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柄澤委員 そんなことを伺
つておるのではないのでございます。さつきも申しましたように、占領下であるということで、あらゆる
労働運動が国内法規に優先した極端な例もございます。これは決してわずかの数ではございません。四十万以上の進駐軍
関係の
労務者だけでも、私
どもの方にもまた
国会に対しても具体的な例をあげまして、国内法規が無視されておることが訴えられておると思うのであります。こういうことに対しまして、
行政協定が結ばれ、駐留軍の直接の
労務者にこれらの
人々がなると、さらにその範囲が拡大されましてあなた方の
代表がおつしや
つておられる無條件協力の線で、
安全保障條約が実施されることになりますと、公益事業の範囲が拡大されて、相当広汎な層の
労働者が公益事業に反するということで、今までの国内法規以外の軍令というようなものの直接の支配を受けるような事態にさらされていることが、今の全
労働者の、全国民の不安の的にな
つていると思うのでございます。そういう具体的な問題からはずして御
答弁をされても困るのでございますが、伺いたい具体的な問題は、東日電工の下丸子工場でございますけれ
ども、ここで明らかに、この前も
吉武大臣の御
見解を承りますと、
日本の
労働者というものは国内法規で措置を受けているはずだという御
答弁であ
つたのでございますが、明らかに直用でもございません。向うの直用でも何でもないところの
日本の
労働者の
労働組合の
組合員が、会社から軍令だということで、即時に、即刻職場から呼びつけられて、職場に帰ることもできずにつれ出されて馘首にな
つておる。しかも受けましたところの解雇通達には、明らかに軍の示達ということが書いてある。その軍示達という
命令でも
つて馘首されている
労働者は、一言も反駁することができなか
つた。軍示達ということで今後の就職の見通しが全然ない。
組合運動のくの字も知らないような、四人も子供のある未亡人、二十才になる青年とか、結核でも
つて現在入院していて、
組合運動なんかや
つたこともないというような
労働者が、その中に入
つている。こういう事実があるのでございます。こういう問題について
組合は取上げて司令部に交渉したところが、司令部の方では、私
どもは軍
命令ということでや
つた覚えはない、
日本の
労働組合の
組合員である
労働者に対して、軍
命令でや
つたことはない。こう
言つておる。
組合もそのことを会社に言うと、会社は軍令でや
つたのだと言う。
労働者はその間にはさま
つて生活権を奪われるという、生きることもできなくなるというような重要な問題についてとりすがるすべがない。どうしてもこれは
国会で問題にしていただくよりしかたがないということを
言つているのでございます。こういうことにつきまして、ここでは明らかに
労務充足に関する件というようなものを
廃止して、まことに独立した春風駘蕩たる伸び伸び伸びとした
労働運動というものが認められて、
労働者の生活権も十分確保される。それが條約後の
日本の姿だというような御
見解で、もし
吉武労働大臣がここでそういう無責任な御
答弁をなさるとするならば、私
どもは実情を知らない無責任な
答弁だとして
大臣の責任を追究しなければいけないと思う。その問題につきましてやはり進駐軍に対して
日本人が強制的に
労務者を出せという問題を
廃止して民主的になるのだという、このこと
自体はわれわれは賛成でございます。こんなものはなくなるのは大賛成であります。しかしそのことと
現実にやられておること、臭いものにはふたをして、それはそれでほ
つておいて何にも手をつけないでおいて、こういう
法律を出すという欺瞞性と申しますか、そういうものはやはり掘り下げて、この際
関連して
政府の態度をはつきりここでお聞きしておきたいと思います。