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1952-03-06 第13回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月六日(木曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            高田  寛君    委員            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            小野  哲君            内村 清次君            小酒井義男君           前之園喜一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君   政府委員    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸省鉄道監督    局長      荒木茂久二君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会專門    員       古谷 善亮君    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○北海道地方地震被害状況に関する  運輸大臣報告一般運輸事情に関する調査の件  (鉄道電化に関する件)  (鉄道建設線に関する件)   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  先ず最初に運輸大臣より発言を求められております。北海道地方地震被害状況について政府より報告があります。
  3. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 今日運輸委員会を御開催になりますにつきまして、その冒頭に十勝沖地震状態をわかつておる限り御報告申上げたいと思うのであります。  こういう天災が突発しましたことは誠に遺憾に堪えないところでありますが、先ず鉄道関係につきまして線路関係を先ず以て申上げますと、根室本線線路陷没沈下等が三十九件あります。根室本線が最もひどいので、最大の深さのところで五メートル沈下いたしておるのであります。その他橋梁被害が七件あります。それから日高線線路沈下等が十一件、橋梁被害が五件、隧道亀裂被害が一件、その他附近の関係路線にありまして、結局総計で申しますと、線路関係陷没沈下等が百三十五件、橋梁関係で傾斜したり或いはアバツトメント、橋脚等が移動したといつたものが十七件あります。隧道只今申しました日高線の一件であります。建物関係では割合に被害が軽小であります。根室本線の駅の東北貨物場倉庫場が四件、それから釧路、網走線では宿舎八戸被害をこうむつております。勿論そのほかいろいろ機関車でありますとか、或いは病院、工場などで若干の被害は受けておるのであります。又信号関係通信関係などにも若干の被害を受けておるのであります。運転事故列車脱線が四個列車であります。旅客列車一個列車貨物列車三個列車であります。そのほかに震後、線路が破損しておりまするために進退不能に隅つている列車が一個列車あります。従業員死傷は、打撲傷を一人機関助手が受けております。新聞等にも現われておりますように職員の即死が一名ある、又軽傷者が若干名あるということが報道されておりますが、これは恐らく宿舎において被害をこうむつたものと想像されるのであります。幸いなことにお客さんには何らの死傷がなかつたということは不幸中の幸いであつたと思うのであります。これらの被害についての応急費、又復旧費は目下調査中であります。どれくらいになるかということは今申上げかねる次第であります。で、今日の正午で、この網走線不通個所、それから日高線不通個所、これは今日正午開通をいたしました。今残つておりますのは根室本線の池田駅から白糠駅の区間であります。これは相当被害があります。橋梁等関係もありまして、今の見込では十日の正午までかかるということを報告いたして参つております。なおお尋ねがありますれば幸いに国鉄総裁初め見えておりまするので、又お答えをいたしたいと思います。
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本件に対して何か御質疑等ございませんか。……それでは詳細にわかりましたら又次の委員会で御報告願うことにいたします。
  5. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは次に、本日の議題は鉄道電化及び鉄道敷設関係請願陳情でありまするが、先ず政府当局よりこれらの基本方針をお伺いいたした上で、請願及び陳情の各件の審査に入りたいと思います。
  6. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 電化は本会議でも一応お聞き願いましたごとく、今日まで電化せられました距離け僅かに千六百六十キロに過ぎないのであります。仮に全線の半分一万キロ電化するとしますればなお八千三百キロを今後電化して行かなければならん、こういう次第でありまして、この工事費から見ましても急速に実施するということは頗る困難であると思うのであります。仮に十年計画でこれを遂行するとしましても、一年に八百三十キロ電化する、二千万円一キロ当り工事費を要するとしますと、百六十億以上を要するというような事態でありまして、十年計画で一万キロを完成するとしても、これは工事費の面から見て容易ならざることであると思うのであります。ただ一方におきまして、今デイーゼル・エレクトリツクの機関車試作中であります。恐らくこれは成功するものと期待いたしておるのであります。現に御承知のごとくアメリカ大陸等においては殆んど電化にあらずんばこの機関車を使つております。この機関車を用うれば架線なき電化ということの結果を得られますので、私どもフイート八インチ半の軌条ですでに成功しておるものを、三フイート六インチの軌条に移すということは、非常に技術的に見て困難な問題の模様であります。併しながら必ずや成功してくれるものと期待いたしておるのでありまして、この試作が成功しますれば、この電化方針につきましても、よほど再検討を要するのぢやないかと思つて曲る次第であります。電化につきましては、今そういうアンノウン・フアクターが、未知数の問題がありますので、明確な私の意見というものも申上げかねますが、仮に電化一本槍で進むとしますれば、先刻申上げましたように、相当多額電化工事費捻出して、そうして十年間ぐらいには是非一万キロに達して大体幹線を遂行したいという念願を持つておるような次第であります。  次に新線建設問題についてでありますが、すでに御承知通り戰災をこうむり又職事当時から長らくの間修理不足におかれておりました国鉄は、今日車輌につきましても、又各般施設につきましても非常に老朽化した面が少くないのでありまして、これを又運転事故のごときを見てみましても、昭和十年、十一年頃の運転事故の今丁度五倍になつておるような次第であります。そのうちには相当憂慮すべき惡性のものも含まれておるのであります。速かにこれらを取替えて保安度向上を図る。そして的確なる運転をもたらすということが何よりも大切であると考えておるような次第でありまして、併し、今この取替工事が非常に手遅れになつておるというのを数字を以て簡單に表わすことはできませんが、国鉄当局の計算によりますと、この手遅れしておる取替工事費は今日千八百七十五億円に達しておるということを承知いたしておるのであります。これは十年というような長い期間を待つことはできない問題だと思うのであります。どうしても長くも五年くらいにはこれを処理して行きたい。追つ付きたい、そうして的確に運転ができるように保安度向上図つて、安全な輸送を確保したいということを長崎総裁も非常に念願しておられるのがあります。私も極めてその必要を痛感いたしておるのでありまして、仮に五年でやると言いますれば、この取替工事手遅れを取り返すだけに五年間に約四百億円ずつ毎年支出して行かなければならんという状態にある次第であります。只今申しましたごとく、電化のみならずその他の改良工事も、ヤードの拡張又その他各般施設改良工事もそれぞれ相当額になる次第であります。自然資金の面において非常な工事費捻出困難性をいよいよ増すといいことに相成りますので、自然新線建設費に廻すという金額は、遺憾なからそう大きい額は期待できないと思うのであります。僅かに昭和二十七年度におきましても二十億を計上して只今審議を願つて曲るというような次第であります。併しながら一面地方交通機関であつて新線建設についての地方要望は極めて熾烈なるものがあるということは、これは見逃せないことであるのであります。一面一方において、国鉄設備状態を速かに復興せしめると同時に、これらの国民の熾烈なる要望に応えなければならんということも、半面において痛感いたしておるような次第であります。特に建設線につきましては、なお地方交通路線のみならず、幹線と称すべきものも相当数あるのでありまして、帝国議会当時に両院協賛を得ましたいわゆる建設線というものだけでも、そしてそれが今日までなお完成しておらないというものだけでも、かなり距離になつておるのであります。的確な数字を今記憶いたしませんが、確か二千六百キロほどまだあると思います。で、これらの建設平坦線においても一キロ当り五千万円を要します。少し困難なところでは直ちに一キロ一億を要するということに相成ります。二千五六百キロに対しましてかなりの巨額に相成る次第であります。これらの線は特に古くから予定線として認められ、特に予算を付して両院協賛を得たというような線であるのであります。それらの港線国民諸君が速かな完成の実現を期待せられるということは尤も至極なことであると考えておるのであります。とにかくいずれにしましても、是非とも国鉄工事費捻出することに格段なる考慮と努力とを要すると思う次第であります。是非とも交通に深甚なる御関心をお持ちの皆さんがたにおかれましても、御援助御協力を賜わりまするよう併せてお願い申上げる次第であります。
  7. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今政府から説明がありましたが、本件に関して御質疑がありましたら御質疑を願います。
  8. 岡田信次

    岡田信次君 大臣はたびたび電化の問題に間しまして、一万キロ電化というお話がありますが、その一万キロにつきましてはどういう線が包含されておるのか、又その根拠はどこにあるのか、その点を伺いたいと思います。
  9. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 御質問にあずかつて甚だ恐縮するんですが、この線とこの線とが、是非電化をする必要があるということを、一々各路線について点検の結果、そのトータルが一方キロになるという意味ではないのでありまして、ただ大雑把に今の国鉄約二方キロの中で半分は大体幹線だという見方をしてのことなんであります。この点は一つさよう御了承願います。
  10. 岡田信次

    岡田信次君 国鉄のこし電化は、大体日本石炭資源との関係も非常に多いかと思うのでありますが、私は大体国鉄あと五千キロ電化しますれば、恐らく三百万トンぐらいの石炭が要らなくなる。あとの五千キロはやつても恐らく百万トン程度しか浮ばないのじやないか、かように考えますので、電化としては五千キロぐらいで一応見逸るという方向に行くべきではないか、かように考えますが、それからもう一つは一キロに二千万円とか、或いは三千万円の工事費がかかるというふうな、非常に資金を要する、これは到底国鉄の現在の運賃率を以てしては賄いきれないということはわかつておるのであります。これに対してやはり何か格段の措置をしなければならんと思いますが、先般も御質問申上げたんですが、電源開発、或いは石炭の増産という考えの一環として、即ち電源開発に一線を設けるなら、この一部を割いて、これを電化に廻すというふうにお進めになるべきじやないかと思つておるのですが、こういう資金捻出につきまして、何らか特段の措置をとられるというお考えがあるかないか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  11. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 電化も、多分に石炭資源を助長するということが第一の点だと思います。併しな水力の多い区間のごときは、これはサービスという面で快適な旅行を提供するという面において、又必要であると思つておるのでありまして、お説のごとく、五千キロ或いは又六千五百キロと、いろいろの説を今までも耳にいたしております。十分御意見として拝聽いたしまして、まだ実は国鉄当局からも、電化の今後の方針については、私就任後日が浅く、国会にばかり出席しておりまして、十分国鉄当局の御意見も承わつておりませんが、成るべく早い機会に、国鉄当局電化方針も承わりたいと考えておるような次第であります。先刻も申します通り、私の、一万キロと申しましたのは、根拠あるものじやないのでありまして、ただほぼという大雑把なことで、一万キロという仮定を持つた次第であります。御意見を拜承して、十分再検討の資料にいたしたいと存じます。  なお第二点の、資金面のお話しでありますが、水力開発ということは、治山、治水の見地からも、必要であるでありましよう。併し又同時に、電化と同じく熱源という関係から、石炭の保存という問題も、なお大きい理由の一つだと思うのであります。そういう面から、電化相当急速に開始を要するものかと思うのであります。その以外に、実はいろいろと巨大な工事費をかけるような計画もあると、これは大いに再検討を要すると思うのであります。ちよつと速記を……。
  12. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をとめて。    〔速記中止
  13. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて。他に御質疑ありませんか。
  14. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この電化の問題は、私ども素人でよくわからんのですけれども、本委員会に対する請願ども相当に出ておる、この委員会で採択したものも多いと思うわけであります。現在この国鉄直営をしておられる発電所というのは、何カ所あるのでしようか。この前小千谷発電所開所式か何かに参りました時に、あそこの主任のかたが大体五万キロ程度で、そうして、あれをもう一遍元に戻してやると、それで二方五千キロ、二年後には七万五千キロ……現在の五万キロ建設費というのは、百億足らずで、それに一年の収入というものが、利益と言いますか、十五億ぐらい出る見込である、こういうふうな説明をしておられたようで、大変どうもそういうことができるのならば鉄道電化などということも非常にたやすくできるのじやないかと、そう私思つたわけでございますが、現在どのくらいの発電所を持つておられるのか。又小千谷の五万キロという電力をどういうようにお使いになつておるか。電化に使つておられるものもあるでしようし、或いは民間の事業に流しておられるものもありましようし、そういうような点をお教え願いたいと思います。又將来国鉄直営発電所をお持ちになるような計画はないでしようか。例えばこの前私ども運輸委員として視察に参りましたときに熊電発電所の問題が取上げらあります。熊野川はあれで約八万キロれておつたので出る。或いは文川内川で六万キロ出る。鉄道の沿線に近いようなところで、そういうようなものも見込があるというようなことも聞いておるのですが、現在の国鉄直営発電所並びにその使用されて曲る状態、或いは将来の御計画、お見込、そういうようなものについてお教え願いたいと思います。もう一つはこれは天然ガスというような方法も出ておるようでありますが、現在参議院で問題になつておる通産委員会から天然ガス資源調査のために議員を派遣する、秋田県でありましたか、それが今議運で引つかかつておるようであります。こういうものが全国的に相当あるのじやないか。九州でも宮崎市の付近に五万キロぐらいの天然ガスが出るというようなことが言われておる。これも本委員会において請願も採択しておる。そういうような点について少し詳しくお教えを願いたい。
  15. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 現在ございますのが、御存じのように信濃川の千手のほうが十二万キロワツト、それから小千谷のほうが五万キロワツト貯水地を入れますと二万五千キロワツト殖える、こういうことに相成つております。それから火力のほうといたしましては川崎に五万五千キロ発電所がある。赤羽に一万キロ発電所がある。赤羽のほうは殆んど常時使用し、川崎のほうはこれは渇水時に使用する。将来の計画といたしましては、一応心積りと言いますか、具体化するというところまで行つておりませんけれども天龍川水力開発計画といたしまして天龍川地区発電所を設置して最大十六万キロワツトを発電する。それから十津川水力開発計画といたしまして十津川系の天の川、宗檜川及び丹生川に発電所を設置して最大六万キロワツトを発電するということでありまして、電化に伴う電源はできるだけ自分で調達したいという考えがあるわけでございますが、今申上げました天龍川十津川の問題につきましてはまだ目下のところ單なる図上計画に過ぎないと、こういう状態でございます。
  16. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今大体御説明によると水力が二十万キロ火力が六万五千キロになつておるわけですね。これをどういうふうにお使いになつておるかお示しを願いたい。
  17. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 細かい数字は今持合せがありませんので申上げられませんが、只今のところでは主として信濃川水力を使つております。火力のほうはこれはむしろ一般電力が足りんもんですから、そのほうにむしろ、今ですと東北電力ですか、あそこの委託を受けまして川崎のほうの火力を焚くということで、これは主として一般用に差上げておるわけなんです。それから水力のほうもラツシユアワーにはフルに使いまして、むしろ足りなくて一般電力のほうから又もらつておる。併しながら晝間時であるとか、夜間であるとかいうような場合にはこれは不定時として御融通申上げてある状況でございます。
  18. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 これは火力のほうも自家用として施設なすつたのじやないですか。
  19. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) その通りなんですが、その当時は信濃川水力がなかなかできなくて、それでやつたわけであります。併し信濃川のほうが完成して来たものですから始終焚かずに渇水時の予備として置いたわけなんです。それを今は電力が足りんものですから、外部のほうから石炭をやるから焚いてくれという委託を受けてやつてつたわけです。それで渇水の場合には今のような場合もございます。
  20. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 将来の計画といつても何かしら具体的な問題じやない、机上計画でいつ実現するということもはつきり見通しはないわけなんですね。
  21. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 先ほど荒木局長から申上げましたような次第でございまして、天龍川と申しましても、十津川熊野川と申しましても一般電力開発計画との睨合せもございまするので、今公益事業委員会と折角折衝いたしておりまするが、そのうちでも天龍川のほうはやや望みがありそうでございます。御承知のように佐久間に大きな七十六万キロですか、そういう大計画がございまして、その地帯はこちらにやらせるわけには行かないらしいのですが、その下のほうに点々としてあるものにつきましてはやや望みがありそうで只今折衝中でございます。従いまして予算その他についても何らまだ手を打つていない、これからの問題。天龍川のほうはややいいのじやないか、そんな望みを持つております。
  22. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 先ほど申上げました天然ガス資源ども相当に全国にはあると思われるわけであります。なお又電力資源についても先ほど申上げましたが、各所にたやすくできるものがあると思うのでありますから、これらの点について一つ積極的に御研究を願いたいと思う。なお先ほど運輸大臣から幹線を先ずやるのだ、これは尤もの御答弁だと思いますが、併しこれは地方支線にいたしましてもどうしても電化しなければならんところが相当にあるだろうと思うのです。電化のないために人々に支障を来たしておるというようなところも私どもは知つておるのであります。やはり幹線一本槍でなくて、支線についてもどうしてもやらなくてはならんところについては御研究を願いたいと思います。電化問題についてはそれだけ申上げて、次に鉄道建設の問題について申上げたいわけでありますが、実は私この二十七年度の鉄道建設費予算を見て非常に驚いたのです。これは運輸大臣がまだ私どもと一緒にこの委員会委員をなすつておられる時分にもたびたび問題になりまして、前の山崎運輸大臣のときには二十六年度の補正予算並びに二十七年度の予算には相当額計上する。私どもは二十六年度の補正予算には五十億ぐらいのものは計上されるのではないかという期待を持つてつたわけであります。ところが二十六年度の補正予算には一厘も計上がされなかつたのであります。非常に失望したのでありますが、恐らく二十七年度には二十六年度の補正予算に組ますべきものと二十七年度の予算と合して百億以上のものが計上されるものであるということは、運輸大臣その他政府の御答弁を総合いたしましてそういうような期待を持つてつたわけであります。ところが蓋を開けてみると僅かに二十億、運輸審議会その他各方面の要望相当あり、私ども聞くところによりますと、すでに建設予定線というものもあらかじめ御研究になつておるということであります。そういうような運輸審議会建設審議会の御研究の結果というものがいつしか地方に漏れまして、どこの線は予定線になつておるのだ、どこの線は今回は入らなかつた、次に入るだろうというようなことで非常に大きな期待を持つておるわけであります。ところがこの二十億という予算でどのくらいの新線建設ができるものか、線にもよりましようし、工事の内容にもよりましようが、私ども素人考えではそう大した期待は持てないのではないかという気持がするのであります。国有鉄道が今日非常に財政的に困つておるという事実は私もよく知つております。又補修をしなければならないものも相当ありましよう。が、併しながらそれと併行してどうしても私ども国民大多数の要望である新線建設に力を注いでもらわなければならんということを強く要望したいのであります。僅かに二十億でどういうような新線建設をせられるつもりであるのか、又恐らく運輸大臣もこういう金はどうにもならないということをお考えになつておるのでありますか、補正予算等に更に相当額を追加して、できるだけ国民要望に応えるように善処なさるおつもりであるのか、それらの点について承わりたいのであります。  なお先ほど経費捻出見通し等についても具体的な御説明はなかつたのでありますが、現在或いは補修費用、或いは新線建設費用多額経費を要するわけでありますが、それらの経費捻出見通し、或いは手段方法等について大臣の御経論を承わつておきたいのであります。先ずそれだけのことを御答弁願いたいと思います。
  23. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 建設線について先にお答え申上げたいと思いますが、二十億の建設費は非常に過小だ、一般国民の熾烈な要望に比較しますと全く御説の通りであります。これは合理的に、又経済的に工事を行うとしますれば恐らく五、六本程度だと思うのであります。まあなんぱ多くても十本くらいじやないかと思うのであります。二十億の建設費では四十キロを完成するに足るだけの資金しか実はないのであります。誠に国民の熾烈な要望に対しては余りに過小であるということは、前之園先生の御意見全く同感であるのであります。ただ国鉄の現状に顧みまして或いは取替経費、或いは電化費或いはその他の改良工事費という点を考え合せますと、必ずしも二十億で少いということも言えないと思うのでありまして、それは第一年度に二十億を使うとしますれば次の年度にはどうしても四十億乃至五十億を要するのであります。二十六年度では御承知通り建設費としては少しも計上せられなかつたのであります。ただ特に皆さんがたの強い御協力によりまして、二十億円を貨車の車輌装備費として特に認められた、これは御記憶だと拜察しますが、無利子無期限の借入金であつたのであります。建設費に極めてふさわしい性質のものだということで、相当参議院においては勿論のこと、衆議院においても問題になりました。併しながら当時朝鮮事変を契機といたしまして産業が発展いたしておりまして各地に少なからざる滞貨を持つていたということで貨車及び機関車等の増備が焦眉の急だということに相成りまして、やはり予算に明記してある通り車輌の増備ということに使用せられたのであります。勿論その当時建設についても強い御意見両院内にありまして、いろいろ関係のかたがたのお骨折りによりまして、追加予算に際しで是非とも計上したい、計上しようということに相成つてつたのであります。然るに追加予算を編成する当時に至りまして、いよいよ各地における滯貨が輻湊したという次第で、全く建設費に特に計上するということが、補正予算の編成に際してはできなかつたのであります。ただ国鉄当局においてでき得る限り一般の工事費から捻出してでき得る限りの建設をしようということに相成りまして、僅かに五億近くのものを捻出して赤穂線その他三本の、一年間で完成する線だけを建設したという次第であつたのでありまして、従つて二十七年度の建設費予算編成に相当大きい期待をお持ちになつていたということは、その間の事情からでも拜察できるのであります。何分にも工事費の総額四百十七億しかないのでおります。今の現状から見ますると、この二十億という新線建設費は、必ずしも他の面と比較して不当に少いとも言えないように考えるのであります。私就任しましたときはもう予算確定の最後の段階でありまして、そのときに承知いたしまして、そろしていろいろ検討しましたが、只今申述べるような感想を抱きまして従つて二十億に止め、原案の通りにしたという次第であるのであります。それでこの建設関係につきましては、これは国民の一般の輿望が非常に強いということはもう明瞭でありまして、今後も恐らくどこまでやつたらいいかということ、要するに鉄通網の密度をますます細かくして行くということも、国民の一般の輿望に違いないと思うのであります。道路のごときは半額は何としても地方で負担するということに相成つております。鉄道に限つて全額中央で負担するということでありまする故に、地方の輿望が道路より鉄道と言われることは、これはそういう観点からしても尤も至極であります。一面、この後段で御意見を伺いました経費になつて来るのでありまするが、こういう殆んど無限の国民の輿望に応えるためにはこれに応ずる巨額の資金捻出して行かなければならん、現在の日本の経済力におきましてこの輿望を満たすということは非常に困難である、今までのやり方で、つまり財政運用資金からの借入で賄うということは所詮できないのじやないかと考える次第であります。これには簡單に考えれば運賃の値上ということも考えられます。又一面におきましては、日本国有鉄道法に明文のありまするように、鉄道公債を発行して資金を集める、関係地方に特に鉄道公債の買入をお願いするというようなことも又一つ方法であると思うのであります。併し又これは極端なことを申すようでありまするが、なお先刻前之園先生からもひとり電化幹線のみならず地方支線電化要望するというお説がありました。これ又地方要望としては各方面にあることだと思うのであります。で、幹線又準幹線と申しますか、大体それが何千キロになるか、一万キロになるかわりませんが、それですらも非常にこれは困難な業であります。なかなかこの今の国有鉄道の経理形態におきまして、こういう巨大な工事費捻出するということは殆んど不可能じやないかと考えるのであります。自然国有鉄道の経営であれば地方支線電化せられるということは、特別の事由がない限りは殆んど御期待に沿う時期はちよつと来ないように考える、むしろそういう地方の御期待に応えるためには今の地方支線ですね、地方交通機関である、そういうことを考え得る支線を、現在の帳簿価格の何分かで、地方の会社、地方で作られる会社に委任経営をするというような方法をとつて、その会社で適切な電化をするとか、或いは又ガソリン、カーを頻繁に運転すると、大した資本金は必要ないのじやないかと実は考えるのであります。そういうことも一つ方法じやないか、まあいろいうの方法を講じて速かに国有鉄道をして国民要望に沿い得るように運営をする必要がある、こういう工合に私考えておる次第であります。一つこの機会にお願いするのでありますが、多大の関心をお持ちになつておる皆さんがたに、どうぞ一つ又御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  24. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 村上先生が運輸大臣に御就任になつて、私ども委員も又同時に国民も非常に大きな期待を持つておるわけであります。それは詳しく申上げるまでもありませんが、先生が運輸方面の権威者であられるということ、又非常に立派な学者であられるという、その他長い間私どものこの委員会の長老として、地方の多くの請願を取上げるについて御指導を賜つておるということなどが原因しておると思うわけであります、本委員会において従来鉄道建設請願に対しまして取上げました、いわゆる採択いたしましたものを、私の記憶では恐らく百件以上に上つておるだろうと思うわけであります。無論これを一時に取上げるということは不可能でありまするが、そのうちには地方の事情或いは又重要生から考えて、早急に取上げて建設に取りかかつて殊るべきものも多いわけでありまして、そういうような地方の人々は運輸大臣期待するところは非常に大きいわけであります、本予算は、御説明通りに御就任早々のことで、大臣を私は責める気持は一つもありません。併しながら二十億の予算が少いとは考えないという御答弁には私どもはどうも納得をいたしかねるのであります。衆議院方面においてもこのことは非常に問題になつて補正予算として二十億ぐらいは更に追加してもいいというようなところまで行つておるということも聞いておりますが、そういうような点についてそういうような議が出ておるのか、又それを実現される運輸大臣の御決意があるのかどうかということも、この際一つお聞かせを願いたいのであります。なおこの際、私ども非常に素人の考えで行き過ぎた質問かも知れませんが、現在この問題になつておりまするところの国営バスの問題、私が調査をお願いいたしましたところによりますると、年々六、七億、これは人件費等を加えると恐らく十億近い欠損をするのではないかと思うのであります。運輸省のその方面の方々の御意見でも将来国営バスは民間に払い下げてやらせるという方針で進んで行くべきであるという御意見も持つておられるようであります。又この民営のバスというものは非常に進歩発達をいたしまして、国営バスを凌駕するというところまで来ておるものも相当に多いようでありますが、これを育成助長せられて、近い将来に運輸省の方針通りに国営バスというものを民間に委讓する、そういうようなことによつて、一面経費を減らすと同時に、又一つ経費捻出するというような方法についてお考えになつておることはないかどうか。もう一つは、国会に二回政府が提案せられて、私鉄を国鉄に買上げました鉄道の払下げの問題であります。この案は本委員会において二つとも遂に審議未了に終つておるのでありますが、これを審議未了といたしましたことについては、運輸大臣よく御承知通りであります。その事情を申上げることもないと思いますが、私どもは現運輸大臣であるならば、そうゆうような問題が若し出ても、信頼をしてそうして眞劍にこの問題を研究することができるのではないか、党利党略的な匂いのすることは非常に困るのでありますが、現運輸大臣であるならば、そういうような問題も取上げて研究することが今日必要ではなかろうかというような気持も持つており、又私の党においてもそういうような意見が出ておるのであります。そういうようなことによつて最も公正妥当なる払下げをやつて、それぞれ得たるところのものを以て、或いは電化をやる、或いは新線建設をやるというような方向にお進みになる御意思はないのでありましようか、この点と、もう一つは、二十億では五、六本乃至は十本くらいの新線しかやれないだろうという御答弁でありますが、この五、六本乃至十本というものを地方的にどういうふうに分布しておかかりになるおつもりであるか、或いは北海道、関東、東北、或いは中国、九州、一カ所にかためて、これらの線をおやりになるということは、国策の上から言つても、又地方事情から言つても許すことのできない問題と思うのでありますが、それらの分布についてどういうふうに運輸当局はお考えになつておりますか、無論建設審議会等の御意見も聞くわけでありますが、大体の運輸大臣の御方針をこの際お聞かせ願えれば非常に幸いであると存ずる次第であります。
  25. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 建設線の選定につきましては、お話の通り建設審議会の答申を待つて、それを尊重して決定せんならんということは、これはもう当然なことだ思うのであります併し建設審議会のほうで運輸大臣意見を求められたならばというような仮定の下に、私の意見を持たんこともありません。勿論その場合に如何に一地方に有力な線がかたまつておりましても、これは国民鉄道なんでありますからやはり地方的の分布ということも考慮せんならんということは考えておるのであります。なお北海道のごときは、成るべくならば北海直開発費で相当分担が願えないかというようなことも考えておるような次第でありまして、特に今新鉱山の開発、或いは今まで開発せられておつた鉱山を更に大々的に拡張する、そのために必要なる鉄道線路を敷くというような場合には、その鉱山に專用鉄道として敷いてもらうことができないか、まあ少い建設費で多くの線を造りたいという気持でいろいろなことを考えておるような次第であります。今具体的にどの地方にはどの線をとつてというようなことはまだ私も検討しておりません。従つて、遺憾ながらここで具体的に申越べることはできませんが、もう間もなく建設審議会委員も充実せられ、審議会を開いて頂かんならんと実は思つておりますので、成るべく早く自分は検討を十分にしまして、お尋ねのあつた場合に自分の意見を述べ得るようにしておきたいと考えておるような次第であります。  なお戰時中特別の力を以て買収しちやつたという線の払下げの法律案についてのお話がありましたが、これは実はあの当時におきましては、払下げにあらずして還元する趣旨の法律案であつたのであります。併し前の所有者たちが、今日すべて再評価ということが各方面に行われまして、買収当時の価格で還元するということを言うでも、所詮これは容れられないだろうというお考えから、もう見合わすという御意見で、そういう挨拶を実は受けたのであります。従つて私としましても、今日買収価格そのもので還元するという、あの特殊な公債で買収したのを、同じくそれで還元するということは、これは今日通らない議論だと考えるように相成りました。自然政府であの法律案を出すという意思はもう持たないように相成つた次第であります。勿論今、現在の価格で差支えないと、いわゆる現在の貨幣価値でエステイメートして差支えない、払下げを希望するという会社がありますれば、そのときは更に適当な措置を講じたいということは、今でも考えております。  なお、一番最初にお話になりました国営バスの払下げということでありますが、これはお示しのごとく、相当額の赤字を出しております。まあこれにつきましても、まだ国鉄長崎総裁初め首脳部の御意見は伺つておりません。支線についてすらも前刻申しますようなことをいろいろ考えておる次第でありまして、勿論バスについても私としては検討をする値打のあることだということは思つております。
  26. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それから二十億の追加はどうなりますか。
  27. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 今衆議院のほうでも、今日の予算二十億はすでに止むを得ないことであるが、補正予算を編成する機会があれば、その際に更に二十億くらいを計上したいという御意見があることは伺つております。こういうことに国会の意思として御決定になれば、これはもう国鉄総裁としても執行されることと思いますし、運輸大臣も、勿論大臣としましても、建設を進めたいと考えておる次第であります。
  28. 一松政二

    ○一松政二君 運輸大臣の御答弁、誠に御苦心のあるように拜察しますが、鉄道電化といい、新線建設といい、その地方及び国民要望しておることは私も承知いたしますけれども運輸大臣がかねて御懸念になつておるように、国鉄の復旧をするために先ず二千億円は焦眉の急務で、これをやらなければ事故頻出の虞れがあるということを憂えられておると思うのです。で、新らしい仕事をすることは国民がこれを観迎するけれども、その国民は一応或る程度復旧ができておるものだと、国鉄というものはそんな危いものじやないのだとい認識の上に立つて、そういうことを要望されておると思うのです。今できておる、現在走つておるところが非常に危ない状態にある、にもかかわらず、そうしてそれを復旧しなければいけないのに、今度は新らしく電化、新設、誠に結構です、結構でありますけれど、ものにはおのずから順序があつて、それの配分が、まあ今の大臣の御答弁の苦心も私はよく察するわけでありますが、一応国鉄としては独立算制をとつており、一つの企業である。これを今後恐らく新設される線とすれば、恐らく採算上は不引合な線が大部分じやないかと思うのです。赤字に次ぐに更に赤字を追加することであろうと考えるわけです。そうすると、それを埋めるものは結局租税にほかならないと思うのであります。交通の便利を願わない人は一人もないけれども、租税をこれ以上納めたいと願う人も恐らくなかろうと思います。でありますから、私はむしろ電化も、新線建設も、もう最小限度に一時は止めて、秋は復旧を図ることが急務じやなかろうか、さように考えるのですが、これを大臣に今ここで御答弁を私は求めません。求めるとすると、いろいろな又御苦心のある御答弁になると思いますから、ただ私の意のあるところと、その含蓄のほどをいろいろな施策の上に現わして頂きたいと思うのであります。道路は特別な路線でない限りはただで国がサービスをしておることは、御承知通りであります。鉄道も願わくばただで人を乗せれば、国民が一番希望するでありましよう。けれども、それをさせるためには莫大な税金を負担しなければならんし、それは又非常な不公平な問題も起るでありましようから、料金を取つて、そうして独立採算制の下でやつておる。で、まさに蜘蛛の網の一々を点検すれば、もうまさに切れそうなものがあるにかかわらず、新らしく比較的細かい隅のほうまで網を張ることは、希望はいたします。その地方の人にとつては、死活の問題のようにも言うでありましよう、けれども国全体から考えれば、私はやはり既存のものが先ず安全感を得る見通しがついた上で、その基本の上に新らしい計画をされるのが本筋じやないかと思いますから、これは私の意見として一応大臣に聞いておいて頂きたいと思いますから、これに対する答弁は私は求めません。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 この予算が通つてから当然きますと思うのですが、新らしい建設線のきまる時期は大体いつ頃になるお見通しでありますか。
  30. 村上義一

    国務大臣村上義一君) どうも、すでに建設審議会は今日再開して頂いていると予想しておつたのでありますが、未だに欠員の補充を願えないという現状であるのであります。併しもう遠からず両院において欠員を指名して下さることと期待いたしております。従つて建設審議会が結成できますれば、まあ一月かそこらの間にはきめて頂けるのじやないかと実は思つておるのであります。併し、随分今日の客観情勢、なかなか委員各位も御苦心があると思うのでありまして、而も前刻来お話のように、十本前後の線を決定するというにつきましては、非常な審議会としては御苦心があるだろうと思います。果して一カ月で結論に達するかどうかはわかりませんが、私としては、まあ一カ月あれば何とか御答申を願えるのじやないかと考えております。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 この際一つ大臣方針を承わつておきたいと思うのですが、運賃の問題です。先ほどもちよつとお言葉の中にもあつたようですが、やほり国民としても、非常に経済的な影響の大きいものですから重要に考えておると思いますし、現在の国内産業の点から考えても、運賃問題が今後どういうふうにせられるであろうかということを考える人は多いと思うのです。そこで大臣として、運賃の問題については、まあこれ以上の運賃値上げというような国民負担にかかるようなことは避けて行くという御方針か、それとも諸物価が上つて来れば運賃の問題はそれに従つて解決をしなければならんものだというふうにお考えになるか、まあ申上げておることは、運賃に響影を及ぼすような、例えば電力であるとか、資材の値上りを、これを抑制することによつて運賃の値上げを結果的に来たすようなことを避けようという方針でお進みになるのか、そうでなしに、諸物価の高騰に従つて運賃というものはきめて行くのだというふうにお考えになるかということなんです。これに対する一つ方針を承わつておきたいと思います。
  32. 村上義一

    国務大臣村上義一君) これは、確たる見通しを申上げるということは、私として御遠慮したいと思うのでありますが、大体運賃は国民の直接負担になるという意味で、特に国有鉄道国民鉄道であるという見地から、今まで運賃にしわ寄せされて今日に至つておると私は思うのであります。諸物価の騰貴、又この前でしたか申述べましたごとく、自分どもが学校を出て国有鉄道に奉職いたしました時分に比較しますると、まあ葉書の値段と一キロの運賃とは同額であつたのであります。そういうことから考えますと今日五円と一円八十五銭という隔たりができて来ておるのであります。葉書も勿論国民の生活費に影響をするものではありまするけれども、特に国有鉄道の運賃につきましては、鉄道運賃法ができていて、両院協賛を得なければ直すことができないというような手続上の問題もありまして、今日まで国民の生活費漸増を抑制するしわ寄せにこれがなつて来ておると私は観察いたしておるのであります。で、一般物価がこれ以上上るという御仮定でのお話と承わりましたが、そういう場合には、勿論鉄道運賃もこれ以上しわ寄せを背負つて行くということは、又租税によつて一般国民が負担するということであるのでありますから、つまり、利用者が負担するか、国民全部が租税によつて負担するかということに相成りますので、その後者の方針を今までとられたために今日の設備の状況がもたらされたと私は観察いたしておるのであります。独立採算制で公社組織にする以上は、とにかく利用者において国鉄の運営費を負担するということが、これはプリンシプルでなければならんと思つておるのであります。自然私はいつどの程度に運賃の値上げを要するかというようなことは申上げかねまするが、今後運賃の増額ということはあり得ることだと自分は考えておるのであります。率直に自分の考えを述べた次第であります。
  33. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、運賃の値上げをこれ以上するべきではないという考え方に立つて案は御質問をしておるわけなんです。で、これは運賃の、私は国民にこれ以上の負担をかけるということを避けるためには、やはり政府の物価政策に関連を持つて来ると思いますが、一例を申上げると、今本国会に、非常に鉄道に必要な電柱、枕木等を、つまり木材の不足をしておる現状において十分賄うことができんというので、防腐加工をしたもので使わせようというような法案が出されるようにも承わつておるのであります。こういう資材を使うようになりますと、国鉄にしてもその他の私鉄にしても大量に使う資材ですから、それが運賃のコストに及ぼす影響というものは非常に大きいと思うのです。国の政策として、不足しておる、つまり電柱で言えば檜、枕木で言えば栗というようなものが足りない。それを補うために国の政策としてその他のものを代用する場合においては、それが運賃等に非常に大きな影響を及ぼすような場合は、それを何らか政府の責任でカバーして、そして運賃に及ぼす影響を避けるという必要が私は出て来るんじやないかと……。これは電力の値上げ問題が又発生して来ますと、やはり運賃に影響を及ぼして来るということも考えられますので、そうした点々私は極力避けることによつて運賃の値上げを避けて行く、こういう方針をとる必要があるんじやないかということを考えて、大臣のそれに対せる方針をお伺いしておるわけであります。そういう問題に対する一つ意見があつたら承わつてみたいと思います。
  34. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今鉄道用材等について、枕木、電柱等に防腐化学剤を注入するということを法律できめるというためにコストが高くなるという御意見がありましたが、勿論この法律案はお示しのような目的からスタートしておるものであります。その目的は頗る結構だと思うのでありまするが、併し鉄道等に対して與うる影響は頗る大きいということも憂慮いたしまして、それで今あの法律案につきましては殆んど国鉄には影響がないことに相成つております。私鉄のほうは、影響がないことはありませんが、栗とか又檜とかいうような材には注入する必要はないのでありまして、ただ松とかぶなとかいうものを活用する、枕木に活用する場合にクレオソートその他を注入するということを法律できめて、その木材の老朽化を防止しようという趣旨であるのであります。私鉄につきましては若干の影響はありますが、併し大なる影響はないはずだと実は考えておる次第であります。それから運賃の問題でありますが、根本におきまして今まで鉄道運賃の値上げを抑制して来たというこの趣旨は、今後も継続してやつて行かなければならんものだと考えております。ただ、今まで物価の高騰又は生活費の高騰を抑制するために、鉄道運賃が特に犠牲になつて来たということ々前刻私は申上げた次第でありまして、これ以上犠牲になるということはどういうものかということを私今日考えておりまするから、前刻のようなことを申上げた次第であります。
  35. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  36. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて。
  37. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 先ほど運輸大臣の御答弁になりました枕木の取替とか、線路補修にも関連のあることでありますが、この前いつでありましたか、この委員会で質問したことがありますが、それは東京、博多間に特急をやる計画であるということでありますが、その後一向そういことも聞かないのでありまして、そういう御計画があるのでありましようか。あるならば大体いつ頃から開始するのでありましようか。それを一つ
  38. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) お答え申上げます。お話のように東京、博多間の急行列車を……。
  39. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 特急です。
  40. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 動かしたいという計画は飽くまで捨てません。実は二六年度の下期からやりたいというつもりでおりましたところが、石炭の問題等が起きましたために、遂に実現に至らなかつたのでございますが、二十七年度において出炭の情勢、殊に貨物の情勢がどういうふうになりますか、それらをよく睨合せて、できるならば一つ御便利を図ることが今日の場合においては極めて必要であろうと考えております。
  41. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体二十七年度にはやれるというお見込みなんですか、どうなんですか。
  42. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それが今申上げましたように、貨物の情勢がどういうふうに変つて参りますか……。
  43. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私の言うのは旅客ですよ。
  44. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) いや、両方睨合ぜてやらなければいかんものですから、貨物の状況の如何によつては今日の場合やはり貨物というものが日本の再建、生産の上に重大な影響を及ぼすと……殊に石炭の問題、もうあらゆる面においてどうしてもやらなければならんと私は思つておるのであります。従いましてこの出荷情勢をよく見定めた上で、どれだけの輸送力を旅客のほうに持つて行けるかということに帰着して参ります。又出炭の模様又石炭の需給状況、それらからも実は制約を受けるわけでございます。
  45. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この線路状態ですね、補修その他についてはもう御心配はないわけですね。
  46. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは今日のところ山陽線には心配をしておりません。
  47. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは懇談会に移ります。    午後三時三十九分懇談会に移る    —————・—————    午後四時二十三分懇談会を終る
  48. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) これにて懇談会を終ります。本日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時二十四分散会