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1952-03-14 第13回国会 衆議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十四日(金曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 福永 健司君    理事 船越  弘君 理事 森山 欽司君    理事 前田 種男君       金原 舜二君    内藤  隆君       三浦寅之助君    柳澤 義男君       山村新治郎君    稻葉  修君       川崎 秀二君  出席国務大臣         労 働 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      泉 美之松君         労働政務次官  溝口 三郎君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君  委員外出席者         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 濱口金一郎君 三月十一日  委員川島金次君辞任につき、その補欠として前  田榮之助君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十三日  失業保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第六八号) 同月七日  けい肺特別処置法制定に関する請願苅田アサ  ノ君外一名紹介)(第一二一五号) 同月十日  日雇労働者の生活安定に関する請願猪俣浩三  君紹介)(第一三八八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十一日  けい肺特別法制定に関する陳情書外九件  (第八八一号)  労働法規改正に関する陳情書外四件  (第八八  二号)  同外一件  (第八八三  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  失業保險法の一部を改正する法律案内閣提出  第六八号)     ―――――――――――――
  2. 島田末信

    島田委員長 ただいまより会議を開きます。  日程に入ります前にお諮りいたします。委員柳澤義男君が去る四日委員を一旦辞任されておりますので、ただいま珪肺病対策小委員会におきまして小委員の数が一名欠員となつております。この際小委員補欠選任を行わねばなりませんが、これは委員長において指名することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島田末信

    島田委員長 御異議なしと認め、それでは柳澤義男君を再び小委員に指名いたします。     —————————————
  4. 島田末信

    島田委員長 これより本委員会に付託されました失業保險法の一部を改正する法律案内閣提出第六八号を議題とし審査に入ります。政府より提案理由説明を求めます。吉武労働大臣
  5. 吉武恵市

    吉武国務大臣 失業保険法の一部を改正する法律案審議されるにあたりまして、本法律案提案理由を御説明申し上げます。  今回の改正内容は、第一に失業保険事業運営の現況にかんがみ、現行保険料率を二割引下げること、第二に延滞金免除規定整備することの二点であります。  第一の保険料率引下げにつきましては、最近における失業保険事業運営状況を見ますと、一昨年六月の朝鮮動乱以後の雇用情勢を反映して、保険経済状況も著しく好転して参りましたので、従来の運営の実績に基き、かつ、将来の保険経済推移考慮に入れて、現行保険料率百分の二を二割引げて千分の十六としたのであります。すなわち失業保険給付は、一昨年秋以来漸次減少傾向を示して、昭和二十五年度末における積立金の額は百十二億円に達し、昭和二十六年度におきましても大した変動もなく推移して今日に至つておりますので、本年度末にはさらに相当額剰余金を得る見込みであります。このような積立金状況に加えまして、最近における収支の状況、過去における運営経験等にかんがみましても、また将来における保険経済推移考慮いたしましても、この程度保険料率引下げが可能であるという見通しを得るに至りましたので、今回保険料率を二割引下げ事業主及び労働省負担を軽減し、その利益をはかるごとといたしたのであります。  第二の延滞金免除規定整備につきましては、従来の延滞金免除理由はきわめて限定された事項に限られておりましたので、これを国税徴収法規定に準じて擴大し、保険料滞納処分の執行を停止しまたは猶予した場合、及び保険料納付しないことについてやむを得ない事情があると認められる場合にも免除することとし、保険料徴収事務改善をはかつたのであります。  以上本法律案提案理由の概略を御説明いたした次第でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されることをお願い申し上げる次第であります。
  6. 島田末信

    島田委員長 ただちに質疑に入ります。前田種男君。
  7. 前田種男

    前田(種)委員 ただいま提案されました案件に関連して、二、三の問題を質問申し上げたいと思います。  第一番には、相当内容がよくなつたから保険料金の二割引下げをしようという案でございますが、一昨年から今日までは、朝鮮動乱という特殊な事情のもとに、日本経済状態がよくなつたことは万人の認めるところでございますが、二十七年あちいは二十八年、今後一、二年先を見通した場合に、経済状態はそう楽観を許さないというのが現状でないかと思います。特にアメリカからの見返り資金の援助その他も、従来いわれておりました内容とかわつた状況になるという関係もございますし、また全体の業界をながめて見ましても、明るい見通しでなくして暗い見通しがあるわけです。紡績関係にいたしましても、あるいは紡機をこしらえている問題にいたしましても、その他の面におきましても、将来の経済状態というものは、日本独立後の経済負担と勘案いたしますと、必ずしも楽観を許さない状態が見受けられます。そういうことを考えてみますると、また近いうちに失業問題が相当大きな問題として浮び上るであろうと思うのでありまして、このときにはたしてこういう処置で対処できるかどうか、あるいは全体の経済見通しに対して、大臣はどういう見解を持つておられるかという点について、まずお尋ねしたいと思います。
  8. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御承知のように朝鮮動乱前までは、失業者相当ございまして、大体四十五、六万の完全失業者がございましたが、お話のごとく動乱以後漸次好転をして、失業者がずつと減つて参りました。昨年の九月ころには、三十一万程度くらいまでに下つたようなわけであります。その後若干ふえたこともございますが、大体今四十万くらいで横ばいの状況でございまして目下のところでは心配がないと思つておるのであります。将来の見通しの問題はいろいろむずかしい問題でございますが、大体私ども考えてみまするに、毎年日本生産規模は擴大をして、今日では大体戦前の一三八%くらいまで来て、安定本部あたりとも協議をいたしました結果、大体三十年までには一九〇%くらいまでは、いろいろな点を考慮に入れて、進み得るのじやないかというふうな見通しを持つておるわけであります。来年度は一四八くらいの見込みを立てております。また事実来年度におきましては、公共事業費につきましても、大体本年度千三百億、昨年度の一千億に対して千三百億くらいまで増額しておるような状況であります。一方電源開発その他も出て来まするので、少くとも来年度の見通しは私は大丈夫だと思つております。その後につきましても、どうも日本の現在置かれた産業の推移を見ますれば、私は徐々に規模が擴大しておりまするので、まず心配はないのじやないか、かように存じております。
  9. 前田種男

    前田(種)委員 私は今の大臣答弁は、幾らか楽観し過ぎておるのじやないかと思います。もう現に輸出関係におきましても、ポンド関係相当行き詰まつております。日本が今後輸出で生きようとする場合、一体どこに求めるかという点も、なかなか明るい見通しが立たぬのです。それから国内のいろいろな設備改善等も、相当進捗いたしております。しかしこれに比例いたしまして、労務者数は案外減るのじやないか、設備が非常によくなればよくなるのに反比例して、労務者数は減つて来るという考え方も一方には立つて参ります。だからこの問題は料金を下げようというせつかくの案でありますから、この案自体に反対する筋合いは何もございませんが、あまり楽観した考え方で行くと、近い将来にたいへんなことになりますから、その点を十分勘案して、政府責任を持つて善処するという方針を立てないと、こうした一貫した長い関係を有するところの対策というものは、一時の景気、不景気、あるいは保険料積立内容等に左右されてどうこうするという点は、基本的にはもつと十分慎重に扱われてしかるべきだと考えますので、もう一度この点に対して大臣の所見を伺つておきたいと思います。
  10. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話のごとく最近繊維関係におきましては、相当打撃を受けておりますが、これは実を申しますると、御承知のように昨年の春見越し輸入相当やりまして、多少貿易関係好転をいたしておりましたために、その資金が見越し輸入の方に行つて経済界にある程度打撃があつた。それと一方多少平和的な傾向が見られるということで、今までのような、急いで輸入をしようかという諸外国の機運が多少鈍つて来たという二つが一ぺんにしわが寄りまして、昨年の九月ころからぼつぼつそういう傾向なつた。十二月に押し詰まつたのが今日に持ち越したというわけでありまして、そのしわ寄せの残りが今出て来ておるのでありまするから、これを通り越せば、私は経済全般がそういう傾向なつたわけでないと思いまするので、大体大丈夫と思うのでありまするが、御心配の点は私ども十分気をつけるつもりであります。従いまして今度の保険料金引下げにつきましても、実は数字上から申しますれば、もう少し引下げても可能かと思いますけれども、今前田さんがおつしやいましたような点も十二分に見なければならぬということで、一挙にたくさん下げて、またあとで困るようなことがあつてもいかぬと思つて、用心をしながら実は二割にいたしたわけであります。まず大丈夫だと私どもは考えております。
  11. 前田種男

    前田(種)委員 その点につきましては、大臣がそうした見解を持つておられる以上は、政府責任において今後の経済状態に対しては善処していただきたいと強く要望しておきます。  その次に労働省大蔵省厚生省三つにまたがりますが、厚生省では健康保険厚生年金労働省では失業保険、この掛金が要するに税の控除を受けていないのです。民間保険金は二千円以下は所得税控除をされておる特典がございますが、この社会保障制度の重要な掛金でありますところの厚生年金健康保険掛金失業保険掛金等は、すべて税金を引かれた残りから、また掛金を差引かれるという状態なつております。それがおのおのの働く人々の所得から見ますると、年間を通じて相当金額になると私は考えます。当然の三つ掛金というものは、税の控除対象にすべきであるし、またそうしてもらわなければならぬ対象のものでございますから、労働省なり厚生省はこの問題について、どの程度政府部内において大蔵省と折衝されて努力されたのか、あるいは今度控除対象にできるだけしようと思つておられるか、あるいは大蔵省はこの三らの掛金控除対象にしたいという熱意があるかどうかという点を、それぞれ折衝の関係者から承りたいと思います。
  12. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ごもつともな点でございまして、先般の税制改革の際にも実は私閣議でも相当主張をいたしました。この社会保険に関する保険料金に対する課税の問題は、ぜひひとつ御考慮願いたいと言つておるわけであります。実は議論をいたしましてわかつたことでありますが、営利保険についての保険掛金についての課税の問題は、実は大蔵省としては貯蓄奨励をやりたい。つまり資本蓄積を何とかこの際やらなければならない。それで一般貯蓄奨励に対して奨励金を出すと同じように、保險金をかける者に対して何らかの奨励金を出すという意味で、つまり税金控除考慮をしたわけです。それで社会保険の方はそういう趣旨とは、趣旨が違つて来るということで、一応これは貯蓄奨励意味なんだからということで、やむを得ず決定になつたわけであります。それで私としては性質は違うであろう。だから貯蓄奨励でなくてもけつこうだが、それでは別の観点社会保険というものは、やはり一般労働大衆に対する制度であるから、そういう観点からでもひとつ別個に取上げてしかるべきものではないかという点を強く主張しております。この点については別にそれは絶対に反対すべきものであるという趣旨のものでないのですから、大蔵省におきましても、今後十分研究をするということでございまして、私といたしましては、できるだけ早い機会にこの問題が実現をするように、十二分に努力をするつもりでおります。
  13. 前田種男

    前田(種)委員 民間保険事業貯蓄奨励という理由控除している。この社会保障制度関係の問題はそれとは違うということでございますが、私は被保険者全体がこの適用を受けますならば別ですが、もちろん厚生年金は期限が来まするとその恩恵に浴しますが、なかなか簡単に受られないという制度がございますし、それから健康保険の方も実際に保険証を持つて利用しておる者が、被保険者の何パーセントになるかという点を考えて見、あるいは失業保険の場合でも、実際に失業保険給付を受ける者が、全体の被保険者の何割に該当するかという点を考えて見ますと、大多数の人は掛金をかけてその恩恵に浴してないのです。恩恵に浴する者は、ほんのわずかなパーセンテージになるというような性質社会保障制度でございますから、当然これは税の対象から除外すべきであると私は考えます。だからこれは今日所得税の一部改正法律案も提案して、いろいろ今議会審議をしておりますが、できますならば今議会にでもわれわれもつと検討を進めて、この問題を織り込むように努力したいと思いますが、政府の方でも最善の努力をして、これを何とか控除対象にするようにされる熱意があるかどうかという点を、もう一度お聞きしておきたいと思います。
  14. 吉武恵市

    吉武国務大臣 十分熱意を持つておるつもりでございます。
  15. 前田種男

    前田(種)委員 大臣にもう一点お聞きしますが、この失業保険と関連いたしまして、滞納処分の緩和の問題が改正案内容なつております。これは国税法等関係と並行して考慮されたと思いますが、これから参りますところの今度の納付成績、そういう点等についても遺憾ない対策を立てておられると思いますが、こういうことになりますと、納付成績の悪くなるという考え方も立ちますので、こういう点等に対するところの政府考え方、あるいは方針等を承つておきたいと思います。
  16. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 今回の改正につきましては、延滞金を徴収しない場合も非常に限定しておりましたために、天災地変その他によりまして保険料納付しないことについて、やむを得ない事情があるといつたような場合にも徴収するということになりましては、国税徴収法その他との均衡もとれませんので、現在の限定されました事項をさらに実行しよう、こういうことでこの改正案ができておる次第でございます。
  17. 前田種男

    前田(種)委員 この問題もいろいろな点で、悪用されるという心配がないとも言えないと思います。だからその点についても十分労働省としては善処されたい、これは私希望を申し上げておきます。  大蔵省の当事者が見えましたので、一言質問しておきますが、厚生年金健康保險掛金失業保険掛金を、所得税の税の控除対象として除外してもらいたいというのが、私の質問の要旨です。これに対して大臣策弁がございましたが、民間保険事業は二千円以下は控除されております。これは貯蓄奨励意味控除しているという大臣答弁でございましたが、御承知のように健康保険失業保険厚生年金等も、被保険者全部がその恩恵に浴するのではなくして、実際に恩恵に浴しておる者はその何パーセトというので、そのあとの大多数の人は一定の掛金をかけて、実際の恩恵を受けない実情が今日の状態であるし、また受ける権利はもちろんございますが、そうした社会保障の特殊なこういう掛金は、当然税の控除をしてもらうべきが妥当だと考えますし、またそう努力してさほど大蔵省財源に響くものでもないと私は考えますし、またこうしたものこそ控除してやるべきだと考えますが、それに対する大蔵省見解を承つておきたいと思います。
  18. 泉美之松

    泉政府委員 お答え申し上げます。社会保険料個人負担する掛金相当分を、所得税課税にあたりまして控除してもらいたいという要望は、多年、特に昨年ごろからいろいろ御要望があつた次第でございまして、大蔵省におきましても種々研究いたしておるのでございます。ただこれによりまして、所得税減収がどれくらいになるかということを計算いたしますと、昨年の場合におきまして約五十億円、それから御承知のように給與が昨年から上つて参りましたので、本年いろいろ計算してみますと約八十億円の減収に相なるのでございます。そこで現在の財政事情からいたしまして、それだけの減税を行うことができがたいというような事情で、今回の所得税改正案におきましては、社会保険料控除を認めるということは行わなかつたような次第でございます。ただいまお尋ねがございましたように、諸外国の例なんかにおきましても、社会保険料控除をいたしておる例はかなり多いのでございます。従いまして理論的に申しますれば、社会保険料控除を認めるということは、相当意義のあることと考えて研究しておるのでありますが、何分にも減収額の点でちよつと入れかねますので、このように現在の段階におきましては、まだ取上げておらないような次第でございます。
  19. 前田種男

    前田(種)委員 今ちよつとその数字の点でお聞きしておきますが、五十億、八十億というのは、被保険者ばかりでなく、事業主の方の掛金も加えてのこれだけの税金になるのですか、その点はどうですか。
  20. 泉美之松

    泉政府委員 事業主がかけました掛金は、これは法人税なり個人事業税必要経費として引いております。問題になるのは被保険者たる個人掛金した場合のその掛金でございます。
  21. 前田種男

    前田(種)委員 もちろん五十億、八十億という金額は、今の国の経済から行けばそう簡単な金額ではないという御説明でございますが、これは理論的に言つても、あるいは大蔵省熱意があるならば、八十億の財源というものは、ほかに努力される余地が私はあると思います。またそうしてそれだけの熱意を持つて、何とかこの問題は課税対象から除外するというようにしていただきたいと考えます。そこで私は議論をしようと思いませんが、少くともそういうものはいろいろな点でわだかまりがありますと、わずかな問題が相当刺激して、労使の関係においても、あるいは政府に対する労働大衆のものの考え方等においても影響いたしますので、そういう点等を考えてみますると、こういうものこそ、ほかの方で財源を捻出してでも努力していただきたい。だから今日財源が非常に苦しいから、そうしたいんだが、ちよつと容易には手が出せないというのではなくて、何とかその財源捻出等について格段の努力をされて、一日も早くこの問題が税の対象から除外されるようにしていただきたい。ここで議論してもいたし方ありませんから、重ねてその点を大蔵当局にお願いしておきますから、お帰りになつたら局長なり大臣によくその趣旨を進言されて、ひとつ大蔵省として本腰を入れて、この問題に対する対策を立てていただきたいと考えますが、その点に対してもう一度お答えを願つておきたいと思います。
  22. 泉美之松

    泉政府委員 御意見のほどはよく承りまして、上司にお伝えいたしたいと思いますが、なおこの問題は大蔵省本腰なつておらぬというような印象を與えるような御発言でございましたが、大蔵省といたしましては、昨年以来本腰を入れて研究しておるのでございますが、先ほども申し上げましたような財政事情で今回は入らなかつた。従いまして機会がありますれば、必ずそういうことを入れたいという熱意は十分持つておりますことを、ここで言明したいと思います。
  23. 島田末信

  24. 森山欽司

    森山委員 失業保険法改正法案を提案されましたが、この際大臣にお伺いしておきたいことは、再開国会以後本委員会提出された法案は、ポツダム政令整備に関する法案とこれと二つでございます。今国会政府はどういうような法律案を今後御提出になる予定か、伺つておきたい。特に労働法のいわゆる改悪というようなことで、労働組合方面が非常に騒いでおります。どうも化けものが出るのか出ないのか、一向わからないような印象を受けるので、ひとつ御返事を伺いたい。
  25. 吉武恵市

    吉武国務大臣 目下検討中でございますが、予定いたしておりまするのは、労働関係に関する法律改正と、それから労働基準法関係する法律改正、この二つを何とかいたしたい、こう思つておりまして、目下労務法制審議会と片方に労働基準法審議会とに諮問をいたしております。労働基準法の方は明日くらいに大体結論が出そうでございまして、大体意見の一致を見ておるようでございます。片一方の労働関係に関する方の法律につきましては、相当意見が対立をいたしまして、実は三、三日前に大体——結論というよりも、一応の答申が出そうでございましたが、夜おそくまでかかつたけれども遂に話がまとまりませんで、十九日に持ち越しております。おそらく十九日には何らかの方法で報告が出るだろうと思つておりまするので、それが出た上で政府で適当に成案を急いで提案したい、かように存じております。今国会には二つともできるだけ出したというつもりでおりますが、ただいまお話にもありましたけれども、われわれとしては決して両法律とも、改悪をするというような気持は全然ございません。日本実情に合し、なお独立後における日本自立経済達成の上において、できるだけ平和的に合理的に解決する方法をとつて行きたい、かように存じております。
  26. 森山欽司

    森山委員 重ねてお伺いいたしますが、そうすると必ず今国会には御提出になるかどうかということと、御提出になられる時期の大体のお見通しを伺いたいと思います。
  27. 吉武恵市

    吉武国務大臣 今申しましたように、提出する見込みで今準備を整えております。それからいつごろかというお話でございますが、今申しましたようにもう法制審議会答申というのは、実は一月の終りぐろには出る予定でおりましたのが、なかなか出ない。出なければ出ないで、私の方でも案を考えられますけれども、そういたしますと、いかにもまたがつてにやつたということにもなりまするので、私としてはできるだけそういう合理的な機関で審議されたのを待つて、案をつくる方がよくはないだろうかというので、実は今までしんぼうして待つたわけであります。これがまたはたして十九日に出るか長引くかということで、提出の時期というものははつきり見通しがつきません。あまり遅れるようでしたら、私の方で案をつくつて出したい、かように存じております。
  28. 森山欽司

    森山委員 どうも再三恐縮でございますが、仮定でございますが、もし十九日に労働関係法の方の結論がかりに出たといたしますと、政府はいつごろ政府案として御提出になるお見通しであるか、伺いたい。
  29. 吉武恵市

    吉武国務大臣 今申しましたように、十九日に出るということを一応予定して、それから案を立てまするので、何日というふうに今から予定をして申し上げるというわけに参りません。できるだけ早く提出したいということで努力をいたしております。
  30. 森山欽司

    森山委員 会期は五月の十日まででございますが、あるいは延びるかもしれませんが、いずれにしろ重要法案でありますので、十分審議の時間をとれるような提出時期を希望いたしておきます。  それからこの際労政局長にひとつお伺いしたいのですが、先般の委員会におきまして、帝石問題について質疑をいたしました。その際の質疑の全般的な結論とも私は申していいと思います。どうも通産省が帝石に対して、石油資源行政の面からも、また帝石に対するところの大株主としての株主権の発動という意味からも、いずれにしろ両方の意味から申しまして、態度がなかなか煮え切つておらないという面があつたことは、通産省みずから認めておるところでございます。それについて労政局長としては、通産省と本問題の解決のために具体的な連繋をされたかどうか伺いたい。
  31. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 その後いたしておりません。
  32. 森山欽司

    森山委員 先般の委員会でも質疑応答のやりとりでおわかりの通り、問題の根源は労働組合のやり方が労政局長の言われるように、法律上これは不法ではないけれども、不当であるかもしれない、抽象的でございますが、そういうふうな御意見をかりに認めるといたしましても、しかし少くも労働組合としては会社側に対しても相当の手を盡し、また監督官庁であるところの政府、大株主であるところの政府に対しても、相当の手を盡したにかかわらず、通産省ではつつばねてしまつたということが、今回の紛争の原因であるということが前倒の委員会でわかつたんです。にもかかわらずこういう事態になつたということについては、政府部内において労働行政を預かる労働省の立場から、いま少しずつきりした態度で御接触になるのが当然ではないでしようか。従つて前回あれだけの質疑を申し上げたんですから、労政局長はその後全然御接触がないということは、怠慢ではないかと思いますが、いかがでありますか。
  33. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 この前お答えをいたしましたときには、この問題は今労働省の立場に関する限りにおいては、東京都の委員会にかかつておりますので、静観をいたしたいということを申し上げたのであります。御意見によりますと、この前の岡田君の答弁で、なお二、三日中には何とか結果が出るだろうと言つておりましたので、それを待つておつたようなわけでありますが、なお岡田君の方と通産省と連絡をいたしてみまして、できるだけ早く解決がつくものでありますれば協力をいたしたい、かように考えております。
  34. 前田種男

    前田(種)委員 今森山委員の質問の中で、労働法規を出すか出さないかということについて、大臣は出したいという御答弁をされましたが、これはいろいろ議論もあります。内容の一々のことについては私は尋ねませんが、今国会に出さなければならぬ理由が一体どこにあるか、国際的には世界自由労連その他の各国からいろいろ誤解もされ、刺激も與え、国内的にはいろいろな問題を起しております現状において、労働法規を今国会に提案しなければならぬという理由は、私の見解ではどうもないのです。事務的には労働法規に対しては、もつといろいろよくするという観点から改正の余地もあろうかと考えますが、それは政府の方においてもわれわれの方においても、あるいは労働組合関係においても、事業主関係においても、十分内容検討して、その上でもう一、二年先に改正するということでもおそくはない、私はそういう見解を持つております。ここで急いで労働法規の改正を提案しなければならぬという点はないように考えますから、この点について国際的にも国内的にもいろいろな問題を起してまで改正しなければならぬという重要度の点から言つても、私はそうは認識しませんが、どうしても政府は出すという方針で進められるのかどうか、あるいはまたその重要度の面においても、そうした点を勘案してでも出さなければならぬという方針でおられるかどうか、もう一度せつかく質問がございましたので、重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  35. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私どもは今までは占領下でございましたので、占領下の特殊的な事情において、労働行政というものが進んで来たのでありますが、近く独立をいたしますということになりますれば、やはり今後の独立後における経済の自立達成の上におきましても、労働関係について労使双方とも改書すべきものがあると私は思つております。従つて私の見解におきましては、独立のあかつきにおいて、必要なる所要の改正はいたすべきではなかろうか、かように存じておるわけであります。
  36. 前田種男

    前田(種)委員 今の大臣答弁がございましたので、重ねて私は申し上げておきますが、独立後であればこそ慎重に対処しなければならぬ。今まで六年間占領下であつたから、やむを得ずに押しつけられておつた。今度は一本立ちになつたから、日本の国に適応した状態改正しなければならない。改正することはわれわれもやぶさかではありませんが、一体日本独立は今後どういうふうに伸びて行くか、あるいは成長して行くか、あるいは国際関係がどうなるかという点等も勘案して、十分検討の余地をもつておもむろにやつてもおそくはないと私は考えます。近く独立するから、すぐさま今までの占領下から離れて、日本に合うような法規に改正しなければならないというこのものの考え方の中には、国際的にもいろいろ多くの疑惑を持たれる原因がかもされておる。私たちはここ一、二年のうちに、そう急いで改正しなければならないほどせつば詰まつた問題がほんとうにあるかどうかという点を考えてみましたときに、もつと慎重に対処してもおそくはない。また現行法規の上において、事務上から言つて政府の立場から言つても、不都合な点がかりにあつたといたしましても、これは行政的な解釈あるいは労働省方針によつて相当幅をもつてやる道もあると私は考えます。私はそういう点を考えて、独立になるから日本に合うような法律改正を急いでやらなければならぬという考え方は、これは見解の相違になりますが、もつと慎重に政府に扱つていただきたいというのが私の考え方でございますが、重ねてこの点お尋ねしておきたいと思います。
  37. 吉武恵市

    吉武国務大臣 以前申し上げました通り、私どもとしてはやはり所要の改正は必要であるという気持でおりまするし、また国際的な関係はもちろん慎重に考慮しておるつもりでおります。いずれ提案いたしました際には、おわかりになることと存じます。
  38. 前田種男

    前田(種)委員 これ以上は意見の相違になつて参りますから、意見は差控えたいと思いますので、これ以上質問することは、今日提案されている議案とも関連いたしませんので、別個にまた論議することといたしまして、質問を打切ります。
  39. 森山欽司

    森山委員 労政局長にお伺いしたいのです。帝石問題は、先般の委員会で私は大分しやべつたのですが、確かにこれは労働問題としては地労委にかかつております。また会社の内部の問題といたしましては、刑事事件として目下調査中でございます。私はそういうような労働法上の、あるいは刑事法上の黒白ということについて、あなたから意見を求めているのではない。少くとも労働行政をやつておられるあなたが、帝石問題という特異な事件がある、この事件は、同じ政府部内において、通産省側のおざなり主義がかかる事態を惹起したということは、前回の委員会ではつきりしておる。これは通産省だとか労働省だとかいうわけ方をしておるから問題なのですが、実際は通産省側のやり方がいま少しはつきりしておれば、ああいう事態は生じて来なかつた。御承知の通り政府から補助金をもらつておる、その補助金をもらつて買つた機械をスクラップとして拂い下げておるということについて、経理検査を通産省でやつて、疑義の点がはつきり認められております。それからまたそのほかにも、石油採掘の指令に対して、これに違反するような秘密指令が出ておるということも原因しておる。そういうことに対して通産省が確固たる態度をとらないことが、今日の争議の根本原因なんです。これを解決するためには、労政局長はただ机の前にすわつてつても解決できるものではない。私は地労委にかかつている裁定をどうしろとか、あるいは裁判所にかかつている問題をどうしろとかいう問題を言つているのではない。この紛争の解決というもののかぎは政府が握つておる。政府が握つておるということは、労働省責任でもあるし、通産省の責任でもある。その場合、少くともこの労働問題としての紛争について、責任の一端をお持ちになつているあなたが、前会のあれだけの質疑に対して、通産省に何らの御連絡をしなかつた。これは私は怠慢だと思います。少くとも国会委員長というものを、あなたはどういうふうにお考えになつているか。私はあの委員会が終りましてから、委員会の専門員に対して、どういうような帝石に対する調査事項を出したかということについて、専門員の方にお願いしました。ところがきよう専門員の方から伺いますと、どうも労働委員会の方から正式に出すのも問題があるだろうし、また通産省側からの話としては、岡田次長の話はそうですが、どうもほかの委員会にも出してない問題を、労働委員会の方に持ち込むのは、何かさしさわりがあるような御意見です。あるいは個人的に岡田次長のところに行つてみたらどうか、こんなお話を私は受けた。私はそういう通産省側の態度にも、まことに不可解千万なものがある。問題はここまで表面化して来たら、ありつたけのことをさらけ出して黒白をつけてもらいたい。少くとも黒白をつけるということが悪ければ、紛争を解決するような手を着々と打つていただきたい。それをあなたがやつておらない。そのやつておらないということがあたりまえのような印象を受けたんです。私は今までのことはいまさら申しませんが、賀來さん、あなたはどうなさるつもりか、もう一度どういう御行動をなさるつもりか、はつきり私の前でお話願いたい。
  40. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 先ほどその点に触れてちよつと申し上げましたが、大体こういう非常に複雑な問題につきまして、特に紛争が今日のような状況に入りますと、この解決に乗り出しますには、時期というものが非常に必要であるという経験を私は持つているのであります。先般申し上げましたように、現在法律上の問題になつております点には、これはもうそれぞれの機関においてやつてもらわなければなりませんが、御指摘のように労働関係が紛争状態にあつて、それが長引くということ自体につきましては、これは何とか早く解決をつけなければならぬわけであります。ただ時期を待つておつたわけであります。特別に御意見もあり、御指摘もございましたので、通産省とも連絡をいたしまして、もしわれわれの行動によつて解決がつくというふうな目途がつきましたならば、私といたしましても紛争の解決に努力をいたしたい、かように考えております。
  41. 森山欽司

    森山委員 今月の十日に、通産省としては会社側から質問書に対する返事を受けていることになつておるが、その後今日まで通産省から何らの連絡もない。どうも私どもの言うことはなかなか聞かぬらしいのです。もしそういうことになりますと、前会のような紳士的な質問は今後できなくなる。いろいろ検察庁の調査その他によりますと、問題が出ております。そこまで一体やつてもらいたいのかどうかという点も——私は今そういう怒りを感じておるのです。できるだけ私は紳士的にこの問題を処理したいと思うのです。従つて私は、労政局長が最大限の御努力をなされることを、この際特に希望いたします。  それからひとつこの法案に関連してお伺いしたいのです。この保険法の積立金の額が百十二億円ありますが、いろいろ社会保険がございます。労働省所管でも労働保険というのがありますが、各種の社会保険積立金は一体どのくらいになつておるか、お調べになつたことがありますか。
  42. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 御承知のように積立金は、資金運用部資金に入つておりまして、そちらで運用しておりますので、私の方では詳細存じておりません。大蔵省の方からひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
  43. 島田末信

    島田委員長 次会は明十五日午前十時よりといたし、本日はこの程度にて散会いたします。     午後零時十四分散会