○
中原委員 私は
労働者農民党を
代表いたしまして、ただいま
議題にな
つておりまする
ポツダム宣言の
受諾に伴い発する
命令に関する件に基く
労働省関係諸
命令の
廃止に関する
法律案、内容的には三件にわかれておる点に対しまして、
労農党の
立場を明らかにいたしておきたいと思うのであります。
まず第一の
労務充足に関する件でありまするが、この
労務充足に関する件に関しましては、今取立てて時間を費す必要もないと考えますので、この
廃止に関してはこのままこれを承認いたすことにいたします。
第二の
労務者の
就職及び
従業に関する件につきましては、このような
省令が公布されてお
つたにもかかわりませず、実際はこの
省令の中で指摘している部分が、具体的に
労務者の
労働権保護のため、あるいは
生活権を防衛するために役立
つておらなか
つたということを、遺憾ながら指摘しなければならぬのであります。本来
政府はいろいろな
法律を出しますけれ
ども、
労働階級の
生活権を防衛し、
労働階級の
基本権を守るためにはそれが役立たないで、かえ
つて逆に
労働階級の
生活を圧迫し、
労働権を蹂躪するためにこれが運用されるということが、過去の事実を通じて明瞭にな
つておるわけであります。従いまして、今ここにこの
命令の
廃止の動機とな
つておりますいわゆる両條約の
効力発生に関連いたしまして、今後わが
日本の
労働階級は、どのような
労務條件の中に制約をされようとするかについて、私
どもは非常に
懸念を持
つておるものであります。いなむしろ
懸念ではなくて、恐るべき
労働階級に対する庄追、
労働階級の
基本権を否定せんとする
態度、そしてその具体的な動きをすでにわれわれは発見し、これを指摘しなければならぬことをはなはだ遺憾に存じておるものであります。これらのことに関しましては、いずれ一般
労働問題に関連する
質疑等を導まして、われわれの
見解を明らかにいたしたいと考えておりますが、この第二項の、すなわち
労務者の
就職及び
従業に関する
省令に関しましては、そのような意味から、これがここに
廃止されることにつきまして、特に取立てて議論をするほどの必要を感じておりません。従いまして前二者に対しましては、これが
廃止に関しまして
労農党はこれを承認するものであります。
最後の
労働に関する
団体の
主要役職員への
就職禁止等に関する件の
省令でありますが、これは今わが
日本が両條約の発効に関連して、どんどんその姿を露骨に見せつつある軍事的な
性格の
方向へ進行しつつある国の
状態をさらに補強するために、あるいはそれに充足するために、この
省令に指摘されておる
産業報国会あるいは
労務報国会、あるいは
海運報国団、その他の反動的な諸
団体の
役職員がここに解放されて、再びわが
日本の戦時的な
性格を推進するために、これら該当の
諸君が、国の平和を撹乱するために立ち働こうとする心構えいよいよ可能にし、それを具体的に行動させるための
條件を、ここに関連して用意されつつあることを思いまするならば、このような
省令の
廃止が、かりに
ポツダム宣言受諾に伴う
省令である
関係上、手続的には
廃止を当然とするといえ
ども、その
省令の持
つておる
性格から考えまして、ただちにこれにこたえるための次の用意がなされなければ、わが
日本の
民主化、わが
日本の平和の維持というものは、とうてい期待することはできないことになるわけであります。従いましてこれらの反動的な諸
団体の中で、国の平和と
民主化を阻害して参りました者、そして
日本の
軍事化を推進して参りました者が、再びその
役割を大手を振
つて果そうとする態勢をつくることに、むしろ
政府は
奨励を與え、
協力を與え、あるいはこれにいろいろな好
條件を與えようとする
意図がここにほの見えまする
関係上、われわれはこのような
政府の
意図に対しまして決定的に
反対をするものであります。そのゆえにか
政府はごの提案の中で、もはやこのような国の
民主化、国の平和への歩みを阻害した
指導者に対しまして、「それらの
指導者が、再び自由にして民主的な
労働団体の
発展を阻害するとは考えられませんので、
本省令は引続き存続せしめる必要は認められないのであります。」こういうふうにぬけむけと言い放
つている点から考えてもわかりますように、われわれはかくのごとき
政府の
方針に対しまして、決定的に
反対をいたすものであります。従いましてこの第三の
労働に関する
団体の
主要役職員への
就職禁止等に関する件に関しましては、決定的な
反対の
意思表示をいたすものであります。従いましてこの三件が
一括上程になるのでありまするならば、われわれはこの第二項のゆえに、すべてに対して
反対をするという結果にならなければならぬことを予言するのであります。