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1952-02-01 第13回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月一日(金曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————   委員の異動 十二月十五日委員前田穰君、上條愛一 君及び大山郁夫辞任につき、その補 欠として森田豊壽君、片岡文重君及び 深川榮左エ門君を議長において指名し た。 一月二十五日委員村上義一君及び早川 愼一君辞任につき、その補欠として小 野哲君及び高田寛君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小泉 秀吉君    委員            植竹 春彦君            高木 正夫君            小野  哲君            内村 清次君            小酒井義男君            片岡 文重君           前之園喜一郎君           深川榮左エ門君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君   政府委員    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      荒木茂久二君    航空庁長官   大庭 哲夫君    航空庁次長   粟沢 一男君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸事務次官  牛島 辰弥君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く運輸省関係諸命  令の措置に関する法律案(内閣送  付) ○派遣議員報告一般運輸事情に関する調査の件  (企業合理化促進法案に関する件)  (造船計画に関する件)  (航空事情に関する件)   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今より運輸委員会を開会いたします。  先ず理事補欠互選についてお諮りをいたします。前田穰君が十二月十五日運輸委員辞任されたので理事が一名欠員となりました。つきましては、この互選方法を如何いたしますか、お諮りをいたしたいと思います。
  3. 岡田信次

    岡田信次君 理事互選委員長に一任いたしたい動議を提出いたします。
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今岡田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それでは私より理事前田穰君の補欠といたしまして高田寛君を理事に指名いたします。   —————————————
  6. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 先般来渡米されておりました植竹君より発言を求められておりますので……。
  7. 植竹春彦

    植竹春彦君 昨年私の運輸委員長在任中には、皆様の御懇篤なる御協力を頂きましたことをここに改めて厚く御礼を申上げます。又昨年の九月から十二月までの三カ月間の渡米につきましては、これ又多大な御後援を頂きまして、お蔭を以ちまして三カ月の旅行中は、アメリカ当局からこれ又非常に懇篤なる親切なる指導と便宜との供與を受けまして、滞りなく三カ月間の運輸視察をして参りましたことを併せて御報告申上げたいと存じます。詳細につきましては、参考資料その他相整えまして、運輸專門員室のほうへ提出いたしておきたいと存じまするので、專門員室を通じまして何かと御参考になりますことを御聴取或いは援用して頂ければ仕合せと存じます。右御礼かたがた報告申上げます。
  8. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 鹿児島県の南薩鉄道という私設鉄道がありますが、南薩鉄道は御承知のように南薩方面国鉄の中間を走つている鉄道なんであります。これはハス路線を五百七、八十キロ持つておりまして、南薩方面のバスを一手に引受けてやつているわけであります。ところが最近国鉄がこの営業路線に運転したいという出願をいたしておりました。非常に南鉄としても驚いているわけなんでありますが、これは軍に南鉄だけの問題でなく、鹿児島県全体、延いて日本民営パスの業者が非常なる不安と恐怖とに駆られているわけなんであります。そこではるばると鹿児島から社長その他関係の者が運輸省並び国鉄国会等陳情に見えております。御承知のように、すでに請願も議長のところに出まして受付になつておりますが、本日親しくこの運輸委員会陳情申上げたいというのでここに見えておりますので、極く簡單でよろしうございますがお許しを願つて陳情をお聞き願いたいと思います。
  9. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 今前之園君から御発言がありましたが、委員長において只今前之園君の御発言に基いて発言を許したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 別に御異議がないようでありますから、発言を許します。速記をとめて……。    〔速記中止
  11. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記開始。先般御就任になりました村上運輸大臣から御挨拶があるようでありますから……。
  12. 村上義一

    国務大臣村上義一君) ちよつと御挨拶申上げます。  私は参議院成立の当時から皆さんがたと一緒に運輸委員としていつもお世話に相成つておりました。御承知通り昨年末再び運輸省就任することに相成りまして今後一層皆さんの御援助、又御協力をお願いせんければならないと思うのであります。この機会に衷心から皆さんにお願いをする次第であります。  申すまでもなく、交通はすべての産業経済又文化の基盤をなすものであることは申すまでもありません。而して現在の交通事情を眺めますと、実になさんければならんことが多いのであります。海運のごとき、終戦当時僅かにクラスボートの資格ある船が十一万トンになつてしまつたというような実情でありまして、本年度当初にはそれが漸く百五十一万トンなつた。この三月末には大体百八十万トンを数えるに至りました。併しながら輸出入貿易の五〇%を日本船で積取るというのには、なお前途遼遠ということが言えると思います。是非とも速かに日本商船隊建設目標に到達するように、微力ながら最善をいたしたいと考えておる次第であります。特に皆さんの御協力、御支援をお願い申上げる次第であります。又自動車のごとき、全く今発達の潮に乘つて来たと申しまするか、自動車交通国民生活、又国家活動に貢献するというのはまさに今後の施設如何にあると思うのであります。更に航空事業のごとき、漸く呱々の声をあげたに過ぎないのであります。又観光事業のごとき大いに貿易外收入を獲得せんければならない日本の運命にある次第であります。海上保安仕事におきましても、とにかく現在の設備では一万マイルに亘る日本の沿岸及びその海面保安ということを保持する上には、かなり多くの設備を要すると信ずるのであります。特に国有鉄道に至りまして今後復興をもたらすのには、極めて前途遼遠ということを言わざるを得ないのでありまして、昨今三百七十八億とか、或いは四百十七億という程度工事費が計上されておりますが、併し現在の国鉄を復興するのには、どうしても昨今の予算に計上される工事費額の倍額くらいは入れて行かなければ、むしろ老朽をいよいよ程度を加えて行くということじやないかという憂慮をいたしておるような次第であります。或る人はこのままで進むならば、国鉄は破滅だということを自分の著述に堂々と書いておられるような次第であります。全くなすべきことが非常に多いのであります。微力ながら最善を私もいたしたいと念願いたしておりますので、どうぞ皆さん協力、御支援を切にお願いいたします。(拍手
  13. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) なお先般新任になりました牛島事務次官から御挨拶があるそうであります。
  14. 牛島辰弥

    説明員牛島辰弥君) 私先般運輸事務次官を拜命いたすことになりました。自動車局長といたしまして、約二年半の間皆様がたの御指導を賜わりましたことにつきましては、深く御礼を申上げます。私御承知のように出身鉄道出身でございまして、海運港湾航空等仕事につきましては全く素人でございます。今後幾多の難問題が山積しております際に、熱意と誠意を以て今後勉強をして参りたいと思つております。どうか従前にも増して御指導、御鞭撻を特にお願いいたす次第であります。よろしくお願いいたします。(拍手)   —————————————
  15. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係命令措置に関する法律案議題といたします。先ず政府の御説明を願います。
  16. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今提案になりましたポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係命令措置に関する法律案について言御説明申上げたいと存ずるのであります。  昭和二十年勅令第五百四十二号いわゆるポツダム勅令に基き発せられた命令につきましては、日本国との平和條発効後の新事態に鑑み、新たな見地から再検討を加え、その改むべきはこれを改正して存置し、その廃すべきはこれを廃止する等の措置を講ずる必要があることは御承知通りであります。  次に、この法律案要旨についてお聞きを願いたいのでありますが、先ず、改正を必要とする「航海制限等に関する件」につきましては、国際情勢現況に鑑みまして、日本船舶の保護上その他緊急の必要がある場合には、政府は、命令を以て航海制限又は禁止をしなければならない事態も予想されまするし、これに関連して船舶出入港等につきましても、所要監督を加える必要がある次第であります。又海域にある爆発物件の引揚又は解撤に関する作業は、今後なお相当期間を必要としますので、これらに関する必要な規定に所要改正を加えて、これを今後も存置したいのであります。  第二には、そのまま存続することといたしました「国の船舶朝鮮郵船株式会社船舶との交換に関する政令」でありまするが、この政令につきましては、第三條第四項に、日本国有鉄道に譲渡すべき国の財産の範囲について、大蔵大臣運輸大臣とが協議して定める旨を規定しているのでありますが、その協議成立の見通しが今なお判然としないのであります。これは協議をむしろするような域に客観情勢が達しておらんと申述べるほうがいいと思うのであります。自然引続き、その効力を存続させる必要があるのであります。  第三には、命令の廃止についてでありますが、自動車特別使用收用規則そのほか六件のポツダム勅令に基く命令は、それぞれその制定されました当初の目的をすでに達成いたしまして、いずれも使命を終つたものでありまして、現在におきましては、存続の意義が失われているものでありますので、これらをこの際廃止したいのであります。なおこの法律は、日本国との平和條約の最初の効力発生の目から施行することにいたしたいのであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。何とぞ愼重御審議上速かに御可決下さいますようお願いいたします。
  17. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今本法律案につきまして運輸大臣から提案理由の御説明がありましたが、質疑は次回に譲りたいと考えます。   —————————————
  18. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次に、一般運輸事情に関する調査のため関西方面の御視察を願いました派遣議員の御報告をお願いいたしたいと思います。
  19. 内村清次

    内村清次君 只今議題となりました議員派遣の件につきまして御報告いたします。  報告は広範に亘りますので、時間の都合その他によりまして原稿を委員長のほうで速記のほうに廻して頂きまして、速記によつて詳細は御覧願うことにいたしまして、ここでは極く簡單にその概要を御報告いたしたいと存じます。  今回の派遣議員小酒井議員内村議員でありまして、派遣地名古屋大阪京都であります。視察目的陸上運輸輸送状況港湾施設海上保安状況気象台状況藤永田日立桜島造船所状況並びに京都駅の改築状況及び京都市内観光施設調査等でありますが、視察中特に気の付きました点を二、三申上げて見ますると、陸上運輸輸送状況につきましては、国鉄の新機構による運営につきましても、その後運営が次第に円滑になつておりまする部面もありますが、なお相当研究を要する点も少しとしないようであります。現場につきましては、現場機関は非常に緊張いたしまして作業に従事しているように見受けましたが、業務の繁閑に応ずる定員の配置及び厚生福利施設につきまして、更に研究する余地があるのではないかと思われます。なお従来から問題となつておりまする滞貨につきましては、特に注意して視察したのでありまするが、その後の経済上の変化もあり、滞貨は漸次減少されつつあるように見受けられました。併し車輌の老朽その他今後の経済事情に備えまして増車の必要度は少しも衰えておりませんでした。港湾施設につきましては、名古屋大阪とも相当施設はあるようでありまするが、講和発効後の貿易伸長等に備えまして、なお施設の増強の必要はあるものと認められました。名古屋港の管理者には名古屋管理組合が組織せられて管理しておりましたが、大阪につきましては、視察当時におきましては港域につきまして若干問題が残つて管理者の決定まで行つておらなかつたようでありました。併しその後一月には管理者も決定する模様でありました。なお大阪につきまして特に一言申上げておきたいことは、臨港地帶地盤沈下が著しいことでありまして、此花区のごときは一メーター四〇以上も沈下している現状で、そのため築港上飽満に見られない経費の負担増加があるようであります。海上保安現況につきましては、少い人員で広い海面の警備に当つておりまして、非常に苦労が多いと思われました。なお現場におきましては、作業の面から受持つ海面管轄適正化を期する希望が出ておりましたが、これはいずれ研究したいと思います。  気象台につきましては、概して庁舎が不便なところにありまして、宿舎も完備せられていないようでありまして、その点は名古屋の場合、特にそういう感じがいたしたのであります。名古屋は元管区気象台であつたのが、地方気象台に格下げされて、従つてその管轄北陸方面が除外されたのでありまするが、気象観測の面から見まして、組織、作業定員設備等につきましては、なお十分研究する要があると認めました。なおこの点は予算とも関係がありますが、気象台予算につきましては、前通常国会以来審議を重ねて来ておるので、この上とも気象業務の実体を把握する必要があろうかと思つておるのであります。  造船につきましては、たまたま第七次造船後期分割当に洩れました藤永田と一万トン級の割当を受けました日立桜島とに参りましたため、その受けました感じといたしましては、藤永田作業が一時停止状態になつておるような趣きでありまして、造船所の打撃は相当に大きく、両造船所の比較の差があまりにも顯著でありました。この問題は関係省におきましても至急対策を講ずる必要があると思つた次第であります。  最後に観光施設でありますが、京都のごとく観光資源に富む場所におきましては、今後とも特に海外宣伝の価値があると思いますので、この方面計画的な措置をすることが将来の外貨獲得上にも必要と思いますので、中央地方におきまして、この方面予算的措置を講ずる必要があると感じました。  以上甚だ簡單でございまするが、御報告申上げる次第であります。
  20. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今の御報告に対して御質疑ございませんか……。御質疑もないようでありまするから、次つの議案に移ります。   —————————————
  21. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次に、企業合理化促進法案に関する件を議題といたしますが、本件は只今通商産業委員会において審議中であります。但し当委員会といたしましても重大な関係がありまするので、本法案について運輸当局の御説明を求めます。
  22. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今議題となつております企業合理化促進法関係につきましては、恐らくいわゆる合理化すべき企業の中に船舶を加える必要があるという御所見だと拝察いたすのであります。私どもも、この企業合理化促進法船舶を加える、御承知のごとく、法文は何々等という文字を用いておりまして、解釈上は入らんことはないのであります。是非これに入れて、そうしてこの促進法の趣旨に従つて速かに投資に対する償却を行なつて、そうして次の新造船投資にこれを当てて行く必要があると痛感いたしているのであります。勿論船舶の今日建造につきましては、御承知通り優秀な外航航路に配船し得るようなクラスボートであります貨物船が一総トン当りで約十七万円、油送船でも十三、四万円を要するという現状であります。一万トンの船一隻に十六億、十七億を要するというような現状であるのであります。で、今まで市中銀行においてこの融資を賄う、それが非常にオーバーローンになつているという次第であります。半面見返資金をできる限り多くこれに充当して、新建造を促進するということにいたして行きたいのであります。御承知通り、見返資金もすでに先細りということに運命付けられております。来年におきましても新造船のために僅かに百四十億しか見返資金は充当されていない。二十八年度に至つては総額は僅か三百億前後になつてしまうのではないか、自然船の激減をみることは火を見るよりも明らかであります。一面市中銀行融資オーバーローンになつている。どうしても船主がた自身の自己資金を造成するように慫慂する、政府も又これに便益を図つて自己資金を多からしめるように措置をとつて行くということは是非必要であると考えます。自然只今問題になつております法律の中に適用するということは、その慫慂の手段として最も適切であると実は信じて今日まで関係当局と種々交渉を重ねて来たのであります。いろいろの客観情勢に阻まれまして、この法律に加えるということが非常に困難なという実情に今日ある次第であります。  いずれ詳しいことは、又海運局長からお聞き願いたいと思いますし、御質問に応じて又申上げたいと思います。
  23. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今大臣から事の経過を詳しくお話がありましたので、特に附加えて申上げることもないわけであります。御承知通り各国共に新造船に対しまして税法相当特別の扱いをしております。丁度合理化促進法の持つておりますような方法欧洲各国いずれも採用いたしておりまするので、まあ船舶行政を主管しております私どもといたしましては、何とかその恩典を日本造船にも與える必要がある、殊に只今大臣から話がありましたように、市中銀行からの貸出もすでに限度に来ておりますし、財政資金も将来多くを期待することはできないという場合に、どうしても船主自己資金による建造ということに移行せざるを得ない。従いまして是非ともそういう税法上の特別措置が必要である、かように痛感するのでございます。折角今関係省交渉いたしておりますが、なかなか事務的に困難な点があるわけでございます。今後これをどういうふうにいたして参りますか、なお相当努力すべき点、研究を要する点があるわけでございます。今日これ以上詳しく申上げることができないのを残念に思います。
  24. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 今の企業合理化促進法案に対しての御解釈というか、御意見がありましたが、今大臣並びに事務当局お話を伺いますと、大臣は多年本委員会の有力な委員であられまして特に海運造船方面には造詣も深いので、又御就任以来の御抱負などを承わつてどもは非常に意を強うしておる次第でありますが、今後とも是非一つ日本海運のために奮闘をして頂きたいと思うのでありますが、只今企業合理化促進法案に対する御見解、誠に私どもはこれと意見を一致するのでありますが、お話の中に、関係方面や何かのいろいろな渡りを付ける事情があつて、必ずしも大臣の御意図のようにも行きがたいような、まだ困難が前途に横たわつておるというようなお話であります。今事務当局お話を聞くと、国内的に、例えば運輸省と、それから大蔵省とか、通産省とかいうところの事務当局関係者の間にいろいろ折衝中で、これ以上は申せないということなんですが、一点伺いたいのは、国内だけの関係相当困難だとか、或いは、まだ折衝の過程にあるとかいうお話であるのか、国内のみならず、まだほかにも大臣の意図せられるように、船舶建造を本法案目的の中に入れるということについては、まだ国内以外にも交渉或いは努力の余地があるというようなふうに了解すべきであるか、一点それをお伺いいたします。
  25. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  26. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて……。次に造船計画、殊に第七次造船後期計画、なお又昭和二十七年度の造船計画に関して政府の御説明を求めます。
  27. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今議題に供せられました問題につきまして前山崎大臣からの引継ぎも受けましていわゆる世間で称えられておりまする第七次後期追加の約五万二千トン建造計画があることは御承知通りであります。これについてはすでに船主も又その起工するドック会社も予定されております。なおこの五万二千トンの船は貨物船が四杯、タンクボートが三杯、貨物船四杯で二万八千総トンつたと記憶いたします。タンクボートは二杯で二万四千総トンだと記憶いたします。とにかくこの六杯五万二千トンの船を第四・四半期において着工するように措置をとりたいというのが、前大臣から引継がれた項目であるのであります。私としましても、前問題の際に申し述べました通り、一日も速かにできる限り多くの新造船を造りたい、必らずし新造に限らないので、理窟としては買船でもいいということになりまするが、とにかく今世界的船腹不足の影響を受けまして、いい質のクラスボート買船することは非常に困難な実情にあるのであります。恐らく買船をし得るとしても、若い年齢で、又構成技術のいい船は恐らく一四半期に一杯或いは多くも三杯くらいしか手に入らないじやないかということを思うのであります。要するに新造第一主義で進まんければならん覚悟をいたしておる次第であります。そうしてこの新造も今のところでは、現勢力では、遠洋航路に耐える、適合したクラスボートが最も不足しておるのであります。遠洋航路クラスボートを得るということに重点を置いて行かんければならんのじやないかと考えておる次第であります。そういう見地から引継ぎを受けました第七次後期追加分につきましても、一日も早く着工し得るように措置をとりたいと考えて就任当時からおりました。爾来関係の向きと交渉を続けている次第であります。大体の計画としましては、今日二十六年度には、もはや新船建造に充当すべき見返資金もなくなつておりまするし、その他の直接の財政資金もなくなつておるのであります。一応は市中銀行融資に待たんければならん。大体この五万二千トン建造費は七十一億円であります。これを契約と起工の際に四分の一ずつ拂う、又新船を引渡すときにおいて四分の一ずつ拂うということになるのであります。差当つては半額、いわゆる三十五億五千万円でいいのでありますが、この金額を一応は市中銀行融資に待つということにつきましては、それぞれ金融機関に直接ぶつかりまして、了承を大体得ているのであります。併しながらそれについては無條件ではないのであります。三十五億五千万円の大体半分ぐらいを、何とか近いうちにオーバーローンとして還元させるような手を、方法を講じてほしいということに相成つております。これは無理からんごとであるのであります。この点につきまして、いろいろ関係大臣とも交渉をいたして今日に至つたのであります。遠からず何らか実現の方法を決定し得ると、実は期待いしておるような次第であります。  なお二十七年度についてのお話でありますが、二十七年度は今日予算として国会に提出いたしておるものは、百四十億の見返資金船舶建造に充当するということに相成つております。併しそのうち三十六億という数字は二十六年度における建造着工のボートが進水をし、又引渡しをするという際に拂わんならん、もうすでに契約済の金額であるのであります。それで残るところは百四億に過ぎない、こういう金額ではありまするが、是非とも三十万総トン建造を二十七年度において着工したいと念願しておる次第であります。先刻申上げました通り、若干の優秀船を買船することも可能だと考えます。新造第一主義でできる限り多く造りたいとは思つております。何分超均衡予算関係上、見返資金その他財政資金を多くこれに充当するということは現在のところは許されない実情にあるのであります。それでたとえ二十七年度におきましても、融通が付けば、又捻出し得る財源が発見できれば直ちに船主の希望に応じて建造をすることを強く進めたいと考えておる次第であります。従つて二十七年度は二十六年度のごとく、前期とか後期とか言わずに、第一次、第二次、第三次、第四次と、もうその二回に限らず、強くつかみ得るチャンスをつかまえて推進して行きたい、こう考えておる次第であります。今の予算としましては、総理が施政方針の演説に述べられた趣旨に応じて、周東安本長官の経済演説にもありましたごとく、三十万総トン建造は是非二十七年度にやりたい。なおできれば少しでもより多く作つて行きたい、こういうふうに考えておるような次第であります。どうぞ一つ御協力をお願いいたします。
  28. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 従来私どもは、この二十七年度には運輸省のその基本計画というのは大体三十五万総トンをお作りになるというような御構想であつたと拝承しておるのでありますが、只今大臣から言及された先般の安本長官の演説内容によると、三十が総トンの新造船の着工をしたいというので、それに対する大体五百億程度設備資金を供給したいというようなお話であつたようですが、五百億というと今の船価だと大体三十五万トンといつたような見込のような気がするのですが、只今運輸大臣が三十万トンの一つのベースを置いて、できればそれより余計勿論作るというようなお話でありますが、一つ三十五万トンというベースを置いて、それで御努力を願うというような、言葉のあやでなしに、ものの考え方をこういうふうにしておられるのだというふうに了承していいのでありますか、その点しつこいようですけれども、もう一度大臣に伺つておきたい。
  29. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 重ねての御質問でありまするので、お答えいたします。五百億円ということを安本長官が述べられております。又昨日の新聞でありましたか記載せられております。この分はまだ確めませんけれども、二十六年度に起工したもので、二十七年度に支拂うべき金額が計上されてあるのだと思うのであります。勿論それに準じて二十七年度に着工したものでも、全額を二十七年度に拂わなければならない、その辺のズレ方の大小によつてつて来るのはあるのであります。安本長官の手許における計画では、この政府の三十万トンという意見に基いて述べておられる次第だと思うのであります。勿論事務当局のほうにおきまして、三十五万トン計画の線も出ております。三十万トン計画も出ておつたのであります。ただ超均衡予算関係上、特にこの来年度の予算只今国会審議中の予算書に、この金融債の予算は来年度は零になつておることは御承知通りであります。この辺にも非常な実は普通の予算と異なつた状態におかれてある、併しながら今後財政を運営して行く上において、必ず金融債も相当の金額を計上し得るようになるだろうとは考えられるのであります。預貯金の増加ということなしには、これはできないのであります。今の予算のほうから申し上げますると、とにかく百四十億という見返資金を見込として計画を立てなければならん次第であります。この点一つ御了承を願います。
  30. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 大体お話はわかりましたが、二十六年度の残りの五万二千トンはいろいろ困難があるが、大体金の措置並びに金融方面の御折衝なんかで五万二千トンは先ずできるということに了承していいのだと思いますが、大臣の御所見をどうぞ……。
  31. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 是非造りたいと考えております。
  32. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 先刻大臣お話のうちに、外航船は新造船を造るのが、言葉の違いはありますが、大体原則で、いい船があれば買船でも必ずしも拒否しないと言いますか、それとも考慮するというお話、それは私もいわゆる中古船というようなもので相当算盤がとれるものがあれば、そういうものを買うことに絶対反対するという意味ではないのですけれども、過去二十何艘ですか入つて来たやつが、全部ということは申しませんけれども、最近でもアメリカから鉄鉱石を積んで来る補充に来たときに、いわば船がもうがたがたになつてえらい問題にならなかつたというような事例もあります。或いは相当立派な船をうまい工合に手に入れた、ところがクランク・シヤフトが航海中折れてしまう、そうしてとにかく曳船を使わずにどうにか修繕して、ロースピードで日本に持つて行く、そうして修繕するのに約三ヵ月乃至半年もかかるような実情もあるように承わつておりますが、そういうことをあつちこつち総合すると、イギリスにしても、スカンジナビアにしても、今頃はやはり日本相当船を注文するというくらいの船腹が少ないと言いますか、船腹の欲しい時分に、売る船は、而も大体これまでの船を買つた様子を見るというと、みずてんで買つて来る、電信一本で大体買つておると思うのでありまして、或いは明細書、使用書というようなものさえも余りわからずに買つてつたというような、そういう買い方でもしなければ買えないようなときに、国家が相当苦しい金を融資してそうして買う船が本当にそれが船齢一杯使われるかどうかというようなことでは疑問があるのが多いと思うのでありますからして、将来買般をするならば、そういう意味において、技術的にもう少し政府御当局で御研究をなさつて買入れるというようなことに一段の努力を願いたいと思います。
  33. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今の御意見全く同感でありまして、今までは過去に買船したものは確か五十五隻であつたと思いますが、五十五隻今までに許可いたしておるわけであります。いずれもこれが建造後三十毎以上を経過いたしておる古いボートであります。今後絶対に買船を禁止するということは穏当でないと思いまするが、併し船齢は多くも二十五年、二十五年未満であるということは一つの絶対的な條件にして然るべきじやないかと考えるのであります。なおこの上に今もお話のごとく、技術的に最近の積荷、航海、又スピード、その他すべての実績をよく検討して許可をして行くことにしたい、こう考えておる次第であります。全く御趣旨の通り今後厳格に進めたいと考えておる次第であります。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 私も只今の外国船舶を買う問題について発言があつたんですが、過般関西地方を視察しました際にも、造船工業のほうの実情を見ますと、非常に仕事がなくて中小造船工場はもう倒壊しつつある実情にあるようです。そうしてその工業を維持するためには少々赤字を覚悟でも外国船舶を引受けなければならんというような事情もあるというようなことを私どもは聞いたのであります。一方でそうした赤字を覚悟で造つてつて、そうして不完全な外国船舶の古いのを買うというようなことは、私は国策としても非常にまずいことじやないかと思う。造船能力は十分あり余るほどあるのですから、そういう点をやはり十分考慮せられて海運事業の今後の発展には私は御考慮をされる必要があるのではないかと思いますので、只今大臣の御答弁にもありましたが、これは止むを得ん場合があるかもわかりませんが、私は飽くまでもやはり国内産業を維持する上においても、こういう点が考慮されるべきだと思います。
  35. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 小酒井さんの只今の御意見御尤も至極であります。造船会社の造船能力が今日相当ありまするので、大体六十万トン乃至七十万トンの製造能力があるように承わつております。仕事がないために、赤字を忍んで外注品を受取つて輸出している、こういうことも事実あつたのでありますが、最近は相当、四、五%乃至七、八%の純益を期待して契約が成立しておる模様であります。今たしか四十五杯外注品を日本で製造しておる、主としてダンク・ボートであります。そういう実情であります。日本に船が足りないのに、日本の足らない資材を用いて製作してこれを外国に輸出するということは、これは非常に間違つておるじやないかというような意味に私拜聽いたしたのであります。そういうことも言い得ると思うのであります。ただ外国船の購入をするということも、船主のこれは意思に出ていることであり、それから外国の船会社から輸出船の建造を注文受けるというのも造船会社の意思で、これは受けられる次第であります。ただそういうことのないように、でき得る限り施策をするということが私どもの責任であると実は心得えておるのであります。もう一つ特別の点は、日本船主の注文によつて作るという場合には、先刻来申述べましたような資金の手当ということが非常に問題になるのであります。外国船の購入にはこれは別途なことに相成るのであります。今まで行われておりましたのは殆んど例外なく外国の銀行筋によつて賄われておるという実情であるのであります。その点が非常に買船の場合には新造と異る條件になつて参ります。ただ先刻も小泉先生のお話のごとく、非常に脆弱な、老朽した船を購入するということは是非避けたい、こう考えておるような次第であります。
  36. 内村清次

    内村清次君 只今の小酒井君が質問をいたしました要点というものは、先ほど外国船を船主が頼んだ、自分たちはこの問題については斡旋その他の役割としてはこれは別の問題のような御答弁ですが、実際視察して見ましたときにおいて、中小の船舶を造ります造船所というものは、これは政府の方針かどうか知らないが、結局整備されてしまつておるのです。一万トン級を造る造船所でもいわゆる第七次造船のごとき、融資関係からしてもう殆んど何ヵ月間も工員を抱きながら工場閉鎖の一歩手前までになつておるというような現状です。だからしてこういう中小の造船所をやはり今後の貿易の発展過程から考えて、政府として又或いは所管の運輸省といたしまして、或いはこれを拡大するような計画があるかどうかという問題ですね。それを計画なさつて、そうして本当にそれは整備する腹でやつておられるか、或いはそういう工場自体をなお存続し、そうして又中小の船舶を作る、或いは又相当な工場に対しては外航船の大きいものを造るというような基本的な考えがあるかどうかという点です。この点をお聞きしたいのです。
  37. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今内村先生からの御質問、それについては私としては明確な御返事がしかねるところがあるのであります。又海運局長から補足いたさせたいと思いますが、とにかく今の造船所を更に拡大してというお話がありましたが、これは私としてまだよくは造船界の実情を把握しておりませんけれども、更に今後能力を拡大して行くということは適当でないのじやないかと実は考えておるのであります。何分日本の敗戦前は、大海軍によつて造船所それぞれ応分の受注を受けていた次第であります。それが全然なくなつた今日であります。併しながら相当造船界も今日までに合理化ということが行われて来たやに聞いております。併しどの程度に合理化されたものか、又今後の日本の商船像の整備について、それと睨み合せて今の造船能力というものが小さ過ぎるものかどうかというようなことについては、更に私としては検討を重ねたいと考えておる次第であります。
  38. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 今までの建造計画において、主として大きい造船所に行つているではないか、こういうお話がございましたが、実際上そういう傾向であると考えます。それは御承知通り、毎年の建造量と建造能力との間に非常な開きがあります。ところでこの建造船主をきめまする場合に、その造船所を見るよりも、むしろ建造する船主並びにその建造すべき船の用途、こういう点を考えて決定するわけであります。造船所の大小の間に按排するという考え方をとつていないわけであります。従つて大きい造船所は従来からの縁故でいい船主を使う、従つてその船主は用途の非常に高い船を作るという結果、建造船主を選定した必然の結果として大きいほうに片寄る、こういうことになつておる次第でありまして、この点政府がいわゆる造船計画的に船を按排するという方策をとつていない以上止むを得ざる結果である、かように私ども今まで考えて来ておるのであります。併し外国船の注文が相当大きい造船所に参つておりまするし、その造船能力の余力というものも従来のようにそう大きくありません。従いまして今後の建造計画においては、自然中流の造船所が潤うというようなことになるのではないか、かように考えております。又小さい造船所につきましては、中型以下しかできない中小造船所につきましては、現在までのところ非常に気の毒な状態にあるわけでありまするが、今日日本海運界の情勢がまだ小型の船を建造するまでに至つていない。言換えますると、沿岸航路における船腹はまだ過剩状態にあるというように考えるのであります。E型船その他の小型の戰標船が相当命数が来ておりましてこれの代船を考えるべきであるという議論がございましたけれども、今日まだその機運が熟しておりません。二年或いは三年後にはそういう船が相当命数が盡き、沿岸航路の船腹がバランスを失するというふうな状態が出て来るのではないか、そのときまで小型造船所は待つて頂かなければならんじやないか。そういう時期にならないと政府としても積極的な沿岸航路船の建造という面における政策がとりにくいのではないか、かように考えている次第でありまして、小さい造船所については大変お気の毒な状態が暫らく続く、併し一面におきまして、海上保安庁の船の建造或いは修理、こういう面が今後の情勢の急転回によつて出て来る、こういう面が相当明るい希望の持てるところである、かように考える次第であります。
  39. 内村清次

    内村清次君 造船契約につきましては、とにかく船主の好みによつて船主造船所、而もその造船所というものは、そういう船主の好み得るような造船をやる、企業の整備した、或いは規模の大きいそういう造船所というものが対象になる、そうして見ると、それと類似した現在の造船所でも、やはり今後の状態においては政府のほうで計画的にこれに対するところの方策というものは、これは余り強い力ではなされないというような御答弁のように要約するとなるわけでありますが、私たちはこの点が、とにかく見返資金も先ほど運輸大臣の言われたように先細りになつてしまつておる。その資金関係もやはり一応政府の責任において運用の面は総体的に考えて、この造船不足の分を補うような計画が樹立されなければならない。こういう点を政府は、たとえそれが斡旋の形であるといえども、一応既存造船所の現在の全国の配分や、或いは又能力の点、こういう点を勘案して、私はそこに確固たるやはり計画の樹立というものがなくちやならんのじやないか、こういうことを私は心配いたします。そうしてそこをどう御計画なさつておるかということを聞きたいのです。第七次造船のあとにおきまして、私はこれはまあ新聞で見たわですが、あれに洩れたところの造船所関係、全国的に約六カ所、こういう所には今後一つ割当てるような計画でもしよう、或いは又二十七年度の見返資金の運用計画といたしましての配分量も、或いは運輸大臣の方針も新聞には載つてつたし、或いは又それを要約いたしまして、船主関係の意向をも、これも新聞には対象として載つてつたのですね、こういうような状態であるとしたならば、もうすでに二十七年度の予算はかかつておるし、二十七年度の実施時期というものは切迫しておる。同時に又一番重要なことは、私が先ほど報告いたしましたように、或る造船所においては何千人の工員を抱きながら、その前途はどうであるか、政府は一体これは強制整備をやるつもりであるのかどうかという見通しについてさえもはつきりわからない状態で、これはもう造船所の当局者及び工員、家族全体が非常に前途に非観的な様相でおることを見まするときにおいて、私たちは早くそういう計画を樹立なさつて行くべきではなかろうか、こう考えておるわけですが、あなたのおつしやる通りに行けば、保証のある造船所だけが繁栄して、あとは潰れてもいいのだ、或いは又外国船の注文があれば、それを何とか一つ政府のほうで斡旋して参りたい、ただそのくらいの考え方では今後の日本の自立経済上におきましても支障がありはしないか、この点も又心配するわけです。
  40. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) ちよつと言葉が足りませんでしたが、先ほど言いましたような建造船主選定の過程におきまして、やはり造船所事情は或る程度考えておるわけです。船主サイドの事情が同一であります場合には、その選定する造船所の何と申しますか、アイドルのひどい状態、アイドルのひどい造船所のほうに仕事が行くようにする。そういう点につきまして、できるだけ中流造船所仕事の行くような努力をいたしております。併し根本的に造船に対する配分というものは、船主造船所の自由な結付き、それから建造船主の選定が、船主並びにその建造する船、こういう面を重点的に考えてきめて行きましたがために、計画的にバランスのとれた配分をするというところまで行つていないわけです。そういう船主サイドの事情が同一である場合は、造船事情を勘案して仕事の配分をアジアストするという方法をとつております。
  41. 高木正夫

    ○高木正夫君 昨日の新聞でありましたか、日米協力関係におきましてアメリカの軍需品を日本で生産さす、同時に日本の商船隊を増加する意味においてアメリカの船を供與するというような、まあちよつと我々が考えて耳寄りな話が出ておつたんですが……。
  42. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 実は私どものほうでも耳寄りなニュースでございまして、私どもとしてはまだ何ら承知していないのであります。
  43. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 もう一点お伺いしますが、先刻政府委員説明の中に、いわゆる近海の海運状況が大体船腹過剩だからというふうな御説明があつたようですが、船腹も一面に過剩かも知らんが、私の伺つた話によると、近海の船が非常に御承知のように算盤が惡い。遠洋のほうは先刻来お話のような相当高い船価の船を造つても多少赤字を儉約しているかも知らんが、大体算盤がとれる。殊に油を運ぶ船のごときは相当有利な算盤がとれるというような現状でありますけれども、同じ海運業であつても近海のほうはなかなか経費と收入とのバランスがとれないで非常に経営が困難だという実情でありますが、船腹過剩だけで、そういうふうに言うと、つまり運賃が安くて赤字になつているということもあるかも知らんけれども、私はポート・チヤージズが非常に惡いので、近海の船は航海の日数が非常に少いけれども、その少い割合に港で以て二日も三日も碇泊する、或いはひどいのは四日も五日も碇泊しなければ積上げの荷物がさばけないというようなことから、遠洋の船と比べるといわゆる稼働日数が非常に少くなるということが、今近海の船が特に算盤がとれない実情だというようなことを言うておる業者もあるわけなんですけれども実情はどこに一体この近海のほうがそういう算盤がとれないようになつておるのか。若し私が聞いたようなことが事実なら、やはり港湾設備なり、港湾のいろいろなポート・チヤージズの改善というようなことで、ポート・チヤージズの少くなるようなことに対して相当やはり運輸省としても檢約なり、施設なりをしなければならんというように思うのですが、こういうことに対しての御見解を一応伺つてみたい。
  44. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 御承知通り港湾の能力は非常に惡くて船の回転率が余りよくない。これが沿岸の海運業者の採算を惡くしている一つの大きな原因であると思います。もう一つは、更に船腹の相当余裕がある。従つて海運同盟で運賃の引上げを決定いたしましても、それが実行されていないという事柄にもよるのでございます。ポート・チャージが非常に高い結果、それでなくても本船運賃だけでも鉄道運賃と比べて割合にコスト計算が高くなりますから、海上の運賃はますます鉄道で運ぶときよりも海上のほうが高くなるという事情がございまして、そういう鉄道運賃に一つは牽制せられるという事柄もあると考えるのであります。いずれにしても船腹が荷動きに比してまだ相当余裕があるということが運賃を採算面まで引上げ得ないということであろうと存じます。
  45. 内村清次

    内村清次君 ちよつと私はこの際運輸大臣に結論的にこの問題をお尋ねいたしておきますが、先ほどからの御説明を聞きますと、沿岸航路だけは小型の船腹でも過剩があるのだ、そうすると、現在のこの建造能力というものが船主の、たとえそこに貿易の見通しからするところの注文があつても、まだ十分能力はフルに動いていないという事態は、これは率直に認めざるを得ないのですが、そういたしますると、運輸省の方針といたしましても、やはり船主造船所ということで、こちらは斡旋ぐらいで計画も立てておらないということになるといたしましたならば、結局現在の造船界というものはやはりこれは淘汰される運命にある、即ち整備の過程にあるということを確認していいのでありますかどうか、この点が一点。それから第二点は、これは国策の問題とも関連いたすのですが、もう多く中小造船所というものは一応の整備がなされた、勿論沿岸航路の小さい船はとにかくとして、五千トン級の船であつたならば、或いは又中近東や、或いは政府が唱道をされておるところの東南アジア方面、こういう面の航行は或る程度可能でありましようが、問題は中共貿易のこの国策関係、これに対する政府の国策関係によつてこの貿易状態というのは振興しない。この現段階においては、そういう中小の造船所もやはりこれは整備されたままで更生の途というものはないのだというようなお考えを持つておられるかどうか、或いは又今後造船界が活況を呈するような時期というものは、どういう方策を今後運輸大臣は持つて行かれたならば造船界の更生というものがなされるか、この三点につきまして御答弁を願いたいと思います。
  46. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 只今の御質問でありまするが、先ず第一点、中共貿易なんかが進展せざる限りは困難になつて来るのじやないかという御説でありますが、中共貿易が若し現在の客観情勢に変化を来たして貿易をし得るようになれば、これは相当の船が動くと思うのでありますが、併しながら日本貿易力、過去において、基準年次の頃におきましても、中共貿易というものの占むる割合は案外少なかつたのです。大連港に対しては相当の分量がありました。いわゆるその以外の中共プロパーの面に対しては、案外その占める割合が少なかつたのです。併しながら今後は又別問題だと思います。それで国際間の関係が一変して、中共貿易が始まるということになれば、それはそのときにはやはり特段な措置を講ぜなければならんと思うのでありまするが、今のところはこれはできないことだと思うのであります。で、今小泉さんからも御指摘がありましたごとく、沿岸航路の船は今日余裕がなおあるのだという実情でありまするが、その理由は、ただ船舶貨物が非常に少いということ、更にその原因は、オート・チヤージが非常に高くつく。又運航日数非常に少い。いろいろ不利益な事情にありまするが、一つは運賃問題だと思います。この点はどうしても陸上の鉄道自動車の運賃と総合的に決定をして行かんければならん問題だと思うのであります。勿論鉄道輸送におきましても、小運送というものがありますけれども港湾の荷役は、陸上のいわゆる小運送チャージよりも著しく高い。又船自体においてその荷役の能率が低いために、船自体のこうむる損害も大きいというようなことが、これは主なる原因であろうかと思つております。で、今鉄道でも随分、例えば北海道と内地間におきましても、石炭とか、或いは木材とかというバルキー・カーゴ、これはもう当然全部船で行くべき性質のものだと私は思つておりますが、それが貨車によつて青函連絡船を経て内地に来るというようなこともあります。更に北海道開発の特殊措置によりまして生産せられた魚油とか、或いは魚粕でありますとか、或いは澱粉とか、或いは小豆その他の雑穀というようなものでも、恐らく今日なお三十万トンくらいは滞貨があるように聞いております。これらのものも皆鉄道に向つて殺到して滞貨になつている。併しこういうものがそれじや船舶貨物として不適当かというと、決してそうではないと私は思います。相当なボリュームに達しているのでありますが、要は運賃の点にあると思うのであります。沿岸航路の船会社は非常に不利益な輸送をやつて苦しみつつ、船運賃は比較的安くしている、コスト計算から言えば……。併しながらその船運賃は、鉄道運賃に比較すると非常に高い。こういうことになつておるのであります。そこへォート・チャージ、その他が船主持ちの場合も相当多いので、そういうことを考慮に入れて、荷主は鉄道のほうへ自己の荷物を殺到せしめる、こういうことになつておると思うのであります。どうしてもこれは総合的に沿岸航路、そうして鉄道、まあ更に自動車についても考慮する必要があると思うのですが、鉄道船舶については総合的に考えて施策する必要があると信じております。今のところまだ私としましては、どうすればこれが総合的に陸に上つた荷物を又再び海上におろすということが自然の流れとしてでき得るかどうかということについては、なお格段なる研究を要すると思つております。つまりそれに関連して、比較的小さい造船所の生きて行く途ということが、その点から考察して初めて結論付けられることと私は思つております。今後大いに研究したいと思います。
  47. 内村清次

    内村清次君 今の答弁で二つ要点がなんでございますが、とにかく現在の既設の造船所の能力というものは過剩しておるのだ。だからして全体の先の見通しからしましても、それが整備の形になつて行くことも止むを得ないかどうかという点が一点、それから中共貿易の問題がありましたが、第三の全体的造船界の活況を呈するような、運輸大臣といたしましての何か御方針が立つておるかどうかということの、この二点ですね、これを一つ。
  48. 村上義一

    国務大臣村上義一君) これは今申上げましたように、造船所につきまして、これからこうすれば活況を呈するのだという方策は、甚だ相済みませんがまだ立つておりません。率直に自白するほかないと思います。
  49. 岡田信次

    岡田信次君 船が必要だということは申すまでもないのですが、六次造船、或いは七次の前期に二十万トン後期に二十万トン、二十七年度に三十万トン、三十五万トンというふうに、政府が船を造ることに関與しておるというのは、主として資金関係だろうと思いますが、一体いつになつたら、政府が関與しないで船主が好きな船を何万トンでも造るというふうになるか、又そういうふうにしようと、何か方策をとつておられますか。
  50. 村上義一

    国務大臣村上義一君) お尋ねでありますが、今、外航のいわゆる目標は、商船隊の建造、輸出入物資の五〇%を日本船で運ぶということが、目標なんであります。この域に達すれば、恐らく政府としては特殊な措置を講じないことになるだろうと思います。又それは国際間において非常に非難を受ける結果になりやせんか、こう考えるのであります。つまりその曉において、先刻内村さんが、造船所の問題について非常に御心配になつておりまするが、やはり大きい造船会社におきましても、そのときには船主の独力のものしかないということになりますので、必ずそういう時期が来る。外国の注文に応ずる場合はこれは別問題であります。そういうことも私どもとしては考えて行かなければならんと思つておる次第であります。
  51. 岡田信次

    岡田信次君 五〇%の荷物を日本船で運ぶ、そういたしまするには、まだ老朽船の交替その他で相当の量を殖やさなければならんと思うのでありますが、今のところでは船主側としては年に四十万トン、五十万トンも造りたいという希望があるのだろうと思いますが、資金その他の関係でなかなかそうは行かんので、政府が面倒を見ておる。併し私は自由に船を作りたい人が、作ればいいと思うのですが、そういう時代が来るように何か手を打つておられるかどうか。
  52. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 原則論としては岡田先生のお説の通りだと思います。ただ今のところ輸出入物資の五〇%を日本船で積み取るという目標に達するように、速かに日本商船隊建造するという方針は必要であり、又そういう方針をとつておる。で、又その程度日本の自国船で積み取るということは国際的に許されておることなんであります。で、その目標に向つて、今目標の到達を速かならしめるように努力いたしておる次第であります。で、大体において三年若しくは四年という後にはこの目標に達し得るのではないか、是非達せしめたい。今は大体三〇%を日本船で積み取つておる次第であります。勿論年と共に輸出入貿易のボリュームも殖えて行くことは明らかであります。で、その推定数量の五〇%に到達するというのは、早ければ三年後、なんぼ遅くても五年後には到達でき、又せしめなければならんと考えておる次第であります。その暁には先刻おつしやつたノーマルな状態に還つて来るだろう、こう考えておるのであります。
  53. 岡田信次

    岡田信次君 ちよつと私は大臣と逆のように思うんですが、大体、七次後期につきましても、造りたいというほうの希望は二十万トン、二十五万トンもある。ところが政府がそれに対して斡旋をしておられるんですけれども、それがブレーキをかけているというふうに考えられるのですが、一万トン当り二十万円ですか、このくらい高い船を造りながら、大部分の船会社は相当高率の配当をして、営業の状態はいいように思う。その方面と考え合せて、船主側が船を造りたいというなら、政府も大いにそれを斡旋して、その通り希望をかなえてやるようにしたらどうか。更に政府は斡旋しなくてもどんどん船主が造れるようにやつたらどうかと、こういうように思うのです。
  54. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 恐らく、お説のごとく今日の船主は最近においての実績より以上に建造したいという希望を持つておられるだろうと思う。ただ船主自身の力又船主と取引ある銀行の力ではこの建造ができない。とにかく一万トンの船一杯に十六、七億要する。つまり船主が自分の資力、信用で自分の欲するだけを造るということが、これはノーマルな状態だと思うのであります。それではできないというから、一方又国策から早く輸出入物資の五〇%を日本船で積み取るようにしたいという、そうして貿易外收入を得、特にドル資金を獲得したいというようなことも加わつて、国策として今援助している、こういう実情であるのであります。で、恐らく五〇%の目標に達した上で、今日のごとく政府が助成したならば、国際間の問題に若干なつて来るのじやないかというふうにも思うのであります。で、五〇%に達した場合にはノーマルな状態に復して、岡田さんのお話のごとくあるべき姿に還つて来るんしやないかと思うのです。   —————————————
  55. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) この際、次の議題に移りまする前に、新たに当委員会委員になられましたかたを、本日御出席になつておりますから御紹介申上げたいと思うのですが、自由党の一松君は本日欠席であります。但し民主党の深川君、緑風会の小野君、社会党の片岡君、皆さん御出席でありますから、もう皆さん承知のかたばかりでありますけれども、一応当委員会委員として御紹介申上げたいと思います。  それでは次の議題に移りたいと思いますが、一般運輸事情に関する調査中、航空事業に関する件を議題といたします。政府より現況について御説明願いたいと思います。
  56. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 航空事業につきましては、漸く種々の紆余曲折を経まして、昨年十月から日本航空会社の責任において、空中輸送が開始せられたのであります。それで差当つて東京羽田を基点としまして、北は札幌、そうして西は福岡に航路を毎日一往復持ち、大阪に対してはそれ以外に三往復というダイヤを編成して実行しつつある次第であります。で、今占領治下におきましては、飛行機の製作、修理、又運行等は禁止せられておることは御承知通りであります。日本航空会社がノース・ウエスト・エア・ラインと契約を結んで、日本会社に禁止されている点を一任いたしておるようなわけであります。恐らく議員各位は日航は欠航だと言つたような惡評を耳にしておることを拝察いたします。事実整備が間に合わずして、ノース・ウエストの責任事項である飛行機の整備が間に合わずして欠航したということがままあつたのであります。併しその後予備機も増加いたしまして、そのとき以来余り欠航ということもないのでありますので、更に日本航空会社は、この札幌航路の途中において仙台で一カ所、松島との間でありますが、そうして三沢に着陸をするということに相成つております。又会社の今なお希望にとどまつておりまするが、近き将来に福岡航路は沖縄まで延長するのじやないかと思つておるのであります。なおこの飛行機の整備を完璧ならしめるために、ノース・ウエストの社長のミスター・ハンターが昨年末からこちらに来ておられる機会に、いろいろ向うとしては希望せられまして、何らか飛行機の修理に関して適切な方途を講じたいということで、今折角GHQ、その他関係の向きと交渉が進んでおるやに承知いたしております。  なおこの会社の経営状態は毎月若干の赤字を出しておる。大体二百万乃至三百万、或いは四百万程度の赤字を毎月出しております。更に、そういう状態ではありまするが、近く講和が発効いたしました曉は、今禁止されておる事項についても開放せられることは明瞭でありまするから、飛行士その他陸上の整備関係の技術員等の訓練を速かにしたいという計画を立てております。でき得べくんば政府において飛行学校の設立をして欲しいという希望があつたのでありますが、今占領治下禁止されておる点に関連もいたしますし、差当りは政府において半額を補助してそうして半額は日航が負担して、約二十名のこれらの技術員をアメリカに派遣する、四ヵ月半ずつの期間で派遣するという計画を立てておるのであります。これは本年度予算にも補助金が計上せられておる次第であります。
  57. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 今大臣から大体御説明申上げたことで全貌が盡きておるわけでありまして、私から特別申上げることは別にないと思いますが、ただ現状、差当つて航空庁としてやらなければいけないという問題がここにあるわけであります。これを一つ御披露しておきまして各位の御協賛を、或いは御援助をお願いしたいと思うわけであります。実は條約の発効も間近に迫つているために、政府としましては御承知のように一昨年航空法、いわゆる従来ありました航空法を廃止しているわけでありまして、現在ありまする法令は單に政令に基きまする国内航空運送事業会というものしかないのであります。條約発効後におきます各種の航空事業に対して、政府としましては只今航空法を草案中でありまして、近日これを本国会に上程をいたしたいと考えておるわけであります。その暁には何分愼重御審議をお願いいたしたい次第だと考えております。  次に、御承知のように現在行政取極、行政協定というものが実行されつつあるわけでありますが、これの取極によりまして、航空庁といましては今後の民間航空事業というものを確立して行きたいと考えているわけでありまして、実は今日航空庁としましても幾多の計画、将来の航空に対する計画を持つているのではありますが、この行政取極という線が明らかに確立されるまでは、いわゆる私たちの持つている計画が全貌的に確立されないという状況にあるのであります。私たちは極力今後の日本の民間航空事業を推進するために、又発達さして行くために、いわゆる日本の航空の自主権を確立するために、防衛協定へ多々私たちの希望を申述べておるわけであります。いずれその決定を待ちまして私たちの持つております航空政策というものを再検討しまして、そこに確固たる航空計画を樹立して今後の施策を進めて行きたいと考えているわけであります。  もう一つは、二十七年度の予算としまして、航空庁は大体三億、二億九千万円余りの予算を計上しているわけであります。この二億九千万円は大体現状におきまして見通し得る、確実性のある面の予算だけでありまして、先ほども申しました通りに、行政協定というものの取極によりまして予算はそこに又再編成をいたしたい。従いまして航空計画の確立を待つて、次の予算要求にはその計画によりまして予算を編成し、各位にその御審議をお願いしたいと考えております。現在二十七年度に今回要求してある予算は、御承知のように現在飛んでおります札幌から福岡における各飛行場の通信施設の維持修理費、建築物の維持修理費というのが大部分でありまして、そのほか、十四カ所の航空標識所の修理、航空燈台の修理という確実視し得たものだけを一応計上してあるわけであります。それについてもいずれ十分に御審議をお願いしたい、差詰め大臣の御説明につきまして、現在私たちが速急に御審議をお願いしたいと考えていることは以上の通りであります。  ただここで一言申上げたいのでありますが、ちよつと速記をとめて頂きたい。
  58. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をとめて。    〔速記中止
  59. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて。
  60. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 たくさん質問事項がありますが、先ず最初に只今将来の航空計画についての御説明がありましたが、もつと具体的にお話を願いたいと思うのであります。私どもの耳にするところによると、二十七年度の予算においても、運輸省から要求された予算は八十何億とかいうことを聞いているのでありますが、それが僅かに今長官が御説明になりました程度に減額されたのはどういう点であるか。そうしてこれを更に強力に要求されて、或いは二十七年度補正予算その他二十八年度の予算等に強力に獲得する熱意と確信があるかどうか。つまり将来の航空計画並びに予算の問題について先ず御説明を願います。それから現在飛んでおるのは中心地ばかりであるようでありますが、二十七年度或いはその後においてローカル線も計画しておられるかどうか。この前私の質問に対して二十七年度はローカル線もやるつもりであるという御答弁があつたようであります。その点について計画しておるならばどういうふうにやるか、いつからやるか、具体的に御答弁を願いたい。それからこの発着の時間というものについて御研究が足りないと私は非常に考えておる。例えば東京、福岡間、福岡に着きまするのが十二時過ぎになつてしまう。それが帰るのに、私どもから言わせると中途半端な時間になる。ですから福岡から向うに行きまする者、特に私どものように鹿児島のほうに行く者は飛行機で行つてそうして福岡から急行に乗ろうとしても間に合わない。十時半頃はすでに出ている。ですからやはり福岡に泊らなければならない。折角飛行機に乘つても二晩かかる。今と同じように二日かかる。何も効果はないということであります。ですからこの時間等についてそういうことを十分にお考えにならなければいかんのじやないかと思う。急行に間に合うように……。或いは又帰るときは急行のあとに出す。こういうことになればすべて地方の者も航空の恩恵に浴するわけです。そういう御考慮が足りないと私は考える。どうも私は運輸省仕事を見ておると、すべての設備が中央に集中しておる。私は常にそういうことを言つておるのですが、中央というものにとらわれておる。東京、大阪間に特急が走つているが、東京と九州の間には走つていない。私どもに言わせるとむしろこれは遠距離の人に便利を與えなければならない。又汽車についても鹿児島では五等車というのが走つている。即ち四倍の運賃を拂つているわけだ。板の腰掛で、破れたガラスのないような汽車を走らせておる今日では、そういうような地方の実情というものを少しも考えないで、中心地ばかり考えておる。私はこれでは鉄道が赤字を出すのは当然だと思う。行燈みたいなもので、三尺先のことしか考えていないのですから、毎年赤字になる。もう少し視野を広くして全国民が交通事業の恩沢に浴するように考えて行かなければならない。これは航空ばかりではない。運輸全体に亘つてそういうことにしなければならないと思います。ですからそういうことは、航空についても地方のことを考えてもらいたい。特に時間、それからローカル線の問題、この点について御答弁を承わりたい。只今大臣も御説明なつたように、開業早々ですから整備も不十分でありましよう。欠航もありましよう。今日までどれだけ欠航になつておるか。福岡の駅に、お急ぎのかたは汽車にお乗り下さいという、こういうような飛行機を飛ばしても何にもならない。この前も寝台車に乘合せた人が、飛行機に乗ろうとしたが出ないので、急に汽車に乘つたという人も随分あると、こういうようなことも考えて時間の励行、欠航をしないこと、安全感を與えること、開業早々ですからいろいろな無理な点もありましよう。こういうような点についての十分な御計画と御熱意を持たれることが必要であると思う。それに対する御意見を承わりたい。それから今大臣の御説明によると毎月二百万円くらいの赤字を出しておるということですが、その赤字の原因はどこにあるのか。欠航のためか、或いは乗る人が足りないためか、或いは借りておる飛行機の料金が非常に高いために赤字を出しておるのか。独立後においては更に他の航空会社を許す計画があるか。今借りておる飛行機というものを向うに返して日本の飛行機でやるような計画があるのかどうか。こういうような点を一つ御答弁を願いたいのであります。  更にもう一つお考え願いたいことは、非常に高いのじやないかということです。福岡まで一万幾らかとつておる。これでは普通の者は乗れない。大阪と東京の間では相当に高いようです。大阪の金持が芸者を連れて東京に遊びに来るのに飛行機に乗る。これは玩弄物視されてはいけないと思う。実用になるように、すべて大衆が使えるような料金をきめなければいけない。最初二等車に寝台劵を加えたくらいのものだというので、我々非常に結構だと思つたが、それがいつの間にか汽車の一等の料金に寝台券を加えたよりももつと高い。これでは八千万国民の中の幾らの人がこれを利用できるかということを一つお考え願いたいのであります。今役所の人たちが利用しておる。知事あたりはよく利用しておるようですが、これは皆国民の金です。自分のふところからお金を出して乗る人は極く少い。こういうような点をよくお考えになつてもう少し料金を下げる。二等乃至二等に寝台券を加えたくらいの料金にしなければならんということを私は強く考えておる。又国民はそれを強く要望しておる。こういう点について何かお考えがあるかどうか。なおこの二百万円という赤字については、どういうような方法で以て補填するのか。国が補償するのか。或いはどういう方法になるのか。そういうような点についても具体的にお伺いいたしたいのであります。先ずこれだけのことを最初に質問いたします。
  61. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 御回答申上げます。将来の航空計画についての御質問が第一番にあつたようでございまするが、実は二十七年度の予算におきましては一応先ほども申しましたように、行政協定というものがこうなるであろうという推定の下に予算を計上したわけであります。例えば羽田は返還されるであろうという推定の下に羽田の維持費を全部計上した。或いは今後起きるであろうローカル線に対しての建設費、維持費を要求した。それらによりまして厖大な数字が出て来たわけでありますが、大蔵省といろいろ折衝した結果、先ほど申述べましたように、行政取極の線が確立した曉においてもう一度予算の再編成をして大蔵省と折衝しよう。従いまして実は補正予算になるか、或いは臨時費になるか、その点は現在ではわからないのであります。次の予算に改めて計上しようということに話をきめて一応確立したものだけの予算を計上しておるわけであります。それが今申しました大体三億近くになるのだということになります。  次に航空路のローカル線の問題でございますが、この問題につきましては、今まで申述べたように二十七年度要求したローカル線は大体第一次線としまして大阪、高松、松山、大分、福岡、大牟田、それと福岡、鹿児島という線を要求した。これにつきましても今申しましたように一応行政取極の線がきまつてから計上しようということに話合いがなつておる。ローカル線の問題につきましては私のほうで大体三カ年計画というものを樹立しましてその線に沿いまして漸次国会に要求するわけであります。それによりまして大体三ヵ年を経過いたしますと、日本の従来結んでいた航空路、或いは今後起きるであろう重要な各都市の航空路が大体結ばれることになる。その第一次線として、先ほど申しました二線を計画しておる現状、そういうことになつております。次に御要求の発着時間の問題で、特に福岡から鹿児島線に対して何分でしたか三十分か一時間近くの差隔のために鹿児島線に乗れないというような現状になつていると思いますが、実は問題は長い便になりますと、途中のいろいろな発着基地とそれから最終点の着陸時間というものを睨み合せまして、汽車とそれから逓送便、それと飛行機の機数というものから算出されるわけであります。実はその問題は、東京を出発する時間が朝の八時ということに一つの決定を見たものでありますから、従いましてダイヤから行きますと、どうしても福岡にはその時間でないと着かない。従いまして航空会社としましても、それらの旅客の需要に応ずるために現在機数を増すべく計画をしておるわけであります。最近四機ばかりの機数が殖えることになつておりますが、その曉におきましては、それらの要求に応ずるようにやつて行きたい。併しながら何分にも現在のいわゆるマーチン三機、ダグラス一機という機数ではその御要求に達し得なかつた。従いまして長崎線というものに対してはどうやら要求に達し得る。併しこの問題は将来とも起る問題でありまして、航空行政上運輸省が一貫して持つておるものでありますから、鉄道、船或いはその他の交通機関、航空の交通機関一つのダイヤを編成するように今後努力して行きたいと考えております。発着時間の不正確というものにつきましては、先ほど大臣が御説明申上げたと思いますが、何分にも発足当初であり、且つ又外国の航空会社に依頼し、外国から飛行機を持つて来た。飛行機は持つて来たが、その部品を持つて来る、又部品を揃えるのには相当の日数を要した。従いまして十一月、十二月のこの二カ月間におきましては最終的に誠に申訳けない結果を生じたわけでありますが、現在に至りましてはどうやら整備も、或いはそれらの部品も完備いたしまして、出発到着の時間も十分以内の正確さを来たしておると存じておるわけでございます。この点今後とも十分指導して行きたいと存じておるわけです。  次に航空会社の赤字の理由その他について御質問があつたと思いますが、実は航空会社の計画の中には、最初の計画の中には通行税及びガソリンの消費税というものを政府が免除して頂ければどうやら二、三千万円の黒字になるが、これを免除して頂けないときにはそこに六、七千万円の赤字が出るということは最初からわかつていたわけであります。政府としましてはその赤字克服のために大蔵省と私のほうは常時折衝を重ねて来ておるわけでありまして、ガソリン消費税の問題、この問題につきまして大蔵省としてもどうやら八、九分まで納得してくれる段階にまで来て、まだここに最終の決定はしていないが、大体免除して頂けるものではないかと考えておる。併しながらそれがきまりますまでの間は、会社としましては税を支拂わなければいかん立場にあるわけでありまして、そこにいわゆる赤字が集積されつつあるということは事実であります。従いまして会社としましては資本の増加を図りまして、一時的にこれを克服して行きたいというようにしておるわけであります。何分にも御承知のように現在の民間航空会社、いわゆる日本航空会社というものが異常の形態を持つておるわけであります。航空会社自身が運航をし或いは経営をして行く場合には、その航空会社自身に対しての自主性を、或いは航空会社自身の何と申しますか、能率増進というものが図つて行け得るわけでありますが、現在におきましては御承知のようにオバーレーシヨンはノース・ウエスト、これには計画のチャーター料金を支拂わなければならん。そのチャーター料金を減額することもできない。計画の料金を支拂わなければならない。一方においては、收入というものはここに増減がある。お客がたくさん乗れば收入があるが、お客が少なければ收入がない。その收入の増減に対しまして、一方には計画の支拂金額がある。ここにいわゆる日本航空会社の不安定性というものが現在あるわけでありますが、今後いわゆる日本の自主権が回復しまして、日本航空会社としましても、すべての面において自分が飛行できる。又自分が全部の経営権を持つということになりますと、そこに一つの進歩は出て来るのであります。又政府としましてはそれらが健全な発達をするためにあらゆる指導、援助をして行きたいと考えておるわけであります。先ほど御質問の中に自由競争を認めるかどうかというお話もありましたが、実はこの問題につきましては、まだ研究の私は余地ありと考えているわけで、実は航空会社を今後さような十分な自主権を認められた日本の立場を想像しまして航空会社が相当起きるのではないかということが想像されるわけでありますが、その航空会社が果して経営面におきまして黒字の経営ができるかどうか。一方安全というものを確保しながら、他面において黒字の経営を続行して行くということにつきましては、まだ私自身としまして相当の疑念を持つておるわけです。今後相当私としましては研究調査をいたしまして、起きるであろう今後の問題につきましては適当の処置を講じて行きたいと考えておる。現在におきましてはまだまだ私実は最近アメリカに行きまして帰つて来たために、なお且つそこに疑問を感じたわけです。私が若しアメリカに行かなければ、これは強硬に推進したかわかりませんが、アメリカに行つたために、又アメリカの各般の事情を見て来た結果、そこに一つの大きな疑問を感じておるわけです。十分その疑問について調査研究した結果、施策を決定したいと考えておる次第であります。  次には高価なる航空料金に対する御批判でしたが、この問題は先ほど申上げましたようにチャーター料金というものが、もうここで確立しておる以上、料金というものは原価計算をやつたわけでありますが、原価計算上、料金はこれだけないと会社としてはもう成り立たんという最終の料金が現在になつておるということでありまして、若しこれが運航が自由に日本人の手でやれるという曉におきましては、料金についてももう一度再検討いたしまして、適当な料金を選定する必要があるのではないか。その研究した結果今日と同じ料金になるか、料金が安くなるか、これはもう一度研究した結果に待ちたいと思います。大体御質問に対して概略でありますが、御回答といたします。
  62. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 将来の計画というものに対する御答弁が非常に不十分であると思います。行政協定ということでお逃げになつたようでありますが、ローカル線のごとき私は行政協定に関係のないものが相当にあると思う。ですから行政協定に関係のないものについてはやはり計画を遂行せらるべきものであると私は思うのですが、私の承知している範囲では、運輸省、特に航空庁の政治力が足りないために、大蔵省の予算査定から非常に削られた、殆んど二十分の一にも足りないほどにも削られてしまつた。将来の航空事業というものを考えるときに私は非常に残念に思います。こういう点についてはもう少し、特に新らしく造詣の深い大臣もおなりになつたことでありますからして、外廓団体に対する予算の獲得その他については万全の策を講ぜられて、努力されるように希望いたしたいのであります。行政協定に関係のないローカル線、これについても何の計画もない。何もない、何もないと言つても私は過言でないと思います。これらについてもう少し具体的にいつやるのか、やるのならばいつからやるのか、いつやれる見通しがあるのかということを確信を以てお答えを願いたいと思います。それから赤字の問題、料金が高いということは、これはチャーター料金が高いということは、私もそういうように聞いておる。私は素人ですが、非常に厖大なチャーター料を拂つておるのだ。而もそれを日本の貧弱な敗戦国民が背負わなければならない。高いチヤーター料を我々が拂わなければならないということは非常に不合理であると思うのです。ですから私はチャーター料は高い。その高いものは独立後においてはやはり是正して行くへきものであると思う。向うから押付けられたものをそのままいつまでも我々が背負わなければならない理由はないと思う。ですから独立後対等の立場に立つて改めてこれを適当なチャーター料に変える決意があるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのであります。この料金の問題は今お話のことでわかりましたが、現在のような状態でお置きになると、特殊の人の專用機になる。殆んど乗る人がきまつて来る。二十回乘つた三十回、乘つたと威張つている特殊の人の専用機であつたならば、そういうものを作る必要はないと思うのです、私に言わせれば……。これは日本の国民のための飛行機でなければならない。これを私は十分に頭に入れておかれないと、折角航空庁、航空庁といつて人ばかり殖やして金を使つても何にもなりはしない。僅かな人の、百人か二百人の人たちしか利用していない。それ以下の人しか利用していない。あなたのほうはよくわかるだろうと思う。一人の人が何回乗つたか、何人違つた人が乘つておるかということをお示しを願いたい。どうしてもこれは日本の飛行機である、日本の飛行機であるということに変えてもらいたい。福岡まで一万何千円で乗る人はおりません、特に九州などは貧乏ですから……。こういうことをお考えにならなければ折角お始めになつても何にもならんと私は思う。ですから料金の問題、時間の問題、特に時間は運輸省の所管なんですから、よく鉄道とも御協議になつて、そうして時間をおきめになるべきものである。若しあなたのほうの時間の差し繰りができないならば、鉄道のほうと交渉されて鉄道のほうを延ばすとか、そういうことをしなければならないのですが、そういうことをおやりになつたのですか。時間をおきめになるときに国有鉄道協議して時間をおきめになつたのかどうか。この点は私は国有鉄道の当局者にもお伺いしたい。こういうような点は一環として、そうして国民に便宜を與えるように時間をおきめにならなければいかんのですが、俺のほうは俺のほうで勝手にやるというのではいかんのじやないかと思うのです。そういうような御注意をお拂いになつておるのかどうか。又将来適当にすべての人の便宜になるように時間等を早急に御改正になる御意思があるのかどちか。それらの点についてお答えを願いたい。
  63. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 第一の将来の航空計画というもにつきましては、今いろいろ御要望をお伺いしたわけですが、実は私ども航空庁といたしましても、先ほど申しました通りに、一つの三カ年計画というものを樹立して、それに従つて要求しておるわけであります。従いましてローカル線というものにつきましては、先ず先ほど申しましたように大阪、福岡、小倉という線と、福岡、鹿兒島という線を先ず要求したわけでありますが、これは先ほど申しました通りに大蔵省のほうで査定を受けて実現を見なかつた。併しながら航空庁としましては今後とも一つの計画の線に沿いまして強力にそれを進まして行きたいと考えております。又行くべく勢力しようと考えております。折角の皆さんの今後の御援助によりましてそれを実現して行きたい。従いまして私のほうで今後樹立した計画につきましては一応各位の御批判を頂いて、それによりまして計画に確率性を持たして今後進めて行きたいと考えております。発着時間の問題につきましては、実は鉄道の時間を変えるということはその容易なことでなかつたために、ただ時間を決定するときの中心になつたのは逓送便というものの時間によりまして、ダイヤの編成を鉄道現状の時間に合わしたということでありまして、今後鉄道の時間を変える時期があるわけですから、その時期と睨み合せまして航空機の機数の増加と相待つて、そこに一つの鉄道と航空という連帯時間というものを確立して行きたいと考えております。これは御要求に副うように努力したいと考えております。以上。
  64. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 いや、まだありますよ。料金の問題。
  65. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 甚だ失礼しました。チャーター料の問題につきましては、これは実は何ヵ月でしたか、三カ月或いは四カ月に亘りまして、日本航空とノースウエストとの間にチャーター料金の決定につきして相当の検討を重ねたわけであります。決して先方のチャーター料金をそのまま鵜呑みにしたわけではないのであります。そのチャーター料金は相当の検討を重ねた上において、日本航空から出して来たチャーター料金につきまして航空庁としましても担当官庁としてそれを検討し、或いはこれを公聽会にかけて運輸審議会の決定までも見まして決定をしたわけであります。その当時におきましては、ノースウエスト、と日本航空会社との間にこれが最適な線でないかと考えられた結果決定したわけでございます。今日におきましてこれが高いとか安いとかいう問題については、私たちとしてはまだ十分の検討も済んでいないわけであります。一応は止むを得ないと考えておるわけであります。今後日本航空会社が自主的な面が出て来まして、いわゆるそこに一つの会社としての転換期があつた場合には、十分運賃の問題についても再考慮をすることが適当ではないかと思いますが、その時期までは現在の料金で進めて行きたいと考えておるわけであります。
  66. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 航空長官の御答弁によると、この赤字が出るのは当初の計当のガソリン税等の免税が得られないためにこういうことになつた。やはり免税等ができれば三千万円ぐらいは儲かるのだということなんですね。先ほど来縷々申上げまするように、今日の飛行機というものは、もう特権階級の極く僅かの人の乗用にしかなつていない。こういうような料金で乗れるはずはないのです。ですからこれはどうしても国家もできるだけこれを援助して、物心両面とも十分に援助されて、そうして日本の航空というものを伸ばして行くようにされなければならんと私は思うのです。それにはやはり先ほど来私が質問していることが非常に中心になつて来ると思うのです。高い料金は安くさせ、国家で補助すべきは補助し、免除すべきものは免除する、そうしてこれガ大衆の飛行機であるということにしなけりやならんと思うのですが、大臣はこれらの点について、近い将来においてローカル線もやる、或いは料金も下げ、国家もできるだけ援助して行く、そうして一般にということは言えないのでありますが、相当多数の人が利用できるようなふうにこれを改革して行かれる御決意があるのか、この点を一つ大臣の品から承わりたいと思つております。
  67. 村上義一

    国務大臣村上義一君) いろいろ先刻から前之園さんの御意見を拜聽いたしておりましたが、今の私に対しての御質問の点、これは今一番初めに申達べましたように、僅かに一往復しか九州関係はないのであります。これでは交通機関としては誠に足りないと私は思う。勿論四国、更に別府、長崎というような線を将来設ける必要があると思つております。北陸の関係についてはなお相当考慮を要すると思います。特に先刻申上げましたように、今福岡まで行つておる分を鹿兒島を経て更に那覇に至るといつたような線につきましても実現さしたい、こう考えておるのであります。なお一往復という、これは要するに需要供給の関係でございまして、お説によれば運賃が安ければ需要が多くなる、これは相対的関係にあると思いまするが、併しコストを無視してやることもできない。現在のところではノース・ウエスト・ラインが引受けてやつておりまして、今も長官が申述べましたように四カ月に亘つてねじ合つて実はコスト計算をやつておりまして、それで若しガソリンの消費税が免除せられるなら、更に輸入税が免除されるならば、購入価格の点は忘れましたが、当時そういう話を仄聞いたしたのであります。全く三、四カ月を要してコスト計算を綿密にやつて、恐らく十数回の交渉を経て契約ができたものだと記憶いたしております。併しながら今の契約は、私の記憶が誤まりなければ、一カ年であつたかと思うのであります。その間は継続してやらなければならんと思います。近く講和も発効いたします。そのあとにおいて十分準備を整えて、将来飛行機の製作は日本においてすべきである、その将来というのはいつ頃になるかと、直ちには私は困難じやないかと思つております。従つてそういう場合に飛行機のみを購入して、日本人の手によつて整備をし、必要あれば修理をし、又日本人の手によつて運航をするということを実は成るべく早く実現せしめたいということを私は希望、まあ目標として持つておるような次第であります。その希望の目標に副つて具体的に研究を進めたいと、そうして遺憾なき措置を講じたいと、こう思つておる次第であります。今はつきりしたことを御返事しないことは、定めし前之園さん御不本意だろうと拜察いたしますが、暫らくお待ちを願います。
  68. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 時間の問題について、運輸省関係か、国鉄関係か、或いは関係のかたに御説明願いたい。
  69. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは各輸送機関において連絡をよくするということは、運輸省交通機関を所管しております関係上当然やるべきだと思いますが、国鉄側に対して、先ほど長官から申しましたように、その時間の決定について相談はなかつたわけでございます。従つて現在できておりますものについては、国鉄の時間を下げるとか上げるというような考慮は拂われておりませんですが、御指摘の通り交通機関の総合的な連絡をすべきであるという見地から、今後予算を決算するときに、又考慮して行こうということであります。
  70. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の時間はいつ頃改正になるか、国鉄の時間ですね、いつ頃改正になるのですか。
  71. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) まだ正確にきまつておりませんし、私もまだなつたばかりで、いつ今度の大改正をやるかということは今ここでちよつと御返事申上げかねるのでございますが。
  72. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体併し行うとか何とか……、毎年やるのじやないですか。そのときにいわゆる航空庁と御協議になつてよく連絡がとれるようにして頂きたいですね。せつかくできたものが何にもならん。この点について。
  73. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 年々お説の通り一年一回は時刻を改正いたします。その機会に航空会社と国鉄がやはり協議をして歩み寄る必要があると思うのであります。その機会には何とか御希望に副うように盡力したいと思つております。
  74. 岡田信次

    岡田信次君 日本国内航空が非常に発展の途上にあるというような、誠に喜ばしいのでありますが、そういたしますると、当然この陸上輸送機関に或る程度影響を持つて来る。まだ日が浅いので如何なる程度の影響があるかということはお調べになつておりませんかも知れませんが、若しお調べになつていれば、どの程度影響があるか。又その影響によつて今後の陸上輸送機関の何と申しますか、政策に対して、何かお考え直す点があるかどうか、その点をちよつと伺いたい。
  75. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 飛行機が運航を始めます際に当つて国鉄のほうにどれくらいの影響があるかということにつきまして、一応国鉄として調べた、想定した数字があるわけでございますが今調査書を持合しておりませんから、具体的な数字を申上げられませんが、一応想定した数字はございます。併しそれによりますと、現在の程度におきましてそう大した影響はない、こういうことでございますが、将来ますます航空機が発展するということになりますと、自然国鉄のほうにも相当影響が来ると思つております。こういうふうに考えております。
  76. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 大臣に一つお尋ねしたい。航空の事業というものは、講和が発効したその後において漸次これはやはり盛んになるべき性質のものだし、又盛んになると私は思うのでありますが、航空事業の中の航空工業に関するものが従来からいうと、監督官庁が大体二元的になつてつたように思います。例えば造船のようなものは、造船海運というものは監督官庁が一つになつて、そこに調子のいい監督行政というものが確立しておるように思うのですが、これから、戦争前は別として、新たに航空事業というものが発足するのですからして、やはりこの航空事業監督行政というようなものも当然一元化して発達すべき事業であると私はさように心得ております。それに対する運輸大臣の御見解は如何でございましようか。
  77. 村上義一

    国務大臣村上義一君) お答えいたしまするが、先刻も航空庁長官が申述べました通り、安全ということが非常にこの交通機関には大切であると思うのであります。特に航空事業においては、航空交通においてはその度合いが一層熾烈なるものがあると思うのであります。それで修理につきましても、更に製造につきましても、今お説のいわゆる航空工業というものを一先的に監督をするということが、これは是非必要だというふうに考えております。
  78. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御発言がございませんようでしたら、大分時刻も……。
  79. 片岡文重

    片岡文重君 委員長速記をとめて頂きたい。
  80. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  81. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて。
  82. 内村清次

    内村清次君 先ほど、航空庁長官発言中に、行政協定が取極められてから、その質疑応答中に、例えばまあローカル線の問題だとか、或いは又設備の拡大の費用だとか、そういうような一応のあなたがたの方の御計画の費用が又再度予算として提出をされ、そうして各位の御援助をお願いするという御発言でしたが、その提出の時期は先ほどもちよつと言われたように、大蔵省関係で補正するか、或いはどういう費目になつて出すか知らないが、というようなことを附加えられましたが、これはいつ頃御提出になるかお考えですか。それから若しこれが二十七年度の予算中に、これが補正ができないとしたときにおいては、行政協定は御承知のごとく、もう二月の下旬かそこらにはきまる、こういう情勢になるといたしましたならば、二十七年度中にこれが実現をしないというようなことで、あなたのほうで計画されました計画というのは、これは支障はないかどうか、この点について。二点一つ。
  83. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) そのいずれになるかという問題は、実は根本問題としまして羽田という問題も維持という問題があるわけで、現在羽田という問題につきまして、予算を提出しましたが、これが落ちておるわけであります。従いまして今の行政取極の線で羽田が若しも日本の自主権に回復して来るという曉には、これに対して立ちどころに維持を要求して、転換してやつて行かなければいかんという部面があるわけでありまして、従いましてその行政取極の線が決定された曉に、お互いにそこに何ヵ月間においてそれを移してやつて行く、或いはそこに三カ月なり、四カ月の余裕期間を設けてやつて行く、その間にお互い政治的に解決をして決定を見るということになるのじやないかと考えておるわけであります。従いまして次の予算期というものがそこは必然的に生じて来ると私たちは考えておるわけであります。
  84. 内村清次

    内村清次君 見通しの時期は……。
  85. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) 時期はまだわかつておりませんが、恐らく七月、八月頃じやないかと考えておるわけであります。
  86. 内村清次

    内村清次君 そうすると、補正予算が希望されるわけですね。
  87. 大庭哲夫

    政府委員(大庭哲夫君) はあ、それが国会を召集することになるのじやないかと思うのでありますが、その時期は実は私としてははつきりわかつてないわけで、これは今後の政治の問題になつて来ると思いますが、或いは八月になるか、恐らくその前後には一つのものを訂正しないと実行して行けないということになつて来るのじやないかと考えております。
  88. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 大分時刻も過ぎましたから又御質問等がございましたら次回にして頂いて、一応本日はこの程度で、昭和二十七年度の運輸省関係予算国有鉄道予算は次回に説明を求めたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは本日はこれを以て委員会を終ります。    午後四時五十七分散会    —————・—————