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衆議院議員(
岡田五郎君) 御質問の第一の港湾区域につきまして、大体御質問の要点は、港則法による港域と同じにしたらいいじやないか、若し必要があれば港域法を
改正すればいいじやないか、こういう御質問のようでございますが、御
承知のように港域法の区域というのは、大体この立法の
趣旨は港則法で
規定されておりますがごとく、港内の取締ということが主眼点で、大体港域法の港域というものがきま
つておると私は考えておるのであります。勿論港湾
関係の各種の
法案によ
つて港湾区域が違うということは誠に好ましからないことなのでございますが、おのずから
法律の
目的とするところに
従つて最小限度に区域をきめなければならないとも又考えられるのであります。殊に
港湾法に言うところの港湾区域というものは、将来の港湾の修築計画というものを勘案いたしまして、少くともその港湾が
一体として、経済的活動の基地として港湾ができ上るようにこの港湾区域を考えるベきであると私は考えておるのであります。従いまして答弁の要点は、港域法に言ういわゆる港湾区域は港内取締を主としてきめられた区域である。港湾区域法に言うところの港湾区域は経済的
一体としての活動をする港湾、又その経済的
一体として活動する港湾の将来の改修、修築というものを基礎にして区域というものをきめなければならない、こういうように実は考えたのであります。と申しまして港湾区域を経済的
一体として活動するのに便宜だからとい
つて無制限に港湾区域を拡げることも、これ又非常に支障を来すところでございますので、万止むを得ざるときは港域法に定める港湾区域を超えて港湾区域をきめることができる、こういう
條件を附けまして、最小限度経済的
一体として活動できるように実はきめたようなわけであります。
それからもう一つは、港務局の
委員の定数について、第十
国会の
港湾法の
改正のときに関門港を予想して
委員の数を七人にした、なぜ又このたび関門港を予想して十一人に殖やしたのか、こういう御質問のようでございます。その当時関門港を予想して定員をきめたかどうか、私寡聞にして存じておりませんが、このたびの
改正の主眼点は、この現行法におきましては七人の
委員のうち、一人だけ
関係地方公共団体の議会の議員を入れる、こういうことにな
つておりまして、残りの六人が港湾に関して広く知識と経験を有せらるる中立
委員を以て任ずる、こういうことにな
つておるのであります。ところが
提案理由でも御
説明申上げましたように、日本の現在の港湾事情からいたしますると、今後相当大規模な港湾修築、拡張計画を進めなければならない。そういたしますと相当
多額の費用が嵩むのであります。従いまして
多額の費用が嵩みますと、
関係地方公共団体との
関係も又非常に密接を要するのであります。かような
趣旨からいたしまして、
関係公共団体の議員をそれぞれの公共団体からおのおの一人ずつ選出でき、そしてこの港務局と
関係地方公共団体の
関係を密接にいたしまして、港湾の組織の何といいまするか、進捗を期したい、こういうことで実は一部
改正をいたしたのでございます。そういたしますると先ほど申されました現在話が進行いたしておりまするいわゆる関門港というのは、山口県と福岡県、下関市と門司市、それから戸畑市、二県三市でございます。即ち二県三市でございまして、五つの
関係地方公共団体がございます。そういたしますると一人ずつ出しますと五人になるわけであります。これを七人にしておきますると、七人のうち五人が
関係地方公共団体の議会の議員に占められ、た
つた二人しか中立的な人が占める余地がないということになるのでございます。御
承知のように港務局は成るべくこの政治的色彩を離れて、純然たる経済的
見地に立ちまして港湾の修築計画を進めなければならないことは万々御
承知の
通りであります。かような港務局
委員の政治性の優越性を除去するという言葉は悪いのでございますが、排除いたします
意味におきまして、而も地方公共団体との連絡を密にすると、こういう考えをも合せまして、中立
委員六人ということにいたしまして、実は十一名と、こういうことにいたしたのであります。御質問の二県六市と、こういうお話がありましたが、多分この考えの中には洞海湾、若松市、戸畑市、八幡市、この三市が入
つての
意味の関門港をお考えにな
つての御質問ではないかと思うのでありますが、御
承知のように八幡、若松、戸畑と洞海湾の港の性質と関門湾の港の性質というものはおのずから経済的に又その意義が異
つておるのでありまして、現在関門港といたしまして、これら八幡、若松、戸畑の三市が合併してやろうという話が起
つておりませんし、又先ほど申上げました経済的性質も違
つておりますので、洞海湾を含めてのいわゆる関門港ということ、関門港としての港務局の設立は、私たちは近き将来においてないと、かように考えておりまして、本
法案の
改正にはかような洞海湾を含む関門港というものは念頭においてないようなわけであります。
それから先ほど御質問がありました、それではこの二県三市の、挾い
意味といいまするか、いわゆる関門港の港務局の場合の進捗の状況はどうかという見通しの問題につきまして御質問がありましたが、これはもう過般来山口県及び福岡県二県におきましてよりより御相談が進められておられまして、殆んどこの
法案が通過いたしますると、至急に港務局の設立が取運ばれる順序にな
つておる次第であります。恐らく今月中に本
法案が通過いたしますると、六月早々又は中旬近くに港務局が設立されることと私は固く信じまして、そのような見通しを持
つておる次第であります。
それから第三の質問でございましたが、港湾管理者の工事制限、即ち百米以内の陸域内にある私権との調整はどうするかと、こういうことのお話のようでございまするが、先ず百米以内に私権、即ち占有権、或いは
所有権とまでは……、言葉はちよつと強いのでありますが、占有権を
設定するような場合は、とにかく港湾の公共性を害しないということを眼目にいたしまして私権の
設定を認めるわけであります。これは申上げるまでもなく、港湾は公共的、
一般的にこれが
利益の均霑或いはこれの利用をすべきものであります。一個人の独占的使用、又
利益を與えるべきものでたいことはもう万々御
承知の
通りであります。万止むを得ずかような一私人に占有権、或いはその他の私権を
設定せらるる場合には、
條件といたしましては港湾の公共性を阻害しないという限度において
設定せられるのであります。又或いは御質問の中にも含まれておるのかとも御推察申上げるのでありますが、すでにこの百米以内にある私権と、その
権利とこの
規定との調整はどうするか、こういうことも或いは質問の中に入
つておるのかとも私は御推察申上げるのでありますが、これは御
承知のように、今百米以内にある私権をこの
法律によ
つて排除するということはもう予想だにしていないのであります。又現在あることそれ自体が港湾の、港湾として活動するに何ら支障ないという事実を以て反証いたしておるとも私は考えるのであります。かようなすでにある私権との調整の問題は、提案者といたしましては想像、想定はいたしていなか
つたのであります。
次に第四の御質問でございまするが、工事費用の受益者負担に関しまして、
行政事件訴訟特例法を適用するのが当然ではないかと、こういう御質問のようであります。成るほどさようにも考えられるのでありますが、実は現行法によりまして港湾
施設に著しく損傷を與えたものはその損害の一部を負担しなければならないという
規定があるのであります。この
規定は御
承知のように
行政事件訴訟特例法を実は適用しないことにしております。その半面の港湾工事によ
つて非常に
利益を受けた場合、その受けたというものから
利益の限度において費用の一部徴收すると、こういう半面の受益者負担、この
規定につきましても実は
行政事件訴訟特例法を適用せざるを得ないということに実はいたしたのであります。
もう一つのお尋ねの港湾管理者に対する工事費の負担及び補助の問題でございまするが、この港湾管理者に対する補助は、御
承知のように
港湾法にきめられた率によりまして補助を與えておるようなわけであります。港湾管理者のできてない重要港湾、その他指定港湾に対しましては、御
承知のように予算
措置を以ちまして年度当初にそれぞれ補助をいたしておるのであります。現実の
状態といたしましては、
港湾法に定められた管理者のある港湾に対する補助率と、予算
措置によ
つて補助いたしておりまする港湾に対する補助とは率は同様でございます。ただ補助を受ける
対象が、
港湾法に基く補助は港湾管理者であり、予算
措置で補助を受けておるものは申すまでもなく市、町、村或いは府県ということにな
つておりまして、ただ
対象が違
つておるということで、補助率は全然同様であるということを御
承知おき願いたいのであります。