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青野委員 いろいろ
労働大臣の御説明を聞いてよくわか
つた点もございますが、
アメリカの例も引かれて、
アメリカは八十日間、
日本は少し遠慮して五十日くらいにしたとおつしや
つたようでありますが、私はちようどそのとき通産
委員会に出ておりまして聞くことができませんでしたが、
アメリカの例をとられて、それはこういうぐあいだ、ああいうぐあいだとおつしやられることもごもつともであります。けれ
ども日本の国情と
アメリカとは非常な隔たりがある。財政力にしてもその
通り、言論の自由にしてもそうであります。だから戦時中でも思い切
つたストライキを公然とや
つておる
アメリカであります。マッカーサー元帥がトルーマン
大統領のヨーロツパ第一外交方針に対して敢然と反対をし、満州に進んで爆撃をするという方針を断固として主張して、そうしてやろうとしたときに、
イギリスの
労働党内閣のときのモリソン外務大臣が、フランスと協力してトルーマンを通じてこれを解任をした。
アメリカの統合参謀本部の意見を
アメリカの新聞紙を通じて見ますと、あの際トルーマンが満州の爆撃をや
つたら、少くともソ連か中共の戦爆連合戦隊の飛行機をも
つて、その翌日
日本の爆撃をしておるだろう、あれが実行に移されれば、
アメリカの駐留軍も
日本国民も非常な災害を受けたであろう、こういうことをか
つての
日本で申しますと軍令部総長か参謀総長あたりに匹敵する人たちが言
つております。そういう危機を
日本は一応脱しまして、終戦後六年八箇月の間、事実上手足を縛られた占領治下にあ
つたのでございますが、そういうことをやろうとしたマッカーサー元帥が
アメリカ本国に帰
つて、上下両院で軍事に関する機密を堂々とトルーマンを向うにまわしてや
つた。
アメリカの四十八州を次から次へと遊説して、トルーマンの外交政策の誤りをつき、アジア政策の誤りをつき、そうして大きな犠牲を払
つて日本と戦争したが、
アメリカの国務省は何物もとり得なか
つたではないか、これはトルーマンの外交方針の大失敗であると、敢然と
アメリカ政権に向
つて闘いをいどんでおる。ところがマッカーサー元帥は刑務所に入れられたという話も聞きません。検束を受けたという話も聞きません。それくらい
アメリカは言論の自由の国である。
日本ではそういうことを言
つたらたいへんだ、戦時中であれば、おそらく十年戦争が続けば、刑務所から十年は帰
つて来られないでしよう。しかもわれわれは国際的の戦争は厳正中立である。第三国の軍隊が
日本に駐留することは、
日本に戦争の起る危険性があるから反対だ、平和条約は屈辱的であり、これは
アメリカの植民地化するものだ。われわれは絶対兵
制度を認めるわけに行かない、一方的な行政協定には反対だ、そうふうものをどうして取締るかということを、
日本の
政府よりもつと
外国の方が
考えているのではないかと私は思います。そして次から次と問題を引き起して来る。十八日に
ストライキをやれば、五月一日にはああいう
事件を起す。私
どもは
暴力を否定しております。共産党の諸君とははつきり思想的にも革命的戦術の上でも練を引いている。この点はしばしば言明した
通りでありまして、私
どもを容共、準共産党員と言うならば、ソ連め軍隊が入
つて来ましたら私たちは一番に捕縛になります。南樺太をもどせ、千島をもどせ、北海道の歯舞、色丹をもどせ、十万六千人の抑留者を即刻にもどせ、どうしてもどさないか。また小笠原、沖繩、奄美大島を
日本の軍国主義を監督するという建前のもとに信託統治にしておるが、一握りの土地でもほしい
日本から、
アメリカが無期限でとることには私は反対しておる。ところが私は千島の軍事占領にも反対しておる。なぜ
日本にあれを返さないのだと言
つている。そういう
意味からい
つても私は容共派ではございません。この一事だけでも私
どもは何事かあ
つたときには、いきなりやられる運命にあります。従
つて私
どもは、どちらにしても
日本人の立場で
日本を守りたい。
国民生活を防衛したい。無
意味な戦争のために若い者に銃を持たせて、
国外に出兵させることには反対だと、
日本を守り、
日本のためを思うからこそ言
つておる。それなのにこれは危険だ、たとえば社会党の左派は危険だ、これは共産党と紙一重で、五月一日のメーデーにあれも
関係してや
つたのではないかと言
つている。それと密接な
関係を持
つている早大
事件があ
つた、武装している警官が
行つて、こん棒か何かで無抵抗の学生をうちのめす、そういう行き方が終戦後あ
つたかどうか。こういうことが次から次へ起
つて来るのではないか。私は御
承知の
通り九州です。飛行場三つに囲まれている八幡製鉄の所在地におるものでありますが、ほとんど毎月二十四時間中、飛行機の飛ばない日はありません。まさに戦争の前夜のような不安をみな持
つておる。そういうとぎに
国民の口をふさぎ、何事もできないように
破防法をつくり、
労働三法を
改悪することは、やがて東条軍閥のときのように戦争になるのではなかろうか。またかわいい子供をとられるのではなかろうかという
考え方を持
つておるときに、そういう不安を一層大きくあお
つて行くような
法律には反対です。
労働組合が反対し、農民
組合が反対し、そして
日本の文化団体の諸君が反対するものを、ことさらに平和条約の締結後に
国会に提出しなければならない
理由はないと私は思います。
日本の刑法に明らかに騒擾、内乱、殺人、強盗、列車転覆の処罰規定がございます。このねらいどころは、そういうことをした者の所属する団体を最初のうちは手かげんをするが、半歳か一年先には次から次にそういう団体が解散されて行くのではないか、こういうことを私
どもは
考えて、将来のことを
考えて、
治安維持法のときのことを
考えて
心配する。そういうことはしないと
政府が言明しても、また内閣がかわればどういうことになるか。権力を握
つておる者の顔ぶれがかわればどんなことになるか。陸海軍の将星は、次から次に追放解除を受けており、警察予備隊にどんどん指指導者として入
つておる。教育界、言論界、政界、官界にどんどん昔の人が、戦争協力者が復帰をしている。今度衆議院を解散して選挙をしたら、そういう人たちが相当数議会の中に入
つて来る。
吉武労働大臣が、昔の
治安維持法のように
解釈を拡大して断圧する意思は毛頭ないと言
つても、どうなるやらわからない。そういう
法律が出ておると、
国民はどういう
解釈のもとにひどい目にあうかわからない。
もう
一つ例を申しますが、
吉武労働大臣は厚生大臣を兼職なさ
つておりますから、ついでにこれは例としてお聞き取りを願いたい。
アメリカの軍隊が自分たちの作戦のためか、対日占領政策のためか、福岡県の彦山のふもとのトンネルの中に爆弾、火薬を入れてお
つて、それが向うさんのあやまちで爆発して、その村の人が百五十人吹つ飛んでしま
つた。それで一松厚生大臣のときに、厚生
委員会を通じて私
どもの同僚が質問したときに、今は
アメリカに占領されてお
つて、手も足も出ぬ、向うさんのあやまちでも事故でも、どうすることもできぬから、平和条約が発効したら、
日本国家の責任で何とかこの跡始末をつけるから、とにかくしばらく待
つてくれないか、こういうことであ
つた。そういうものが入
つておるということも知らない人々が、向うさんのあやまちで爆発したために、付近の家屋が吹つ飛んで、百四、五十名くらいの人が即死したのです。そういうことで、一松さんが厚生大臣をしているときに、当時の
政府を代表して、よろしい、
国家の責任で何とかします、こう言
つておるが、今
吉武さんが厚生大臣にな
つておるけれ
ども、そういう
内容を御存じにな
つておるかどうか。そういうことについてどういう手を打たれるか。いまだ具体的なことを聞いておらない。あなたは今度の
法律について、そうじやない、そういうことはしないとおつしや
つても、やはりそれぞれの立場、内閣の性格がかわ
つて参りますると、やはりそういうことをして弾圧をしなければならないような外部的な勢力の圧迫があろうし、国際
情勢の変化もあります。そういうことが将来起らないように、みずからの生活権を守り、
日本の
労働組合みずからの健全な発達を自分たちの
努力でなし遂げようとするときに、ただ
政治ストだからだめだ、
政治的意図を持
つている、
労働組合法の保護のもとにや
つておるのではない、だから首切られても知らないぞ、こういう一方的な見解を表明されると、
組合は武装解除されたものみたいにな
つて、
労使の対立のときも非常に不利になるのではないか。私自身は、
労闘を中心にして
争議をどんどんやれと言
つておるのではなく、これと直接密接な
関係を持
つているものでもありませんが、先ほ
ども申しましたように正しいものは正しい、この条文は悪ければ悪いということは申します。しかし私は
暴力は否定しております。私
どもはフアッシヨに対して反対すると同時に、
暴力革命にも反対しておる。無血革命、議会主義です。選挙を通じて
日本の民主化の徹底をはかるということは、将来も今までと
一つもかわりません。こういう点について、この
労働委員会だけでなく、
関係労働組合、
国民の不安に対して、
政府を代表して、はつきりとあなたたちの御見解をひとつこの機会に記録として残しておいてもらいたい。
憲法制定のときに、ああだこうだと言
つて答弁したが、今吉田さんはそれと反対のことをや
つている。そういうことで最高裁判所に提訴するような問題も起
つて来るから、そういうようなあとくされのないように、問題が将来起きないように、はつきりした線を打出してもらいたい。総括質問といたしましては多少長か
つたかもしれませんが、これでやめます。やがて逐条審議のときや公聴会の折を通じまして、具体的な各条文に直接
関係のあることは、時間を割振
つてもら
つて質問したいと思います。