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1952-02-20 第13回国会 衆議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十日(水曜日)     午後二時四十七分開議  出席委員    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 福永 健司君    理事 船越  弘君 理事 森山 欽司君    理事 前田 種男君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    篠田 弘作君       山村新治郎君    石田 一松君       柄澤登志子君    青野 武一君       中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  賀来才二郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君         労働事務官         (職業安定局         長)     斎藤  邦吉君  委員外出席者         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 浜口金一郎君     ――――――――――――― 二月十五日  委員倉石忠雄君及び川島金次辞任につき、そ  の補欠として小坂善太郎君及び松尾トシ子君が  議長の指名委員に選任された。 同月十八日  委員小坂善太郎君及び松尾トシ子辞任につき、  その補欠として倉石忠雄君及び川島金次君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十日  倉石忠雄君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 二月十三日  夏時刻法廃止に関する請願前田種男紹介)  (第六六〇号)  けい肺特別処置法制定に関する請願青野武一  君紹介)(第七二九号)  川南工業株式会社香燒島造船所従業員失業救  済対策確立等に関する請願前田榮之助君外一  名紹介)(第七四〇号) 同月十八日  けい肺特別処置法制定に関する請願外三件(苅  田アサノ紹介)(第七九四号)  同(冨永格五郎紹介)(第八六四号)  失業保険法の一部改正等に関する請願青野武  一君紹介)(第七九五号)  結核回復者雇用国家的措置に関する請願(三  宅正一紹介)(第八三五号) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  けい肺特別法制定に関する陳情書  (第四六二号)  同  (第四六三号) 同月十八日  けい肺特別法制定に関する陳情書  (第五五二号)  同(  第五五三号)  同(第五五四  号)  同  (第五五五号) を本委員会に送付した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  小委員会における参考人招致に関する件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く労働省関係命令廃止に関する法律  案(内閣提出第一七号)     ―――――――――――――
  2. 島田末信

    島田委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたしますが、去る十五日理事倉石忠雄君が一旦委員辞任されておりますので、ただいま理事の数が一名欠員となつております。この際理事補欠選任を行わればなりませんが、これは前例により委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島田末信

    島田委員長 御異議なしと認めます。それでは倉石忠雄君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 島田末信

    島田委員長 次に珪肺病対策小委員川島金玉君も去る十五日一旦委員辞任されておりますから、ただいま珪肺病対策小委員が一名欠員となつております。この際小委員補欠選任を行わねばなりませんが、これも前例通り委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 島田末信

    島田委員長 御異議なしと認めます。それでは川島金次君を珪肺病対策小委員指名いたします。     —————————————
  6. 島田末信

  7. 柄澤登志子

    柄澤委員 先日京浜港湾設備視察に参加したのでございますけれども労働省当局意見などを承りましても、港湾全体の情勢を把握いたしますのには、大阪神戸並びに問題のあります九州、また雪の問題のあります北海道等の、少くとも神戸大阪ぐらいの視察はやりました上で、なおそれらの代表も参加させました上で、議事を運んでいただきたい。そうでなければ、正しい情勢の把握というものはできないのじやないかというような意見が、るるとして述べられているのでございます。あとでやるというようなことでございまして、とりあえずとにかくやれということでございますが、差迫つて、今明日中に行政協定の問題が問題になつて来ておるような逼迫した中で、港湾荷役の問題は非常に重要な役割を占めると私は考えておるのでございまして、でき得れば今回少くとも大阪神戸だけでも、この代表として労使両側からお呼びいただくことを提案したいと思います。
  8. 島田末信

    島田委員長 柄澤君の御希望に対しましては、十分考慮して努力いたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 島田末信

    島田委員長 御異議なしと認めます。以上十六名の諸君を小委員会参考人として招致することに決定いたしました。なお小委員会参考人を招致する日時の決定等につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  10. 島田末信

    島田委員長 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係諾命令廃止に関する法律案内閣提出第一七号を議題として、質疑を続けます。石田一松君。
  11. 石田一松

    石田(一)委員 大臣はきようお見えにならないのでございましようか。
  12. 島田末信

    島田委員長 もう少し遅れる予定です。見えることは見えるでしよう。
  13. 石田一松

    石田(一)委員 私の質問しようとすることは政治的な問題であるので、特に大臣の御答弁を得たいと思うのでありますが、政務次官がかわつて答弁くだすつてもけつこうですが、相当大きな問題だと思うのです。と申しますのは、最近の日本国内情勢というものは、両條約の効力発生に伴いまして、何か時代が逆行しつつあると、こういうことはすでにいずれの言論機関においても堂々とこれが述べられ、しかも心配され、おそれられているところなのであります。そういう際にあたりまして特に占領治下に置かれた日本労働行政の面で、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件という、たとえばここに三案出ておりますが、これらのものが少くとも連合軍最高司令官命令によつて出されたということは、労働組合運動民主化のためには、まことに大きな意義があつたと、私はこう思つております。そこで私は簡単にお尋ねしたいと思いますことは、両條約の効力が発生して、日本がいわゆる完全な独立国なつた、そうなりますと、こうした諸命令というものはなくてもいい、再び元にはもどらないのだからいいというようなお考えで、これを出されているらしいのでありますが、私はこの今議題となつております一と二の問題については、それほど異論はないと思うのであります。と申し上げますのは、一の問題はすでに占領軍というものがなくなる以上、その最高司令官命令というものは、むろん労務の提供というものはあり得ないのでありますから、これは当然にでも私は廃止されていいものだと、こう思います。また同じくこの二の命令に関しましても、もちろんこれは、この提案理由の中にも書いてあります通りに、現在労働基準法の第三條にこれと同じ趣旨のものが規定してあるのでありますから、これは法律的に言いましても、今までこの命令が存在していたこと自体が、私たちはちよつと奇異な感じを抱くくらいで、これは当然に廃止されていいと、こう思います。問題となりますのは、特にこの最後労働に関する団体主要役職員への就職禁止に関する件、これであります。この提案理由を、私は幾度も繰返し読んで見たのでありますが、ここに述べられた趣旨理由としては、この命令が当然に廃止されなければならぬという理由と  はならないと思う。と申しますのは、先ほどもちよつと触れたのでございますが、この第三の最後説明に、「今日におきましては右に述べました本省令制定趣旨はすでに達成されたと認められ、またわが国労働運動の現況から見まして、本省令廃止いたしました場合においても、本省令により指定を受けておりますような戰時中労働団体あるいはそれらの指導者が、再び自由にして民主的な労働団体の発展を阻害するとは考えられませんので、本省令は引続き存続せしめる必要は認められないのであります。」こう言つてありますが、これらの人々が再び日本の民主的な労働組合運動を阻害するとは考えられぬというのは、だれがこれを考えられぬと考えたのであつて、しかもだからこれを廃止してもいいということを説明趣旨となさつておるのですが、これは今この委員会あるいは国会がこれを廃止していいと決定するときの、一つの国民的の視野に立つて廃止理由にはなりますが、提案者がこのことを言つて廃止理由にしようとしていられるのですが、これには何か法律的な根拠があるのか。もう一つお聞きしたいことは、この命令にかわるべき法律がどこかにあるのか、このことをまず二点だけお聞きいたしたいと思います。
  14. 賀来才二郎

    賀来政府委員 この政令に基きまして、一応就職禁止されておりましたものは、約二万一千二百名であります。そのうちほとんど大部分は大日本産業報国会労務報国会役職員であつたわけであります。過去五箇年にわたりまして、それらの人々状況視察して参り、かつまたそのうち特別に数名特別会員でおられた方がありますが、その人の状況を見て参りますと同時に、労働組合全体の動向から見まして、この政令の意図しておりますような就職禁止状況を続けて行く必要はない、かように考えたのであります。過去五箇年間の実績から見ましても、われわれといたしまして、今後こういう政令を続けて行く必要はない、かように考えた次第であります、今後これをさらに別な法律の形でやるかという御質問でありますが、さような意向を持つていないのであります。
  15. 石田一松

    石田(一)委員 過去五年の実績に徴して、もしこの省令廃止しても、今後そうしたおそれはない、こうおつしやいますが、それは過去五年の間はこの省令があつたから、むしろおそれがなかつたのであります。この省令廃止すれば、そのおそれが多くなつて来ることだけは、これは事理明白でございます。しかも最近労働組合運動等を実際に見ましても、一つ組合がある経営側、あるいはいわゆる反動的とか何とかいう言葉を使われますが、そうした右翼がかつた方の財力、権力、暴力等によつて、非常に今まで民主的であつたと思われる労働組合までが、右に右にと移行し、またある場合には国鉄の組合等においてもちよつと見られたところですが、右と左の二つの組合に分裂する、こういうような状態がすでに今日においても見られつつあるのであります。そういう際に、この省令があつたからこそ、今賀来政府委員のおつしやつたような実績が生れたので、これがなくなれば再びこれらの人が、そうしたこの省令がおそれている、危険視しているところの状態にまた帰つて来る、そういう状態をかもし出して来るということは、私は常識的に判断しても当然であると思うのであります。特に私たちの知るところでは、最近私の選挙区であります東京の北区方面の大きな工場等におきましては、さながら日本戦時中における産報的な、むしろそれ以上の苛酷な労働條件のもとに、何らの異議さえも唱えることもできず、われわれの日本国民労働者が、いわゆる軍需産業的な労働に従事させられておるのであります。こういう現実があるにもかかわらず、この省令廃止して今後そうした組合を、これらの人々がまた役職員になつて、戰時のような反動的なものにすることはない、こうもしお考えになるとしたら、たいへんな錯覚ではないか。特にこの際強調したいことは、こうしたりつぱな省令政令というものを、平和條並び安保條約等が成立して独立国家になるから、ポツダム宣言によるところの諸命令廃止するということに便乗をして、これら役職につくことを禁止されていた人々が、労働組合に再び参加してこれらのものをまた大きな力で、再び昔の産報のごときものに持つて行かせようとするところの下心があるのではないかと、私たちは疑いたくなるくらいの便乗的な廃止案じやないかと思うのであります。その理由とするところは、もしそのただいま賀来政府委員がおつしやつた二万一千二百名のそうした就職禁止に該当していた人々の中で、過去においてすでに数名はその禁止解除されておる、こうなつておるのであります。そういたしますと、これはおそらく第一條の第二項によりまして、主務大臣の認定によつて個人的に就職禁止解除することができる、この條項によつて数名のものが解除をされたのであろうと思います。もしこの二万一千二百名の人々の中で、この人ならば役職についても、あるいはもし解除しても、決してこの政令が、省令が心配しているような方向には行かない、こういう見きわめがついたときには、労働大臣に権限があるのでありますから、この省令を残しておいても、現在政府が意図しておるところの、この省令廃止したと同じような効果は得られるのであります。そうだとすれば、これほどりつぱな省令を、他の当然法律的にも実際的にも政治的にも廃止されなければならないものと便乗をさせて、三つの案を一まとめにして出すということについては、非常に疑義があると思うのでありますが、政府としてはこの際、この最後就職禁止に関する廃止というもの一つだけを、これから削除する意思があるかないか。もう一つは、その他労働省関係でこうした諸命令のうちで、何か生きて残るものがあるかどうか、そういう点についてちよつと説明を願いたいと思います。
  16. 賀来才二郎

    賀来政府委員 石田委員もすでに御承知と思いますが、その政令は二十一年に出ましてから、その後一部改正をされまして、一般公職追放該当者全部も、労働組合役職員になれないという改正がなされておるのであります。ところがこの一般公職追放該当者は、ほとんど解除をせられておるのでありまして、これらの人は当然その方からこの政令関連を持つて来るわけであります。ところでこの一般追放該当者解除せられておりますのと、この政令によりまして労働関係から追放されておりました産業報国会あるいは労務報国会該当者と比較いたしてみますると、この政令によりますものは、単なる労働関係だけでありまして一般公職追放者よりも、もつと簡易な事情で労働関係からのみ追放されておつた人であります。従いまして一般追放解除の取扱いと並行して考えてみますると、われわれといたしましては、当然この政令解除されてしかるべきものと考えておるのであります。もう一つは、先ほど申しましたようにわれわれといたしましては、現在の労働組合自主性の強さの状況でありますとか、あるいはその労働組合の持つておりまする力の将来の見通しであるとかいうふうな点から考えますならば、労働組合自体の力を信頼してしかるべきものである、かように考えておるのであります。従いましてこの政令廃止政府としては再考するという考え方ば持つておりません。なおこのほかにかような政令というものは、労働省関係では残つていないと考えております。
  17. 石田一松

    石田(一)委員 ただいまの賀来政府委員説明によりますと、一般追放該当者というものも、今回ほとんど全部が解除された、しかもこの政令一般公職追放者にも該当するというような改正がなされておる、しかしなされておりましても、実質的に一般追放者は、解除されたのでありますから、これには該当しないことは当然であります。ただこの政令なるものが特に目的としましたところは、日本戦争中において、労働組合巣食つていたところのいわゆるボス的な、非民主的な考えを持つた役職員、幹部というものを、再び日本労働組合巣食わせて、労働者の生活の脅威あるいは生命の脅威等を惹越させてはいかぬ、こういうところにあるのだと私は思います。しかし今政府委員のおつしやつたことによりますと、公平の原則か何かに従いまして、十分にその程度においてはこの労働組合にのみ関係のあつたいわゆる就職禁止人たちは、一般追放解除者よりも範囲が非常に狭かつたのだから、一般追放解除者解除されたのだから、これも解除さるべきである、こういう議論に立つていらつしやるようでございますけれども、私は実にこれは危険な考え方であると思うのであります。と申しますのは、これは自分意見を申し述べて恐縮でありますが、一般追放解除者が、すでに心から民主的なりつばな日本人となり得たから、であるからこれが全部解除されたと、こういうのではないのではないのでしようか。これは私の考えますところでは、それらの人が昔やつたと同じようなことを、再びここに繰返させることが必要であるから、昔の人の一般追放解除した、私はそのことを非常に憂えておるのであります。(「改進党はどうだ」と呼ぶ者あり)改進党は改心しておりますから……。私は非常に重要問題だと思うのです。要するに今日の日本人が、日本国家が自由なる、平和を愛する、真に民主的な国家なつたから平和條約を結んだのじやなくて、戦争中のいわゆる日本人あり方、一部指導者によつて指導されたあのあり方というものが、再びここに必要になりつつあると考え人たちが、日本を元の姿に返そうとしての條約であり、しかも私はこうした追放解除著であると、こう思うのであります。そうだといたしますと、先ほど私が申し述べましたこの政令廃止することによつて再び組合運動にこれらの人が自由に活躍できるような立場を與えることになると、私はこう考えるのでありますが、これはもちろん見解の相違でありまして、もうこれ以上私がつつついてみても、撤回する意思もなければ何 もないとおつしやるので、ただこの際私は強く希望といたしておきますことは、労働行政の面でも特にこの点は要するに十分な考慮を拂つて、もし今後そうしたおそれがおくびにでも出るということがあつた場合には、ちようど第二のように労働基準法の中に挿入されるよう、こうした形で労働組合法の一部でも何でも修正するとかいうようなことが、そういう場合には善処されると、こう十分なる御留意あつて、本問題を今後善理されんことを特に希望いたしまして、質問を終ることにいたします。
  18. 柄澤登志子

    柄澤委員 大臣おいでになりましたのが早急でありましたが、賀来政府委員のお話の中に、労働組合の力を信頼して政令廃止し、再考することは考えていないという御意見であつたと思います。そのことがつけ加えられておつたのだと思うのでございます。そのことはこういうふうに了解してよろしゆうございますか。私どもがそう信ずるのではないのでございますが、賀来政府委員の御見解の、つまり労働組合が再びこれらの人たち指導者にはしないということをお考えになつてのことでございますか。そういたしますと問題がちよつとかわつて来ると思うのでございますが、そういう御見解でございますか。
  19. 賀来才二郎

    賀来政府委員 私どもが現在の労働組合の実情を見ましてあるいは過去五筒年間におきまする労働組合の歩みから考えまして、将来の状況を推定いたしましても、おそらくこの人々を、全部という意味ではございませんが、労働組合といたしましては、再び戰前りような労働運動の感覚を持つている人は、自分組合に入れることはないものである、かように確信をいたしているのでございます。
  20. 柄澤登志子

    柄澤委員 もつと具体的に申しますと、戦争中に組合を解散して政府戰争政策に協力した、労働者戦争にかり立てた指導者たち、こういう者が今の政令廃止することによつて、再び労働運動指導者になるはずはないという前提に立つてであるとすれば、ここに述べられておりますところの提案趣旨はちよつと違つておる、大分食い違いがあると思うのでございますが、そういうように了承してよろしゆうございますか。
  21. 賀来才二郎

    賀来政府委員 私は先ほど来申し上げておりますことと提案理由と違うように考えておりません。
  22. 柄澤登志子

    柄澤委員 せつかく大臣がお見えになりましたので、大臣の御答弁を得たいと思いますが、自由党の中でもいわゆる民主的な労働組合にすべきだ、労働組合運動行き過ぎはいかぬということでレッド・パージに協力し、いわゆるアメリカ的な民主的な労働組合をつくるということにずいぶん協力しておいでになりました吉武労働大臣なので、その点では自由党の中でも労働運動についてはエキスパートだと、こう私ども考えているわけであります。この労働組合運動というものが、今石委員からも指摘されましたように、民主的な労働組合運動という名のもとに、やはり国の方針従つて公共の利益に従つてやるべきだというので、今行政協定のいろいろな問題の対象になつて来ると思うのであります。非常に深い関連を持つておると思うのでありますが、つまり戦争中の二万数千の指導着たち追放されました理由というものは、政府方針を無批判に受入れ、無批判侵略戦争労働者をかり立てて、うしろからしりをたたくようにして労働強化に追い立て、組合を解散させたというところにあつたのではなかろうかと思いますが、労働大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  23. 吉武恵市

    吉武国務大臣 戦時中につくられましたいろいろな産報その他の組織は、自主的に民主的にできた組合でない。従つてそういうものは困るということで追放なつたわけであります。その後六、七年の間に民主的な組合というものは、御承知のようにどんどんと言つて参りました今日では、もうほとんど大部分組合というものは、自主的にできていると私は思つている。従つて戰時中にそういう産報その他の指導者がかりに解除になりましても、もうすでに今日では育つて来た新しい民主的な労働組合を左右する力は私はないと思つている。従いましてもうすでにこういうものを置いておく必要はないじやないか。かように存ずるわけであります。
  24. 柄澤登志子

    柄澤委員 問題はもつと具体的で深刻なのでございます。戦時翼壯というような指導的な人たちが、現実に今度の新しい東京選挙などでも、やはり新日本建設のためにということで、指導者として反共を振りかざして打つて出ております。こういう人たち札幌あたりに参りましておやりになつたことは、演説などを伺つておりますと、言つていることは、労働者の切実な越年の要求などを行き過ぎだということを言つて、やはり組合運動行き過ぎておる。しかも何らかの思想によつて煽動されておるのだというようなことで、これに対しまして抑圧しよう、あるいは分裂して別に組合をつくろうというような、一つ役割を買つているのであります。そういうことが安全保障條約を実施されました後の日本現実状態としてあるのでございますが、この法律廃止されることによつて、公然と乗り出して来る機会を與えるのではないかと考えるのでございます。その点について労働省はどう考えていらつしやるか。これは見解の相違じやないと思うのでございます。
  25. 吉武恵市

    吉武国務大臣 そういう昔翼壯その他に関係された方がパージ解除になりまして、いろいろな意見を述べられるということは、自由な世の中においてはあることだと思います。それは禁圧すべきものではないと考えますが、その考え方が極端に右に走つたり左に走つたりしますと、民主的なものを阻害すると私は思います。北海道でどういうことがあつたか知りませんが、今日の組合あり方が、全部が全部非常に民主的で正常な動きをされていると私はまだ思いません。一部には行き過ぎた行き方をされている向きもあると思います。従つてそういう動きに対して批判が起ることはやむを得ないのではないか。ただその批判をされた場合に、それがまた極端に右の方に行つて、そうして組合を指導する力を持つかどうかということになりますと、先ほど申しましたように、すでに今日日本労働者は目ざめておりまして、民主的なあり方を十分心得ておりますから、間違つた指導をしようといたしましても、労働者はついて行かない、かように存じております。
  26. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいまのお話を承りますと、日本労働運動は非常に民主的で、何らの障害もなくスムースに行つているように聞えるのでありますが、現実は越年のわずかな要求でも、武装警官が乗り出すような状態だと考えているわけでございます。港湾関係ども、小委員会で当然やるべきだと思いますけれども、業者が明らかに脱法している。脱法していることを業者自身が認めている、にもかかわらず基準局や労働省が手を出せない。どうして出せないか。暴力もあるし、金の力もあるかもしれない。それ以上にやはり裏づげとなつている予算とか定員とか、こういうものが全然ない。それからまた警察権力がのしかかつて、業者その他にも応援している。そういう諸條件が民主的な労働運動を阻害する方向に持たれて行くときに、この法律が出されることが危険だ、私どもとしてはそういうふうに考えるわけでございます。ですから、労務充足に関する件というような前半の政治主格のものと、三の労働に関する団体主要役職員への就職禁止等に関する件を二つにわけまして——再軍備戦争態勢へ持つて行こうとしておいでになる政府方針のときにこれが出されることは、むしろ政府自身の戦争政策を、戦争に動員させた人々を生かして、ここで部署を與えて使つてやろうという意図だと、はつきり確認されるようなことをおやりになることになる。これは二つにおわけになつてはどうかと思うのでございますが、そういうお考えはございませんか。
  27. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私はそういう考えを持ちません。元来世の中はできるだけ自由な方がいいので、あまりどうだこうだといつて法律で拘束することは、よくないのではないかと思つております。それを批判するのは、国民が自由に批判すればいいのであつて、国民に批判の力がないと危険ですが、もう今日では国民には十分批判の力がついておると存ずる次第であります。それから越年闘争に対して警察がどうだとかおつしやいますが、正直にいつて今日の警察がそう労働組合運動を抑圧するとか、権力に押されてやるとかいうことは考えられません。むしろそれは柄澤さんは自分で御意識になつておるかなつていないか存じませんが、労働組合運動の中にはどうも不自然なものがあると思うのです。正常な組合運動は私どもどうも弾圧するつもりはございませんが、やはり中にはまだ不自然な、無理をされておるものがある。それに対しましては警察としても治安上ほつておくわけには行きませんで、やはり出るわけであります。これは相対的のものでありまして、組合がまじめにやられれば、警察が出るようなわけはない。組合の方であまりけたはずれの動きをされると、どうもほつておけなくなるのだと私は思つております。
  28. 柄澤登志子

    柄澤委員 周囲からそういうふうなことを聞かされていらつしやるのかもしれませんが、春風駘蕩とした、まことに穏やかな、何の弾圧もなく、自由があつて、スムースに労働組合運動がやられ、闘争をする方が不自然なんだという印象を受けるような御答弁だと思います。しかし私どもの方では、それは見解の相違だと言つて済まされないほどの具体的な問題を持つておるわけで、これに関連して、少し一、二の点をこの際明らかにしていただきたいと思います。それは労働運動は民主的な形でやられて、民主的以外のものだけが弾圧されるのだというふうな御見解でございますが、すべて日本労働者はそういうふうな状態に保障されておるとお考えなんでございましようか。あるいは占領下にあつて非常に無理な状態があつたのだが、これは占領下だからやむを得なかつたのだという御認識の上で、そういう御意見が出て来ておるのでございましようか、この点を伺いたいと思います。
  29. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は民主的なものだけを認めて民主的でないものは弾圧をすると言つたことはございません。民主的であるかないかというのは、それぞれの組合の持たれるあり方だと思うのですが、法治国家においては、法に触れれば法の処断を受けることは当然だろうと思います。従つて今日の状況は、占領下なるがゆえにあるということではなくて、公共の福祉を守る上においだは、労働運動についても一定のわくというか、軌道があるのは当然のことである。これは独立後においてもやはり当然あるべきものであつて、無軌道で自由で何をやつてもいいというような基本的人権はないと思います。
  30. 柄澤登志子

    柄澤委員 そんなことを伺つておるのではないのでございます。さつきも申しましたように、占領下であるということで、あらゆる労働運動が国内法規に優先した極端な例もございます。これは決してわずかの数ではございません。四十万以上の進駐軍関係労務者だけでも、私どもの方にもまた国会に対しても具体的な例をあげまして、国内法規が無視されておることが訴えられておると思うのであります。こういうことに対しまして、行政協定が結ばれ、駐留軍の直接の労務者にこれらの人々がなると、さらにその範囲が拡大されましてあなた方の代表がおつしやつておられる無條件協力の線で、安全保障條約が実施されることになりますと、公益事業の範囲が拡大されて、相当広汎な層の労働者が公益事業に反するということで、今までの国内法規以外の軍令というようなものの直接の支配を受けるような事態にさらされていることが、今の全労働者の、全国民の不安の的になつていると思うのでございます。そういう具体的な問題からはずして御答弁をされても困るのでございますが、伺いたい具体的な問題は、東日電工の下丸子工場でございますけれども、ここで明らかに、この前も吉武大臣の御見解を承りますと、日本労働者というものは国内法規で措置を受けているはずだという御答弁であつたのでございますが、明らかに直用でもございません。向うの直用でも何でもないところの日本労働者労働組合組合員が、会社から軍令だということで、即時に、即刻職場から呼びつけられて、職場に帰ることもできずにつれ出されて馘首になつておる。しかも受けましたところの解雇通達には、明らかに軍の示達ということが書いてある。その軍示達という命令でもつて馘首されている労働者は、一言も反駁することができなかつた。軍示達ということで今後の就職の見通しが全然ない。組合運動のくの字も知らないような、四人も子供のある未亡人、二十才になる青年とか、結核でもつて現在入院していて、組合運動なんかやつたこともないというような労働者が、その中に入つている。こういう事実があるのでございます。こういう問題について組合は取上げて司令部に交渉したところが、司令部の方では、私どもは軍命令ということでやつた覚えはない、日本労働組合組合員である労働者に対して、軍命令でやつたことはない。こう言つておる。組合もそのことを会社に言うと、会社は軍令でやつたのだと言う。労働者はその間にはさまつて生活権を奪われるという、生きることもできなくなるというような重要な問題についてとりすがるすべがない。どうしてもこれは国会で問題にしていただくよりしかたがないということを言つているのでございます。こういうことにつきまして、ここでは明らかに労務充足に関する件というようなものを廃止して、まことに独立した春風駘蕩たる伸び伸び伸びとした労働運動というものが認められて、労働者の生活権も十分確保される。それが條約後の日本の姿だというような御見解で、もし吉武労働大臣がここでそういう無責任な御答弁をなさるとするならば、私どもは実情を知らない無責任な答弁だとして大臣の責任を追究しなければいけないと思う。その問題につきましてやはり進駐軍に対して日本人が強制的に労務者を出せという問題を廃止して民主的になるのだという、このこと自体はわれわれは賛成でございます。こんなものはなくなるのは大賛成であります。しかしそのことと現実にやられておること、臭いものにはふたをして、それはそれでほつておいて何にも手をつけないでおいて、こういう法律を出すという欺瞞性と申しますか、そういうものはやはり掘り下げて、この際関連して政府の態度をはつきりここでお聞きしておきたいと思います。
  31. 吉武恵市

    吉武国務大臣 東日本重工の問題につきましては、この前も柄澤さんからお話がありましたが、これは注文するものと注文を受けるものとの間に、何かしらの契約があるということは私も聞いております。それが実際にあつたかどうかは存じませんが、聞いております。あるいはあるかもしれない。しかしそれはその個人というか、注文するものと受けるものとの間の契約でありまするから、その契約が日本の国内法の労働立法を優先してやるということは、私ども考えられない。従つてその契約に基く行為が日本労働法規に違反すれば、やはり法の保護は受くべきであります。でありますから、たとえば不当労働行為であれば、不当労働行為救済の道がございます。また基準法違反であれば、基準法によつて保護を受くる道があります。ただ私は決してその個々の行為については存じませんから、個々の行為を全部是認をするとか否認をするということではないのですけれども柄澤さんのお言葉を聞きますと、解雇はもうすべて不当であるというふうにおとりになると、それは私はその労務の性質においては、進駐軍労務ばかりでありません。一般労務に率いても、やはり働く者が不適当であるとか、あるいはどうも困る者であるということになれば、やはり解雇という問題は起ると思うのです。ただそれが不当に解雇されるということになれば、そこに初めて法の保護というものがあるわけでありますから、それにつきましては私どももちろん法の適用がある以上は、法を守るべきだと私は思います。従つて今度の行政協定におきましても、駐留軍が労務を持ちまする場合に、それは直接の雇用の関係になる場合、あるいは間接になる場合もございましようが、いずれの場合においても私は労働法規が適用せらるべきものであるということで、目下折衝をしておるわけであります。
  32. 柄澤登志子

    柄澤委員 そういたしますと、東日重工の場合は軍命令ということが事実でないとして、もし軍命令だとして会社が馘首したというのであれば、不当労働行為だと思いますが、その点は大臣どうお考えでございますか。
  33. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私はそれが即軍命令であつて、基準法違反だと思いません。兼準法には基準法にちやんと規定がございまして、その規定に準拠してやれば合法であります。ですからそれは個々の問題について見るよりほかないのであります。ですからもしお示しの点があれば、私は具体的にその点を調べます。
  34. 柄澤登志子

    柄澤委員 ぜひそれはやつていただきたいと思うのでございます。また当委員会といたしましても、でき得れば各党党派を越えまして、ぜひこの問題につきましては労使双方を呼びまして、事実の究明をやつていただきたいと思うのでございますけれども、大森の職安と五反田の職安に、米軍示達という解除理由の解雇書を出しまして、失業保険の手続をしたということを言つております。ですからこれは職安の方をお調べ願えればわかると思うのでございます。このことは参議院の予算委員会でも衆議院の予算委員会でも問題になりました。日本人全体の人権の確保、働く権利を確立する。独立したといわれる以上、日本労働者というものは国内法規で保護されるのだ。またされなければならないと吉武さん自身も言つていらつしやるのですから、その事実を品だけでなく、抽象的でなく、事実をもつて一々示してもらわなければいかぬと思う。私どもは陳情を受けました事実をもつて政府に責任を明らかにしてもらいたいと思つているのでございます。決してこれは架空の事実でも何でもないのでございますから、このことにつきましては、委員会はあげて事態を明らかにすることに対して、私ども協力したいと思つておるのでありますから、ぜひこれを調べていただきたい。また監督していただきたい。会社の不行届きを処罰していただきたい。労働者を復職さしていただきたい、こう思うのでございます。
  35. 吉武恵市

    吉武国務大臣 実は私どもはそういう問題がありましたとき調べました。調べた結果によりますると、あなたがおつしやるような違反の行為はあつたとは思つておりません。ですからもし違反の行為があるということであれば、お示しをいただきたいのでありますけれども、あなた方のお言葉を聞いてみますと、解雇されればその解雇がみな不当の解雇のようにおつしやるけれども、それは相当の事由があつて解雇になつておるということであれば、やむを得ないと思います。
  36. 柄澤登志子

    柄澤委員 それではお聞きしたいと思うのでございますが、呼ばれた労働者はこう言われたそうでございます。部長連中が会議室に呼びまして、守衛が十人以上取囲んでいた会議室に呼びまして、非常にお気の毒だ、米軍の命令だからいたし方ない、私どももどうも何にもできないということを言つたそうでございます。理由は何だと言つたところが、保安上のことだ、保安上だと言つたそうでございます。その四人の子供をかかえた未亡人の方は、私は四人の子供をかかえて、決して疑わしいようなことはしなかつたはずだ、実に気をつけて愼重に生活して来たし、残業をしろと言えば、して来たし、組合運動にも参加して来たわけでもない、無理な基準法違反もやつて来ました、それでも保安上の理由で首切られるとは心外だということを言つている。それ以上のことはわからない。一切理由は言えない、国内法ではないんだということを、はつきりと当事者は言つているのでございます。それでも違反ではないのでございますか。どこに正しく首切つたという根拠があると大臣はお考えになつておりますか。
  37. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは具体的に調べませんと、私も一々については申し上げかねるのでございますが、会社としては、その者を会社に置くことを不適当と考えて解雇したものと考えておりおす。
  38. 柄澤登志子

    柄澤委員 不適当だということは、保安上の理由は言えないことだということにはならないと思うのでございます。不適当だというのはどういうふうなのか。それでは事実米軍の示達というものを差示したということは、吉武大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  39. 吉武恵市

    吉武国務大臣 具体的なことについて見なければわかりませんが、かりに進駐軍の方からの示唆があつたかないかは別といたしまして、とにかくその者を工場に置くことは不適当である、こう思つて解雇するということであれば、やむを得ないと思います。
  40. 柄澤登志子

    柄澤委員 このことについては、なお組合でも取上げてやつているそうでございますから、ぜひひとつ当委員会として、ここだけで済ませずに、その機会をつくつていただきたい、こう考えておるわけでございます。つまり正当な労働組合運動をやつた指導者というのは、十三名馘首された中で、わずか二、三名だそうであります。それも党員であるというような事実はないそうであります。しかも今申しましたような二十才になる青年とか、婦人というのは、まつた組合運動にすら関係を持つたことがないということでございまして六千人おります労働者のうち、本雇いは二千人、あとは直用と日雇いと臨時工ということで、腰かけにかけることもできない。米軍の監督が直接いろいろなセクシヨンに入つて来ておりますし、特審も入つておるそうでありますし、さらに守衛がいるそうでありますし、それに職階制がありますし、五重、六重、七重というような鎖の中で労働者は働いておるのでございます。でございますから参議院の予、算委員会、衆議院の予算委員会でも問題にいたしましたように、ぜひ日本労働者には、日本国会日本の国内の法律も手が伸びないのだというところのないようにしていただきたい。独立したというならば、その証拠をひとつここで見せていただきたい。ぜひそれでやつていただきたいと思うのでございます。
  41. 島田末信

  42. 青野武一

    青野委員 私は時間がありませんから、この次の労働委員会にまとめて御質問したいと思いますが、最初に吉武労働大臣に御質問したいと思いますのは、労働に関する団体主要役職員への就職禁止ちよつと関係しておるのでありますが、一番先に簡單にお尋ねしたいのは、この廃止案を出されたのは、政府の責任において、はつきりした見通しの上に立つて出されたのか、これを先に伺つておきたい。
  43. 吉武恵市

    吉武国務大臣 そうでございます。
  44. 青野武一

    青野委員 そうでございましたら、労務報国会とか産業報国会とかに関係をいたしました労働運動者のいわゆる幹部と称する人たちが、戦争中に果しました役割は、私が申し上げるまでもなく、大臣の方が詳しいと思いますが、それは私は九州の関係ですが、具体的な実例だけでも三十や五十じやない。飛行隊なんかに無理に学校から勧めて入れましても、それがほとんどからだに生傷の絶えないような非常にひどい目にあいつつ、最後は特攻隊で南方の方にやられた。学徒動員にしても、あるいは炭鉱の労働者にいたしましても、この産報労務報国会関係いたしました当時の労働組合運動の幹部と称する人たちが犯した戦争に対する役割というものは、今考えても相当重大性を持つておる。従つて今私のお尋ねしたいと思いますることは、現在の国鉄の一部の中から起つている愛労運動、それから北海道、九州を基盤にして動いておりまするフアツシヨの運動、これは現実に行われておる。軍事基地化されようとする全北海道に対して、獄中で転向された有名な共産党の昔の関係者がフアツシヨの諸君と手を握つて、北海道防衛運動という名によつてつておる。九州におきましては、西日本建設国民連盟とかいう名前をつけまして、おつてもおらぬでもいいという政治評論家の学者が五、六人顔を並べて、満鉄の理事をしておつた諸君がのこのこ今ごろ出て来ておる。満洲協和会の幹部が一連の気脈を通じておる。どうかすると自由党にこのごろ入党したとかせぬとかいつておりまする言論会の大物までが、その運の中に顔を入れて、そうしてすることが、製鉄の労働者よ、炭鉱の労働者よ、戦争すればアメリカは必ず勝つ、諸君の生活の基礎は職場にある、炭鉱を守れ、製鉄の機械に直面しておるときには職場を守れ、こういう露骨な戰争へ戦争へとすでに労働組合の中に頭をつつ込み、外部から内部からフアツシヨの運動が勇敢に展開せられておることは事実であります。こういう諸君をも含めて、この主要役職員のこのポツダム宣言に基いたものをもし廃止せられるようなことになりますならば、自由な立場にして行きますならば、賀来政府委員に御質問いたしました石田委員言つておりましたが、これは民主的な将来の労働運動に大きな障害を来す、しかも背景には言論機関あり、金力、権力があり、また東條内閣が戰争を起そうとする前夜の様相をつくつて行く。意識的にそういう行き方が全国各地に行われつつあるときに、こういう諸君を自由な立場にするということは、大きく燃えている火災に石油をぶつかけるような結果になりはしないか、私は現実の具体的な問題を握つておりますから、こういう点について非常な危険性を感じておる。政府の責任においてこの廃止法案を出されるということになりますれば、そういう点についてどういうお考えをもつてなされたのか、この点が非常に大切だと思いますので、お尋ねしておきたいと思います。
  45. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘のような動きがあるかどうかは私はまだ聞いておりませんが、かりにそういうものが出ましても、今日の日本労働組合はもうしつかりと意識しておりまして、私はそういうものについて行かないと思います。これは青野さんもよく御存じだろうと思います。そんなものがかりに出てうまいことを言つてみても、もう過去において苦い経験を持つておるのでありますから、経験がないものであればうまいことを言つてだまされるかもしれませんけれども、もうすでに経験を経た日本労働者でありますから、決してそういうものになびくとは存じません。
  46. 青野武一

    青野委員 一番先に御質問をいたしましたように、この廃止案は政府の責任において提案した、それから産報労務報国会その他そういつたような団体関係をしておりました諸君を今自由な立場にしても、大して日本労働組合はこれに飛びつくようなことはない。だから心配することはない、こういうお考え政府側は持つておるということに、一応私の方では承つておきます。  その次に、時間がありませんので、もう一言本日の委員会でお尋ねしておきますが、私は十三百にB二九の墜落現場に党から視察に行きました。たまたまその帰りに横田基地で働いております日本労務者約四千名、その代表から——五時十分ころでしたから、いきなり汽車に一ぱい乗り込んで来ました。そのときに聞いたのでありますが、具体的な材料は相当持つております。たとえばきようは十人、二、三日すると五十人、多いときには百人、こういつた程度に、とにかくいきなり解雇される。一銭ももらえない。それではあしたからさしあたり食うことに困るからと言うと、われわれは諸君の家族の生活まで見る責任はないのだ。それも今柄澤委員も言いましたように、取立てて解雇しなければならぬ理由はあまりないのです。それから一月十五日に私は佐世保に参りましたが、ここでは七千名の諸君が——国連軍関係、陸、海、空軍で三万人おるそうですが、その人たちの下で働いておるのが約七千名、労働組合組織しておりますのが五千名、その代表者に二、三十名集まつてもらつて私は座談会をいたしましたが、そのときも相当具体的な陳情を受けました、それは日本人では判断のできないような理由、それで寝耳に水でぽかぽかと首を切られる。こういうことは毎日茶飯事のようにやられておるといつた状態であります。これはどうしても労働省が中心になつて、国内法のもとに、日本労働法規のもとに、解雇すればするように、法規に基いて解雇する。そうしないと何か言語の関係、習慣の関係で、ちよつと感情にさわるといきなり五人か十人、あるいは二十人がすぐにその職場から追われて行く。特に飛行場の周辺あたりでは、農家の次男へ三男あるいは家族の人が、横田基地あたりは相当行つておりますが、毎日夜晝何十機というものが、爆弾を事実上十トン程度積んで、どうかすると墜落をして人が死ぬ、家を焼かれる。その上に働いておる。そうして予告なしにすつぱりと首を切られる。そういう飛行場周辺なんかにおります日本人諸君は、労働者も、また住宅を持つております人も、非常に危險な地位にさらされておるし、不安な状態がずつと続いておる。こういうことを一方的にしてもらつたのでは、せつかくつくつておる日本労働立法というものが、骨拔きになるのではないか。平和條約の発効を目前に控えて、こういうことが平気でなされると、勢い行政協定の中にこういう規定が持ち込まれるおそれもある。やはり日本労働者の最低の生活を保障するには、何と言つて政府、特に労働省が先頭に立つて、こういう誤れる方針を改めて行く。これについて必要がございますれば、幾らでも資料を提供いたします。具体的な材料を持つております。こういうことは東京の周辺の飛行場のぐるりでは常に行われておりますので、ひとつこういう点について、はつきり労働委員会大臣の御意見を発表しておいていただきたいと思います。
  47. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私も一々の具体的な事例をつかんで申し上げるのでないのですから、はつきり申し上げかねますけれども、もし国内法に違反した行為があれば、これは当然注意すべきであり、是正せらるべきことであると私は考える。ただこれは私の想像でありますから当らないかもしれませんが、従来日本労務の管理と申しますか、労働事情というものは、アメリカの労務の管理の事情と比べると、私はルーズな点があると思うのです。たとえば工場の中へ入つてみましても、仕事をしているうちにタバコを吸つているとか、腰をおろしているとかなんとかいうことは、これは別に違反だとかどうとかいうことを感じないで、普通の、あたりまえのように感じられる。しかしながらアメリカの工場内では、時間はきちつとやるかわりには、就業時間中はまたきちきちと仕事をするというふうな習性があるわけであります。従つて日本でただ工場の中で普通認められておるような状態でやつておるのに、どうしておれは解雇されたのだろうかという場合でも、アメリカの国内あたりなんかの労働事情から見ると、そんな人を使うということはもつてのほかだというようなことは、よく私どもは聞くことであります。私は具体的の事例をつかんで言うのではございませんから、誤つておるかもしれませんけれども、もしそういう事情であるとするならば、それは働く者もある程度考えませんと、働く方は普通になまけておつて、ただ解雇をけしからぬというだけでは、この問題は解決できない。しかしまじめに働いておるにもかかわらずぽかぽかやられるということは、お話の通りこれは決してほつておくべきことではございません。私ども今後の独立後における駐留軍の労務関係も、もちろん日本労働法規というものは適用されるべきものであるということで、目下折衝されておるわけでありますが、それに間違つた点があれば私どももちろん注意もいたしますし、努力もいたしますが、同時に働く者におきましても、やはり改むべきものは改めて行くという行き方をとらなければならぬかと思います。これは抽象的でございまして、具体的の事例でございませんから、間違つているかもしれません。しかしそういう点はあるいは考えられるところじやなかろうか、さように存じます。
  48. 青野武一

    青野委員 これは方角違いなので、あとから発言なさる委員にまことに恐縮ですが、厚生大臣を兼任せられておりますので、わずかの時間ですから希望を申し上げておきます。七日のB二九墜落の金子村では、現場に行つて見ますと、約百軒のうち二十軒ばかりは、寒風と雪の中で、建物も何もないところで吹きさらされて、一銭の金ももらえずに生活に困つておる。いろいろむつかしい手続はあろうと思いますが、財政的なことは小さい村では間に合いません。できるだけ早く調査を完了して、厚生省規定に基いて前渡し金でもやらなければ、年寄りや小さい子供が取残されて、バラツクで寒さにふるえております。規定はどうあろうとも、政府はあたたかい気持をもつて一応何ぼかの前渡し金でもやるなり、あるいはガラスを入れるなり、戸を立てるなり、焼けて吹つ飛んでおるようなところで、非常に苦しい生活をしておる諸君を保護するために、早急に手を打たないと、三月も四月もたつて規定の金をやつたのでは、冬はもう済んでしまいます。横田基地あたりでは、十一月十八日にB二九が激突してから三箇月に近いのに、まだ一銭の金もやつていない。十分の調べも届いていない。しかもその調べ方が、この茶わんは何年前に何ぼで買つたのか、その値段は幾らかというようなばかな調査をしておりますらか、三箇月たつても被害者に対して一銭の金もやつてないのです。そういうことがやはり今度の金子村でも行われると、現実に生活に困つておる諸君がたくさんおります。そういう点はひとつ早急に手を打たれるように希望いたしまして私の質問を終ります。
  49. 中原健次

    ○中原委員 関連する事項について、一つだけ大臣に伺いたいと思います。それは先ほど柄澤委員の熱心な御質問の中にありました軍需工場内における、いわゆる軍令馘首とかいわれる馘首の事実について、大臣の御答弁の中で、何でもそれは一つの契約が発注者と受注者の間にあるらしい。そういう契約は国内法に優先するとは思われない、こういう御意見なんです。私どももそう思います。そこでその受注契約の内容について、実は知らないわけではありませんが、合衆国の何か軍需調達規則やらいうものがあるそうです。そういうようなものを承認した上で受注者が仕事を請負つておる、そういうようになつておるようですが、しかしここで問題になるのは、その調達規則の中の内容に盛られておる事項が、わが日本の憲法並び労働関係諸法規の精神並びに具体的な條項に背反する。こういうことになるならば、この契約は問題にならないであろうか、こういうことなのです。これについてひとつ大臣の御見解を承りたい。
  50. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は注文する方が注文を受ける方に向つて條件として持ち出している契約でございますれば、契約それ自身に成り立つのじやないかと思う。その契約に基いて行う個々の行為が国内法に触れれば、触れたときに違反になる、かように存じます。
  51. 中原健次

    ○中原委員 そこでその行為が憲法並び労働関係諸法規に抵触するような現象を出した場合に、当然これは国内法によつてその不当な労働行為に対する処断があるべきものだと私どもは期待いたしますが、そこでそういう疑義のある事件が起つております場合に、その疑義のある事件に対してその真相を追究し、これを明らかにして、少くとも政府はこの問題に対して、ただそういうことがあつたそうだというのじやなくて、かなり被害者側にもこのことが問題になつておる場合でありますから、積極的にこの問題について究明するというお考えをお持ちであるかどうか。並びにこれは委員長にお願いでありますが、労働委員会としても、ただいま柄澤委員からも御要望がありましたようですが、そういう事項であるならば、その関係労使双方に委員会に御苦労を願つて、その真相を明らかにするということの必要はあるのではなかろうか、こういうふうに思いますので、これも委員会の方でしかるべく委員長の方から御考慮を願つておきたいと思います。これは大臣並び委員長の御見解を承つておきたいと思います。
  52. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は先ほど柄澤さんにも申し上げましたごとく、こういう問題があるというので調べましたところが、私どもの調べたところでは、法律に違反をしたとは考えられないわけであります。
  53. 島田末信

    島田委員長 ただいまの希望でありまするが、よく理事会で協議することにいたします。  それでは本日はこの程度をもつて散会いたします。  次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。     午後四時三分散会