○兼岩傳一君 私は、数回前の
外務委員会におきまして、モスクワの経済会議の旅券問題について、私と岡田
委員とで
政府の態度を十分検討いたしまして、
政府の言い分には何ら
根拠がないということを明らかにいたしましたところ、その後
政府は旅券法を非常に曲げて、
憲法に
違反し、屁理窟をつけて妨害された。ところが実際モスクワで、経済会議が開かれました結果を見ますると、実に驚くなかれ、四十八カ国の
人たちが五百名……国連五十三カ国に対しまして四十八カ国の、
世界の各国から五百名の代表者が選ばれて、二億米ドルの取引が成立しておる。すでにこの問題につきまして、私は直ちに
政府に正式に
日本国憲法に
違反し、旅券法を蹂躙して、正当な旅券の要請を拒否された
政府の当面の代表者として、岡崎国務大臣の出席を願
つて、我我は嚴重に追及する予定でおりましたが、引続いて在外公館或いは
出入国管理令の
法案が出て参りましたので、我我はその
政府の
法律違反、
憲法違反の態度の追及はただ留保しておるだけで、これは
外務委員長はすでに了承しておられる点であると思います。従
つて、先ほど来の一松
委員、又ほかの
関連について、私は若し時間が許されるならば、ここで徹底的に石原次官に、その点についてその非がいずれにあるのであるかということを明らかにしたいのでありますが、実はもつと緊急な、もつと重要な問題が起きておるのであります。それは隣邦中国からも日にちが非常に迫
つております五月一日のメーデーに総評、中立系及び産別の各労働組合に二十四名の招待が来てお
つて、この数日の後に出発しなければならんような極めて緊急な事態が差迫
つておる。そのために本日も
外務委員会との
連合委員会があるしというので、わざわざその代表者三十四名が先ほどまでこの参議院の
委員各位各党各派にお願いに来ておられたのでありますが、緊急な大会がありまして、そちらへ
行つて、今三人残
つておられますが、その実情は、実は先ほどからの皆さんのお話は無理もないことでありますが、徹底を欠いておりますが、現在すでに
外務省へそれらの代表者から出しておりますパスポートのお願いは五十六名であります。労働組合のみならず各界各層の代表者五十六名が旅券法による成規の
手続をしておられ、昨日その代表新約三十名が
外務事務次官、欧米局長その他に会
つております。ところがその会見の結果を聞きますと、これは旅券法がどうだこうだという、例の全く
憲法を無視した詭弁を弄しておる。ところが詭弁を弄し切れないと、事務次官のごときは、これは政治的な
意味でパスポートが出せないのだと、そういうようなことを言い、そうかと思うと、もう一つ追及すると、それは参議院の
外務委員会、
法務委員会に
行つて聞いてくれということを
言つておる。今日その代表者が来ておる。その五十六名の代表者はもつと続々殖える予定でございまして、而もこの五十六名というものはモスクワ経済会議のときと非常に事情が違いまして、主として労働組合を中心といたしました
関係上、一つ一つの組合におきまして組合員の投票によりまして非常な決意を以て、その真の代表者を選び出すというような、民主的な
手続をや
つておられ、渡航を希望するかたがたも非常な決意を以てこの
事柄に当
つておられます。又我々
外務及び
法務連合委員会、その他各会派におきましても、これは一パスポートの問題ではなくて、
日本が今後
日本の国を復興して行くのに、約五億の
世界最大の人口を持ちます隣邦中国と、どういうふうに外交を調整して行くかという根本問題がここに横たわ
つておると私は思います。のみならず、そういう経済的、文化的、政治的な提携という
意味におきましてメーデーといいますと、資本家的なかちかちの頭を持つた人は、何か赤い旗でも振
つて歌でも歌うというように思
つておりますが、人民民主政権においては、労働者が政権をとつた国においては、全人民を挙げてのお祝でございまして、そのお祝には各界各層のあらゆる
人たちが喜び、将来の決意を新たにする。そのメーデーの国賓として招待を受けるということは、これは労働者を中心にした人民
民主主義国家中国におきましては、並々ならんことでございまして、これに礼を厚うして招待を受けておる。この礼を厚うして招待を受けておるのに対して、又ここで
政府が、吉田流或いは岡崎流、或いは石原流のですね、(笑声)詭弁を弄して、これを妨害するということは……今笑
つておられるけれども、私は今笑うものは数年後に悲劇である。喜劇と見えることが悲劇である。私はそういう
意味で、どうか一つ、できればこの
委員会で両
委員長のお取りなしで、長い時間はとらせませんが、今ここに三人のかたが来ておられます。一人は、総合病院を経営しておる医者としての
立場から中国のその招聘に応じようとしておられる倉田氏、それから全
日本木材の労働組合を代表して中国へ行こうとしておられる
伊藤君、それから土建労働組合の神奈川支部を代表する佐々木君というような人もおられますので、これは一つ超党派的に、
日本のために現在の
外務省のこの旅券法が、
憲法を蹂躪して隣邦友愛の道を遮ぎろうとしておるのが果して
日本のためであるかどうか、而も昨日は
外務次官ですか、こういうことを言つたそうです。無理に行けば旅券法においては
処罰ができんから、
出入国管理令で
処罰すると言つたそうでありますから、(笑声)これはやはり
出入国管理令とも
関係が深いのであります。この点一つ三君の言い分も聞かれまして、一つこの際
日本のために、果してどれがとるべき外交
政策であり、正しい法の運用であるかというような点の一つの材料にされます
意味で、一つ短かい時間で結構でございますから、そういう機会をお與え下さることをお願いいたします。