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政府委員(
鈴木一君) 強制退去の事由といたしまして今お挙げになりました二十四條の四号の中のホに「
貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担にな
つているもの」というのは一応強制退去の事由に該当いたしまして、これに当れば強制退去することができると書いてございまして、これに当
つたから必ず退去されるということは、これは絶対に我々としても考えておらないところでございますが、この項目がたまたま六十万もおられる
朝鮮の
人たちに非常に反響を呼びまして、皆追い帰されるのではないかというようなことを、よく我々のところにも尋ねて来られるかたがあるので、非常にいい機会でございますので、政府としてはそういうことは絶対考えてないということを申上げたいと存じます。で、ただ口で、これはそういうような運用はしないということを申上げましても御納得が行かないかとも思いますが、その点につきまして、やはり
日韓会談におきまして、この
條項についてもう少し安心の行くような話合いができないだろうかというような申出もございまして、
日韓会談におきましても、この点について十分
日本の政府の真意を吐露しまして、話合いをいたしたわけでありますが、結論としましては、まだ発表の時期ではございませんけれども、大体この
貧困者等で公共の負担にな
つておる者につきましては、社会の秩序を特別に乱す、要するに積極的に惡いことをする以外の人であれば、單に
貧困者である、或いは生活保護法の適用を受けまして生活扶助を受けておる、それだけの事実では帰さない、特に
日本の社会に害毒を及ぼすような積極的な惡い人に帰
つてもらう際においても、両国間で協議をしてきめようというところまで話合いが行
つておるわけでありまして、この條文を書きましたときも我々としましては、例えば放浪者であ
つてどこの收容所に入れてもその秩序を乱し、乱暴をし、どうしても手に負えない、そういう人にはどこかで帰
つてもらうような
條項がなければ、
日本の社会を健全に保つことはできない。その本国の外国に帰
つてもらう以外に方法がない。そういう途を開けておくという
意味で、この
條項を以ちまして退去をさせることができるというふうにな
つておるのでありまして、運用につきましては、單なる
貧困者であるから帰すということでなしに、積極的に害惡を流す、そういう人である場合に限
つて帰す、退去をして行くという運用をいたしたいと思
つておる次第でございます。