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1952-02-05 第13回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月五日(火曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   委員の異動 二月四日委員森田豊壽君辞任につき、 その補欠として一松政二君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            高田  寛君            小泉 秀吉君    委員            一松 政二君            高木 正夫君            小野  哲君            小酒井義男君           前之園喜一郎君           深川榮左エ門君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君   政府委員    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君    運輸省鉄道監督    局長      荒木茂久二君    航空庁長官   大庭 哲夫君    航空庁次長   粟沢 一男君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸大臣官房観    光部長     間島治郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般運輸事情に関する調査の件  (昭和二十七年度運輸省関係及び日  本国有鉄道予算に関する件)  (観光事業に関する件)  (航空事情に関する件)   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) これより委員会を開会いたします。  先ず一般運輸事情に関する調査昭和二十七年度運輸省関係予算に関する件を議題といたします。政府当局から御説明を願います。
  3. 辻章男

    政府委員辻章男君) それでは私から昭和二十七年度運輸省所管予算大綱について御説明申上げます。お手許に参つておると思いまするが、別表一、二というのがございますが、別表一のほうが歳入予算でありまして、別表二のほうが歳出予算でございます。  先ず歳入予算でございますが、昭和二十七年度歳入予算額は、別表1の一頁に示してございます通り、九億五百七十九万六千円でございまして、これを前年度予算額十九億三千六百七十七万六千円に比較いたしますると十億三千九十八万円を減少することに相成りまするが、これは商船管理委員会の解散に伴いまして同委員会返納金、これは別表の第五頁の返納金という項目に該当いたしまするが、その返納金が五億七千百十一万三千円減少いたしましたこと、並びに海沒鉄屑等売拂代金、これも第五頁の国有財産売拂代の所に該当するわけでございまするが、この海沒鉄屑等売拂代金五億四千四百八十五万円等が減少したためでございます。  次に歳出予算について申上げます。別表第2の一頁に示しております通り昭和二十七年度予定経費要求額二百十六億三千三百五十四万円でございまして、これを前年度予算額百八十七億九千百七十二万九千円に比較いたしますると、二十八億四千百八十一万一千円の増加と相成ります。以下主なる事項につきまして別表2の組織事項の順序に従いまして御説明申上げます。  先ず組織運輸本省大臣官房でございまするが、大臣官房の第六項、第三頁にございますが、第六項の観光事業補助に必要な経費といたしまして六千五百万円を計上いたしております。これは全日本観光連盟をして国内観光宣伝又は日本交通公社をして外客誘致対外宣伝等事業を実施させるための補助金でございまして、前年度に比較いたしまして経費増加をいたしておりますのは、日本交通公社をして米国内観光宣伝事務所を開設せしめまして、活溌なる外客誘致宣伝を行わしめることにしたのがその主なる理由でございます。  次に海運局でございまするが、海運局の第八項に示しました帰還輸送に必要な経費について申上げます。この帰還輸送に必要な経費は、在外同胞の集団引揚輸送開始の際に、速かに船舶を配船してその輸送を円滑ならしめ得るように、高砂丸を待機繋船させておくために一千五百万円を計上いたしております。前年度に比較いたしまして経費が減少いたしておりますが、これは前年度には待機させます船舶の隻数も六隻ございましたし、又これに必要な運航費事務費等、全経費を計上したわけでございまするが、二十七年度には高砂丸裸傭船料のみを計上いたしましたのが減少の理由でございます。次に同じく海運局の第九項に定期航路補助に必要な経質といたしまして三千五百万円を計上いたしたのでございますが、これは公益上必要な最小限度輸送を確保するために航路の性質上、経営の困難な定期航路事業に対する補助金でございまして、前年度に比較いたしまして、経費増加いたしておりますのは補助対象航路を従来の二十六航路に対し、新たに六航路を追加いたしたためでございます。次に同じく海運局の第十の罹災木船再建資金貸付利子補給に必要な経費といたしまして七百六十万円を新規経費として計上いたしております。これは昨年のルース台風によりまして受けました木船損害復旧に必要な資金を融通する金融機関をして、低利に融資をなさしめるために、その利子差額補給をするために必要な経費でございます。  次に港湾局に参りまして、第四項の港湾施設修築費の三十八億七千五百六万円を計上しております。又同じく五に、災害復旧事業費として二十八億七千百八十八万九千円を計上いたしておりますが、これは港湾施設整備並びに昭和二十六年度以前の災害復旧事業を国が直接施行するための経費並びに地方公共団体又は港湾管理者が行う場合の事業費補助に必要な経費でございまして、前年度まではこれが総理府所管に計上されておつたのでありますが、二十七年度から方針を変更いたしまして、おのおの主務官庁に計上されることに相成りました関係上、港湾関係のものが運輸省に移つたわけであります。なお、北海道関係港湾事業費は五億一千五十万円を予定いたしておりますが、これは北海道開発庁所管予算として要求されております。  次に鉄道監督局についてでございますが、鉄道監督局の第五項に鉄道特別鉱害復旧補助に必要な経費七千二百四万二千円を計上いたしております。これは戰時中の石炭濫掘により、沈下いたしました北九洲地区鉄道線路を復旧いたしまして鉄道輸送の安全を確保しようとするものであります。同じく鉄道監督局の第六項に、北海道開発鉄道及び軌道補助に必要な経費といたしまして一千二百八十四万円を計上いたしておりますが、これは北海道拓殖促進上必要と認められまする地方鉄道及び軌道に対しまして補助をするために必要な経費でございます。  次に航空庁に入りまするが、航空庁の第三項に、航空無線標識所維持運営に必要な経費といたしまして九千四百五万九千円、同じく第四項に、航空燈台維持に必要な経費といたしまして四百九十三万七千円を計上いたしておりますが、これは民間航空安全確保のため必要な航空無線標識所十四カ所並びに航空燈台二十九カ所の維持運営のために必要な経費でございます。  次に航空庁第五項に航空法制定施行に伴う必要な経費といたしまして、六百八十三万五千円を計上しておりますが、これは国際基準に基きまして航空機運航の安全を図ると共に、航空事業に関する秩序を確立するため航空法を新たに制定いたしまして、航空機検査航空従事者検定試験及び航空交通管制等業務を処理するために必要な経費であります。次に同じく航空庁の第六項に、国内航空路線の拡張に必要な経費といたしまして一千百六十五万七千円を計上しております。同じく八に航空保安施設新設に必要な経費といたしまして四千六百六十一万一千円を計上しておりますが、これは民間航空機寄航地として新たに青森県三沢、及び仙台を追加するために通信施設等航空保安施設施設費と、これを維持運営するために必要な経費であります。次に同じく航空庁の第七項に、航空機乘員養成補助に必要な経費といたしまして三千万円を計上いたしておりますが、これは平和條発効後における我が国航空事業の健全なる発達を図るため、航空機操縦経験者米国に留学させるために必要な経費の一部を補助しようとするものでございます。  次に気象官署に移りますが、第六項に航空気象業務強化に必要な経費といたしまして二千二万七千円を計上しておりますが、これは航空庁の第二項で申上げました通り民間航空機密航地の追加に伴いまして、航空保安気象通報業務を実施するために必要な経費でございます。次に気象官署の第七項に鹿兒島地方気象台新設に必要な経費といたしまして三百二十二万円を計上いたしておりますが、これは鹿兒島測候所地方気象台に改組いたしまして予報業務強化して九州地方におきまする台風の被害を最小限度に防止しようとする趣旨のものでございます。  次に同じく気象官署の第八項に区内観測組織整備に必要な経費といたしまして三百六十四万八千円を計上いたしておりますが、これは国土の実態を科学的に把握して資源、産業開発等国土利用高度化並びに自然災害防除等国土保全の諸施設の樹立のための気象資料整備し、活用する目的で現在全国に千二百八十八区内観測所がございますが、このうち最も重要と思われまする二十カ所の観測精度向上を図るための施設整備に必要な経費でございます。  次に航海訓練所でございますが、これの第二項に練習船建造等に必要な経費といたしまして二億六千六百七十八万九千円を計上いたしております。これは商船大学及び商船学校学生生徒に対しまして海上実地訓練用の千五百総トン型練習船一隻を建造するために必要な経費でございまして、二十六年度予算に一億計上いたしておりますが、これと合せましてこの建造を完遂する経費でございます。  最後海上保安庁に関する経費でございますが、海上保安庁の第一項に海上警備救難費といたしまして三億三千三百十一万三千円を計上しておりますし、同じく管区海上保安本部の第一項に六十七億一千二百三万九千円を計上いたしておりますが、これは海上保安庁法の第二條に該当しておりまする海難救助並びに海上におきまする犯罪の予防、鎭圧、犯人の捜査及び逮捕に関する業務航路啓開に関する業務並びに海上保安大津海上保安学校及び海上保安訓練所運営に必要な経費でありまして、前年度に比較いたしまして経費増加をいたしておりますのは、海上におきまする警備救難業務強化するためでございます。次に海上保安庁の第二項に海上保安費といたしまして四億三千七百六十五万九千円を計上いたし、又管区海上保安本部の第二項に八億二千四百三十七万三千円を計上いたしておりますが、これは海事検査業務燈台水路業務並びに燈台部及び水路部職員の養成を行うための海上保安学校経費等でございます。次に海上保安庁の第三項に航路標識整備費といたしまして三億四千六百八万五千円、同じく筋四項に航路標識災害復旧事業費といたしまして二億六百十七万四千円を計上いたしております。これは燈台百一カ所、浮標四十四基、無線航路標識二カ所、浮標基地二カ所の整備復旧等に必要な経費でありまして、公共事業費といたしまして前年度までは総理府所管に計上されていたのでありますが、港湾局のほうで申上げましたが、方針の変更によりまして二十七年度よりは海上保安庁のほうに計上されることに相成つたものでございます。次に海上保安庁の第五項に、海上保安施設費といたしまして三千二百四十九万円、同じく管区海上保安本部第三項に三億七百十二万九千円を計上いたしておりますが、これは巡視船へのレーダーの取付け、燈台見廻用船の購入並びに船員詰所の新営等海上保安行政上必要な施設のための経費でございます。次に管区海上保安本部第四項に、爆薬処理費といたしまして三千一百四十四万五千円を計上いたしておりますが、これは総司令部からの日本政府宛覚書に基きまして浮流機雷漂着機雷及び海中にありまする一切の爆薬兵器類の処分に関する事務を行うために必要な経費でございます。  以上が運輸省所管予算概要でございます。
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今政府当局より説明のありました昭和二十七年度運輸省関係予算に対して御質問おありのかたは御質問を願います。  それでは引続いて日本国有鉄道予算について当局説明を願います。
  5. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 昭和二十七年度日本国有鉄道予算概要について御説明申上げます。予算説明に入ります前に先ず本年度事業計画大綱について申上げます。  輸送計価でございますが、昭和二十七年度輸送計画は、講和條発効後における情勢に対処するため施設車両整備と保守の向上を図り以て輸送力強化し、サービス改善を図る目途を以て計画を樹立したのであります。鉄道による輸送量は、昨年度旅客貨物とも漸増の傾向を示しておりますので、旅客輸送人員は対前年度増三・五%三十三億七千八百万人、人キロでは七百八十六億万人キロと策定いたし、貨物輸送トン数は一億六千万トンを目標に対前年度一・九%増とし、トンキロにおいて三百九十七億トンキロを計上しております。これら旅客貨物輸送に要する列車粁は三億二千八百万キロで対前年度五%の増加なつております。  次に工事計画であります。工事計画施設維持及び取替補充に留意すると共に必要なる輸送力強化に力を注いでおります。その主なるものは車両関係としては貨車及び蒸気機関車電気機関車、電車、客車等の新造のほか客貨車改造等でありまして二十七年度輸送確保に重点を置いたのであります。次いで経営合理化大宗である電化設備については前年度より継続の浜松、姫路間の電化のほか上野、高崎間の残工事等を予定しております。昨年度における新線建設は津軽、赤穗、窪川の三線が計上せられましたが、本年度建設審議会の答申を待つて内容を決定いたすことにして二十億円を計上しております。以上による工事費総額は四百十六億円であります。  次に要員計画でありますが、以上の諸計画を実施するに要する職員数は四十四万六千九百十九人でありまして、これは昭和二十六年九月末の実人員四十六万九千百五十一人を基礎に二十六年十月より二十七年三月迄の整理人員二万二千二百三十二人を差引いた人員であります。従来とり来たつた自然退職者に対する欠員不補充方針はこれを改め、更に二十七年度に於ける輸送増に対処するため特に超過勤務等の形で約七千八百人程度が見込まれております。このほか昨年度日本国有鉄道法改正により認められた休職制度により長期欠勤者一万三千二百五十一人については予算上の措置がとられております。  次に予算内容に入りますが、昭和二十七年度日本国有鉄道歳入歳出予算について説明申上げます。以上の諸計画を織り込みました予算総額は、歳入歳出共に二千五百十六億円でありまして、この中には工事勘定における財源として損益勘定より受入れる三百四億円が重複計上されていますので、差引きますと、純計では二千二百十二億円となりますが、これを損益工事勘定について申上げます。  昭和二十七年度損益勘定予算物価騰貴給與改訂輸送力増強運賃値上げ等を織り込んだ前年度補正予算ベースの上に立つて組まれております。その後最近の輸送量増加を加味し、旅客一千四十二億円、貨物一千八億円のほか雑收入等を合せて二千九十九億円の收入を見込んでおります。経営費について見ますに、人件費関係では一万八百二十四円ベースに二十七年度の昇給を見込み一人当り一万一千七十五円としておりますが、この他昨年度は計上されていなかつた特別手当、即ちボーナスとして半月分が見込まれ、そのほか休職手当等併せて給與総額としては五百八十六億円となつております。又物件関係では動力費大宗である石炭については、トン当り五千五百八十一円、六百十二万トンとして三百四十一億円、修繕費五百十四億円、その他業務費等を併せて経営費総額は千七百二十七億円であります。このほかに減価償却費は二十六年度同様帳簿価格基礎として三十七億円、特別補充取替費二百六十六億円、利子四十七億円、予備費二十億円及び借入金返還のため一億三千五百万円が計上されております。合せて二千九十九億円となつております。  次に工事勘定について申上げます。計画のあらましは前に述べました通りでありますが、その主なものは新線建設電化車両でありまして、このほか出資としての一億一千二百万円は帝都高速度交通営団の増資に併うもので神田、池袋間の建設に当てられることになつております。これ等に要する財源として資金運用部よりの借入金百十億円、不用品等売却收入二億九千万円、減価償却相当額として損益勘定よりの受入三百四億円総計四百十七億円となつております。  最後日本国有鉄道財政につきまして、今後の見通しを申上げますと、昨年御承認を得ました運賃改正により国鉄財政は漸く健全な姿を維持し得ることとなりますので、講和條約成立後の日本経済の安定に資するため公共企業体としてより一層の能率向上を計り、サービス改善に努めますと共に経営合理化を行い、経費節減に努力いたすよう指導監督いたしたい所存でございます。  以上昭和二十七年度日本国有鉄道予算大綱につき御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことを切望いたします。
  6. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今国有鉄道予算に関して御質疑がおありと思いまするが、後ほどにして頂きまして、大臣が見えましたから、観光事業現況について政府より説明を願います。
  7. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) それでは我が国におきまする国際観光事業現況につきまして簡單に御報告申上げます。  先ず最初に最近におきまする外客日本に参ります入国状況趨勢でございまするが、一昨年朝鮮事変が起りましてからその影響を受けまして、約半年の間は相当旅行の申込の取消等もありまして、予想よりも減つて参つたのであります。併し年が明けましてからは、逐次回復の兆が見えまして、昨年の春におきましてはさほど朝鮮事変影響実績の上には現われておらないようになつて参りました。その後受入態勢も幾分整備されて参りましたし、又対外宣伝等も逐次強化して参りましたので、逐月上昇傾向を辿つております。昨年と一昨年と比較して見ますと、一昨昭和二十五年の暦年におきましては、外客入国数は二万一千三百人で、その推定消費額は九百九十四万ドル、約一千万ドルでありました。ところが昨年の一月から十一月末までの実績は、十二月はまだ出ておりませんので、十一月末までの実績で申上げますと、入国外客数は五万一千六百人、その推定消費額が一千三百五十六万ドルという状況を見ておるのであります。尤も御了解を願いたいのは、一昨年の九月から出入国管理庁ができまして、従来は主要港のみで外客入国を押えておりましたのを、日本のすべての港でチエツクすることができるようになりまして、一昨年の九月からは実際日本に入つて来る外客数字を集めるようなことができるようになりまして、その結果、従来統計に載つておらなかつたものが載るようたなつたこともございますが、併しそういつたことを考慮に入れましても大体昭和二十六年においては、二十五年の四割増という結果に相成つておるのであります。こういうふうに昭和二十六年は二十五年に比しかなり上昇傾向を見せて参つたのであります。併しそれでは戰前規模と比べてどうかということでございますが、戰前最盛期は、昭和十一年或いは十二年の頃でございますが、当時は入国外客数は約四万五千人で、円にいたしましてその消費額が約一億円いう実績を示しております。人員については二十六年のほうが多いようでございますが、これも実は戰前統計と少し実はとり方が違いまして、戰後統計におきましては我々が一時上陸客と申しておりまするが、船が横浜や神戸に碇泊しておりまする間に上陸をいたしまして見物をするような外客、こういうようなものも数字に入れておるのであります。それが昭和二十六年においては約三万人ございます。消費額は大したことはございませんが、その数が非常に多いのであります。これを差引きますと、昭和二十六年におきましては外客数は約二万足らずということになるのであります。戰前規模から見ますと、まだ二分の一以下、大体三分の一程度と御了解を願えばよいと思うのであります。更にその上戰前に比べますといろいろ宿泊設備関係もありますし、その他の関係もありまして、滯在日数戰前ほど長くございませんので、そういつたことも考慮いたしますと、現在までのところまだ戰前の三分の一、或いは四分の一程度規模国際観光事業であると言つて差支えはないと存ずるのであります。大体趨勢はそういうふうになつております。  今後の見通しといたしましては、本年におきましては、大体この春頃にいよいよ講和條約も発効いたしますので、従来心理的にも非常に大きな影響を與えておりましたが、占領というものがなくなるということは、国際観光事業にとりましても非常に大きなプラスでありますが、更に現実的には一番受入態勢で隘路でありました宿泊施設大幅接收解除ということも予想せられますので、そういつた客観情勢が非常によくなり、我々といたしましては大体本年は二十六年の三割増という、少し内輪とも思いますが、一応三割という数字を予想いたしておるのであります。人員及び消費額におきまして本年は三割増というふうな想定をいたしておるのであります。殊に今年の四月、五月の春のシーズンを控えましては、現にハワイ或いはアメリカあたりにおきまして日本観光団が相当たくさん募集せられておりまして、現在交通交社等にすでに申込みのあるものでも、本年内に六十数団体を数えておりまして、そのうち半分以上はこの四月、五月頃を目指しておるのであります。この四月、五月の時期におきましては、むしろ太平洋の輸送力が果して間に合うかどうかということが実は問題になつておるくらいでございます。こういうふうな情勢に対応いたしまして、運輸省といたしましてもいろいろの政策を考えておりますが、先ず第一に、できるだけ多く日本誘致いたしまするための対外観光宣伝を増強するという問題がございます。又更に従来は外国の旅行業者、或いは飛行機会社船会社等に頼みまして宣伝をいたしまして、又向うと連絡しまするにつきましても、一々手紙の往復等によりましてこちらの旅行事情を伝えるというような、非常に迂遠な方法をとつておつたのでありますが、どうしても戰前にありましたような在米観光宣伝事務所というようなものを設置いたしまして、アメリカにおきまする宣伝の基地といたしますると同時に、旅行に関する具体的なインフォーメーシヨンを與える必要がありますので、来年度におきましてはこれを設置する計画をいたしておるのでありまして、予算といたしましても、昭和二十六年度におきましては観光事業補助金が三千五百万円でございましたが、来年度は三千万円を増額いたしまして六千五百万円というものを二十七年度予算に計上いたしまして、こうした費用に充てるつもりでございます。更に受入態勢整備につきましては、目下接收ホテルの全面的な解除につきまして外務省を通じて折衝いたしております。その効果が相当あるようでありまして、現に新聞でも御承知の通り渉外局でその一部を発表いたしたような次第でございます。又我々といたしましてはこの機会にその他の施設或いは道路或いは交通機関というふうなものの整備にも力をいたしますると同時に、従来もやつておりましたが、国内の美化、緑化というような啓蒙運動もこの機会に大いにやりたいというふうな計画を持つておるのであります。又サービス改善につきましても、戰前世界の各国の外客からかなり評価されておりました日本サービスも、戦争中及び戰後を通じてかなり低下しておりまして、外客の中にもかなり批判的な言葉を述べておるのであります。こういつたサービス面改善につきましても力をいたしたいと存じておるような次第でございます。簡單でございますが……。
  8. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今政府説明に対して御質問がございましたらどうぞ御質問をお願いします。
  9. 高木正夫

    ○高木正夫君 質問じやないのですが、ちよつとお願いして置きたい。只今説明の資料を頂戴できたらお願いしたいと思います。
  10. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 承知いたしました。
  11. 高田寛

    ○高田寛君 今講和條約もその効力を発生しようとするこの際に、観光事業ということに非常に力を入れるという今のお話は非常に結構なことに伺つたのですが、今観光事業についていろいろヨーロツパ各国が力を入れておる。特にアメリカとしても観光客をできるだけ国外に送りまして、国外でドルを消費させて、又外国からアメリカの物資に対する購買力を増加させると、こういうような方策をアメリカもとつておると私は考えておるのでありますが、こういう際に日本に対する観光客をもつと積極的に殖やす方法、これは各国がやつておるところでありますが、日本としてももう少しこれらを積極的にやらなければならんと思つておるこの際に、近頃この障害として私どもの耳に入るのは、日本旅行費用が高過ぎるという点であります。戰前においては今の観光部長の御説明通り、四万人以上も観光客が来て、盛んなときは一年に三千万ドルくらいの観光收入があつたと記憶するのでありまするが、尤も当時は日本の滯在費というものは諸外国に比べて安かつたという強みがあつたのでありますが、今日では日本の滯在費と日本内の旅行費というものは欧州各国よりも高いということを外国の旅行業者又は外国から来る観光客から頻りに聞かされるのでありますが、この旅行費が高いということについて運輸大臣はどうお考えになつておられるか伺いたいのでありますが、私の考えとしては、これはまあ高いと思う。なぜ高いかというと、第一に滯在費、と言いましてもホテルの問題、戰後にできたホテルは短期の高利の利息の付くような資金で建てたためにコストが高くなるというような点もあると思います。又遊興飲食税というものが二割と、世界に類のないような高い遊興飲食税をかけられておるために高いというような点もあると思います。又ホテルなどの固定資産税というものが高過ぎるという点もあると思います。又二面自動車料金も高過ぎる。或いは又日本旅行についてはまだガイドが必要である、ガイド料金というものも加算するから高くなるというような点もある。こういうような事情が重なつ日本旅行費が高いという現象になつておると思うのでありますが、又一方、こういう業者が積極的にもつと料金を安くしなければならんという関係業者の根本的の考え方という点にも問題が多分にある。こんなような点が重なつて高くなつておるんだと思うのでありますが、こういうような旅行費が高いというこの点について大臣はどうお考えになるか。又これを高いとすれば、引下げるためにどういうようなお考えを持つておられるか、この点一つお尋ねいたしたいと思います。
  12. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 只今お話の通り、以前には日本の特異性ある観光資源が大いに欧米人にアトラクシヨンであつたということもさることながら、お説のごとく旅行費が比較的低廉であるということが非常な魅力であつたと私も思うのであります。然るに最近におきましては、それが全く逆転しておるということでありまするので、ニユーヨークを初めその他ツーリスト・マーケツトに宣伝機関を設けて外客誘致に当るということももとよりこれはやらんければなりませんが、受入態勢がお説のごとく非常に欠点があるということは非常な問題だと思うのであります。過日も、これは特別のかただと思いますけれども、一日平均四十三ドルを要したということで、世界中で最も日本旅行の費用の多く要る場所だというような説も聞いたのであります。これを是非とも安くするということがツーリスト事業を盛んならしめて、貿易外の收入を多からしめる、特にドルの獲得に貢献するという上において必要だと思うのであります。で、旅行費が高いということは、今も部長が話しましたごとく、日本に参る乘物の運賃が高いということも一つの理由であると思うのであります。勿論遠隔の地でありますから、飛行機の運賃にしましても又船運賃にしましても高いというのはもとより当然でありまするが、併し当然という以上に今日高いというふうに感ずるのでありまして、これは先般ハワイで開かれました旅行に関する国際会議におきましてもこの問題が取上げられたのでありまして、是非とも飛行機の運賃なり又船運賃というものの引下げを実現せしめたい。一方日本内地におきましての自動車賃も又高いということを聞かされるのであります。勿論自動車の発達の程度米国等に比較して雲泥の差があるということから生じておることに違いないのでありますが、これは自動車の発達と同時に道路の整備ということにも力をいたして、内地旅行中における自動車料金の低廉ということも是非実現せしめたいと念願しておる次第でありますが、最も主なる点は、やはり今御指摘になりましたように、ホテルが足りないということにあると思うのであります。而も大部分のツーリスト・ホテルが占拠せられまして、終戰後にできたホテルはいずれも建設費が高額であるということから胚胎しておると思うのでありますけれども、根本はやはりホテルが足りない。つまり需要に対して供給が少い。従つて何と申しますか、ホテル業者の勉強が足りないという点にあると思うのであります。御承知の通り、相当ホテルの占拠も解除せられつつあります。特に運輸省としましては、ツーリスト・ポイント及びその順路におけるホテルの全面的な返還を外務省を通じて要望しておるような次第であります。大体において希望は達成せられるものと期待いたしておるのでありまして、ホテルの占領が解除せられましたならば、大部分の解除ができましたならば、自然宿泊料もノルマルな料金になつて行くというふうに考えておるのであります。  なお御指摘になりました税金でありまするが、固定資産税のごとき、終戰後非常な高額な建設費を投じてできたものに対して固定資産税が賦課される。勿論登録ホテルに対しましては、国際観光ホテルの整備法にも不均一税の賦課を規定せられておりますので、十二、三県におきましては、大体半額程度の固定資産税になつておりまするが、併しそれにしてもなお経営者の負担は大きいのでありまして、ために宿泊料のコストに非常な影響があることはもとよりであります。なお遊興飲食税も宿泊料に対して相当大きい影響があることは明瞭でありまして、バイヤース・ホテルが今日まで無税であることは御承知の通りであります。現在遊興を伴わざる飲食税に対しましては二割ということになつておりますが、これを一割に減らすということを今進めつつあるような次第であります。併し現在のところ、税法の改正につきましてはなおGHQの意向も尊重せんければならないのでありまして、なおこの交渉がどういうことに落着きますか、相当難航をしておるやに承知いたしておるような次第であります。いずれにしても、遊興飲食税を軽減する、又固定資産税の特別取扱をいたすということは、是非とも実現せしめたいと念願いたしておる次第であります。  なおガイドのお話がありましたが、これ又誠に御尤も至極でありまして、国語の違うという関係上、今日一日千円というのが大体の相場のようであります。この千円の日給以外に、やはり宿泊料、運賃等もその雇主が拂わんければならんという実情にあるのでありまして、若し自動車の運転手がガイドも兼ねられる、昔東京あたりの見物、内地人の見物に対して人力車夫がガイドをした、案内をしたというような式に自動車の運転手自体がガイドもできるというようなことになりますれば、誠に旅費の軽減になると思いますが、これはちよつと望み得ないと思うのであります。どうしても関係している従事員が盡力をするということ、更に旅行慣れたツーリストならばガイドなしに歩けるという手引きを捕えることも極めて必要だと思うのでありまして、今戰前にありましたオフイツシヤル・ガイドを改版しつつあるのであります。改版のために約二百万円の経費を計上したことは御承知の通りであります。本年末には是非出版いたしたいと考えているような次第であります。その他ツーリスト円を作るとか或いは又今後建設せられるホテルの資金に対しまして長期低利の融資を考慮するということももとより必要なことであると信じておりますが、併し見返資金ももう微細に相成りまして、本年度の分でも神戸のホテルは見返資金の貸與ができましたが、今日名古屋におけるホテルの見返資金は、まあ一旦きまつておつたものが又問題になつているというような実情に置かれてあるのであります。なお開発銀行等からの融資としましても、これは長期ではありまするが低利とは言えないのでありまして、のみならず一方において建築制限、これは特殊の理由のために建築制限が行われているという現状でありまして、なかなか新たにホテルを作つて行くということは希望しても困難じやないかというふうに、特殊の方法を講ぜざる限りは困難ではないかと思つているのであります。むしろまあ占拠中のホテルを解除、返還してもらいたいということに努力をすることが効果的だと考えて、その面に最善をいたしているような次第であります。
  13. 高田寛

    ○高田寛君 今ホテルのことについていろいろと詳しく御説明を伺いましたが、ホテルの接收がだんだんと解除されて来るということは非常に喜ばしいことで、又今後なお解除されるごとと思うのでありますが、併しまあこれが解除されてもなお且つ戰災を受けたホテルも相当あるし、ホテルの新設というようなことは今後も必要なことであろうと思うのであります。又今後ホテルの問題と別に、又日本観光事業の観光客を特にアメリカから呼ぶということについて障害になるのは、やはり太平洋の運賃というものが相当高いということだと思います。大西洋の飛行機運賃などもだんだんと引下げるような計画を聞いておるのでありますが、まあ太平洋横断の外国の船運賃、飛行機運賃というようなものがなお引下げるような傾向にあるのかどうかということもお尋ねいたしたいのでありますが、又併せて戰前には日本の船が太平洋を横断して相当安い運賃でお客を運んでいた。一等の運賃にしても相当安かつた。それが今日では戰前のドルにしても倍ぐらいな運賃になつているのでありますが、日本の船が太平洋のお客を運ぶことができれば、これ又相当安くなるという見通しもつくのでありますが、外国の船会社、飛行機会社などが運賃を下げるというような見通しがあるかどうか。又日本の船が太平洋横断のお客を運ぶというような時期が近付く見通しがあるのかどうか、この点についてお伺いしたいのであります。
  14. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 只今の御質問に対しましてお答えいたします。太平洋の運賃引下の見通しがあるかどうかということでございまするが、これは先ほど大臣が申上げましたごとく、一月の中旬にハワイのホノルルで開催せられました太平洋地域の観光会議の際に、太平洋運賃という問題がやはり出ました。その席上におきましてパン・アメリカン航空会社が従来太平洋で運航しておりまする飛行便に比べましてサービスは少し落しまして定員は殖やす、そうしてサービスは或る程度落すことによりまして、運賃は比較的安く、大体現行よりも四割弱程度の運賃、ツーリスト・グラフというものを作るということを言明したようであります。これは大要洋におきましてもパン・アメリカンがこれを実施すべく各社に呼びかけたそうでありますが、現在までのところ同意が得られておらない。併しパン・アメリカンは各社の同意がなくても、自分一社だけでもこれを実施するという強い意思を持つているようであります。太平洋観光会議の出席者からのお話によりますと、いろいろ運賃決定につきましては、やはり政府機関の承認も必要であり、その他飛行機の準備もあるので、大体来年の三月頃から実施したい意向であるということを言つたようであります。若しこれが実施せられまするならば、恐らく各社も遠からずこれに追随することでありましようし、又船会社のほうも船運賃との差が殆んどなくなりますので、或る程度運賃を引下げざるを得ないという結果になるのではないかと思うのであります。又我々観光関係の者といたしましては、できれば早く日本航空機、或いは船舶が太平洋を運航することの一日も早いことを希望するのでありますが、これは国際情勢もあり、又実際問題といたしまして、例えば旅客船のごときは、船会社としては現在の経済情勢の下におきましては、事業としてペイしないということを言つておられるのであります。これは各国の趨勢を見ましても或る程度政府の助成ということが必要だと思うのでありますが、今直ちにこれを実施することは、国際関係等もあり困難だとは存じますが、併し私どもといたしましては一日も早く太平洋に日本船舶が、日本旅客船が渡航するということを希望しております。又現地に、私も一昨年参りましたが、ハワイ或いは北米におります邦人は日本の船が来ることの一刻も早いことを待望しております。これはただ運賃という問題だけでなしに、やはりサービスの問題から申しまして、外国船ではどうしてもやはり我々に対するサービスがよくない。又言葉の関係もありまして、日本人としても非常に不便な点があるわけでありまして、できるだけ早く何とか日本船を廻わしてもらいたいというような熾烈な希望があるのを見たのであります。今直ちにこれを実施するということは不可能ではないかと存じております。
  15. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) ちよつと船の関係につきまして一言補足いたして置きたいと思うのであります。御承知の通り今新造船の建設については政府も非常な努力を拂つて来ておるのであります。併しながら改造船又外国船の買船というものを加えて今百五十万トン外国航路の適格船、即ちクラス・ボートというものが百五十万トン程度でありまして、日本の輸出入物資の三〇%を漸く日本船で運んでおるに過ぎないのであります。どうしても目標である五〇%に一日も早く到達したいと考えてあらゆる努力を拂つておるような次第であります。併し旅客船につきましても、只今部長が申しましたごとく、是非とも東西の航路に対して運航せしめるようにせんければならん。特に太平洋に対しましては極めて重要であると信じております。今日貨物船の僅か六つか十くらいのキヤビンがいつも満員であるというような点から見ましても、相当船舶によつて日米間の旅行を希望しておられる人が多いということを意味するのであると思う。飛行機につきましても、日本の航空会社がサンフランシスコに達する、或いは更に南下して南米の航空路を持つということも、平和條発効後においては至急に設定しなければならん課題であると思うのであります。同時に船舶につきましても旅客船を運航せしめるということは、どうしてもやらんならんことだと思うのであります。ただ今船価が非常に高いということ、従つて船運賃が相当な額になつて、相当な額でありましてもなお且つ採算が困難だということで船会社の意欲もなお進まないような状態であります。何らかの方法を講じて速かに日本の国旗の下に運航する船が太平洋上を往還するように是非したいと念願しておる次第であります。
  16. 高田寛

    ○高田寛君 外国の観光客を多く引くというような方法として、フランスなどは高級のみやげ品を外国の観光客に対しては一二%も税金を免除している。イギリスでもやはり一五%の税金を免除しているというような方法を講じて、非常に外国の観光客にその国の産物をたくさん買わせ、又そういうものを買い漁るというようなことで滯在を長くさせるというような方法を講じておると思うのですが、こういうような点について今後の行き方としてどんなお考えを持つておられるか、それをちよつとお伺いしたいのであります。
  17. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 只今お話の、観光客が買求める観光みやげ品に対する物品税の軽減というような問題について御質問でありますが、今高田委員からお話のごとく、外国ではそういつた制度を実施しておる所もございまして、実は私どもも、御存じかと思いますが、昨年国際観光みやげ品協会というものを作りまして、主として外客を対象としてみやげ品を販売いたしておりまする有力な業者の集まりました団体ができました。運輸省としてもこれにいろいろ精神的な援助をいたしておるのであります。こういつた団体からもかねてからそういつた方法について何か政府として考えてもらうことはできないかというふうな申出もありまして、私どももいろいろ研究はいたしておるのであります。ただ方法といたしまして、こういうふうな物品税を軽減するというふうな方法、或いは又、ホテルにつきましては、遊興飲食税或いは固定資産税を軽減するというふうな個々の税金を軽減するような方法でやるか、或いは先ほどお話のありましたツーリスト円というふうなもう一つ普通のレートと違つた、旅行者に有利なレートを設定することによつて日本旅行を割安ならしむる方法を講ずるか、どちらがいいかということも一つの問題ではないかと感じておるのであります。こういう問題につきましても、従来は占領下にありまして、いろいろ対策を講じましてもなかなか観光事業の足も伸びなかつたのでありますが、講和條発効後を期しまして、非常に大きな飛躍が期待せられますので、十分又至急にこの点を研究いたしまして善処いたしたいと考えておる次第であります。
  18. 高田寛

    ○高田寛君 最後にもう一つ伺いますが、今飛行機で旅行するということが世界各国非常に多くなつて来て、日本に来る観光客も半分は飛行機で来ておると思うのでありますが、この飛行場の施設なぞを非常に整える。第一きれいにする。それからそこに発着するお客の休息するような設備を整えるということが、これは世界各国の今の趨勢だと思うのでありますが、先ほど説明を伺つた運輸省の二十七年度予算には、飛行場の整備というようなことが一つも載つていないという点は甚だ私不満に感じておるのですが、この飛行場の整備、その国の玄関口である飛行場を整備する。又その飛行場から都市の中心に至る道路をきれいにする。そうしてその第一歩を踏み込んだ外国のお客に対する印象をよくするというようなことは是非必要だと思うのでありますが、この飛行場の整備というようなことについてどんなお考えを持つておられるか、又どんな見通しを持つておられるか、一つこの点をお伺いしたいと思います。
  19. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) ちよつと今の問題につきまして御回答いたしたいと思います。飛行場の整備につきましては、実は二十七年度にもいささか計上してあつたのでありますが、日本の国家経済上の問題から一応削除された問題でありますが、この問題につきましては、今高田委員からもお話がありました通りに、日本の表玄関である飛行場の整備、特に羽田の現状というものは誠に歎かわしい状況にあるわけであります。今後殖えるであろう国際航空機の機数というものに対しましても、羽田などはもうすでに狹隘の域に達しておる。或いは羽田の国道から飛行場へ入る間の道路というものは相当表玄関として恥しい状況にある。これらを改善すべく予算は提出していたのでありますが、国家財政の問題で一応削除されて、誠に申訳のない次第になつておるわけなのでありますが、航空庁としましては、漸次計画を整えまして、次の機会にそれを計上いたす所存であります。
  20. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この現在あるホテル、それから新設されるもの、或いは返還されるもの、それらの資料を一つ頂きたいと思うのであります。それから宿泊施設の全然ない所に対して、或いは将来できる見込みのない所が相当ありますね、そういうところに対しては運輸省として適当に援助或いは指導をして施設をされる御計画があるのかどうか。やるならばどういう所にやられるおつもりであるか。それから先ほど運輸大臣からお話がありましたように、建設費、設備費に見返資金の融資もできない状態になつた場合に、それらに対する金融に対しても、或いは又資材等に対しても、運輸省は相当に援助をされるつもりであるのかどうか、それらの具体的な点について御説明願いたいと思います。
  21. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) お答え申上げます。最初のホテルの現況につきましては後刻資料として御提出申上げます。それから宿泊施設がない所或いは乏しいような所に、新らしくホテルを造るようなことを考えておるかというふうな御質問だつたと存じますが、これにつきましては、勿論今後の接收解除状況と睨み合わせなければならないわけであります。ですからはつきり具体的な計画は、まだ今のところ立てるところに参らないのでありますが、併し我々といたしましては、例えばこの東京なんかにつきましては、接收解除は勿論或る程度予想いたしておりますが、併し接收解除後におきましても或る程度アメリカ側の要求でホテルのスペースを提供するという問題は、当然起きて来るわけです。これはやはり勘定に入れなければならんわけです。そういつた点も或る程度勘定に入れまして、将来の予想を立ててみますと、東京都内或いは横浜等におきましては、まだホテルが或る程度足らないという数字が出て来るのであります。そういう結果が出まして、一番大きな隘路は、東京、横浜地区におけるホテル施設でありますので、私どもとしましては、東京或いは横浜というものにおきまするホテル建設計画が、現在相当有力な手で計画されておりますので、これにつきましては、最小限度どうしても資金の斡旋をしなければいけないというふうな考え方で、現在経済安定本部等とも交渉を進めておるのであります。その他の地区につきましては、現在考えておりますのは、大阪附近がやはり同様な事情で、東京ほどひどくありませんが、やはり宿泊施設が接收解除後におきましても、いろいろな條件を勘案いたしますと、まだ少し足りないという結果が出て参ります。この方面も或る程度やりたいという考えを持つております。その他の地区におきましては、接收解除ができるかどうか。又接收解除後、軍にどの程度使わせるかというような問題とも睨み合せなければなりませんので、具体的な計画は持つておりませんし、又地方におきましても現在までのところ、そう具体性のある計画は殆んどないのであります。尤もそう観光上重要でない地点で、ホテル建設計画があるのは幾つかございまするが、併し観光地或いは観光基地である都市におきまして、現在具体的な計画を進めておるのは殆んどない現状でございます。それから一般的にそれではホテルの改良或いは新設というふうなものにつきまして、どういうふうな助成案を考えておるかというふうな最後の御質問だつたと思いますが、この点につきましては、実は運輸省としましては二年ほど前から外客宿泊施設整備に関しまする融資斡旋の方策をとつて参りまして、最初は御承知の通り、こういつたホテル事業、旅館事業に対する資金の融資順位は丙種でありましたのを、我々のほうで計画を審査いたしまして、外客接遇上妥当だと認めたものに対しては、大蔵省と協議いたしまして、これを甲種に引上げるという措置をとり、又日本銀行と協議いたしまして、日本銀行の融資斡旋の線に乘せまして、日本銀行の本店から支店に融資斡旋の資料を出すというような方法を従来やつて参つたのであります。ただこの大部分のものは、従来ありまするホテル或いは旅館の施設の改良というものが中心でありまして、一部増築があります。極く僅か新築がございますが、大部分はホテル施設或いは旅館施設を、外客の宿泊に適するように改良するという趣旨のものでございますが、これを二年来続けて参りました。ところがその後、日本銀行の融資斡旋というものをやらないという建前になりましたので、一年ばかり前からは資金の融資順位を引上げるというだけの措置をとつております。まあ銀行が幾分貸し易くなるというだけのことでありますので、運輸省といたしましては、その手助けをするというので、その融資順位の引上げの措置をとつておるのであります。ところが御承知だと思いますが、昨年あたりから又様子が変りまして、設備資金を極力抑制するというふうな金融政策の線が出ましたので、その後も勿論或る程度貸出はやつておりますが、併しそれ以前に比べますと、かなり減つておるのが実情であります。併し現在までのところそういつた融資斡旋の線に乘りまして、ホテル或いは旅館の設備の改良或いは増築或いは新築等に出しました資金総額は、約六億六千万円に上つておるのであります。なお今後は、現在におきましてはそういつた設備資金抑制の線がございまするが、我々といたしましては最小限度外客の接遇に必要な施設等につきましては、今後ともできるだけそういつた資金の斡旋に努めたいと思います。
  22. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 先ほどの資料と一緒に極く最近の外客の観光ルートをお調べになつておるのがあると思いますが、それも一つ何か一年前のでもあつたら頂きたいと思います。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 ホテルの関係でお尋ねしたいのですが、今後民間の建物をホテルに転用するために、たしか通産省のほうから資金が出て、いろいろな改造とか、施設、備品などを、たしかあちらで世話をしておつたのがあつたはずでありますが、今までそういうことが相当ありますかどうかということと、それからそれを運輸省としてそのまま通産省にそれの管理とか或いは賃貸関係なんかを、将来もう委せておくほうがいいか、運輸省関係にそれを移管させるというようなことをお考えになつておるかどうかというこの二点について……。
  24. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 只今の御質問の、民間の建物をホテルに改造して、そしてやつておるというようなことは、これはいわゆるバイヤース・ホテルのことじやないかと思うのでありますが、これは御承知の通り戰後間もなく貿易が再開せられました時に、そういつた、貿易業者が日本に参りましても、全然泊る施設がないというので、GHQのメモランダムが出まして、日本政府において至急にこういつたバイヤーの宿泊設備整備するようにという指令が参つたのであります。これによりまして、バイヤーの接遇というものを、当時のメモランダムとして通産省にこれを命令してありましたので、通産省が主になりまして、民間の建物或いは一部政府の建物もありますが、それを政府経費でホテルに改造いたしまして、形の上では政府の直営ホテルという形式で運営をいたして参つたのであります。ところがその後、事情もかなり変つて参りましたし、又民間経営でやれるというような見通しもつきましたので、もう一年くらい前になりますが、これを民間経営に切替えたわけであります。それでそれぞれそのホテルにつきましての運営の会社ができまして、そうして政府からその建物及び政府が整えました調度品を有料で借りまして、そうしてホテルを運営しているというのが実情であります。ですから今は民営で、但し建物は一部は政府のもの、一部は民間のもの、それから中の調度品、それから一部改良工事に掛けました金、これは政府のものでありますが、そういうものは有料で会社が政府に拂つている、こういう形であります。これにつきましては、民営に移します時に、これを運営する会社に拂わせるというふうな計画もあつたようでありますが、実際問題としましてはなかなか会社も買えない、調度品が買えない。それからホテル・テイトのごときは建物は政府のものでありますので、一応拂下げる場合にも入札に付するというようなことで入札に付したのでありますが、政府の考えている価格と入札価格との間に非常に大きな開きがありまして、結局不調に終つております。その結果、やはり現在の経営している会社が、政府からあの建物を借りているという形で経営を続けているわけでございます。私どものほうとしましては、形の上ではすでに民営になつているのでありますが、ただ大部分のところではその中に入れてある調度が政府のものだというだけの関係であります。これを特に運輸省関係に移すとかどうとかいうことは特に必要だとも考えておりません。私どもとしましては、すでにこのバイヤース・ホテルを経営しております会社と、一般のホテルを経営しております会社との間に事実上の相違が特に起きておりませんので、特にそういう必要も感じないのであります。
  25. 小野哲

    ○小野哲君 それは観光関係でちよつとお尋ねしたいのですが、運輸省の今度の予算を見ますと、補助費が計上されているようであります。先ほど観光部長のお話では、結局観光施設整備ということが受入態勢として重要である。大臣もその点お話になつておりますが、運輸省所管予算の上には現われておらないけれども、他省の関係予算との関連において、観光施設整備に関して何らか具体的な政府として予算が計上せられているかどうか。例えば道路の整備計画とか、そういうふうな点について伺いたい。
  26. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 観光施設整備につきましては、運輸省予算の上におきましてはさほど大きく現われているものはないのであります。併し強いて申上げますと、例えば港湾につきましても、来年度におきまして、従来ホテル・ヨツトハーバーの建設が観光施設としても相当問題視されておりますので、本年度は嚴島の包ノ浦という所にヨツトハーバーを設置いたしましたが、来年度には松島に丁度国体が開催せられます時にヨツトハーバーの施設整備することになつております。なお他省関係といたしましては、我々かねて最も要望いたし、又は観光事業審議会等が要望しておりますものを斟酌して向うも取上げたのでありますが、道路につきましてはかなり来年度から行き方を変えるようであります。と申しますのは、従来観光道路の問題につきまして非常にやかましく関係方面では要望いたしましたが、御承知の通り日本の道路の整備につきましてGHQの指令が出ておりまして、その大原則がありますので、観光道路ということを表に掲げることは非常に困難であつたのでありますが、併し来年度からは観光上必要だというふうなことを明らかにして、道路整備計画をどんどん進めるという考え方のようであります。又従来道路の補修が主でありまして、鋪裝というものは殆んど問題視されておらなかつた。極く一部何らかの場合にしたのがあります。それから見返資金で一部富士山の麓にやりましたが、来年度は鋪裝だけでたしか十二、三億の経費が計上されております。これが更に事業費としてはその倍額ぐらいになりますから、鋪裝道路の延長としては大体百五十キロぐらいができるのではないかと考えられるのであります。なお御承知の通り有料道路の制度も来年度新設せられますし、それから更に進みまして観光道路を何らか特殊な財源を見つけることによつて、主要な観光道路を一挙にこの二、三年中に建設、或いは改良したいというふうな動きも上層部にはあるように私どもは聞いておりまして、建設省等は具体的な計画を進め、私どもにも資料を要求して来ているのでありまして、道路の面は来年度以降におきましては相当面目を一新するのではないかと考えております。
  27. 小野哲

    ○小野哲君 補助政策と申しますか、そういうふうな制度が相当大きな根抵であるし、現在も殆んどこの種、或いは鉄道軌道とか或いは何か観光事業等についての直接の政府補助という制度がなくなつたわけでありますが、一部の限定された部分についてのみ認められている、こういうふうな現況であろうと思います。そこで例えば観光施設の中で、宿泊施設整備するという場合においては、どうしても資金の問題を前提として考えて行かなければならないわけなんであります。従つて見返資金等も大臣の御説明のように極めて先細い状況にあるわけでありますから、従つて国家資金か或いは民間資金かを何らかの形で十分に活用して行くということが必要であると思つているわけでありますが、一面又観光事業経営の上の負担をできるだけ軽くするための税制改革の問題も起つて来るだろうと思います。併し税制対策で以て観光事業の負担を軽減するということは、消極的な一つの助長政策じやないかと思うのでありまして、もつと積極的にやつて行くというためには、何らかの形で観光事業そのものを対象とした助成方策を政府として考えられるべきものじやないか、こういうふうに考えます。そこでそういうふうな点についていわゆる補助政策というふうなものについて、政府のほうで何らか御研究があるかどうか。これは各種産業に影響のある問題でありますので、現在の客観情勢から考えますと非常に至難な点ではないかと思いますが、観光事業というものを大きく取上げて、これを推進して行くという考え方から行きますと、消極的な助成方策より進んで、積極的な助成方法を考えて行くということが妥当ではないか、それらの点について時期とか方法とかいろいろ御検討中ではあろうと思いますが、御所見が承われればと考えます。
  28. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 只今の問題につきましては政府としましても是非この観光事業を盛んならしめるために積極的な補助或いは又資金の斡旋、低利長期の資金の斡旋と助成方策をとりたい、とらなければならんということは政府としても方針はきまつておると申しても差支えないのであります。只今も部長から道路関係について話を申しましたが、大体今政府では東京、横浜等に滯在して一カ月くらいはそれぞれ希望の場所に自由に気持よく滯在することができるように、又京都、大阪等に滯在しても同様なふうにしたいというのが考え方であるのでありまして勿論こういう考え方にしましても、なお検討の余地はあると思うのであります。それには今後自動車をみずから携帶して日本に来るという人が比較的多いだろうということも考えられます。それらの便宜も図つて行くことが必要だと、勿論身体だけ日本に来て、日本の自動車を利用して愉快に観光をするという客も多いと思うのであります。今これは国立公園関係の問題になりまするが、国立公園の中の道路が甚だ貧弱だと、これは多くを申上げなくても箱根とか日光とかいう人口に膾炙せられておる国立公園にしましても御承知のような実情であります。その道路がただ東西に一本あるというに過ぎないのであります。こういう地点についていわゆる賃取道路を建設するということは直ちに実施に移りたいということで、たしか十五億だつたと記憶しますが、来年度予算に計上いたしておるのであります。更に東京と大阪、神戸を結び付ける立体道路を作るという計画もあるのであります。これは日米合作の会社になると思いますが、これについて先ず以て建設当局アメリカ及びドイツ等の立体道路技術を綿密に視察して、そうして設計はどうしてもアメリカの経験に富んだ技術団を招聘して具体的な計画を立てる、まあ大体において千二百億乃至千五百億を要する見込みのようであります。そういうふうなこともやや実現性があると判断して差支えないと思うのであります。大体この政府としての方針は、今そういう点に具体化を急いでいるということなんであります。ただ御承知の通り観光事業に関連しましては、或いは建設省の所管であり、或いは厚生省の所管であるというふうに、いろいろ分割されておることは御承知の通りであります。運輸省予算に載つてないのは勿論そのためであります。
  29. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 一つ……。大体先刻高田委員からのお話並びに大臣の御説明などに関連してほぼわかつたように思いますが、少しわからんところがありますが、日本が欧州に比べて旅行費用が高いというようなお話で、それに対していろいろな高い理由も伺いましたので、御尤もだと思いまするが、その欧州よりも高いということであつても、やはりどんどんいろいろな施設を伸ばして行けば人が来るかどうかということについて、私は何か一抹の不安を持つている。大体戰前は欧州よりは無論安かつたわけであります。アメリカに比べれば言うに足りないほど安かつた。安いところへやはり人がどんどん来る。景色がいいとか何とかいうことよりも、やはりそう高くてはなかなか来れんだろうと思うのですが、施設や何かも、道路やいろいろなことも結構でありますが、第一は、高いやつをモデレートにするということに相当なやはり重点を置かないと、人を誘引できないと思うのですが、こういう点に対して具体的に観光部長のお話を伺いたいのですけれども、何か差当りどういうふうにするというような御計画というか、御腹案、或いはすでにやつているというようなあれがありまするか、そういう点に対する御意見を伺いたい。
  30. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 日本におきまする外客旅行費を安くする具体的方策というふうな問題についての御質問だと存じますが、先ほど大臣或いは私からも御説明申上げたつもりでありますが、重複する点があるかも存じませんが、一応申上げて見ますと、現在までに先ずやつた措置といたしましては、極く一部のものではございまするが、資金の融資斡旋というふうな方法によりまして必要な資金をホテル、旅館等に斡旋したこともあります。それから税金の問題につきましては国際観光ホテル整備法という法律がございまして、この法律によりまして登録を受けましたホテルにつきましては、先ずそのホテルの固定資産の耐用年数が普通のものよりも相当短くなつておるわけであります。従つて償却額が多く計上できまして、利益がありまする場合には法人税が軽減されると、こういう結果になつて来る。この法人税の軽減、そしてこれは実際問題として法律には法人税として書いてありますが、話合いによりまして、個人営業の場合の所得税にも同じような方式を提供いたすことになつておるのであります。相当利益が出ておるホテルにつきましてはかなりな利益になつておるのであります。それから固定資産税の軽減でございます。固定資産税も最近上りまして非常に高くなつておりますが、これは法律には登録されたホテルに対しましては固定資産税の不均一課税の規定の適用があるものとするということになつております。で、これは市町村が自発的にこの法律の趣旨を酌んでやつてくれなければならないことでありますが、私どもといたしましては、ホテルを登録いたしますと、そのホテルのありまする市町村に是非ともこの法律に善いてあるような趣旨で軽減をしてくれるようにという要請をし、又必要な場合には個々に折衝もいたしておりまして、先ほど大臣が申されましたように、十幾つかがすでに軽減を見ております。ただ遺憾ながら一番ホテルの多い東京都が、ホテルの数も多いし又その固定資産税の額も合計いたしますと、かなりの額に上りますので、全くこれまでのところ解決いたしておりませんが、これもできるだけ速かに解決いたしたいと考えておるのであります。それから遊興飲食税につきましては、この一月一日からは日本人にも外人にもすべての制度を一律にするというふうな方針が立てられまして、従つてその方針によりますれば、外人も日本人と同じ二〇%の遊興飲食税がホテルにおける宿泊及び飲食にかかることに相成るのであります。ところが現在までGHQの指令によりまして、バイヤーズ・ホテルにつきましては無料にいたしておつたのであります。これが一挙に二割になるということは非常に障害もございますし、又現にバイヤーズ・ホテル以外でもこれに準じまして税を取らないところのホテルもあるのであります。外人の宿泊に対しましてそういう点もございますので、地方財政委員会と相談いたしまして、差当りこの三月一杯までの措置としては、バイヤーズ・ホテルにおきまする遊興飲食税は、現行の五割減というようにいたしたのであります。併しこの問題につきましては、暫定的な措置でありまして、一般的に現在の遊興飲食税を一割にする、引下げるという交渉をしておりますが、将来においては更にこれを引下げたいというふうな意向も強いのでございまして、そういつたものと睨み合わせまして、非常に低くなれば外客日本人を別にする必要はないと思うのでありますが、とにかくこういつた一般の税率の引下げとも睨み合わせまして、今後外客に対する遊興飲食税を如何にするかということも研究して行きたいと考えておるのであります。  それから資金斡旋の問題で、どうしてもホテルを新らしく作るという場合には、長期低利の資金が必要なわけでありまして、戰後におきましては見返資金というものは長期低利の資金として使われたわけでありますが、遺憾ながら現在までのところ、見返資金からホテル建設に出すことの決定せられたのは、神戸のオリエンタル・ホテルと名古屋の観光ホテル。オリエンタル・ホテルは金がすでに出まして着々建設いたしております。名古屋のほうは、先ほど大臣説明通り客観情勢の変化によりましてまだ決定を見ておらないのであります。それから本年度から新設せられました開発銀行が見返資金に代りまして長期資金を賄つておるのでありますが、これにつきましては、現在までのところ、本年度は神戸のオリエンタル・ホテルが約六千万円の融資を受ける手筈になつておるのであります。来年度におきましても、私どもは先ほどちよつと御説明申上げました通り、接收解除が実現されましても、なお且つ、相当不足かと思われるようなところにつきましては、開発銀行等の融資も要請いたしたいという気持を持つております。が併し、現在の一般情勢というものを考えますと、そう多くを期待することはできないのでありまして、これは何としてもやはり戰前と同様な預金部資金を、資金運用部資金を低利に地方の公共団体に貸してホテルの建設を図るというふうな方法でなければ、解決を見ないのではないかと思うのであります。実はもう一昨年になりますが、そういつた問題を大蔵省とも相談いたしまして、事務的には成る程度了解を得ましたが、当時GHQの方針資金運用部資金財政資金と同じように考えまして、そういつた種類の事業には貸出さないという方針を持つておりましたので、実現を見なかつたのであります。併し情勢も一変することでありますし、本格的なホテルの建設には是非ともこういつた方策を考えて行く必要があると考えますので、時期を見て又折衝をいたしたい、こういうふうに存じている次第であります。
  31. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そういうふうに政府資金なり、政府の斡旋なりをしていろいろやつている、或いは今政府が力をいたして或る意味においては保護助成をしているそのホテルの経営者に対する監督とか、料金の制約というようなものに対しては、全然自由なのですか、そういう点に対しては政府のあれはどういうふうになつているのですか。
  32. 間島大治郎

    説明員間島治郎君) 現在のところ料金につきましては統制が解けましたので自由になつているのであります。又監督といたしましては、現在のところは国際観光ホテル整備法によりまして登録を受けましたホテルにつきましては、その施設内容につきまして、これが登録を受けたときの状態から下がるというようなことがあつてはいけませんので、そういう点につきましては運輸大臣が十分御監督をし、その條件に合なければ登録を取消すという措置もできるわけであります。又施設改善或いは経営改善というふうなことにつきましては、勧告を発することができるということになつております。但し勧告を発する場合には、施設改善について勧告を発する場合には資金の斡旋も合せて考える、こういうことが法律の中に盛られているのであります。こういつた勧告を発することができるのであります。併し法律の建前から行きますると、料金まで統制するというふうな権限は政府側にはないのでございます。
  33. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうすると実際は今の段階では、いわゆる自由競争で需要に応じた供給を、どんどん設備をして行く、そのためにいろいろ補助して行くということ以外に、一切の料金を安くするとか或いは欧州よりも低くするということは、政府の施策としては需要供給でやるよりほかにうまい方法はないと、了解してよろしうございますね。
  34. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) お説の通り、全く自由競争であります。需給関係によつてきまつているという面もあるのであります。如何に政府が宿泊料を今少し軽減したらということを慫慂しましても、宿泊客が非常に多い。むしろ或る時期には需要が供給力よりもオーバーしている。とにかくお客さんを断つておるというような状況においては、如何に政府が慫慂してもやはり効果がないということに相成つておるのであります。どうしてもホテルの供給力を多からしめるということが先決問題だと思うのであります。その点に努力して行きたいと思つておるような次第であります。勿論それにつきましては、今占拠せられておるホテルの解除に真先に努力することが最も効果的だと、実は考えておるのであります。
  35. 一松政二

    ○一松政二君 ちよつと関連して、ホテルその他についてはいろいろ質問で拜聽いたしましてわかりましたが、国鉄としては、今外国船か或いはアメリカなどと連絡をとつて何か連絡切符で特別に割引をしてやつているような事実があるですかないですか、運賃について。旅客運賃についてラウンド・テイケツトなんか出しておるか。
  36. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 戦争前は御承知の通りでありましたが、これも政府同士の話でなしに、業者同士の話で、国際会議もどんどん開かれておりましてあつたのですが、戦争と同時に一切そういうことはなくなりました。今日までむしろこれは許されない状態にあるのであります。近く講和が発効すれば再び戰前の状態に相成る次第であります。お示しのような方法も大いに講じて行きたいと考えておる次第であります。
  37. 一松政二

    ○一松政二君 それから先ほど言われたように、アメリカからの、恐らく自動車を持つて一ヵ月ぐらい日本全国歩いてみたいというお客さんがかなり殖えるだろうと思うのですが、あれほど発達しているヨーロツパにおいてもアリカ人はどんどん自分のカーを持つて行つて旅行されておりますから、そういうことも起るだろうと思いますが、今現在においては運輸省或いは国有鉄道でなんか自動車或いはバスを特別に多少安くサービスしておるような事業がないか、或いは将来そういうことを計画されるか、併せて伺いたい。
  38. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 政府としましてはそういう特別斡旋はいたしておりません。交通公社その他の機関で斡旋はしておるはずであります。
  39. 一松政二

    ○一松政二君 だからそれはですね、国内のお客さんに対するよりも、特別に安く交通公社でそういうサービスをしておるかどうかということが聞きたいわけです。
  40. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 交通公社等におきましては、ひとり自動車の斡旋のみならず、ガイドの斡旋、あらゆる便宜を講ずる、又旅行日程の作成でありますとか、諸般の関係に亘つて親切にサービスを提供しておるはずであります。
  41. 一松政二

    ○一松政二君 それはまあ無論そうだとは思うんだけれども、今の観光事業関係しておるから、観光事業つまり一時的の旅行者に対して観光なるが故に特に安くサービスするというようなことをやつておるかどうかということを伺いたいのであります。そういうことはない、一般の国内或いは長く日本におる人間と同様な取扱をしておるのかどうかということなんです。
  42. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) その点につきましては、国際自動車なんかと提携をしまして、若干割引した安い料金で提供するということをやつておるのであります。
  43. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に本件に御質問がなければ次の議題に移りますが……。
  44. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 次になさるのでしようが、大体御準備をお願いしたいと思います。二十七年度日本国有鉄道予算説明の中の……。
  45. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつとお待ち下さい。担当官がいないようですから。
  46. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) いや、こちらで書き留めますから。
  47. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それではどうぞ。
  48. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この輸送計画で見ると、鉄道だけの輸送計画説明なつておるようですけれども、私ども聞きたいのは、バスに対する輸送計画についても御説明が願いたい。具体的に申上げますと、現在バスの営業キロはどのくらいあるか。それからその使つている自動車の数或いは設備、従業員の数、それから赤字であるのか黒字であるのか、或いは或るところは黒字である、或るところは赤字ということになりましようが、それを地域的にできればこの次の委員会にお示し願いたい。  それから根本方針といたしましての御意見を承わりたいのは、大体バスの経営に当つて民間の営業と競合をして、或いは競争をしてやられるような御方針を持つておられるのかどうか。例えば現在民間でやつているところに割込んでバスの営業を国鉄のバスでやろうというような営業方針を持つているのかどうか。将来バスはむしろ全部民間にやらして、そうしていわゆる鉄道その他船だけをやつて行くというような方針はないのかどうか。それから市営バスをやつているところに民間で割込んで来て非常な紛議を来たしている。むしろ私はその市営バスをやつているところは、市内のいわゆる市営バスは市営に委せる。又市外から入り込んで来るものはこれは民間でやつて行くというような方針でやつて行くことが非常に妥当だと思うのでありますが、そういうような点について運輸省はどういうふうにお考えになつているか。こういうふうな点を具体的に一つお教えを願いたい、こう思うのであります。民間でやつているのに国鉄がバスを入れようとして乘り込んで来て非常に紛議を来たしているところが全国に多いようであります。これは運輸省として根本的方針をお定めになることが必要じやないか、この点も一つお示し願いたい。それから輸送計画に関連して桜木町のあの事件、これはなお遺家族等に対して十分な解決ができていない。紛議を残しているものがあるように私は聞いている。桜木町事件の爾後の処理について詳細なる資料に基いて御説明を願いたい。  それから工事計画のところでありますが、非常に私驚いているのは、新線の建設で僅かに二十億……審議会を作つて現在やつておいでになるようでありますが、僅かに二十億の予算が計上してある。私ども委員会で請願で取上げたものでも百数十線、御承知のように戦争中線路や鉄橋を外したものでも二十数億、土工を終つたものでもそのくらいかかる。現在建設審議会においてお取上げになつている何といいますか、第一次の予定線というものも相当数挙げているようでありますが、これも二十億でどういう新設をやられるのであるか、何線くらいやられるのか、これはもう審議会で場所等はきめることでありましようが、大体運輸省としての方針を承わりたい。  それから次の要員計画のところで、これによりますと、これは整理人員というのが二万二千二百三十二人、ところが二十七年度ではすでに更に七千八百人ほど増員する御計画のようであります。これは運輸省の機構改革等と関連して一つ御説明を願いたいのでありますが、行政機構の改革並びに行政整理、これは吉田総理がたびたび強く言明しておられるところで、国民も非常に期待しておるようでありますが、これに関連して国有鉄道においてもやはり行政機構の改革、或いは行政整理等もお考えになるのでありますか、この御説明によると、むしろ増員にはなつておるが、そういう御計画はないようであります。無論これに対しては、労働基準法等の関係もありまするし、併せて労働基準法の改正その他の御計画があるのかどうかということも一つお教えを願いたいと考えるのであります。この次の機会で結構です。
  49. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  50. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて。それでは時間も大分過ぎましたが、本日の日程の一つであります航空事業に関する件を議題といたします。前回に引続いて御質疑のあるかたは御質疑を願いたいと思います。
  51. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 極く簡單に、この前もいろいろとお聞きしたのですが、どうもまだ納得ができない点がありますので、もう大分遅くなりましたから極く簡單質問いたします。それはこの前申上げましたように、現在の航空状況、或いは御計画等では全くこれは一部特権階級の專用物のように……或いは金持の何か遊覽に使われる以外には、一般国民は縁なき衆生みたいな恰好だと思うのです。ですからどうしてもこれを我々大衆が利用できるようなほうに持つて行つて頂かなければならんと思うのです。それには現在の何といいますか、会社の一社に経営させたのでは到底私は不可能だと思います。日本が独立いたしましたならば相当に競願もあろうと思うのです。他にやはりお許しになつて、現在の航空会社は国際航路のほうを主としてやるという方向に持つて行かれる以外に、我々の利用する機会は来ないのじやないか、これは一般の声なんです。ですからこの点について運輸省はどういうお考えを持つておられるか、どういう御計画があるのか。或いは速記をおとめになつてもいいですが、競争線等をお許しになるのか。  更に私は運輸大臣にお聞きしたいことは、現在は全くこれはお話にならない状態でありましようけれども、この航空機は将来更に私は発展しなければならんと思うのです。少くとも遠距離の旅行というものは航空でなければいかんという時代が来ると思うのです。そういう場合に今国鉄のバスの脅威を受けて非常に困つておる。将来恐らく私は航空の非常な強力なる脅威を受けてお困りになるときが来るだろうと思うのです。これらに対して国有鉄道なり何なりがやはり将来の計画を考えてやられる、経営されるというような御計画なり御意思なりがあるのかどうか。現在の状況に置かれては私どもも困るし、長距離のものは、どうしても飛行機でなければならんという時代を航空長官その他の御努力によつて一日も早く招来して頂きたい、こう思うのです。それにはやはりどうしても料金というものが先決問題だと思うのです。それからローカル線の改善、これに対して速記をとめてでも忌憚なきお話を承わりたいと思います。
  52. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 大衆が飛行機を利用できるようにすることが望ましいという御意見だと拜聽いたします。これは誠にその点同じく希望を持つのであります。何分にも非常にコストが高くなる航空機関ですから、現在の飛行機一台で恐らく一億をよほど超えると思います。もう少し小型のもので一億円はするのであります。従いましてただ飛行機というだけでなしに、この人件費その他の物件費、更に飛行場の設備等、いろんな点を考察いたしますると、国家が負担するか或いは企業者が負担するか、いずれにしてもそのコストというものは非常に高いものに相成るのであります。現在のごとく日本の力が非常に深度が浅いと申しまするか、財力が貧弱だと申しまするか、こういう状態においては、国としても諸外国の助成援助の程度に遙かに劣つておるのであります。あれだけ発達すべき立地條件にある、又事実発達しております米国ですらも、恐らく日本に数倍する国家補助を今計上いたしております。そういう状態でありますから勿論今後ガソリンの消費税を免税にするとか、消極、積極に亘つて助成も講じて行かなければならんと考えておりますが、今のような状態でもなお且つ現在の会社は毎月二、三百万円の赤字を出しておる状態であります。更に今後に備えて二十人ばかりの操縱者その他の技術者をアメリカに派遣する経費の半額を補助する、約三千万円補助することに来年度で決定しておるのであります。これは半額でありまするから、会社においても三千万円という赤字が更に加わることは明らかです。結局現状におきましても六千万円ほどの赤字が今の会社は一年に出るという大体の計算に相成るのであります。今の会社は頭でつかちだという批評も聞いております。勿論御承知の通り四社の申請がありましたのを、一社に合同せしめたのであります。これは御承知の通り一社のみを認めるという又キヤツピンが出ておりまするが故に、四社が合同することを慫慂したのであります。その結果役員も非常に数が殖えたということは真に止むを得なかつたと思うのです。併し会社は、そういう見地に鑑みまして常勤者はもとより有給でありまするが、非常勤の役員は一切給與を受けないという議決もしております。又乘車券も定期乘車券ももらわないという議決を、役員会で非常動の役員が進んでしておる模様であります。で、でき得る限り合理的な、冗費を節する経営をいたしておるのでありますが、なお且つ本年度約三千万円、又将来の技術者を養成するという意味において、政府の半額補助があるにかかわらず、更に三千万円の赤字が殖えるという実は実情にあるのであります。一方現状はそういうことでありますが、これを大衆が利用できるようにということは、誠にお説のごとく望ましいことではありまするが、それには三十人乘り、或いは四十人乘りの飛行機が、先ず一日に少くとも十五往復か二十往復は出ないと多数の人が利用せられるということはできないと思うのであります。これに対しての政府補助と申しますか、一般国民の負担と申しますか、非常な巨額に上ることと思うのであります。現在国民負担の税が非常に重いという観点から睨み合せましても、早急にこの多数の人が飛行機を利用するというようになるということは、少し困難じやないかと実は考えておる次第であります。併しながら、現在は余りにその輸送力も貧弱であります。又ルートにいたしましても、北海道は札幌までしか参つておりません。更に奥地の釧路等もありませんし、又四国は少しもない、九州も取つかかりの福岡までしかまだ行つていないというような状態でありまして、北陸もないというような状態でありまするので、今後この平和條約の発効を待つて、相当の飛行場が日本の管理の下に返つて来るという前提の下に、今後それらのルートも殖やして行く、又延長して行く、更に現在、製作、修理、組立て、運行、すべて禁止されておるのでありまするが、條約発効と同時に全面的に許されるはずでありまして、今後飛行の活動も何らの制約を受けずに進め得る状態に置かれておるのであります。従いまして御説のような趣旨に副つて、今後できる限りの処置をやつて行きたいと考えておるのであります。で、なかなか飛行ルートの問題、航空燈台の設置の問題でありますとか、かなり設備費を要するのであります。飛行場の設備としましても、これは非常に通信設備、有線無線の通信設備でありますとか、かなり多くの施設費を要するのであります。差当りは飛行機は輸入するとしましても、その修繕工場を作つて行くというにつきましても相当の経費をかけて行かんならんという段階に実はあるのであります。で、一面これは世界各国が従つて行かんならんのでありますが、国際民間航空機構に関する申合せがあります。これは平和條約の十二條のC項によつて従うという約束になつております。で、そういつたものを織り込みまして、近く航空法案を本国会に提出して御審議を願いたいと考えておるような次第であります。
  53. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私が大衆という意味を申上げたのは国民全部という意味を申上げたのじやありません。ただ飛行機の運行の状況を見ると、極く僅かの人が繰返して乘つておるに過ぎないのですね。これは私の素人考えで恐縮なんですが、まだまだ開拓すべき余地が相当あるのじやないかと思います。例えば非常に高い料金で借りておる、これを安くする、或いは今の飛行機会社などは国際航空に廻す。そうして條約発効後には或いは一社で足りなければ二、三社殖やす。或いは又一面、地方へもやつて行く、先ほど高田先生のお話もあつたように、非常にこれは高いのです。何といつてもこれは安いとは言えない、極く一部の人しか利用ができないということになるんです。極く一部の人が利用するために国民の血税というものがそれを賄つて行かなければならんということは何としても私どもこれは見逃すわけにはいかない。ですから講和條発効後においてはどうしてももう少し料金を下げる、乘るのに便利なような設備なり、飛行機の数を殖やすというような方向に進める。国家もできるだけ援助して行く、まあ例えば先ほどガソリン税は免税……、これもこの前の長官のお話によると、免税をすると年六、七千万円は浮いて来るというようなことも言つておられるんですが、こういうような点についても十分にお考えを願つて、新らしく発足したこの航空会社が円満に発達して行くには何としても相当な国家の補助がなければいかんと思うんです。国力の許し得る最大限において援助をせられまして、国民の期待に副うように、将来は飛行機でなければ旅行しないというようなところまで持つて行く基礎を、今日から考えて頂きたい、專門家でいらつしやる村上先生が運輸大臣になられたことを私は非常に心強く考えて期待しておるわけです。どうかそういうお含みで発効後にいろいろとお骨折りを願いたいと思います。
  54. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 御趣旨はよく理解いたしました。これはアメリカなんかでも、御承知だと思いますけれども、積極的に援助しているというのは、むしろ郵便逓送料金で、個人が支拂う料金よりも高い逓送料を政府は航空会社に拂つておる、これが積極的な援助だと思います。消極的には今の税金の免除等をやつておる、種々の設備を政府がやつておる、そうして飛行機会社に貸しておるというのが現状でありまして、先刻なお一会社であるから高いのじやないかというような御趣旨にも私拜聽いたしたのでありますが、現在の会社では、御承知のようにノースウエスト・エア・ラインとその運航契約をして、整備その他もノースウエストの責任になつております。この契約の單価は実際高いのであります。けれども、高いのでありますが、向うの雇つておる人の人件費から原価計算をして、足かけ五カ月に亘つて交渉をして今の料金がきまつたのであります。お示しのように日本人が安い給料ですべての技術を賄つて行けるというようになれば、これは相当原価が下つて来ると期待いたしておるのであります。講和條発効後成るべく速かに飛行機は勿論購入しなければならんのでありましようが、その他のものは人件費につきましても、その他日本の手ですべてを賄つて、できる限り原価を切下げるようにして行きたいと、念願しておる次第であります。
  55. 高木正夫

    ○高木正夫君 私は前之園さんと多少見解を異にするのであります。前之園さんのようなお説は誠に将来の理想としては結構だと思うのです。要するにこれを発達させるには既存の会社がどうしても採算がとれなくちやいかん。すべて企業はそうであろうと思うのですが、社会事業であろうが、文化事業であろうが、それが発展するにはどうしても採算がとれなければ大きく発展できない。現に今できておる会社が、承われば三千万円とか六千万円とかの赤字が出ておる。それはなかなか容易な問題じやないと思うのです。将来の飛躍をするのには、現にある赤字をどうして克服するかということのほうが一番大事な問題じやないか。これがうまく行かないときには次から出て来る競争会社が手を引くこととなるだろうと思う。従つて今の既存の会社をできるだけ政府の力を借りずして、自力で以て更生してやつて行かなければならんかと思うのであります。つまりもつと合理化的に進む必要があるのじやないか。私もこの間実は飛行機に乘つてみました。晩の七時に出発するやつが二時に出発する。そういう点から考えて……その前も欠航であります。こういうことではつまりサービスという点から客がつかないのじやなかろうか。最も今の会社としても大事なことは整備じやなかろうかと思う。もつと間違いなく定刻に発して大いに信用を博し、又サービスも十分なサービスをする。サービスの点においても甚だ欠くるところがあるように考えます。そういう御指導を十分にやつて頂きたい。その会社が立派に自力で行けるような御指導をお願いしたい。これは質問やらお願いやらわからんようなことになりましたが、そうすればこの企業というものがだんだんと発達して行くというように考えられるのでありますが、お考えはどうであるか、一応お聞きしたい。
  56. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 今高木さんの御意見御質問、拜聽いたしまして、実はそれで前之園さんの御質問に対してお答えしてないということがわかりましたので……、二つの会社に、言い換えれば第二会社を作るということはコストが安くなつているにかかわらず実は高い、先刻お話のありましたホテル宿泊料のような、需要に対して供給力が少いために、それで若干コスト以上の宿泊料を徴收してはいないかということ、そういつたような問題は、今の航空事業には全然ないのでありまして、コストが非常に高くなるのであります。コストを引下げるということをした上でないと、第二会社を認めるべきや否やという問題は、考慮に上つて来ないのじやないかと、実は考えているのであります。今のところでは、航空法案では数個の会社でも認め得るような、一つに限るという法律案ではありませんけれども、方針といたしましては一つの会社を何とかして盛り立てて行きたい、又立派なサービスを提供せしめるようにして行きたい。而も企業として成り立つようにして行きたいということを、実は考えているのでありまして、第二の会社を作るというようなことは、余ほど将来のことに属することだと実は思つております。なお、その理由は今、高木さんの御意見で盡きておると思いまするので、全く私も同感であるのであります。で、今サービスが非常に現在でも惡いということですが、これは先だつての運輸委員会においても前之園さんから御指摘になつた点であります。今の状態でも改善し得る点もあると思うのでありますが、実はすべてのオペレーシヨンをノースウエストがやつております関係上、時間表を変更するというようなことでも簡單に参らない、実情に実は置かれてあるのであります。で、その他の点においては多くを申上ぐるまでもないのでありまして、で、特に高木さんが御指摘になりました点の整備が惡いと、これは全く同感であります。今整備工場を持たずして、修繕工場なり、検査工場を持たずして、今事業をやつておるというような状態なんであります。整備が惡いということはこれは全く政府としても責任を痛感いたしておる次第であります。予備機はありましてもなお且つ欠航したり、遅延したりしまするのは、要するに整備が惡いということなのであります。で、それには修繕工場を日本においても持つということが必要なのであります。今実はその工場を持つにつきまして、やはりGHQのOKをとる必要もあります。数日前に運輸大臣名でその工場を持つことにつきまして書面を提出しておるような次第であります。まあいずれにいたしましても、講和條発効後には何らの制約なしに活躍ができるはずであります。今からその準備に備えて万全の方途を講じて置きたいと考えておるような次第であります。
  57. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体高木先生の御意見と私の意見と、そう違うとは思わないのです。これはなお意見を聞いて頂ければわかるのですが、私の申上げるのはこれは会社本意で考えてはいかない、私の考え方は、これは乘客本意で考えてやらなければならない。日本国内運航する飛行機であるから日本の国民の乘り易いように、そうしてその航空事業というものを発達して行くように考えて行かなければならんと思う、こういうのが私の考え方です。私は素人ですから間違つておる点もあると思うのですが……。ただ私どもの聞いておるところによると、なかなかこの会社ができなかつた。これについてはやはり向うからいろいろなる制約も受けるし、飛行機の料金についても非常に高いと……、講和條約ができて、若しも航空会社を作るならば非常に有利に又国民の或る程度の期待に副うようにできるのではないかというような意見も大分私ども聞いております。その大なる原因はやはり外国から飛行機を借りて来て、そうして向うの人によつて大部分が動いておるというところに料金の高い、又いろいろな不便な点があるのではないかと、こう私は考えているのです。そこで私が言うのは、できればこういうような外国の大部分の力によつてやらなければならんような会社というようなものは、むしろ国内航路より国際航路に廻して、そうして国内航路というものは日本人の手においてやるというのが非常にいいのではないか、こういうふうに私は考えておる。又そういうような意見を述べられる人も相当あるようです。ですから今のような会社の行き方であれば私はいつの時になつても、私どもの期待するような料金になつて、そうして我々貧乏人もこれを利用するというような時代は来ないだろう、このことを私は強く申上げるわけであります。無論会社も作らなければならん。併し何といつても国民のために運航するところの飛行機である以上は、国民が乘れないような飛行機であつたら、あつてもなくても一緒なんです、このことを私は強く申上げておるんです。一つ講和発効後においては日本人の手によつて日本人の飛行機を一つ動かして頂きたい、そうして安くして頂きたい。今動いているような障害のあるようなものは他のほうに一つ廻して頂きたい、こういうことなんです。一つお考えを願いたい。
  58. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) 御承知の通り降伏條件によりまして、日本人飛行機操縱すべからずということになつておりまして、今のところは何とも仕方がないのでありまして、全くフリーで活躍のでき得まする講和発効後に備えて、万全と申しまするか、できるだけの積極的な方途をとりたいと考えておるような次第であります。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちよつと一つだけ……説明書を見ますと、これは操縱士の月給が千三十六万円ということなんですが、これは諸外国でもやはり操縱士というものはこういう高給を取つておるものかどうかということを、一つ長官御存じだと思いますので……。
  60. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 大体諸外国でも八百ドル前後だと思います。それに航空加算が付いているものがありまして、それともう一つはその千百ドルの中には東京へ来て又向うへ帰る、その何も加算されて、いろいろなものがそこに加算されて、一年間で割つて千百ドルになつておるわけです。一年間の契約です。ですから一般の標準よりは少し高いわけです。
  61. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから二十名の航空操縱士を選拔してとあるのですが、民間航空会社が金を出すのに、政府補助金を出すということだけで、全部民間航空会社の手でやられるわけですか。
  62. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) そうじやなくて、政府が選拔して出したいと思つております。
  63. 小酒井義男

    小酒井義男君 大体これは何カ月ぐらい行くことになりますか。
  64. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 大体四ヵ月半の計画であります。
  65. 村上義一

    ○国務大臣(村上義一君) ちよつと附言しますが、政府が選拔するのですが、希望者が半額を負担する、そういう建前になつております。従いましてその入る学校は政府が指定します。これは米国と約束して收容してもらつて、教育を施してもらうということになります。それで政府間において決定いたしまして、政府が半額だけを支給する。本人が半額を持つと、こういう建前になりますが、それは本人が持つようなことは所詮望み得ないのであります。結局日本航空会社が負担する、そうして航空会社が選拔する、こういうことになると思います。
  66. 小酒井義男

    小酒井義男君 随分飛行機の経験者というのが内地におると思うのですが、現在ではいろいろな制約を受けておるから、操縱が無論できませんけれども、それの解除さえあればすぐ操縱ができるというようなものじやないですか。
  67. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 実は操縱技術からいつて、五年と昔から申されておるのですが、五年間飛行機に全然乘らないということは操縱技術上の大きなこれは何といいますか、致命傷なんです。併しながらまあそこに回復という問題はあるわけでありまして、最短期間に技術上の回復はいたしたい。併しながら御承知のように、戰前日本の空における飛び方というものと、現在米空軍が日本の内地の施設、飛び方というものをやつておる現状とに相当の差隔たりがあるわけでありまして、御承知のように地上で航空の統制をしておる、監視をやつておる。これについては日本の従来の操縱士は未知数なんであります。これを新らしく教育をしないと、最近の飛行機の離着は全然できないということになるので、操縱の技術の回復をさすと同時に、それ等の新らしい教育をするということに三カ月乃至四カ月の期日を要するということであります。
  68. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御発言がなければ本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十七分散会