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1952-05-24 第13回国会 衆議院 労働委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十四日(土曜日)     午後五時三十三分開議  出席委員    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 福永 健司君    理事 船越  弘君 理事 森山 欽司君    理事 前田 種男君       麻生太賀吉君    天野 公義君       江花  靜君    金原 舜二君       久野 忠治君    近藤 鶴代君       塚原 俊郎君    三浦寅之助君       柳澤 義男君    山村新治朗君       石田 一松君    稻葉  修君       川崎 秀二君    熊本 虎三君       柄澤登志子君    青野 武一君       中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         労働政務次官  溝口 三郎君         労働事務官         (労政局長)  賀來才ニ郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      龜井  光君  委員外出席者         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 濱口金一郎君 五月二十四日  委員佐々木秀世君、篠田弘作君、松野頼三君、  稻葉修君及び早川崇辞任につき、その補欠と  して近藤鶴代君、久野忠治君、江花靜君、志賀  健次郎君及び石田一松君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員志賀健次郎辞任につき、その補欠として  稻葉修君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十三日  労働金庫法案中村正雄君外十名提出参法第  六号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  労働関係調整法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第二二〇号)  労働基準法の一部を改正する法律案内閣提出   第二二一号)  地方公営企業労働関係法案内閣提出第二二二  号)     —————————————
  2. 島田末信

    島田委員長 ただいまより会議を開きます。  労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法案、以上三法案一括議題といたします。以上三法案につきましてはすでに質疑が終局いたしておりますが、ただいままでに委員長の手元に森山欽司君、前田種男君及び青野武一君より三法案に対する修正案がそれぞれ提出されておりますので、この際三案に対する各修正案について、順次提出者趣旨説明を求めます。森山欽司君。
  3. 森山欽司

    森山委員 改進党を代表して、今回の労働関係法に対する修正案趣旨弁明をいたしたいと思います。政府の今回の改正案は、今日の労働法における緊急の問題点を根本的に解決する態度はまつたく見られないのであります。特に本労働委員会において去る五月十六日木村法務総裁は、本国会においてぜひともゼネスト禁止法提出するように努力したいというふうな明確な言明を行つておるにもかかわらず、さらに今回の政府提出労働法改正案によれば、緊急調整のような争議権実質的制限ないし禁止が課せられておるのであります。緊急調査関係内容は、従来の公益事業に対する冷却期間三十日を形式的には十五日に減してはおりますけれども、実質的には自主的交渉が十分ととのわなかつた場合におけるところの却下という制度を置きまして、形式的に期間を緩和しながら、実質的には冷却期間制度というものを立法趣旨においては強化いたしておるものであります。しかもさらにその上に緊急調整という一項を設けておるのであります。公益事業のみならず、大規模産業におけるところの争議について、国民生活に重大な影響を與えるものが労働大臣の専権によつてこの緊急調査の発令を見るということは、これは屋上屋を重ねるものであります。従つて今日における政府労働対策の構想というものは、第一段に公益事業につきましては冷却期間という一つのわけが設けられておる、次に緊急調整という大きなわくをはめて、さらにその上にゼネスト禁止法を企図しておるというような、事実上の労働争議に対するところの断圧態勢をとつておると言つて過言ではないのであります。かくのごときは、健全な労働運動の伸長を希念するわが改進党の立場からは、断じて容認することができないのであります。  また今回公共企業体労働関係法の中に、国家公務員中の現業関係人たちを取入れたということは私どももこれを了とするものでありますが、公労法の従来の運用を見ますと、一方において、十七條において争議行為禁止しております。争議行為禁止するということについては、日本国憲法の建前上明らかに変則であります。もしこの立法を認めるといたしますならば、憲法における公共福祉の概念というものによつてこれを理解しなければならない。ここに明らかに公労法上における問題点があると言つて過言でないと私は思うのでありますが、かかる本質的な問題に触れずに、一応このストライキ禁止ということを是認するにいたしましても、他方において公共企業体職員が公社と自主的な交渉を行い、自主的な交渉がととのわないときにおいて調停をやる、さらに調停ととのわざるときにおいて両当事者を拘束するところの裁定というような手続を経て、しかもこれが実施ということになつて参りますと公労法第十六條は、国会においてこの十六條の規定によつて裁定を承認いたしましても、しかもその承認に政府が束縛されない。これは自由党内閣成立以来の封建的なる解釈であります。池田大蔵大臣はかつて公的な席上において——衆議院労働委員会において、国会においてこの裁定を承認いたそうとも政府はこれに対して法律上は何ら拘束されない、道義的に拘束されるというような発言をいたしております。かかることは、今日の公労法というものを事実上骨抜きにするものであると言つて過言でありません。しかしそればかりでなく、他の場所において池田大蔵大臣は、公共企業体労働関係法十六條はすでに死文と化しているということを言つておるのであります。事実予算総側の中には、二十六年度までは予算総則上給與総額というわくを設けて、さらに二十七年度からは、給與総則に加えまして、基準内給與基準外給與というさらにニつのわくを設けて、がんじがらめに縛りつけておるのが今日までの政府態度であります。従つてもし今回労働法改正しようという善意が政府にありといたしまするならば、どうしてもこの公労法第十六條に触れなければならない、そればかりじやなく、今日公営企業法が新たに制定されるのであります。この十六條と同程の地方公営企業労働関係法の第十條、これが現行公労法と同じ條文を持つておる。これは私どもとして断じて認めることができない問題であるのであります。  さらにまた、一例として取上げられる珪肺問題がございます。金属鉱山、炭鉱、採石業、窯業、製鉄、鋳物関係に従事する百万以上の労働者が、この罹病の危険にさられ、過去三年間に五千二百名、目下検診中の者を加えれば七千名に達すると予想され、さらに全国的に検診を行えば数倍に増大するであろうといわれておるのであります。治療方法も発見されていない。罹患すれば死をまぬがれないとの珪肺病は、現行法令によつて根絶根治は不可能であります。ここに私ども衆議院においてもけい肺小委員会を設けて目下検討でありますが、かかる人たちに対して立法的置措を講ずることは、これによつて百万人の重要産業労働が救われるのであります。これによつて四百万ないし五百万の家族たちの憂えが除かれるのであります。そればかりではありません。低賃金労働とか、ソーシヤル・ダンピングとかいう国際的非難に対しても報い得るのであります。民主化日本の正しい姿を示して、関係各国の疑惑を解き得る一端になると私どもは信じておるのであります。かかる珪肺のごとき特殊の職業病ないし機能障害に対して配意を求める声が、世上熾烈をきわめておるにもかかわらず、これに一顧も與えず、今回の安易なる改正態度をもつて臨んだことは、とうてい私どもの容認すのことのできないゆえんであります。よつてわが改進党は、これに対し大要左ごとき修正を行おうといたすものであり、またもしこれが認められないときは、今回の労働法改正反対せざるを得ないことを、はなはだ遺憾とするものであります。  以下大要ども改正案の要綱を御説明申し上げます。  第一番は、政府が今回掲げました緊急調整を全面的に削除し、現行職権調停及び労働大要等調停請求制度を活用いたします。これは労調法第十八條四号、五号に掲げられておるところであります。この場合は公益事業のみならず、それ以外の大規模争議についても、中央労働委員会意見を聞いて、国民生活に重大な損害を與えると認められるものは冷却期間を設ける。労調法第三十七條一項の改正であります。右のほか、公益事業におけるところの争議行為については、従来の冷却期間制度を廃止し、労働大臣等への十五日間の予告制度をもつてかえる。これは労調法第三十七條第一項の改正であります。   第二には、公共企業体ないしは地方公益企業における仲裁定は、政府または地方公共企業団体理事者を拘束し、予算案を付して国会または地方公共団体議会に付議するものとすること。これは公労法第十六條第二項、また今回提案されましたところの地方公営企業労働関係法第十條の修正になるわけであります。  第三番目は、今回の改正に漏れた現行国家公務員及び地方公務員法附則第二十一項の単純労務者は、それぞれ公労法及び地方公労法を準用すること。これは公労法第四十二條、地方公労法第十八條の追加になります。  第四は、国家公務員適用除外公労法改正趣旨に基いて再検討すること。公労法改正案第四十條の修正であります。   第五は、交渉単位制を廃止すること、公労法第九條から十四條の修正であります。  第六番に、珪肺その他の特殊の職業病並びに機能障害については、療養期間の延長を認める、すなわち現行の三年を五年とすること、また休業補償等の基礎となる平均賃金の算定には賃金水準の変動によるスライドを認めること。  私どもの今回の改正案内容はおおむね以上のごとくであり、これに加うるに若干の点があるのであります。  さて、現行労働法は、労働法理論の上からはきわめて不備が多いのであります。なかんずく占領下において加えられたところの制約は、新憲法における公共福祉を考慮しても、純粋の労働法体形としては調和がとれておりません。従つてこれは講和発効独立とともに、私どもが根本的に再検討しなければならないところであります。しかしながらわれわれは国会において立法の作業をやつておるのであつて、学説の争いをやつておるのではないのであります。学問には妥協はないが、立法には妥協があると古人は言つておるのであります。さらに今日の労働界現状を見るならば、総評労闘破防法反対中心として、第一波、第二波のストを実行し、今後労働法改正反対して第三波を計画しつつあるのであります。このストの是非はともかくとして、これは一面から見るならば、総評左派が、その政治的偏向のもとに、労働者階級的結束を固めんとする口実となつておるのであります。総評機関紙の「総評」におきまし、事務局長高野實君は、その署名におけるところの社説で、次のごときことを、言つております。すなわち、「こういう闘争で、われわれをして一層強固にするだろう、一層階級としての力量を増大するばかりであろう。また、われわれの闘争力は、こういう闘いを通じて、治安立法の通過の後、ストライキ権がいろいろと制約を受けるようになつた場合でも、合法、非合法、半非合法のストライキを巧みに組み合せ、悪法を乗り越えて闘い得る実戰的訓練を積み上げることになろう。」こういうような驚くべき社説を今日発表しております。また「この意味で、労闘第三波は、われわれの支配階級との間の持乃戰の一環として正々堂々たる正攻法をもつて、一定の期日を選び、みごとな統一闘争を打出さなければならないのだ。」ということも言つておるのであります。しかし他の面におきましては、健全なる労働運動に結集する労働者といえども緊急調整の持つゼネスト禁止法的性格に対し、争議権を守るために正当にも闘わなければならない立場に立つておるものがあることは忘れてはならないのであります。しかも一方政府與党に、この正当なる反対をも、強権をもつてあえて多数を頼んで押えようとする反動があることをわれわれは指摘せざる得ません。このような現状において、われわれは、独立後のわが国自立経済の発展と健全なる組合運動中心とすべきわが国労働界の将来のために、このような衝突は好ましくないという立場において、あえて何とかこれを回避せんとして最大の努力を傾けたものであります。われわれはこの見地から、與野党委員諸君意向を打診し、意見調整を一昨々日来試みて参りました。これに対し社会党右派諸君は、改進党の修正案に対して自由党がこれをのむならば、これを考慮しようという態度を示して参りました。また自由党諸君は、改進党の修正案に対して社会党がのむならば、これに同調しようという傾きを示したのであります。もとよりかかる傾向については、その間にいろいろな折衝過程が内輪において行われたのであります。この結果、本二十四日午前、自由、改進社会右派の三党会談を聞いて、わが党の修正案中心として最終的な調整を試みたことは御承知の通りであります。そうして右派社会党におけるところの労働組合との間の話合いにおきましては、今まさに成らんとするその瞬間、自由党はいかなる修正をも拒否するという態度に出ましたために、調整は遂に失敗終つたのであります。何ゆえにわれわれの努力がこのように失敗に終つたか、これは與党自由党の反動的な態度によるものであります。多数党を頼んだ弱肉強食の放任政策を今日の自由党は行つております。安本長官は、パンにはみそをつけて食えと言い、池田大蔵大臣は、貧乏人は麦を食え、中小企業の二つや三つは死んでもかまわぬと言つておりますが、社会における弱者に対する愛情の欠けた政治のあり方であります。しかもこれは弱い者の正しい意見を取上げない金権万能であります。労働者なら何でも敵視するという頑冥不逞なる労働感覚を、特に独立後の自立経済における労使間の重要性にもかかわらず、労働法のみならず、すべての面において総合的な労働対策を今の自由党ははたして持つておるのでありましようか。  一例として住宅政策をあげてみましよう。私は昨年海外をまわつて参りましたが、今日はなはだ経済的には苦境にあるイギリスにいたしましても…。
  4. 島田末信

    島田委員長 森山君にちよつと御注意いたします。議題以外の発言はなるべく遠慮してください。
  5. 森山欽司

    森山委員 労働者住宅が建てられておることは、私ども旅行者にもきわめてたやすく目につくところであります。しかるに今日の政府住宅政策は、住宅金融公庫、地方公共団体等において若干行われておりまするけれども、これらの恩恵に浴するものは労働者平均賃金以上の人たちであり、労働者平均賃金以下の苦しい生活立場にある人たちは、かかる住宅政策恩恵に浴し得ないのであります。その意味において今日自由党住宅政策というものは皆無である。すなわち労働法の中にもこういうような不調和があるばかりでなく、労働法外においても、国の施策全体において自由党労働政策の貧困であるということを、私は指摘せざるを得ないのであります。(拍手)  さらに社会党が、労働組合に対して政党としての独自性についていま少し期待できなかつたかということを私どもは惜しむものであります。現在左右にわかれているから、いろいろな観点から無理がないとはいえるでありましようけれども、果断にして機動的な態度表明をしなかつたことは、友党として若干遺憾にたえない点を率直に申さざるを得ないのであります。  このようにわれわれの努力は水泡に帰しました。しかもなおかつわれわれがあえて本修正案提出するゆえんは、もし時間の余裕があるならば、細部にわたる修正を試みたいし、またわが党独自の立場に立つて、さらに付記すべきところを提案したいのであります。しかしながら何ゆえか與党自由党審議期間制約を與えております。すなわち五月十日に閣議の決定を見、即日これを国会に付議し、十三日に本会議において提案理由説明があり、十四日より本二十四日まで日曜を除く連日本法案審議に携わつて参りました。しかもなお私ども審議過程において、この時間的な不足を痛感せざるを得ないばかりでなく、今回の修正案についてさらに加うべきところの余裕すら持ち得なかつたということは、本日における各党修正案準備ぶりを見てもよくわかるのであります。  自由党は本日本会議採決をも強行しようとしておるのであります。従つてどもは、それらすべての私ども意見参議院の同志に讓つて、とりあえずこのような大筋のみの修正を提案するのが、現在の事態においてきわめて緊要であると確信するからであります。すなわち本修正案提案までの経過にかんがみるならば、総評労闘といえども、あえて全面的に真正面からこれに反対する意向を表明し得なかつたのであります。われわれは、もし国会における政治家講和発効直後の重大なる段階と国家の長き将来を思い、賢明なる態度をとつて超党派的立場において事を処したならば、あえて改悪反対を唱える労働者の支持をも受けたに違いなかつたと確信できるのであります。もちろんこれは本院においては少数をもつて否決されるでありましよう。しかしながら労働法改正万が一参議院において審議未了のうき目を免れるという幸いを持つたといたしましたならば、そうしてもし何らかのまとまりを見せるならば、それはおそらくわが党の修正案を出ることはないであろう。その意味においてわれわれはこの修正案は、やがて国会の意思として実現するに違いないであろうということをここに明瞭に予言いたしまして、私の提案理由説明を終る次第であります。
  6. 島田末信

  7. 前田種男

    前田(種)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております労働関係法規に対して修正案を提案いたし、その大体の内容説明申し上げたいと思います。もちろんわが党が掲げました修正案の全文につきましては、議案書として提案しておりますから、その内容に讓ることといたします。  私は今日までいろいろ審議をして参りましたその過程におきまして、労働大臣初め政府当局説明を盡しましたところのその内容は、今回の改正は既存の法規をある程度整理統合するというのが主目的であるやに承つたのであります。しかしそうした観点からこの内容審議して参りますと、決して整理統合したあとが見えないのでございます。私たち整理統合すべき労働法規というものは、むしろ一本にすべきであると主張したいのであります。今日国内におけるところの労働関係法規は、公務員法あるいは公企労法、今回制定を見ようとしておりますところの地方公企労法、さらに基本的には労働三法あるいはその他の関係法規等がございます。しかもこれを管轄いたします諸官庁においても、いろいろ複雑な関係にわたつておるのでございます。私たち労働法規は、むしろ労働三法に一本にいたしまして、一元化されましたところの行政的な衝に当る労働省が主管すべきであると考えるのでございます。そうした基本的な問題を解決することなくして、末梢的な、まつたく事務的な問題のみの整理統合にすぎないのでございます。しかもその反面にこの改正案の中には、基本的には罷業権の問題あるいは団体交渉権の問題、あるいはその他の問題等につきまして、憲法に保障されております基本的な人権に対して重要なる制約を行おうとしておるのであります。私はそうした観点から、今回の内容につきまして、わが党が提案いたしました修正案内容のおもなる点に対して説明を申し上げたいと考えます。  まず公企労法地方公企労法等関係いたします内容におきましては、どうしても適用範囲の問題あるいは団体交渉範囲の問題、さらに基本的にはスト権問題等に触れまして、正常な労働組合運動の発達を願うためには、そうした基本的な條項が確認されなくてはならないということは言うまでもございません。今日公務員その他のものがいろいろな点ついて、あるいはへたり込みをやつたり、非合法の組合活動をやつておるということは、組合運動の本来の姿から許されないという観点に立つて、非合法の行為が顯著に見受けられます。私は公正な組合運動を軌道に乗せる意味において、日本労働組合運動を健全化さすという観点に立ちまして、こうした基本的な問題につきまして、もつと重要な点に触れてこの内容審議されなくてはならないと思います。私はその意味におきまして当然スト権公企労法関係者諸君にも與え、あるいは完全なる団体交渉権を與えることは当然なことでなくてはならないと思います。さらにスト権のない公労法関係地方公労法関係諸君に対しましては、仲裁裁定によつてストにかわる協約あるいは裁定によつて団体交渉によつて確認されておりますところのその條件すら今日の政府は蹂躙いたしまして、仲裁裁定にすら応じないというような今日の態度をとつております。私たちはそうした面におきまして、現行法の十六條並びに三十五條の関係にあるいは制定されようとしております地方公企労法十條の関係等は、この際明確に修正すべきであると主張するものでございます。  さらに問題になつております単純労務者の問題は、地方公企労法を制定いたすにあたりましては、政府法規のもとに制約を受けておりますところの約束を守らなくてはならぬのでございます。全国に相当数またがつておりますところの現業関係職員あるいは単純労務者問題等は、当然今回提案されましたところの地方公企労法に関連いたしまして解決しなくてはならない問題であつたにもかかわらず、これを見送つております。私たちはこの点がはなはだ遺憾と思うのでございます。しかも単純労務者の問題、現業関係問題等をこの法規に挿入いたしますことは、決してめんどうな問題ではないのでございます。なぜかと申しますならば、地方公企労法の第三條の七に「その他の地方公共団体條例で定める事業」という一項目を入れまして、画一的に全国公共団体を縛るということでなくして、その公共団体議会において條例をこしらえて本法の適用を受けるように手続をいたしますならば、この法の適用を受けさすということに道を開きますならば、画一的に全国地方公共団体を拘束もせずに、任意にそうした関係地方公共団体のそれぞれの事情によつて、この法の保護を受けるという道が簡単に開かれるのでございます。それにもかかわらず、政府はこの一項目すら考慮しようとはしていないのでございます。私たちはこの点は重要な問題として取上げなくてはならない問題だと考えるものでございます。  さらに審議過程におきまして、労働大臣は、今日公務員の中で団交権が得られる身分の人が相当ある。その面においては相当よくなつたと言つております。私もその事実は認めます。しかし現実にこの法律適用された場合におきましては、一方には公務員身分であり、一方には公企労法適用を受けるということにはなりますが、その結果一体どうなるかということになりますと、中途半端になりまして、完全に公務員のいろいろな特権も與えられない。そうかといつて公企労法特権も與えられないというような矛盾が、いろいろの問題に出て来ております。第四十條の問題その他の問題等内容を検討してみますならば、ここにも幾多の不都合な問題が出て来ているのでございます。私たちはこうした問題も、もつと明確にすべきであろうと考えます。  さらに今度の問題で一番重要な案件でございますところの労働関係調整法の問題につきましては、今さら私はここで申し上げるまでもございません。十八條五号の申請却下の問題は、かえつてこれが悪用されるきらいがございます。しかも申請却下が労働委員会によつて決定されるということになりますならば、今日公正な立場に立たなくてはならない労働委員会の存在に対して、かえつて労使双方からいろいろ猜疑心を持たれるという結果にもなります。また労働委員会の公正が失われるという結果になる危険すらあるわけであります。またそのことによつてストが相当制約されるということは言うまでもございません。スト制約されるということは、結局企業家に対して大きな力を與えるということになります。私たちはこの十八條の五号の問題、さらに三十五條の緊急調整の問題は、今度の三立法の中の中心問題であることは言うまでもございません。しかもこの緊急調整の問題を労働大臣の独裁的な権限にゆだねますということになりますならば、しかも労働大臣の考え方によつてこの緊急調整が発動されるという結果は、一体どうなるかということを考えなくてはならぬと思います。今日まで割合に中労委の活動というものは、公正な立場によつて確保されておりますが、これは言うまでもなく、今日スト権を持つておりますところの労働組合が、スト権を持つているという事実の上に立つて労使関係が調節されておるからでございます。もしスト権制約されたあかつきに一体どうなるかということを考えて参りますと、スト権がなくなりますならば、資本家団体は一ぺんに強くなります。このストの事実から申しましても、最小限度ストに入るか入らないかというときに初めて労使関係の問題が調節できるというのが今日の実情でございます。もしそうであるといたしますならば、ストをやるかやらないかというせとぎわに来なければものことが解決つかないという今日の実情から判断いたしますならば、スト権制約される、しかも労働大臣の権限で緊急調整が発動されるということになりまするならば、一方的に労働組合側は非常な不利な立場に立つことはいうまでもございません。しかも五十日間の冷却期間がございます。こうした労働問題の解決は、関係当事者の自主的な解決にゆだねるのが労働法の基本的な精神でなくてはならないのでございます。そうした点から考えましても、この緊急調整は、不当に政府が介入いたしまして、自主的なそうした交渉がかえつて悪い方向に導かれるということが、今後予想されるのでございます。私たちはそうした点等を考えてみましたときに、労働大臣の権限のもとにスト権が確保されるということに対しましては、絶対反対をせなくてはならぬのでございます。緊急調整制度については、これが決定的な権限は政府の機関たるところの労働大臣の独断でこれを持つということに今日の政府案はなつております。しかもこうした問題が、労働問題の解決に決して役立つものではない。かえつて根本原則の上に立ちましては、政府が干渉に介入をするということになるのでございます。私は治安対策の面からも、政府は考えたであろうということが予測できます。その面から考えられればこそ、今日社会的に労働関係法規をめぐりまして、いろいろな問題が起きておるのでございます。今現に議会審議されておりますところの問題を取上げてみますならば、一方には破防法によつて右の手をもぎとり、一方には警察法の改正によつて左の手をもぎとり、一方にはさらに集団デモの大幅制限によつて右の足を切断し、さらに労働三法改正をもつて左の足も切断するということになり、この緊急調整制度によつてがんじがらめにしてしまうというのが、今日審議されておりますところの治安立法並びに労働組合関係に対するところの諸立法現状でございます。私はこうした状態のもとに今後の推移を見ますならば、今後の日本の状態というものは一体どうなるかということを憂えるものでございます。そうした観点からどうしてもころした制度というものは許してはならない、認めてはならないと私は考えます。私たちはむしろ、日本独立後ほんとうに労使関係の調節が正常な軌道に乗ることをこいねがいます。その軌道に乗ることは、あくまでもスト権を認め、完全な団体交渉を認め、対等な立場に立つて今後の労使関係のあり方が推し進められて行かなくてはならぬと考えるのでございます。私たちはそうした点から、このような問題に対しては重要な修正の意思を表明するものでございます。(拍手)  さらに私は最後に労働基準法関係の問題について一、二取上げておきたいと思いますことは、労働基準法の問題につきましては、政府はいろいろ言葉を費して言つておられます。しかし今日労働基準法が国内に完全に適用されておるかどうかということを考えてみますと、今日適用されておりません。全国どこに参りましても、脱法行為は顯著になされておるのでございます。私たちはこの脱法行為がほんとうにどうしたら除去することができるということにつきましては、もつといろいろな点を考えなくてはならぬのでございますが、そうした実情の中にあつて、今日改正案として提案されておりますところの女子の時間外労働の問題、あるいは女子の深夜業の問題等は、これが一つの糸口になつて脱法行為に拍車をかけるという結果になりますから、今日提案されておりますところの二つの條項改正は、さして重要な問題ではないようでございますが、今日の労働基準法の実績に徴して、われわれは反対せざるを得ないのでございます。  さらに七十條、七十一條のいわゆる炭鉱労務者のうちの十八才未満の幼年工の人々を、技能養成の立場によつてこれを認めようとするところの特例は、あまりにも多くのいろいろなものを残しておるのでございます。私は今日の炭鉱労務者の実情、今日の炭鉱の災害率の多い現状から申し上げましても、これはゆゆしき問題でございます。労働大臣は過日も答弁にあたりまして、国際労働機関もこの問題を認めているということを言つておりますが、国際労働機関は、この問題をそのまま認めておるのではないのでございます。ILOの石炭委員会がこの問題を討議したのは、坑内の年少労働者の保護をいかにするかという観点からなされたものでございます。最低年齢の問題、あるいは職業指導の問題、職業補導の問題、健康診断の問題、あるいは夜間労働、休憩時間、あるいは休暇、社会保障、監督制度、あるいは社会福祉等、十一項目の一つとして年少労働者の問題が論議されたのであります。こうした十一の項目が全部整つて初めて論議さるべき問題が、ただ単にILOの会議で問題になつたからといつて日本にこうした特例を設けようというような労働大臣の物の考え方に対して、私たちはどうしても賛意を表するわけに参らぬのでございます。しかもこのILOの討議は、本年の総会にまだ残つております。第二次討議は、来年討議されなければならないような順序になつておるのでございます。しかもそうしたILOの決議すら、国際規約または勧告の裁決を理由として、その国の有利な條件を下げることはできないというようになつておるのでございます。私たちはそうした点等を考えてみましても、しかも今日のような日本の非常に災害率の多い炭鉱事業のもとにおいて、そうした年少者を入れた場合に、一体どうなるかということを考えなくてはなりません。労働大臣は、イギリスでは十五才以上を認めておるから、イギリスですら認めておるから、わが国に認めるのは当然だというようなことを言つておりますが、イギリスの実情は、日本の炭鉱の実情とは雲泥の差がございます。しかも、今日世界各国の実情を見まするならば、アメリカ、南濠州、フランス、ポーランド、カナダ、トルコ、アルゼンチン、チリー、フインランド、ルーマニヤ、ユーゴ等は「十八才未満を厳重に禁止しております。ブラジルのごときは二十一才で押えておるのでございます。この事実をことさら隠蔽いたしまして、イギリスの例をとつて、今回の提案の理由の説明にしておられますところの真意を疑わざるを得ないのでございます。私たちは、厳格なる條件を付して入坑を許す、しかも技能養成で、一般の坑内労働ではないからいいという政府の言い方でございますが、これはまつたく詭弁にすぎないと考えます。私は、本来技能養成というようなものは、長期の講習を必要とするところの特定の技能者を、労働過程において養成するために必要なる場合、あるいは第七十條によつて行うものであるというように言つておりますが、私たちはこうした條項によつて、はたして巌重なる監督ができるかどうかという点は、今日の日本の津々浦々にあるところの実情を見ただけでも、明確にその行政監督が行き届いていないということを、はつきりといわざるを得ないのでございます。私はこうした観点から、この問題にしては、重要なる反省を促すとともに、わが党が提案しておりますところの、この点の削除ということは当然であろうと考えるものでございます。  さらに先ほど森山委員も申しておりましたが、七十六條の問題、あるいは十二條の問題、あるいは八十一條に関係いたしますところのいろいろな問題等につきましては、今日長期療養を必要といたしますところの職業病、あるいはその他のために休養をいたしておりますところの人々に対する標準賃金のスライドというものは、当然のものでなくてはならぬのでございます。こうした点については当然改正しなければならない点があるにもかかわらず、そうした点等については、何らの考慮をめぐらしておりません。今日、三年前の人は、わずか三百円程度の標準賃金で療養をしなければならないというような、実にみじめな状態に置かれておるということも、労働相自身よく知つておられるような実情でございます。私たちは、こうした点等を考えてみましたときに、どうしても、今回提案されましたところのこの問題に対しましては反対するとともに、私たちはむしろ進んで、独立後の日本のあり方というものは、御承知のごとく、もつと進んだところの労働立法を確立し、しか一元化されましたところの労働行政の上に立つてそうして日本の再建のために努力せしめるようなあり方に進まなくてはならぬと思います。  私は、最後に申し上げます。日本は今日資源がございません。しかも資金もないのです。日本にありますものは、ただ一つ、労働力があるばかりでございます。敗戦後の日本が立直るかどうかということは、この唯一の資源でありますところの労働力をいかに活用するかということが、今日ただ一つ残されておりますところの、日本再建の唯一の資源でございます。私はこの点に関しましては一政府部内におきましても、大蔵省の勢力が非常に強いから、労働行政の面におましては、予算その他の面についてもいろいろ制約されております。むしろ日本政府部内においても、労働大臣の地位が閣内における一番右翼の地位になつて初めて日本の再建がほんとうに光明に輝くと私は考えます。私はそうした観点に立つて、今後の労働行政の面を考えてみましたときに、いたずらに末梢的な問題に対する改正でなくして、進んで労働階級の協力を求め得られるような状態に労働立法を改善してこそ、初めて独場立後の日本の生きる道があるということを付言いたしまして私の説明にかえる次第でございます。(拍手)
  8. 島田末信

  9. 青野武一

    青野委員 私は日本社会党第二十三控室及び労働者農民党、並びに社会民主党の全員、農民協同党、第三倶楽部の一部の議員を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働関係調整法等の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法案及び労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、修正の理由を申し述べたいと思うのであります。私は次に開かれます本会議において、異なつ立場から意見を申し上げようと思いますので、できるだけ修正に直接関係のあるところを、ずうつと項目別に大きい点だけを申し上げてみたいと思います。  まず労働関係調整法等の一部を改正する法律案に対しまして、修正をしようと思いまする第一点は、改進党の森山君も、社会党前田君も言つておりました、この労調法の重要な点といたしまして、緊急調整の各項を私どもは削除いたしたいと思うのであります。これは第四章の二でありまして、従つて八條の二の特別調整委員の設置や、第三十九條と四十條も、同様に削除するものであります。なお第三十五條の二は、「労働大臣は、公益事業に関する労働争議又はその規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす労働争議につき、これを放置することにより国民生活に重大な損害を與へると認めたときは、緊急調整の決定をなすことができる。」第二項において「労働大臣は、緊急調整の決定をなしたときは、直ちに、その旨を、公表するとともに、中央労働委員会及び関係当事者に通知しなければならない。」なお船員法の適用を受ける船員に関しましては、船員中央労働委員会にと、括弧内で書いております。この緊急調整労調法改正内容において、最も重要な問題で、おそらく自由党を除く各野党は大きな関心を持つておるのでございます。これは私どもに言わせますと、端的に申しますと、争議権に対する事実上の禁止になるのではないか。政府が直接間接に争議に介入するということに、結果的にはなるのではないかということを私どもは考える。むしろその点から申しますと、改正案というよりも、改悪案というように私どもは考えざるを得ないのである。  一九四六年十二月六日の極東委員会において行われました決定で、日本労働組合に関する原則、すなわち十六原則の第五に、「ストライキ及びその他の作業停止は占領軍当局が占領の目的又は必要を直接阻害するおそれがあると認める場合にのみ禁止さるべきである。」という規定がございます。こういうように規定されておりますることは、私が申し上げるまでもなく、すでに各委員のここに御出席の諸君は御承知の通りでございますが、あの全国的な大争議の直前に禁止された二・一スト、引続いて同じく二月九日の八幡製鉄所のスト禁止、引続いてずつと遅れてはおりますが、炭労の大規模ストに対する禁止は、みな連合軍最高司令官の命によつて行われたものでありまして、その禁止をいたしましたことについては、平和條約が一応締結され、発効されております今日、相当適否の批判は残つております。アメリカにおいてすらもこういつた行き方については峻烈なる批判が行われておる。でありますから、そういう点は、批判の余地については、私はこの際申し上げようとは思いませんが、当時占領目的または必要を直接阻害するおそれがあると認めてやつたものであろうと私は思います。しかもこの場合でも禁止事項には、認める場合にのみ禁止する、のみということがはつきり書いてある。めつたにやらない。そういうことで、労働組合争議が終戰直後から六年八箇月の間にずいぶん行われましたが、全部が全部日本労働組合のやりました争議禁止されたということは、私は聞いておりません。しかるに今度政府提出されましたこの改正案中の緊急調整権というものは、ひとり労働大臣の独断判定によつて公益事業外の争議でも、その規模が大であり、特別の性質の事業に関するもので、それが公益に著しい障害を及ぼすとか、国民生活に重大な損害を與えたとして、たとえば金属鉱山であるとか、石炭鉱山であるとか船舶、電気産業、民間の交通機関その他いろいろございますが、そういう争議に対して、実際上の生殺與奪の強権を握る労働大臣というものは、労働争議に関する限りは占領中の第二のマツカーサー元帥のような立場に立たれるのではないか。私は露骨に考えてそう思わざるを得ない。形式的ではあつても、講和條約発効によつて、占領は去る四月二十八日午後十時三十分で終つたはずです。引続いての占領政策に類するような強権発動は、いたずらに政府労働組合の対立を惹起し、紛争を繰返すのみで、関係労組の受ける不利益というものは甚大であると私は考える。私は連日開かれました労働委員会でも、公聴会における公述人、あるいは業者を代表する人、学識経験者の中、あるいは越えて二十一日には労働組合の代表者である諸君を特別に参考人に呼びましたときにも、私は質問いたしました。何と申しましても、私は憲法第二十五條の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」この第二十五條が基礎になつて、その上に第二十八條が打立てられておると私は考える。第二十八條には「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」占領中にはたして保障されたか、二・一ストを契機にして、無條件降伏はしておりましても、連合国軍の最高責任者の手によつて、一方的に大きな争議はこれを禁止させられたのです。しかも憲法は嚴として存在しておりまするが、憲法の上に占領政策があるということを、私どもは押しつけられてどうすることもできなかつたのであります。そうしてこの憲法の精神に立脚して、同時に労働者の基本的人権を守り抜くために、資本家擁護の反動的反勤労者的な政府改正案に対しまして、私は絶対に反対をするものでございます。  なお特別調整委員を置くことにつきましては、これは文字道り屋上屋を架することになり、機構をいたずらに複雑にするのみで、むしろ労働委員会委員を増員すべきであると考える。従つて、この第八條の二——これは労調法でありますが、第八條の二は削除する。また三十九條、四十條の罰則規定は、団体処罰を個人処罰にしたことは、労働組合の指導者に対する一種の挑戦的圧迫の意図が含まれておるということを私は考えまするから、これは無用の長物であるから、こういうような條章は削除すべきであると私は考えております。  その次に第三十七條公益事業争議冷却期間でございますが、これは三十日を今回は十五日に改訂をされておりまするが、今までの争議の実態を見てみますると、三十日が十五日になりましても、ほとんどその効果においてはかわりはございません。わが党の修正は、この冷却期間を廃止いたしまして、そのかわりに七日間の予告期間を設けることにいたしたのであります。これは全体とは申しませんが、この労働三法関係を持つておりまする日本労働組合の指導者は、組合員を代表して、この冷却期間を廃止して、そのかわりに七日間の予告期間を置くという点については、あまり私は反対をしておるとは考えておりません。むしろ党の修正というよりも、これは日本労働組合の総意である、かように考えて修正の中に加えたのでございます。  第三点といたしまして第十八條の追加二項目を削除して十八條現行法通りとする。「申請をなした関係当事者による事件の自主的な解決のための努力が著しく不充分であると認めたときは、その申を却下することができる。」「前項の規定により調停の申請が却下されたときは、第三十七條の規定の適用については、申請がなされなかつたものとみなす。」とありますが、これは非常に危険性が伏在しておると思います。財閥は名目上解体いたしましたが、しかし日本の資本主義の根幹をなす金融資本に対しましては、いろいろな名義の変更は行われましたが、実際に日本の国民は多かれ少かれ占領中は苦しんだが、しかし日本の金融資本は名義がかわつただけで何らの打撃を受けていない。そういうことを考えますると、こういう金融資本閥を中心にし、これを軸にして順次立ち直つて来る産業資本家群は、初期の占領政策と労働階級の攻勢の苦い経験にかんがみて、その巨大な資本を中心として反動的戦前の支配権確立のために、労組に対して挑戦して、労働三法によるところの利益を奪わんとして、その対立に乗り出して来ております。労組に対する労働三法による利益と権利に対しましては、極度に制限を試みんとして労働法規の改悪が出て参つた。おそらくこれは吉武労働大臣の意思ではなかつただろうと私は考える。自主的解決のために使用者側の努力などは、例外はあるといたしましても、全般的にはほとんど期待が持てない。しかも解決のための努力不十分と認めてその申請を判下する。そのために労働委員会労働組合とが今までなかつた無用の対立を激化する。いかなる角度より検討いたしましてもこの点は納得することができません。労働委員会本来の使命は、あつせん、調停仲裁をもつて労働関係についてはあくまでも公平であるべき労働委員会を紛争の渦中に巻き込む、こういうやり方は、私は極端かもわかりませんが、倒れかかつた徳川の幕府が、新選組を生み、暴挙をあえてしたというようなことの手をかえたやり方の結果になると思うのです。それでありますからこの点につきましては、全国の労組は却下制度に強い反対を示しておるのであります。これは削除して第十八條現行法通りとすることを主張するものであります。  第四点といたしまして、大きい点だけを申しておるのでございますが、第二十一條の調停委員及び特別調整委員労働委員会の会長の指名規定でございますが、先ほど申しましたように、特別調整委員の設置を削除しましたので、これは現行通りということになるのでございます。調停委員会委員労働委員会委員の中から委員会の会長がこれを指名する、こういうことを規定し、例外てして委員以外の者に依嘱することができるのでありまして、これは説明を省略いたします。  次に、いわゆる公共企業労働関係改正法案に対する修正の箇所を申してみたいと思います。私ども社会党は、原則的には労働三法を、この公労法関係労働組合には適用すべきである、憲法の條章に基いてマツカーサーの書簡によつて、一応占領政策の一環としてあの不自由なところに追い込まれた。講和條約が発効した以上は、一応この公労法というものを廃案にして、国民の衆知を集め、関係者が寄つて、そうして練り上げて、新しい意味法律をつくるべきであると私は思うのです。これはマツカーサーの書簡に基いて、昭和二十四年六月一日に施行されたのでありまして、この公共企業体職員については、団結の自由は認めても団体行動については完全にこれる奪している。同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運用を阻害する一切の行為を、公労法第十七條禁止されておるのであります。しかしその理由とするところは、職員がその雇用の責任を忠実に遂行することを怠つたため生ずる公共企業体の業務運営の支障を防止し、公共の利益を擁護する必要によるものと述べておるのであります。  私は以下ごく簡単に項目別に申し上げたいと思うのでございまするが、労働関係法は大体において、私どもの考えでは、基本として一本の法律体系の中において規定されることが最も望ましいと思います。今日のようにばらばらになつておるからいろいろな問題が起るのでございます。事業の性質、公共性または公益性等からいたしまして、その取扱いについて若干の差異を付するといたしましても、統一法規の中で取定めらるべきであるということを私は主張して行きたいのであります。従つて特別立法としての公企労法による附加條件は、事実上公企体労働者の団結権に対する基本的な権利の制限であると私は考えております。いろいろ込み入つたことをたくさん私は書いておりまするが、以下この点につきまして、項目別に本会議関係もございまするので、申し上げますが、団体交渉範囲について、これは先日の委員会でも御質問を申し上げたのでありますが、その他の労働條件に関する事項という中に、福祉厚生に関する事項というのが、質問によつてお答えをいただいて、これは明瞭になりました。そのために団体交渉範囲につきまして、第一に企業の経営並びに業務の改善に関する事項、それから就業規則シヨツプ約款に関する事項、専従職員及び組合活動に関する事項、この四つはいろいろな労働関係を調べる資料を集めましても、相当こういう点を取入れられて、事実上、やつぱり団体交渉が持たれているということを私どもは知つておるのでありまして、今回政府の出されました改正案には、こういうものが含まれておりません。     —————————————  なお争議行為禁止條項の削除——これは第十七條、第十八條でございます。争議行為禁止條項を削除して、これは労調法上の公益事業扱いにしておる。これは大体公共企業体労働関係法に基く行き方と違いまして、労働関係調整法上における公共事業扱いにすることが専売公社に対しましても、国鉄公社に対しましても、今までのような紛争を多少緩和して行くことができるのではないかと私は考える。これも関係労働組合が非常に大きな期待をもつて要求された項目でございます。  仲裁裁定労働協約と同一の効力を有して、政府の履行する義務については法規裁量である旨を明記する、これは地方公労法とやはり同じでございまして、よく問題になりまする専売裁定、国鉄裁定ですが、これが最後は裁定が出ましても、予算上、資金上支出不可能という公労法第十六條をたてにとられまして、六十億の裁定が出ましても、実際は一昨年の十二月二日には四十九億五千百八十一万三千円しか出ておりません。小さい専売裁定の場合はもつれて行きましても、ある程度期間をずれましても、ある程度は話の解決がついたということも知つておりまするが、大きい問題になると、どうしてもこの公労法の建前から行きますると問題になります。そこでこの点につきましては、国会審議権を私は無視せよというのではございません。少くとも裁定が下りますと、急速に予算を組んでそれを国会提出する、しかも今までのように予算上、資金上支出不可能であるから否決してくれろといつたような行き方の逆を私は行つてもらいたい、これが地方公労法関係するいろいろな労働組合関係諸君の希望でございます。  不当労働行為の救済処置に対しましては、労調法の第二十七條、第二十八條でございまして、これは説明の要がございません。  労組法について二点ほど私は修正をしております。労働協約に関する規定に社名変更、合併によつて協約の効力は失われないことを明記してもらいたい。終戦直後は財閥解体のためにずいぶん名前がかわりましたけれども、いまだに帝国銀行などという銀行が東京に本店を持つておりまするが、どうかすると、総理大臣までそういうことを本会議でおつしやる。そして次第に三井という名前がもどつて来る、三菱という名前がもどつて来る、そういうように財閥の名称、会社の名前が変更されて来るたびに名前がかわつたからといつていわゆる労働協約というものが廃棄せられて来るというおそれがある。この点については労働法の中で、労働協約に関するいわゆる第十五條でございます、これにはつきりこの考を明記する。  それから労働委員会を擴充する。これはさきに特別調整委員というものはいらないということを主張いたしましたから、これは労働委員会を擴充し、強化し、そして人員を増加して、労働委員会一本の手によつてああいう一切の仕事をして行く、こういうことを主張するのでございます。  それから改進党の森山君も一言つておりましたが、これは棒読みにいたします。労働基準法については、すでに何べんか労働委員会で私は当局に向つて質問をしておりました第七十條の二項を削除する。そして現行通りとする。これは炭鉱において技能者養成規定によつて、十八歳未満のそういう人たちが、事実上私は強制労働をさせられるものであると信じております。  その次の六十一條、六十二條は現行通りとする。これは女子の深夜業の禁止でございます。従前通り。  それから第八十一條の珪肺病の補償期限は、これは森山君と同じように、私は労働委員会のけい肺病対策小委員をしておりまして、すでにそういう点についての意見は一致しております。だから補償期限の三年間を五年に延長するということを、この機会に修正したいと思います。  最後に地方公労法についててでございまするが、これは職員の団結権、これは無理です。内容は申しませんが、第五條は削除。  第七條の団交範囲、いわゆる団体交渉範囲を擴大する。  第八條、第九條、第十條において、協約の効力を條例、規則、その他に優先させる。これは今申しました公労法の三十五條と十六條と同じであります。この点は規則その他いろいろ地方には條例があるが、一旦裁定が下りますと、一応それに優先するという建前を私はとつたのでございます。  次に十四條、十五條、職権の部分は削除。これは調停の開始と仲裁の開始でございまして、これも非常に無理でございます。私たち立場からは、これは削除を要求するのであります。  最後に、第十六條の、裁定に服従の義務を付する、いわゆる仲裁裁定でございます。ただいま申し上げましたように、地方公労法におきましては、今のような地方労働委員会の人員や機構では間に会いません。全国的に大きい問題が出て来る。しかも多いところで百か二百、それが地方公共団体と対立して、無理な法律の中でやつて行くのでございますから、労働者が団体行動のできやすいように、やはり法律をもりて明文をつくり、そしてそれを保護して行くという立場を、私どもはとつたのでございます。  まだこの中で箇條書にいたしますると、労調法の中にも、公共企業体労働関係法の中にもございまするが、これは時間の関係で速記にだけはとどめていただきまして、日本社会党第二十三控室と、先ほど申しましたように、社会民主党の全員、第三倶楽部、それに農民協同党の一部議員の諸君を代表いたしまして、私ども修正内容の御説明を申し上げた次第であります。
  10. 島田末信

    島田委員長 これにて修正案趣旨説明は終了いたしました。  これより労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案、及び地方公営企業労働関係法案、並びに以上三案に対する森山欽司君、前田種男君、及び青野武一提出にかかる各修正案を一括して討論に付します。討論は通告順によりこれを許します。天野公義君。
  11. 天野公義

    ○天野委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働関係調整法等の一部を改正する法律案労働基準法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法案、以上三案について、原案に賛成、森山前田青野三氏の修正案反対の意を表するものであります。  終戦以来わが国の労働立法は、連合国最高司令部の強い指導と協力のもとに、制定整備され、今日に至りますまで、飛躍的な発展と充実を遂げまして、労働者の利益を擁護し、わが国民主化に貢献したことは至大であり、日本経済の再建に寄與することまた甚大であります。しかしながら、今日占領が終結し、待望の独立を迎えたのでございますが、労働立法の基本原則を堅持することはもちろん、さらには労働者福祉産業の平和を維持し、日本の経済の再建と自立のためには、現行労働法規に十分なる態勢を整え、かつ労使双方の自発的かつ積極的な協力を得ることは現在のわが国において最も必要不可欠な要請といわなければならないと思うのであります。  今回政府より提出された労働関係法案を通ずる改正の基本的構想は、労働者の権利は與う限り保障して、その福祉の増進と労働生産性を発揮し得る態勢を整え、同時に経済自立を妨げるごとき結果を生ずる労使間の紛争をできるだけ防止し、合理的機関による合理的解決を平和的にはかる方途を講じようとするものであることは明らかであります。しかもこの法案の成立を見るまでには、いわゆる政令諮問委員会における政府に対する具体的意見の答申もあり、次いで労働関係法審議委員会及び労働基準審議委員会においては、労、使、公益三者の民主的構成の上に立つて、十分なる検討をなされており、多くの部分が三者の一致した意見に基いて、法案として提案されておることも、また明らかなところでございます。従いまして、公労法におきまして、郵政その他の現業公務員に対し、団体交渉権を認めて、国鉄、専売に準ずる取扱いをし、また地方公務員の中の公営企業に従事する者に対しましても、地方公営企業労働関係法において、国の現業公務員に準ずるものと改正いたすことは、公務員の中でもその業務の性格及び実態から見て、現行公共企業体における労働関係に比較的近い公務員に対しては、許される限りの労働者の権利を認めることとして、労働権の一層の擴大をはかろうとするものでありまして、今日最も適切な改正であると考える点であります。  次に労働基準法につきましては、第一に、現行法に定められたところの諸手続を簡素化いたし、さらには労使協定制度をこれに導入して、労使の自主的な協定にゆだねようとすることであり、第二には、女子の時間外労働及び深夜業に対する制限または禁止に若干の修正を加え、決算期の業務や、あるいはエア・ガール、寄宿舎のまかない等に対し、実情に即し得ることとし、また十六歳以上の年少男子の坑内作業を技術の養成上認めて、労働者の技能の向上と災害の減少をはかり得るようにしたものであります。  第三点は、労働基準法の目的を達成するために、国の援助義務を明文化し、国が労使に対してサービス活動を行うことも明らかにしておるのでありまして、きわめて適切な改正だと考える次第であります。特に以上は、労働基準審議会の全会一致の答申に基くものでありまして、私どももこれに全面的に賛意を表するものであります。  労働関係調整法に関して一番問題になるのは、緊急調整制度であります。本制度適用される具体的な事例は、たとえば電気産業争議等によつて、各実庭は暗黒となるだけではなく、各工場もまた交通機関も、全面的に停止し、あるいは冬季の渇水期におきまして石炭産業の長期ストライキによつて火力発電も停止し、汽車の運行も混乱し、あるいはまたワクチン工場の争議等によつて、これが製造が停止せられまして、国民の生命にも脅威を與えるがごとき場合、すなわち国民生活に重大な損害を現実に與える場合でありまして、かかる争議行為が国民大衆の福祉のために制限されることは、憲法上からも当然であります。しかしてかかる場合は緊急調整制度により、五十日争議を行うことはなく、中央労働委員会のあつせん、調停、実情調査、その他あらゆる最大限の努力を盡して争議の平和的解決をはかり、合理的な方途を講じようとするのであります。思うに過去六箇年における公益事業あるいは公務員の大争議は、二十数回を数うるに至つておるのでありますが、そのほとんどが最終的には占領軍当局の強力な措置によつて解決を見ておるのであります。もちろんこれら大争議の大半は、極左分子の指導によるもので、最近組合運動の民主化促進とともに、合理的機関による解決の傾向が顯著になつておるのでありますが、必ずしも民主的な努力全国的な指導力となり得るかが疑問なのでありまして、最近の情勢は破防法に対する政治的ゼネスト、近く行われようとする第三波スト等、その動向にはきわめて顯著な政治的偏向さえ見られるのでありまして、極左分子の労働運動への巧妙なる働きかけもまたきわめて顯著になつているやに見受けられるのでありまして、今後の労使間の紛争が再び深刻化するように思われるのであります。独立後におけるわが国民大衆の要望は、すみやかに経済の自立による国民の生活の安定であり、これがためには労使間の平和の確立による経済の復興が先決問題であります今日、これら労使間の紛争を平和的に解決せんとすることを目途といたしておるこの緊急調整制度は、国民の要望に沿うものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  また第十八條においては、過去の経験から見て、事前の自主的交渉を十分に行い得るように、あわせて冷却期間を十五日に短縮しようといたしておりますが、この改正によつて、労使双方が真に対等の立場に立つて、事前に十分自主的交渉を行う態勢を整えたことも適当な改正であると考えるのであります。  以上の諸点を含む今回の改正案が、きわめて適切なものであることは今述べた通りでありますが、以下数点に対しまして、私は本法適用に対し希望を付したいと思うのであります。  その第一は、いわゆるゼネスト禁止法政府の方で準備されておるやに聞くのでありますが、このゼネスト禁止法は終戦直後の労働運動の状態よりすれば、その必要なしとはしなかつたのでありますが、近時ようやくわが国の労働組合も健全化に向いつつある際でおります。また前述のごとき不安な点もあるのでありますが、なお今後の組合の動向を十分見きわめて、十分慎重なる態度をもつて臨まれたいのであります。  第二は、調停申請に対する労働委員会申請却下権についてであります。この点は労働委員会の権威と良識とを信頼し、いやしくも争議権の制限とならざるよう、法の適正な運用を期待するものであります。  第三は、緊急調整についてでありますが、緊急調整については、労働大臣は軽々にこの措置をとることなく、先ほど申し上げたような非常なる事態に際して、いわば伝家の宝刀を抜くというような気持をもつてこの措置をとられ、そうして国民の福祉を擁護していただきたいと思うのであります。第四は、罰則規定でありますが、行為者に対する罰は、国家公務員法、公共企業体労働関係法との均衡もあわせ考え、いわゆる山ねこ争議の主謀者のみを罰するようにし、法の運用についていやしくも法の精神を曲げ、不当なる労働者圧迫にならざるよう政府において特別な考慮を拂われたいのであります。  第五は、単純労務者についてでありますが、少くとも縦割現業については、団体交渉権を認められるよう、近き将来において特別な立法措置をとるよう希望いたします。  第六は、十六才以上十八才未満の男子の技能養成においての坑内作業の許可に関しては、健康と福祉のため厳重なる條件を付し、真に技能修得のためにのみ限るよう、指導監督を行われたいのであります。L  第七には、珪肺病等悲惨なる職業病については、その実情に即応するために、打切り補助の期間を延長する等、近き将来においてすみやかに改善の方途を講ぜられたいのであります。  第八には、わが国は昨年国際労働機関に加盟が承認されました以上、わが国の対外信用を高める上におきましても、国際労働條約の早期批准の措置を特に強く要望する次第であります。  最後に私はこの機会に健全なる労働運動の発展を心から期待するとともに、日本の経済自立と労働者福祉の増進を目ざして、労使ともに協力し、努力されんことを要望し、三原案に対する賛成の討論といたします。(拍手)
  12. 島田末信

  13. 石田一松

    石田(一)委員 私はただいま議題となつておりますわが党の森山君が提案しました修正案に賛成し、しかも前田委員より提案された修正案の一部に賛成し、原案に反対する意向をここに申し述べるものであります。(拍手)  私はあまり多くのことを、この委員会では時間もありませんから申し上げません。ただ提案者がそれぞれ申し述べております通りに、今回この労働関係法改正案が出されたことは、まことに時宜を得た改正であると思わしめるためには、一部の公共企業関係に編入するというような形をとつて、しかも団体交渉権は與えるぞと言つて、名前だけ與えて、実質は與えないで押えておいて、むしろないのと同じようにしておいて、そういうりつぱな改正をするのだと、羊頭を掲げておいてその裏でゼネスト禁止法という治安立法的なものを本国会提出しても、これは客観情勢上通過が困難であろう。そこでこの労働者の保護法であるところの労働関係法規の中に、ゼネスト禁止法にも類似するところの緊急調整問題等を取入れられた、こういうところに、本国会における本案の提出を、かくまで急いで、しかも会期末の切迫を利用して、これを強引に無修正のまま通過させようというこの意図には、陰謀がある、こう考えるのであります。(拍手)  私はこの際特に申し上げておきたいのでありますが、おそらく自由党内においても、最も労働行政に関しては理解があり、また進歩的な考え方を持つていらつしやるという吉武労働大臣に配するに、そのお隣りにいらつしやる労働省の生き辞引のような賀來労政局長が、その頭脳をしぼつて協力をしていらして、それでいて閣議の決定でこういうものを本国会提出されて、しかもさながら自分の全責任であるかのごとく、ここで説明なさるお二人方の苦しい気持は、十分に私はお察しします。(拍手)私は閣議がどういう方向に決定されるのであるかということは、まだ大臣になつていないので知りませんが、おそらくこれは多数決というのでなくて、満場一致の形で議が進められておると思います。そうだといたしますと、閣僚の一人がほんとうに日本の将来の労働運動のため、あるいは労働運動の健全なる発展のためにと、こういうことで他の閣僚のいわゆる労働問題に対する無知といいますか、無理解といいますか、これに対して最後まで説得を続けるという、こういう努力が足らなかつたということも、これは私は認めなければならぬと思うのであります。(拍手)私はこの点に関して、むしろ吉武労働大臣の将来のために惜しむものであります。これはすでに御承知のように、あなたがただいまでも兼任していらつしやることと思いますが、あの前厚生大臣であつた橋本龍伍君は、戦争犠牲者の遺家族援護の問題について他の閣僚と意見が合わない。しかもこのためには、何としても戦争犠牲者の遺家族のために闘つてやらなければならぬと最後まで努力を盡して、自分がどうしてもやらなければ救われないと思つたことが閣議で認められないというときに、みずからその職を捨てて、その戰争犠牲者遺家族に対して自分の責任を朗らかにされた。(拍手)これであの保守反動といわれろところの自由党の中にもこんなりつぱな政治家がいたのかと、心ある国民は一応この姿にうなずいているのであります。あなたがもしそれほどの決意を持つておやりになつたならば、あるいはこんなひどいことにはならなかつたのじやないか、こういうことを私は特に考えるのであります。  それから、私は大きな点を二箇所取上げようとしておるのでありますが、もう一箇所は、先ほど来問題になつておりますし、しかもこれは公労法の問題が出てからすでにずいぶん長く私たちの問題にしておるのですが、あの三十五條からかえつて来る十六條第二項の問題等、これに対して今国会が、あるいは事前になされた労働関係法規審議委員会が、この十六條第二項に、もしこれが決定したときには予算を付して国会の承認を求め、政府に拘束力を有するといことをわざわざこの但書につけなければならぬという現実は、私に言わせれば、あの当時の増由官房長官などが、あの二つの法律の解釈を、客観情勢ということに隠れて、まげて解釈をした結果、しかもそれが正しいかのごとく解釈されて、その後にこういう拘束力を持つということまで但書につけなければあの法律の効果は出ないなどというとんでもない錯覚を今日起しておるということであります。要するに、あの二つの條文は、ほんとうに正直に労働者の保護のために、争議権を奪われた公労関係の従業員のためにという解釈をしたならば、何もこんな但書をつけなくても、こう解釈しなければならぬのは当然なのであると私は考えるのであります。また私はこの際こまかいことは言いたくなかつたのでありますが、これは討論の時間でありまして、質問が許されない。先ほど来いろいろとお願いしておるのでありますが、何としてもすでに質疑は打切られたのであります。それで私はここで質疑をするのではありません。とにかくこれが本会議に上程されて、各派の討論がなされたといたしましても、私たちがどんなに努力をいたしましても、おそらく本会議では自由党諸君は多数をもつて原案のまま通されると思うのであります。そうしてこれが再び参議院等に参りまして、これが修正されることに相なりますと、大衆性を持つておるべきはずであるこの衆議院は、いつもいつも参議院よりか退歩的な、保守的な、反動的な方向にばかり法案が決定されて、絶えず第二院的な参議院の方が衆議院よりか進歩的な決定をするように見られるのであります。私はそのことは衆議院自体としてもまことに惜しむべきことであると考えます。しかも私は本修正の中にはどの党からも出ておりませんでしたけれども、たとえば公労法の第八條のいわゆる団体交渉権の対象となるべき問題等につきましては、おそらく労働大臣あるいは賀來労政局長自由党のこの委員諸君の中にも何らこれに異議のない方がたくさんあるにもかかわらず、一方給與関係としてこの八條団体交渉の対象として置かれ、しかも一方には公務員法、あるいは人事院の附則等に縛られてどうにも抜き差しならないような方向になつておるものも彫る。これは今後実際問題として団体交渉の権利を新しく得た人たちがやる段階に至つたときは、これらの点についていろいろと紛争じ、あるいは解釈上の食い違いがあるなどというような現実の問題があつたときに、労働当局としては、そういう問題をなるべく労働者側、従業員側に有利なようにこれを改正するような努力をするお考えがもしあるならば、ひとつその辺でほのかにうなずいてもらえば私はいいわけであります。——私は質問をしたのじやなくて、これは以心伝心ということもありますので、ただいま労働大臣が笑いながらほのかにうなずいていてくれたという点で、私は質問をする機会がなかつたので、この点を討論に加えたわけであります。まことに失礼をいたしました。(拍手)
  14. 島田末信

    島田委員長 熊本虎三君。
  15. 熊本虎三

    ○熊本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議中の労働関係調整法等の一部を改正する法律案に関する件に対しまして、原案に対しては反対、わが党修正案並びに森山君及び青野提出修正案中わが党の修正と同一のものに対しては賛成し、その他の修正部分に対しては反対意見を述べたいと思います。  第一に申し上げておきたいことは、御承知の通り労働三法というものは、その立法の精神におきまして、これは労働関係に関する保護立法でなくてはならないのでございます。しかるに今回提案されました労働関係調整法等のごときは、まつた労働階級を規制し、労働者を圧迫するための改悪でありまして、断じてわれわれの承服できないところであります。  さらに第二には、先ほどもちよつと話がありましたが、本法の提案技術に関する点でございます。本案があまりにも改悪法であり、あまりも圧迫法であることのために、全労働組織は言うまでもなく、国民大衆の批判と反対を欺瞞せんとする提案技術の含まれていることであります。要するに、地方公企労法公企労法等におきまして一部団交権を與えたかのごとくカムフラージユをいたしまして、そしてその案に対しまするささやかなる兼ね合いとして出していることであります。  さらにかような独立法でありますものは、当然一括上程すべきものではなくて、自由に審議権というものが一法ごとにあつてしかるべきでありますが、これを一括上程して、分離審議をさえぎるところに、いかに最初から悪意を持つて法案の通過を強要をしようとしたかが明確に現われているのであります。従いまして、われわれといたしましては、現在の政府がかくのごとき手段と方法とをもつて衆議院内における多数を頼んで強引に押し通そうとするところに、すでに本法案、実施にあたつて多くの障害があることを断言しなければならないのでございます。(拍手)  その現われの一つを取上げてみまするならば、何と申しましても、労働関係調整改正でございますが、これは改正ではなくて、あくまでも改悪であります。本案の改正事項のことごとくが不正であり、ことごとくが制圧であるのでありまして、しかもこが一方的に行われておるということを見のがしてはなりません。特に本案中の第十八條におきます調停申請却下の悪法及び三十五條、三十八條労働大臣専断に基く緊急調整問題等は、まつたく問題は重大でありまして、これは断じてわれわれの承服できない点ございます。しかもこの案の説明に対しまして、その答弁をみますると、ことごとくが、労働者がいわゆる理知と理性を失い、今日の日本の経済機構の進展状況を知らずして、そして非合法なる争議をやるものであるという前提の上に立つて、これが論ぜられておることがある。しからば反対に、今日の経営者階級が、はたして進歩的なる、理解的なる労働行政に、いつどこでさような現われがあるでありましよう。ここに大きな本法案のねらいが、反動性があるということを物語つておるのでございます。論より証拠、自由党の方々もお聞きを願いたいのでございまするが、過去一箇年の実績、この事実は何人も否定することができないのであります。過去一箇年の争議の状況を見ますると、三十六件の多きにわたり、中労委がこれに関係し、これを処理した問題があるのでございますが、その事件の内容を検討いたしまするならば、要求を提出して、調停申請が受理されるまでの期間が、約四七・数日となつておる。さらに受理して調停期間が五一・数日となつており、また解決案が出ましてから諾否期間があるわけでございますが、これも平均一九・数日と相なつておるのでございます。従いまして、三十六件の一年間の争議を通じまして、その要したる時日は、百十数日を平均要しておるのでございますが、しかもこれが調停あつせん中、実力行使に出たるものは、ただの一件もないという事実である。しかもこのことは、審議労働大臣を初め政府委員は、その事実を確かに認めておるのである。かくのごとく日本労働運動が、だんだん進歩発展し、やはりみずから自制すべきは自制し、主張すべきは主張するの矜持を保つておるにもかかわりませず、これを認めておりながら、しかもどうしても弾圧法を通過させなければならないというこの事実は、何といいましても、やはり弾圧、迫害をもつて今日の労働行政を押し道し、そして少数一部の特権階級の利害のために終始せんとする事実は、明白だといわなければなりません。  さらに本法におきまする三十九條及び四十條の罰則の点についてでございます。これはだれかも触れておつたようでありまするが、従来団体対象でありましたものを、今回は個人対象としてこれを処罰することに相なつております。この問題に関しまする私の質問は、もしも三千人の単組が不幸そういうことになつた場合は、三千人を処罰するのかという質問に対し、政府側は、それは裁判所で裁量いたしまして、せめて幹部てらいにするでありましようという答弁であつた。不幸にして注意が足りなくて立法化され、それが現存する場合においてこそ、初めて裁判官の裁量というものがあてはまるのであつて、現在立法審議中にあたつて、やるものはやつておる、あとは裁判所の裁量にまかすというがごときは、まつたく本末倒である。ひたすら労働者圧迫の意図以外に、何ものもないといわざるを得ないのでございます。  なお公企労法につきましては、先ほど前田委員から説明いたしましたので、私は逐條には触れません。  ただ最後に申し上げておきたいことは、終戦後日本労働運動も、いろいろの変遷を見ております。特に私ども労働運動の前線に立つておる者といたしましては、過去における行き過ぎをためて、あくまでも合法的な、正常なる労働組合の運動を指導せんとして、今日まで努力して参つておるのでありますが……。     〔発言する者あり〕
  16. 島田末信

    島田委員長 御静粛に願います。
  17. 熊本虎三

    ○熊本委員 かくのごとき法案をもつて、しいてこれを実施せんとするがごとき行為をとるならば、それこそ将来の日本労働運動が、ようやく正常化せんとする今日、これを逆に、この合法運動に混乱を與え、国民思想を悪化せしめ、もつて日本の経済再建に大なる害悪を流すであろうということをつけ加えまして、私は反対意見を表示いたします。
  18. 島田末信

  19. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私はただいま提案になりました労働関係調整法地方公営企業労働関係法労働基準法の原案に反対し、修正案に対しましても、絶対に反対の理由を申し述べるものでございます。政府は、産業平和の維持のため、及び労使関係の安定のため、独立後のわが国の実情に即する改正であると、まことしやかに述べられております。しかし質疑の経過で労相は、治安対策には、労働面と治安面とあるということを白状されているのでありますが、これは本質的にこの本法が弾圧法であるということを、明らかに示したものであると私どもは考えております。これは今回国会提出されましたところの破防法、刑事特別法、その他一連の政府の、行政協定の締結によるところの、植民地化政策を遂行するために、どうしても国民を弾圧して行かなければならないという基本点に立つて、治定対策として行われているということは明らかでございます。政府は終戦以来、二十四年度にも、いわゆるドツジ氏の経済九原則を実施し、企業整備を行い、首切りを行い、当時の数千工場の賃金遅拂いや拙い等の政策に対して立ち上る労働者に対し、労働組合法並びに労働関係調整法、昂るいは国家公務員法等の一連の弾圧法規を出しまして、みずからの政治的な失敗に目をふさいで、そうして労働者の弾圧法規に保護法を骨抜きにしたのでございます。吉田首相は、このたびの講和と同に、英米に次ぐ帝国主義となつたということを誇り、日本労働者の低賃金を世界に向つてつております。このことによつてすでに日本労働者に対する今日の道が開かれていたのであります。すでに政府は占領軍の名によつて、やむにやまれぬところの日本労働者の経済的要求の闘争を、たびたび彈圧して参りました。特に行政協定という証文を国会を無視してアメリカととりかわして以来、国民は言うに言われぬ生活の苦しみや、重税に苦しめられて来たのでございます。国民は外国軍隊によつて荒されて行く美しい日本の山河や、美しい婦人たちを、自分のはだ身を切られる思いで忍んでおります。ストライキ産業を破壊すると政府は言われますが、しかし政府は一体何で電気がとまるのか、どうして石炭が手に入らないのか、どうしてガスがまわつて来ないのかという、日本の広汎な産業、いわゆる平和産業資本家たちの声を聞いていないのでしようか。アメリカとの日米経済協力という奴隷的な政策によつてこそ日本の経済は完全に抑えられて、しかも朝鮮の侵略戦争に協力することによつて日本経済というものは破綻に瀕しておるのであります。この例は四国の住友のアルミニュウムの工場が、四国全部の電力の半分を使い、そのために全国一の無燈村である四国の住民たちは、諸君の師匠である吉田首相の選出地である高知県で、自由党に見切りをつけております。このような産業を破壊するのはストライキである、あるいは一部分子の扇動であるという理由をもつて労働者の重要な基本的な労働三権を押えて行こうとする法律が弾圧法規であるということは、まことに明らかなことでございます。そしてそのことが日本の国民の重税と、低賃金と、首切りと、労働強化と、戦争への道とつながつていることを国民は知り、さらにその闘争が燎原の火のごとく広がり、燃え上つて行くという條件をその中に含んでいるのでございます。政府はからこそ、保護法でありましたところの労働法を、今回独立後ということを條件に、くめんもなく弾圧法規に切りかえ、この独立の正体が、屈辱の独立であるということを明らかに証明したと申し上げても過言ではないと思います。外国軍隊に使用されるところの一万以上の労働者が、一挙に三千円の賃金切下げを言い渡され、政府は国連加入が決定していないので支出の道はないと言つておることは、皆さんも御承知だと思います。このようにアメリカの軍事工場では軍令馘首が一方的にどんどん行われ、留置場が工場の中にできておる状態で、横須賀の軍事工場では、現在生産状況はこれこれこれで賃金値上げができるということを言つただけで軍の機密に触れるといつて労働者に軍事裁判が要求されているのであります。これこそ諸君のつくつたところの刑事特別法に該当するということになると思うのでありますが、これらの労働者のささやかな賃金値上げの闘争、その闘争すらも、諸君は行政協定とうものが日本の安全を保障するのだという観点に立つて結んだと言われる以上、その行政協定に基いてつくられたところの刑事特別法、それらに関する一連の法律に違反するところのすべての労働者闘争というものは経済的な要求であつてもこれは特別な性質を持つものとして、明らかに労調法ので、公益事業外にも範囲を擴大して三五條の二が適用されるように、この法律はつくられていると言わざるを得ないのあります。国民は両條約、行政協定を国辱と言い、政府はこれをもつて国の安定を保つものであるという、まつたく異なつた見解に立つている、ただいまこの現状日本の国情であるのであります。日本労働者は全部総評中心にごの日本政府のやり方に対立しておる。それに対してあなたは強制調停を出す絶対の権限をこの政府の大臣として持つておる。あなたは何をやるかわからない人だ。現に人民広場を使えるという裁判所の決定すら無視するような人だ。そのような大臣に強制調停の権限をまかすということ、この労調法の強制調停の権利というものはわれわれは断じて見のがすことはできないし、許すことはできないのであります。吉武労相は、今回の労調法では政治ストは弾圧しないで、政治ストはゼネ禁でやればいいということを言うております。国民に有害な公益を害するストライキだけを弾圧するのだということを言つておられるのであります。あなた方は一部の分子の扇動によつてこれらのストライキが行われるという主張に基いておられるのでございますが、あなた方が最も信頼されるところの、緊密な連繋を持つておられるアメリカの例を申し上げれば、赤を追放し、健全な組合であるということを主張しておるアメリカで、今最も広汎な根深いところのストライキがなぜあのように起きておるか。アメリカの原子爆弾をつくるところの工場がストライキをやつた。このことがなぜ公共の利益を害することになるか。アメリカの国民の公共の利益だけではなしに、全世界の平和と幸福のためには、原子爆弾をつくる工場のストライキは当然のこと、あたりまえのことである。このような殺人的な経営に対するところの労働者ストライキの弾圧は、世界の平和を乱すものだ。ところが日本現状はどうかといえば、日本現状は、現にあらゆる基地もあらゆる軍港も行政協定によつて完全に押えられ、公益事業は全部アメリカ軍隊に優先的に享有され、空間から領海、水の中から空中までが日本の権利ではない。アメリカの権利、権力、権能によつて支配されております。そのような状態で、一体日本の経済というものがどうなつておるかといえば、完全に朝鮮侵略の基地になり、毎日々々朝鮮で破壊をやり、人殺しをし、焼いておる。これこそが世界の公共の利益を破つておるものます。われわれとしては、だからこそ日本労働者諸君が、今再軍備反対を叫び、吉田内閣打倒を叫び、両條約破棄を主張し、行政協定破棄を主張して、組織をあげて正々堂々と闘つておる。この力に恐れをなした吉武労働大臣は、買収をもつてこれを懐柔しようとしたことに失敗し、あなた方がこの労調法審議会、労働法改正関係審議会に呼び出したところの労働者の代表と言われていた武藤、小椿という、基準法改悪等に賛成した諸君は、見事に大衆の手によつて葬られておるのであります。このような大衆の高まりをおそれたあなた方は、完全に保護法を弾圧法にかえただけではなく、労働行政が商売がえをいたしまして、そうして警察と緊密な連絡をとつて来ておる。直接行動の防止は警備警察、秘密団体、解散団体は捜査警察、暴力行為取締りは刑事警察というふうに、労政当局が指示して緊密な連絡をとつて労働運動全部を監視し、弾圧をしようとしておるということはあきらかな事実でございます。このようないわゆる全般の弾圧法規と対抗して今盛り上つて来ておるのが第三波ストであり、この第三波ストは完全に破防法、ゼネ禁法、労働三法の改悪に反対して、民族独立の闘いを宣言しているものであります。木村法務総裁は、今国会中必ずゼネ禁を出したいということを委員会で証言されましてどうかしてこの労働者の立ち上りを押えようとして、必死に今努力を重ぬられているのでございますが、諸君が必ずこのような弾圧の法規を出すならば、私ども労働者は、これを乗り越えて実力を行使して、あなた方に抵抗して民族の独立を闘い取つて行く、かく信ずるものでございます。だからこそ私ども社会党左派や労農党あるいは農民協同党の修正案に対しても、強圧法規といろ建前に立つておる本法案に対する修正というものはあり得ない、こういう観点に立つて賛成することはできないのであります。さらに社会党右派に至りましては自由党と一緒に協議をして共同修正をするに至りましては、まことに労働者階級にとつては裏切りであると、私どもは身の寒くなるのを覚えざるを得ないのでございます。しかしながら日本労働者大衆はこれを乗り越え、そして実力闘争をもつて諸君がどんな弾圧法規をつくりましても、必ずこれを乗り越えて闘い抜くことを私どもは確信して、労働関係調整法地方公営企業労働関係法労働基準法、これら一連の法律は戦争態勢に日本労働者階級を追い込んで行くべくかつての昭和五、六年の不況の際に、日本支配階級が失業によつて日本労働者を追い込んで行つた、さらに労働組合を解散させて産業国会に追い込んで行つたあれらの諸方策以上に、今度は外国に対する隷属という特別な植民地的な條件を加えました日本る吉田内閣のこの方針に対しましては、断固として反対せざるを得ないのでございます。特に労働基準法のごときは、よくもまあ基準法という名に恥じず、幼年労働でございますとか、婦人の深夜業でございますとか、あるいは時間外とか、休日返上という世界の物笑いでございましたこれらの條件を再びもどしまして、そして産業教育法と相関連いたしまして子供たちを再び戦時動員をしようというような野望が明らかに現われているのでございます。日本共産党といたしましては、これらの改正法というところの改悪法、弾圧法の撤回を要求し、基準法には最低賃金制の確立、さらに二十四年度の改悪を撤回し、そしてスト権を確立するところの労働三権の確立と、政治的な自由の保障された、日本労働者の完全な権利の確立というものを保障するところの労働法の確立を希望するものであります。以上日本共産党を代表いたしまして反対趣旨を申し述べ、修正案に対しましても簡單な意見をつけ加えまして、私の討論を終りたいと思います。(拍手)
  20. 島田末信

  21. 青野武一

    青野委員 私は先ほど日本社会党第二十三控室、労働者農民党その他三つの政党を代表いたしまして、修正趣旨弁明をいたしたのでございますが、今度は社会党第二十三控室を代表して賛成の意思を表明するものであります。(「原案に賛成か」と呼ぶ者あり)修正案に賛成であります。政府提出の原案に対してはもとより反対であります。私は先ほどの修正案趣旨弁明で大体言い盡しておりますので、今回は討論でございますから、ただ私どもの所属する社会党が、労働三法案にどんな基本的態度をとつて臨んでおるかということをごく簡単に申しまして、原案に反対し、私ども提出いたしました修正案に賛成を申し上げます。敗戦によつてわれわれの日本は、連合軍の占領下に置かれまして、そうして六年八箇月の間一貫してとられました政策は、好戦的、非民主的性格を拂拭して平和国家にすることであつたのであります。すなわち日本資本主義の構造を徹底的に改革して、その目的を達成せんとしてとられた連合軍の一連の民主化の措置は、日本国の主権は日本のものであることになり、それを受けて新憲法による徹底的な普通選挙が実施されることになり、男女の平等が宣言せられ、学問、言論、集会、結社の自由が保障されることになつたのであります。次に新憲法によつて天皇は国家の象徴となり、内大臣、枢密院が廃止せられ、陸海空軍が完全に解体され、治安維持法、特高警察がなくなつて、各界にわたつて多数の人々の追放が行われ、かつて日本帝国主義において指導的役割を演じた人々が、政界、官界、教育界、言論界、軍部上層部等の舞台から一掃されまして財閥解体、独占禁止、経済力の集中排除の方針がとられ、日本資本主義の支配力でありました独占資本が、まさに分断されるように見えるところまで追い込まれたことは、皆さん御承知の通りであります。農地改革によつて、従来のような地主制度が質的にも量的にも、存在しなくなり、労働者階級が解放され、いわゆる労働三法によつて利益と権利が保障されたのであります。文字通り大きな民主的な変革が行われましたが、連合軍の占領が予期に反しまして長引くとともに、御承知のように米ソの対立が次第にはげしくなつて参りました。一九四七年アメリカがトルーマン政策をとり、さらに蒋介石政権が没落し、中華人民共和国が成立して以来、米国は日本の意義を新たに再認識することになつたのであります。すなわち米国は、世界政策の一環としてのアジア政策において、日本をアメリカにとつて忠実な友邦として活用する必要に当面いたしまして、非軍事化と民主化という対日政策は順次変更されて、遂に今日では逆転されたというところまで参つたのであります。すなわち一切がアメリカの世界戦略に従属せしめられることとなりまして、こうして資本家階級は戦争によるところのその失地を回復して、日本資本主義を戦前の状態に復元しようという意欲を持つようになり、またそれを可能ならしめるような客観的條件にも恵まれるようになつて来たのであります。政府及び資本家階級による敗戦後の諸改革の廃止あるいは骨抜き等が次々と開始せられ、そして拍車をかけられるようになつて来たのであります。ころいう傾向は一昨年六月から始まつた朝鮮戰争及びサンランシスコ会議を経てますます強化されて、敗戦後の日本民主化の一連の重要政策が次のように変化して参つたことは、自他ともに驚きにたえないところであります。形式的には主権在民と、完全に普通選挙はなお確保されておりますが、これもいろいろな方面で選挙法の改正が問題になつており、一方では破壊活動防止法、近々提出されんとしておりますゼネスト禁止法、言論、集会の取締法等の反動立法提出が企図せられておるように、私どもは考えております。東大事件早大の警察官の実力行使、愛知大学事件は何を物語つておるか。私どもは、今日はむしろ警察官の実力行使に対して、破壊活動防止法を適用しなければならぬところまで追い込まれております。予算の上から参りましても、軍が、予備隊、海上保安隊の形で復活し、さらに平和憲法の改悪が企図さている。治安維持法にかわるべき一連の反動立法の制定、特高警察にかわる特審局制度の擴充、戦争中の旧政界、右翼団体の大物から旧現役の中堅軍人までが大幅に追放を解除され、しかもその多くが社会の重要地位に復活し、旧軍人は警察予備隊幹部として採用されております。財閥解体は有名無実、一金融資本が着々と強化されております現状は、世間周知の事実でございます。地主制度はなくなつたと申しましても、旧地主勢力は残存してなお強く農村を支配しております。労働法規の改悪その他によつて労働階級が多くの点で拘束せられて行つておるのは事実でございます、私は、今回の労働関係法規改正も、ただいま私の述べました国際的、国内的情勢の中から、好むと好まざるとにかかわらず、国外の権力が中心になつて強引に押して来るところに、必然的に、計画的に生まれて来る産物であると思う。非常に日本は危険な状態に立たされております。われわれの祖国日本の防衛、国民生活の安定と向上のために、そうして再軍備、傭兵につながるこの反動、反勤労者的な労働法改正案に対しましては、私は絶対に反対の意思を表明するものであります。特に労調法における緊急調整は、事実上これは争議禁止であり、先ほども申しましたように、これは政府労働組合争議にいろいろ口実をつけてこれに介入して来るという危険率が非常に大きいのであります。むしろわれわれは、労働者も資本家も政府も相協力一致してほんとうに裸になつて、祖国の再建と復興のために努力すべきときにもかかわらず、こういうような一方的に労働者の生存権を脅かし、労働者の基本的人権を蹂躪するような、日本労働組合のほとんどがまつこうから立つて反対している中に、しかも野党がほとんど反対している中に、こういう労働関係法を通そうとするところに、私は絶対に賛成することはできません。従つて先ほど出しました修正案に対しましては、これに賛成をいたしますると同時に、政府提出の原案に対しましては、断固反対の意思を申し述べまして、私の討論にしたいと思います。(拍手)
  22. 島田末信

    島田委員長 中原健次君。
  23. 中原健次

    ○中原委員 私は労働者農民党を代表しまして、ただいま議題になつておりまする労働関係調整法等の一部を改正する法律案並びに労働基準法の一部を改正する法律案、さらに地方公営企業労働関係法案の三案に対しまして、反対の意思表示をいたすものであります。並びに修正案として森山委員並びに前田委員委員趣旨弁明になりましたものに対しまして反対——青野君の趣旨弁明にかかわりまする修正案に対しまして賛成いたします。このことを込めまして、以下私どもの労農党の見解を申し上げることにいたします。このたびの労働関係法規改正法律案並びに新しく創設する法律案に関しましては、かねがね政府がいろいろ説明をいたしておりまするごとく兵日本の新しい一つの姿として、いわゆる対日平和條約並びにいうところの日米安全保障條約、これに関連する行政協定、このようなものが実施されるに関連いたしまして、確かにわが日本が一つの新しい方式の占領、被支配態勢の中に追い込まれて参つたことに間違いありません。そのような関係の中に、さきに破壊活動防止法案が、衆議院におきましてはしやにむに與党の圧倒多数をもつて押し切られたのでありましたが、この破壊活動防止法案とまさに相並ぶ、いわゆる新しい占領態勢下における一つの支配方式であると私どもは考えるものであります。これらの労働関係法規は、要するにそのねらうところは、吉田政府労働者をこれらの支配態勢のもとに縛りつけることによりまして、まさにねこのごとく従順に、政府の示すところに奉仕せしめようとすることをれらつたものであることは申すまでもございません。以下私はその本質を指摘いたしますみために、数個の具体的な條章につきまして見解を申し述べることにいたします。まず第一点は、労調法三十五條の二によりまして、新たに創設を試みておりまする緊急調整の問題であります。これは今回の改正法律案の主たる眼目であることはいまさら申すまでもございません。この緊急調整は、その緊急調整に伴いまして政府のねらいといたしまするものは、要するに争議行為禁止しようとするところにあることは申すまでもありません。しかもその争議行為禁止せんがためのねらいといたしましては、なかなか数々解釈の自由自在になるような文字が選定されておることは申すまでもございません。試みにそれをここで申し上げてみますれば、たとえば公益事業に関する労働争議に関して、またはその規模が大きいために、もしくは特別の性質の事業に関するもの、さらにそのために公益に著しい障害を及ぼす争議、放置しておけば、おくことによつて国民生活に重大な損害を與えると認めたとき、労働大臣の認定に基きまして緊急調整の発動がなされ得る、こういうことになつておるのでありまするが、なるほどこれらの文字の意味するものは、そのままに受取りますれば確かにりくつがあるようでありまするが、これらの文字が代表するその内容に関しまして、われわれはいろいろ疑惑を持たざるを得ないものを発見するわけであります。しかもこのような緊急調整の措置が講ぜられることに伴いまして起るであろういわゆる不当なる措置、そういうようなことがもしなされましたときに、その不当措置に関する救済策があるのかないのか。これはまつたくありません。さらにその認定の正当性、こういうものがはたして大臣の認識によつて確証づけられるかどうか、これははなはだあいまいなる点でありまするばかりか、むしろ先にも指摘いたしましたように、いろいろな拡大されやすい解釈のゆえに、正当性はしばしば失いがちになるのであろうことは申すまでもありません。要するにこれはスト権を否認し、官僚の職権支配を強化するために、この緊急調整の措置が試みられようととておることは申すまでもないのでございます。そればかりでなくしてさきに公聽会を三日にわたつていたしましたが、その公聴会の多数の公述人の口からも、この問題については非常な心配が寄せられておりましたし、また私どもの考えまする範囲によつて思いましても、この措置によつて三十八條に規定せられましたいわゆる五十日間の争議行為禁止措置というものは、その五十日間の争議行為禁止、すなわち冷却期間制度を採用することによりましてその次に必ず考えられることは、争議の解決は、かえつてそのために一層困難な條件、混乱する事情が発生しがちであることを、過去のもろもろの経験を通じて結論することができるわけであります。従いまして、政府緊急調整の措置によつて争議行為の労使の関係調整しようとするそのねらいをいかに説明いたしましても、実情はかえつて争議解決の手段になり得ない。遺憾ながら私はこういうことを指摘しなければならぬので彫ります。このような措置をあえて何のために政府は案出したか。これはとりもなおさず、その長い冷却期間を通じまして労働者の攻勢力を弱めて行こうとするところにねらいがあることは、申すまでもありません。従いまして労働者に対して、労働問題に関する団体交渉を、対等な條件、対等な立場において推進せしめることをかえつて阻害することがほんとうのねらいであることを、見のがすわけには参らぬのであります。緊急調整そのことは、大臣のどのような説明にもかかわりませず、本質はあくまで争議行為を拒否しようとする意図に出ておることは明らかであります。  第二点としましては、調停申請の却下の問題であります。すなわち労働関係調整法第十八條に新しい項目を設けてこの措置を構じようといたしておるのでありますが、このような場合に考えられることは、この争議調停申請は、一体だれが主として今までやつて来たか、これは政府説明ではつきりとつかむごともできがたいのでありますが、私どはこういう実情を知つておる。争議調停申請をいたしまするものは、しばしば主として労働者側であつたのであります。また将来もそうでありましよう。従いまして申請をする側の労働組合側が、このような却下措置に伴いましてその争議の解決をいたずらに遅延させられるという傾向に協力する、そういう法的措置とこれが考えられて参るわけであります。と申しますのは、おそらく使用者側は、いたずらにこの解決の措置を遷延せしめることをねらうでありましよう。それをねらうことによつて、遂に両者の間に誠意のある自主的な、積極的な解決の努力がなされていないという認定がそこに発生して来る。従いましてそういう関係から、せつかく争議調停申請をいたしましても、これを却下するような口実がそこに発生して来ることが考えられるわけであります。このように申しますと、それは三者構成による労働委員会が措置するのであるから、決して不公正なことはなされ得ない、こういうように政府は極力弁解いたしますけれども、しかし現在の労働委員会の構成についても、われわれは必ずしもこれを是なりとは考えておりません。少くとも労働委員会の構成、労働委員の推薦形式等に関しましては、労働組合法中のその條項に関する根本的な改正を要することは、今さら言うまでもないからであります。それからのことをかれこれ考えて参りますると、この申請却下の措置というものは、結局は緊急調整の状況へ追い込んで行くための前提措置であると私どもは断ぜざるを得ないものであります。  さらに公共企業体労働関係法につきまして触れておきたいのでありまするが、この公共企業体労働関係法は、すでに三箇年の経験を持つ。すなわち三箇年の間にこの法律の悪い箇所が相当多数指摘されておるわけであります。従いまして、今回この法律改正案を構想される場合には、むしろ三箇年の経験を通して、改正を要するとほんとうに感じた部分に触れなければ意味をなしません。しかるに何のためにか、今回のこの法律改正案について見まするならば、そのような重大な、誤てる点が改正されておりません。むしろ逆に……。
  24. 島田末信

    島田委員長 中原君。申合せの時間もありますから、結論を急いでください。
  25. 中原健次

    ○中原委員 逆にかえつていろいろな條項にわたりまして制限措置が講ぜられております。このことは一はなはだもつて遺憾しごくなことでありまするが、ことに労働関係調整法公共企業体労働関係法に関しましては、先ほども青野委員もしきりに指摘をいたしたところでありましたが、仲裁裁定の効力の問題、これが軽率に扱われるようなことでは、これが法的に保障されないようなことでは、実際は、一相手方であるところの公共企業体と、ほんとうにたよりになる交渉はできないのでありまして、いわばのれんと棒押しの形で、そういう関係では、どうしてもよき結論に到達するような交渉はなされ得ないのであります。この点に関しましては、今や十二分の経験済みのことでありますから、今さら私はとやかく触れようとは思わない。労働関係法に関しましては、いろいろな欠点もあることでありまするが、そういう諸欠点についてのほんとうの改正がなされなければ、この法律改正されたとは言い得ないのであります。だからこそ多数の公述人も、これを改正ではなく、むしろ改悪法律案であると指摘いたしましたのは、ほかならぬことであります。従いまして、そういう公共企業体労働関係法の精神の上に沿うてできましたものが今度の地方公営企業労働関係法であることは申すまでもないのであります。従いましてこの地方公営企業労働関係法が、またぞろ施行を見ますと同時に、公共企業体労働関係法によりまして経験いたしました悪い部分を、またここで再び繰返させられるのであろうことは火を見るよりもあまりにも明らかであります。しかもそういうような法律案を作成いたしましてしやにむにこれを押し通そうとするところに問題があることは申すまでもありません。ことに労働基準法の問題に関しましても、これは先ほどからいろいろ討論されたから私は省略いたしますが、年少者の坑内作業あるいは女子の深夜業の問題、その他に関連いたしまして、基準法本来の精神をその辺から没却することになつておることは、遺憾ながら指摘せなければならない要点であることは申すまでもありません。これら一連の法律の改悪措置というものは、申すまでもなく、先ほど申し上げましたように、ここに一つの新しい形の占領、その措置をより強固にするための受入れ態勢の一環であることは、私どもは遺憾ながら指摘しなければならない。さきの公述の場合における経験から考えましても、どうも政府の答弁なり、あるいはこういう施策等を通じて見ます、はなはだふしぎにも資本家の利益を守ることを待つて構成されておる日経連その他資本家団体等の意見と、まことに符合が一致するのであります。何のために符合が一致するか、問題がここにある。きわめて偶然に一致したのか、それとも本質的に一致するのか、私どもから考えますならば、いわゆる中立性をもはや政府がすでに失いつつあるということを言わねばなりません。従いましてそういうような本質を持つ現在の吉田反動政権がいろいろ施策いたします諸政策等につきまして、われわれがそこにいろいろ大衆的な声と力をもつてこれに反対するということは、きわめて当然なことなんです。  そこで私は最後に触れて話を終りますが、たとえば今回のこの法律案審議過程におきまして、労働大臣はしきりに労働組合の総罷業の形に対しまして、このゼネストは非合法である。合法的ではない、しかも政治的な性質を含んでおるから、このようなストライキははなはだ合法性を欠くばかりか、許しがたいものであるというような見解をお述べになられましたが、今日労働者は、あの長い間の経験を通しまして、その経営内、企業内、職場内におきまして獲得し、あるいは国会の中において獲得いたしました今日までの労働者の経済的な政治的な権益、これはどうしても守り抜かなければなりません。さらにそれを高めねばならぬのであります。そのためには、たとえばこのような悪法案が上程されましたときに、その悪法案によつて受けるであろう労働者の権益の侵害あるいは損失、それを法的に守り抜こうとする熱意が、ゼネス、の形をとることは当然なことでありまして、従つてこれこそ私は合憲的な合法的な行動であると断ぜざるを得ません。しかるに、これに対しまして、合法でない云々という言葉を浴びせかけようとする吉田政府並びに吉武労働大臣の意図するものは、結局これら当然の権益防衛のための合憲的合法的行動に対しまして、これを非合法的なものであるという弾丸を放つて、これを国民の輿論の中に持ち込もうとする意図から出ておる説明と私は受取つて、このような諸見解から考えましたときに、今回のこの法律案改正置措並びに地方公営企業労働関係法の新設の意図するものが、どのような説明もかかわらず、だんだん支配態勢を確立強化するための措置であるということを断ぜざるを得ないものであります。  以上私の見解を述べまして、労働者農民党の立場から、これらの法案に対する反対の表明をいたしておきます。
  26. 島田末信

    島田委員長 これにて討論は終了いたしました。  これより採決いたします。最初に労働関係調整法等の一部を改正する法律案につき、採決いたします。まず青野武一提出修正案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  27. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて本修、正案は否決せられました。次に前田種男提出修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  28. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に森山欽司提出修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  29. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  30. 島田末信

    島田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました  次に労働基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず青野武一提出修正案に賛成の諸君は起立を願います。   〔賛成者起立〕
  31. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。次に前田種男提出修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  32. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に森山欽司提出修正案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成着起立〕
  33. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に原案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  34. 島田末信

    島田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次に地方公営企業労働関係法案について採決いたします。  まず青野武一提出修正案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  35. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に前田種男提出修正案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  36. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に森山欽司提出修正案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  37. 島田末信

    島田委員長 起立少数。よつて修正案は否決せられました。  次に原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  38. 島田末信

    島田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、お諮りいたします。ただいま可決いたしました三法律案に関する委員会の報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 島田末信

    島田委員長 御異議がなければさように決定いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後八時六分散会