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1952-03-05 第13回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月五日(水曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 福永 健司君    理事 船越  弘君 理事 森山 欽司君    理事 前田 種男君       井手 光治君    菅家 喜六君       高橋  等君    西村 直己君       山村新治郎君    柄澤登志子君       青野 武一君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         労働政務次官  溝口 三郎君         労働事務官         (労政局長)  賀来才二郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君  委員外出席者         通商産業事務官         (資源庁次長) 岡田 秀男君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 浜口金一郎君     ――――――――――――― 二月二十日  委員川島金次辞任につき、その補欠として松  尾トシ子君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員松尾トシ子辞任につき、その補欠として  川島金次君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員篠田弘作君及び稻葉修辞任につき、その  補欠として内藤隆君及び中曽根康弘君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十五日  委員中曽根康弘辞任につき、その補欠として  稻葉修君が議長指名委員に選任された。 三月四日  委員柳澤義男君及び石田一松辞任につき、そ  の補欠として森幸太郎君及び川崎秀二君が議長  の指名委員に選任された。 同月五日  委員麻生太賀吉君、佐々木秀世君、塚原俊郎君  及び松野頼三君辞任につき、その補欠として高  橋等君、西村直己君、菅家喜六君及び井手光治  君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十三日  けい肺特別処置法制定に関する請願外一件(尾  関義一君外一名紹介)(第九四〇号) 同月二十八日  けい肺特別処置法制定に関する請願川野芳滿  君紹介)(第九九八号) 三月三日  職業安定法及び同施行規則の一部改正に関する  請願首藤新八紹介)(第一一二四号)  帝国石油労働組合幹部不当解雇に関する請願  (坂本泰良紹介)(第一一四八号) の審査を本委員会に付託された。 二月二十一日 失業対策事業に関する陳情書  (第六四三号)  公共企業体労働関係法撤廃に関する陳情書  (第六四四  号) 同月二十七日  けい肺特別法制定に関する陳情書  (第七二八号)  労働法規改正に関する陳情書外一件  (第七  二九号) 三月四日  秋田県に労災病院建設に関する陳情書  (第八〇  四号)  けい肺特別法制定に関する陳情書  (第八〇五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く労働省関係命令廃止に関する法律  案(内閣提出第一七号)  労働行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 島田末信

    島田委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたしますが、去る二十日に委員川島金次君が、去る二十三日に委員稻葉修君が、それぞれ一旦委員辞任されておりますので、ただいま珪肺病対策小委員会及び港湾労働に関する小委員会におきまして、おのおの小委員の数が一名欠員となつております。この際それぞれ小委員補欠選任を行わねばなりませんが、これは委員長において指名することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島田末信

    島田委員長 御異議なしと認めます。それでは珪肺病対策小委員には川島金次君、また港湾労働に関する小委員には稻葉修君を指名いたします。     —————————————
  4. 島田末信

    島田委員長 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案内閣提出第一七号を議題として審査に入ります。御質疑はございませんか。——質疑はないようでありますから、これにて質疑は終局いたしました。  これよりポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案議題として、討論に入ります。柄澤登志子君。
  5. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいま議題となりましたところのポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案というものにつきまして、日本共産党立場から、この法律案提出の件につきまして、反対理由を申し上げたいと存ずるのであります。  五百四十二号に関連いたしますところの、これらの三つの異なつた内容を持ちますものを一括いたしまして、本委員会に御提出になつたのでございますが、これらは第一の労働充足に関する件、これは申し上げるまでもなく古領軍の要請によりまして、必要とするところの労務を全面的に日本国政府協力してこれを充足しなければならないという件でございますので、これは当然廃止するのはもとより賛成なのでございます。しかしながら政府は、これらの命令が一度も実施されたことがないという御答弁をなすつておいでになります。また私どもが当委員会におきまして、日本の将来に関しまして死命を制するような重大な行政協定にからみまして、日本駐留軍に使用される労務者状態につきましては、まだ国内法を重視したいと思うというような政府希望的條件が述べられているだけでございまして、現実にはこれらの終戦後六年間の進駐軍に使用されました労働者雇用條件というものは、まつた人権蹂躪も行われておりますし、国内法も適用されておりませんし、非常な不安な状態にありましてこの現実の諸條件というものに対しまして、政府はまつたく無責任態度をとつているのでございます。私どもは、行政協定が結ばれまして、その行政協定によりまして、形式的にはポツダム宣言に基くところのこれらの労働関係命令廃止というような形で法律案が出されておるのでございますが、具体的には占領制度が強化され、何ら人権を擁護し、さらに国内法掛が完全に適用されるという見通しが、ただいまの計画では確立しておりません際に、この法律がこのような形で独立されて、まことに喜ばしい状態だという理由のもとに廃止されて行きますということにつきましては、賛意を表することができないのでございます。さらに当委員会といたしましては、外務関係政府当局から当然行政協定の、日本労働者が今後どう処置されるかという問題につきましては、これに関連して明らかにされた上でなければ、形式的な諸法令廃止というようなことにつきましても、簡単にここで賛意を表するわけに行かないのでございます。現に吉武労働大臣の、当委員会の席上におきまする下丸子の東日重工労働者軍令馘首の問題に対する答弁一つ取上げましても、労働大臣ほ同じ委員会の一時間か二時間かの間に、十分取調べてございませんということを申しておられ、最後には取調べましたけれども何ら法律には違反していないと思います。このような無責任なことを言つておられます。さらに同じ問題につきまして、過ぐる二月七日の日に特需関係労働者の働いております工場協議会代表者が軍に参りまして、軍の意向をただしておるのでございます。責任者のパロー氏は、明らかにあの軍令馘首ということは間違つておるのだ。国内法は適用されるべきなんだ、しないところの工場は悪いんだ、こういつて労働組合代表にはつきり言明しておるのでございます。これは日本労働者に対する最近の人権蹂躙軍令馘首公務員特別職給與を適用すると言いながら、昨年ドル拂いになつて以来、三十ドルも日本政府が拂つておるのに対して、労働者に対しては五千円しか渡していない。軍令だといつて片つぱしから首を切る。公務員給與上つたのに、進駐軍関係労働者には、給與ペースの引上げということも何らやらない。政府政府でもつて、これは特別職給與で、公務員だからといつて、当然スト権がないというのはあたりまえのことだというようなことで、そしらぬ顏をしておいでになる、こういうような場合に、形式的にいかにも労務充足というようなことは、今後は強制的にやられないのだというような、民主的な顔をして、こういう法案が出されて行くということに対しましては、私ども政府責任を追究し、事態を明らかにする労働委員会の権威にかけましても、ここでこのような形で賛成することができないのでございます。私どもはその立場から、あくまでも労働委員会日本人立場で、政党政派を超越して、なぜこれに協力しないか。同じ日本人ならば、なぜできないのですか。自由党だつて日本人じやないか。私どもはそういう点から、まことに誠意のない当労働委員会の審議のやり方に対しまして、憤懣を禁じ得ないものであります。  第二の点につきましては、国籍別によりますところの差別をしないという法律でございまして、これは占領日本民主化の建前から出されたもので、私どもとしましてはむしろ廃止すべき法律ではないと思うのでございます。しかも最近日本方針が、大韓民国と提携いたしまして、李承晩と提携して、アメリカ一辺倒方針をとりましてから、あの朝鮮方たちの持つておりますところの証明書の中に、朝鮮人という言葉があると、職業紹介しない。自動車の運転手免許状も取上げる。あるいは労働者の最低の状態でありますところの職業安定所のあの日雇いの人たち手帳までも、朝鮮人ということが書いてあることによつて取上げる。三鷹の飛行基地でございますか、軍事基地などでは、朝鮮人と書いた手帳を持つておる労働者に対しまして、大韓民国人というふうに書き改めるならば雇用を継続しよう、こういうことを言いまして、明らかに日本人朝鮮人という差別だけではなく、同じ朝鮮人という古来から持つて来ました名称を、大韓民国人にしなければ、差別して就職もさせないというようなことをやつて来ております。しかも大韓民国人ということになりますと、強制送還されまして、李承晩の、あの戦火のさ中に、家もなく、就職の道もなく、雇い兵にならなければならないところに送り返されようという法律を出しておる。この際こういうような国籍別によつて差別をしてはならない、種族別によつて差別をしてはならないというような、戦後せつかく築き上げて来ましたところの民主的な法律を、日本政府の名においてここで廃止するというのは明らかに今やられておりますところの戦争の惨禍の中へ、大韓民国人という名前によつて追い込んで行こうという、さような政策に合致する裏づけとして、私ども賛成することができないのでございます。  第三の点は、労働パージになりました者、太平洋戦争中に労働者組合運動を押えまして、そうしてこれを軍部や日本資本家協力させて、戦争協力方向に追い立てて行つた戦争指導者、それをもう一ぺん——軍事基地を提供して、アメリカの雇い兵、アメリカ軍事基地をつくつて、そうして戦争で裁判された日本が、もう一ぺん戦争のさ中に巻き込まれようという際に解除する。一般の戦犯を解除したから、労働パージも解かなければならないというような御答弁があつたのでございますが、まことにこつけいしごく。しかも愛国労働運動というものを、政府の一部の方々、與党の一部の方たちも関連を持つそうでありますが、奨励をなさつておるそのさ中に、このような形で戦争協力させ、追い立てた幹部たちを、再び追放解除するというようなことに対しましては、日本の現在の民族的な危機に際しまして、賛成することができないのでございます。私どもはかかる観点から、このたび出されましたところのこの法律案に対しまして反対するものであります。  さらに政府は、これらにかわるところの民主的な諸立法を、新たに独立したというならば、準備さるべきはずでありますけれども、それらのものは破廉恥にも、何らここに提示されておらないのでございます。私どもはこのような理由をもちまして、反対を申し上げる次第でございます。
  6. 島田末信

  7. 青野武一

    青野委員 私は日本社会党第十三控室代表いたしまして今議題となつておりますポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案のうち、多少の疑義はありますが、第一と第二はまあいいとして、問題になるのは第三です。二十日の労働委員会で、吉武労働大臣に御質問いたしましたが、納得の行く答弁を得られません。従つて第三の点に関して、私は反対意思を表明するものでございます。と申しまするのは、第一條「左に掲げる命令は、廃止する。」という第三に「労働に関する団体主要役職員への就職禁止等に関する件」これは昭和二十一年厚生、運輸、内務省令第一号でありますが、二十日に労働大臣に御質問いたしましたときに、この條項廃止しても、当時戰争中でございますが、大体昭和十二年七月七日、すなわち支那事変が始まりまして以後、昭和二十年九月二日までの間に、大日本労務報国会あるいは日本海運報国団その他大本産業報国会等に関係をして主要な役職員でありました諸君が、文字通り——責任の大小、罪の軽重はございますが、とにかく当時の権力と結びついて、国民戦争戦争へとか立てたことは事実であります。事実を裏書きするのは、すなわちこの期間中にそういう主要役職員就職しておりました諸君は、連合国軍によつて、こういう団体関係することのできない規定がこれでございますが、それをポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案となつて、これが解除せられるのでありますが、私が二十日の労働委員会において、労働大臣に質問いたしましたのも、想像や将来の危険性を考えてやつたのではありません。現に日本労働組合、民主的な労働組合内部に、こういう人たちが順次入つて参りまして、たとえば国鉄の中に特殊な立場を持つております愛国労働組合運動というものが、かなり根強い力を持つて動き出しておるということも事実であります。また言論界あるいは政界あるいは教育界等々と密接な連絡をとりつつ、こういう政令が廃止せられますと、どうしても前の労務報国会産業報国会関係した諸君が、古顔であり、非常にそういう点についての運動の経験が多いのでございますので、個人的な因縁、その他情実、またいろいろな事情によつて組合の中に席を持つことになり、これが一部の組合については、事実上の指導者になつて出て来ると思います。北海道におきます実例九州方面におきます実例等も、この前も列挙いたしましたが、もうすでに危険は実在しておるし、そういう方向に進んでおる。吉武労働大臣は、今の労働組合は、産業報国会労務報国会関係しておつた主要役職員が解除せられたからといつて心配することはない、もうそんな人たちにごまかされるような弱い労働組合ではありませんと言つておりますけれども、やはり再軍備から戦争への道を突き進んで行く日本の今日の政局を見ると、どうしても労働組合関係諸法令の改悪が実現して行きそうにわれわれには考えられる。そういう間隙を通じて、解除せられた諸君が、やはり組合内部に頭をつつ込んで来る、動いて来る運動資金というものは、やはり背後にある日本産業資本家の手から、今日でもすでにばらまかれておる。三百人か五百人の人を集めて集会するのに、わずか十里ぐらいの程度で、一人に二千五百円、三千円という金をやつて、その集会に動員する。それは非常にフアツシヨの傾向を持つたところの、こういう解除せられておる一連の連中がやつておることでございまして、こういう点を私どもが看過いたしますると、将来日本労働組合運動発展を大きく阻害して行き、ひいてはそれがフアッシヨの運動べ大きく力を貸して行くことであり、やはり再軍備から用兵、そして日本警察予備隊が、大きな力が作用して、国外に出兵しなければならないというような事態になりますると、大きな力をもつてそれを促進して行く勢力が、こういう連中の中から生れて来ることを私は予期いたします。支那事変にしても、満州事変にしても、大東亜戦争にいたしましても、すべてこういう諸君が果しました役割というものは非常に大きいのであります。いまだ六年半、そういう連中は一つも反省をしておりません。しかももつと熾烈に第三国の勢力のもとで走狗の役割をしようと、意識的にがんばつて動き出しておる。そういう点を考えますと、この第三点だけは、私は日本労働組合運動の将来と国民生活の安定、日本の祖国の再建といつたような立場から考えましても、非常に危険である。従つて日本社会党第二十三控室は党議をもつて三つにわけておりまする第三点の労働に関する団体の主要役職貴べの就職禁止等に関する件に対しましては、反対意思を表明せざるを得ないのであります。この点を私は党を代表して申し上げて、反対意思表示にかえた次第であります。
  8. 島田末信

  9. 中原健次

    中原委員 私は労働者農民党代表いたしまして、ただいま議題になつておりまするポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案、内容的には三件にわかれておる点に対しまして、労農党立場を明らかにいたしておきたいと思うのであります。  まず第一の労務充足に関する件でありまするが、この労務充足に関する件に関しましては、今取立てて時間を費す必要もないと考えますので、この廃止に関してはこのままこれを承認いたすことにいたします。  第二の労務者就職及び従業に関する件につきましては、このような省令が公布されておつたにもかかわりませず、実際はこの省令の中で指摘している部分が、具体的に労務者労働権保護のため、あるいは生活権を防衛するために役立つておらなかつたということを、遺憾ながら指摘しなければならぬのであります。本来政府はいろいろな法律を出しますけれども労働階級生活権を防衛し、労働階級基本権を守るためにはそれが役立たないで、かえつて逆に労働階級生活を圧迫し、労働権を蹂躪するためにこれが運用されるということが、過去の事実を通じて明瞭になつておるわけであります。従いまして、今ここにこの命令廃止の動機となつておりますいわゆる両條約の効力発生に関連いたしまして、今後わが日本労働階級は、どのような労務條件の中に制約をされようとするかについて、私どもは非常に懸念を持つておるものであります。いなむしろ懸念ではなくて、恐るべき労働階級に対する庄追、労働階級基本権を否定せんとする態度、そしてその具体的な動きをすでにわれわれは発見し、これを指摘しなければならぬことをはなはだ遺憾に存じておるものであります。これらのことに関しましては、いずれ一般労働問題に関連する質疑等を導まして、われわれの見解を明らかにいたしたいと考えておりますが、この第二項の、すなわち労務者就職及び従業に関する省令に関しましては、そのような意味から、これがここに廃止されることにつきまして、特に取立てて議論をするほどの必要を感じておりません。従いまして前二者に対しましては、これが廃止に関しまして労農党はこれを承認するものであります。  最後労働に関する団体主要役職員への就職禁止等に関する件の省令でありますが、これは今わが日本が両條約の発効に関連して、どんどんその姿を露骨に見せつつある軍事的な性格方向へ進行しつつある国の状態をさらに補強するために、あるいはそれに充足するために、この省令に指摘されておる産業報国会あるいは労務報国会、あるいは海運報国団、その他の反動的な諸団体役職員がここに解放されて、再びわが日本の戦時的な性格を推進するために、これら該当の諸君が、国の平和を撹乱するために立ち働こうとする心構えいよいよ可能にし、それを具体的に行動させるための條件を、ここに関連して用意されつつあることを思いまするならば、このような省令廃止が、かりにポツダム宣言受諾に伴う省令である関係上、手続的には廃止を当然とするといえども、その省令の持つておる性格から考えまして、ただちにこれにこたえるための次の用意がなされなければ、わが日本民主化、わが日本の平和の維持というものは、とうてい期待することはできないことになるわけであります。従いましてこれらの反動的な諸団体の中で、国の平和と民主化を阻害して参りました者、そして日本軍事化を推進して参りました者が、再びその役割を大手を振つて果そうとする態勢をつくることに、むしろ政府奨励を與え、協力を與え、あるいはこれにいろいろな好條件を與えようとする意図がここにほの見えまする関係上、われわれはこのような政府意図に対しまして決定的に反対をするものであります。そのゆえにか政府はごの提案の中で、もはやこのような国の民主化、国の平和への歩みを阻害した指導者に対しまして、「それらの指導者が、再び自由にして民主的な労働団体発展を阻害するとは考えられませんので、本省令は引続き存続せしめる必要は認められないのであります。」こういうふうにぬけむけと言い放つている点から考えてもわかりますように、われわれはかくのごとき政府方針に対しまして、決定的に反対をいたすものであります。従いましてこの第三の労働に関する団体主要役職員への就職禁止等に関する件に関しましては、決定的な反対意思表示をいたすものであります。従いましてこの三件が一括上程になるのでありまするならば、われわれはこの第二項のゆえに、すべてに対して反対をするという結果にならなければならぬことを予言するのであります。
  10. 島田末信

    島田委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本法律案賛成諸君の御起立をお願いいたします。     〔賛成者起立
  11. 島田末信

    島田委員長 起立多数。よつて法律案は原案通り可決されました。(拍手)  なお本法律案に関する委員会報告書については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 島田末信

    島田委員長 御異議がなければさよう決定いたします。     —————————————
  13. 島田末信

    島田委員長 次に労働行政に関する件を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。森山欽司君。
  14. 森山欽司

    森山委員 本日は帝国石油における組合役員不当解雇の問題について、御質疑をいたしたいと思います。帝石における労働組合は、昨年末の賃金やボーナスの件でストライキが行われまして、一時解決したように思われましたが、本年に入りましてから、会社側から突如として組合役員の首切りが行われました。新聞報道によると、組合会社の重役の不正を告発したので、それを会社機密漏洩だとして解雇したようでありますが、会社の中に国の法律を破るような不正があれば、それをだれが告発してもさしつかえない、それをやつたから首を切る、組合組合の決議によつてつたものを、組合幹部個人の首を切るというようなことは、組合活動の圧迫ではないか。団結権の侵害ではないか、この点について労働省側の御見解を承りたいと思います。
  15. 賀来才二郎

    賀来政府委員 帝石組合会社側の紛争がありまして、ただいま森山委員の御指摘の通り、会社側組合幹部業務妨害というような理由解雇をいたしております。七名だつたと思いますが、それに関連いたしまして組合側は、会社の経営の不正についての告発を裁判所に出した。また会社側組合役員業務妨害告発をいたした。組合はさらにこの馘首不当労働行為であるとして、中労委に提訴いたしました。中労委ではこの件は事柄の性質上、東京労委の取扱いにすべきであるというので、事案を東京労委の方に送致いたしました。目下東京労委でこれが不当労働行為についての審査を始めようといたしておることは、森山委員のおつしやつた通りであります。われわれといたしましては、この件が団結権の侵害であるかどうかということにつきましては、目下裁判所並びに東京都の労働委員会において審査されようといたしておりますので、この事実の概要につきましてはいろいろ調べておると思いますけれども、それがさような不当労働行為であるかどうかということにつきましての意見を申し上げることに関しましては、目下審議中でもありますので、善控えさせていただきたいと存ずるのであります。
  16. 森山欽司

    森山委員 今の労政局長のお話ですと、目下審議中であるが、その審議の結果によつては、何か帝石組合が経営権の侵害になるような具体的な争議でもあつたように思われるのでありますが、たとえば重役退陣のストライキとか、あるいはピケットを張つて社長を会社に入れないとか、面会を強要して退陣を勧告するというようなことでもありましたでしようか。
  17. 賀来才二郎

    賀来政府委員 さような事実があつた会社側で言い、組合側会社側片こういうような事実があつたといろいろ申しておるのでありますが、それにつきましてもやはり目下係争中の事案の審理にいろいろ関係して参りますので、当国会におきまする答弁につきましては、やはりはなはだ申訳ないのでありますが、差控えさせていただきたいのであります。
  18. 森山欽司

    森山委員 労政局長のお調べの事実を知りたいのですが、私が申し上げたのは例示といたしまして重役退陣のストライキ、ピケットを張つて社長を会社に入れないとか、面会を強要して退陣を強要したというようなことがあつたかどうかということを聞いておるのです。そんなことまであつたのかどうか。そのことはお調べになろうとなるまいと、事実あればある、なければないで、はつきりしておきたいのであります。
  19. 賀来才二郎

    賀来政府委員 今度の争議に関連いたしまして、重役退陣に伴うストライキがあつたとは聞いておりません。この件は賃金の問題に関連いたしましてストライキがあつた、かように承知いたします。
  20. 森山欽司

    森山委員 労政局長はもう五年以上にわたつて労働行政にあずかつておる方でありまして、従つてその方面の工キスパートでありますから、私から申出し上げるのはまことに僭越かもしれませんが、経営者退陣の要求ということにつきましては、一昨年昭和二十五年、京都の地労委命令が出ております。それによりますと、経営着陣の腐敗、無能力のために経営が極度に不癖に陷り、その結果労働條件がきわめて低下し、従業員の生活が極度に脅かされたときに、組合が経営者の退陣を要求することは、一般に従業員が使用者に対して労働條件に関する交渉を対等の立場に立つて行い得る事柄で、経営権の侵害でもなければ、不当な組合活動ともいわれないという、京都日日新聞事件の際の判定があります。帝石の場合はまつたくこれと同様でありまして、発端は八橋油田に関するコンサーぺーシヨンの問題、これは日本における最大の油田である八橋油田における採油方法が、技術的な合理性を欠いていて、いわゆる濫採をやつたということであります。そのために油層が崩壊して、とれる油もとれなくなる。そういう点で総司令部の天然資源局のスケソク中佐から警告を受けた。そこで会社は急に生産制限をして、収入が減りますから作業をやめる。従つて労働者は遊休状態になる。その反面、濫採によつて得た偽装利益を高額配当してしまう。それでは石油鉱業にとつて一番大事な確定埋蔵量の増加、新油田の発見ということができなくなり、首切りや低賃金の原因というものができるのでありまして、従業員の労働條件を守れなくなるのであります。そういう点から経営者に対して経営方針の転換を要求した。労働條件の維持向上のために、会社そのもの、石油鉱業の将来歩守る、そういう立場からの要求であつて何ら経営権の侵害ではない。その上組合はストライキもやつておりません。單に要求だけを提出して、機関紙その他に組合の主張を述べただけであります。組合活動として経営を批判したり、輿論に訴えたりすることは当然であつて、何も不当な組合活動ではない。高額配当に反対いたしましたが、そういう問題とか、重役退陣というような組合の要求をいれるかいれないかの決定は、株主総会が会社ではやるのであります。経営者は聞きたくなければ聞かなければいいのであります。それを一方的に経営権の侵害だと言つて組合役員の首を切つておる。組員の正しい批判すら押しつぶす。言論には言論をもつてするのが、これは民主政治のルールであります。こういうむちやな経営者のやり方を許しておくと、健全な労働運動は育つて参りません。その点についての労政局長の御見解を承りたい。
  21. 賀来才二郎

    賀来政府委員 ただいま森山委員の御指摘の個々の事実に関しましては、この事実の問題が目下係争中になつておりまする事案の審理の判断に、直接あるいは間接に微妙な影響があり得ると思いますので、個々の事実につきましてのお答えは差担えさせていただきたいと存ずるのであります。ただ一般論として申し上げますならば、労働者が自己の経済生活の維持、向上のために、組合の力をもちまして会社側にいろいろな要求をして、そこに紛争が起る。場合によりましてはストライキ行為も行われるということは、事実として存在をいたしておりまするし、最近さような事例がだん団、出て参つておることは事実であります。ただいま申し上げましたような條件のもとにおきまする紛争議自体は、違法とは考えておりません。しかしながら争い方の面容によりましては、われわれは不当なる争議行為というふうなものになるおそれもあると考えておるのであります。諸種の事情があつてやむを得ないかもしれませんが、われわれといたしましては、さような争議行為の起ることは違法ではありませんが、妥当ではない、かように考えておるのであります。
  22. 森山欽司

    森山委員 では伺いますが、告発の問題については、会社側の言うように信用失墜とか、名誉毀損だとかいうことがあれば、これは堂々と法廷で争えばいいわけです。何も組合役員解雇するという理由はないと思う。黒白がきまつてから、組合に対して損害賠償の請求をすることはできる。大体今回の解雇は、会社側組合役員が就業規則に違反した、だから懲戒解雇にしたと言つております。それは会社の重要な機密を漏らしたとやうことが理由でありますが、一方では組合が事実無根の事件を告発して信用を失墜せしめたからと言つて告訴しておきながら、他方では機密漏洩で首を切るということはおかしい。自分で不正行為がありますと言つているのと同じことなんです。大体就業規則というものはそんなに強いものか、国法によつてきめられた告発の権利までも制限するのか、そんなことが労働基準法にあるのかどうか、あるいは会社内の不正事実を正当な法律の手続によつて告発することが、正当な組合活動でないというようなことが労働組合法にあるのかどうか、承りたいと思います。
  23. 賀来才二郎

    賀来政府委員 組合活動の違法性あるいは妥当性ということにつきましては、ただいま一般論的に申し上げた次第でありまして、個々の事実につきましては、はなはだ恐縮でございますが、答弁は差控えさせていただきたい。一般論といたしましては、具体的な個々の事実に即して言わなければなりませんけれども、しかし一応労働者は自己の経済生活の向上をはかりますために、組合といたしまして会社側の経営についていろいろ希望申し述べるというふうなことから紛争議が起りましても、それ自体は違法とは考えませんが、妥当でない場合が多いということを申し上げた次第であります。
  24. 森山欽司

    森山委員 この点はこのくらいにしておきますが、信用失墜とか名誉毀損とかいうのは、むしろそういう不正問題を起した重役の行為の方に原因があるようであります。私の聞いたところでは、組合がこの問題を公表するまでには、かなりの筋道をふんでおるように思われます。その点はここに通産省の方が御出席になつておられますから、お伺いいたしたいと思います。通産次官は十二月六日、帝石組合代表と会見されて、帝石の重役の不正事件について説明を受けられたそうですが、いかがでしようか。
  25. 岡田秀男

    ○岡田説明員 目付は私はつきり覚えておりませんが、ただいまの日付のころだつたと思います。組合幹部の方が通産省の次官に面会を求めて来られまして、次官と官房長と私とその他もう一名くらいでございましたか、お目にかかりまして、組合側会社幹部告発しようと思うておるということ、その告発をするために用意された材料の一部についての説明を聽取いたしたのでります。われわれといたしましては、組合の方で告訴をされようとされまいと、特にしてもらつては困るとかしてくださいということを申し上げるべき立場ではございませんので、その点に対しましては組合幹部の方で自由に御判定を願うことにいたしまして、私どもといたしましては、いろいろな話を行政運営上の参考として聞かしていただいたわけであります。
  26. 森山欽司

    森山委員 帝石内部に不正があるということは、その前から国会において問題になつております。十一月二十二日の経済安定委員会においては、與党である自由党の志田義信委員が、この問題を取上げてこう言つております。「帝石内のこれらの問題は不日天下に明らかになると私は思つております。私の恐れることは、不日天下に明らかになる前に、行政府人たちがこれだけの処置をしたということを国民に見せるべきであると思う。それをしなければ皆さんの職責は勤まらない。」こう言つておる。しかも労働組合の方では順序をふんで、監督官庁である通産省のあなた方に告発状の内容まで見せて、重役の不正がどういうふうに行われておるかというからくりまで説明しておる。それであなた方は何らの措置もおとりになつておらない。それから国家の助成金で買つた機械を、スクラップとして売り拂つておるというようなことがあるのでありますが、そういう告発をやるならやれ、これではとりつく島がない。そうして会社から首を切られる。石油鉱業についてまじめに考えてやつた者が首を切られる。あなた方の事なかれ主義が、これだけの犠牲を出したという結果になつております。與党の志田委員もそのとき、與党でこの問題を取上げなければ、野党連合で取上げられる、政治的な問題になるから早く措置しろということをすでに警告しておるのです。速記録によれば、資源庁長官は、不正があれば嚴重な処置をとると言明しておられます。私は重役から聞いたのですが、検察庁ではすでに四トンに上る帳簿書類を帝石から押収しております。こういう重役に対してあなた方が処置をとられる前に、それを指摘した従業員が首を切られておる。あなた方はこういうような事実を起したことについて、どういう責任をおとりになるつもりでありますか。
  27. 岡田秀男

    ○岡田説明員 先ほど申し上げましたようなわけがらでございまして、その組合幹部からいろいろと材料と申しますか、告発のために用意されました事実の説明を拝聽いたしたのでありまして、私どもといたしましては、その点ももとより参考としながら、私ども責任でございますところの昭和二十二年度並びに二十三年度におきまして、石油資源開発法に基いて帝石に補助をいたしました機械があるのでございます。その機械の存在状態がいかようになつておるかということの調査を、その前からやつてつたのでありますが、なおさらにその調査を進めて参つておりまして、一応の状況は判明いたしたわけであります。なお多少不十分な点もございますので、その調査を続行中の状態でございます。組合の方が馘首されたということに関しましては、私どもといたしましては、特にどうというふうに申し上げかねる次第でございます。
  28. 森山欽司

    森山委員 お話を伺うと、通産省側では研究中だというようなお話であります。そういうことを言つてつておけばたいへんなことになるのであります。石油工業の将来というものを考えますと、非常にあぶない。組合はこうならない前に、通産省に対して事前の措置を要請しておる。それをあなた方がおやりにならない。だから首切りが出て労働問題になつたのであります。原因は日本の石油資源をいかにすべきかということにあるのであります。これは今日私の述べる範囲ではありませんが、ここでもう一度申し上げておくことは、通産省が労働問題だから知らぬというようなことを言つておりますと、とんだことになるのであります。大体帝石内部を改革しなければいけないということは、事情をよく知らない者でも大体常識です。それを通産省は今日までサボつてつたことは、事態を誤らしめたものであります。一部の官僚が帝石の重役と結託しているというようなことがいわれるのもここにあるのであつて、わが党の中曽根君が先般予算委員会でやつたのも同じ趣旨であります。また私の範囲外のことでございますが、いずれ行政監察委員会で取上げるというようなことにもなつているといわれております。この問題に関係があるから一言申し上げるのでありますが、先ほどまたそちらからもお話がありましたが、通産省として帝石の改革に手をつけていただくと同時に、助成金で買つた機械の不正処分について、すでに通産貧も帝石の検査を実施されたはずでありますが、それは一体いかがなことになつておるか。これは当然これから通産委員会や経済安定委員会でさらに問題が発展するようになるのじやないかと私は思います。
  29. 岡田秀男

    ○岡田説明員 この機械の検査といいますか、調査につきましては、私どもの方から帝石の方に公文書を出しまして、補助しました機械が現在どういうふうな状態になつておるかということの書面の回答を求めたのでありますが、その書面の回答が私どもとしてまだ意に満たぬところがございますので、さらに再調査を命じておるのであります。それによりましてさらに実地の調査も行いまして、先ほど御指摘になりました裁判上の係争問題とは別に、行政上の問題といたしまして、私どもの方は今後も調査を続行いたしたいと存じております。
  30. 森山欽司

    森山委員 目下調査中ということですか。
  31. 岡田秀男

    ○岡田説明員 さようであります。
  32. 森山欽司

    森山委員 一体結論はいつごろ出るか。ということは、この帝石の株の相当部分を現在政府が持つておる。これはもちろん大蔵省が保管しておるのかもしれない。しかし政府全体としてみれば株主権もやはりあるのじやないか。一国の石油資源行政をどうするかという問題もあります。また政府が株主になつておるという現実もある。しかもあなた方はいろいろ調査中というので、すでに国会が指摘してから今日まで二月、三月たつておる、その間に労働問題が非常に大きく発展しておる、こういうことをされるのはあなた方の責任じやないですか。従つて私が伺いたいのは、一体やるならいつおやりになるのかということ、行政官庁として、かつ帝石の相当部分の株を持つておる政府としては、いかなる態度をおとりになるべきか、明確な御返事を伺いたい。
  33. 岡田秀男

    ○岡田説明員 先ほども繰返し申し上げましたように、公文書によりまして帝石の方にこちらが補助いたしました機械が、補助しました当時から現在まで、どういうふうな状態に推移いたしておるかという二との書面調査を命じましたところ、返事は参つたのでありますけれども、その返事に意に満たぬところがありますので、再調査を命じまして、近く回答が来るものと予期しておるのであります。その結果によりまして、特に必要部分につきましては、実地調査もあわせ行いまして、そうして不都合な点がございますれば、法律の命ずるところによつて十分な措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  34. 森山欽司

    森山委員 いつごろ返事が来て、大体それに対する対策はいつごろお立てになれる、こういうお見通しを承りたい。
  35. 岡田秀男

    ○岡田説明員 三月一日に第二回目の再調査の命令を出しましたので、三月十日ごろには二度目の回答があるものと期待をいたしておるのであります。それを調査いたしまして不審の点がございますれば現場調査をいたします。それによつて不都合な点が明確に相なりますならば、その部分につきまして補助として出しました金を返さすのであります。われわれの行政上の措置といたしましてはさようなことに相なつておるのであります。
  36. 森山欽司

    森山委員 そうするとこれは大蔵省にも関係あると思いますが、現在政府帝石の株を持つておる、その株主の立場から、しかもそれは単なる私益的な意味じやない、公益的な石油資源行政という見地を含めて、帝石に対して、何らかの措置をおとりになるお考えはないのですか。
  37. 岡田秀男

    ○岡田説明員 先ほどちよつとお話が出たのでありますが、昨年の秋ごろから天然資源局の方から帝石の八橋油田に関しまして、コソサーべーシヨンの見地から、帝石側がガスを出し過ぎておる、あるいは濫掘をしておるという点についての御指摘があつたのであります。そうしてそれに対して会社側から天然資源局に対して、今後私の方はかような方針でやりますという回答を出しておるのでありますが、天然資源局の方では帝石側の回答を不満とされまして、さらに資源庁側に対して帝石側が守つて行くべき基準についてひとつはつきりしたものを出せというお話があつた。資源庁といたしましては、東大の上床教授を委員長といたします本件に関する特別の諮問委員会を設置いたしまして、そこで種々御検討を願いました結果、一つの線がはつきりと出て参つたのであります。それを資源庁長官の命といたしまして、十月十九日に帝石に勧告の形として、出したのであります。帝石といたしましては、右の勧告に対しましてこれを欣然受諾するという講書を出しております。帝石はそれによつて大体採掘の上においてはやつておると思うのでありまして、それが遵守されておりますならば、コンサーべーシヨンの見地から、現在の油田が特に破壊されるとか、鉱利が失われるということはないはずになつておるのであります。私どもとしてはこの勧告が十分に行われるように今後も十分の監視をいたしますとともに、別途現在衆議院で石油並びに天然ガス資源の開発法案を御審議願つておるのでありますが、これがもし今国会で審議成立を見ますならば、今度は勧告という形ではございませんで、法規に基きまして、帝右側とされましては一定の基準によつて採油をされることに相なるのでありまして、油が失われる率も今後非常に改善されるものと期待しておるのであります。資源庁としては、もしこの勧告が遵守されておらぬということがありますれば、黙つて見ておれぬわけではありますが、ちやんと講書も出しておりますし、われわれの見ておるところでは大体のところやつておるものと見ておりますので、今のところどうこうと急に措置する必要はなかろうと、その点からは考えておるのであります。
  38. 森山欽司

    森山委員 あなたのお話を伺うと、従来のコンサーべーシヨンに関する勧告案を会社受諾してやつておる。それから今後石油開発に関する法律ができる、だからその法律で将来はやつて行くというお話です。それで政府が石油資源行政という見地から、しかも政府帝石の株の相当部分を持つておるという裏づけも持ちながら、これらの勧告の線、あるいは将来の開発法の線だけで、今後の帝石の経営——これは一帝石の経営といいますと一会社でありますけれども、実際においては日本の石油資源をどうするかという問題です。それをただそういう画一的な勧告とか法規とかいうことだけで、一体お片づけになろうとしておるのか。私はそういうような画一的な形式的なやり方については納得できないのでありますが、しかしあなたは、コンサーべーシヨンに関する第一次、第二次勧告というものに対して、これをサボるような秘密指令が、帝石の経営者側から出たのを御存じないのですか。
  39. 岡田秀男

    ○岡田説明員 たしか今年の一月二十七日付でございましたか、帝石の本社から秋田の鉱業所に指令がありましたて、八橋油田の七つの鉱井につきまして、勧告の線より若干違つた方法によつて、実験的な意味合においてその探油をやつてみろという社外秘の指令が出ておることは、承知いたしております。
  40. 森山欽司

    森山委員 あなたは先ほど勧告とか法律とかいうものの線に沿つてやる、但しそういうような線にはずれたようなことがあつたら、行政的に出動するつもりだというお話もあつたように思う。ところが今言つたように、ちやんとそういうような勧告を破るような秘密指令が出ておりながら、あなた方はなぜ傍観しておるか、理由を承りたい。
  41. 岡田秀男

    ○岡田説明員 さような事実を承知いたしましたので、私どもの方といたしましては、係官を現地に派遣いたしまして、その事実なりやいなやを調査いたしましたところ、大体事実であるということを確認いたしましたので、それに関連しまする諸般の事項について、会社側に対して質問状を正式に出しまして、回答を求めておる状態であります。
  42. 森山欽司

    森山委員 そういう秘密指令が事実であるということをお認めのようであります。会社からどういう返事が来るか存じませんけれども、ともかく通産省としては、明らかに法規的、形式的な措置をすべき段階をもうすでに越えておる。行政的な何らかの措置をもつてつて行く必要のある段階になつておるのではないですか。
  43. 岡田秀男

    ○岡田説明員 会社側のその指令に対しまする動機が那辺にあるか、その他私どもの方といたしまして、疑問と考えております事項について、箇條書にいたしまして、会社側の回答を求めておるのであります。その回答の結果によりまして、この勧告違反という問題関するわれわれの態度をきめて行きたいと考えておるのであります。
  44. 森山欽司

    森山委員 それはいつごろまでに回答をとる予定でありますか。
  45. 岡田秀男

    ○岡田説明員 これも私どもが出しましたのが三月初めでございまして、十日前後には回答があるものと期待しております。
  46. 森山欽司

    森山委員 もしその回答に納得ができない場合には、通産省は法規的、形式的措置のほかに、いかなる措置をとる腹構えであるか、承りたい。
  47. 岡田秀男

    ○岡田説明員 ただいまちよつとその点まで申し上げるのは、ごかんべんを願いたいと思うのであります。
  48. 森山欽司

    森山委員 問題は、こういう不正に対して処置がとられない前に、それを指摘した者が首切りという犠牲を受ける。こういうことがはたして健全な組合運動発展させるものかどうか。重役に不正があつて労働者が被害をこうむる、あるいは役人が腐敗して国民が泣いておる。そういうようなことを実際政治の衝に当る者が粛正しないで、かえつて被害を受けている弱い者を圧迫し、そのために憲法で保障されている団結権も侵害される。そういうようなことで今後の日本経済再建に不可欠である健全なる労働組合運動が望まれますか。各国の歴史を見ましても、革命はいずれも支配的立場にある者の腐敗堕落から起つている。その不正を正すという真剣な努力をなす労働者を圧迫すれば、労働者は自然極左的になり、共産分子の宣伝におどらされるのであります。この帝国石油の場合は、新産別に属しておるところの組合であります。新産別というと、一般的には総評の左派、あるいはもつと左の方と考えられておりますが、少くとも共産系の組合ではない。今度首切られた幹部諸君は、個人的に申しますと、いずれも穏健なる指導者ばかりであります。しかし穏健だからといつて、やるときにはやる。不正腐敗に対しては最も強い。一体帝石は共産党とは最もよく闘つた組合であります。かつて昭和二十三年、東宝、東芝、帝石の三大争議がありましていずれも赤が指導した争議であります。帝石はその中で民主化運動で徹底的に共産党と対決し、彼らを組合から追い出して組合の建直しをいたしました。最も組合的にやつたのであります。赤を追い出すときは、たいてい会社の力を借りて、あとで御用組合になつてしまうというのが一般の例かもしれません。ところが帝石はそうではない。だから今は帝石という一企業内の組合でありながら、新産別の中心組合になつておるのであります。新産別と申しますと、平和擁護原則とか中立政策とかは国際情勢をいかに見るべきかという点から、私どもの考え方とは大いに違う。しかし今度の問題はそういう政治問題ではない。労働者が正しいことをやつて圧迫される。與党の議員諸君ですら、帝石経営者の不正については痛憤しておる。そういう現状を国会の労働委員として無視することはできないのであります。いわゆる階級政党でないといわれる人たちは、とかく労働組合のことはタッチしないという非難を受けるが、それは階級的政治闘争だけのことで、組合のことにすべて反対だということではない。そうでなければ今後の日本の再建に不可欠な健全なる労働運動は発達しないのであります。労働者の力を無視して独立国としての日本の存在はあり得ません。戦前のようなテープ・レーバーの労働者の人格無視、団結権の否認というような反動的態勢への逆行はだめであります。労働者資本家と対等の人格を認め、団結権を保障するのがそれであります。だから正当な組合運動をしている組合役員の首を切つてはいけないという労働組合法の規定ができておる。その点について労働省としても十分お考えにならなければならないと思います。帝石組合幹部のような比較的着実な指導者ですら、簡單に首を切られるということは、今後の組合運動にも大きく影響いたします。労政局長昭和二十三年の帝石争議、これは三千名ばかり首切りをした争議でありますが、そのころから帝石の事情にかなり詳しいと伺つております。その点で今後の帝石問題を労働行政立場から一体どう考えるか、伺いたいと存じます。
  49. 賀来才二郎

    賀来政府委員 労働行政立場といたしましては、一般的に労働組合の健全な発達をはかつて行きたいということで終始いたしておりまして、ただいま森山委員の御指摘のように、帝石組合がかつて非常に極左的な方向に走つておりました。それが自主的にだんだん健全な組合運動に転化いたすようになりまして以来、私は帝石組合の動向については非常に注視をいたしておるのであります。従いまして今度のような事件が起りまして、それがために組合運動自体が健全性を失うことがあつてはならないということを考えておるのでありまして、今度起りましたこと自体の違法性、あるいは適法性、あるいは善悪自体につきましては、これは先ほど申しましたように目下のところは、やはり意見を申し述べますことは差控えさせていただきたい、かように考えておりまするが、事件自体につきまして労使間に、しかも帝石においてかような事件が起りましたこと自体、非常に遺憾と考えておるのであります。しかしながら目下労働委員会等におきまして、公正な立場において審議されておりますので、その結果を待ちたいと思つておりますが、一般論といたしましては、この組合が正常な発展を続けて行きましてそうして石油鉱業自体が振興をするように、われわれといたしましてはできるだけ協力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  50. 森山欽司

    森山委員 労政局長はなかなか帝石の御事情には詳しいのでありますから、ただ労働委員会の結論が出るまで黙つて見ているというようなことではなく、あるいは何か名案を考えられているかもしれませんが、またこの複雑な石油問題も、それぞれのところで解決の道をこれから発見されると思います。私も研究しております。ただ先ほど通産省側にもお話申し上げましたように、実際においてはコンサーべーシヨンに関する第一次、第二次の勧告、これを帝石の経営者は秘密指令を出して破つておる。これは昔ならば占領政策違反で、今度石油開発法ができれば懲役になる行為であります。こういう遵法精神に欠けた帝石の経営者であるのであります。労働組合諸君が自分たちの職場を守るために、やむにやまれず事を起したことは私はよくわかります。またそのやり方も必ずしも行き過ぎていないと思う。それでいて首を切られる。他のいろいろな問題をあとまわしにしましても、これだけはやめさせなければいけない。これは明らかに組合への干渉であります。大体組合活動を就業規則にひつかけること自体おかしい。いずれも組合活動のゆえに首を切られている。この点について帝石会社側のやつた不当解雇は取消させなければいけない。労政局長にその点について大いに努力せられるようにお願いする次第であります。
  51. 島田末信

    島田委員長 本日はこの程度にて散会いたします。次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。     午後三時二分散会