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1952-02-21 第13回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十一日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席分科員    主査 苫米地英俊君       井手 光治君    江花  靜君       角田 幸吉君    栗山長次郎君       中曽根康弘君    藤田 義光君       林  百郎君    成田 知巳君    兼務 上林榮吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (大臣官房会計         課長)     齋藤 常勝君         警察予備隊本部         長官      増原 恵吉君         警察予備隊本部         装備局長    中村  卓君         警察予備隊本部         経理局長    窪谷 直光君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  加藤 陽三君         国家地方警察本         部警視正         (総務部会計課         長)      三輪 良雄君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         検     事         (法務総裁官房         経理部長)   天野 武一君         法務事務官         (矯正保護局         長)      古橋浦四郎君         検     事         (中央更生保護         委員会事務局         長)      齋藤 三郎君         外務政務次官  石原幹市郎君         外務事務官         (大臣官房長) 大江  晃君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     高野 藤吉君         入国管理庁長官 鈴木  一君  分科員以外の出席者         検     事         (法務総裁官房         主計課長)   富田 正典君         外務事務官         (大臣官房総務         課長)     高橋 通敏君         外務事務官         (アジア局第五         課長)     上田 常光君         外務事務官   吉田 嗣延君     ――――――――――――― 二月二十一日  第五分科所属員上林榮吉君が本分科兼務とな  つた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算内閣総理府、  法務府及び外務省所管  昭和二十七年度特別会計予算総理府及び法務  府所管     ―――――――――――――
  2. 苫米地英俊

    苫米地主査 これより第二分科会を開きます。  午前中は、昭和二十七年度一般会計予算のうち法務府及び外務省所管及び昭和二十七年度特別会計予算法務府の所管を一括して議題とし、質疑を行います。
  3. 上林山榮吉

    上林委員 分科会で適当だと思いますので、本会議あるいは予算委員会、その他の委員会で論及して常に政府に要請しておりますところの奄美大島の問題について、具体的に二、三その後の経過あるいは見通し等について私はお伺いいたしたいと思います。  御承知の通りのような結果になりましたので、奄美大島鹿児島県の一部でありながらも非常に不便を感じておつたのでありまするが、これに対しましてまずわれわれが要請した点は、交通を自由にするということが第一点。第二点は貿易を自由にする。第三点は為替送金等を簡素化する。第四点は内地への入学等を自由に簡單にする。その他これに類した問題が二、三あるのであります。たとえば同じ資格を持つてつた者が学校の教員をしていて、内地に来た場合同じ扱いをするという問題、あるいは公務員恩給等に関する連絡調整の問題、こうしたような問題も私どもるる要望して来たのでありまするが、なかんずく渡航の手続はあまりに長くかかりまして、申請してから半年くらいでようやく許可になる。それも一部しか許可にならないというような不便を感じて来ておりましたが、これなどはやや最近緩和されたという話もありますけれども、それがどの程度になつておるか、これらの問題についてひとつお答えをまずお願いしたいと思います。
  4. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 ただいま奄美大島との交通その他いろいろの問題についてお尋ねがあつたのであります。たくさん並べましたいろいろの問題の詳細につきましては、ここで詳しくお答え申し上げる資料をただいま持つておりませんので、ごく概略なことでございまするが、お話になりましたようないろいろな問題につきましては、政府といたしましてもただいまもできるだけいろいろ力を盡しておりまするし、今後も善処するつもりであります。ただいまのところでは通信制限が若干緩和されておるように聞いております。それから関税も、たしか日本内地同様の取扱いなつたかに聞いておるのであります。それから今交通お話がございましたが、これも参議院の方でも先般お話が出まして、奄美大島の、問題は違いますが、返還方に関する請願も出ておりましてこれらに対しまして極力善処する所存であるということを、参議院委員会でもお答えしたのであります。詳細につきましてはいずれまた別な機会に詳しく申し上げたいと思います。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 石原政務次官就任早早でもあるので、私この問題についていろいろ質問することはどうかと思いますけれども、この問題はわれわれ鹿児島県人はもちろんのこと、ことに日本民族としての大きな問題も別に考えなければならないが、こうしたような切実な問題を忘れることはどうしてもできないのであります。この問題は参議院委員会等においてもそういう話があつて、ただいまのような答弁をしたのだというようなことでありまするが、私はそういうようなことではまことに遺憾しごくに存ずるものの一人であります。十何名も外務省の方々が来ておられて、わずかそれだけの答弁しかできないというようなことでは、これは大きな外交、大きなその他の国際問題を取扱うだけに時間を費さなければならぬということもわからぬではありませんが、身近な問題を、ただいまの御答弁ではあまりにも閑却しているのではないかという気持を私は持つておる。そこでお答えができないということであれば、私が今示した問題について、この分科会が終らないまでに正確な今までの経過並びにきまつた点等についてお示しが願いたいと私は思います。  なおただいまのところでは通信の問題が内地と同様になつた、こういうのでありますが、内地と同様になつたということは、これは料金も同じである、あるいは時間等も何ら制約を受けていない、内地郵便物と同じ扱いをしておる、こういうことに承つていいかどうか。それから関税は、私どもがこれをほとんど無税にしなければならぬ、こういうことで請願を出していろいろ運動して参つておるのでありますが、大体そういうふうにきまつてつたと思つておるのだが、無税という意味であるかどうか、これをこの際さらに確かめておきたいと思います。
  6. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 ただいまその問題をやつておりますアジア局関係官に今こちらに来てもらうように連絡しておりますから、その関係説明員の方から詳しく御説明申し上げたいと思います。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま政務次官から御答弁があつた、その通信関税この問題についてだけでも御答弁が願えれば、それについて少し論議を進めたいと思うのでありますが、さしつかえなければ御答弁願うし、今おつしやるように、後刻アジア局長なりが見えてから質疑を続けてもいいと思いますが、これは一括してアジア局長所管に、ただいま私が列挙した問題は全部含まれているわけですね。
  8. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 正確を期します意味で、アジア局から参りましてからお答え申し上げた方がいいと思つておりますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  9. 上林山榮吉

    上林委員 奄美大島関係は、今おしやるようにアジア局長等が見えられてから私質疑を続けたいと思いますが、沖繩の問題は、これは奄美大島と同じような状態に置かれるか、奄美大島と同じような便宜が與えられるものであるかどうか、あるいは與えられないものとすればどの程度にどういう点が違うか。これもかつて日本の一部であつたところであり、われわれ九州とは非常に密接な関係のある沖繩でありますので、この問題について講和発効後にどういうふうになるものか、大まかでいいのでありますからお答え願いたいと思います。
  10. 大江晃

    大江政府委員 お答え申し上げます。沖繩に関しましては、奄美大島と同じステータスでありまして、同様の状態と申し上げてさしつかえないと思つております。
  11. 上林山榮吉

    上林委員 奄美大島沖繩も、講和発効後には通信関税交通入学為替送金公務員内地同一扱い教員内地へ転入の場合の共通扱い、こういうような問題については奄美大島沖繩同一であるか、こういうふうに細目にわたつてアジア局長が見えてからお尋ねしたいと思うが、一般的にはそういうふうに了解してさしつかえないかどうか、責任をもつてお答え願いたいと思います。
  12. 大江晃

    大江政府委員 一般原則としては同様でございますが、こまかい項目につきましては、今後いろいろ話合いによつてきまるものもある。だろう、こう思つておりますから、その際は奄美大島沖縄同一原則のもとにきめられるだろう、こう思つております。
  13. 上林山榮吉

    上林委員 軍事上の問題等においても、奄美大島沖縄同一扱いを受けるものであるか、この点をお尋ねいたします。
  14. 大江晃

    大江政府委員 軍事上とおつしやることは、あるいは米軍の駐留あるいは占領、こういう御質問でございますか。
  15. 上林山榮吉

    上林委員 そうです。
  16. 大江晃

    大江政府委員 これにつきましては今後の米軍の決定するところでございまして、日本政府としては関知いたしておりません。
  17. 上林山榮吉

    上林委員 その問題は少し微妙になりますので、これ以上お尋ねをいたしませんが、今度できる奄美大島沖繩を一括した連合政府といいますか、奄美沖繩を一括した統一政府といえばいいか、適当な言葉を発見いたしませんが、その言葉はどういう言葉にきまつたのか、あるいはその構想内地の府県あるいは日本政府、こうしたものに比較してどういうふうに性格の相違があるのか、独特の性格を持つておるのかどうか、この点をお示し願いたいと思います。
  18. 大江晃

    大江政府委員 ただいまのところ、今後の形体がどういうことになつておりますか承知しておらないのでございます。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 どうも当該の局長担当官が来なければこまかいことがわからないということは私も了承できるけれどもこうしたような相当大きな問題を外務省の主脳部である諸君がおわかりくださらないということは、私は先ほど一言苦言を呈しましたが、あまりに世界の大きな問題だけにとらわれて、日本団民の身近な問題について親切さが足らない、私はこういうふうに痛感いたしますが、沖繩県であり、鹿児島県の一部であつた奄美大島が今回統一政府をつくろうとしておる、その性格は過去の関係はもちろんのこと、今後も密接な関係があるのでありますから、これらの性格構想等についてはこの議場を通じてわれわれも承知したいし、かつ国民もあるいは関係国民も関心を持つておるのであります。これらの問題について、外務省にその関係の人々が陳情等にも参らなかつたのであるかどうか、この点をまず明らかにせられたいのであります。
  20. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 詳細は主務局長参つてから申し上げた方が正確を期し得ると思うのでありますが、実は大体機構の構想といたしましては、琉球列島中央政府というものが設立せられまして、ただいまたしか四群島に政府がわかれておると思うのでありますが、これが解消されるという予定でございます。それで日本における国会あるいは県会ともいうべき立法院は、従来は單任命の議員十三名によつて運営されていたのでありますが、これは数字はまだはつきりいたしませんが、地区より三十何名かの立法院議員が選出されることになつておるようであります。新政府の首席は一般公選となるか、あるいは立法院議員の選出になるのか、現在のところは明らかではないようでありますが、一般公選ということになるのではないかとも予想されておるようであります。大体このような構想で将来の琉球列島中央政府というものが企画されて行くのではないか、かように一応承知しております。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 これは講和條約に基いて信託統治となり、もちろん潜在主権を認めておるということでありますが、そうするとその政府独立政府ではなくして、米国のあるいは連合国との平和條約に基いての政権、すべての思惟、行動というものはその制約範囲内においてのみ政府として活動ができる、こういうにふうに了解してよいのであるかどうか。
  22. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 大体ただいまお述べになりましたような御趣旨でよいのではないかと思つております。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 そういうことになると、たとえば、先ほど私が列挙した通信関税交通内地入学の問題、あるいは為替送金の問題、公務員教員等内地に転入した場合に、同様に共通扱いをするという問題等は、これは琉球列島中央政府了解めるいはこれを日本政府との條約、そうしたようなものによつて初めてこれが実現するというのか。それと同時に、アメリカ軍の、あるいはアメリカ政府了解をも加えてでなけれればこういうような問題の実際上の解決は今後できない、こういうふうになつて行くのかどうか。その点を伺つておきたいのであります。
  24. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 ただいまの問題は向うのいわゆる行政組織というか、列島政府管理組織をどうするかということによつてきまつて来る問題であるのではないかと思うのでありますが、ただいま当方においても現地よりいろいろ陳情がありますので、先方アメリカ合衆国のいろいろ軍事目的達成に必要でない諸事項につきましては、できるだけ現地の要望を達成し得るように、その実現方にこちらとしても努力もし、今後も努力を続けて行く、こういうつもりでやつております。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 ちよつとはつきりしなかつた点があるのであります。私の問わんとするところは、琉球列島政府日本政府との條約ないしは了解というものによつて、先ほど列挙した各種の具体的問題は解決されるのか、それにとどまらず、米国政府了解も加えてしないとこういう具体的な問題は解決できないのか。こういう点をお尋ねして起るのであります。その点についてもう少し明確にお答え願いたい。
  26. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 この点はアメリカ政府が今度できると予定されておりまする琉球列島中央政府にどのくらいの独自の権限を持たすかどうかということによつて結果が出て来ることではないかと思うのでありまして、その点ここでただいまはつきり申し上げるほどにはまだ至らないと思います。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 どうもただいまの御答弁では了解に苦しむのでありますが、私の質問趣旨はつきりしておるはずです。ということは、いわゆる平和條約によつて信託統治になつたのである。これは明瞭です。しかもこの信託統治は、但し潜在主権日本が持つておる。こういうこともはつきりしておるはずです。しかし事実としてここに統一政府琉球政府ができるとすれば、これはただちに実際上の問題になつてわれわれ日本人、ことに最も密接な関係にあるわれわれ鹿児島県人としては貿易交通その他の問題がただちに起つて来るのであります。現在もそれが起つてつて、その不便をいろいろ除去するために政府に協力も願い、またある程度実現した問題もあり、さらに今後実現するであろうという問題も見きわめがついておる。政府の方があいまいでわれわれの方の見込みの方が正確であるということは、これはどうもおかしいのであります。  そこで私が聞かんとするところは、それに加えてアメリカ政府了解もないとこういう問題はやはり解決できないのか、信託統治というその範囲内においては独立しておる程度の問題は解決できる権能を――これは国際法上から考えてみてできるんじやないか、こういう問題ですよ。これはアメリカのどういう権限はどの程度にするかしないかということがきまろうときまるまいと、この問題はお答えできるはずです。
  28. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これはただいま向うはいわゆる軍政をしいておるわけでございまして、今後信託統治のもとに列島中央政府ができました際に、先ほどお答え申し上げましたように、アメリカにおいてその政府信託統治国であるアメリカとがどういう関係をとるかということによつて独立にやれるか、あるいはいろいろの指示を受けてやるかということがきまつて来る問題ではないかと思うのでありまして、応先ほどお答え申し上げたところで御了承願いたいと思うのであります。
  29. 上林山榮吉

    上林委員 この問題に対する政府側答弁は、万事好意をもつて拝聴してみましても私ども不本意であります。もう少し誠意のある御答弁を私は要望したいのでありますが、特にただいま申し上げた問題はわれわれとしては身近な問題でありますので、政府側が実情に合うたような交渉を強くしていただき、この要請をいれていただく、こういうふうに努力していただけば、これに対する見通しはこうなるであろう、あるいは必ずこうなると思う、しかしこの問題だけはこういう事情で困るようだと、もう少し私はあなた方の方がアクテイブに物事を運んで行く気概がほしい。向うの方がきまらなければ万事はわからない、こういうような言い方では私は困ると思うのであります。この点についてはもう少しひとつ積極的に努力をせられたいと思います。なお具体的な問題についてはアジア局長等がお見えになりましてからお尋ねをいたします。  次にお尋ねいたしたいことは、在外公館等が借入れた金に対する、返済の問題でありますが、これはもちろん予算としても法案としても、現段階においては大蔵省所管にもなるかと思いますけれども最初お世話をしたのは外務省でありますので、外務省立場として私は二、三点伺つておきたいのであります。すでにこの問題についてはわれわれは協力して来たのでありまするが、二十六年度の補正予算に八億五千万円の予算を計上いたしております。ところが法案国会に提出しただけでいまだにこれが決定を見ていない。これはまことに引揚者、特に日本政府に金を貸した人たち内地帰つてから経済的にも苦しい生活をしておるのを見聞いたしまして、一日も早くこれを通してやりたい、こういうふうに考えておるが、これが障害となつて実現していないのは外務省側から見るとどういう点にあつたのか。大蔵省側からの意見は私どもはよく承知しておりますが、外務省側のいきさつをお話し願いたいのであります。
  30. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これはただいまお話になりましたように、前国会におきまして、審議未了になつたのでありまするが、外務省といたしましては、その前提となります借入金確認事務を種々やつておるわけでございまして、これはただいまも全力をあげて確認事務をやつております。それからさらに追加申請と申しまするか、申請漏れであつた人追加申請を認めたらどうかということにつきましても、その法案を出すべきじやないかということで準備研究もいたしておるのであります。大蔵省の方の提出になりました法案審議未了になりました点は、おそらくその一件当り金額が多いとか少いとか、そういうようなことが主として論議されて未了になつたのではないか、かように推察しておるのであります。
  31. 上林山榮吉

    上林委員 この問題は、外務省大蔵省国会も協力して一日も早く適切な法案を通過させたいものだと私ども念願いたしておりますから、最初お世話をした外務省としても極力努力をしてもらいたいと思うのであります。そこで補正予算においても、私どもは八億五千万円の予算準備を認めたのでありますが、現在確認済みの総額は幾らになつておるか。さらにただいま外務省としては適切な御意見を吐かれたようでありますが、この点は事実確かな証明書を持つておるけれども締切りの日時を忘れたり、あるいは地方当局等が十分にこれを周知せしめなかつたりしたために、債権を持ちながらむざむざその債権の確保ができなかつたという人が相当におります。これを救済しようとするただいまの御答弁に対しては、私どもも非常に期待をしておるものでありまするが、その額が大体どれだけになるか、これは最後的にはまだわかりませんが、お手元に届出をして来ておる者の分について幾らくらいになつておるか、この二つの数字示していただきたいと思います。
  32. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 金額の点はちよつとまだわからないのでありまするが、ただいま確認請求の総計は二十万余件でございまして、確認され得るのではないかと思われるものが十三万余件、借入金に該当しないと思われるものが六万余件、件数で申し上げましたならば大体そういう状況になつております。
  33. 上林山榮吉

    上林委員 そうすると八億五十万程度予算の計上でお示しになつておる合計額が、一人当り五万円として十三万余件を支払いできる額に相当するか、その点はどうなつておりますか。
  34. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 それは大蔵省の方からお答え願いたいと思います。
  35. 上林山榮吉

    上林委員 私はこの問題は大蔵省にも重ねて聞きたいのでありますが、外務省当局としての頭を整理しておいていただかないとこの問題は非常に微妙な関係になると思いますので、最初この問題をお世話した立場からどういう積極的な理解と考えを持つておるかということを聞きたいためにお尋ねしておるのであります。そこであなた方とされましては、支払うべきものとして十三万余件を認めたのでありますから、その金額はどれくらいであるかということは大蔵省にそれをもつて折衝されただろうと思うのでありますので、これを五万円というふうに切ればぴつたりと八億五千万円になるのか、何らこの問題については折衝せずに、ただ事務的手続だけを外務省が世話して、万事実質的に大蔵省にまかしたのであるということであれば、これはそういう意味にまた了解いたしますが、どういうふうになつておるのか、この点を伺つておきたいのであります。
  36. 高野藤吉

    高野(藤)政府委員 この支払い法案大蔵省関係になつておりまして、換算率なり、また支払い手続なり方法、最高幾らにするか、そういう問題はすべて審議未了法律案に盛られておりまして、八億幾らというのは、大体あの法律案でやれば確認し得るという案が、一応カバーし得る、支払いし得るというような見積りで出されておると思います。換算率いかんによりましては一件千円ないし二千円という少額のものもございますから、一応八億幾らでその法律案が通れば大体支払いし得るという見通しのもとに計算されておるものと思います。
  37. 上林山榮吉

    上林委員 一言だけで終りますが、結局外務省としては、軍に事務的な手続扱つただけで、万事大蔵省にまかしてあるのだ、こういうふうに了解していいのであるかどうか。  それから第二点として、ただいま確かなる証明書を持つていて、明らかにこれは確認せらるべきものであつたのであるけれども締切りに間に合わなかつたということで現在は認められていないものを救済しようとする熱意ですが、それは政府全体として、たとえば外務省大蔵省との話合いとか、あるいは内閣自体考えとかいうものは、必ずこれは認むべきものだという強い意見になつておるのか、單なる研究中にとどまつておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。さらにこれが單なる研究中であるとするならば、ぜひとも実現するように努力をせられたいと思うのであるが、これに対する御意見伺つて、私の質疑は、一応さきの問題だけを保留して打切りたいと思います。
  38. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは政府といたしましても、できるだけのことをしなければならないという前提のもとに努力を続けておるわけでありまして、先ほども申し上げましたように、いろいろの事情から請求漏れといいますか、申請漏れになりました若干の残つておる人々に対しましても、その救済の道を開こうというくらいに考えておるところでございます。ただ換算といいますか、その金額をどういうふうにするかということにつきましては、これは私から申し上げるまでもないと思うのでありまするが、財政の振割、あるいは他のいろいろの戦争犠牲者との関係などを十分勘案考慮して決定されて行くことと思います。熱意努力については、お話になりましたように、今後も一層努力を続けて行きたい、かように思つております。
  39. 成田知巳

    ○成田委員 最初外務省関係お尋ねしたいのですが、入国管理庁の費用としまして護送収容費中、不法入国者の違反調査及び収容送還に関する費用として約一億六千万円計上されておりますが、大体何人を対象にしてこの経費を組んでいるか。
  40. 大江晃

    大江政府委員 はなはだあれでありますが、ちよつと聞きとれなかつたのですが、もう一ぺんお願いいたします。
  41. 成田知巳

    ○成田委員 政府のお出しになつておる予算の説明書に一万三千人と書いてありますが、その一万三千人の内訳です。たとえば朝鮮人が何名か、台湾人が何名か、中国人が何名か、米国人はいないだろうと思いますが、その内訳をひとつ知らせていただきたい。
  42. 大江晃

    大江政府委員 送還の内訳を申し上げますと、現行犯が三千六百三十人、登録令違反が二千三百人、臨時措置令達反が八十人、それから結核による退去者が三百人、貧困者の退去が五千三百五十名、麻薬によつて逮捕せられた者が四十人、暴力団体として指定せられた者が千三百人、これが内訳であります。
  43. 成田知巳

    ○成田委員 今の御発表で現行犯というのは、昭和二十七年中に現行犯を犯す見込みのものですか、すでに現行犯を犯しまして犯罪人として逮捕されたその者を送還するという意味なのですか、その点を明確に……。
  44. 大江晃

    大江政府委員 過去の実績に基きました見込数でございます。
  45. 成田知巳

    ○成田委員 過去の実績に基いた見込数と言われたのですが、そうしますと登録令違反、これは見込数でやつていらつしやるのですか。
  46. 大江晃

    大江政府委員 同様であります。
  47. 成田知巳

    ○成田委員 登録令違反というのは過去の実績もないと思うのでありますが、それに二千三百という数字を計上していらつしやるのはどういう根拠でありますか。
  48. 大江晃

    大江政府委員 過去において実績がございます。
  49. 成田知巳

    ○成田委員 登録令というのは七月一日までにやるのでしよう。
  50. 大江晃

    大江政府委員 登録令によつて前からやつておるものであります。
  51. 成田知巳

    ○成田委員 今のは事項別に分類をされましたのですが、先ほどお尋ねしましたのは、たとえば朝鮮人が何名、台湾人が何名、中国人が何者と、その国籍による内訳をお示し願いたい。
  52. 大江晃

    大江政府委員 現行犯の三千六百三十人のうち、韓国人が三千二百名、沖繩人が三百九十名、韓国人以外の中国人その他が四十名、これが現行犯の内訳です。登録令違反につきましては二千三百名のうち韓国人が二千名、韓国人以外の外国人が三百名、臨時措置令によります八十名は南西諸島の諸君、それから結核による退去者は韓国人が三百名、その他の貧困者の退去、麻薬、暴力団体、これはいずれも韓国人であります。
  53. 苫米地英俊

    苫米地主査 外務省から吉田説明員が参つたようですから、この際上林山君に質疑継続を許します。
  54. 上林山榮吉

    上林委員 先ほど質問した問題は政府側の方で御連絡くださつたものと思いますが、簡単に申し上げますと、関税はどういうふうになるか。為替送金はどういうふうになるか。それから交通の問題はどうなるか。内地留学の問題はどうなるか。それから公務員教員等内地に転入をした場合に、同じ扱いを受けるようにしなければならぬが、これはその後どうなつておるか。こういうような問題について経過見通しをお示し願いたいと思います。
  55. 吉田嗣延

    ○吉田説明員 簡單に御説明申し上げます。  最初関税の問題でございますが、これは当初関税がかかつておりましたけれども、一昨年いろいろ現地からの陳情どもございまして、現在では原産地証明のある北緯二十九度以南の生産物は、当分の期間無税にするということになつており、関税をかけない。それで現地の方ではかなり満足しておるようなふうにも聞いております。  次の交通の問題でありますが、現在ではあまり円滑に行つておりませんで、相当長期の期間がかかるようでございまして、たびたび外務省陳情をいただいております。目下この問題については昨年末以来総司令部と交渉いたしております。非常に長くかかります理由は、北緯二十九度以南の南西諸島に渡航する場合は一切総司令部の許可を受けることになつております。各市町村を経由、府県をと経由いたしまして外務省に参つた渡航申請の書類が総司令部へ参りまして、総司令部から現地の方へ照会することになつております。現地交通事情やその他の問題がありまして、早くて二、三箇月かかるのが現状であります。その間のいろいろな調査その他を簡略にいたしまして、もつと短縮するように交渉いたしております。総司令部の方でもこれに応ずるような様子が見えておりますので、あるいは御希望に沿い得るような点が出て来るのではないかという期待を持つております。  それから為替送金の点でございますが、いろいろ通貨が違つております。向うでB円表示の軍票を使つておりますので、なかなかいろいろな困難がございます。最近郵便為替の点につきましては、郵政省と現地の郵政当局と開始に関しまして打合せをしているというようなことも承つております。新聞などの報道もございますので、その点であるいは近いうちに何か告知が行われるのではないか。  それから公務員の恩給その他の処遇に関する問題でございますが、現地からも非常に熱烈な陳情が参りましてまたそれら公務員の生活なども非常に困窮いたしておりますので、われわれとしても同情いたしておりまして、何とかしたいと思つております。これも数回にわたつて内部の研究はとげておりますけれども現地に対する行政権の分離がありますので、なかなか思うようにはかどつておりまりせんが、昨年末総司令部から、こういつた恩給や給與に関する問題につきましては関係者と日本政府との直接通信を許すという許可を受けてありますので、この問題についても事務的にこれから進み得る段階に達するのではないかと思つております。ただ向うの米側の問題や国籍の問題などもございますので、その点だけは今後のいろいろな動きによつて曲折があるかもしれない、そういうふうに思つております。  なお向うの青少年たちの日本に勉強に来たいという熱は非常なものでありまして、何とかしてこの道を開くことは緊要なことと思われますが、一昨年以来琉球軍司令部の方の契約に基くところの学生は、すでにもう数百名日本参つております。それから本年度からはそういつた琉球軍司令部との契約に基かない学生、自費留学生と称しておりますが、これも数百名許可になるだろうというニュースが入つておりまして、今盛んにその手続を進めておるようでございます。この点も次第に緩和されるのではないかというような見通しでございます。
  56. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま関税の問題について無税である。これはわれわれも水谷政務次官が同島を視察して以来、その当時この問題を解決することに協力して、これは表現したことは知つておりまするが、これは当分の間こういうことになつておるのでありまして、講和発効後にはたしてこの例外が認められるものかどうかという点が一点。第二点は交通の問題ですが、これはただいまおつしやるように三箇月というのはいい方でありまして、六箇月かかるものもある、また許可が非常に少い、こういう点もあるのでありまして、この時間を短縮してもらいたいということであります。ことに総司令部の了解を得ないでも、日本政府と今度できる琉球統一政府というか中央政府というか、これとの間の話合いで簡單に行くように、二、三日も手続すればそれで行けるようにはならないか、またそうすべく努力すべきだと思うがどうかという点、それから先ほど政務次官等からお話のあつた通信の問題はこれは内地と同様の扱いをするようになつたというのであるが、これは料金等においても、あるいは時間的制約等においてもほとんどそういう扱いになつたのかどうか、入学の点は私どももその程度に聞いておりますが、もつと積極的にやらなければいけない、ことにこれらの費用の点について、もつと簡略な方法で勉学できるような方法を講じてもらいたいというのだが、この見通しはどうか。それから為替の問題は、ただいま郵政省と沖繩の当局との間に話合いが進められておるというのであるが、その程度にとどまらず、銀行送金というような方面の、経済的な大きな立場からいつて、こういう問題は、どうなつて行くのかという点等をもう少し詳しく説明願いたいと同時に最後に国籍等の問題で、公務員とか教員等内地転入、統一の点が支障があるようなことを聞くが、これは国籍は本人の希望によつて自由に日本の国籍を得るというのか、それともこれは潜在主権立場からいつて、いろいろと講和会議等においても論議の問題になつたかと思うのでありますが、またそれによつてきまつたと思うのでありまするが、国籍はこれは日本人であるのじやないのか、何だか今の答弁では少しあいまいなところがあつたようでありますが、こういう点はもつと明瞭になつているのじやないか、そういう点も何も支障になるものばないのじやないか、こういうように思うのでありまするが、この点についてお答えを願つておきます。
  57. 上田常光

    ○上田説明員 ただいまのいろいろな御質問につきましては、将来の沖縄その他のステータスがどうなるかという問題に関係するわけですが、これは御承知の通りに平和條約によりますれば、平和條約発効後は、アメリカ側は立法、司法、行政の全権を持つわけであります。従つて今後、今まで御説明になりましたいろいろの問題、関税その他種々の問題がございますが、そういう問題がどういうようになつて行くかということは、これは米国日本との話合いによつて徐々に解決して行く問題なのでありまして、現在の段階において必ず将来こうなるということを、事務的にはここで断言申し上げることはできないわけでございます。ししかながら今まで外務省といたしまして司令部の係官と接触いたしております限りにおいて得ました印象によりますと、たとえば一番初めの関税の問題でありますが、この関税の問題につきましても、大体現在通りに講和発効後も行くと私たちは思つております。それから渡航の問題につきましても、先ほどお話がありましたようにもつと時日を短縮できないかという点につきましては、これは先ほど吉田説明員からもお話申し上げましたように、現在のように特に渡航の時間がかかるのは、いわゆる商売とかあるいは向うの軍工事で行く人ではなくて、向うの親戚や何かに訪問に行くような場合が一番多いと思うのでございますが、その場合、現在におきましては琉球側において身元引受人がはつきりしてはいないと入域を許可いたしませんものですから、一応身元引受人を向うで調べて、そうして確かにそういう引受人がいる、そうしてまた引受ける能力があるということがわかりますと、初めて許可になるのであります。御承知の通りに那覇とかいうような大きな町はよろしゆうございますが、地方の遠く離れた島などにおります者につきましては、電報も電話もありませんから、舟で行つて調べるということになりますし、非常に波の荒いときなどは日にちがかかります。それからまた戰災で焼けまして住所が非常にかわつておるところもございますので、そういう点において、今の制度が続く限りは非常に時間のかかる場合もあるのでございますが、この問題につきましても、私どもは従前から何とかもつと早く行くように制度をかえてほしいと司令都側に話しております。司令部といたしましても、最近はこの問題を割合に直剣に考えております。そして今のように一々身元引受人を探して、それが引受けないと行けないというような制度をとつておりますとこういう支障がありますが、この点何とかもつと簡便なことにしようというような考えも司令都側が持つておりまして、この点はおそらく近い将来にもつと簡單な方法になるのじやないかと思つております。私どもといたしましても、一日も早くそうなりまするように努力いたしております。  それから先ほど吉田説明員の説明で、恩給の問題につきまして国籍の問題で若干誤解を招いたかと思いますので、その点は改めて御説明申し上げますが、別に国籍の問題で恩給の問題がこじれているのではございませんのでありましてそれ以外の、たとえばいつ身分が切れたことになるか、たとえば退官、退職したとしても、それは終戰の直後になつたものか、それともそれ以後の途中の段階か、あるいは講和発効後か、どこの段階で切るかというような技術的な問題でまだはつきりきまつておらないのでありまして、別に国籍に関係があるわけではございませんから、この点はあらためてお答えしておきます。
  58. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 国籍はどつちです。
  59. 上田常光

    ○上田説明員 国籍は、私どもとしては当然日本側だと思つております。
  60. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 向うでも了解しておりますか。
  61. 上田常光

    ○上田説明員 別に問題はないと思いますから、あらためて話したことはございません。これは当然のことだと思つております。
  62. 上林山榮吉

    上林委員 為替の問題について、郵便為替の問題じやなしに、一般為替の問題についてどうなるかという問題、それからただいま交通の問題で努力をしてもらつておるということもわれわれわかるのでありますが、ただこの問題について私はどうも不可解な――不可能というよりも希望したいのは、日本政府と今度できる琉球当局と、交通の問題はこの間だけで解決できるように基本的にアメリカ側の了解を得ておくように、そうするとただいま言つたような不便は除かれるのであります。われわれは実際この奄美大島ないし沖縄の問題について、これは日本国民もそうでありましようが、われわれは特に身近な問題でありますので、これはあなた方が役所におつて考えられるのと違つて実にこれは重大な問題です。ただ自分の家族を訪問するというだけではない、父危篤という電報が来ておつて、そういう電報の証明があつてもまだ調べる、父の死に目に間に合わぬ、こういう悲惨な状態が起つておるのだというような意味をお考えくださつて、ひとつ努力願いたいと思います。これで打切ります。
  63. 苫米地英俊

    苫米地主査 御質疑がまだ大分あるようですから一旦休憩いたし、午後は総理府及び内閣関係とともに外務省及び法務関係を議題といたし、質疑を行いたいと存じます。  午後一時半まで休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十八分開議
  64. 苫米地英俊

    苫米地主査 これより第二分科会を再会いたします。  まず午前中に引続き外務省法務関係について質疑を行います。成田知巳君。
  65. 成田知巳

    ○成田委員 昨日の御説明の中に拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院及び少年保護鑑別所の昭和二十七年度の收容予定人員約十一万五千人に対する衣食、医療及び就労等に要する経費として三十八億七千万円を計上しておりますが、現在収容しているのは何人くらいでありますか。
  66. 天野武一

    ○天野政府委員 刑務所の方から申し上げますと、二十六年度四月末から今年一月末までを通して申し上げますが、刑務所の方は昨年の四月末に九万五千四百二十三人の収容者でございましたが、それが今年の一月末で九万三千三十人になつております。それから少年院の方は昨年の四月末七千四百二十三人でございましたが、今年の一月末には一万九百五十九名となつております。それから少年保護鑑別所は昨年四月末が二千百九十八名でございましたが、今年の一月末は一千七百四十八名という数になつております。
  67. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると大体少年院関係はふえているのですが、他の一般の刑務所関係は減るという予想でこの予算をお組みになつたのですか。
  68. 天野武一

    ○天野政府委員 さようでございます。刑務所の方は昨年平均が十万五千でございましたが、それを十万と押えまして予算を組んでございます。
  69. 成田知巳

    ○成田委員 それからこれも昨日の御説明の中に極東軍事裁判所その他の連合国戰争犯罪法廷において言渡を受けた者の刑の執行費として二億円になつておりますが、この問題ですね。最近恩赦があるということを聞いておりますが、講和條約発効と同時に、あるいはその後に戦争犯罪で刑の決定した者は恩赦の範囲にあるのかどうか。
  70. 天野武一

    ○天野政府委員 恩赦の点は私詳しく存じませんので、あとから関係局長がこちらへ参ることになつておりますから、そのときにお答えいたしたいと思います。
  71. 成田知巳

    ○成田委員 それから特審局関係でございます。この陣容と予算の内容をひとつ御説明願いたい。
  72. 天野武一

    ○天野政府委員 陣容は昨年通りのそのままの陣容を見ております。それからただ予算の面におきましては、昨日申し上げましたように、団体等調査委託費、団体等調査地方公共団体委託費におきまして若干の変更がありましたほか、旧陸海軍将校調査地方公共団体委託費等は、この仕事がなくなりましたので全部今年の予算で落しております。
  73. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、特審局の職員数というのは大体昨年度と同じ数でおやりになるのですか。
  74. 天野武一

    ○天野政府委員 同じ数でございます。これは行政整理がございませんでしたから同じになつております。
  75. 成田知巳

    ○成田委員 それから特審局関係で私たちよくこういうことを聞くのですが、民間の人に情報を提供させまして、それに対して金一封というような形で金が渡つている。現にそういうことを言われたその本人が事実を訴えて来ているようなことがあるわけですが、そういう機密費的な関係のものが特番局では相当組まれているのかどうか。
  76. 天野武一

    ○天野政府委員 ただいまお尋ねの点につきまして、具体的な一つ一つの金の使い方は存じませんけれども、そういうことにも使えるようになつております。
  77. 成田知巳

    ○成田委員 そういう機密費があるということの御答弁つたのですが、大体事件の内容によつて金額も大小あるだろうと思いますが、最高どれくらいの金を出しているか、それをひとつ御答弁願います。
  78. 天野武一

    ○天野政府委員 具体的なことは私存じませんので、お答えいたしかねます。
  79. 成田知巳

    ○成田委員 大体もおわかりになりませんか。
  80. 天野武一

    ○天野政府委員 存じません。
  81. 成田知巳

    ○成田委員 ただそういうように、民間の人が特審局関係の資料調査に協力した場合に金を出す、そういう事実はお認めになつたわけですね。
  82. 天野武一

    ○天野政府委員 さようなことがあると存じます。
  83. 苫米地英俊

    苫米地主査 成田君、先ほど留保した答弁ですね。今関係局長が見えましたから、それをひとつ完了していただきたいと思います。
  84. 成田知巳

    ○成田委員 それでは御答弁願いたいと思います。
  85. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 戰犯恩赦についてのお尋ねでございまするが、戰犯についての恩赦は、講和條約が発効するまでは日本側においてはその権限はございません。講和條約によりまして、講和條約発効以後は日本政府が勧告をして、そうして関係国の裁判をした国の決定を待つて実施をする、こういうようなことになつておりまするので、それについては所要の法律案準備いたしておりまして、近く国会に提出いたしまして御審議を仰ぐ予定でおります。その案によりますると、中央更生保護委員会という法務府の外局がございまするが、それがちようどアメリカ側のパロール・ボードに当るようなことになりまして、そこで調査の上恩赦が相当であるということになりますれば、法務総裁を通じ閣議に提出して、そうして関係国に勧告をする、こういう段取りになることになつております。調査の結果それに相当するものについてはできるだけ恩赦にいたしたい、かように考えて、現在法案準備やらその他の準備をいたしておるような状況でございます。
  86. 成田知巳

    ○成田委員 恩赦以外に、その恩赦で刑の減刑を受けたといたしましても、まだ出獄できないという場合に、日本におけると同じように仮出獄とか、そういう手続もとれるような法案を御準備になつておるのですか。
  87. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 もちろん平和條約の十一條にも、恩赦のほかに、日本側が勧告をして関係国が決定をされれば仮出所も可能になりまするし、従つて現在準備いたしておりまする法案は、中央更生保護委員会が仮出所についても所要の手続をいたすようなことにいたしております。  なお御参考までに申し上げておきたいと思いまするが、戰争犯罪者の仮出所につきましては、一昨年の五月から総司令部のもとでその制度が行われております。当初は毎月二十人くらいの仮出所を許されておつたのでございますが、昨年の十一月からそれが急激にふえまして、十一月から六十人、最近では八十人、今月は七十七人の予定で仮出所になりますが、それを日本側の私どもの保護委員会が、出たあとの保護観察をいたして総司令部に報告いたしております。私どもといたしましてはよく調査した上、その数以上の人が事情がそれに値するならば仮出所にいたしたい、かように存じております。
  88. 成田知巳

    ○成田委員 現在すでに仮出所の道が開かれておるというお話でありますが、これは本人の、たとえば親族その他のものが仮出所の申請をすることが手続上必要なのでございますか、それとも政府並びに関係国の方で一方的におきめになつて仮出所の手続がとられるのか、承りたいと思います。
  89. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 仮出所は、本人がそれを希望して、こちらの方で一定の遵守事項を命じましてやるといつた、いわば公法上の契約関係のようなことになつておる制度でございますので、本人の申請を待つてやるということにいたしております。赦免につきましては、それとは別個に職権でもやり得る、こういうようにいたしたらいいのじやないかと考えております。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 戦犯の問題でちよつと法務府の方にお伺いしたいと思います。平和條約の第十一條によつて、巣鴨その他の戦犯の行刑が日本政府にゆだねられたわけでありますが、いろいろな問題があると思うのであります。そこで法務関係としての事項をお尋ねいたしたいと思います。  まず第一は、行刑ということと情状酌量ということは切り離されないと思います。年月がたつに従つて、非常に成績がいいというので減刑あるいは釈放をやる、そういう問題が必ず起ると思いますが、今の條約によると、その都度関係各国の了解を求めて承認を得なければならない。そうなると非常に煩瑣なことになるし、一国だけがかかわつているとその処置もできないということになります。こういう問題について、平和條約第十一條をどういうふうに具体化して行くか、法務府に何かお考えがございますか。
  91. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 條約によりますと、市ケ谷の国際裁判のものはその過半数の国の決定、その他のものは裁判をした国の決定と日本国の勧告、それとの合致によつていたす、こういうことに相なつております。もちろんできるだけさような手続はスムーズに運びまして、こちら側の当然と思う措置が得られるように努力いたしたいと存じておりますが、やはり関係国の決定は條約上どうしても必要である、こういうことになつております。ただおそらく比較的軽微のものは、こちらの出先の機関で御処理が願えるのではないかと考えております。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の答弁では納得行かないのであります。特に虐殺したとか悪質な犯罪は、日本政府の一存に行かぬところもあるだろうと思う、しかしそれ以外のものは、平和條約自体が和解と信頼というのだから懲罰はないはずです。そういう刑事犯に該当するようなものを除いては、講和條約の趣旨に基いて包括的に行刑、それから情状酌量、減刑、釈放、こういうことを委任してもらうように日本政府としては相手方に交渉して、包括的委任の協定をすべきだと思います。そういう協定をしておかないとその都度関係各国と話合いをしなければならぬということになるのであつて平和條約の精神からすれば、ああいう戦犯に関する條項が入つたことすら私らは変だと思う。入つたことはやむを得ぬとして、次善策として日本政府としてはそういう努力をすべきだと思うのでありますが、一体そういう努力をしたことがありますか、どうですか。わからなければ別の方に来ていただいて後日でもけつこうです。不正確な答弁をしていただくよりも、正確な答弁をしていただいた方がいい。
  93. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 私はさような交渉のことは存じませんので、お答え申し上げることはできません。
  94. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それではその答弁は責任者からあとで正確にしてもらうとして、また別のことを伺います。この前十二月の末でしたか、新聞によると、内地において巣鴨で服役している人たちに対する行刑の方針といいますか、そういう法律が準備されていると聞いておりますが、それはいかなる程度準備されておりますか。
  95. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 この問題につきましては、刑の執行と、それからただいま齋藤局長からお話がございました仮釈放、赦免等を主題にいたしまして法務府において案をつくつておりますが、なお二、三の点でその筋と交渉の余地がございます。しかし今月末にはその草案をなし上げることができると思つております。近く御審議を仰ぐことになると思います。
  96. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私もある程度内容は知つておるのでありますが、これは公表てさしつかえないものだと思います。係争中のところを除いて、大体どういうような形で出て来るか、ここで正式に御答弁願いたいと思います。要点は、国内犯とああいう戦犯関係というのは根本的に性格が違います。そこで普通の刑事犯その他を取扱うのとは違う取扱方をしなければならぬ、これが第一点だと思います。  それから第二は、今まで巣鴨においては連合国の方式によつてつて来たわけです。そうすると国内犯よりは――国内犯と言うと変でありますが、優遇された措置が事実上講ぜられて来たと思います。そういう点が今後どういうふうになるか。たとえばタバコをもらつているとか、運動がどうであるとか、いろいろなことがあると思います。それからそういう人たちが前科になるかならぬか、国内犯との関係にもなると思います。それから今までのアメリカやその他の方式によると、情状酌量による釈放制度があります。点数によつて、一箇月について何日というふうに、釈放の積算の善行賞といいますか、そういう制度があると思いますが、そういう点は一体どうなるでしようか。それに関連して、現在すでに釈放の有資格者が相当巣鴨にあるはずですが、釈放の有資格者が一体独立の日までに釈放してもらえるものかどうか。独立後もどうなるだろうか。そういう点について御存じの限りをひとつ説明していただきたいと思います。
  97. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 戦争犯罪が国内犯と違つたものであるということは、お読の通りに解釈いたしております。従いましてそれが前科になるかならぬかという問題もはつきりいたしまして、身分関係には影響がないものと考えております。  それから連合国の巣鴨でやつて参りましたいろいろな処遇の基準というものは、今度の法律においてそのまま採用して参りたいと思つておりますので、国内犯に対する処遇とはその間に待遇の点、あるいは自由の束縛の点その他におきまして相当の開きが出て参ることになると思いますが、これはすでに戦争犯罪の処置として国際的に行われて参りました方式をそのまま採用するのが相当だと思いますので、わが国の財政の許す限りにおいてそれを持続いたして行きたいと思つておるのであります。運動その他につきましても同様に御承知願いたいと思います。  次に刑務所の中で一定の期間務めますと、それが善行を保つておりまする限り、何日かの刑期が繰り上げられるという制度がございまして、これはただいま巣鴨の戰犯の刑の執行上採用せられておるのでございまして、その裁判をいたしました裁判法廷の国々ではあるいは採用しておるところ、あるいは採用していないところ等がございまするが、日本といたしましてはできるだけその恩典を広く採用いたしたいという考えで法律も準備いたして、その点についても総司令部当局と折衝中でございます。この方式で参りますると、刑期は自動的にある程度減刑されて参りまするが、しかし講和條約前にそれによりまして刑期が終了するという者はまだないように承知いたしております。しかしながらそういうように刑の短縮せられますることは勢い仮釈放の期日の短縮というような問題にも関係いたしまするので、その点については十分有利な制度を認めて行くようにいたしたいと思つておるのでございます。
  98. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その善行による恩典という制度は、大体アメリカの基準がそのまま認められるようになりますか、それとも別の考え方が入つて参ります。
  99. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 大体アメリカの方式だと思うのでございまするが、現在総司令部の手によつて行われておる方式をそのままとつて行きたいという考えでございます。
  100. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、その恩典制度というものは、やはり法律の條文にちやんと明記されて出されますか。
  101. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 その方式も法律の上に明らかにいたしたいと思います。
  102. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうしますと、独立後行刑をやつている間に有資格者が出て来るわけでありますが、たとえば無期にしてもあるいは二十年にしても、ある一定限度務めると有資格になるわけですが、そういう際に、有資格になつたのを実行してやるという権限日本政府にあるのですか、それとも連合国との先ほどの協議に基いてできるのでありますか、その点はどうなのでありましようか。
  103. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 その恩典制度を全面的に認めるかどうかという点になおただいま問題が残つておるのでございまするが、適用せられる人につきましては自動的にその刑期が参りまするので、その権限日本政府にあると思います。
  104. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それはしかと承知してさしつかえないですな。日本政府独断で、一定の点数をとつて有資格者になつた人は釈放してよろしい、そういうふうに法律の上でも正式に解釈されると了解してさしつかえございませんですか。
  105. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 ちよつと誤解のないように、いま少し説明申し上げたいと思いますが、ただいまのは、私どもがかりに善行特典制度というぐあいに言つております制度で、これは一定の期間刑期に服しまする場合に、善行を保つと何日間か刑期が繰り上げられる、一箇月について何日、それは刑期の長短によつていろいろ方法があるのでありますが、そういうような制度は、満期釈放の白が繰り上るというふうに解釈できるのでございます。その意味におきましては、これはその制度の適用されるものについては日本政府がまつたく独断に釈放ができるわけでございます。ただそれと別に仮釈放――本人が改俊の情が顕著であるというような場合に日本でも行つておりまする、刑期の三分の一を経過いたしましてからパロール委員会で下されまする仮釈放という問題とは別でございます。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その仮釈放の場合、刑期の三分の一以上経過した場合、釈放してよろしいかどうかという断定はどちらの権限になりますか。
  107. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 それは先ほど齋藤局長から申し上げましたように、日本側の委員会で勧告いたしまして、そうして連合国または各国政府において決定することになつております。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それで大体はつきりしました。それからもう一つ承りたいと思いますが現在すでに巣鴨に服役している人で、そういう刑期の三分の一以上務めた人があり、つまり仮釈放の恩典に浴する有資格者が相当あると思う。そういう人々に対して独立前に釈放の恩典を與えるということはこれは望ましいことであり、連合国との国交上もいいと思うのであります。そういうことを実現促進するのに法務府としてはどういう手を打つておるか、また先方はどういう考えを持つておるか、この点について明らかにしていただきたい。
  109. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 その問題につきましては、私どもは事務的な点のみ承知いたしております。いずれ当局において大臣なり長官からお答え願うようにいたしたいと思います。
  110. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今と同じ質問に属するかもしれませんが、もう一つわれわれが考えておりますことは、独立の日にあたつて、国内犯については大赦、恩赦というようなことが行われるやに聞いておるのでありますが、そういうことは事実でございますか。
  111. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 法務府といたしましては、講和條約の発効ということがわが国の再発足でもあり、また非常によろこびでもあると同時に、よほど決心を新たにして国民が一致して進まなければならない、かような重大な時期であるということにおいてできるだけ広く恩赦を行いたい、かような総裁の御命令で私ども準備をいたしております。
  112. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その恩赦の範囲というものは大体具体的にどの程度に及ぶか、ここでお示しを願いたいと思います。
  113. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 これは閣議で決定になりますので、現在まだ私どもはその準備をいたしておるような状況であります。ただ私どもの気持としても、また総裁のお話でも、この機会に即応してできるだけ広くというようなことで、大赦、特赦、そういつたものを全部やりたい、かように考えております。
  114. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 できるだけ広くという周辺がどの程度まで及ぶかということを、大体輪郭でもいいですから今の構想ちよつとお示しを願いたい。
  115. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 これは現在まだ準備中でございまして決定いたしておりませんので、ちよつと申し上げることはできないと思います。
  116. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そこで国内犯についてそういうような恩典が與えられるに際しまして、葉鴨その他の戰犯についても連合国からそういうような恩典が與えられることは、連合国との国交回復の上にも非常にいいと思います。この問題も国民は期待している向きが相当あるのです。外国と国情が違いますので、国によつてはそういう例のないところもあるようであります。現在葉鴨に服役している人たちに対して、独立と同時に。国内犯と同じような恩典が與えられるのかどうか、またその点について政府はどういう交渉を向うとしており、向うがどういう意向を持つておるか、お示し願いたいと思います。
  117. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 国内の犯罪について恩赦をするというなことになりますれば、当然私個人としてはさような感じを強く抱いております。しかし條約上発効前はどうにもいたすことができません。また発効後は関係国にこちらから勧告して、関係国の決定を待つて初めてなし得る、こういうことになつておりますので、できるだけその範囲内で、私ども事務当局といたしましては事前に準備もいたし、先ほどお尋ねの有資格者で、たくさんまだ刑期の残つておるというような者につきましても、事柄の許す限りこちらであらかじめ準備をいたしまして、発効後は所出要の勧告をいたしたい、かように存じております。それ以上の大きなことにつきましては総裁からお答え願うことにいたします。
  118. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 もう一点だけお尋ねしますが、平和條約の発効前と発効後とわかれるようです。われわれが希望するのは、発効と同時にそういう恩典に浴すことが望ましい。そうすると現在すでに向うと折衝して範囲もきめなくちやならぬのですが、そういうような折衝があるかどうかということ。それから第二に、今のお話では発効直後に日本政府は十一條に基いて勧告するというお話でございましたが、発効後の場合どういう程度までその恩典に浴するように勧告する所存であるか。その二点を明らかにしていただきたいと思います。事務当局の考え方でいいです。
  119. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 発効前のことにつきましては、私ども事務当局としてちよつとお答えできかねます。発効後につきましては、現在まだ判決書等もこちらに渡つておりませんので、あらかじめどういう範囲ということも即断することができないと存じます。ただよく調べて、そしてまた勧告をいたしますについてもいろいろな調査書類が必要になつて来ると思います。これは現在向うでやつておることを見ましても、いろいろな家族の関係であるとか、経済状態であるとか、あるいは生活保護法の適用を受けておるとか、そういつたいろいろの調査が必要になりますので、さような点を十分調査し、またこちらの方に判決書が渡りました場合にはそれらの点も十分考慮してできる限り広く勧告いたしたい、かように存じております。
  120. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 先ほどの質問を留保いたしまして、これで私は終ります。
  121. 苫米地英俊

    苫米地主査 法務府の方に御質問はございませんか。――別に御質問がないようでありますから次に移ります。     ―――――――――――――
  122. 苫米地英俊

    苫米地主査 外務省関係をお願いいたします。成田知巳君。
  123. 成田知巳

    ○成田委員 午前中の質問に続きまして、不法入国者の問題についてお尋ねしたいのですが、不法入国者の収容送還に必要な経費が約一億六千万円組まれておりますが、その内訳を示していただきたいのです。この取扱いの裏づけになる法律をお出しになると思いますが、どういう名前の法律で、どういう内容のものをお出しになる用意をしていらつしやるか、お伺いいたしたい。
  124. 鈴木一

    ○鈴木(一)政府委員 ただいまのお尋ねは、不法入国者の扱いをいたします法律が現在どうなつて、将来どうなるかというお尋ねと思いますが、現在はポツダム政令によりまして、出入国管理令というのが出ております。これは平和條約発効と同時に法律に切りかえなければなりません。従いまして、別案をもちまして近く国会に提出をいたしたいと思つております。現在考えております法案は出入国管理法というのではなくして、出入国管理令に法律的効果を與えるというやり方で参りたいと思います。
  125. 成田知巳

    ○成田委員 現在の管理令をそのまま生かして行かれるわけですか。
  126. 鈴木一

    ○鈴木(一)政府委員 そうでございます。出入国管理令に改正を要すべき点が実はわれわれ事務当局におきましてもたくさんあることを承知しておりますが、昨年の十一月一日から管理令が動き出しましてまだ実施後間もないし、もう少しやつて参りますうちにもつと根本的にも改正しなければならぬ点もあると存じますので、今回は最小限度の改正をいたしまして、原則としましては、一応これを法律に切りかえて行くという方向で参りたいと存じます。
  127. 成田知巳

    ○成田委員 この一億六千万円の費用のうち、予算の説明でははつきりいたさないのでありますが、強制収容した後に送り返す送還の費用でございます。これをどれくらいお含めになつておりますか。
  128. 鈴木一

    ○鈴木(一)政府委員 送り返します費用は、船を雇いまして、それに乘せまして返す費用約二千万円を考えています。
  129. 成田知巳

    ○成田委員 今朝の御説明によりますと、その対象になつている一万三千の内訳はほとんど韓国人であります。それから性質別にわけますとその大半が貧困者と結核患者、こういう者が半分以上占めていますが、不法入国者等を調査云々とされてありますので、不法入国者というので、入国の手続に不法があつた者を返すというのはわかるのですが、この予算の表現方法では、不法入国者でなしに、正当の手続をして日本に来ておりまして貧困になつた、あるいは結核にかかつた、こういう人を強制的に送還するということは少しく行き過ぎではないかという気がするのですが、どういう御趣旨でこういう貧困者あるいは結核患者を朝鮮に強制送還しようとしているのか、承りたいと思います。
  130. 鈴木一

    ○鈴木(一)政府委員 不法入国という範疇では、お話の通りすでに正当に入つておる者についてこれを不法入国者と断定しますことは、言葉の上から誤りであると思いますので、この予算の方には不法入国者等ということで一応は理由づけにはなつておりますが、ただいまのお話では、問題はそういう形式の問題でなくして、一体一応正当に入つて来た者が結核なら結核になりましても――結核は返さないと思いましたが、貧困その他で返すということはおかしいじやないかという御質問と思いますが、この点につきましては、この出入国管理令の性質から申しますと、国際慣例によりまして、世界共通の理念によつて外国人を取扱うということが根本的の考え方でございまして、外国人であります以上、好ましくない者を入れないということは各国やつておることであります。また一旦入りました者も、その国の治安を乱すとか、あるいはその国にいろいろの害毒を流すというような人はその本国に帰つてもらう。これもやはり国際的な一つの通念になつておりますので、そういうような根本精神の上に立ちまして管理令をやつておるのでありまして、特に朝鮮の人たちに対してどうするこうするという立法の趣旨ではないのであります。
  131. 成田知巳

    ○成田委員 どうも御答弁はつきりしないのでありますが、不法入国者という言葉の表現が悪いことはお認めになつたのですが、そうではなしに実質的な問題として、けさの説明では、結核患者三百人、貧困者五千三百五十人、総員一万三千人に対して半分以上の者が貧困者であるがゆえに、結核患者であるがゆえに朝鮮に強制送還されようとしている。今の御説明で、治安を乱す者だとか、害毒を流す者、これは国際法的の立場からいつて各国とも、やつているのだと言われますが、結核患者になり貧困者になつたからといつて、これを強制送還するというような国際法的な慣習があるのかどうか、こういうことは道義上も私は許されないと思います。この貧困になつたということは何も朝鮮人の罪じやないと思います。特に内地にいる朝鮮人の多数というのは、今度の太平洋戦争のときに日本内地の鉱山、工場に強制的に持つて来られた。その後失職して貧困になつている人が多いのでありまして、むしろ日本に責任があると思います。それを現在貧困になつたからといつて強制送還する。しかも動乱中の朝鮮に送り返すということは私たちとしては納得が行かないのであります。これに対する御意見を承りたいと思います。
  132. 鈴木一

    ○鈴木(一)政府委員 ただいまお話がございました貧困者の問題でございますが、この点につきましては多少世間では誤解があるように存じておりますが、この際特にその点をはつきり申し上げておきたいと思います。貧困者であるからすぐ返すということは全然考えていないのでありまして、法規をごらんになりますとわかりますように、貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国または地方公共団体の負担になつている者については返すことができるという規定でございまして、貧困であるからただちに返すということは考えておりません。よその国に来まして、自活能力なしにその国の負担になつておりるという者については返すことができる。これはアメリカにしましてもカナダにしましても国際的な慣例になつておりますので、この規定を置きますことはさしつかえないことと存じます。ただこの運用にあたりまして、実際問題としてどう扱うかということが具体的に問題になると思いますが、その点につきましては、ただいまわれわれの方で考えておりますことは、公共の負担になつたからすぐ返すというつもりを持つておらないのでございます。それは貧困者にいたしましても、たとえば浮浪者であつてどうにも処置に困る、何度めんどうを見てやろうと思つてもごろごろこじきのようにして寝て歩いて、その扱いに困る。そういうようなごく社会的な秩序を守り得ない者を返し得るということにしておきませんと、その国の国民全体を健全に保つということができなくなる原因と存じますので、そういう規定が置かれてあり、またさように運用したいと考えております。
  133. 成田知巳

    ○成田委員 次にアジア局関係の経費で未引揚げ邦人の調査に必要な経費として若干計上せられておるのですが、未帰還邦人の問題はいつも問題になるのですが、正確な数字と日時は忘れましたが、去年の五月でしたか、参議院の引揚げ同胞の特別委員会で約三十五万くらいの未帰還者がいる、こういう政府の説明であつた。それから一箇月もたたないうちに、国際連合への報告書でございましたか、現在の未帰還者は七万である、こういう正式の発表があつたのであります。そういたしますと、その間約二十八万の数字の開きがあるわけでございますが、この二十八万の人は死亡したものと見なければいけないのですが、最近の未復員者の正確な数字、これをひとつ御報告願いたいと思います。
  134. 大江晃

    大江政府委員 未帰還者の数につきましては、すでにたびたび申し上げた数字以外まだ発表の時期に至つておりません。
  135. 成田知巳

    ○成田委員 しばしば承つたというのですが、政府の発表はそう大した時日もたつていないのに大きく動いておる。先ほど申しましたように、昨年の五月ごろに約三十四、五万人未帰還者がいる、こういう報告をしておきながら、一箇月もたたないのにもう未帰還者は行方不明を入れて七万くらいだ、こういうような発表があつたと思うのですが、私最近の数字を忘れましたので、最近の未帰還者の数を地区別にひとつ報告を願いたいと思います。
  136. 大江晃

    大江政府委員 最近の調査の結果、判明いたしておりますものは三十四万五百八十五人でございまして、その内訳は生存の見込み七万七千六百三十七人、死亡見込み二十三万四千百五十一人、消息不明二万八千七百九十七人になつております。
  137. 成田知巳

    ○成田委員 といたしますと、現在生存の見込者七万七千、こういう人たちは大体復員を予想されておると思いますが、この七万七千の内訳でございますね。ソ連地区に幾ら、中共地区に幾ら、あるいは南方に幾ら、これをお示し願いたい。
  138. 大江晃

    大江政府委員 この点に関しましてはまだ発表する段取りになつておりません。
  139. 成田知巳

    ○成田委員 発表する段取りになつていないというのはわからないというのですか。わかつているのだけれども、まだ発表できないというのですか。
  140. 大江晃

    大江政府委員 これは引揚げ促進に関しまして、政府といたしましていろいろ国際連合その他に折衝いたしまする関係もありまして、慎重にやらなければならぬと思つております。また状況が必ずしもすべて明確になつておりませんので、その点さらに詳細調査をいたしましてその上でやりたい、こういう考え方でおります。
  141. 成田知巳

    ○成田委員 七万七千という数字がわかつているのですから、大体の内訳はわかつているだろうと思います。どうも今度の予算を見ましても防衛支出金とか、安全保障諸費とか、数字は出しているのだけれども内訳は出してない。これでは私たち納得ができない。積算の基礎があろうと思うのです。七万七千という数字が出ているのなら、大体のところをお示しがあつていいと思います。交渉の関係ということを言われましたが、これが発表されたからといつて交渉にさしつかえがあろうとも思われないのですが、七万七千という数字が出ていて内訳がわからないというのは、どうも私ども納得が行かないのです。
  142. 大江晃

    大江政府委員 この点につきましては先ほども申し上げました通り、やはり将来のいろいろな交渉の関係もございまして発表いたすわけに参らないのでございます。
  143. 成田知巳

    ○成田委員 じやあその内訳は、数字政府当局はおつかみになつておるのですね。ただ発表すると今後の交渉上まずいから発表できないので、七万七千の内訳の数字は明確にわかつているのですね。
  144. 大江晃

    大江政府委員 大体の数字はつかんでおりますが、これはやはりその後のいろいろな調査等によりまして多少の変化もあるわけでございまして、明確に限定せられた数字ではないのであります。
  145. 成田知巳

    ○成田委員 内訳を発表することが交渉上まずいということは、これは商取引でも何でもないのでありまして、生命に関する問題なんですから私たち了解に苦しむのですが、まあ発表なさらないというので、これ以上追究はいたしません。  次に死亡者が約二十三万と見込まれておりますが、この二十三万というのは大体どこで死んだか。これは大体の数字がおわかりになつておられると思いますので、御説明を願いたいと思います。
  146. 大江晃

    大江政府委員 これも見込みでございまして、どこの地区で何名死亡したというようなことを正確に申し上げるわけに行かないのでございまして、終戰時に在外同胞の相当多数に死亡者があつたという以外に、明確な数字を申し上げるわけに行かないのであります。
  147. 成田知巳

    ○成田委員 詳しい数字はもちろん発表することは困難だろうと思いますが、たとえば終戦当時の満州の混乱で大体何万、あるいはソ連に抑留中に死亡した者が大体何万というふうに、大体の目途はおわかりになるだろうと思いますので、これを御説明願いたい。
  148. 大江晃

    大江政府委員 これもまだ今後の交渉の関係上発表するわけには参らないのであります。
  149. 成田知巳

    ○成田委員 そうするとわからないのじやなしに、交渉の関係上発表できないので、数字はおわかりになつておるわけですね。最初は何だか数字がわからないというようなお話でしたが……。
  150. 大江晃

    大江政府委員 さようでございます。
  151. 苫米地英俊

    苫米地主査 他に御質疑がなければこれにて外務省及び法務関係質疑は一応終ります。  なお中曽根君の留保された点は当局者が参つたら、その際行うことといたします。     ―――――――――――――
  152. 苫米地英俊

    苫米地主査 次に昭和二十七年度一般会計予算内閣及び総理府所管及び同特別会計予算総理府所管を一括して議題といたし、質疑を行いますが、昨日申し上げました通り、地方財政委員会、国家地方警察本部、外国為替管理委員会並びに警察予備隊関係については、特に詳細に説明を聴取した後質疑を行います。  まず説明を聴取いたします。     〔主査退席、角田主査代理着席〕
  153. 角田幸吉

    ○角田主査代理 それでは最初に警察予備隊関係の説明を求めます。増原政府委員
  154. 増原恵吉

    ○増原政府委員 警察予備隊の昭和二十七年度予算案五百四十億円につきまして、その概略の御説明をいたします。  昭和二十五年八月に警察予備隊を創設することになりましてから、昭和二十五年度におきましては、ポツダム政令によりまして二百億円を国債費から移用し、昭和二十六年度におきましては、本予算百六十億円、補正予算百五十億円、合計三百十億円をもつて警察予備隊の需用を充足して来たのであります。御参考のためこれら二会計年度の予算使用の概況をまず御説明申し上げます。  昭和二十五年度の二百億円のうち七万五千人の隊員の募集費三億一千万円のほか、初度装備として、個人被服及び装具四十六億円、寝具十四億円、車両十八億五千万円、通信機械五億八千万円、衛生資材一億三千万円、各種需品及び工具類約十七億円、合計百二億六千万円を使用しました。施設費におきましては、七万五千人を収容するために国有財産である旧軍施設及び若干の民有の旧工場を応急修理して利用したほか、さらに恒久施設として四つの管区総監部をそれぞれ練馬、札幌、伊丹、福岡に設置し、また秋田、青森、函館に営舎を新設することとしてその工事に着手したのでありますが、その使途は、四管区総監部に十六億九千万円、新設三営舎に四億七千万円、既存施設の応急補修費に十一億四千万円、固定通信施設その他に六億円であります。以上のほか給與、食糧費、旅費、事務費等経常費で五十五億円を使用いたしました。  昭和二十六年度におきましては、当初百六十億円の決定を見た後、給與改善費にあわせて装備の急速整備をはかるほか、施設の面におきましても、補給廠、倉庫、学校、通信施設、射撃場等の新設整備をするために補正予算百五十億円の議決を得たわけであります。合計三百十億円のうち物品費は約百四十九億円、施設費は五十七億円であります。  物品費につきましては、被服、車両、通信機材、衛生等の分野において前年度に引続き装備の充実を第一義としてこれが調達に当つておりますが、その主要なものを申し上げますと、車両四十九億円、通信機材は三十五億円、被服六億六千万円、衛生資材四億五千万円、需品工具三十億七千万円等であります。  施設費につきましては、既成営舎整備補修費二十億円、前年度新設営舎の継続及び久留米等の新設五億円のほか、補給廠、固定通信施設、学校等の整備をはかつております。  次に昭和二十七年度の予算案の内容を御説明いたします。七万五千名の警察官のほか、三万五千名の警察官を増員することとして経費を計上しております。大別いたしまして七万五千名分三百三億円、三万五千人増員分二百三十四億円、その他三億円となつております。  まず十一万人の警察官の給與は九十七億四千万円で、一人一月当りにしてみますと七千五百円弱となります。また昭和二十七年度には任用期間を満了した一等警察士補以下の警察官に六万円または三万円の特別退職手当を支給しなければなりませんが、その金額は受給資格者七万一千人に対し約三十九億円であります。隊員の糧食費は基準額を一日九十円として三十二億六千万円であります。三万五千人の新規募集及び特別退職者の補充のための募集費に一億六千万円を見込んでおります。  次に装備費について申します。個人被服装具は増員分の新規調達及び既定人員分の更新分約二十八億五千万円、寝具六億五千万円、合計三十五億円、車両購入費約七十億円、通信機材は野外及び固定、また有線無線をあわせて六十五億円を予定しております。衛生機材につきましては三億四千万円、各種工具、需品、事務用机いす類及び食堂厨房用器具物品で三億円、さらに被服、くつ、車両、土木、通信等の機械器具の自隊修理のためのミシン、簡易なボーリング機械、鋳造、鍛造、検査等の機械及び付属工具一億六千万円を計上しました。これで装備関係備品の計は約百七十七億円になります。以上により増員分の装備についても既定分の装備にほぼ近いだけのものを装備したい考えであります。  なお火器弾薬類は、従来通り米軍所有のものを使用することとし、これらの購入費は計上いたしておりません。  次に装備の修理についてでありますが、簡易な修理についてはあとう限り自隊で行う建前でありますが、修理施設未整備のため、外注修理も併用せざるを得ませんので、自隊外注併用で行きまして、その修理費約十億円、揮発油を初めとする各種油類十四億円、暖房炊事用石炭約五億円、真空管、乾電池等通信関係消粍品二億七千万円、地図、標的、ローブ、木材、わら、カーバイト等の訓練用消粍品四億五千万円を計上しました。なお通信施設について申しますと、総隊総監部と管区総監部との間には模写電信を、管区と部隊との間には電鍵電信を設置すべく着々実施中であり、その所要機械は前に申しました通信機材費の中に含まれていますが、その他有線連絡につきましても専用通話方式によつていますので、その所要額は六億三千万円であります。また隊員の医療につきましては、鋭意医官の充実に努めていますが、なお不足しており、また病院も未だ整備するに至らず、従つて軽微なものは部隊の診療所で行い、入院についてはもよりの国立病院等に委託しておりますが、その所要経費は自隊診療のための薬品等で九千万円弱、診療委託費一億四千万円等を計上しております。以上の消耗品関係を合計いたしますと約三十五億円になります。以上のほか部隊移動、車両の輸送、演習、各種資材の輸送で約五億二千万円を見込みました。  次に旅費事務用消耗品、賠償費等の事務費及び雑費、部隊の水道電気代、建物の軽微な修繕等で約十二億円を計上いたしました。  次に、施設費について御説明いたします。従来予備隊予算はただ一つの項のもとに編成されておりましたが、昭和二十七年度から警察予備隊費の項と警察予備隊施設費の項とに区分いたすこととしております。施設費は総額百三億円で、その内訳は工事費八十七億円、不動産購入費十三億六千万円、事務費二億四千万円となつております。増員に伴いまして、営舎の増設に五十一億円、補給廠の整備に十六億円、学校及び研究所に十二億円、射撃場及び訓練場で十四億八千万円、通信送受信所の建設及び機械すえつけで一億六千万円、既設営舎の補修、倉庫等の増設等で五億二千万円が工事費及び不動産購入費の内訳であります。工事費の主要なものを申し上げますと、営舎の増設は、約三万人の収容能力の増加を予定しており、補給廠は既設の立川及び宇治のほか、九州及び北海道の補給廠の整備並びに増員分について補給廠の増設を計画しております。また学校は幹部養成学校、普通科学校、特科学校等の整備を予定しております。以上の部隊経費のほかの約三億円は本部、研究所及び建設部の人件費庁費であります。  以上をもちまして、昭和二十七年度警察予備隊予算案の説明を終ります。何とぞすみやかなる御審議をお願いする次第であります。
  155. 角田幸吉

    ○角田主査代理 これにて警察予備隊関係の説明の聴取は終りました。     〔角田主査代理退席、主査着席〕
  156. 苫米地英俊

    苫米地主査 まず国家地方警察本関係について説明を求めます。総務部長加藤陽三君。
  157. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 昭和二十七年度国家地方警察予算の大要について御説明申し上げます。  要求総額は百八十六億八千六百余万円であります。昭和二十六年度予算は百五十八億余万円でありますので、これに比して二十八億八千七百余万円の増となつております。しかしこの中には、昨年の警察法改正に伴う警察職員の増員分の給與及び昨年秋に行われた国家公務員の給與改善のための増加に要する経費が二十三億五千余万円ありますし、また警察電話専用料の値上げによる増加が二億二千六百余万円計上されて起ります。  以下本予算の内容の概略を申しますと、まず人件費で、これが百十二億八千四百余万円となつております。第二は、警察通信の整備拡充のための経費であります。いまさら申し上げるまでもなく、警察通信こそは警察活動の中枢をなすものでありまして、この整備の如何が犯罪捜査検挙または警備実施等の完全な遂行に及ぼす影響は大なるものがありますので、本予算中に二十九億五千余万円を計上いたしています。特に超短波施設はすでに昨年において四県分、本年度において十四県分をお認め願い、第一線における迅速な事件処理の上に相当の効果をあげておるのでありまして、これは事件の予防及び発生後ただちに現場に臨んで処理するためにきわめて有効なものでありますので、明年度において北海道五方面、及び四県に固定局、移動局各六十三局、中継局十一局を新設いたし、並びにラジオ・カー六十三台の購入のため三億四千余万円を計上いたしました。通信関係経費としては、その他電通省に払込みます警察電話専用料として十五億三千五百余万円、現有通信施設の維持費として五億八千九百余万円を計上いたしております。  次に、警察装備のために要する経費として十四億八千八百余万円を計上しております。広大な地域を管轄し、要求に応じて自治体警察に応援のため出動する任務をもつている国家地方警察としては機動性を最高度に発揮する必要がありますので、車両の整備強化が所要であります。そこで現有車両は老朽車が比較的多いので、その減耗補充分として大型車はその一割、二、三輪車はその二割の車両を購入することとしてこの経費二億七千五百余万円を計上いたしています。その他の経費は警察官の被服費三億五千三百余万円、車両の修繕料二億七千百余万円、及び燃料費四億五千五百余万円等であります。  第四に、警察官の教養充実のための経費として学校職員及び巡査見習生の人件費五億一千百余万円を含み十一億一千二百万円を計上しております。警察運営を真に民主主義を基幹とし、国民の信頼にこたえるためには警察官各個人の人格の向上及び捜査の科学化、能率化のために不可欠の技能の熟達をはかることが必要であります。そこで巡査の初任教養及び幹部教養のほかに、警察大学校、管区警察学校、府県学校におきまして、警視以下警察官全員を各階級に応じた現在教養を一箇月ないし二箇月を実施する計画であります。現在教養は人格の陶冶、民主主義精神の徹底を期することはもちろんのこと、刑事等の特科教養の充実をはかつて警察官の捜査能力の向上のために努力をいたすことにいたします。  次に、警察活動に直接必要な経費としては、大体本年度と同様に活動旅費九億一千二百余万円、捜査費二億二千四百余万円を計上しています。  以上が昭和二十七年度予算の概略であります。
  158. 苫米地英俊

    苫米地主査 次に外国為替管理委員会関係の説明を求めます。大久保政府委員
  159. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 それではただいまから外国為替資金特別会計の予算につきまして御説明申し上げます。お手元にお配り申し上げました「総理府所管外国為替資金特別会計」と題しました印刷物を御参照の上でお聞き取り願いたいと存じます。  外国為替資金特別会計の歳出歳入の予算といたしましては、外国為替資金を運営いたしますのに必要な経費その他を歳出といたしまして、またこの資金の運営に伴いまして收入いたします外国為替の売買の利益あるいは資金の運用をいたしました利息収入等をおもな歳入といたしておるわけでございます。二十七年度におきましては、この資金の歳入予定額は六十一億九百七十七万円でございまして、歳出の予定額も同様六十一億九百七十七万円に相なつております。これを前年度の予算に比較いたしますと、相当程度歳出入とも増額いたすのでありまして、前年度におきましては、歳出入とも十七億五百九十二万円でございましたので、比較増といたしましては四十四億三百八十五万円それぞれ増加することに相なります。  この予定額を各項目別に御説明申し上げますと、まず歳入の部におきまして一番大きな項目は、外国為替等売買差益でございます。これは金額にいたしまして来年度は四十五億八千二百八十万円、前年度に比較しまして、三十五億九千七百六万円の増加に相なるのでございますが、元来この外国為替等売買差益と申しますのは、外国為替管理委員会が管理運営いたしております外国為替貿易その他の取引に必要の都度これを売却いたします。同時に日本の取得いたします外国為替は、原則として委員会に集中するという建前をとつておりますので、買入れの際にも若干の差益をとつておるわけであります。その差益の収入でございます。前年度に比較いたしまして、ただいま申し上げましたように相当増加いたします理由といたしましては、外貨収支が受払いとも明年度は増加いたしますことと、なおまたポンドの買相場につきまして、一昨年の十二月に買相場を若干変更いたしましたのと、それからごく最近になりまして為替売買の予約相場につきまして、現物の直物相場と予約の相場に若干のスプレッド、すなわち開きをつけることにいたしました。そういう関係で収入増を見込んだ次第でございます。  次に歳入の大きな項目といたしましては、運用收入でございまして、この金額は来年度は十四億八千六百八十万円、前年度に比較いたしましてこれも約倍増の七億六千六百八十万円の増加に相なります。外国為替資金に属しておりますドル、ポンド等の外国為替は、これをおもに日本の経常的な貿易取引その他に必要のために運転資本として保有しておるのでありますが、若干の金額につきましてはこれを長期預金することもできまするので、これを利付の預金に運用いたしております。その預け金の利息を主といたしまして、この運用収入が生れて出る次第でございます。前年度に比べまして相当増加いたしまするわけは、最近の外貨保有の状況から見まして蓄積額がふえて参つた関係によるのであります。  それから次に収入の項目といたしまして、雑收入というものがございますが、この金額は四千十七万円でございます。前年度に比較いたしまして三千九百九十九万円ふえる予想でございますが、この雑収入と申しますのは、為替の売買につきまして予約をいたしますので、予約を取消し、あるいは延長いたします場合にこれを相殺いたしますので、その相殺による収入でございます。  次に歳出の部について申し上げますと、ただいま外国為替管理委員会の職員といたしましては、定員七十九名の少い世帯でございまするので、経費といたしましては多額の事務費は必要ないのでございますが、この外国為替管理、特に外国為替資金の運営の事務は特に専門的な銀行の知識と、それからこの仕事をさばいて行く職員の構成が必要でございまするので、委員会の取扱い事務のほとんど大部分を日本銀行に委託いたしまして、日本銀行に取扱わせておるのでございまして、それに伴いまして日本銀行に対する事務取扱いの委託費が大きな支出項目に相なるわけでございます。それで委員会の職員その他に関連する経費と、日銀に対する事務取扱い費とを合計いたしまして、二十七年度におきましては一億一千九百四十六万円を計上いたしております。約一割前年度に比べまして増加いたします。増加額は千三百十八万円でございますが、こういうのが歳出項目の一部にございます。  歳出の中で最も大きい項目といたしましては、国債整理基金特別会計へ繰入れという項目でございます。これは外国為替円資金の所要の場合には借入金をすることができるのでございますが、この借入金に対して一時借入金の利息及び融通証券を発行いたしました場合の割引料の支払い、こういう財源はこの特別会計から国債整理基金特別会計に繰入れることになつておりますので、この支払い財源としての経費、これを計上いたすわけでございます。この項目の金額は明年度三十一億三千二百五十万円、前年度に比較いたしまして二十四億二千七十五万円の増加に相なります。こういうふうに前年度に比較いたしまして増加いたします理由は、来年度中一時借入金及び融通証券の残高というものは、相当外貨の蓄積を反映いたしまして増加するという点と、またこの融通証券を発行いたします場合に、これをただちに日銀引受け等にいたしませずに、インフレ的な効果を抑制します見地から市中消化をはかりたい、そのために金利の引上げを来年度においては講じたいというその関係に基くわけでございます。  なお歳出といたしましては、ただいま申し上げました一時借入金及び融通証券の割引料の支払い経費というほかに、相当多額の予備費を計上いたしております。これは何分外国為替資金会計の経費、歳出と申しますのは、非常に予見しがたい外国為替の蓄積状況に応じまして経費を要するわけでございますので、万一の場合に予算の不足を補いますために、相当の予備費を計上しなければならないと思います。それで明年度におきましては二十八億四千二百八十万円、本年度に比べまして十九億七千三百三十二万円の増加でございますが、こういう予備費を持つて参りたい、そう考える次第でございます。  なおその他の歳出項目といたしましては、諸支出金といたしまして、千五百万円、これはいろいろな払いもどし金であるとか、外貨の借越しに対しまして私どもの方から支払います利息、そういつた雑支出に対する経費でございます。  大体外為資金特別会計の明年度の予算の全貌につきまして、以上御説明申し上げた次第でございます。
  160. 苫米地英俊

    苫米地主査 次に地方財政委員関係の説明を求めます。政府委員武岡憲一君。
  161. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 地方財政委員関係昭和二十七年度一般会計予算の要求につきまして、その理由及び金額について概略を御説明申し上げます。  すなわち地方財政委員会が所管いたしまする地方財政平衡交付金法に基きまして、地方団体に交付すべき地方財政平衡交付金と、地方団体が従来において受けました各種震災、風水害その他の災害の復旧のために各地方団体が借り入れました借入金の償還につきまして、元利または利子を毎年度補給して参りましたのを、昭和二十七年度において全額繰上げて償還するための経費、それからいま一つは、各地方財政委員会の組織を運営するための人件費並びに物件費、以上がそのすべてであります。  次に、明年度要求いたしております総額は一千二百五十四億四千二百八十九万四千円でありまして、前年度の予算総額一千二百億七千七百五十二万二千円に比較いたしますと五十三億六千五百三十七万二千円の増加要求となつております。この増加いたしております額の内訳は、交付金において五十億円、地方災害土木費の財政援助において三億六千百六十一万円、一般行政費については三百七十六万二千円となつております。  さらに昭和二十七年度要求額を事項別に申し上げますと、地方財政委員会に必要な経費三千百八十万円、地方財政計画の策定及び運営指導に必要な経費といたしまして四百八十万三万円、それから前年度から施行いたしておりますが、地方財政の実態調査に必要な経費といたしまして二百七十八万六千円、地方税法の運営に必要な経費三百二十二万五千円、地方財政平衡交付金に必要な経費一千二百五十億円、地方災害土木費財政援助に必要な経費四億二十八万円、以上となつておる次第であります。
  162. 苫米地英俊

    苫米地主査 これにて説明聴取は終りました。  質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。中曽根康弘君。
  163. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 予備隊の問題をちよつとお尋ねいたしたいと思います。私は予備隊の実情をあまりよく知りませんので、この機会にこれを教えていただけばありがたいと思います。  まず第一にお尋ねいたしたいと思いますが、警察予備隊ができたいきさつは御存じの通りでありますが、警察予備隊が誕生したいきさつや、現在のアメリカ日本との関係から見て、予備隊制度を実際実施していて、特にアメリカとの関係で、こういう点は困るという点をひとつ率直にここで御披瀝願いたい。
  164. 窪谷直光

    窪谷政府委員 非常に微妙な御質問でございまして、長官からお答えすべき事柄でございますが、いろいろ占領下でございますので、一般の占領下におきますようないろいろな問題がございます。ことに予備隊につきましては、その程度がある程度きついというのが現況であります。それ以上のことは長官からお聞き取り願いたいと思います。
  165. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私が御質問申し上げたいのはそういう筋の話が多いのでありまして、事務当局の方ではどうも御返事がいただけないと思いますので、それはあとまわしにいたしまして、それでは事務的な問題だけちよつとお尋ねいたします。  五百六十億円の安全保障諸費がありますが、この間の池田大蔵大臣の説明によると、あの安全保障諸費は防衛支出金には充当されない、こういうことを答弁いたしました。しかし予算書によると、あの安全保障諸費というものは日米安全保障條約に基く諸費、こういうふうに書いてあります。そうすると、予備隊に使われるか、あるいは海上保安庁方面に使われるか、あるいはそのほかの何ものかに使われるということ以外にはないのでありますが、今の御説明によると、安全保障諸費からの支出というものは何ら予定されておらぬようでありますが、その点はいかがになつておりますか。
  166. 窪谷直光

    窪谷政府委員 五百六十億円の安全保障諸費を予備隊の方で使うかどうかということにつきましては、ただいまのところでは使わないという考え方で事務当局としては進んでおります。また政府当局の方からそれが予備隊の方に若干まわるというような話もまだ承知をいたしておりません。
  167. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それでは長官がおいでになりましたから、先ほどの質問をもう一回申し上げますが、警察予備隊が誕生したのは御存じのようないきさつからであり、また占領下でもありまして、予備隊を運営して行く上において、かなり御苦心があるやに承つております。そこで実際問題として予備隊というものを予備隊本来の趣旨に従つて活動せしめるために、対関係方面とのいろいろな関係でどうも困るという点が相当あるだろうと思うのです。われわれもそういうことをかなり聞いておりますが、この際率直にどういう点がお困りになつているのか、議員にひとつ聞かしていただきたいと思います。遠慮なしにどうぞお願いいたします。
  168. 増原恵吉

    ○増原政府委員 予備隊が生れましたのは、御承知のようにいわゆるマッカーサー書簡によつて生れまして、われわれの方に現在に至るまで相当数の、主として米軍の将校が顧問としており、われわれの方がいろいろなことをやる場合に忠告、助言といいますか、そういうものを受けてやつております。忠告、助言を受けます際に、所見の異なる場合がもとよりあるわけであります。     〔主査退席、角田主査代理着席〕  これはしかし現在の日本の国情なり予備隊の生れました経緯から見て、そうした状況のもとに運営をすることが  一つの成り行きにならざるを得ぬわけであります。どういうふうに困ると特に申し上げる事項はないわけであります。
  169. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 顧問の問題も一つの大きな問題だろうと思うのですが、一体あの顧問というものはどういう法規上の事由に基いて付属しているわけでありますか。單に武器や何かを貸與されているから、その見返りと申しますか、恩義によつて顧問というものを派遣されておるのか。予備隊令には顧問を固くというようなことがあることを私は知らないのでありますが、どういう根拠に基いて顧問というものが付属されておるのか。その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  170. 増原恵吉

    ○増原政府委員 特にどういう根拠と言われるとむずかしいことですが、御承知のように創設の根拠になりましたマッカーサー書簡に、予備隊の設立ないしその爾後の運営においては十分協力、援助を與えるであろうというようなことが書いてあるわけであります。根拠といえばまず一つはこれであろうと思いますが、他は特別に日本の法律命令等に基くということではなく、米軍の援助、協力というものの具体的な現われとしての顧問というように解釈しております。
  171. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうしますと、平和條約が発効してポツダム政令関係の効力がなくなるとマッカーサー書簡も効力がなくなるわけでありますから、警察予備隊令その他の改正がない限り、法律で新しく規定されない限り、あの顧問というものは警察予備隊に対しては正規の関係ももちろんないし、来てくれること自体も、われわれが困ると言えば断れるはずであるし、またいろいろ言つて来た内容についても、日本側としては断る力もあるだろうと思うのですが、一体独立後の関係はどういうふうになるのですか。
  172. 増原恵吉

    ○増原政府委員 独立後の状態は、現在のところ明確に私からお答え申し上げることはできません。一応推定をされることは、現在の状態はやはり占領下の状態ということが基本になつておると考えられますから、独立後は新たなるとりきめなり話合いによつて顧問を置くというふうなことになるのが筋道であろうと考えております。
  173. 角田幸吉

    ○角田主査代理 ちよつと中曽根君に申し上げますが、岡野国務大臣が来ておられますので、上林委員からごく簡単に質問したいとのことでありますが、よろしゆうございますか。
  174. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 よろしゆうございます。
  175. 角田幸吉

    ○角田主査代理 ではこの際上林榮吉君から発言を求められておりますので、これを許します。上林山君。
  176. 上林山榮吉

    上林委員 私は岡野国務大臣に質疑を一、二点試みたいのであります。  まずまことに失礼な尋ね方をいたしますけれども、お互いまじめな政治ということを考えなければならない立場から質疑をしておるのであるというふうに御了解くださいまして、率直な答弁を求めたいのであります。  岡野国務大臣はもちろん衆議院議員であられ、同時に政党内閣の閣僚であられるわけでありますが、政党政治の健全な発達ということに対して、所管大臣として一体いかなる考えを持つておられるか。この点をまずお伺いして、次の質問に移りたいと思います。     〔角田主査代理退席、主査着席〕
  177. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私も政党に席を置いておりまして、それから今の日本の政治は政党政治でございますから、政党政治は尊重しなければならぬと考えております。
  178. 上林山榮吉

    上林委員 政党政治を尊重しなければならない、健全な政党政治を育てて行かなければならないという自覚の上に立つておられるというので、まことに意を強くするのでありますが、そこで私が伺いたいのは、過ぐる四月の地方選挙に対する岡野国務大臣の態度であります。当時いろいろな原因があつたのでありましようけれども、各政党の公認候補者は、知事選挙で大部分負けて、多くは中立の知事が当選をしておるという事実はお認めになると思いますが、私はその際遺憾にたえなかつたのは、岡野国務大臣の訓令か、布告か、告示かわかりませんが、名前をもちまして、地方選挙に政党が介入するような結果にならないようにという布告を出されたように記憶いたしておりますが、はたしてあれはあなたの了解を得て事務当局が各地方に出されたものであるかどうか。ことに私は実際の体験者として、中立候補と政党公認候補との争いを見聞して来たのでありますが、中立側はこれを悪用いたしまして、自治庁、特に政府は地方選挙に関する限りにおいては政党がこれに介入してはいけない、政党の候補者よりも中立系の候補者が多く出た方がいい、こういうように政府可も言つておるのだ、岡野国務大臣すらこういうふうに言つておるのだ、こういうように中立候補が、これは一県にとどまらず各地で見られた現象でありますが、そういうようにこれを逆に利用した方面が非常に多かつたのであります。これに対して、はたしてあなたの知らない間にそういう書類が出たのか。それはあなたの名前前を使つてやる以上、あなたがそれを承認してお出しになつたのか。これは簡単なようでありますけれども、それこそ健全な政党政治というものを確立する上において、野にあるときと自分が行政長官なつたときとあまり感覚をかえてもらうということは、これはまじめな意味の政党政治家じやない、また政党政治の確立にならない、こういうふうに考えるので、私は今後のあらゆる選挙にも影響のある問題でありますから、この機会にあらためて所信をお尋ねしておきたいというのが質問の第一点であります。
  179. 藤田義光

    ○藤田委員 ちよつと関連して――ただいま政党政治のエキスパートである上林委員からいろいろ質問がありましたが、その問題に関しまして、私は岡野国務大臣名で、ちようど地方公務員法が制定、公布された直後でありますので、地方公務員が地方選挙に介入してはならぬという通牒を出されたことは記憶いたしておりますが、ただいまの上林委員の発言は非常に誤解があるようでございます。この点私の記憶違いであるか、あるいは上林委員の発言が正確であるかどうか、重ねて御答弁願いたいと思います。
  180. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御答弁申し上げます。私の名儀で地方にそういう通牒を出したことは毛頭ございません。それから次長の名前におきまして、地方公務員法三十六條の解釈を地方に通知したことは、これは出ております。多分この次長の名前で出た解釈のことであつたと私は存じます。ところで、あれは御承知の通りに一昨年の十二月十三日に地方公務員法が発布されまして、翌年の二月十三日にいよいよある特定の例外を除きまして実施されたわけであります。そこで昨年の春、すなわち四月に行われた選挙におきましては、各地方団体からいろいろ十六條の政治的行為の制限という條文について聞き合せがあつたわけでございます。そこでわれわれといたしましては、それに対して自治庁が立案し国会の御審議を経て通りました法律でございますから、また同時にその地方公務員法の第五十九條には、地方自治庁はそういうことに対して助言、勧告並びに説明をしろというふうな規定が出ておりますので、この第五十九條に準拠しまして、自治庁の次長から三十六條の解釈を地方に頒布したわけであります。それ以外何もございません。
  181. 上林山榮吉

    上林委員 そういうような趣旨の解釈として新聞その他に出ていなかつたのでありまして、岡野国務大臣という署名入りで、地方選挙に関する限り政党が介入するようなことをやつてはいけない。こういう趣旨の文書が出ておりますが、本日私時間の関係でその資料を持ち合せておりませんが、單に地方公務員が選挙に介入する限度を説明した文書とはその当時私思わずに、このことについては、それぞれの首脳部からあなたに忠告するようにという電報を、私はつぶさに調べた上で打つたのでありますが、もしそれがただいまおつしやるような地方公務員が選挙に介入する限度の單なる説明であつたとすれば、私もそれで了承いたしますけれども、あらためて新聞に報道された文章その他を提出いたしまして、吟味していただきたいと思いますが、少くとも野にあるときと行政長官なつたときの態度が、政党出身の大臣として、しかも健全な政党政治をやつて行くという意味からもう少し毅然たる態度を――これはあなたに限らず、あるいはいずれの政党に限らず持つべきものである、こういうふうに考えたのであります。この問題は私はほかの公開の席上で発言しようと思いましたけれども、諸般の事情を勘案いたしまして分科会において発言するのでありますから、今後御注意を願いたいと思います。  次に私がお尋ねいたしたいことは平衡交付金に関する問題であります。今年は最初大蔵省の査定の千二百億から千二百五十億に最後に増加いたしましたことは、これは確かに一つの進歩であると、考えますが、これ以外に百五十億の起債のわくを増加いたしたことも、これまた私は一つの進歩であると考えております。しかしこれをもつてしてもなおかつ地方の財政をまかなうことは、地方自体が節約しなければならぬ点もあるけれども、十分ではない。この問題は予算総会において岡野国務大臣も認めている点でありますが、これを補うために地方は社債というかあるいは公債というか、そうしたようなものを今年は実現される方針である、こういうふうに聞いているのでありますが、今言つように地方自治体に節約をせしめ、さらに五十億の最初大蔵省の査定よりも平衡交付金を増加し、さらに起債のわくを百五十億拡大しても足らない、その面に対して何か特別のただいま言つたような問題について積極的な研究準備をしておるのか、あるいはまたそれをお許しになる方針であるかどうか、この点を伺つておきたいのであります。
  182. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一の点について一応申し上げておきますが、選挙中幹事長から、私は電報をいただきました。それは今御説の通りの御趣旨でございました。そこでどういうわけで私がこういうような御注意を受けるのかということで、どうもふに落ちませんですから、わけがわからずに、なるほどそうかなと思つて電報を受取つたわけでございます。あとで調べてみましたらあなたの方から御通知があつて御注意があつたということで幹事長から電報を打つたのだ、それじや何が根拠になつているのかということになつたら、いや何が根拠になつているかわからぬけれども、そういう注意があつたから君に注意したのだ、こういうわけでございます。それからいろいろまた調べてみましたら、多分上林山さん、あれは地方新聞じやございませんか。どうも中央の新聞を調べてみましてもそういうことは載つておりません。また現に本人が言つていないのですから載ろうはずはないと思いますが、何かの新聞社の誤伝か何かが私の談として伝えられて、地方に流れたのではないかというような想像をいたしております。しかしそのほんとうのあなたのおつしやつた新聞を私見ておりませんから、もし何でございましたらその新聞をひとついただきまして……。
  183. 上林山榮吉

    上林委員 差上げます。
  184. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 よくどういう内容か検討をいたしまして、もし何でしたら大いに抗議を申し込んでいいと思います。そういう事情でございますから、その一番初めの第一点の御疑念は私は解いていただけると思います。  第二点の平衡交付金の問題並びに地方債のことでございますが、御承知の通りに初め地方財政委員会が地方財政の財政計画を立てますときには、今現に実行期に移つておりますところの附加価値税を今年の一月から実施して行く、こういうような前提のもとに、附加価値税の税収を基礎にして算出いたしましたものでございますから、二十六年度は千二百億の平衡交付金でありましたが、もう百億もらわなければいかぬということで百億の要求をしたのでございます。ところが国家財政のいろいろな都合によりまして五十億増加になつて、そうしてあとの五十億をどうしようか、いろいろ考えておりました次第でございますが、一般の要請並びにいろいろな事情から、附加価値税はもう一年延ばした方がいいじやないか、こういうことになりまして、そうして事業税を実施しますということになりますると、附加価値税よりは約百七十三億ほどふえることになりますが、先般国家に対して要請しました平衡交付金の五十億も穴埋めができ、同時にまだ財源もございますことでございますから、かねがね事業税の下の方に対して少し軽くしたらいいじやないかというような意見がありましたものですから、三万八千円の基礎控除をいたします財源を生み出したということでありまして、大体来年度の地方財政はバランスがとれておるわけであります。しかしながらバランスはとれておりますけれども、地方もいろいろ仕事をしなければならぬ要請というものが非常に厖大なものでございまして、私の記憶が間違いがございませんならば、千七百六十八億ほど大体各地方から起債の要請がございます。しかしながらそれに対して六百五十億のわくしかございません。もつともこれにつきましては、二十六年度が千三百六十七億に対して五百億の起債割当ということで済んでおるのでございますから、大体バランスとしましては、ほぼ似たような起債のわくが獲得できたのでございますが、しかしながら独立後いろいろまた新しい要請もございまして、千七百六十八億が六百五十億だけではおもしろくない、もう少し何とかしてやらなければならぬという考えは持つておりまして、大体において私の考えといたしましては、その余は各地方団体が一般市場から公募公債を募つて、そうしてその起債のわくの足りないところを埋めて行こう、こういうような考えになつておりまして、これは関係方面とも大体話合いもつきましたし、大蔵大臣もこれを承知しておりますから、今年は幾分起債のわくを拡げ得る見込みをつけておるわけであります。
  185. 上林山榮吉

    上林委員 バランスは大体において合うている。しかしただいま言われたように、一般の市場から地方が必要とする資金の募集ができるようにする、しかもこれは大蔵省とも司令部とも了解済みである。こういうふうに承知してさしつかえはないと承つたのでありまするが、それはそうであるか。  それから次に伺いたいことは、自治庁その他の方面においては一般平衡交付金のパーセントの量をふやす、そうして特別平衡交付金のパーセンテージを少くする、こういうような考えだと聞いておるが、これは事実そういうふうに二十七年度からやるつもりかどうか、この点を二点だけ。
  186. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金は最初乗りかわりますときに、税法の改正とか何とかそういう制度の改正があつたために地方に平均がとれないというようなことを防ぐために、特別平衡交付金を置くことになつたのでございますが、もう来年度は特別平衡交付金を置かぬことに法制上はなつております。しかしながらまだ十分その平均運動ができておりませんから、来年度も特別平衡交付金制度を置きまして、少し特別資金として残すわけになりますが、しかしこれは今年度よりはパーセンテージは減らすことになつて、特別平衡交付金は残つて行くことだけは事実でございます。
  187. 上林山榮吉

    上林委員 現在の特別平衡交付金は御承知の通り一〇%である。これを五%にして一般平衡交付金の原則に帰る、こういうふうに聞いておるのでありまするが、非常に災害の多いところ、あるいは戰災をひどく受けたところ、あるいは低地生産地帶その他一般の事情で判断できない関係で、地方財政が非常に困苦欠乏しておるところがあるわけであります。そういう点から考えまして、今ただちに一〇%を五%にするというのは時期尚早だ、われわれといたしましては、むしろここ二、三年は法律を改正してでも三〇%ぐらいに特別平衡交付金を上げて行かなければならぬ地方も相当にあるのだ、こういうふうに考える。それで私はこの問題については強くは申しませんが、いずれにいたしましても地方の実情というものはそういうものである。そこでそれならば一般平衡交付金の基礎がよほど確立して公平に行つていなければならぬ、こういう点から考えると、まだわれわれは相当技術的にもいろいろ実際の事情に合わぬ点があつて、でこぼこが相当にまだある。だからこの基礎算定については相当是正をして行かなければならぬと考えるが、これに対してはどういう御意見を打つておるか、たとえば一例を申し上げますと、算定の基礎として学校の問題を取上げると、本校だけで経営しておるところと、本校のほかに僻陬地が非常に多い地方、そういうところには分校が多い。すると一応は算定の基礎に入つていますけれども、單価とかその他から考えますと非常な負担になつておるわけなんですが、こういうような方面を一般平衡交付金の算定の基礎の中に合理的に入れるところの考えを持つておるかどうか、この点を伺つておきたいのであります。
  188. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。特別平衡交付金のパーセンテージを五%にするということは、まだこれは十分決定版になつておりません。でございますから、御意見として二〇%にもしなければならぬというような御趣旨の点もよく参考として、御趣旨を尊重して考えてみたいと思います。それから算定の基礎でございますが、今御言及になつたことは、われわれも地方財政委員会も心配しておることでございまして、今までは地方財政委員会の規則によつて算定をすることになつておりましたが、来年度からはこれを御趣旨に沿うように法律化して行きたいというわけで、その法律制定のためにせつかくただいま努力中でございまして、おそらく本国会にはこれが出し得ることになるだろう、こう思います。そのときに十分御審議を願いたいと思います。
  189. 上林山榮吉

    上林委員 算定の基礎の問題に関連してもう一言お尋ねいたしておきたいことは、たとえば災害の補助の場合でも、標準税率というものが基礎になつて災害の補助等を出しておりますが、この平衡交付金を交付する場合の算定基礎として、税外收入というものをどういうふうに今後ごらんになつて行く考えであるか、あるいはどの範囲までこれを見るつもりであるか、そういう点等もあわせて伺つておきたいのであります。
  190. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。税外収入につきましては、これはいつも議論の的になるわけでございますが、とにかく各地方とも非常に規模並びに形式が違つております。またとれる手数料とか何とかいうものが、たくさんとれるところととれぬところとありまして、これの見込みをつけるのがなかなかむずかしいのでございますけれども、しかしながらわれわれといたしましては、架空にこんな見込みであるということだけでなく、現実に今まで実際の計数として出ておりましたところの税外收入というものをごく内輪に見ましてとつておりますから、私は地方財政が税外収入の見込みを非常に多くされて、そして平衡交付金が減るとか何とかいうことは今までもございませんし、将来もないことと存じます。
  191. 上林山榮吉

    上林委員 税外収入を幾分かは見ておる。しかし調査に手間取つてこれを正確にいまだ見ることができない。しかし地方財政平衡交付金に重大な関係はない、現在も将来も関係はない、こういう御意見であります。大局的見地から言えば、あるいはおつしやるような議論も私はうなずけないではございませんが、しかしところによりますとこのために一年間に何億、多いところは数十億の税外収入というものがあるのであります。こういう点から考えてもう少し実態を把握されて、しかも国民感情として考えてみても、私はこういう点をもう少し是正される方が、貧困なる各地方にとつて感情的にもいい結果をもたらすのじやないかというふうに考えますので、これは強くは申し上げませんが、こういう方面にもう少し御検討を願うことにいたしまして、私の質疑を終りたいと思います。
  192. 苫米地英俊

    苫米地主査 井手光治君より関連質問の申出があります。この際これを許します。
  193. 井手光治

    ○井手委員 私はこの問題について、ひとつ根本的なことについて大臣の意見伺つておきたいと思います。  本年度の地方税の二千九百二十四億円に対しまする千二百五十億という地方財政交付金の比率は、大体四八%になつておる。昭和二十三年度以来地方財政調整交付金制度が生れてからの交付金の増額の比率というものは非常に驚くべきものがある。四百億程度つたのが今日千二百五十億になつておる。しかも地方財政の税収の四八房に相当する交付金というものを――国家の八千五百億の予算総額から見ましても大体一三%、一五%といつた厖大な交付金を地方に交付をしなければ地方の財政確立ができないという現状に追い込まれておつて、地方財政が交付金に依存する度合いというものが年々増高しておる。こういう問題は、地方財政交付金制度の本質から見ると、将来税牧の半分にも達するような交付金制度をとらなければならぬというような考え方で私は地方財政調整交付金を制定したのじやないと思う。こういうふうに年々依存度を強めて行くと、財政的に中央集権的な度合いというものが非常に強くなつてつて、口に言うところの地方財政の自主性というものが事実上半減されてしまう。こういう財政の運用面から交付金制度に強度の依存面を高めるような考え方を盛つて行くことは一体地方財政の本質なり地方行政の自治的な運用というものと摩擦しないか、矛盾しないかどうか、これは私は将来の大きな問題として、地方財政交付金制度そのものに検討を加える時期に来ておるのじやないかと思う。交付金制度の本質から言つて、大体税収の半分に達するような依存度を持たせることは私は今日行き過ぎておると思つておるのであります。こういう根本的な問題について将来の見通し、あるいは地方財政確立の本質的な考え方を一体どう考えておられるか、この点をひとつ伺つておきたいと思います。
  194. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金は、できました当初の考えといたしましては、元三百六十穂ほど国家から補助金の形で地方へ流れておりました。それを補助金、すなわちひもつきで中央から監督したり、また時によれば干渉されたりいろいろさしずされたりするようなことでは地方の自治は確立できない、地方に自主権を持たせたいという意味におきまして、その補助金というものを約三百億創りましてやめてしまいました。そうして地方団体がこういうような仕事をしなければならぬ、すなわち財政需要がある、それについて反対側に地方で税収がどのくらいある、その税収額と見比べまして、そうして足りないところを国家から――いわゆる先ほど申し上げたように、財政委員会の算出基礎によりまして算出いたしまして、一まとめにして地方に流しまして、そうしてこれを地方の自主権によつて御自由にお使いください、こういうような意味において平衡交付金ができておるのでございますから、平衡交付金のできました本来の立場から申しますれば、地方の自治を十分尊重して自主的に財政の切盛りをして行政をして行けと、こういうことになつておるのでございます。しかし仰せの通りに国家に対する依存の形になります。すなわち二千九百二十四億の税収に対して、千二百五十億も出さなければならぬ。しかしこれにつきましては私はまだ相当検討しなければならぬと考えます。と申しますことは、自治が確立せんとしつつありますが、しかし私の見るところによりますと、過去六年の間に地方自治法ができ、また地方税法ができ、地方公務員法ができるとか、いろいろな法律が地方に対して自治確立のためにたくさんできましたが、みな時を異にしまして、その総合的の調整というものはよくできておりません。なお残つておりますことは地方自治体の事務の再配分ということで、これもしなければなりません。でございますからわれわれといたしましては今度地方制度調査会、これは仮の名前でございまあすが、そういうものをつくりまして、今までできました各種の地方自治確立の法令を全部総合検討いたしまして、自治体のほんとうのあり方の姿をつくると同時に、そのときは地方税法も平衡交付金法もあわせて相当強い検討を加えてこれをやらなければならぬと思います。しかしただいまの段階におきましてはまだそういうような総合的の調整ができておりませんから、現行のままでやつて行きまして、今日千二百五十億国家から出さなければならぬというような状態になつております。これはたとえて申しますれば、もし今後府県と市町村との間に事務の再配分でもできますればかわつて来ることでございますが、現状といたしましては、はなはだしい県になりますと二十八億五千万円でありましたか収入がいるところへ、税収といたしましては一億五千くらいしか入らぬ県もございます。それは何のためにそういうことになつておるかと申しますと、これはいろいろ中央からの委任事務とか、それから普通の事務でございましても財源がないためにそういうことになつておりますから、やはり平衡交付金で埋めて行かなければならぬ。そういう情勢で、ただいまのところではいたしかたございませんが、お説の通りに十分検討いたしまして、地方税法もまたあわせて平衡交付金法もさらに拔本的の検討並びに改革をしなければならぬ時期が到達することと存じます。
  195. 井手光治

    ○井手委員 たいへん御丁重な、私の考え方とまつたく同じような御意見で実は安心しましたが、私の申しますのは、年間千二百五十億に達する漸増の線をたどつておる平衡交付金を増額してやらなければいかぬという考え方においては、私はあえて不賛成ではないのです。ところが今申し上げるように、全体から見ても二千九百億に対して千二百五十億という四八形程度の国家的依存度を示しておる。しかもこれは補助金であつても何でも本質はかわらない。その本質のかわらない姿が一体どうなつておるかというと、東京における中央集権的な財源獲得の線を十二分に確保しなければならぬという建前から、一体地方の県庁の出店が東京中にできてしまつた。これは驚くべきことなんです。県庁が堂々たる建物を買入れしまして、そうして非常に乏しい経費で東京に大きな家屋敷を構えている。これに対して非常な人件費と莫大な維持費を費している。これが料亭化しつつある現状であります。そういう姿において、一方においてはこうした交付金によつてほとんど何十パーセントの依存度を示さなければならぬというような地方の貧弱府県が、競つて東京に出店をつくるというような姿になりつつある。この姿は結局交付金制度の中央集権化の一つの現われであると思つて、まことに残念に思つておるわけです。これはおそらく大臣もお気づきになつておると思うのでありますが、私どもは国家が貧弱府県あるいは町村に対して財政的な調整交付金をするということは、これはもう行政民主化の線からとるべき制度であつて、これは当然とらなければならないと思うのでありますが、これが今日国家財政から見ても地方財政から見ても非常に行き過ぎになりつつある。そのあり方が、中央の権力にたよつて、競つて貧弱な財源の府県が中央に出店を持ち込んでまでも実質的な運動を展開しなければならぬという姿になつておることは、中央集権への逆行であります。おそらく中央集権的な制度のひどかつた明治初年から終戦前までの時代におきましても、補助金を奪うために地方の府県が中央に出店をつくつたり、こういうまねをした時代はない。これはおそらく日本の七十年来の地方自治制度における大きな異なつた一つの姿になつておる。これを伸張させるということになると、私は逆に地方自治は中央集権に依存度を強化する一方、おのずから地方財源そのものが交付金――ただいま申し上げたように貧弱町村においては七、八割までも交付金にたよらなければならないという姿で、だんだんどうも府県の動きが交付金に依存する建前、あるいは公共事業費の獲得、そういつた中央財源に依存するという姿が非常に変な姿で出て来つつある。私はこの際これを警戒しながら、大臣から今御審弁がありましたように、十分ひとつ事務量の調整も考えなければならぬ。そういう線をひとつ十分調節いたしまして、今後健全な地方財政の基本的な線を出すことに具体的な成案を得られるように希望いたしておきます。
  196. 苫米地英俊

    苫米地主査 中曽根君の質疑は留保いたしまして、この際藤田義光君の発言を許します。
  197. 藤田義光

    ○藤田委員 大橋国務相がおられませんから、きわめて事務的な問題を長官に主としてお聞きしたいと思います。まず第一点は治安防衛機構の問題でございます。海上保安庁と警察予備隊と合流せしめまして、総理府に保安本部を置くというようなことが伝えられておりますが、この点に関しまして何か長官の御所見があれば伺つておきたいと思います。
  198. 増原恵吉

    ○増原政府委員 治安防衛機構につきましては、現在の警察予備隊と海上保安庁を統合して治安力の強化をなし得る適当な方策があるかどうかということについて、ただいま研究を命ぜられてやつております。
  199. 藤田義光

    ○藤田委員 保安庁と警察予備隊だけを申し上げましたが、間接侵略に備えまして、出入国管理庁関係もぜひとも合流せしめる必要があると思いますが、この点に関しましてはどういうふうなお考えでございますか。
  200. 増原恵吉

    ○増原政府委員 ただいまのところ具体的に研究をいたしておりまするのは、海上保安庁と予備隊との間の研究話合いにとどまつております。
  201. 藤田義光

    ○藤田委員 新聞の報道によりますると、過日来海上保安庁と警察予備隊の最高幹部の間において、治安機構創設準備会議というようなものが開かれておるようでございまするが、これは合流せる統一官庁ができるまでは、この会議の形体をずつと継続される予定でございますか。
  202. 増原恵吉

    ○増原政府委員 一応われわれ両事務当局の話合いによる計画案をつくることを命ぜられておるのであります。これはあまり長くかからないうちに事務案をつくりまして、大臣の方へ答申をするという運びであります。
  203. 藤田義光

    ○藤田委員 吉田総理、特に岡崎国務相が元陸軍の某中将等を中心に常時予備隊あるいは海上保安庁の将来に関する打合せをやつておることは、今や既定の事実でございますが、予備隊の事務当局といたしましては、現在予備隊及びそのアドヴアイザーたる関係方面の方以外には、全然旧軍人のアドヴアイザーは使つておられませんかどうか、その点をお伺いしておきたい。
  204. 増原恵吉

    ○増原政府委員 われわれのところで事務的な勉強をします際には、御承知のように昨年上下合せますと約千名のいわゆる正規旧軍人が追放解除になつて採用に相なつております。こういう人たちの経験なり知識なりはこれを活用いたしております。
  205. 藤田義光

    ○藤田委員 これは巷間のうわさでございますからあるいはデマかもしれませんが、現在の予備隊は元軍人、あるいは元の内務省関係者、一般民間人、その他から構成されておりますために、ややもすれば部内の調和に欠ける点があるというようなことも聞いておりますが、この点に関しまして長官として、何か特殊な配慮をされておられますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  206. 増原恵吉

    ○増原政府委員 御承知のように予備隊発足当初は追放関係がまだ多量に残つておりまして、広く国民一般から幹部なり隊員をとるということができなかつたわけであります。追放解除のことが進行するに伴いまして、広く一般から採用することが可能になつてつたわけであります。現在は今までの各省官吏、あるいは民間、あるいはいわゆる旧軍人というふうなところから幹部隊員は構成されておりまするが、これは警察予備隊が、円内治安維持の目的のために国を愛し日本民族を愛するという建前で一つの目的に向つて努力をし精進をしておりますので、その間に特に派閥的な傾向、相剋摩擦というふうなものは、私の承知しておる限りはありません。またそういうふうな傾向の生ぜざるよう係大臣大橋国務務相もいろいろと注意をし、指示をしておるところであります。われわれも注意をいたしておりまするが、現在のところさような心配を持つておりません。
  207. 苫米地英俊

    苫米地主査 ちよつとお待ちください。予備隊関係以外に何か御質疑はありませんか。――なければ予備隊関係以外はこれにて一応質疑を終了いたし、留保した質疑は明日行います。藤田義光君。
  208. 藤田義光

    ○藤田委員 予備隊の特殊性にかんがみまして、予備隊の幹部、なかんずく最高幹部の方は人格識見卓絶せる者でなくては今後非常な禍根を残すと思いますが、将来の増員にかんがみまして、採用に関しましてはこの点に関する何か特殊な構想をお持ちでございますか。あるいは単なる試験によつて採用を継続される予定でございますかどうか、お伺いしておきたい。
  209. 増原恵吉

    ○増原政府委員 予備隊の幹部の人選はお説の通りたいへん大事なものと考えておりまして、現在までやつております方針は、その大綱においてはこれを持続してさしつかえないと考えております。今お願いしておる予算では、予備隊七万五千を十一万に制服を増加する案でありますが、これに伴いまして幹部も当然増員しなければなりません。この増員の方向は、現在七万五千の中におります者で、現在では幹部でない者で、資格においても、現在までの経験、勉強振りにおいても、人格においても適当なものがありまするので、相当数、約二千くらいは部隊内から選拔をし、これにある期間の講習をいたしまして幹部に任用する。そのほか現在幹部が相当まだ充足されておりませんので、現在すでに発足をいたして募集にかかつております者は、約五百の大学、専門学校等卒業者を採用し、これも単なる学力ということでなく、人格、身元等をよく調査をいたしまして、約半年ないし八箇月くらいの教養訓練を経て幹部に任命をする。これらの者は、大体最下級の幹部に相なるわけであります。そのほかに約二千程度一般から幹部を募集いたしたいという大体の計画でありますが、まだ決定をいたしておりません。この人たちは実際に募集をいたしますると、旧軍人の諸君が相当に応募されるものと期待いたしております。そしてこれは幹部の最下級にとどまらず、相当上級幹部にもただちに採用をする。もつともある期間の講習をやりたいと思います。そして基本的に最も大切なことは、正規に相当期間の訓練をした幹部を養成するにあると考えまするので、これもまだ確定案になりませんが、おおむね高等学校卒業程度の諸君、あるいはそれと同等の学力というようなところを受験資格にしましたものを採用し、約四年程度の教養訓練を施す。それには一般教養と申しまするか、常識円満な、識見のゆたかな人格を陶冶せしめることに重点を置きまして、正規の期間みつもりとした幹部をつくる方針を早く定めたいというふうに考えておるのであります。幹部の採用及びその教養――幹部が仰せの通り真に人格の点においでもりつぱな人でなければ予備隊の統率指導訓練はできないので、その点には十分に留意をして参りたいと考えます。
  210. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでお伺いしたいのは、現在の久里浜の幹部訓練所の状況に関しましては詳細拝聴いたしておりますが、今後増員するとともに、四月早々には名実ともに日本独立するわけでございますから、この教養面に閲する何か新しい方策を考えられておりますかどうか。なかんずく教官、教授陣の飛躍的な強化ということが当面最大の急務ではないかと私は考えております。現在本部には若い教養課長がおられます。りつぱな方ですが、この際本部にもよほどしつかりした幹部、生徒、学生並びに現地部隊の中堅幹部が真に教養面から敬服するに足るようたりつぱな人をすえるような機構的な再検討も絶対必要ではないか。例は適当でございませんが、かつての陸軍におきましては、そのことのみのために教育総監部というような、軍においても最高の機関と非常な予算を使つて、多数の精鋭をつくるということに腐心しておつたことは御存じの通りでございます。その意味からしまして、現在の警務局の一課にこの教養の問題をやらせる、もちろんほかの幹部も直接間接教養の任に当るのでありますが、何と申しましてもそのポストに直接おるこの現在の機構に関しまして根本的な再検討を行う必要があるのじやないかというふうに私は考えておりますが、この点に関しまして簡單でけつこうでございます。お伺いしたいと思います。
  211. 増原恵吉

    ○増原政府委員 お説の通り教育関係は特に重視すべきものと考えますが、現在さしあたつて従前の教育総監部――これはいわば参謀総長、陸軍大臣と鼎立をした別箇の組織であつたわけでありますが、そういう趣旨の別箇の鼎立した形のものをつくることは、まだ適当であるまいという考え方を現存持つてつております。しかしながら教育に当るべき職員の充実、その責任の責任のとれるものをもつて充てることは、仰せの通り非常に大事だと考えます。特に予備隊における学校は、現在ありますものは久留米にいろいろなものがありますほかに、勝田に施設学校、%志野に特科学校、久留米に普通科学校、立川に武器学校というふうな、専門技術をやります術科学校を設けておりますが、一番大切なものはやはり比較的若い、新しい人々を採用して、これを徹底的に教育訓練をする幹部養成学校であると考えますので、この養成学校の構想を今練つておるわけであります。この任に当るべき校長に該当する人に最も人格、識見ともにりつぱな人を選びまして、基本的方針を授けますが、この人に十分の才腕を振つてもらえるような形において学校制度を拡充する。さらに高級幕僚学校というふうな、単なる技術のみでなく、人格、識見を陶冶すべき学校をも――今形だけはありますが、内容の充実したものをつくりたいと考えておるわけであります。その点については一層十分勉強をしてやつて行くつもりであります。
  212. 藤田義光

    ○藤田委員 これは予備隊の本質の問題になりまして非常にむずかしい問題でございますから、その入口だけを簡單にお伺いしておきたいと思いますが、現在の予備隊は御存じの通り一昨年の八月ポツダム政令でできております。私は現在の七万五千のわれわれの同胞である予備隊に対しよしてまことに気の毒な政令であるというふうに考えております。全国民の代表が協賛いたしましてすつきりした法律でつくつてつたならば、今日なお一層士気が高揚されておつたであろうということを私も想像しておりますし、予備隊の中堅幹部で久里浜から毎週日曜日に私のところに遊びに来る連中もひとしくこの問題を非常に後悔いたしております。当時の政治情勢からすれば、当然予備隊令という政令でなくても、法律として堂々と国会の協賛を経ておつたと思います。しかしもうすでに過去のことに属しますのでここでは贅言を省きますが、現在の予備隊令の第一條の目的には、警察予備隊というものは国警と自治警の不足を補うという非常に賜い、漠然とした規定になつております。この第一條の目的から根本的に改正しまして、先般大橋国務相も近く法律を出すということに言明しましたが、予備隊の事務当局としましてはいつごろこれを国会に出す予定であるか、内容的に何か今までの予備隊令を相当改変した方式をとられるのかどうか、あくまでポリス・リザーヴというような、ボリスという名前をつけられたような法律案になりますかどうか、この点をお伺いしておく次第であります。
  213. 増原恵吉

    ○増原政府委員 警察予備隊令が御承知のような事情で、いわゆるポツダム政令で出ましたことは、われわれ衝に当ります者も、これが当時法律により国会の審議を経た上で生れ出たならはわれわれもさらにやりよかつたであろうということは痛感いたしております。このたびいわゆるポツダム政令は大体廃止の運命にあり、警察予備隊令も法律に切りかえらるべき運命になつておりますが、同時に担当大臣からの指示もありまして、これはまだ名前は決定をいたしておりませんが、たとえば保安隊法というふうなものに名前を切りかえる、そうしてそれはいわゆるポツダム政令を法律に切りかえるということが主眼であるわけであります。内容についてはこれも国会において大臣がいろいろの機会に御説明を申し上げておりますように、根本的な性格の変更等はないものと了承をいたしております。ただ第一條にあたるべき目的の苦き方が国警、自治警の補完作用をなすという書き方よりも、日本国内における安全と秩序を保持するためにいわゆる保安隊なるものを設けるというふうな書き方にすることが適当であろうというふうな方向で考えておるのでありますが、根本はポ勅を法律に切りかえるところにあるわけでありまして、基本的な性格を変更することが今回の保安隊法提出の主要目的ではないかというふうに了解をいたしておるわけであります。
  214. 藤田義光

    ○藤田委員 時間が大分経過いたしましたが、あと二、一問簡単にお伺いいたします。今回予備隊が七万五千から十一万にふえました。関係方面から十五万という強い要望里があつたのに対しまして、この程度におちついたのは吉田総理じきじきの政治力ということはすでに各方面にはつきりいたしておりますが、総司令部の意向としては二十八年度にあくまで三十一万にしたいという熱望があるようであります。私は自衛力漸増の基準に関しましてはこの際あくまで日本が自主性を持ちまして、予備隊にはりつぱなスタッフもおられますから、この事務当局の正確な、何ものにもさえぎられないりつぱな原案を打ち立てていただいて、それに対して国民の血税を充てることが絶対に必要ではないかと思います。もし独立関係方面が形がかわりまして大使館になりましても、あるいはそういう方面のアドヴアイスがあるのじやないかと思います。この際ぜひとも長官以下の事務当局は、この問題に関しましては日本の国情各般の情勢を勘案されまして、あくまで独自の立場でこの隊員数の増加あるいは警備の問題等を決定してもらいたいと思いますが、今後関係方面の制肘は続きそうでございますかどうでありますか。この問題は非常に微妙な問題でございますが、われわれが国会予算を審議する上におきまして将来重大なことでありますので、この際長官の忌憚のない御意見を拝聴しておきたいと思います。
  215. 増原恵吉

    ○増原政府委員 講和條約が発効いたしまして、わが国が完全な自主独立の国になりますれば、諸施策は自主的な線で行くべきことは仰せの通りであります。われわれも総理大臣の直接指揮あるいは担当大臣の指示に基きまして、必要なる治安維持の力の計画、結果、実施のために自主的に努力をいたしたいと考えております。
  216. 藤田義光

    ○藤田委員 いろいろお伺いしたいのでありますが、整理局長もおられますから、この際私の聞知した範囲内におきまして一言お尋ねをし、また希望を申し述べておきたいと思います。  御存じの通り予備隊は現在厖大な予算を使つております。今後おそらく諸般の情勢からこの予算額は激増して行くだろうということが想像されます。二十六年度におきまする当初予算のうちから、これは補正予算の決定したのが遅れた関係もございましようが、二十七年度に三十億くらい繰越しになるようでございます。これら予算の使途に関しましては、全国民が非常な関心を持つておると思います。今後できまする保安隊と申しますか、防衛隊が真に国民の期待に沿うようなりつぱなものになるかいなかは一にかかつてこの予算の問題に関連して来ると思います。資材の購入等に関しまして世間ではいろいろなことがいわれております。また一部下級事務員の涜職が一昨日あたりから公判にかかつておるようでございます。この資材の購入等に関しましてはおそらく非常にむずかしい問題がございましよう。結局かつての軍におきましては直営工場を経営して、みずから燃料廠を置くということで問題の発生を阻止しておつたのでございますが、現在はいわゆる会計法に基きまして契約制度でやつておりますがために、いろいろな欠陥もあり、またいろいろスキャンダルを起す危険があるのじやないかと思うのでございます。この点に関しましては特別の将来の対策を何か考えておられますかどうですか。新しい部隊をつくるがために建設資材費が予算のほとんど大部分を占めておりますので、この問題はかりそめに軽率な運営をやりますると、非常に大きな問題を起すのではないかということを私は憂えまして、この点に関する増原長官の御意見伺つておきます。  昨日姫路の部隊におりまする一等警察士の手紙をいただいたのでございまして、われわれの国会の論議に対しまして非常な関心を地方部隊の中堅幹部が抱いておるということもはつきりいたしました。またこの性格に関しまして、依然としてあいまいもことしていることに対する非常な失望の状態が伝えられておるのでございます。今後新しい法律をつくるに際しましては、なるべく現地部隊の気心をそんたくされまして、なるべくすつきりした制度をつくつてもらいたい。先ほど壇原長官の御意見によりますると、本質的には予備隊令をそのまま法律にかえるだけだと言われましたが、客観楠勢はすでに予備隊令の何歩か先を前進しておるという現状でございますので、これは政治的観点を考慮することはもちろん重大でございまするが、事務当局としてはなるべくすつきりしたものを国会に提案願いまして、国会の批判を仰いでいただくように私は希望しておきます。資材、設備、資金の運用に関しまして増原長官の御答弁をいただきまして、そのほかのことは私の希望として聞いておいていただきたい。私の質問をこれで終りたいと思います。
  217. 増原恵吉

    ○増原政府委員 予備隊は創設の時期でありますので、資材費なり設備費なり多額の国幣をいただいておるわけでありまして、御指摘の通り、少数とはいえ汚職官吏を出しましたことは私どもとしてまことに申訳なく存じておるところであります。当初からわれわれが仕事をやります上で一番力をとられ、また悩みましたものは資材の調弁なり施設の建設であります。仕事のほとんど大部分がその方面にあつたといつても実は過言でないような状態であるわけであります。二十七年度におきましては、本年度よりもさらに多い資材費なり設備費なりを適切に運営いたさなければならぬわけであります。何と申しましても急に設置されたばかりで、急速にその運営をはかるという要請にこたえましたために、諸事不行届きな点が多いわけでございまするが、特に物資の調弁なり施設の関係なりでは適切な技術ある、専門知識ある人々を得ることが事実上まことに困難であります。そのために外部からごらんをいただきましても、運営状態が順調で適切迅速というわけに参らぬような状態であります。しかしだんだんと機構も整つて参るに従いましてそうした点も軌道に兼つて参りましたが、しかし一層大きい明年度の調弁のことを考えますと、現在までの施設は、大体大きいものは原則として建設省にお願いしておつたわけでありますが、建設五でもやはりこれを引受ける限度に達したようでありますので、特に提出いたしました予算では、仮称建設部とでもいうべきものをつくりまして、予備隊で建設の実施をやる。これは建設関係各省、各機関の協力を得まして、人員を整え機構を充実し、中央に建設部を置きまして、必要なところに地方建設部を置く。また調弁につきましては現存の人々の中から適格者を選抜して今次第に充足をしておりますが、この点につきましては、二面現在研究をいたしておりますところは、特別調達庁が終戦後できまして、現在の人的な要素なりその経験なり相当軌道に乗つた組織でありますので、警察予備隊の物資調弁のうち幾分かを調達庁において調達事務をしてもらうということが可能であるか、適当であるかというふうな問題も研究をいたしておるような事情であります。なお調弁、施設等については監察の制度を設けまして、執行の途上、調弁の途中において適時適切な監察を行つて、聞違いの起らないように、適切な品物が入手できるような方法を講じて参りたい。新しい調弁でありますので、品物の仕様書をつくるということに実は非常に大きい難点と努力を要する点があり、今まで欠陥があつたわけでありますが、仕様書をつくる方面においてはだんだんと充実をして参りましたので、この点は一瞬の人的充実をするとともに、物によりましては特別調達庁の援助を受けるということについて研究を進め、彼此相まちまして大切な国幣を最も有効適切に使用するためにはわれわれ一同十分の努力をいたして参りたいと存じます。
  218. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま藤田委員からまことに建設的な質疑があり、増原長官からこれまた誠実のこもつた答弁を拝聴いたしました。いろいろ困難な事情もありましようけれども、警察予備隊に筋金をはつきりと入れていただきたいということをまず前提に申し上げたいと思います。最後に藤田委員から触れられました問題でありますが、二十六年度に四十億円程度補正予算を主として建設費として組んだはずであります。これが二十七年度に繰越されるということは、予算経理上まことに遺憾である、こう私は考えるものであります。ただいまあわてて四十億のうちからいろいろ使つておられるようでありますが、どういうわけで二十七年度にそういう多額のものを繰越さなければならなかつたか。みんなほとんど手がついていないといつてもいいくらいの状態でありますが、どういうわけであつたか、これをまずお尋ねして、一、二問続けてお尋ねをしてみたいと思います。
  219. 増原恵吉

    ○増原政府委員 明年度に繰越すべき金額は、もとよりいまだ確定をいたしておりませんが、相当額を繰越さなければならないようにはなる情勢であります。二十五年度では年度内に契約を締結するところまで運びませんと繰越しができないという制限がありましたために――われわれとしてはただむやみに急いだりあわてたりしたわけではありませんが、形としては年度末にまとまつて契約を締結したということで、国会の方でもあるいは会計検査院の方でもいろいろ質問を受けたわけであります。これは予備隊のそうした方面の機構制度が十分整つていない、整備の進度が思うにまかせないということがありまして、予定通りに事が運ばないことが基本的な原因であります。しかし本年度の予算は、相当な理由があるならば来年度に繰越し得る国会の議決を経ておりまするので、われわれの力としましても、不必要にあわてて不十分な契約の仕方をすることはいたしません。もとより仕事を督励をし進めて参りまするが、適当な段階に来たものから取急ぎ契約を締結して行くことにして、爾後の分はやはり明年度に繰越しの措置をとらざるを得ないと考えております。
  220. 上林山榮吉

    上林委員 私はいろいろな困難な質問があることは承知をいたしますが、しかし基本的には、あなたが今御説明になつたように、機構が整つていなかつたところにあるのだと思うのであります。そこであなた方の方では、あわてて建設部というような部をつくつて、二十七年度では八百名程度の増員をする、こういう予算のように私ども見るのでありますが、これは根本から間違いである。わずか八百名ぐらいの――どういう種類の人間をおとりになるのか知りませんけれども、二十六年度の四十億もほとんど使いこなしていない。まして二十七年度の予算を堅実な意味において使いこなして行くことはとうていできない芸当であるのではないか。ことに現政府は、われわれもそうでありまするが、国費の節約をはかつて能率を上げて、しかも間違いない仕事をするという意味において行政機構の改革をやろうとしておるやさきに、建設省、特別調達庁、あるいは予備隊の建設部、こういうふうに事業の目的が多少違うといつても事業を分断して非能率的な経営を国家がやつて行くということは、これは単なるなわ張り根性ではなくして、真に考えてみなければならない点ではないかと思つているものの一人であります。たとえば特別調達庁のごときは、進駐軍関係の仕事も幾らが少くなつて来る、あるいはものによつてはほとんどなくなつて来る、こういう場合にはこれを一元的に責任を持たして仕事をやつて行くことが行政の能率を上げる点から考えて必要だと思うので、警察予備隊に非能率的な建設部を設けることにはあまり賛成をしないものの一人であります。こういう意味から考えまして、八百名の建設部の部員を増加して、今後その方面の予算の消化ができるかどうか。私は八百名の増員の中には事務職員も相当におるものだと考えておるのですが、それではあなたが今ここで御答弁なつたような健全な経理は不可能に近いのではないかと思つておるのであります。この危惧に対する率直な御意見伺つておきたいのであります。
  221. 増原恵吉

    ○増原政府委員 来年度におきましても、建設省に能力の許す限り予備隊の仕事をしていただくことは従前とかわりません。但し、建設省の能力では増加する予備隊の施設関係をこなし得ない。それで建設省に人を増してもらつて行政整理を差控えるかということと、予備隊にそうした機構をつくるかということにわかれまして、これは建設省ともよく相談をした結果でありまして、われわれは自分のところに建設部がほしいという意味合いでつくつたわけではございません。両者の話合いによつて、予備隊に建設部を置くことがよかろうということになつたわけであります。なおまた特別調達庁につきましては、先ほど申しましたように目下われわれも研究をいたし、特別調達庁の幹部からの意見も承つておりますが、まだ進駐軍の発注業務がどういうふうになるか、特別調達庁の方でもはつきり見通しがつかないようであります。しかし相当程度予備隊の仕事を引受け得るであろうという見通しは首脳部も持つておるようであります。われわれは一般物資の調弁についても特調の援助を得る方向に研究を進めておるわけでありますが、建設部面におきましては建設省、特調、われわれの今度予算にお願いをしておる八百名の建設部というふうなもの、これはいずれもよく連絡をとり、よく話し合いまして、三つの機構にわかれたとは申しながらなわ張り争いなどをしないで運営のできるように努力をしたいと考えます。なお将来の形としては、私どもの建設部を必ずしもあくまで固執するというわけではありません。特別調達庁の進駐軍発注の用務との振合い、あるいは建設省の営繕能力というものとをよくにらみ合せ相談もし合いまして、国家施設機構としてはやはり最も能率のいいものにまとめるように考えて参りたい、そういう方向では考えておるわけであります。
  222. 上林山榮吉

    上林委員 八百名の人間を増員して、二十七年度の建設部面の総予算の何パーセントの仕事を警察予備隊の建設部として担当し得るのであるか、この点をまず伺いたい。  それから第二は、ただ相談した結果でやるということでありますけれども、事務的には一応そういう話し合いがあろうと思いますが、これが関係閣僚は全部交渉において一致した意見を持つておられるのかどうか。1さらに第三点としては、どう考えてみても、同じ種類のものを三箇所に分断するということはこれは明らかにわれわれは非能率的であり、しかも現段階における行政機構の改革という点から考えてどうしても承服しがたいので、あなたの答弁のいかんにかかわらず、この問題をもう少し大きく取上げてみたいと考えておりますので、事務当局の意見をこの際伺つておきたい、こういう意味で聞いておるのでありますから、おざなりの答弁にならないようにひとつ答弁を願いたいのであります。
  223. 増原恵吉

    ○増原政府委員 予備隊の建設部で行います分量は施設費の約二五%を目途とし、金額において約二五億であります。ただいま仰せの注意は私どもよくわかることであり、私どもも決して反対の意図をもつて建設部をつくろうということではありません。御承知のように、国家建設の仕事は申し上げるまでもないと思いますが、建設省と調達庁だけでやつておるわけではありませんで、電通省でも国鉄でも、それぞれ多額のいわゆる国家建設と認むべきものをやつておるわけであります。予備隊においても独自の建設機構を持つべしという意向を持つものももとよりあるわけであります。われわれとしては、予備隊独自の建設機構を持つという根本方針を定めて、このたびは八百名を要求するというところまではまだ固めておらないわけでありますが、二十七年度増大する施設費をこなすためには、現在一般的な国家施設を請負つてもらう建設省ではもう能力が限度に来ているので、これ以上引受けることは困難であるということと関連をして予算隊に建設部を置くということを決定いたしたわけであります。
  224. 苫米地英俊

    苫米地主査 予備隊関係につきましてはまだいろいろ質疑があることと思いますので、予備隊関係は明日午前さらに質疑を行うこととし、本日はこれにて散会いたします。  明日は午前十時に開会いたします。念のため申し上げますが、午後は予算委員会が開かれますので、遅れて開会いたしますと本分科会質疑の時間がそれだけ少くなり、発言時間も従つて制限する必要も起りますので、定刻にお集まりください。これで散会いたします。     午後五時十五分散会