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1952-03-29 第13回国会 参議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十九日(土曜日)    午前十一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     有馬 英二君    理事            徳川 頼貞君            野田 俊作君            吉川末次郎君    委員            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            大隈 信幸君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    法制局長    岡部 史郎君    外務政務次官  石原幹市郎君    外務大臣官房長 大江  晃君   事務局側    常任委員会専門    員       坂西 志保君    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件件 ○外務公務員法案内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ではこれより外務委員会を開会いたします。  どうぞ御質疑をお願いいたします。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 只今淺井総裁の御答弁でありますが、先ず私の第一問に対する御答弁あります。しばしば国家公務法特例云々というお言葉が使われましたので、私も国家公務員法制定のときは決算委員としてこれに当つたのでありますが、ずつと見ましても、それを肯定するような法律條章がありませんのでお尋ねしましたところが、最初法律にはあつたと、併しそれは廃止されたと言われておるのであります。廃止されたけれどもその精神は生きておると言われておるのでありますが、廃止の必要があればこそ立法府はこれを廃止したのであると考えるのでありますが、その必要を認めて廃止したところの法律條章がなお生きておるというところの法理は、私は成り立ちがたいのではないかと思いますが、それについての御答弁をお願いいたします。
  4. 淺井清

    政府委員淺井清君) 廃止しておるのが生きておるというふうにおつしやれば、それはそういう法理はないでございましよう。併しながら最初法律の十三條に列挙されております外交官領事官、その他の在外職員学校教員裁判所職員、検察官、その他というふうなものを若し除きますれば、新らしい法律附則十三條は一体どこに適用するのか、殆んど適用の範囲がないように考えております。そこでかようなる例示をとりました当時の理由は、恐らくかような例示を残しておきますれば、まずまずこの例示が殖えるということに相成つてはいかないというような理由から取つたと私は了解しておりますが、これは外交官領事官等がこの附則十三條に該当するものの一つであるということは変つていない、その意味においてその精神は生きているのだと、かように御了承を願いたいと思います。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 十分に実は満足いたしておらんのでありまして、先ほど申しましたように、キヤリアデイプロマツトという者のために特殊の制度を設けてもいい、設けるべきであるということについては、基本的に私賛成しておるものであるとうことを申上げておるのでありますが、他面においていわゆる逆コースの動きに対しては、私は淺井さんが政府委員であつても、そうした逆コースをできるだけサポートするような立場に立たれないところの政府委員であるということをば希望するものであることを一言申上げておきたいのでありますが、同じような考えに基きまして、昨日のこの委員会において私はこの外務人事審議会構成について質問いたしたのでありますが、お留守であつたので、特にあなたの御答弁を得たいと思うのであります。先般来基本的な私の質問展開のベースとしてお話しましたマツカーサーアドニストレーシヨンを通じて日本に入れられたところの、新らしいよき民主主義制度というものが、その精神が理解されないということからして、これを廃止することを、他のことについても非常に多くやつておる、その一つの現われがこの法案の中にも出ておるということを申したのでありますが、その観念に基いてお尋ねしたいことは、この人事院人事委員会構成というものにつきましては、国家公務員法の第五條でありますか、いろいろな制限規定されておる。即ち、「人格が高潔で、民主的な統治組織成績本位原則による能率的な事務の処理に理解があり」云々というようなこと、それからその末項におきまして、「人事官の任命については、その中の二人が、同一政党に属し、又は同一の大学部を卒業した者となることとなつてはならない」こういう規定であります。そういうことを第五條規定しております。これは一つの例でありますが、こういう国家公務員法に盛り込んでおりまする非常に民主的な、そうして日本官吏制度において最も剴切なるところの私は考えだと思うのであります。ところが、先般来申しておりますることによつて、現政府代表者及び閣僚の諸君という者は明治憲法のセンスしかないのでありまするから、こういうことがわかつておらんのです。ところが、今度の法案を見まするというと、こういうような精神は少しもこの中に規定されておらん。併し私はこれは非常に必要な規定であると考えるのでありまして、例えば引用いたしました第五條の末項の、「その中の二人が、同一政党に属し」云々というようなこは、これはまあいわゆるスポイルシステムの排除でありますが、こういうことも私は中に書いて置くべきではないか。又更にそれよりも私は外務省人事行政において必要と思いますることは、同一大学学部を卒業した者がこの審議会構成員に二人以上おいてはいかんということであります。これは昨日も申したことでありまするが、日本の官界を長年の間支配壟断して来ましたところの学閥勢力を打破するということの上において非常に必要なことだと思うのであります。それはいわゆるそうした独占的な学閥勢力を振つて来ましたところの学校出身者でいらつしやらない、日本民主主義先覚者である福澤先生の門下でいられる淺井さんのような人にして、初めてこの重大な意義が私は理解できるじやないかと思うのでありますが、この規定はやはり国家公務員法と同様に、この外務人事審議会構成に当つて規定して置くということが必要だと思う。それについての御答弁を得たいと思います。
  6. 淺井清

    政府委員淺井清君) だんだんとの御論議誠に御尤もに存じております。御承知のごとく国家公務員法におきましては、この三人の人事官についてお示しのようないろいろな制限をいたしております。これがいわゆる公平なる人事行政を期待したものであることは申すまでもございません。そこで同じような規定審議会のほうに設けるほうがよいというような御論のように存じております。併しああいう国家公務員法のような規定を設けましたのは、あれは非常な特殊の場合、いわば人事行政の元締とも言うべき人事院についてのみ存する規定でございまするし、又これと同じような規定がほかの方面にあることは私は承知いたしていないのでございます。その最もいい例は裁判所でございまして、我々は生命、身体、財産、名誉すべての権利の保護を裁判所に求めておるのでございまするが、この裁判所裁判官構成につきましては、国家公務員法五條のような制限もいたしておりません。三人とも同じ大学出身でございましようとも、同じ府県の出身でございましようとも、ただその人にして公正に判断し得るものならば差支えないように思つております。それからこの外務人事審議会と同じような機能を営みまする人事院公平委員会、これについては全くさようなことを眼中に置かないでやつております。三人とも公平委員が同じ大学卒業生であることもございますし、殊にすべての公平委員人事院事務総局職員ばかりであるのが原則でございます。たまたま外部から学識経験者を加えまするけれども、結局公平委員会構成は、大体において人事院職員のみでやつておるのでございまして、さらばと言つて人事院公平委員会が非常な不公平なことをやつておるというような非難もないように考えております。そこでこの外務人事審議会構成を見ますと、その点はむしろ非常に心してやつておるように思つております。即ち最前申しましたように、五人のうち一人だけが外務省職員であつて、一人は人事院職員、他の五名は外部から学識経験者を持つて来るというのは、その出身学校云々というようなことはやりませんけれども、結局これは公平を旨として、成るべくあつちこつちから人を集める、こういう趣旨できめておるように思いまするので、国家公務員法五條というような規定のところまで行く必要はないように思つております。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私はどうも淺井総裁がいつかの間にかやはり役人くさくなつて福澤先生の伝統的な精神を蹂躙したような御答弁をわざわざお言いになる心持が甚だ不可解なんですが、お答えになりました中で、こういうことがそのほかに規定されておらん、規定されておらんところの例として裁判所構成についてお述べになりましたが、裁判官が裁判をする場合、その就職、懲戒、任免、その他のことを人事行政についてやりまするところの立場にあるものとを私は同じように考えられるのは非常におかしい。むしろそういうようなことをおつしやるならば、人事委員会構成に第五條末項のような規定があることそれ自身をも否定されなければならんことになるのではないかと思うのであります。それからそういう例がないというお話でありましたが、或いは法律規定ではなかつたかも知れません。併し実際上そういうことは現在においても非常に強く言われ、又行われておるのであります。その例は私の知つておる範囲において挙げますれば、これ又あなたの役所と同じように、近く無理解なるところの保守政府の反動的な行政機構改革によつて廃止されることになるだろうと思うのでありますが、地方財政委員会であります。地方財政委員会委員は御承知のように五名の委員を以て構成されております。ところがその委員構成につきましても、これは東京帝国大学卒業生をしてはならんということを或る方面からサゼツシヨンを與えられたのであります。それを與えられているところのその学校出身者からいたしますと、甚だ不愉快に思われることであると思うのでありますけれども、私は日本民主化のため、官僚政治の再検討を行わなければならない、それが非常に必要であるという建前からいたしますと、私はその筋からのそうしたサゼツシヨン処置というものは、本当に日本国民民主化を担つておるところの第三者の公平なる私は意見であり、処置であつたと思うのであります。事実そういうことが行われた。その当時私委員長としてそのことに当面したのであります。そういうことがあつたのであります。これはそうして又殊に日本官僚政治改革のために必要なことだと思うのであります。それでほかには例がないかというようなことをお答えになりますのは、私はあなたの仕事に対するところの熱意が甚だ不十分であると共に、そうした事実を無視してもこうした馬鹿げたことをばあなたがほかの官僚と同じようなイデオロギーによつて擁護せられる気持を、私は国会議員の一員として非難したいと思います。なおいろいろお尋ねしたいこともあつたのでありますが、一応これで私はやめておきます。
  8. 淺井清

    政府委員淺井清君) 吉川さんからそうだんだんとおつしやられますと、誠にすさまじきものは宮仕いだと思います。これは政府委員一同さように思つておるだろうと思います。併しながら吉川さんの御論議は、結局一つの大きな前提に立つておるのでありまして、結局これは逆コースだということが前提になつておるであろうと思いますが、さようなことは私どもは信じておりません。これはこれだけのものでございます。それから学閥云々の話もございました。成るほど過去におけることはさようだつたろうと思いますけれども、ともかく国家公務員法平等取扱原則にも立つております。これは公務員法の二十七條に明記することでございますから、或る特定の学校卒業生を又反対に排撃するということも公務員法趣旨でないように存じます。
  9. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ちよつと速記をとめて。    午後零時八分速記中止    ——————————    午後零時二十四分速記開始
  10. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記を起して。続いて御質疑のおありのかたは御発言を願います。……別に御発言もないようでございますから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それではこれより外務公務員法案を議題といたしまして討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  12. 徳川頼貞

    徳川頼貞君 将来の日本対外的交渉の任務を円満にさせる意味におきまして、私は本案賛成いたします。
  13. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は社会党第二控室を代表いたしまして本案反対いたします。反対理由につきましては、大体において昨日来の私の質問のうちに意見が出ておると思われるのでありますが、第一にはその節申上げましたように、国家公務員法の持つておりまするところの、戰後の民主主義の発展に伴う官吏制度改革についての基本的な精神がこの法案の中には取入れられておらんということ、従つて国家公務員法特例法であるというところの建前を私たちが是認することができないということであります。  なお細かい点についての反対理由は省略いたしますが、要約して申しまするならば、これは政府政治に対するいわゆる逆コースの線に沿うた改惡であつて、又従来の外務省官僚が、いわゆる霞ケ関の官僚として持つておりました一種の官僚的な惡い特異性というものを依然として温存しようというところの見解の上に立つて、それが諸種の形において表現されておると考えるわけであります。従つてこの法律案に対しましては反対いたすものであります。
  14. 平林太一

    平林太一君 私は本案賛成をいたします。併しこの機会に特に希望を申上げておきたいと思いますことは、日本外交の再開を真近に控えまして本法案が施行いたされることを予測いたしまして、その執行、運営が極めて我が国の独立外交に相即応した多大の成果をもたらすことを深く期待いたすものであります。  それにつきましても取りあえず要望いたしておきますことは、この法案の施行に当りましては、只今総理大臣外務大臣を兼任いたしておりますが、むしろこの際速かにこの外務大臣專任大臣とするの処置政府は早急に講ずべきであるということをこの際強く要望いたしまして本案賛成をいたします。  なおこの機会に、過ぎたことでありますが、そういうことを申上げるにつきましても、速記録に私はとどめておきたいと思いますが、先般行政協定のこの重大な対外交渉に当りまして、外務大臣が、国務大臣をしてこの衝に当らしめたということは私は非常に遺憾であつたということをこの際申上げなければならないと思います。吉田総理行政協定に当りこのような重大な交渉に当るにつきましては、むしろそれなら総理みずから当るべきものである。そうして国家の大事にこれは任ずべきものであつたと思います。併しながら若しそれ理由つて総理がその衝に当ることができなければ、国務大臣としての岡崎君をして外務大臣に專任せしめてこの衝に当らしめるというのが当然であると思う。岡崎君自体は国務大臣としてあの衝に当るに際しては、先方のラスク氏は大統領特使として来られておる。国務大臣などというみすぼらしい姿をしてそうして先方特使に当るということは、随分不自由なことがあつたのではなかろうか。それから又交渉というものは要するに当該者の人と人との対決である。この場合に何となしにこれは押され勝ちの感がある。それが我がほうの條約の上に、取極、或いは国際間の約束でありましようが、非常に私はやりにくい点があつたと思うのであります。それでありますから、今日もはや独立を控えまして講和の発効を迎えておるときにおきましては、この外務公務員法のこれに私は賛成するについても、よろしく外務大臣を速かに專任外務大臣たらしめることをこの際強く要望いたしまして、本案賛成するものであります。
  15. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ほかに御発言ございませんか。御発言がないようでございますから、討論は終結をしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。外務公務員法案を原案通り可決することに御賛成かたは挙手を願います。    〔賛成者挙手
  17. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これ委員長において本法案内容及び本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名     徳川 頼貞  團  伊能     平林 太一  伊達源一郎     野田 俊作  大隈 信幸
  19. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 署名漏れはございませんか、署名漏れはないと認めます。  それでは散会いたします。    午後零時三十四分散会