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團伊能君
只今委員長から御指名を受けましたので、去る一月十一日から一週間ほど私岩国、徳山の元陸軍及び海軍燃料廠あとの賠償
地域を視察いたしました。続いて鹿児島に参りまして、新らしく
日本に帰属いたしました七島の状態を調査員の報告を聞いて帰りました。簡單なる御報告を申上げます。
岩国の陸軍燃料廠は二十七万坪ある非常に厖大な
地域でございますが、その中で
只今返還を受けておりますのが十万坪、転用済みのものが五万坪ばかりございますが、なお非常に大きな
地域が残
つております。ここを概括的に申しますと、従来の陸軍燃料廠で非常な大きな施設がございますばかりでなく、岸壁があり鉄道の引込線、或いは二里ばかり遠くから引いて参りました水道の設備もございまして、工場の立地条件としては極めて良好なものでございまして、その転用方針として大蔵省の管財局が大体これをお世話しておられますが、いろいろ設備を生かしてこれを転用させるような方法もと
つておられます。これは非常に疑問がありますが、今日多少これを転用も
許可されておる、
使用を
許可されておる会社もございますし、
只今まだいろいろな会社がこれに転用の願いを出して競願いたしておるものもございますが、国家施設として考えますると、非常なひどい爆撃は受けておりますけれども、その中に発電所のごとき厖大な施設があります。併しこの発電所を使うと……これは粉炭の燃料の火力発電でありますが、使うとすると、経済的には非常に成立たないようなものでございますので、
部分的にこの燃料廠の一部を或いは肥料
生産とか、周東化学なんというのが使
つておりますが、割合にこれを転用することが、非常に機械設備が困難でありまして、大きな連関した工場の一
部分を
一つの独立会社が使おうとしても、その動力とかその他の電気とかいう
関係で、できないような状態でありますが、なお、大蔵省はできるだけこれを立地のまま利用しようという考えでありますために、今日引受けた会社がとても成算が立たないというような状態で、比較的、極めて意味のないような使い方をしておられる所が多いかと思います。要するに燃料廠でございますから、これを
一つ大きな燃料
関係に転用すれば、一番新らしい設計と古い設計が合致するのであります。但しその中でもこの燃料工業としては相当旧式なものに属しますので、今日とは違うものがありますが、この転用はむしろ今日壊れた工場をできるならばスクラツプで払下げて、整地して新らしいものに使う。立地条件は非常にいいところでございますから、そのほうがよいのじやないかという感想を得ました。これに関連しまして、徳山はすでに二十一万坪の
地域がございますが、終戦後全部施設をスクラツプで払下げてしまいまして、平地にな
つています。
それで払下げたところが、それは相当出光興産とか或いは徳山市とか、農業協同組合とか、或いは専売公社などに土地を払下げたところが、そこを今度は進駐軍が急にドラム罐置場にしてしま
つて、引受けたけれども現在は使えないというような状態にな
つております。これらのところは将来何か行政
協定その他で、すでに払下げた
地域をただ進駐軍が
使用しておる形でございますが、何とか合理化して頂かなければならないような問題がまあ所々に起
つておりました。なお徳山は、その山の中に十一基ほど、一基は爆破いたしておりますが、十一基ほど五万トンの燃料を入れる地下のタンクの厖大なものが残
つております。これは全部今日空にな
つております。半製のものも
一つありました。こういうようなものはそのまま遊休施設として遊んでおりますのは非常に残念なことだと思いますが、これらの両燃料廠の跡を見ますと、やはりこれらの施設を活かすには国家的な総合計画を早く立てて、活き得るものは活かし、そうして不要なものは払下げるというような、もう少し大蔵省の管財局が單なる収支計算の上からのみこれを払下げておるのではなく、積極的な国家計画の上からお考えにな
つて、活かされるというようなほうがいいということを考えました。具体的なことは報告に書きまして又御
説明いたします。
なお七島の問題は、先日
ちよつと質問いたしましたので大体盡きておりますが、結論だけ申しますと、この七島の生活困窮者の救済は、米国の管轄時代におきましても非常に不満足でありまして、飢餓に瀕する
程度のものが非常に多か
つたのであります。
日本治下になりまして、月収三千円以下の者が多く、生活保護法の適用を受ける者が大
部分でありますが、これらの生活状態の向上を速急に講じて頂きたい。それからルース台風によりまして、この地方、琉球は昨年非常な台風がありまして、学校は殆んど潰れておりまして、僅かに屋根を葺いて、而も吹きさらしの所に生徒が集
つておる状態である。これらの学校建設も至急に必要である。なおガリオア資金百五十万円ばかりで道路を作
つたのでありますが、
司令部のことで余り申上げられないかも知れませんが、ガリオア資金の返済を要求しておるような特殊な
事情があります。なお公務員の給与を補填する必要がございますし、又アメリカ側の補助打切りによりましていろんな補填しなければならない費用も諸方に見られます。又この七島の一番重大な問題は、交通が杜絶しているような状態でありますので、何とかして早く交通
機関をや
つて頂きたい。実は私企業で鹿児島汽船会社がこれを計画しているということもありましたけれども、到底私企業としては成立ち得ません。殊に台風が多い所でありますので、相当船が堅牢でなければならない。僅か二百トンぐらいの船で通
つては非常に危険がありますので、交通の復活を第一にして頂きたいと思います。これには先日申上げましたが、鹿児島湾に終戦直後ございました金十丸、八百トン余りのものが取られてしま
つて、今奄美大島へ行
つておりまして、奄美大島、琉球間を通
つておりますが、これが従来はこの七島と奄美大島を繋いでお
つたのでありますが、これをもう一遍こちらに接収を解除して頂きまして、金十丸を運航さして頂く、できれば協約を結びまして、七島を過ぎて奄美大島に行く、そうすれば経済的にも成立つことができるかと思いますが、取りあえずここの交通を早く開いて、
一つ我々のために生活物資の補給その他の改善をして頂きたい。これを單に地方行政の部門に属し、鹿児島県の一部といたしまして、鹿児島県の管轄下にあ
つて、鹿児島県費によ
つて助けるというだけでは到底不十分でございますから、特殊な状態として国家的に援助する方法を考えて頂けたらよかろうというのが私の視察の結論でございます。甚だ簡単でございますが、御報告申上げます。