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1952-04-26 第13回国会 衆議院 労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十六日(土曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 船越  弘君    理事 森山 欽司君 理事 前田 種男君       天野 公義君    金原 舜二君       三浦寅之助君    柳澤 義男君       山村新治郎君    熊本 虎三君       柄澤登志子君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         人事院事務官         (事務総局法制         局長)     岡部 史郎君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君  委員外出席者         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 浜口金一郎君     ――――――――――――― 三月二十九日  委員柄澤登志子辞任につき、その補欠として  江崎一治君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員青野武一辞任につき、その補欠として福  田昌子君が議長指名委員に選任された。 四月一日  委員三浦寅之助辞任につき、その補欠として  佐藤親弘君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員江崎一治辞任につき、その補欠として柄  澤登志子君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として青  野武一君が議長指名委員に選任された。 同月十七日 委員青野武一辞任につき、その補欠として上林  與市郎君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員中曽根康弘辞任につき、その補欠として  川崎秀二君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員内藤隆辞任につき、その補欠として篠田  弘作君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員川崎秀二辞任につき、その補欠として大  西正男君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員佐藤親弘君及び上林與市郎辞任につき、  その補欠として三浦寅之助君及び青野武一君が  議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員川島金次辞任につき、その補欠として熊  本虎三君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十八日  けい肺特別処置法制定に関する請願苅田アサ  ノ君紹介)(第一七九八号) 四月二日  不当労働行為並びに特別公務員職権濫用に関  する実地調査請願赤松勇紹介)(第一八  八六号) 同月四日  日雇労働者生活安定等に関する請願中原健  次君紹介)(第二〇一八号) 同月十日  日雇労働者生活安定等に関する請願坂本泰  良君紹介)(第二一四一号) 同月十五日  労働組合法労働関係調整法及び労働基準法の  改正に関する請願堤ツルヨ紹介)(第二一  八四号) 同月二十五日  労働法規改正に関する請願前田正男君紹  介)(第二三五二号) の審査を本委員会に付託された。 三月二十九日  労働法規改正に関する陳情書  (第一〇九七  号) 四月二日  けい肺特別法制定に関する陳情書  (第一一六八号)  労働法規改正に関する陳情書  (第一一六九号)  同外一件  (第一一七〇号) 同月十日  労働法規改正に関する陳情書  (第一二二六号) 同月十二日  労働法規改正に関する陳情書外一件  (第一二九〇号)  同(第一二  九一号) 同月十六日  けい肺特別法制定に関する陳情書  (第一三七七号)  労働基準法改正に関する陳情書  (第一三七八号)  労働法規改正に関する陳情書  (第一三七九号)  同(第一三八〇号)  同(  第一三八一号) 同月二十三日  労働法規改正に関する陳情書  (第一四八四号)  同(第  一四八五号)  同(  第一四八六号)  同  (第一四八七号)  同(第一四八八  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  連合審査会開会要求に関する件  労資関係に関する件     ―――――――――――――
  2. 島田末信

    島田委員長 ただいまより会議を開きます。  日程に入ります前にお諮りいたしますが、去る一日に三浦寅之助君、去る三月二十九日に柄澤登志子君がそれぞれ一時委員辞任されておりますので、ただいま港湾労働に関する小委員が二名欠員となつております。なおまた珪肺病対策小委員会におきましても、小委員青野武一君が三月三十一日一旦委員辞任されておりますので、小委員欠員となつております。この際小委員補欠選任を行わなければなりませんが、それは前例により委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島田末信

    島田委員長 御異議なしと認め、港湾労働に関する小委員には三浦寅之助君及び柄澤也ま子君を御指名いたします。また珪肺病対策小委員には青野武一君を御指名いたします。     —————————————
  4. 島田末信

    島田委員長 次に連合審査会開会申入れの件につきお諮りいたします。ただいま破壊活動防止法案公安調査庁設置法案及び公安審査委員会設置法案法務委員会において審議せられておりまするが、本法案は当委員会にも関係するところ非常に大であると思われますので、この際ただいまの各法案につきまして法務委員会に対し連合審査会開会を申し入れたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 島田末信

    島田委員長 御異議がなければさように決定いたします。  なお手続につきましては委員長においてとりはからうことといたしますから、御了承願います。
  6. 島田末信

    島田委員長 これより労資関係に関する件を議題として調査を進めます。この際労働大臣より本件に関しまして発言を求められておりますので、これを許します。
  7. 吉武恵市

    吉武国務大臣 去る十二日及び十八日に行われましたスト関係について、状況を御報告申し上げておきたいと思います。  実は御承知のように今回政府提案をいたしました破防法につきまして、これはたびたび法務総裁からも申しておりまするごとく、今回のこの法律極左極右の極端な暴力主義的破壊活動を防止しようというのが自的でございまして、法案内容をごらんいただきましても、暴力とは一切の暴力をさしているのではございませんで、暴力の中でも内乱罪を構成するもの、それから騒擾罪を構成するもの、それから殺人放火汽車転覆、それから爆薬物の使用、それから凶器をもつて公務執行を妨害する、これらの極端な極刑に処せらるべき暴力をあげまして、この暴力をあえて行おうとする団体に対する規則が書かれているのであります。世間的に暴力主義的破壊活動防止というと、一切の暴行脅迫までみな含まれているような印象を受けるのでありますが、そうではないのであります。従いまして今日の労働組合で、御承知のように総同盟にいたしましても総評にいたしましても、そういう内乱をあえて行う、あるいは殺人放火をあえて行う、爆薬物使つてあえて労働運動を行うということは、想像さえできないし、またやつてもいないのであります。従つてわれわれはこの法律が今日の正常なる労働組合適用になつて、これがため制限あるいは抑圧を受けるとは、実は夢にも思つていないわけであります。  ところが組合の方から考えますと、多少私は誤解があつたと思う。それはかつて団規法をやるのだということで、一切の団体規則を受けるのだということで、昨年末以来輿論として出て来ておりましたために、組合側はそのときからすでにごの団規法反対するという考え方で進んだ。途中この法律内容が切りかえられたということにあまり気がついていない。切りかえられたということは全然気がつかぬわけでもないでしようが、そういうふうに性格がかわつたという認識が、私は欠けていたため誤解があつたと思うのであります。そこで組合側はたいへん心配をいたしまして、これはたいへんだ、健全な労働組合がこれによつて抑圧を受けるのじやないかということで、政府提案をする前に十二日のスト、十八日のスト決定したのであります。そこで私は、これは組合誤解である。われわれは組合抑圧する考えはないし、もしそういう法律であれば、私労働大臣としてもこれに対して異議をとなえるべきでありますが、そういう案でない。そこで私が説明いたしましたのでは、主務大臣でございませんから、組合納得しないでありましようと思つて法務総裁に話しまして、一度ぼくのところへ来て組合幹部にあなたの真意を話していただきたい。そうして組合側がどういう点で反対しているか、その意見も聞いてみようじやないかということで、四月五日の十一時でございましたが、私の部屋総評幹部法務総裁を呼びまして、説明をさしたのであります。これは当時新聞に出ている通りであります。  その当時木村法務総裁法案説明をされると同時に、かつて治安維持法とどう違うかを説明されました。それは法務府でも相当検討をしておるのでありまして、私も当時そばで聞いておりまして、なるほどよく勉強しているなと思いました。かつて治安維持法は、いわゆる国体の変革もしくは私有財産制の否認という思想対象にしての治安維持法であつて従つて思想取締ろうとするところに非常な無理と、実際の適用に幅が出て来たのでありますが、その点を今度の破防法においては十分検討をしております。たとえて申しますると、暴行脅迫も今度の法律の中で規制対象にするということは、必要からいえば必要だ、ところがもしそれを入れるというと、組合運動暴行脅迫的なことは往々ありがちである。それがために健全な労働組合がこれでひつかけられるといこうとがあつてはならぬという心配から、そういう暴行脅迫的なものは一切除いて、先ほど申しましたように明らかに重罪に処せられる内乱とか、殺人とか、放火とか、汽車転覆、こういうふうな露骨な事項だけを拾つて、それをあえて行おうとする団体規制した。つまり思想にあらずして、はつきりした行動行為というものを対象にしているというこれは一例でございます。そういうふうに非常に検討を加えておる点を説明いたしまして、私の見たところでは、組合側も、なるほどそういう点を考えているかなと、ある程度は理解があつたと思うのであります。しかし組合側はそのときは、今説明を聞いたけども、われわれは十分納得ができない、われわれはこの法案を撤回してほしいと言い、そうしてそのときに、どうしてわれわれはこの法律反対をしているかという点をいろいろ指摘されて、反対をされておつたのであります。そこで私はその後考えまして、こういう法律というものについて組合ストライキで対抗するということは、これは民主政治としておもしろくない。こういうものは国会論議されるべきものであつてストライキというものは労働者労働條件に直接関係があつて、初めて憲法が保障しているのだから、そういうものはひとつ自制をしたらどうかと再三申し上げましたけれども、なかなか聞き入れられる様子もない。このままほつておくならば、いい悪いは別として十二日にストライキに入る。私といたしましても、独立を目前に控えておるときに、日本でこういう法律に対して反対をしてストライキが行われるということは、国際的に見ても非常に影響するところが多いし、総評という健全なる組合の名においてもはなはだ芳ばしくないものと思いまして、それならば心配がある点は政府としてもできるだけ除去するに努めようじやないか、法律にははつきり書いてあり、また法律の精神がそういう組合対象にして規制しようとするものでないことは明瞭でございますけれども、なおそれ以上に政府として努力をして、修正すぺものは修正したらどうかということで、ちようど四月十一日の閣議でございます。私は三つの項目を指摘いたしまして、閣議了解を得たのであります。  その一つは、この法律労働組合の正当な行為制限し、またはこれに介入するように適用するようなことがあつてはならぬということを法文はつきり書こう。そうしてなおこの法律規制対象についても、不必要に危惧の念を與えるような点は検討しよう。それから第二に、この法律に基く行政処分の違法なものに対する救済的な処置について考慮しよう。第三は、この法律公安審査委員会委員は、労働組合その他各界代表をもつて組織しよう。この三つ閣議にかけまして、当時閣議におきましても、それではこの三つ事項について修正するといつて組合側ストライキをやるかという質問がございましたが、私はそれはわからない。これは組合相談したわけじやございません。世間ではいろいろと、組合幹部会つただろうといわれますが、私は会つた覚えはないです。四月五日に労働省の労働大臣室木村法務総裁会つただけであります。しかし私はその当時の国会側の空気を察しまして、心配をしているようだから、不必要に心配する点は除去することが、政府のとるべき態度であると信じましたから、この三つ事項を私は十一日の閣議にぶつつけて、了解を得たのであります。  そこで十一日にこの三つ事項について修正するということを声明をいたしまして、公表を官房長官がいたしました。その後組合出方を見ておりましたところ、発表と同時に総評の高野君から、政府はただいま声明をしたようだけれども、われわれは納得ができない、既定方針通り十二日にはストに入るという声明が出ました。こういう声明が出たということで私ははなはだ遺憾に思いまして、政府があれだけの努力を拂いながら、それを一片の顧みるところなくすぐスト決定するという態度は、組合のとるべき態度ではないのではないかと考えまして、午後に至りまして、四時でありますが、それではもう一度総評幹部に会つて話してみようということで、私の部屋総評幹部十数名を呼びまして、そうして再度最後勧告をしたのであります。それは皆さんも御承知でありましようが、本日政府においては、閣議においてこの三つ事項にわたつて修正するという態度をきめたのであります。この法律は、繰返し繰返し説明しているように、決して諸君のような健全な組合対象にするものではない。この民主政治下において暴力を否定するということは、諸君たちの健全な組合が育つゆえんである。諸君といえどもおそらくこの暴力を肯定されるはずはないと私は確信している。政府は、あなた方が心配される点にももつともな点がある、再度修正をしてまでその点を明確にするという態度に出たのだから、どうかもう一度各單産帰つて相談をしてくれないかということを、私は最後勧告をしたのであります。当時私が申しましたその言葉は全部ニュースに入りまして、NHKでありましたかラジオ東京でありましたか、どつちでありましたか私は聞かなかつたのでありますが、他の者が聞いたところによると、そのまま入つていたということでありますから、私の言つたことに間違いがございますれば、お聞き取りを願えばわかると思います。昨日も法務委員会で、政府はその確信があつてきめたのだつたら、組合にそういう努力をしないで、さつさとかけたらどうかという意見もありました。私はそれは正論とは思います。しかしこういうことにおいて政治ストが行われることは悪いことではありますけれども、いい悪いは別としてそういうことが行われるということであれば、労働大臣としてはできるだけそれを未然に防止する努力最後まで拂うということは、私は自分の職責であると存じまして、せつかく閣議決定した事項ではございましたが、十一日に私は閣僚諸公に説きまして、これだけの三つの点を決定していただいて、声明したわけであります。  その晩いろいろ各單産論議がかわされたようでございまして、詳細の点は申し上げる時間もございませんけれども、まず炭労において、それでは政府修正するということだから、どういうふうに修正するか一応見たらどうだ、それを見ない前にすぐストに入るなどということは、組合のとるべき態度ではないじやないかということで、十時ごろでありましたか、延期決定したようであります。私は健全なる労働組合のとるべき正しい態度をとられたものと確信をいたします。全鉱においても引続いて、やはり炭労がとつたと同じように、それでは政府出方を見ようじやないかということで、延期になりまして、逐次総評の各単産も同じような考え方で、十二日のストはほとんど延期なつたわけであります。だた一部の全自動車、その他左翼的な組合の中には、二時間ストあるいは四時間スト的なものは、ごく一部行われました。その総人員は、わずか四万程度であつたように思います。  私はその市明をいたしました三つの点に基きまして、さつそく法務府と相談をして、この事項について、どこをどう修正すればこの趣旨に沿うかということで論議をかわしまして、その次の火曜日の閣議ですから十五日でございましたか、十五日の閣議修正をして決定をした。それは一々ごらんになれば、はつきりわかることでありますが、第一に声明いたしましたこの法律労働組合の正当な行為制限し、またはこれに介入するように適用するようなことがあつてはならないことを明記する、これはこの通りの文句を第二條の第二項に入れたのであります。第二項をお読みになりますと、「この法律による規制及び規制ため調査については、いやしくもこれを濫用し、労働組合その他の団体の正当な活動制限し、又はこれに介入するようなことがあつてはならない。」ということをはつきり書いたのであります。このことはすでに二條の一項にはある程度抽象的にはうたわれております。しかしこれは抽象的過ぎてわかりにくいという意見もございましたので、私はこの点は明瞭に約束したことは入れたがよろしいということを強く主張して、ここに入つたのであります。  その次に一項の後段に掲げました先ほど申し上げましたなおこの法律規制対象について不必要な危惧の念を與えないように検討する、この点は諸々方々にいろいろ字句の不明の点がある。たとえば団体行為として破壊活動行つた団体に対する規制、あるいは破壊活動行つた団体に対してという文字方々にあります。そうするとこれで心配しているのは、団体といつてもその中で、組合員が一人殺人をやつた、それが団体行動だといつて団体規制を受けたのではたまらぬじやないかという意見が、ございましたが、これはもつともである。そういうフラクがかつてにやつたことで、団体責任を負うべきではない。それでは団体団体としてやつた行動であるということは、これは法の趣旨はその通りであるから、法文にもし不明の点があればそれをはつきりしようということで、第一條におきましても「この法律は、団体活動として」という文字を入れておるのであります。この点の文字方々にございます。第四條にもはつきり「団体活動として」という文字を入れております。また第六條にも、それから方々数箇條にわたつて、単なるフラクがやつたことにおいて団体責任を負わないということをはつきりしておるのであります。また第三條におきましても、内乱的な「行為実現に資するため」というので、資するためというなら、ただそういう印刷物を持つてつても、それが資すると解釈せられては困りはせぬかという危惧の念もあつたようでありますから、その点を訂正して、「行為実現を容易ならしめるため」として、容易にするために印刷をし、所持するということがなければ、ただそれに役立つたということだけではいかぬというふうに、その点を明瞭にしております。そのほか方々機関紙というものがございますが、その機関紙も、その意味はただ何でもというのではなくて、団体がその目的、主義方針等を主張し、そして通報し、または宣伝するため継続的に発行する印刷物である。ただ一片のピラや何かを機関紙といわないというふうに、方々にこういう点の努力を盡したのであります。  それから第二に、この法律に基く行政処分の違法なるものに対する救済措置、この点も組合側は、行政訴訟違法処分に対する救済の道はあるが、これがいつまでたつた救済されるか期限がない、そうすると団体規制を受けて処分を受けて、それがまだ審理中だといつて何年もだらだらとやられては、事実上組合はそれでつぶされてしまう、こういう意見がありまして、なるほど私どももそれはそういうことではならぬ。そこで法務府といろいろ折衝いたしました結果、これは裁判権に対するところの制限だから、なかなかむずかしいというお話でありましたが、幸いに公職選挙法の中に唯一の例外がございまして、百日以内に判決をするように努めなければならぬという規定がございますから、公職選挙法例外があるならば、この法律例外を置けないはずはないじやないかということを主張いたしましてその点もこの中で修正をいたしました。二十四條の三項に新しくこの條項を入れまして、違法処分に対する救済措置を講じたのであります。  それから第三に約束をいたしましたこの法律公安審査委員会委員は、労働組合その他各界代表をもつて組織する、これは法文にはうたつておりませんが、これは政府声明いたしました通り公安委員の中には必ず労働組合代表を一名入れるということは、閣議決定をいたしておるのであります。それともう一つ大きい点は、二十七條を削除した点であります。第二十七條は、とかく問題になつておりまする公安調査官が、必要があるときには関係人参考人を呼び出していろいろ尋問ができる。ことに調査の書類を要求することができるという規定があつたのであります。これを間接調査権といつております。この間接調査権で、組合の者が参考人だといつてぞろぞろ呼び出されているいろいろなことを調べられるのは困るという意見があつたようでございまして、これはもつともだ。しかしこれはこの法律の施行の上においては重大な規定ではあるが、それがため組合心配をするということだつたら、これも思い切つて削ろうということで、この間接調査権の二十七條を削つてしまつたのであります。これは重大な修正であります。  それほど私どもは、これは現在の政党なり組合対象とするものでないということは、確信を持つておるのでありますけれども、しかし相手方は心配をして聞かないのでありますから、心配の点はできるだけ除去しようというところで、最後まで努力を続けたのでありますけれども、不幸にしてわれわれがこれだけの努力をした修正では不満である、こういうことで十六日にスト決定をいたしまして、十八日にすべての企業、総評傘下組合ストに入つたという状況であります。  私どもは、この法律民主政治下において、皆さんも御承知のように、一部にはこれは刑法さえ改正すればそれでいいじやないか、刑法で十分じやないかという意見がございますが、労働組合に御関係方々もたくさんおいでになるのでありますが、終戦直後今日まで行われました幾多の極端なる暴力行為、すなわち汽車転覆、あるいは殺人、ひんぴんとして行われるところの放火、これらが単なる個人の犯罪として、個人の思いつきでやつているとは、だれもお考えにならないだろうと私は考える。それは一定の組織によつて、背後の団体の背景があつて行われるものであるということは、何人も疑わないところだ。それでありまするならば、せつかく独立をして、日本は新しい政治を打立てて行こうというときに、再びこういう暴力によつて政治が曲げられるということは、一刻も早く除去すべきであろうと存じまして、この法律提案したわけであります。  なおストライキについて一言つけ加えておきたいことは、この争議の中に、ただ一つ私鉄争議が関連をしておるのであります。私鉄争議につきましては、ことしの一月以来賃金闘争が行われて参りまして、それが妥結しないで、ずつと引延ばしになつてつたのであります。これも私どもとしては、できればこの政治ストの中に巻き込ませたくない。経済闘争であるならば経済闘争として、何とか事前に解決をさせたいと思いましたが、そこに一定の関連があつたかなかつたはつきり存じませんが、前日までに解決する見込みでおりましたものが解決できないで、遂に十八日のストの中に合流をして行われたことは、はなはだ遺憾に存ずるわけであります。こういう公益、多衆の足を奪うような争議というものは、できるだけそういう争議に出ないで、自主的な話合い、あるいはもし話合いがつかなければ、労働委員会等を通じて解決するということが私は望ましいことと思つたのでありまするが、遺憾ながら十八日にストに入りました。そこで私どもつたものをほつておくわけに参りませんので、再び争議に入る気配がございましたから、中労委の中山さんとも相談いたしまして、第二次の二十三日のストにつきましては、前日夜通しかかりまして、各経営者及び組合側勧告をいたして、遂に東京五社につきましては、東武を除く他は午前四時五十分ごろに解決いたしまして、運転ができるようになりました。大阪の方は遂に及びませんでストに入つたのでございますが、これもけさ夜明けにほとんど解決をしておる状況であります。  以上大体の概要を御報告申し上げました。
  8. 島田末信

    島田委員長 質疑は通告順にこれを許します。森山欽司君。
  9. 森山欽司

    ○森山委員 労働大臣の労岡ストの経過報告を伺つたのでありますが、十八日のストの規模をもう少し詳細に伺いたい。
  10. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 十八日に入りましたのは、おもなものを申しますと、炭労は二十五万二千名参加いたしておりまして、これは完全に二十四時間ストライキであります。それから全国金属鉱山では、四万三千五百名が参加いたしましてこれは完全に二十四時間ストであります。電産は電源ストをやつたことになつておりますが、これには約四千名程度参加いたしております。なおこれに関連いたしまして、ただいま大臣が御説明申しましたような私鉄関係は、当日二十四時間ストに入りましたのは、八万九千二百余名であります。右のほかに二十四時間ストに入りましたものは、鉄鋼関係は四百四十名、それから海員が八時間ストでありましてこれは当日午前零時から午前八時まで入つておりますが、この数字は明確でありません。それから全自動車の組合のうち、六百六十名が入つております。なお時限スト、すなわち二時間ないし四時間というふうなストライキをやりましたものにつきましては、鉄鋼関係は一万二千名、それから先ほど申しました海員の方では、零時から—先ほど不明と申しましたのは二十四時間ストに入つたのがあるかどうかという点であります。零時から八時までの八時間ストに入りましたものは、海員関係は一万六千七百名、それから金属鉱山で時限ストが約五百名、全金属の関係が二千六百六十名、それからなお全自動車で、一時間スト程度のものが二万一千名、大体以上のような状況でありますが、このうちには休日振りかえやら、あるいは休憩時間を中に入れておるというふうなものもあつたようでありまして国民経済に直接大きな損害を與えたというふうなものはあまりないのであります。
  11. 森山欽司

    ○森山委員 人事院から来ておられますが、公務員関係についての職場大会その他の、労闘ストに相呼応することを行つた役所があつたら、それについて御説明願いたい。
  12. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答えいたしますが、国家公務員が十八日にストライキに突入したという報告は、人事院として受けておりませんし、また人事院が調査した限りにおいても、そのような事実はございません。若干のところにおきまして休憩時間あるいは休暇をとりまして、職場大会が行われたような事実はございますが、そのような事柄につきまして、今具体的に申し上げる資料は持つておりませんが、それ以上ストライキに類するような行為につきましては、今申し上げました通り情報を持つておりません。
  13. 森山欽司

    ○森山委員 もちろん国家公務員はストライキ権がないのですから、ストライキを行つておるはずはない。しかし職場大会とか、あるいは三分の一休暇とか、いろいろな手があるのです。そういう手を打つたことは、私はある程度事実だろうと思うので、あなたの方でこの点に対してお調べになつたことがあるかどうか、伺いたい。
  14. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 休暇及び、よく申します一齊賜暇でございますとか、あるいは定時退庁ということが、争議行為に類似した方法として新聞に取上げられるというようなことはございますが、国家公務員におきましては、休暇と申しますものは、これは所属長の承認を得てとることができます。所属長の承認を得てとる場合におきましては、一時間を単位としてとることもできるのであります。また定時退庁と申しましても、職務命令に違反して退庁いたします場合におきましては、問題になるわけであります。     〔委員長退席、船越委員長代理着席〕 そうでない場合におきましては、退時退庁というのは当然のことでありますので、さような範囲におきましては、人事院といたしましての調査の範囲外にあるわけであります。
  15. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると定時退庁と申しますか、一齊賜暇とか時限の賜暇をとつた組合があるといたしましても、それはみんな所属長官の許可を得てやつたということでございますか。
  16. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 休暇は常に所属長官の許可を得てやつております。また休暇は常に一齊でなしに、個別的に與えられることになつております。
  17. 森山欽司

    ○森山委員 私がお伺いしたいのは、十八日の労闘スト関係して、官公労のこれに対する共同声調の一翼としてそういうことがあつたかどうか。またあつた場合に所属長官はそれを許可されたかどうか、それを伺いたいのです。
  18. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 人事院といたしまして、私が持つております情報によりますと、共同歩調をとつて一齊賜暇をやつたということは聞いておりません。
  19. 森山欽司

    ○森山委員 人事院の方も—私もよく調べておりませんが、一応そちらもよくお調らべになつていだきたいと思います。  先ほど労働大臣の労闘ストの経過報告がございました。スト回避のため労働大臣努力を盡されたことに対しては、私も深く敬意を表するのであります。先ほど大臣のお話によりますると、一部には政府確信があるなら、そうして議会主義の立場から言えば、修正は議会において行えばいいじやないかという意見があつたそうでありますが、大臣としては盡すべきは盡したいという意味で御努力を盡されたというお話でありました。しかしそういうような努力は、労闘ストをやるという決議以後において行われたのでありますが、これはもうすでに大分長い間この問題が労働組合から注目されておつたのでありまして、この破壊活動防止法案が成立するまでに、また発表するまでに、大臣としてはかかる事態に立ち至らしめないように、国民に対して盡すべき手段を盡したことがあるのかどうか。
  20. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この法案は実は私の所管の法律でございませんで、法務府の所管であります。政府といたしましては最初これは団規法、つまり団体規正として立案されておつた。その問輿論として、組合側からもまた言論界からも反対があり、一般からもいろいろな意見がございましたから、この法律の立案の過程においては、百数十回にわたつて検討をし、修正を加えて来て、これならば文句はないだろう。先ほど申しましたように人を殺すとか、火をつけるとか、内乱を起すとかという行為を防止するということには、おそらく組合といえども反対はされないだろうという確信のもとに、最後案を決定したのであります。決定したところが、なおかつそれに対して異議がございましたから、それは誤解である、今日の正当なるところの労働組合がそういうことをやられるはずもないし、われわれはそういうことをやつているとも思つていないのだ。夢にも思わないところに反対が出たので実は驚いた。きのうも法務総裁法務委員会で言われた通りであります。私どもはさように考える。そこでこれは誤解に基くものであると考えましたから、四月五日に組合幹部を呼んで、私はそれは間違いである、直接立案者からも意見を聞いてくれということで努力を抑つた。それでもなお納得が行きませんから、それで私は、なお危惧の念を抱く点があるならば、政府はもう一度折れて修正をしてでも納得の行くようにしてやろうという努力を拂つたわけであります。
  21. 森山欽司

    ○森山委員 しかし現実に破防法の原案が発表されて、組合がこれに対してゼネストの決議を行うというような事態があつた。その後労働大臣組合側のいわゆる誤解を解くために、若干の修正をされるという事実があつたのですが、どうせそういうことをやらなければならぬ。しかもこの種法案に対するところの労働組合の反応は、きのうきよう始まつたことではない。去年来ずつと行われておることであります。労働大臣はこういう事態に立ち至らしめないように、もつと前に何か手が打てなかつたのか。所管が違うからといつてぼつと見ていたわけじやないと思いますが、その点はどうなんでしよう。
  22. 吉武恵市

    吉武国務大臣 その点は先ほど申し上げましたように、最初は団規法というものをつくることによつて組合側からの意見がありましたから、その点は政府修正修正を加え、百数十回にわたつて修正をして練り直して、これならばいいだろうということで出したのであります。それでも組合の中で修正をしても聞かないという方はあるだろうと思います。これは多くの組合の中ですから、全部が全部までこの法律趣旨反対しておるとは思つておりませんが、組合員の中にはいろいろな考え方を持たれる方がある。そういう暴力をあえて行おうという意図のもとに行われている人だつたら、これは絶対に反対だとされるでありましよう。しかし私は今日労働組合の多数の方が、そういうふうな考え方をお持ちになつていないと確信をしておりますから、この法律ならば組合といえどもおそらく反対がないだろうという確信を、実は今でも持つておるわけであります。
  23. 森山欽司

    ○森山委員 先般第一波のストの前々日に、私は本会議で緊急質問をしたのでありますが、その際最近の総評政治的偏向について、大臣の意向をただしたのであります。私の質問の要旨は、今日総評の主導権を握る人たちの考え方が、一応共産党とは一線を画すると呼号しながら、特にいわゆる平和闘争に関する言動が、表面上暴力主義を排し、議会制度を認める以外は、あまりにも共産党のそれと軌を一にする点が多い。そうして去る一月二十三日の総評幹事会で審議決定を見た春季圖争の展望と行動計画によれば、春季闘争のねらいどころは、再軍備反対圖争に集約することを前提として、弾圧法規反対をかざして闘うことにあるとあり、闘争の目的は再軍備反対に集約され、いわゆる弾圧法規の反対はその手段として取上げられているにすぎない。こういうような総評の最近の政治的偏向について、労働大臣はこれを健全なる組合運動の発展と考えるかどうかという質疑を私はいたしました。これに対する労働大臣の答えは、今回の総評政治的な偏向は健全なる労働組合運動と考えるかという御質問でございますが、私は総評は健全なる労働組合として成長しつつあるものと考えておりますという御答弁があつたのであります。私は最近の総評の全体としての行き方には、多分に政治的偏向があると思いましたので、これに対して危惧の念を持つて大臣に質疑をしたのでありますが、大臣はこれをもつて健全なる労働組合として成長しつつあるという御見解をはつきりお漏らしになつたのでありますが、それに間違いありませんか、はつきり伺いたい。
  24. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は総評が今日も健全なる組合として発展しつつあるものと確信をいたしております。でありますから政府は十一日にあれだけの努力を拂い、そうして再度にわたつて政府の真意を説き、政府もこれだけの修正をあえて行うから自重を要望するということを言いましたために、総評幹部も十二日の日のスト延期決定されたのであります。もし総評が健全なる組合にあらずして、今御指摘になりましたような政治的偏向であり、再軍備反対に名をかりて弾圧法反対ためストを行うという確信のもとに行われるものであれば、政府のそれだけの態度でもつてスト延期するはずはありません。これをあえて行つた総評幹部は、明らかに日本労働組合の使命を自覚した、そうして健全な組合に何とかして持つて行こうという努力の現われだと私は確信しておるのであります。もちろん総評は数多くの組合でありますから、その中の全部が全部まで極左的な考え方を持つておる人が一人もいないとは申しません。それはおられるかもしれませんが、少くとも総評組合幹部及び多数の人々は、健全なる組合として進まれつつあるものと私は確信いたしております。
  25. 森山欽司

    ○森山委員 私は総評の行き方というものを、單にストに結びつけてお尋ねしておるのではないのであります。しかし今大臣が十二日はやめたとおつしやるが、十八日にはやつたじやないですか。それはどうお考えになつていますか。
  26. 吉武恵市

    吉武国務大臣 十八日にやりましたのは、どういう意図のもとにやられたかはわかりませんが、十八日に組合で言つているのは、政府修正するのはもつと大幅な修正があるものと予期しておつたけれども、その予期に反して大幅の修正ではないから、不満であるということからストをいたしております。それは名目であつて、再軍備反対ためストをやつたのだとあなたは御認定になるかもしれませんが、私はさようには考えておりません。
  27. 森山欽司

    ○森山委員 私は総評の行き方を今回のストと結びつけているのじやない。ただ去る一月二十三日の総評の幹事会で審議決定を見た春季闘争の展望と行動計画の基本方針です。この基本方針によると、春季翻争のねらいどころは再軍備反対闘争に集約することを前提として、弾圧法規反対をかざして闘うことにあるとされておる。今度は單にいわゆる弾圧法規反対だけではない。たとえば賃金闘争賃金闘争も今までのようなCPIによつて賃金闘争をやるのではない。マーケット・バスケツトという方式によつてやるようになつておるのです。だから私は賃金闘争という経済闘争でさえも、とにかく方式自体をかえて、ほんとうのところは賃金闘争ではない。すべて政治闘争が目的で総評は動いているのではないか。明々白々たるこの文言について、労働大臣はどう考えるかということを私は聞いているのです。こういう方針を一体あなた方はお認めになるのかどうかということです。私の見解は別ですよ。要するに労働大臣はこういう政治的な行き方を労働組合がすることはよろしいとおつしやるのかどうか、それを伺いたいと言つたのです。
  28. 吉武恵市

    吉武国務大臣 総評が一月の大会でどういう方針をきめたかは、これは組合自体の自主的にきめることであり、われわれがいい悪いと言つてみたつて—悪いからといつて組合がさようでございますか、それではかえましようというほどの組合であるべきものでないことは、あなたは御承知であります。しかしおよそ労働組合といえども政治について関心を持つてそれについているくな意見を持たれるでありましよう。労働組合政治的な意見は全然持つてはいかぬというはずのものではないのでありますから、いろいろ意見はあるでありましよう。しかしそれが総評労働組合運動は名ばかりである、そうして政治闘争がほんとうのねらいであつて、今のような賃金闘争その他方式をかえてやつているが、これは名ばかりだとあなたはお見になるかもしれませんが、私は労働組合というものは、あなた方がそう簡単にお考えにあるようなものではないと確信しております。労働者というものは、やはり現実に日常の生活をしておるのが大衆であります。一部には政治偏向の者が指導者にいるかもしれません。しかし労働組合の多数の者が、政治だけに奔走しているというはずのものではないのであります。それは掲げておる文字にはいろいろなことがあるでありましよう。賃金方式にいたしましても、私は今度総評がとつた方式が必ずしもいいとは思いません。思いませんが、その方式をとつたからといつて、その方式をただちにこれは政治意図である、その方がねらいであつて賃金は名目だ、そう簡単には私は考えるべきではないと思います。どういう方式をとつたがいいかは、これはいろいろ批判の余地はあります。でありますからあなた方がただ文字の上に現われた字句だけにとらわれて、そうして今日の総評政治だけをやつているのだというふうにごらんになることは、たいへんな誤りだと思う。もしそれが真のねらいであるならば、先ほど申しました十二日のストというものは、もしほんとうにストをやることが目的であるならば、やめるはずはないのです。それをあえて政府修正するなら修正を見よう。十八日にストを行いましたが、ストを行つてあとの結果は、やはり総評決定して今後は議会において議会の審議を見守ろう、議会に移してやろう、これは今あなたが言われるように、総評というものは政治偏向である、政治的な目的だけをやることであつたならば、そんな議会に移すなどという考え方が起るはずはない。一部には確かにあなたがおつしやるような人間がおります。極左的な分子の中には、議会を無視して、そうして実力によつてものを解決し、そして破壊をしようという人間のおることは事実であります。今日破壊活動防止法が必要であるゆえんはそこにあるのです。しかしそれが一部にいるからといつて、今日の総評がそういう指導下に置かれて、そういうことをやつているのだという断定を下されるのは、少し極端な見方じやないか、かように考えております。
  29. 森山欽司

    ○森山委員 なるほど総評は傘下に四百万の組合員を擁しておると号しております。従つて個々の組合員とか、あるいは単組の場合については、あなたのおつしやるような見解が当ると思います。しかしながら労働組合運動は、しよせんこれは大きな組織運動である。その組織の向うべきところの行き方というものが、金言つたような方針にははつきり書かれておるというこの現実を、あなたはどう考えるかということを聞いておるのです。こういう文句が書いてあろうがなかろうが、この文句通りに読んでもあなたはこれでさしつかえないとおつしやるならば、もちろんあなたがいいと言おうと悪いと言おうと労働組合は何も労働大臣の部下ではないのですから、それぞれ思うところへ行きます。しかし現に労働行政を担当しておられるあなたが、これに対してどういうお考えを持つておるかということを私は聞きたい。私の考えを言つておるのじやないのです。
  30. 吉武恵市

    吉武国務大臣 何度も申し上げますように、組合政治的な意見を持つてならないとは考えておりません。労働組合といえども政治に対して一定の見識を持ち、考えを持たれることは自由であります。われわれはそれがいけないとは考えておりません。私どもは私ども政治的な見解があり、組合組合政治的な見解を持たれることはやむを得ません。そういう再軍備反対意見を持たれたから、すぐこの組合は不健全な組合であると断定するわけにはいかない。しかし組合というものは、あなたも御承知でありましようが、労働者労働條件の維持、改善というために団結を許され、行動するのが本旨である。ですからその本旨を没却して政治的のみに走るということは、確かに不健全である。しかし今の総評がそういう政治的だけに行動しておつて労働者労働條件のことはお留守にしているとは私は考えていません。総評といえどもまだ発展の過程でありますから、あなたが心配されるような点がないとは言えません。それは確かにある。それはまだ歴史が浅いのでありますから、固まつていないし、いろいろな意見がある、これは事実であります。そういうようなことがあるからといつて、ただちに総評は不健全な組合であるというふうな感覚をもつて組合に対する対策を持つことは、私はそれは誤りだと思う。間違つた点があればその点は徐々に直して行つて、そうして健全な方に向けて行くということであります。一部間違つた点があるから、すぐこれを不健全な組合だ、けしからぬというふうな考え方組合対策を考えるというと、これはたいへんな間違いを起すのであります。
  31. 森山欽司

    ○森山委員 もちろん私もあなたと同じように、総評が将来大いに成長されることを希望する一員でありますけれども、現在の時期において春季闘争方針にこうはつきり書いてあつても、このはつきり書いてあること自体は、要するに政治目的が常に前面に押し出されておるわけです。そしてその陰に経済闘争が手段として置かれているという事柄について、あなたはいいと思うかどうかということです。私はそういう方針についてどう考えているかということを聞いておるのです。
  32. 吉武恵市

    吉武国務大臣 何度申し上げても同じでありまして、そのこと自体はいいとは思いません。しかしそのこと自体が、今日の総評の全部がそれが本旨であると考えることには誤りがあるということを言つておるのであります。そのこと自体はいいとは言つていない。日本の今日の軍備のない状態において、やむを得ず安全保障條約を結んで、日本の外からの侵略を防ごうということも、これは私は正しいと確信をしておる。しかしそれに対して反対意見を持たれる方もあります。またおよそ日本独立をしたあかつきにおいては、将来国力が充実できれば、再軍備ということも必要であろうと私ども思つておる。しかし今はできないから、やむを得ず安全保障條約によつて、駐屯軍によつてつてもらつておるのでありますが、それに反対されている人もある。これは政治的にいろいろな意見を持たれるのは、持つていかぬと言つてみたつて考えを持たれればしようがないのであります。総評が再軍備について反対という意見を持たれるからといつて、それ自体は、私どもとは政治的な見解は異にいたします。けれども、それを持つたからといつて、それだけによつて今日の総評政治に偏向してけしからぬのだというふうに断定をされることは誤りだと私は考えております。
  33. 森山欽司

    ○森山委員 私は労働大臣にもう一度だけお尋ねいたしますけれども総評が春季闘争としてとつておる方針には、政治的な偏向がないかどうか。注釈を加えますと、もちろん労働組合として政治的な考え方を持つことは、私は何らさしつかえないと思う。しかしそれが常に前面に押し出されて、他の経済闘争というものが、その手段として利用される傾向がないかどうか。はつきり春季剛争方針の中には書いてある。そういうふうな書き方をしておる。このことをあなたがお認めになるかどうかということです。そしてもしお認めになつたら、そういう考えがいいか悪いか、あなたの立場から見て、労働行政の立場から見て、再軍備がいい悪いじやない。私の言つているのは、そういうような行き方が労働組合として正しい行き方と、あなたはお考えになるかどうかということを私は聞いておる。
  34. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は何度も言つておるのでありまするが、労働組合がそういうことをすることがいいことだとは言つていない。あなたがそういうことを掲げているから、総評は健全な組合であるかないかと言われるから、総評は私は健全なる組合として発達しつつある。それをお前がこの前本会議で言つたのはけしからぬとおつしやるから、私はその考え方には今といえどもかわつていない。ただそういう政治的な偏向と見られるようなことを掲げたこと自体は、私はいいとは思いません。しかしただそれを言つたからといつて、逆にそれでは総評というものが今日不健全であるとお前は思うかと言われるから、私はそれは不健全だとは思うていない。そういうことを掲げること自体は、私はいいとは思つていない。再軍備を反対すること自体も、私はいいとは思つておりません。けれどもそれを掲げたからといつて、今日の総評が不健全であるとお前は思うか、こう言われますから、そういう人間もいる、中には不健全な者もいるでしよう、四百万もいる中ですから、一人もないとは私は断定しません。しかし組合というものは、組合幹部及び大多数の者がどういうふうに動いているかということによつて判定すべきものであつて、ただ文書にちよつと書いたから、あるいは一部の中にそういう人間がいたからということによつて組合の性格を断定し、組合の対策をとるということはこれは間違いだ、こういうふうに申し上げます。
  35. 森山欽司

    ○森山委員 はつきりいたしておきますが、私の緊急質問でお尋ねしましたのは、総評政治的偏向ということについて、労働大臣はどう考えるかということについて聞いているので、総評自体がどうのこうのということは私は初めから聞いていない。しかしあなたは総評政治的偏向には触れなかつた。  これ以上申してもむだでありますから、次の質疑に移りたいと思いますが、今後のゼネスト対策と労働法の改正の問題について伺いたい。これも私は緊急質問でお尋ねしたのですが、あなたからとうとう御返事がなかつた。その要旨は「講和発効後に、この種ゼネストが行われた場合、かつて政令諮問委員会ですらも、ゼネストその他国民経済を破壊するおそれのある争議行為については、ポツダム政令第三百二十五号にかわるものとして、別に治安上の立場から、これを制限または禁止し得る法律を新たに制定する必要があるという見解を発表しておるのであつて、何らの立法措置がない場合にも、労働者団体行動権を保障する日本国憲法第二十八條に対して、いわゆる公共の福祉の立場から制限を加えることは、はたしてできるかどうか。この点を労働大臣及び法務総裁から明らかにしていただきたい。さらに、伝えられる労働関係法規に関する改正措置要綱をもつてゼネスト禁止法にかえ、いわゆるゼネスト禁止法は断念したものであるかどうか。かかる労働法の改正は、一体いつ国会に提出されるのか。」ということを伺いました。これに対して大臣からお答えがなかつた。ひとつこの際今御質疑申し上げたようなことについて、明確な御返事を得たいと思います。
  36. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ゼネスト禁止法を出すかどうかにつきましては、まだ検討中でございまして、決定をしておりません。ただ私の意見を聞かれるならば、私はしばしば申し上げておりますように、ゼネストだからといつてこれを禁止することは行き過ぎではないかと思つております。しかしながらそうかといつて国民生活を危殆に陷れるような争議が起つても、それはどうにもしようがない。ほつておくんだということは、国家としてできないものだと思います。従つてそういう場合においては、合理的な機関によつて、合理的に解決するの道を講ずる必要がありはしないか、かように存じております。労働立法につきましては、まだ検討中で、ございまして、成案を得ないのであります。
  37. 森山欽司

    ○森山委員 どうも、労働立法については必ず出しますと言つたことが、一度この委員会でも大臣はあるのです。今検討中だ。一体どういう検討であられるのか、ひとつはつきりしておいていただきたい。出すと言つてみたり考慮中だと言つてみたり、これは非常に問題が大きいのです。どうですか。     〔船越委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は出すか出さないかを検討中であるとは言つていないのであります。法案については目下検討をいたしておるということを言つておるのです。決して間違つたことを言つているわけでもなければ、今まで言つたことと違つたことを言つていないのです。法案内容については私は検討中である、法案内容検討するということは、出すつもりで検討するのでございまして、出さぬつもりなら、検討するはずはないのであります。私は出すつもりで今一生懸命で法案内容検討して、まだ発表の域に至つていないのであります。
  39. 森山欽司

    ○森山委員 労働改正案は、いつ一体お出しになるつもりでありますか。
  40. 吉武恵市

    吉武国務大臣 まだその日にちは決定しておりません。できるだけ早い機会に出すつもりでおります。
  41. 森山欽司

    ○森山委員 伝えられるところによりますと、労働法の改正案の提出の前後でありますが、労闘ストの第三波が行われるというようなことも聞いておる。その際における完全な法的規制が目下ないのであります。どういうような事態が生じても、これは法的には空白期間になつておりますが、この聞の措置はどうお考えになりますか。
  42. 吉武恵市

    吉武国務大臣 法的規制がなければ、法的にはやる方法はございません。しかしおよそ世の中には、法律がなければ何もできないというものでもないと私は思います。
  43. 森山欽司

    ○森山委員 法律がなければ何もできないということはないという大臣のお話であります。大した御自信でありますが、今日の吉田自由党内閣は、もうすでに国民の信頼を失墜しておる。労闘スト一つの原因は、私は自由党政府もまた負うべきものなんだと思う。治安対策ばかり汲々として労働対策が全然ない。私はこの委員会に参りましてからもうすでに半年以上になる。かつて労働大臣から、講和後におけるわが国の労働政策をいかなる形で展開するかということを、これつぽつちも聞いたことがない。そして国会に出されるものは治安対策ばかりだ。そういうことをやつていながら、しかも労働政策がなくて、いわゆる労働者の生活から言えば好ましからざる政策が次々と出されておりながら、ここに法の空白状態が生じた場合、私は危惧すべき状態が起り得ると思うのであります。もちろん起らなければけつこうでありますし、われわれは起らないように努力いたしますけれども、これは私は政府の失敗ではないかと思う。私は法治国家の立場から、こういうような事態が生じたことについて、責任を感じないか、伺いたい。
  44. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は労働大臣になりましてから、労働政策について一言も発言しない覚えはございません。本会議において尋ねられましたから、私は労働政策について基本の考え方を堂々と申し上げたつもりであります。あなたが本会議でお聞きにならなかつたら、それはやむを得ませんけれども、私の考え方は一貫してかわるところはございません。健全なる労働組合日本に確立して、そして産業の平和の確立をはかりたい。終戦後における日本経済の自立というものは、労働者の協力なくしてはできない。また産業の興隆なくしては、労働者の生活の向上はあり得ない。だから労使ともできるだけ争議を避けて、合理的な機関にかけてから解決して行くという道を講じたいということに、私は全力をあげております。それに関して法律上の必要な措置については、法律上の必要な措置を講じます。しかし法律だけで物事が解決するわけじやございません。法律以外のあらゆる努力も拂わなければならない。吉田内閣になつて労働政策に一つのこともないというが、あなたは御存じかどうか知りませんが、労働三法をつくつたのは吉田内閣であります。自由党内閣で労働三法をつくつて労働者の基本的な権利の確立をはかつた。それをあなたは御存じでおつしやるのかどうか知りませんが、これはどうかひとつよく御勉強願いたいと思います。
  45. 森山欽司

    ○森山委員 講和後にともかく法の空白状態が生ずることは事実なんです。これは過渡期であつて、非常に重要なときです。そのときにゼネストに対する何らの法的規制がなくてもやつて行けるならば、ずつといらないじやないかと思う。いかがですか。
  46. 吉武恵市

    吉武国務大臣 法律的の措置措置として必要であります。しかしあなたのお考えのように、法律さえつくればものが解決されるというふうにお考えになるのは、たいへんな間違いだと私は思います。法律も必要でありますが、要は法律を離れた政治努力というものが大事であります。でありますから、私が組合幹部としよつちゆう話し合つていることは、お互いに日本労働組合の確立のため努力をしようじやないか、お互い日本人である、話せばわからぬはずはない、日本の国を悪くしようなんと考えている者は、一部にはあるかもしれませんが、日本の多数の労働者の中にはないと私は確信をしておる。法律さえつくつたストライキがやむのだというふうなお考えを持たれることは、私は間違いだと思う。法律が必要でないとは申しません。必要であります。これは一つのルールであります。野球その他の試合にいたしても、一定のルールがないと間違いを起しやすいのでありますから、私はそういうようなある程度の規制というものは必要だと思いますけれども法律をつくつたら物事が解決するというふうには私は考えておりません。
  47. 森山欽司

    ○森山委員 法律があれば何でもうまく片づくのだという法律万能主義を私が言つておるような、妙な言いまわし方を大臣はされますが、そんなことを私は言つているのじやありません。あなたがそういう法律的な規制が必要だという御見解を持つならば、法律の空白期間を生ぜしめた政府の不手ぎわに責任を感じないか。私はこう言つておる。その間吉田内閣が善政をしくから、うまく行くとかいうようなことは、あなたの主観だ。吉田内閣の失政、悪政ということを片方で言つておる。それは今度総選挙をやればわかるのでありますから、それまで判決を待ちます。ただ法の空白期間を生ぜしめたことに対する責任を感じないか。これだけのことを聞いておるのです。聞かないことに対する御返事はいりません。
  48. 吉武恵市

    吉武国務大臣 法律の空白といつても、法律があれば事が解決するとは思つていませんから、空白がかりにありましても、空白の間法律がなければ何も手が出せないというふうには私は考えておりません。先ほど申しましたように、現在の労働組合というものが、法律がなかつたら悪いことをするのだというふうな基本的な考え方に立たれれば、お話のように空白があれば、その空白の間の責任を感ずるということはあるかもしれませんが、しかし私は今日の総同盟でも総評でも、考え方としては健全な組合であつて、同じく日本人として日本の経済の興隆とか再建とかいうことに対しては、努力をされるという考えを持つておられると信じまするがゆえに、かりに一定の期間空白がございましても、それがためにただちに責任を感ずるとは私は考えておりません。
  49. 森山欽司

    ○森山委員 労働大臣が非常に信用しておられます労働組合は、労働大臣のみならず吉田内閣を決して信用していないということを、ひとつお忘れないようにしていただきたい。これを申し上げておきます。
  50. 島田末信

    島田委員長 それでは午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  51. 島田末信

    島田委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。熊本虎三君。
  52. 熊本虎三

    ○熊本委員 先ほど労働大臣から御報告のありました事件について、二、三御質疑をいたしたいと思います。まず第一に、十八日のゼネストにつきまして簡単な御報告がございましたが、新聞紙等の報ずるところによりますれば、百数十万を突破したというような報道が大々的になされておるわけでございますが、先ほどの報告によりますと、あまり大したことのないような御説明でございます。そこで今刷りものがあればけつこうでございますが、もしないといたしますれば、それに参加いたしました各業態別、ストの種別を全部書類によつて提出していただきたい、かように考えますが、その書類ができておりますかどうか。
  53. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 今手元に持つておりませんが、つくつておりますので、できるだけ早い機会に熊本委員のお手元までお届けいたしたいと考えております。ただこの際ちよつと申し上げたいと思いますが、新聞に出ております数字は、たとえば海員組合が参加といいますと、海員組合は十万おりますが、それは十万というふうに計算されておりまするが、事実ストライキをやりましたのは、われわれの調べでは一万六千七百名というような計算になるわけであります。同時に職場大会等をやりましたものまで一応全部計算いたしますと、ああいう数字になるわけでありますが、われわれの調べおりますのは、事実二十四時間あるいは十時間、八時間というふうに職場を放棄し、あるいは労務の提供をやらなかつたのを計算いたしたのであります。
  54. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいま私の要求しました資料にも、そういうふうに業種別的な、それから罷業の種別的な人数を呈示していただきたいと存じます。  なお十八日のゼネストによりまする損害、損失は、大体どういうふうな見積りでおられるか、お伺いいたしたいと思います。
  55. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 損害と申しまするものの計算は非常に困難でありまして、われわれといたしましては詳細な計算をいたしておりませんが、たとえて申しますならば、炭労はこのストによりましてどれだけ出炭減になつておるかということを申し上げますならば、十二万三千トンであります。その金額は推定いたしまして四億五千万円ないし五億円ほどで、金属鉱山におきましては、何トンという計算は非常にむずかしいのでありまして、大体出鉱減を推定いたしますと二億円程度ではなかろうか、かように考えております。電産の電源ストによりますものは、約四千名が参加しておりまするが、組合の計算によりますると、出力減が二十一万二千キロワット減、かようなことになつておるのであります。私鉄の方は意味が違いますが、一日で收入減は大体一億円程度ではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  56. 熊本虎三

    ○熊本委員 そういたしますと、ただいまお伺いいたしただけでも概算で約十億近くになろうかと存じます。これは先ほどお願いいたしましたストの実態調べと同時に、これも推定でありましようが、労働省としての推定総額を業種別的に数字を御呈示願いたいと思います。  次に労働大臣にお伺いをいたします。政府は、これに関連するストは完全なる政治ゼネストと断定されておるようでございますが、はたしてそうでございますか。
  57. 吉武恵市

    吉武国務大臣 さようでございます。ただそう言つて誤解があつてはいかぬと思いますが、この間の十八日のストの中に、私鉄ストが合流しております。この私鉄ストが合流した裏面においては、どういうふうな意図があつたかはわかりませんが、この私鉄は一月ごろから経済闘争をいたしておりまして、賃金の妥結ができなかつたために、十八日にストに入つておりますから、この問題が全然政治的な意図がなかつたかというと、これは若干疑問があるかと思いますけれどもストライキには経済的な賃金が妥結しないために入つておりますので、これを政治ストと断定するということは多少無理がありはしないか、かように考えております。
  58. 熊本虎三

    ○熊本委員 私鉄ストはただいまのお説の通り、大体経済闘争との連鎖が非常に濃厚でありますから、お話の通りでよろしかろうと思います。しかしながら他のストは、これを政治スト政府が断定される限り、これらの政治ストを事実上行いました問題について労働大臣はいかなる方針をもつて臨まれるか。このことは将来もあることでございますので、日本労働政策として労働大臣は、はなはだ重大なる関心がなければならぬと存じます。あれは政治ゼネストだという断定をしただけで事足りるものではなかろうと思いますが、いかなる方針を持つておられるか、お尋ねしたいと思います。
  59. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御承知のようにこのストライキというものが、憲法によつて保障されておりまするゆえんのものは、労働者労働條件の維持向上、経済的な條件のためストライキというものが許されております。皆さんも御承知のようにストライキによつて生ずるところの損害、あるいはそれによつて生ずるところのいろいろな法律に対する違反というものがあり得るのでありますが、それを一々とがめるわけに行かないということが、過去の労働運動の歴史の結果生じまして、各国とも憲法で保障し、労働法によつて許された範囲については、これを合法として認めるわけであります。従つてその反面から申しまするならば、そうでないストライキ、すなわち政治目的のために行いまするストライキというものは、法律がこれを合法として許していない。つまり違法性を阻却していないことになりますから、従つて違反事項があればそれぞれの法規によつて処罰を受けることもございましよう、あるいは処分を受けることも、ございましよう。またそれによつて損害が生ずるならば、損害に対する要求という問題が起るでありましよう。それ以外に政治ストを全般的に行つたものは処罰するという法律はございませんけれども、しかし個々の政治ストによつて行われた行為からよつて生ずるところの問題につきましては、法の保護を受けないことになります。従つてたとえばある法律の違反事項があれば、その違反によつて処罰を受けることになります。また工場の中において、職場の就業規則その他において規定された事項に違反する行為があれば、それによつて事業主から処分を受けることになりましよう。またそれによつて損害が起れば、事業主から損害賠償の請求を受けることでありましよう。従つて事業主としてこれに対する処置につきましては、私の方からこれを政治ストであるから、君たちはこれに対して処分をせよとは申しません。しかし事業主側がそれらの事項に関して具体的に検討して、どういう処置をとられるかは、これはまつたく事業主みずから決定さるべき問題でございまして私どもがとやかくは言えないと思つております。しかしわわわれは幾たびかこの政治ストについては警告を発して、さようなことになると好ましくないから、そういうことの起らないように注意をせよと、再三注意をいたしたのでありますけれども、不幸にしてそういう事態に立ち至つた。でありますからこれに対して事業主側がどういう態度に出られますかは、様子を見ておるわけであります。しかし一回こういうことをやつたからといつて、これを全面的に取上げてとやかくいろいろな処分に出ることはどうだろうかという気も私はいたしておりますが、これがたびたび繰返されるということでありますれば、これは放置することはできません。事業主自体も、われわれからまあ寛大にと言つても、おそらく聞かぬでありましよう。事業主自体の責に帰すべき事由によつてストライキが起る、つまり賃金が低いからそれに対する要求でストライキが起るということであれば、これは別でありますけれども、まつたく今回のような法律というものに反対をする、それによつて事業主に思わざる損害をかけ、迷惑をかけるということがたびたび行われれば、私はおそらく事業主としても黙つていまいと存じております。
  60. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいまの御説明によつて政治ゼネストをやつた者に対する罰則規定がない。従つて労働省から行きますと、正常なる労働運動でないがために、これに対する直接の対策、方針というものもない、こういう御説のように承りましたが、さよう承つてよろしいかということが一つ、それから次に私の聞かんとすることは、先ほどお触れになりました要するにこれが政治ゼネストであるということになれば、必ず経営者側からこれに対するいろいろの方策を講じて、さなきだに時あらばと考えております彼らは、これを絶好の機会として、不当労働行為という行動によつて、これに対する対策を講じて来るであろうと信じます。そういう場合に、それは正常なる労働運動でなかつたのであるから、労働省としてはわれ関せずの態度をとろうとされるのか。そういう問題から関連して起つて来るたとえば労使間の問題につきましては、労働省はこれを労使間の労働問題として処置されるの態度に出られるのか。この点が非常に重大だと考えておりますが、先ほどの話から推測いたしますと、われわれの所管外である、関係外であるから、それは両者で自由にやればよろしいというような意味にもとれるのでありますが、それであつてはならないと少くとも私は信じます。でありますからこれから派生した労使関係の問題をどういうふうにお考えになつて、これから処置されようとするかを御説明願いたい。
  61. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど申し上げました点で、言葉が足りないため誤解があつたかもしれませんが、先ほど言つたように政治目的のためストライキというものは許されていないのであります。従つて普通ならば法律違反であるものが、合法的なストライキであればそれが違法性を阻却して許される。その違法性の阻却の問題がなくなれば、個々の法律に触れる場合は個々の法律によつて処分をされるわけであります。従つてやられましたストライキ行為法律に触れる場合は、これはもちろんその法律によつて政府処置をいたします。しかしそういう法律に触れないで、職場の中の規律に触れる場合は、これは政府処分するといつても、政府みずから処分するわけに行かないのであります。就業規則に違反したからといつて政府がその違反した人間を解雇することはできないので、これは事業主自体がやるべきことになるのであります。そこでその事業主自体がやる職場規律の違反に対する処分、またはよつて生じた損害に対する請求というものは、政府がそういうものは請求しちやいかぬぞといつても、これは事業主の当然の権利でございまして、これを阻止する何ものもございません。しかしこれを一回やつたからといつて政府がそれはどしどし処分をしなければいかぬぞ、損害もどんどんおとりなさいということは、労働対策上決して好ましいことではございませんから、私はそういう処置はとつておりません。この問題はただこれ一回の処置でございますから、態度としては愼重であるべきだと思います。しかしこれが再々行われるということになれば、おそらく事業主も黙つていないのではないか、かように存じておるわけであります。
  62. 熊本虎三

    ○熊本委員 どうも大臣は処罰の方ばかりを盛んに言つておられますが、処罰をしろということの指示をされるかということを聞いておるのではなくて、起つて来た問題が、たとえば経営者側から不当労働行為として問題が提示されますれば、法律上の問題は別として、経済取引の中における労使の問題が起きて来るわけです。そういう場合に労働省としては労働対策としてこれを取上げて、この問題の早期解決のために善導するという態勢をとられるのか。かくのごとき政治ストから起つた問題に関しては、いかなる労使間の問題があろうとも、これは両者にまかして放任するかということなのです。その心構えを聞こうとしておるわけです。
  63. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私はこの問題に触れて申し上げましたように、事前にしばしば組合に警告を発しておるのであります。そういう問題が起るかもしれないぞ、だから起つたときにはいかんともしがたいのだから、そういうことの起らないように自重しなさいということを、一度、二度じやない、再三注意をしておる。それにもかかわらずあえて行われるということになれば、今日の法治下におきまして、そういう違法なことをあえてしても、それに対しては何ら事業主は損害の請求もしてはいけない、処分をしてはならないということは、政府としては言えないのであります。私はそういうことを勧めるつもりではありませんけれども、事業主の当然の権利として発動される場合は、法治下においてはやむを得ないと思います。でありまするからそういう問題が起らないようにということで、労働対策としては再三再四注意をして、そういう事態の起らないようにいたしておるわけであります。
  64. 熊本虎三

    ○熊本委員 私の所属する総同盟は、御承知通りこのゼネストに参加せざる方針をとりました。従つて私は直接関係はございません。しかしながら先ほどから繰返し申し上げますように、どういう注意をいたされましても、それがいずれに是非があろうとも、問題は事実としてゼネストが行われたわけです。従つてそれに政府側からこれを処分しろとかしないとかいうことを言われるのではなくて、起きて来た問題について、それが労使間の問題として問題になつた場合に、これが解決に対して労働省はあくまでも放任して両者にまかせるつもりか。その問題があつた場合においてただちに正常なる労働問題とは考えないまでも、それの将来をおもんばかるならば、何らかの措置に出るべきであると私は考えておる。しかし先ほど来の御答弁から行きますれば、起つたら困るのであるから注意をしたのであつて注意をしたにもかかわらずやつたのであるから、労働省は知らない。両者間でかつてにせいというお言葉のようでありますが、さように解釈してよろしいかどうか。もう一ぺん念のために伺いたい。
  65. 吉武恵市

    吉武国務大臣 それでは逆にお尋ねをいたしまするが、再三注意をして、そういう不法な行為をした場合に、それではどうしたらいいとお考えになりますか。損害は請求してはならない、処分をしてはならないということを一応考えられる方もありましようが、それだつたら法の秩序は保てないのであります。そういう法律の許さない違法行為をあえて行つた。行つたからといつてこれはいい悪いは別として事実である。事実であるから、それが種になつて問題を起してはいけないから、それでは労働省はそれを大目に見のがして処分をしないように、損害を請求をしないように—処置をとるつもりではないのでありますが、かりにそういう処置をおとりになるということになれば、政治ストはやつてもよろしい。法律は認めないけれども、やればやつてもいい。労働省はいつも、やつてもしかたがないから、それに対する処分をしてはいけないぞということになれば、政治ストはやむものではございません。そうだからといつて、逆にそういうことはけしからぬ、何べんも注意をしたが、やるのだたつたらけしからぬ、どんどんかつてに首を切りなさい、損害も全部請求しなさいといつて、事を荒立てるのは、私は労働政策ではないと思う。でありまするから、世の中は悪いとは知りながらあるいはやる場合が一度はあるでありましよう。しかし一度やつたからといつて、目かどを立ててやるということは、相当自重すべきものではないかと思う。それが再三行われるということになれば、おそらくこれは事業主も黙つていないでしよう。こういうことを申し上げておるわけであります。
  66. 熊本虎三

    ○熊本委員 私に質問されましても、私は政府の意思を聞いておるのであつて、私は答弁の限りでないと思います。ただ労働省がさようなお考えであるかどうかをお尋ねしておるのであります。今のお話から行きますと、今頃の一回の問題だけで、そういうことは起きないであろうということを希望されておるようでございます。しかし不幸にして起きた場合においては、労働省としてはその際打つ手を考えておらない、また打つべきでないというお考えのようでございますから、さよう了承いたしておきます。  次の質問に入ります。先ほど来労働省が非常に親切かつ愼重を期せられまして、あの法案を出すまでには百回に余る研究あるいいは議論をされて、そうして最善なりと考え法案をつくつたというお言葉が、繰返し言われております。あるいはそうであつたかもしれないと存じます。そうであれば、労働組合関係の方とはいろいろと懇切なる会談をやつてあるのでありますが、その間において国会内でその案についての事前的な打合せなり、意向を聞くというような処置をとられたいということを一回も承つておりません。このことは自由党が絶対多数を占めておるのであるから、国会内の問題は自分たちが愼重審議をすれば、自由党の意見を聞けば、他の野党側には何も相談したり、意見を聞いたりする必要はない。かような意味でそういう処置をとられなかつたのかどうか。私は百回に余る愼重審議と労組に対する御親切なる懇談と、国会に対する態度とを比較いたしまして、あまりにも離れた冷淡さであると考えますので、この点は一体どうなつておりましたのか、伺いたいと思います。
  67. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御承知のように事前に各党と御相談をして出すということは、普通いたさないのであります。政府は自分の所信に基いて法律を立案して、国会にかけて、国会において論議され、愼重審議の上、あるいは修正されるでありましよう、あるいはそのまま通るでありましよう。そういうことをされるのが国会であります。国会へ出す前に各党と相談をして、話がついてそれを出す。国会では單に形式的にそれを議決するという行き方も、あるいは一つの方式かもしれませんが、それは議会制度としてはとらない。議会にかけて、議会で公に論議をするというのが、議会政治の本質ではないかと私は思います。従つてこの法律ばかりではありません。ほかの法律にいたしましても、事前に各党と相談して出すということはいたしません。従つてこの法律につきまして労働組合と事前に相談したわけではないのであります。政府決定して出そうと思つたら、労働組合がこれを誤解して、ストライキをやるということを決定して午前中に申しましたように、ほつておけば自然に入つてしまう情勢であつたと私は記憶いたします。そこで、お前たちそれは間違つたストライキである、けしからぬぞと言つてみても、事実入れば、私は独立を前にして決して好ましいことではない、日本労働組合の前途のためにも決していいことではないから、これはこういう趣旨であるぞ、労働組合の健全な発達をいささかも阻害することはないのだとい意味において、私の部歴に呼んで懇々と説明をし、組合意見も聞いたのであります。その以前に修正したということについては、いろいろ批判がございます。一度政府決定したならば、それは国会にかけて、国会論議されて、修正するならすべきものであつて、ただ組合の意向をしんしやくして事前にかえることはない。これは私はなるほどその通りと思います。思いますけれども、現実にほつておけばストライキに入る。もしある程度、政府考えて、不必要な心配の点は除去することによつてストライキが回避できるということであれば、いいことではなくても、私は結果としてはとるべき処置ではなかつたか、こう存じまして、私は閣議にもその旨を述べて、あのような処置をとつたわけであります。決して国会の方にあらかじめ相談をしないで、労働組合にだけ相談するという処置をとつたつもりではないのであります。
  68. 前田種男

    前田(種)委員 今の労働大臣説明を聞いていると、どうも説明がちぐはぐになつているのです。熊本委員の質問も、国会側に事前に相談したらということであつたが、午前中も繰返しておられますように、百何十回も打合せをして愼重審議をし、そして万全を期したという結論を出して法文化したという答弁をしておられる。それにもかかわらず誤解が生じて、労働団体スト問題になつているそれはまつた誤解だと政府は努めて言つておる。それほど手を盡し、またそれだけ長い期間をもつて審議されたものであるならば、これが成案になるまでにもつと広く各界意見を聞いて善処するという準備と用意がなくてはならなかつたと思います。これは独立後の日本を守つて行くために一番重要な法案であるから、ぜひ必要なものであつて、この法案に対しては党を超越して、日本独立ために全国民が賛成すべきだというようにまで政府説明しておられるから、それほどの愼重さを持ち、あるいは時間を持つて審議されるのだつたら、当然事前にもつと手を盡したならば、そういう誤解もなかつたであろう。たまたま今国会側意見を事前にということが出たが、もちろん各党を含めての意見を聞くということも一つの方法だし、新聞界なり学界なり、権威あるそれぞれの関係者の意見を公式に事前にもつと聞くということ、そういう手の盡し方が不足ではないかというようなことが言われているのであつて、それに対して国会国会で議案が提案されて十分審議すると言われるが、それは国会の本来の使命であるから、むしろ事前にそうした広く意見を聞くという方法を手を盡してやるべきだ、しかもかような重要な法律案は、今までの慣例からいつてもそういう方式をとつて十分の意見を聞いた上で、なおかつ政府は愼重な態度をとるべきだ、そういう方面についての手の盡し方が不十分であつて、たまたま争議をやるぞと言われたために、労働組合側には手を盡したが及ばなかつたというようなことになつているという見方も立つわけです。これはもちろん結果論でありますから、結果論に基いて私は議論をしようと思いませんが、少くとも国家的に大事なこういう法律案の場合には、事前にそういう手を十分盡す時間もあつたのじやないかというのが今の質問の要旨だと思いますので、そういう点は言葉じりをとるというのでなくして、基本的な政府考え方を明確にしておいてもらつた方がいいのじやないかと思います。
  69. 吉武恵市

    吉武国務大臣 了承いたします。その点はごもつともだと思います。ただ議会でなくて一般の意見を聞いてということは、御意見として私は拝聴いたしますが、しかし法律をつくるときに、事前に公聽会を開くという方法も一つございます。また学界の代表を呼んで聞くという方法もあります。それが一つの民主的方法でもありましよう。しかしこの法律案については去年の暮れからたびたび何次かの案が新聞に出まして、新聞を通じて、新聞界においてもいろいろ批判もあれば声もあつて、形式的な公聽会という方法はとりませんでしたが、相当輿論というものは考慮して来ております。その上でなおやつたらということは、これはお話でありまして、こういう法律の成立を期する上に、そういう方法をとることがよかつたか悪かつたか、私は疑問に思つております。けれども広く一般の意見を聞くということは必要なことで、ただそれを公聽会の形式で聞くか、それとも新聞その他の輿論の動向を見て考えるかということには、いろいろな考え方があるのではないかと考えます。
  70. 前田種男

    前田(種)委員 今のお答えにこだわるわけではありませんが、昨年以来たびたび国民に誤解されるような内容が新聞に出ておりますから、それが糸を引いて今日のような紛糾した問題になつている。やはり正式にもつと各方面の意見を聞いて事前にやつておりますれば、新聞界にしても、権威ある学界にしても、あれに対して今日ああいう非難が出ずに済んだのじやないかということにもなりますし、この法律のねらいとする日本の社会秩序の維持は、国民の協力を得なければできないというところに基本的な問題がありますから、その国民の協力を得るためには一体どうしたらいいかという点については、念には念を入れるという観点に立つて、事前に意見を十分聞く必要があつたということを言つておりますので、その点はそういうように認識されて、あるいはそれに対してさらに政府側の意見があれば別ですが、私が今関連質問として聞いておりますのは、そういう観点に立つてそういう手を政府はなぜとらなかつたかということだけに触れておるのでありますから、その点はそういうように御了承願いたいと思います。
  71. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいま前田君から補足質問があつて、大臣としてもこの点には全然反対でもない、将来考えるということでありまして、これはこの程度にしておきたいと思います。  次に、朝の質問に関連して、将来の日本労働運動に非常に影響がありますので、念のためいま一度聞いておきたい問題がございます。それは総評の問題でありますが、総評の本質については、健全な運動であるという見方の上に立つて処置をするという大臣のお言葉には、私は反対は、ございません。しかしけさの質問でまだ明確になつておりませんことは、いかに本質的に健全な方向をたどる性格を持つてつたといたしましても、具体的な個々の問題については、残念ながら逸脱のおそれあることは言うまでもありません。従つて総評の打出した春季闘争方針の中には、われわれが考えましても行き過ぎであつて、残念だと考えるものが多分にあるわけでございますので、本質的な総評の見方と、春季闘争に関する打出し方に対する具体的な問題については、労働大臣は、残念ではあるが健全な方針ではないというお考えであるかどうか、念のためつておきたいと思います。
  72. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は午前中にも申しましたように、春季闘争方針にいろいろ掲げられておる中には、好ましくない事項もある、しかしそれがあつたから、それではこの総評というものは健全な組合ではないと断定せよというお言葉でありましたから、私はそれはいけないぞと申したのであります。総評が健全な組合であつて、一点の非の打ちどころのないものとは私は思いません。これは歴史的な発展の過程を通じながら、だんだんと固まつて行くわけでありまして、その行き方は漸次健全なものに発展しつつあると私は思つておりますが、その個々の問題は、熊本さんがおつしやるように、組合運動としては相当考えなければならぬ点があると思います。これは闘争方針ばかりではありません。実際にやられた行動におきましても、現に十八日に行われた政治ストの行き方は、健全な組合の行き方とは断じて私は考えておりません。
  73. 熊本虎三

    ○熊本委員 あと一つ承ります。きようは破壊活動防止法案に関する内容の問題ではありませんから、これは触れたくないと思いますが、ただ先ほど来大臣のお言葉の中には、非常に重大であるがためにあらゆる手を書してやつたにもかかわらず、不幸ゼネストのような問題が起きた。こういうようなことを繰返し繰返し言われております。なるほど政治ゼネストへ発展したということについては、政府から言われますと残念しごくなことであつたろうと思います。先ほども申し上げましたように私の所属いたしております総同盟は、あのゼネストに参加しないということに決定をいたしているのでありまして、その点につきましてはいろいろと各組合の方針上とられたことはここにあるわけでありまして、その点あくまで了解しておいていただきたいと存じます。しかしごの破防法案なるものにつきましては、ゼネストをやつた組合だけが反対しているのではない。あげて日本の組織の全体は、この法案について残念ながら反対をいたしているのでありまして、それが逸脱したる運動をみずから自制しているにすぎません。従つて政府の方でどんなに最高最善の方法であるとお考えになつて出されておりましても、やはり全組織がこれに反対し、あるいは国民の大多数がこれに不安を感じて反対しているあの法案でありますために、これにつきましては特に労働行政を担当される吉武大臣といたしましては、考慮していただかなければならないと私は考えているわけでありますが、この問題もまたここでただちに結末のつくものでもないのであります。  そこで一言承つておきたいことは、いかなる真理であり、いかなる善でありといたしましても、少くとも民主政治の確立というものは、輿論の動向を無視して行うことはできないと思います。いわんや終戦後六箇年を経て、ようやく日本労働運動が地について、健全な方向へ健全な方向へと切りかえつつある今日において、それに努力しつつある組織の指導者をも巻き込んで、この法案反対ために積極的な行動をとらなければならない。そのことがようやくにして極左運動の行き過ぎに対して批判を與えて健全化しようとして立ち直ろうとする労働運動をも、あわせて同一歩調をとらせるがごときことは、至つて不健全であると思います。従つて他の閣僚は別といたしまして、少くとも吉武労働大臣はかねがね労働行政に関する日本のオーソリティーとして、自他ともに任じておられる大臣でありますために、この法案の将来の成行きにつきましては、最も愼重なる態度をもつて処していただきたいということを私は考えているわけでありまして、今までに愼重を期したのであるから、もうそれに対して一考もする必要がないとおつしやらなければ、これは何をか言わんやでありますが、私といたしましては健全なる日本労働運動の確立のため、この法案の出たことによつてかくのごとき紛糾を起しますことは、まことに残念であると思いますが、御心境を承つておきたいと思います。
  74. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この問題はなお法務委員会で合同審査になるのでありましようから、十分皆さんの御意見政府としては聞くつもりでございますが、この法律については組織をあげて反対であるというお言葉でありましたけれども、私はこの点は熊本さんのごとく長い間の歴史的経験を経られて、健全な組合として御健闘になりました方といたしましては、十分ひとつ愼重に御研究を願いたいのであります。私も一生のうち相当の年数を労働行政のため盡して来たつもりでありまして、健全な労働運動の育成ということについては微力を盡しているつもりであります。もしこの法律が健全なる組合を阻害するというようなものであれば、私は決してこれに賛成するはずはありません。この法律はたびたび申し上げておりますように、極端なる暴力を防止しようということであります。しかも極端なる暴力という中には、はつきりと規定をいたしまして、内乱、騒擾、殺人放火汽車転覆と凶器をもつて公務の執行を妨害する行為と、爆薬の使用であります。私は総同盟が今までの歴史において、かような行動をとられたことを聞いておりません。われわれはこの法律によつてそういう暴力を防止しようというのであります。そんならばこういう事実が一体終戦後なかつたかといえば、あなた方もおそらく御存じでありましようが、過去七年の間にひんぴんとして起つている。現に汽車転覆も行われている。殺人も行われている。放火も行われている。また一部の人々の中には暴力によつて革命をあえて行おうという人もあるのであります。これが単なる個人の犯罪行為としてだけあなたがごらんになるかどうか。これは長い間労働運動をおやりになつた熊本さんとしては、よく御存じであると私は思う。それには必ず組織の力によつて行われる。個人の問題であれば個人刑法の犯罪によつて防止ができます。しかし組織によつて行われるということであれば、この組織を事前に予防するということが、私は民主政治の確立に必要だと思う。これは健全なる組合を成長させる上においても、私は必要だと確信をしている。でありますからただ一般に労働者がよく知らないで反対しているからといつて、総同盟の指導者であられるあなた方が、ただおれたちも反対だということでなしに、よく御研究になつて、なるほどいい法律であれば労働大衆を説き聞かして、お前たちはあやまつている、これは今後日本民主政治ために必要であるということをお説きになつて、そしてこれに御賛成になるようにお働きにならないと、ただおれたちは行動においてはつまらないことはやらない、行動においては違法なストはやらないけれども、心の中で反対しているのだということは、私は熊本さんともあろう長年の体験者がお考えになることではないと思います。その点はひとつ十分御研究願いたいと思います。
  75. 熊本虎三

    ○熊本委員 私は一応警告なり、御注意の程度で済まそうと思つたのでありますが、ああいうふうに大臣から言われますと、根本論に触れて私もまた大衆にこびているかのようになるおそれがありますから、一応弁解しておかなければならないと存じます。お言葉のように集団的、計画的暴力破壊行為には、だれも賛成いたしません。この法案内容検討してみるときに、かつて治安維持法が思い出されてどうにもしかたがない。だから労働組織の中においてもこれに反対するのであつて、少くとも健全なる労働組合運動を志すものが、基本的な目的とされる基本的なものに反対はしないと思う。けれども法案内容、特にこれが運用の面に至りますれば、まことにもつて危険千万なものが多分に感ぜられるがゆえに、私どもはこの法案について愼重さを考えているのである。特に労働行政を担当されるあなたにしては、他の閣僚と違つた意味におけるこの問題に対する愼重さがなくてはならないであろう。その点を留意してくれという希望であつたはずなのであります。よろしく誤解のないように願いたいと思います。
  76. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御注意の点はごもつともでありまして、私もこの上とも十分気をつけて行くつもりでおります。
  77. 島田末信

    島田委員長 柄澤君。
  78. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労働大臣にお尋ねしたいと思うのでございますが、今回のゼネストの経過について、私がこの委員会に出席寒します前に、いろいろ御説明があつたそうでございますが、どの程度までの御説明であつたのか了承しておらないのでありますが、昨日炭労の大会でも、十八日のスト以後の情勢が、労働者は日常の諸生活の経済的な要求も踏みにじられてしまうような條件がこの法律には含まれている。もうすでに破壊活動防止法というものは現場の切揚のすみずみにまでも、われわれの生活の日常の生産点にまでも下つて来ているのであつて、今後の問題ではないのだ、それがもし法律化されたならば、われわれとしては経済闘争すらもやれなくなる、こういうことが大会でもるる述べられまして、事態はなかなか容易ならぬものがあると思うのでございます。今後ストライキが起きたならば、おそらく資本家側でも黙つていまいというような労働大臣のお答えでありましたが、ストライキが起きるような條件がないとは言えないような現状におきまして、政府はこの事態は労働者と資本家との間の問題であつて、いかにも自分の責任ではないというような先ほどの御答弁だつたように思いまするけれども、この事態に対しましてどういうような収拾策をお考えになつておるか、具体的な案をひとつお漏らし願いたいと思います。
  79. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは根本的に柄澤さんもよく御検討を願いたいのでありまするが、午前中からるる申し上げましたように、今度のこの法律は、極端なる暴力主義的な破壊活動を防止しようとするものであります。このことは決して健全なる労働組合行為抑圧もしくは制限するものでないことは、私は確信をもつて申し上げることができるのであります。それでこの暴力主義的破壊活動の防止といいますと、一切の暴力が含まれるように考えられがちであります。そうすると、組合運動には往々にしてありがちな暴力的な、あるいは脅迫的な行為というものが伴いやすいのでありますから、それが一切制限を受けるということになりますと、労働運動はできないのではないかという心配をされるのは、私はもつともだと思うのであります。そこでこの法律は気をつけまして暴力とはいつても、そのうちでどうしても放置できないところの極端なものを指定しておる。つまり内乱—今日の労働組合内乱を目的として団結し、ストライキをやるということであれば、これはどこの国でも許すはずはありません。また労働組合殺人を計画して行動をするのだということであれば、それを許すはずはないのであります。また汽車転覆させる、こんなものが団結をしてやる行動を許すということもあり得ないし、また現にそういうことを組合がやつておるとも思わないし、またやるとも思わない。この法律立案の際には、一部にはそういう意見もあつたそうであります。およそ暴力というものはすべていかぬのだから、何もそう極端なものばかりでなしに、暴力と名のつくものは広く防止するのがあたりまえではないか、そういう意見もあつたそうであります。そうなるとまた拡張解釈によつているくなことが行われてはいかぬから、明らかにこの行為だけはいかぬというように、極端なはつきりしたものだけを指定して、これを防止しようということで、この法律が出ておる。でありまするから、そういう法律であつてもなお反対をするということであれば、逆にこれを解釈すると、そういうことをやろうと思つてもやれなくなるから困る、こういうことになるのであります。私は今日の労働組合がそんなことを意図されるとは思わないのでありまして、従つてこの法律ためになお今後とも政治ストが行われるとは、私は想像したくありません。あるいは起るかもしれませんが、もし今日の総評が私が考えますように、健全な組合として成長しつつあるものであるとするならば、おそらくそれはとらないだろう、今後は国会闘争にまかせて、国会の審議による。天下国家の公の前で大いに論議して、もし間違いの点があればこれをただす。そうして輿論の支持するものであればこれに従う。これが民主政治の原則だと思う。それをあえてこの法律に絶対反対で、ストをやるということであれば、法治国家として許されざる行為をすることを放置することは許されないのであります。別に政府処分権を持つているわけではありませんから、そういう違反を行つた場合に、政府が率先して出かけて行つて解雇するというような処置はとるつもりは、ございませんし、とることもできませんけれども、事業主がそういう違法な行為がたびたび繰返されることを黙つて見ていることは、おそらくないだろうと存じております。
  80. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ないだろう、そうだろうというような、非常に楽観的なお見通しのようであります。しかし現実には吉田内閣の方が憲法違反をやつているんだと労働者考えている。また行政協定などによりましても、吉田内閣は屈辱的な條約を結んだんだ、日本の歴史にないところの講和條約を結んだんだというように、労働者は断定している。そうして吉田内閣は倒さなければならないと言つている。これは少数の労働者考えではなしに、組織として言つているわけなんです。内乱罪というようなことになりますと、これは古い朝憲紊乱と申しますか、天皇が政府を任命するといつたあの当時の思想が、やはりその底に流れておりまして、国民が政府をつくるんだ、しかも政府が国民の大多数の意思に反したような屈辱的な條約を結んだときには、国民の力でこれを倒すんだ、それは当然なんだ、解散させて政府を新しくつくり出すんだ、こういう民主主義の原則が非常に影をひそめてしまいまして、朝憲紊乱、内乱といつたような古い憲法の精神に基いて、この法律がつくられるということになりますと、吉田内閣打倒ということも政府転覆でございましてあなた方のお考えによりますと、これは内乱ということにあるいはひつかけられるかもしれない。とにかくなさることがすべて信用がないわけでございます。労働組合にとつてそういう場合、どんなにうまいことをおつしやつても、労働者はやはり不満なのであつて、今のようにこの法律がわかつてもらえたならば、おそらく労働者はもう少し健全なものになるだろう、組合も建不在な方向になるだろうというようなお見通しだけで判断なさるということでは、私どもはどうも納得ができないわけであります。  そこでお伺いしておきたいのは、もし第二次、第三次のストが実力をもつて行われるという場合に、政府としては先ほどのお話によりますと、資本家の方で政府の政策に反対する労働者ストライキに対して、資本家が負担を背負うことはないんだといつて損害賠償を求めたり、あるいはそのほかのいろいろな手段に出た場合に、政府としてはこれはやむを得ないというような御答弁だつたと思うのでございますが、労働大臣としては労働行政の不始末のために起きる事態に対して、労使の問題だというふうに回避なさることは、非常に無責任だと思うのでございます。その点につきまして、責任である責任でないというだけでなく、私どもとしてはそういう事態がおきる可能性があると思つているのでございますが、それは見解の違いで、今後ストその他は起きない、あるいは起きてもしかたがない。一切自分たちに責任はないのだ、こういうふうなお考えなのでございますか。ストが起きて、資本家が損をしようが、生産がとまろうが、それは法律を知らない労働者側の責任であつて労働大臣としては何も責任がないのだ、こういうようなお考えでございますか。
  81. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は最近よくある種の団体から出された印刷物を見ますると、今柄澤さんのおつしやつたようなことが書いてあるのでありますが、今度の破防法が出ると、内閣打倒ということを言うとそのとたんにひつばられて処分を受ける。こんなことは法律のどこにもないのであります。内閣打倒は、これこそ政治の見解を異にするものが、民主政治下においては許されておる行為である。今度の破防法のどこに内閣打倒というものが触れることになつておるか。何らそういうことでないものを、いかにももつともらしくデマを飛ばして、善良なる労働者を扇動するそうして反対をさして、許されないストライキをさせる。私は非常に憤慨にたえないのであります。あなたもあの破防法をごらんになつたのでしようが、一体あの破防法のどこに、内閣打倒と言つたらあの法律に触れるという箇所がありますか。内乱というものはどこの国にもちやんときまつておる。殺人というものはどこの国にもきまつている。放火というものはどこの国にもきまつている。そういう行為をあえてしてはいけないぞということを言つているだけであります。それを、私も今あなたが言われたので思い出したのですが、ある団体が出されたパンフレツトをちよつと見てみますと、これからは吉田内閣打倒と言つたならば、そのとたんにやられるぞ。こんな法律を通すのはけしからぬから、大いに反対せよ。そうしてストライキをやらせて、やつたストライキ責任は、労働行政の不始末だと言う。これは私はもつてのほかだと思う。今後も実力行使が行われるかもしれませんが、それがために私どもは事前に十分注意をし、勧告をし、そうしてそういうことが起ると君たちは困りますぞということを、私はほんとうに責任者として親切に言つているつもりであります。決して言い訳的に言つておりません。世の中に、それでも起つたらどうするか。それはあります。火つけをやつたら処罰されるぞ。火というものはつけるものでないと昔からいわれておるぞと言つても、火をつける男は—男であろうと女であろうとある。それを火をつけたら、これはけしからぬ、お前の責任はどうだと言われても、それはいくら言つても聞かない者は処分するよりしようがありません。いくら注意をしても聞かない者は、法の命ずるところによつて処分することは、これは法治国家においては当然だ、かように存ずるのであります。
  82. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 若槻内閣のときに治安維持法が出されましたときにも、確かにそう言われたのでございます。労働組合を弾圧しないということを繰返し議会で言われたのでございます。現にだれがあの火つけになつた、だれが殺人なつた、だれが列車転覆の汚名を着せられたかといえば、これは国鉄の場合は、松川事件、三鷹事件、全部労働者ということになつております。松川事件は、今実地検証で、前は手錠をかけられて実地検証をさせられたのが、今度は手錠をはずされて東芝の会社に呼ばれて、前とは非常にかわつた態度で実地検証が行われたと聞いておりますけれども、これらにいたしましても、桜木町事件にいたしましても、これは全部労働者責任を負わされております。桜木町事件の場合には、明らかにあの事件の起きます一箇月前に、加賀山総裁が、旅客輸送はあとにする。軍事輸送のためにふえて来た貨車の需要のために全力をあげて、旅客輸送をあとにして、この修理その他は今当分できないのだ。とにかく貨物輸送に全力をあげるのだと言われたその直後であります。つまりあなた方の政策というものが、日本の国民の利益のためでなしに、朝鮮動乱以来あの戦争協力のために、すべてをあげて、資材から予算から人的資源から、それこそすべてをあげたために、貨車の輸送の方に全力を注がれて、旅客輸送の修理その他があとまわしになつた。明らかにそういうことから事件のほんとうの原因というものは起つて来ているのに、だれがさばかれているかといえば、これを運転した当時の労働者がさばかれている。三鷹事件だつてその通りであります。六三型があぶないあぶない、修理を早くしろと言つて労働組合としては取上げていた。そうすると、これを取調べた場合に裁判官が何と言つているかというと、六三型があぶないということを言つていたから、そのあぶないと言つていたことを証明するために、六三型の電車を転覆さしたのだろうと言つてさばいている。つまり吉田内閣の方針というものが、戦争協力の方向に来て、列車転覆の原因を—今度の地震の問題にしてもそうです。地震そのものは吉田内閣がやつたわけではないでしよう。もちろんこれは共産党がやつたということは言われません。しかし結果としてはやり戦争経済のために、戦争中につくられた学校の方が古い学校よりも先につぶされている。戦後の堤防の切れるのも、洪水の起きるのもわかつていて、予算がないためにやれないということは明らかなんです。だからそういういわゆる戦争政策のために、列車が転覆する原因を持つていたり、洪水を防ぎとめることができなかつたり、倒れる学校が四十万坪あるのに、予算を組んでも一文もくれないで二十二億全部削つてしまつたような、こういうような文部行政や運輸行政、あらゆる行政をやつておられる吉田内閣の責任をだれがとつているかといえば、現にやはり、これは肉体ではございません。確かに団体ではありませんが、労働者責任を負わされているわけです。しかもその背後に共産党があるのだということで、目的意識的にこの法案は共産党を目当としてやられているというふうに私ども考えるわけです。ですから責任は火つけ、人殺し、強盗、みんな共産党であるということで、練馬の巡査殺しとかいろいろなことがいわれておりますが、白鳥警備課長殺しにいたしましても、事件の捜査が進まないうちに、断定的にその方針で進められている。練馬の巡査殺しにしたつて、何と言つているかといいますると、本人をつかまえる以前にもう逮捕の記事が夕刊に出ている。こういうやり方で吉田内閣がやつて来られまして、取調べに来る巡査は、労働者が今に売国奴としてわれわれをやつつけるのだから、今のうちにやつつけるのだと言つて来ている。そういうことになりますと、独立ための運動をやる、平和運動をやるすべての団体や、独立を目的とするすべての組織というものは、行政協定によつてアメリカに売り渡した吉田内閣にとりますと、全部これは内乱になり、さらに騒擾になる、そういう規定になつて来ると思うのでございます。私どもはこれが單にこの法律として単独にではなしに、対象になつておりますのが共産党並びに愛国的な民族独立の運動の中心になつている労働組合、これらに向けて意識的にやられているということは、これは今までの事実を見ましてもはつきりしているのでございまして、だからこそあなたがどんなに勧告説得いたしましても、下部の大衆が下から盛り上つて、そうしてあなたが説得していた武藤さんを不信任をかけて、組合の下部大衆の意思として、今の法律案を撤回しなければならないと言つておると思うのであります。吉武さんはわかつてもらえると言われる。わかつてもらうのには、法律的な措置だけではなくて、組合幹部諸君を呼びまして政治的な工作をすると言われたのでございます。そのことが逆に大衆を怒らして、国会を無視し、幹部取引をやつて、われわれの労働組合運動を吉武さんはむしろ泥沼の中に追い込んで行つておるということが、これは私ども考えだけではございません。朝日新聞などに明らかに指摘されておると思うのでございます。そういう点で、十二日のストをおつぶしになつて、その後十八日のストライキがあれだけの大衆の力で盛り上つて、そうして幹部の不信任という形で今出て来ております。この情勢のもとで、現在のストライキ態勢で闘つておるところの労働者としての方針を吉武さんがお持ちになつて、今後これをどういうふうに転換して行くか。撤回の方針もありましよう。あるいは修正の方針もありましよう。ただ国会の審議にまかせるというだけでは、労働者納得しないであろうと思うのであります。どういうお見通しのもとにあの総評納得さして行くと言われるか。今後必ず健全な組合にすることができるのだとおつしやる。その根拠についてもう少し詳しく御説明を願いたいと思うのでございます。幹部工作でやるのか、あるいは総評が下部の圧力でもつて幹部の操縦がもうきかなくなつておるというのであるならば、その総評を不健全な組合としてたとえば総同盟のようなものでこれをやり、総同盟のような組合を健全な組合としてお考えになつて行くのか、あるいはもつと右翼的に総評を指導して行こうというお考えなのか、その点につきましてもう少し御答弁願いたいと思うのでございます。
  83. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は日本労働者諸君を信用しておるのであります。従つて日本労働者大衆の組織である組合も信用したいのであります。この法律は先ほど来申しましたように、極端な暴力を防止しようということであります。私は一部の中には、そういう極端な暴力行使を肯定される人間があると思います。絶無だとは考えていません。だからそういう人々にとつては、この法律の出ることは致命傷であり、必死になつて防がれると思います。しかしそういう人々は日本人の中にはごく一部であり、労働者大衆のほんとうの気持を代表しておるとは私は思わない。従つてこの法律がほんとうに労働組合大衆の行動制限し、抑圧をするものであれば、おそらく大衆は立ち上るでありましよう。しかし私はこの法律は、どこをごらんになりましても、そういう大衆を抑圧するものでないことは、どこまでも明瞭であります。今日終戦後七年にわたつてあなた方はいろいろなお言葉で言つておられますけれども、松川事件を個人の犯罪だとはだれも考えないでありましよう。個人の犯罪といえば、物をとる犯罪であるか、あるいは私怨であるか、何らか個人的な問題によつて犯意というものが起るのでありましようが、汽車転覆させたり、あるいは三鷹にあつて車庫に入つた電車が突如として飛び出して人家を傷つけ、人を殺す、こういうことが個人の犯罪としてどうして起るのでありましようか。この裏には必ず組織的な背後があるにきまつておる。こういう行為日本労働大衆が是認をされるとは、私は信じないのであります。是認をしないではない、むしろそういうものは排撃される。日本の国民の多数の者はそれを排撃する。ただ一部には、潰憾ながらそういうことをあえてしようとされる者があるに違いない。現にそういう事象が起つておる。(「みんなでつち上げだ。」と呼ぶ者あり)でつち上げではありません。これはさばきによつて漸次明瞭になるでありましよう。でありますからあなたがおつしやるように、労働者大衆が真にこれによつて困るものであるならば、それはお説のようになるでありましようが、これは自由な労働大衆を守るために、日本民主政治を、過去の暴力によつて曲げられるようなことを防ぐために—過去における日本政治というものは、暴力によつて一時は右に引きずられたことがあります。また一部の者は左に持つて行こうとされておる動きもある。現に世界の歴史の中には、そういう事実もあつたのであります。でありますからこれを事前に防いで、そうして民主的な政治を確立して行く。政治的な見解を一本にして行こうというのは無理であります。政治的な見解についてはいろいろあるでありましようから、それは民主的に、暴力によらずして民主的な方法によつて政治を行つて行く、これが民主政治の基本であります。それをこういうふうに暴力によつてやることを、労働者大衆が支持されるとは信じないのであります。今あなたはいろいろ労働大衆がどうとかこうとかおつしやいますが、私はわかる日が来ると思う。総評も今日、そういうふうな一部暴力肯定の人々によつて組織されるとは私は思わない。一部はあるでありましよう。あるいはそういう一部の扇動に乗つてついて行つている人があるでありましようが、そういう極端なことをなさつたんでは、決して日本労働組合はそのままでは行きません。必ず分裂するでありましよう。そうして正しい者は正しい者同士が寄り集まつて、正しい道を進んで行くという道をとるように必然的になると、私は確信をいたしております。
  84. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 三鷹事件、松川事件につきましては、まだ判決にも至つておりませんし、その反証が続々とあげられまして、新規やり直しというところまで、裁判所の方が逆に追い込まれて来ておるのであります。当時の情勢といたしましては、むしろ産業防衛運動という形で、戦後破壊されて来た国鉄その他を守り、復興しよう、再建しようという方針がとられていたのであります。行政協定のようなものが出まして、あらゆる公益事業が合衆国軍隊に優先的に、日本国人民や日本の国が使うよりも優先的に、軍事的な目的に使われるという状態が出て参りました今日とは、條件が違います。戦後の復興をどうしてもやらなければならないという当時の組合の方針は、明らかに三鷹事件は労働組合によつて転覆された、あるいは共産党によつて転覆されたというようなものとは違つておる。まつたくデマであり、控造であり、弾圧の口実であるということは明らかである。私ども吉武大臣のただいまのお言葉に対して抗議し、はつきりとここで申し上げておかなければならないと考えるのでございます。今一番危惧しておりますのは、この法律の條文に、このような人を殺しあるいは兇器を持つてどうこうするというようなことだけを目的とした団体を弾圧するのであつて組合ではないのだという名目は掲げておるが、共産主義という思想を持つたどもの政党だけではなしに、日本の国の中立的な考えを持つた学者、ジャーナリスト、あるいは一般の非常に広汎な知識人を目当に、破壊活動防止法が—現在すでに刑法があり、いろいろな法律があるのにもかかわらず、特にこの際この法律を出して来る。しかも講和條約の発効を目ざして、独立という美名ではあるけれども、明らかに植民地になろうとしている日本のこの状態のもとで、この法律案を出して来るという政府の意図はどこにあるか。これをはつきり見抜いて独立運動あるいは労働組合の正当な経済運動というものまでが、行政協定にうたわれているところの、あるいは両條約にうたわれているところの合衆国軍隊の目的に反する場合、そういう場合に—破防法だけではございません。今度通りましたところの刑事特別法、あるいは民事刑事の訴訟法、住民登録法、このような大きな行政協定第二十三條に基いて出て参ります基本的人権を侵すような法律と相互に作用いたしまして、そうして日本の国民を植民地的な隷属状態に追い込んで、その中核になつているところの組織的な力を持つた組合の解散や、機関紙の発行停止までもやつて行く作用を必ず起す場合が来るのではないか、その点を危惧しているのだと思うのでございます。吉武大臣がどんなにそうじやないということを言われましても、労働者はこういう日本の現状におきまして、刑法やその他の法律があるにもかかわらず、特に今この法律案を出して来るという政府の見解に対して納得が行かない。この立場から経済闘争と結合しないところの、一文にもならないストライキをもつて労働者は二十四時間でも、あるいは第二波でも第三波でも打つて粉砕して行くのだ、こういう決意で立ち上つていると思うのでございます。その点の吉武大臣のお見通しはどうですか。ただ軍にこの法律はそうじやないのだから、納得してもらえるだろうというあなたのお考えでは、この事態をますます混乱させることになり、そういうお考えストライキを扇動し、ストライキを組織し、そうして日本の生産機構というものを破壊して行く、こう思うのでございます。何かほかにもつとうまい対策をお考えになつているか、あるいは弾圧の一手なのか、どういうような方法でこの事態を切り抜けておいでになるのか、私ども基本的には立場は違つておりますけれども労働行政を担当しておられる労働大臣としての吉武さんの御見解を、参考までにもう一ぺん伺つておきたいと思います。
  85. 吉武恵市

    吉武国務大臣 まず最初に、柄澤さんは戦後において産業防衛運動というものが起つて日本の産業の復興に努力したように言われておりますが、私は極左の人々が名前を産業防衛とつけて、そうして産業破壊に行動された事例をたくさん知つております。これはあなたは知つておつしやつたのか知らないでおつしやつたのかよく存じませんが、かつて極左の人々が産業防衛隊、名前は産業防衛隊であるけれども、実際やつておる点は暴力をも交えて、産業を破壊しようという行動をとられた事例はたくさんある。福島県にもその事例がある。広島県の日鋼のときの状態も、あなたはまさか御存じないことはないでありましよう。そのときにつけた名前はみんな産業防衛だ。名前はただ知らない者が聞くと、いかにも産業を防衛して建設でもやつておるかと思うが、そうじやない。極左の分子がそういう名前のもとに破壊活動をやつておる。暴力をあえて行つておる。私はあなたがそれを御存じないでおつしやれば許せますが、知つておつしやるということになると、よほど柄澤さんはお考えをいただきたいと思う。まあこの点はあまりここで論争してもしかたがございません。  さて條文のうちにあります問題は、殺人放火その他極端なる暴力であります。これは刑法にある。これはみんな組合の人も言つておるし、国会でも昨日も質問があつたところであります。それから普通の場合は、個人の犯罪としてはこれは刑法によつてやれます。だから先ほど申し上げましたように、個人行動であるものであれば私は刑法で十分だと思うのですが、しかし今日終戦後に行われた幾多の暴力行為を、単なる個人の犯罪と見るか、柄澤さんがほんとうにあれは個人の犯罪だと思われておるということであれば、それはあなたがそういうお考えになつているかしらぬが、共産党に席を持つておられる柄澤さんが、あれが個人の犯罪だとは思つておられないと私は信じておる。先般行われました北海道の白鳥事件のような問題にいたしましても、警察官を襲撃してけがをさせておるような問題にいたしましても、あれは単なる個人の犯罪とは考えられない。汽車転覆にいたしましても、その他の極端な行動にいたしましても、やはりある一つ政治目的を持ち、ある一つの目的を持つた組織を通じて行われておるものということは、想像にかたくないのであります。私は先ほど申し上げたように、およそ世の中ではいろいろな政治意見を持たれることはやむを得ないと思うのであります。見解の相違である。だからそういう政治的な見解を持たれる者は、民主的な方法によつてこれを表明し、そして多数によつて、議会によつてこれが決定されて、施策が行われるというのが民主政治の基本であります。もしこの基本を誤るならば、それは実力によつてものを曲げようとする。そうなれば一時行われたように、ごく一部の人間が暴力によつて政権を壟断ずるということも行われるでありましよう。それは多数の国民を不幸に陥れる結果にたる。でありますから私ども政治的た見解がどうであるということは、問題にしておるのではない。極端な暴力によつて事を行おうとすることは、今日の民主政治から排除すべきである。でありますから日本労働組合運動をやられている人々及び組織者が、暴力によつてもあえてそれを行おうということは、一部にあるでありましよう。しかしそれは一部である。多数の人間はやはり民主政治によつて自分の意見を表明する。そういう民主主義の方法はとりたくない、暴力主義の方法をとり、暴力によつて革命を行おうということをみんなが意図されているとは、私は信じないのであります。でありますからそういう少数の人々の暴力行為、その暴力行為といつても、今あげました極端な殺人放火、爆薬を使うというようなことを団体として行う者はこれを予防して、そして民主政治を確立するということは、大多数の国民は支持されると私は存じでおります。柄澤さんもこれを御否定ではないと思うのでありますが、もし否定であるということならば、あなたも暴力を肯定されるのであると思いますけれども、そういうことは決して好ましい政治でないと私は確信いたします。
  86. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 実はきのう武藤君が不信任になりまして、炭鉱労働者だけでなく、日本の全産業労働者から攻撃の的になつている根拠というものは、やはり吉武さんがもつと修正ができるのだというような確約をなすつたことを頼みにして、幹部連中が政府を過信した、つまり労働者の味方であるような幻影を抱きまして、スト延期をやつたのが追究されておると思います。その点で吉武さんに非常に重大な責任があると思うのでございます。閣議決定を見ない前に、法務総裁とともに、法律だけではなしに政治工作をしたのだということをさつきおつしやつたのでございますが、閣議決定を見ないうちに、国会にもおかけにならないうちに、かつてにそういう行動をなすつたことが、むしろそういう混乱のもとになつておると思うのでございますがその点についてはどうでございましようか。大いにこの責任があると思います。
  87. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この点は午前中も詳しく話したのですが、柄澤さんがお見えにならなかつたから、もう一度はつきり申し上げます。あなた方の方で出されているパンフレットなんかを私も見ておりますが、まつたく事実無根なことを言われておる。そうして労働者諸君を迷わされておりますが、私ははつきり申し上げます。これは午前中も申し上げたところでありますが、私は武藤君なりあるいは幹部の者と政治的な取引をしたり、公以外に会つたことは、ございません。この経過は詳しく午中申したのであります。私は四月五日の午前十一時、労働省の労働大臣室総評の輪と会いました。われわれが今提案しようとするところのこの法律は、どこをごらんになつても、労働組合の正当なる活動制限するものでないことは明瞭であります。明瞭ではあるけれども組合の方では誤解をされて、十二日にスト決定したのであります。このままほつておくならば、必ずストライキに入るであろうという予想が十分でございましたので、私といたしましては法務総裁に、ぼくの部屋に来て、組合幹部を呼ぶからよく詳しくこれを説明してください、私が説明したのでは直接ではないからおそらくわからないでしようから、よくひとつ真意を説明してもらいたい、と同時に組合諸君意見も十分間ごうじやありませんかということで、五日に私の部屋法務総裁を呼んで説明してもらつたのであります。そのときに組合側でも、ずいぶんその当時の説明でなるほど考えているなということは、私はあつたと思います。私自身も聞いておつて、なるほど苦心をして立案しているなという感じを受けました。しかしその結果は、今説明を聞いたけれどもわれわれは十分納得ができない、そう言つてわかれたわけであります。そのときにはいろいろ意見が出ております。出ておりますが、それはさきまして、とにかく聞いたのでは納得ができないというのでわかれた。そうして様子を見ておりましたが、どうもストがやむ様子もございませんので、私は十一日の朝の閣議において三つ事項提案したのであります。その三つ事項というのは、これは政府から声明いたしましたように、この法律労働組合の正当な行為制限し、またはこれに介入するように適用するようなことがあつてはならないということを法文に明記する、なおこの法律規制対象について、不必要な危惧の念を抱かせるようなものは検討しよう、これが第一であります。それから第二は、の法律に基く行政処分の違法なるものに対する救済処置について考慮する。第三は、この法律公安審査委員会委員は、労働組合代表その他各界代表をもつて組織しよう。この三つ提案したのであります。その当時閣謙にも、それではこれを提案してこれでもつてストライキがとまるかという意見があつた。私としてはとまるかどうかわからない。組合幹部と直接会つて話をしたわけではないからわからないけれども組合の多数の者は誤解をして心配をしておる、だから心配になる点は心配のないように、できるだけ修正してでも措置を講ずることが、政府のとるべき態度ではなかろうか、これによつて万一独立を控えたこの日本においてストライキが回避できれば、これはけつこうなことだと思うから、ぜひひとつこの点についての御決定をお願いしたいということで決定をしたのであります。そこで官房長官から十一時に、その旨を政府声明として発表されたのであります。ところが十一時になりまして発表すると同時に、総評では高野君が、組合幹部がまだ集まらないうちに、総評態度決定したという発表をしております。それは政府は再明を出したけれども、それではわれわれの方針はかわらない、スト決行だという声明を出した。私ははなはだ遺憾に思つた。この法律組合抑圧するものであるならばそれは当然でありましようが、抑圧するものでない、今言つたように殺人とか、放火とか、爆弾を投げるとかいうようなことを防止しようということに組合反対するはずはないのですから、それをあえて誤解をされて、その上政府が愼重審議してこういうことまでもして誤解を解くようにしようといつて努力したにもかかわらず、それに一片の顧みるところなくスト決行などと言われましたから、私は午後四時に至りまして再び総評幹部を呼びまして、十数人私の部屋に来られて、それで私は重ねて本日の閣議において自分はこの三つ事項提案してこれに基いて修正をするつもりである。どこまでも労働組合の健全なる行為抑圧するものでないから、もう一度帰つてひとつ御相談を願いたいということで、私はほんとうに誠意を盡して最後まで努力をしたのであります。その結果総評においても武藤君を初め幹部の者が、政府がそれまでにして修正をすると言うから、それをひとつ待つていいじやないか。それを待たずして、ただストライキをするというようなことは、労働組合のあり方としては考えるべきだということで、十二日のスト延期された。これは健全なる労働組合態度としてりつぱな態度だと私は思います。武藤君のとられた態度は、それはいかなる理由で不信任なりあるいは批判なされておるか知りませんが、将来の歴史家が見るならば、武藤君のとつたこの態度は、決して間違つておるとは思わないであろう。それでありますから私は、組合とそれ以外に取引をした覚えはございません。その後私は十四日までの間に、この三つ事項声明したのだから、この三つ事項に相当する修正をしようということで、数次にわたつて法務府とは折衝をいたしました。そこで午前中も申しましたが、法律の中に第一の事項はそのまま入れたのであります。これは第二條にある程度は書いてあるのです。勤労者の団結及び団体行動の権利を制限しないとは書いてあるけれども、これではむずかしい言葉で書いてあるからわかりにくい。組合では、わかりやすい言葉で書かなければいくら法律的にいいといつてもいかぬということで、この点は法務府も相当意見がありましたが、私ははつきり書きなさい。(「簡単に」と呼ぶ者あり)柄澤さんが午前中お聞きにならないようですから、この点誤解があつてはいけないから、はつきり申し上げます。そこで第二項にこれと同じものが入つております。それから一の二項の、この法律規制対象についても不必要な危惧の念を與えないようにするという点は、これも午前中詳しく話しておりますように、指摘すれば方々にありますが、時間がありませんから省きます。これは御検討になればわかります。それから第二の違法処分に対する救済規定に対しましても、裁判について期限を付するというようなこと、これは裁判の制度としてはないのであります。けれども唯一の例は公職選挙法の中に百日間にやるようにという規定がございましたから、これも例外として認めてほしいということで、百日の期限を付した。第三の事項は、法律には書きませんが、これは政府声明にありました通りやる。こういうふうに政府が国民に対して約束したこの声明は、私は忠実にやるつもりでおります。ただ組合はこの具体的な修正では不満だということで、十八日のストに入られたのであります。私は組合とそう具体的な約束をしたこともなし、またそれに対して違反をしたつもりもございません。
  88. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 質問を留保します。
  89. 島田末信

  90. 中原健次

    中原委員 いろいろ御答案あつたようでありますが、私は先ほどから繰返し言われております健全なる労働組合運動ということについて、どうもその定義がつかみにくいのでありまして、健全なる労働組合運動とはどういうものをさしておるか、また健全なる労働組合とはどういうものか。これをまず第一に御説明願いたい。
  91. 吉武恵市

    吉武国務大臣 健全なる労働組合とは、労働組合運動が合法的に行われるものであります。そして労働組合の使命たるや、これは労働組合法にもはつきりいたしておりますし、また組合規定がなくても、労働者労働條件の維持、改善、向上のために団結をし、団体行動するのであります。ですからそれを逸脱して行われる組合は、健全なる組合とは言えないのであります。
  92. 中原健次

    中原委員 今日の労働組合運動の立つておる法的な基盤は、憲法にあると思います。そうだとすると憲法の最も重大視いたしておりますのは、日本の国民が長い間蹂躙されかつ剥奪されておる基本的人権を、どのようにして守り拔かさしめるかというところにあると思います。そこで労働組合運動が法律的な基礎を得て発足いたしましたのは、人としての基本的な権利に永久性を持たせ、さらにその人権を拡大せしめて行くというところにあるというふうに私どもは解しておるのです。今日の労働組合運動の最も健全なるものは何かと言えば、労働者が人としての基本権をより完全に守り抜くためにする努力が基礎づけになつておらなければ、健全な労働組合運動とは言えないと思います。今度破壊活動防止法案が問題になりましてから、労働組合がこのことを非常に重大視いたしまして、破壊活動防止法案を撤回させなければならない、こういう態度に出ましたのは、この破壊活動防止法案を生みましたその一番基礎づけになつておると考えられる行政協定、あるいはさらにそのもとに参りますと両條約、こういうふうなものにそれぞれの関連を認めておるわけなのであります。従つてこの行政協定はひとり労働者階級だけではなしに、日本の国民に大きな被害、数々の抑圧、あるいは基本権の拘束というようなものを感じさせまするために、この破壊活動防止法案に—このような悪法が出て来なければ、行政協定を実施することは困難である、こういうふうに政府は解しておるに違いない。そこで労働組合としてはそのような意図のもとにつくられようとずる法律案は、どのような文字でこれをいろどりましようとも、そのねらうところがあまりにも明白である。そうであつてみれば、今後の合理的な諾活動が、そのために非常な圧迫をこうむるに違いない。このような考え方がここに破壊活動防止法案に対する横瀬となつたわけであります。ただいままでの吉武労働大臣説明によれば、まことにりつぱな法律のように聞えるわけです。寸ごうも非を打つところがないかのように聞えるのでありまするが、労働者の長い経験の歴史から考えますると、その感覚は大臣の解釈のそれのようなわけに参らぬのであります。ここに非常に大きな見解の開きがあるわけなのです。そこで今までの大臣の答弁を総合してみますると、大臣の認識だけがどうも正しいらしい。大臣の認識と相違するものの労が間違つておる、そういうふうに受取れやすいのであります。そこでその可否をきめるのは、一体どこにそのきめる基礎があるのかということが、一つの問題になるように思います。従いましてこの問題については政府当局の幸え方を、もう一度みずから省みて思う必要があるのではないか、こう私は考えるのです。そこでたとえば今回の炭労の大会において、武藤委員長らが不信任の決定を受けた。そして炭鉱労働者代表者は、武藤を初めとする幹部諸君に対しまして、一つの弾劾的な決定をいたした。そうなつてみれば労働者の意思としては、吉武労働大臣等との間で了解をつけて、十二日のストをやめたというそのことが、労働者階級を裏切るものである、労働者の基本的人権を蹂躙するその方針につながるものである、こういうところに発しておると見ることができるわけであります。そこで私はそういうような諸問題を考え合してみますと、政府の健全なる労働組合というものは、ほんとうは一体何なのか。ただいまの御答弁によると、合法的な行動をするもの、労働者の生活條件を維持、改善するために囲うもの、こういうふうに言われましたが、それにつきましてもいろいろ異存が出て来るように私は思うのです。従つて今度の十二日にストを中止し、さらに十八日にストに入りました各関係労組の諸行動に対しまして政府はもう少し認識の置き場所を考えられる必要があるのじやないか。むしろそういうふうな行動労働組合をしてせしめねばならないようになつて来たその根本は、一体どこにあるのか。その根本の原因について私は非常に深い反省がいるのではないか、このように思います。従つて万一あのストライキによつて大きな被害があつたといたしまするならば、その起りました被害の責任組合側にあるというような独断でなく、もう少し政府自身がみずからを省みる必要があるのではないか、このように私は考えるのです。従つてこの間の問題については吉武労働大臣の御目解をまず聞いておきたいと思います。
  93. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お答えを申し上げます。私はあなたの質問をされる中においての言葉じりをとられるわけではございませんが、基本的に私は見解を異にするものが一つあると思います。というのは、憲法二十八條できめておりますいわゆる労働者の団結と団体行動の基本的人権というものは、労働者労働條件の維持向上、経済的地位の向上をはかるために許された団結権並びに団体行動権であります。     〔委員長退席、倉石委員長代理着席〕  あなたのおつしやるのは、人としての基本的人権のために、二十八條の団結権と団体行動権が認められておるように言つておられますが、それは考え方に誤りがあるのではないか。基本的人権はたくさんございます。言論の自由もあれば、あるいは財産権の確保の権利もあります。その基本的人権を守るために、二十八條の団結権が許されておるわけじやないので、二十八條は、労働者労働條件の維持向上というためには、労働組合を結成し、許された行動、すなわちストライキとか、ゼネスト、これも何でも一切許されておるわけではありませんが、許された範囲においての行動の自由を許されておるわけであります。この点は憲法の二十八條は、何でもかんでもすべて基本的人権は絶対であるようなお考え方で出発されているとするならば、そこに誤りがあるのではないか。従つてそれはどういうところに出て来るかというと、第二の御質問にありました両條約反対、両條約反対というためには、労働者は基本的人権として闘う権利があるのだ、こうおつしやいますが、それは二十八條では許されていないのであります。それはいわゆる政治目的でありまするから、そういう政治目的のためストライキを許される権利があるわけじやないのであります。そこはあなたと私との見解の相違だけにとどまらない。法律というものはそうあることは、私だけが正しいとおつしやいますが、これはどなたにお聞きになりましても、憲法学者にお聞きになりましても、私ははつきりしていると思います。内閣を倒すためストライキができるという国はどこもないのであります。それは別に言論の自由、あるいは議会において、あるいは政治活動において、政治を争うということはあり得ることでありますが、ストライキ汽車をとめる、電気を消す、そうして政府転覆するという権利が二十八條に許されているということをお考えになるとすれば、私はたいへんな間違いを引起されると思います。から、念のために申し上げておくわけであります。  それからこの法律の可否を決する基本的な点についてのお尋ねでありますが、おそらくあなたも日本政治というものが、暴力によつて行われることを肯定されるとは私は信じないのであります。それは極右でありますとか、極左でありますとか、かつて少数の右翼の人が暴力によりて政権を左右して、いろいろな事態を引起したことは、あなたもよく御存じであります。これは極左においても同様であります。人を殺すとか、火をつけるとか、そういうような暴力によつて政治が曲げられるということは、民主政治下においては決して許されることではない。もしあなたがそれを否定されるならば、それを否定する手段を講ずるために、私は反対をされるとは思わないのであります。この法律はそういう暴力を防止する手段としてできておるのであります。あなたを私は善意に解釈して、そういうことは自分は賛成だけれども、そういう法律によつて健全なる組合制限が加わるような心配のないようにしてくれということであるならば、それは先ほど来私が申したのと同じであります。私といえども労働組合の健全なる発達を企図し、その努力を続けて来ておるつもりであります。でありまするから私は、初めの原案でもその心配はないと思いますが、なお念を入れまして、その上に新たに修正までして、その内容について努力をしておるわけであります。なおそれ以上に心配な点があれば、国会皆さんが堂々と論議されて、こういう点が心配になる、ああいう点が心配だといつた論議をされることは私はけつこうだと思いますが、この明瞭な極端な暴力を防止しようとする法律、その態度、その基礎それ自身をあなたが否定されるということであれば、それはあなたが暴力を肯定したということに結果においては私はなると思う。それはおそらく私はあなたの真意でないことを信じたいのであります。
  94. 中原健次

    中原委員 二十八條の問題についていろいろ説明がありましたが、そのことは二十八條に局限して考えれば、もちろんそういうことになると思います。しかしながら二十八條を規定するためには、やはり十一條、十二條その他の基本的人権に関する基本的な規定の上に、そういう部分が提起されておるわけであります。従いまして一番基本的に、やはり人間としての権利という問題は、労働組合運動からも全然別のものとして考えられるわけのものではないと私ども考えております。  なお暴力行為そのものに関しましては、もとよりわれわれ平和主義の線に沿つて終始行動しておる者の立場から言えば、暴力行動そのものに対して当然正面から反対であるということは言うまでもない。けれどもその暴力主義行動に対する規制として、これが適用されるかどうか、ここに大きな問題があると思うのであります。ことに現政府がみずからつくつた憲法に背反することあまりにもしばしばである。背反していないという見解は、おそらく進歩的な人たちの中では肯定されないと私は思う。たまたま政府国会の中で多数を與党に持つておるということだけが、何だか合法的なことであるかのように思わしめておるにすぎない。従いましてそういうようにみずからが憲法を侵すようなことを数次繰返し、またこれからも繰返そうとしている政府の提出する法律案に対しましてなるほど文字の上ではいろいろ適当であるかのような部分もあるのではありまするけれども、この立法の趣旨、目標とするものがどこにあるかを知る者から考えると、なかなかそう簡単に信用するわけに行かない。たとえばかつて治安維持法について考えてもそうでありましよう。国体の変革、私有財産制度の否認を目的とする一切の行動に対して、あの法律が発動されたのである。はたしてあの法律の発動が、その限界を越えないで行使されたかどうか。実際はその限界を飛び越えている。そういう経験を日本の国民はあまりにもなめすぎている。しかも私自身もその経験をなめている。私ども治安維持法第一條並びに第二條違反の事犯として起訴されたのは、一体どういうことであつたか。これは今あなたに責任があるというのじやない。けれどもわれわれが起訴されたときの実態は、言えば憤懣限りもないが、当時日本の帝国主義者が恐るべき戦争をたくらんで、日本国民をあげて死滅のふちに追い込むような戦争を激発し、そのために国内の経済を混乱に陷れる、そういう恐るべき態度に対して反対の意思表示をしたということだけが、私どもの起訴理由になつた。そういうようなとんでもない法の運営をする日本の支配者階級というものが、そう質的にもあまりかわつておらない今日、こういうような法律案を提出して来るということになれば、やはりわれわれはいろいろなことを思わざるを得ない。いろいろなことを思うのは無理じやない。だから吉武労働大臣御自身がこの法律を運用なさる唯一の担当者ならば、私は信ずるかもしれない。しかし遺憾ながらそうじやない。そういうところに問題があるとすれば、この法律案のよつて起るところの根拠が問題になるのはあまりにも当然のことです。でありますから、その問題を中心として労働組合がこれをいろいろ討議し、いろいろ心をまわして、いわゆる眼光紙背に徹する観察をくだそうとするのは当然のことです。従つてそれをしたからその行動は不健全であるということで、それが非常に世の平和を望む人々の願いを、あるいは期待を裏切る行為であるかのごとく規定づけて行く、そのことが私は独断だと思うのです。でありますから吉武労働大臣は、十八日のストあるいはそれを決定した、その決定の仕方等がいわゆる不健全なる労働組合運動の行き方だというふうに断ぜられ、その断ぜられた立場からこの問題に対していろいろ御意見を開陳されることに対して、私どもはやはり根本的に対立した見解を持たざるを得ないわけなんです。そこで今私が聞こうといたしますのは、今度の十八日のストライキに関連しまして政府がとつたいろいろな政治工作は、労働組合の自由なる意図に障害を與え、あるいは拘束し、あるいは妨害するというような行き過ぎた行為になつているのじやないか、つまり労働者自身の判断にまかせるという態度でなくて政府のかつてに構想したその構想のわくへ組合運動をはめ込むというような、いろいろな画策が拂われているのじやないか。その上に立つての御判断であるがゆえにこそ、たとえば今度の武藤君不信任等に関連する見解から推してみても、どうも労働組合組合員大衆が、何か間違つたことをやつたかのような印象を與える答弁になつていると私は思うのです。従つてたとえば今度のこの問題に関連して、先ほどの答弁にもありましたように、大臣がいろいろな了解活動をやられた。その了解活動が憲法並びに労働組合法その他の労働関係法規に抵触しているのじやないかというふうに私は思いますので、その点に関してもう一度明確なその間の経緯を拝聽しておきたいと思います。
  95. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お答えいたします。労働組合員の各位が、かつて治安維持法等の経験に徴して御心配になつているということは、私も想像にかたくございません。しかしながらこの点は今度の法律の立案についても、法務府では事実相当検討しておるのであります。これは四月五日に法務総裁組合幹部とに来てもらつて説明したときも、この点を中心にして説明があつたのでありますが、かつて治安維持法は、御承知のように国体の変革と私有財産制否認という点にあるのでありましてこれは思想であります。思想対象にしての法規でありますから、思想にはどこからどこまでという厳格な限界がないために、往々にしてそれが濫用されて、お前はこういう思想を持つているじやないかということで、いろいろな処分を受けたことがあると私は思います。ところが今度のこの法律は、そういう思想対象にしない。明らかに刑法に書かれた内乱罪あるいは殺人罪、放火罪あるいは劇薬物使用というような犯罪を対象にしております。行為対象にしておる。この点が治安維持法とは違うのであります。従つて解釈をかつてにするといつても、殺人の範囲をかつてにきめようがないのであります。放火というものをかつてに解釈してきめようがない。はつきりしております。そういう点において非常に違つておることと、朝も申し上げましたが、今度の法律は一切の暴力を防止しようとしてはいない。あるいはそれが望ましいかもしれないけれども、そうすると単なる暴行とか脅迫というものまでも間に入りますと、往々にして労働組合運動にはそれらしいことがつきものである。そうすると、何だお前は暴行をやつたじやないか、脅迫をやつたじやないかというようなことで、これに一々抵触するということになつては、組合活動抑圧する結果になつていけないということで、そういうものは一切除去しておる。ほんとうにどうしてもほつておけないようなものだけを拾つて対象にしておるわけであります。この点は私は十分御検討になればわかると思います。それが一つもう一つは私が担当すればいいけれども、ほかの者がとおつしやいますが、今日の政治は、新憲法下における民主政治になつております。かつては政権というものが天くだりで、民主的な意図のもとに必ずしも樹立されない、そういうことがございますと、法律というものをかつてに曲げて運用するということもありがちかもしれませんが、今日の政治は完全な民主政治であります。国民の選挙によつて、国民の代表によつて、そして議会によつてこれが法律化され、もしそれに間違いがあれば、議会の自由な批判を許しておるのであります。そういう違いは十分あるのでありまして、かつて治安維持法でこうだつたから、この法律もこうだと簡単にお考えになつて今最もわれわれが心配をし、国民が除去しようとする極端な暴力を見のがすという結果になることは、私は非常に残念でならない、かように思います。  なお十八日のストについて武藤君が不信任になつたが、それは政府政治工作をやるからというお話でありますが、先ほど申しましたように私が武藤君たちと会いましたのは、四月五日に労働省内で組合幹部と正式に会つたことと、十一日午後四時、私の部屋でやはり組合幹部と正式に会つた以外に会つたことはございません。また修正するについても、先ほどから何度も繰返しておりますが、組合相談した上で政府が三点についての修正意見を発表したのではない。政府はこれだけの努力を拂おうということで、政府みずからこの三点を決定して天下に声明し、これに基いて政府みずから修正をしたのであります。組合がこれで満足されたかされないかは、組合が自治的に決定されて行動をとれるのであります。しかしいかなる御不満がありましても、いわゆる今日の法律によつて政治の目的のためストライキを行うということは、決して許さるべきことでもなく、また健全なる組合のとるべき行動でないと私は信じて疑わないのであります。
  96. 中原健次

    中原委員 時間がないそうでこれで打切れということでありますので、打切ります。前提といたしましては、もちろんこれだけの時間ではとうてい質疑が盡されるものではありません。あまりにも大きな問題でありますから、継続してまた質疑をいたしたいと思いますので今日は留保いたしますが、この場合にただ一言申し上げておきます。それは大臣によると、治安維持法思想を取締つたものであるから、そういうあやまちもあつたであろう。こういうふうに言われるのですが、この破壊活動防止法案につきましても、かなりいかがわしい点が実はあるわけです。たとえば第三條ロ号についていろいろせんさくしてみると、これもちよつと危険です。たとえばイ号に規定する行為実現を容易ならしむるため云々、こんなものはかなり危険性があるのです。私は幾らでも申し上げますが、今日は時間がありませんから、私自身の道義心から遠慮しますけれども、この破壊活動防止法案がほんとうに大臣が解釈しておいでになるような簡易な、簡單なものかどうか、そのように非常に明々白々な罪状だけを追究するのかどうか、これはおそらく論を深めれば深めるほどあぶなげなものがたくさん出て来ます。これは別の時間にその機会を得ることにいたします。なお十三日並びに十八日のあのストに関しましても、もつともつと基本的な問題もありますし、また私どもが伝え聞いているところでは、労働省当局がちよつと行き過ぎたと思うような、いわば不当干渉と言いたいようなことが、あるいは非常に不明朗な、それこそ不健全な、組合との取引的な行為があつたことも聞いております。いろいろなことを聞いておりますので、これももしうそであるならばその誤解を解いた方がいいと思いますので、それも明らかにする機会を近いうちにつくりたいと思います。なお政治ストライキであるかどうかということにつきまして、ストライキ政治性がないかどうかということにつきましても、相当議論のあるところでありまして二十分や三十分でこの討議を盡すことはできません。従いましてそれらの諸点につきましては最も早い次の会議でこのことにお互いに触れ合いまして、問題の焦点をつかむことのできるように、そういう機会を得たいと思います。またそれなくしてはこういう大きな問題が結論を得ることができようはずもありませんし、このことを今委員長がおいでになりませんが、倉石委員長代理に特にお願いいたしておきます。今日は私はこれで終ります。
  97. 倉石忠雄

    ○倉石委員長代理 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十五分散会