運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-21 第13回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十一日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席分科員    主査 小野瀬忠兵衞君       遠藤 三郎君    小淵 光平君       小峯 柳多君    志田 義信君       田口長治郎君    南  好雄君       今井  耕君    横田甚太郎君       小林  進君    兼務 竹山祐太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局         長)      平川  守君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         食糧庁長官   東畑 四郎君         林野庁長官   横川 信夫君         通商産業政務次         官       本間 俊一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 永山 時雄君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     伊藤 繁樹君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      玉置 敬三君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      中村辰五郎君         資源庁長官   始関 伊平君         工業技術庁長官 井上 春成君         中小企業庁長官 小笠 公韶君         経済安定政務次         官       福田 篤泰君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (総裁官房会計         課長)     小笠原喜郎君         経済安定事務官         (財政金融局         長)      阪田 泰二君         経済安定事務官         (貿易局長)  板垣  修君         経済安定事務官         (物価庁次長心         得)      渡邊 逸龜君  分科員外出席者         通商産業事務官         (通商化学局ア         ルコール第二課         長)      井上  猛君         通商産業事務官         (特許庁長官官         房総務部長)  松永  幹君         予算委員会専門         員       園山 芳造君 二月二十一日  第三分科所属員竹山祐太郎君が本分科兼務とな  つた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算農林省通商産  業省及び経済安定本部所管  昭和二十七年度特別会計予算農林省及び通商  産業省所管     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 これより予算第四分科会を開会いたします。  昨日に引続き質疑を続行いたします。小淵光平君。
  3. 小淵光平

    小淵委員 肥料の問題について少しお伺いをいたしたいと思います。最近肥料生産が非常に上つて参りまして、メーカーの手持も非常にふえ、そのメーカーがどうしても輸出許可していただきたいという運動を熾烈に行つておるということを聞いておるのであります。この輸出については、閣議決定に基いて二十万トンまで輸出をするということになつておるのでありますけれども、現在約三万トン輸出許可されておるのでありますが、この肥料生産状況あるいは輸出についてどういうお考えを持たれておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 最近における肥料生産状況等につきましては、あとで数字でもつて説明申し上げますが、輸出問題につきましては、政府といたしましては、内地における農民必要量を圧迫して輸出するという考えは持つておりません。二十六肥料年度と申しますか、二十七年肥料年度と申しますかにおける輸出計画につきましても、大体の目安を十五万トンでありますか、硫安については増産計画を立て、その増産が実行されたあかつきにおいて、これを輸出にまわそうという計画を立てておつたことは御承知通りであります。ところが去年の八月以降における電力の非常な飢饉のために、生産に非常な影響を受けましたので、輸出に関しては非常に苦慮いたしておりました。ところがその後になりまして、豊水時期に渇水であつたが、今度は逆に渇水時期である十一月、十二月、一月におきまして、大体において豊水関係に立ちましたので、火力に対する手当と相関連して、かなり電力事情が補いがついて、肥料生産も御指摘のように最近はやや順調に進んでおります。ことに過燐酸あたり予定以上の増産でありますから、そういう面については輸出許可していますが、硫安についてはまだもう少し見込みを立てたいというふうに思つておるようなわけであります。最近の詳しい事情政府委員から申し上げると思いますが、先の問題を考えてか、どういう意味農業団体等における引取りも、やや躊躇しておるというか、引取りがないようであります。そこで生産の方は非常にできるが、それは引取つてもらえないので輸出をさしてもらいたいという要求があるやに聞いております。よく生産見込みを立てまして、輸出については考えて行きたい、かように考えております。
  5. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 肥料生産につきまして、数字的の御説明を申し上げたいと思います。昭和二十六肥料年度、すなわち昨年の八月から本年の七月までの二十六肥料年度について、現在までに実績のはつきりいたしております本年一月までの状況をまず最初に申し上げたいと思います。この二十六年八目から本年の一月までの生産実績でございますが、硫安につきましては、生産計画は八十七万二千九百八十トンに対しまして、実績は八十七万三千五百五十トン、ごく少量ではありますが、五百七十トンの計画増になつております。石灰窒素生産計画の十九万一千六百二十トンに対しまして、十大方九千七百七十トン、二万一千八百五十トン計画を下まわつております。過燐酸石灰関係は、生産計画七十八万八千トンに対しまして、九十万一千百五十八トンになりまして、十一万三千百五十八トン計画を上まわつております。次に二月の生産推定と申しますか、それを一応申し上げたいと思います。硫安につきましては、生産計画は十四万三千三百六十トンでございますが、実績はおおむね十五万トンに達する予定でございます。六千六百トン程度生産計画を上まわるのではないかと想定いたしております。石灰窒素につきましては、計画は三万四千トンでございます。実績推定といたしまして一月の生産状況並びに二月の出水その他の状況等を勘案いたしまして、石灰窒素計画通り生産を上げ得ると考えております。過燐酸石灰につきましては、生産計画は十六万二千トン、実績は最近の生産状況並びに二月の状況等から判断いたしまして、計画通り達成できるものと考えております。なお石灰窒素は、今後の問題でございますが、今日までのところ二万一千トン程度計画を下まわつておりますが、カーバイドの生産状況、あるいは三月以降の出水状況も、通例申します豊水期に向います関係で、本肥料年度中には所定の生産計画を実現できると考えておるのでございます。今日までの不足は今後の生産によつて取返しができる、こういうぐあいに考えております。
  6. 小淵光平

    小淵委員 現在非常に生産が上つて来たということはただいま数字によつて伺いいたしたのでありますけれどもさきに二回にわたつて三万トンほど輸出されておるのであります。この当時は電力事情等も非常に悪くて、生産がきわめて上らないときに三万トンの輸出がなされておる。これに刺激されて、結局肥料値段が非常に上つて参りまして、農村の受ける不利益はきわめて大きい結果になつたわけでありますが、この三万トンを輸出しなければならなかつたという経緯をお伺いいたしたいと思うのであります。
  7. 周東英雄

    周東国務大臣 私の記憶が間違つておれば別ですが、今まで三万トンは出ていないはずです。台湾フィリピンに対して各一万トンずつ出しておると思います。これは台湾フィリピン等における特殊事情といいますか、要求に対して、日本といたしましても当該地方に期待する物資等もありますので、当時の事情として内地における生産事情から見て許し得る最大限度のものを許可しただけでありまして、それ以上につきましては今後における内地事情等考えて、それを圧迫せぬような処置を講じつつ、増産の見通しとあわせて輸出考えて行きたい、かように考えております。たしか肥料年度は七月から翌年六月までであつたと思います。従つて先ほど申しましたように、今年度後半期における生産状況とにらみ合せまして、今後における輸出に対処して行きたいと思つております。
  8. 小淵光平

    小淵委員 今長官からのお話で二万トンであろうということでしたが、実質はやはり三万トンになつておりますので、この点はお調べ願えればおわかりになることと存じます。もちろんいろいろ事情があつて輸出許可が出たということはわかるのでありますけれども、ここで一番問題になるのは、やはり生産増強とにらみ合せたところの輸出が行われないと、先ほど申し上げましたように、農村の受ける不利益というものがきわめて大きい結果になります。今後はすべて増産とにらみ合せて輸出をするという御言明は今お伺いいたしたのでありますけれども輸出許可しても値段は上らない、農村不利益はないのであるという具体的の措置をどんなふうにお立てになり、お見込みをつけるお考えでありますか。これは将来の問題でありますけれども、この許可が出るということになると肥料値段に直接影響が及んで参りますので、これの具体的なお考えがありましたならばお伺いいたしたいと存じます。
  9. 周東英雄

    周東国務大臣 最近における値上り等については、私ども一番心配をいたしておりますが、これは必ずしも今まで輸出をしたから値段上つたというかつこうにもならないようでありまして、やはりメーカーの方においても輸出を相当していただかなければならないし、また私の聞くところによりますと、肥料は先高になるだろうという前提のもとに農業者団体等もかなり手当をなさつておるようであります。今日非常に妙な状況は、先ほども申したように製造工場からあまり引取りがないのです。そこに私は非常な問題があると思います。従つて製造業者は相当に出したがつてつている。これは私ども生産状況をよく見て輸出を押えておるようなかつこうであります。そういう状況でありますから今お話のように輸出許可すると値が上るということだけでなくて、将来に対する多少の思惑等もあつたのじやないかと推察しております。これは通産当局とも話をしておりますが、今日のような状況においてはある程度一定の限界といいますか、千円なんか上まわらないようによく業界とも話合いをつけてみたらどうかということもいわれておりますが、現在の段階においては生産伸び方、これからだんだん豊水期に入るわけでありますから、そういう状況考えれば今後生産が落ちるとは思われないのであります。従つてその間に処して業界等ともよく話合いをつけてやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  10. 小淵光平

    小淵委員 お考えはある程度わかりましたけれども、根本の問題は、通産省といたしましては輸出増強という面にどうしても意を用いて行くということは、これは所管の上からいつて当然考えられるわけであります。一面農林省の方といたしましては、国内農家経済が圧迫されないように、不利益を受けないようにできるだけ努力をして行こうというのがこれまた所管の上からいつて当然なことでありますけれども肥料輸出をする場合において、通産省独自で許可を與えて輸出ができるものであるか、あるいは農林省会議をするなり、承認を受けなければ輸出許可ができないものであるか、その辺の事務的な話合いはどんなふうにきめられるものでありますか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
  11. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 肥料輸出につきましては、お話のような輸出の振興という立場、あるいは東南アジア諸国に対する需要を日本側としてできるだけ充足して行きたいという気持、それと同時に国内向け肥料を充足して参り、ことに輸出によつて異常な価格の騰貴とか供給の不足するという事態を起さないような、二つの強い要請調整しながら現在輸出をやつておるわけであります。そのために今長官からお話がありましたように、肥料輸出の総量につきまして、まず安本及び通産省の間で緊密な連絡をとりまして、これを三省会議の上で決定したいと思います。さらにフイリピン、台湾等に対する肥料輸出につきましても、やはり三省当局で十分に打合せを遂げて、これらの各方面事情をよく勘案いたしまして決定しておるような実情であります。
  12. 小淵光平

    小淵委員 お話合いをされることはその関係主務省において当然のことでありますけれども、私のお伺いいたしたいのは、たとえば通産省輸出をすることをきめれは、農林省にそれをサウンドするだけで、自分のところだけできめてしまえばいいのか、それとも農林省承知をしなければ輸出許可を出すことができないのかどうか。つまり重さというか、権利というのはおかしいですが、どこかで承知をしてもしなくても許可は出せるのか出せないのか、その分野はどうなつておりますか、お伺いしたいと思います。
  13. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 完全に合意の上でやつております。通産省農林省意見をサウンドする、あるいは安本考え方をサウンドする、それを参考にして輸出数量をきめる、こういうやり方は全然とつておりません。完全に三省共同いたしまして輸出数量を決定いたしております。
  14. 小淵光平

    小淵委員 もちろん結論が出て、さきにきめられた数量が出たのでありますけれども農林省としてはある程度反対をしておつても、なおかつ貿易全体から見るなり、あるいは輸入物資とのにらみ合せによつて、それを承知しなければならないというところに追い込まれて、結局承認を與えることになつたのだろうと私ども推定をいたしておるわけでありますけれども、いま少し話合いをする程度でなく、農林省あるいは通産省、あるいは安本が入つて肥料需給調整対策協議会というようなものをつくつてつて行くことができれば、各省の関連しておる、たとえば農林省とすれば私企業の消費の面から強い発言がなされ、安本としては全体の貿易計画をにらんでというようなことで、きわめて円滑に輸出が行われるのではないかと考えておりますが、こういう協議会を持つお考えがありますか。事実上はこういう協議会であると先ほどの説明で私も了承いたすのでありますけれども、何か制度によつてこういうものをこしらえてやつてつたらきわめてスムーズに行われるのではないかと思いますが、こういうお考え通産あるいは農林安本等においてありますかどうか、お伺いしたいと思います。
  15. 周東英雄

    周東国務大臣 今のお話ですが、肥料輸出関係については、三省の間に打合せをするというきめがあるので、それで大体肥料輸出計画増産計画の目標をきめております。さつき政府委員が答えましたが、農林省承認がなければ通産省だけでは出せない、こういうかつこうになつておりますから大丈夫です。
  16. 小淵光平

    小淵委員 私が申し上げるまでもなく肥料の問題は、農村などにとつて大きな問題でありますので、これについては肥料需給調整規則というものを法制化しようという2、いろいろやつてみたのですけれども、いろいろの関係からしてつぶれたようなことになつてしまいました。しかしこの問題は非常に大きい問題でありますので、これについては特段の配意通産安本においてなされていただきたいことを特にお願い申し上げたいと存じます。  次にお伺いをいたしたい問題は、こんにやくの輸入に関しての問題であります。私は群馬県でありますけれども群馬県はこんにやくの産地でありまして、このこんにやくの問題で、ただいま南方方面インドネシア香港等から輸入したいということであります。大体本月上旬に一応第四・四半期の輸入要請に対して通産省では締切つたと私ども見ておるのでございますけれども、一体どこからどのくらい輸入をいたしたいという要請があるか、これについてお伺いをいたしたいと思います。
  17. 牛場信彦

    牛場政府委員 数量は、もし入れることになりましても、どの程度までするかということはまだきまつておりませんが、要請のあります地方インドネシアでございます。御承知通りただいまインドネシアに対しては非常な出超になつておりまして、向うからなるべくたくさん物を買う必要もございますので、そういうことも考えて慎重に検討いたしたいと思つておる次第であります。
  18. 小淵光平

    小淵委員 インドネシアから入る粉は、値段の点で内地のものと非常にかけ離れておることは言うまでもないのであります。従つて現在入るとするとどんな価格で入るものでありますか、もしおわかりになつたらお聞かせ願いたいと思います。
  19. 牛場信彦

    牛場政府委員 実は値段の点は私まだはつきり調べておりませんので、たいへん残念でございます。通産省に対しては、こんにやくをつくる方からはぜひ安いものを入れてくれというお話も非常にありまして、最後のところはある程度数量を限るということで運用して行くほかないのではないかというふうに、私個人としては考えて、おります。
  20. 小淵光平

    小淵委員 私の調べたところによりますと、インドネシアから入るものがトン二百三十ドルから二百四十ドルくらいになつておるのではないかと考えておるわけであります。これを邦貨に換算いたしますと、一五%の関税を計算しても約九万五、六千円になると思うのであります。内地はただいま四十五貫が十五万円程度、六俵一トンとしても約九十万から九十四、五万の計算になると存じますので、この仕上げの歩どまりを見ましても相当な価格の開きがあるわけであります。こういうものを輸入するためには、内地こんにやくの生産原価等をある程度考慮に入れて、もちろん輸出の面も考えて行かなければならない。ただポンドが余るから輸入をするということのみには考えられないと存じますが、こういう場合にはもちろん農林省と協議して輸入することを決定するであろうと私は推測いたしますけれども、たとえばこういうふうに入れたいがという話をして、農林省がそれに対して承知をするしないにかかわらず、こういうものは貿易の面から見て通産省できめてしまつて輸入がなされるのであるかどうかを伺いたい。
  21. 牛場信彦

    牛場政府委員 この輸入については、ただいま外貨予算というものを基礎にしてやつておりまして、外貨予算を決定するについては、閣僚審議会というものがございまして、その事務局として幹事会、これは安本が中心になつてつておられるわけでありますが、もちろんそこに農林省通産省代表も出ております。そこでよく会議した上で計画を立てることになつております。
  22. 小淵光平

    小淵委員 計画を立てるのは私ももちろんそうだと存じますけれども、ただいま申し上げましたポンド内地にたまるものの面から輸入しなければならないという、強い貿易の面からたけ考えずに、内地こんにやくの生産を圧迫する面から、ある程度農林省意見をいれてきめるものかどうか。いれてというより、むしろ農林省で入れては困ると言われた場合には入れることができないかどうか。
  23. 周東英雄

    周東国務大臣 今の点はごもつともな点でありますが、そういう問題は今の審議会なり幹事会でよく相談をしてきめるのです。もとよりたくさんの輸入関係計画ですから、一つ一つをとらえれば農林省では困るという場合が出るものもありましよう。しかしその困る程度考えて、やはり国全体の立場からしばらくがまんをしてもらつたらどうか、あるいはこれじや困るということできめるのです。一々をとらえると、どこもさしつかえないものばかりを決定することができない場合もありましようし、その点は代表者としての農林省通産省等の話をよく聞いて最後はきめるわけであります。御意見の点はなお私からもよく調べます。しかし常にちよつとでも困れば絶対に入れてはならぬということになつて、も困るので結局片方には一つの大きな貿易政策日本における外貨資金調整立場、そして日本内地における農民利害関係等調整をいかにするかという立場に立つて十分審議いたしまして、輸入物資輸入の金額をきめておるわけであります。
  24. 小峯柳多

    小峯委員 関連して……。ただいま小淵委員からこんにやくの話を伺つておりますが、こんにやくの輸入に充当される外貨区分はどういう区分になつておりますか。
  25. 牛場信彦

    牛場政府委員 インドネシアから入りますのはオープン・アカウントからであります。
  26. 小峯柳多

    小峯委員 私の言うのは、国内資金を割当てる場合に、どういう科目に含まれている資金を使つておられるかというのであります。
  27. 牛場信彦

    牛場政府委員 現実にはまだとめておりますので、これからやるとすればおそらく雑輸入にでも入れますか、あるいは何か別に割当の方法考えますか、実はまだ研究は進んでおらないと思います。
  28. 小峯柳多

    小峯委員 とめておるのは承知しておるのですが、今まで入つたことはありますか。
  29. 牛場信彦

    牛場政府委員 あると思います。
  30. 小峯柳多

    小峯委員 その数字はわかりますか。
  31. 牛場信彦

    牛場政府委員 ちよつと持つておりません。
  32. 小峯柳多

    小峯委員 それじや今の問題に関連して、とめてはいただいているのですが、これは私ども小淵君と同じ郷里で大分こんにやくができるのです。そこで特にこれは通産当局に伺つておきたいのですが、密輸入で入つておるとうわさされておるが、このごろ海上保安の手薄に乗じてかなりりいろいろのものが入つて来ているように思いますがそういうことはないか、特に中国産の外粉が入つて来ておるということで県の農政課あたりも大分あわてておるようですが、密輸入中国産のこんにやく外粉が入つて来る事実があるかどうか伺つておきます。
  33. 牛場信彦

    牛場政府委員 実は密輸入の話は今初めて伺つたので、はなはだうかつでございましたが、もしそういう事実がありましたら、税関部の方とも緊密に連絡をいたしまして取締るようにいたしたいと思います。
  34. 小峯柳多

    小峯委員 こんにやくの問題だけでなく、密輸入がきれいに押え切れているとお考えになつていますか。どうも最近の状態では、その点が少しゆるいのじやないかと思います。そういうことはないかもしれないですが、そういう意味通商局長としてもう少し神経を使つていただく必要があると思うのだが、どうですか。
  35. 牛場信彦

    牛場政府委員 御注意に従つて善処いたしたいと思います。
  36. 小峯柳多

    小峯委員 政府委員らしい答弁ばかりしておりますが、その事実を存じていないのですか。
  37. 牛場信彦

    牛場政府委員 この間時計の密輸入があつたということは、実際相当あつたようでありますが、これはどうも現在の占領下状況で、すぐとめろと言われても、なかなか無理な状況ではなかろうかと感じております。しかしこんにやく粉の密輸入ということになりますと、これはおそらく相当なかさもあるし、実際どういう方法で入つたかということは、私、今ちよつと考えつかないのであります。もしそういうことで実際の状況をお教え願えれば、さらにそれに応じた措置をとつて行きたいと思います。
  38. 小峯柳多

    小峯委員 委員会というものはもつとざつくばらんにお話していいと思うが、通商の行政をあずかつてつて、そういうことは関心を持たないか。教えてもらわなければわからぬかということです。
  39. 牛場信彦

    牛場政府委員 そうじやないのです。今までうかつだつたかもしれないが、そういうものが密輸入で入つて来ておるという事実は私は気がつかなかつたわけです。
  40. 小峯柳多

    小峯委員 それはこんにやく粉だけが問題ではなくて、国が独立するときに、貿易の態勢というものは、よほど通商の局に当つておる者はいろいろな意味考えておかなければならないと思う。それでぼくはこんにやく粉だけに縛られて問題を言つているのじやな  い。いずれ密輸入というものは相当あるだろうから、そういうものまで考えて、これはよほど頭を使つていただかなければいかぬ問題じやないか。今までは占領下であるために、そういう点がよほどルーズになつておる。いろいろなうわさもあるので、これは行政の範囲を出ると言われるかもしれないが、それは役人根性でもう少し勉強して考えて行く必要を感じていないか。もう少し局長らしく先まで考えて、対策を立てるぐらいのことがあつてしかるべきだとぼくは思うのだが、どうでしようか。
  41. 牛場信彦

    牛場政府委員 それはその通りいたします。ただこれは通産省だけの問題でありませんので、税関と、それからさらに海上保安関係、その三者でもつてよく緊密な連絡をとつて行かなければならぬ問題だと思います。これは御趣旨の通りに今後努力して行きたいと思います。
  42. 小峯柳多

    小峯委員 それでは一つ要望しておきたいのだが、密輸入の材料を、これはあなたに集めろといつても無理かもしれないが、税関とも連絡をとつて、大体のにおいはしているだろうと思うからそういう意味でどんなにおいがしておるか、あるいはどんなうわさがされているかということを、私が申し上げるまでもなく、資料があつたら集めて、通産省の政務次官も見えておるはずだから、そういうことを通産省でもお気をつけを願いたい。これを強く要望しておきます。
  43. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 この際委員各位に申し上げます。質疑の通告が大分ございますので、御質疑は大体御一人二十分以内にいたしたいと思うのであれます。なるべく簡潔に御質問願い、また政府委員の方でも簡潔にお答え願いたいと思います。
  44. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 議事進行について……。野党はまだだれ一人も質問しないのに、質問の時間を制限するのはおかしいと思う。これは夜になつてもやつたらいいじやないか。午前中に安本の質問を終らなければならぬという前提が私はおかしいと思う。それならばむしろ與党側の質問は遠慮されてしかるべきだ。予算総会でも私は非常に大事な質問だから静かに伺つてつたのに、與党の質問が終るやいなや、質問の時間の制限をするという主査の方針に私は反対です。
  45. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 竹山君にお答えいたします。與党の発言が終つたからではなく、與党の発言もまだございますが、大体分科会の日程が申合せによりまして、今明日中、しかも明日はどうしても午前中にやり上げなければならないという予定がありますので、主査といたしましてはその予定の範囲内で質疑を終らせたい、かように考えておりますので、私の希望として申し上げたのでございます。
  46. 小淵光平

    小淵委員 今いろいろお話もあつたようでありますから、一点だけで私の質問を打切ります。私の調べたところによりますと、インドネシア、香港から輸入されると予定されておるもので、二月上旬に締め切つたものが金額にして五十万ドルあるのであります。これがもし許可になりますと、一面にはこんにやくの生産地の方に大きい影響ができますので、これについては輸入の面は相当考えてやつていただかなければならない。さらに先ほど小峯さんからお話がありましたけれども密輸入の問題もあります。また外貨の優先制度の復活も認められておるのでありまして、こういう輸入資金も一面には使うことができますので、許された以上に相当の数量が入つて参りますことは、当然のことであります。もちろん、これは内地の保有量とにらみ合せて輸入の問題も考えて行かなければならないので、ただ輸入をとめて、内地の市場価格を保持しようというけちなことでなく、全体をにらみ合して、農林省とよく協議をされて、この問題を解決されんことを希望いたしまして、私の質問を打切りたいと思います。
  47. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 次は田口君。
  48. 田口長治郎

    ○田口委員 アルコールの問題をお伺いしたいと思うのでありますが、特別会計のアルコール工場が戦時中大体十八万キロ程度生産ができたというふうに承知しておるのでございますが、現在いろいろな事情からアルコールの消費量が非常に少くなつて来た、こういうことを聞いておるのでございますが、現在の需要量と現在のアルコール工場の設備能力、この関係がいかようになつておりますか、お伺いいたします。
  49. 井上猛

    井上説明員 現在の需要量は実績から申しますと二十四年、二十五年は大体二万五千キロでございます。それから二十六年度は四月の会計伸度から一月までの実績が大体二万二千キロでありまして、今年の見通しといたしましては、大体二万六千から二万七千キロくらいというように見通しをつけております。それから政府工場の能力といたしましては、年間大体三万九千二百キロでありまして、そのほかに民間の委託工場といたしまして九工場ばかりございますが、これが三万九千八百四十キロ、合計いたしまして七万九千四十キロという能力でございます。
  50. 田口長治郎

    ○田口委員 需要量が二万五千キロで、設備の方が七万数千キロということになりますと、結局全部の工場が十分なる能力を発揮してない、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  51. 井上猛

    井上説明員 大体そういうふうにお考えつてけつこうであります。
  52. 田口長治郎

    ○田口委員 そんなふうに考えました場合におきまして、この民間加工工場と直営工場の仕事を休ませるということになりますと、どつちの方をお考えになりますか。
  53. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 アルコールの需要関係でございますが、需要の見通しということにつきましては非常に推定に困難な点もございますが、漸次需要は増加の傾向にある、こういうぐあいに考えてよろしいと思うのであります。ただいまの御質問の官営工場、あるいは民営工場の比較の問題でございますが、これを大局論として考えます場合と、個々の工場について考えます場合と相当考え方がかわつて来るのではないかと思います。官営工場につきましても、相当能率その他におきまして優秀な工場もあります。そういうような個別的な関係考えますと、今のいずれにウエートを置くかというような問題につきましては、官営、民営を画一的にこうだと結論づけることができないような状況にございます。
  54. 田口長治郎

    ○田口委員 設備能力が残つている、需要量は大体限定をされているという場合におきまして、直営工場と委託工場の問題についてどちらの仕事をやめさせるかという問題をお伺いしたのでございますが、ただいまの御説明ではよくはつきりいたしません。とにかく  将来の需要を予想して現在は整備能力としては残つているけれども、そのままでずつと継続をするというようなお考えでございますか。
  55. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 今の設備能力からいたしまして、アルコール専売事業工場につきまして、他の適当な産業への転換ということを考慮しながら、官営工場については拂下げの措置をいたしたいと考えております。政府は一昨年の夏閣議決定をもちまして官営工場の拂下げを決定いたしております。その基本方針に従いまして、昨年北海道の二工場を拂い下げました。昭和二十七年度につきましても、官営工場の拂下げをいたして参りたいと考えております。
  56. 田口長治郎

    ○田口委員 通産省で民営工場と官営工場の生産能力の問題、いろいろ御調査になつた資料を見ますと、アルコール一キロを生産する電力消費量、あるいは一キロ生産する原料の数量、こうい面からいろいろ観察してみますと、いずれも官営の方が優秀で、民営の方が成績が悪いように考えておるのでございますが、これは民営の方があるいは横流しをしたというようなことも想像されますけれども、少くとも通産省でつくつておられます資料について考えますと、官営の方がずつと優秀である、こういうふうに私は承知をいたしておるのであります。それでも能率の上らない民営の方を継続されて、そして官営の方は工場機械を拂い下げる、こういうお考えは、あの資料から申しますと矛盾のように考えるのでございますが、その点はいかようにお考えでございますか。
  57. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御指摘の点は、官営、民営工場の平均から見ました各工場の電力原單位を考えますと、ただいまのような官営の方がまさつておると言い切れない点がございます。なお拂下げの問題は、工場の立地でございますとか、あるいはアルコールの需要関係等からいたしまして、戰時の必要からできました立地計画が、今日の専売アルコール工場の立地でございまして、今後の経済の情勢変化に伴います工場の立地というようなことを頭に置いて考えますと、電力の原単位も重要な参考と申しますか、考慮の要件ではございまするが、官営工場の拂下げという問題など、できるだけ各般の事情を考慮して、総合的な意味合いにおいて工場の特質を考えまして、拂下げを決定して行くというふうにいたしたいと思つております。同時に先ほども申し上げましたように、電力の原単位というただいま御指摘の数字は、官営工場あるいは民営工場、個々の工場から考えて行きますと、多少のそれと異なつた結論が出るのではなかろうかと考えております。
  58. 田口長治郎

    ○田口委員 政務次官にお伺いいたします。一時十八万キロも使つてつたアルコール、しかして時局がいかようになるかわからないような事情でございますから、現在二万五千キロの需要しかない、こういうことでございますけれども、おそらく将来需要の増加というものは、ある程度期待されなければならないと思うのでございます。今設備能力を承りますと、直営工場が三万九千キロ程度の能力である。こういうような観点からいたしまして、官庁としては、直接に責任がない民営の方を漸次おやめになつて、そして官営の工場だけは何とか現在の設備をそのまま維持していただく、こういうようなことができますと将来のアルコール需要にも応じられる、こういうふうに考えるのでございますが、この点通産省としてはすでに方針が決定し、あるいは閣議なんかにも諮つておられると思うのでございますけれども、従来の成績からいたしまし、官営工場を残して委託工場を漸次整理して行く、そうして多少現在の設備はオーバーするけれども、将来の需要にこれを持つて行くということが妥当でないかと思いますが、この点政務次官の御意見をお伺いしておきたいと思うのであります。
  59. 本間俊一

    ○本間政府委員 お答えをいたします。お説のお気持はよくわかるのでございますが、諸般の関係がございまして、官営工場を拂い下げたいという方針は一応きまつておるのでございます。ただどの工場を拂い下げに出すかということは、いろいろな観点から研究をいたさなければなりませんので、ただいまその点の研究を進めておりますが、官営工場を拂い下げるという方針は一応きまつておるということを御了承いただきたいと思います。
  60. 田口長治郎

    ○田口委員 二十七年度に官営工場幾つのうち幾つ残して幾つ整理するというような点までお進みでございますか。
  61. 本間俊一

    ○本間政府委員 大体二箇所ぐらい拂下げをしたいというふうに考えております。
  62. 田口長治郎

    ○田口委員 現在幾つあるのですか。
  63. 本間俊一

    ○本間政府委員 現在のところ十一工場でございます。
  64. 田口長治郎

    ○田口委員 次に私は中小企業の金融問題についてお伺いいたしたいのでありますが、中小企業の振興対策といたしまては、いろいろなことが考えられますけれども、結局は金融がうまくつくかつかないか、このことが最も重大と考えるのでございます。各地一様にこの金融問題については困つております。通産省とされましてもいろいろ努力しておられると思うのでございますけれども、非常にむずかしい金融がございまし、おそらく現状におきましてわれわれが承知しておるように、なかなかうまく行つていないと考えるのでございます。この点につきまして、私全国の銀行の預金者数というようなものを調べてみたことがあるのでございますが、全国の銀行に預金しておる人が国民全体の約五〇%、数字的に言いますと約三千七百七十六万人ぐらいあるのでございますが、このうちで一万円以下の預金をしておる者が六九%もある。言いかえますと、金預は少いけれども、銀行の預金者の大部分はごく小さな預金者である。こういうようなことも考えられますし、また五十万円以下の金を借りている人が全体の銀行の貸金の何。パーセントを占めておるかということをいろいろ計算してみますと、五十万円以下の人は、自分の領けておる金を全部借り出していない。言いかえますと、千百億程度は、五十万円以下の人が銀行に預けている方が多くて、実際に銀行から貸出しを受けている金額と比べますと、千百億程度もまだ預金残がある、こういうようなことになつておるように考えるのでございます。こういう点から申しまして、このたくさんの国民が預金をした金額が大企業家のみにまわされておるという観点から申しまして、何とかこの中小企業者に金をまわすということも現在の預金り状態から申しまして、私はくふうをしなければならないと考えるのでございますが、この中小企業者に金をまわすということにつきまして、いろいろ研究してみますと、結局中小企業信用保險法、あれをうまく運用する方が最も手近い方法ではないか。あの制度が非常にいい制度でありながら、なお十分に現在活用されていない理由はどこにあるか。地方の銀行などにあの制度で金を借りに行きますと、結局各銀行ともに自分が苦労して集めた預金、資金は自分の知つておる者に貸したい、七五%の国家補償があるにいたしましても知らない人には渡したくない、こういう気持で断られておることがほとんど大部分でございます。この点から考えまして、あの資金を何とか日本銀行から別わくで各銀行に割当てることができますと、中小企業信用保険法というものがほんとうに活用できると私は考えておるのでございますが、この点について通産省として御努力になる意向があるかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
  65. 本間俊一

    ○本間政府委員 実際は田口委員が御指摘になつたような状況になつておると私ども考えております。件数から申しますと七、八割程度でございますが、融資いたしております金額の点から申しますと、その逆のような結果になつておるのでございます。そこで中小企業の金融をできるだけ円滑にいたしたいということでいろいろ努力しておるのでございますが、御承知のように日本銀行には中小企業金融の別わくがあるのでございます。しかしこれが商工中金その他の方へまわつておるのでございますが、実際は御指摘のような関係になつて来ている状況でございます。そこで党の政調会でもこの問題を真剣に考えていただいて、大体三つの方法でとりあえず商工中金の資金源を増加したいというふうな結論を得ておりますので、ただいま私どももその政調会の決定いたしました案に従いまして、せつかく努力いたしておるような次第でございます。そこで償還の期限の来ております十三億円につきましては、とりあえずそれを引延ばしていただくことに大体大蔵省の方の了解も得ておるのでありますが、さらに新しく資金源をつくるということでただいま大蔵省の方と折衝いたしておるような状況でございますので、御了承願いたいと思う次第でございます。
  66. 田口長治郎

    ○田口委員 ここで私が要請いたします点は、商工組合中央金庫の問題ばかりでなしに、各銀行に対して、これは中小企業信用保險法で貸す資金だ、こういう別わくをつくつていただくことに御努力を願いたいという意味でございます。
  67. 本間俊一

    ○本間政府委員 信用保險でございますが、どうも昨年来の融資の状況を見ますと、利用者も相当あるのでありますが、当初考えましたような成績は、御承知のように上つておらないわけなのです。その上つておらない事情を調べてみますると、保険金の一部を銀行が負担しなければならない、それから保險金額が低いというような点もございますので、できるだけ中小企業者がこの制度を利用し得るように改善をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。なおこの中小企業の事業自体が弱いという関係どもございまして、どうも当初考えましたようにこの制度が活用されておりませんので、できるだけ活用のできまするように改善をいたしたいと考えておる次第でございます。
  68. 田口長治郎

    ○田口委員 これは非常にむずかしい問題でございますから、また別の機会によく研究をしてみたいと思います。  次に石油の問題をお伺いしたいと思うのでありますが、内地の製油工場設備と石油の消費量、この数字との比率はいかようになつておりますか。
  69. 始関伊平

    始関政府委員 お答えを申し上げます。二十六年度の国内の需要量は、推定の需要量といたしましては大体五百十三万キロリットルというふうに押えております。ただ実際の割当量はそれよりも少いのでありまして、四百五十二万キロリットルという状況にあります。それから二十七年度といたしましては産業方面あるいは輸送方面の需要量が相当にふえますので、大体五百六十万キロリットル程度の需要があるというふうに考えております。御承知のように製品需要量のうちの大部分は、原油で輸入いたしましてこれを国内で精製をいたすわけでございますが、二十七年度の場合におきましては大体四百万キロリットル、日産大体七万バーレルということになりますか、これだけのものを大体国内で精製いたす、そういうことになつております。国内の精製能力は、これを精製いたしますのにさしあたり十分でございます。
  70. 田口長治郎

    ○田口委員 この四百万キロの設備というのは、現在の設備をフルに動かしてその程度でございますか。
  71. 始関伊平

    始関政府委員 大体今日数字を持ち合せませんので、正確に申し上げかねますが、公称能力の八割五分見当が実際の生産し得る能力でございまして、それより若干下まわつたところかと存じます。
  72. 田口長治郎

    ○田口委員 結局原油で輸入をして内地の製油工場で精製した油と、製品を輸入する場合のCIF価格、この関係でございますが、私らの承知したところによりますと、最初、今日本に来ておるところの油はアメリカの数社の独占的の事業になつておるから高い、製品を輸入することになると、アメリカには小さな工場がたくさんある、これらの工場といえども一つの工場で日本の需要量ぐらいを満たすことができる程度の工場でございますが、これらのものが競争をするというようなことになれば非常に油も安くなる、こういう観点から製品輸入あるいは統制撤廃ということが考えられたと思うのでございますが、現実には輸入する製品の方が非常に高い。内地の製油工場でつくつた油の方が安い。従つて各製油工場は非常にもうけておる。輸入をするためにはある程度マル公を上げて、そうして輸入ができるようにいたしましたために、内地の石油工業は従来非常に利益が大きかつたのでございますが、なお一層利益が大きくなつておる、こういうような事情になつておると思うのでございます。これは結局アメリカと日本生産費の問題で、日本で製油した方がずつと安くなる、こういうことが想像されるのでございます。非常に人間が多くて遊んでおる者もぼつぼつできておる、こういうような実情からいたしまして、需要量が五百六十万キロあるとすれば、この五百六十万キロ全部日本の製油工場で——言いかえますと、原油を輸入して内地で製油をする、こういうような方策が現在の価格の面から考えましても非常に妥当なことだと考えるのでございますが、政府当局としてはこの点をいかようにお考えになつておりますか。
  73. 始関伊平

    始関政府委員 原油から精製いたしまして、重油なり揮発油なりいろいろな種類の油の製品を生産いたすわけでございますが、その場合におきまして、大体揮発油は幾ら、重油は何パーセントといつたふうに、ほぼ一定の比率で製品で出て参ります。ところがその製品の比率と国内での需要量の比率とは一致しません。主たるものは重油でございますが、さような関係から製品での輸入も若干はありませんと、技術的なバランスがとれない点があると思いますが、概して申しまして時々の市況にもよりますけれども、原油で持つて参りました方がコスト的には安くつくわけだろうというふうに考えております。
  74. 田口長治郎

    ○田口委員 こういう点においていろいろな矛盾があるというようなことも、結局石油の統制をやつておるために起つておると思うのでございます。この統制撤廃について安本長官非常に御努力を願つておることは承知しておるのでございますが、近い将来において統制撤廃できる段階まで進まれる見通しでございますか、あるいはなかなか容易でない、こういうようなお見通しでございますか、その点をお伺いいたします。
  75. 周東英雄

    周東国務大臣 石油統制撤廃の問題ですが、これは国内必要量の九割五分程度まで全部輸入に仰いでおる状況ということと、それから石油は国際的に非常に重要なものであるという立場から考えて、イランの問題、アングロイラニアン会社の問題、こういうふうな問題がどうであるかということをよほどよく判断した上で、日本における必要な輸入量の確保ということを考えなければならぬ。考え方としては撤廃をした方がよろしいという考えでありますが、供給量の確保ができないのに、ただ理論に走つて撤廃をするということの及ぼす影響ということを考えて、今政府間では慎重にあらゆる観点から研究をいたしておる段階であります。まだいつから撤廃するというようなことは、今申し上げられない段階です。
  76. 志田義信

    ○志田委員 ちよつと関連して。四日市の燃料廠、それから播磨の造兵廠等の拂下げは決定したというふうに聞いておりますが、どんなふうに決定しておりますか。
  77. 本間俊一

    ○本間政府委員 四日市の方も、播磨の方も、御承知のように五人委員会で御審議をいただいておるのでございますが、まだ双方とも結論は出ておりません。
  78. 志田義信

    ○志田委員 今石油の需要量の問題が出ましたが、これは、今度警察予備隊等が漸増されて、相当そういう方面の輸送その他に必要とすると思うが、そういう数字を含んだ数字でございますか。
  79. 始関伊平

    始関政府委員 大体輸送方面等の需要増加を考えております。警察予備隊などにつきましても、一応の増加数量考えております。
  80. 志田義信

    ○志田委員 どの程度ですか。
  81. 始関伊平

    始関政府委員 この内訳資料がないのでわかりかねますが……。
  82. 志田義信

    ○志田委員 そういうことによつて、特に原油の仕入れ地をかえるという考え方、方針があるかどうか、それを伺いたい。
  83. 始関伊平

    始関政府委員 そういう考えはございません。
  84. 志田義信

    ○志田委員 また最近ボルネオ方面から入れようというお考えがあるように聞いておりますが、その点はいかがですか。
  85. 始関伊平

    始関政府委員 原油は大体中東方面が七割程度で、ございまして、あとアメリカと南方が半分くらいずつであります。ボルネオにつきましては、ちよつと私話は聞いておりません。
  86. 田口長治郎

    ○田口委員 この石油問題につきましては、今消費者は非常に高いということを常に嘆いております。そうして一方製油業者は非常にもうかり過ぎておる。また運搬するタンカー業者がもうかり過ぎておる。ダイヤモンド社なんかの製油会社七会社のいろいろなバランスを調査したところによりますと、半期で十五億くらいもうかつておる。タンカー業者は、おそらく現在のタンカー価格の半分くらい程度でもどうにか收支が償うというようなことになつておるのでございますが、これは物価庁の問題と思いますけれども、消費者の立場もお考えになりまして、価格問題につきましては、タンカー及び製油工場の利潤という点を十分に御研究をくださいまして、そうしてできるだけ安い油を使わせるということをぜひひ一とつ考え願いたいと思うのであります。  次はアミランとビニロン繊維のことであります。綿花の輸入価格が常に日本輸入原料の最も重大な割合をなしておりますが、国内資源で多少でもこの輸入原料を少くする政策が非常に重要であると思うのでございます。一面このアミランあるいはビニロンを漁網なんかに使いますと、綿糸に比べて非常に耐久力があり、目方が軽いために作業をするのに非常に便利で魚も非常にたくさんとれる。こういうような実情で、われわれとしては、現在の漁網をできるだけ早い機会においてこのアミランあるいはビニロンなんかの繊維にかえてしまいたいと考えておるのでございます。現在日本におきまして、このアミランあるいはビニロン、こういう繊維はどの程度生産能力があるのでありますか。また現在の綿糸価格に比べて、これらの繊維がどの程度価格の倍数になつておるか、その点を伺います。
  87. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 お答えいたします。私、繊維の担当でございませんので、十分今の御質問にお答えいたしかねますが、現在ビニロンは月産大体十トンくらい、アミランは月産五トンくらいの生産をいたしている状況であります。アミラン、ビニロンについては、目下おのおの擴充計画がございますので、来年度どの程度になるかはつきりいたしませんが、五、六割の生産増は一応期待できるのではないかというふうに考えております。  その次にお尋ねの価格の点については、あるいは間違つておるかもしれませんが、ビニロンにつきましては、現在ポンド当りたしか糸にして四百円前後のコストであろうというふうに考えております。御承知のように、綿糸が二百五、六円というところでありますから、その程度のことだろうと思います。アミランにつきましては、もつとはるかに高い価格でありまして、今ちよつと正確な数字を覚えておりませんが、六百円ないし八百円程度のことであろうというふうに一応考えております。
  88. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまのアミラン月産五トン、ビニロン月産十トンというのは、二十七年度の生産数量、こういうふうに承知してよろしゆうございますか。
  89. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 ただいま申しましたのは、現在の生産実績であります。二十七年度に両方とも擴充計画がありますが、それが二十七年度中に完成いたしますので、二十七年度は今申しました数字よりある程度ふえるだろうと考えます。
  90. 田口長治郎

    ○田口委員 この五トン及び十トンが、現在は需要別にしてどういう方向に使われておりますか、パーセンテージ程度でよろしゆうございます。
  91. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 実は私、繊維の方の担当者でありませんので、今お尋ねの点はちよつとここではわかりかねます。
  92. 田口長治郎

    ○田口委員 それではこの点についてはあとで資料をいただきます。そういうことをお願いいたしましてこの程度でやめておきます。
  93. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 小林委員。
  94. 小林進

    ○小林(進)委員 大臣にひとつ伺いしたいのは安本資金計画であります。二十七年度の安本資金計画を御説明願いたいのであります。
  95. 周東英雄

    周東国務大臣 二十七年度の資金計画のごまかいことについては資料が出ておりますが、なお政府委員の方から説明いたさせます。安本の方で参考資料を出しましたから、必要ならば資料を差上げます。
  96. 小林進

    ○小林(進)委員 それではいただいてからでよろしゆうございます。  もう一つオーバー・ローンの問題で何か長官の御意見をひとつつておきたい。たとえば企業の不健全性あるいは固定資産の再評価などという問題に対する何か長官の御意見、どういうふうにこれらを解消したらよいか、それを承りたいと思います。
  97. 周東英雄

    周東国務大臣 オーバー・ローンの問題は、今後の日本の産業計画を進める上において何とか解決して行かなければならぬということについては、これはだれも考えることでありますが、た巷間いろいろの人の意見が出ておりますように、單に政府が特殊な金を出して借りかえて行くということだけではただ右から左に同じ借金を借りかえるだけでありますからいかぬのではないか。今政府考えておることは、やはり実質的には資本の蓄積と申しますか、コストの統制ということをますます力強く、大きく推進して行かなければならない。そういうことを進めつつ限られたる場合に特殊な金を借りかえる、社債を出して借りかえて行くということは一つのやり方であろう。社債とか株式という方面資金を集めて行くという方法をとつて行くことは、これは進めてよいことであろうと思います。ただ今のオーバー・ローンになつておる金額だけを、ただそつくり政府なりあるいは日銀が肩がわりするということだけでは解決がつかぬ問題であろう、かように思つております。
  98. 小林進

    ○小林(進)委員 オーバー・ローンの原因はいろいろある思いするが、その中で固定資産の寡小評価という問題も重大な原因の一つじやないかと思うのでありますが、もう一度これを再評価する必要がないかどうか、そういう点について御意見を承つておきたい。
  99. 周東英雄

    周東国務大臣 私は直接オーバー・ローンを解消するために再評価するということだけでは、別に資産がふえることではないから、あまり効果がないと思うのです。しかし先ほど申しました自己資本の蓄積のためにする再評価ということは、これは別に悪いことではなく、今日最近に再評価した結果が、それに対する償却積立てがふえて、自己資本蓄積の方に向けられて来たということははつきり言えるのであります。そういう面からして、間接的に資本蓄積のために再評価なさることはよいことだと思いますが、さればといつて、制度の上から法規でも設けてさらに再々評価をもう一ぺんやらせるというとを今別に考えているわけじやありません。別途に今度の企業合理化法案等から見ましても、むしろ固定資本等の短期償却をさらに一層進めて、それに対して税金を免除するというような方法によつて、資本の内部蓄積を進めて行くという方法は、今後とつて行くつもりであります。
  100. 今井耕

    ○今井委員 最初に安定本部長官にお伺いしたいのでありますが、昭和二十四年から二十七年までの国民の分配所得を調べてみますと、昭和二十四年を一〇〇とした場合において、勤労所得は一六四ということになつております。農林水産所得が一四七、営業所得が一二三、個人の賃貸利子所得が四一○、法人所得が六四〇、こういう数字になつております。このうち営業所得については、これは法人になつた分がたくさんありますから、この比較ではどうかと思いますが、国民所得の間において相当差が大きくなつて来ている。こういうことが認められるが、そこで、国民の生活安定の方から考えまして国民の所得の差がどういうふうに変化して来たかということを調べるのは非常に必要なことだと思います。  それで、所得税の納税者については、一応大蔵省から出ておる資料によりますと、たとえば五万円以上が幾らとか、十万円以上が幾らとかいうような数字が出ているのでありますが、今後の最も大きな問題は、税金を納めておらぬ国民の所得がどうなつておるか、こういうことが民生の安定の上から非常に必要なことだと思う。たとえば政府からいただきました資料を見ますと、農村で所得税を納める人間の数は百二十八万幾らということになつておる。そうすると、農業に従事しておる者が現在六百十八万ですか、その中で税金を納めておる者が百二十八万、大体五分の一ということが言える。そうすると前から税金を納めておらぬような者には非常に所得が低い者がある。これは各階層にそういうものがあると思うのです。これは相当つつ込んで研究して、今後の政策に織り込まなければならぬわけですが、安定本部では民生の安定の上から考えまして、大体所得税を納めておらぬ人間について所得の階層がどうなつておるか、そういう点についてお調べになつておるかおらぬか、もしお調べになつておるならば、現在どういうふうになつておるか、この点をお伺いしたい。
  101. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまお尋ねの点でありますが、御指摘のように国民所得の増加の分は、部内別に見ますと非常に差があるわけであります。ただ、お話のように二十四年度あるいは二十三年度あたりを基準にいたしますと、各所得間に伸び方き非常に大きな違いがあるというふうに見えるのでありますが、大体終戦以来経済界が非常に変態的な状態を目黒しておつたわけでありますから、そのころの国民所得の構成比率といいますか、内訳の配分の状態はあまり普通の形にはなつていなかつたのであります。たとえば戦前の昭和九年から十一年の平均の所得の配分状況等と、二十六、七年度あたりの所得の配分の状況を比べてみますと、だんだん戰前のような形に近づきつつあるというのが最近の国民所得の実際でございます。あまり詳しい数字を持つておりませんが、大体の状況はそういうことでありまして、先ほど申し上げました勤労所得と個人業所得の関係等を見ましても、戰前においては勤労所得、個人業所得が大体国民所得の非常に大きな部分を占めておつたのでありますが、戦後におきましては個人業所得の方が圧倒的に大きな割合になりまして、勤労所得の割合は少くなつてつたのであります。それが大体昭和二十六年度から、勤労所得の方が個人業所得よりも構成比率がやや大きいという戰前のような形にもどつて参りまして、来年度、二十七年度あたりはかなり戰前に近い状態にもどつて来る、こういう形になつておるわけであります。それからその資料としていろいろ税収関係の資料等を参考にいたし、もちろん安本においても調査いたしまして国民所得を推定いたしておるわけでありますが、今回提出いたしました国民所得の推定をするにつきましては、二十五年度の実績を調べたものから、いろいろと過去の経済関係の指数等を用いて、それを延長して二十七年度の国民所得を推定して出した、こういう状況になつております。二十七年度の実績の調査については、税の方も参考にいたしましたが、お話の農家等につきましては、農家の生計費調査というものがございますが、これによつて地域別に農家の一戸当りの所得を調べまして、それに農業人口調査による農家の戸数をかけて農民所得を出す、こういうようなやり方をやつておるのでありまして、直接課税された農業所得からはひつぱつて来ていないのであります。それから商工業の方の所得につきましては、これは税収から一応推定しているわけでありますが、しかし一方安定本部におきましても、別途ずさんな調査でありますが、都市を選びまして、商工業者の税金関係においては別に所得の記帳をしてもらい、それを集めて資料として使つてつておるわけであります。農家関係、個人業者いずれもそういう意味で、推定するにあたつては課税されていないものもある程度取入れられておるわけであります。
  102. 今井耕

    ○今井委員 大体今日の国民の分配所得をどうして算出したとかいうようなことについては私もよくわかつているのでありますが、私の今お伺いしておるのは、そういう税金の対象にならぬ者、たとえば今日所得税なんか納めている者は昭和二十七年度におきましては基礎控除か五万円、扶養家族控除が二万円になつて三人あれば六万円、合計十一万円、大体それ以上の人が所得税がかかるから、その上はわかる。ところがそれ以下の階層がこれから非常に問題である。そこで一年間の所得が九万円くらいの階層がどれくらいあるか、あるいは七万円くらいの所得の階層がどれくらいあるか、こういうことなんです。ここが大事なところです。それをお調べになつているか、お調べになつているならばどうなつているか、こういう点をお伺いしたのです。
  103. 周東英雄

    周東国務大臣 今井さんのお話はごもつともでありますが、今のところ税の有無を区別して、所得税のかからぬ階層別の所得の調査はやつておらぬそうであります。これはなかなかむずかしい問題でありますが、ただいま説明しましたような形で推定を加えております。余談でありますが、国民所得の問題は、日本の国民生活の問題なり、産業計画を立てるについては非常に重大なものであります。私はこの計算法についてもまだ完全とは言い得えないと思いますけれども、戰後最初にやられた時代よりはよほど改善されました。これはアメリカからライス博士なんか来て国民所得の計算について非常に改善を加え、今日はよほどよくなつておりまして、私ども興味を持つて見ておりますが、今お示しの点はまだできていない実情にあるようであります。
  104. 今井耕

    ○今井委員 これは確実な数を得ることは非常にむずかしいことですが、ある程度推定でもけつこうですから、そういうことをはつきりつかんでもらうということは、これから非常に必要なことだと思います。それでこれは希望でありますが、何らかの方法によつてそういうものをはつきりお調べ願いたい。これは国民生活安定からいえば、所得税なんかを納めている者よりは納めてない者が問題です。ことに今後物価なんか高くなつた場合、減税といわれますが、それは税金を納めている者はそうだけれども、納めていない者が非常に大きな問題である。ここに私は今日までの大きな欠陥があると思う。従つてこの点を特に強く要求するわけです。  次に日米経済協力の方向ということですが、その筋の専門家からいろいろ伺いますと、今日の日米経済協力の方向というものは、兵器、その附属品の修理、これに必要な部分品の生産という方面重点が置かれている。最近のいろいろな新特需の傾向につきましても、日米両国間の兵器の生産会社あたりで盛んに技術交換などが行われているということを聞いておりますが、それがどの程度進行しているのか、そういうことがおわかりであつたなら伺いたいと思います。
  105. 周東英雄

    周東国務大臣 お尋ねの点でありますが、日米協力に関しては、日本の工場設備のうち利用し得るものについていろいろ調査しております。それらの活用によつて協力するという立場をとつておりますが、それらのすべてが今お話のような軍需品をつくるということだけに限られて話が出ているわけでありません。日本の工作機械、軸受あるいは造船所というものも余力はありますし、これらはある程度特別に修理しなくても活用できるのではなかろうか。そういう所で工作機械あるいはボール・ベアリングというようなものがどれくらいつくれるだろうかとい話はしておりますが、ただちに今お話の武器をつくつてくれということは具体的にはまだなつておりません〇むしろ今のような設備、工作機械、軸受、造船所あるいは自動車修理工場とかいうものがどのくらい使えるかということの調査が済めば、そういう面から一つの協力の形が出るかもしれません。また別にこの間お話しましたように、鉄とかアルミとか銅というものを日本生産能力に応じてどのくらい出してもらえるかというお話もあります。今後どういうことになるかわかりませんが、お話のように今すぐに武器をつくつて出してもらいたいという話はありません。
  106. 今井耕

    ○今井委員 次に肥料問題、これは先ほどちよつと質問があつたようでありますが、最近また電力の値上げの問題が台頭しておりまし、どうやら三割値上げということが相当強い意向のように聞いております。そういうふうになつて来ると、肥料価格問題などがより一層また問題になつて来る。先ほど大体横ばいといつた御答弁があつたように聞いておりますが、そういうことを考えてみると、横ばい相場ではないのであつて、直接肥料価格関係つて来ることは当然です。従つて私は今後を見通すと、横ばいということはあまりにも安易な考えだと思うのです。そこで電力料が三割上ると硫安価格がどのくらい上るか、その場合にどういうふうに対処するかということは当然考えておかなければならぬということが一つ。  それから物価庁方面から考えると、肥料が上つてもパリティー計算で昨今米などの値段が上るからさしつかえない。こういうような理論に立つておられるのでありますが、根本はその肥料の高くなつたウエートをどうとるかということが非常に大きな問題です。收入の相当ある農家であれば肥料のウエートは低い。ところが先ほど申しましたように、今日貧しい階層の農業従事者も非常に多い。その人たちの農業生産費の大部分は肥料代です。農業イコール肥料代、これは家畜の飼料と同じことです。そういうことで、ウエートも非常に大きくなつて来る。従つて肥料上つたものに相当大きくウエートをとらない限り、もう肥料などは買えない。従つてそこに減産を来すことは当然です。私は協同組合長をやつておりますが、今日協同組合に肥料の申込みはどんどん来るけれども、売れない。金が入らないことがきまつておるから、商人も売りません。そういうことになつて来ると、どうしても施肥量を減らすより仕方がない。従つてここに減産というものを免れない。これは日本の国として非常に大きな問題です。そこで今日あのパリテイー計算の上において肥料代というものにどれくらいのウエートをとつておられるか、こういう問題は農家によつて非常に違うのです。従つて生産を重視する限り、この肥料代は相当大きいウエートをとつて行くということでないと、私は非常に支障を来すと思うのです。こういう点について、周東さんは農業関係のことに非常に詳しいのですから、ひとつ意見を承りたいし、また今日物価庁関係において予算に見ているところのパリテイー指数二五五というような数字が出ているが、この基礎になる肥料代のウエートがどれだけになつているか、この点をお伺いしたい。
  107. 周東英雄

    周東国務大臣 パリテイー計算の中に織り込まれる肥料のウエートについては言係りの政府委員から後ほど答弁いたします。概括的に言いまして、今の御意見にはまつたく私も同感だと申し上げていいくらい、肥料価格問題については重視しております。電力料が三割値上げになるか何ぼ値上げになるか、これはまだきまつていないことですが、新聞等によると、電力会社の方から来年度の電力の需給計画を出し、それに対して火力発電に使う石炭の数量とか価格等を織り込んで出している。それらがもとになつて、おそらく電力の値上げをしてもらいたいというような話が出て来ると思う。その間にありまして、私どもよく公益事業委員会とも連絡をとつて、できるだけめちやくちやな値上りにならぬような形に、これは肥料のみならず他の製品関係に及ぼす影響等をも考えて処置して行きたいと思つております。しかしまだ先のことで、どのくらい上げてくれという要求もありませんから、今ここで先走ることは早いと思いますが、一面においてほんとうに生産コストを割るとかいうようなことがあれば、やはり電力についてもつの商品として見る立場において考究して行く。ほかの産業がとにかくコストをお割りにならぬようにしながら、電力は特殊な立場にあるものですから、今までは漸進的なことを考えて急激な変化を押えて来たわけでありますけれども、この際はそういうふうなことをよく勘案しつつ、電力料金値上げ等には対処して行きたいと思います。また最後に、どういうふうな形にかきまつた後におきましても、供給さるべき業種別に多少電力料金等についてかげんできないかどうか、あるいは深夜業等の関係で、安い余つている電力肥料製造業等に使えないものかどうかというような、電力料金が決定した後において、肥料製造工業に使われる電力についてどう考えるかということもあわせてよく考慮いたしたい、かように思います。
  108. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 午前の会議はこの程度にいたし、午後一時半より開会いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後零時二十九分休憩     午後一時五十七分開議
  109. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 午前中に引続き会議を開きます。  通商産業省所管及び経済安定本部所管について質疑を続行いたします。今井耕君。
  110. 今井耕

    ○今井委員 これは安定本部の所管だと思いますが、今回政府の方で不足物資の需給調整に関する措置につきましていろいろ研究されつつあるようで、近く具体化されると聞いておりますが、これは相当大きな問題だと思います。そこで割当物資と称せられているニツケル、コバルト、モリブデンという約六種類のものについては、直接国民生活に影響するところは割合に少いようでありますが、銅とかゴムというものの使用制限については相当各方面に大きな影響を持つものと考えます。従つて銅とか。ゴムというものの使用制限のやり方ついて、どういう構想を持つているか、わかつておれば構想だけでけつこうですから、お話願いたいと思います〇
  111. 本間俊一

    ○本間政府委員 安本長官からお答えを願うことがあるいは適当かと思いますが、お説のような問題が今起つておりますけれども、ただいま関係各省におきまして相談しておりますので、まだ具体的な案はきまつておりません。考え方といたしましては、できるだけ影響を少くいたしたいという考えを持つております。
  112. 今井耕

    ○今井委員 まだ構想がはつきりしてないようでありますからこれ以上お伺いいたしません。  次に通産大臣にお伺いしますが、現在の行政協定中に、駐留軍の基地の中にあるP・X、酒保なんかにある日本人の業者の営業の問題でありますが、現在約一千余り営業をやつているものがあります。そして従来これによつて約二百万ドル余りの外貨を獲得している。ところが本年の一月三十日からこれに物品税がかかる。今日までこれはすぐドルにかわるのであるから準輸出ということで物品税がかかつておらなかつた。それが臨時措置としてこの一二十九日ですか、物品税がかかることになつた。そこでさつぱりその方が売れなくなつてしまつて、聞くところによりますと、もう百万ドルも上らぬというような情勢になつているということでありますが、これは外貨の獲得からいうと相当考えねばならぬ問題だと思うのです。これはいずれ大蔵当局にも相当つつ込んで意見を聞きたいと思つているのでありますが、通産省としてもこれはいろいろ話を聞いておられると思うのでありますが、どういうお考えを持つておいでになるのか、その点をお伺いいたしたい。
  113. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私は何にも承知しておりません。
  114. 本間俊一

    ○本間政府委員 これは実は講和條約の発効に伴いましてP・Xも日本人に品物を売るという形になつたものでありますから、向うの方で税をかけてもよろしいというような通報が実はございましたので、一応税をか残るような形になつているのでございますが、お説のように外貨獲得上の見地から業者の陳情もございますので、主として大蔵省の問題なのでございますが、大蔵省の方と非公式でございますが、今話合いをいたしているような状況でありまして、大蔵省がどういう取扱いをするかということによつていずれきまつて来るであろうと思います。
  115. 今井耕

    ○今井委員 今の御答弁によりますと、向うの方からかけてもさしつかえないというようなことがあつたから、臨時措置としてかけることにしたというお話でありますが、だから日本の国としてはかけなくてもさしつかえないというわけであつて、今日外貨の獲得ということは非常に重要であつてぜひこういうような外貨が獲得されるように努力する必要があると思うのであります。もちろん大蔵当局にもわれわれとしてもいろいろつつ込んで話をしてみたいと思います。しかしこれは通産省としてもよほど考えてもらわなければならぬ問題であつて、大臣以外にそういうことが通産省の方でおわかりの方はお見えになつておらぬのですか。
  116. 本間俊一

    ○本間政府委員 これは主として大蔵省の税の関係なものでございますから、外貨の割当でございますとか、S・P・Sの関係に対する外貨措置をどうするかというようなことは、私どもの方で所管しておりますけれども、税の関係はまつたく大蔵省の所管になるのでありますから、直接私の方には関係がないということになるわけであります。
  117. 今井耕

    ○今井委員 午前中お伺いいたしました続きでありますが、農業パリテイー指数を出す場合に、肥料のウエートがどういうようになつているか、この問題につきまして御答弁願いたいと思います。
  118. 渡邊逸龜

    ○渡邊政府委員 全体を一〇〇〇といたしまして、そのうち肥料の占めますウエートは基準年次は一三〇というウエートにおちついております。
  119. 今井耕

    ○今井委員 こるウエートが出て来た基礎はいつの基礎に基いて出たものでありますか。
  120. 渡邊逸龜

    ○渡邊政府委員 基準年次は先ほど申し上げましたように、昭和九年ないし十一年の時期をとつております。それから現行年次は昭和二十五年四月から、昭和二十六年三月までの一箇年間の農家経済調査によつてつております。
  121. 今井耕

    ○今井委員 大体わかりましたが、この基礎が、経済調査の基礎に基いて出ておるということも承知しておるのでありますが、その調査をする対象がよほど適切でないと、実情に沿わない点が非常に多いのです。事実最近のウエートの取り方が、農家の支出全体を一〇〇〇として、そのうち一三〇しかウエートを持つていないということは、これはきわめて私は低いと思うのです。ことに所得の少い農家におきましては、食糧は自給いたしますために、現金支出の半分以上を肥料代にとられる。あとはつけものおかずで、着るものもろくに着ない。肥料が買えませんと増産のために非常に支障を来すのです。従つてこのウエートの取り方そのものに非常に大きな問題がある。そこで物価庁でいろいろおやりになる際に、ただ理論的にその基礎がどうなつておるか、農業生産者の実情がどうなつておるか、そういうことをほんとうに詳しく調べになつて、実情に即応するものであればよろしいのでありますけれども、私はこういう問題については相当つつ込んで詳しくお調べておるのです。そういう点から考えてみると、千分の百三十というこのウエートは問題にならぬほど低い。ことに今日の物価事情をえますと、衣料品とか、そういうものは多少下つておる。従つて肥料は非常に高くなつておる。にもかかわらずパリテイー指数は割合に低く出やせんか、こういう大体の見通しを私はつけております。そうすると、肥料高によるところの経済の圧迫、あるいは農業生産増強の上に非常に重大な影響を来して来る。もう今日そういうような影響が現実に見えておる。従つてそういう現状を十分にお調べになつて、食糧の増産に支障がないようにしてもらいたい。ことに来年度において相当政府は食糧増産対策費を組んで、増産計画を立てておられますけれども、私は、ほかの問題等もあわせて考えると、予定通り増産はなかなか困難だと見ておる。そういうことを考えますとき、場今日農村の問題として一番大きな問題は、この肥料問題で場ある。ですからこのウエートのことは、よほど現状に即応するようにぜひ考えてもらいたい。その点を特に要求いたしまして、私は終ります。
  122. 渡邊逸龜

    ○渡邊政府委員 この機会に、電気料金の引上げが肥料のコストにどういう影響を及ぼすかという、午前中の御質問にお答えしておきたいと存じます。今後行われようとする電気料金の引上げにつきましては、どのくらい引上げられるか、まだわかりませんのでお答えできませんが、前回の電気料金の引上げ、すなわち昨年八月の電気料金引上げの際に、その及ぼす影響を調査したものがございます。これによると、硫安の電解法につきましては約一〇%のコストの値上りを来すであろうということが推定されます。ガス法による硫安につきましては、約五%のコスト増を来すであろう、そういう調査をいたした次第でございます。
  123. 今井耕

    ○今井委員 今の御答弁では、電力料金がどれだけ上つた場合どうなるかという関係がわからないのですが、その点をもう少し詳しくお話願いたい。
  124. 渡邊逸龜

    ○渡邊政府委員 前回の値上げは、全国平均でございますが、三割一厘の値上げでございます。なお補足的に申し上げますと、電解法の方は一〇%上つて、ガス法よりよけい上りますが、実際のコストは電解法が安いわけでありまして、この方は吸収余力がございますから、結局、ガス法の五%というのが価格に響く、そういう結果になるわけであります。
  125. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 竹山祐太郎君。
  126. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は安本長官に伺う問題がありますが、病中を押して出てくださつた通産大臣に関連事項として伺いたい。それは今問題になつているポンド対策の問題についてでありますが、私が説明するまでもなく、今回の政府の処置によつて、ことに繊維工業その他に非常に重大な衝撃を受けたのですが、これはあらかじめ十分御承知の上でやられたことであると考えますが、今日までの通産大臣のお考えを、現段階においてもけつこうですが、またあの処置をとつたときにおけるお考え伺いたいのであります。
  127. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 お答えいたします。あの措置は私承知しての上でございます。むろん私は違つた意見は持つておりましたが、あれはあくまでも臨時措置であつて、大蔵大臣もそう言つておる。ポンド蓄積の問題は、御承知のようにだんだんポンドがたまつて来るので、この際金融面でも幾らか措置をとらなくてはいけない、あの程度のものはやむを得ぬだろうというので、私も承知いたしました。このポンド蓄積の問題では、あの金融措置以外に、通産省としては別に意見がありまして、これは今せつかく研究いたしております。今週内には結論を得て、通産省はまた違つた、物の面から多少対策をとりたいと考えているのであります。
  128. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 同じ問題について、あの決定にあたつて安本長官としての周東さんの御見解を伺いたいのであります。
  129. 周東英雄

    周東国務大臣 先日もこの席で申し上げましたように、ポンド対策として輸出を制限するような形に行くことはあくまでも本筋ではないと思います。しかし一時的な措置としてやむを得ない措置であつたと私は思いますが、しかし運用上いろいろやり方もありますので、あの出た通りにすぐに何もかも実行するというのでない、かように私は思つております。今日の場合といたしまして、私ども貿易規模の問題からいたしまして、これがポンド地域における輸出が制限されて、それだけの数量がドル地域にすぐに出るというようなかつこうになれば、これは一つの行き方だと思つたのでありますが、その点はなかなか思うように行かない。ところが目前におきましては、御承知のようにポンドがたまつて行く、これは今日の場合といたしまして、ドルとポンド関係から見まして、ポンドの弱い実勢から見て、当該地域においてはやや物価高になり、ともするとそちらの方へ売りたがるということも一つはあるのであります。これは必ずしも健全な行き方ではないと私は思つております。いわんやドル地域のかわりにポンド地域の方から入れるものについて多少時間的にいつて早い状況もありますが、そこでポンド圏地域における輸出をある程度金融措置によつて制限しつつ、輸入なりあるいはドル地域への輸出という方面に積極的に対策を講じて行く時間的な便法としてやむを得ないとして私は認めたのであります。
  130. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 安本長官の御答弁を伺つておりますと、安本は少くとも貿易及び資金については、総合計画の主管者であると私は考えております。今のお話を聞いておると、資金的な面だけの臨時的な便法であつて、しかもそれは全面的に実行する必要もない、一応やつてみただけだ。こういうような印象を受けるのでありますが、あれは要するに全体の総合計画の観点から賛成したのではなくて、資金的な面だけで臨時措置としてやつたの、まだほかに対策がおありのようにも受けとれる。その間をもう少し明瞭に御答弁を願いたい。
  131. 周東英雄

    周東国務大臣 どうも竹山さんの御理解が、誤解を催したら別ですが、やるかやらぬか、やつてみただけだというようなことを言つているわけではなくて、私の言うのは、ともかくも本筋は輸出貿易というものをしつかり計画を立てて行くことである。これには多少時間的に問題がある。東南アジア地区の開発等についても、鉄あるいは石炭等につきまして一つ計画が進みつつある。そういたしますれば、そういう方面からの新しい輸入面というものを確保しつつ、ドル圏から入れているものをポンド圏にかえるということは一つの総合計画の一環として考えなければならぬ、これが本筋だと思います。そういう方面から入れ、そうして日米経済協力の線等を通じまして、日本の工業設備において受け得る可能性の限度における生産を、アメリカ等に出すということが、ドル圏に輸出を増加するという、貿易政策における物資の交流関係に立つて調整することが、私は基本だと考えます。多少そこには時間的の問題がありますのと、先ほどもお話したように、今のところポンド圏の方が高いものですから、どうしてもそちらへ売りたがるというようなかつこうもありまして、しかもポンドがたまるばかりだというようなことで、一つ方法としてああいう行き方を認めたのであります。これらに対しましては、いろいろ特例もありますので、具体的な場合々々に応じてこの制度を運用するという考えを申し上げたわけであります。
  132. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 どうも半分わかつて半分わからないのですが、それでは一応あとで伺うとして、通産大臣の御答弁もやはり同様の感じを受けるのです。資金的な措置を一応とつたが、通産省としては別個の考えがある、こういうごもつともなお話で、われわれ聞かんとするところは国民の今非常な迷惑を受けておる現実の問題からいたしまして、事は速急を要する。ゆつくり研究をされることもけつこうですが、一面もう破産しつつある業者から見れば、政府措置というものがあとからあとから追いかけられておつたのでは迷惑千万である。従つて安本長官の御説明をもつてしても、全体の計画は私には頭が悪いせいかわからない。一部分はやつてみたがまだほかのことも考えるということで、そのことはあとで伺うとして、通産大臣のおつしやられる今回の措置を含む全体の計画といいますか、通産省の残された対策というものの構想だけでも伺いたい。ゆつくり研究されることもけつこうでありますが、この段階において大臣の御所見を伺つてみた。
  133. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ゆつくりはやつていないので、晝夜兼行で大急ぎでやつているのですが、まだ御報告するところに行かないのですが、もう二、三日中には結論をぜひ出したいと思つておりますから、ここ二、三日御猶予を顔いたい。
  134. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 ないことを言うというわけにも行きますまいが、そのことは先般の措置をおとりになつてからあわててそういう大騒ぎをされておるのか、そのときからもうすでにこういう事態が起ることを通産省としては予想し、業者の困難を承知されておつたのかどうか、その点をはつきり伺つておきたい。
  135. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 業者が金融的に非常に苦境に陷つているということは、私は百も承知して、その面につきましても私もできるだけの力を盡しておるのであります。ところでこのポンド蓄積の問題は、昨日もこの委員会において申し上げたのですが、非常にむずかしい大きな問題で、要するに根本はポンドが世界的に信用が低下したということなのでありますから、これを抜本的に解決するというような方法はないのです。しかし全部解決しなくても、いろいろな方法をとつて対策を講じなくてはいけない。これは昨年来通産省でも取上げてしきりに研究をしておるのですが、なかなかどの案を考えてみても無理があるのです。それでやはり結論が出なかつたのです。しかしああいう臨時的の措置をとるごとになりましたので、至急結論を得なくてはいけないということで、先週末から非常にあせつて研究し、今立案をしておるわけでありますあなたの御心配の御趣意はよく了解しております。私は早く通産省の案も出さなければならぬということは深く考えておるところであります。
  136. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 病中のところを無理に私がくどく申すことははなはだ失礼だと思いますから、これ以上申しませんが、私は何も専門的な、こまかい問題を伺おうとしておるのではない。私は今日両閣僚おそろいのところで伺いたいと言つたのは、これはもう一人大蔵大臣がいなければ話が通らないのですけれども分科会のことですからやむを得ませんので、この機会がちようど適当だと思つてつたのです。これは両閣僚の御答弁と池田大蔵大臣の御答弁とを頭の中で比較対照してみてはなはだ遺憾に思いますことは、通産大臣は、非常に重大な問題、むずかしい問題だということはわれわれしろとでもわかる。それだけに政府は慎重な態度をもつて国のためにも国民のためにもなるようにやつてくれるものとわれわれは期待しておるのに、それほど重大な問題に、率直に申せば、軽々しく手をつけたために、必要以上の混乱を起して、通産大臣はあわてて日夜その対策に御苦心をしておるということは、私ははなはだ遺憾千万だと思う。今日日本のこういう重大なむずかしい段階において、政府措置、ことに閣内の意思が、国民から見てきわめて不統一だという態度を私は率直に認めざるを得ない。そうでないとおつしやるならば、今日両閣僚とも基本的な線において決定された計画をなぜもつと力強く推進されないのか。その問題にあわてて日夜努力するという答弁自身が私にはどうもふに落ちないのです。しかしこれ以上この問題は——二、三日後ということでありますから、いずれ分科会の終了後、予算委員会において私はあらためて通産大臣に伺う意味において、この問題はこれ以上伺いません。お呼び出しをいたしましてたいへん失礼をいたしました。  それでは安本長官に対する質問に入りますが、安本長官伺いたいのは、今政府は行政機構の改革を推進されておられる。伝え聞くところによれば、安本はなくなるということで、政治家として非常に堂々たる態度だと私は感心しておるのですが、安本がなくなりますと、その中で今相当重要な機構を持つておりますが、それが実質的にはどういうふうになるのか。これは予備審議上当然の問題と考えますから、一応長官のお考えを伺つておきたい。
  137. 周東英雄

    周東国務大臣 機構の改革に関しましては、ただいま審議中でありますからまだ最終的なことを申し上げる段階にありませんが、今お尋ねの経済安定本部に関する問題についは、経済安定本部という名前はあるいはかわるのじやないかと思つております。しかし安定本部の持つ総合企画——国の今後にかかる経済的な意味においての総合企画についての使命あるいは仕事というものは、決して失われておりませんので、大体骨格的に必要な事務は、総合企画官庁として、名前がかわつて新しく進んで参る、そういうふうな企画になるのではないとか今思つております。
  138. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 竹山君に申し上げますが、安本長官に対する御質問を中断いたしましてはなはだ申訳ないと思いますが、高橋国務大臣はこれから参議院の方へ行かなければなりません。そうすると横田委員からも質疑の申出がありますから、これを許したいと思いますが、御了解願えますか。——それでは横田委員。
  139. 横田甚太郎

    ○横田委員 通産大臣と安本長官にかかるかもしれませんが、まず第一に伺いたいのは、昨年の秋通産省の——これはたしか黄田通商監だつたと思いますが、日米経済協力には工作機械が有望であるという帰国談を発表されたが、ほんとうに有望であるか、有望であるなればその理由。有望であると見られてから半年になるのですが、その有望さが日本の産業界に一向形を現わしておらない。こういう点は一体どこにあるのでしようかということをお尋ねしたいのです。
  140. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 形に現われていないのはどういうわけかという点ですが、これは相手のあることで、われわれはその当時から非常な期待を持つてつたのですが、相手側の方で進まなかつた。三週間ほど前からクラークという団長が日本の工作機械についての調査に来ております。私も会見しましたのですが、これは日本の工作機械の現状を調査して、本国へ帰つて報告を出す。それをどういうふうに取扱うかということは自分の任務でないということを私に言つております。その一行はけさの七時でワシントンの方へ帰りましたが、だんだんこれ実現に、これから早く進んで来るだろうと私は存じております。
  141. 横田甚太郎

    ○横田委員 通産大臣はクラ—クまで飛んで親切に答弁をしてくれたがクラークさんのことはあとで伺います。私の聞いているのは、どういうわけで工作機械が日米経済協力の分野において有望であるか、これを聞きたいのです。
  142. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 アメリカの現状は、アメリカは工作機械の製造の面でも世界で第一であつたのですが、昨年から非常に不足して来たのです。私が聞いております限りでは、クラーク氏もそういうことを言つておりましたから事実だろうと思うのですが、アメリカは昨年相当量の工作機械を、ヨーロツパ、主としてドイツでありますけれども、そういう方面からも輸入しておる。しかしまだそれでは足りない。アメリカでは、そういうふうでありますから、ことに民間の工場の工作機械は、需要があつても製造が間に合わない。そこで日本の工作機械の製造の能力を利用したい。はたしてどの程度のものがどのくらい日本でできるか。あるいはアメリカヘの供給でなくしても、たとえば東南アジア地方とかヨーロツパのほかの国などにしても工作機械が欠乏しておるのですから、そういう方面日本に引受けてもらおう、それらの問題のために基礎調査に来たのだという説明でありました。
  143. 横田甚太郎

    ○横田委員 長い御説明でございましたが、とにかく要点は工作機械が足りないのですね。足りないから日本に工作機械を求めている、こういうわけなんですね。どういうわけで足りないのでしようか。アメリカが工作機械が足りないとする理由を私は知りたいのです。アメリカのやつておりますことは非常に横着なことであります。注文しておいて受取らない場合が多い。これは日本の産業の実態を見ておられる人だつたらよくわかる。これがわからないのだつたら、アメリカと協力することにおいて、小さい産業を犠牲にすることによつて一部少数者が利益を得ているだけのことだ。このことはきよう後ほどゆつくり聞きますが、まず私はアメリカがどうして足りないほど工作機械を必要とするのかということをあなたに聞いておるのです。
  144. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 これはちよつと私御答弁をお断りしたい。アメリカのことで、私確信をもつてお答えをする自信を持つておりません。
  145. 横田甚太郎

    ○横田委員 それは気の毒ですね。日本の政治の中心は日米経済協力といわれているのです。政治の形においてはサンフランシスコ講和会議より、安全保障の線に連なりましたところの安保政権、経済の分野においては日米経済協力なんです。その日米経済協力において、もつと日本とアメリカとが交わりをして得をするというのが工作機械の問題に出ておる。だから聞いているんです。これはアメリカのことを聞いているのじやないのであつて、アメリカが日本に注文することによつて日本の産業に活況を呈するといいますから、そこで私はうまく行かなかつたら困るから聞いているのです。どうしてもそれは答弁ないのですか。
  146. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 それはふしぎな御質問で、私は先刻アメリカで工作機械が不足しているのはどういう理由なのだという御質問であつたと聞いております。それに対する私の答弁であります。
  147. 横田甚太郎

    ○横田委員 質問というものはどんどん進歩して行くものなのです。わかりますね。それが議会なのです。ここはビール会社ではないので、私は吹田の人間でありますが、あなたを知つておりますが、私はあなたの従業員ではないのです。選ばれた国会議員として、国のしかも産業の分野において周東さんと並び称せられるほど経済の分野の実権を握つておられる高橋さんに聞いておるのでありまして、しかも高橋さんは自由党の人でもないのです、参議院の緑風会におられる元老として、あなたが入閣したときにはみんな大物が入つたと言つたのです。あなたが大阪に来られたときに大阪の財界はどう言つたか、高橋さんという実に産業界の偉い人が来たと言つた。ところがその後の評判は、高橋さんは見かけによらぬぼけた人になつてしまつ先ということです。これを聞くとあなたも年寄りだから興奮しましようから、私も吹田の住人のよしみであまりきついことはこれ以上申しませんが、要はわからないならわからないでいいのです。その点は経済安定委員会に行きますと、そういう理論を用意しておる長官もおられますから、専門の委員会でよく聞きます。それから私が聞きたいのは、話はクラークさんのところまで飛んだのですが、クラークさんが日本に来られた。米国から工作機械の調査団としてクラークは日本に来た。それでそのときにどのような工場を一体何箇所くらい見て帰つたかということを私は承りたいのです。
  148. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私は承知しておりません。
  149. 横田甚太郎

    ○横田委員 だれに答えてもらつたら適当でしようか。
  150. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 この際横田委員に申し上げままが、先刻申し上げました通り、繰合せまして通産大臣から御答弁願つているわけですから、大臣に対する御質問だけ先にやつていただきまして、あとは政務次官が来られるそうですし、時間の制限はいたしませんから、どうぞそのおつもりでなるべく要点だけを大臣の方へお尋ね願います。
  151. 横田甚太郎

    ○横田委員 クラークさんが工場を視察した、それは私にはよくわかつているのです。これはあなたにわからなかつたらいいので、お帰りになつてエコノミストという雑誌が毎日新聞社から出ておりますから、それをお読みになると出ております。それにクラークさんの視察談として、大体よろしい。しかし視察した工場があまりにも寒過ぎるということを言われた。こういうことを言われたことに対しては、やがて注文を受けなければならないところの日本の産業界の指導者としてどういう意味に解釈しておられますか、そのことを承りたい。
  152. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 エコノミストとかいう雑誌にそういうことが載つているというただいまの御指摘がございますが、私はそういうことを存じません。それからクラーク氏に会つてもそういう話は承つておりません。
  153. 横田甚太郎

    ○横田委員 日本のあなたのいわゆる通産政策のよろしきことを待つているところの人たちが、クラークさんは一体何をほしがつているのだろうかということを知りたがつているのです。しかしそのときに知れなかつたのです。工場が寒いという言葉が残つたのです、それで非常に大きな疑問になつているのです。これら報道によりますと、大体アメリカ側というものは大型フライス盤とかボール盤とか車輪旋盤がいるといわれておつたという、これがもしアメリカがいるものであるとわかるならば、非常に日本の産業人にとつては設備はしやすいし、話がしやすいのです。これは詰問的に申しませんが、クラークさんにお会いにならないならば別ですが、こういうときは通産大臣は自由党が避けるソ連人に会うのではないからびくびくする必要はないので、会つてもらつてその事情をよく聞いておいてもらう、こういうことを今後心掛けてもらいたい。  それから今度国家生産局の極東部長であるところのフイツシヤー・フリーマンが視察に来ますね。こういうようなのは一体どういう目的で来るだろうか、来た結果が一体どういうふうに日本の産業界並びに産業に従事する労働者を潤すだろうかということを聞きたいのです。これだけでありますと、御老人に対しまして非常に不親切になりますから、なぜこのことを聞くかということを註釈的に申しますと、おそらくフリーマンさんが来られましたところが、注文はことし早くは出ないだろう、この年末にボーナス発注の余裕が出たならばよい方だといわれているというほど気の長いものなのです。しかも日米経済協力というものによつて実果を上げなければならないのは今のことなのです。そこでフリーマンが来られましたときには、通産省としてはこのお得意先を迎えるために一体どういうふうに手ぐすねを引いて待つておられますかということを聞きます。
  154. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 フリーマンが来て会つてみなければ、どういう考えで、どういう希望を持つて来るのか、それがわからぬうちに私はそれに対する構想を述べるほど余裕を持つていないので、どうかお許しを願います。
  155. 横田甚太郎

    ○横田委員 クラークさんには会われなかつたのですね。
  156. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 先刻の私の答弁にクラーク氏はこういうことを言つておるという御答弁をしたのでありますから、クラーク氏には会つたのです。
  157. 横田甚太郎

    ○横田委員 あとに竹山先生もおられますので、質問が非常に飛んで気の毒です。こちらは非常に遺憾なんですが、大体世界ではこういうことがいわれておる。これは日本ですが、工作機械が重要になつた、アメリカが日本の工作機械に目をつけた。朝鮮でアメリカが死にものぐるいになつて戦争をしております。そうしてアメリカはすでに戰車で追いまくられておる。初めは国境まで攻め立てたが、また追い返されて、マツカーサーの首を切るほど追い詰められた。それで今三十八度線まで来ておる。そのときは航空機の優勢だけだつたといわれておる。その航空機の優勢さえが、ミグの出現によりましてアメリカは優勢を誇ることができなくなつた。ここで簡単に要約いたしますと、ミグの出現は世界の政治と経済の形をでんぐり返してしまつたということをいわれておるのです。そこでこういうことを思い出していただきたいのです。アメリカ人が朝鮮で戰いましたときにおいて、日本におる兵隊を朝鮮に持つてつた日本には彈圧軍として置いたアメリカ軍が少くなつてしまつた。それでそのときにあわててこしらえたのが日本の警察予備隊、アメリカは人が足りなくて困つておるから人を得るためにこしらえたのが警察予備隊だつた。今度飛行機に追いまくられましたアメリカが、日本に求めておるのが、アメリカに足りない工作機械であります。なぜかといつて、世界の通則として、アメリカがソヴエトと互角の航空戰をやるためには、十八箇月の遅れを取返さなければならないといつておるのです。十八箇月の遅れをとりもどすためには、日本の産業は工作機械の製作のために使われる。私は工作機械は産業の分野における警察予備隊だと思うのです。警察予備隊はついこの間までアメリカ製の服を着せられて喜んでおりまして、魂を失つておりましたが、最近になつて持たされた道具の扱い方より、これはどうも服にも相違しない危険なことをやらされるのではないかということで、国会においても予備隊問題が大きくなつて、再軍備論争ということで非常にやかましく言われております。そういう形におきまして、アメリカが発注しようとする工作機械の問題は、おそらく産業の分野における警察予備隊であると私は考えるのです。そこで大きな問題が起つて来ます。アメリカが困つたときには必ず日本に人を求めます。アメリカが今度物に困つて、機械に困つたのですから、工作機械を必要とします。その結果うまく行くだろうかということを考えていただきたいのです。高橋さんは御存じでしよう。大阪に北河内というところがありますが、そこに茄子作という所があります。そこに小さな工場があります。そこで何をこしらえておるかというと、アメリカのダムダム爆彈かばらばら爆彈か知りませんが、爆弾の中にたくさん小さな爆彈が入つてつて、落ちたら破裂するようになつている。これをこしらえて一回目は金をもらつたが、二回目には金がもらえない。どうしてもらえないかといえば、それが落ちるときに、尾部の方に羽がついておるのですが、この羽の設計が悪かつたから爆彈はまつすぐに落ちずに横にそれてしまつた。この設計はアメリカ人がやつたのであつて日本人がやつたのではない、これは検査に通つておりながら朝鮮で使つたら間に合わないから金がもらえない。茄子作におるところの工場の人たちは困つておる。このことを私は演説会において聞いた。こういうことを言いますと質問が長くなりますが、こういう形において人に注文をしておきながら、それが不必要になり、またいらなくなつた場合においては、そんなものは知らないのだと開き直るのは、世界の歴史上における占領軍のやり方ではなかろうかと思う。また占領が解除されて行くのであれば、なぜ安全保障のもとにおける日本の経済のゆるみがあるか、私は不思議に思う。手放しの日本産業の自立ということをどうして考えて行かないだろうか。工作機械の発注が日米経済協力の中心になつておるが、その結果いらなくなつたときに、ほうり出されるような心配がないかあるかについて、通産大臣は大きな見通しを持つておるかどうかを伺います。
  158. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 アメリカから日本に工作機械を注文しても、日本にはまだ遊休施設がたくさんあるのであります。また日本の産業に影響があるような大きな注文は期待しておりません。そのほかの御質問の点は、私答弁することはできません。アメリカが違約してどうだとかいうことは……。
  159. 横田甚太郎

    ○横田委員 その例は出ておるのです。きようの朝日新聞の報道によりますと、ミグが新兵器を持つたのではないだろうか。オレンジ色の球は共産空軍ジエツト機の噴出したガスの光であるかもしれない、とにかくややつこしいものができたとアメリカの飛行士たちが疑つておるという記事が出ておる。そうしますと工作機械と申しましたところがいろいろの種類があります。今度ミグに対抗するための工作機械をこしらえさせておいて、今度それでは間に合わない、新しい兵器が出たときに、また別の形における航空機並びに新兵器をこしらえるんだということになつたら、注文された機械はいらなくなつて来る。こんなことについてあなたに聞いておりますと、まるで恥をかかすようなことになるから、特にしつこくは申しませんけれども、もう少し大きな見通しを持つて世界の政治を見てもらいたい。世界の政治とまで行かなかつたら、せめて新聞記事くらいは克明にお孫さんに読まして、註釈さして新知識を入れてやつてもらいたい。次に、日本の警察予備隊で使つておるような兵器は、すべて日本で自給できるようなものではなかろうかと思います。もつと簡單に申し上げますと、日本にはアメリカ人が管理しておる軍工場があります。そこで兵器をこしらえるんだろうと思うんです。そこでできたものを日本の警察予備隊で使つておるのではなかろうかと思うが、その点における通産大臣の答弁は一体どうですか。
  160. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私は日本の警察予備隊が、武器か機械か道具か知らぬけれども、どういうものを使つておるか承知しておりません。先刻来の御質問を承ると、あなたは私以上によく知つていらつしやる。昔私があなたを知つてつたときから見ると、あなたは知識が非常に該博になつておるので敬服するのであります。私はこの席でもあなたからたびたび御同情を受けたように、こういう老骨であり、ちよつとは目を通すけれども、毎日たくさんの新聞を通読するというような根気はとてもありませんし、また手元にそういう適当な孫もいませんから……。
  161. 横田甚太郎

    ○横田委員 高橋さんは私が共産党であることをはつきり覚えておいていただきたい。あなたのところの政党は共産党をほめてはいけない政党だということはよく御存じだ。そこで私があなたに聞きたいのは、警察予備隊が現にあるのです。そして閣議において警察予備隊の問題が出ている。この警察予備隊と同じような再軍備論争は、西独においてもやられ、フランス、英国においてもやられておるのです。警察予備隊は、国外に派遣するかしないかははつきり言明されておらないが、内乱、騒擾とか、そういう戰闘行為の中において威力を発揮するのです。そういたしますと、武器はきめ手がある方がいいとする。きめ手というと重装備です。かえるは口からという言葉がフランスにありますが、法務総裁はいみじくも白状している。ジェット戦闘機や原爆がほしい、これがないようなものは軍隊でないという考えを持つておるのです。そこで私は日本の産業界のあらゆる層を代表して権力を握つておるあなたに聞きたいのですが、日本の警察予備隊をうんと装備をよくする、あるいはまたきめ手になるようなものを持つべしというような陰謀が当然起つて来るのじやなかろうか。もう一歩下つて言いますと、日本の警察予備隊が持つておる武器は、アメリカから借りるのじやなく、日本で自給した方がかえつてもうかるのじやないかという陰謀が日本の産業家に起つて来るのじやなかろうか。この陰謀をあなたたちが持つてどうして悪いのだろうと私はふしぎに思うのです。警察予備隊が外国から武器を借りるといいますが、アメリカがフランスに兵隊をこしらえろといつてこしらえさせた結果、武器がないからフランスが困つたときに、アメリカはフランスに対し一歩兵連隊分一千六百四十五ちようの小銃を送つたが、その中の一千百八十一ちようが、米式の一九一七年製の古鉄砲だつたのです。イタリアになるとさらに悪い。前世紀の一八九一年製という古い兵器をアメリカは送つておるのです。こうなりますと、日本の警察予備隊はかわいそうです。天皇制軍隊のときにおいても、武器が悪いために南方の島々で死んだのです。今度アメリカの武器にたよつてつても、アメリカはいい武器は持たせない、ジエツト戦闘機、原爆は持たせない、また重装備はさせない。そうしてもうけることを国内で防いでおいて、もうからないことをやらせておいて、戰いに行くときには竹やりではいけないから、竹やりをごまかす程度の武器を持たして行くということでは気の毒だと思うのです。警察予備隊で使つているくらいの武器は日本でできるのだから、これを持ちたいという御希望を持つようになつて来るのじやなかろうか、またお持ちになつているのじやなかろうかということを質問したい。
  162. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私は警察予備隊のことも一向知らないし、民間におりました時分に警察予備隊を視察するよう案内を受けたこともありますけれども、私たいして興味を持つていないから見たこともないので、その武器がどうとかこうとかいうようなことは全然知らないので御答弁することができません。横田君は非常にお詳しいようでありますから、また国会でも済めばゆつくりそういうことを教えていただきたいと思います。
  163. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは貿易関係のことを聞いたら御存じでしようか、何を聞いたらいいでしようか。もしいけなかつた安本長官に後刻伺います。あなたではお気の毒です。一体何を聞いたらいいでしようか。
  164. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 なるべく聞かずにいていただきたい。
  165. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 小林進君。
  166. 小林進

    ○小林(進)委員 それでは通産大臣お忙しいようですから、こまかいことは申し上げませんが、私が申し上げるまでもなく、日本の中小工業の状態は非常に行き詰まつております。大体二十万工場と概算踏んで、五人以下の労働者を雇つているものがその半分の十万工場、五人から五十人以下のものがその残りの九二%ぐらいあり、五十人以上の工場が、わずかに八千工場である。こういうのがわが日本の工業の実態でありまするが、その中で五人以下の十万工場が生産額の五%、五十人以下の九万五千に近い工場が大体わが日本生産の半分をつくつておる。五十人以上のわずかに一万に足らざる工場が四五%の生産額を持つておる、こういう現状のようであります。さてわが日本の工業は後進工業である関係上、今世界の水準に追いつくために、相当ピツチを上げたという関係から、大企業、大工場は急速に発展いたしたのであります。たとえて言えば、紡績とか機械とか器具とか化学とかいうようなものは、おそらく英米の水準まで十分行つておると考えておるのであります。その五十人以上の一万に足らざる工場だけが発展いたしましたが、それ以外の、今申し上げました九五%ぐらいの中小企業というものは、ほとんど明治以来今日まで投げやりにされておる現状であります。ほとんど大工場の下請に入つて、細々と生きておるような状態でありますので、通産大臣としてはこうした経済の変則につ  いて一体どういうお考えをお持ちになつておるのか。これがまた国民生活の水準を非常に低下せしめておる根本であります。これからまた軍需景気が盛んになりましようが、日米経済協力で一部の特殊な景気が出て参りますと、こうした中小企業の方の連中が、その工場へ若干吸い込まれて行くかもしれない。けれども、また不景気になつて来ると、こういう連中が工場を追い出されて、おでん屋をやつたり、支那そば屋をやつたりして、中小企業や小商人に転落して、自分の生活を詰めながら、大体日本の人口の調節をはかつておるようであります。こういう形がある限り、私は国家全般として、とうてい正常な姿ではないと思うのであります。またこういう大きな差が、この講和予算を中心にしてだんだんとはげしくなろうとする傾向が強いのであります。これに対する通産大臣の意見を伺つておきたいと思います。
  167. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 日本の中小企業というものが、特殊の状態であることは、御指摘の通りであります。これは日本の産業の九六%とか、九八%を占めておるのですから、これを忘れては日本の大企業も成り立たないのです。これは一方が盛んになれば、一方が倒れるというものでない。関連して盛んになるものだと思うのです。しかし中小企業対策というものは非常にむずかしいのです。第一次世界戦争の終りの不景気の時分に、中小企業の救済ということが非常に問題になつて来たのでありますが、今日中小企業の対策としていわれておることは、当時とあまり違わないのです。それだけむずかしい問題だと私は思うのであります。これは私の構想ではないのであるけれども、現内閣の政策は、御承知のように、中小企業というものは非常に弱いのだから、協同させて、力を増して行くということが必要だというので、組合を奨励しておる。これは一つの政策である。協同組合というものは、まだ残念ながら、日が浅いものですから、私ども考えましても、組合法にもまだ欠陷があります。これは漸次改善して行かなければならない。本国会でもその改正案を出すつもりですが、世年々々改善して行かなくちやならぬと考えます。  それから中小企業問題が取上げられました時分に、いつも一番問題になるのは、金融です。金融が梗塞しておる。政府は何をやつているんだという御批判があるが、これまでの内閣も相当この中小企業の金融のためには力を盡しておると思います。また実際そういうことについて中小企業の面から感謝の言葉を受けることもあるのです。困り話の方が非常に多いのですが…。たとえば金融の中心をなしておる商工中央金庫にしましても、貸出しの額はずんずん伸びておるわけです。しかし三月危機だとかなんだとか叫ばれますように、現在また非常に苦境に陷つておりますから、この際さらに金融措置を講じたいと考えて、大体話合いがついております。ところが中小企業の金融問題を解決するのに政府にすがつて政府資金をやり繰りするとか、見返り資金をどうするとかいうようなことを言つても、実際にはそれは二十億か三十億の問題にすぎない。結論はそうなるのです。ところが私はよく調べていませんけれども、中小企業が金融業者の金を使つておるのは、おそらく五千億ぐらいになつておるでしよう。中金を充実して、中小企業の金融を解決することは、望まれぬと私は思います。ただそこへ油を注いで、非常に困つておる者あるいは金融業者が相手にしないような者を中央金庫で救済して行くよりしようがないのです。そういう連中に対しては中央金庫の金で救済するとか、あるいは今の協同組合、そのほか中小企業者を強化させて、中小企業者が金融機関に対する信用を増して行くことが、私は根本だと考えております。この問題は私は民間におつて会議所などに関係しておりましたが、いつも悩まされた問題で、実ははなはだ困つておる問題であります。
  168. 小林進

    ○小林(進)委員 大体今の御説明は、半分意を得て、半分意を得ないようなことがあるのでありますが、大体現在の中小企業者が困つておるのは、もちろん金融の百面も第一だと思いますけれども、機構としての矛盾は、大企業に隷属して、その下請関係にあるので、結局大企業のなすがまま、あなたまかせの身の上だ。これがしばしば金融に詰まり、支拂いが遅れるもとになつている。そうして実態は、これら下請工場、中小企業者の労働者への支拂い賃金は、大企業の大体半分ないし六割という状態で、こういう賃金上の落差もあり、ここに私は幾多の矛盾があると思うのであります。通産大臣は現に大ヒール会社で、半独占的な企業に携わつており、たくさんの下請企業をお持ちになつておるの容はないかと思いますが、御自分の経験からも割り出して、あなたのやつておられるビール会社の下請企業、中小企業者がどういう形になつておるか、そういうところから解剖して行つても、何かこれを救済する手が出て来るのではないかと思います。  それから金融の面でありますが、商工組合中央金庫が結局銀行でも扱わないものにも貸すというお話でございますけれども、実際の面からながめれば、中小企業者の中で商工組合中央金庫の金が借りられる者というものはまだ中間クラスであります。ここまで行つて借りられるのはよい方であります。たいていの者は借りられない。現在零細な企業者、あるいは小商人の利用しているのは庶民金庫であります。これは大蔵大臣にお聞きする方が適切かもしれませんが、通産大臣といてむしろ庶民金庫を拡大強化する、たとえば一県一行にするとか、現在庶民金庫の貸出し状況は、大体申込みの三分の一弱で、七割近くの者がはねられておる。こういうこともいま少し力を入れていただき、この窓口を開いてもらうように考えられないものかどうか。要は下請業者の関係を何とかいま少しうまく持つて行けないか、それから庶民金庫の面で金融を強化できないか、この二つの面についてお答え願います。
  169. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私の知つておる下請の中小企業者について御質問がありましたが、私は長年民間で事業をしておりましたが、非常に臆病で、今御指摘になつたビール会社では中小企業に金を遅らしたということは一度もありません。私の知つている中小企業については今の御質問に対する適切な答弁は私にはできぬかと思いますので、お許し願いたいと存じます。  それで大企業者からの支拂いが遅れておる、そういう事実は私も認めます。実に中小企業は困難だと思います。が、中小企業者の金融問題を解決するのには、私は中小企業だけを取上げても解決はできない。やはり大企業者が長期資金に非常に苦しんでいる現在の状態をこのままにしておいては、中小企業の金融問題は解決できぬと思います。
  170. 小林進

    ○小林(進)委員 それから問題はかわりますが、今造花の輸出についてどういうふうにお考えになつておりますか。チエコスロバキヤあたりがアメリカ方面の造花のほとんどを扱つていたのでありますが、現在これが赤いカーテンに入つて以来、日本でも造花輸出が相当盛んなようでありますが、現在の状況及びこれに対する政府の融資状況等についてお尋ねいたします。
  171. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 横田君がいると、何を聞いても答えられぬと、またしかられるかもしれないが、その方については私は何も知りませんから、政府委員の方からひとつ……。
  172. 牛場信彦

    牛場政府委員 造花は今主としてアメリカの方に出ております。額については、今こまかい分類を持つておりませんので、後ほど申し上げます。
  173. 小林進

    ○小林(進)委員 それに対する融資の状況は……。
  174. 牛場信彦

    牛場政府委員 これは普通の貿易手形によく融資はもちろんやつていると思いますが、その前の段階におきましては、なかなかそういう方面は困難なことは事実だと思います。
  175. 小林進

    ○小林(進)委員 今貿手でおやりになつているということですが、これは私の知る範囲では間違いじやないかと、思うのです。具体的な例で申し上げたいのでありまするが、日本輸出に携つている造花業者は三、四軒あるいは十軒以内だと思います。相当注文は多いのですが、非常に資金に悩んでおります。資金に悩んでおりまするところへ非常に注文が多いということから、結局アメリカの民間の貿易商人といいまするか、バイヤーといいまするか、そういう人から金を借りてやつたことがもとになりまして、資材を隠匿するとかいろいろな理由で、結局その会社に乗つ取られてしまつて、現在その金を資した人が経営をしているということがあるのです。これは国情も違うし、国籍も違いまするからお互いに言い分があるでしようが、われわれの立場からいいますると、非常に悪辣である。そういうことで日本の産業をとられ、輸出の業務が萎微沈滞しているのをわれわれ具体的の前に見ているのです。造花などの資金は大したことはないのです。いま少し政府や行政官庁がていねいに扱つてくれたなら、平和産業、輸出産業としてこれは非常に見込みがある。先ほども申しますように、唯一の市場のチェコが赤いカーテンの中に入つた。それに肩がわりできるような客観情勢にありながら、事実はアメリカの会社に乗つ取られて悲惨な状態に陷つているものかあるのであります。こういう方面に対して一体今まで通産省あたりはどのくらいお考えになつていたのか、全然お考えがなかつたのか、その点をお伺いしたい。
  176. 牛場信彦

    牛場政府委員 私、生産方面のことは所管外でございますので、あるいはお答えが漠然とするかもしれませんが、先ほど大臣からもお答え申しました通り、そういう弱小製造会社というものは個人的には非常に信用が弱いものでありまして、普通の金融になかなか乗らないものでありますから、これは将来やはり組合のようなものを育成しまして、それを基本にして、なるべく市中の金融に乗せて金を出して行く。足りないところは、先ほどもお話申しました通り、中小商工業関係の特殊の金融を行つて行くという方向で行くよりほかないと思います。現在具体的にどれほどやつているかということになりますと、私ちよつと今申し上げることができませんで、はなはだ遺憾であります。
  177. 小林進

    ○小林(進)委員 あなた方の石橋をたたいてなおかつ渡らんとする行政政策のために、非常に日本の産業がいためつけられ、国家的にも損をしているということを具体的に御調査願つて、いま少し親切な産業助長の方向に進んでいただきたいと思います。私はこれで終ります。
  178. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 通産省に再確認をお願いしたいのは、ポンド対策の問題について、通産大臣は二、三日のうちには案ができないから、この席では説明ができない、予算委員会において答弁をすると言われましたから、どうかひとつ小峯理事にもお含みを願つておきます。  それでは安本長官にひとつ伺います。先ほど途中を切られてしまつてはなはだ残念ですが、安本の機構というものの実質的なものは残すのだというような御構想、これは私は同感なのです。手放しの自由経済政策をやられるとすればいざ知らず、だんだんと経済情勢がかわりつつある今日として、先ほど問題になつたようなボンドの問題についても、大蔵大臣は率直に申せば簡單に始末をしてしまつて、後始末をしなければならぬような事態の起ることは、これは私は行政機構から見て問題があると思う。むしろ率直に言えば、安本長官はそれを総括して貿易をやつておれるのだから、そういうことのないようにするのが当然安本の使命だと私は思うのですが、そういうことで一つの例をあげてみても、電源開発の問題のごときは非常に重大な問題を残しておると思う。それで私は何も現状維持ばかりを固執するのではないけれども、かりに安本というものをやめてしまつたら、そういう重点的な総合政策という点においてどうやつて行かれるか、われわれから見ればはなはだ不安なので、その点もう少し具体的にお考えのほどをひとつつてみたいと思うのです。
  179. 周東英雄

    周東国務大臣 お話の点はまつたく同感であります。政府も與党も、安定本部のやつておる実態については、やはり重要性を認めておるのであります。今度の機構改革につきましても、その意味において、国家の総合企画官庁と言いますか、そういうものがなくてはならぬ。しかもそれには現在やつておるものが移行するような大体形です。その間にいろいろ新しい時代に即して取捨選択する場所が出て来るかと思いますけれども、大体におきまして常に一歩先んじ、また各庁の間における総合計画の樹立、総合調整というような問題を含めての実体は残して、名前は新しい意味において総合企画庁になりますか、まだはつきりきまつておりませんが、そういう方向で進むつもりでおります。ことに今後の問題としては、いろいろ問題がありますが、アメリカその他との間における経済協力というような問題も、これは実際問題に入つて来るわけであります。その間にいろいろ問題がたくさん起つて来ると思います。いろいろ御質問のあつたような点は閣議においても出ておるわけであります。そういう点を調整して窓口を一本にし、計画を進める上においても、新しい分野において仕事を進めなければならぬと思います。そういうものを抱き込んで総合企画庁という名前で進む計画でおりますが、その内容に至つてはもう少し先にお話をいたす時期があるかと思います。  それからこの際ちよつと補足しておきますが、さつきの小林君の質問の造花の問題は、実は中小企業庁の長官がおられるとよくわかるのです。これは非常にいい御質問でしたが、造花とい場うものは一番確実性があるのです。かつて自由党の政務調査会あたりでも委員会をつくりまして、この問題について研究したことがあるのですが、何か小さいものにみんな請負わせていて、家内工業的にこれが多いものですから、そういう小さいものに造花をつくらして、中金から補助するというというようなことで、たしか三百万円か五百万円出たはずですが、むしろその際には金よりも資材というわけで、造花用の資材は大したもの噂はないけれども、ぜひともこれは確保してもらいたいというようなあつせんを、昨年でしたか一昨年でしたか中小企業庁がしたかと思つております。これはお話通り、何ぼつくつても売れる。その当時の要求生産量の四、五倍もあつて、追つかけ追つかけになつて足らぬという状態でありましたが、おそらくその方もやつておることと思います。私は所管外でありますが、ちよつとその点補足して申し上げておきます。
  180. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 そこで今の機構の問題について、何が総理のもとへいろいろな機構をただ追い込むということが簡素化のように考えられておるが、私はおかしいと思う。むしろ責任の所在を一層明確にする必要があるのであつて、その明確さが足りないから、今の総合企画の問題でも、今日非常な不徹底のために国民は迷惑をしておる。そういう点はひとつ長官として確固たる信念でやつていただくことを私は希望いたします。  それから関連してなお伺いたいことがたくさんあるのですが、もう一つ、これも予算に関連しておりますが、今自由党で立てられておる電源開発の問題、これについて周東さんの知つておられる範囲において、一体外資は何ぼ入るという見当でおやりになつておるのか、その点伺つておきたい。
  181. 周東英雄

    周東国務大臣 今の御質問ですが、外資が何ぼ入るということをここで申し上げることはまだ不可能です。ただ申し上げられることは、電源開発のみならず、いろいろ外資の導入については、首相は非常に努力しておられますから、私は見込みはおると思いますが、今何ぼ入るというようなことを申し上げ得る時期でないことを御了承願いたい。  そこでおそらく御質問の点は、それでは電源開発はどうかという問題であろうと思います。それで、私この間からたびたび申上げおりますので御承知だと思いますが、初年度の資金計画としては大体千二百億程度のものを出す計画で、そのうち六百十億が政府資金関係、そうして新しい機構に関する必要量として百十億ぐらいを考えておりますので、それによつて初年度の二十七年度に関する限りは、かりに外資が補われなくても仕事は進められて行くのではなかろうか、それに外資の確保ができますれば、より一層仕事は進行し得るのではないか、かように考えております。
  182. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は何も国家に害のあることをしいて要求するのでありません。しかし総理大臣がいやしくも施政方針演説の中に明瞭にそのことをうたつておる。しかも外資導入といい、電源開発といい、閣僚の中では最高の責任者である周東さんが、半面非常にかたく言われることは私おかしいと思う。それは與党が今電源開発法案を出そうとしておるが、これはたれが考えても、この裏づけに外資の導入がなければ成り立たないということはわかりきつた話である。だから新聞等に漏れている白洲案なるものもあるくらいであつて、私はこういう機会に、何もあなたの責任を追究する意味でなしに、安本に外資導入計画がないはずはないと思うから、その期待量がどのくらいであるかということぐらいは聞いておきたい。全然ないとすれば、これはわれわれとしても考えなければならぬ、予算についても考えなければならぬということになりますが、もう一度ひとつつておきたい。
  183. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は非常に努力いたしておることは事実であります。幾らをいろいろ努力して、そのうち何ぼは見込みがあるというようなことを今日私申し上げる時期でない、まだそこまでは行つておらぬということを申し上げておきます。
  184. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 しかし計画から考えれば、少くとも千億以上のものは入れなければ最小限度において計画にならない。そういう点の説明が非常にあいまいなものだから、電源開発の問題についても国民的な協力態勢ができない。これは警察予備隊の問題といい、何といい、私は政府立場というものが国民にもつと率直に行くべきであるという意味において、全然外資について期待をしないとは考えられませんけれども、大体の理想案でもけつこうだから聞かしてもらいたいと思う。聞くところによれば三億といい、五億といい、あるいは二十億説までも聞いておる。だからその辺の構想をこの際伺うことができれば仕合せであります。重ねてもう一度伺います。
  185. 周東英雄

    周東国務大臣 竹山さんの御質問ごもつともだけれども、外資というものは相手があるので、このくらいの見込みがあるということは、ここでまだ申し上げられません。特に努力するということを重ねて申し上げて御了解を得たい。今法案等がいろいろ準備されておりますが、適当な時期においては、おそらくそれが言える時期が来るのではないかと思いますが、今日どれだけの外資を期待し、どれだけが入つて来るということを言い得ないことを遺憾とします。これは御了承を願いたい。
  186. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これ以上追究しませんが、しかしそれは非常におかしな話で、私に言わせれば、国民的な期待はあつていいと思う。当然それで貸せるか貸せぬかは別問題としても、こそこそやることが私は公明な政治のやり方ではないと思うし、今国民的な支持を得て外資の導入をしたらいい。それを何か内論でこそこそ取引しておるような感じを與えることが、かえつて悪いと私は思う。私もこの間アメリカに行つて感じたことは、もつと率直に国民的な希望を言うべきである。そういう意味において申しておるのであるが、安本長官が答弁をしないということであればそれでもいいですが、私がくどく言うのはなぜかといえば、自由党は前科がある。九分割をするときに、九分割をすれば外資が入ると言つていたが、してみると入らない。だから今度の電源開発の法案というものは、必ず外資が入ることを前提に置いて国民は期待する。私はそういう意味において前科があるからくどく申し上げたのでありますけれども、その最高の責任者がそういうことであれば、はなはだ不満足でありますが、これはこれ以上言いません。  それから物価関係は、一体今後機構はどういうことにお取扱いになるのですか。現在の機構をもつと簡素化するとか、どうするとか、物価政策の今後のお考え伺いたい。
  187. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま機構の改革に関連して考えておりますことは、物価に関する関係は内局でうちへ入れたい、かように考えております。
  188. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 そこで承つておきたいのは、あとでいずれ農林省との関連において出て来ましようが、食糧の価格政策は、周東さんはこれからどういうふうにお考えになつて行くか、端的に申せば、当面しておる問題は、麦の価格をどうするかという問題、これは予算にも関連して来る問題ですが、食糧の価格政策の基本的な考え方を伺つておきたい。
  189. 周東英雄

    周東国務大臣 食糧は一番大きな問題ですが、これに関する価格問題については、政府の管理のもとに配給を続けておる立場において考えていたときは、消費者価格についてはできるだけ高くならずに、生産価格については両生産をまかなうに必要な程度考えて行くというのが一つの行き方だと思います。これに対して、それでは米麦の価格をどうして決定するかという一つの問題ですが、生産価格については、やはり今のところまだパリテイ計算方式をとらざるを得ないじやないかと思う。昨年も早くから、この問題についてあまり政治的な考慮の入らない価格の決定ができれば一番いいじやないかということで、米価審議会に、どういう方式をとるべきかということを諮問した。これは半年くらいかかつて  一つの案を得てもらつたけれども、結局のところ、これが一番いい、ひとつこれで行こうという案はできずに、生産費の方式と、パリテイ計算方式と、二つをチヤンポンにした三つを答申されて、適当にこれらを考えてくれという話だつた。要するに、価格の決定というものが、自由に放任しておつた場合において自由価格が適当に出るのと違つて政府が買い上げる価格を決定するについては、それだけに私はむずかしさがあると思います。そうなつて来ると、結局今日の場合、まだ農林当局とも今後話を進めて行くわけですが、やはり今のところ。ハリテイ方式をとりつつ、ある程度の修正をそれに加えて行くということが、一つの行き方じやなかろうか、かように考えております。  それから消費者価格の問題でありますが、内地生産だけでは不足し、相当輸入に仰がねばならぬ立場にある今日においては、輸入小麦、輸入米の価格内地の消費者価格をつり上げて来るでありましよう。これについては、やはり内地の消費者価格が、内地生産の米について生産価格が決定されて、それにある程度の管理費その他を織り込んだ価格できめられて行く。その価格につり合いのとれる程度に、ある程度やはり価格補給金と言いますか、輸入補給金と言いますか、こういう関係はしばらく続けて行かねばならないじやないかと考えております。ただいまの段階においては、そういう考えでおりますが、さらに今後二十七年産米並びに五月の新麦価というものが決定される時期に至るまでに、できるだけ妥当性に力を入れて行くように、関係当局と研究を続けて行きたいと思います。
  190. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 逆に率直に伺いますが、現在提出されておる予算は、主食に関する価格政策をとことんまで割切つておる予算考えていいですか。今のお話を伺つておると、今後にまだ検討の余地を十分に残しておる、一応の段階における予算というふうに伺えますが、その点いかがですか。
  191. 周東英雄

    周東国務大臣 米価に関しては、今後パリテイの引上げ等があつた場合にバツク・ペイなんかの問題はありましようが、二十六年産米等については、一応バリテイの上昇にある修正ということがない限りは、大体今の形で、予算の範囲内で進みたい。二十七年産米のときに問題が起ると思いますが、大体今の予算に組んでおる価格のままで、特別に上昇がない限りは行けると考えます。
  192. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私の伺いたい点は、さしあたつての麦の問題について、端的に申し上げると、この間の経過から見て、いわゆる二重価格制というものを考慮しておるかどうかということです。予算措置の中で……。
  193. 周東英雄

    周東国務大臣 麦についても、二重価格制とおつしやる事柄は考えておりません。
  194. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 この前の米の統制撤廃問題の経過から見て、私があなたに質問をし、大蔵大臣にも質問をして、最終の段階においては二重価格方法をとらざるを得ない、やむを得ないじやないかという考え方に、大蔵大臣は答弁しておると思う。もちろん大臣のことだから言葉の上で明確に言つてはおりませんけれども考え方としては、それを取入れておることは認めたと私は認めておる。その当時と比べて今日の情勢が決してよくなつたとは考えられない。むしろその必要度はもつと濃厚になつたと考える。周東さん自身もその当時そういう考えで、もちろん最終的な決定があつたかどうか私は問いませんけれども、その当時の考え方と今日の考え方が非常にかわつて来ておるというならば、理由を承りたいが、考え方がかわつておるのか、その当時と同じなのですか。
  195. 周東英雄

    周東国務大臣 あの当時は、お話のように米の自由販売というような問題が起つて来、その間に処して買上げ価格をきめるときに麦との関係が起つた。麦の生産というものはおそらく減産するだろう、そういう点において農家からの麦の買上げ価格は少し高くして、売る場合には安くというのがこちらから出ておつたのですが、ただいまのところ、今すぐに米の統制撤廃をやるということにきまつておりませんし、その関連においては、今日はこれはこのまましばらく続けて行くかつこうになつておりますから、多少あの当時の事情とはかわつております。
  196. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 そこで重大な問題なので聞きますが、周東さんは、米の統制は麦とは切り離して依然として継続するという考えですか。
  197. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいまの点は、米についてはまだ統制撤廃をいつするかということはきめておりません。麦の方については、今大体研究をしておるのであります。ちようど食糧庁長官がおりますが、希望としては四月くらいから麦をはずしたいというかつこうでおりますが、まだ最後の案は決定しておりません。
  198. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 いや與党及び政府の政治的な方向というものは、最終段階は、米をはずすという方針を撤回されたとは私は考えられない。従つて米の統制撤廃と無関係に麦の統制撤廃をおやりになるのか、そこの基本的な考え方を伺つておるのです。
  199. 周東英雄

    周東国務大臣 これはこの前は大体同時に考えておつたようですが、今日米を四月からはずすとかいうことは考えておりません。今後の段階において、時期なり、方法なり、おおよそ各般の準備なりを十分整えて行かなければ、米についてはただちにこれをはずすとかいうことは決定いたさないつもりでおります。
  200. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 そうすると非常に問題があると私は思う。どうも政府の方針というものの基本的な考え方がわからない。この前は麦と米をはずすという考え方で出て来て、ただ技術的にしばらく待つということであつた。今のお話で行くと米はいつはずれるかわからぬ、しかし麦ははずすという考え方なのですが、これは決して簡單な問題ではないのです。私はことさら米麦一体論を言うようですけれども、麦をはずしておいて米の問題はあとでゆつくり考えるということは、周東さんに説法する必要はないが、そんな簡單な問題とは私は考えていない。だから、麦をはずす予算を組まれるについては、米もいずれはずすという考え方であろうから、そこで米をいずれのときかはずすという前提において麦をはずす処置を考えるのが当然だと思うので、そういう点において基本的な安本考え方というものを伺つておかないと、この予算の審議もあいまいなことになつてしまうし、今後のいろいろな問題と関連をするから伺うので、もう一度そこをはつきりと伺いたい。
  201. 周東英雄

    周東国務大臣 竹山さんは、麦をはずせば当然いつの時期か米をはずすという前提のもとに立つての重ねてのお尋ねでありますが、これは今農林省とも話し合つて、米自体の統制撤廃については愼重な処置を考えておるのであつて、今日の場合においては、まだこれをいつはずすということはきめておりません。はつきり申し上げます。
  202. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 それなら私は、この麦の問題も米と同様にもつと愼重にやるべき問題だと思う。米を非常に愼重にやられるならば、麦を軽率にはずさなければならぬ理由は、われわれには一向わからぬが、これはいずれ農林省とも議論いたします。そういうふうにときどきかわつて来る方針というものが今日迷惑なことは——今あなたのお話では麦は減産するだろうと言うが、現実に減産しておる。この間も私は東北に行つて来たが、東北なんかはこれからふやそうと言つて一生懸命増産をやつておる。その麦を頭からたたきつけてしまうような政策を政府は今とろうとしておるから、われわれは心配しておるので、決して言いがかりに言つておるのではないのですから、そこをひとつ安本長官がしつかりした基本線というものをお考えおきをくださいませんと、砂糖のように、とにかく事務的に四月にはずすのだときめたら、何でもかんでも周囲の情勢を考えないではずすというようなことをするから混乱が起るのです。この予算を組むときの態度というものが、そういう基本線というものが、関係閣僚において一致されてできておるのかどうか。今伺つてつても私にはどうもふに落ちません。もう一度重ねてこの予算との関連において、安本長官考えておる今後の政府及び與党の米麦を含む基本的ラインというものをひとつつておきたい。
  203. 周東英雄

    周東国務大臣 予算編成にあたりましては、米は統制を継続して行くという建前で予算が組んでありますが、これは閣内はつきり一致した意見で組んであります。麦については、同様にそれならば慎重にということでありますが、これも先ほど申しましたように、最後の話は事務当局から聞いておりませんけれども、四月、ごろから慎重考慮の上はずしてもよかろうかという考え方のもとに、今事務当局で計画されておりますから、その話をよく聞いて私どもも対処したいが、はずされた後における生産者から政府に売つて来る価格というか、最低価格の保護の意味においての買上げ価格についての考慮をいかにするかということで、減産その他の問題が解決できるのではないか、かように私は考えております。
  204. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私もそれと同じ考えです。統制維持論ばかりにこだわつておるのではない。だから食糧の根本政策の基本線をどうお立てになつているかということを最初に伺つたのもその点なんです。問題は、統制をはずして麦が減産してしまつたのでは何にもならない。この前のように、米価を牽制するために低麦価政策をとらざるを得ぬということを大蔵大臣も認めざるを得なかつた状況から言うならば、この際麦の価格政策というものは容易な問題じやない。簡単に予算を事務的に始末をするような問題じやないから、それをよく承知されている周東さんの基本的な考え方を伺つておかないといけないと思う。この予算はこのままでよいのか、あるいはこの予算そのものをもつとかえなければいけないということすらも起つて来るかもしれない。これは事務的に予算をそのまま処理できるとしても、その点が私は非常に問題だと思う。二重価格制に対して必要がないとお考えになるのか、それともそういう問題は今後検討をしなければならぬ問題とお考えになるか、それを伺いたい。
  205. 周東英雄

    周東国務大臣 その点あなたの言う二重価格制というものは、政府の管理にある場合に、高く買つて安く拂い下げることは一番典型的な二重価格制になります。おそらく麦だけはずした場合において、米との比率関係を別にして相当高く買い上げることになると思いますが、その点は、私どもは別にそれを二重価格とかなんとかいうふうに考えるのではない。麦の買上げ価格の決定に関して、パリテイ計算で出て来た米との比率はもちろん麦価決定の要素にはなりますが、その他においてこれをある程度修正することもあり得べしということを言つたのはその点であります。農家が生産をするについて、最低価格を保護するような買上げ価格の決定をする、自由価格が安くなり過ぎる場合において、政府に売つて来る場合においての価格にさような考慮を加えることによつて、減産は防げると私は考えております。それをあなたが二重価格というふうに言われれば、そういうことになるかもしれません。
  206. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は二重価格という言葉にこだわつておるのではない。あなたのおつしやるように、米価牽制のために低麦価政策をやらざるを得ないということも政府は認めておるし、国内増産もやらなければならぬということを認めておるのだから、かりにどういう形で統制の一部解除が行われようとも、国内減産を防止するような価格政策をおとりになる考えだということならば、私もこだわりませんが、その点についてもう一度伺つておきます。
  207. 周東英雄

    周東国務大臣 それは繰返しお話をしているように、自由になつた場合における自由価格が安くなり過ぎる場合において、政府に売つて来る場合の買上げ価格については、生産の維持というか、農家の麦生産を保護し得るような立場においての決定をして行きたいと考えております。
  208. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 その問題はいずれ農林省にもう少しお伺いすることにして、次に公共事業費の問題であります。今度公共事業費は、所管関係で、少し機構をかえられたような話ですが、どういうことになりますか。
  209. 周東英雄

    周東国務大臣 大体財政法の改正に伴つて部款を廃止しておるわけで、実は公共事業費という大きな款はなくなるわけです。公共事業費ができ上つた当時は、むしろ大きく公共事業費ということにして——戰後におけるいろいろな仕事の割振り、失業救済というようなこともありまして、そういうことを考えてやや融通のできるように、予算上の細目の款項を置かずにできたのが最初だと思います。今日はすでに河川改修、あるいは漁港あるいは農地開拓、土地改良というような形に、細目まで分化されて予算上計上されております。たまたま財政法の関係からいつても部款廃止の関係になつておりますので、これを各省に移して、予算を早く実行できるようにして行きたい。こういう行き方になつております。しかし実際公共事業費の内容をなす仕事の予算上の要求等については、とりまとめて安本から大蔵省と折衝してきめるという方針は、従来通りということになつております。決定の上は各所管省の予算におのおの載せるわけであります。
  210. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は一利一害だと思うのですが、どうもはたから見ておつてよいか悪いか非常に問題に思うのは、たとえば農業団体への補助金を出すとか、出さぬとかやかましく言つておる。そういうだれが見てもわかり切つたような問題が、主計局の單なる考え方だけで解決しなかつたり何かしておるということは、予算を出すとか出さぬとかいうことの立場から見て、はなはだおかしな話だと思う。むしろ安本は、そういう点は逆に主計局的だけの考え方を是正して、積極的に解決に努力して行けば、かえつて必要な場合にはよいことがあると思うのですが、そういう点周東さんはどうお考えになりますか。
  211. 周東英雄

    周東国務大臣 今度の行政機構の改革等からいえば、徹底した理想からいえば、私は、そもそも予算というものは総合企画の道具だと思う。ほんとうを言えば、総合計画をどう立てて、これだけの予算がいるということまで総合企画が進められるのが一番理想であると思いますが、この点はまだ伏せておきます。どうなるかわかりませんが、しかし実は今年ああいうふうにわけるようなことをしたのは、食糧増産ということにひとつ大きくまとめたいということから、むしろ農林省関係要求もあつて一つの行き方だということから、土地改良、開拓等の公共事業に関するもの、その他農林保険、畜産の関係をまとめて一つの形で行きたいということで、あれをやつたわけであります。お話のように一長一短あると私は思います。初めの予算のときに、こういう形に計画を立てて、これにこれだけの予算を積極的につけるのだということについての、総合企画官庁の意見で決定して行けば、あとは予算の施行ですから、どこにあつてもよいわけです。今日はその点がやや中途半端になつておる。中途半端になつたままで、忙がしいからこまかいところまで予算の割当がきまらないままに、一応予算の編成ができてしまう。それで、あとで認証についての関係で、いろいろ具体的なことを決定するということが残つている。この点あなたのお話は非常によい点であつて、そういう点もはつきり出して安本がきめるということが一つの長所になりますが、一方からいうと、そういつてみても、大蔵省あたりで、資金査定というか資金認証というものがあつて、この立場からもう一ぺんひつかかるということになると、予算の執行が遅れる。これはあなたから申せば、そんなことはもつと緩和せいということになりましようが、なかなかうまく行かない。むしろそこらを簡化するために、予算がきまつたものは認証関係を簡単にしてしまおう、民間に対して、きまつた予算が八、九月になつて出るようなことにならないように急ぐということで、多少の長所短所はありますが、一応一本にまとめてみたのです。お話のように、いろいろな長所短所があることは私ども承知の上でまとめてみたのであります。
  212. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私はまだいろいろ伺わなければならぬことがありますが、一応この程度にしておきます。
  213. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 それでは横田委員が見えませんので、これで通商産業省所管及び経済安定本部所管に対する質疑は一応終ることにいたします。     —————————————
  214. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 引続きこれより農林省所管につきまして審査を進めます。まず政府説明をお願いいたします。野原政務次官。
  215. 野原正勝

    ○野原政府委員 昭和二十七年度農林関係予算についてその大要を御説明申し上げます。まず予算説明に入ります前に、二十七年度農林行政施策の基本方針について概略御説明申し上げます。二十七・年度は講和條約も効力を発生し、いよいよ独立の年となりますので、農林水産業等につきましても国際情勢に対応し、かつ当面の経済安定と国際経済協力のための経済施策の遂行に即応し、経済自立の基盤として生産の向上をはかることをもつて施策の基調とし、当面の目標として食糧の総合的自給度を向上し得るような生産態勢を整え、農林水産資源の維持培養をはり、あるいはまた食糧の管理及び価格の保障、主要農産物と生産資材の需給調整及び価格安定をはかるとともに農林漁業投資の擴充を行い、農林水産業の生産と経営の安定を強化するため、災害の防除復旧及び災害補償の体制を強化することに重点を置いて編成いたしておりますが、これを前年度予算と対比して申し上げますと、農林関係予算で北海道開発庁に計上されている分を含めまして、前年度の八百九億三千八百万円に対し、本年度は八百四十九億二千四百万円でありますから、三十九億八千六百万円の増となつおります。このうち北海道開発庁計上分の前年度分は二十九億三百万円で、本年度分は四十六億五千二百万円でありますから、農林省計上分では二十二億三千七百万円の増となつております。この農林関係予算を目的別に重要なものから項を追つて説明いたします。  まず一般会計から御説明いたします。最初に食糧増産関係経費でございます。この経費中には、第一に土地條件の整備、第二に種苗対策費、第三に防疫対策費がございますが、土地條件の整備のための経費の第一として、従来経済安定本部に計上されておりました公共事業費のうち、農地の改良造成を目的とする食糧増産対策費につき御説明いたします。これは総額におきまして三百三十二億二千五百万円でありまして、前年の二百二十四億八千百万円に比し百七億四千四百万円の増加となつております。  このうち土地改良事業といたしまして、国営灌漑排水事業四十二億五千六百万円、土地改良事業補助六十八億七千三百万円等を含み百二十三億三千九百万円を計上いたしておりますが、新規事業といたしましては、経済効果の高い畑地灌漑施設を取上げております。さらに開拓事業として九十一億八千九百万円を計上いたしておりますが、このうちには開拓建設事業四十一億四千百万円、干拓関係二十一億六千七百万円、開拓事業補助二十五億三千四百万円があります。これに伴う新規入植は七千戸を予定いたしており、また干拓につきましては可及的重点主義をとり、潮どめによりただちに増産効果の上るものは工事の飛躍的促進をはかることといたしました。なお積雪寒冷單作地帶の振興をはかるため、土地改良及び開拓事業の促進に要する経費として四十億円を計上し、特に団体営の小規模土地改良事業を推進して農家経済の発展をはかることといたしました。また耕地を含む農業災害復旧の経費といたしまして百十六億九千六百万円を計上いたしまして、毎年累積して行く災害をなるべく短年度に終らせるよう考慮いたしました次第であります。  土地條件整備費の第二として、既存耕地の土壌改良事業につき御説明いたします。予算事項では耕土培養対策費として計上いたしておりますが、これは酸性土壌及び秋落ち水田に対してそれぞれ炭酸カルシユーム及び含鉄物資を施用いたすことによりまして、土壌を改良し食糧の増進をはかろうとするもので、このための経費として一億四千三百万円を計上いたしております。なお開拓地における酸土矯正には別途三億二千百万円を計上いたしております。  次に食糧増産費の第二として種苗対策でございますが、予算事項として主要食糧等種子対策費として要求いたしております。この経費は米麦、大豆等の原採種圃の設置補助、寒冷地帯の健苗育成のための保温折表苗しろ、温床苗しろに対する補助、災害に備える種馬鈴薯の予備貯蔵等の目的に供するものでありまして、八億七千八百万円を要求いたしております。  食糧増産対策の第三として植物防疫費につき御説明いたします。毎年病虫害による農作物被害は莫大なものがありますので、これを防除することにより食糧の減産を防止しようとするものでありまして、米麦等の種子消毒、病虫害異常発生時に無償交付する防除農薬の購入、防除農薬の購入補助、防除組織の整備及び異常発生に備える農薬の貯蔵保管費の補助等の経費を目的とし、十一億九千八百万円を要求いたしております。  第二に農業経営の改善のための経費について御説明いたします。その第一といたしまして有畜農業の確立でありますが、家畜の導入が農業経営を多角化し、農業経管を安定せしめることは言うまでもありません。そこで二十七年度から、三ケ年計画で五十万戸の農家に家畜を導入させることとして、さしあたり二十七年度には二十万戸の農家を導入目標とし、そのための必要資金約二十四億円の融資の便をはかり、これに対し五分の金利の補給を行うための経費として、九千二百万円を要求いたしております。  次に有畜営農の確立のためには、右の導入資金の確保とあわせて、飼料を確保することが最も緊要でありますので、このための経費として牧野の造成改良費として、五千八百万円、さらに飼料の優良品種の普及をはかるため、飼料の原採種圃を設けることとし、飼料作物種子対策費二千三百万円、自給飼料増産費一千九百万円を要求しております。  農業経営改善経費の第二としては養蚕振興対策であります。繭の販売代金が農家の現金収入の重要な源泉であることは論をまたないところでありまして、この意床から繭の生産原価を低下することは農家経済上非常に重要なことであります。これがため優良桑苗を確保し、確実に老朽桑園を改植するとともに、稚蚕共同飼育を奨励することとし、これに要する経費を養蚕振興対策費として一億四千三百万円要求いたしております。  なお積雪寒冷単作地帯における農業の振興をはかるため、前に述べた土地改良、開拓事業のほかに、農業経営の改善に要する費用としておおむね五億円を要求いたしました。  第三に農業改良普及のための経費につき御説明致します。その第一は農業改良普及員及び専門技術員の設置及び活動補助費であります。現在全国を通じまして一万七百九十三名の技術改良普及員、六百九十名の専門技術員が設置されておりますので、その活動費、給與費等のための経費として十億七千六百万円を要求いたしております。次に営農技術浸透費であります。これは、全国に百二十四箇所の営農試験地を設け、水田裏作の導入、畑地経営、及び秋落水田につぎ集中的に試験研究を行わせることとして、一千九百万円を要求いたしております。改良普及経費の第三としては、農村生活改善のための経費であります。農業の生産力を上げるためには、衣食住につき農村生活を改善することにより生産意欲の向上をはかることが必要でありまして、このため現在全国に六百九十名の生活改良普及員を設置いたしておりますが、二十七年度はこれを千二十二名に増員し、さらに新たに専門技術員を四十六名設置することとし、その設置費及び活動費として一億五百万円を要求いたしております。  技術改良のための経費の第四といたしましては、蚕糸技術の改良普及の経費一億八千八百万円がありまして、これは二十七年度から二千人から二千七百六十二人に増員することといたしました蚕糸技術普及員の設置補助のための経費であります。  第四に農業災害補償のための経費につき御説明いたします。さきに食糧増産の項で申し上げました通り、毎年病虫害の被害は相当に上つております。そこでこうした被害を受けた農家の再生産に支障のないように農業共済再保險特別会計を設置して、農家の共済保険につき再保険を実施し、保険料の一部を国で負担しておりますが、二十七年度はこれらに関する経費として百六億七千百万円を計上しております。このうち七十一億四千八百万円は特別会計へ繰入のための経費であり、その内訳は保険料の国庫負担分約六十億、家畜基金勘定へ繰入分三億、二十五年度末までの水稲不足金補填分七億一千七百万円であります。このほかおもなるものは共済事業事務負担分十八億、共済組合連合会支拂準備基金に対する出資十五億円等であります。  第五に農民自助組織の強化であります。農民自助組織としましは農業協同組合がありますが、設立後日残く、経済的な変動に耐える力がいまだ薄弱であります。そこで農業協同組合の指導監督に必要な経費及び農業協同組合の再建整備に必要な経費としてそれぞれ九千九百万円及び七億八千九百万円を要求しております。再建整備に必要な経費は主として再建整備法に基く増資奨励金及び固定化資産利子補給に充てる経費であります。  第六に、農業委員会の経費であります。都道府県及び市町村の農業委員会の委員及び書記の設置費及び事務費補助等として三十億千七百万円を計上いたしております。  第七に、農林金融の円滑化のための経費について御説明いたします。この目的のもとに農林漁業資金融通特別会計及び開拓者資金融通特別会計があり、それぞれ農林漁業の長中期資金及び開拓者の営農資金を融通いたしております。二十七年度予算においては、農林漁業資金融通特別会計に対しては六十億七百万円を繰入れることとし、このほか見返り資金から三十億、資金運用部資金から百十億を借り入れ、合計二百億円の貸付資金を確保いたしております。  次に開拓資金融通特別会計につきましては十六億五千百万円を繰入れることとし、二十五、六、七年度の入植者に対する営農資金、十二億六千百万円、共同施設費五千二百万円、二十三年度入植者の営農促進費二億千七百万円の貸付資金を確保いたしました。なお開拓者につきましては別に開拓者信用基金に必要な経費として一億円を計上し、入植後三年以上の開拓者等の短期営農資金の融通を容易ならしめることといたしました。金融につき最後に申し上げたいことは農地担保金融であります。農地改革の結果、農地に担保力がなく、営農資金の調達に困難を感じておりますので、自作農創設特別措置特別会計において、国を相手とする農地の強制讓渡の方式による融資を件うこととし、約一万七千町歩買上費八億五千万円を用意いたしております。  第八に林産振興対策のための経費であります。このうち最初に説明いたしたいのは、従来経済安定本部所管に計上されておりました旧公共事業関係経費であります。二十七年度は山林事業総額で九十五億八千六百万円であり、前年度の九十億九千九百万円に比し四億八千七百万円の増加となつております。この経費の第一は治山事業でありますが、天然災害の激増に対処いたしまして水源地帶の荒廃を除去し、流域保全に努めるため四十二億九千六百万円を計上いたしております。このうちには従来災害復旧費で支弁いたしました過年度の崩壊地の復旧事業経費をも含めております。この経費の第二は、造林事業でありますが、伐採跡地や従来の無立木地の蓄積補充のための造林事業及び新規事業である樹苗養成、瘠惡林地改良事業の経費として二十六億八千万円を計上いたしました。第三は林道事業であります。里山の過伐を軽減し、森林造成に主力を傾注するため奥地開発に重点を置く林道網を整備する経費として十九億八千八百万円を要求いたしております。第四に災害復旧費として林道山地施設の災害の復旧費五億七千四百万円等があります。なお二十六年度まで公共事業費で見ておりました公有林野宮行造林費、及び国有林野の治山事業質は国有林野事業特別会計に計上することになりましたので、二十七年度同会計においてこれらの目的のために支出された経費九億六千二百万円を考慮に入れますと、総計十四億四千九百万円の増加と相なるのであります。林業振興対策の第二といたしましては、民有林森林計画に必要な経費であります。昨年八月新森林法の施行を見ましたが、改正法による森林施業の合理化、伐採の調整等の基本となる森林計画の樹立に必要な経費として三億四千三百万円を要求いたしております。第三に優良種苗の確保に必要な経費であります。造林事業を推進するためには優良種苗の確保が緊要であることは言うまでもありませんが、そのため優良母樹の毬果を採取するための経費として二千三百万円を要求いたしております。このほか前述の山林事業費中県営苗園補助五千九百万円を要求しております。  第四に森林病害虫の防除について御説明いたします。森林の病害虫にる被害は年々莫大なものがあり、戰後急迫したわが国森林資源をさらに枯渇させているのであります。そこでこの病害虫の防除のための経費として二億四千六百万円を要求し、防除態勢の完璧を期している次第であります。  第九に、水産振興対策のための経費について御説明いたします。戰後わが国の漁撈区域が制限されましたため濫獲を招来し、水産資源の枯渇を来しておりますので、水産資源の維持培養対策を強力に推進するとともに、漁業制度改革の成果の維持擴充、漁業協同組合の育成強化等、漁業経営基盤の整備をはかることが肝要であります。そこでまず第一に、戰前に比べて最も増加量の著しい小型底びき網漁業の減船整理を行うこととし、前年度に引続き千二百十隻の底びき網漁船を整理することとして、そのための必要な経費三億二千三百万円を要求いたしております。第二に、積極的に水産資源の培養を行うこととし、内水面の養殖魚の種苗確保、浅海養殖等に必要な経費を一億三千七百万円要求いたしております。第三に、制限海域における操業及び無許可船の取締りに要する経費として小型底びき網、漁業取締り、沖合い漁業取締り及び遠洋漁業取締りのための造船、用船及び乗組員の給與活動等の経費を四億八千五百万円一計上いたしております。第四に、漁船保險実施に必要な経費であります。後に特別会計の項で申し述べますが、二十トン未満の漁船につき、二十七年度から当然加入制をとることとし、新たにその保險料の二分の一、及び事務費を国庫で負担することになつたため、これに要する経費、並びに拿捕及び抑留を事故とする特別保險の損失補填等に必要な経費として、三億一千二百万円を要求いたしております。そのほか水産振興対策のための経費としては水産業協同組合に必要な経費七百万円、協同組合の再建整備に必要な経費一億一千二百万円、漁業災害復旧融資に必要な経費三千万円があります。  さらに北太平洋漁業條約締結に伴い、同條約実施に必要な経費として漁船の用船費等二百万円を要求いたしております。  水産振興対策経費として最後に御説明いたしたいのは、従来経済安定本部に掲上されていた水産関係旧公共事業関係費三十二億一千五百万円であります。これは前年度予算の十七億五千八百万円に比し、十四億五千七百万円増のうち漁港修築費は十七億四百万円でありますが、新規着工地区の増加及び北海道漁港の一部の直轄事業への切りかえ等によりまして、前年度に比して増加を来しておるのであります。魚田開発費は四千八百万円であります。また漁港災害復旧費は十三億四千万円があり、前年の四億九百万円に比べると九億三千百万円の増加となつております。この増加は二十六年三月末施行になりました公共土木災害復旧事業費国庫負担の法律による十六、七年度の義務負担額によるものであります。以上をもつて一般会計の説明を終ります。  次に特別会計について御説明いたします。第一に食糧管理特別会計について御説明いたします。十七年度予算は、一、米については一応統制を経続する。二、麦及び砂糖については二十七年四月から統制を廃止するが、麦については生産者の要望により買付を行う。三、食糧の買入数量国内産米二千八百十五万石、麦七百八十七玄米石、外国食糧は三百五十一万七千トンを予定し、国内産食糧の買入れ価格はパリテイ二五五を想定し、米は七千二百十四円、麦は一俵当大麦一千百二十五円、裸麦一千九百七十七円、小麦一千八百三十四円とする。四、消費者価格は、米について二十八年三月末まで現在の価格を維持し、麦については入札制等により売渡しを行うこととする。五、早場米奨励金は三十億とする。六、価格差追拂金は十七億三千四百万円とする。七、インヴエントリー・ファイナンスは行わない。以上の方針のもとに歳入歳出とも五千八百七億九百万円を計上いたしました。  第二に農業共済再保險特別会計について申し上げます。まず基金勘定においては家畜勘定に対する基金三億円を一般会計から繰入れました。次に農業勘定は歳入歳出百五億九千二百万円でありまして、前年度八十四億七千七百万円に比し二十一億一千五百万円の増加であります。この増加のおもなるものはパリテイの上昇による共済金額の増加と水稲共済掛金率の変更による国庫負担の増加のほかに二十五年度末の水稲不足額の補填を含むものであります。家畜勘定は十九億八百万円でありまして、前年度十七億八千五百万円に比し一億千三百万円の増加であり、一般会計から保險料国庫負担分として四億千九百万円を繰入れております。  第三に森林火災保險特別会計について申し上げます。この会計の歳入歳出は、ともに一億一千四百万円でありまして、前年度の七千八百万円に比し三千六百万円の増加となつております。この増加のおもなるものは新規事業として林齢二十一年以上の林木を保險対象といたしたこと、及び二十年生以下の林木の契約面積の増加によるものであります。なお保險料率の適用につき改正を加え全国を危險率により等級別に改めました。  第四に漁船再保險特別会計につき申し上げます。前年は勘定区分はなく、歳入歳出で三億六千三百万円でありましたが、十七年度より三つの勘定にわかれて、まず普通保險勘定は歳入歳出四億七千八百万円、特殊保險勘定は億百万円、業務勘定は一千七百万円をそれぞれ計上いたしております。特に申し上げたいことは、第一従来任意加入の二十トン未満の漁船を当然加入とし、保險料の二分の一を国庫負担としたことと、第二に特殊保險について料率を改正したこと、及び十六年度中の赤字補填を行つたことであります。右により一般会計より一億八千八万円の繰入れを行つております。  第五は自作農創設特別措置特別会計について申し上げます。二十七年度においては、一、未墾地三万町歩、既墾地一万一千町歩を買い上げる。二、売渡し面積は二十万六千町歩とする。三、右のほかさきに一般会計の項で御説明した通り、本特別会計の余裕金により一万七千町歩を買い入れて農地担保金融にかかる機能を行わせる。右の方針に基き予算を編成いたし歳入歳出とも十三億七千五百万円を計上いたしました。  第六に開拓者資金融通特別会計について申し上げます。この会計の歳入歳出は十七億九千百万円でありまして、前年の十六億六千五百万円に比し一億二千六百万円の増加であります。これは二十五年度以降の入植者に対する営農資金と共同施設資金及び経済変動の影響を最もはげしく受けた二十三年度入植者の営農促進のための家畜導入資金の貸付を目的とするものでありまして、パリテイの上昇を考慮に入れて計上いたしております。  第七に国有林野特別会計の歳入歳出は二百六十億二千五百万円でありまして、前年の二百四億六千五百万円に比べまして五十五億六千万円の増加となつております。この増加を見ましたのは木材価格の高騰と事業資の上昇によるものであります。なお本年度は林造等の生産施設の擴充をはかり、従来公共事業資で見ていました治山事業費及び公有林官行造林事業費を本会計において支弁することとした次第であります。  第八に国営競馬特別会計について申上げます。まず投票券勘定の歳入歳出は九十八億二千百万円で、前年の七十九億八千三百万円に比べまして、開催回数の増加によりまして十八億三千八百万円の増加をはかつた次第であります。業務勘定は歳入歳出二十七億七千万円で、このうちには益金として一般会計へ繰入分十三億五千八百万円を含んでおり、この益金は前年に比べて約四億の増加となつております。  第九に農林漁業資金融通特別会計は歳入歳出ともに二百十三億四千三百万円でありまして、前年の百二十二億九千七百万円に比べまして九十億四千六百万円の増加となつております。貸付財源といたしましては、二十七年度は一般会計より六十億を受け入れ、見返資金特別会計から三十億、資金運用部から百十億を借り入れることといたしまして合計二百億円を予定しております。  最後に糸価安定特別会計は三十億六千八百万円を歳入歳出に計上いたしております。生糸の買入れ及び売渡し価格については、糸価安定審議会の議を経て決定いたすことになつておりますが、本年度予算におきましては一万二千俵、買入れ二万俵を予定いたしております。以上をもつて私の説明を終ります。
  216. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 政務次官の説明を最も敬意をもつて伺いましたが、先ほど申し上げたように、農林大臣はお見えになるのですかならぬのですか。お見えにならぬならば、審議は明その出席を得てやることが、予算委員会の権威において、私はもつともと思います。
  217. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 お答えいたします。農林大臣は本日やむを得ざる用事がありまして出席になれないそうでございます。なお明日も御出席ができないということでございます。  ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  218. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 速記を始めて……。  それでは暫時このまま休憩します。     午後四時四十分休憩      ————◇—————     午後五時四分開議
  219. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査 休憩前に引続き会議を開きます。  本日は都合によりまして、この程度で散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。     午後五時五分散会