して下さい。つまり例えばアメリカに例をとつて、在勤手当というのですか、在勤手当が一万八千八百、それから配偶者に対するのが七千五百二十円、寄せて二万六千三百二十円、本俸月額六万四千円、このほかには何もないというふうにおつしやいましたですね、そうなんですか。
  37. 大江晃

    政府委員大江晃君) その通りでございます。
  38. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 第何條かにいろいろなものがありましたよ。例えば語学を勉強すると金がもらえるとか、そういうふうなものを……、それでは大使でなくて二等書記官くらいの程度のところでちよつと説明をして頂きたい。一等書記官、三等書記官、この前公務員にありました職階がありましたね、それの……。
  39. 大江晃

    政府委員大江晃君) 二等書記官になりますると、アメリカ合衆国の第四号六千六百ドル、これが大体該当いたしておるものであります。これの妻加俸が四割、妻加俸が二千六百四十ドル、合せまして九千二百四十ドル、これが在勤俸妻加俸でございまして、これに本俸、これは大体この二等書記官と申しましても、級によりまして多少差がございますけれども、大体月額二万円という本俸を加えますと、それが所得になります。月額にいたしますると、在勤俸が五百五十ドル、配偶加俸二百二十ドル、合せまして七百七十ドル、これに日本邦貨約二万円の本俸がつきましたものが二等書記官の收入でございます。
  40. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そのほかにないですか。
  41. 大江晃

    政府委員大江晃君) そのほかに先ほど申しましたような例えば特殊語学手当というものをその二等書記官が例えばインドネシア、そういう特殊の地域に出まして勉強をいたしまするときに……。
  42. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 第何條ですか。
  43. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは二十條でございます。在勤俸支給額の百分の二十を超えない範囲内において支給されるのです。こういう特殊語学手当というものを二等書記官がもらう場合にはそういうものが附いて参ります。それ以外にはございません。先ほども御説明申上げました在外在勤俸というものは、従前からずつとある制度でございまして、今回特に新らしく各地のあれを定めましたのは、今回在外公館を開きますに当りまして各地物価その他いろいろの変動もございまするので、そういうものの資料を集めまして、先ほど会計課長から御説明いたしたような基準に基きまして各地地域差をつけ、そうして縦の各階級による差異をつけて算定いたしたものでありまして、従前から大体これと同じ制度があつたものでございます。
  44. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それから気候が惡いとか、熱帶であるとか、そういうふうなことを考えられていないのですか。そういうふうな手当はないのですか。
  45. 大江晃

    政府委員大江晃君) そういう手当は考えておりません。
  46. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからこれは先ほど岡田委員からも聞かれた点ですが、もうちよつとしつかり拜聽しておきたいことは、各国の格付というものをどういう基準によつて行われたか、つまりアメリカ合衆国大使は一万八千八百ドル、カナダは一万四千九百ドル、メキシコは一万四千ドル等々の各国大使に対する手当はどういう基礎でやられたものであるか。
  47. 大江晃

    政府委員大江晃君) これはアメリカを一〇〇といたしまして各国の差を、率をつけて計算いたしたのでございますが、その基準といたしましては、やはりその国の物価水準というものも考えます。更に大使につきましてはそのポストの重要度、或いは日本との関係の緊密度というようなものを勘案いたしまして、アメリカを一〇〇といたしまして、例えばカナダは七九・二%、メキシコが七四%、或いはインドが八六・一%、こういうふうな率を出しまして、これに基いて在勤俸の額を定めたものでございます。
  48. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 根拠というものを詳細聞きたいのですが、どこかの国の例……、戰前の日本のとつておられたものとどういうふうな違いが出て来ておりますか。
  49. 大江晃

    政府委員大江晃君) 戰前の場合との率の比較でございますか。
  50. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 戰前日本一つの方針でずつと来ておられたでしよう。今度又新たなものをきめてここに提出されましたね。その両者の違いの重要な点はどういう点ですか。
  51. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは例えば戰前の大使基準といたしまして、英国、アメリカというふうなものは、やはり同じか、或いは英国のほうが多少高かつたかと思うのでありますが、今度はアメリカのほうが高くなつております。アメリカを大体基準といたしております。更に新らしい国の大使館が新たにたくさん生れておりますので、こういうところは日本との関連、そういうものを基準に新たに定めたわけでございます。その他につきましては、大体従前の物価水準、戰前の大使館の率とほぼ同じような基準で行つております。
  52. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 御提出願いたいと思いますが、それはもう用意して持つておられるでしよう、つい最近までの、数年前までの表ができておるのじやないですか。お持ちだつたら一つ配つて頂きたいと思いますね。戰前とこれがどういうふうに違うか、どういう点が量的に違い、その根拠がどこにあるかという点が大体知りたいですね。
  53. 大江晃

    政府委員大江晃君) 戰前の在勤俸は円建でございまして、例えば英国の大使は年額四万円……。
  54. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 戰前はこの形の表でなかつたのですか。表の形式が全然違いますか。
  55. 大江晃

    政府委員大江晃君) 戰前は円建でございまして、今度は全部ドル建でございます。
  56. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ドル建で比較できるようにして見せて頂きたいですね、殖えたか減つたか。どこが殖えどこが減り、それは一つ一目……ちよつとあとでいいのですが、どなたかずつとおやりになつてこの表にずつと……。そのくらいの研究はしておられるでしよう。それはあなたもう戰前のものと……。
  57. 大江晃

    政府委員大江晃君) 先ほど戰前のアメリカと英国と、英国のほうが少し高いを申しましたが、これは私の誤りでありまして、戰前もアメリカのほうが高くなつております。円建で申しますると四万五千円でございまして、ドルに直しますると、戰前の相場に換算して、大体現在の物価騰貴率を加えまして計算いたしますると、それが三万八千百三十六ドルと、こういうことになつております。
  58. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それはあれですか、配偶者のものは入れない、戰前は三万八千百三十六ドル、今度は一万八千、非常に減つておりますね、これに配偶者のものが七千五百二十ドルを入れて二万六千になるでしよう、この戰前の三万八千百三十六ドルというものは戰後のどれに照応する数字ですか、一万八千に照応するんですか、二万六千に照応するんですか。
  59. 大江晃

    政府委員大江晃君) 一万八千八百ドルに当るものです。
  60. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると三万八千のほかに配偶者手当が附くのですか、戰前あつたとすれば幾らあつたんですか。
  61. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは戰前も同じく四割でございます。
  62. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は今これを頂きましたから、その数字を一遍見る時間がありますから、ほかのかたに……。
  63. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 申上げておきますが、大臣はこれから閣僚懇談会のほうに行かれる時間がございます。大臣に若し御質問があれば先にして頂きたい。
  64. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大臣にそれでは質問を……、今のを途中でストツプして……。  前の公務員法の出されたとき、続いて各公館の位置を定める法律が出された、そして又今回給与法律案が出ておるのでありますが、私は少くもこういう重大な外交的切替え……敗戰から各国に大公使を曲りなりにも送り出す状態になつた、これは我が党としては賛成してないことで、非常に遺憾だと考えておりますが、それはそれとして、ともあれ政府がみずから確信する遂に向つて大公使を派遣して、ここに政府の確信を持つた方針に従つて大公使の派遣をしようとするところの法律案を相次いで出して来るならば、その前提として、少くも当然吉由外務大臣が来て外交方針を説明すべきである。少くも将来の外務大臣に擬せられておるところの岡崎国務大臣が出て来て、当然それらの方針について基本的な点を我々に納得の行くように説明し、然る後この法律案を出して来るべきである、こういう私どもの主張に対しては与党或いは緑風会の議員諸君でも、大体それはそうだという気持なのであります。非常に順序が前後いたしますけれども、私はここで岡崎国務大臣からこれらの三つ、そのうち二つはすでに決定になつたと言いましても、大臣説明を十分拜聽していないのであります。その先ず基本的な外交方針というようなものを簡潔で結構ですから、一つ拜聽したいと思います。
  65. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 政府の基本的な方針と申しますと、先ず国連憲章に則つて行動する、これは国連に加盟すると未だせざるとを問わず、国連憲章に則つて行動するということが一つであります。第二には、これはいろいろの問題が含まれておりますが、平和條約の各條項に則つて行動する、これが第二であります。それから一般にそれ以外の点では非常に簡單な言葉で明確な定義もないかも知れませんが、いわゆる善隣友交の方針をとつて行く、大体この三つに尽きると考えております。
  66. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今示された国連憲章を遵守する、平和條約に従う、善隣友交の精神でやるとおつしやいますけれども、ことごとに私はこの三つの相続いて出されておる法案を見ましても、これに違反しておると思う。第一に国連憲章に最も違反しておる一点を衝きたい。それはこの提出になつておりますこのものを見ますと、大韓民国と西ドイツに大公使を派遣するということが載つており、それに対する給与法律案を提出されておりますが、事柄はドイツにつきましても、朝鮮につきましても、私は全く同一と考えますので、朝鮮に関する……私は朝鮮に大使を派遣するということが如何に私は国連憲章、国際的な協定に反しているかという点を申上げて、大臣の所見を質したいと思うのであります。私は明らかに……これは西ドイツの問題も全く同じですから、大体同様にお聞き願いたいと思いますが、私は朝鮮の形で質問を進めて参りますが、南朝鮮、大韓民国へ私は大使を派遣するという態度は、あなたの只今言われた国連憲章に則るという言葉に真向から矛盾すると思います。なぜならば、これは朝鮮の南北の対立のこの不幸な実情の歴史を辿つてみますと、外交の歴史を見ますと、これは四大国方式の蹂躪、四大国方式というものを蹂躪したと、アメリカが国連を利用して四大国方式による世界平和という根本方式を蹂躪したというところから私は起きておると考えますが、大臣はそういうふうには考えられないですか。
  67. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国連という機構は一国によつて利用されるものとは私は考えておりません。そういうふうにはできないようになつていると思うのであります。つまり多数の国が或る国の提案を支持したときでなければ、その決定等は得られないものであるからして、一国がこれを自分の利益のために利用するというようなことは、そもそも国連憲章の主義と真向から反するものと考えております。又四大国方式と言われますが、そういう問題は四大国で適当にきめるならともかくのこと、我々はそれには別に関知しておらないのであります。
  68. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういうふうにお答えになるだろうと私は考えておりましたが、この点は私は條約委員会のときにも衝きましたけれども、政府は非常にあいまいな答弁をしておられる。昨日石原次官に質しましても、この点は明快でなかつたのでありまして、今日は幸い大臣にこの点を明確にして頂きたい。この点に問題はあると思いますが、然らばお尋ねいたしますが、あなたは国連憲章の百七條をどういうふうに読み、どういうふうに理解しておられるでしようか、これは一つ專門家として拜聽したいのです。
  69. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと今條文を取寄せます。
  70. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ええ、それからで結構です。それでは條文を取寄せるまで、その間私の質問の趣旨をもうちよつと敷衍いたしますと、この国連憲章百七條によれば、「この憲章によるいかなる規定も、」この国連憲章の如何なる、どういう第何條の規定であろうとも、「第二次世界戰争中にこの憲章の署名国の敵であつた国、」即ち日、独、伊、スペイン、こういうような「国に関する行動であつて、それについて責任を有する政府、」これは加盟国の政府というふうに私は理解するし、これは当然なんであります。この加盟国の責任を有する政府がこの前の戰争の「結果として執り、又は許可したものを無効にし又は排除するものではない。」このあとのほうは非常にややこしいのでありますが、この点は私が今申上げました四大国方式、ポツダム協定、ポツダム、カイロ、ヤルタ等々のそういつた国際的協定、これらについて責任を有する政府、つまり加盟国の政府、加盟国の政府のうちで以て最も重要な地位を占めております、第二次世界大戰中にこの憲章の署名国の敵であつた、日、独、伊、スペイン等を敵として戰つた国、その中心的な地位を占めたところの四大国、米、ソ、中、イギリス、これらの四大国が協力してこの第二次大戰にフアシスト軍を打破つて勝利を占めたのだから、それらの四大国がこの戰争の過程において、この第二次大戰を勝利に導く過程においてもろもろの協定をした。それらの協定はすべて遵守されなければならない。これが私どもは百七條の精神である。これこそが又国連の精神であり、四大国が協力することなくして世界の平和が維持できるとあつては、日本アメリカの尻馬に乘つて軍事基地の提供等々の、そんなちよこざいなことによつて私は世界戰争は防止できないという根本的な見通しと信念を持つておるのでありますが、それはそれとして、あなたはこの百七條の條文をどういうふうに理解しておられるか。私は今申しましたような理解以外にはあり得ないと考えており、これが朝鮮及び西ドイツに大公使を派遣する問題を討議するためには、中心的な私は條文になると考えるので、先ず私はこの條文を、この條文の理解が私とあなたと違つておるのでは、これから西ドイツ及び韓国に大使を派遣することがどういう合法性を持つかという論議にはならないし、又あなたが国連憲章は必ず実行すると言われた意味においても、十分その言質を……我々は今のあなたの言葉通りあなたが実行されるかどうかということを明らかにするのに不十分だと考えますので、先ずこの百七條をどういうふうに理解しておるか、これを私は国務大臣に承わりたい。
  71. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 今のお話は、その百七條について或る特殊の問題を持ち出して来られておるのであつて、例えばその四大国がどうであるとか、四大国の約束した協定は守らなければならんとか、こういうお話ですが、これは四大国の責任であつて、我我は協定の当事者でもなければ、その問題に直接何も関係がないのであります。
  72. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どういうふうに……。この百七條の條文について僕はあなたに対して條文を読んで質したのですから、あなたも條文を読んで專門家らしい、もうちよつとまじめな答弁をして下さい。
  73. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) あなたは今僕が條文を取寄せるまで待つと言つて、今條文を取寄せているところなのです。
  74. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 よろしい、じや待ちましよう。
  75. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはもう殆んどこの文章通りに解釈して、特に註を加えることのないほど明らかなものだと考えております。
  76. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もつとまじめな答弁を望みます。生意気な答弁するな、何だ君は……。
  77. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 生意気な答弁とは何だ。
  78. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 何だ君は……。
  79. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 僕は国会議員だ、君は何だ。
  80. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 君は国会議員として来ているのか、政府委員として来ているのか。
  81. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国会議員政府委員なんだ、失礼なことを言うな。委員長、委員会の品位を保つて下さい。
  82. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 誰が委員会の品位を傷つけるのか。
  83. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 失礼な……。
  84. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これはこの前からの議論で、そういう議論をなさるのならその点を明らかにしましよう。君は公務員として来ているのじやないか。
  85. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 君は国会議員公務員じやないと思つているのか。
  86. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 国会議員公務員であるところの條文を示せ。
  87. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国会議員公務員じやないと言うのか。
  88. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その條文を示せ。
  89. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それを先ず聞こうじやないか。国会議員公務員であるかどうかという君の解釈を聞こうじやないか。
  90. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 政府委員がどういう資格でどういう立場で国会議員の前に出て来ているかを明らかにしなければ、まじめな答弁はできんそうですから、その点を明らかにしてもらおう。
  91. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 答弁の必要なし。
  92. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 委員長、善処をせられることを望みます。この傲岸な政府委員に対して……。
  93. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 委員会の品位を傷つけられることを整理されたいと思います。
  94. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 君が傷つけているのじやないか。僕は国会議員として出席している者だ。国会議員として来ているという観点です。この観点が正しいかどうか、一つ同僚委員に諮つて下さい。私は国会議員は国民の代表である。政府委員はいやしくもその基本的資格においては国会議員であるけれども、多数を持つているという理由によつて政府を組織し、公僕としての公務員の第一級乃至第二級の地位にいる。こんな重要な公務員、公僕たる地位におる。然るに我々は政府を組織していないから、依然として国民を代表しておる国会議員の立場にある。従つて国会議員として……逆に国会議員でなくても大臣になり得るのだ。よつて君が国会議員であるということを抜きにして、憲法もろくろく読まないで、そうして君も公務員だ僕も公務員だ、国会議員公務員なら政府委員公務員だ……そういう傲岸な態度で君が答弁するのなら、この点は徹底的に、あえてこの委員会で今きまらなくてもよろしい、議院運営委員会もあるし、今後も政府委員国会議員についてはこれは重要な問題だし、この点の発言は速記録にも全部載つているから明快にしましよう。併し僕はここで僕自身が謙虚に百七條の一つ一つの條文を全部読んで、これを僕はこういうふうに解釈しておるのだが、君はどういうふうに解釈しておるかと聞いたところが、読んで字の通りだと言うとは何だ。何たる生意気な態度だ。これが公僕としての、大臣としての、国民の代表たる国会議員に対して一政党の政府を代表しておる者の態度か。
  95. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういう発言の仕方は、僕は委員会で聞いたことがない。甚だ失礼な言い方だ。併しこの百七條なり何條なり、説明を加うべき必要のある條文もあれば、読んでその通り明らかな條文もあるので、これは読んでその通り明らかであるから、読んで字の通りだと言つたのだ。
  96. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どうなんだ。公務員国会議員との解釈について見解を明らかにし給え。
  97. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は公務員である。国会議員公務員である。大臣公務員である。
  98. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると君はだ、国会議員が国民を代表して、公務員である政府の所信を質すことに対して、おれは国会議員であるから同様な資格である、おれは君と公務員として同格であると、こういう態度で、政府委員としては公務員であり、国会議員としては国権の最高の主権を持つところの国民の代表であるという質的の差異を認めないと言うのですね。
  99. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は国会議員政府大臣に対して、お前の、国会議員のほうが上で大臣のほうが下だという定義は聞いたことがありません。ひとしく我々は国民であり、同じく丁重に、同じく友愛を以て国会の運営に当るべきものである。誰が上で誰が下だということはないはずで……。
  100. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大臣は頭がどうかしている。誰が上だとか下だとか言いましたか。僕は、国会議員の資格においての国務大臣に聞いているのではなくして、国会の中で多数を占めている政党の政府の組織者として、公務員の、公僕としての責任者として聞いているのだ。これに対して、我々は国会議員として政府のやり方に所信を質すというときにおいては明らかに質的な差異もある。然るに君は、おれも公務員なら君も公務員だという屁理窟を言つて……屁理窟でないと言うなら、そういうことでなければならないということを証明して下さい。国会議員公務員であると思う。そうして政府大臣公務員であると思う……。私の考えのどこが間違つておるか。法文を挙げて撃破してもらいたい。僕の主張の間違つているところを……。
  101. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) とにかくこれは今の問題とは離れておりますから、いつまでもこの問題にこだわつてはおりませんけれども、私は……。
  102. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 こだわらんでもいいよ。回答したらいい。
  103. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 政府の所信を質すというなら質し方が間違つておる。政府の所信を質すなら内容についてお質しなさい。いきなり政府委員を叱りつけるような態度はお慎しみなさい。
  104. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 委員長、答弁求めて下さい、公務員政府の代表について、僕が言い出したことじやない。君が勝手に言い出したことじやないか。だから君は所信を明らかにすべきである。ここは立法の府であり、法治国である。法文の中で君の主張を裏付けなさいよ。
  105. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 どうも外務委員会がこういうような乱暴な言葉によつて質疑応答が交わされるということは甚だ遺憾だと存じます。それで兼岩委員は、国会議員公務員であるか、国務大臣公務員の資格で出られたとかいうようなことを言われますけれども、たとえ……。
  106. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕じやないですよ。岡崎君が言つたんですよ。
  107. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 言われたのですけれども、たとえ誰が公務員でありましようとも、公僕ということは、召使ということは、主人から怒鳴りつけられるということが召使であるということでは私はないと思うのです。奉仕をするということが召使であり公僕であるということであると思いますから、お互いが召使であるならば、こういう乱暴な言葉を以て終始するということは、誠に封建的な考え方であると思いますので、どうか委員会がこういう妙なことにならないように一つ討議して頂きたいと思います。
  108. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大臣に注意して下さい。大臣にもつとまじめな答弁をですね。僕が……。
  109. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 今の兼岩さんの御趣旨で、委員長から成るべくそういうような趣旨で議事の進行を計つて頂きたいと思う。そうして成るべく早く本案の本論に入りたいと思います。
  110. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) どうか本案の問題についての御質疑に終始して頂きたいと思うのです。
  111. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どういう点で私の質問が本論から外れておりますか。委員長にお尋ねいたします。どういう点で外れておりますかね。
  112. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) ですから成るべく本質的なこの本案についての問題……。
  113. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どこが外れておりますか。私は西ドイツと朝鮮に大使を派遣するという問題について質しておるのですよ。而もこれが政府の基本的な……、講和後の外交の基本的方針である。国連憲章に従うという、私はまだ二、三と質して行くつもりですが、先ず第一に国連憲章を政府みずから守らんじやないか、政府はみずから破つたような法律案を出しておるじやないかという点を私は明かにしておるので、何ら私は、私の質問はこの提出されておる法律案から一寸たりとも動いていないと思いますよ。そうして公務員かどうかということを言い出したのは僕じやなくて岡崎君じやありませんか。私は何も公務員とか国会議員を侮辱しない。そんなことは何も言いません。
  114. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 国会議員公務員かどうかという点だけを明かにいたしましよう。憲法第九十九條には「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こう書いてありまして、国会議員は当然公務員と解釈されております。又国家公務員法の第二條公務員一般職特別職とを分けておりますが、その特別職のほうの第九号に「就任について選挙によることを必要とし、」というのがありまして、これによつて国会議員特別職であるという解釈であります。
  115. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それで、憲法何條ですかね。
  116. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 憲法第九十九條。
  117. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたの理解によると、天皇も公務員ですね。
  118. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そうです。
  119. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 兼岩君に申上げますが、この本問題に関連するような御質問を願います。
  120. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうするとこれ又この問題は非常に……、あなたの今の説明は納得できんから、これは他日適当な機会にこれを明らかにいたしますが、そうすると百七條について……、仮にあなたのお説にすると、僕も公務員あなたも公務員、だから僕が折角丁重に百七條を聞いても、木で鼻をくくつたように読んで字の通りだというような、憲法九十九條があなたを援護しておるというのですか。そうでなかつたらもつとまじめに回答されてはどうですか。
  121. 中山福藏

    ○中山福藏君 議事進行について一つお願いがある。そういう少し本論を離れたような議論はどうか一つ留保して、あとからやつてもらいたい。本論に入つて頂いて……お願いいたします。
  122. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 お尋ねします。どこに本論が外れておりますか。国連憲章に違反しておるかどうか……。
  123. 中山福藏

    ○中山福藏君 大体大公使設置に関する法律案審議は昨日済んだ。従つて今日の議題は別個のものになつておると私は解釈する。従つて牽連はしておりますけれども、大体本筋ではないと私は考えます。
  124. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 よろしい。それじや僕はあなたに申上げますがね、ここに提出されているのはたしか大韓民国の大使に一万四千五百ドル俸給を払う、西ドイツの大使には一万六千六百ドル俸給を払うということが議案ですが、これで外れておりますか。私が大韓民国なり朝鮮、西ドイツに大使公使を置くということは、明らかに国連憲章に違反しているという点を今問い質すために、漠然とした国連憲章でなくて、国連憲章百七條に違反しているということを、あなた、昨日も聞いておられたじやありませんか。私が石原次官に問い質して甚だ不徹底な答弁しか得られなかつたから、大臣に私は詳細に答弁を求め、そうして始終前の法律案公務員法のときから大臣に出席しろと言つておつたが実行されなかつたこともあなた、よく見ておられたところだから、……。私は筋も外ずれてないし、まさに問い質すべきことと考えますので、私は自分の方針に従つて進みますが、若し討論の必要があるならやつて下さい、十分討論に応じましよう。
  125. 中山福藏

    ○中山福藏君 私は別におやめなさいとは言わん。あとからにそういうことはお願いしたいと言うのです。大体今日は俸給に関する問題をやつている。私どもは大公使を設置するということは昨日済んだはずなんです。大体その点については、随分ほかの議員の何倍かの議論が兼岩委員によつてなされていると私は考える。従つてもう少し一つおとなしくやつて頂いては如何なものですか。
  126. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 加藤先生の御注意もございますし、又その御注意が重ねてございますので、言葉はそれでは非常に丁寧にやりますし、もつといいことを提案いたします。私が余計時間を取つて誠に申訳ないと思いますから、あなたが十分御質疑して頂きまして、そのあとで結構でございますから、どうぞ僕の質疑を延ばしますから、あなた十分質疑をやつて頂きたい。あとで結構です。
  127. 中山福藏

    ○中山福藏君 只今私は質疑があるわけじやありません。けれどもほかのかたもあるから、どうかそういう感情的な議論は抜きにして、冷静な御審議をして頂きたい、こういう以外に私は何もない。
  128. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私以外は結構でございますか。私は時間を潰すから……。本人は何も質問を持つておらんですか、それはいかんと思います。ほかのかたの質疑がありましたら、一番あとで結構です。
  129. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 岡崎国務大臣に伺いますが、この在外使節の俸給の問題でございますが、在外職員が必要な衣食住の経費に充当するために支給されるということがございます。それから在外職員が「その体面を維持」しということがあるのでございますが、先ず「その体面を維持し」ということについての内容を、少し詳しく承わりたいのでございます。と申しますのは、体面を維持するというのはどういうところに規定をおくのでございますか。戰争前には日本が一等国というような立場をとつておりまして、その一等国としての体面を保つということになりますと、ほかのいわゆる一等国と言われているような国と大体同等の衣食住を、或いは交際をするというようなことに考えられたのじやないか。敗戰後今度新らしくスタートをするというような場合には、日本は一等国というような体面を保つために必要なものが要るのでございましようか。それとも今度は少し基準が変つて来るのでございましようか、それを一つ承わりたい。
  130. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私も別に一等国とか三等国とかということは、この際言うべきことではないと思いますけれども、日本国力と言つてはおかしいかも知れませんが、仕事であるとか、国民の文化的の水準であるとか、或いは一般の国民の生活等から見ますると、日本は世界でも相当有力なる国であると私は考えております。今でもそうであると考えております。併し経済的にはかなり苦しい立場にありまするけれども、ほかの国でも経済的には苦しい状況であります。そこで仕事の上から申しますと、日本に特に関係の少い国もありまするが、関係の多い国についての仕事に考えますと、例えばアメリカにおけるイギリスの仕事と日本の仕事とどのくらい違いがあるか、或いは例えばインドにおけるアメリカの仕事と日本の仕事とどのくらい違いがあるか、こういうことを考えて平均しますと、日本はやはり主要国としての仕事を有するものと考えられます。従つて仕事の上では主要国並の仕事をいたさなければならないということになりますので、例えば大使館の機構等につきましても、特に関係の深い国につきましては、相当大きな機構を必要とするということになるわけであります。ところが今度は館員生活等になりますと、やはりほかの主要国並の生活を与えてやりたいというのは、私の考えから言えば山々なのでありますけれども、国内の国民の生活程度から考えますと、そう非常に、外交官外国へ行つているからと言つて非常に贅沢をすることは許されない、こういうふうにも思われる。従つて大体大ざつばに申しますと、例えば例をアメリカにとつて見ますると、アメリカの戰前の普通の状況における場合に、日本外交官のもらつておつた給料と、今度新たに行く人間のもらう給料とは余り差がないのであります。場合によつては少いものもある。ところが物価は大体倍になつている、倍にならないくらいかも知れませんが、大体八割くらいということになりますと、八割程度生活が落ちるということになるのでありまして、その点は気の毒だと思つておりますが、そうかと言つて国内生活がこういう状況であるのに、余りそれにそぐわないような生活を許すことは面白くないし、又できるだけ節約しようという趣旨にもかないませんから、この際は我慢してもらいまして、できるだけ節約した生活をする。従つて生活におきましては体面を維持する、何と言いますか、あいまいな言葉でありますが、最小限度の体面を維持するに足るもの、例えば洋服ならば年に一着とか二着なりは買える程度、食物は飢えるようなことはありませんけれども、そう贅沢もできない。又元ならばたとえ三等書記官でも知り合の人を招いて御馳走をしたり、されたりしておつたのが、今度はそういうことも自由にできないという程度の節約はしてもらわなければならない。仕事は主要国並、生活は前よりは落ちるという状況であります。
  131. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 配偶者を同伴するというのは、何か一つ基準があつてどのくらいの地位のものは配偶者を同伴し、どのくらいの地位のものは同伴することができないというような規定がございますでしようか。又子供を連れて行く場合には何人連れて行つてもよろしいのでございますか。大勢の子供をみんな連れて行つて、それにみんな手当が出るという工合になるんでございましようか、それとも制限があるんでございましようか。その辺一つ説明して頂きたい。
  132. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 非常に紬かいことで、私が間違つておるかも知れませんが、大体官補と申しましてまだ勉強中のものがあります。それから特に三年間の研究を命ずる若い人、こういう人は勉強中でありますから、滯在しておつても家族を連れて行かないか、若しくは連れて行つても費用を出さないという形になります。併し子供につきましては、それ以外の人については配偶者を連れて行くことは勿論自由であります。又配偶者については経費を出しております。子供につきましては、これはやはり従前もそうでありましたが、今回も子供のうちの何人と言つてこちらで勝手に、これまではいいとかいかんとか、それ以上いかんと言うのも非常に残酷でありますから、子供につきましては何人でも連れて行つてよろしい、それについては旅費を出すということになります。併し旅費を出すだけで、あとの手当は出さないことにいたしております。
  133. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今の岡崎国務大臣の御答弁によりまして、日本は主要国としての活動をしなければならないという点は、これは誠に当然のことでございます。過去の在外公館のいろいろ活動の点につきましては、まあとかく余り十分であつたということは言えないと思います。例えば情報網その他が十分でなかつたとか、十分な報告がなかつたために遂に軍部勢力によつて日本の外務省頼むに足らずというようなことになつたというような過去の経歴があつたことは非常に残念でございますので、今度は主要国としての活動には十分支障のないようなことをして頂かなくちやならんと思います。それでここに公使その他の俸給の金額だけが出ておるのでございますけれども、これは例えばアメリカ大使館の場合には、大使館というのは、これは大使が別に俸給の中から家賃というものはお出しにならないのだろうと思いますし、そのほかの場合にでも、家賃をお出しにならなくても、やはり家賃という費用もここに含まつている、或いは含まつていない場合もある、こういうようなことがあるのじやないかということと、それから大使館なら大使館の中で、たくさんの人員構成があつて、その人員構成がどのくらいあつて、それから交際費をどのくらい使つてというようなことが全部総合されて主要国としての活動ができるのじやないかと思いますから、その中で大使公使俸給というものは極く一部分じやないかと思うのでございますけれども、その部分というものは主要国の必要な活動をする必要な経費の中のどのくらいの部分になつているというようなことを、その細かいことでなくてよろしうございますけれども、あらましのことを御説明願えますでしようか。
  134. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 大体外務省の原則は、公館長と申しまして、大使館ならその大使、或いは公使館なら公使、総領事館なら総領事、その公館の一番上の人に対しては仁宅を政府から与えることになつております。これは買つて持つておるのもありますし、家賃を払つてやるのもあります。それ以外のものは原則としてこの俸給の中から家も借りる、学校へも子供をやる、すべてのものはそこから出ることになつております。従つて大使などの待遇が特にいいように見えるわけでありますが、これはいろいろな理由でやはり相当金が余計要るからこうしているわけであります。そこでこのほかに、まあ大使を例にとれば、大使館で必要な宴会をする程度のものは、宴会費を支給いたします。これは大体シーズンが二つ多いときにはあります。暑い国では一つの場合があります。そのときに招んだり招ばれたりするわけでありますので、そのときにまあ大体ほかの国の大使なり公使なりをそのシーズンの間に一遍は何かの機会に招べる程度の宴会費は大体それを基準にしまして出すのですが、併しその宴会といいましても、例えば大使だけ招ぶのじやなくて、その国の政府も招ばなければならない、或いはそこの国の有力者も招ばなければならないということがありますから、基準は、宴会の数から行くと、その場合によつて違いますけれども、とにかく何回かの宴会のうちにどこかの大使が一遍はそこに招ばれる程度費用は出すわけであります。これは今の例えばアメリカなりイギリスなりの大使の宴会から比べれば大分少い、恐らく三分の一にも足りない数になると思います。がその程度のことは国家でみるというわけであります。それからそれ以外に交際費というものが多少は出ることにしております。これは例えば夏になりますと、避暑をする国が多いのであります。その場合に日本大使だけが首都に残つておると、ほかの外交官との交際もなかなかうまく行きませんので、そういう程度の特殊のもの、或いは特に例えばイギリスならセント・ゼームス・クラブというのがあります。これは外交官が皆入るクラブでありますから、この入会金を持つてやる。こういう種類の特殊の交際費というのは多少ありまするけれども、これは殆んど使途がきまつているようなものでありまして、大使自分のポケツトへ入れておいて使おうが使うまいがどつちでもいいのだというような種類のものは差当り今のところはないのであります。そのほかに、仕事をする上において、例えばタイピストを雇うとか、或いはタイプライターを幾つ買うとか、或いはAPからモールスで来る刻々の情報が入るような機械を入れるとか、こういうような種類のものは、事務費として別に計上しまして、事務のほうの費用は成るべくたつぷりいたしたいと思つております。併し事務以外のほうのいわば少し贅沢に流れる程度のものは成るべく少くするということで、止むを得ないものだけを認めるという程度にいたしております。従つてこの俸給がそのほかの費用のどの部分と言われますと、事務費をとり除きますと、俸給と例えばそのほかの宴会費との比率などというものは、余り俸給よりも非常に大きなものが出るというわけにも行かない、事務費のほうはできるだけこれは心配ないようにやつて行きたい、こういう考えであります。
  135. 中山福藏

    ○中山福藏君 この俸給予定表を一覧いたしますると、特別手当とか非常時手当というものは現われていないのですが、例えば相手国の政体の変革とかあつたようなときには、特別に相当の費用が要るわけなんですが、そういう点についてはどういうふうな処置をとられるということを予期しておられるのでしようか。これはめつたにないことでありますけれども、一応承わつておきたいと思います。  それからもう一つついでにお尋ねしておくのですが、特殊の思想問題だとか経済問題とかいうものが起りましたときには、特別の知識の專門家を招聘するとか何とかして研究する必要があると思います。そういうときには特別に大公使費用がかかるのじやないかということを考えておるのですが、それは予算に組まれておりますのですか、どうですか。
  136. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 第一の御質問の点は、今回の外務公務員給与に関する法律案の中に、第九條に、国会閉会中において、物価若しくは為替相場の著しい変動その他特別の事情により緊急に在勤俸の額を改訂する必要を生じた場合等においては、「予算の範囲内において」ということがありまするが、政令で臨時に在勤俸を変えることができるということで、万一生命に危険があるような場合等がありましたときには、国会開会中ならすぐ提出して法案を直して行く、そうでなければ臨時に政令でもつてやつておいて、そうしてその次の国会法律案の改正を出す、こういうつもりであります。  それから第二の場合でありますが、これはそういう場合も予想しております。そういう場合ということじやないのですが例えば外国で特に特殊の語学を必要とする国等において、その国の人を雇わなきやならん場合もあります。そうでなくても、その国の人を雇つてその国の政情等についてよく説明を聞かなきやならんという場合もあります。例えば報償費というような種類のものもありますので、これは事務のほうの費用としてそういう点も賄えるような仕組になつておりますが、これはどの存外公館でも全部できるというわけには行きません。これはごく少額のものがありまして、必要に応じてほかの公館には我慢さしても特別必要な所はこれを出す、こういうようなつもりでおります。
  137. 中山福藏

    ○中山福藏君 或る場合には送金不能の場合があるのですね、外国の社会情勢の変化によりまして……、そういう場合のことを私今お尋ねしたわけなんですが……。それからもう一つ昨日の石原次官の御答弁のうちに、大公使というものは大使公使という名目は違うけれども、実質的においては殆んど同格だというようなことが答えられた。併しこの俸給の上から見ましても、或いは名目の上から見ましても、これは第三者に印象付ける感じは相当に違うと私は思うのですが、この公使であつても、この俸給の上で大使と同じようなことを、事柄をとつて処理される人に対しては同じような、例えばこの前、支那に派遣された林権助氏が多分あれは英国の大使をやめて支那に全権公使という名目で行かれた。そういうときには一律に俸給をきめておきますと、大使級の人が公使に格下げされて、而も仕事は大使以上のことをしているという場合に、これは相当考慮が払われなければならんと思うのですが、そういう点は如何に考えておられますか。
  138. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういう場合もあると考えております。ただ原則的に申しますと、大使になる人と公使になる人というのは年齢が違いますし、普通に行けば……。従つてまあ公使から大使になるというのが通例でありますから、それで俸給等も自然違うわけであります。併し事実例えば東京にイギリスの大使がおり、デンマークの公使がおるといつたときに大使公使は席次では違いますけれども、仕事の内容から言えば大使であると公使であると区別はないわけです。そうして今おつしやるように公使で以て大使のような仕事をする人はどうかということでありまするが、これにつきましても、まあ今の林さんの例もお話になりましたが、ああいう場合には、この前は俸給が下つてしまう。で今回もまあ普通に行けばこれは下つてしまうわけでありまするが、これはどうもこの……。ただこの本俸のほうから申しますと、これは在勤俸じやありませんから、本俸ですから余り影響はないのですけれども、本俸のほうから申しますと、大使にも三級ありまして公使にも三級あります。で大使の三番目の、一番下の大使月額五万七千円の俸給をもらうことになつております。公使の一番上の人は六万円の俸給をもらうことになつております。従つて三番目の大使から一番目の公使に行くということは、俸給の上から行けば昇給になる、そういうゆとりは取つてありますけれども、在勤俸のほうから行きますと、どうしても大使館、公使館の場所が違いますので、物価その他規模、つまり大使館の規模、その他いろいろの点から言いまして在勤俸のほうはやはり多少の差がある、大使館の大使のほうが多い、こういうことになるのであります。
  139. 中山福藏

    ○中山福藏君 私はそういう点については外務省のおもんばかりが足らないと思うのです。これはですね、大使公使に格下げされて、その任地に赴くということはですね、これは特別な場合なんです。だからこういう点については特別の規定がこれは設けられておらなければならんとこう思うのですが、そういう点は手落ちではございませんか。私はそういう点はやはり挿入されておかれる必要があるのじやないかと思います。
  140. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 実は御指摘のような場合もいろいろ考えまして、そうして今申したように、公使の一番上と大使の一番下は公使のほうが月給が多いという形に作つておりまして、そうして変る場合も予想したわけであります。併しこの在勤俸のほうから言いますと、どうしてもこの大使公使とで多少の違いが生じて来るのは、原則として在勤俸大使を置く所はまあいわば非常に大きな国であるとか、特殊の関係にある国であるいうのに限られてしまいます。従つて仕事も非常に多いし、つきあいも非常に多いということになるので、在勤俸のほうはどうしても公使を置く所と大使を置く所とではその土地関係上、大使を置く所のほうに在勤俸を多くせざるを得ないような結果になつてしまつたのであります。それでこういう俸給が作つてあるわけでありまして、お話のような点はいろいろ頭を悩まして研究いたしたことは事実であります。
  141. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 大臣は又懇談会があつて……。
  142. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は保留してありますよ。
  143. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 行かれる都合がありますから、若し御質問がありましたらこの際成るべく……。
  144. 平林太一

    ○平林太一君 大臣は懇談会へ行かれるそうでありますが、この機会に無論これに関連をいたすとととして、この際期日も切迫しておりますのでお尋ねいたしますが、條約発効に目標を意図して、これらの審議が只今急速に行われておるわけでありますが、この発効の期日はまあ大体いつ頃であるということの見通しをこの際伺いたいと思います。  それから第二には、現在の総理大臣外務大臣を兼任されておるがこの発効に先立つて外務大臣は公式発令をして、そうして專任外務大臣を置くことを我々は要望するものであるが、それについてこの効力が発生前にその措置をいたされるのか、或いはその後にいたされるのか、その点を伺つておきたいと思います。
  145. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 條約の効力発生の日はまだ私もここではつきり申上げることができないのであります。というのは事実、まだ関係国できめてないと思います。併しながら若し内定をするような場合には、日本政府にこれは通報されるものと信じております。ただ今までの経過から見ますと非常に幅がせばまつて来まして、これは違うかも知れませんから、違つたときにはお叱りを受けるのも止むを得ませんが、大体本月の十五日から十七日の間くらいではないかというふうに予想されるのであります。  それから第二の御質問でありますが、吉田内閣はずつと従来から占領下においては真の外交はないという建前で来ておりますために、專任の外相は置かないという方針でずつと進んでおると私は了解いたしております。従つて條約の効力発生前に專任外相を置くということはないであろうと信じております。その後においていつ專任外相を置くか、これは事務の繁閑、その他各種の事情を考慮して適当なときに措置することとこう考えております。
  146. 平林太一

    ○平林太一君 只今御答弁を伺つて、第一の点は了承いたしたのであります。第二の点については従来吉田内閣は端的に申せば、講和発効前に外交なし、そういうことでこれを避けておる、そうして兼務しておる。こういうことでありますが、すでに先日来相次いで外務公務員法を初めとして、本日は具体的に在外公館に対する設置及びこれに対しますそれぞれの措置を只今審議しておるのでありますが、もはやこれはこの只今の御答弁のような、吉田内閣が講和発効前外交はない、こういうようなことは、これは言えないはずであるのであります。これを我々が審議し、これを議決する以上は、もはや我が国に講和が発生せり、外交が発生せりということに当然これは相成るのでありますから、我々の意図し、我々の要望するところは速かに、総理はその兼務を一日も早くこれは解かれて、そして專任外務大臣を置く、これは極めて私は妥当と思います。若しそれ只今のようなことの御理由によつてそれの措置に出られないというのでありますれば、これらの法案に対しまする我々の取扱いに対しまして甚だ解しかねる納得の行かないものが生ずる次第であります。対外的に何かこの際外務大臣の專任を置くということが支障があるということでありますれば、それらを明らかにして頂きたい。そういうことは私はあり得ないと思います。そういうことはおのずからのまあいわゆる便宜の処置であると思う。もはや便宜の処置に拘泥いたしておるときでないと思います。でありまするから、速かにこれをいたされることを我々は強く要望して、そしてその前提の下にこれを議決するということでなければ、これは理由が立たないと思います。でありますから、この点岡崎国務大臣は兼任外務大臣に対しまして、私のこの委員会のこの案を議決するに対しましての重大なる要望として御処置を願いたいと思います。それに対しましては、本日直ちに御答弁を伺うことを私は避けますが、その結果を書面を以ちまして、(笑声)一つ御回答願いたいということを申上げておきます。これは非常に重大なことでございます。どうかそのように一つ措置できるかできないか。できれば御答弁の必要ありません。併しできないというのでありますれば、本日その理由を明らかにされたい。かように思います。(兼岩傳一君「上品な質問だ、上品上品」と述ぶ)
  147. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) お説は十分承わりましたから、総理大臣にもよく伝えておきます。(笑声)但しほかの国でも普通の外交関係がありましても、総理大臣外務大臣を兼任するということはしばしばあるのでありまして、例えばフランスのシユーマンはずつと首相の間外務大臣を兼任しておりました。まあ各国にも兼任外相ということは例のないことでは決してないのであります。併しお説の点はよく伝えるようにいたします。
  148. 平林太一

    ○平林太一君 只今外国の例をお話になりましたが、我が国の、今日この独立国家として発足する最大の象徴、シンボルとなるものは、要するに外務大臣ができるかできないかということであります。だからこれは世界の異例の事柄でありますので、さようなことを以て理由といたしますことは私は許しません。
  149. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) ほかに御質疑はございませんか。時間の都合で成るべく簡單に願います。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはこの法案と直接関係がないので、或いはほかの委員からお叱りを受けるかも知れませんけれども、今我々として重大な問題としてお伺いしたいことが一つある。それは台湾政府との交渉のいきさつであります。アメリカで、アメリカの上院が條約に対しまして承認を与えるまでの国府との交渉の関係、それから後におきまして、日本案が新らたに向うに示されましたために、どういう事態が起つたか、一つ御交渉のそういうような変化について承わりたい。或いはどういう方針で新らしい事態に対して臨まれるか、その点をお伺いしたい。
  151. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ずこの約一週間前でしたか、両全権の間で妥協の案がまとまつたという報道があつたわけであります。それに対して日本が非常に強い対案を出して来たので、妥協案が懐われたというような報道が出て来た。それからいろいろ疑惑を生じたのだと思いますが、これは全権からも報告がありまして、両方で話合つて見た案というのは、決してその両全権の間ではつきり妥協案というような種類のものではないのであるということははつきりしております。ただそれが新聞等であたかも妥協案ができたかのように伝えられたのが誤解の因だろうと思います。これはもう申すまでもなく国民政府側はサンフランシスコ條約の、できるだけそれと同じものを作りたい、こういう考えで進んで来ておるわけであります。当然のことと思います。ところが我々のほうから申しますと、この国民政府が今統治している地域というものは、或る限度があるのであつて、その現実の事態を無視するわけに行かないからという点で、初めから多少意見の相違があるのであります。それをだんだん今調整しつつある最中でありまして、我々のほうは決して途中から強くなりもしなければ、又交渉が駄目になつてもいいと思つておるわけでもないので、できるだけ交渉を早く、而も円満にまとめたいと思つて努力いたしておるのであります。ただ方針から申しますと、今言つたように吉田書簡と申しますか、この大綱に基いて進んでおりまするものですから、なかなか妥結に至らないというのが実情であります。これは初めには恐らくアメリカの批准は、この国府との條約ができなければ、あれが條件になつてあれを作らなければ批准しないのじやないかという御質問もしばしば国会であつたのでありますが、それは現に交渉がまとまらないうちに批准が済んだのでありまして、その疑いは消えたわけであります。今度は逆に、もう批准は済んだから日本はもう交渉はどうでもいいのだというので、急に強い案を出したのだ、こういうふうに言われておりますが、これも全く事実に反しておりまして、アメリカの批准はこの交渉とは全然関係はないのであります。我々から言えば誠心誠意、できる国とはできるだけ早く善隣友好の関係を樹立したいそういうつもりでやつておるのでありまして、一日も早く、これはどうせ交渉でありますから、相互の妥協によるよりほか仕方がないのでありますが、適当な妥協をして交渉をまとめたい、そう考えておるわけであります。まだ多少時間がかかるかも知れませんが、決して交渉は惡いほうに向いておるとは私は考えておりません。相互にだんだん理解が深まつてお互いに相手の立場がよくわかるようになれば、譲るべきところは譲り話がまとまる、こう考えております。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の岡崎国務大臣のお話ですと、つまり台湾政府は中国本土に対して支配権を持つておらん、台湾並びに澎湖島たけの政府である、こういうふうな限定された意味で交渉されておる、これが難点になつておるように承わつたのです。そこで問題は、今後、両政府間における交渉がまあ妥協のうちに進んでおるということになつておるのですが、その妥協というのは、その点について日本政府は妥協するか、つまり何らかの形で現在の台湾政府を正統政府として認めるという方向へ妥協して行くということであるのか、その点は飽くまで限定せられておる政府として認めて行くか、それは頑張る、頑張るというのはおかしいですが、それは飽くまでも貫いて行くのですか。その妥協という点について、その辺のところをどういう御方針で臨みますか、お伺いしたいと思います。
  153. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはその言葉が国民政府にもいい感じを持たれませんから、限定というような字は私は使いたくないと思つております。ただ我々のほうは初めから今に至るまで吉田書簡の筋において話を進める、そうしてその筋でまとめたい、こう考えております。ただ妥協と申しますのはこの條文のことでありますから、いろいろこの文字等について使い方によつてはいろいろの形態で條文を作ることができるわけであります。私どもは実質的に差支えない限りは條文の字句等についてはできるだけ妥協をいたし、先方の要望を入れてまとめ上げたい、こう考えております。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 字句はいろいろにできる、そこで字句の上で譲歩をして向うさんの言うことを容れる、併し日本政府としては台湾政府の現状は吉田書簡に示されたことをその内容としてこれは飽くまでも貫く、こう解釈してよろしいですか。
  155. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは今折角その協議中のことでありますから、ここで以て、余り東京でえらいきばり方をしますと、折角の全権の努力も無になるのでありまして、又それはそのこちらの国民の感情もありますが、相手方の国民の感情もあるのでありますから、まあ成るべく物柔らかに、できるだけ妥協をいたして話をまとめたい、こういうことで御了承願いたいと思います。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 実はその点がかなり方針としては明らかにされないというと、この委員会にかかつております外国人登録法、或いは外国人の出入国の管理法に非常に疑義が生じて来る問題が起つて来るので、その点をできるだけ明らかにして頂きたい、こういうつもりなんですが、それが明らかにされないということになりますというと、これは又いろいろ問題があるだろうと思うのでありますが、まあ今日はこの辺で私はその点についての質問は後に残しまして、やめておきます。
  157. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) ちよつと大臣は実は三時までというお話でございまして、今すでに二十分遅れておりますので、若し御質問がございましたら極く簡單に願いたいと思います。
  158. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は先ほどの質疑を続けて行きたいと思いますが、大臣が誠意のある答弁をされれば極めて簡單だと思いますが、私が簡單にやると、よく読めばわかるという……、そうすると私が細かにやらなければならんことになつてしまうのでありますが、できるだけ簡單にやることにいたしましよう。私は西ドイツとそれから朝鮮へ大使を派遣するということは、これはヨーロツパにおいてはまさにドイツ統一の問題が政治の中心で、戰争か平和かの問題の大きな鍵になつておるし、又アジアにおいては朝鮮の南北の統一の問題が今進行中の停戰協定と並んでアジアにおいて戰争の発火点になるかならんかという状態にあるので、私はこの点を質すことなしにはこういつた一連の法律審議することはできないというような重要な問題だと思うので、私はその点をできるだけ問い質すのであります。即ち西ドイツの問題とこんがらかると徒らに長くなりますので、朝鮮だけを取上げますが、朝鮮のこの二つの政府の相対立するというこの不幸な過程はこの世界の外交的な歴史について見れば、この一九四五年十二月のモスクワ会議の前提といたしましては、ポツダム協定、このポツダム協定によつて日本の戰後の処理、植民地としての朝鮮を含むこの戰後処理の原則がこのポツダム協定できまり、そうしてその協定は今後四大国が拒否権を以て四大国が満場一致の形で進めて行くということがきまり、これに基いて一九四五年十二月のモスクワ会議が行われ、ここでモスクワ協定ができ、英、米、中、ソの四大国によつてモスクワ協定ができましたが、その決定は朝鮮は向う五カ年間四大国の信託統治にする、それに基いて臨時統一政府を作るという決定をしておる。ところがアメリカはこの決定に違反して信託統治に反対しておるところの李承晩を臨時中央政府に加えることを要求したために、ソ連がこれを四大国方式によつて拒否した。そこで南北分裂の不幸な事態がこれに端を発して今日に至り、且つ干才を交える状態になつて来ておる。ところがアメリカは自己の提唱によつて一九四八年に国連における小総会という、小さな総会、これは私どもの理解するところによれば明らかに合法性において欠けるところのあるこの小総会で、国連の監視下に南北統一選挙が行われることを多数決で押切つた。ところがこの国連憲章は百七條によれば、私が当初申上げましたように、この国連憲章は第二次大戰中にこの憲章の署名国の敵であつた日、独、伊、スペインというような国に関する行動であつて、それについて責任を有する政府即ち加盟国の政府、その加盟国において最も中心的な地位を占めておりますところのこの英、米、中、ソこの四大国が戰争の結果としてとり又はそれに関連して許可したるもの、例えば今私が申上げておるポツダム協定、モスクワ協定というようなものを無効とし又は排除するものではないと明確にきめております。この百七條は單にこの條文に私は拘泥するわけじやなくして、この百七條というものは、国連憲章全体の中心的な重要條項でありますので、特に私が百七條をここで挙げておるのでありますが、この国連憲章百七條で朝鮮問題に国連が関連するということはできないということを、先にはポツダム協定、後にはモスクワ協定によつてきめておる。それは国連小総会などという合法性の極めて疑問な小さな総会というものを開いて、そうしてこれを数で以て押し切つて、四大国方式の原則を破つておる。従つてソヴイエトが拓否権を発動してこれは承認できない。そうしてアメリカはその後この基礎決定に力を入れて南だけで選挙を強行したというような不幸な歴史が今日に至つて解決していない。従つて先ほど大臣が国連憲章を論ずるということは、今後の外交の根本方式だといわれるならば、明らかに朝鮮及び同様の理由によつて西ドイツへ大使を派遣し、これに俸給を支払うというような法律は出せる筋ではないのじやないか、こういうふうの私は質問をし、このために百七條の嚴密なる解釈を当方から申上げて且つこれに対する解釈を聞いてこの質疑の論点を明らかにしよう思つたら、読めば字のごとくだ、こういうふうな答弁がありましたので、私はそのような下誠意な答弁に対しては断乎として屈服できないというような意味で、私は公務員論争にまで進んで行つたのでありますが、そういうことを私は好むものではないので、私はそれよりも今縷々申しましたこの外交の歴史において国連憲章百七條に明らかに偉反しておるのではないか、日本の外交的態度は明らかに百七條の精神に違反する、精神どころじやない、百七條そのものに真向から違反するのじやないかということは事実だ、歴史的事実と、この章の法律内容説明したのでありますから、岡崎大臣一つ僕らのような駈け出しの人とは違つて、古くからの外交の專門家であるかたでありますから、十分我々が納得できるだけの條理を尽した私は一つ御回答が得たいのであります。
  159. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず第一にこの百七條についてのいろいろのお話でありますが、これはここにも書いてあります通り、第二次世界戰争中に、この戰争の結果としてとり又は許可したものを無効にし排除するものでない、こういうので戰争中にとつた連合国の行動の効力に関するものであります。で常識的に言えば例えば戰争中に或る財産を没收したとか、或いは或る土地をどうするというようなことがこの憲章によつてそれが無効にされるものではない、それは又別の問題になるの、だとこういうことを明らかにしたものと思います。そこでいろいろポツダム宣言、その他のことを申されましたが、我々の解釈ではこれは国際連合であなたのおつしやるようなこの四十五年からの話合いがうまく行きませんものですからして、アメリカ側で国連に提訴いたしました。そして遂に選挙をやつたのであります。選挙をやりましたときには、成るほど一部分といいますか、要するに三十八度線以南でしか選挙はできなかつた。国連の監視委員等は三十八度線を越えて向うに入ることを許されなかつた。従つて選挙は可能な範囲でしかできなかつたのであります。併し一九四八年十二月十二日の国連総会の本会議におきましては決議が作られました。これは大韓民国の政府の性格を決する決議であります。その第一項には、みんな読んでいると長くなりますから一部読みますと、朝鮮において一つの合法的な政府が設立されたこと、この政府は朝鮮のこの部分における選挙民の自由意思の有効な表現であり」、又「これが朝鮮におけるこの種の唯一の政府であることを宣言する」。ということになつておりまして、この決議は四十八対六、棄権一で採決されたのであります。又我々はこの国連の総会の本会議における決議等もありますので、これに基いてこの大韓民国との間に交渉を行い、そうして大使も将来派遣しよう、こういう考えで来ておるのであります。
  160. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 簡單に願います。
  161. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 簡單にできないですね、必要なだけの時間は頂戴しないと……、それは簡單にやりますよ、できるだけ……。そういうことではなくてたとえ国連の総会が決定しても、国連の決定そのものが国連憲章に違反しておるような決定を一時的な、條理に反して、ただ力関係、多数決で押してみても、国連憲章に違反しておる限りそれは無効であると考えなければならんのです。そこでやはり国連憲章百七條の解釈をあなたはそういう簡單な説明で吹飛ばされてしまうので、そういう国連憲章の解釈にできるだけとどまらないで、すぐ総会で何対何の多数決だと言われますが、小総会でなくて、仮に総会の合法的な形であつたとしても、これは明らかに百七條に違反しておるのです、あなたは第二次大戰中の事柄だと言われるが、そういうふうな説明をされると非常に困るので、第二次大戰中にこの憲章の署名国の敵であつた国の行動、この第二次大戰中というのは、この行動にかかるのではなくて、この憲章の署名国の敵であつた国、即ち日、独、伊、スペインをこれは指すのであつて、あなたのおつしやるように第一次大戰中にこうした、ああしたということでないということは明快なので、その点を先ず明快にして頂きたい。
  162. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは兼岩君と私とは考え方が根本的に違うかも知れませんが、我々の考えておる民主主義におきましては、その国連なら国連の構成員である総会において非常な多数の決議でこういうものがなされるとしますれば、この決議は国連の非常に多数の国から国連の規定に違反していないということを同時に認められたものであつて、国連の加盟国が国連の憲章について違反するか、しないかは先ず第一に認定する権限があるものであり、第三国の、国連に加盟していない国の人間がこの国連の決議に対してこれが違反であるとか違反でないとかきめ得るものではないと考えております。それから第百七條の点でありますが、これはおつしやることはよくわかりませんが、要するにこれは国に対して言つておるのではなくて、戰争中にこれこれの国に関する行動で、この行動について責任を有する政府が戰争の結果としてとつた、又は許可したもの、戰争中に或る行動をとつた結果としてのその成果を無効にし又排除するものではない、こういうことは明瞭であると考えております。
  163. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だから私はこの條文が問題であつて、この條文に違反したことをどんな総会の多数で決定しても、例えば憲法に違反したことをどんなにあなたが多数の力でやられても、それは一時横車を押しておるだけ正当であつたように見えるだけの話であつて、何らこれは正当でない、日本国内政治についても吉田内閣のやつておられることは……、あなたの論議は吉田内閣の大臣としては御尤もの説明だと思いますが、今はそういうことを言つておるのではなくて、純專門的にこの百七條はそういうような国連の多数決を以てする南朝鮮及び西ドイツの統一を妨げる行動は明らかに百七條違反である、何となれば第二次大戰中にこの憲章の署名国の敵であつた国の行動であつて、その結果としてとつたところのポツダム協定若しくはモスクワ協定を無効とし排除するというのではないのでありますから、ポツダム協定若しくはモスクワ協定を蹂躙したような決定をたとえ多数決でやつても、この條約の百七條そのものを改正してからそういうことをやるならば、それはあなたのおつしやる通り有効でしよう。併しこの憲章に背くような行動、たとえ多数決でやつたとしても、百七條に違反しておることは私は明瞭だと思いますので……。それでは質問をぐつと限定して、そういうような総会の行動はこの百七條に違反していない……、私はしておると思うのですが、あなたはいないと言われるとすれば、その根拠を拜聽したい。限定しますよ、質問をぐつと……。
  164. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはここで以て、例えば兼岩君が違反している、私が違反していないと議論したところでその効果はないのであります。で、こういうものは結局これを判定する責任ある機構がありまして、その判定に従う以外に方法はない。これが私は民主主義の原則であろうと思うのであります。それをほかの権限のないものが出て来て、お前それは違反であると言つたところでいたし方がないことだと思います。結論から言えば今申上げましたように国連の総会で四十八対六で以て採決されました決議がありますから、この決議に鑑みましてもこの決議の趣旨はこの百七條に違反するものではないと考えたからこそ採決したものと思うのであります。
  165. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 この大臣の答弁は、これは民主主義でなく官僚主義であると思う。我々はやはり公正な健全な知識で以て私はこの條文を判断しなければならんので、誰かがこれについてきめてくれるまで待つていたり、誰かが多数決できめてくれれば、それに従う、それは日本国会議員としてできんことだと思いますので重ねてお尋ねいたしますが、然らばあなたはこれは違反しないと、こういうふうに考えておられるとすれば、一体ポツダム協定、モスクワ協定などで結んだこの右の戰争の結果としてとり又は許可したものを無効にし且つ排除するところの総会の決議は多数決であるが故に有効である、こういうふうの御解釈だととつていいわけですか。
  166. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは幾ら言いましても意見の相違になつていたし方ありません。兼岩委員の御意見は御意見として伺いますが、私は百七條に違反しておる行為ではないと考えております。
  167. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 なぜですか。明快にその根拠を示して下さい。あなたは多数決だから違反していないという以上に何も説明していませんよ。
  168. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはそういうことを申しますと、例えばポツダム宣言とは何ぞや、モスクワ協定とは何ぞやその第何條に対してどうなつておるかということをどんどんどんどんいつまでやつても議論が尽きないと思います。尽きないと思いますし、一体こういう第百七條の規定と申しますのは、これは敵国に関つする行動で戰争の結果としてとつたもの等を無効にし又は排除するものでないということだけのものでありますから、仮にあなたの御意見通りとしても、モスクワ協定がこの第百七條に、いわゆる「戰争の結果としてとり又は許可したもの」であるとすれば、やはりそれはこの国連憲章によつて別に無効にされているのじやない、こういうことが言われるだけの話であります。それを今度無効にしたじやないか、しないじやないかという議論になりますと、これは事実の判定になります。事実の判定をここで幾らやりましても、やつた当の国はアメリカなりソ連なり、イギリスなり、その他の国でありますから、私がここで幾ら議論してもこれは水掛論になるより仕方がない、こう申しておるのであります。
  169. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それではあなたは最初に国連憲章を守ると言われたのはどういう意味ですか。そういう馬鹿々冷しい、人を愚弄したような回答に陥られるならば、あなたは国連憲章を守るというのは一体どういう意味ですか。
  170. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず第一に、国連憲章は紛争を平和的に解決しようというのが主眼であります。そうして世界の平和をもたらせようというのが主眼でありまして、それに基いてこの長い條文ができておるわけであります。私どもの申しておるのは、決して紛争を力によつて解決しようという気持を持たない、及び世界の平和をもたらすためにできる限りの寄与をいたしたい、こういう趣旨で国連憲章を十分守る、こう申しておるのであります。
  171. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一條々々無視して国連憲章を守ると言つたつて、これは話にならんので、国連憲章を守るというあなたの言葉が空言でないならば、嘘でないならば、本当であるならば、この百七條についてもつと明確な誠意ある答弁を私はされなければならんと思います。そのような答弁は言葉がどんなに丁寧であつて、外交的であつでも、内容は全く我々のまじめな質問に対して愚弄する答弁である。口の先でごまかすところの答弁であると、私はどうしても考えなゆればならんので、この点はあなたが国連憲章を守る、国連憲章を守ると言いながら、そうかと言つてそれは精神を守るのだというつふうに逃げて見たり、それじや全く我々の質問を愚弄するもので、私は徒らに議論をかまえておるのではなくて、現実にこの法律案及び最近出されて来た三つのこの條文及びすぐ我々が扱わなければならんあらゆる法案が、西ドイツの問題と朝鮮の問題と、続いては台湾の問題にも関連して来るのです。だから私はこれが、あなたはいいのですよ、あなたは国連憲章に違反していないと考えられていいのですよ。ただその論拠さえここに明らかにしてもらえればいいのです。それを他に逃げないで明快にして下さい。
  172. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その百七條というのは非常にむずかしい條文です。併し私のほうの了解しておるところでは、これは旧敵国、例えば日本、この日本に対して連合国の或る国が一種の強制措置をとるというような場合、そういう場合には普通の場合でしたら、国連憲章によるというと、そういう強制措置をとるときは、原則として安保理事会の承認を要するという規定があるのであります。併し今の場合は旧敵国、例えば日本に対する強制措置をとるというような場合には、その規定の適用を受けないというようなことが中心になつておるものだと了解して来ておるのですが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  173. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 只今の御質問と兼岩君の御質問を一緒にしてお答えしますが、これはもう今杉原君の言われるように、十七章に百六條と百七條とあるのであります。十七章におきましては「安全保障の過渡的規定」とこうなつております。要するに戰争中に旧敵国に対して連合国が安全保障措置をとつた場合に、それが国連憲章によつて無効にされない、こういう趣旨であります。従つて今後日本が韓国政府をどういうふうに承認するかとか、そういう種類の問題とは全然関係のないことでありまして、而もこの十七章を御覧になれば、つまり百六條、百七條を御覧になればこれはもう明らかな点であります。
  174. 平林太一

    ○平林太一君 本案につきましては先刻来いろいろ審議を尽して参つております。而もなお尽し得ざるものはなお。多々あると思いますが、引続いて当委員会において審議すべき、講和発効を控えましての外務省関係の重要法案は、いずれも堆積をいたしておる次第でありますから、兼岩君の御意見に対しましては、私自身といたしましても深甚なる意を表して傾聽いたしたのでありますが、そこでその御意見はいずれ引続いて審議さるべき重要法案にいずれも関連を以て十分御意思を開陳さされる機会がこれあることと察するのでありまするから、本法案につきましては、この際一応質疑を打切りまして、討論の段階に持つて行かれることを私は希望いたす次第であります。兼岩君もどうか鋭鋒をお納め頂きまして、次回になさることは結構だと思いますが、その点だけ一つ委員長に申上げてお諮りして頂くようお願いいたします。
  175. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一言だけ私その前に……。私はこの問題は非常に重要問題であり、外務委員会としても今後私ども飽くまでもこれを展開し、事柄を明快にして行かなきやならんと思います。これは私は全面講和以外に平和も独立もあり得ない。吉田内閣は多数講和で以てそれが徹底できるという趣旨で行つておられますので、政策においては我々は倶に天を戴かざるものである。併しながらその違いの鮮やかな論理的な違いを、今後の歴史的な帰趨を明確にしておくことか、極めてこの国会に派遣されておる者の任務であると考えるので、この問題はその中心的な問題であり、すぐ次の出入国の関係、国籍の問題、続いては日韓條約、それから日タイの問題、それから続いては漁業の協定の問題、それから国連への加盟の問題等々と、この国連憲章の解釈の問題、それから国連総会の運用の問題、或いはその他の問題を私は十分に問い質して介かなければならんと思いますが、今日は大臣お忙しい約束を持つておられると言われるから、私は論議はもう今日この席では打切りますけれども、この国連憲章を明らかに、世界の外交における国連の歴史を明らかにし、且つそれに対するソヴイエト及びアメリカのそれぞれの社会主義、資本主義陣営のおのおの両陣営の態度、方針、主張等々を歴史的に明らかにする、そういう事実に基いた外交上の論議は私は今後十分お許しを得たい。そうして政府も口の先でごまかすというようなことをしないで、一つ我々の質問に対して科学的な態度を以て答弁願う。そうしないとこの非常に又加藤議員の洗練された神経を傷つけるというようなことになりますので、一つ政府のほうで特に岡崎大臣はもう少し……、問答できなければ私はこの席で即答なさらなくても、十分研究された上で、我々が間違つているところは十分御折摘願えばいいのでありますから、今後一つ科学的な態度で、言葉の先で言いくるめないようにして頂きたいと思います。で、この論議はまだ終つていないということで、私は今日はこれで終りたいと思います。
  176. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 大臣も非常にお急ぎの……、次のあれがあるそうでございますから、大臣への質問はこれにて打切りたいと存じます。続いて今ちよつと懇談に入りたいと思います。速記をとめて下さい。    午後三時四十九分速記中止    ―――――・―――――    午後五時十九分速記開始
  177. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) それでは速記を始めて下さい。何か続いて御質疑ございますか。
  178. 岡田宗司

    岡田宗司君 議事進行について……。只今懇談いたしましたけれども、どうも議事進行についての御意見が一致しないようであります。而もこの法案の審議にはまだ相当残されておる点もあるようでありますから、一つ本日はまあ委員会はこの程度にして頂きまして、そうして自然休会が終りました後にできるだけ速かにこの審議をするということで、今日は散会されることを望みたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  179. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 只今の岡田君の申入れがございましたが如付いたしましようか。
  180. 中山福藏

    ○中山福藏君 岡田委員の言われることは大変私は合理的な話だと思いますけれども、事態から考えまして、できるだけ私は早急にこういう問題を処理する必要があると思うのですが、成るほどいろいろ疑念のある点もございますけれども、若しそういう疑念がございますれば誠にこれは申しかねますが、できるだけ一つ相当時間も経つておりますけれども、今日質疑を一つ継続して頂きたい。実は私から個人のことを申すようでありますけれども、明日から休会に入るというので、実は当て込んで今日帰るという予定を立てておりますから、これは私のことを言つちつ誠に恐縮でありますが、打明けて言えばそういう立場にあるものですから、できるだけ御高説も一つ拜聽して、そしていろいろこの審議にあずかりたいと私も考えておりますから、誠に申訳ありませんがどうでしようか。
  181. 岡田宗司

    岡田宗司君 中山さんの御丁寧なお言葉もあるのですけれども、私としてはやはり今日はこのままに散会にして頂きたいとこう思うのです。まあこの委員会の進め万については、今まあ御懇談を願つたわけですけれども、一つ私もう一遍休憩して頂いて各会派の代表で一つお話を願いたい。理事がおりませんから、各会派の代表で、運営についてのもう一度お話を願いたいと思うのですか……。
  182. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) 時間も大分遅くなつておりますが、今岡田さんの申し出を如何いたしましようか。
  183. 平林太一

    ○平林太一君 賛成します。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  184. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) それでは一応これで休憩いたしまして、懇談に入ります。    午後五時二十三分休憩    ―――――・―――――    午後五時三十六分開会
  185. 徳川頼貞

    理事徳川頼貞君) それでは開会いたします。  今日はこの程度にとどめまして次回は十四日の午前十時に開くことにいたします。今日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十七分散会