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1952-03-25 第13回国会 参議院 外務・人事連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十五日(火曜日)    午後三時二十分開会   —————————————  委員氏名   外務委員    委員長     有馬 英二君    理事      徳川 頼貞君    理事      野田 俊作君    理事      吉川末次郎君            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            中山 福藏君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            加藤シヅエ君            大隈 信幸君            西園寺公一君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     カニエ邦彦君    理事      宮田 重文君    理事      千葉  信君            北村 一男君            平井 太郎君            溝口 三郎君            村上 義一君            木下 源吾君            森崎  隆君            紅露 みつ君   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     有馬 英二君    理事            徳川 頼貞君            野田 俊作君    委員            團  伊能君            伊達源一郎君            中山 福藏君            大隈 信幸君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     カニエ邦彦君    理事      宮田 重文君    委員            木下 源吾君            森崎  隆君            紅露 みつ君   政府委員    人事院事務総局    法制局長    岡部 史郎君    外務政務次官  石原幹市郎君    外務大臣官房長 大江  晃君   事務局側    常任委員会專門    員       坂西 志保君    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外務公務員法案内閣提出、衆議院  送付)   —————————————    〔有馬英二委員長席に着く〕
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは只今から外務人事連合委員会開会いたします。先ず外務公務員法案議題といたします。本法案につきまして御質疑のおありのかたは順次御質疑を願います。
  3. 森崎隆

    森崎隆君 この外務員公務員法案提案理由説明が、実は人事委員会に属しておる私たちとしまして、まだ承わつておりませんので、外務委員会委員の各位には二重になるかとも思いまするが、できましたならば一応提案理由説明をお聞かせ頂いた上に質問をさせて頂きたいと思いますのでお取計らい願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  4. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは政府委員から外務公務員法案提案理由説明をお願いいたします。
  5. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 先般の外務委員会におきましては、提案理由の御説明いたしたのでありまするが、今日は外務人事連合委員会でありますので、重複いたしますが、重ねてもう一度御説明申上げます。  昨年九月八日にサンフランシスコにおいて大多数の連合国我が国との間に署名調印されました平和條約は、いよいよ近い将来において効力を生ずる見込でありまするが、この平和條約の幼力発生に伴いまして、我が国外国この間には正常なる外交関係が回復いたし、国内におきましては、各外国ミツシヨンとの間に自主的な外交活動が行われるようになり、又国外におきましては、従来設置されております在外事務所に代つて公使館領事館設置されて、各所在国との間に外交領事事務を開始することになり、外務省は国の内外を通じてその本来の機能を発揮することになるのであります。  御承知のように外務省に勤務する国家公務員の殆んどすべては他の国内行政官庁に勤務する国家公務員と異り、国際的な対外的な性格を持つておりまして、その人事行政本省勤務在外勤務とを通じて一本にまとめた特殊なものとすることが外交活動を民主的に且つ能率的に行うために是非とも必要なのであります。従いまして国家公務員の中で外務省に勤務する者の特殊性を加味した身分保障関係法規の必要を痛感いたしまして政府はここに外務公務員法を設定して国家公務員法の特例その他を規定いたしました。以て外交再開後における外交領事事務の民主的な、且つ能率的な運営を保障しようとするものであります。  以上が今回この法律案提案する理由でありまして、愼重御審議の上に御採択あらんことをお願いいたします。
  6. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういう説明は何回聞いても……、我々はこの公務員法を勉強して、これから外務省に入るわけでもないし、法律家になるわけじやなくて、一体どういうふうにこれから平和回復後の各国への公使大使領事等々の配備をなし、どういう従来と違つたこれに任務待遇を與え、どういうふうにしてこのサンフランシスコ條約、こういう單独講和條件下において日本の地位と立場を宣揚し、外交関係を達成するかという、もうちよつと数子的な具体的な説明前提として説明頂かんと……。法律が先ず我々のためにあるのじやなくて、目的のために法律が、手段として私たち立法機関として参加するのでありますから、もう少し今言つたような点から法律めいた枝葉末節な美辞麗句やそういう細かなあれは要りませんから、どういうふうな方法でこれから外務行政を運用して行く、そのためにどういうふうに大公使配備して、それが従来とどう達つておる。待遇はどういうふうに変るのび等々というもう少しその具体的な説明を先ず聞かして頂きたいのですね。
  7. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは兼岩委員は、この前の外務委員会においでにならなかつたから、まあそういうお話は出るのであろうと思います。この前の外務委員会におきまして、只今しましたような提案理由を申上げ、更にこの外務公務員法の大体の骨子につきまして官房長から一応ずつと御説明申上げまして、それで今日まあ御審議を願うことになつてつたのでありまして、今兼岩委員から申されましたようなことは、この今回の法案につきまして、大体この前申上げましたので只今は省略したような次第でございます。
  8. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは私はこの前議院運営委員会と両方兼ねておる関係上、止むを得ずそのより重要なる任務のために私は出られなかつたのです。今日お聞きすれば外務委員の中にもお聞きになつていないかたも多数ある。今森崎委員から丁度そういうあれがありましたので、私は特にお願いするのでありますが、今外務次官説明されましたような抽象的な説明は何回お聞きしてもこれは全然できないし、私も同時にもう一つ政府の出しておられる説明書も読みましたけれども、これは非常に法規的な、瑣末な、煩瑣的なスコラ的な説明であつて、我々の欲しいのはしういうことじやなくて、今言つた点を、私はきつとこの前のときも私の要求しておられるようなことはしてはおらないと思うのです。若ししておれば簡單に繰返してみて下さい。果して今具体的にこの單独講和下における特命全権大使公使領事等々の配備はどういうふうにして、何名どういう方法にして配置し、どういうこれに待遇をするか、どういうこれに任務を與えるか、そうしてそのためにこの法律説明は我々は読めばわかるのですしね、法律の細かい説明は求めません。その来るべき外交根本方針とそれに伴う一つ具体的措置について説明して下さいそれだけですよ。あなたからこんな部厚な資料を頂いて、今ずつと一廻わり見ましたけれども、そういう具体的なものは一向見えませんよ。抽象的な法律説明だけです。例えば別表にしてもですよ、別表は何年に一体これが規定され、或るものには何年と書いてある。これは何のためについておるのかさつぱりわからん。こんなものはむしろ私は長いこと官吏をしておつたけれども、議員を愚弄するようなものだ。こんな説明の仕方は忠実と見えてちつとも忠実じやないと思う、もつと忠実な説明をして下さい、議員にこんなものでわからせようということは以ての外です。
  9. 大江晃

    政府委員大江晃君) 只今お話がございましたが、先般の委員会におきまして外務公務員法の大体内容を一応御説明申上げましたが、只今の兼岩委員お話によりますと、具体的に今後外務省はどういうところに大使館公使館及び領事館を置くか、又その給與戰前と比べてどういうふうになつておるかというような点について……。
  10. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 及びその目的ですね。
  11. 大江晃

    政府委員大江晃君) お話がございましたからこれにつきまして御説明申上げます。但し今後大使館公使館領事館派遣いたしまする点につきましては、近く御審議を願いまする在外公館名称及び位置を定める法律案に載つておりまして、又これらの大使公使領事給與はどのくらいであるかというようなことは、これ又いずれ御審議を頂きまする海外に勤務する在外外務公務員給與の準則に関する法律によつてお諮りいたす次第でございまするが、そういう点につきまして、極く荒筋を御説明いたします。  只今予定いたしておりまする大使館設置箇所は二十一カ所でございます。
  12. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 お話中ですが、ちよつと一言口を入れさせて下さい。成るべくもらつておる資料が若しあなたの説明に役立つなら、どの資料ということを言つて下さると、私たち一緒にその資料を見ながらあなたの話を聞きます。こんなに厖大に頂いても、資料をそういう説明に関連させて、どの資料を開いてくれと、一つ小学校の生徒のようなつもりで、一つ先生なつたつもりでやつて下さい。どの資料を見ればいいんです、あなたのこれからの説明は……。
  13. 大江晃

    政府委員大江晃君) 在外公館名称及び位置を定める法律案、これはまだお手許にお配りしていないかと思います。お手許にないと存じます。それで、大使館派遣いたしまする所二十一カ所をこれから読上げます。アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンテイン、大韓民国、フイリピン、オーストラリア、インドネシア、タイ、ビルマ、インド、パキスタン、トルコ、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、連合王国、これは英国であります。以上二十一カ国、次に公使館箇所は十八カ所でございます。ドミニカ、ペルー、チリ、ウルグアイ、ニユー・ジーランド、ヴイエトナム、ラオス、カンボデイア、セイロン、エジプト、ユーゴースラヴイア、スウエーデン、ノールウエー、デンマーク、スイス、ヴアチカン、ポルトガル、南アフリカ連邦、以上の十八カ所でございます。次に総領事館は、ニユー・ヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、ホノルル、サン・パウロ、香港、シンガポール、カルカタ、ボンベイ、ジユネーヴ、以上十一館、領事館は、ニユー・オルリンズ、シアトル、ポートランド、ヴアンクーヴアー、釜山、スラバヤ以上大館、そのうち只今申上げましたところの、総領事館領事館には殆んど全部総領事或いは領事派遣いたしまするが、大使館につきましては、現在の予定におきましては、講和條発効のときに、すぐ大使を全部派遣するというわけに参りませんので、現在出ております在外事務所長がおる箇所、これは一時これらを代理大使に任命する、後刻正式の人選を経ましてこれらの国に大使派遣いたします。尤も、この中で、二、三の国につきましては、正式の大使というものの派遣は将来のことといたしまして、当分は参事官、或いは一等書記官代理大使として参る箇所もございます。公使館につきましても同様なことが言えるのでございます。又公使館につきましては、兼任の箇所が根雪多数ございます。従いまして公使館につきましては、実際に派遣いたしまする公使館は、只今申上げました十八カ国のうち、十一カ国くらいになるのではないか、現在予定いたしております。これが大使館公使館領事館派遣する箇所でございまして、東亜、ヨーロツパ、或いは北米、中南米、世界全体に亘つて配置考えております。主として日本との貿易関係、或いは従来からの国交関係というようなことに重点を置きまして、こういう箇所を選んだのでございます。尤も、現在の国際情勢上、直ちに日本との国交関係に入り得ないというような国もございますので、これらの国は除いてあるわけでございます。  給與に関しましては、これもまだ資料を配付されていないと思いまするが、在外公館に勤務する外務公務員給與に関する法律案というものを近く御審議を願いまして、これによりまして大使公使俸給、或いは手当、在勤俸、加俸、こういうものも含まれます。一般参事官以下の給與もきまることに相成るわけでございます。大体戰前給與額と比較いたしますると、半分以下になつておるというのが、実情でございまして、これは例をとりますると、アメリカ派遣せられまする大使、こういうものの今後支給せられる在勤俸というものを戰前のワシントンにおりました我が国大使在勤俸と比べますると、戰前在勤俸より少しく下廻つておるわけでございます、ナメリカの物価は御承知のように大体倍以上になつておるとかいう関係で、実際は半分以下になつておるというような状況でございまして、地の各国も大体これに準じた俸給を、在勤俸給を規定いたした次第でございます。  在外勤公館を配置いたしました目的というような点につきましても御質問がございましたが、これは申すまでもなく、先ず第一に講和條約によりまして、国交関係に入るという国の間におきまして、いろいろな條約の整備をする必要もございますし、又通商貿易の促進をやるために、新たに協定を結ばなければならんというようなこともございます。又在留邦人がおるところに関しましては、ブランクになつておりました時代の間の領事館仕事、及び在留邦人身分に関する仕事もございます。こういうものに重点を置いてやるというようなふうに考えております。  これが講和発効後の外務省在外公館を配置いたしまする一般方針、又給與並びにその目的といたすところでございます。
  14. 森崎隆

    森崎隆君 石原政務次官から簡單提案理由説明をされましたが、二三これについて御質問いたしたいと思います。大体まあ今国及び場所でございますか、大使館公使館等箇所をお聞きいたしましたが、国名としてはどこどこくらいになりましようか、それをちよつと伺いたいのであります。それは、来月中に條約が発効するまでに、おのおの批准完了した国、並びに未批准国を含めての国でございましようか、それをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  15. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 只今所在国は先ほど官房長から申上げた通りでありますが、このうち、先ほど官房長から申上げましたように、講和條発効は、條件といたしまして日本以外には特定国六カ国ございます。そのほかにもたしかメキシコその他一、二の国があると思いますが、批准を完了しておるのでございます。そういう国に対しましては、講和條発効と同時に、いわゆるこの大公使館或いは総領事館領事館等設置される手配となつております。国名、国の名前というお尋ねがありましたが、これは、先ほど官房長から大体国の名前をずつと申上げたと思つておりますけれども……。
  16. 森崎隆

    森崎隆君 未批准国のほうは勿論さつきのお話の中に含まれておると思いますが、これは、当然こちらから大使なり、公使なり、総領事、その他の者を派遣せられるということについては、相手国のほうで了承されるという前提の下に今のような御計画が立たれておるかどうか、その通りでございますか。
  17. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 先ほど申上げました国々は、大体将来大公使館或いは領事館総領事館等設置し得る見通しのつきました国々をずつとここに挙げまして、そのほかの国々といえども、将来国交回復見通しがつきましたものにつきましては、或いは法律により、国会開会中であれば法律で追加して行く、閉会中であるとか、或いは緊急の必要がある場合には政令でこれを発令して行く、こういうことでございます。
  18. 森崎隆

    森崎隆君 それではまあ未調印国と言いますと、現実に戦争状態にあるソ連等国々に対しては、勿論大使館とか公使館、これは置けないことはわかつておりまするが、どうも今日までにアメリカ等の国に在外事務所設置いたしましたような努力はこれと並行してなされるお考えでありますかどうか。そういう又御計画がありましたならばお話を承わりたいと思います。それとも全然未調印国戦争状態の続いておる国々には全然そういうまま、努力も何もなさらないかどうかという問題でございますが、これについて……。
  19. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはまああらゆる、世界各国友好関係に将来立つて行かなければならんことはこれは言うまでもないことと思うのであります。ただ只今お話のありましたソ連等の国につきましては、こちらからいろいろ何しておりまする、未帰還者問題等について、或いは漁船拿捕の問題であるとか、その他いろいろこちらから申し入れておることについても、何らのまだ殆んど回答がないという状態でございまして、これは相手国との互いの友好関係を結ぶかどうかという、相手のあることであります。勿論広く友好関係を結ばなければならないという点で努力はしておるわけでございますが、只今のところでは、まだその段階には至つていないわけでございます。
  20. 森崎隆

    森崎隆君 今のお話もよくわかりましたが、具体的に今日までどの程度の努力をされましたか。又今後一体どういう意味でこういう平和回復への努力をなさいますか。又今のお話を聞きますと、又反対にとりますると、未帰還者早期送還というものが前提條件になつて、これが完了しなければ、その国との国交調整は、こちらとしては考えられないというようなふうにも、まあ取れば取れるような御発言のように伺いますが、むしろ私たちは、国交調整を積極的に進めて行く、その努力を、相手国があるのはよくわかつておりまするが、我々としましては、真摯な態度戦争をとにかくいたしました相手国との間に、積極的な平和回復への努力を具体的にしながら、並行してそういう重大な問題の解決へ進めたいという気持を私たちは持つておるのでございますが、その点についてどちらが先に、例えばソ連に対しましては、未復員者の完全な、何十万とかいう、政府が発表されておりますところの、これを全部一人残らず帰してくれなければ、国交調整の問題には入らないというようなおつもりかどうか。そのところをもう少し具体的に、これまでの、今後の御努力方針とまぜまして、お伺いいたしたいのでございます。
  21. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 未帰還者等を一人残らず帰してからでなければどうどいうような意味では勿論ございませんが、抑留者、未帰還者の問題につきましても、何らの情報ももらえない、或いは漁船その他についても、こちらから言えば非常な不法な拿捕もあるのじやないか。或いは日本の主張しておりまする歯舞諸島の返還の問題であるとか、こういう問題等につきましても、相手国から未帰還者の問題についても、情報すらももらえない、こういう状態では、如何にこちらが友好関係に立とうという考えを持ちましても、なかなかそこまで立ち至らない状態ではないかと思うのでありまして、これは先ほどからたびたび申しておりまするように、広く世界国々とは平和のために友好関係に立たねばならんということは申上げるまでもないことと思つております。
  22. 森崎隆

    森崎隆君 もう一つ、念のために、懸念いたします点でありますが、今の平和が一応回復されまず、そういう国々との間の問題でございまするが、その結果、戦争状態にある国々との間には、却つてそういう国々を或る意味で悪い刺戟を與えまして、ますます今後の国交調整は、それを困難にするようなフアクターが出て来るような心配も一応考えられるのでございますが、そういう点については、勿論御検討済みだと思いますが、この点について伺いたいと思います。もつとこれを具体的に申しますると、残念ながら多数講和で現状に至つておりまするが、日本国としましては、すべての交戦国と一日も早くいわゆる完全な平和状態に復したい、その真撃な気持を、こういう大公使派遣その他の問題におきましても、具体的にその誠意を表わす意味で、例えば、従来の在外事務所の形のまま、他の未調印国との間に早く平和條約を締結いたし、全体が揃い次第正式なものを派遣いたしたいといつたような行き方も、我々日本国民が本当に世界的な平和を愛する真摯な態度国際場裡に披瀝する一つの途かとも考えられる点もあるのであります。そういう点について、或いはこれは私の考え過ぎかも知れませんが、外務当局では、むしろこういうものをはつきりと、平和回復した国々に大公使を送ることが、他の未調印国をよい意味で刺戟して、国交調整が好転するというお考えがあるかどうか、この点について一つお伺いいたしたい。
  23. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 森崎委員のお考え方一つ考え方ではあると思うのでありますが、折角平和條約の発効機会に、今までもすでに在外事務所等設置いたしまして、いろいろの国交、或いは通商関係事務であるとか、そういうことをやつてつたわけでありますが、それを今度は正式に一日も早くそういう状態に置きたいということも又一つ考え方でございます。発効と同時に置き得る所は置こう、それから未調印国等につきましても、これも大体御案内だろうと思いまするが、未調印国々についても友交関係を至急に結びたいという、こちらも望みまするし、相手も望んでおる国も相当あるのでありまして、そこらも私たちは、或いは講和発効と相前後いたします頃ぐらいにそういう折衝に入るところもあると思うのでありまして、でき得る限り早く在外公館設置をやりたい、かような気持でおります。
  24. 森崎隆

    森崎隆君 その点は一応了解いたします。ただ念のために一言希望を申添えておきますが、この制度はどおせ平和が回復しましたあかつきには、どうしてもこれは実施しなければいけない法案だと私も考えております。ただむずかしい両陣営の間に介在する我々の立場といたしまして、この正しい意味措置が、はつきりと一方の陣営は俺の味方だ、一方の陣営はつきり敵だといつたような烙印を押すことに拍車をかけるような運営の仕方があつては大変なことになると私思います。そういう点今石原政務次官もおつしやられましたように、この措置を以てできるだけ早く未調印国との間に平和回復をする一つの漸進的な努力の現われだと私たちもとりたいと思います。せいぜいそういうような趣旨を飽くまでお忘れなく御盡カのほどお願いしたいと思います。
  25. 木下源吾

    木下源吾君 お尋ねしますが、今日の何はこの公務員法案全体についてですな、議題は。
  26. 有馬英二

    委員長有馬英二君) そうです。
  27. 森崎隆

    森崎隆君 次に実はこれも甚だ勝手でございますが、説明書がございますのですが、二重になつて恐入りますですが、皆さんがた外務委員のかたがたがすでに一応お聞きのようでございましたら、一日帰つて読ませて頂く機会を私は頂きたいのですが。読み上げて頂く二重の労は勿論私お願いしたくないので、私としましては実はいろいろな関係で今日初めて臨んだようなわけでございまして、私といたしましては内容に対する御質問その他につきましては、説明書その他を一応目を通させて頂きましたあかつきに御質問を申上げたい。従いまして今日一日でこの問題は決定されることのないように、それを一応申上げておきたいと思います。
  28. 木下源吾

    木下源吾君 今この提案理由聞いたのですが、これに基いて二、三一つ質問したいと思います。いわゆるサンフランシスコ調印された平和條約がいよいよ近い将来に効力を生ずる見込みだ、これはどのくらいの国がこの法律と関連して考えられておるのか。ここに書いてある平和條役がいよいよ近い将来効力を生ずる見込みであると書いてあるのだが、この発生に伴つて我が国と諸外国との間の正常なる外交関係、このいわゆる諸外国というのはどの国ですか。
  29. 大江晃

    政府委員大江晃君) サンフランシスコ平和條約の二十三條の規定によりまして、御承知のように平和條約の効力発生の要件といたしまして日本アメリカ合衆国、オーストラリア、カナダ、セイロン、フランス、インドネシア、オランダ、ニユー・ジーランド、パキスタン、フイリピン、英国、こういうような国のうちの日本アメリカを含めまして七カ国の批准の寄託が終つたときに効力が発生するということになつておりますが、講和條約の効力発生のときには日本を除きますると六カ国は国交が回復し、そのほかにすでに現在まで批准書を寄託いたしたものがございまするが、これは日本及び英国でございまして、これは先ほどの六カ国の中に入るわけであります。そのほかに現在批准書の寄託はしておりませんけれども、議会の承認を終つた国がニユー・ジーランド或いはオーストラリア、セイロンアメリカ合衆国というような国もございます。これらは先ほど申した主要国の中に入つておりますが、メキシコというような国もございます。
  30. 木下源吾

    木下源吾君 聞かんことはよいから諸外国外交関係をやろうというようなところだけでよいのです。
  31. 大江晃

    政府委員大江晃君) これはサンフランシスコに署名いたしました国々の中で批准書の寄託が終つた国との間が先ず日本との国交が回復するということでございます。
  32. 木下源吾

    木下源吾君 だからその国の名前一つ……、これをあなたが出すのにこれこれとやろうというところだけを明確に言うてくれればいい。
  33. 大江晃

    政府委員大江晃君) それは先ほど申上げました大使公使派遣する国でございます
  34. 木下源吾

    木下源吾君 それはどこの国です。
  35. 大江晃

    政府委員大江晃君) アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンテイン、大韓民国、フイリピン、オーストラリア、インドネシア、タイ、ビルマ、インド、パキスタン、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、連合王国、これが大使館でございます。
  36. 木下源吾

    木下源吾君 今言われたところでは、批准をしそうもない国もあるのでしよう。
  37. 大江晃

    政府委員大江晃君) そうでございます。
  38. 木下源吾

    木下源吾君 それでは批准しないでもそれらの国々は大公使館を作るというのですか。
  39. 大江晃

    政府委員大江晃君) そうでございます。これは批准がなくても只今中立国との間に講和條約が発効いたしますると、当然国交が回復いたしまするから、政令によりまして大使館公使館を置きます。
  40. 木下源吾

    木下源吾君 今の国々は、その国々の中で批准をしない国でも大公使をこちらから置くということですか。置き得るのですか。
  41. 大江晃

    政府委員大江晃君) 批准をしない国と申しまするのはサンフランシスコの條約に。
  42. 木下源吾

    木下源吾君 調印はしたけれども批准のない国でも置けるのですか、大公使館を……。
  43. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは一時の便法といたしまして、別途交換公文なり何かによりまして、そういうことを認めるということを今折衝中でございます。それが成立いたしますれば置くことができる。
  44. 木下源吾

    木下源吾君 私はそういうことを聞いているのではない。よく総理大臣が仮定のことには答えんと言うのだ。だから仮定のことを開いているのではない。現実のことをあなたにお聞きしたいのです。むずかしい余計なことは要らない。どこどことでそれは、従つて何人そこには必要なのか、こういうことが出て来るわけなんです。
  45. 大江晃

    政府委員大江晃君) そういたしますとニユー・ジーランド、オーストラリア、セイロンアメリカ合衆国、この四カ国でございます。
  46. 木下源吾

    木下源吾君 そうするとこの法案が通過しますと、適用を受ける公務員数はどのくらいですか。
  47. 大江晃

    政府委員大江晃君) 在外事務所に現在出ておるのが大体百七十五名くらい出ております。そのほかに新たに大使館公使館総領事館を開きまするから、それを合せますると二百二、三十名になる予定でございます。
  48. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると差当りは今の御説明によると、二百二、三十名の人にこの法律を作つて適用するということに了解していいですね。
  49. 大江晃

    政府委員大江晃君) この外務公務員法案在外勤務の公務員のみならず、外務本省におきまする公務員にも適用がございます。
  50. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると新たに、現在の公務員法の適用外の、つまり新たに適用されるものが二百二、三十名というふうに了承していいですか。
  51. 大江晃

    政府委員大江晃君) それは在外におりまする外務公務員が二百二、三十名、こういうことでございます。
  52. 木下源吾

    木下源吾君 今在外事務所にいる公務員は、国家公務員法の適用を受けておるのでございますか、現在……。
  53. 大江晃

    政府委員大江晃君) その通りでございます。
  54. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると今度この法律がやるのは、それ以外の二百二、三十名ということになると、五、六十名の人が差当り殖える、こういうことになるのですな。
  55. 大江晃

    政府委員大江晃君) そうでございます。
  56. 木下源吾

    木下源吾君 それをきつかけに今の国家公務員法から外して別の法律を作る、こういうことになるのですか。
  57. 大江晃

    政府委員大江晃君) これをきつかけにと申しまするか、在外勤務の者を含めまして、本省勤務全体、外務省に勤務する公務員に対して公務員法を適用する、こういう趣旨でございます。
  58. 木下源吾

    木下源吾君 今御説明を承わつておると、まだいわゆる平和條約の発効に伴う正常な外交関係ができておらない、その前に準備して法律を作ろう、こういうことになつておるのですが、現在の在外事務所で現在不都合な点があるのですか。
  59. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはこの法律案を御審議願うとわかるのでありまするが、普通の公務員のほかに、大公使等の特別職のものが今後相当置かれることになるのであります。それから又名誉領事の規定でありまするとか、或いは外国人の雇用というような問題も起つて参ります。それから同時に先ほど申上げましたように、外務公務員は勤務地が世界各地に亘つておりまして、而も職務と責任が非常に対外的国際的で、一般国家公務員法で律し切れないような面も相当ございまするので、これは法案内容を御覧下さればよくわかると思いますが、そういうような意味からいたしまして、ここに取りまとめて外務公務員法というものを制定した次第であります。
  60. 木下源吾

    木下源吾君 只今お話では、いろいろなえらい職ができるから、それは一般職ではいかん……、ところがこの間全権が行くときは一般職でなければならんというて政府がやつたんじやないのですか、人事院規則を作らして……、そうじやなかつたのですか。
  61. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) あのときはたしか全権とか、政府代表とか、そういうものについて規定がなかつたものでありますから、便宜そういう解釈をとつたのであります。ああいうふうな問題もありまするので、今回は全権であるとか、或いは政府代表、そういうようなものもすべてまとめまして、将来問題が起らないように一本に外務公務員法を作つたような次第であります。
  62. 木下源吾

    木下源吾君 一体この間の全権が一般職で何が問題が起つたんです。その問題が起るとか何か問題があつたかどうか聞かして下さい。不都合な問題があつたか。
  63. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 私からお答えいたしますが、御承知通り現在の国家公務員法におきましては、これはもう木下さんもよく御承知通り、御説明申上げるまでもないことなんでございますが、特別職は列挙主義をとつております。従いまして国家公務員法におきましては、特別職というものは、大使公使だけが特別職でありまして、そういう解釈から全権委員政府代表、又は全権委員代理というものが一般職と解釈せざるを得ない。このような官職を一般職といたしますにつきましては、その特殊性に基きまして、どつちみち大幅に国家公務員法の例外規定を設けなければならんわけでありまして、御承知通り人事院規則におきまして大幅に例外規定を設けまして、それによりまして国家公務員法上の一般職といたしましても、何ら支障のないようにはしてあるわけでございます。私も支障があつたとは承わつておりませんのでございます。併しながらその官職の性質から申しまして、全権委員、或いは政府代表というような職責、この法案に書いてありますような職責は、むしろ特命全権大使或いは公使と類似しておるから、この外務公務員法というような法律を作ります場合におきましては、これを特別職とすることも差支えないことと存ずるわけであります。或る官職が絶対的に特別職であるかないかということは、かなりその間に中間的な存在につきましては、これはどつちにもきめ得ることであります。一般職にするならばこれをかなり外す、又特別職にいたしましても、その服務その他につきましては国家公務員法の原則を適用する、こういうようなことになります。極く政務官的な官職、これは明らかに特別職でございますが、中間的な行政執行の任に当る官職があろうことと存じます。
  64. 木下源吾

    木下源吾君 岡部君が答弁されたのですが、一体この法律を作るのに人事院は関與したかね。
  65. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) お答えいたしますが、この法案外務省において立案されるに際しましては、人事院のほうにしばしば御相談御協議がございました。
  66. 木下源吾

    木下源吾君 人事院がこれに賛成し  たか。
  67. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) これは木下さん、前から御承知通り、この国家公務員法制定の当時から大使公使は特別職にして置きますが、その他公務員法の附則の十三條において、御承知通り外交領事官その他の在外職員につきましては特例法を設けるという約束になつております。その特例法であるということになつておりますから御了承頂きたいと思います。
  68. 木下源吾

    木下源吾君 公務員法十三條による特例法と考えていいですか。
  69. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 明らかにこれは公務員法十三條に基く特例法でございます。ただその名称を特例法と用いなかつたのは、これは結局内容につきましては明らかに、一般職に関する限りは特例法でありまするが、同時に大使公使、それから外国人である高級の職員であるとか、名誉領事、名誉総領事とかいうようなもの、その他の特別職につきましても規定しておるわけで、法文の体裁として、法文上は特例法ということを使うのは如何かという結論に達しましたので、外務公務員法といたしまするが、その内容におきましては、一般職に関する限りはこれは国家公務員法の特例法であります。従いまして一般職の外務公務員につきましては、この中に書いてある特例が優先的に適用になるわけでありまするが、それを除きましては公務員法のすべての規定がだまつていれば、当然にこれにかぶつて行くというように規定してございます。
  70. 木下源吾

    木下源吾君 その点については、内容はあなたの説明と逆である。あなたの説明と逆のように私はこの内容をとつておるけれども、そこで私はさつきから聞いているのは、まだ講和も、ここに書いてあるように平和條約の効力も発生しない、そういうときにこういうことをやらなければならん理由だな、つまり実際は、それ故に先ほどから官房長ですか、いろいろえらくしどろもどろ言つておる。現在の在外事務所というものでですね、やつてつて、そうしていよいよ必要になつたときにやつたらどうか、こういう私は考えで聞いておるわけです。そうでないと今の仮定だとまだどこへ何ぼ置くんだという見当がつかない、未成熟のものを対象としてこれをやつたんだというようにしか考えられない。従つてこの内容においてもあなたが今この法案の何條ですか、給與の面などでも、別に、十三條ですか給與の面などでも法律がまだ何にもないのにただ法律をこれから出すんだというようなことで、出すならこれは同時に出して来るべきだと私は思う。公務員法つて公務員法を出せば別表をつけて出すんですから、これは非常に法律提案の体裁がなつていないと私は思うんです。これでも差支えないと考えたんだろうと思うけれども、余りこれは併し独断的じやないか、こういうように私は考えるんです。そこでこの提案理由説明にですね、民主的に且つ能率的にやると書いてある。一体民主的というのは、これはどういう意味ですか、ここに書いてある民主的とは。
  71. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはですね、まあ外務人事審議会等も設けまして、外務大臣がいろいろの施策を行いまする際にもこの人事審議会にいろいろ相談をしたり、或いは調査を依頼したりするというようなことも考えられます。それから又外務省研修所等を充実活用いたしまして、外国等でも十分研修の機会を持ち得るようにしよう。そういう特にどこが民主的というふうに開き直られますと何でありますが、そういうふうないろいろなことを盛り込んで考慮しておるわけであります。能率的というのも全体の中にあるんでありますが、特に査察使なども設けて行政の監査もやれば、或いは僻陬の地の人の勤務状況等も見て、立派なことをやつておれば、それを更に引出すようにして行くとか、いろいろ考えておるわけでございます。
  72. 木下源吾

    木下源吾君 私の聞きたいことは、国家公務員法よりも民主的に行くかということを聞いておるんで、それは今の何やら査察機関とか何とかおつしやるけれども、国家公務員法よりは私はこの非民主的だということになるんではないか。とにかく外務大臣がおやりになる、けれども外務大臣一本、一方のほうの国家公務員法はそういう狭いものではない。而も任用にしても何にしてもこれは民主的に、身分保障問題も民主的になつておるのに、外務大臣のところへまとめてしまうのが民主的なのか、そこを一切大臣の権限でやるのが民主的なのか、こういうことを私は聞きたい。そういう意味では明らかにあなたがたも国家公務員法よりは民主的でないというお答えをするよりしようがないと思うのですね。ですから殊更に民主的と書いておくから、余りにも民主的という言葉を濫用しておるのではないか、こういうように考えておるわけです。そこでこのいわゆる法案の十三條の給與内容はいつ噴出されるのですか。
  73. 大江晃

    政府委員大江晃君) 給與法律は二、三日中に内閣から提案になる予定です。
  74. 木下源吾

    木下源吾君 議事進行について……。この給與法律が出た場合に、あなた独断では行くまいが、外務委員会が再び人事委員会と連合をやつて頂けますか。
  75. 有馬英二

    委員長有馬英二君) よく理事会で相談いたしましてすることといたします。
  76. 木下源吾

    木下源吾君 実際の審議においてはそうならんというと不都合じやないかと、私はそう考えるんですが、或いはいろいろの都合でそういうことが行われない場合もあると想像する面があります。そこで先般の新聞に出ておるんですが、米大使のいわゆる在勤給が一万八千八百ドル、こういうように出ておりますが、この読売新聞の三月二十日ですが、これは大体こういうことに了承してよろしいでしようか。
  77. 大江晃

    政府委員大江晃君) 読売新聞の記事は一部でございまするが、そこに載つておる数字は大体合つておると思います。
  78. 木下源吾

    木下源吾君 これは国会にどうせ出されるものを、まだ今日これを審議しておつてもできないものを、それはまだ数日中でなければ出ない、新聞にだけはどんどん出せる、それで、こつちは出せんということでは私ども納得が行かん。どういうわけですか、それま……。
  79. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはどうも発表したものではないのでありまするが、どうもよく、正式発表しないものが新聞にたまに漏れるというようなことはままあることでありまして、誠に遺憾なのでありますが、発表したものではございません。
  80. 木下源吾

    木下源吾君 発表しなくてもこういう数字がちやんと挙げられて、これがそうだというならばですわ、法案が出るべきはずだ、それを待てばいいじやないか、先へ延ばしておるという、その何がちつともわからん。それらの事情を一つそれほどなら民主的にざつくばらんに聞かして下さい。
  81. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは閣議をすでに通つておるのでございまするが、総司令部のほうに翻訳をいたしまして廻しておる関係上、少し遅れておるのであります。
  82. 木下源吾

    木下源吾君 今の、在外事務所といいますか、これは大体今度は大使なら大使ができるわけですが、そういうところの在外事務所長といいますか、そういうものの給與はどういうようになつておるのですか。
  83. 大江晃

    政府委員大江晃君) 現在の在外事務所の所員の給與は一号から十号までございまして、大体その一号が事務所長の在勤手当でございまして、年額五千八百米ドル、こういうことになつております。
  84. 木下源吾

    木下源吾君 この法律内容ですが、第二條の四項ですね。いわゆる外務職員の定義に、外交領事事務ということが書いてあるのですが、大体これはどういうことか、内容を具体的に一つ説明してもらいたい。
  85. 大江晃

    政府委員大江晃君) 外交領事事務のうちで、外交という面に関しましては、これは当該国との間の政治的の折衝或いは経済的の交渉、或いは多少儀礼に亘りまするが、国際慣行としてやつておりまする国家間のいろいろな儀礼、その他まあいろいろございまするが、主なものはそういうものでございまして、領事事務につきましては、在留邦人身分の事項であるとか、或いは船舶の出入に関する事務であるとか、或いは先ほど申しました在留邦人身分に関する事項に関連いたしまする証明の事務、こういうようなものが領事事務である、こういうふうに考えております。
  86. 木下源吾

    木下源吾君 政治折衝、経済交渉なんというものは、これらの人々が単独で自分の考えでやるのですか。
  87. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは重要な事項につきましては、外務大臣の訓令を受けて出先の官庁が執行いたしますし、場合によりましては出先の官庁が自分の裁量によりまして折衝をいたします。いろいろ時宜に応じてやつておるわけでございます。
  88. 木下源吾

    木下源吾君 そういう自分の裁量でやる政治折衝なんというものの規定がありますか。
  89. 大江晃

    政府委員大江晃君) そういうものに関して規定はございません。
  90. 木下源吾

    木下源吾君 次に同じ條に「外務省令で定めるもの」と書いてありますね、第二條第四項に……。これは一体どんな範囲のものですか。
  91. 大江晃

    政府委員大江晃君) それはまだ外務省令はできておりませんが、一般の庶務的の仕事をいたします外務公務員、こういうものを含めるというふうに考えております。
  92. 木下源吾

    木下源吾君 こういうものもまだ海の物とも山の物ともつかん、そういうものを内容としてここできめるということは、私はやはりこれは不都合だと思うのです。これはいつ頃そういうものを作るのですか。
  93. 大江晃

    政府委員大江晃君) 只今の條項にはございませんけれども、他の條項にありまする外務省令或いは政令等は、必要な場合には外務人事審議会というものにかけるということになつておりまして、成るべく速かにこういう省令、政令を定めたいと考えております。
  94. 木下源吾

    木下源吾君 どうも余り不十分な御答弁で少し十分に聞きたいと思うのですけれども、委員長ちよつとお聞きしますが、この我々との連合は日を限るというように承わつていますが、延ばすわけに行かんのですか。
  95. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 御質問があれば十分の時を持ちたいと思つております。
  96. 木下源吾

    木下源吾君 第四條の規定でありますが、いわゆる国家公務員法中の服務に関する四カ條のみは準用すると、こうなつていますが、そこで先ほど岡部君に言うたのですが、ここだけを準用しておる。若しも特例法でおやりになるというならばこんなものじやいかんと私は考える。そこですべてこの法律でほかも定めるべきじやないか、こういうことを考えるのですが、この点についてどうですか。
  97. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) お答えいたしますが、この第四條で木下さんの御指摘になりました公務員法関係條文は、これは特別職に準用するわけでありまして、特別職の分でございます。一般職につきましては第三條を一つ御覧頂きたいのでございまして、第三條は「国家公務員法並びにこれに基く法令の規定は、」とございますから、人事院規則も含むのであります。「法令の規定は、この法律にその特例を定める場合を除く外、外務職員に適用があるものとする。」、従いまして、今まで御制定頂きました職階法、国家公務員災害補償法及び給與港、これすべて原則として適用があるわけでございます。
  98. 木下源吾

    木下源吾君 今職階制の話が出たのだが、職階制というのはあらゆる官職についていわゆる広汎な視野に立つてやるべきものでないかと私は思う。私は外務職員については外務大臣だけが何か経験があるか知りませんけれども、こういうことについては公務員法の職階制の根本理念とは矛盾して、根本的に職階制を破壊するものじやないか。うまい答弁があるか。
  99. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) これはどうも木下さんが人事委員長の頃にできた職階制に関する法律で、木下さんが非常な專門的な知識を持つておられるのは当然なんでございますが、この法律はやはり特例法でございまして、この法律の第五條におきまして定めておるわけでございますが、その骨子は職種すなわち外務省に属する職員の職種及び職級は職階法の原則に従いまして人事院がこれを決定いたします。ところで職種及び職級が決定されますと、訳の段階といたしまして個々の官職を、即ち全体でいえば約九十万ある官職を今度職種及び職級に格付するわけでありますが、格付する作業というものは現実の作業であります。これは大変なものでありますから、人事院といたしましては職階法の建前からも、極く特別な官職を除きましては各省に大部分は委任するという建前になつております。即ち格付権は各省に委任するわけであります。人事院が今考えておりますものを具体的に申しますると、今の給與法で申しますれば、十一級以上でありますが、十一級以上十五級までの官職は人事院が格付する。十級以下の大部分の官職につきましては各省に委任する、こういう予定になつております。それを第五條におきましてはその格付はこれはもう在外即ち在外公館にある官職につきまして一々人事院が格付するのは如何かと思いますし、それとの釣合で本省にあるそれと相当する官職もこれも釣合上外務省に委せたらよかろう、特にこの特例法ができる場合でありますから、格付だけはこれは外務省に委せよう、職種及び職級の決定はこれは木下さんのおつしやる広い視野に立ちまして、職種職級は人事院の権限としてきめる、こういう建前になつております。
  100. 木下源吾

    木下源吾君 私は何だか今のあなたの話を聞いておると人事院要らなくなつてしまうような気がする。それは職種職級はあなたのほうできめる、内容においては外務省のほうから、格付をあなたのほうで頼もうと、それは実質上はそうであつてもやはり人事院としてはこういう点を特例を認めて行つたならば、どこの省でも皆そうなつてしまう。そういうことになり人事院は要らなくなる。それは岡部さんの私は立場として少しおかしいんじやないかな、どうですか、
  101. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 第一のお尋ねの点でありますが、官職を一定の職種に分類する、更に職種を職級に切るという仕事はこれは專門的、技術的なものでありますし、各省におきましてこれは手もない、そういう專門的な知識もないわけでありますから、人事院といたしましては各省との協力の下に職種及び職級を決定いたし、そうしてその職種につきましては、これを国会に提出いたしまして更に御審査頂くわけでありますが、職種及び職級が決定いたしますと、これを具体的な官職、例をとつて申しますると、各省の局長というものを何級の官職に格付するかという問題でございます。これは例えば一例といたしまして、建設省の管理局長を一般行政職の二級に格付するといたします場合におきまして、それは人事院がその権限を保留しておりますが、今度建設省のたくさんの官職につきましてこれは人事院が千名足らずの職員を擁しまして一々格付できるわけでございませんから、格付は各省にお願いいたしましてその監査だけはやる、こういう建前になつております。ところでこの案の建前はその上のほうまで、局長クラスまで外務省に委任するわけであります。それが少く行き過ぎではないかというお考えもあろうかと思うのでありますが、現実におきまして建設省の管理局長であるとか、或いは厚生省の社会局長であるとか、大蔵省の主計局長というようなものを、例えばそれぞれ一般行政職の二級であるとか財政職の二級であるとかということに格付いたしました場合におきまして、外務省の局長のみを或いは條約局長であるとか通商局長であるとかというような官職を、特に外務省だけそれと均衡のとれない一級に格付する、或いは三級に格付するとかというようなことは、常識におきましてもこれできないというわけであります。それが第一点、更に又人事院におきましては格付を観察し改訂する権限もあるわけであります。又外務省におきましても各省との人事の交流を、この法案におきましても考えておるわけであります。これは第十條等を御覧頂けばおわかりでありますが、そういう人事の交流を考えております場合におきまして、外務省がひとり格付権を有したところで、バランスのとれない格付はできない、これはできるものじやないわけでありますから、そういうことを考えまするならば、取りあえず、取りあえずと申しますかその初めから予期されておりまする外務省の特例法におきまして、格付権はこの程度のことは委任してもよかろうかと、かように思つている次第であります。でありますからそれが各省に及ぶというようなことは、或いは各省に波及するというようなことは、これはちよつと考えられないことだと思います。
  102. 木下源吾

    木下源吾君 私は今岡部さんの言われる、それは外務省は信頼しておりますが、逆に考え外交を民主的にやろうという方向と今逆行している、今の外務省は、今の日本外交はそういうところへ持つて来て常識で判断できないから、法律を作るときにやはりそういう点でいわゆるここに民主的と書いてある以上は、そう安心しないで嚴格にやらなければいかんと私は考えておるから、少し私の質問が腑に落ちぬかも知れぬけれども私はそう考えている。大体今日はこの程度で、私ばかり質問しても、ほかの諸君もおられますから、又明日でも……。
  103. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ちよつと違つた角度からお尋ねしますが、大使国、公使国は今どういう標準によつて、何によつて分けられるのですか。
  104. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 只今では大使公使というようなものは殆んど実質的には差違がないようでありまして、これは相手国が大体大使を希望し、或いは大使を諸外国へ置いているようなところは大使、それから国によりまして公使しか出していない国もあるのであります。そういうところは公使、こういうような標準になつているように思います。
  105. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 それはこつちで一方的にきめられるのですか、相手国と相談の上決定されるのですか。
  106. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは大体相手国の意向を一応探るといいますか、相談いたしましてきめるのであります。
  107. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ここに現に大使館公使館を置くところを分けてありますが、それが必ずしもよそが置くから置くということでもないようであるし、まだ今の段階において、相談し合つて双方会議の上ということでもないと思いますが、その点ちよつとはつきりして頂きたいと思います。
  108. 大江晃

    政府委員大江晃君) この大使館のうちで、戦前は公使館であつたのが大使館になりましたようなところ、例えばメキシコ、カナダ、或いはオーストラリヤ、スペイン、オランダ、こういう国は先方の希望がございまして、これを日本側が認めましたので、大使館なつたのでございまして、そういう希望が日本側に来ないとか、或いはまだ日本との間の話が付かないような所につきましては大体従前の、戦前の慣例によりまして大使館なり公使館を置くということにいたしております。
  109. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 そのほかの例えばパキスタンとかいろいろな薪らしい所へたくさん大使館考えられておるのですが、それはまだ話合いは付いていないでも、大体こつちの希望でこれは書かれたものですか、すでに何か具体的な話合いがあつたことですか。
  110. 大江晃

    政府委員大江晃君) パキスタンでありまするとか、インドネシア、こういう新らしい国につきましても、大体先方のほうから希望が述べられておりまして、話合いが大体付いておるわけでございます。
  111. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 そこのところが私ははつきり聞きたいのですが、大体話合いは付いておるのでしようか。大韓民国やいろいろな所皆話が付いておるのでしようか。
  112. 大江晃

    政府委員大江晃君) 国によりましてその話合いの度合が多少違います。お話のうち大韓民国につきましては、御承知通り現在日韓交渉が行われておりまするが、先方といたしましては、日本大使館を置くというような準備もいたしておりますし、そういう方向に進んでおる。ただはつきり大使館を相互に交換するというところまではつきりした話合いがないわけであります。
  113. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 大きな国或いは日本とのいろいろな関係のインポータンスから考えているうろきめておられることと思いますが、例えばタイ国のごときは大使館になつておる。ヨーロツパのスウエーデンのごときは公使館にしてある。こういうのはやはり話合いでそうなつておるのでしようか。
  114. 大江晃

    政府委員大江晃君) 先ほど政務次官からちよつと申上げましたが、ヨーロツパの国の中で、スイス、スウエーデンというような国は各国公使館を置く方針をとつております。従いまして我がほうも公使館ということになつております。タイにつきましてはまだ正式の大使館交換の話合いはきまつておりません。
  115. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ビルマのごときはようよう国になつたかならないかというような所ですけれども、大使館として、これは仮にかも知れませんが、定められておるというのは、日本と米の関係や何かで今後通商関係なんかも非常に頻繁になるというような考えが基礎になつてつておられることでしようか、話合いがそう付いておることでしようか。
  116. 大江晃

    政府委員大江晃君) この大使公使は先ほど政務次官からお話がございましたように、特にその権限の差がないのでございますが、新らしく生れました東亜の諸国は、やはり各国大使館を置く傾向があるわけなんでございまして、国際慣行といたしまして、大使の席次は公使よりも上というような点がございまして、新興国家は大使館を非常に希望いたします。これに応じまして、諸外国大使派遣しておるというようなわけでございまして、タイ或いはビルて、こういう国々もそういう方向のところから大使館というふうに考えておるわけでございます。勿論日本といたしまして、東亜の地域でありますタイ、ビルマこういうようなところは重要度の上から申しましても大切である、こういう観点からこれ又大使で一向差支えないものだ、こういうふうに考えております。
  117. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 今の大使館公使館の問題は、これはお話しの通り大した区別がないと思いますけれども、名目上かなり大切なことであつて、この点についてはこの外務省人事を規定する上には、相当考えなければならんことと思いますが、それはまあ別といたしまして、次に政務次官にお尋ねしますが、これから政党政治になりますと、大使公使と政党との関係ということは非常に考えなければならんことと考えますが、今の外務省のお考えでは、政党人を外交官にすることの良し悪し、そういうことについてどういう考えを持つておられるか、伺いたいと思います。
  118. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはどうもなかなかこう微妙なといいますか、大きな問題でございまして、私が政府を代表するような形でお答え申上げることはどうかと思うのでありますが、今後の外交は広く人材を求めまして、いわゆる今までの單なる儀礼的外交ということばかりではなく、経済或いは日本の再建にもあらゆる方面で広く人材を求めなければならないと思うのであります。又ときの政府の政策とも非常に深い関連を持ちますので、適当な人がありましたならば、政党人であろうが、なんでありましようが、これは当然又本人の希望等と合致すれば任用をして行かなければならんことと私は考えております。
  119. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 この点についてはもう少しお尋ねしたいと思いますけれども、これはお互いに研究しなきやならん大事な問題と思いまするので、これはあとに問題を留保しておきます。  別に細かいことですけれども、今の外交戰は、ソ連がああいうふうにやつておる関係からでもありますが、かなり何といいますか、スパイといいますか、通報上の戰鬪が平時においては非常に盛んに行われ、日本なんかでも随分電信の略号等は盛んに盗まれて醜態を今まででさえ暴露しておる。今後においても随分このスパイ戰というものは盛んに行われると思うが、そういうような経費というものはどこから出るのですか。
  120. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 何と申しまするか、その秘密戰術、地下戦術、あらゆることをいろいろやつておることと思いまするので、そういう経費がどこから出ているかということが勿論わかるようであれば、そんなスパイ戰術は……。
  121. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 よそのことじやないのです。日本も何かなさるのでしようが、どこからそういう経費を出すつもりか、そういうような人件費が外交上相当、相当と言いますよりも、非常にたくさん要る事態が考えられるでしようが、そういう必要が仮にありとしますれば、どういうところから出るのですか。
  122. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 只今のところの予算では、たしかあれはどういう名前になつておりますか、情報文化局の情報関係のところの費用が一つはそうだろうと思いますが、これはいろいろ外交上の知識の普及なり宣伝もやりまするが、或いは又外国のラジオ通信等を傍受するというような、そういう費用も含まれております。
  123. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私はいろいろそういうような関連で新らしい外交ということを考えて、経費の問題、今問題となつておる給與問題等については非常に考えなければならん点があると思いますが、委員会において又別な問題でもお尋ねいたしますけれども、ともかくいろいろな問題をどうせ決定しておることではないと思いますけれども、今後研究せなきやならんことと思いますので、よく研究しておいて頂きたいという希望を述べまして、私の質問を終ります。
  124. 中山福藏

    中山福藏君 只今この大使公使の何と申しますか、設置されるところが、国々によつて、例えばお互いさまだとか、或いは従来の関係から推してどうしてもそういうふうに持つて行かなければならんとか、いろいろな理由があるようですが、今後の大公使にも、設置の標準といいますか、何といいますか、そういう目安は、従来の関係とか、向うさんが大使館を置くからこちらも大使館を置くというような関係を離れて、大体の目安というものを在外公館を置く場合においては立てておかなければならんと思うのですが、その目安なんがについてはお考えがあるでしようか。
  125. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 別にその内規とか……、的になりました基準というようなものはないようでありまするが、貿易関係であるとか、在留民の関係であるとか、そういうような、或いは政治的交渉の関係であるとか、いろいろなことが一応の標準、基準にはなると思うのでありますが、併し先ほど私並びに官房長から申上げましたように、この大使公使というものの観念が殆んど区別がもうなくなつて、特権的の区別はもうなくなりまして、而も儀礼上においては大使のほうが上位にある扱いを受けるというようなことから、大使の交換を希望する国が非常に殖えておるわけであります。殊に新興国が非常にたくさんできたのでございましてそういう国は殆んど挙つて大使の交換を希望しておるというような国が多いような実情でございまして、そういう希望をする国で、日本と相当な貿易なりその他の関係が密接な深い国には、我が方といたしましても希望に応じて大使を交換して行こうと、こういう建前でございます。従いまして大使の中にも、まあこれは俗な言い方でありますけれども、一等、二等、三等くらいの観念がこれからは私はできて来るのではないかと、かように思つております。
  126. 中山福藏

    中山福藏君 そこで大使館或いは公使館を置くということになりますけれども、大使公使は勿論置かなければなりませんけれども、大使公使は特別職といいますか、結局これから採用するについての標準というものはどういうふうにお考えになつておりますか、外務省ではもう決定されておりますか、まだ審議中でございますか、この点伺つておきたい。
  127. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 具体的の人選の問題は、これは別でありまするが、今おつしやいました基準といいますか、人選の基準、そういうものも別にまあないようでございまして、これをまあ広く人材を求め、できるだけ適材を求めたいと、こういうことで今後の具体的の人事が行われて行くのではないかと考えております。
  128. 中山福藏

    中山福藏君 私はその点について外務省一つの見識を持つて頂きたいと、こう念願するのです。それはどういうわけかと言いますると、いわゆる思想的の対立ですね、或いは宗教的の対立というものが、民族性或いは従来の歴史的関係から現在発生して、それに対して一つの殉教的な態度をとるというのが今日の世界の大勢になりつつあるように私は看取しておるわけなんです。そこでこの大公使の任命という問題は、いわゆるその土地の民族性とか、宗教関係だとか、或いは政治の動きだとかいうようなことも勿論必要でありましようが、民族性に通暁した大使派遣しなければ立派な効果を挙げないと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  129. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは誠に御尤もな御意見でございまして、そういうことも将来は深く考えて行かなければならんことだと思います。  それから衆議院の外務委員会でも御意見があつたのでありまするが、一、二年或いは二、三年で転々と動くというようなことでなしに、やはり深くその地方を担当できるような形においてまあ人材を養成し、そういう人を起用いたして行かねばなるまいと、こういうような意見も出ております。誠に御尤もな御意見でございます。
  130. 中山福藏

    中山福藏君 それに関連いたしまして、現在の外交官の採用試験の試験科目ですね、これには是非とも世界歴史とか、或いはこの人類学とか、時勢に応じた試験科目というものが必要になつて来るのじやないかということを考えておりますが、その採用試験科目についても只今のお考えは如何でございましようか。それを一つつておきたいと思います。
  131. 大江晃

    政府委員大江晃君) 現在の外交官の試験におきましては、外交史及び政治史というものによりまして、この歴史の知識の十分な人物を探るというようなやり方をとつております。只今お話がございました人類学というような点につきましては、これは私個人の考えでございまするが、極めて適切な新らしい一つの大きな世界観を作る学問として生れつつあるように思うのでございまして、外交官としては最もこれを体得する必要があろうと考えるので、これは同感の至りでございまするが、まだそういう科目を試験に入れるということにはなつておりません。ただ私の承知いたしまするところでは、選択科目といたしまして哲学というような科目も入つて幾分そういう思想方面の試験の補いをやつているのじやないか、こういうふうに考えております。
  132. 中山福藏

    中山福藏君 実はですね、私はこういう質問をするということはなぜかと申しますと、近衛内閣当時に尾崎秀実というものが内閣総理大臣の官邸に陣どつて日本の機密に関する事項を細大洩らさず外国に通報しておつた。こういうことが今後在外日本の公館に起らないと誰もこれは断言できないこころなんです。従つてこの外交官の採用に当りましては、こういう前車の覆るような事柄をもう一遍繰返さないように、外務省の最高主脳部におきましては十分に御注意をやつて頂かんとこれはとんでもないことになると私は考える。それでその試験科目についての、或いは採用試験についての外務省の御高見を伺いたいと思つて私はお伺いしたわけですが、これは一つ吉田外務大臣にもこのことを十分お伝えおき願いたいと私はお願いしておくのであります。  それからもう一つお尋ねしておきますが、第二條の第三号によりまするというと、政府代表というものがある。第四号になりますというと全権委員というのがここにありますが、大体全権委員というのは政府を代表して交渉に当るのじやないですか。これはどういうふうなそこに職域の違いがあるのでありますか、これをお伺いしておきたいと思います。
  133. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) それは全権委員も勿論政府代表でありまするが、この全権委員というのは例えばこの條約に署名調印するとか、そういう権限まで持つて参りまするのが全権委員、それから政府代表というのはその国際会議、国際機関等に参加していろいろの行動はとります。交渉もし、会議にも参加するのでありますが、全権委員のほうは更に條約なら條約等に署名、調印するまでの権限を持つて参るもの、こういう区別があります。
  134. 中山福藏

    中山福藏君 この二項、三項というのは大体同一のこれは事務の取扱ができるのじやないかと考えますが、行動の違いであるということだけのお答えでありますけれども、これは解釈のしようによつては如何ようにも解釈できると思うのですけれども、強いて私はその細かいところまではお伺いしませんが、その次に「政府代表又は全権委員会代理、顧問及び随員」というこの見方ですね。これは津島全権とか村田省蔵氏とか、松本俊一ですか、いろいろな人が顧問になつておられるけれども、これは常任で置かれるつもりですか、臨時にこういうものを置かけるつもりですか。如何にもアメリカの真似をしておられるような感じがするのですが、どうですか。
  135. 大江晃

    政府委員大江晃君) この第五号に加えました顧問、これは外務省に現在常置されておる顧問とは違うのでございまして、国際会議或いは国際機関等に日本政府代表、或いは全権委員と同行して行く場合の顧問を規定したものでございます。
  136. 中山福藏

    中山福藏君 臨時のものであると了解して差支えありませんか。
  137. 大江晃

    政府委員大江晃君) さようでございます。
  138. 中山福藏

    中山福藏君 もう一遍最後にお尋ねしておきたいのですが、査察使というものがありますね。この査察使というものは常任のものですか。
  139. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは常任ではございません。外務大臣が……。
  140. 中山福藏

    中山福藏君 臨時に……、臨時にそうしますとお置きになるもの……。
  141. 大江晃

    政府委員大江晃君) その通りでございます。
  142. 中山福藏

    中山福藏君 従来この多く在外の公使館に送られましたる日本の特別ないわゆるこの査察的な事務をおとりになるかたが、巡廻されるというと、行かれる前から各地の新聞がそれを書きたて、或いは外務省の通報によりましてそれを察知して多くこの幇間的な事柄がとり行われて、立派な査察の成績が上げ得ないということを私は外国におつてよく見聞しておるわけでありますが、この査察便とか何とかいうことはむしろ置かずに、水戸黄門式に暗黙のうちに査察させるというほうが却つていいのじやないかということを考えるのですが、そういう点は如何なるものでありましようか。
  143. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはあの査察使には補助職員といいまするか、補佐するもの等もいるのでございまして、まあ今中山委員がおつしやいましたような目的を達しなければならん場合には、その補助職員が先ず参りまして、いろいろのことをやつておく、こういうようなことも行い得るのじやないかと思うのでありますが、要はまあこの査察機構の今後の運営にあると思います。
  144. 中山福藏

    中山福藏君 時間がありませんからもういろいろなことは略します。  次は外国人の名誉領事なり、各誉総領事というものは、これはいろいろな経費の関係からこういうものを置かれるのでしようか、或いはその土地の事情をいわゆる査察して、こういうものを置いたほうがいいと、日本外交官を置くよりもそのほうが便利だというような事柄から出発しているのですか、それはどういうわけですか。
  145. 大江晃

    政府委員大江晃君) この名誉総領事名誉領事は昔、のうちは只今お話なつたような点も考慮されて置かれたこともあると思いますが、最近におきましてはそこの国の適当な人間がいると、日本との貿易関係なり、或いはいろいろ日本との関係が深いかたがたを名誉領事にしてくれれば諸般の連絡、斡旋が都合がいいからといつて先方から希望がございまして、これを外務省で認めて名誉総領事にする、こういうのが最近の例でございます。
  146. 中山福藏

    中山福藏君 もう私時間が遅うございますから、これで終わます。
  147. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ほかに御発言がなければ、本日の連合委員会はこの程度でとどめ、次回は明日午後一時から開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会