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1952-05-09 第13回国会 参議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            高田  寛君            岡田 信次君            小泉 秀吉君    委員            植竹 春彦君            一松 政二君            高木 正夫君            小野  哲君            小酒井義男君           前之園喜一郎君   衆議院議員    關谷 勝利君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君   政府委員    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸大臣官房観    光部長     間島大治郎君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省鉄道監督    局長      荒木茂久二君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君    航空庁長官   大庭 哲夫君    航空庁次長   粟澤 一男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡本 忠雄君    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○木船運送法案衆議院提出) ○国際観光ホテル整備法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○航空法案内閣送付) ○日本国とアメリカ合衆国との間の安  全保障條約に基く行政協定実施に  伴う航空法の特例に関する法律案  (内閣送付) ○一般運輸事情に関する調査の件  (新線建設に関する件)  (神戸商船大学設置に関する件)   —————————————
  2. 高田寛

    理事高田寛君) では只今より運輸委員会を開会いたします。  最初に理事補欠互選についてお諮りいたします。去る五月五日岡田信次君が委員を辞任せられ、今日再び委員に復帰せられましたが、この間理事が欠けておりましたので、この際理事補欠互選を行いたいと存じますが、委員長より理事の指名をいたすことにして御異存ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高田寛

    理事高田寛君) 御異議ないと認めます。それでは私より岡田信次君を理事に指名いたします。   —————————————
  4. 高田寛

    理事高田寛君) 御異議ないと認めます。それでは私より岡田信次君を理事に指名いたします。
  5. 高田寛

    理事高田寛君) 次に新線建設に関する件を議題といたします。先ず荒木鉄道監督局長より、本件に関して御説明を願いたいと思います。
  6. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 本伸度予算に計上してあります二十億を以て着手すべき新線選定を中心といたしまして、十六日に第三回鉄道建設審議会を開きました。二十四日に小委員会を開きました。二十八日に第四回の総会を開きまして、お手許に配付してございます通り答申案一つと、建議案二つが可決されまして、それぞれ正規の手続が踏まれたわけであります。つきましてはこれについて御説明申上げたいと思います。  先ず答申案のほうについて御説明申上げますと、新線建設すべき線路として、日本経済自立、自給自足、人口問題の解決、いろいろな面からして新たに建設すべき線路は多々あるわけであります。又要望の熾烈なるものも極めて多いわけでありますが、予算関係からして一挙にこれをやることができませんので、自然先に着手すべきものをきめなければならないわけでありまして、その選定基準を如何にきめるかということが論議せられまして、慎重審議の結果答申案の別紙一に書いてございますように、  (一) 地下資源電源農林水産資源及び農地開発並びに地方産業振興等国民経済上効果大なるものを優先考慮する。  (二) 輸送量が多く、牧支割合の良好なものを優先考慮する。  (三) 輸送経路上の観点からみて、重要度の高いものを優先考慮する。  (四) 特別の事情なき限り、未成線にして、経済速度つて比較的短期間に工事を完成し得るものを優先考慮する。 こういう四つ原則決定されたわけでございます。この四つ原則に基きまして、小委員会におきまして具体的な線につきまして調査研究をいたしました結果、今年度の二十億を以て先ず着手すべき線路は、二に書いてございますように、十一線にきまつたわけでございます。この十一線は順次北から書いてあるわけでございまして、一番初めに書いてあるのが最も順位が高いというわけではございません。中湧網線、小本線、川口線、白新線、大糸線、樽見線、紀勢線、赤穂線本郷線江川崎線日田線、この十一でございます。ところが到底これだけでは要望を満足するに足らない。更に多くの線を建設したいという考えの下に、先に十六線を選びまして、十六線については年度内予算補正によつて着手することが適当である、こういうふうに答申されたわけであります。その十六線は、これも北から順番に並べておるわけでございまして、決して一に書いてあるのが順位が一番上というわけではありません。遠羽線辺富内線、根北線、福山線、津軽線気仙沼線野岩線、能登線、越美線阪本線、三江線、岩日線、宮原線、内海線国分線枕崎線の十六線でございます。  次にはこれだけのものを着手したとしますというと、次年度以降に、あと説明いたしますが、相当多額の経費を要するわけでございまして、その経費保障がなしにこれだけのものを着手しますと、途中で立ち消えをする、投下資本が寝るということになりますので、次年度以降において経済速度を以て工事を継続し得るように予算的措置を講ずべきである、こういう答申がなされたのでございます。  次は建議でございますが、建議衆議院におきもしても、参議院におきましても、すでに新線建設につきまして決議がなされておるのでございます。そういう点も勘案し、又日本経済自立見地から考えましても、又国民要望の熾烈であるという見地から考えましても、鉄道建設審議会としても、意思を建議の形式において政府関係箇所に通達するということに相成りまして、ここにございますように、  新日本経済的復興人口問題対策としては国土の有効利用国内資源開発を図らなければならない。  このために第一に必要なものは、鉄道新線建設であり、これに対する国民要望もまた極めて熾烈である。  政府においても昭和二十七年度日本国有鉄道予算新線建設費として二十億円を計上したのであるが、此の程度の金額をもつては到底右の目的を達し、国民要望に応えることが出来ない。  故に、日本国有鉄道新線建設費増額方につき至急特段の対策を講ぜられたい。  こういう建議がなされたわけでございます。もう一つ建議がございますが、これは戦時中に撤去せられまして、今日までそのままになつております札沼線、白棚線、魚沼線も速かに営業を開始せられるように予算補正手段をとつてもらいたい、こういうことでございます  そこでもう一つ手許にお配りしてございます予算関係を申上げますと、今度着手するごとに決定しました十一線についての建設費総額は百二十五億円でございます。そうして本年度が二十二億四千一百万円かかる、こういうことに相成つておるわけでございます。予算は二十億しかございませんので、これを切りつめまして、次年度以降に繰越すということに相成つて、二十億でやる、こういうことにせざるを得ないわけでございます。予算補正によつて今年着手し得ることを適当とするという線が先ほど申しました十六線でございますが、その予算総額が二百七十億七千八百万円、初年度分が二十四億七千九百万円、こういうことに相成るわけでございます。なお戦時中撤去いたしました三線でございますが、この三線を復活いたしますのに要する経費が、十一億七千五百万円、初年度分が六億八千八百万円かかる、こういうことでございます。従つて予算補正によりまして、十六線分の二十四億七千九百万円と、三線分の六億八千八百万円、三十一億ばかりになりますが、これが全部予算補正が行われるように大いに努力するわけでございますが、若しそれだけの予算が取れなかつたということに相成りますというと、自然この線路につきまして、どれから先に着手するかということが更に建設審議会において先ほど御説明申上げました選定基準によつて決定されることになるはずでございます。併し国鉄運輸省もこの補正予算が全部通過し得るように、通過するように努力する考えであるわけでございます。
  7. 高田寛

    理事高田寛君) それでは御質疑ありましたらどうぞ……。
  8. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 運輸大臣出席を要求しておりますが、お出でを願えますか。
  9. 高田寛

    理事高田寛君) 運輸大臣只今衆議院運輸委員会出席中なので向うの済み次第こちらに来ることになつております。
  10. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それでは国鉄総裁に質問します。  二十七年度鉄道建設予算は、私ども考えておりました額に比しまして非常に少かつた。私どもは少くとも二十七年度予算には七、八十億のものを計上されるだろうという希望を持つており、又運輸大臣においてもそういうような御意見をここでお述べになつたこともあるわけであります。ところが非常に少額になつて切りつめられて、僅かに二十億という予算であつたためにどの線を先にやられるかということについては非常に御苦心があつたことは私もよくわかります。その間ここに猛烈な運動もあり、或いは政治的な活動もあり或いは党幹部の勢力の浸透もあつたということも我々よく知つている。とにもかくにもこういうふうに決定をされたのですが、私どもはこれは非常に承服しがたい。実際はこういうような決定に対しては非常に不満であり、承服をしがたい。そこでお聞きをしたいことは、先ほど荒木さんから御説明がありましたように、諮問第二号に対する答申でありますが、これに選定をされた理由或いは事情等について、御説明があつたのでありまするが、非常に抽象的であります。例えば地下資源電源農林水産資源及び農地開発並びに地方産業振興、こういうものを、国民経済上効果の大きいものを優先考慮した。これだけでは私どもはわからない。残された十六線、今度採用された十一線、それらのものに対して具体的にどの線はどういう地下資源があるのか、どういう電源があるのか、どういう水産資源があるのかということを具体的にお示し願いたい。私どもはこういう抽象的な御説明では到底納得するわけに行かない。又(二)においても、輸送量が非常に多い、収支割合の良好なものを優先考慮した、(三)、(四)いろいろ列挙されておりますが、これを具体的に数字によつて示しを願いたい。二十七線ことごとく数字を挙げて御説明願つて、成るほどそれは御選定が非常に妥当である、我々納得しようということにならなければいかんと思います。抽象的でなくて具体的に一つ総裁から御説明を先ずお願いいたします。
  11. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 建設線選定につきましては、無論いろいろな参考になるようなものは運輸省の要求によつて出したものもございます。併しながらこの選定は私がやつたのではなくて運輸大臣の問題でございますから、私から申上げるのは少し当を得ないのじやないかと思います。
  12. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 併しこれに対して運輸大臣のほうに答申があるわけですね、あなたのほうを通じてやるのじやないのですか、この答申は……。どうなんですか。
  13. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そうではございません。運輸大臣諮問機関でございます。
  14. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 諮問機関運輸大臣答申をして、運輸大臣からあなたのほうに来るわけですね。
  15. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そうでございます。
  16. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると結局最後の決定運輸大臣がやるということになるのですか。
  17. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私はさように考えております。
  18. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そういう点は、運輸大臣においてこれは変更できるわけですね。総裁答弁を願います。
  19. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのように、運輸大臣諮問機関として敷設法によつてできておりますし、その委員の範囲につきましても法律で明足してございますし、且つ衆参両院から委員におなり頂いたかたについては、各院の本会議において承認されてなされた各議員を以て構成され、そこで慎重に審議された方針でございますので、運輸大臣はこれを尊重するのが当然ではなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  20. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この審議に当つて総裁その他国鉄側のかたは御列席になつているのですか、おらんのですか。
  21. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 長崎総裁委員の一人として加わつておられます。
  22. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それならば委員の一人としての御答弁を願いたいと思います。先ほど私が質問いたしましたこれらの條項に対する具体的な数字をお示しを願いたい、各線ごとに……。
  23. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは全く私委員の一人としての意見でありますので……。
  24. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 いやいや、数字意見じやないでしよう。総合的に挙げているわけなんですからね、それをお示し願いたい。
  25. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは会長が集めたものでありまして、私がやつたのではないのでございまして……。
  26. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そんなことはないですよ。委員資料を集めて、委員会で詳細に検討されて結論が出るわけのものです。委員であるあなたが知らない、殊に国鉄総裁であるあなたが知らないということはないでしよう。
  27. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは事務局でいろいろ調べたものを我々がまあ見たわけなんであります。併し私委員としましては、非常に不合理なものであれば、これは委員としての意見を申上げますけれども、どちらかと申しますと、やはりこれは一般の輿論を聞いて、そして国鉄総裁として自分で申請をしてそして着手するのが本当だと思いますから、私としては成るべく意見を申さないようにして差控えておいたのです。
  28. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 国鉄総裁であり、この審議会委員であられる長崎総裁は、これは最も深い関係があり、又責任があられるわけですね。それならばこれらの線がどういう工合にして決定なつたか。ここに抽象的に並べてあるが、その数字は、ここで御説明できなかつたら資料その他をお出しになつてもいいのですが……。それらのことを本当におわかりにならなければ、委員としての職責もお盡しになることができないじやないですか。單に座つているのじや委員だか何だか訳がわからない。これは我々は不満を持つておるのです。この決定に対しては、あなたがたはお聞きにならんか知らないが、自由党の幹部出身地の線というものは優先的に取上げられておるということです。ですからあなたがた委員としてはそういう疑問を解く上から言つても、これを詳細に御説明にならなければならないと思うのです。單にこういう抽象的なものをお挙げになつて説明なつただけでは我々承服はできない。どうですか……。こういう、あなたは一から十まで抽象的なこれこれによつてされたのだというだけでは報告にはなりませんし、内容を詳しく御説明にならなければいけません。
  29. 高田寛

    理事高田寛君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  30. 高田寛

    理事高田寛君) それじや速記開始
  31. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それじや只今要求いたしました資料は、次回に整理してお出しを願います。  それから答申の第三にありまする補正予算により速かに建設に着手するを適当と認める。こういうことでありまするが、この補正予算というものが結局二十七億になるわけですね。二十七億。つまり本年度補正予算額というものは二十七億何がしになると思うのでありますが、これは審議会の強い要望もあるので、国鉄のほうとしても、補正をされる強い御決意があるものと思いますが、それらの点について、一つ安心の行くように御説明が願いたいと思います。
  32. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今のお話のは今の総額をおつしやつておられるのだろうと思います……。
  33. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 初年度ですよ、二十七億ですね。
  34. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それでまあもう一つ営業休止線の問題がございますので、両方合せますと三十数億になるのでありますが、これは私らも無論努力します。併しながら運輸省がやはり当面の衝に当るわけでございます。従いまして大臣に御協力申上げて、できるだけ補正予算を取つて頂く、こういうふうに考えております。
  35. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それから御選定なつた十一線のうちに、すでに枕木を並べればいい程度にできている線もあると思うので、それはどういうことになつているのでしよう。
  36. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この十一線は全部いわゆる未成線でございまして、帝国議会当時に予算が取れて工事に着手した線であります。従つて部分工事が完了しています。例えば江川崎線とか中湧網線とかいうものは非常に土工工事が進んでおります。そういつた工事の進め方の資料各線につきまして次回までに御提出いたしたいと思います。
  37. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そういうものを一つ一切お出し願います。補正予算の問題について私は重ねて強く申上げておきたいのですが、建設委員会の御意見としても、是非年度内予算補正によつてやりたい、やらなければならんということを強く言つておるのですね、あなたも委員の一人としてこの中に加わつておるわけですから、これだけはどうしても一つやるという強い決意を持つてつて頂きたいと思うのですね。これだけの予算を組むのに財源等について何か御心配になるようなことはないですかどうですか。
  38. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 財源につきましては、やはりこれは借入れによる以外に方法はないと思います。従いましてこの借入れをどの程度やるかという点が問題になると思います。無論我々もできるだけいたしますが、どうぞ衆参両院議員のかたがたにおかれましても御協力をお願いいたしたいと思つております。
  39. 前之園喜一郎

  40. 高田寛

    理事高田寛君) ほかに御質問ございませんか。それでは一応本件に対する御質疑を打切りまして、次に木船運送法案議題といたします。発議者より本案の大網の御説明を願います。
  41. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 木船運送法案につきまして、その概略を御説明を申上げたいと存じます。  すでに前回提案理由におきまして御説明申上げた点もありまするので、或いは重複するような所があるかもわかりませんが、この点御了承願いたいと思います。木船は、皆さんがた御承知のように、普通機帆船と称せられておりまして、燒玉エンジンを装備をいたしております木製の貨物船でありまして、その大きいものは大体二百五十総トン程度のものでありますが、小さいものは五、六トン程度のものまであるような状態であります。現在一万九千五百隻程度ございまして、総トンにいたしますると七十一万トン積トンにいたしまして百三十万トン船復があるわけでありまして、国鉄或いは内航汽船と並びまして国内輸送の重大な役割を演じておるわけであります。沿岸輸送を担当いたしております内航汽船と比較いたしましても、内航汽船輸送量が一カ月約百六十万トン程度でありまするが、この木船は一カ月に約三百六十万程度輸送実績を挙げておるのであります。輸送量汽船の二倍以上になつておるのでありまするし、而もこれは内海特異性から非常に発達をして参つたものでありまして、小さい港から港へ輸送を行い得るというのがその特質でありまして、非常に何と申しまするか。簡便な輸送機関となつておるわけであります。  こういうふうなこの木船内海輸送におきまして非常に重大な役割を演じておりまするけれども、その経営状態はどうかと申しますというと、汽船の場合と違いまして非常に原始的なものでありまして、俗に一杯船主と言われておるのでありまして、進航業者みずからが船長となつて家族と共に乗込んでおるような状態であります。そのために陸上集荷機関自分の力で持つということができませんので、集荷は全面的にと申しますか、殆んど問屋的な性格を持ちます回漕業者に依存をいたしておるのでありまして、両方が合体をいたしまして木船運送事業というものを経営をいたしております。いわゆる中小企業的な存在でありまして、非常に何と申しまするか、その基礎が薄弱なような状態であります。なおこの木船運航業者は非常に弱体でありまする上に、これに対しましてこれの輸送いたします貨物の大部分を占めるものはどういうものかと申しまするというと、石炭、鉄鋼、肥料、その他の原料物資でありまして、いずれも近代的な大企業によつて生物されておるのであります。従つてこれらの大荷主企業者荷主といたしまして、そうして零細な木船運航事業者がこれと取引をいたすのでありますから、非常にごの何と申しますか従属的な地位に立つておるのであります。その運賃といたしましても非常に弱いのでありまして、現状のままで放任にいしておりますというと安定した木船運送は望むことができないような状態で非常に憂慮をいたされておつたのであります。なお又この木船運送事業の内部について見ますというと、一杯船主でありますところのこの運航業者というものが、陸上集荷機関でありまする回漕業者にややもいたしますというと支配される場合が多いのでありまして、結局すべての不利益というものがこの木船運航業者に転嫁せられる、しわ寄せせられるというような状態にあるのであります。従いまして全体といたしまして木船運送事業の経済的な地位を向上せしめまして、その安定を図りますと共に、内部的には木船運航業者経済的立場を強化いたしますることが急務になつておるわけであります。終戦後にこの木船運送事業に関しましては、以上申上げたような事情にありまするのにもかかわりませず、殆んど何等の改善施設というものが講ぜられないままに放任せられて参つたのであります。これは木船燒玉エンジンを装備し、重油主燃料をといたしておるのでありまするが、この重油実需状態が、関係方面の方策によりましてこれが戦争によつてできたもの、或いは戦争中の遺物であるというふうな考え方から、数年間非常に悪い状態放任をせられておつたのでありまして、その改善が要求せられておつたのができなかつたような状態でありまして、ようやく現在に至つてこれが改善せられたような状態であります。ほかにもいろいろ重要な問題もありますけれども放任せられて今日に立ち至つて参たのであります。幸い只今申上げましたように、燃料問題だけは解決をいたしたのでありまするが、この機会に木船運送事業に対しまするところの、抜本的な改善策を早急に実施しなければならないというふうな気運が全国的に起つて参りましたから、その結果出て参りましたのが、この木船運送法案であります。  この法案の骨子を簡単に申上げまするというと、これは木船運送事業改善施策のこれが第一歩となるのでありまして、第一番が木船運送事業登録制であります。木船運送事業は、その規模が極めて小さいことは申上げた通りでありまするが、その経営状態が非常に原始的でありまするために、その実態把握が最も必要なのでありまして、これがなくては今後の対策は立たないのでありまして、今後の問題でありますところの木船の再保險制度の確立或いは木船船質改善資金の斡旋等重要な助成施策ができませんために、先ずこの第一に登録制実施をいたしまして、この実態を把握することといたしているのであります。  次に標準運賃制の採用でありますが、元来この海上運送事業は他の一般産業と異なりまして、不況におきまして操短、製品の売控えというふうなことができないような業態でありまして、その運賃競争というものが非常に熾烈になつておりまして、往々何と申しまするか、事業が根本的に破壊するような状態を惹起する場合があるのであります。現在海上運送法の第二十八條によりまして独占禁止を排除いたしまして、海上運送事業について運賃同盟が特に容認をせられたゆえんもここにあるのでありますが、木船運送事業矛もこの規定によりまして自主的な運賃同盟を結成し運賃競争を回避することができるわけでありますが、実際問題といたしましては大部分が常に船と共に海上に生活をいたしているような状態でありまして、その相互間の横の連絡等を緊密にとるというようなことは殆んど不可能でありまして、運賃同盟によつて不当運賃を防止するというようなことが期待できないのであります。のみならず、価格市場に対する知識が非常に乏しいのでありまして、どの程度運賃が適正な運賃であるかどうかというような認識すら持たないで、荷主又は回漕業者の呈示する運賃をそのまま甘受するのを例といたしているのでありまして、しばしば不当な運賃切下げを余儀なくせられまして、元来零細企業である木船事業をますます窮乏化するままに放置せられて来たのが現在の状態であります。こういうような不当運賃を防止いたしますために政府は適当な運賃を公示いたしましてこれの拠るべき基準を明らかにしよういたしまするのが今回の標準運賃制度でありまして、これは他の運輸関係事業が普通採用いたしておりまする確定運賃制度のように強制力を有するものではないのであります。ただこの標準運賃と仮にかけ離れた運賃実施され、このことが木船運送事業全体を撹乱し、危殆に陥いれるというような虞れのある場合には、その是正を政府木船運送事業者に対して勧告をし、これを防止するというふうなことに相成つているのであります。  なお、木船回漕業者運航業者に対しまして、又荷主に対しまして仲介的な機能を持つことは前に申上げた通りでありますが、往々不信行為を惹起することによりまして船主荷主双方に損害を及ぼしまする事例がありまするので、証券取引法その他の例に鑑みまして営業保証金制度を採用いたしましてその行用を維持しようといたしているような次第であります。  なお又、標準回漕料は回漕業の荷主又は船主に対しまする地位に鑑みまして政府がその標準を公示いたしまして不当な料金を防止いたしたいというものでありまして、その方法は標準運賃制度の場合と全く同じような状態でございます。  以上が今回提案せられておりまする木船運送法案の概略の説明であります。
  42. 高田寛

    理事高田寛君) 只今説明を伺いました質疑は次回に讓りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 高田寛

    理事高田寛君) それでは御異議ないと認めます。ちよつと速記とめて。    〔速記中止〕    〔理事高田寛君退席、理事岡田信次委員長席に着く〕
  44. 岡田信次

    理事岡田信次君) 速記を始めて。  続いて国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  45. 高田寛

    高田寛君 最初に御質問したいのは、この法律ができましてから今日までこの法律に基いてどれだけのことをやつたか、その内容を一つ説明願いたいのです。
  46. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) この国際観光ホテル整備法ができましてからこの法律に基きまして実施しました事項の中で、先ずどれだけのホテルなり旅館がこの法律により登録されたかということでございまするが、参考資料としてお手許に差上げたものがございますが、参考資料に差上げました通り、四月十日現在におきましてホテルが五十軒、旅館のほうで三十五軒に相成つております。なおこれ以外に現在審議中のものにホテルが一軒、旅館が数軒ございます。結局この登録を受けましたホテル並びに旅館はこの法律の別表に定めておりまする施設基準に合せて登録を申請して来ましたわけでありまして、運輸省におきましては、果してその施設基準に合致しているかどうかということを審査いたしまして、その上で登録を実施したわけであります。この登録を申請いたしまするまでには、この施設基準に合せるようにそれぞれ改造なり施設の改良をやつて参つたわけでありまするので、そういう意味合いにおきましては、この登録がホテル並びに旅館の施設の改善に或る程度役立つたわけでございます。それから助成の面におきましては、先ず第一は御承知の通り法人の固定資産の耐用年数の短縮によりまする利益でありますが、これにつきましては登録を受けますると自動的にこの別表に定めておりまする固定資産の耐用年数の適用を受けまするので、その効果は自動的に発生いたすわけであります。ただそれが個々のホテルに対しましてどの程度の効果を及ぼすかということにつきましては、勿論利益の挙がるホテルと利益が挙がらなかつたホテルによつて違うわけでありますが、利益の相当挙がつたホテルにおきましては、或る程度税金の軽減というふうな形においても現われて来るわけであります。御参考までに登録ホテルにおける税軽減の実情という表を差上げてあるわけでございまするが、これは全部ではございませんが、当方でわかりましたものの一部をそこに提出した次第でございまするが、耐用年数の短縮による法人税の軽減額が、例えば新大阪ホテルにおきましては三百十六万七千円というふうな数字が挙がつておるわけであります。これはすべてホテルからの報告に基いたものでございます。それからもう一つの恩典といたしまして、この登録を受けましたホテルにつきましては、地方税法におきまする固定資産税の不均一課税の適用があるものとするということに相成つておりまするが、それの適用を受けましたものにつきましては、やはりその表の中に軽減率と軽減額を掲示してございまするが、ホテルにおきましては一番率の多いのは六〇%でございます。この中の川奈ホテル八〇%となつておりましたが、これは間違いでございます。五〇%でございます。京都市のホテル・ラクヨウが六〇%の軽減を受けておりまするのが一番大きいのであります。普通は五〇%、それからこれは市町村がきめることに相成りまするので、こういうふうに率も異つておりまするし、まだ固定資産税の軽減を実施しておらないところがございます。或いは又接収中のものにはやらないというふうな態度をとつておつたところもあるわけであります。これにつきましては、私どものほうでは更にホテルと市町村との折衝の経過によりまして、運輸省といたしましても強力に税の軽減方を推進いたしたい、こういうふうに考えております。又法律によりますると、この固定資産税の軽減はホテルだけに限られておるわけであります。併し私どものほうでは旅館につきましても、旅館の登録を実施いたしまする際に、その旅館の所在の市町府にも通牒を出しまして、その際ホテルと同様に市町村においても旅館の固定資産税の軽減を考慮してもらいたいということを申入れておりますが、その結果登録を受けました三十数軒の旅館のうち、現在のところ五軒だけ固定資産税の軽減を受けております。その率は五〇%乃至二五%ということに相成つておるのであります。  それから次にこの法律によりますと施設の改善或いは経営内容の改善につきまして、運輸大臣が勧告をすることができることになつております。又その際にはできるだけ資金の斡旋をするものとする、こういうことに相成つておるのであります。この法律ができましてから、実は実際問題としてまだ運輸大臣の名で正式に勧告をしたものはございませんが、併し私どもとしましては、事前にホテル、旅館の経営者側から施設の改良につきまして協議を受け、或いは相談を受けました際には、適当な指導なり指示をいたしております。少くともこのホテル整備法の基準に合う程度の設備の改良ということを目安にいたしまして指導をいたしておるのであります。又その際そういうふうにホテル整備法の施設基準に合わせるような設備の改良をいたしますものにつきましては、従来或る程度資金の斡旋を実施いたしておつたのであります。この実績につきましては、お手許に差上げたかと存じますが、この外客用のホテル、旅館に対します融資斡旋につきましては、大蔵省と協議をいたしまして、たしか昭和二十四年の中頃かと存じましたが寸当時産業資金の融資順位におきましてホテル、旅館というふうな施設につきましては、これが丙種に相成つてつたのでありますが、大蔵省と協議いたしまして、外客宿泊施設につきましては、設備資金或いは運転資金も甲に準ずるものにするというふうに引上げたのであります。そうして又当時は日本銀行の融資斡旋という制度でございましたので、大蔵省及び日本銀行と協議いたしまして、個々の計画を運輸省で審査いたしまして、そうして大蔵省と日銀に持込みまして、日銀のほうで地方の支店乃至出張所に融資斡旋の指令を出してもらつてつたのであります。その後金融情勢の変化によりまして、日銀の融資斡旋というものはなくなりましたが、融資順位の引上げという措置は残つておつたわけであります。これにつきまして原則的に一応外客宿泊施設の融資順位は甲に準ずるものに引上げたわけでありますが、銀行側はやはり個々の場合にそれが果して外客宿泊施設として適当なものであるかどうかという判定を要求して参りまするので、その後も引続き当省におきまして、内容を審査し、そうしてそれが外客宿泊施設として適当なものであるというふうに判定いたしまして、各銀行に通牒を発する、こういうふうな方法をとつておるのであります。そういうふうな従来の融資斡旋をすべて合計いたしますと、昭和二十七年の三月末までにおきまして融資斡旋開始以来、ホテルにおきましていろいろなものを合せまして十七件、三億四千四百万円、日本旅館におきまして百二十一件で四億二千万円、合計七億六千九百五十万円という実績が挙がつておるのであります。なおこれは当方で斡旋しました件数に比べますと、大体四〇%程度になつておるわけでございます。  それからこれは法律に直接には関係はございませんが、先般もこの委員会で御報告申上げたと思いますが、本年の一月一日から外人に対しましても、一切の施設を外人専用というふうなものをなくしまして日本人と同じような待遇をすることになつたわけでございます。その結果税金の面におきましても日本人、外国人同じ待遇を受けるごとに相成つたのでありますが、日本におきまする旅行経費、特にホテルにおきまする宿泊、飲食というものが世界的に見ましても非常に高いということが言われております。又実際調査いたしますると殆んどすべての国に比べて日本のほうが相当割高であるという結果が出ておるのであります。こういうふうに内外人共通にするということは一応建前としては結構でありますが、その結果として従来よりも更に税金の分だけ高くなるというふうな結果にも相成りまするので、地方財政委員会とも協議いたしました結果、本年の四月一日から登録ホテルにおきまする外人の宿泊、飲食に対しましては、普通の税率の五〇%を減じたものを適当とするというふうな通牒を各地方公共団体に発しまして、各地方公共団体でその方針に従つて適当と認める税率で課税するということに相成つたわけでございます。大体この法律に基き、或いは又この法律関係いたしまして実施いたします事項は以上の通りであります。
  47. 高田寛

    高田寛君 それから今度の改正案でこの登録の條件が引上げられたと思うのですが、そうすると引上げによつて失格するものは先ほどの御説明の登録ホテルのうちどれくらいになるお見込みか、それを一つ伺いたい。
  48. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) 今回のホテル整備法改正によりましてどういう影響を受けるかということにつきましては、前回資料を差上げましたはずでございまするが、ホテルにつきましては五十軒のうち四軒でございます。旅館は三十五軒のうちそのままでいいものが十軒、多少なりとも改造を要するものが二十五軒でございます。併しこの場合にホテルの場合は殆んど……この四軒につきましても極く僅かの問題、特にバス附の部屋がないホテルがございますので、こういうところはバス附の部屋を作らなければならんということになることだけでございます。それから旅館の場合におきましては、数は非常にたくさんこの影響を受けるようでございまするが、基準客室の数が足りない、そのために客室の増加をしなければならんというのが私ども調査では十三軒に相成つております。併しこれも必ずしも増築を要するというのではございませんので、現在ある客室を改善しまして基準客室に数えられる程度に整備するということでございまするので、実際に増築を要するものはこのうち恐らく半分以下ではないかと考えておるのであります。それから客室に温水、冷水の洗面設備を持たなければならんということにきめておりまするが、その必要な数が足りなかつたり或いはなかつたりするものが十軒ございます。それから又今度の改正によりまして普通の浴室を、シヤワー設備でも代用できることに相成つておりますので、場合によりましてはそういう本格的なものでなくても、シヤワー程度で我慢し得るということもあるわけであります。すでに私どものほうでは相談がありました際には、勿論この法律には施設基準ではきまつておりまするが、実はもう少し高い基準のものが望ましいというふうなことで、大体この改正法案にありまする程度考えまして指導しておりまするので、すでにこの登録旅館のうちで大体新しい施設基準に合うような改造を計画し実施中のものが数軒ございます。結論といたしまして、この施設基準は改正いたしますることによりまして、或る程度大きな工事、建増し等の工事を必要とするというのは数軒に過ぎないのではないかと考えるのであります。なおこの点につきましては短期間にそういつた増築をするということは困難と存じますので、改正法案にございまする通り三年の猶予期間を置いた次第でございます。
  49. 高田寛

    高田寛君 そうすると逐條に入るのですが、第四條第一項四号の「申請者の資力信用が不十分なため、」とあるのを「申請者のホテル業の経営が著しく不健全又は不確実であると認められるとき。」と直すことになつておるのですが、何かこれはこう直さなければならん具体的な実例があつたのかどうか、その点一つお伺いしたいと思います。
  50. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) これにつきましては従来の第四條第一項の第四号によりますと、資力信用が不十分なため、経営が著しく困難であると認められるとき、とこうなつておりまするので、主として資力信用状況でございます。ところが実際問題としては資力という点であれば相当充実しておる。併し経営の内容その他から見まして、国際観光ホテルとして外客を接遇するのにふさわしくないと思われるようなもので、この施設基準に合つたようなものを計画しておる。又計画するから登録を頼むというようなことを言つて来たものが二、三あるのであります。又先般も御承知かと思いますが、東京都内で特飲業者が最初そういう事業を申請して拒否された。その次は立派な建築家に頼みまして立派なデザインのホテルを計画いたしたわけであります。ところが土地の人たちは、名前はホテルに変つてもやることは同じだということで、町民大会などを開いて非常に大きな反対運動をされたわけでありますが、この際運輸省の態度はどうかということを尋ねられたのでありますが、運輸省としましては、どうもこの法律によりますと、施設基準に合つて来れば、登録せざるを得ないという建前に相成るわけでありすまので、実際問題として、それが申請があれば果してどうしようかということに実は苦慮をいたしておつたのでありますが、その際は幸いにもそこが文教地区でございましたので、こちらへ参ります前に東京都の建築局のほうで、文教地区であるという理由によりまして建築許可を拒否したという実例があるのであります。これに以通つたような実例が最近も二、三実は起きて来ておりまして、施設基準から申しますと大体合つております。若しも合つておられますと、大体拒否できないのではないかと思われるようなものがあるわけであります。そういう点も考えまして、少し内容は抽象的ではございまするが、「著しく不健全又は不確実であると認められるとき。」こういうふうに実は改めたほうがいいのではないかと考えた次第であります。
  51. 高田寛

    高田寛君 それからもう一つ、耐用年数を短くして、これが現在の法人税法とこのホテル整備法による耐用年数と比較すると、相当短くなつておるのですが、今後新らしい法人税法に基く耐用年数は一般に大分短くなつた。それに比べるとこの改正案によつてもなお余り一般の法人税法に基く耐用年数と大差がないように思われるのですが、もつとこれを耐用年数を短縮することができないかどうか、この点一つ説明願いたい。
  52. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) この点につきましては、実は国際観光ホテル整備法ができました際は、議員提案の法律でございまして、この中の助成策の一つとして固定資産の耐用年数の特例を設けたわけでありますが、当時私が承知いたしておりました事情によりますと、大体現行法人税法の耐用年数の半分で行こう、半分にしようというようなところで一応線が引かれたのであります。私どもといたしましては、一般のホテル、旅館の耐用年数が法人税法の改正で短くなりましたので、或いは又中にはこのホテル整備法に定めておりまする耐用年数よりも一般のほうが短くなるというような不合理なものも一、二出て来たわけであります。こういつた不合理は当然是正しなければなりませんが、それ以上更に或る程度助成策として、短くなつた差違を更に或る程度擾げるということが実は必要だと考えたのでありまして、その結果大蔵省とも種々折衝をいたしておつたのでおります。併し大蔵省としましては、従来のこのホテル整備法の耐用年数が思い切つて半分というところに線が引かれ、一挙に非常に短くなつておるということ、それから又固定資産の耐用年数を余り短くしまして、余計償却できるということにしましても、実際問題としてそう償却ができないのじやないかというふうな点もありまして、大分長い間折衝をいたしておつたのでありますが、私どもとしましては、幾らか不満の点はございまするが、大体これで止むを得ないのじやないかというふうに実は考えた次第でありまして、この中で特に繊維製品或いは食事用品、厨房用品というような比較的ホテルでたくさん使いまするもので、耐用年数が従来も法人税法によりますと、五年になつておつたものでありますが、これを更に一年短縮しまして四年というふうなことにいたしました。なおその他ホテルとしては余り重要でないものは手を著けなくてもいいのじやないかというふうにも考えたような次第であります。細部の点につきましては、大蔵省と意見の一致しない点もございまして例えば鉄筋コンクリートの建物につきましても、更に五年くらい短縮してくれという要望もいたしたのでありますが、大蔵省との了解がなりませんでした。併し結果的に申しますと、新らしいホテルができまして、実際の経営状態考えましても、そんなに大きな償却ができるホテルは殆んどないのじやないかというふうにも実は考えられるのであります。御参考までにお手許に差上げました登録ホテルにおける税軽減の実情のその表の下のほうに、一つのホテルを仮定いたしまして、どの程度の償却ができるかということを調べた表を差出しておりますが、都市のレジデンシヤル・ホテルの初年度の償却額、建設費が四億円で、これは大体建物に二億円、それから内部設備、調度品等に二億円、こういうような振り分けで一応想定いたして見ました。この程度のホテルでどういうふうな結果になるかと言いますと、そこにありまするように、法人税法による償却額が四千四百万円、ところが現行のホテル整備法によりまする償却額は五千五百二十四万円、この改正法によりますと五千九百五十万円の償却になるわけであります。償却額にいたしますと現行の法律によりますると一般のものよりも二割四分「それから改正法案によりますと三割三分多い、こういう結果に相成つております。又それだけ余計に償却するごとによりまして幾ら税金が軽減されるか、法人税それから事業税等が、或いは法人割等がどの程度軽減されるかということが四と五に書いてあるわけであります。この改正法案によりまして現行法律よりも成る程度軽減に相成るわけであります。実際問題として先ほど申上げましたように、そんなに大きな償却はなかなかホテルの実情から申しまして困難ではないかというので、大体この程度の耐用年数でやるのが止むを得ないのじやないかと、こういうふうに考えた次第でございます。
  53. 高田寛

    高田寛君 最後にもう一つお伺いしたいのは、今の耐用年数の問題は、結局ホテル事業というものがそれほど大きな利益が挙らないとすれば、耐用年数をもつと著しく短縮しても別段大した助成にはならんということはわかります。ただ今、日本の観光事業としてホテルの宿泊料が高過ぎる、これをどうしても安くしなければもつと多くの観光客を外国から誘致することはむずかしいというこの際に、やはりホテルの新築、改築にはどうしても長期の低利の資金を融資する途を開くということが非常に大きな問題だと思うのです。その点この国際観光ホテル整備法の中にも余り多くの助成ということが内容に盛られていない、これは前回この法律を作るときの情勢からいつてなかなかこれがむずかしくて、この程度法律になつたのではありますが、その後の諸般の情勢が許すだけ早くもつと実質的に助成して、もつと安くホテルに泊めるという途を開かなければならないと思つているのですが、今度の改正案を出す場合に、政府としては何か長期の低利の資金を融資するとか、そのほかの助成の方法をもつと積極的に講ずることがどうしてもできなかつたかどうか、その辺の事情一つ説明願いたいと思います。
  54. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) ホテル或いは旅館等の設備の牧善につきまして、長期低利の融資が必要だという御意見は御尤もでございます。これにつきましては法律改正を待つまでもなく、実は前々からそれにつきましてその必要を痛感しておつた次第であります。従来でも御承知の通り対日援助見返資金等につきましても、ホテル、旅館に対する融資というものを運輸省としましては強力に主張して参りました。事例としては実は余り大きいものはございません。極く一、二のホテル或いは中小企業として、旅館が対日援助見返資金の融資を受けておるような次第であります。又戦前ありましたような大蔵省の資金運用部資金を地方の公共団体に貸して、そうして地方の公共団体がこれを作り、そうして民間の事業者に利用させるというふうな方式も実は考えたことがございまして、約十億円程度の案を立てまして、大蔵省の当局と折衝いたしたことはございますが、その際も大蔵省の事務当局は一応賛成いたしたのでありますが、当時の客観状勢から賛成が得られなくて実行不可能に相成つたような次第でございます。最近におきましては、実は率直に申上げますと、一般の金融情勢が非常に逼迫をして参りまして、殊に昨年の秋、設備資金を極く限られた業種以外には全面的に抑えるというあの方針が立てられましてからは、非常に実はやりにくくなつておるのであります。併しこの点につきましては、こういう情勢下にもどうしても必要なものは何とかしなければならん、そういうふうな実は考え方で、見返資金の代りに開発銀行の融資につきましても運輸省としてはこれを強く要望いたしておつたような次第であります。これは結果的に申上げますと、先般政府政府資金の運用方針としてきめまして、開発銀行等に下しましたものの中には、業種としては観光事業、ホテル事業というものは入つておらないのであります。閣議でも大分問題になりまして運輸大臣がこれを強く主張せられました結果、どうしても必要と思われるホテルにつきましては、開発銀行からの融資を或る程度認めるということに実は相成りました。これを形式的に別表に載せるということにつきましては、現在経済安定本部と打合中でありますので、恐らく近いうちに実現を見ることになるのではないかと思つております。併しこれはそういうふうないきさつもございまして、特に必要と思われる東京、横浜、大阪というふうな場所に限ることになるのではないかと思われるのであります。  それから昨年の秋ああいう方針が出ましたあとにおきましても、中小企業の見返資金のほうは資金的に或る程度余裕があるようでありましたので、このほうは日本銀行等とも話合いまして、その後も若干出してもらつておるのであります。こういうふうな状態でありまして、非常に不満足な状態であることはこれは申訳もない次第であります。今後も機をつかまえまして、この問題につきましてできるだけ解決を図つて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  55. 小野哲

    ○小野哲君 ちよつと簡単なことでお伺いしたいのですが、先ほど観光部長の御答弁の中に、今度の法律改正によつて失格するホテルが出て来るというお話ですが、そういう場合に何かホテル業者の方面からでも意見と申しますか、問題になつておるようなことはありませんですか。
  56. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) 先ほど申上げました通り若干ホテル、旅館がこの新らしい基準に触れるごとに相成るわけでありますが、これにつきましてはホテル協会、或いは大体登録旅館が加盟しておりまする国際観光旅館連盟等にも案を提示いたしまして賛成を得ておるわけであります。そして特に三年間の猶予期間を置いておりまするので、この程度のことはこの業者であれば十分できるというふうな見通しをその協会等では立てておられまして、全面的に一応賛成を得ております。
  57. 小野哲

    ○小野哲君 次に伺いたいのは、頂きました資料の中で主要ホテル宿泊料金一覧表というのがあるのですが、その備考欄を見ますと、或るものはサービス料を含んでおるものもあるし、或るものは含んでおらない、又税の問題等もあるようでありますが、利用者が安心してホテルを利用するということから考えますと、或る程度こういうものにつきましては、統制というのは少し行過ぎかも知れませんが、統一をしたほうがいいのではないか、こう思うことが一つであります。それからもう一つはこの主要ホテル一覧表にありますホテルは全部現在解放されて使用に供されているものかどうか、これらの点についてお伺いいたしておきます。
  58. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) このホテルの料金の立て方を一定したらどうかという御意見だと存じますが、これにつきましては実は我々も前々から研究をいたしておりまして、ホテル協会等にもその旨を伝え、又いろいろ相談をいたしておるのでありますが、今一つの難点は、遊興飲食税が実際の適用率が府県によつてまちまちなわけであります。率は一応二〇%ときまつているわけでが、今度は又今申しました通り登録ホテルにおける外人の宿泊飲食は普通の税の五〇%減、こういうことに相成るわけでありますが、実際適用している税率は非常に違つている。その結果ホテルによりましてその税率を外に出すということを非常にいやがるところが多いのです。又非常に高い二〇%というふうな税率を出すことが非常にトラブルを起す。外人のほうから非常に文句が出るというふうなこともございまするし、それから又御承知の通り遊與飲食税の課税の実態が、個々の宿泊飲食にかけられているというよりも、見込課税或いは割当になるような場合が非常に多いわけです。そうしますとその一〇%とか一五%取りまして、果してそれが税金にそのまま行くかどうかということも疑問なわけです。そういうふうな結果、税金の内容を明らかにするということが非常に実は困難なんです。我々も実は困つているわけです。できればもう少し低い合理的な税率にしまして、それは必ず宿泊料だけにして、そうして又それを必ず納税するというふうなシステムにしてもらつたほうがいいのではないか、こう考えております。又地方財政委員会も将来はそういう方向に持つて行きたいということを実は言つているのであります。それかサービス料につきましては、日本のホテルにおきましては大体サービス料をつけているところが多くなつておりまして、これもホテル協会等ではできれば一〇%なら一〇%一軍にしまして、そうしてチツプを取らない代りに一〇%は必ずつけて出す、こういうふうな方面に行きたいということを申しておりますので、これは成るべくそうするように一つ協会等を動かしまして申合せで以て進んで行きたいと、こういうふうに思つております
  59. 小野哲

    ○小野哲君 これは全部日本人も使えるんですか。
  60. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) これは建前としましては全部日本人が使えるわけです。ただ従来のバイヤーズ・ホテルの中には、昨年の十二月末までは外人専用でありました関係で、実際問題として殆んど外人が専用しておりますので、日本人が参りましても泊れないというホテルが数軒あるわけでございますが、併しこれも建前として日本人だから拒否するということは決していたしておりません。
  61. 小野哲

    ○小野哲君 これはまあ私の経験からの意見を交えた質問なんですが、戦争前ヨーロツパを旅行しますと、プレイ・ガイドの案内書によりまして、一応ホテルの格付ができておつて、基準料金といいますか、そういうものがはつきりと書いてありますので、旅行者は安心して自分のふところ工合によつてホテルを選択するということができるのですが、従つてまあ外人等は相当資力もあるわけでありますので、そんな心配はないと思いますけれども、ホテルを利用するということをもつと心やすく、気軽に而も安心してやれるような工合の御指導があつて然るべきではないか。従いまして先ほど申しましたような料金の問題につきましても事業者団体海との関係もございましようが、その許される範囲内において適正な料金を定めると同時に、或る程度ホテルの利用者に応じた格付というものができておつて、気軽に利用できる、こういうことを折角ホテルも解放になつたのですから、我々日本人にもできるだけ利用ができるようにして頂くと大変経済的になるのじやないかと、こう思いますが、何かお考えでございましようか。
  62. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) 日本のホテルを日本人にも気軽に利用できるようにしたらどうかという御説でございますが、これも御尤もと思います。それにホテル側から考えましても今後ホテルが経営をうまくやつて行きますためには、或る程度日本人の利用というものに頼らなければいけませんし、又季節的に非常に旅客に変動性の多いホテルもたくさんありますので、こういうところも勿論日本人の旅客を或る程度とらなければできないわけであります。ただ今の段階では都市、特に東京等ではまだホテルの施設が絶対的に不足いたしております。ホテルによりますと、ホテルの方針で成るべく外客優先に考えるというふうな考え方をとつているところもあるのは、これは止むを得ないかと思うのであります。それで先ほど御指摘になりましたような、果して日本人が利用できるのかどうかということにつきましては、これはまだホテル側も余り宣伝をしていない結果じやないかと思います。というのは黙つておりましても、連日申込が殺到して来ておる実情でありまして、むしろホテルによりますと断わるのに困つておるというふうなこともございますので、積極的に宣伝をしていない結果である、こう考えられます。私どももそういうふうな質問を実は多くのかたがたから、帝国ホテルに一体行けるのか、飯を食いに行けるのかという御質問を受けることもしばしばあるのでありますが、これは今はそういう段階にありましても、或る時期が来れば勿論絶対数においては日本人の利用のほうが大部分のホテルは多くなるということになるのではないか、そういう点はホテル業者にもよく納得させまして、現在外客の利用で殆んど一ぱいでありましても、日本の将来ことも考え日本人が利用しやすくなるような方向に持つて行くように指導いたしたいと思つております。
  63. 高田寛

    高田寛君 それでは運輸大臣に最後に一つお尋ねしたいと思うのですが、只今まで観光部長からいろいろ御説明つて大体わかりましたが、この法律はホテル事業を助成する、経営しやすくする、そうしてホテルの発達を図るというために議員提案で最初できた法律でありますが、その後現在の情勢では、外国から多くの観光客を引くについてもホテルの料金が高過ぎる。まだ何とかしてこれを下げるような方法を講じなければならんと考えているのでありますが、これについても新らしくできるホテル、又大きな設備改良したホテルというものは、資金関係から比較的短期の高い金を借りているために非常にコストが高くなる、自然ホテルの料金も高くなる。又古くからあるホテルもそれに引きずられて、むしろホテル料金がだんだん上つて来るような傾向にあることを非常にまあ心配しているのでありますが、このホテルの整備法は、最初できる当時の情勢としては、ホテル事業を助成するという点が非常に生ぬるかつたのも止むを得ないと思つております。併し今後機会あるごとにこれを改正してもつと強力に助成する。例えばホテルの新築改造などに補助金を貸すとか、或いは又長期の低利資金の融資の途を図るとかいうようなことを漸次織り込んで行くべきものだと思つていたのであります。今回の改正安はいろいろ税金関係の耐用年数の改正というようなことで幾分又助成の方法が一歩前進したことは認めます。併しもつと融資の面などについていま少し積極的にこのホテル事業を助成するという方法をこの改正案についてお考えにならなかつたかどうか、或いは又お考えになつてもまだそこまで実現する途がないというような情勢にあるのかどうか、その辺の御意見又お見通しを一つ大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  64. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) お示し通りこの法律案はホテル事業の育成助成という面から考えますれば、誠に微温的だと運輸大臣考えているのであります。あらゆる機会を今後捉えて適正なホテルの育成に寄與するようなふうに改正して行きたいということを考えていることは勿論であります。諸種の公課の減免でありますとか、或いは必要なる低利資金の獲得であるとかいうようなことにつきましては、これは勿論今後現行法或いはこの改正法の下におきましても最善を盡して行きたいと思つているのであります。法律によつて示しのような或いは補助をするとか、或いはその他格段なる措置を法律によつて講ずるということにつきましては、今後補正予算或いは新年度予算というものに織込んで同時に改正をして行きたいと考えているのであります。法律改正を要せずしてなし得ることは勿論今後あらゆる機会を捉えて助成をして行きたい。でお示し通り只今のようなホテル料金では、世界一高いというような批判を受けているようでは観光事業、我が国の自主経済、自立経済を完了する意味において、この観光事業を盛んならしめるということは所詮できないと私は憂えているのであります。お示しのごとくあらゆる機会に法律的にも、又法律を要せざる事柄については勿論努力して行きたいと考えている次第であります。
  65. 岡田信次

    理事岡田信次君) ほかに御質疑ございませんか……別に御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 岡田信次

    理事岡田信次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  67. 高田寛

    高田寛君 今回の改正案は、いろいろ先ほどからの質疑によりましても、その助成の方法というものは従来より強くなるという点につきましてはまあ非常に僅かである、微温的であるということは感ずるのでありまするが、併し現行法に比べれば助成方法も一歩前進するものでありますから、その意味において私は本改正案に賛成するものであります。ただ只今運輸大臣からも御意見の御開陳のありましたように、今後の情勢によつて一層又この助成の方法も強化するという希望を附して私は賛成いたします。
  68. 岡田信次

    理事岡田信次君) ほかに御発言はございませんか。別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 岡田信次

    理事岡田信次君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  70. 岡田信次

    理事岡田信次君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 岡田信次

    理事岡田信次君) 御異議ないと認めます。次に本案を可とされましたかたは、例により順次御署名を願います。  多数意見者署名     高田  寛  小泉 秀吉     植竹 春彦  一松 政二     高木 正夫  小野  哲     小酒井義男 前之園喜一郎   —————————————
  72. 岡田信次

    理事岡田信次君) 前之園君。
  73. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 委員長のお許しを得ましたから、運輸大臣鉄道新線建設問題について質問をいたしたいと思います。先ほど監督局長から極く抽象的な御説明を承わつたのでありますが、我々はこの御説明では納得をしかねるのでありまして、あえて詳細なる資料の御提出をお願いいたしておりますが、次回に御提出になることと思いますので、その資料によつて改めて質問を継続するつもりであります。本日は御答弁ができるような問題について質問したいと思います。  先ず第一に、諮問第二号に対する答申でありますが、これはすでに運輸大臣のお手許に提出されておるものと思いますが、運輸省としては本答申をそのまま御採用になるものであるかどうか、或いは運輸大臣の職権によつて答申を多少変更されることがあり得るものであるかどうかということを大臣にお尋ねいたします。
  74. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) この答申に重大な錯誤があるというようなことを発見いたしますれば、変更についても更に再諮問することもあると思いまするけれども、然らざれば運輸大臣としては御承知のような鉄道建設審議会の構成又法律上の審議会の権能と申しますか、というようなことを考慮しますれば、運輸大臣はこの答申を十分尊重する責任があると思つておるのであります。勿論新線建設につきましては、国有鉄道公社の総裁から着工したいという申請が運輸大臣にありまして、その申請に基いて運輸大臣は許可の手続をとる、こういうことに相成つております。勿論これを許可せんとする場合には、鉄道審議会諮問すべしという責任を法律上課せられておるのであります。恐らく国鉄総裁は、先刻説明をお聞き取り下さつたと思いますが、あの十一線の分について申請があることと期待いたしておるのであります。十一線を或いは二回に分けるか、一度に出すか、その辺は国鉄総裁の裁量に任せなければなりませんが、申請が十一線のうちであれば、運輸大臣は認可をするという手続をとらなければならんと思つております。なおその際に改めて審議会諮問をするかどうかという問題がありまするが、これは先般の審議会におきまして、十一線のうちならば審議会に改めて諮問をせずに運輸大臣は認可をしたいということについて決定を得ておる次第であります。従いまして十一線ならば運輸大臣は認可の手続をとりたい、かように考えておるのであります。二度と申しましたが、これは工事の施行関係であります。御承知の通り北海道、東北等におきましては、工事は一年のうちに八カ月くらいしか実はできないのであります。特に着工を急ぐというような事情から、準備ができ次第に区分をして申請して来るかとも考えられますが、今申上げたような次第であります。
  75. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 審議会においては無論公平厳正に御審議なつたことと思うわけでありますが、その結論としてこの答申案が出たものと思います。そこでお尋ね申上げたいことは、運輸大臣としてはこの答申案の別紙の一から四までの詳細なる点についても報告を受けられ、検討をせられたものであるかどうか、単に抽象的な報告だけ、答申だけを受けておられるのか、この十一線或いは二十七線、それぞれ決定するに必要な調査の内容も十分に御検討になつておられるのかどうかということをお尋ね申上げたいと思います。
  76. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 大体審議会の本会議におきましても又小委員会におきましても、殆んど終始列席をしておりまして、慎重なる検討を経つ最終的に決定いたしたことを承知いたしておるのであります。勿論各委員からそれぞれ必要と認めるデータの提出を事務当局に要請がありまして、一番最初は総数で五十九線が予定線中からピツク・アツプせられたのであります。五十九線のうちから二十七線をピツクアツプし、最後に二十七線のうちから十一本をピツク・アツプせられたのであります。このピツク・アツプする標準と申しますか、これは一番最初本会議において新線決定するに際して、如何なる標準を以て優劣前後を決定すべきやという問題につきまして、四つの項目を提議せられたのであります。この四つの項目の第一を最も尊重すべしということに相成りまして、第一の項目につきましては二、三、四の項目よりも倍のウエイトを持たしめる、そうしてそれぞれ採点がせられた結果であるのでありまして、その結果十一本が最も促進する必要があるということで最後的の決定をみた次第であります。これは十三人の小委員会、それにオブザーバーとして通産次官、農林次官、この両次官が出られまして、十三名の小委員のかたで十分検討を重ねられてこの結論が出たような次第であります。
  77. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 よくわかりましたが、この第一にしましても、二、三、四にしましても、ここに書かれておりまするものは極く抽象的な文字に過ぎないのでありますから、これらの点をもつと具体的に数字を似て御説明願うように先ほども申してありますが、それぞれ資料を集められて次回に御提出を願いたいと思います。  次にお尋ね申上げたことは、諮問第二号に対する第三、即ち「左の十六線は年度内予算補正により速かに建設に着手するを適当と認める」、こういう御答申になつておるようでありますが、この点も先ほど大臣が御答弁になりましたように、審議会の公正妥当なる審議の結果こういうような答申があつたのでありますから、これもそのままお認めになるおつもりであるのか、そうであるならば、この答申書に書いてある通り二十七年度内予算補正によつて実現を期せられるお考えであり、又確信がおありになるのであるのかどうかという点について詳細にお示し願いたいと思います。
  78. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) この三号にあります左の十六線云々ということは、建議の形式で総理大臣、安本長官、大蔵大臣及び運輸大臣宛に提出になつたのでありまして、運輸大臣としましては鉄道審議会の御意見をでき得る限り尊重するという建前におきまして、これらの線で少しでも多く補正予算を獲得して着工することにしたいと念願いたしておるのであります。併しながら一面におきましてこの十一本の線、この初年度建設費は二十二億余りを要するのであります。而も今予算に計上されておるのは二十億であるのでありまして、その間二億余り、二億四千百万円オーバーするのでありますが、これは何とかして十一本を二十億の範囲で着工することにしたい。国鉄総裁もそういう意見を持つておられると想像するのであります。運輸大臣としても是非十一本は二十億の建設費を以て二十七年度着工したい。併しながらこの十一本の次年度、期ち二十八年度に要する金額は四十六億一千八百万円を要するのでありまして、更に只今御指摘の第三号の十六線につきまして申しますると、初年度が二十四億七千九百万円を要します。そうして次年度はこの十六線で七十四億八千七百万円を要するのであります。十一本だけでも二十八年度は四十六億の建設費を国としては予期せんければならんのでありまして、更に十六本を二十七年度に着工するとしますると、二十八年度では百二十一億の建設費を予期せんければならんという状態でありますので、諸般の情勢を勘案せんければなりませんが、この全体を遂行するということは非常に困難じやないかということを考えておるのであります。併しながら新線建設要望は各地方とも極めて熾烈なものがあります。でき得る限り多く着工することに努力したいと考えておりまするが、実情は只今申すような次第であります。
  79. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 建設審議会答申を見て行きますると、非常に御苦心のあとがわかるのであります。各方面の熾烈な要望に応えるというような意味もあつて、十六線を年度内補正によつてやらなければならんというようなことになつておるのではないかという気持が私もいたします。併しながらこれらの線に該当いたしまする地方民といたしましては、諮問その他の報道等によりまして、二十七年度補正予算によつて着工されるものという非常に大きな期待を持つておるわけであります。單に審議会が技術上の点から考えられてこういう答申をせられたということでは、到底言訳は立たないと私は考えるわけであります。成るほど財政的に非常に御困難な点はよくわかるのでありますが、是非この十六線を予算補正によつて実現するという方向にお進めを願いたいと切望するものであります。私は特に運輸大臣の手腕、力量に信頼いたしまして、これが実現ができるものであるということを考えますが、いろいろな困難を排除されて、是非一つこれだけはやつて頂きたいという方向にお進め願いたいと思うのでありまするが、大体の見通として今御困難な事情もわかるのでありますが、仮に十六線全部やらないとするならば、このうちの何線くらいは確実にやられるお見通しがあるのかどうか、この点を一つお聞かせを願いたいと思います。
  80. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 御質問の御趣旨誠に御尤もであります。又前之園先生のお立場としまして特に御尤もだと拝察するのであります。只今運輸大臣としまして、この説明をお聞き下さつたと思いまするが、戦時中に撤去しました線で、三本は是非ともこれは早くやれという要望もこれ又熾烈なものがあるのであります。十六本と申しましても、実は十九本になるのであります。で、これをできる限り多く着工することは運輸大臣として切望し、又最善の努力をいたしたいと思つておるのであります。仮に半分であつた場合には、金額として半分であればどうするかというような今御質問にお答えするということは、少し早計であるように思いますので、このお答えは暫らくお待ちを願いたいと実は思うのであります。
  81. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 お気持はよくわかりますが、私どものお願いすることは、この答申にありまするように十六線全部やつて頂きたい、これを一つ運輸大臣の御手腕に期待するわけであります。このうちどれを省かれても困ると思うのであります。十六線或いは十九線全部を一つ目標として御壷力を願いたい、こういうわけであります。
  82. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 前之園先生の御熱望としては十分承わつておきます。
  83. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 次に資料一つ、一通り説明ができる程度資料のお示しを願いたいと思います。次の機会で結構であります。   —————————————
  84. 岡田信次

    理事岡田信次君) 次に航空法案議題といたします。  先ず政府より提案理由の御説明を願います。
  85. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 航空法案の提案理由をお聞き取り願いたいと存じます。  終戦後における我が国の航空活動は、連合国最高司令官の指令及び覚書により全面的に禁止されるに至り、僅かに昭和二十五年六月に発せされました覚書に基いて、日本国内における航空運送事業営業活動が許されているに過ぎませんでしたが、昨年九月サンフランシスコにおいて締結されました平和條約は、我が国の航空活動について何等の制限を附していませんので、同條約の効力発生の後においては、航空活動について全面的な自由が回復されることとなり、活撥な航空活動が期待される次第であります。  然るところ、航空に関する現行法規としましては、前述の日本国内における航空運送事業について、航空機の運航は、外国航空会社で行い、その営業面だけを日本側で行うという変則的な事業形態を規定している「国内航空運送事業会」と外国航空会社の日本への乗り入れを片務的に認めた「外国人の国際航空事業に関する政令」の二つのポツダム政令がありますが、これらの政令は、今後の事態に適用するには、不適当且つ不十分なものでありますことは説明を要しないところであります。  従いまして、平和條約の効力の発生の後に適用すべき航空に関する法規としましては、現行の変則的な政令を廃止すると共に新しい観点から航空活動の全般について所要の規定を設ける必要があるわけでありますので、ここに航空法案を提案いたした次第であります。  平和條約は、その第十三條の(c)項におきまして、日本国は、国際民間航空條約の加盟に先立つて同條約の規定並びに同條約の附属書として採択されている標準、方式及び手続を同條約の條項従つて実施すべき旨を規定していますので、航空法案は、この規定の趣旨に従いまして、航空機の耐空性に関する基準、航空従事者の資格、航空保安施設の設置及び管理の基準、航空機の運航の方法等の航空機の航行の安全を図るための方法を定め並びに航空運送事業その他航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、以て航空の健全な発達を図るため必要な規定を内容といたしてあります。  以上が本法律案の提案理由及び面容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを旬望いたす次第であります。
  86. 岡田信次

    理事岡田信次君) 本案に対する質疑は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 ちよつと質疑じやないのですけれども、今の御説明に関連して一言運輸大臣にちよつと伺いたいと思いますが、如何ですか。
  88. 岡田信次

    理事岡田信次君) 小泉君
  89. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 只今提案の理由を伺いまして、法案の内容はいずれ要項等の説明もされることになると思うのでありますが、すでに本案は衆議院においては通つておるように承わつておりますが、更に今朝でしたか、私新聞で見ますると、航空機の製造法案というようなものが通産省関係で出るようなふうでありまして、そしてその要項を見たところによりますと、新聞にあつたのでありますが、先般もく星号の遭難の時分にも私は多少航空法案の行き方に対して希望を述べ、又総理大臣が将来日本の航空機の製造管理というようなものに対しましても、少くとも監督行政というものを一元化するのでなければ面白くないのじやないかというような意味で政府の御意見を伺つたのでありまするが、新聞で伝えるようなことが多分事実であろうと思います。又只今の御説明理由の中には、航空機の生産事業に対しては本法案は殆んど触れてないように見受けますが、例えば自動車或いは船舶のごとく、その製造並びに運航に対する政府の監督行政というものは、一貫して運輸省が掌握しておるというようなことになつておりまするが、ひとり航空機に対しては生産事業の全面的監督、それからその運航事業の監督はこれを二元的に持つて行こうというような意図は、那辺にその理由が存するのか、甚だ私として砥不可解であるのでありますが、こういう点に対しまして、その理由の御説明の前段にあつたように、これをずつと虚心坦懐に読んでみますと、運輸大臣御自身もやはりこういうようなものは一貫的に管理行政はすべきものだというようなふうにも読み取れるのですが、その点に関する政府の御方針というようなものを一つ明確にして頂きたいと思います。
  90. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 交通の安全を確保するということは、国民の生命財産の安全を図るという見地から極めて大切なことであると思つておるのであります。従つて政府の立場における監督指導という面から申しましても交通機関の持つ業務につきましては、その安全性の一貫性を保持するということが必要であり、又責任の分野を明確にすることがこの趣旨において重要性があると信じておるのであります。恐らく小泉先生もそういう見地からの御質問だと拝察するのであります。  現在運輸省におきましては、鉄道車輌の製作、又船舶の建造というものは運輸省がその生産監督に当つておるのであります。ただ自動車につきましては商工省がその監督に当つておるのであります。その間プリンシプルの一貫性を欠いておるのでありますが、併し強いて申上げますれば、船舶又は鉄道車輌のごとき注文生産のものは、是非とも運輸省において運輸の監督指導と一貫して製作の指導監督を持たなければならん。併し自動車のごときマス・プロを原則とする生産事業においては、運用者が選択して仕上つた品物を購入することができる。従つて生産事業の監督指導は別の官庁においても差支えないということを言い得るかと思うのであります。こういう見地から申しますると、飛行機のごとく特に注文生産によるものは、その生産も是非とも運輸省がその責任を以て進め、そうして航空の安全について全責任を持つということがこの事業の健全なる発達に最も貢献するゆえんであるのじやないかという議論は十分に立つと思うのであります。ただ飛行機の生産材料、比較的稀少物資が多いというために、その材料調整という見地から通産省が処理する必要があるということも又筋が立つた理論だと言われると思うのであります。併しながら飛行機の安全性を保持する、航空事業の安全を確保するという意味合いから、その生産に要する、生産過程におけるいわゆる型式証明或いは航程間における検査であるとか、或いは更に最終の耐空証明、検査、試験にかかわることは、安全を確保する上においてなされることはすべて運輸省が処置をするということがこれは絶体に必要であると思うのであります。従いまして安全確保の見地から生産前後における、又途中における検査、試験、証明、これらはすべて運輸省が処理をする、責任を以て監督指導をするということに大体のプリンシプルは決定いたしたのであります。その趣旨においてこの航空法が立案せられた次第であります。ただ生産につきまして通産省はおのずから見るどころがあつて、飛行機製造業法というものを立案せられて国会の御審議を受けるということに本日相成つた次第であります。いずれ法案についてよく御審査を願いたいと思つておる次第であります。
  91. 小野哲

    ○小野哲君 質問じやありせんが、航空法案審議の参考として、諸外国における航空活動の基本となつておる諸制度について資料を御提出願いたいと思います。特に航空法案審議するにつきましては、只今小泉さんからも御質問があり、運輸大臣から御答弁がありましたが、運航の問題は勿論、生産方面のこともやはり審議をすることも妥当であろうと思いますので、これに関する外国の立法例もありましようし、或いはどういうふうな組織で以て行政が営まれておるか、こういうこともありましようし、そういうような点について資料を御提出願いたいと思います。
  92. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 御要求に従つてできる限り諸外国の資料を整えて提出いたしたいと存じます。  なお今日先般のもく星号の事故についても本会議で御報告いたしましたごとく、あの事故については要するに乗務員及びコントローラーが若干関係して原因をなしておると思うのですが、事故の直接原因は操縦士にあつたと思うのです。機体及び備品につきましては何ら不都合なく、正常な状態にあつたということが確認せられております。こういう事故の際には問題は生じないのでありまするが、多くの場合交通事故につきましては、人と設備と相待つた競合原因が多いのであります。従つてこの人の養成、訓練ということについて、これは人というのには乗務員もありまするが、又地上勤務者もあります。これら政府及び航空会社の人の養成訓練ということ、更に機体なり或いは備品の検査、試験、なお製作の指導というような点にもこれは原因がある場合が多いのであります。自然これらが一貫した一行政官庁の責任の下にない以上は、健全な発達がどうも困難じやないかというふうに考えて、この法制の決定につきましては、運輸大臣としても多大の関心を持つておるような次第でありまして、ついでながら申添えておきます。   —————————————
  93. 岡田信次

    理事岡田信次君) 次に日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定実施に伴う航空法の特例に関する法律案議題といたします。  政府より提案理由の御説明を願います。
  94. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 只今上程されました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定実施に伴いまして、日本国に駐留する合衆国軍隊が使用します飛行場、又航空保安施設並びに航空機又その乗務員につきましては、行政協定第二條、第三條、第四條の規定によりまして、航空法の適用については特例を設ける必要が生じて参つたのでございます。この法律案只今申しましたような立法趣旨で規定いたしたのでございまして、施設の使用方法その他具体的な実施細目につきましては、今予備作業班の航空分科委員会において協議が進行中であるのであります。この点御了承置きを願いたいと存じます。  以上で簡単ながらこの法律案の提出理由を申上げた次第であります。
  95. 岡田信次

    理事岡田信次君) 本案に対する質疑は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 岡田信次

    理事岡田信次君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  97. 岡田信次

    理事岡田信次君) 日程に請願の審査が載つておりまするが、時間の関係上次回にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 岡田信次

    理事岡田信次君) 御異議ないと認めます。
  99. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 先刻文部省のほうから何か特別の事情があつて出席するつもりであつたが出られないということでありましたが、商船大学設置の問題がすでに文部委員会にかかつてつて、この問題に関しては本委員会でも従来ともこの議場でいろいろ論議を重ねて来たと私は記憶しておりますが、幸いに運輸大臣がおいでになつておりますから、二、三の質問を運輸大臣に申上げて御意向を承わりたいと思うのですが、委員長如何ですか、取計らいできませんですか。
  100. 岡田信次

    理事岡田信次君) どうぞ。
  101. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 只今委員長のお許しを得たのでありますが、大学設置法云々というような表題で、内容を神戸商船大学設置と言いますか、新皮の法案議員提出になつて衆議院を通つておるというのは御承知の通りでありますが、参議院におきましては文部委員会審議中でございます。それでこの問題につきましては、当委員会におきましても前向並びに前々回からいろいろ審議を重ねておつたのでございますが、結局そうした法律衆議院を通つて参議院に今廻つておるというような過程におきまして、従来運輸省においてこの商船大学設置の問題に対しては、大体私は消極的の態度と言いますか、見解をとつておつたように思つておるのでございます。文部省もその頃はそういうふうであつたように了承しておりましたが、この頃最近になりまして、殆んどこれは参議院を通過すればすでに確定するというところまで行つているのでありますが、運輸大臣にお伺いしたい点は、あの商船大学を作るということと従来海技專門学院でやつておつた再教育と言いますか、高級船員の資格の昇格、或いは将来短期間に高級船員の資格を取り得るような経歴を持つている者に再教育を施して、至急に高級船員を養成するというようなこととの関係ということと、あの海技專門学院を商船大学にしても、そういうここ二、三年の急場に間に合うような、再教育によつてするべき、至急に要する高級船員の養成には何ら支障がないというようなことに到達したのか、若し到達したならば、従来の観点とどういう点において違つてこういうふうになつたのかという点、それから商船大学ができれば、その商船大学の教授陣容とでもいいますか、それと現在の運輸省所管である海技專門学院に勤務しておる多数の教育者のかたがた、それとの関連はどういうふうになるのか、運輸省の所属の人が文部省のほうと二軍監督を受けるようになつたとした場合、やはりそういう両方の学院並びに大学を受持つて行くようになるのか、或いはそれとは別に文部省は陣容を整えるのか、これは文部省のほうに伺いたいことなのですけれども、一応運輸省としてはその辺に対しての御見解があるだろうと思うのです。それからあそこの校舎の大部分を海技専門学院から商船大学に持つてつても、一向その專門学院の教授用施設には支障がないというような話をときどき聞かせられるのですけれども、果して実際そういうふうに支障はないのかどうか、こういう点に対しての御見解を御説明を願いたいと思います。
  102. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 白紙で私の見解を申しますれば、私は商船大学を一校設置するということは反対であります。併しながらこれは反対の理由は申上げると長くなりますが、とにかく結論として私は現状に鑑みれば反対であります。併しすでに前国会の終りにおきまして衆議院の文部委員会運輸省の担当官の間に数回現地も視察せられまして、そうしてあの商船大学を設置するということになれば、現在の寄宿舎のほうはもとより別であるが、校舎のほうについてはその管理を文部省に移管するということと、そうして併しながら海技專門学院として必要な施設の使用は引続いて運輸省がして行くと、こういう協定ができておるのでありまして、小泉先生も恐らく御承知のことと思います。こういう協定がすでに昨年の夏できておるのであります。運輸大臣としてもこれを尊重せんければなりません。その管理権は遠からず文部省に移管するということに相成るのであります。但し海技專門学院として必要なものはその使用権を留保するということに相成つておりますので、これは今後引続いて運輸省で使用して行くということに相成るのであります。而し運輸省が如何に使用するかと申しますれば、今御承知のごとく新船の建造はますます促進して行かなかれぱならん状態にあることは申上げるまでもないのであります。自然各コンモン・キヤリアとしての船会社の乗組員の需要は非常に熾烈なものがあるのであります。昨年度は神戸の海技專門学院で三百名を定員として養成をしておつたのでありますが、本年は六百六十名に増加して、予算措置も講じて養成することに相成つて、すでに第一回の講習も終えた次第であります。そうしてこの六百六十名の各種類の学生を、学生と申しましてもすでに経験のある乗組員を、それぞれ部門を分けて養成して行くのでありますが、教室が十八を要するのであります。然るに現在の神戸海技專門学院の教室は十五しかないのであります。止むを得ませんから大きい教室を中仕切りを三教室いたしまして、辛うじてその要請に応えるという措置をとつておるような次第であります。従いまして文部省に移管すると申しましても全く名目に過ぎない。使用は引続き運輸省がやつて行くということに相成ることは文部省においても、又衆議院の文部委員においてもよく承知をしておられるところであります。従いまして商船大学としましては一年生八十名を募集するというように聞いておりますが、これをこの夏募集する、夏までに新校舎を建築してそうして教授を始めるということに手配が進みつつあるように承わつておるのでありまして、勿論教室についてはそういうわけでありますし、又その他の附属施設におきましてもそう余裕のあるところもないようであります。ただ極く一小部分は、小使及び小使室を共用するとか、或いはこれに似たような部分は共用の方法をとつて進めるように打合せをしておるようであります。今までの海技專門学院長が商船大学長になる模様であります。今までの教頭が昇格して專門学院長になるようであります。そういうことでありますが、教授などにつきまして大学のほうへ割愛するという、転勤せしめるという人は趣く一小部分にとどまるように聞いております。要するに今後三年であるか十年であるかわかりませんが、船舶乗組員を養成せんならん国家的必要のある期間は神戸專門学院は存置して、現在の施設を使用して進めて行く、こういうことに相成つておりますが、船員の養成には何ら支障がないと考えはおります。
  103. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 大体運輸大臣運輸省の所管である海技專門学院の六百名余りの当年度における募集人員の養成に何ら支障がないという明快な御説明であるが、私それ以上は結果から見なければわからない、追及はしませんけれども、非常にまだ運輸大臣御自身も大学の設置には反対なんであります。運輸大臣の立場におられるかたが御同意のないものが、閣議において又内閣において文部省において、特に衆議院において通過するというようなことは、私はほかのことと違つて、事は教育に関する問題でありまするから、もう少し慎重に御審議或いは御討議になつたものだと思いますけれども、勿論そうした上でそれが阻止もできなければ、止むを得ないということならば、これ以上運輸大臣にお伺いしても仕方がないと思いますが、ただ私は運輸大臣と同じ考えでありますので、どうかここ二、三年の間に要する……人員不足のために折角作つた船の運航に支障が生ずる、人員の点から、優秀な高級船員ができないで支障が生ずることがないように、その点は是非一つ施設その他においても、又教授の陣容というものにつきましても、大学教育をする行き方と再教育の行き方とは、私は余り詳しいことは知りませんが、相当違つた過程において行かなければならないので、人の面において、決して従来の人に多少の人間を追加するくらいのことでは本当の教育はできないんじやないかという懸念がありますので、そういう点についても万遺憾のないような御方策をお願いして、私の質問を打切ります。
  104. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 只今のお説十分拝承いたします。でこの問題につきましては文部大臣としても私と同じ意見を持つておられたのであります。従いまして文部大臣としては、将来清水の商船大学と神戸の新設せられるもの、いずれかをシニアとし、いずれかをジユニアとして、そうして一つの大学として経営をして行きたい、こういう御意見でありました。それに基いてその点も考慮いたしまして、なお先刻申しましたような前国会においてのお申合せか覚書がありますが故に、止むを得ず私も賛成せざるを得なかつたような次第であります。ただ商船大学のことは別としまして、海技專門学院の船員速成養成という問題については、これは事全く運輸省の所管の問題であります。これには何ら支障を来さないようにという御注意と手配は、万全を盡しているつもりであります。御了承を願います。
  105. 岡田信次

    理事岡田信次君) ほかに御質疑はございませんか。  本日はこれを以て散会します。    午後四時二十五分散会