運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-04-17 第13回国会 参議院 外務・法務連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)    午後二時二十分開会   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     有馬 英二君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            中山 福藏君            岡田 宗司君            大山 郁夫君            兼岩 傳一君   法務委員    委員長     小野 義夫君    理事            宮城タマヨ君    委員            鈴木 安孝君            長谷山行毅君            岡部  常君            内村 清次君            吉田 法晴君   政府委員    法務法制意見    第二局長    林  修三君    外務政務次官  石原幹市郎君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  三宅喜二郎君    入国管理庁長官 鈴木  一君    入国管理庁審判    調査部長    鈴木 政勝君   事務局側    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君    常任委員会專門    員       長谷川 宏君    常任委員会專門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く外務省関係諸命  令の措置に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○外国人登録法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは只今より外務法務連合委員会を開きます。  前回に引続き両法案について質疑を行います。質疑のあるかたは御発言を願います。
  3. 吉田法晴

    吉田法晴君 只今出入国管理令関係で数点お尋ねを申上げたいのでありますが、お尋ねをする第一点について実は数字的の根拠が私自身もはつきりしないのですが、送還実績八百人という数字でありますが、或いはこれは昨年の数字つたかと思うのです。別に貧困その他の者で一万三千という数字をどこかで拜見をしたのでありますが、この一万三千という貧困或いは定職がないと申しますか、こういう数字を拜見すると、三十四條違反で一万三千という程度の人を送還する、強制送還するような予定があるかのような感じがするのでありますが、この辺の見通し等について先ずお伺いいたしたいと思います。
  4. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 只今お尋ねがございました送還者数字について一万三千というようなことに関して曾つて報道されたことがあるというようなお話がございましたが、これは衆議院予算委員会におきまして、予算編成昭和二十七年度において送還すべき人数予定を立てまして、この予定に基きまして予算を組んだというときに、この一万三千という数字が出て参つたのでございますが、この一万三千の内容としましては、我々のほうで予算というものは今後起るべく予定をいたしました数字で、必ずしもこれがその通り行われると、一万三千という送還者予定したから一万三千送還しなければならんというものじやありませんが、予算の積算上こういう数字が出て参つたということを、そのときに御説明いたしたのであります。この一万三千を送還者の数として積算いたしましたその数字は、どういうものから成つておるかと申しますと、これは主としまして過去におきまして密入国をして来た人たち数字、それを昭和二十一年から二十五年の五カ年間に互りまして、過去の実績を調べまして、現に密入国で入つて参りまして、検挙をした数字、それが五カ年間を平均いたしますと約千六百になるのでございます。それからその当時検挙はできなかつたけれども、確かに入つて来て、密入国で入つて来まして、そのまま逃げてしまつた、逃げたことを確認した五カ年間の平均の数字を出しますと、これが二千三百ほどになるのでございます。それから登録令違反と申しまして、いろいろ外国人登録証明書というようなものを外国人は皆持つておるわけでございますが、そういうものを僞造したり、いろいろそういう意味で違を犯した人たち、これは過去、二十五年の三カ月間の数字にしか出て参りませんので、それを取つたのでありますが、それが四百名になるわけであります。そのほか船員などで船が着きまして、まあ一日とか二日とか見物をしまして、又船に乘つて帰るという、その際に船に帰らないで、そのまま逃げてしまう、上陸して姿を隠してしまうという密入国という例があるわけでございますが、そういう人たちの、これも実績によりまして、これは二十五年の実績でありますが、六百名余りになるわけであります。で、只今申上げました数字を集めますと、一万二千ほどになるのでございますが、今後、今年になりましてからこの法令が出まして、初めてこの二十四條を適用しまして、新らしい事例として強制送還に付するというようなことを考えます際に、大体どの條項に何名当るということは、我々としましては予想がつかない関係もございますので、この過去まあ五カ年に計算をいたしました実績の一割というものを、大体そういうものに見まして、それが即ち千二百ほどになると思いますが、それを集めますと一万三千という数字が出て参りますが、一応これを基準にいたしまして予算を編成いたしたのでございます。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 頂きました資料の中に、各国別外国人のこの人員の表がございますが、その中にいわゆる無国籍者というのがあります。これは各国人のほかに、或いは白糸ロシアその他といつたような数字、或いは正規出入国者国籍別人員と書いてあります二十六年度の実績等の中にも、無国籍というものがあるわけでありますが、このいわゆる無国籍者というものはどういう工合にお取扱になるのか、或いは白糸ロシアなら白系ロシア人についてどういう工合にお取扱になるのか、承わりたいと思います。
  6. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) お尋ね日系ロシアその他無国籍人取扱でございまするが、これらの者は殆んど恐らく例外なしに終戰前から日本在留しておる者でございます。従いましてお手許に差上げてあります資料のうちで、そういつた国籍者として出て参りますのは、いわゆる外国人登録上出て来るものでございまして、現在の出入国管理令といたしましては、これは提案理由その他を御説明申上げました際にも、触れておることでございまするが、終戰後はこういつた外国人につきましては、総司令部がこれらの外国人管理をいたして参つたわけでございます。従いまして平和條約ができましたあと、この出入国管理令によつてこういつた外国人国内居留というものを規制しているということになるわけでございます。そこで只今提案になつておりまするポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係命令措置に関する法律案、この出入国管理令二條を御覧願いたいと思うのでありますが、この二條によりまして、二條の第一項第二号でございまするが、そこに「昭和二十年九月二日以前から引き続き外国人として本邦在留する者、」こういう一つ外国人の種類を挙げまして、こういつた、つまりこの中には無国籍人というものも入つているわけでございます。そこでこういつた終戰前からおる無国籍人は、平和條発効後、この二條規定に基きまして、平和條発効後三月以内に入国管理庁在留資格申請をしなければならない、こういうことになつております。従いましてこの法律平和條発効後成立いたしますると共に、この規定に基いて、白系ロシア人その他が初めて出入国管理令上の対象になつて管理令の適用を受けるようになる、かようになる次第でございます。それではなぜ第二條でそういうことをいたしますかということを一応御説明申上げますると、この出入国管理令建前は、日本在留するすべての外国人は、一応在留資格在留期間というものを必ず持つていなければならん、こういう規定になつております。そこでこういつた白系ロシア人とか、従来終戰前からおる外国人管理令による在留資格在留期間というものが何ら今日まで定められていないということになつておりますので、ここで二條でそういつた申請をさして、新らしい在貿資格在留期間をここできめてやる、こういう趣旨でございます。従いましてこれは申請がありますれば、事実問題としては必ず何らかの在留資格在留期間をきめて引続き在留を許す、こういう結果に実際問題としてはなろうかと存じます。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 国籍はない、それから従来日本におつた管理令による在留期間或いは資格がなかつた。この点については或いはこれは白系ロシア人であろうと、或いは朝鮮人であろうと、中国人であろうと、実質は変りはない。然るに今のお話では、或いは提案理由説明の中にもございますが、他の無国籍者については六十日在留することができるものとし、そしてその後三十日以内に在留資格の取得を申請すれば在留期間資格を許可する。或いは中国人朝鮮人についてはそういう手続をしない。この点については私ども何とも差を付ける理由の発見に苦しむのでありますが、その辺はどういう理由になりまするか、承わりたいと思います。
  8. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) 格別差を付けると申しますか、御質問趣旨がよく納得いたしかねますが、一応御説明申上げますると、只今私の御説明申上げました白系ロシア人とか、その他中国人等終戰前からおるものは、只今も御説明申上げました白系ロシア人と同じ手続で三月以内に申請する、かようになつております。ところがお尋ねの点、そうではないかと思いますが、朝鮮人台湾人の問題でありますが、これは日本法律上から申しますと、平和條発効の日までは日本国籍がある。つまり日本人だということでございまして、従つて平和條発効まではそういつた白系ロシア人とか或いは中国人とは違つた、つまり法的な地位を持つておるわけでございます。そこで平和條発効後、朝鮮人台湾人は、つまりその時まで日本国籍を持つたものを管理令上からどう扱つて行くかということがこの法律の重要な点になるわけでございます。この朝鮮人台湾人につきましては、このやはり二條の第六項を御覧頂きたいのでありますが、第六項をお読み下さいますと、はつきりいたすわけでございまして「日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本国籍を離脱する者」、つまりこれは朝鮮人台湾人という意味でございまして、そういつたもので終戰前から平和條発効の日まで引続き本邦在留するものは、「出入国管理令二十二條の二第一項の規定にかかわらず、別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、引き続き在留資格を有することなく本邦在留することができる。」、こういう規定を設けております。この趣旨は、つまり従来、日本人であつた朝鮮人台湾人平和條発効と同時に外国人になる。そこでこういつた人たちに対しては、これは従来外国人だという資格において日本に居住しておつたのではなくて、こういつたことによつて、にわかに日本国籍を離脱して外国人になるということのために、一応の切換措置といたしましてこういつた経過的な規定を設けたわけでございます。そこで問題は、それではそういう人たちにどういう在留資格在留期間を與えるかという問題についつては、これは目下日韓会談等におきましていろいろと内容的に話合いが進められておる。そこでいろいろなそういつた人たちにどういう資格期間を與えるかということがはつきりいたしまして、これは別に法律でそういうことが定められるということになつておるわけでございます。従つてそれまでの間は従来通り、今まで日本に住んでいたと同様に、今まで通り何らの手続を必要としないで、そのままの状態でおられる。こういう規定をここにおいたわけでございます。従いまして、これらの人たちに対する管理令上の在留資格在留期間というものは別に法律が出る。それは日韓会談等内容はつきりといたしました上で、又別個に法律案として国会に提出する、かようなことになつておるわけでございます。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 只今の御答弁で、日韓会談によつて別法律に定めることになるだろう。こういう点で朝鮮休戰の交渉の結果による関係諸国に勧告する内容と、或いは日韓会談内容の問題との関連性と申しますか、或いは矛盾等の問題もあるかと思うのでありますが、先ほどお尋ねしたのは講和発効後、日本人であつた朝鮮人台湾人講和発効と同時と申しますか、日本人としての国籍を失う。そうして外国人になる。而もその籍が、或いはこれは今の場合統一しておりませんから北鮮なり南鮮に分れますが、いずれに属するかということは本人の選択が許されないで韓国なら韓国にきめられる。こういう点に矛盾を感ずるのですが、講和発効と同時に日本人であつても又外国人になる、その瞬間を捉えて考えるならば、これは先ほどお話のような、白系ロシア人であるとか、無国籍八と同様の扱いを受けるならば別でありますが、実質的には差が出て来るのじやないか。それからこれは中国人についても同様のことが言われると思うのでありますが、或いは華僑なら華僑台湾を選ぶか或いは本土の中共政権下国籍を選ぶか、或いは台湾におきましても蒋介石政権下国籍を選ぶか或いは台湾についても独立運動と申しますか、蒋介石政権に対して批判の人があるようであります。そうすると、別に何と申しますか、これは国籍がわかりませんけれども、そういう点についてこれは困難な問題が起ります。困難な問題が起りますが、それを一方的に南鮮、或いは台湾なら台湾蒋介石政権下国籍というものを、日本なら日本が一方的に国籍を押し付けるような結果になるのではないか、そうすると先ほど国籍者お話が出ましたけれども、従来日本人であつたが、その日本人であつたということ……先ほどの無国籍者について言えば、今まで長くおつた云々という事実の点については変りはございませんけれども、それは日本人であつた中国人朝鮮人については全然無視して、そうして外国人なつたその途端から取扱が非常に分かれて来る、こういう点についてこれは大きな矛盾があるのじやないか、こういう点をお尋ねをしておるわけであります。
  10. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) それじや私から一応、この平和條発効と同時に、只今朝鮮或いは台湾、こういうものの国籍関係がどうなるか、又それに基く取扱がどうなるかということにつきまして、一応申上げておきたいと思います。この講和発効によりまして、御承知の通り、いわゆる朝鮮というものは独立するのでありまして、日本におりまするこの朝鮮人関係外国人、いわゆる外国人ということに日本ではなるわけであります。その者がどういう国籍をとるかということは、これは相手の国の国籍法朝鮮で言えば独立する朝鮮国籍法が決するところになる、こういうことに原則としてなるわけでございます。それで日本といたしましては、只今いわゆる朝鮮関係につきましては、大韓民国日本折衝相手といたしまして日韓会談が行われておることは御案内通りであります。ところで大韓民国におきましては、いわゆる韓国籍を、朝鮮人関係韓国籍を取得するというように大体向う国籍法で決せられると思うのであります。ただそこで問題になりますのは、只今吉田委員からも言われましたように、現実朝鮮はいわゆる南鮮北鮮というようなことになつておりまして、日本在留しておりまする人々が、朝鮮関係人々が、直ちに韓国籍であるということでいろいろ手続をとるというようなことについて、その問いろいろの問題がやはりまだあると思うのであります。そこで別に御審議を願つております外国人登録法によりましては、六カ月の間に登録切替をやらねばならんのでありますが、そのときは一応便法といたしまして、従来朝鮮とか……或いは韓国とかということで、現在までに外国人登録令によりましてされておりまするが、大体それらを蹈襲いたしましてその間一応の便法を設けて行こう。つまり朝鮮なら朝鮮ということで登録切替を認めて行こう、こういう建前をとつておるわけであります。そこで登録切替ができまするというと、先ほど鈴木部長から申上げましたように、出入国管理令改正法律案によりまして、その者は別に新らしい法律ができるまでの間は、まあいわゆる無條件で以て引続き日本在留できる、こういうことになつておるのであります。で、この新らしい法令がどういう形でできるかということにつきまして、只今日韓会談でいろいろ交渉が行われておるわけでありまするが、その間二年乃至三年の間大体そのままで在留できる、こういう形になると思うのであります。台湾につきましても、いわゆる平和発効と共に、日本におりまする従来の台湾人、これも外国人になるわけでありまするが、台湾におきましては、いわゆる向うのこれ又国籍法によりましてその国籍がきまつて行くわけでありますが、台湾におきましては、大体中国国籍復帰法というものを向うで定めておるようであります。台湾国籍を取りましたものは、それによりまして登録切替が行われて行く、こういうことに相成ると思います。ただ極端な例でありますけれども、どうしてもその国籍を取らない、こういうふうな人は、ここに又一部分は無国籍、或いは日本に帰化することの問題も起きると思うのでありますが、大体現状におきましては、日本におります台湾人の殆んどは中国ミツシヨンの手を経て台湾関係国籍手続を坂つておるようでございます。それから従来からずつとおりまする中国関係の人につきましては、従来から中国ということで登録されて来ておりまするので、そういう人々については、従来からの資料によりまして、そういう認定をすることができると思うのでありまして、それによりまして、その国籍登録のときに切替えて行く、こういう考え方を大体とつておるわけであります。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の答弁関連をいたしまして質問をいたしますが、便法として朝鮮人につきまして朝鮮国籍を取得せしめる、この点は説明されました意味は、韓国籍以外に、北鮮なら北鮮の籍を取得したいと申しますか、南鮮出身じやなく北鮮出身なら北鮮出身の諸君は、南鮮韓国というのじやなく、別に朝鮮という国籍を作るという意味であつたのでしようか。それからもう一つ台湾出身以外の、従来からおる人については別に認定するというお話でありましたが、その認定せられる国籍はどういう国籍でありますか、承わりたいと思います。
  12. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほどちよつと申上げましたように、日本といたしましては、朝鮮については、只今大韓民国というものが、あそこで民主的にでき上つておる国である。こういうふうに認めまして、これは御案内のごとく国連関係の二十数出国もこれを承認しておるわけでありますが、大韓民国相手にして日韓会談を行なつておるのでありまして、そこで大韓民国といたしましては、朝鮮の者を全部一応向う国籍法韓国籍ということで律すると思うのであります、併しながら御案内のごとく、現実の、いわゆる南鮮北鮮という現在状況になつておるのでありまして、日本外国人登録法による登録の書替えの際に、韓国籍ということでなければこの登録をしないとか、どうとかいうことになりますというと、そこに相当のやはり問題が起きるであろう、こういうふうに考えられまするので、そこで外国人登録法による登録の際に、一応便法といたしまして、本来ならばはつきりした国籍で、韓国ならば韓国ということでなければおかしいのでありますが、従来も朝鮮というようなことで登録をいたしておる例もありますので、朝鮮というような記載をも認めて行こう。こういう意味で申上げておるわけであります。それから中国、旧来からずつとおりました中国人中国というのも、これはまあいわゆる中華民国と言いますか、あの中国という意味でありまして、先ほど申上げたのはそういう意味であります。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、大韓民国韓国籍を必ずしも強制しない。或いは日本中国について今のところこれはまあ限定承認とか、いろいろ言われておりますけれども、中国蒋介石政権については台湾及び澎湖島に限るということで、その他の省から来た人その他について、言葉は同じ中国という言葉でありますが、必ずしも台湾なら台湾蒋介石政権中国籍を強要はしない。それで裏がら端的に言いますならば、朝鮮という言葉北鮮なら北鮮国籍も認める、或いは中国中華民国意味であるということは論ずる必要はありませんが、中共政権なら中共政権下国籍も認める。こういう意味に解してよろしいのでしようか。その辺重ねて……。
  14. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この日本在留する例えば朝鮮人が、どういう国籍になるかということは、これは日本がきめるわけではないのでありまして、いわゆる独立する朝鮮の国の国籍法が決定するところであろうと思います。それで日本といたしましては、朝鮮ではいわゆるまあ大韓民国が、一応民主的に合法的にでき上つた政府であると、こういうふうに考えまして、これは先ほども言いましたように、国連中心の二十数カ国が承認しておる国であります。そこで日韓会談等大韓民国と行なつておるわけなのであります。この大韓民国国籍法が決するところで、いわゆる朝鮮人国籍がきまつて行くのではないかと思うのでありまするが、ただ日本外国人登録法その他の手続の上におきましては、たびたび先ほどから繰返しておりまするように、これを直ちに嚴格にこのままで実行して行くということについては、そこに相当のトラブルがあるであろうということによりまして、一応の便法を講じて行こう。そうしてそこに思わざる摩擦が起きないようにしよう。こういう意味で申上げたのであります。
  15. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 只今政務次官の御説明で、その通りでございますが、なお補足をいたしまして、若し誤解があつてはと思いまして、一言申上げたいと思いますが、先ほど表をお取りになりまして、無国籍人数の点を御指摘になりましたが、その同じ表に、朝鮮韓国という二つの欄がございます。これは外国人登録令によりまして、外国人市町村登録いたしておりますが、そのときに各市町村で集めました数字がここに集まつて来ておりますが、このときに国籍欄という欄がございまして、そこに朝鮮韓国という二つの別欄がございます。朝鮮の欄におきましては、この数字では四十六万四千、それから韓国のほうは九十九万七千、こういう数が出ております。これは、あたかも現在の北鮮並びに南鮮のいわゆる韓国、これを何か示しておるのではないかというような誤解が各方面にございますので、この登録の際に、この朝鮮韓国という二つの欄を設けました理由ちよつと御説明申上げたいと思います。実は日本におきましては、従来から、朝鮮という一言しかなかつたのでございまして、これは昭和二十五年の一月の切替の際に、朝鮮という字で外国人登録証明書を皆持つておりますのを切替えたのでございますが、丁度そのときに大韓民国代表部日本にできまして、折角大韓民国という国名がはつきりしたのであるから、朝鮮という字を使わないで、韓国という字を日本側においても使つてくれということを、総司令部を通じまして、日本のほうに話があつたわけでございます。そこで日本側としましては、これは朝鮮でいいのである、日本では朝鮮として一指してやつておるのであるから、ということを申したのでありますが、いろいろ折衝の結果、それではまあそれほど言うのであれば、韓国ということを希望する人は韓国とお書きなさいということで、一二カ月あとになりましてから、そういう手続をいたしたわけであります。従つて朝鮮登録した人が大部分であり、あとから韓国ということで登録をした人が少いというのでございまして、この数字の差が、現在行われております三十八度線の向うと、こつちの勢力を現わしておるということでは、これは絶対ないのでございます。登録令においても、我々のほうではこの国籍欄に、ただ朝鮮とか韓国とか書いてありますのは、どこの出身であるかということを知るために一応とつておるのでございまして、登録法によりまして、その国籍を決定しようというようなことは考えないのであります。従いまして、先ほど政務次官が御説明になりましたように、今提案をいたしております外国人登録法の附則にございますが、六カ月先に登録切替をいたすわけでございますが、その際に、外国人登録証明書というのを、各人が持つておりますのを、この新らしい登録法によりまして、平和発効から六カ月間でその効力はなくなる、そこで切替をするという手続をいたしまして、新らしい外国人登録証明書切替えるのでございますが、その際にその外国人登録証明書国籍欄に、今までは朝鮮韓国と二色の書き方がしてあるが、その六カ月のときに切替についてはどうするかという問題については、従来やつてつた通りに、ただそのまま同じ文字を使つて書き替えて、そういう手続をとるということを、先ほど政務次官から御説明があつたわけであります。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 大体わかつたような気がするのですが、少し突込んで聞き過ぎるから答弁をぼかされるのだとも思うが、聞いておりますことは、韓国籍なら韓国籍ということで日本なり或いは国連が認めておるのは、韓国だからというので全部を韓国籍に強制しないとは言われても、実際上選択の自由を與えないで、韓国籍に入れてしまうのじやないか、或いは中国なら中国という名前にいたしまして、中国国籍と言つて蒋介石政権だけを今のところ相手にして。るということで、蒋介石政権意味する中国国籍を強制する結果になるのじやないか、こういうことをお尋ねしたのでありますが、その点はそういうことはないか。それは韓国でない、朝鮮という文字或いは別の国籍……そういうものを作り、或いは台湾政権じやない、中国という言葉を使われましたが、そういうことで別に国籍相当するものを認める、こういう御趣旨、御答弁に解していいのですか。
  17. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この国籍が、朝鮮なら朝鮮中国なら中国国籍二つも三つもあるという解釈には私はならんと思うのであります。朝鮮人々国籍がどうなるかということは、朝鮮でできる国籍法が決するところであろうと思うのであります。これは何回も繰返すようでありまするが、そこで日本が今折衝しておりまする相手の国はいわゆる大韓民国でありまするから、大韓民国国籍法が決するところによつて朝鮮人国籍がきまることになるのが、我々の解釈であろうと思うのであります。ただそれをそのままで、いわゆる日本登録なりいろいろな扱いでそれをそのまま嚴格に強制して行くという、直ちにやつて行くということについては、そこにいろいろの問題があるだろうと思いまするので、一応いろいろの便法を講じて行こう、こういうことで、朝鮮という別の国籍がそこにあるというふうには我々は解していない。それから中国につきましてもやはり問題は同じであろうと思うのであります。現在日本が国民政府を相手といたしまして中華民国と言いますか、中国というものを対象としているわけであります。そこで国籍の記載につきましても、先ほども申上げましたように中国という記載で扱いを続けて行こう、殊に古くからずつとおりまする中国人中国人々の扱い等につきましては従来からのいろいろな資料によりまして、この人は中国から来ている人であるということが大体はつきりすると思います。そういう場合にはそのままの中国という記載でそれを拔つて行こう、こういうふうな……。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、とにかくその便法意味するものははつきりといたしませんけれども、正面から言いますならば、朝鮮の代表的な政府というか、或いは日本が認めておる政権は大韓民国である、中国については国民政府だ、そうして国籍としては民主的にできていると言われる大韓民国できめる、大韓民国国籍法と言いますか、大韓民国に属する国籍法……そうすると大韓民国国籍だけしか日本政府としては一応正式には認めない。こういうことになりますと例えば北鮮出身なら北鮮出身、それから二つの政権が現実にあるわけでありますが、どちらを選ぶかということは、これは本人だけの自由でなくて、日本側なら日本側から国籍の選択を押し付けるということになりますが、そういうことになるのですか、どうか。
  19. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはどうも言い廻し方と言いますか、立論、議論の仕方で、ございまして、吉田委員がそういうふうな言い方をして来られますると、非常に何するのでありまするが、又結局繰返すことになりまするけれども、日本朝鮮で認めておりまする国はいわゆる大韓民国であり、朝鮮人国籍日本日本の注律でどうこうしようということは、これはできないわけであります。向う国籍法の律するところによつてつてもらわなければならんと思います。それを併し直ちに嚴格にその通りやるということについてはいろいろな問題がありまするから、便法を講じて行こう、先ほどから便法々々と言つておりまするのは、そういう意味であります。
  20. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、その便法意味するもの、これをもう少し承わりたいと思うのですが、具体的に先ほど朝鮮或いは中国という言葉で表わす表現の方法だけは言われましたが、それは韓国籍を強要するのではない、或いは台湾政権と申しますか、その国籍を強要するのではない、それ以外の、はつきりせんけれども朝鮮中国、こういう言葉で言われたのでありますが、この国籍問題については、本人の選択の自由を許しながら便宜的に、あなたの言葉で言うと便宜的に一応そうする、こういう御説明のようで、問題の具体的内容、それから一応便法をとるが、その後の問題をどうするか、こういう点具体的に承わりたい。
  21. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは便法というのはつまり登録のときの手続上のことで、いわゆる便宜的な取扱をしよう。これを嚴格に履行する場合には、いろいろな問題があるでありましようから便宜的な取扱をしようというのであります。文字通り便法でありまして、国籍の選択の自由を認めるとかどうとかいうことは、これは日本の関知するところではないので、向う朝鮮にできまする国籍法の律するところによらなければならないことは、言うまでもないことと思うのでありますが、ただそれを日本登録する際の手続上において一応の便宜を図ろう、便法を講じて行こう、そうして問題を少くして行こう、こういう意味であります。余りこれを掘下げて非常に追及した、とことんまでの議論になりまするというと、却つて複雑化すると言いますか、わからんことになつてしまうだろうと思います。この辺で御了承願いたいと思います。
  22. 吉田法晴

    吉田法晴君 或いは速記がないほうが答弁しやすければ速記をとめて答弁つてもいいのですが、どうでしよう。
  23. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記をとめて。    午後三時八分速記中止    —————・—————    午後三時二十二分速記開始
  24. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記を始めて。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは念のためにもう一遍伺いますけれども、韓国籍を選ばない朝鮮人の諸君、それから台湾国籍と申しますか、これを選ばない人についつては強制しないという点は、これは御言明を頂けますね。
  26. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 外国人登録法に言われる登録の際の記載方法その他について一応の便法を講じて行きたいということは、これは、先ほどからたびたび申上げておる通りであります。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一点、三年間はそれで行くと、三年後の問題についても同様に強制的に、或いは朝鮮或いは台湾といつたような国籍を強制することはない、この言明は頂けますか。
  28. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは目下日韓会談等も進行中でありまして、これは明確にここで言明をするということはできないと思うのでありますが、この三年なりその間に、先方ともいろいろ折衝したりして、無理のないような方法を講じて行きたい、こういう気持で政府はおるわけであります。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 それからもう一つ日韓会談日韓会談と言われますが、日韓会談のほかに朝鮮休戰交渉も進んでおるわけであります。その結果がこういう問題に関連して来るということも考えられるわけでございますが。その辺は日韓会談だけでなくて、朝鮮会談その他アジアにおける今後の情勢というものも考え合せて、これを考慮せられると思うのですが、この点は当然だと思いますけれども、なお重ねて御答弁をお願いしたいと思います。
  30. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはまあ将来の問題でありますので、ここでこれ又何とも申上げることはできないのでありまするが、現在においては一応その問題とは関連なしに我々は考えて行つておるわけであります。
  31. 吉田法晴

    吉田法晴君 多少はつきりいたさない点もありますけれども、将来の問題については、これは推移を見なければなりませんので、この程度にとどめまして、次に管理令の二十四條関係を伺つてみたいと思います。ここで主として一号から六号の中で問題になりますのは四号関係だと思うのでありますが、この四号関係の中で、一番最初一万三千云々という中に、四号のホの項であります。「貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担になつているもの」、こういう点、がこれは一万三千云々の、先ほど説明は頂きましたが、この貧困者、或いは別の言葉で言いますと定職のないものについては送還すると、こういうことになりますならば、これは自国のあるものはとにかくでありますが、実際一番問題なのは朝鮮人の諸君であると思います。外国人の財産取得に関する政令、或いは外資に関する法律その他で、実際上生活生計が非常に制限されております。或いは戰後の問題でありますが、大企業なら大企業でどんどん使つておると思うのです。従来日本人の籍のある諸君でありますが、これに十分の職が與えられておらん。そうすると貧困者、或いは定職がない、或いは現に密造その他が行われておりますが、これは、これらの生活保護法について皆いいとは考えておりませんけれども、ほかに方法がなくてそういう生活をしておる、或いは定職がない、貧困になつておる、こういうものが出て参りますが、この保護につきましては運用上今後相当問題が起るのではないかと考えるのでありますが、それらの関連、或いは運用上の不備或いは不当を救済する点についてはどういう工合に考えておられますか、承わりたいと思います。
  32. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 強制退去の事由といたしまして今お挙げになりました二十四條の四号の中のホに「貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担になつているもの」というのは一応強制退去の事由に該当いたしまして、これに当れば強制退去することができると書いてございまして、これに当つたから必ず退去されるということは、これは絶対に我々としても考えておらないところでございますが、この項目がたまたま六十万もおられる朝鮮人たちに非常に反響を呼びまして、皆追い帰されるのではないかというようなことを、よく我々のところにも尋ねて来られるかたがあるので、非常にいい機会でございますので、政府としてはそういうことは絶対考えてないということを申上げたいと存じます。で、ただ口で、これはそういうような運用はしないということを申上げましても御納得が行かないかとも思いますが、その点につきまして、やはり日韓会談におきまして、この條項についてもう少し安心の行くような話合いができないだろうかというような申出もございまして、日韓会談におきましても、この点について十分日本の政府の真意を吐露しまして、話合いをいたしたわけでありますが、結論としましては、まだ発表の時期ではございませんけれども、大体この貧困者等で公共の負担になつておる者につきましては、社会の秩序を特別に乱す、要するに積極的に惡いことをする以外の人であれば、單に貧困者である、或いは生活保護法の適用を受けまして生活扶助を受けておる、それだけの事実では帰さない、特に日本の社会に害毒を及ぼすような積極的な惡い人に帰つてもらう際においても、両国間で協議をしてきめようというところまで話合いが行つておるわけでありまして、この條文を書きましたときも我々としましては、例えば放浪者であつてどこの收容所に入れてもその秩序を乱し、乱暴をし、どうしても手に負えない、そういう人にはどこかで帰つてもらうような條項がなければ、日本の社会を健全に保つことはできない。その本国の外国に帰つてもらう以外に方法がない。そういう途を開けておくという意味で、この條項を以ちまして退去をさせることができるというふうになつておるのでありまして、運用につきましては、單なる貧困者であるから帰すということでなしに、積極的に害惡を流す、そういう人である場合に限つて帰す、退去をして行くという運用をいたしたいと思つておる次第でございます。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の御答弁を承わつておりますと、貧困者ということのみでは強制退去をしない、こういうことでありますならば、むしろこの項は削除したほうがいいんじやないか。こういう点について一点……。それから仕事を與えない、或いは商売なり或いは経営なりをやつて行く、こういう点について大きな障害があつて、実際に生活が困難で貧困になる、或いは定職がない、こういう事態が起つて来ることにつきまして、対策をお持ちであるのかどうか、口で言つて貧困になるようにしておけば、これは貧困になるのは当り前の話で、先ほども申しましたけれども、貧困にした原因があるから、まあ貧困になつておるわけであります。この原因の救済と申しますか、措置についてどういうお考えでありまするか、その二点を一つ承わりたいと思います。
  34. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 第一の点につきまして、この條文を置かないでもいいではないかというようなお話がございましたが、先ほど申上げましたように、何かこういう條文がございませんと……、そういう人にただ貧困であるから帰すというだけではないのでありまして、いろいろ貧困の上に積極的に社会に害毒を流すというようなことに当りましたならば帰すという運用をいたしたいと思うのでありますが、一応この條文といたしましては、こういうことを書いておきませんことには、ひつかかりようがないというわけでございますので、この点は御了承を願いたいと思います。第二点の、今日貧困者になるようになつたことについて、日本政府としてその外国人にどういう対策を持つかというお尋ねと思いますが、これは外国人貧困者になつたということについての対策といたしましては、外国人であります以上は、その本国政府が第一に面倒を見ることが第一点かと思いますが、特に朝鮮人のようなすでに長いこと日本におつたというような人たちを考慮に入れますれば、そういう人たちに対しまして日本政府といたしましても生活保護法を外国人にも適用を許して行く、当然適用すべきではございませんけれども、適用のほうを考慮して行くというようなことも考えられますし、なお、その他社会施設、厚生施設等も、十分援助のできる面におきましては援助して行くということが当然であると思われます。
  35. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の点に関連してお伺いしたいのですが、生活保護法の適用ですね、これは従前日本に在住しておつて、そして貧困なるが故にずつと生活保護法の適用を受けていたという人についてはこれを継続するという、こういう意味なんですね。
  36. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 未来永劫に生活保護法をずつと適用して行くと、それほど強いことを言つておるわけではないのでございますが、ここ暫らくはその扶助を受けるようにしたい、そういうふうに考えております。
  37. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 その点は厚生大臣とすでに話が済んでおるのですか。
  38. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) これは実は日韓会談一つ内容になるわけでございまして、日韓会談に基く日本政府側の対策の一つになるんじやないかと思うのでありますので、まだはつきりここでやるということを言い切るわけには参りませんが、そういう意味合いで、そういう心持で話合いをしておるということであります。
  39. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ日韓会談でそういう話をするということになりますれば、当然日本側ではまあ未来永劫ではないが、生活保護法を適用するという態度で臨んでおる。そうすれば厚生省との間に話合いがついていなければならんと思うのですが、外務はつけないで臨んでいるのですか。石原さんどうです、その点。
  40. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは生活保護法を外国人にそのまま適用するということは、この法の建前上できないわけでありますが、そういう趣旨先ほど長官が申上げましたような趣旨で臨もうということにつきましては、厚生省とも話合いを終えまして、大体或る程度の予算措置も考えられておるようであります。
  41. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど管理庁長官のお言葉によると、貧困という理由のみでは帰さない、積極的な害毒を流すというような人を帰えそう、その積極的な害毒云々というのは、他の項なり号なりにそんなことは書いてない。そして今のお話のように日韓会談でもお話が出るかも知らんが、生活保護法の適用をしよう、こういう言葉があるならばこの條文に何と書いてあるか。「貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担になつているもの」、この項の中には積極的に害毒を流すという理由は入つておちない。それからホの点から申しますと、国又は地方公共団体の負担になつているかどうか。その生法保護の面については、これから生活保護法を適用して行こう、こういうことならこの條文を置く理由が何らない。だから先ほどつたらどうですかということを申上げたのですが、今の答弁からしましても、答弁と條文とは矛盾しておるがどういう工合にお考えですか。
  42. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) お話通りに、この條文は貧困者等で国又は公共団体の負担になつておるもの、要するに日本政府が金を出して面到を見てやつておる、そういう人たちの中で、積極的に面白くないことをするような人には帰つてもらうよりほかない、そういう意味なんでございまして、若しこれは、更に申上げますれば、日本の国に外国人が入ります際には、日本で生活できないような八はもう一切入れないという第一の関門があるわけでございます。その関門を通つてつて来た人の中で、更に日本政府の負担になるような人は、これ又帰つてもらわなければならんというのは、これは国際慣例でありまして、どこの移民法にも、外国人管理法令にはある規定でございまして、特にこれは朝鮮人たちだけにこれを適用するというわけではないわけであります。ただ問題は朝鮮人たちは特に曾つて日本人であつたし、日本に長くおつたというその事実は尊重しなければならないという、そういう人たちについては、今申上げたように、日韓会談によつて特別に面倒を見て上げてもいいんじやないかということを先ほど申しておるわけでありまして、一般外国人につきましてはこの條文は嚴として残して置かなければならん、かように考えておる次第であります。
  43. 吉田法晴

    吉田法晴君 一般外国人については云々と言われますが、この條文が今後或いは三年のうちでも或いは三年後においても問題になるであろうから論議しておるわけであります。そういう意味一つは問題にし、そして実質的に日韓会談内容として或いはこれに関連して生活保護法の適用も考える。そうすると国又は地方公共団体の負担になつておるものでもこれを必ずしも帰さない。こういうことであるならば、そこに一つ朝鮮人関係については実質的な事由がなくなるじやないか。それからもう一つ、この條文だけでなくて害毒を流す云々という言葉がありましたが、この條文の四号の本文には「左に掲げる者の一に該当するもの」ということで、この條項にも当てはまるが、ほかの條項にも当てはまるもの、こういう人を帰えすということは書いてない。この條項一つで帰えすということが書いてある。だから説明されるように、こういう理由もあるが、そのほかに害毒を流す云々ということがあれば、それは別の問題で、この條項は削つてもいいじやないか、こういうことを申上げておる。
  44. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほどから縷々話がありましたように、ただ貧困とかどうとか言うことだけでなく、もう本人に全然勤労意欲もない、而も長期に亘つて生活扶助を受けておる。こういう人は働けば働けるにかかわらず、全然勤労意欲もなくて、日本に迷惑ばかりかけておる外国人というものは、これはいつまでも日本におられちやお互いに困るのでありまして、そういう意味條項でありますから、これは不要であるとか或いは削除しなければならんとは、我々は考えておらないのであります。
  45. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは議論になりますけれども、この條項だけでなしに、生活貧困或いはその他国又は地方公共団体の負担になつておるだけでなしに、積極的に害毒を流すという人に帰つてもらう、こういう説明でしたから、このほかに害毒を流す云々ということは別の條項じやないか。貧困その他地方公共団体の負担になつておると、これだけでは帰えさんと言い、そして片方では、朝鮮人については生活保護法の適用をするという、こういうことならば意味ないじやないか、こういうことを申上げておる。で、答弁がありませんでしたが、私は今までの説明を聞いておるなら、この條項は必要ないと思います。それから先は議論になりますからやめます。それからもう一つ、石原次官のように、今の全然勤労意欲がないとか、或いは日本に迷惑ばかりかけておると、こういうことについては、先ほど申上げましたが、貧困なつた、或いは定職がない、或いはほかに方法がないから酒の密造もすると、こういうようになつたのは、これはこういう環境に持つてつた、だからそれについて、政府としてどういう対策を持つておるか。これは生活扶助のことを言われましたけれども、その他のことは全然言われないのであります。その点についてどういう案を持つておられるか。
  46. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは今後、外国人に対して特別のいろいろの施策、外国人に対するだけの施策を講じて行かなければならんということは、これはないし又できないと思うのでありますが、いわゆる一般国内の民生安定、その他の施策によりまして、これらの処置を講じて行きたいと思います。それで先ほど私が申上げましたように、勤労意欲も全然なくて、働こうともしないものに、いわゆる働けば働く道があるにかかわらず、働こうとしないで、いわゆる扶助に甘んじて長くそういう扶助を受けておる、こういう人は、これはおのずから働こうにも職がないものとのけじめは、そこに私は現実の問題としては必ずあると思います。そこでこの二十四條の運用につきましては、昨日からいろいろ論議されておりまするように適正なる運用をして行きたいということは、たびたびここで申上げておる通りであります。
  47. 吉田法晴

    吉田法晴君 適正な運用をやつて行きたいと言つても、過去の実績のような適正な運用じや、解決の方法は何も出て参りません。或いは実情を御存じないというか、或いは目を蔽つておられるなら別でありますけれども、先ほどお話のように、日本人として国籍もあつた、或いは取扱つて来た。そうして終戰後どういう工合に実際的に取扱つて来たか、なつて来たかと言いますると、籍は今までありましたが、併しながら定職には殆んど就かない。それから商売なり何なりやつて行くにしても制限がある。そして定職が得られん、それだから生活も貧困になる。そして或いは密造その他のあれも出て来る。これは殆んど朝鮮人諸君の場合の大部分だろうと思うが、それについて適切な、とにかく措置を、これは過去においてもありませんでしたが、今後も恐らく今のようなお話でありますれば、今後においてもありますまい。適切なる施策というと、こういう生活保護法をやつて行くと、こういう適切な処置以外にはないと思いますが、その辺の具体案について、御構想について、具体案とまで行かんかも知れませんが、どういう御構想があるのか伺いたい、こういうことであります。
  48. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは只今もお答え申上げましたように、外国人に対してだけ特別の対策を講ずるということは、これは私できないと思うのであります。一般のいわゆる民生の安定の施策によりまして、民生の安定を図り、又産業の振興を図りまして、それらの協力を求める。極めて抽象的な話になりますが、そうお答え申上げるよりほかないと思うのであります。
  49. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点については、これはこの場限りで御説明を願つても困るのであります。実態は解決しませんのですが、外務政務次官或いは管理庁長官の言うことだけじやなしに、先ほど生活保護法の問題については厚生大臣と打合せて云々というお話がありましたが、もう少し真劍に政府で御考究願いたいと思うのです。それから説明を聞いておりましても、ここの項を残して置かなければならん、こういう点についてもこれは更に外務委員会等で問題にして頂かなければならんと思うのでありますが、質問答弁とが食違つたままでありますから、この程度にとどめまして、同じその四号の中のオ、ワの項であります。「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壞することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者」、それからワの項は、左に掲げる政党、その他の団体を結成し、或いはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者、この内容は現に問題になつております破壞活動防止法或いは労働法関係或いはゼネスト禁止法、殊にゼネスト禁止法についてはこれを出す意思が或いはなくて、破壞活動防止法案なり、労働法の中に入れる構想、その他も承わつておりますが、現に論議せられておる法律内容相当するものがここのオ、ワに出ておるのではないか。そうするならば論議せられておる問題になつておる法律がどういう工合になるかということにかかわりなく、ここに二十四條に外国人の退去強制の理由として掲げることは不当ではないか。法の手続上も不当ではないか、こういうふうに考えるのですが、その点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
  50. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) この点につきましては一昨日、昨日の前回の委員会でもいろいろと御質疑がございましてお答え申上げた点でございますが、この項はオ、ワ、カという、いわゆる破壊活動というものに対する退去強制事由を掲げました立法の趣旨は、こういつたことに該当するような行為をするような者は外国人として日本在留することが適当でないという精神から、この管理令に基く行政措置として本国に帰つてもらうほうがいい、こういう趣旨でございまして、従いまして、こういつたことをすることだけを処罰しようとかというようなものでは決してないわけでございます。従つてほかの法律にも或いはこれと同じような表現を用いた立法例と申しますか、それがたくさんございます。例えば国籍法であるとか、国家公務員法であるとか、そういつた法律にもそれぞれこれと大体同じような條文がございます。併しながらそれはそれぞれ違つた目的で規定されておるわけでございます。この管理令只今申上げましたように、こういう行為をするような外国人日本在留することが好ましくない、こういう趣旨でここに掲げられておるわけであります。従いまして、今後或いはこういつた破壞活動というようなものを別個な法律で、或いは取締るとか、規制するとかということがほかの法律規定されるかもわかりません。併しこれは飽くまでその行為をこれは別個な立場で取締るとか、そういうことでございまして、この管理令とは違つた一つの性格のものである。従いまして法律としての建前論としては、これは全然別個なものであると言わざるを得ないと思うのであります。併しながら、ただ今後そういつたような仮に法令がこれを取締る、こういつたような種類の行為を取締るような法令が仮に出るといたしまするならば、この管理令上のこのオ、ワ、カというような実際上の運用につきましては、これは十分そういつたほかの法令との関係等も事実上は或る種の関連はこれは持つかも知れませんが、建前としては全然別個なものである、かようにお答えすることが適当であろうと思います。
  51. 吉田法晴

    吉田法晴君 事実上の関連を認められまして、法律のとにかく主目的と申しまするか、中心がこの国籍法或いは国家公務員法と例を挙げましたが、それぞれ規制の対象が違うこと、これは当然のことであります。当然のことでありますが、管理令の場合には、これは管理令として占領中の法規でございまして、それから今の破壞活動防止法案にしましても、従来団規令、その他占領中の法律であつたことも間違いない、占領中の法体系として、片一方で管理令その他の法規がある。それから出入国管理問題については管理令がある。併しながらその中味に至つては大体歩調を合わしたといいますか、ここにオ、ワ、カに規定してあるものを……占領下においては同じような実質的に同じ考えを、この問題については今度は法の体系として、講和後の、占領終了後の法体系としてここに考える、そこに現在の審議の実があると思うのであります。そうすると講和後の、或いは管理令に代るものと申しますか、或いはこれは占領下であつたのでありまして、GHQの命令或いは書簡その他によつてつたものを、講和後の法律としてそれが妥当であるか、自由党のほうでは占領中の法規そのまま持つて行こうとしておる。我々は憲法に帰つて日本国憲法の下において、それらのものが許されるかどうかということを検討しておるわけであります。その理論はとにかくとしまして、法体系として、占領中のものであり或いは講和後のものである、これは明らかに本質的に同じである。講和後の出入国管理令関係として、その中にあるものは破壊活動防止法としてこれからきまるもの或いは労働法関係、さつき国家公務員法と言われたが、講和後のこういう問題について法律と歩調を合わせなければならんことは当然だと思います。然るに片方の破壊活動防止法案或いは労働法の改正或いは国家公務員法の改正案を審議しておるのに、その中味だけここに持つて来るのはおかしいじやないか、時期的に見ればその推移を考え合わせて、向うできめた概念その他を持つて来て入れるならばわかるけれども、少くとも時期的に、きまらない概念或いは法の分野というものをここに持つて来ることは、これは不当ではないか、こういうことを申上げておるのであります。
  52. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) いろいろ講和後の法律の体系とか、外の管理令以外の法律で、法律内容を持つたものとの関連というふうなお尋ねでございまするが、管理令をポツダム政令として制定いたしました当時の経緯から申しましても、又講和後におけるこういつた外国人関係法令といたしましては、これはどこの国の外国人の出入国関係法令を見ましても、大体これと同じような趣旨のことが、いわゆる退去強制理由或いは入国拒否事由の中にあるわけでございまして、従いまして私どもとしては、飽くまでこれはほかの法律で同じようなことを仮に規定いたしましても、これは目的も全然違うことであるし、法律の体系としても必ずしも直接それらの法規と関連しなければ動かないというような法律上の関係はない。ただ、これを先ほど申上げましたように実行する場合には、いろいろとそういつた法令によつて或いは処罰された者が、この管理令によつてこれに該当するかどうかというような、いろいろな関連性は勿論持つて参りまするけれども、法律上の建前というような点から申せば直接の関連性はない。こうお答えする以外にはないかと思います。
  53. 吉田法晴

    吉田法晴君 法の体系といいますか、出入国管理令なり、或いは破壊活動防止法なり、労働法なり、いわゆるあなたの言われる法の体系が違うことは私も認めております。併しここに挙げてある理由は、その他のものもそうでありますが、日本において不法であると考えられないものをここに持つて来て、ここだけで別に処罰しようということはこれはないと思います。そうすると例えば例を引きますけれども、ワの項の(3)、この(3)の「工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体」、言い換えますと、争議行為を、要するにストその他争議行為を勧奨する政党その他の団体、その他の団体という点はわかりませんけれども、これ一点をとつて見ましても、ストをやる組合、団体或いは政党、そういうものに加入し、或いは結成し、或いはこれと密接な関係を有する者、こういう者を処罰する、こういうことが書いてあります。ところが、私は不幸にして、この(3)に関するような事態が日本人の場合に全部処罰されるとは考えない。そうするならばこうした條文をこの管理令なり法の中に入れておくということは、これは精神からしましても私は不当だと考えるのです。そういう意味において破壊活動防止法なり、或いは労働法なり、そういうものでこういう活動はこれは不法であるということがはつきりしない前に、別にここに掲げることは不当ではない、こういうことを申上げているんです、どうですか。
  54. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) 先ずお尋ねの第一点でございますが、ほかの法律によつて不法の扱いを受けるということによつてこの條項の適用を受けるべきだというような御質問のようであります。先刻申上げましたように、この退去強制は飽くまで行政措置としてやるべきことであつて、それがほかの法律によつて不法であるとか或いは処罰されるとかいうこととは、全然これは関係のないことでございます。従いまして、この法律建前は飽くまでその行為が不法で、ほかの法律によつて処罰を受けるとか、受けないとかにかかわらず、こういうふうな行為をするというような外国人日本に滯在することが不適当だという観点から、こういう立法をいたしているわけであります。それから第二の工場、事業場における云々の、ワの(3)の問題でございますが、それは吉田委員御承知と思いますが、こういつた活動自体は労働関係調整法によつて労働争議行為としてこれは禁止されている事項でございます。従つて、こういつた労働関係調整法によつて許されない労働活動をするような団体に加入したり、これと密接な関係を有するもの、この管理令上は外国人として在留を許すべきでない、こういう趣旨でございます。御了解願いたいと思います。
  55. 吉田法晴

    吉田法晴君 議事進行……、打切ります。本会議も始りますし、私ども大きな関心を持つております法律提案理由説明、それから質問がございますので、ここで打切りたいと思うのでございます。ただ議論が途中になりますので、継続を一つお認め頂きたい。それからもう一つ関連しまして、外国にも例があるというお話でありましたから、その外国の例を一つ御提出を頂きたいと思います。
  56. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) 差上げてございます。
  57. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは本日はこの程度で散会いたします。次回は追つて公報を以て御通知を申上げます。    午後四時六分散会