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今野委員 日本共産党は、この法案に対して
反対でございます。
掛金を安くするのは、労使双方の利益であるというふうに申されますが、こういうような討論を聞いて、現在
路頭に迷
つて苦しんでおる
失業者は、はたしてどういう気持を持つかということを
考えますならば、私
どもとしては
反対をせざるを得ない。また
臨時工などにいたしましても
失業保險の恩典にも浴しないで、
掛金ばかりとられておるというような状況からして、非常な不満を持
つております。そういうような状況から百五十二億というような金が余
つておるというのははたしてどういう
状態で余
つておるのか、この点について
質疑をいたしましたが、非常に明瞭を欠くのであります。私
どもとして調べたところでは、昨年一月から十二月までの実績を見ましても、
一般の保險
掛金は百四十八億円に達しておる。それに対して
支拂いはわずかに百二十一億円であります。かようなありさまですと、これは
一般民間会社としても十分もうか
つて行くわけであります。これでは
政府の補助、つまり
国民が税金を出して、そうして
社会保障としてこれをやるというような意味はま
つたくない
状態である。なぜそうな
つておるか、それは
保険金の
給付者の数が減
つておる、つまり
失業者が減
つておるからだと申しますが、決してそうではありません。
失業保險は六箇月で切れてしまう。その切れた
人たちが
路頭に迷
つて至るところにいる。その
人たちが
臨時工になる。たとえば特需を受けた
会社などの
臨時工に入りますと、その特需を受けた一月とか三月という
期間だけ区切
つて雇われる。解雇されるときには手当も何もやらないということに判こを押して
臨時工になる。その
臨時工はやはり
ちやんと
保険の
掛金をとられておる。そしてやめるときには、六箇月に達しないから
資格がないとい
つて、
保険金を支拂われない、あるいはまた途中でも
つてにわかに
日雇いの方にまわ
つて、
日雇いの
失業保険の
手帳をもら
つて、やめるまぎわにな
つて印紙をべたべた張られて、そうしてわずか十七日間、わずかな金をもらう、こういうようなことで済まされてしま
つておる場合にが非常に多いのでございます。そういうことに対する血の出るような訴えが私
どものところにも参
つております。そういうことが非常にたくさんある。われわれは百五十二億の金が
余つたのは何ゆえかという、その原因を確かめないで——本来この
失業保險というのは、
失業した気の毒な人のためにや
つておるのに、そういう人のために拡大しようとせず、あるいは社外工、請負師の労務のもとに働いてお
つて、
失業保險の適用を受けていない者がたくさんある。そういう
人たちのことを
考えないで、現に雇用されて
保險料をとられておる
労働者の負担と、
会社の負担とをわずかに削るということでも
つて事を済ませようというのは、これははなはだ冷酷なやり方である、元来この問題としては、当然この保險金支拂の
範囲をぐつと拡大する、適用の
範囲をぐつと拡大する、そうしてそれの基金としてこれは使うべきだ、われわれはそう思う。それからさらに
政府に対して、今後の
失業の
見通し、たとえば今度
政府は
紡績の
操業短縮を勧告しておりますが、これによ
つて二万人の
失業者が生ずるおそれがある。それに対して
政府では、三箇月の
期間有給帰休というものをやるのだから、それでも
つてあとはまた雇うのだからいいと言いますけれ
ども、しかし現在のヨーロッパの
不況の
状態、あるいは
インドの大不景気、それから
アメリカなんかにおいても現われておるそういろ徴候、そういうことを照し合せてみますると、また東南アジアなんかの
状態を見てみましても、こういう
状態はずつと永続される危険がある。それに対する
政府当局、
労働省当局の対策を聞いても
はつきりしない。そうならないように一生懸命やるつもりですと
言つておるが、これでは何にもならない。のみならず、
軍需工場やあるいは軍事基地などに雇われて行く者がありますが、これが大部分
臨時工である。しかるに現在の
臨時工については、
労働省ではまだお調べがないそうであります。まだ
はつきり数字が出ておらないということでありますが、われわれの当
つたところでは、大部分
臨時工である大企業がたくさんある。そうしてみると、ごく大体の勘では今の日本の
労働者の半分近くが、
臨時工にな
つておるのではないかと思われる。そういうたくさんの者が保險の問題についてあいまいにされて、これが余
つておるからとい
つてこうやる。こういうことが今後もだんだん多くな
つて行くわけです。そうして結局この費用を削るということは、
失業保険全体のわくも将来縮めて行こうという第一歩になるわけです。こうや
つて考えてみると、これはまさに最近はや
つておる吉田内閣の逆コースの
一つとして、自由党内閣の逆コースの
一つとして、最も冷酷なものの
一つである。そういう意味においてわれわれとして断固
反対せざるを得ない。