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国務大臣(
村上義一君)
建設線について先にお答え申上げたいと思いますが、二十億の
建設費は非常に過小だ、
一般国民の熾烈な
要望に比較しますと全く御説の
通りであります。これは合理的に、又経済的に
工事を行うとしますれば恐らく五、六本
程度だと思うのであります。まあなんぱ多くても十本くらいじやないかと思うのであります。二十億の
建設費では四十
キロを完成するに足るだけの
資金しか実はないのであります。誠に
国民の熾烈な
要望に対しては余りに過小であるということは、
前之園先生の御
意見全く同感であるのであります。ただ
国鉄の現状に顧みまして或いは取替
経費、或いは
電化費或いはその他の
改良工事費という点を
考え合せますと、必ずしも二十億で少いということも言えないと思うのでありまして、それは第一年度に二十億を使うとしますれば次の年度にはどうしても四十億乃至五十億を要するのであります。二十六年度では御
承知の
通り建設費としては少しも計上せられなか
つたのであります。ただ特に
皆さんがたの強い御
協力によりまして、二十億円を貨車の
車輌の
装備費として特に認められた、これは御記憶だと拜察しますが、無利子無期限の借入金であ
つたのであります。
建設費に極めてふさわしい性質のものだということで、
相当参議院においては勿論のこと、衆議院においても問題になりました。
併しながら当時朝鮮事変を契機といたしまして産業が発展いたしておりまして各地に少なからざる滞貨を持
つていたということで貨車及び
機関車等の増備が焦眉の急だということに相成りまして、やはり
予算に明記してある
通り車輌の増備ということに使用せられたのであります。勿論その当時
建設についても強い御
意見が
両院内にありまして、いろいろ
関係のかたがたのお骨折りによりまして、追加
予算に際しで
是非とも計上したい、計上しようということに相成
つてお
つたのであります。然るに追加
予算を編成する当時に至りまして、いよいよ各地における滯貨が輻湊したという次第で、全く
建設費に特に計上するということが、
補正予算の編成に際してはできなか
つたのであります。ただ
国鉄当局においてでき得る限り一般の
工事費から
捻出してでき得る限りの
建設をしようということに相成りまして、僅かに五億近くのものを
捻出して赤穂線その他三本の、一年間で完成する線だけを
建設したという次第であ
つたのでありまして、従
つて二十七年度の
建設費の
予算編成に
相当大きい
期待をお持ちにな
つていたということは、その間の事情からでも拜察できるのであります。何分にも
工事費の総額四百十七億しかないのでおります。今の現状から見ますると、この二十億という
新線建設費は、必ずしも他の面と比較して不当に少いとも言えないように
考えるのであります。私就任しましたときはもう
予算確定の最後の段階でありまして、そのときに
承知いたしまして、そろしていろいろ
検討しましたが、
只今申述べるような感想を抱きまして従
つて二十億に止め、原案の
通りにしたという次第であるのであります。それでこの
建設関係につきましては、これは
国民の一般の輿望が非常に強いということはもう明瞭でありまして、今後も恐らくどこまでや
つたらいいかということ、要するに鉄通網の密度をますます細かくして行くということも、
国民の一般の輿望に違いないと思うのであります。道路のごときは半額は何としても
地方で負担するということに相成
つております。
鉄道に限
つて全額中央で負担するということでありまする故に、
地方の輿望が道路より
鉄道と言われることは、これはそういう観点からしても尤も至極であります。一面、この後段で御
意見を伺いました
経費にな
つて来るのでありまするが、こういう殆んど無限の
国民の輿望に応えるためにはこれに応ずる巨額の
資金を
捻出して行かなければならん、現在の
日本の経済力におきましてこの輿望を満たすということは非常に困難である、今までのやり方で、つまり財政運用
資金からの借入で賄うということは所詮できないのじやないかと
考える次第であります。これには簡單に
考えれば運賃の値上ということも
考えられます。又一面におきましては、
日本国有鉄道法に明文のありまするように、
鉄道公債を発行して
資金を集める、
関係の
地方に特に
鉄道公債の買入をお願いするというようなことも又
一つの
方法であると思うのであります。併し又これは極端なことを申すようでありまするが、なお先刻
前之園先生からもひとり
電化は
幹線のみならず
地方支線も
電化を
要望するというお説がありました。これ又
地方の
要望としては各方面にあることだと思うのであります。で、
幹線又準
幹線と申しますか、大体それが何千
キロになるか、一万
キロになるかわりませんが、それですらも非常にこれは困難な業であります。なかなかこの今の
国有鉄道の経理形態におきまして、こういう巨大な
工事費を
捻出するということは殆んど不可能じやないかと
考えるのであります。自然
国有鉄道の経営であれば
地方の
支線が
電化せられるということは、特別の事由がない限りは殆んど御
期待に沿う時期は
ちよつと来ないように
考える、むしろそういう
地方の御
期待に応えるためには今の
地方の
支線ですね、
地方的
交通機関である、そういうことを
考え得る
支線を、現在の帳簿価格の何分かで、
地方の会社、
地方で作られる会社に委任経営をするというような
方法をと
つて、その会社で適切な
電化をするとか、或いは又ガソリン、カーを頻繁に
運転すると、大した資本金は必要ないのじやないかと実は
考えるのであります。そういうことも
一つの
方法じやないか、まあいろいうの
方法を講じて速かに
国有鉄道をして
国民の
要望に沿い得るように運営をする必要がある、こういう工合に私
考えておる次第であります。
一つこの機会にお願いするのでありますが、多大の関心をお持ちにな
つておる
皆さんがたに、どうぞ
一つ又御
意見をお聞かせ願いたいと思います。