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1952-06-26 第13回国会 参議院 運輸委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十六日(木曜日)    午後二時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小泉 秀吉君    委員            植竹 春彦君            仁田 竹一君            高木 正夫君            小野  哲君            小酒井義男君   政府委員    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    通商産業省通商    機械局長    佐枝 新一君    通商産業省通商   機械局車輌部長  吉岡千代三君    運輸大臣官房長 壼井 玄剛君    運輸局海運局海    運調整部長   国安 誠一君    運輸省自動車局    整備部長    中村 俊夫君    経済安定本部産    業局長     近藤 止文君    経済安定本部貿    易局次長    鹿子木 昇君   事務局側    常任委員会専門    員       岡本 忠雄君    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省鉄道監督    局民営鉄道部監    理課長     佐藤 光夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般運輸事情に関する調査の件  (輸入自動車に関する件)  (石油事情に関する件)  (保安庁法案及び海上公安局法案に  関する件)  (東武鉄道の事故に関する件)   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それではこれより委員会を開会いたします。  一般運輸事情に関する調査中、先ず輸入自動車及び石油事情に関する件を議題といたします。本件に関して御質疑のあるかたは御質疑を願います。
  3. 高木正夫

    高木正夫君 最近における我が国自動車交通の中で特に乗用車につきまして現状がどういうようになつておるか、又将来の見通しがどうであるかということを先ず運輸省ののほうにお尋ねをしたいと思います。
  4. 中村俊夫

    政府委員中村俊夫君) 現在我が国にございます乗用自動車の数は約五万七千輌でございます。御承知のように外国からの輸入は、今次の戦争が始りましたときから長い問とまつておりましたし、又国産乗用車も殆んど、或いは全くというほうが正しいかと思われるくらい長い問造られておりませんでした。現在の状態は、乗用車の数は五万七千でございまするが、非常に悪い状態なつておりまして、一九三九年型から前の古い車輌これが五万七千のうち約三万輌がそういつた車になつております。なお五万七千のほかに約三千輌くらいの三輪の乗用車、五万七千と申しますのは足が四つある奴ですが、そのほかに三輪車で乗用車の代田と申しますか、乗用車に使つておるものが約三千輌でございます。これが今後どの程度に殖えて行くだろうかという推定でございまするが、国民経済活動の指数、これは経済安定本部が策定いたしておりまするし、それから運輸状況、そういつたものを勘案いたしまして一応推定いたしますると、今後五年間におよそ九万輌くらいになるであろう、こう考えられます。    〔委員長退席理事岡田信次委員長席に着く〕  勿論九万輌というのは、そうなるであろうという推定でございまして、それだけで十分であるという数字でもございませんし、又抑圧すればそれまでにも殖えないだろうという数字でございますが、今までの伸び方、及び先ほど申上げました経済活動状態運輸状態というようなものを考え併せますと、まあ九万輌ぐらいに五年後に到達するのが素直な形であろう。実際必要な数はもつと遥かに多いということが考えられるのでありまするが、いろいろな条件を考えてまあ九万輌であろう。そういたしますると、三輪乗用車を別にいたしましても、五万七千輌から九万輌に殖やしますために約三万三千輌の車が今後必要になるということ、なお十数年もたつておりまするような古い車を是非この際淘汰しなければならないという数が先ほど申上げました三万輔、合せて六万三千輌程度の車は今後五年間にどうしても補給を要する車である、こういうことが考えられます。なお非常に現在の乗用車が悪い状態にあるということにつきましては、先般御審議願いまして可決して頂きました道路運送車輌法の改正の一きにも御説明申上げたのでございますが、乗用車のうち非常に数が多い、又  一般公衆影響のありまする営業用の旅客の自動車は、検査期間が一年でございましたものを九カ月に短縮するという大きな規制を使つておる人たちに与えなければならないほど現存危険な状態にある。至急これが淘汰、補給並びに増備を要するというのが現在の状況でございます。
  5. 高木正夫

    高木正夫君 今の御説明で、大体五万七千輌が現在あるということがわかりましたが、五年間に九万輌になるかろうというお話でありますが、それは放つておいても九万輔になるということであるのか、又そのくらい必要である、どうしても必要である、或いはこれで以て、九万輌で日本の国の状態経済状態からいつて五年たつてもそのくらいでいいというお考えでありますか、その点をお伺いいたしたいと思います。外国の比率やそこらも一応併せてお聞かせを願います。
  6. 中村俊夫

    政府委員中村俊夫君) まあ乗用車本質から申しまして何輌でなければいけないというようなことは、例えばバスの輌数が幾らであるかということは割に勘定がしやすいのでございますが、それでもなおバスというものが何輌あればいいといつて計算しておきましたものが、車輌増備し或いは線路を開発して行きますと、いわゆる港在需要が非常に多くてどんどん殖えて来るというのが実情なんでございます。まして乗用車のようなものにつきましては九万輌というふうに先日ど申上げまして、ちよつと殖やさして頂いたわけでございますが、九万輌あれば十分であるというような答えはまあ出ないのでございまして、一部の説によれば、とてもここに九万輌なんという数では足りないのだ、もつともつと余計なければいけないのだと申す説もございますし、又相当の程度において問に合つていないとも考えます。併し経済状態考えるというと、そう飛躍的に、例えば現在五万七千輌でありまするが、過失数年間、戦争後立直つて来た状態から推定いたしまして五年後において二十万輌にするとか三十万輌にするとかいうことはちよつとこれは無理ではないか。それだけ必要でないという意味ではありませんで、九万輌くらいにしかならないだろう。それ以上非常な資金をかけ、又特別な保護育成をいたしまして自動車の数を殖やすようにしてやる、例えば非常に安く自動車が手に入る、現在まあかなり高いのでございますけれども、これは国産にいたしましても外国車にしても必ずしも安いとは、国民経済の上からいつて安いとは申せませんが、これが非常に安く手に入るというようなことになりますれば、九万輌ではとても足りないことは確かでございます。こういうことは只今実はちよつと申訳ありませんが、具体的な数字手許に持つておりませんのですが、国民一人当りの車の数というのは、これはもうアメリカでは御承知のように二人半に一輌であるとか三人に一輌であるとかいうことになつておりまして、こういうことは日本としては夢のような数字でございますが、たしか現在でもフイリピンよりも国民人口当り乗用車の数は、日本のほうが遥かに少い状態にあると思います。そういう点から推しましても、五年間に九万輌あつてもまだまだ遥かに足りないのだということも一応肯けるのでございますし、又乗用車というものは、本質上殖えたほうがいろいろな経済活動に必要且つ便利なことは確かでありますが、先ほど申上げましたように今までの国民経済活動伸び方、或いは今後の伸び方を勘案しまして、そう多くを予定しても無理じやないかと考えますので、九万輌くらいになるだろうという線を考えてみた次第なんでございまして、九万輌あれば十分である、又なければいけないという数ではなくて、乗用車本質上はもつともつと多くが要求されるでありましようし、又あつたほうがよろしいのである。併しまあ普通の伸び方をして行つたらばこの程度になるであろうという数字なんでございます。
  7. 高木正夫

    高木正夫君 大分無理な御質問を申上げたわけですが、どうですか、通産省のほうでも大体そういうふうなお考えでございますか、御見通しは、将来の数の見通しでございますね。
  8. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 只今運輸省中村整備部長から詳細お話がございまして、九万輌という数字が出たのでございますが、実はこの問題につきまして需要者のほうというか要するに利用者関係を見ておられる運輸省と我々とが、一つの問題として十分この数字につきまして検討いたしたことはまだございませんので、何とも申上げられませんが、これは要するに国の経済がどういうふうに今後五年間発展するか、まあそれによつて左右されるということ。いま一つ価格の現在今言われた通り決して安くない価格でございます。そのほうがどういうふうにコストの低下が行われて行くか、こういうようないろいろな要素によつて左右される。従いましてこれだけ絶対必要だ、これだけに必ずなるだろうということはちよつと私もはつきりと数字を申上げるほどの資料は実は持つておりません。
  9. 中村俊夫

    政府委員中村俊夫君) 只今数字手許にないと申しまして恐縮でございましたのですがございますのでちよつと説明さして頂きます。  五万七千輌を、人口一人当りでは余り細かいので、百人当りにいたしまして見ますると〇・〇四四台でございます。アメリカは二四・四台でございまして、どれだけ違いますか、大変な違いであります。イギリスは四・六七台でございます。日本の百倍でございます。フイリピンでさえ〇・一六、日本の四倍でございます。
  10. 高木正夫

    高木正夫君 国産自動車製造状態ですね、最近どのくらいできているか。ここ数年の間にどのくらい国産乗用車ができているか。それだけ一つお答え願いたい。
  11. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) お答え申上げます。国産乗用車占領直後製造を禁止されまして、たしか最初にあれはニツサン、トヨダのいずれかでございましたが、大体造るべき材料が揃つているというものを二百台か三百台、材料のでき上つているものを組立てられることを認められた。こういう状況で、占領開始後五年間も経過しました一昨年から製造が認められたわけであります。そういつた次第で、終戦後の生産というものはここ二年でございまして、極めて微々たるものでございます。ただ本年度は国内需要が相当あるということにも即応いたしまして、極力製造業者を督励いたしまして、少くとも年間に六千輌は造るという目標で現在生産をいたしております。これは逐次七千、八千、九千という工合に国産乗用者生産を増大さして行きたい、又そうなつて来るものと考えております。
  12. 高木正夫

    高木正夫君 今の御説明だと、割合に楽観的の数字のように私は思うのです。一昨年と昨年の生産高から見ましても、今年は六千輌造れるかどうか、これは十分に御自信があるのでございますか。
  13. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 本年に入りまして争議等がありました会社がありまして、少しく予定した生産より遅れておりますけれども、私は現在この生産を阻害するいろいろ資材の面とか、こういう点の険路もございませんし、需要も一方相当あることでございますから、この六千の計画目標は達成し得るものと考えております。
  14. 高木正夫

    高木正夫君 需要は十分にあるわけであると思いますが、今のようなやり方で私どもは到底六千輌は造れないだろうというように考えておるのですが、これはまあ併しやつてみないとわからんことであると思うが、どうも十分に責任というわけじやないが、御言明頂いたようにできればいいのですがどうもむずかしいのじやないかというような気がするわけであります。  それから国産車は、どうも利用者に聞いてみますると、非常に高くてそうして又こわれやすい、こういう非難が大分あるようですがこれはどういうことになつているわけですか。
  15. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 只今申上げましたように、乗用車生産につきましては、戦争中も殆んど軍用の車輌ばかりを造つておつたという関係もございますし、戦争中から終戦後の生産禁止の五年間、これを加えますと、相当期間空白でございまして、最近二年間この生産を再開いたしておりますが、御指摘のようにいろいろ至らん点もあるように考えております。現在までのところ私ども承知しておる範囲におきましては、エンジンの部分におきましては大体諸外国のものと余り劣らんというところまで回復しておるようでありますが、車体その他の点、殊に米国その他では最近プレスで以て造つておる、それから発条その他の材質の点、こういう点においてまだ遅れておる点がございまして、我々も日夜この品質、性能の改善には努力しておりますが、まだ何分にも生産再開後二年でございますので、十分のところまで達しておりません。ただこの点につきましては、これは少しく、それも余り大きなことを言うなというお話があるかとも存じますけれども、併し技術的な点では、他の工業等日本の進み方を考え合せまするときは、乗用車につきましてもこれは十分優秀な製品が造れる時期が来るだろうと考えております。ただ我々としては、その日が一日も早く来るように努力したい、こういうように考えておる次第であります。
  16. 高木正夫

    高木正夫君 私も立派な自動車ができるということにつきましては御同感です。必ず何年かの後には外国車に劣らないような車ができるだろうと思うのですが、併しここ二、三年の間におきましては現在のような生産方式によつてつておると、とても国民需要を充すような車ができないのではないかと、こういうように考えるのです。もう少し合理化、した、マス・プロダクシヨンでもやるような方式を思い切つて根本的にやらないと、とても我々の期待するほどできて来ないのではないかというような感がいたすのですがその点についてそういうことをやるようなお気持があるかどうかお尋ね申上げたいと思います。
  17. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 御指摘通りでございまして、我々としても、いつか遠い将来に非常に優秀なものができるということでは、これは我々の目的を達するということにはならんのでございまして、一日も早く急速にそういう時期を招来しなければならんと思つております。今お話のございました設備合理化、これは一番根本の問題と存じますが、この点につきましては政府資金の斡旋、その他或いは必要な設備機械輸入についての補助というような点についてやつてつておるわけでありますが、なお戦時中及び終戦後の空白期間に非常に諸外国に比べて遅れております。それで現在乗用車造つておる会社の中には、飽くまで日本独自の技術でやるのだという意気込みのところもございますが、そのほかは優秀なる外国会社技術的に提携して、その技術等を十分取入れて、国産乗用車を飛躍的に改善するという意図を持つておるものについては勿論これを妨害するわけでもなく、その実現を斡旋するというような態度をとつておるわけであります。
  18. 小野哲

    小野哲君 ちよつと関連して私から伺いたいのですが、今高木さんから自動車工業生産方式改善、要するにコストを引下げると、こういう点にあるのではないかと思うのですが、今気が付き且つ伺いたいと思いますのは、今後国産車生産ということと、それから外国車輸入ということとが問題になつて来るのではないかと思うのです。その場合に、先ほど高木さんから御指摘になりましたように、国産車割合耐用年数等の点からいつても、その他の関係からも輸入車に劣つておるというのが、これは偽らない現実ではないかと、こう思うのです。そこで問題は、政府国産車に関する政策としては、できるだけ国産車を擁護して行こう、いわゆる保護政策をおとりになつておるのではないかと思うのでありますが、一面又将来輸入車が殖えて来るということが諸般の情勢から考え得るとするならば、我が国国産車がいわゆる対外競争裡に立つて十分その立場を確保できるという状態に置いて行かなければいけないのではないか。言換えれば、対外競争ということを念頭に置きながら国産自動車に関する政策考えて行く必要があるのではないか。そういう点から考えますと、一体現在どういうふうなお考えを持つておられるか。同時に又生産方式を再検討することによつてコストの引下げを図つて行くという場合に、もう少し根本的な問題を取上げてやつて行かないとなかなか実現は困難ではないか。言換えれば、現在の自動車工業の姿というもののままでよいのかどうか、経営合理化という点は、更に事業そのものについて根本的な考え方をして行く必要があるのではないか、こういうふうな点につきまして御所見を伺いたいのでございます。
  19. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 只今申上げました設備合理化生産方式合理化といい、勿論狙いは、優良な製品を安く供給し得るような実力を持たせる、それを目標にやるわけでございます。私も技術的ないろいろな点につきましては、残念ながら余り詳しくないのでございますが、併しそういう目標で現在指導しております。なお現在の企業あり方と申しますか、現在乗用車造つておりまするところは三社ございます。それをそういつたままでいいかどうかという問題は、これは非常に大きな問題でございまして、我々としてはいろいろ検討はいたしておりますが、現在はこの工業一つ自由企業体であるという建前で、政府が何でもかんでも指揮命令をするというような関係には立つておりません。その点御了解頂きたいと思います。
  20. 小野哲

    小野哲君 関連して伺いたいのですが、勿論企業経営は自由でありますので、政府が強制的に或いは合併を促進したりすることはどうかと思うのですが、併しながら通産省としては総合工業である自動車製造事業というものを非常に重く見られておる関係もあり、又輸出入関係の、特に輸出貿易というふうな点から考えて、やはり対外競争力というものが培われて行くということが、我が国の大きな経済の方向として考えて行かなければならん問題じやないか。従つて自由であるからうつちやつておいてよろしいと、ただ単に国産車擁護政策をとればいいのだということでは、政府としての役目はそれで以て足れりとは言えないのではないか。だから現実に強制するとか何とかいうような手段をとるかとらないかこれは別個の問題として、どういうあり方でやつて行くならば……生産方式、その他設備改善をやつて行くということによつてコストを引下げ、優秀なものを造るという考えには私ども異存はありませんけれども、では具体的にどういう考えを以ていわば指導されるというか、助言をされるというか、そういうふうなお心がまえはあつて然るべきではないかと思うのですが、私は決して強制をしろという意味でお考えを聞いているわけではないので、一体自動車製造工業というものの将来についてどういうふうな考え方を持つておられるのか、そういう点を実は伺つておるわけなのです。
  21. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 一々御尤もなお話でございまして結局は日本自動車工業貿易は……、と言いましても、この需要国内マーケツトというものが、仮にまあ整備部長お話にありました、五年間に六万三千輌という需要があるといたしましても、他の諸外国に比べまして決して大きなマーケツトとは言えません。従つて本当に合理化され、本当に最先進の国の自動車工業と太刀打ちできるというところに持つて行くには、どうしても輸出というものを考えて行かなきやならないと存じております。でそういつた意味では、まだ自動車輸出ということは現実に若干トラツク、バス等がある程度でございまして乗用車についてはございませんですけれども、将来勿論そういつた方面に力を伸ばさせるように指導して行きたい、こう考えております。
  22. 高木正夫

    高木正夫君 今日は貿易局次長さんがお見え頂いているそうでありますので、そのほかにもいろいろ質問したいことがあるのですが、折角おいで頂いているので、それをちよつと中間にお尋ねを申上げたいと思うのですけれども、お見えになつていますか。
  23. 岡田信次

    理事岡田信次君) 鹿子木次長が来ております。
  24. 高木正夫

    高木正夫君 全体のドル枠のうちで、自動車に対してどのくらいの割当があるのかということですね。できればほかの物資品目と、大体の品目、何が幾ら、何を幾らというその数字一つ示しを願いたいと思います。勿論この間実は注文を申上げておいたのですが、今日お持ちでなければこの次まででもよろしいのですが、今日は少くとも全体の枠に対して自動車がどれだけの枠があるか、それを一応お聞かせを願いたいと思います。
  25. 鹿子木昇

    政府委員鹿子木昇君) 先般資料の御要求があつたようですが、うつかり私承わつておりませんでしたけれども、今日用意しておりませんが、ここでお答えさせて頂きたいと思います。  只今お尋ねドル輸入総枠の中で自動車輸入の枠がどのくらいの割合になるかという点でございますが、御承知のように外貨予算は、従来四半期別に三ヶ月ごとの予算を組んでおりましたが、この四月からは、四月から九月までの半年予算になります。仮に半年予算ドルの枠は、予備費を含めまして五億四千六百七十五万六千五百五十ドル、大ざつぱに申しますと五億四千六百万ドルということになりますが、その中で自動車の枠といたしましては三百万ドル、そのほかにこちらにあります車の払下げ用として百万ドル、合計四百万ドル……。
  26. 高木正夫

    高木正夫君 これはドルばかりですね。
  27. 鹿子木昇

    政府委員鹿子木昇君) ドルばかりでございます。
  28. 高木正夫

    高木正夫君 それからついでにドルでなしにポンドアカウント……。
  29. 鹿子木昇

    政府委員鹿子木昇君) それじやポンドにつきましては、全体の枠が四億五千二百八十三万八千七百五十ドル、四億五千三百ドル近い枠でございます。それに対しまして自動車の枠としましては二百万ドル、それからいわゆるオープンアカウント、清算勘定竹ございますか、オープンアカウントの枠は二億千百八十二万九千五百ドル、約一億一千二百万ドルでございますが、そのうちで自動車の枠は百万ドルでございます。これはフランスとドイツとおのおの五十万ドルづつ、こういうことになつております。
  30. 高木正夫

    高木正夫君 有難うございました。この次までに資料をお願いしたいと思います。それは自動車以外の品物について今の内訳をお示し願いたい。
  31. 鹿子木昇

    政府委員鹿子木昇君) 御希望の品目はどの程度にいたしましようか。全部挙げてもよろしいのですが、特にどういう品目が御必要かということがありましたら……。
  32. 高木正夫

    高木正夫君 そうですね。余り細かいものは要らんですね。大体のものを挙げて頂きたいと思いますが……。  次にこの外国自動車譲受規則が廃止になりまして外国自動車、特に中古車を我々がフリーに買えると思つておりましたのに、五月の二十日で通産省から例の告示が出まして我々が駐留軍軍人軍属所有車を買ふ場合に支払許可が要る、こういうことになつたようでありますが、これはどういうわけでこういう告示を出されたのか、その理由をお示しを願いたいと思います。
  33. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 御質問にお答え申上げます。進駐軍軍人軍属、それから家族の持つております中古自動車払下げにつきましては、これは円貨で取引される関係でございますが、講和発効と同時に外国為替管理法並びに外国貿易管理法に基いての特例に関する政令を出しました。特定の物資については駐留軍軍人軍属から譲堂ける場合に、その代価の支払について許可がいると、こういうふうにいたしたのでございます。外国為替管理令ですが、この法によりますと、その二十六条でしたか、国際収支に非常な影響を与え又は資本逃避の虞れがないという場合には許可なしに、許可を不要とするということができるということで、実は進駐軍軍人軍属から日本人が買入れる場合に、例を挙げまずと、時計とか万年筆とかいろいろあるわけでございます。電気冷蔵庫とか自動車がそのうちに入るわけでありますが、建前としてはその全部につきまして許可を受けるということができる建前なつておるわけでありますが、時計とか万年筆とかそういつたものにつきまして一々許可を受けさせるというのは甚だ煩雑である、ただ自動車につきましては相当金額も多額に上りますし、許可を不要ということにいたさなかつたわけであります。
  34. 高木正夫

    高木正夫君 どうもその点私どもは腑に落ちないように思うのですが、すベての物資はまあ見逃しておいて、そうして自動車だけを許可制にして、日本人の手に渡らんようになさつているように見えるわけなんです。自動車が押えやすいから自動車だけを許可制にしてこれを買うことを何するということは、少し片手落ちじやないかと思うわけです。どういうわけでそういう処置をとられたか、どうも手数が面倒くさいからということだけでは国民に対して相済まんのじやないかと思われますが、そういうようにお考えになりませんでしようか。
  35. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 私の説明が不十分だつたのかも知れませんが、要するに建前としましては、進駐軍軍人軍属、その家族という者は、いろいろな日用生活品、その他におきまして普通の輸入通関という関係から、自由に持つてこられると、こういう建前なつたわけです。それが甚しく多量に入つて参りますと、いろいろと国内産業その他との関係がございます場合には、これは自動車以外のものにつきましても、勿論日本人がそれを買受ける場合に許可を受けるようにできる建前なつておりますから、一応取りあえず自動車というものを対象にいたしまして、そのほかの物資につきましても、例えば時計であるとか或いはカメラであるとか、或いは将来テレビジヨンであるとかラジオ、セツトとか、いろいろそういうものもございますが、まあ進駐軍軍人軍属でありますから、そういつた無茶なことはされないと思いますけれども、若しも将来多量にそういうルートから入つて参りますと、国内産業にも影響が多いという場合には、今の政令によりまして要許可品にするという建前考えております。
  36. 高木正夫

    高木正夫君 自動車だけをしたということは、自動車が押えやすいからということであるわけですが、その他の物資はたくさんあるが押えにくい、併し自動車のほうは、割合にかさも大きいし、登録制もあるからこれを押えるのに都合がいいと、こういうように受取れるのですが。
  37. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 押えやすいからということよりも、只今安定本部の貿易局次長のほうから説明がございましたが、外国自動車輸入ということにつきましては、国内需要国内生産と、これを勘案しまして、外貨の状況も勘案して、一定の枠をきめておるわけであります。進駐軍軍人軍属が持つて参りますほうは、これは別段の制限がないわけでありまして、若しもこれらを自由に払下げることができるといたしますときには、そういうこともこれは杞憂に属することになれば誠に結構でございますが、相当金額もかさばるものでございますし、いろいろと国内の需給関係と申しますかが撹乱される虞れがなきにしもあらずと、こう考えてしたと、こう御了解願いたいと思います。
  38. 高木正夫

    高木正夫君 それなら大体この軍人軍属が売る車を一人前に二輪とかというその制限を附けたら私はいいのじやないかと思いますが、制限を附けて、若しそれ以上に軍人軍属がブローカー的な行為をやると、こういうことになれば、これは駐留軍の軍紀に照してやればいいことです。日本政府がそこまで出ばつて行く必要はないと私は思うのですけれどもね。  それから又一般の物資についてこれは自由にできると、例えば今カメラにしても、そのほかの蓄音器とか冷蔵庫とかいうようなものをフリーにするのならば、むしろこの際自動車もフリーにしたらいいじやないか、押えるのならば全部押えたらいいじやないか、こういう片手落ちのことをするのは、どうもそこに何かあるような気がするのですが、これは一般の国民として皆そういうような疑惑を持つておると私は思うのです。外国自動車だけが非常に、今の貿易局次長から承わると、貿易上非常な重大なる影響を及ぼすという程度のものでもないようですし、而もそれは我が国経済発達上非常に有用なものである、そういうものを抑えておいてやるのは、何かはかに目的があつてつておられるのじやないか、こういうようなことも考えられるので、そこの点は若しそういうお考えがあれば率直に一つ示しを願いたいと思うのです。
  39. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 確かにお話 の点は一つの御意見かと存じますけれども、米軍側にも勿論自制してもらうという必要がございますと同時に、日本政府側でも必要な措置はとりまして、両々相待つて目的を達成する、こういうふうに考えております。これはいろいろ今御質問ありましたが、別に他意があるわけではないのでございます。
  40. 高木正夫

    高木正夫君 どうも少し割切れん点がありまするがまあこれはそのくらいにして置きましよう。  この前出して頂きましたこのクーポンですが、これが相当たくさん出たが、供給のほうが非常に足らなかつたということを聞いているのですが、最近何か手を打たれたのですか。随分議員諸君も、それから又地方の人もクーポンをもらつたが車が手に入らないということが非常に大きな問題になつておつたようですが、それは何か手を打たれて解消するのであるか、又なぜそういうことになつたか。
  41. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) この問題につきましては、ちよつと御説明申上げておかなければならんかと存じます。現在まで非常に遅延したという根本の原因でございますね、日米間の行政協定ができまして、行政協定の第何条かによりまして、米国側で物を処分するという場合には、両者合意の条件に従つて処分する、こういうことになつております。それで我々としましては、前々から一定の方針を立てまして、合同委員会にかけまして、両者の合意を早く尽したい、こう考えてやつておりましたが、いろいろ事情がありまして、これは後ほど申上げますが、なかなかできない。従つて米軍側も隷下に対して売止めをしておつたんです。そういう関係で今日まで非常に遅延した。なおクーポンにつきまして、これは少し過大に出ているんではないか、こういうような御質問かと思いますが、これもいろいろ事情がございまして、我々もやや不安に思つたんでございますが、そういつた米軍側で売止めをしたという事情と相待つて、非常に遅延してしまつたもので、誠に申訳なく存じております。ただ昨日ですかに合同委員会のほうで話合いができまして昨日早速米軍のほうから円価で売つてもよろしいという指令を電報で出したそうであります。で迅速にこれからやりたい、こう考えております。
  42. 高木正夫

    高木正夫君 今の車が円で売れるというのですか。
  43. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) さようでございます。
  44. 高木正夫

    高木正夫君 どこがですか。
  45. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 米国の軍人軍属がですね、円で車を売つてもよろしいという指令を出したのでございます。
  46. 高木正夫

    高木正夫君 それでは今の許可制というものはなくなつたわけですか。
  47. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 六月末までは現在の外国自動車譲受規則、これがございますので、その許可を持つておる者、つまりクーポンを持つておる者に売つてもよろしい、こういう次第でございます。
  48. 高木正夫

    高木正夫君 どうもこれは少し言葉が言過ぎかも知れませんが、国産車の擁護といいますか、これはもとより私ども国産車は大いに奨励しなくてはならんと思つておるわけですが、それに少し傾き過ぎて、今の外車の輸入の途をいろいろの方面から阻止しておるというようなことをよく巷間で聞くのですが、そういうような方策をとられておるんでございましようか。
  49. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) その点実は日本のやり方でございますね、これは占領下にありました際にいろいろな事情で乗用車生産を禁止された、こういう実情にあつたわけであります。日本と似ているような国の政策でございますね、大体英国とかドイツとか、フランスとかイギリスこういつた国の政策を見て参りますと、お言葉を返すようで誠に恐縮ですが、日本が恐らく一番外車の輸入ということにつきましては自由な制度をとつておるんではないか、つまり国産生産が間に合わんという点も量的にも勿論あるわけでございますが、例えば英国等でございますると、大体年間五十万輌ぐらい作つておる。そのうち三十万輌は全部輸出に充てる、そして輸入は全然認めておらないようであります。英国にも北大西洋条約か何かに基きまして米軍基地がございまして、軍人軍属がおりますけれども、これの英国内での払下げということは全然認めておらんこういう方針をとつておるわけでございます。その他例えばフランスでございましたか、やはりドル価を必要とする外車の輸入でありますが、これは外人の観光用だけに限定する、こういつた政策をとつておるのでございます。まあ日本以外の大体日本と似たような国、これらのとつておる政策と比べまして恐らく日本が一番外車輸入については自由な方針をとつておる。こう考えますので、御了解願いたいと思います。
  50. 高木正夫

    高木正夫君 ちよつとその点私どうかと思われる点ですが、成るほど英国は輸入は禁止している。併しそれは英国という国はもうすでに車が十分に今の経済、民度から考えて相当充実しておるわけなんです。それから又その自動車工業が非常に発達をして、輸入しなくても国産車で十分に間に合う立派なものがある。この二つの事情が我が国と非常に違うだろうと思うんです。そういうのと、日本の国の現状を先ほど運輸省から説明がありました通り、三万輔も約三十九年前の車がある、こんな現状で、英国と同じように論ずるのは私はこれはどうかと思うんです。そういう筆法にならつて輸入車を極度に制限して行くということは、而も日本の車が非常に悪くて高いというときに、極端にこれをやられることは、これはやはり世間で言つている国産車を擁護し過ぎておるのではないかということを私ども考えるわけでございます。一般の生産者のため、車を造る者のためというようなことになつて、一般の需要家の立場、国民の全体の人の利便ということを犠牲にして、そうして極度に国産車を奨励しているということになつているのではないかと思うんですが、どうも私はそう考えますが、将来の通産省の行き方として少しお考え直しを願いたいと私は思うのですが、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
  51. 佐枝新一

    政府委員佐枝新一君) 只今申しましたのは、諸外国に比べて日本が一番フリーな政策をとつていると申しますことは、言い換えれば今お話のありましたように技術的に遅れているという点、第一量的に間に合わないという点、それから否でも応でも輸入をしなければならんという点があるわけでございます。そういう点で決して我々は需要者側の利益を忘れておるわけではないのでありまして、一面国産車の改良、改善、発達を極力推進しておるわけであります。需給関係上必要な限度においては勿論外車の輸入も認めて行く、こういう方針でおるわけであります。
  52. 高木正夫

    高木正夫君 その必要なということが、私どもの思う程度の必要かどうか、大分見解が違つておるように思うのです。少くとも今三万輌から三十九年以前の車がある。このままこれを放つておいていいのかどうかという問題が一つの大きな問題だろうと思うんです。私も国産市の連中は皆心やすいし、よく知つておりますし、又それがそういう個人的な問題でなくても、大いに国産車を奨励しなければならんということは、これは極めて同感であります。併しそれが極度に行くと国民全体のためにならん、そこに大きな限界があると思う。少くとも現に三万輌の車が非常に困つておる。そんなものを特に速急にこれを新車に替えて行く必要はないかというのです。こう思うのですが、これは運輸省の人に一つお尋ねしたいと思いますが、今のこの三万輌の車をこのままずつと代替せずに、今のような為替管理の関係で、ぼつぼつ若干ずつ直して行く程度で、運輸省としては交通保安上その他の責任が持てるのですか、どうですか。
  53. 中村俊夫

    政府委員中村俊夫君) 先ほど申上げましたように、又今御指摘がございましたように古い車が非常に多い。このために例えば東京都内でタクシーに乗りますというと、非常に保安上危険のような車がたくさんございます。又現在の自動車事故の中で一番多いのが乗用車の事故なんでございます。数字只今手許に持つておりませんが、これはほかの車の種類に比べて遥かに多うございます。その又非常に大きな原因は車が古いために起つていることも事実でございます。従いまして先ほども申上げましたように、保安検査の一年という期間を、古い車が比較的集中しております営業車につきまして九カ月にまで短縮して、国民に大きな犠牲をかけないようにしなければいけないという事態になつております。従いまして代替補充をやりますと、三万輌を五年で割りまして年六千輌ということに相成るのでございますが、できることならば成るべく速かに二年なり三年なりのうちに淘汰してしまうということは、交通政策上からいつても、或いはその主流をなします保安行政上からも是非必要であると考えますし、又こういつた車が比較的集中しております自動車営業をしておる連中の希望もその点にある、早く車を入替えたいというところにあると思うのでございまして、一日も早く入替える必要がある。先のことは先のことと、ちよつと言い過ぎるかも知れませんが、ここ二年の間に成るべくたくさんの車を入替えろ必要もあるし、又それに応じて資金は十分できる見込があると、そういうふうに考えております。
  54. 高木正夫

    高木正夫君 少し運輸省通産省との御意見が違うようにも思うのですが、まあこの点は……。併し何だか機械局長はどこかへお出ましになるということを聞いたのですが、今日はこの程度にとどめておきますが、次回に又お尋ねしたいことがございますので、次回のときに恐れ入りますけれどももう一度御出席をお願いいたします。
  55. 岡田信次

    理事岡田信次君) それじや機械局長に対する質疑は本日は一応打切りまして、次回にお願いすることにいたしまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 岡田信次

    理事岡田信次君) それではそういうことに、どうも……。
  57. 小野哲

    小野哲君 経済安定本部関係当局も見えておるようでありますので、私からガソリンの価格の問題を中心にしてお考えを承わりたいと思います。  ガソリンの問題につきましては政府のほうでも大変努力をされまして、その量がだんだんと殖えて参つておるということは大変喜ばしいことで、その御努力に対して私どもも多といたしておるわけであります。私の調べたところによりましても、昭和二十三年が大体二十七万キロリツトル余であつたものが、昭和二十六年度では八十五万キロリツトル程度に上昇しておる。更に昭和二十七年度では大体百六十七万キロリツトル余が確保できる予定になつておる。こういうふうに聞いておるわけでありますが、特に昭和二十六年の四月から代燃草の転換用のガソリンの割当を受けることになつておりまして、現在においては昭和二十六年度一カ年で殆んど代燃車の姿を消しておると、こういうふうな実情を見ますというと誠に感慨深いものがあるわけであります。ただ量は殖えて来たのでありますが、問題はガソリンの質とそれから価格の問題であろうと、かように思うので、この点についてこれを中心として御所見を承わりたいと思うのでありますが、先ずガソリンの価格の問題から取上げて行きたいと思います。  勿論現在においては統制を撤廃されておりませんが、七月一日から統制が撤廃されるということになりますので、従つて解除後の価格がどうなるかということは極めて重大な関心を寄せている問題であると考えておるわけであります。まあ経済安定本部においていろいろガソリンの価格について処理されて参つたのでありますが、私の調べによりますと、現行のガソリン価格は昭和二十六年十二月一日に改訂されたものと思つておるわけでありまして、実は昨年の秋頃から物価庁においてこれは取扱つておられたと思いますが、ガソリンの価格も或る程度引下げていいのではないか、こういうふうな案があつたように思うのであります。ところが逆にガソリンの価格は引下げられないで据置となつて、軽油が九・六%、即ち一キロリツトルについて千六百円の値上げを決定された。そして十二月一日から実施して現在に至つておるわけであります。もとよりその石油製品の販売価格は原油から精製する各種の油、即ちガソリンであるとか軽油であるとか重油等、いろいろありますが、その各種の油の原価計算に基いて、又用途別の事情を勘案して決定されたものと思うのであります。例えて申しますと、昨年十二月一日に改訂された各種の油の価格も当然引下げらるべきであると思つておつたところ、ガソリンが据置となつて、その他の油がそれぞれのパーセンテージによつて引上げられておる、こういうふうなことになつておりますがこの点につきまして私が聞いておりますところによりますと、価格の改訂は、政府が元売業者、小売業者のマージンもやはり認可をしてそして最終販売価格を決定する、こういう建前をとつておられるようであります。従つて問題は元売業者小売業者の一体マージンが適当かどうか、この問題になつて来るわけでありまして、私の調べによりますと、現在のガソリン価格を分析いたしますと、ガソリンの精製原価が一キロリツトル当りでありますが、これが一万六千八百円、元売業者のマージンが同じく一キロリツトル当りが四千百九十二円、小売業者のマージンが一キロツトル当り二千三百円、合計して三万四千、そのほかに税金もありますが、三万四千二百九十二円、こういうことになつておるようであります。これは手近なところで東京地区で調べたわけでありましてこの元売業者は精製業者で、精製原価に包含すべき費用もまああるわけでありますが、元売業者のマージンが不当い高いのじやないか、こういう気がするのでありますが、マージンまで認可の対象としてお取扱になつておる現在のやり方といたしまして、体政府はどういうふうにお考えなつておりますか、先ずこの問題からお聞きをいたしたいと思います。
  58. 岡田信次

    理事岡田信次君) 私からちよつと小野委員に申上げますが、今出席の政府委員は産業局長なんだそうであります。今小野委員の御質問の点は、物価局のほうの所管で、物価局長がいないとお答えできないと言つておるのですが、次回のときに……、前回に御質問の内容で物価局長をというお話があつたのですか。
  59. 小野哲

    小野哲君 勿論価格の問題は物価局が所管でありますが、    〔理事岡田信次君退席、委員長着席〕  産業局当局としてもお立場上何らかの御所見があるのじやないかと思うのですが、若しあれば伺つておきますし、物価局当局者が直接答弁されたほうがいいというお考えならば、なお次の機会もありましようから保留してもいいかと思いますが……。
  60. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 現在まだ統制実行中でございますので、物価局長から責任者としてお答えを申上げたほうがよろしいと思います。
  61. 小野哲

    小野哲君 只今産業局のほうから目下価格の統制中だから物価局当局者から答弁をしたほうがいいというふうな御意見もありますので、それじやこの問題は一応次の機会に留保しておきたいと思います。  それでは更に伺つておきたいのですが、ガソリンの価格の問題は次の機会に延ばすといたしまして、質の問題に移りたいと思います。これならば御答弁ができるのじやないかと思うのですが、よろしうございますか……。それでは質の問題に移りたいと思いますが、実はこの運輸委員会で三月十八日であつたと思いますが、石油の輸入資金の問題について経済安定本部の物価局長と問答をしたことがあるわけでありまして、当時はまだ占領治下であつたものでありますから、石油の輸入資金について一本化の問題が論議されておる際でありまして当時貿易局長から将来近く一本化をする、こういうような御言明がありましてすでに現在はそうなつておるので、この点については当局の御努力に対して感謝を申上げたいと思うのであります。ただ問題は質の問題でありまして、現在大体我が国の使つておるガソリンの質が非常に低い。まあ私の聞いておるところによれば五十五乃至六十五オクタン価ぐらいのものではないか、かように思うので、幸い外貨予算の運用からいつて、当初三万キロリツトルの試験用の製品輸入を認められ、又昭和二十七年度においては二十四万キロリツトルの製品輸入を実は認められることになつたわけなんで、この点は極めて結構だと私どもは思つております。ところがこのオクタン価の問題が非常に重要視されておるということは、自動車運送事業の経営の問題から考えまして、できるだけコストを引下げて行きたいという、いわば合理化を図つて行きたいという場合に、燃料費というものが非常に大きなフアクターになつておる、こういう点から我々としては非常に大きな関心を持つておるわけでありまして、従つて製品輸入の結果相当高いオクタン価のガソリンが輸入されつつあるということは、これは大変よいことではないかと思つておるわけであります。それで政府といたしましては、製品輸入を今日二十四万キロリツトル確保できるという状態なつておるのでありますが、それに関連した外貨予算の運用の問題と、更に将来製品輸入をもつと増加する必要があるのじやないかと思うのでありますが、これらの問題についてのお見通しはどうでありましようか。昭和二十七年度は一応かような数字なつているけれども、なお将来これをどういう方向に持つて行くことが適当かということについて一応御意見を先ず伺つておきたいと思います。
  62. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 只今お話のございましたガソリンの品質の向上の問題でございますが、まあ大体従来日本の精製業と申しますものが太平洋岸を主といたしまして復元するというところにまあ重点があつたわけでございます。従いまして設備にいたしましても、一応原油を分離するという程度の極めて幼稚なものが多かつたわけであります。その復元の段階は大体完了いたしまして、現在の段階におきましては国内の精製工場におきましても、いずれも高オクタン価のガソリンを作るという方向に大体殆んど金部の会社が向つておりまして、これは現に開発銀行あたりの資金を融資するという問題もからんでおりますか、できるだけ早い機会に良質のガソリンを取るという方向に向つて来ているわけであります。ただ国内の精製設備か御承知のようにまだ十分と申しかねる状態でございましてガソリンの需要のほうは逆に急激に殖えている。先ほどお話かございましたように、一昨年、昨年、本年と、こう比べて見ますると、倍近くの増加を毎年いたしているような状態でございまして、こういう点からやはり相当量の製品輸入をいたさなければならんということで、量的にも或る程度製品輸入するということに相成つているのでございますが、同時にお話のように質の問題からいたしましても、やはり輸入自動車あたりか使いますガソリンについてはかなりオクタン価の高いものでなければその車に合わないという問題もございまして、そういう方面と睨み合せまして今後の措置をきめて行かなければならないと思つているのでございます。ただ実は六月一ぱいまで統制か現在継続されておりますが、七月一日以降統制が撤廃されました場合には、国内におけるガソリンばかりではございませんが、石油関係の需給の見通しが一体どういうふうになるか、実は二十七年度の計画は本年の三月に作成をいたしまして、これはこの運輸委員会等でもたびたび御質問がございましたが実は通産省考えております需給想定と運輸省考えております需給想定と大分開きがあるわけでございます。安本が間を取つたような恰好で一応二十七年度計画がきまつているわけでありますが、この計画が果して今年度の実際の実行計画として適当であるかどうかという問題が、実は七月から、六月一ぱいでガソリンの統制かなくなるという方針がきまりまして、法律もそういうことに変りましたとき以来、ここ二、三カ月間にいろいろな弊害があるようでございまして、現在におきましては小口の販売におきましては或いはマル公、或いはマル公以上のものがあるわけであります、大品の取引になりますと大体マル公を割つて来ているというような状態なつて来ております。又果して一体どのくらい、車の殖え方の問題、先ほどの自動車の問題にもからむのでございますが、これが現在では今の行政協定の関係の合同委員会等でもはつきりしないような点もございまして、見通しがはつきりしなかつたのでございますが、大体この三カ月間の経過によりまして、まあ駐留軍で持つて来ます油がどの範囲であるか、又国内で調達しなきやならんものが予備隊その他の関係でどのくらいになるかというような見当も大体ついて参りましたので、七月早々にはこの前きめました計画をもう一ぺん検討いたしまして、その場合には単に数量の問題だけでなしに、只今お話のオクタン価の問題まで併せまして製品輸入或いは原油の輸入、まあ輸入原油の場合におきましても輸入先等の問題もございますしそれから国内の精製工場の設備改善の度合いと申しますか、いつ頃にどの程度までに完成するかというような問題とからみ合せまして、できるだけ早い機会に実行計画というものはきめたい、こう思つているわけでございます。ただお話のようにガソリンその他石油類の消費は、最近は各産業、或る程度頭打ちのものもございますので、多少荷動きが鈍くなつておりますが、大局的に申しますと、やはりこの需要は相当急速に伸びるということが当然まあ考えられるわけであります。その場合に国内における精製工場の能力、或いはこれをどの程度まで拡げるか、又どの程度外国から製品輸入によつて賄う、こういう点をこれは自動車の問題とも或る程度関連して参りますし、又自動車と同じように国産製品輸入との関係がございますので、そういつた点もできるだけ突込んで検討をいたしまして、案を最後的にはきめたいと、こう思つているのでございますが、四日前の問題その他まだ未解決の問題も相当ございますして、只今はつきり申上けかねますけれども、将来におきましては相当大きな需要が起り、又或る程度製品輸入ということをやりまして、日本のガソリンその他の油も国際的な水準のものに持つて行く、こういうことはしなければならんこういうように思つているわけであります。
  63. 小野哲

    小野哲君 只今大体のお話を伺つたわけでありますが、二十七年度の私どもの聞いております百六十七万キロリツトル余のガソリンの量でありますが、統制を撤廃した場合においては、やはり量に伴う価格の問題がどうしてもこれは考えなければならない。従つてどもはガソリンの統制を撤廃することがいいか悪いかということを相当以前から検討を加えて参つたのでありますが、大体この程度の量が確保されるならば、余り大きな変動なしに価格「は維持できるんじやないか、或いは現行の価格よりも下廻つた価格でも十分に処理ができるんではないかと、こういう考え方を持つておりますのと、同時に製品輸入を或る程度認められることによつて国内の精製業者の結局高オクタン価の精製というものがだんだんと促進されて来ると、まあ両々相待つていい結果、言い換えればあなたのおつしやる国際的水準におけるガソリンが使用できるという状態に置かれることを望み、又そういう時代が来ていると、こういうふうに考えているのですが、今のお話によりますと、まだどうも先の見通しがはつきりつかない。ただこのガソリンの量をこれ以下に減らして行くということになつた場合に、需給の関係に対して相当影響が起つて来やしないか従つてこの点は需給の問題と、先ほどの質問を留保しておりました価格の問題とがかね合つて来るわけなんで、そこで実は産業局長に伺えば何もかも御返答ができるものと実は期待しておつたわけでありました。成るほど伺えば、まだ統制が撤廃されておらんので御遠慮になつているのじやないかと思いますが、ただ需給の問題を勘案するということの場合において、やはり産業当局としては価格の問題も当然に念頭におきながらおきめになる必要があると思うのですが、一体統制を撤廃した場合において、あなたのお気持としては、ガソリンの予定されている量との関係或いは質の問題等とも考え併せて、私はガソリンの価格は上ることはないだろう、むしろ現行の価格を維持するか、若しくは下廻つて然るべきものではないかと、こういうふうな感じがするのでありますが、あなたのお感じは如何ですか。
  64. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 全く私も同じでございます。
  65. 小野哲

    小野哲君 それでは、大体いろいろと御操作をなさつているようでありますが、石油統制が撤廃されました場合においても、価格の原価計算とか改訂内容についてはこれは別途又お伺いすることにいたしまして、大体現在の価格を維持するといいますか、それ以下でとどまると、こういうふうに見通しをつけてよろしうございましようか。
  66. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) お話通りと思います。
  67. 小野哲

    小野哲君 それでは次に伺いたいことは、只今精製業者の問題がございましたが、私案は調べてみますと、各石油会社の内容が利益が相当に挙つているというところがあるのでありますが、例えば或る一つ会社の、名前は御遠慮しておきますが、資本金に比較いたしまして利益金が大体四倍ぐらいまで挙つている。こういうふうな点を考えますというと、一体石油会社が勿論施設を改善して、高オクタン価の石油を造つてもらうということは望ましいことでありますが、現在までにおいては相当何と申しますか、需要者の犠牲、若しくは負担において石油会社がまあ不当と言つては少し言い過ぎかも知れませんが、過分な利益を挙げている。こういうふうに我々は見ているのですが、政府当局におかれてはどんなかうな見方をされておりますか、伺つておきたいと思うのです。
  68. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 従来のように成るべく値段が高く売れるようなガソリンに生産の主力を注ぎまして、品質の問題、潤滑油その他の関係につきましては余りこれは設備的にも、又技術的にも研究してないというような状態のままであるといたしますならば、従来の石油精製会社というものはまあかなり多分の利益を得ておつたように思われるのであります。これはそういう状態がいつまでも永続さすべきものではございませんで、ガソリンの値上げの問題がたびたび従来起りましたように、やはり統制中、統制後におきましても、とにかく一定の為替資金をもらいましてその仕事を確保されているというふうな関係がございますから、適正な利潤を挙げるという程度にこれはとどめるべきであるというふうに思つております。
  69. 小野哲

    小野哲君 それですぐ具体的になるのですが、そこまで御答弁になるので、大分よく御検討になつていると思うのですが、大体現行のガソリンの原価の一万六千八百円でありますが、それが高過ぎるんではないか、こういう感じがするのですが、それは先ほど申述べました、石油会社が非常に厖大な利益を挙げているという現実の問題と考え併せて、石油原価自体をもう少し何とかする必要があるのではないか、かように考えますが、如何ですか。
  70. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) これは勿論会社によりまして、非常に生産費の関係がまちまちでございますので、必ずしも一本で卸すわけに行かんと思いますが、極めて有利な原油の買付をいたしまして日本でも優秀な技術設備を持つているという会社につきましては、かなり甘いところにきまつているというように思われるわけなんですが、これは勿論政府といたしましては、できるだけこういうものの価格を下げて行くという方面には相当強く今後も進めて行かなければならない、かように思います。
  71. 小野哲

    小野哲君 只今の産業局長の御意見は極めて私は妥当な御意見だと思いまして、同感の意を表するわけであります。要はなぜ私がかようなことを申しますかと申しますると、我が国で消費されている主としてガソリンでありますが、その総量の中で自動車の部面の占める割合が非常に大きい、而も特に自動車の部面の中でもトラツクが大体七二%、バスが十二%、乗用車が十六%、こういうような私は実は調べを持つているわけなのでありまして、従つて仮にトラツクの例をとつて見ます。ると、ガソリンの質の問題とそれから価格の問題がどう一体なるかということに、非常にまあ苦境に陥つているトラツク事業界としては重大なる問題になつているわけなんです。実は最近隈部博士、これは私の友人でありますが、ガソリンのオクタン価の問題について御研究になりました結果の御報告を実は受けておるわけなんでありますが、この御報告は、主としてアメリカのデータが基礎じやないかと思いますけれども、少くとも私どもが研究をした日本のデータから言いましても、価格と質、特に質の問題から計算いたしましても、大体二割くらいは節約ができるのではないか、そういうふうな点をもう少し政府のほうで真剣にお取上げを願つて、製油事業並びに利用者、両方の立場を御覧になつてこれを調整して行くという御努力が必要ではないか、かようにまあ考えておるわけでありまして、大体現在のオクタン価が低質である。大体六〇前後じやないかと思います。それが輸入のほうが大体八〇前後になりやしないか、ところが国産自動車に対してもやつぱりフルにこれを働らかして行くということになりますと、オクタン価は八〇くらい必要じやないか。従つて先ほど議論になりました輸入車国産車との関係から申しましても、いずれにしても経済的な事業の経営、並びにエンジンその他の技術的な関係から考えましても、高オクタン価のガソリンを確保するということはこれはもう至上命令ではないか、かように考えるわけであります。従つて政府のほうでも高オクタン価のガソリンの精製についてはいろいろ指導もされておりまするし、施設の改善も各会社が努力されておるということは十分に理解ができ、又望ましいことであると思いますが、要はこれらの質の向上、高オクタン価の確保の問題でありますが、同時に価格の適正化、こういうことによつて我が国自動車事業なり自動車界というものが将来大きな発展をする基礎を作るものではないか、かように考えますので、本日は産業局長御答弁は恐らく可能ではないかと思いまするけれども価格の問題を留保しておりますので、やはりこれは併行してなおお聞きしたいと思います。から、今日はこの程度にいたして置きまして次の機会に又御出席を願いたいと思います。……委員長、今日なお質問があるわけでありますが、このガソリンの需給の問題なり価格の問題は関連した問題になつておりますので、次の機会に重ねて関係当局の御出席を願つてその際に質問いたしたいと思いますので一応本日はこの程度にして残余は留保いたしたいと思います。
  72. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 委員長手許においてさように取計つて、次回に質疑を続行いたすことにいたします。本件に関しては他に御質疑ございませんようでありましたら次の議題に移りますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 岡田信次

    岡田信次君 私もこの問題について一つ次回に御質問いたしたいと思います。
  74. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて。    午後三時四十四分速記中止    —————・—————    午後四時十一分速記開始
  75. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をつけて下さい。  海上保安機構改革の問題に関して先ほど御懇談を申上げまして大体各委員の御所見も承わつて結論を得ましたので、つきましては先ほど来の御懇談の結果に基いて委員長において一応案を申上げたいと思うのでありますが、海上公安局に関して保安庁法案及び海上公安局法案についての修正をいたしたいと思います。  実はこの両法案につきましては根本的に修正をいたしてはどうかという意見もありますけれども、各般の点を勘案いたしまして、この際は一応両法案に関して、例えば保安庁法案につきましては附則の第一項中、「昭和二十七年十月十五日から」の下に、「第四条中海上における警備救難の事務に係る部分、第六条第十三号及び第十五号並びに第二十七条の規定は、別に法律で定める日から」を加えて修正をいたす。  なお又附則第十項中「「警察予備隊の警察官」」とある下に、「第七十二条中「海上公安官若しくは海上公安官補」とあるのは、昭和二十七年七月一日から別に法律で定める日までの間は、「海上保安官若しくは海上保安官補」と」を加えることに修正をいたし、なお又海上公安局法案に関しましては、附則第一項を次のように改めたいと思うのであります。「この法律は、別に法律で定める日から施行する。」と、こういうふうに一応別に法律で定める日までこの改正をこの部分に関して延期することにいたしてはどうであろうか。その理由は、この海上保安機構に関する政府原案におきましては、主として次の二点について重天な問題があるのであります。その一つは、海上に関する行政が運輸省と総理府に二つに分属しておる。而もその事務の分担の仕方は、運輸省は制度の企画、立案、法令の制定を受持つておりますし、実施の事務は総理府、保安庁が受持つというような変態的な、而も行政の混乱があるようなことになつておりますので行政責任の帰属が明らかでない。なおもう一つは、海上保安局は軍機構の一部であるという誤解を招く憂いもある。その結果警備救難のため行動する巡視艇が、外国のため軍艦として拿捕される等の無用の摩擦を起す虞れが、ある。これらの諸点を勘案して、その政府原案の実施の期日を遅らせて、内外の情勢を睨み合せて適当な日まで延期する。その間に再検討して法律の適正を期するということにいたすのが理由でございまするが、只今申上げました保安庁法案及び海上公安局法案に関する修正の原案を只今御提案申上げましたが、なお今その理由について申上げましたが、なお附言いたしますると、これらの修正点及びその理由等につきましては、先ほど来御懇談の結果によつて委員長においてまとめまして提案をいたした次第でございます。今日如何ようにいたしますかお諮りいたしたいと思います。
  76. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 委員長御発言の通りのことを委員長から強く内閣委員会のほうにお申出を頂きたいと、かように存ずる次第であります。
  77. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今小泉委員の御発言がございましたが、これに関して他の委員の御所見を承わりたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 異議がないようでございますから、それではさようにいたしたいと思いますが、なお内閣委員会に当委員会から申し入れまする時期及び案文の内容の点等についてお諮りをいたします。
  79. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 委員長に御一任願いたいと思います。
  80. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今小泉委員から御発言がありましたが、委員長の下において取扱つていいでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それではさようにいたします。   —————————————
  82. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次に一般運輸事情に関する調査中、東武電鉄の事故に関して小酒井君より発言を求められておりますので、発言を許します。
  83. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は去る五月二十七日の東武鉄道の越生線において駐留軍のジープと電車との衝突事故、これが行政協定締結後の初めての事故でありまして、この処理は今後もこうした問題の一つの新しいケースともなるべきものと考えますので、その問題について関係当局から御回答をお聞きしたいと思うのであります。時間も大変遅くなつておりますので、一つ簡明に質問をいたしますから、当局のかたも要点だけ一つ説明を願いたいと思います。  それで私が聞き及んだ程度によりますると、同日事故のあつた踏切においては、警報機が働いておつた。そうして反対側の踏切に差掛つたところにはすでに電車の進行して来ることを予知して、それを避けるために停車しておつたものがあつた。ところがそれを反対側から来たジープが停車することなしに踏切に入つた。そうして電車のほうではジープの入つて来るのを発見して、急停車の措置をとつたが、それが遂に及ばなくして衝突をして、そうして電車が衝突をして、まあ乗務員がそのために負傷をして、客の中に若干の怪我人を出したというふうなことを聞いているわけです。なおこの問題については、運輸大臣も担当者である乗務員を表彰されたとかいうようなことも聞いておりますが、私の聞き及んだ程度に間違いないかどうか。先ず運輸省のほうからお調べになつた結果を一つ御回答願いたい。
  84. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 運輸省に入りました報告によりますと、只今御発言の通りでございます。なお警報ベル及び汽笛吹鳴については現場に証人がおりまして、証人の氏名等も判明いたしております。その事実については誤りがないと思います。従いまして原因につきさましては、自動車の運転手は見通し不良の踏切りで警報が嶋つているにもかかわらず、一旦停止して安全を確認するということをしないで踏切道に侵入したというのが原因と考えられております。なお只今お話のありました通りに、従事員の行動は極めて迅速確実でありまして、なおその処置も適切でありましたので、運輸省としては特に大臣表彰を出しております。
  85. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは大体事故の発生したところの原因についてははつきりしたと思うのです。で、これの賠償の問題は、やはり行政協定の第十八条によるところの民事裁判権に関する規定、これによつて私は処理をせられて行くものと存ずるわけでありますが、先ずこれが公務上の理由によつて起つたのであるか、或いは公務執行中でなかつたかどうかということでやはり二つに分れると思うのです。で、恐らく外務省関係でこれの書類が出ていると思いますが、これに対して今までどのようなふうに処理が進行しているかどうか、その点をお聞きして、更に具体的な点について御質問申上げたいと思います。
  86. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) 只今指摘に相成りました通り、本件は行政協定第十八条第3項の問題になるかならんかという問題でございます。それで我々が今日まで受けました報告では、ジープにガソリンを積んでおりましたという事実から見ましても公務執行中の行為であろうと察しております。それから只今運輸省のほうから報告のございました通り、過失は駐留軍側にあるのではないかと察しております。この問題につきましては、かような事実を確かめまして、埼玉県におきましてこの事実をあらゆる方面から見ました事実を、或る様式によりまして調達庁のほうに送つて頂くことになつております。これに基きまして調達庁といたしましては、公務執行中の行為であるかどうかということを確かめまして、公務執行中の行為であるということになりまするならば、只今指摘に相成りました通り行政協定第十八条の3項の問題といたしまして、国家賠償をするつもりで進んでいる次第でございます。県庁のほうから書類が参りませんので、まだその手続の運びに至らない次第でございます。
  87. 小酒井義男

    小酒井義男君 県庁のほうから書類を出のでありますかということと、もう一つは、それが公務執行中であつたか否かということは、外務省のほうで認定をせられる立場が許されておるかどうか、この点について。
  88. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) この賠償の所管は調達庁が行うのでございますが、各地で起りまするので、この事務を県庁に、今申上げました報告のような事務は委託することに相成つておりますので、県庁の書類を待つている次第であります。それから公務執行中の行為であるかどうかということを調達庁から軍に確かめる手続をとるのであります。
  89. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、それが公務執行中であるか否かということの認定は、所属している軍が行うという、軍の決定がこれが優先するといいますか、その事実の日本政府側におけるところの主張というものが認められることになるかどうか。
  90. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) この問題つきましては、日米双方の交渉の問題になると思います。ただ軍だけの決定ということではないと思いますが、上だ実際問題といたしまして、軍がこれを承認いたしますかどうかという問題は残ると思いますが、日米双方事実を示しまして交渉をいたすつもりでございます。
  91. 小酒井義男

    小酒井義男君 この問題が公務上の理由によるところの事故であつて、民事の請求権があるということになりますると、それの処理方法として裁判所に訴えてその判決を待つという場合と、日本政府と事故を受けた当事者の間で合意によつて決定する場合と二つの方法によられるというふうに私どもは了承しているわけなんですが、その場合に日本政府と当事者の間で合意をして、そうして例えば要求している賠償額というものが一致点を見られたということになると、日本政府は円貨でそれを支払わなければならんということになつているはずなんです。で、そういう支払を終つた後に、合同委員会駐留軍関係とその賠償について話合いをすることになるのか、そうでなしに金額がきまるときに駐留軍との関係の問題がすでに会議の過程で必要となつて来るのか、そういう点はどういう方法で処理せられるのか、お聞きしたい。
  92. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) これは公務執行中の行為であるということになりまするならば、本国会を通過いたしました臨時特例によりまして日本政府が補償するのであります。この補償につきましては軍の同意はいらんはずであります。ただこのあとの分担、その補償いたしました金額分担の問題につきましては、これは日米間でいずれ協議されるかと存じますけれども、未だこの点はきまつておらんように承知いたしておりますが、北大西洋条約につきましては或る一定の率で、分担率がきまつているように考えておりますが、日本アメリカとの関係においてはまだございませんけれども、ともかく被害者に対する補償ということは政府がやるのでございますから、この政府のやりましたこの金額につきまして被害者と合意が成立いたしますならば、それで終局でございます。若しこれについてどうしても合意が得られないということになれば、日本の裁判所に行くという問題になるかと存じております。
  93. 小酒井義男

    小酒井義男君 御説明によると、日本政府支払うのだ、それでその後に駐留軍関係と折衝をして、合意が行かない場合は裁判所に行くということになりますが、それではその合意の、駐留軍との間で分担の意見が一致しなかつた場合は、被害者に対して支払がなされないということであるのか、そうでなしに、問題は日本政府駐留軍との関係に残されるということになるのか、はつきりとその点だけ明快にして頂きたいと思います。
  94. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) 只今申上げました通りに、この分担の問題は、補償の問題には関係ございません。日本政府でともかくこれを補償いたします。それで各件につきまして分担の交渉をするということはございません。こういう事態が発生いたしまして、平たく申しますならば、総額につきまして日本アメリカとどういう分担をするかという問題は別問題でございまして、被害者と国家との関係におきましては、駐留軍の職務執行中の不法行為ということが確認いたしまするならば、これは日本国の官吏が国民に与えた損害と同様に日本政府が補償するということに相成つております。
  95. 小酒井義男

    小酒井義男君 この十八条の(二)のd号と言いますかによりますと、「両国政府による費用の分担」というのは「以上の賠償請求に要した費用は、今後取り極められるべき条件で日米両国政府間で分担されること。」になると、こういうふうに説明されておりますが、これによると私は請求をするに要した費用であつて、請求そのものは別にこれによつて規定されておるもので、はないのじやないかと思うわけなんです。この点はどうなんでございましようか。
  96. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) 我々の承知いたしておりますところは、ここに書いてございます費用分担の問題を別にいたしまして、只今質問の被害者に対する補償金をどう分担するかということは、今後きめられるべき問題でありまして、ともかく被害者に対しては日本政府で補償をしなければならんと、こういうふうに了解いたしております。
  97. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで今後取極めらるべき問題になると思いますが、政府として日本の民間の事故のために受けた損害、その事故の原因が駐留軍の過失によつて起つたものであるということが明確になつておるものの費用を今後分担する建前を取極めて行くのにどういうふうの心がまえで、例えばどうあるべきかというふうにお考えなつておるか、これが非常に重要でありますので、一つ御回答頂きたいと思います。
  98. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) この問題につきましては日米外交問題になりますので、この補償事務そのものを取扱つております調達庁といたしましてお答え申上げるよりも、外務省側からお答え申上げるほうが適当ではないかと考える次第であります。
  99. 小酒井義男

    小酒井義男君 非常にこう肝心のところに行つて御答弁を避けられたようなふうに私は受取れるのですが、併しこれは少し性質は違うかもわかりませんが、五月一日に起つた宮城前の問題の自動車の賠償はすでに決定しているのです。そうして日本側がこれは弁償している、こういうような経緯から鑑みて見た場合に、私はこういう事故はこれは何ら日本政府で分担する必要のない性質のものであろうという、かうに私は考える。でこの事故の解決ということはこれから起つて来るであろういろいろな問題の重要なポイントになると思いますので、この問題をどういう態度で政府が取極めをして行くかということについてもう少し私は責任のある回答を頂きたいと思いますが、今日それが頂けんということでありますので、日を更めて一つ責任のある外務省の当局から出席をして頂いて、その際に一つ質問することにいたしたいと存じます。  以上で終ります。
  100. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) その他御質疑がなければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十六分散会