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1952-02-26 第13回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十六日(火曜日)    午前十一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     有馬 英二君    理事            吉川末次郎君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            岡田 宗司君            大隈 信幸君            兼岩 傳一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    外務政務次官  石原幹市郎君   事務局側    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○韓国人らい患者強制退去に関する  請願(第六〇〇号) ○安全保障條締結に伴う佐世保駐留  地域決定に関する請願(第六五五  号) ○だ捕船舶および乗組員返還に関する  陳情(第二九一号) ○国際情勢に関する調査の件  (行政協定に関する件)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは只今から外務委員会を開会いたします。  先ず只今までに本委員会に付託されました請願及び陳情議題といたします。專門員をして趣意の説明をいたさせます。
  3. 久保田貫一郎

    專門員久保田貫一郎君) 請願第六百号、韓国人らい患者療養に関する請願でございまして、東京都北多摩郡の東村山町会生園金哲氏外七十七名の請願であります。紹介議員赤松常子先生であります。  趣旨は、政令第三百十九号出入国管理令によれば、その第二十四條に「らい予防法の適用を受けているらしい患者」に対し本邦からの退去強制できる規定になつておるけれども韓国人らい患者にとつては、この強制過去は死を意味するものでありますからして、どうか日韓両国の過去と将来の関係による、深い理解の下に、又崇高な人類愛によつて、心配なくらい患者が療養できるようにして頂きたいという趣旨でございます。
  4. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 只今請願につきまして、政府の御説明がありますか。
  5. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この問題は、只今のところでは登録令違反者とそれから帰国希望者を熊本の恵風園に収容しまして、送還船のある都度隔離病室を作つて送還しておるわけであります。今後の措置といたしましても、永久にこれを日本厚生当局その他と十分今後も協議いたしまして、又日韓会談等の際にもこれらの問題を協議いたしまして、人道上悖らないような措置を講じて行きたいと、かように考えております。
  6. 有馬英二

    委員長有馬英二君) この請願につきまして、御質疑のおありのかたは御意見を御発表願います。  別段御質疑がございませんから、本請願は議院の会議に付するを要し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御異議ないものと決定いたします。  次に、第六百五十五号の請願
  8. 久保田貫一郎

    專門員久保田貫一郎君) 安全保障條締結に伴う佐世保駐留地域決定に関する請願でありまして、請願者は、佐世保市長中田正輔外一名紹介議員藤野繁雄岡本愛祐先生でございます。  佐世保市は、旧軍港都市転換法に基き平和産業港湾都市として再出発したが、朝鮮動乱勃発以来、これまでの占領区域に加えて立神埠頭を初め各所の臨港地区の使用を禁止され、又更に再接收のための手筈に着手せられているが、かくては、市が商港として使用し得る余地は全臨港地区及び干盡地帯の一部の倉庫地帶にすぎず、国際貿易港としての大型商船岸壁施設は皆無となる状態である。若しこのままの状態が続くと、二十万市民の熱願する産業貿易の振興は望めなくなるので、市民の不安は甚だしいから、駐留区域決定に当つては、佐世保港が国際貿易港として存立することができ、且つ駐留軍目的を妨げないように配慮願いたいという趣旨の下に、八項目の具体的な要望がございますので、それを読みますと、  一、立神地区岸壁倉庫臨港線の全部が朝鮮動乱前と同様国際貿易埠頭としての機能を生かすごとく開放せらるること。  二、赤崎の旧海軍燃料置場は殆んど未利用のまま放置されておるので、これを石炭積出及び貯炭場地区として開放されること。  三、旧海軍水道施設は市に任かせられ、駐留区域への給水に支障なく実施しておるのでこれら施設全部を市に開放せられること。  四、港内海面に対する連合軍発令の諸制限駐留目的を阻害せぬ範囲内において最大限に解除し、少くとも港口の夜間出入の許可、港内夜間航行漁獲制限の緩和を行われたいこと。  そのほか四項目ございます。
  9. 有馬英二

    委員長有馬英二君) これについて政府説明を求めます。
  10. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この問題は、今回のこの請願がありました場合ばかりではなく、たびたび陳情を受けておりまするので、外務当局関係者はこれらの問題を十分承知しておるのであります。この問題を今後合同委員会のできるまでの間はいろいろの準備協議会があることと思うのでありまするが、いわゆる駐留地域施設決定に当りましては、これらの希望條項は十分参酌されまして、できるだけ希望に副い得るように我がほうとしても努力をしたい、こういうふうに思つておる次第であります。
  11. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 只今次官のこれに対する答弁は、お座なりの口の先の答弁でなく、本当におやりになるのですか。そういう決意で、ただできるだけ善処したいとおつしやらないで、私も先般見に行つて地元の人が非常に困つておるのを見て来たのですが、或る程度解決し得るという肚を以てそういう御答弁をなさるのですか。それとも日米合同委員会に聞かなければ何もわからないという御答弁なんですか。
  12. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この問題は佐世保ばかりでなく、横須賀にもあります。こういつた似寄つた問題は各地にあるのでありまして、これは相手があることでありますから、我がほうの意見だけで全部が通るというわけにも行かん場合もあるかも知れませんが、とにかく地元民或いはその地方経済情勢その他を十分に勘案をいたしまして、できるだけそれらの希望に副い得るように主張をしたいと、現にほかの各地問題等につきましてもいろいろ折衝をておる次第であります。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は二十日の日に佐世保に参りまして、そうして市長にも会い、更にこれらの地域を視察して参りました。まさしくこの請願にある通り、特に私一つ当局のほうにお聞きしておきたいのは、大分あすこアメリカ軍司令官のほうから、占領が解けない前に何らかの形で早くこういう地域を再び接收して使いたいというような何があつたようであります。これに対して市当局行政協定もできるのだから、そのほうにおいて一つこの問題は取計らつてもらいたいということで、まあいわば返事をしておらない。一体そういうふうに現在占領軍当局は、占領が解ける前に現在の占領軍の持つておる権利に基いてこういうふうなことをやるのか、こういう事例が他にもあるかどうか、これに対して当局としてどういうお考えを持つているか、それをお伺いしたいと思います。
  14. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 協定が発効するまでの間に、更に占領軍当局としていろいろのものを接収するようにやつておる事例がほかにあるかということでありまするが、私の承知しておる範囲では余りないと思います。それから今回のいろいろの折衝過程におきましても、この協定ができるまでは新らしい接収命令といいますか、いわゆるPDといいまするか、そういうものはまあできるだけ出さんようにしたい。いよいよ止むを得ない場合はこれは十分双方でよく協議してからということのようでありまするが、まあ大体そういう建前になり、我が方といたしましてもそういう希望を申入れておるようでありまして、お座なりな気持でなく、地元各位の御希望なり、御苦心は十分我が方の主張に反映いたしまするように極力努力はしておるのであります。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 現在接収されておる所で、向う側使つておる所もあるが、事実上何ら使つておらない、それでそれを使わしてくれたならば、まあ佐世保にとつては非常に便利になり、又佐世保の繁栄のためになるというような所がこの佐世保港の周辺に幾多ある。こういう問題につきまして、接收はされておるが、事実上向う使つておらないという所に対して、政府は今までにそういう所をできるだけ解除してもらうように御努力をなすつたことがあるかどうか。
  16. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 御承知のように、ホテルであるとか、まあいろいろああいうものにつきまして、だんだん事務所だとか、そういうもので要らないと申しまするか、返してもいいような状態になつておるものはだんだん解除しつつあるのが現状でございまして、只今全国でそういう土地としてどんなものがあるかどうかということは私よく承知しておりませんが、そういう気持で互いにやつておるということは言えるのじやないかと思うのであります。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 私がお聞きしたことを少々取り違えられているように思うのだが、私は佐世保に関連してお聞きしているのですが、この地図を御覧になるとわかりますが、この地図の中におきましても、赤崎燃料置場地区とか、或いは船越とか、こういう所で事実上使つておらない所がある。こういう所で佐世保のほうからは前々から解除してもらいたいということを言つてつた。それを政府一体解除するために努力したことがあるかどうかということをお伺いしているのです。
  18. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) こちらではまあ総則的なことを主として総括的にやつておるわけでありまするが、これは現地にやはり出先機関がありまして、まあそれらは中央が受けまする以上いろいろ陳情を受けおるのでありまして、現地側でもたびたび恐らくやつておると思うのでありまするが、ただ希望した通りに具体的に結果が出ているかどうかはちよつとわかりませんが、その努力はしているということは言い得ると思います。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 この問題について、今まで政府側機関としてはどこがタツチしていたのですか。
  20. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 外務省といたしましては、国際協力局の第三課が主管しております。それから、地方では、地方といいますか、特調の系統がやはりやつております。それから、九州の連絡調整事務局でありますとか、それらが出先機関としてやつておると思うのであります。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは、国際協力局の第三課においてこれを取扱つたことについての報告は出ておりますか、御存じありませんか、どういうふうに取扱つたか。
  22. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この問題は、先般もいろいろありましたので、先ほど申上げましたように、行政協定でいろいろ原則的の折衝が行われておりまするが、そういうときにもこういう問題等念頭に置きまして、具体的にこれを議題にして論議したかどうかわかりませんが、念頭に置いていろいろの話合いをいたしまして、先ほども申上げましたように、協定なり決定ができるまでは成るべく新らしく何するとかいうことのないように、それからまあ岡田委員の御要望といいますか、御質疑は必要なる所を早く返せということであると思いまするが、それらの問題も全般的な問題としてやつておると私は思います。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ接収されたホテルや、それから個人の住宅を返せという問題と違いまして、これは佐世保市並びに佐世保市の住民に取りまして重大な問題である、そうして今後もこのままの形で向う側が使用して行くということになつて、利用しておらない所までも今度の行政協定従つてそのまま認める、或いは向う要求して新らしい所がそれに加えられて、そのために市にいたしましても非常にいろいろな支障が生ずるというようなことになつて来ると、これは非常に困るのでありまするが、一体建物やなんかは別として、こういうあなたがたのほうの言われる施設に入ると思いますが、この施設の中で不用なものは返すというような一体意思表示はあつたのか、使つてないものは日本側に使わしていいという意思表示が包括的にあなたがたのほうにあつたのかどうか、それをお伺いいたします。
  24. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) まあ会談過程におきまして、そういう意思表示があつたかどうかということは私は詳細は承知しないのでありまするが、現在使つていない所でも、或いは又向う計画といいまするか、観点からやはり将来使うことがあるかも知れない、或いはどういう計画を持つているかということもこちらでははつきりしない面もあるのでありまして、いろいろ総則的の議論はやつたのでありまするが、具体的な決定はこれは合同委員会先ほど言いましたように、十分両者代表が話合う。それから合同委員会のできるまでの間もいわゆる準備協議会といいまするか、直ちにこれらの問題を取上げまして場所々々を具体的に検討を進めて行くようになるのでありまするが、こういう問題についてはそれらの意思を、御希望を十分織り込みましてできるだけの主張をいたしたいということを先ほどお答えしたのであります。十分努力を続けるつもりでおりまするから、一つ御了承を願いたいと思います。
  25. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 次官はこの図面を見られて、これは従来使つていたのは赤いので、朝鮮動乱勃発以後青いほうから緑、ずつと塗つておるところを見ると、殆んど佐世保港の大部分が完全に使われている。この請願書を見ても僅か二〇%しか、八〇%までがそういう外国軍隊のために使われて、二〇%しか市民生活のために使われない。大型商船岩壁施設は皆無である、零であると言つている。こういう状態に対してあなたは先ほどから合同委員会に皆持つて行くと言われるが、合同委員会についてまともな説明を受けたことはありません。我々国会議員説明も受けておらんわけのわからん合同委員会に、我々から見れば幽霊みたいなものにそれに転嫁しておられるのですが、そういう言葉の上のあなたの答弁はともかくとして、あなたは外務次官としてこういう佐世保状態に対してこういう状態でいいというお考えですか、あなた次官としての見解を質しておきたい。
  26. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 私といたしましては、駐留軍駐留する目的といいまするか、その目的に伴つて必要な行動ができるための施設なり区域というものはこれは考えなければならんと思います。併し原則的にありまするように、日本国民経済のみ考え国民生活もできるだけ阻害しないようやるという前提の下にいろいろの協議が行われておるのでありまするから、不必要と思われるような広大な区域要求される場合には、これはもう当然強く我がほうの主張を出して行かにやならんと思います。それらの問題はやや互いの專門的、技術的機能を要しまするので、そこで合同委員会で具体的に十分協議をしてきまるということになり、総則的な問題については私はたびたび申上げておる通りでありまして、実はこの四軍港返還関係のいろいろな会合がございます。私もたびたびその会合にも出ておりまするし、それから今回外務省関係する以前からも横須賀追浜地区の問題につきまして、私は特にいろいろ関係がありましたので、それらの問題も研究し、そのときはむしる当局に対して私からもいろいろ希望を申入れておつたような次第であります。こういう問題については私個人としても十分関心は持つておるつもりでございますが、具体的にこれをどうするか、これはどうかということになりますと、ここでいろいろ私から即答を申上げかねると思います。十分関心を持つておるということはこの機会に申上げておきます。
  27. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういう答弁では困るのでありまして、あなたは日本国政府外務次官で、日本人のための外務次官であるならば、第一に僕がお尋ねしているのはあなたはこの地図を見て或いは現地を視察しておられると思うが、八〇%まで取られてしまつて国際貿易大型商船岩壁は零で、一〇〇%取られている。それも佐世保市民佐世保市民日本人です、あなたは日本国政府外務次官としてそういう抽象的な一般的な答弁でなく、これは到底困るから自分は外務次官として善処したいのだという明快な答弁をされるあなたは義務がありはしないですか。それともそういう答弁ができないように非常にむずかしい地位に置かれているのですか、つまり外国のあなたは外務次官ですか。
  28. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 地元要望希望等を十分斟酌しまして、我が方としてできるだけ善処をしたいということは、先ほどから私はたびたび申上げておると思うのでありますが、兼岩委員には何回申上げても御理解、納得できないということは私残念であります。
  29. 杉原荒太

    杉原荒太君 こういう施設に対する接收関係占領の終結と共にこの法律関係が変つて来る、その変るというのがアメリカ側日本側との関係じやなく、日本政府国民との関係という関係も変つて来るのだろうと思う。従来の施設接収関係、一極の権力的の関係ですが、今度合意に基く新らしい関係に切替えられるということになると思うのだが、そうして而もその合意関係というのが日本の国と国民との関係、又或いは公共団体との関係従つて国又は国民の持つておる施設アメリカ軍が使用するという場合の関係は、これは單なる権力の関係ではいかんので、行くというならばそれがために新らしい立法措置が必要だろうと思う。その辺のところは一体どういうふうに考えておられるか、又措置せんとしておられるかということをお聞きしたい。国民乃至公共団体の持つている施設については、これは希望というよりもその人の正当な主張というものがあると思う。従来の既存法律だけじやいかんところがあつて、新らしい立法措置まで要するのじやないかと想像するのですが、その辺のところはどういうことになつているか、お伺いしたい。
  30. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは詳しいことといいまするか、詳細は又大臣がお見えになつたときにいろいろお尋ね願いたいと思うのでありますが、併しお話の通りに一応根拠法令が変るわけでありますから、何らか新らしい措置を講じなければならんことはこれは当然と思うのであります。ただそれを全然新らしい新立法を作るか、或いは又既存法令の改正その他で行きまするか、これは愼重に研究されておるところであります。新らしい立法措置をともかくとらねばならんということは、これは既定の事実であります。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど、石原次官非常に関心を持つておられる、大変結構なんでございますが、ただ関心を持つているだけじやわからないので、その関心がどういうあなたがたのほうの具体的方針に基く関心なのか、それをお示し願いたいのでありますが、今その一つにもなりましようが、今度は今杉原委員も言われたように、アメリカ日本並び日本政府と今度は公共団体、或いは国民との関係という問題になつて来ますが、この一体三者の関係をあなたがたはどういうふうな見地からお考えになつておるか、そのまん中に立つ一体政府というものが單に向うさんの取次役になるのか、或いは国民の側の代表としておやりになるのか、その立場がどつちなのか、一つそれを明らかにして頂きたい。
  32. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは又先ほどと重なるようなことになるのでありますが、日本安全保障のために真に軍事上の必要限度にとどめてもらいたい、日本のいろいろな経済並びに国民生活との関係を十分睨入合せまして、真に必要限度にとどめてもらいたい、とどめたいということで、今後の話合いが行なわれると思うのでありまして、これは合同委員会政府代表が出てここで結成されることと思うのでありまするから、只今のお尋ねに直接当るかどうかわかりませんが、要するに国民代表いたしまして施設なり地域をきめて行く、こういうことになるのじやないかと思います。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 国民代表してということになると、これは又問題が起るのですが、あなたのほうで国民代表して合同委員会に臨まれる。それで合同委員会においてたまたま国民代表すると称せられるその委員が、向うさんの御要求により多く応じ、そうしてそれを実施する場合には、今度はとにかく具体的には向うさんの欲するものをあなたのほうは今度は日本政府として実現しようということになる。そうなると今度は事実上は向う側代表として活動されるようなことになつて来る。その場合に国民代表としてということが甚だしくあいまいになる。つまり合同委員会に臨まれるまでは国民代表かも知れんけれども合意に基くとはいうものの、実質的に向うさんの言うようなことをそのまま受次いで、日本国民並びに公共団体にこれを実施せしめようとして政府の力を以て臨まれる場合には、果してこれを国民代表としての行為というか、それともそれは向うさんの要求代表しての行為となるのか、これは我々としてはどうも後者のほうじやないかと思うのですが、その辺のところ政府立場を承わりたいと思う、それをお伺いしたい。
  34. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 向う折衝する際には、先どからたびたび言いますように、日本国民利益を十分代表して、国民利益というのはやはり安全保障ということと、それが経済なり国民生活なりを圧迫しないという限度を十分に睨み合せまして、そこで先方と合意の下に一つ方針建前がきまるのでありますが、きまつたことは今度は先ほど申上げましたように、国内の法律によりまして、立法によつてこれが処理されて行くことになると思うのであります。その如何なる法制の下にやるかということは、これはいわゆる国会皆さんがたのこれから又御審議を願う機会を持つと思うのであります。そこで十分御論議を願いまして、国民利益といいますか、立場が十分伸張されるように、阻害されないように御研究を願いたいと思うのであります。
  35. 有馬英二

    委員長有馬英二君) お諮りいたしますが……
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだもう一つ……。
  37. 有馬英二

    委員長有馬英二君) この問題は行政協定に深く関連いたしておりますので、いずれ行政協定地域のところで御質疑願うということにいたしたら加何ですか。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 委員長発言を抑えるのですか。
  39. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 発言を抑えるわけじやありませんけれども、だんだんそういう工合に……このすぐあと大臣が来て……。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 来ないから私はこの問題をやつているのです。我々は非常に不満足なんですよ。
  41. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 大臣から御答弁を求めたらどうですか。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは次官が御答弁になつてつて、その次官の御答弁にも私どもが解しかねるところがあるからお伺いしているのを抑えられるのじや甚だ困ります。
  43. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 抑えはしませんが、行政協定の際になお念を入れて御質問になつたら如何ですか。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは又大臣が来られたときにやるので、今大臣がおられないでこの問題が取上げられたからお伺いしているわけです。
  45. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御承知のようにこれは請願でありまして、請願についての質疑を行なつているのでありますが、全般的な行政協定のほうに非常に深い関係を持つておりますから、そちらのほうで十分御質疑を下さつた如何かと思いますが、なおまだ大臣が参りませんから、もう暫らくやりましようか
  46. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 議事進行について……。今私どもは勿論十一時という約束が十二時になつて大臣が来ないということは非常に不満定です。だから止むを得ずこの時間を利用して次官の御識見なり、御抱負なり、決意を明らかに質しているわけです。委員長はお約束の十一時というのは実行なさるのでしようね。
  47. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 申上げますが、大臣労働委員会に出ておりまして、労働委員会がつかまえて離さんので、それはけしからんというのでこちらから何べんも交渉をしているのですが、只今外務委員長の名を以て労働委員長に交渉しておるのです。こちらのほうが先約であると言つて、だからこちらへ大臣をよごすように……。
  48. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 先約をなめられるようでは……委員長一つ、もう少し実行できるように議事進行を願わんと。それではすぐ強硬な使いを出してもらつて、それまでは岡田委員その他の委員から重要な具体的な問題だから伺うと政府考えがわかると思うので、そういうふうに議事の進行をお願いしたい。
  49. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは岡田委員もう暫らく……。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今お答えになつたことを伺つていると、前段のほうは日本国民意思代表しておやりになる。あとのほうになると関係が一向に明らかにならない。何か法律を作り、それを国会で御審議を願いましてというのですが、行政官庁としてのあなたの立場で、この接收等に当る場合に一体どうなるかということをお伺いしておるのです。お答えにならないので私が重ねてお伺いをしたのです。そのときには向うさんの指図に従つておやりになる、こういうことになるのですね。
  51. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 私は先ほどから、つまり合同委員会で両方合意の上で施設なり地域をきめて行くのでありまして、その際には日本安全保障という前提は勿論ありまするが、その必要の範囲内においてあとはできるだけ日本経済を害さないように、或いは国民生活に無用な害がないように、その建前において向うと十分折衝をしよう。これは相手のあることでございますので、向うからもいろいろの希望意見も出ましよう、こちらからもいろいろな希望意見を出して、そこできまつたならば、今度は国内法によつていろいろの措置がなされる、こういうことを申上げたのでありまして、つまり相手と折衝していろいろのことをきめる、そのときの折衝気持なり立場先ほど私が申上げたのでありまして、私としてはこれ以上お答えできないと思いますから、只今委員長からもお話がありましたように、いずれこの行政協定の細目といいまするか、経過なり具体的のことについては直接折衝に当られました岡崎国務大臣が見えてからここでいろいろお話があると思いますので、私の気持先ほど申上げたところで御了承を願いたいと思います。
  52. 團伊能

    ○團伊能君 この佐世保の問題は一地方の問題でございますが、勿論これは行政協定関係のある問題であり、その決定によりまして、なおこの陳情取扱も変つて来ることであると思いますが、只今つておると、岡田委員次官とのお話は少し私ども理解できないところがございまして、やはりこの合同委員会なるものも従来の占領政策におけるアメリカ立場という意味にこの合同委員会をおとりになつておるようなところがございます。又次官のお答えもそういう取扱かと存じますが、私ども考えますに、合同委員会日本を防衛するという共通の目的のために行われる合同委員会でございまして、これはアメリカのためでもなく、又占領目的のためでもございませんので、それで合同委員会は従来の占領軍との関係とは全く違つたものであるかと存じます。そこで、併しながら次官にお伺いいたしたいのは、この合同委員会決定したもの、それの実施に当りましては、当然国民の権利義務に関係いたす問題が起り、土地の接收なり、何か日本を共同で防衛する目的の上からの施設として、これは米国、或いは日本という個々の立場でなく、両国が共通に一致した場合において一つのことを実施しなければならない問題が起ると思います。その実施に当りまして、国民の権利義務と関係あるものが起つて来る、そうすると合同委員会はこれを実施するに当りまして、合同委員会の決議というものの実施には特別なこれを実施する立法が必要であるが、そういうものをお考えになつておりますかどうか。その点だけを承わりたいと思います。
  53. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) それは先ほど杉原委員にお答えしたところと同じであろうと思うのでありまするが、とにかく今までの團委員の言われたと同じように、占領関係というのはもう終るのでありまするから、建前が全然新らしく変つて来るわけであります。あとの問題は正しい立法措置を権利義務に関係する問題には講じなければならんことは当然なことでありまして、ただそれが新らしい別個な法律をここに予定されるか、或いは又既存のいろいろの法律の改正でこの目的が達せられるかどうかは只今も検討されておるわけでありまして、全く新らしい立場に立つて立法で御討議願つて行くことはお話の通りであります。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 今團委員の御説明ですと、私が何かえらい誤解をしておるようなお話でございましたが、成るほど日米合同委員会はどつちのためでもない、両方のためだ、こういうお話でございましたが、実質的にこれを見ました場合に、アメリカ軍駐留してアメリカ軍が使う地域、或いは施設の接収の問題、こうなつて参りますというと、これは成るほどきめる手続はそうであろうけれども目的自体ですね、具体的な目的となると、アメリカ軍がこれを使うということはもう明瞭だ。そこで私どもはその際に国民の権利義務を侵害する場合に、それを強行するために行政機関としての日本政府なり、或いはそれの一部の官庁なりがやる場合には、これが一体日本国民代表たる立場になるのか、向うさんの代理機関になるのか、こういうことをお伺いしているので、その点についてはつきりお伺いしたいのです。
  55. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはもう勿論日本代表というか、日本国民というのか、それを代表いたしまして、日本利益のために折衝に当るものであることはもう申上げるまでもないことと思うのであります。
  56. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は次官はこういう答弁を私は日本国政府外務次官として答弁されるのは、これは私は言葉を押えつけるわけじやございませんが、精神として、こんな港のうちの八割までをこの占領軍に使われてしまつて、そこで国際貿易港としての大型商船が岸壁に着く可能性は零であるという状態で、佐世保がどうして生きて行かれるか。あなたは日本国政府次官として、然らば政府としてはこれは適当でないと、アメリカがどういう考えを持つていたにしろ、これは商港としての佐世保市民は生きて行かれない、だからこれについては十分政府としては決意を持つて、公正に、且つこれを実一現し得るように、実現し得ない場合には当然これに対して佐世保のための平和都市、経済的活動の不十分な部分については国家として賠償するのだ、こういう明確な態度を何故に具体的に答弁できないのでしようか。なぜ日米合同委員会との手続の問題に持つて行かれるのですか。どうも合同委員会なんかずつと先になるのです。我々はまだ十分の説明を受けていない。従つてそれの持つ権利義務内容一切はわからない。そういうことにあなたは持つて行かれないで、あなたは一体佐世保市民の保護は……、生きて行かれんじやないですか。それに対して今言つたそれをどういうふうにして解決する決意であるか。それから解決し得ないときにはこれは補償するかどうか。その点を明快にするのが私は国会に対する次官の義務であると思います。
  57. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 先ほどからもう何回もお答えしておりまするところで一つ十分御了承願いたいと思います。なお兼岩委員の言われましたお気持は、御意見として十分拜承しておきます。
  58. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ほかに御質疑はございませんか……御質疑がなければ、本請願は採択することにいたしまして、議院の会議に付するを要し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 異議ないものと認めます。  次に陳情第二百九十一号。
  60. 久保田貫一郎

    專門員久保田貫一郎君) だ捕船舶および乗組員返還に関する陳情、愛媛県の宇和島市の商工会議所会頭、長山芳介氏の陳情であります。昨年の十一月の三日に愛媛県の南宇和郡の竹芳水産会社の第十九、第二十松島丸の船長以下数名が東支那海の東経百二十五度、北緯三十二度の海面で漁撈中に中共軍に拿捕された事件がある。又本年の一月十三日に同じく愛媛県の宇和島市の大東水産会社のトロール船の第十二、第十三、第十八、第十九大東丸、艦長以下四十三名が東支那海、農林省指定第三百五号海区で漁撈中拿捕された事件が発生しました。これら船舶及び乗組員が、一日も速やかに帰還するように積極的に御配慮願いたいという趣旨でございます。
  61. 有馬英二

    委員長有馬英二君) この陳情について政府の……。
  62. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どの辺ですか。何度何度と言うと非常にむずかしいのですが、大体どの辺ですか。
  63. 久保田貫一郎

    專門員久保田貫一郎君) ここに書いてございますのは東支那海の……
  64. 岡田宗司

    岡田宗司君 地図がないかな。
  65. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 マッカーサー・ラインとはどういう関係になるのですか。
  66. 久保田貫一郎

    專門員久保田貫一郎君) これは東経内だろうと思いますが、地図がちよつとございませんので……、東経百二十五度、北緯三十二度の海面と書いてございます。
  67. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからもう一つは……。
  68. 久保田貫一郎

    專門員久保田貫一郎君) もう一つのほうも東支那海の農林省指定の第三百五号海区となつております。
  69. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それに対して、そういう場所で、そういうことを一方的に言つておられるのだけれども、それは正しくマッカーサー・ライン中だということを証明するような事実は、客観的な証明するものはないですね。そういう所で捕えられたのだというふうに言つておられるわけですね。如何ですか。その陳情についての説明を……。
  70. 三宅喜二郎

    説明員(三宅喜二郎君) 北緯三十二度東経百二十五度の交叉点でありますれば、マッカーサー・ラインの内側でございます。
  71. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ありますればということを聞いているのじやない。それを証明する事実があるかということを聞いているのです。そんなことを君に聞いとるのじやない。答弁し給え、証明する事実はそこにあるかないか。
  72. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 只今陳情されておる問題につきましては、それらの船が被拿捕船、拿捕された船の中に入つておることは事実のようであります。それで日本政府といたしましては、中共と只今外交関係がありませんので正式に抗議することは不可能でありまするが、事件の発生の都度こういう問題に関しましては総司令部に報告いたしまして、その善処方を依頼をしておる。こういう状況でございます。
  73. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 佐世保の問題については非常に消極的な答弁をされた次官が、不法拿捕になると俄然別人のごとく元気を出されて、(笑声)外務の蔭の声をしておられる職員までも正面に出て来て答弁される。私は誠に頼もしい外務省だと考えますが、併し私はこの陳情については重要な問題を含んでいると思うのです。これはまとめて私は大臣なり総理と討論しようと思うのです。漁業問題は重要ですから。併しこの陳情に関する限り私は一言だけ言えば、大体中国に戰争を、長年侵略して荒し廻つておいて、講和も結ばず賠償問題も何も考えないで、マツカーサー・ラインというものができて、これは国際的な全世界的なものであるにもかかわらず、一方側からこれを廃棄するということが進行している。それと前後するごとくマッカーサー・ラインのうちである、東経何度、北緯何度というような客観的な証明もされず、一方的に主張をしてこれを不法拿捕であるというような印象を深からしめて、延いては中国と、今後手を握つて行かなければならない中国と日本の両国の間に漁業問題を餌にして、そうして反民族的な排外的な、平和でなくて戰争の空気を作つて行こうとし、これに対して積極的に外務次官がこの陳情に対してそういう態度をとられることは非常に私は不謹愼だと考えます。若しこれに対して外務次官がこれを総司令部を通して抗議をしたいというような毅然たる態度に出るならば、その前にそれが客観的に、今の佐世保のごとく明らかに地図でこうだという現実的に事実に基いて証明された事実でさえ、漁業もできない人民を保護するためには極めて臆病である。あなたにそれではお尋ねいたしますが、一方的に証明されざる事実に対しても外務省はGHQに抗議を出されるのですか。日米合同委員会は使わんでもいいのですね、どういうのですか。客観的に証明されざる事実に対して外務次官がそういうふうに出られることは、私は明らかに日本人と中国人の間に不和をかき立てるためにこの漁業問題を使つているのだと、こういうふうに私は攻撃なり非難を出したいのです。
  74. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは、こういう拿捕されたというまあ陳情が出て、或いはそういうマッカーサー・ラインの中で拿捕されたというような報告があつたり訴えがありました際は、それを総司令部のほうをいろいろ通じまして、果してどこの場所であつたかどうかというようなこともできるだけの方法で検討してもらいまして、不法であれば、日本が直接今折衝抗議ができないのでありますから、総司令部を通じて善処方を要望しておるのであるということを申上げたのでありまして、兼岩委員先ほどから佐世保の問題について我々が非常に冷淡であるというふうにおとりになるのでありますが、これはたびたび申上げてあるように決して冷淡でも何でもないのでありまして、この地元のかたがたの直接いろいろお話も聞いておりまするし、こういうことに対しまして、我々は決して臆病でも冷淡でもございません。できるだけの希望なり主張はいたしたいということをたびたび申上げた通りであります。
  75. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一言だけ私に言わせて下さい。私重大な点を落しました。私は日本の漁業家諸君が非常に困難な状態におられることに対しては非常に同情いたします。それは政府の施策及び外国の、アメリカの單独講和方式のために、その犠牲になつて漁業家のかたが非常に苦心をされるという点については私は非常に同情を禁じ得ない。つまりこのマツカーサー・ラインのなかで漁業などできるものではない。揚子江の水が滔々と流れて来るあの豊富な東支那海の沿岸においてこそ成り立つのである。不法々々と言われますけれども一体「えび」とか「あかもの」とかいうような本当に金になるものは、そんなマツカーサー・ラインの海のなかで獲れるものではない。従つて拿捕される所まで行かなければ、不法にこれを超えて行かなければ獲れないという状態に置かれているのに対して、私は非常に漁業家諸君に対して同情を禁じ得ないということを落しましたから、それだけ加えておきます。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 今次官がこの点について総司令部のほうに通じて、そして総司令部から抗議をしてもらう、こういうお話ですが、総司令部はどういう手続で北京政府に対してこれら抗議をしておるかそのことをお伺いしたい。
  77. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは総司令部の内部のことでありまして、我我どういう方法でやつておるかということはまあよくわからないのでありますが、これはまあ想像の面も入りまするけれども、中共といろいろ外交関係を持つておるような国々を通じて調査を依頼するとか折衝をやるとか、そういうようなこともとつておられる方法の一つではないかと思います。
  78. 岡田宗司

    岡田宗司君 今そういうふうな方法をとつて、何かそれによつて具体的に明らかにされたこと、又はそれによつてこの拿捕船が返えされたというような事態はすでにありますか。向うが自発的に釈放したり何かしたのでなくて、総司令部のそういうふうな手続によつてそれが実際に行われたというそういう事例がございますか。
  79. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはまあ抗議の結果に基いたのか、或いは向うが自発的に何したのかわかりませんが、これは中共に限らずソ連関係のほうからも若干のものはあるのであります。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、現在総司令部を通じてそういう方法をとつておる。それは占領下で止むを得ない。併し講和條約の効力が発生した後においてこういう問題が起つた場合に、政府如何なるチャンネルを通して中共政府等に御交渉なさるおつもりでありますか。
  81. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) まあこれは只今のところでは、やはり中共と外交関係を持つておりまする国を通じて折衝をするという以外には差当り方法はございません。
  82. 團伊能

    ○團伊能君 この問題、拿捕事件につきまして、先日の外務委員会で岡崎大臣にお尋ねいたしまして、丁度今岡田君が御質問になつたような、日本政府とし、又司令部としてどういう方法をとつているのかということを質問いたしましたところ、今のところ方法はないと、極めて失望的な御返事を受けました。私もこの問題は非常に重要だと考えまして、失望いたしております次第でありますが、先ほど岩委員がおつしやいました中で多少私どもは少し違つた考えを持つておりますのは、マツカーサー・ラインは占領軍日本の漁船の出漁範囲決定しておるものでございまして、その外といえども第三国がこれを拿捕する権利は持つていない。但し占領軍日本の漁船に忠告をし、それ以上に出たものに対して懲戒するということはあり得ると思いますけれども、第三国が公海における船を持つて行くという権利はない。然るに近海におきまして頻々としてそういうことが行われておりまして、最近におきましてはマッカーサー・ラインがむしろもう有名無実のものでありまして、その中におきましても非常にたくさん行われております。殊に一月に起りました大東丸四隻の事件は、百二十五度の附近でございますが、これはマッカーサー・ライン自身に非常に無理があつて、琉球の近海は非常に深くて支那海に行くほど浅くなり、そうして丁度百二十五度にマッカーサー・ラインが引いてございますが、マツカーサー・ラインに寄らなければいい漁場がないというので、以西底引は大体二十五度線からマッカーサー・ラインに寄つております。併し農林省の監視船もございまして、その外には出ておりませんが、併しその内側におきましてもしばしば拿捕され、而も最近におきましては飛行機まで使用して漁船の所在を確かめて、その上に中共の正規の印をつけました船がその旗を上げて来てこれを拿捕して行くのであります。こういう問題が存在いたしますと、これは單に日本の問題でなく、いわゆる公海における安全という世界的な問題といたしましてこれは考えなければならない問題で、一日本の問題でなく、公海の安全という全体の問題であると思います。その点におきまして国連に訴えるか、或いは国際裁判に訴えるか、然るべき措置が私はあると思うのです。ただこのままこの日本近海が不安のままに置かれて、いわゆる没法子でいるということは、占領下にあろうとなかろうと、そういう問題でなく、これは本質の人類社会としての重要な問題だと思うのです。然るに日本政府におかれましては、いわゆるこれは総司令部に通告をするというような、非常な消極にとどまつておりますので、もつと実際問題を如何なる方法によつても解決するような方法について積極的な施策をおとりになることを私非常に希望するものでございます。
  83. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 只今私は團委員の御所見をこの席で必ずしも反駁しなくてもよろしいけれども、非常に重要な意見を含んでおりますから、討論を避けて、只今委員の御意見に対する私どもの見解を簡單に明解にしておきたいと思います。あなたはマ・ライン三百六号、国内立法によるマツカーサー・ラインに対して非常に権威を軽く御覧になつておるようだが、これは重要な国際的意義がある。つまり三百六号という国内立法の基礎には重大な国際法的基礎がある。即ち日本がポツダム宣言を受諾したために極東委員会及び対日理事会の方針従つて日本が平和な独立国家になるための暫定措置として設定されたものであつて、これは單に日本政府が総司令部の了解を得て、大した権威もなくやつたものではございません。即ちポツダム宣言を前提としておる。然るに日本がポツダム宣言自身を蹂躪するところの單独講和にはんこを押して肝腎のソヴイエト及び中国と何ら円満な妥結に達していないどころか、中国政府は承認さえしないという暴挙、それに更に台湾政府を承認するというような方向に進んでおる。従つてこのマッカーサー・ラインというものはそもそもその基礎である宣言に違反しておるために、これを日本と米国或いはカナダなどが話合つてみたところが解決する問題でなく、これは非常に重要な問題を含んでおり、これを團委員のようにやつて行けば、むしろ武装駆逐艦の護衛を以て出漁して、そうして武力的な衝突を引き起すというような関係に私は進んで行くものと考えますので、この点につきましては、私は大臣或いは総理に十分問い質して事態を鮮明にしたいと思いますが、團委員のマッカーサー・ラインに対する見解と私は全然違う見解をもつて先ほどからの論議を提出しているということを私申添えておきたいと思います。
  84. 有馬英二

    委員長有馬英二君) なお陳情が二件あるのでありますが、只今岡崎国務大臣が御出席になりましたから、陳情は次回に廻しまして……ちよつと採択を忘れました。拿捕船につきましては、前回数回同様な問題がありまして、いずれも採択しておるのであります。本件を採択するに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御異議ないものと認めます。
  86. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 希望條件を附けておきたい。マツカーサー・ラインに対して私の意見と團委員とが一つの対立した見解だと思いますが、こういう点について近い将来の委員会でマッカーサー・ラインの問題について十分徹底的に討議でき、不法拿捕その他について国民の疑惑を一掃し、問題を明快にするような処置を委員会において考えられんことを私は希望いたします。   —————————————
  87. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは他の二件の陳情は次回に廻しまして、只今岡崎国務大臣が御出席になりましたから、前回に引続きまして、行政協定議題といたします。  委員長から政府に申上げますが、本朝の新聞紙上に行政協定の具体的内容が掲載されているのでありまするが、承わりますれば、これは政府の正式の公表ではないということでございます。この内容に対する政府の御意見並びに本委員会に対する正式の公表はどのような形でいつ頃なさるつもりでありますか、政府の御意見を承わつておきたいと思います。
  88. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 新聞には私の知つているのでは二つ出ておりますが、いずれも同じ内容でありません。お互いに違つております。いろいろの議題につきましては話の付いたものは、案文は別として、その内容をこういう問題について話が付いたということはその都度発表しております。恐らくそういうものを集めたり、その他ほうぼうから聞いてああいう形にしたものであろうと思いますが、発表をしたものもありまするから、内容の合つているものもあります。又内容の合つていないものもあります。これは政府が全然関係しないことであります。なおこれをいつ公表するかというお話でありますが、これも今先方と話合中でありますが、最終的にまだ案文等も決定いたしておりません。内容についてもまだ話合いを続けておるのもありますので、只今のところいつということは正確に申上げられませんが、余り遅くなく話合いがまとまり、まとまれば公表する段取りに行くであろうと予想しております。
  89. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは次に行政協定につきまして、前回に引続きまして御質問を願います。
  90. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 議事進行について。すでに十二時三十七分ですね、我々は十一時から大臣をお待ちしていたのですね。そうして前の土曜日ですか、先週の金曜日のときも、これは重大で、委員長議事進行方針従つて、漸次に第一項目から第二、第三、第四と進んで行くということで、第一項目の施設及びエーリアの問題にちよつと話が入つたところで大臣はラスク氏との会談があるといつて退場されて、それから直ちにそれに続いてこういう委員会の開催を我々は全員希望したのに、やつと今日になつて開催して、すでに十二時、もう一時に近くなつておりますが、如何でしよう、むしろ食事をして一時なら一時に、或いは三十分の休憩を頂きまして、今度大臣にも時間の約束をして頂きまして、十分審議を盡すというようなことにでもして頂かないと、わずか十分や二十分でこのような重大問題ですから、委員長が前に決定されました通り議事進行の方法で順に進んで行くようにお願いしたいと思います。
  91. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 只今の兼岩委員の御提言に対しまして何か御意見はございませんか。
  92. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は体が一つしかありませんので、只今まで参議院の労働委員会に出席しておつたのであります。労働委員会のほうで解放してくれないものでありますから遅くなつたのであります。従つてそういう委員会間のやりくりは参議院の委員会内で適当にお取計らいを願いたいと思うのであります。若し労働委員会のほうが差繰りができるならば、もつとずつと早くからこちらに出られたわけであります。なお本日は午後一時から予算委員会がありまして、予算の討論採決を行うはずであります。そういたしますと、閣僚は慣習によりまして予算委員会に出席しておらなければならないと考えるのでありますが、若し委員長のほうで特に必要であるというので衆議院の予算委員長にお話があつて、こちらに私が来てもいいということになりますれば、これは別であります。
  93. 平林太一

    ○平林太一君 今兼岩君から議事の進行に対して一応休憩してというお話でありますが、この兼岩君のお述べになつておりますお心持は非常に本委員会の審議を重大視せられておるという気持で言われたと思うのでありますが、それにつきましては、やはり大臣が折角御出席になつたのでありますから、我々委員といたしましては、昔の武士が非常に重大なものに備えるときに腹が減つてもひもじうないというような決意を示してやられたことも併せ勘案しまして、この際少々お腹が空いておりましても、この際続行することを願いたいと思います。委員長そういうようにお取計らい願いたいと思います。
  94. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 別に御異議もないようでありますから、平林委員の御意見のように只今から続行いたします。  大臣に申上げておきますが、先週この行政協定の件について外務委員会を引続き開きたいが、それについていつ頃御都合がいいかということを伺つたのでありますが、なかなか大臣先ほど言われたように体が一つしかないということでありましようが、都合がつきかねるというようなことで月曜にも開くことができませんで今日開いたようなわけで、而も時間につきましては十時から開きたいということを申上げたのでありますが、どうしても十時には出席できかねる、十一時に出席するからというようなお明答があつたために、十時を避けましてわざわざ十一時に開いたようなわけでありました。労働委員会に出席されるということにつきましては、我々はあらかじめ承知しておりませんでした。そんなようなことで今日突然労働委員会のほうに先にお出でになつたのではないかと私考えます。過去は咎めませんが、どうぞ今後はお約束をお守りになつて十一時なら十一時で結構でありますから、きめられた時間に御出席願いたいと存じます。
  95. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は施設及び地域についてお尋ねいたします。新聞の発表によりますと、合同委員会決定するということ、それからその後のこれの変化につきましては、米軍はその施設地域をやはり日米合同委員会協議によつて追加、変更、廃棄する云々と言つておりますが、この施設及び区域行政協定決定すれば明確に佐世保市どこどこ、或いは立川市何々、その面積、字何々というように地籍を明らかにしてこれを全日本国民に知らしめ、権利義務の区域をはつきりさせるというお考えなんでしようか、この点お伺いいたします。
  96. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 今委員長にお答えしたように、行政協定はまだ日取りははつきしませんが、そう遅からざるうちにできるつもりでおります。その施設区域等は日本全国にたくさんあるのでありまして、それも今言われたようにいろいろ明確にする必要がありまするから、行政協定と同時にはでき上りませんが、できるだけ早く各個の施設区域をきめるつもりでありまして、その際は明確にどこからどこということは無論国民にわかるようにいたします。
  97. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それがわからない限り日本国民はこれに対して義務を負うべき私は理由はないと考えますが、さように遅れてもいいんでしようか。
  98. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは遅れないのが一番好ましいのでありまするが、行政協定が効力を発生するのは講和條約の批准が行われ、日本が独立国として立つときに安全保障條約の効力が発生する。それに基いて行政協定の効力が発生するということになりまするから、その前は本来は法律的には占領が続くわけであります。併しながら我々はその前でも話合いが付いたものはできるだけこれを実施に移したいと考えてはおりまするが、一つ施設を移すにしましても、これが適当な、例えば都会の中心にあるものを田舎に持つて行くという計画にしましても、その持つて行くところに適当な建物があればすぐ移れますけれども、なければこれが修理をしなければならない、或いは場合によつては新設しなければならないということになると、かなり時間がかかりますからなかなかすぐに移るというわけにも行かない場合があるのでありますが、できるだけ早くやることは当然であります。
  99. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私のはつきりお尋ねしておきたいのは、平和條約が発効し、それに基いて安保條約が発効し、それに基いて行政協定が効果を現わして行くというそのとき、そのときまでには施設区域を明らかにして日本人の何の疑義もないように、国民がはつきりわかるように区域施設を明確に公表されるということをここではつきりと確約されますか。
  100. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは全然確約できません。つまり合同委員会が発足して施設地域をきめて行くのはこの行政協定の効力が発生した後であります。だからそれから合同委員会がきめて行くのであります。併しその前にもできるだけ、これは法理的にはおかしいかも知れませんが、できるだけ早くから非公式な双方の準備話合いをして、効力発生のときにできるだけ多くのものをきめてしまいたいと思いますけれども、なかなかたくさんあることですからそうも行きますまい。又平和條約のほうから言つても、そういう点を考えましても、講和條約効力発生後九十日間という特別の期間がきめてあるのであります。
  101. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私はそのたくさんあるというので本当は困るのですが、まあたくさんあればなおのことこれは明確にならなければいけない。特にあなたのおつしやる通り行政協定はそういうまだ先のことですが、併しながらその先のことを予定して、この一週間のうちにでも仮條約ができかかつている。現にあなたはラスク氏と日々折衝して国会にも十分出て来れんほど一生懸命やつておられるようですが、然りとすれば、当然私たちは行政協定のこの草一案においては明確に、その権利義務の発生するそのときまでには全部明確にするのか。それとも明確にしないという方針で今交渉を続けておられるのか。つまり明確にするという責任を日本政府としては負うつもりである、こういうことをはつきりと私はここで述べられるのが私は日本国政府の国務大臣として正しい態度じやないかと思うので、この点を明確にして頂きたいのであります。されるのか、されないのか。
  102. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ですから、それは今申したようにされないのであります。その理由は、例えば例をとれば、今横浜の税関を連合軍が接收しておる、その横浜の税関をこれを移してどこかほかに行つてもらいたいこういう話をします。その一つの建物にしましても、それではどこがいいか、どこの建物がいいか、その通信施設はどうなつておるか、これはどうも横浜の税関より小さい。もつと大きいものをくれ、或いは通信施設が不便であり、道路がどうなつておるからとこう話をして行きますと、一つの建物を移動するにおいても場合によれば二週間、三週間話がかかることもあります。そうなりますと、できるだけ早くいたしますが、講和條約効力発生のときに全部内容が明確になるということは、実際上は予想できないと私は考えております。
  103. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それはつまりそういつた問題がむずかしいから多少遅れるという意味でしようか。一部は公表するが、一部は公表し得ないということなんですか。つまりそこを明確にして頂きたい、でないと日本人入るべからずという札にぶつかつて、これは施設及びエーリアであるらしい。その点を明らかにしようすれば、これは軍事スパイだ、或いは秘密の地図を持つておるということになつて、これでは日本人は非常に迷惑なんですから、いろいろあなたが行政協定についてラスク代表と打合わされておるときにおいて、当然地籍、先ほどから僕は地籍を言つておる、町名、地番、地籍これを明確にして、何びととしても疑う余地のない区域施設を明確にして、多少遅れても、遅れるということは少しおかしいと思うのですが、多少遅れてもその全部を明快にする義務を負うという態度でラスク代表と交渉しておられるかどうか、この点です。
  104. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはもうたびたび言うように全然隠すことは何もありません。国民にはつきりわかるように公表いたします。
  105. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 公表されるということもわかりまして非常に安心いたしましたが、公表されるまでに、それじや一部分のものは公表されないで残ります。そのものは日本国民に対してどういう義務を、公表されない以上は日本国民は知らない、ただ行つてぶつかつて見て、ここに鉄柵があつた、鉄條網があつたということで知る、こういうことなんですか。それに対してやはり公表されたものと同様の義務を国民は負うのですか。
  106. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 何かお話がよくわかりせまんが、施設区域に対して公表しないものはないということは確かでありますが、公表しないものについてというのは何のことかよくわかりませんが、要するに占領軍として今使つておるものは公表していないからという趣旨ならば、占領軍は講和條約発効後九十日間は一種の清算期間として必ずいなければならんということじやありませんが、九十日間はその権利を持つ場合があり得るのであります。
  107. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 わかりました。それでは九十日目には残すところなくその区域及び施設の地籍、地目などがつまり明確になる、こういう方針理解してよろしいですか。
  108. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは無論そのつもりでおります。ただ万一の場合例外的のことがあるかも知れませんから、これはやつて見ないと、日本政府アメリカ政府との意見が合わないで話合いが付かないというような場合もあるかも知れませんから、そういう例外的の規定を設けることはあり得ますけれども、原則としては無論九十日もたたないうちにやつてしまいたい、こう考えております。
  109. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その例外が非常に問題なんで、例外的に町名、地番、地籍、地目等等明確にわからない場合には、そういうものは秘密的なものだと我々は考えなければならない。国民に知らされない。そのようなものが若し九十日たつてもなお残るとすれば、それに対する日本国民は義務をこれに対して果すことができないでしよう。行つて見てぶつかつて見て、これがこの施設であるということになるから、政府としてもまあさような発表しない形において私は国民に対して義務を求めることはできないと考えるのですが、例外的なものがないというふうに僕らは考えられて然るべきものと考えますが、何か例外的な、伝えられるところによると、この施設、エーリアは相当部分が秘密になるのだというような取沙汰もされて非常に国民は不安に思つておりますので、この点をはつきりとお尋ねしておきたいのですが、例外的にでも残るようなものがあるでしようか。若しあるとすればそれに対して日本国民はどういう義務を負うべきでしようか。なぜ例外的なものが残るのでしようか。その点のところを明確にして頂きたい。
  110. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 私は別に国民が不安になつておるとは思いません。併し例外的のものを御説明しますと、例えばこの東京ならば東京の地域からどこか田舎の地域に移るとします。建物がある場合はいいのですが、ない場合には殊によるとここに新らしく建物を作つて、そこに移るという場合も想像される。そういう場合にはここからここへ移るということがきまつてつても建物が九十日以内までできなければ移れないわけです。こういう場合には例外的に今いる所にいて、建物ができるときにそつちへ移る、こうなるのであるからして、その場合には例外的にここにいる、こういうことはあり得ると思いますが、そういうことはないようにできるだけ努力する。併し建築その他のことですからどうなるか、それはわからない、そういうことを申しておる。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 地域の問題についてお伺いしたいのですが、今兼岩君の御質問にお答になつておる場合に、この地域の概念がどうも明らかでない。主としてどうも施設の移転の問題の例を惹かれておるようでありますが、この点について私は次のような点をお伺いしたい。現在占領軍各地にいろいろな施設を持つておる。そうしてその施設を利用いたしまするために一定の面積を使用しております。占有して使用しております。その占有して使用しておる地域でございますが、これは大体あなたのお考えでは現在占領軍使つておるその地域そうしてその面積というものが若干の建物は別といたしまして、そのまま特に軍事的に直接的に使用されるものはそのまま残る、こういうふうに考えられるのですか。
  112. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは皆当つて見ないと実はわからないのですが、この間参議院の本会議でも私が報告しましたように、この施設区域を使うについての原則としては、日本経済にできる限り支障を與えないといとことが一つの問題になつておるのです。そういう点から考えまして、若し経済的に見て非常に困るという所があれば、ほかの困らない所へ場所を提供して移つてもらうということもありましようし、又占領中と独立後の駐屯軍とはいろいろの意味で性格も違いますから、現にホテルやその他を今返還しておるように、その区域にしても今使つておるほどは要らないのじやないかとも考えておりまするが、事実上どうなるかはこれからいちいちの点について相談をしまして、成るほど向うが是非これは要るのだということがこちらでもわかれば無論提供します。これはなくても済むと思えば、向うへ話してこれを離してもらうというようなことをやつてみないと、結果において今までと同じくらい要るか、或いは大分減るか、ちよつとわかりかねるのであります。
  113. 岡田宗司

    岡田宗司君 現在占領軍が占有して使用しております地域というものは、おおむねいわゆる軍事的に関係する。これが軍事的に要る要らないかということの判定は、これは恐らくアメリカ側日本側とで相当に意見の食い違うところである。とにかくアメリカ側としてはより有効に使おうとすれば、できるだけ多くの地域を留保しよう、こういうような考え方を持つのが当然であると思うし、又日本側としては、これは軍事的に見てもなお必要がないという見方をいたして、これが返還を要求する所もあり得るだろうと私は思う。その際に岡崎国務大臣折衝に当られるか、或いはどなたが合同委員会委員として折衝に当られるか知りませんが、或いは又その下の專門的な委員会がそれをやられるかわかりませんが、そのアメリカ側の軍事的な必要という場合と、それから日本側がそれに対する判定との対立の問題が起るのですが、その際に日本側はこの軍事的な必要、不必要ということをどういう專門的な観点から御判定になるか、そしてそれが必要でないということが若しこちら側にわかれば、それをアメリカ側に対して申入れるか、その日本側から見た軍事的に必要、必要でないということの判定は如何なる機関がするのか。例えば今の政府が何か專門委員会のようなものを置いて特に軍事的に何らかの知識を持つた人をそこに置いて、そうしてそれをやるのか、その点をお伺いしたい。
  114. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは元来考え方の根本にこういうお話のような思想があるのは自然でありまするが、同時に政府としてはこれは無理やりに必要があるのだと言つてアメリカ軍の実際の活動を困難にするような條件に置いておいては、そういうことはないはずですが、万一日本を防衛しなきやならんというときに能率の挙らん軍隊になつてしまつては、これ又非常に困るのでありますから、お互いによく打ち明けて話をして、我々のほうから言えば軍事上の基準といつて判定する材料は非常に少いのでありますから、実際上は経済的に見てこれは何とかならんか、これはどうもはずしてもらわなければ困る、こういう判定が出て来ると思います。そこで経済的に見て、これはやめてくれという話をして、向うでは軍事的に見て、これはどうしても必要だということになれば、それは経済と軍事のどちらがこの際重要かということは、合意に基いてはずすかはずさないかということを結局きめることになると思います。併しそういう問題はお互い相手を信頼して、アメリカ側も何でも無暗に余計取ればよいという考えは毛頭ないようでありまして、そう非常に片肘を立てて争うようなことにはならないであろうと私は考えております。
  115. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の岡崎国務大臣の御意見でありますと、結局軍事的に必要だという判定はアメリカ側がやる。そうして日本側はそれに対して殆んど判定するに足る材料も或いは知識も持つておらん、こういうふうに解釈される。そういたしますと、今度の安全保障條約並びに行政協定というものが特に軍事的な点を中心として結ばれるものであり、従つて経済よりも軍事が優位の場合が非常に多いように私どもには思われる。そうなつて参りますると、この点日本政府としては経済的に何とかしてもらわなければならんという際に、軍事的に向うでどうしても必要だということになつて参りますというと、日本国民がそのために非常に困つた状態に置かれる場合においても、なお且つアメリカ軍の軍事的必要のために、それによつて国民利益が犠牲に供せられるという事態が往々起つて来るように私どもには考えられる。従つてこの地域の判定ということを軍事上の立場、両方が軍事上の立場で判定しないで、そうして軍事と経済との立場で以て判定するということは、結局非常にむずかしい。そうして結局は軍事的な要求に條約の建前から従わざるを得ないということになつて来るように思うのですが、そうなつて参りますというと、アメリカ側の一方的な要求、極くつまらないホテルを返すとか、そういう問題は別といたしまして、今後更に軍事上の必要から新たに何か施設を設ける地域を必要とする場合に、相当日本国民が現在営んでおる経済を更に何といいますか、縮減するような、そういう方向に事がきめられる慮れも出て来ると思います。その点について御意見を伺いたい。
  116. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは元来條約を結んだ趣旨日本の安全を守つてもらうために、自分のほうに力がないから当分やつてもらうということ、従つて日本国民がより大きい侵略による犠牲等がないように守つてもらうのでありますから、原則としては相当の犠牲を抑うのがこれは当然と思つております。従つて日本国民生活を一歩も弱めないと言つて頑張つてつて安全保障條約の精神は到底実行できないと私は考えております。併しながら米国側の今まで接触した私の感じによれば、何と申しますか、普通のいわゆる軍隊の観念において議論されるような議論は殆んどないように感じられますので、実際上のそういう点の御心配は非常に少いのではないかと思いますが、必要とあれば或る程度の犠牲を拂うこともこれは当然と私は考えております。
  117. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の岡崎国務大臣の御意見ですというと、結局軍事が優位する、そうしてアメリカ側日本の防衛を負担するのだから、国民は犠牲を拂うこともこれは止むを得ない。こういうことをはつきりせしめられたように思うのであります。我々はこの点について実際的な問題として起つて参りました場合に、政府がその実際的な問題を解決する場合に、どれだけの考慮を拂うかということもその範囲内で一つの問題になつて来るのじやないか。例えば現在ここに安全保障條締結に伴う駐留地域決定についての請願というのが佐世保市から出ておりますが、先ほどこの佐世保市の請願につきましていろいろと論議が交わされてこれが採択された。それによりますというと、佐世保港の施設の殆んど八〇%までが事実上アメリカ軍の使用する地域になつておる、こういうような状態で、而も更に今日新たに地域の指定を求めておるようなことを私現地行つてそういう話を聞いて参つたのでありますが、そうなつて参りますというと、ともかく二十数方の人口を擁しておる佐世保というものが実際今後商工都市として立ち、そうして二十数万の人口を養つて行く上に非常に大きな障害になる、こういう問題も起つて来るのでありますが、その際に止むを得ないことだというだけでは片付かない問題だと思いますが、それに対して政府はどういう処置をされているか、それをお伺いしたい。
  118. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほどのお話の中で軍事が優先するのだというふうに私が言つておるとおつしやいましたが、そういうことは決して言つておらないので、ただ我々のほうでは軍事上これが必要があるかないかという判定を下す材料は非常に少いのだと、こういうことを申しておる。決してむしろあなたがたが言いましたように、普通の観念における軍隊というようなものと今のアメリカの人たちの話とは大分違うので、軍事優先なんということはむしろそう心配するほどじやないというくらいに申上げておるのであります。  それから佐世保港のことを言われましたが、これはいろいろ軍港都市としての各地からの請願もあります。その他にも農地についても請願があり、漁区についても請願があるのでありまして、これは日本全体の経済考え、全体のバランスを考えて、更にその上でその土地土地の特殊性も考えていろいろ話合いをいたそうと考えておりますが、先方もそのつもりでおるようであります。それで先ほど申したように、施設区域等はそうすぐにぴたつときまるものでない、かなり時間がかかるものであると申上げておつたのであります。
  119. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど兼岩君の質問に関連するところがありますが、今国務大臣のお話ですと、施設区域を確定するのに非常に暇がかかる、ところが一方において九十日という問題があるのでありますが、この九十日間においてもなお且つ決定しないという問題で例外的な問題が起りました場合に、その施設なり何なりをずつと引続き使つております権利は何に基くものでありますか。
  120. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは行政協定でとりきめようと考えておるのであります。
  121. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 おかしいじやないか、きまつていないやつを……。
  122. 岡田宗司

    岡田宗司君 きまつておらないのを行政協定でとりきめるというのはどういう点でございますか。
  123. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) だから若し万一そういう例外的の事態が起つたならば、そこに暫らく協定ができるまで、或いは準備ができるまでいてもいいということをきめようと言つておるのです。
  124. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと関連して……、それがつまり先ほど私の質問の答弁とちよつと食い違つていたのですが、そのまま黙つていたのですが、その点をはつきりさせたいのですが、あなたは移転か何かの場合に九十日以内に全部明快になるのだ、但しその場合に移転先か何かの関係で暫定的な関係として明らかにされないものがあるかも知れないが、併しそういうものは成るべくなくするつもりだという御答弁ですが、移転するものなら移転先として明快にするすべきであり、このものがこちらに移転するのだということを明快にするべきであつて、私が繰返し聞いているのは、今の岡田委員と関連して参りますが、国民に公表されないままに施設及び基地になるものはあり得ないのだと、それはもう九十日以内に必ず明快になるのだ、それの変更、移転その他は又次の問題ですよ、変更、移転の問題でなくて、国民に知らされないで施設及び地域になるものは絶対にあり得ない、行政協定方針としては……、九十日以内にですよ。そういうことを一つ明快にして頂きたいのです。
  125. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 原則としてはその通りですが、施設区域というものは九十日たつたあとでも要らなくなつたものは返す、又新たに連絡があれば追加するのでありますから、九十日以内にきめたものが全部それだけ動かないで永久に続くというのじやないのであつて、その後にも変化はある。だから九十日以後にも変化があればその都度国民に知らす、そういうわけであります。
  126. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 つまり変化があつて動くものについて僕は聞いているのでなくて、行政協定後会表されないままに国民を縛るような施設及び地域はないということを原則及び事実の両面からあり得ないということを私明快にして頂きたいのです。
  127. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) だから九十日以内にきまつたものは全部公表するし、九十日以後にきまつたものは又全部そのときに公表する、こういうわけです。
  128. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だから公表されないものに対しては、国民は米軍の施設及び基地としては認めない、こういう態度は承認されるわけですね、裏から申しますと……。
  129. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 何だかえらいむずかしいようですが、協定されないものは施設区域ではないので、協定されたものは全部公表されるのです。
  130. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 公表ですよ。
  131. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 全部公表するのであります。
  132. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だから公表されなかつたものは、施設及び基地として日本国民はそれに対して義務を負う必要はないということになり得るわけですね。その点を明快にしておいて頂きたいと思います。
  133. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 公表しないものはないのですから、義務の負いようがないのであります。
  134. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ほかにこの地域並びに施設につきまして、御質問はございませんか。
  135. 團伊能

    ○團伊能君 先日新聞に出ておつたのですが、これは信頼すべきことじやないかも知れませんが、日本政府方針として、新たに施設になるもの、或いは施設として従来の接収地域として継続されるものは、まあ結果として大体私企業或いは私有財産に関するものは避けて、国有財産等にそれを持つて行きたい、こういうお話がありましたが、そういうお考え政府にありますか。
  136. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 原則としてはそうでありますが、恐らくそれでは政府所有のものでは余り役に立つのが少ないのじやないかと思います。できるだけそれを充当するつもりでおりますが、その他のものは普通の貸借契約によつて行おうという次第であります。
  137. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうしますと、発表については明快になりました。全部発表されるということが原則としても実際としても明快になりましたが、さて発表される地域が原爆の置場に使われるやら、それから砲台に使われるやら内容を明らかにされなくてもそれは国民として承認しなければならないと、こういうことになるんですか。これも併せて承わつておきたいと思います。
  138. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカ軍日本の安全を保障さるに足るべき兵力若しくは戰力を維持してもらうことは我々の希望するところであります。それが何であるかはこれは将来の問題であります。
  139. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると、原爆であつても了承しなければならない、こういうふうに理解していいわけですね。
  140. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 原爆々々と頻りに言われますが、その話はいつも申す通りまだ全然出ておりません。
  141. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それはアメリカが原爆を以て世界に誇示しておることは、アメリカ外交が原爆を背景にして維持しておることはあなたは、外交の專門家であるから僕よりも十分御承知であると思う。先般の條約委員会における岡本愛祐君の質疑でも明らかなように、日本国民にとつて原爆問題は重大問題である。又ラスク氏との懇談会においてもその点が問題になつている、従つて私たちの最も憂えるのは、原爆の基地に使用されるということを最も憂える。従つて明快にしておきたいことは、原爆基地としてこれが使われても、その施設地域等がきまれば、それが何に使われようと、原爆に使われようと国民は一言も文句を言えないで、これに服従しなければいけないという意味を含むかどうか。その点を明快にして頂けば結構です。
  142. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) たびたび申す通り、そういう例は全然出ておりませんから、お答えする限りではありません。
  143. 平林太一

    ○平林太一君 只今原爆の話が出ましたので、私はこの際、私のこれに対する見解を申述べておくことを必要と思いますから申上げます。行政協定によつて我が国土を外部の侵略、脅威から守るために、実はみずからの自立、自主によつて果すことを望んでやまないのであります。併しながらその国力か今日ない、その際むしろこれは私から申せば幸いと申して差支えないと思う、いわゆる集団防衛による国連のこの方針によつて、これが力のない我が国が集団の力によつて外部の脅威、侵略に備えよう、こういうのでありますから、私はこの点は最も我が国民はこの際襟度を広ういたしまして、そうしてこの過ぎたる憶測なり、又言葉が卑俗になりまするが、ややもいたしますると枯尾花を見て幽霊と錯覚する、そういうことのないように一つ落着いてこの問題に対してはしなければならんと思います。でありますから、若しそれ原爆の問題にいたしましても、私は何かこれを感情的に余り過ぎて考えられますることは避くべきだと思います。その国を守るために必要なる措置としてこのような事柄がそこに発生をして参りまする場合におきましては、一方的にこれをただ食わずぎらいで排斥することは非常に考えなければならない。現にイタリアの平和條約におきましても、昨年の十二月におきましては、イタリアは軍備の制限及び国境、原爆の製造なるものの禁止事項を、いわゆる條約に対しましてこれを改訂いたしましたことを英、米、仏、国連に向つてこれが要請をいたしました。これは今日国連諸国もそれを妥当な事柄として承認せられつつある傾向にある。こういうことも私はこれを見るのでありますが、そういう事実を、それでありまするから、従つて行政協定の内容に対しましては、私は恐らく担当大臣としての岡崎君一々これに応酬されておりまするにつきましても、密かにそういうしばしば内容のこまかな問題に対しましては、この苦悩用憊に陷るような、先方のいろいろの内容におきましては、そういうものを取上げることがあると思います。その苦衷というものは私は察するに余りあるものがある。要するに併しかような苦衷、困憊にあるこのような状況につきましては、是非一つその通りに、お考え通りに翌日なり又翌々日のその取極の会談におきまして、我が国家国民の利福安寧のために、一つ非常な御決意を持つてそのお考えになつておりまする苦悩、因憊のことを、これを我がほうのためによきように進められることを、更にまだ数日余つておりますようでありまするが、そういうようにお進めを願つておきたいことを一つ御期待申上げます。決して私はこの行政協定の内容は、そういう細かいことをそれだけの御決意を持つて排除し、除去して行くだけの御熱意と御誠意がありまするならば、必ず先方もそれの誠意を認め、又呼応して我がほうの要求も十分に聞き入れることと私は信じて疑わない一人でございます。それでありますから、その全般につきましては、余り細かなことにまで立入りまして向うに信を置かない、疑ぐるというようなことで行きますと、却つていわゆる集団防衛の、細かなものを得るために大きなものを失いまして、その失いましたものが今後の我が国の集団防衛の大きな損失をもたらしまして、後に至つて取返しのつかんような事態が生じて来るという危險を深く私は憂うるのでございます。でありますから、この際私はたまたま原爆のお話が出て来まして、私といたしましては、ややそういうことは過ぎたることかも知れませんと、そのくらいに私は考えまして、この行政協定の取極に対しまして、その本質、その眼目であるところの我が国が外部の力から磐石不動の安心をできるところの守りを保障するということに対して、万全の処置を講ぜられるように担当大臣でありますところの岡崎君にこの際私は深く御期待申上げて、この際御決意を大いに一ついたされまして、国家百年の大計に誤りない御処置を講じて頂きたいということを申上げます。私は今兼岩君の御質疑に対しまして、私の見解をこの際申上げることを極めて必要と感じましたるために、これは質疑ではありません、この際申上げておく次第であります。
  144. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 本日の委員会はこれを以て閉じます。    午後一時二十五分散会