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1952-05-14 第13回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十四日(水曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   委員の異動 五月十六日委員松政二君辞任につ き、その補欠として野田卯一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小泉 秀吉君    委員            仁田 竹一君            高木 正夫君            小野  哲君            小酒井義男君           前之園喜一郎君   衆議院議員            岡田 五郎君            關谷 勝利君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省港湾局長 黒田 静夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    海上保安庁海事    検査部長    松平 直一君    航空庁長官   大庭 哲夫君    航空庁次長   粟沢 一男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡本 忠雄君    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○港湾法の一部を改正する法律案(衆  議院送付) ○船舶安全法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○地方自治法第百五十六条第四項の規  定に基き、燈台管理部設置に関し  承認を求めるの件(内閣送付) ○木船運送法案衆議院提出) ○航空法案内閣送付) ○請願及び陳情に関する件   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今より運輸委員会を開会いたします。  先ず港湾法の一部を改正する法律案議題といたします。発議者岡田五郎君より提案理由の御説明を願います。
  3. 岡田五郎

    衆議院議員岡田五郎君) 私衆議院岡田五郎でございます。只今提案になりました港湾法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表いたしまして提案理由を御説明申上げます。  港湾法制定以来、ほぼ三カ年になりますが、この過去二カ年に亘る港湾法施行状況を検討いたしますと、港湾管理者設立を円滑ならしめ、その事務の遂行を万全ならしめるためには、港務局委員定数を増加し、又その欠格条件を緩和したり、或いは又港湾工事によつて利益を受ける者に対して負担金を課し得ることとし、その他現行法の不備を補修するため所要改正をする必要があるのでございます。  これがこの法律案を提案する理由であります。  次にこの法律案の概略を御説明申上げます。  第一に、現行法では港務局委員は一名を限りまして地方公共団体議会議員を以て当てることができることになつておりますが、我が国港湾の現状では未だ建設に多くの資金を要しまするので、港務局事業を円滑に遂行するにはその設立の母体でありまする地方公共団体からの援助を仰がねばならない状態にあります。従つて港務局地方議会との連絡を密にいたしまするためその各地方公共団体から少くとも一名の議会議員港務局委員になることができることといたしましたのであります。  次に港務局委員定数についてでありますが、現行法では七人以内となつておりまして、港務局を組織いたしまする地方公共団体の数が七を超える場合には、その地方公共団体の数に達するまで増員できることになつております。併しながら例えば、関門港の場合のごとく二県三市が協同いたしまして港務局設立する場合は、現行法による七人以内の委員数では運営上重大な支障があるのであります。即ち前に述べましたように、地方議会との連絡を密にするために、地方議会議員より港務局委員を選任すると共に、政治に捉われない学識経験者からも委員を選出する必要があります。従つて関門港の場合を想定いたしまして港務局を組織する地方公共団体が三を超えるものにおかれる委員会にあつては、港務局委員を十一人に達するまで増員することができることといたしたのであります。  第三に、この法律案におきましては、港湾工事によつて著しく利益を受ける者があるときは、港湾管理者は、その考にその工事費用の一部を受益の限度において負担させ得ることといたしたのであります。  第四に、港湾法施行後の経験に鑑みまして、港湾区域設定に際し必要止むを得ない場合は、港域法の港の区域を超えることを得ることといたし、又港湾区域内の工事規制その他の事項に関しまして疑義の存するところを明かにするための規定を設けましたのであります。  最後に現行法によりますと、昭和二十六年度途中で港湾管理者が定まつた場合、昭和二十六年度中は港湾管理者工事に対する補助率は二十六年度初めに定まつた率で補助することになつておりますが、港湾管理者設立昭和三十七年度途中となるものが多く予想されますので、昭和二十七年度中に港湾管理者設立された場合は、昭和二十七年度中は、二十七年度頭初に定まりました率によつて補助することといたしたのであります。  以上がこの法律案の概要であります。  何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願い申上げます次第でございます。
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本件に関しましては質疑は次回に譲りたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  5. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは次に船舶安全法の一部を改正する法律案議題といたします。政府より提案理由の御説明を願います。
  6. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今提案されました船舶安全法の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げたいと存じます。  現行船舶安全法は、昭和八年に制定せられたものでありまして、その後、必要に応じて一部の改正が加えられておりますが、この船舶安全法と、これに基いて制定せられているところの関係法令には、先に我が国が加入しております「一九二九年海上における人命の安全のための国際条約」及び「一九三〇年国際満載吃水線条約」の両規定において要求せられている事項が完全に包含せられているのであります。右の条約のうち「一九二九年海上における人命の安全のための国際条約」は一九四八年に至りまして改訂せられたのでありまして、これが実施は、条約に定められている所要定数海運国の承諾が寄託されましたときに実施されることに相成つておりまして、その寄託を基準として施行日がきまるのでありまして、本年十一月十九日となつております。  我が国は、現在この新条約に加入しておらないのでありますが、これに加入するということは、我が国国際海運に参加して今後の発展を期する上において、当然必要なことであるのみならず、昨年締結されました、日本国との平和条約に関する日本政府の宣言においても、実行可能な最短期間内に、且つ、平和条約最初効力発生後一年以内に、正式に加入する意思を有する旨を表明しているのであります。従つてこの新条約規定に基いて国内法即ち、船舶安全法及び関係法令改正することが必要となつたものであります。  新条約によつて改訂されました点は、相当広範囲に亘つておりますが、その要点を申し上げますと、  第一は、本条約適用範囲は、航海の安全に関する事項がすべての航海する船舶適用される以外は、原則として国際航海に従事する旅客船及び総トン数五百トン以上の貨物船拡大されたことであります。  第二は、構造関係につきまして、旅客船に対し、損傷状態における船舶復原性に関する新しい規定が追加されるほか、電気設備防火構造について新たな規定が設けられたことと、復原性試験強制及び消防設備規定適用貨物船にも拡大されたことであります。  第三は、救命設備に関する要求が強化されたことと、その適用範囲拡大及び無線設備を施設することを要する船舶範囲拡大されたことであります。  第四は、無線方位測定機の備付に要する船舶範囲拡大と、救命信号及び穀類、危険物運送に関して新しく規定が設けられたことであります。  大体以上の通りでありますが、このうち現行船舶安全法の体系におきましては、法律改正を必要とするものは、無線設備に関する事項のみでありまして、その他は技術問題として省令をもつて規定されている事項でありますので、この法律改正終了後、別途これらの省令改正をしなければならないこととなるわけであります。  次に改正法律案要点を申し上げますと、新しく無線電信を施設することを要する船舶として、国際航海に従事する総トン数五百トン以上千六百トン未満の貨物船を加え、これらの船舶につきましては、無線電信に代えて無線電話を施設し得ることの規定を加えたことと、船舶検査に関しまして条約中に「各国政府船舶検査を、この目的のために指名した検査員に委任することができる。」而して「関係政府検査の完全及び有効なことを十分に保障する。」と規定されております趣旨従つて国際的義務の履行を確保するための責任態勢を強化する意味におきまして、従来内部的な職務指定によつて行なつて来ましたところの検査官の地位を明確にしてこれを法律中に規定することとしたことであります。  以上がこの改正法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  7. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本件に関しましては質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  9. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは次に地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、燈台管理部設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。政府より提案理由説明を求めます。
  10. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、燈台管理部設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申上げます。  運輸省設置法の一部を改正する法律施行に伴いまして、海上保安庁燈台部は、燈台局として運輸省附属機関となりますので、その事務を分掌させるため、地方機関として燈台管理部設置いたしまして、航路標識業務の円滑な運用を図る必要が生じて参つたのであります。  地方自治法第百五十六条第五項の規定によりますと、「航路標識」は承認を要しないのでありますが、燈台管理部はこれに含まれないので、同法同条第四項の承認を要することとなるのであります。  この燈台管理部は、現在の海上保安庁地方機関である管区海上保安本部内部部局燈台部を、そのまま単に燈台管理部という名称の下に現在の通り九カ所に存置しようとする次第でありまして、これによつて新たに地方行政機関設置いたそうというのでもなく、又予算人員等におきましても、海上保安庁から移管される範囲内にとどまつて、何ら増加するものではないことを申添えます。  以上簡単ながら提案理由を御説明申上げます。何とぞ慎重御審議上速かに御承認あらんことを御願いいたします。
  11. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本件に関しましても質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  13. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは次に木船運送法案議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  14. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 前回第六条の第一項第一号について質問をいたしておりますが、これに関しては研究の上で明確な答弁をするということになつております。この際御答弁を願いたいと思います。
  15. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今質問のございました第六条第一項について、執行猶予期間が満了した場合どう解釈するかということでございますが、この点につきましては昨日私が御答弁申上げましたのは間違いでございました。執行猶予期間が満了すればそれは無罪となりまするので、その一年間を経過するということは必要ないわけでございます。
  16. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 次に第十六条の標準運賃のことについて少し承わつて置きたいと思うのであります。一昨日の御答弁の中で、標準運賃は大体二割乃至三割くらいの中を持たせるつもりである、こういうような御答弁があつたが、これはその通り間違いありませんか。
  17. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) さように考えて運用いたしたいと考えております。
  18. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 現在の状況において木船運賃と壁上運賃或いは鉄道トラツク等運賃の比較はどういうふうになりますか。大体若松から大阪まで持つて来るというようなことを例に……。
  19. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 若松阪神間の石炭運賃でございますが、例を飯塚から出る石炭にとつて見ますと、鉄道によりまする場合、鉄道運賃自体トン一千百五十九円、それに積下し等の諸掛りが百円程度かかると思います。全体が千二百五十九円、でこれを機帆船木船で運びまする場合、飯塚から若松までの港頭までの鉄道運賃でございますね、これが二百七十円、で、海上運賃が大体六百六十円いたしております。それに荷役賃その他の諸掛が二貫目十円余りとなります。大体千百七十円見当、かように考えております。
  20. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、海上輸送のほうが安くなるわけですね、幾らか……。
  21. 岡田修一

    政府委員岡田修君) 若松阪神石炭につきましては海上のほうが多少安くなります。
  22. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 多少安くなるのですね。この法律が通過して施行された後におけるいわゆる標準運賃というものは、無論審議会等によつてきまるわけでありましようが、当局としての御意見は、現在のこの運賃標準にしてお考えになるものであるのでありますか、或いは又これを高くするとか安くするとかというようなことになるのかどうかということをお伺いしたいと思います
  23. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これは運輸審議会に諮つてきめた上でありませんと、幾らの額ということを申上げることができないと思いますが、この現在の六百六十円そのもの標準運賃になるとは考えておりません。併しこの現在の標準運賃というのは、現在実行されておる運賃が、標準運賃実施されたからといつて直ちに影響が来ると、こういうふうにも考えておりません。昨日ちよつと申上げましたように、応原価計算その他からいたしますると、まあ七百五十円乃至八百円ぐらいのところが出るのじやないかという推定をしておるわけであります。先ほど言いましたように、それから二割或いは三割の開きができても、直ちに政府として措置をとるということは考えていないわけであります。従つてこの実際実行されている運賃がすぐにそれで影響するということはないと思います。
  24. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体の標準を七百五十円乃至八百円にするつもりだと、まあこれは運輸審議会の決定がどうなるかわかりませんが、当局の御方針はそういうことであると現在よりも百数十円高くなるわけですね。従つて陸上運賃よりも非常に高くなる、こういう結果になるわけですが、その通りですか。
  25. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) その標準運賃がそのまま荷主側、それから木船業者側で受入れられて実行されると、そういうことに相成りますが、実際は荷主木船業者の間の取引できまるわけであります。御承知のように、荷主側の力というものは木船業者に比べまして格段の力があります。従つてそういうふうな標準運賃設定したからといつて、直ちにこの運賃引上げるというふうには考えておりません。ならないだろうと想定しております、で、この点につきましては石炭協会、それから通産省とも十分打合せをしております。石炭協会のほうでもその点について懸念なしと、こういうことで完全なる了解に到達いたしておるような次第であります。
  26. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 標準運賃というものはこれは全く標準であつて実施はされないということであると、標準運賃をきめる効果というものは殆んどないということになるのじやないか。或いは政府当局、あなたがたのほうで標準運賃をおきめになるという目的のものは、標準運賃に近いもの、或いは標準運賃そのもの運賃を取る、或いは取らせるということが眼目でなければならんわけなんですね。最初から標準運賃というものは本当の標準運賃で、これによつて運賃を取るのじやないのだ、荷主木船業者との間の協定によつておるのだ、そういうことになれば、標準運賃をきめる必要は全然ないと思うのですがね、それじやどこに標準運賃をきめる必要があるのです。
  27. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 木船運賃は現在若阪六百六十円程度でやつておりまするが、一時はこの運賃は四百円程度まで下つております。で、まあ標準運賃設定はそういう木船運賃の不当なる暴落を阻止しよう、そうして木船海運業者経済の安定を図りたいというのが狙いでございます。従いまして現在の実行運賃標準運賃に比べて幾分低めであつても、それが木船海運経済の撹乱になるような程度のものでないということになれば、何ら政府としては関与しない、こういうようなことであります。
  28. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 不当の運賃と言われるのですが、従来四百円ぐらいに下つたときには、これは非常に不当なものになるわけなんですから、船主というものが非常に損をして営業をやつておるということになるわけですが、それらの点を少し具体的に御説明願いたい。
  29. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私どもの考えでは四百円程度運賃では機帆船業者は漸く運航経費が償えるか償えない程度であろう、むしろ乗組員家族船員その他の関係上、十分給料その他を償うことすらできない運賃ではないか、かように考えております。
  30. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 具体的の数字についてお尋ねしたいと思うのですが、今石炭を例にとつてトンーマイル当り運賃がどのくらいというものが標準になるのでしよう。幾ら取つたらば経営者も立つて行く、或いは又荷主も不当な運賃を払わないで済むという、キロ当り、或いはマイル当り運賃標準幾らぐらいが至当であるかということをお教え願いたい。
  31. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今質問トン当り幾らが妥当かということでございますが、これは航路により品物により非常な相違があると思います。従いましてトン当り幾らというものは、そういうふうに物或いは航路によつて違いまするので、一般的に幾らということは申上げることができないと思つております。
  32. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 いや、今例ははつきりしているのです。若松から阪神のほうに石炭を持つて行く、その石炭トンーマイル当り運賃幾らが妥当であるかということを聞いておるのです。
  33. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今手許には若阪運賃トンマイルのものは持つておりませんですが、先ほど申しました六百六十円、これは実際動かせている運賃であります。仮にこれを七百五十円といたしますと、それを若松阪神間の距離で割る、こういうことに相成つております。
  34. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 いや、それが妥当か、妥当でないかということですね。あなたがすぐ四百円は非常に不当なものだと言うから……。
  35. 岡田修一

    政府委員岡田修君) これは先ほど申しましたように四百円という運賃は非常に不当に安いものである、かように考えております。
  36. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると六百六十円というのは相当な運賃なのですか、現在……。
  37. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 六百六十円という運賃は、これから設定されるであろう標準運賃に比べますと多少安いと思いまするが、併しその運賃は不当であるとは考えておりません。
  38. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体トン当り六百六十円というのは相当な運賃だと言われるわけなのですね。それをあえて七百五十円とか八百円とかいう標準運賃をきめられるということはどういうことですか。
  39. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これは先ほど言いましたように不当運賃というものをどの程度に抑えるかといいまする場合、やはりその事業採算の取れる、コストの償える程度運賃基準にしなければなりません。で、木船経済理想から言いますと、やはり採算の取れる、原価の償える運賃取引されるというのが理想であります。その理想運賃を掲げて、そうして機帆船業者機帆船経済の安定を図るべき目安を示そうとするのであります。で、この法案制定理由のときに述べましたように、機帆船業者という者は殆んど陸上に住みませんで、陸上知識が薄い、経済観念も低い、従つて如何なる運賃が自分のコストを償う運賃であり妥当な運賃であるかという認識が非常に乏しい。そういうふうに知識も乏しく且つ力も弱い業者でございますから、その経済取引において往々にして不当な運賃を強いられることが多い。そういう非常に不当な強圧をできるだけ救つてやりたいというのがこの標準運賃を制定する趣旨でございます。
  40. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私の考えておるのは、単に木船業者だけを考えておるのじやなくて、日本生産、いわゆる生産というものに関連を強く考えておるわけなのです。大体陸上輸送海上輸送とすると、安全度から言うとこれは陸上輸送のほうがよほど私は強いと思うのです。安全度から言えば非常に強いのじやないか。それにもかかわらず海上輸送によるというならば、やはり陸上輸送よりも海上輸送によることが運賃も安い、そうして非常に便宜である。そういうことにならなければならんのじやないか、荷主側から言えばそういうことになるのじやないかと思うのですが、ところが今当局からの説明では、現在六百六十円が相当であるというのに、二割以上も引上げて八百円くらいに標準運賃をきめるということになると、これは非常に逆なのだと思う、私のほうから言うと……。大きく言えば国の生産というものを非常に鈍らせる結果にもなる。例えば北海道から東京、横浜等に木材をたくさん持つて来ると、御承知のように運賃が非常に高い。だから結局持つて来て損をするというような結果になるのだが、船で持つて来ると運賃が安く、そうして便宜に扱われるということによつて、初めてこの木船輸送というものが利用され発達されるということになるのじやないかと思うのですね。単にこの木船業者を保護することによつて、一般の産業輸送その他に対する影響に悪い結果を及ぼすということになれば、私はこの法律却つて効果ではないかと思うのでございますが、そういうことを私は懸念するので、昨日来しつこくこのことを言つておるわけなんですがね。標準運賃をきめるのにはそれらのことを十分考えられて、少くも私は陸上輸送運賃よりも海上輸送運賃のほうが安い、木船輸送運賃のほうが安いということにならなければ、利用度も少いし又効果もないのじやないかつ弱い船主を助けるために標準運賃を高くするという考え方は是正してもらいたい、こういうように私は考えるのであります。
  41. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今のお説でございまするが、これが強制運賃でございますと、その運賃よりも安くした場合には違反になる。従つてその強制運賃を守らざるを得ない。その強制運賃鉄道運賃と比較して高い場合荷物が思うように流れない、こういうことがございまするが、これは飽くまでも標準運賃でございまして、それで鉄道との競争関係荷物が集まらないというふうな場合には或る程度の引下げは認められておるわけでございます。その点まあ集荷上の競争における不利をこれによつてもたらすということは私はないとかように考えておるのであります。なお又不当なる、機帆船に非常にあり勝ちな、不当に運賃を叩かせるということをこれによつて少しでも防ぎたいというのが狙いであります。
  42. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それでおつしやるようなことでありますが、この中に、第十八条その他で今後、「取引木船運送事業の健全な発達を阻害する」というようなことによつて罰則もあるのですから、単に標準運賃だから勝手にどうやつてもいいということにはならないのですね。やはり相当の罰則もこの条文の中にはあるのですからね。
  43. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これは不当な運賃実施している、それに対して運輸大臣がその不当な運賃を是正しろという勧告をした場合だけでございます。従つてその不当な運賃で…、不当な運賃程度にならない限り何ら拘束を受けない、その不当な運賃であるかどうかはその航路の実情、それから輸送機関の運賃の実情、こういうものを考え関係者の意見を十分聞いてきめたい、かように考えております。
  44. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この法律案はこれは議員提案であつて、あなたのほうに責めるのは少し見当違いだという感じがするのですが、ただこれを実際実施するのはあなたがたの仕事で、いつもあなたがたが矢表に立つて答弁なさるのだろうと思うのですが、本当はあなたがたが答弁する必要はないのです。ここに提案者の代表者が来ておるのに知らん顔している。実におかしいことだけれども、あなたが御答弁になつているから私がこうして質問するわけなんですがね。それでもう一つお聞きしたいのは、運輸大臣が不当な運賃であるものだというふうに認めて勧告するという場合ですね。今の質問で、あなたはトン六百六十円だつたら相当だと言われるわけですね。併し標準運賃は八百円くらいにする。つまり最後の決定は審議会できまるのでございましようが、その場合に四百円或いは四百五十円ではこれは不当になるのですか、ならないのですか。それからもう一つそれで実際においてコストを割るのか割らんのか。
  45. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) どうも提案者以外の者が答弁するようでございますが、これは一昨日の答弁の続きとしてお許しを願います。  でこれは標準運賃設定されまして、このままで……、標準運賃が如何なる程度に落着くかわかりませんが、仮に七百五十円乃至八百円のところに落着いたといたしまして、実際の、実行する運賃が四百円程度のものが出て来たということに相成りますると、私どもはそれは不当なる運賃であると、かようになるであろうと想定いたします。これは関係当局の意見、その他いろいろ研究しなければ、今直ちに不当な運賃だということは断定いたしませんけれども、今諸般の事実から考えて、不当運賃になるであろうというような想定がされますので、その場合にはそれが原価を償うかどうかということでございますが、原価は絶対に償えないということでございます。
  46. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体どのくらいだつたら原価が償えて、多少のまあ何というか、儲けがあるということになるのでしようか。
  47. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 大体若阪運賃で八百円程度、それからそれに対しましてそこに考慮を入れなければなりませんのは、帰り荷をどの程度にするか、大阪から若松へ帰ります折に或る程度荷物を運ぶ、その荷物をどの程度見るかということによつて多少そこに違いが出て来ると思います。
  48. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 もう一つ。今石炭のお話ですが、木材について一つお教えを願いたいと思いますが、北海道から横浜に木材を持つて来る。この場合に陸上運賃とこの木船運賃とどうなりましよう。
  49. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 北海道から内地までの機帆船運賃はちよつとわかりかねるのでございますが、汽船運賃について見ますると、北見東京間、これは室蘭経由といたしまして、鉄道は二千五百九十一円でございます。それから海上はそれに対しまして、港頭までの鉄道運賃は八百六十六円、海上運賃が千三百二十円でございます。それに対して更にポート・チヤージ、荷役賃その他が七百九十九円、約八百円かかります。合せて二千九百八十五円、海上のほうが高いことになります。
  50. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 どのくらい高いですか。
  51. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 大体四百円程度高くなります。従つてこれはまあ北海道から出る荷物の一般的な姿でございまするが、鉄道のほうが安いのでございます。で荷物鉄道のほうに流れて行きまして、海上のほうは相当船腹が余つておりまするのに、陸上のほうは滞貨で困つている、こういう状況でございます。従つて今問題になつておりまするのは、この海上で運んだ場合の運賃その他の諸掛りと、陸上で運んだ場合の諸掛りの差を国費で以てでも、国で補助してでも北海道の荷物海上に流したらどうか、こういう議論が出ている現状でございます。まあ運賃自体としては海上のほうが半分程度でございまするが、港頭までの鉄道運賃とポート・チヤージのために海上のほうが高くなつているという実情でございます。
  52. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 もう一つ私申上げておきますが、どうも当局の御意見では、今の運賃より標準運賃を高くしようというふうに聞えるのです。ところが現在でさえ鉄道運賃のほうが海上運賃より安いということになつているのに、これをもう少し高くするということになつたら、ますますその差というものは大きくなつて来る。折角こういう法律を設けられても、角を矯めて牛を殺すという結果になる。業者がこれを利用しないということになれば、結局逆効果だと私は考える。そういう点も十分お考えになつて運用されるように私は希望いたします。
  53. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) ちよつと誤解があつたかと思いますが、只今申しましたのは汽船運賃でございまして、北海道木材については機帆船で運んでいるものはございません。で木材について申しますと、例えば先生のお近くの油津、阪神間の木材の運賃について見ますと、機帆船は七百円ぐらい、鉄道で運びます場合には千六百八十円、二倍以上鉄道のほうが高い。従つて木船のほうは相当安い運賃で運んでいるということが言えると思います。
  54. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 前之園委員がお尋ねになつておりましたことは、大体私が御答弁申上げるのが本来でありますが、昨日からの続きで海運局長が御答弁申上げたようでありますが、この標準運賃設定トン・キロでどのようになるかというお話でありますが、機帆船運賃トン・キロでどれだけというようなことは航路或いは荷物の種類その他によつて、又距離の関係等もありまするので、鉄道運賃を決定するようなことには参らんのでありまして、いろいろ一日の航海距離がどのくらいで、どこからどこまで行けばその間油がどのくらい、費用がどういう雪になるというようないろいろな点から割出して来るので、これは非常に何と言いますか、小さな細かな計算になつて参りまするので、その航路航路で変つて参りまするので、トン当りキロ当りがとういうふうになるかというふうなことは非常にむずかしいわけであります。なおこの若板間の標準運賃は七百五十円乃至八百円で、六百五十円で採算が取れるのかというようなことでありまするが、大体大口の荷主で専属的にやつておりまする者は、恐らく標準運賃が出ましても皆安いのが通例であります。そうして雑貨その他の、何と申しまするか、大口荷主でなくて、回漕業者へ集つて来る荷物というふうなものの標準というものが、これがまあ何と申しまするか、現在機帆船業者が一番搾取を受けておるのは、回漕業者から、これは復便でやるんだからというようなことで物凄く値切られる、半額以下に値切られるというようなことがありまするために、大体標準運賃はこれくらい、そうして復便でない場合には復便でないのだからというようなことでこの程度、大体荷物を請合いまする際に、復便利用ということを目的でやつている場合は回漕業者といたしましては少いのであります。先ほど申しました標準運賃で請合つておりまして、それを回漕業者が殆んど取つてしまつて、復便だから安くやれと言つて叩かれるのが常態でありまして、その際にはこれでは到底引合わないけれども、まあせめて賃金は何も出ないけれども、油代だけにでもしようかというようなことで帰つて来るのが常態であります。そうして大口荷主の場合におきましては、帰つて参りますると、多少時間待ちと言いますか、日数を要しますけれども、そういうふうに荷物がきまつておりまするし、そうして普通の場合には一週間繋留しておるものが三日間待てば積めるというようなことで、その航海数を引上げることができるというようなことで、大口の荷主のものを請合いまする場合には必ず標準運賃よりは下廻るのが原則なのであります。なお又陸上運賃との比較がいろいろありましたが、鉄道との比較をいたされますると、九州、瀬戸内海あたりのは大体機帆船のほうが安くなつて参りまするけれども、北海道のような距離の遠い、波の荒いところになつて参りますると海のほうが高くなるのが通例であります。なお又鉄道運賃は国がいろいろ税金も免除をいたしておりまするし、足らなければ一般会計から補助をいたしておるというふうな状態で、あれはいわゆる政策運賃でありまして、現在はこの機帆船のほうは税金も納めておりまするし、いろいろやつておりまするので、これは採算運賃になつておりまするので、現在の鉄道の比較ということになつて参りますると、汽船あたりでも壊滅しなければならんような状態になつておりまするので、鉄道運賃が不当に安いというのが今の状態なのであります。そのために海運界が非常に圧迫を受けておるというようなことで、鉄道運賃との比較をせられ、而もそれが国鉄の場合ということになりますると、これは非常に、何と申しまするか、標準運賃等のきめ方というものが矛盾があるのではないかというふうに思われますけれども、決してさようではないのでありまして、そこが政策運賃採算運賃との開きになつて来る、こういうふうに私考えております。お話を聞いておりまする際にちよつと私が感じたことだけを申上げておきます。
  55. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今お話のうちに鉄道運賃が不当に安いというお話があつたが、これは非常に私は意外と思うのですね。これは国民ひとしく鉄道運賃は高いと思つておる。汽車賃にしても貨物にしても非常に高いと言つておる。例えば始終言うことだが、木材のごときは鉄道で持つて来るとただになる、東京に持つて来て捨てて更に幾らか足を出さなきやならんというような状態で、非常に高いのですよ。不当に安いなんていうことは、恐らくあんた一人じやないか。これは一言申上げておきますけれども、国民ひとしく鉄道運賃は高いと思つておる。
  56. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは決して私一人でないと思います。恐らく海運その他に関係のある者でありましたら、鉄道運賃が安いということだけは間違いないのであります。物価指数が三百十一倍の場合に百三十倍にしかなつていないのであります。ほかと比べました場合に鉄道運賃が安いということだけは間違いないと申上げておきます。
  57. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 海運と比べての話で……、私の言うのは国民の考え、国民生活との関連において高いと言うのです。
  58. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これはいずれ又機会を変えていろいろお話申上げる機会もあると思いますが、政策運賃は、何と申しますか、採算運賃と比較いたしまするならば不当に安いということになることだけは間違いないのでありまして、この点はいずれ又何と申しまするか、討論を申し上げる機会もあろうかと思います。
  59. 高木正夫

    ○高木正夫君 細かい問題ですが、第三条をちよつと読んでみますと、回漕の業者は登録を受けんでもいいように感ずるのですが、「木船運航業又は木船貸渡業を営もうとする者は、」と、こうなつていますから、回漕業というものを入れたらどうかと思うのですが。
  60. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今の御質問木船回漕業者は登録を受けなくてもいいのではないかと、こういうことですか。
  61. 高木正夫

    ○高木正夫君 登録を受けるのでしよう。受けなければいかんのでしよう。
  62. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) はあ。
  63. 高木正夫

    ○高木正夫君 これを読んでみると……。
  64. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) それは第二項に、回漕業者のほうは営業保証金を供託して登録をする、こういうふうにいたしております。
  65. 高木正夫

    ○高木正夫君 結局登録をしなければいかんのでしよう。
  66. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) さようでございます。
  67. 高木正夫

    ○高木正夫君 そうすれば初めに持つて行つたらどうかと思うのです。これを読んでみると、初め要らんような気がする。
  68. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 登録するということを言うて、それから次に保証金が要るんだということを言えばいい。条文の体裁としておかしい。
  69. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この木船業者木船運航業者、それから回漕業者、それから貸渡業者、この三つに分けておりまして、木船運航業者、貸渡業者のほうは営業保証金が要らないものですから、それを第一項に掲げまして、営業保証金の供託が必要な木船回漕業者を第二項に持つて行く、こういうふうに分けて規定したような次第でございます。
  70. 高木正夫

    ○高木正夫君 それはわかつています。わかつていますが、これをすらつと読んだときに受ける感じがちよつと要らないような気がするでしよう。おしまいのほうに行くとそれが要るということがはつきりする。だから初めから三つとも並べて書いておいたらどうです。まあそれは大きな問題でないから……。
  71. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これはまあ議院法制局その他といろいろこの点打合せをし、その書き現わし方等研究したようでございますが、いろいろ研究した結果こういうのが一番いいというので落着いたようでして……。
  72. 高木正夫

    ○高木正夫君 どうも素人と專門家と大分違うが……。それからもう一つお伺いしたいと思いますのは、この法案の一番狙いどころは、勧告と同時に助長だと思つています。それで中心になる問題は、先ほど前之園さんがお話になりました標準運賃であろうと思います。この運賃をきめるのは非常にむずかしい問題で、相当提案者のほうでも御苦心なさつたことと思うのですが、どうしてきめるかということは、これは審議会でいろいろ案を練られてやるのだと思いますが、鉄道との関係もありますし、又経済情勢もありますし、又貨物の種類等によつても違うでしようし、いろいろ困難な点があるだろうと思います。標準運賃というものは、どうもいろいろ承わつてみますると、勧告をしてからあとは強制力が出るようですが、それまでは何か生ぬるいぼやつとしたようなことだと思うのですが、それで先ほどから前之園さんの御質問があつたわけであると思いますが、何かそのほかにちよつと私ども考えて、最高運賃と最低運賃くらいの中をとつたものをきめて、その情勢に応じて然るべくやつて行く、一面荷主を拘束すると同時に又営業者も監督をする、こういうような考え方をなさつたかどうか、一応そういうことをお考えに入れておられたかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  73. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 最初最低或いは最高の運賃をというふうなことを考えていろいろやつておつたのでありますが、そういたしまするというと貨物の種類等によりまして非常に複雑になりまして、到底これはやり切れんというふうなことで、大体の標準運賃という融通性のあるものが一番適当でなかろうかというふうなことになつて標準運賃ということに決定いたしたわけであります。
  74. 高木正夫

    ○高木正夫君 それは非常に生ぬるいと思う。併しその代り効力としてはいろいろ交渉の際の根拠があるという程度の問題じやないか、その程度で暫く見送つて置こう、こういうお考えなら結構だと思うのです。
  75. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今提案者から御説明があつたように、まあ私どものほうといたしましても、この法案が提案されるに当りまして、果して標準運賃が適当であるかどうかということをいろいろ検討さして頂いたのであります。考えられる方法といたしましては、最高運賃或いは最低運賃、最高運賃になりますと従来のマル公のような形になりまするし、又最低運賃というのはアメリカあたりでは満船物を契約して運ぶコントラクト・キヤリヤーについてそういう最低運賃制をとつております。併し機帆船にそういう最低運賃制をとりますと、実際はその最低運賃強制運賃のようなことになりまして、そこに全部運賃が落着いてしまう。そうするとそれに対する違反者が出て、曾つての公定運賃と同じように違反の続出になりはしないか。却つて法の遵奉というものができなくなる危険がある。先ほど高木先生のおつしやいましたように、取引上における精神的支え程度じやないかというお話でございましたが、今日の木船業界の情勢から言いますと、そういうものすら必要であるというのが木船業の実情でございます。普通の経済取引観念から見ますると、非常に奇異の考えを持たれるかたが多いかと思いまするが、木船業の実情に踏込んで頂きますと、この標準運賃制度というものが一番その実情に適合したものである、かように私考えるのでございます。私はこの木船関係いたしまして十年以上になり、相当実情を知つおりまして、いろいろ苦心をいたしたのでございますが、關谷先生もそのほうのエキスパートでございますし、一緒に研究さして頂いたのでございますが、こういう程度木船経済の安定を図るということが木船に対する金融の途をつけるもとでもあり、又木船に対する保險制度を普及するもとでもございます。こういう点から木船の、何と申しますか、木船経済を軌道に乗せる第一歩を踏出して頂くというのが適当であろうと、かように考えておる次第でございます。
  76. 高木正夫

    ○高木正夫君 いろいろお考え願つたようでありまして結構だと思います。  もう一つ木船運航業と回漕業との関係と申しますか、運航業が回漕業に相当食われておるというような実情じやないかと思うのですが、その立場を保護するといいますか、何かその辺のことは法文に出ておりませんが、お考えなつたことがございますか。
  77. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 標準運賃をきめまする際に標準回漕料もきめることになつておりまするので、従来やつておりましたような搾取はなくなるのではないか、こういうふうに考えております。
  78. 高木正夫

    ○高木正夫君 つまり私の申上げるのは、運航の運賃と言いますか、回漕料と運賃と含めたものをきめるということになつておるのでございましよう、普通は……。
  79. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 海上運賃とそれから回漕料というものは別個のものになるわけでございます。
  80. 小野哲

    ○小野哲君 私から二三の点で伺いたいと思うのですが、御答弁は提案者でも政府当局でもどちらでも結構です。ただこの法律ができた以後において執行される事柄に関連することは政府当局から御答弁を願いたいと思います。  先ず第一は、この法律案を拝見して、輸送秩序が非常に紊乱しておる、従つて適当な規正を加えて行くという趣旨については、私も全然御同感であります。問題は運賃の問題になるので、これは先ほど来いろいろ同僚議員の皆様方から御意見も出ておりましたので、私書一応は標準運賃或いは、標準料金制度でやつて行くことがよいのではないかと思つております。ただ問題は、運輸大臣が勧告権を持つておるわけでありますが、同時に木船運送関係にはやはり業者の団体もあるわけでありますので、従つてこの法律に基いた勧告権を運輸大臣が持つておる場合において、業界自体において、運賃の適正な運営と申しますか、そういうふうなことについてこの種業者団体が関与し得るような途を考えるべきではなかろうか、ただこの場合において事業者団体法との関係もあろうかと思いますが、頂きました資料によりますと、機帆船組合等も各地区にあるようでありまするので、運賃の適正な実施に関連してこの種組合団体等の将来におけるあり方というものについてどんなふうにお考えになつておるのですか、この点を先ず伺いたいと思います。
  81. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 現在のところにおきましては、この機帆船の協同組合というものは、形だけは極めて貧困なものができておるのでありまするが、現在のような状態では到底そのような勧告というふうなものは私は及びもつかんのではないか、これが本当の今までの機帆船組合の実態ではないかと考えておるのでありますが、将来いろいろ金融の関係或いは債務の関係、或いは木船運送法等、これが通過をいたしまして、逐次経済上の秩序が確立して参りまするというと、この組合というふうなものが自然強固なものになつて来ると思いますが、そういうふうな場合には何と申しまするか、大臣の勧告、勿論必要でありましようけれども、この組合自体で自粛するような方向に、そういうふうなものを勧告し、互いに自粛するようなところに持つて行きたい、このように考えております。
  82. 小野哲

    ○小野哲君 只今の御答弁ではまあ機帆船業者と申しますか、極めて零細な業者であるためにそこまで、団体的な活動までには至つておらないというお話なんですが、一応御尤もだと思いますが、やはり標準運賃、料金制をとる御方針である限りは、団体活動によつて、お互いが適正な運賃を確保し得るような方向に御指導になることが私は必要でないか、自主的な連絡協調による適正運賃の維持ということも考えて行く必要があるんじやないかと思いますが、これは只今の御答弁で、なお将来御検討になるということでありますので、この程度にいたしておきたいと思います。  次に伺いたいことは、今回の法律によりまして、木船回漕業者が登録を受ける場合においては、営業保証金を供託しなければならない、こういうことになつておりますが、木船運航業者と言い、又木船回漕業者と申しましても極めて小規模、零細な事業者でありますので、従つて登録をいたしました場合において営業保証金を供託するということは、逆に考えますと、相当の資金的な問題としては、それだけ実は食われておるということにもなるのではないか。これは利用者側の債権の確保という点から言いましても、一つの方法であろうと思いますが、同時に資金の調達、確保という点から申しまして、何かこの供託金を活用する方法はないであろうか、どれくらい一体木船回漕事業者から資金が一応供託局に預けられて、見送らなければならないかということは、私よく存じませんけれども、恐らく数億円の額に達するのではないかと思うのであります。従つて今日の供託法上ではなかなか自由にはならんと思いますが、折角これだけのまとまつた資金がプールされるわけでありますので、何とか法制上の措置によつて、供託金を見返りとして融資の枠の設定をして行くというふうな方法によつて木船業界の助長に寄与する、こういうことを考えていいのではないか。木船運送法案が今日審議されております場合において、助成という面から考えまして何らかの手を打つ必要があるんじやないか。こういう気がいたしますので、この点について提案者並びに政府当局は何らかのお考えを持つておられるか、これを伺いたいと思います。
  83. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 誠に御尤もな御質問でありまして、私たちも実は恐らくこの供託金が、私たちは三億を下廻ることはないのではないかと、こういうふうに推察をいたしております。これだけの金、もとよりこれが何と言いますか、運賃不払いの場合には、優先的にその債権者が取り得るというふうなことになつておりますけれども、取ると、そのあとでは又供託しませんことには回漕業はできないわけでありますので、大体絶えずそれだけのものが供託せられておると、こういうふうなことになりまするので、業者からもその声が出て参りまして、何とかこれを木船運送業界のほうで使えるような方法を考えてもらいたいということで、目下どのようにすればそういうことができるかということを研究中でありまして、これは業者からの大きな声になつて出ておりますので、何とか善処いたしたいと思いまして、これは供託というふうなこと、何と申しまするか、国へ供託をいたしましたのではそういうふうなことができないというようなことで、何かの形のものを作り上げて、そうしてそこへ供託して、それをそういうふうに助長すべき方向に流用するという方向に持つて行きたいので、やがて供託する場所と申しまするか、対象を変更するためのこの法の改正をお願いするようなことになるのではないかと考えております。
  84. 小野哲

    ○小野哲君 政府当局に伺いたいのですが、今提案者からお話がありましたのは一応了承するのですが、行政上の問題としてこの点について政府も御研究になつておられますか。
  85. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今質疑の点につきましては法務府民事局とも打合せ研究中でございます。但し現在の制度ではこれを長期の資金に運用するということは不可能かと思つております。木船の実情から言いますると、相当長期の資金でないと要望に副わないわけであります。その点只今提案者から御説明がありましたようになおこの上とも研究いたしまして、十分関係者の要望に副うようにいたしたい、かように考えております。
  86. 小野哲

    ○小野哲君 もう一つ伺いたいのですが、この法律案木船運送法ということになつていますので、木船に限定されているようであります。まあその中に運送業とか回漕業とか、或いは貸渡業とかいうふうに、業種別にいろいろの規定があるようでありますが、問題は油槽船、小型鋼船のタンク船、これがやはりこの木船運送と殆ど同じような形で運営されておるのではないかと思うのであります。資料によりましても相当、八百隻くらいの沿岸タンク船もあるようでありまして、大体似通つたような状態において運営されておるのではないか、かように考えられます。従つて鋼船所有者もこれ又業態が木船と殆ど同じように弱小な企業者でありますので、折角木船運送法を制定します場合において小型鋼船につきましても何とかこの法律適用するとか、その他の措置が考えられていいんではないか、かように私は思うのでありますが、この法律を準用するものはここにありますように特定のものに限られておりまして、小型鋼船にはこの法律は準用されないので、第二十七条にありまするような、「もつぱら湖、沼又は河川において営む木船運送」に準用する、こういうことになつておりますが、御研究の過程において小型鋼船の取扱いをどういうふうにお考えになりますか、又この法律制定の暁において、小型鋼船に対して更に御検討の上更に適当な措置をおとりになるお考えか、これを伺つておきたいと思います。
  87. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 大体この何と申しまするか、木船には木鉄交造船のようなものも含みまするし、旅客船でありましても貨物を積むというふうなものはやはり含まれるわけでありますが、大体この木船関係と小型鋼船とは、やはり何と言いますか、木船のほうは殆どが船主であり家族が乗込んで船長であるというふうなのが多いのでありまして、小型鋼船になりますというと、実情は、経済事情というものは遙かに変つておるのではないかというふうなことで、この点は木船のみに限るというふうなことで一応話を進めて参つたのでありますが、現在は小型鋼船、内航船の問題が非常に大きく浮び上つておりますが、これは別途に措置すべきものであろうというようなことで、木船のみに限定いたしたわけでございます。
  88. 小野哲

    ○小野哲君 そういたしますと、小型鋼船については何か別に法律か何か適当なものをお作りになるようなお気持でございますか。
  89. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 現在これは自由党の政調会あたりにおきましては小型鋼船、内航船の関係等は、これは何とかその措置を講じなければならないというようなことで目下研究をいたしておるような状態であります。
  90. 小野哲

    ○小野哲君 この法律案では一応登録制を布かれることになりまして、まあ一応の登録制を行うことになるわけでありますが、将来木船運送事業、回漕業を含めました意味での運送事業でありますが、先ほど申しましたように相当団体活動等も活溌になり得るような状態なつた場合において、輸送の秩序を一層確保して行くという点から申しますと、むしろ更に進んで免許制をとるほうが妥当ではないか、同時に又運賃も免許制をとることによつて単純な標準運賃料金制でなしに、認可運賃料金制にまで進めて行くということによつて事業そのものの向上をむしろ推進して行くという政策と申しますか、行政の狙いもあつていいのではないかと思うのですが、これらの点について将来どういうふうなお考えでございましようか。
  91. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 大体陸上の何と申しまするか、輸送関係におきましては殆んどが特定運賃、それから免許制というふうなことになつておるのでありまするが、この法律を起案いたしまする際にそのような話もたくさん出たのでありますが、現在統制が追々解かれて行くというふうな際に、登録制で標準運賃制度、この程度が今の場合においては最も適当なものではなかろうかというようなことでやつたわけであります。
  92. 小酒井義男

    小酒井義男君 一、二点伺いたいと思いますが、現在運賃が非常に荷主から叩かれておるから、それを保護するためにという一面があるんですが、若し標準運賃がきめられて運賃引上げられた場合に、これが物価に及ぼす影響というようなものは、全然影響がないというようなふうにお考えになつておるかどうか、先ずその点をお伺いしておきます。
  93. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 大体現在の機帆船実施せられておりまする運賃というものが非常に安い、それでは到底償却等も思いもよらん、ただ燃料代或いは僅かの給料程度であるというふうなことになつておりますので、非常にこれがまあ不当なものである、他のものに比較いたしまして非常に安いというふうなことになつておりますので、石炭運賃その他荷主の販売価格等から比較いたしまして、これは吸収し得られるものであつて、物価にはさしたる影響はないというふうな考えを持つております。
  94. 小酒井義男

    小酒井義男君 次にこの説明にもあるように、一ぱい船主であつて、こういうふうな今まで登録、届出というようなことの事務には非常に不慣れな業者が多いと思うのですが、これの登録手続等については非常に船主として困るような問題ができて来ることはないかどうか、その点一つ……。
  95. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 不完全ではありますけれども、現在各港々には組合というものがありまするので、そういう方面で極力そういうふうな便宜を図つて登録をさしたいと、こういうふうに考えております。又そういうふうにいたしますることが将来組合というものを強固にいたしまする基礎になるものと、このように考えております。
  96. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからこの木船運送業を保護するという建前が非常に強く打出されておりまするが、業者に対する義務付けといいますか、そういうふうな問題、例えば船の使用年限といいますか、こういつた老朽船によるところの輸送、そうした運送の条件が非常に危険になるというようなことに対する一つの規則というふうなことを立法されるときにお考えにならなかつたかどうか。
  97. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) それは何と申しましたか、船舶安全法によりまして、四年ごとでありましたか、それは検査をすることになつておりまして、別の法作でも規定いたしております。
  98. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは相当数の登録が始ることになるわけですが、海運局等で現在の人員でこれらの仕事を十分やり得るのか、或いは定員を殖やすというような必要が生まれて来るんじやないかと思いますが、そういう点はどうなんでしよう。
  99. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは登録をいたします最初の機会におきましては海運局の現在の人員では手下足であろうかとも考えますが、別に定員を殖やしてということも考えておりませんので、そこは何と申しまするか、組合等におきまして適当の人員を出して援助するというふうな方法もしなければならんのではないか、このように考えております。
  100. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今のお話と少し関連するんですけれども、先般の海運局長の委員会でのお活によると、大体この登録その他のことをするために中央に八人、地方に三十五、六人という増員が必要だというようなお話のようでしたけれども、多分そうだろうと思うのですけれども、そうするとそれに対する予算というようなものは本年度並びに平年度ならばどのくらい必要である、それから定員法の関係並びに予算のほうの関係は、この法案が通るとどういうふうな御計画が立つてあるのか、そういう点を運輸省の御当局のかたからお伺いしたい。
  101. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今お尋ねがありましたが、実はこれを実施いたしまするとまあ大体中央で八人程度、地方で三十人程度の人間は増して頂かなければならないのじやないかと、かように考えまして大蔵省と折衝中でございます。併しこれはまあ七月一日から仮に実施して頂くといたしました場合、それに間に合うようにはこの定員の増加ができないかと思つております。或いは次の若し補正予算が編成されますると、この補正予算の場合若しくは来年度予算、こういうことに相成るかと思うのであります。それで実は先ほど登録の話がございましたが、現在油の配給につき登録をいたしておるのでございます。これが七月の一日から廃止に相成ります。併し油の登録で登録事務にも十分習熟しておるわけでございますからさほど混乱なくやれる、かように考えておる次第であります。
  102. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうすると只今の御説明によると、油の登録のほうは七月一日からやめになるが、その人間はやはり一応残つておるのだから、定員並びに予算のほうには今の段階ではこの法律が通つて実施上差支えはないと了承していいのですか。
  103. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 油の登録廃止によりまして約三百名の人員が減少に相成ります。併しその三百名の人員は七月以降三カ月間に減らされるわけでございます。三カ月の間三百名全部ではございませんが、或る量の人間が働いておるわけでございます。そういう人の手を措りまして実施当時の繁忙を切り抜けたいと、かように考えております。
  104. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 従つて運輸省のお見込では、これはこの法案の通りにして実施されることになつておる、実施上予算その他の面においては大体支障はないというお見通しだと、そう了解していいのですか、簡単でいいのです。了解していいかどうか。
  105. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この実施当時におきましては支障なくやれる、かように考えております。
  106. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御質疑ございませんか。別に御質疑はないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  107. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私は本案に賛成をするものであります。  大体本案は登録制度を実施し、又回漕料とか標準運賃とかいうようなものをもおおよその標準においてきめる。そういうようなことから、この法律によつて非常な零細な、コンプリケートしたような船がたくさんある、又運用の実体があるというようなことが、この登録その他のことによつて十分明らかに、それから木船専業の将来の進展というようなことに対しても非常に施策上都合がよくなるだろう。こういうようなことが私の賛成する第一点であります。  それから更にこの提案者からのいろいろ理由説明もありましたように、現在行われておる回漕業者によつて、非常な零細な木船運航業者、特に一ぱい或いは二はいぐらいしきや持つておらない、その持つておる人が船主、船長であるというようなかたがたの木船でなければ、石炭その他の荷物を十分にその現地から運ぶことができないというような九州、中国、その他日本には小さな港湾で物資を直接積み出さなければならんというような、そういう運送機構と生産地との連絡木船によつてでなければ円満な輸送ができないというような国情から見ましても、そうした木船の健全な発達を助長する或いは保護するということは、これはやはり絶対に必要だと思うのであります。で本案それ自体がそういう見地から見ますると、先ず一応はその目的が達成されるのじやないか。特にいろいろ本案質疑の過程においてもありましたように、不当運賃が制定され、そして産業を阻害するというような憂いはないかというような御議論もあつたようでありますけれども、それに対しては極めて公平な標準運賃の制定をしようという建前で運輸審議会が先ずこれを取上げ、更に運輸審議会において公聽会を聞いて、そうしたようなものに対する材料並びに手続の資料にするというようなことをもきめられておるようなことでありまして、先ずいろいろ懸念される弊害はそういうようなことによつて阻止され得るだろうと思いますので、私は本案の制定はさような意味によつて賛成する次第であります。
  108. 岡田信次

    岡田信次君 私もこの法案に賛成するものであります。いわゆるこの木船我が国海陸輸送界に極めて重大な役割を演じておるのみならず、この形態と申しますか、経営形態が極めて脆弱である。又業務の安定性が常に脅かされておるということは、先日来の提案者並びに政府当局説明通りであると思うのであります。今般この法案の制定によりまして、木船運送事業経済的地位が向上する、或いは木船運航業者の立場が強化されるというふうになりますれば、我が国海陸輸送界、それぞれの分野における輸送が増進され安定されまして、我が国の再建の上に役立つことは極めて大であろうと思う。こういう意味合いにおいて本法案に賛成するのでございまするが、ただ本案につきましては、なお多少微温的の感はありまするけれども、当面の措置としては時宜を得たものと信じまして、本案に賛成するものであります。
  109. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私も今日の段階においてはこの法案に賛成すべきものと思います。ただ先ほど来各委員からも御質問がありましたが、その標準運賃ということは、やはり問題になると思うわけであります。先刻どなたかから御質問もありましたように、将来これは自治的に運賃を適正にきめて行くというほうに是正して行くということでなければいけないと考えるわけであります。その点に特に留意せられて本案を運用をして行つて頂きたいと思います。その意味で賛意を表するということだけであります。
  110. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御意見もないようでありまするから、討論は終結したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 全一会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきます委員長の口頭報告、その他の手続等に関しましては、慣例によりまして委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。  なお本案を可とされましたかたは御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    岡田 信次   高田  寛    小泉 秀吉   仁田 竹一    高木 正夫   小野  哲    小酒井義男  前之園喜一郎   —————————————
  114. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次に航空法案議題といたします。政府より大綱の説明を願います。
  115. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 航空法案の概要につきまして御説明申上げます。  過日提案理由につきまして御説明いたした次第でありますが、日本国との平和条約第十三条におきまして、我が国は国際民間航空条約規定実施すべきことを定めておりますので、この法律案は国際民間航空条約規定を全面的に取入れますと共に、平和条約発効後の我が国の自主的航空活動に対処し得るための必要な規則を定めたものでありまして、航空行政の基本となるものでございます。以下章を追つて説明いたします。  第一章総則におきましては、この法律目的と、この法律一般に通ずる主な用語の定義とを規定してあります。第一条のこの法律目的は、国際民間航空条約に準拠して、航空機の航行の安全を図るための方法を定め、及び航空機を運航して営む事業の秩序を確立することによつて航空の発達を図ることにあるのでありまして、以下この法律案の各条項に規定しておりますことは、すべてこの目的の具体化されたものでございます。  第二章登録の章におきましては、航空機の登録について規定しております。国際民間航空条約第二十条によれば、「国際航空に従事するすべての航空機は、その適正な国籍及び登録の記号を掲げなければならない」ということになつておりまして、外国の航空機と識別し、且つその実体把握のためにも何らかの登録制度が必要となつて参るのでございます。このような見地から、第三条の規定は、航空機は航空庁長官の行う登録を受けたときは、日本の国籍を取得するということを定めてあります。なおこの登録の法的効果といたしましては、第十条の耐空証明を受けられないことといたしております。次に登録の要件として第四条で、外国人、外国法人、及び外国資本、又は外国人役員がその三分の一を占める法人が所有する航空機は登録することができないことと規定しておりますが、この三分の一という限度は、航空自主権確保の見地から、米英両国の法制にも存在しているところでございます。その他第五条から第九条までは登録事項、登録の変更及び登録の抹消等を規定したものであります。  次に第三章航空機の安全性の章におきましては、航空機の安全性を確保するために必要な証明及び検査について規定しております。およそ航空機の安全性を確保し、以て貴重なる人命及び財産についての損害を未然に防止いたしますことは、運輸行政の行わざるべからざる最小限であり又最大の眼目でありますことは論を待たないところでございます。特に最近においてもく星号の遭難は極めて遺憾な事例でありまして、今後再びかかることのないよう、運輸省といたしまして航空機の安全性の確保には万全を期する所存でございます。耐空証明につきましては、この法案の第十一条は、耐空証明を受けた航空機でなければ航空の用に供してはいけないことを規定しておりまして、この耐空証明を行う場合には、航空機の強度、構造及び性能が一定の技術上の基準に適合するかどうかを検査することとなつております。次に検査を簡略化し、以て検査の能率化を図る方法といたしまして、第十二条の型式証明制度を定めたのでございまして、因みにアメリカ航空法においてもこれと同様な趣旨規定されているのであります。即ち型式証明は、航空機の型式の設計について行い、この型式証明を受けた設計に基いて作られた航空機の耐空証明に当つて設計について検査を省略することといたしております。その次は第十六条の修理改造検査、第十七条の予備品品証明、第十八条の発動機等の整備、第十九条の航空機の整備又は改造の場合の確認、第二十条の指定無線通信機器の規定は、いずれも航空機の航行の安全のための検査について定めたものでございます。  次に第四章の航空従事者の章におきまして、航空従事者に関する規定を定めております。ここで航空従事者と申しますことは、第二十二条の航空従事者技能証明に合格した者を申すのでございまして、この航空従事者になろうとする者に対しましては、一定の申請資格を必要といたしますと共に、航空従事者がこの法律に違反した場合等には航空庁長官は免許の取消又は業務の停止を命ずることができることといたしております。次に航空従事者のうち航空機に乗組んで航空業務を行う者は、この法案では航空機乗組員と、こうありますが、この航空機乗組員は、前に申上げました技能証明のほか、その身体的条件について第三十一条の航空機乗組員免許を受けなければならないと共に、この資格に応ずる能力を保持させるために、免許に一定の有効期間を設けたのでございます。なお航空従事者の資格につきましては操縦士、航空士、航空機関士、航空整備士、航空通信士に大別し、これらを別に細分して規定してございます。  次に第五章で、飛行場及び航空保安施設の章におきましては、飛行場及び航空保安施設の設置及び管理の適止を図るため必要な事項について規定してございます。飛行場及び政令で定める航空保安施設の設置につきましては、第三十八条に航空庁長官の許可を要するものといたしておりますが、特に飛行場のごとく広範囲の土地を必要といたしまするものにつきましては、これらの土地の所有者その他、他人の利益を著しく害することとならないように、設置の許可の際には公聽会を開くことといたしております。次に第四十九条の物件の除去の規定は、公共の用に供する飛行場の周辺には一定の物件の設置等を制限し、又はその除去を命じ得ることといたしておりますが、この場合土地又は物件の所有者に対しまして損失を与えたときには、飛行場の設置者はその損失を補償し、又他方土地又は物件の所有者は、用益の制限による損失が生じたときは、土地等の買収を求めることができることといたしております。この規定は飛行場の設置者に飛行場の機能を発揮させると同時に、土地等の所有者に対しましてはその利益を十分保護せんとする規定でございます。その他第四十八条の許可の取消、第五十一条の航空障害燈の設置、第五十二条の類似燈火の制限、第五十三条の飛行場の使用料金の届出等の規定がございます。  次に第六章の航空機の運航の章におきましては、国際民間航空条約規定並びに同条約の附属書として採択された標準方式及び手続に準拠いたしまして、航空機の航行の安全を保持するための必要な事項規定しております。第五十七条から第六十四条までの規定は、国籍の表示、航空機に備え付ける書類、救急用具、燃料等、航行する航空機に具備すべき要件を定めたものでございます。次に第六十五条から第七十六条までは、航空機に乗り組むべき者、携帯すべき書類、一定の飛行経験及び機長の資格並びに義務等、航空従事者が航空機の運航に従事するために必要な事項規定したものであります。次に第七十九条から第九十八条までの規定は、飛行の禁止区域、最低安全高度、航空機の衝突予防、物件の投下の禁止及び爆発物の輸送禁止等、陸上におきます交通規則と同じように空中における航空機の航行規則を規定してございます。  第七章、航空運送事業等の章におきましては、航空運送事業及び航空機使用事業に関する規定を定めてございます。航空運送事業並びに航空機使用事業につきましては、このような初期航空事業の健全な発達を図り、以て当該事業の秩予を確立する必要がございますので免許事業といたしております。航空運送事業につきましては、定期航空運送事業と不定期航空運送事業とに分けて規定してございます。定期航空運送事業は、その高度の公共性に鑑みまして、路線ごとに、第百条の運輸大臣の免許を要することといたしてありまして、この免許を受けた定期航空運送業者は、第百二条に規定する航空機その他の施設について、航空庁長官検査を受けることになつております。又定期航空運送業者の定める運賃及び運送約款につきましては、利用者の立場を保護する趣旨によりまして第百五条及び第百六条の規定する運輸大臣の認可を受けなければならないことといたしております。次に当該事業の公共性を確保するために、運輸大臣は定期航空運送業者に対しまして、公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、当該事業の停止を命じ、又は免許を取消すことができることといたしております。併し只今申上げましたような行政処分を行う場合には、運輸大臣はすべて運輸審議会に諮つて、その決定を尊重してこれを行わなければならないのであります。その他免許事業の本旨から申しまして、当該事業の貸渡、譲渡、合併及び相続等につきましては、運輸大臣の免許を受けなければならないことと規定しております。次に第百二十一条の不定期航空運送事業は、主として軽航空機による遊覧飛行等が考えられるのでありまして、定期航空運送事業とは若干その性格を異にいたしておりますので、その安全性及び公益性を確保するために必要な限度において定期航空運送事業に関する規定を準用いたしております。次に航空機使用事業とは、航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業を指すのでありまして、空中広告宣伝、写真測量、魚群探見等の事業形態が予想されるのであります。当該事業につきましても、その安全性と公益性とを確保するために必要な限度において定期航空運送事業に関する規定を準用している次第であります。  第八章外国航空機の章におきましては、外国航空機の本邦への飛行、外国航空機の国内使用、外国航空機による国内運送及び軍需品運送の禁止並びに外国人の国際航空運送事業の許可等について規定しておりまして、いずれも国際民間航空条約規定を尊重いたして定めたものでございます。なお行政協定に伴う駐留軍の航空機につきましては、別に定めるこの法律の特別法案で規定いたしております。  第九章雑則におきましては、事故原因の調査、航空運送代理店業等の届出、この法律施行を確保するために必要な報告徴収並びに立入検査、行政手数料、運輸審議会への諮問事項及び訴願について規定しております。そのうち事故調査につきましては、航空事故がありましたときは、航空庁長官は遅滞なく、その原因について調査し、その職員に航空機その他の物件を検査させなければならないこととなつておりますが、救助能力の十分でない現在におきましては、海上保安庁、国家警察、地方自治団体等の御協力を行まして、その万全を期する所存でございます。  次に第十章の罰則の章におきましては、この法律の履行を担保するため必要な限度の罰則について規定しております。罰則は必要最小限度にとどめ、且つ罪となる行為を明らかにして、不当に個人の自由を侵害することのないように留意して規定したのでございます。  最後に附則におきましては、国内航空運送事業会の廃止に伴う経過措置といたしまして、同令に基く日本航空株式会社及びノースウエスト航空会社の地位は、この法律施行後政令で定める日まで、現在の地位をそのまま認めることにいたしております。又外国人の国際航空運送事業に関する政令の廃止に伴う経過措置といたしましては、同令の許可を受けて日本に乗入れている外国航空会社のうち、日本国との平和条約の第二十五条の連合国に属する者につきましては、日本国との平和条約第十三条(b)項の規定に基いて、この法律施行後四年間、その他の者につきましては一年間は認めることといたしておる次第でございます。その他運輸省設置法及び関係法律改正について規定しております。  以上で航空法案の概要についての御説明を終ります。何とぞよろしくお願いいたします。
  116. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本案に関しましては只今大綱の説明がありましたが、航空法案の要綱が皆さんのお手許にありますけれども、できれば条文との対照によつてもつと検討のしやすいような文書を頂戴して、次回までに検討いたして、質疑をいたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今朗読されましたが、一向にわからんので、もう少し各条文と対照した親切なものを頂戴した上で検討いたしたいと思います。  それでは本日はこれから請願陳情に移りたいと思います。速記をとめて下さい。    午後三時四十分速記中止    —————・—————    午後四時九分速記開始
  118. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会