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1952-02-21 第13回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十一日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席分科員    主査 淺利 三朗君       江崎 真澄君    尾崎 末吉君       大泉 寛三君    上林山榮吉君       中村 幸八君    兼務 川島 金次君 兼務 小峯 柳多君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君         郵 政 大 臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     辻  章男君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      荒木茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         航空庁長官   大庭 哲夫君         郵政政務次官  寺本  齋君         郵政事務官         (経理局長)  中村 俊一君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      佐方 信博君         電気通信政務次         官       平井 太郎君         建設政務次官  塚原 俊郎君  分科員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         事         (施設局長)  立花 次郎君         予算委員会専門         員       小竹 豊治君 二月二十一日  第一分科所属員川島金次君が本分科兼務なつ  た。 同日  第四分科所属員小峯柳多君が本分科兼務なつ  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算運輸省郵政省、  電気通信省及び建設省所管  昭和二十七年度特別会計予算郵政省電気通  信省及び建設省所管  昭和二十七年度政府関係機関予算運輸省及び  建設省所管     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和二十七年度一般会計予算昭和二十七年度特別会計予算及び昭和二十七年度政府関係機関予算中、運輸省所管郵政省所管電気通信省所管及び建設省所管一括議題といたします。  まず建設省所管について政府説明を求めます。建設政務次官塚原俊郎君。
  3. 塚原俊郎

    塚原政府委員 二十七年度建設省所管歳入歳出予算概要を御説明いたします。まず一般会計歳入について申し上げます。建設省昭和二十七年度歳入予算額は約四十二億二百万円でありますが、そのうち直轄工事地方分担金は約四十一億円になつております。  一般会計歳出は、建設省に計上いたしました金額が約六百六十億三千万円でありますが、北海道開発庁に計上されている建設省関係事業費が約五十二億七千四百万円でありますので、合計七百十三億一千万円であります。これを前年度予算補正五百七十一億三千九百万円と比較いたしますと、百四十一億七千百万円の増額となります。当初予算五百六十七億七千三百万円と比較いたしますと、百四十五億三千七百万円の増額となります。従来行政部費として計上せられた分のおもなるものについて申し上げますと、約三十八億四千六百万円でありまして、前年度に比し約二億二千六百万円の増額なつております。この事務的経費内訳のおもなるものについて申し上げますと、重要なものとしましては、高速自動車道路調査経費が二千万円、防火建築帯造成経費が二億円あります。そのほか、二十六年度に行われたベースアップが平年化されたための人件費等増額であります。官庁営繕費等につきましては総額約十二億六千四百万円でありますが、前年度に比し約二億一千万円の減額なつております。  次に従来公共事業費と称せられた経費について申し上げます。河川事業費が百六十七億六千九百万円でありまして、うち北海道十八億六千八百万円で、前年度に比し二十億七千二百万円の増加になり、うち北海道一億八千六百万円の増加なつております。鬼怒川ほか三河川総合開発事業費十九億七千八百万円でありまして、うち北海道五億円で、前年度に比し五億八千七百万円の増加になり、うち北海道二億七百万円の増加なつておりまして国が直轄施行する総合開発事業として堰堤築造継続事業を行うため、本年度別事項として計上したものであります。砂防事業費四十億千六百万円でありまして、うち北海道四千万円で、前年度に比し五億八千七百万円の増加になり、うち北海道千五百万円の増加なつております。道路事業費八十六億二千五百万円でありまして、うち北海道二十億九千三百万円で前年度に比し十八億六千百万円の増加になり、うち北海道五億一千九百万円の増加なつております。都市計画事業費四十億九千三百万円でありまして、うち北海道三千九百万円で、前年度に比し九億一千八百万円の増加になり、うち北海道一千四百万円の増加なつております。住宅施設費五十億でありまして、うち北海道二億八千七百万円で、前年度に比し六億五百万円の増加になり、うち北海道八千六百万円の増加なつております。建設機械整備費十七億四千万円でありまして、うち北海道四億四千七百万円で、前年度に比し五億三千七百万円の増加になり、うち北海道三億七百万円の増加なつております。河川災害復旧事業費二百四十一億三千七百万円で、前年庭に比し五十八億八千九百万円の増加なつております。都市災害復旧事業費二億三千六百万円で、前年度に比し一千百万円の増加なつております。住宅施設災害復旧事業費八億七千万円で、前年度に比し八億七千万円の増加なつております。  以上事業費総額は、六百七十四億六千四百万円となりまして、うち北海道五十二億七千四百万円で、前年度に比し百三十九億三千七百万円の増加になり、うち北海道十三億三千四百万円の増加なつております。なおこのほかに特定道路整備事業特別会計がありまして、資金運用部特別会計より十五億円借入れ、有料道路整備運用を行うものであります。  以上が昭和二十七年度建設省関係歳入歳出概要であります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 淺利三朗

    淺利主査 次に電気通信省所管につきまして説明を求めます。電気通信政務次官平井太郎君。
  5. 平井太郎

    平井(太)政府委員 ただいまより昭和二十七年度電気通信事業特別会計歳入歳出予算概要を御説明申し上げます。  昭和二十七年度電気通信事業特別会計歳入歳出予算は、歳入歳出ともに八百七十三億円余でありまして、前年度に比べて八十八億円余の増加なつております。  まず歳入について申しますと、事業収入六百九十六億円余、資本収入百七十四億円余、雑益二億円余、計八百七十三億円余であります。事業収入内訳を申しますと、電信収入百二十二億円余、電話収入五百五十億円余、工事収入十一億円余、雑収入十三億円余であります。事業収入合計を前年度五百七十九億円余と比べますと、百十七億円余の増加なつております。資本収入内訳を申しますと、借入金百三十五億円、設備負担金三十九億円余でありまして、前年度と比べますと借入金において二十五億円の減少設備負担金において六千八百万円余の増加なつております。雑益は二億円余でありまして、前年度七億円に比べ四億円余の減少であります。  次に歳出について申しますと、事業費五百八十億円余、建設改良工事費二百七十七億円余、公債または借入金償還金九千六百万円余、電話設備負担金還付金五百万円余、予備費十五億円、計八百七十三億円余であります。事業費損益勘定支出六百九十五億円余より減価償却費予備費とを差引きました五百六十億円余と、建設勘定俸給事務費三十四億円余との合計を計上したものであります。ここで損益勘定支出六百九十五億円余の内訳を申しますと、一、電信電話運用に要する経費百六十一億円余、二、電信電話保守に要する経費百六十億円余、三、特別保守に要する経費十四億円余、四、建物工作物維持に要する経費十一億円余、五、共通事務に要する経費四十二億円余、六、電気通信従業員の訓練に要する経費四億円余、七、電気通信研究所維持に要する経費七億円余、八、医療施設維持に要する経費八億円余、九、引込線工事に要する経費七億円余、十、増設電話工事の受託に要する経費九億円余、十一、電信電話業務委託に要する経費八十三億円余、十二「利子及び債券取扱費に要する経費二十七億円余、十三、恩給負担金及び失業退職手当負担金四億円余、十四、電気通信施設減価償却に要する経費百三十五億円余、十五予備費十五億円余となりまして、前年度損益勘定支出合計五百八十六億円余に比べて、百九億円余の増加なつております。  この経費をもつて昭和二十六年度予定施設開通電話加入百三十四万余、増設電話機六十三万余、市外電話回線百二万キロ等と、二十七年度拡張予定開通加入電話十万余、増設電話機七万余、市外電話回線九万キロ等の維持運営を行う計画でありまして、取扱う業務量の主なるものについて見ますと、発信有料内国電報通数は九千五百万通余で、前年度に比べ二百万通余の増加発信市外通話度数は三億八千万度余で、前年度に比べ二千八百万度余の増加となる見込みであります。サービス基準も速度並びに品質において漸次改善をし得る予定であります。  次に建設改良工事費は、建設勘定支出工事費二百七十七億円余を計上したものでありまして、前年度に比較し二十六億円余の増加であります。前に述べました俸給事務費三十四億円余を合せまして、建設勘定支出は三百十二億円余となり、この経費電話加入十万七千加入増設電話七万七千個、市外電話回線九万キロを主要工程とする拡張改良工事計画しております。  予備費は前年度は十億円を計上してありますが、二十七年度は最近数年間の実績にかんがみまして、災害復旧の万全を期するため、物価値上りをも考慮して十五億円を計上した次第であります。  定員について説明をいたしますと、損益勘定所属十二万九千人余、建設勘定所属一万七千人余、貯蔵品割掛費勘定所属二千人余、工作勘定所属二千人余、計十五万一千人余であります。前年度十四万八千人余と比較しまして二千人余の増員でありますが、これは損益勘定事業増に伴う増員六千人余と、二十七年度における行政整理に伴う各勘定の減員四千人余の差額になるわけであります。  以上申し上げた通りであります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御協賛くださるようお願い申し上げます。
  6. 淺利三朗

    淺利主査 これより質疑に入ります。四省所管を一括して質疑を行うことにいたします。ただいま出席政府委員は、郵政省並びに電気通信省関係の諸君であります。質疑通告がありますから、通告順にこれを許します。尾崎末吉君。
  7. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 まず郵政省から御質問申し上げます。郵政省関係歳入のことは昨日大体お伺いしたのでありますが、歳入歳出予定額対照表によつて若干御質問申し上げます。歳入の中で、二枚目の二十七年度病院等収入予定額が三億一千二百四十八万五千円であるのと、二十六年度予算が二億六千三百九十四万四千円、こういうことになつております。その増額いたしました理由として薬治料等単価の一点五円を六円に改定したためと説明いたしておるのでありますが、治療を受ける患者の数は、二十六年度と二十七年度との間にどのくらいの増減をお見込みなつておるのか、大体同数にごらんになつておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  8. 佐方信博

    佐方政府委員 患者の数の見方は、前年度と大体同数でございます。外来患者は年間二十四万人増を予定しております。
  9. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 いわゆる厚生施設なりその他改善をすべき点をだんだん推進いたして参られますと、医療を受ける患者の数は相当少くなつて行くのが当然だと思うのでありますが、この予算から考えてみますと、一方健康増進に関する新しい何らかの御計画がないように思われるのであります。そういう方面に対しての何か参考になることでもあれば伺つておきたいと思います。
  10. 佐方信博

    佐方政府委員 ただいまやつておりますのは、新しく採用いたしますときに精密検査をしております。すでに入つている人に対しましては年に一回定期検査をする、そういうことをやつております。
  11. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体入るときと入つておる人とに対する検診をおやりになるということでありますが、これは今までの実績から申しますと、毎年大体同じくらいの程度で出ているのですが、医療を受ける患者の数に対する資料か何かありませんか。
  12. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 御承知のように従業員の数は、郵政省電通省と合せて約四十万でございますが、この病院は、二省分割の当時両者に財産わけをいたしまして、大体半分ずつわけたのでございます。しかしこれを利用いたします者は、それぞれ電通病院郵政職員も利用する、また郵政病院電通職員あるいはその家族が利用するということになつておりますので、両省分割いたしましても大体利用者は年々かわりません。そういうことになつております。
  13. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 これは職員家族に対する医療費等もここに入つておりますか。
  14. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 従業員及びその家族であります。
  15. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。その次のページに移りまして、歳出の点であります。表の上から三番目、扶養手当の中で、二十六年度よりも二十七年度は五千七百七十九万七千円少くなつておるようでありますが、このあと説明によりますと、「扶養手当減少正誤の為である。」と註釈を加えております。この正誤というのはどういう意味ですか、それを説明していただきたい。
  16. 佐方信博

    佐方政府委員 二十六年度予算におきまして少し残が出ております。それを用いるのであります。
  17. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 二十六年度の残があつた、これを利用するというのですね。そうするとこれは正誤ではなく、説明の仕方をかえなければいかぬじやないですか。
  18. 佐方信博

    佐方政府委員 人件費につきましては大体現在の支出というものを基礎にしてやつておりますので、そういう正しい姿に返して行つた、こういうふうに御了承を願います。
  19. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。これはあと文句を訂正しておかないと、正誤という文句では決算の際に通らぬということを御注意申し上げておきます。  それから同じ表の下から四番目、超過勤務手当というのが二十六年度と比較をいたしますと、四億三百四十一万五千円ふえておるようでありますが、ふえた理由は「職員給与同様給与単価改定によるものである。」となつております。ここで伺つておきたいのは、二十六年度と二十七年度と大体同じくらいの超過勤務時間数でありますが、大体同じぐらいでよろしいというお考えであるのか。またもしそこでおわりになつていたら、二十六年度超過勤務延べ時間を伺いたいと思いますが、わかつていなければこれはあとでもけつこうです。
  20. 佐方信博

    佐方政府委員 ふえておりますのは、前年度ベースアップが十月からでございまして、ことしは全年になりますから当然ふえております。それから勤務時間につきましては、あとで調べてお答え申し上げます。
  21. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体毎月の平均超過勤務時間数は、前年度と同じように見積つておるのでありますか。
  22. 佐方信博

    佐方政府委員 まつたく同じように見積つております。
  23. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その次に諸手当として五億六百四十五万八千円計上してあります。これは前年度の八億三千八百六十六万円と比較いたしますと、相当減額をされておるようでありますが、その理由はどこにありますか。
  24. 佐方信博

    佐方政府委員 一枚おめくり願つてごらんいただきたいのでありますが、上から二番目に退官退職手当というのがありますが、御承知のように行政整理は二十六年度と二十七年度にわたつて半数ずつやり、二十六年にやめた人に対しましては八割増になつております。そういうことで、退官退職手当が二億七千万減つておるということが、その諸手当減少の一番大きな原因なつておるわけでございます。
  25. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。そこで次をめくりまして、報償費という項目がありますが、この報償費内訳はどういうものですか。
  26. 佐方信博

    佐方政府委員 いろいろなものがございますが、たとえば三十年勤続した人に対してごほうびの品物をやるとか、あるいは簡易保険の募集の成績が非常によろしかつた人に対して報償品物をやるとか、そういうものを含んでおります。
  27. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 これは主として現業官庁である性質上、ただいま御説明なつたことはよくわかりますが、成績を上げて行くためにはそうした性質報償はできるだけたくさんなさつ方が、成績に大いに関係があろうかと思いますが、二十六年度よりも二十七年度は相当減額されておるようであります。金額で申しますと一千万円にすぎませんが、減額された理由はどこにあるのでしようか。
  28. 佐方信博

    佐方政府委員 主として保険関係経費におきまして、前年より一千万円ほど落ちております。
  29. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その項目の次の次に赴任旅費というのが出ておりますが、これは異動その他による旅費だろうと思いますが、これは数においては前年度と同じくらいでしようか。この数字から見ますと、物価その他の値上りによる点を考慮されて、若干ふやしたという程度にしか見えないのですが、異動赴任等は大体前年度と同じくらいな御計画でしようか。
  30. 佐方信博

    佐方政府委員 実はこれは各省全部統一しました単価で大蔵省が示しておりますが、実態的には前年とかわらないという見当で出しております。
  31. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 やむを得ない大きな異動をやらなければいけないような場合があつて、相当予定よりも開きが出て来た場合の処置はどうなさつておりますか。
  32. 佐方信博

    佐方政府委員 旅費使用につきましては、かねて各省とも非常に節約するようなやり方をしておりますので、何とかこの範囲でまかなつて行けるだろう。なお行政整理跡処理につきましては、二十七年度は大体当初にありまして、年度末に押し迫つてからではありませんので、何とかやつて行けるのじやないかというつもりであります。
  33. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に特別旅費特定旅費とありますが、特別と特定の違いはどういうのですか。
  34. 佐方信博

    佐方政府委員 特定旅費と申しますのは、わかりにくいようでありますが、鉄道郵便の係員が車内で作業して、別なところに行つてつて来るということをやつておりますが、普通の官吏の旅費ではなくて、法規上一定の金額をきめて支給する旅費であります。特別旅費というのは、いろいろな事項をつけてとつておる経費でありまして、具体的に申しますと、郵便関係であれば線路をつくるために必要な経費でありますとか、あるいは特殊のそろばんの競技会の選挙を集める経費でありますとか、そういう個々の項目を立てまして、審議を受けてとつた経費でございます。
  35. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点につきましては、あとで重ねて大臣または政務次官にお尋ねすることにしまして、次に移ります。  需品費でありますが、この需品費が二十六年度において百四十一億七千七百万、二十七年度においては百五十六億三千六百万、そのふえたのが十四億五千九百万というように、ふえたパーセントがほかのものから比較して、需品費だけが飛躍的に大きなくつておるようでありますが、これはどういう原因によるのでありますか。
  36. 佐方信博

    佐方政府委員 この需品費の一番ふえているのは、集配運送費においての十四億二千万円余でございます。これは主として運輸省に払うところの郵便車使用料とか、託送しておるところの郵便車使用料、または自動車使用料、そういうものがふえておるわけであります。
  37. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 鉄道料金値上げの率とにらみ合せて、これをおつくりになつたものですか。
  38. 佐方信博

    佐方政府委員 今度上げようとする値段は、今度の鉄道一般原価計算経費数字よりも多少上つております。今まではあまり金がありませんでしたから、安くしておりましたが、今度は実際的には、値上げ率からいうと二倍近い程度なつているわけであります。
  39. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今まで非常にやりくりなさつた御苦心の跡はわかるのでありますが、今までどういうやり方やりくりなさつておられたのですか。
  40. 佐方信博

    佐方政府委員 これは実際は鉄道でつくつておりますところの原価計算経費運輸審議会できめまして、それをこつちにお示しになるのでありますが、郵政省全体が補給金をもらつておりまして苦しかつたものですから、原価計算の中に、これだけは郵便車にはない経費じやないかというようなこまかい点をお話して、できるだけ安く運ばしてもらうようにしていただいております。
  41. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 これは結局やりくりをして安くしておるので、その努力は非常に多としなればなりませんが、そういうやり方で行きますと、そこにいろいろな問題が生じて来るのじやないかということをおそれるのでありますが、この際そういう点をはつきりしておくように希望しておきます。  次のページ移つて、先ほどちよつと御質問した医療費の問題でありますが、医療費が二十六年度においては四億五千八百万余り、二十七年度においては五億二百万余り、こういうことになつておりますが、先ほど冒頭の歳入の面において質問しましたように、これはやはり医療施設増加とか、薬価上つたとか、そういう点だけを勘案してこれをおあげになつたのですか。
  42. 佐方信博

    佐方政府委員 その通りであります。主として薬価値上げによるものでございます。
  43. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その次のページに移りまして、上から四行目の工作費、これが二十六年度においては一億四百万余り、二十七年度においては一億四千六百万、これも先ほど申しましたように他のものから比較すると、その増加傘が非常に多いようでありますが、その原因がどこにあるかを伺いたいのであります。
  44. 佐方信博

    佐方政府委員 修繕いたしますところのいろいろな材料費値上げをカバーしますために見たものでございます。
  45. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 材料費とかあるいはその工賃とかいうものの値上りパーセントと、これは相当違う。と申しますのは、非常に多く見積られているような気がしますが、その点はどうですか。
  46. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 お答えいたします。それは修繕いたします材料の値りとか工賃とかいうものはもちろんでございますが、それ以外に、これは予算の建前上、工作費のところにその仕事に従事しております人件費一切がこの中でまかなわれる、こういう関係で、べース・アツプ及びベース・アツプに伴ういろいろな付属の値上ういうものが同時に入つておりますので、材料賃物品値上りだけではございません。
  47. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今の御答弁によりますと、結局この工作費の中には材料や賃金だけでなく、それに必要なる臨時に雇つたりしたところの人件費が入つている、こういうふうに了承してよろしいのですか。
  48. 佐方信博

    佐方政府委員 臨時雇つた者はもちろんでございますが、そのほかの常用の人の給料といつたようなものも全部入つております。
  49. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。そこで一番下の合計の上の減価償却費でありますが、これは二十六年度におきまして六億四千五百万余り、二十七年度におきまして一躍十一億四千二百万と急にふえているのですが、この減価償却費を急にふやされた理由はどこにあるのですか。
  50. 佐方信博

    佐方政府委員 これは結局二十六年末の数字によりまして、現在の時価と合せていわゆる再評価をし直したということになつております。
  51. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 先刻の御説の通りに、この点におきましても昨年度までは減価償却の方もまだ考えなければいけない状態ではあつたが、要するに予算が足りないから、昨年までは小さくしておいた、こういうことであつたが、二十七年度歳入の方も相当ふえるから、減価償却の方もふやした、こういうことになるわけですか。
  52. 佐方信博

    佐方政府委員 そういうわけではございません。この点では別に値切つたわけでは全然ございません。結局損益勘定減価償却経費を出しておりますが、それが官庁会計では当該年度建設勘定の財源に入つているようなかつこうになつておりますので、この際現実の建物を建てますのにはつきりしたものにした方がいいのじやないかということで、あらためて今度やつたのであります。別に特に値切つたということではないのでございます。
  53. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。一番終りのページに局舎建設に必要な経費といたしまして二十五億九千百万円ほどが計上せられております。ところが前年度が十三億千三百万円でありますので、これは一躍二倍にふえているわけですが、その理由はどこにあるのですか。
  54. 佐方信博

    佐方政府委員 前年度におきましては御承知のようにすべての物件費につきましても人件費につきましても、補正予算を組んだわけでございますが、建設勘定だけは前年度財源の関係上、補正予算を組んでおりません。それでこれだけの経費を計上いたしますことによつて、前年度予算の当初に考えられましたところの計画と、ほぼ同程度のものがやつて行けることになるわけであります。
  55. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体歳入歳出についての疑問の点を御質問申し上げるのはこの程度にしまして、ここで伺つておきたいと思いますのは、郵政省従業員の労働組合の中に、専従職員は現在何人くらいおりますか。
  56. 佐方信博

    佐方政府委員 人事担当の者が来ておりませんので、あとで調べてお答え申し上げます。
  57. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 人事担当の者がいらつしやらなければ、おわかりにならぬのは当然だと思います。それではここで政務次官に御質問申し上げておきますが、私は前に労働委員を長くいたしました関係上、労働問題に関しては相当研究をしておるつもりでありますが、結局今御質問申し上げた趣意は、こういうことなんでありますから、御答弁願いたいのであります。最近組合というものが非常に穏健になりつつあることは喜ぶべきことでありますが、いわゆる専従職員が、組合のために出張したりまたは会議等のために出かけて行つたりする際に、公務の出張と組合運動のために行くものとが一緒にされるというような点がありはしないか。もつと詳しく申し上げますと、旅費等の名目によつて、そういうものが支出されるようなことはないのかどうか、この点について伺つておきたいのであります。
  58. 寺本齋

    ○寺本政府委員 組合の専従職員が組合の会議その他のことで出かけて行く場合に、公務の出張旅費を使うということは全然ございません。
  59. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 むろん建前としてはそうなければならないわけでありますが、公務として出張するものといわゆる組合運動のために出かけて行くものとの区別を、どういう点で見わけることになつておりますか。その点おわかりだつたらお答え願いたい。
  60. 寺本齋

    ○寺本政府委員 組合の専従職員は、いわゆる組合の専従職員でありまして、郵政省の事務を分担しておりません。従つて公務のために出張するようなことはありませんので、組合のために出張するか公務のために出張するかということは、そこで判定しております。
  61. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 さつきお答えになりましたように、専従職員の数をお知らせ願つたあとで、この点についてはもう一ぺん御質問いたすことにして、この問題については保留しておきます。それから大臣は見えておりますが。
  62. 淺利三朗

    淺利主査 郵政大臣は午後見えるそうです。
  63. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それでは昨日来御質問申し上げたことに基いて、二、三大きな問題についての御質問を申し上げてみたいと思うのでありますが、大臣がお見えになるまでその点を保留いたしまして。見えになりましたらすぐ発言をお許し願いたいということを希望いたしまして、他の方に譲ります。
  64. 淺利三朗

    淺利主査 小峯予算委員より発言を求められております。この際これを許します。小峯柳多君。
  65. 小峯柳多

    小峯委員 私は国鉄の総裁にお伺いいたします。非常にローカルな問題になつて恐縮なんですが、私の郷里に非常に関係のある信越線の問題を少し伺つてみたいと思います。これは御承知のようになかなか古い歴史のある線で、特にその中にはアブト式というような、もうそろそろ博物館へ入れてもいいのじやないかと思われるようなものを今でも残しております。この信越線の輸送力の問題は、震災のときもなかなかよく働いております。しばしば上越線が崩壊したりするようなことがありましても、この信越線だけは常に命脈を保つて、その存在価値を発揮しておる、地元ではこういうふうにうぬぼれておりますが、国鉄はこの信越線の輸送力増強というか、あるいは近代化というか、そういうことに関して何かお考えになつておりますか、お伺いいたしたい。
  66. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 お答えいたします。信越本線というのは仰せの通り非常に古い線で、上越線ができますまでの間は非常なる働きをしたことは申すまでもないのであります。今日上越線が開通してみますと、補助線的な面もあり、しかしながらやはり、御承知のように金沢あるいは大阪方面への急行等をも動かしたこともあり、今日でも普通列車を動かしておるという意味で、信越本線はいわゆる本線でございますから、決して軽視しておるわけではありませんが、何しろ勾配その他の関係で十分な輸送力の発揮ができないのでございます。これを全面的に改良することも考えられるのですけれども、しかしながら今日の財政状態においてはなかなか急速には参らない、こういうふうな状況でございます。
  67. 小峯柳多

    小峯委員 それでは上越線ができてから、補助線だという認定で必ずしもやつているのではなくて、財政上の理由からなかなか手がつかぬというふうに承知してよろしいですか。
  68. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 さようでございます。
  69. 小峯柳多

    小峯委員 今勾配のお話が出ましたが、なるほど非常に勾配がきつくてそのためにいろいろ支障があります。しかし今あなたのおつしやつたように、私は上越線がありましても、これは本州を縦貫する鉄道としての使命というものが相当重いと思うのであります。ことに日本海を控えて、あるいはまたいろいろな意味で、この鉄道に対する保護策というものも、独立後あらためて考え直さなければならぬような事態になるのではないかと私はしろうと考えをしているわけですが、あの勾配をとつて、言いかえますとアブト式を改装するという計画は、すぐという意味ではないが、お持合せではありまんか。何かそういうことを御研究でもなさつていらつしやいますか。
  70. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 アブト式をとりまして、輸送力を増強させようというようなことを考えたこともございます。しかしながら先ほど申し上げましたように、何しろ今日の財政の状態ではそう早急に撤廃して、そうして普通の鉄道を建設するということはなかなかむずかしいと思います。
  71. 小峯柳多

    小峯委員 小さい問題のようで恐縮ですが、あなたは鉄道のはえぬきでよく知つていると思うからお伺いをしたいと思うのです。あのトンネルを迂回して、ループ線にして勾配を直すというふうなことを考えて、ごく大ざつぱではありますが、調査でもしたいことがあるのではないかと考えておりますが、そんなことはありませんでしたか。
  72. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 あれについてはいろいろなことを考えたように私は記憶いたしております。経過地をかえまして下仁田の方へ抜ける線も考えたことがあるようであります。いろいろ研究はございましたが、その実現については相当の困難があるやに私ども考えております。
  73. 小峯柳多

    小峯委員 私が特にこの問題を伺いますのは、あなたは御承知であろうと思いますが、あそこで地元の人たちが山くずれのために、非常に大量に遭難したことがございます。五十名ほどだつたと記憶しておりますが、一度にやられたそのときか、とにかく信越線は條件が悪いのであります。場合によつてはますます細るのじやないかという危惧もあるし、逆にこれだけの人を殺しておるのだから、国鉄はもつと情をかけて真剣に考えなければならないという意見もあるので、こういうお話を伺つておるのであります。そこでこれを本格的にやるということはなかなか骨が折れるようでありますが、次善の策としてもう少しあの線の輸送力を改良するというようなことで何かお考えがありますか。
  74. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 輸送力の増強につきまして、今おつしやつたのはおそらく旅客の輸送だと思いますが、旅客の輸送につきましては、御承知のように各線ともメイン・ラインを除きますと、まだまだ不分であるということは各委員からもお話があり、もつともなる要望であると考えております。それで一日も早くひとり信越線といわず、各ローカルの方面におきましても元の姿に、少くとも昭和十年、十一年ごろの輸送状況に持つて行きたい、かように念願して極力ただいま努力をいたしております。これは大臣からも御説明されたと思いますが、工事の費用と申しますか、そういうものが何しろ非常にきゆうくつであります。これについては私どもとしてもこまかく申し上げる機会もあるかと思いますが、いずれにしても財政上なかなか急には復活ができないというような状況であります。さような次第でありますが、ことに信越本線の軽井沢あたりまでは、いろいろの支障もありますので、これはぜひ早い機会に何とかやらなければならない、かように思つております。
  75. 小峯柳多

    小峯委員 きようは東海道線の代議士さんもおりますのであまり言うとしかられるかもしれませんが、部分的な方向として、実は高崎線がこの三年末くらいまでに大体電化が終ると思います。そこで上野から汽車に乗りますと、御承知のように長岡まですでに電化がしてある、ここまで一本に電化の線が動いておるわけであります。たまたま高崎と横川間だけがまだ蒸気機関車です。今のお話だと峠の問題があるから、峠の直らない限りは電化を取上げることができないので、能率の点から行つても悪いということですが、ちようどあそこはキセルのらおのように、高崎と横川の間二十八キロほどが残るのであります。それで非常に熱心な電化の要望が各地にありますから、もしこのままで置くといたしますと、あそこだけが、また博物館に行つてしまうような気がするのであります。地元の諸君からもいろいろ熱心に言つて来ますが、その話を聞きませんでも、私自身考えましても短かい区間であるだけに、どうもそのままほつておかれはしないかという心配がありますので、財政々々とおつしやるが、これはそう大きな財政負担にはならないということを認定して申し上げるのでありますが、この電化の問題について御研究になつたことがありますか。
  76. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 そのお話が出るのじやないかと思つて実は期待しておつたわけでありますが、仰せの通りただ電気で運転をしておるということにつきましては同じであります。しかし御承知のように向うの方の電化のやり方は全然違つておるわけであります。こちらの方は架線を張つてパンタグラフでやつておりますが、向うは第三軌條でやつておるというようなことで、トンネルの構造その他いろいろのことを考えますと、そう簡単には行かないのじやないかと思います。しかしながらごもつともなお話でもありますので、これはやはり電化の順序がございますから、順序を追うて研究してみたいと思います。
  77. 小峯柳多

    小峯委員 どうも上手に逃げられたような気がするのですが、大きな問題でもありませんから、今お話のように後段のあなたの熱意をぜひ肝に銘じておいていただきたい。繰返して申し上げますが、距離が短かいだけにほつておかれる危険性があるということと、峠の問題などでたいへんだ、しかるがゆえにそこだけやつても意味がないとおつしやりたいのだろうと思う。私は一応りくつはわかりますが、もしあそこを電化にしますと高崎駅がクリアーになる。国鉄を御経営になつた古い経験から、わずかなところで蒸気と電気を二本入れるのは、ちよつと気がなさ過ぎると思います。あなたの期待した通りの質問を私は申し上げたのでありますから、あなたも私の期待したようなお答えをしつかり研究して実現に努力していただきたいと思います。これだけお願い申し上げておきます。
  78. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいま小峯委員から電化の問題が出ましたので、私もはなはだ地方問題かもわかりませんが、非常に大きな問題と考えますので、この席でちよつとお伺いいたします。浜松、米原間の電化の問題でございます。東海道線は御承知通り日本の交通上の動脈線ともいうべきものでありまして、この輸送力を強化することによつて、日本の経済再建に非常に役立つものであると考えるのであります。地元におきましても非常な熱意をもちまして、運輸省あるいは国鉄さらにまた国会方面に働きかけておるのであります。実は今日も東海道地区の有力者が大勢国会に陳情に見えております。そういう関係もありまして、ぜひ浜松、米原間の電化について速急にこれを完成していただきたいと考えるのであります。国鉄当局におかれましても非常な御同情のもとに、すでに工事に着手せられているように聞いております。目下どの程度に工事が進捗いたしておりますか、まずお伺いしておきます。
  79. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 東海道線の電化につきましては、御承知のように今年の予算にも多少盛つたのでございます。ただ遺憾ながら全体のバランスの関係で、そういう多額の経費を望むわけに参りませんので、どこまで参りますか、浜松からおそらく岡崎辺までしか行けないのではないかと思います。それも完全に運転ができないような予算でございます。どうしてももう一、二年たたなければ名古屋、あるいは米原はむろんそうでございますが、三年くらいかかるのではないかと予想いたしております。
  80. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいまの答弁によりますと、二十七年度に岡崎辺りまで電車が動くというお話でございますか。はつきり御答弁願いたい。
  81. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 岡崎までの電車運転は、二十七年度には不可能でございます。二十八年度一ぱいかかりますと、名古屋、稲沢の操車場まで入りますので、そうなつて来ると完全な運転ができると考えております。
  82. 中村幸八

    中村(幸)委員 工事は岡崎まで二十七年度にできると承知いたしてよろしゆうございますか。
  83. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 架線を張つたりいろいろなことをする工事はできましても、変電所の工事ができないと、完全な運転ができないものですから、また車輌問題その他もございまして、二十七年度には岡崎まで運転することはちよつと望めないと思います。
  84. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいまの御説明によりますとはなはだわれわれの希望するところと懸隔があつて遺憾とするのでありますが、本席には江崎委員関係代議士として出ておられますので、あとから江崎委員から質問があると思いますが、そういうのんびりしたことではわれわれ絶対に納得できない。ぜひとも二十七年度中に米原あたりまで大部分の工事を進められるように、特に希望いたすわけであります。  なおこれに関連して、この電化に要する電力について、手当がついておるのかどうか聞いておきたい。聞くところによると、佐久間ダムの下流に国鉄の水利地点がありまして、国鉄と中部電力との間に何かいざこざがあるように聞いておりますが、その点はいかがですか。
  85. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 電源を自分で持つことは望ましいのでございます。しかしながら日本の電力は全般的に不足しておりますので、自分だけいい子になるというわけにも参りませんが、できるだけ自営電力を持ちたいということは、われわれの念願でございます。従つてその方面といろいろ折衝はいたしておりますが、いざこざがあつてどうとかいうようなことは決してございません。
  86. 中村幸八

    中村(幸)委員 電力の問題については、御承知のように天竜川の佐久間ダムが近く工事に着手するように、あらゆる方面から政府並びに国会において検討しておるのでありますが、この佐久間ダムが二十七年度に着工して三年程度でできるということになりますと、中部地区あるいは関東、関西の電力事情が相当緩和せられると思うのでおります。ところがこの佐久聞ダムを建設するについて、資材あるいは労力を運ばなければならない。その他交通の面において今日以上に施設を改善、向上して行かなければならないと考えるのでありますが、二俣と佐久間の間に新線を敷設する御計画があるかどうか、お伺いいたします。
  87. 立花次郎

    ○立花説明員 私どもといたしましては佐久間ダムの建設については、現在の飯田線で十分ではないかと存じております。但し佐久間ダムを建設いたしますと、現在の飯田線が二十数キロにわたり水没いたすところがございますから、路線変更をして水沒部分の連絡を別につけなければならぬのではないかと考えておる次第でございます。
  88. 中村幸八

    中村(幸)委員 佐久間ダムができた場合の水没の結果路線変更をしなければならぬという点については、また別途われわれは希望がございますが、それは地方問題になりますので、この席では差控えます。もちろんそれも必要でありますが、先ほど申し上げたように二俣と佐久間の間の新線を敷設することが、佐久聞ダム建設に要する各種の資材を運搬するに非常な便益をもたらすのではないか。飯田線だけで十分だというお考えのようでありますが、この二俣と佐久間間の線は、かつて戦時中にすでに鉄道審議会において決定になりまして、調査も完了し、工事着手一歩手前で戦争のために中止となつたのであります。これはぜひとも早急に実現していただきたいと思うのでございます。この二俣、佐久間線を開通することによつて、静岡県の西北部の無尽蔵の木材資源あるいは鉱産資源が開発せられるのであります。ぜひこの線は早急に実現していただきたい。この点を重ねてお尋ねいたします。
  89. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 新線建設は、今年度二十億予算が計上してございます。どの線を着手するかということについては、御存じのように鉄道建設審議会の答申をまつて、その答申を尊重して決定する、こういうことに相なつております。
  90. 中村幸八

    中村(幸)委員 鉄道建設審議会の答申をまつて、新線を決定するというお話でありますが、その点は私ども承知いたしておりますが、ぜひともこの二俣、佐久間線につきましては、二十七年度二十億の予算の中に入りますように、お骨折りを願いたいと思います。  なお先ほど申し上げました浜松、米原間の電化の問題につきましては、ぜひ二十七年度に、相当完全に近い程度の工事が完了いたすよう、格段の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  91. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 関連して……。実はただいま中村委員の国鉄総裁への御質問中に、いささかふに落ちない話があるわけですが、東海道の浜松、米原真の電化は、これはローカル問題というより、日本の国鉄電化の重要な問題だと思います。今御説によると浜松と岡崎という一つの目標をつけておられるようでありますが、それはほんとうに岡崎という目標がありますものかどうか。一応浜松から米原間ではあるが、客車は名古屋、貨物は稲沢操車場のところまでというようにわれわれ承知しておりましたが、その点はいかがですか。
  92. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 われわれの目標は、今おつしやる通りであります。第一段の段階としまして、客車は名古屋、貨物は稲沢ということになつております。二十七年度内にどの程度まで行くかというお話でしたが、大体岡崎あたりでしよう、こういうことを申し上げたので、二十七年度内には名古屋と稲沢には参れない、結局二十八年までかかるだろう、こういうわけであります。
  93. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 そうしますと、要するに電気機関車の運行実現のあかつきは、やはり浜松から名古屋、稲沢までということで運行されるものか、あるいは途中岡崎というようなところで区切つて、たとえば二十七年度に完成しなくても、二十八年度の中途には岡崎まで電気機関車が動くことになるのかどうか。この辺は地方としてもなかなか大事な問題ですし、全体の計画からいつてもポイントになると思いますので、念のために伺つておきたいと思います。
  94. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 まつたく御説の通りであります。われわれの目標としては、繰返して申しますが、旅客は名古屋、貨物は稲沢ということを一応目標にしてやる、それが一番よろしいと考えております。
  95. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 御説でよくわかりました。実はそこにたまたま高崎線関係の御説が出ましたが、高崎線の利用度、また同時に電化された上の効率というような点から参りますと、これは実に重要な線でありますから、ぜひともひとつ高崎線も御促進願いたいと思います。ただ高崎線と聞くと、私どもは非常に苦い思い出を持つておるのであります。たとえば昭和二十六年度予算においては、東海道電化に五億円の予算計上がなされておる。ところがこの高崎線はしきりに小峯委員から熱意を傾けての質問があつたわけでありますが、知らぬ間に実は款内流用というきわめて重宝な言葉をもつて、四億五千万円が高崎線に行つてしまつた。東海道に残つたのは五千万円だけ、ずいぶんこれにはあわてました。運輸委員会へ出まして毒ついたわけでありますが、幸い有力な議員が東海道沿線には多数おりまして、皆様方の御協力と相まつて四億五千万円補正予算をもらつて、どうやら面目だけはつなぎ得た要するに予算面のやりくりだけは、補正予算によつてなされたわけであります。やはり詳細にわたる予算を出されて、国会において予算をきめたならば、何億というものを、資材の値上りとか、款内流用によつて簡単軽々に左右されては困る。これはただに何線の電化問題云々ということでなしに、予算全体の権威からいつても、この点とくと御留意を願いたいのであります。また昭和二十七年度においても、款内流用という重宝な言葉によつて左右されたり、値上りということによつて動きがあるということが予想されますか、いかがでございますか。
  96. 立花次郎

    ○立花説明員 お答え申し上げます。今度の東海道線につきましては、朝鮮事変後の物価も大体安定いたしておりますので、大体予算の示す通り、正確に工事が進められるというふうに考えております。
  97. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 今度は款内流用ということはないそうでありますから、しかるべくその線に沿つてお願いをいたしたい。ただやはり本年度予算においても、われわれ実は政府与党でございますから、たまたま大蔵大臣が自由党の総務会に出して参りました。大蔵省とあなたの方と御折衝になつた最終案、これは東海道の電化分として設備、車輌費を含めて三十五億、かようにわれわれは実は承知しておつた。暮の二十九日、三十日まで東京にとどまりまして、大蔵大臣と総務会で折衝をし、その確認を得たのでありますが、ここに上程された予算書を見ますと、東海道線電化の費用は二十五億、設備費に二十億、車輌費に五億というような数字に承るのでありますが、いつの間にか、党と大蔵大臣と直接折衝しました数字がまた消えておる。この前の高崎線とは軌を同じくいたしませんが、どうもふに落ちない。その後国鉄のそれぞれの担当の方にいろいろ説明を求めますと、総わくの予算が少いから、実は国鉄としては三十五億を東海道にまわし得なかつたので、やむを得ず二十五億にしたという御返事のように承つたのでありますが、大蔵省の最終案が三十五億であつたものを、国鉄において——もちろん直接所管者としてお減らしになることはけつこうでありますが、承ればこれは岡崎あたりまでもあぶない予算である。いささか残念にたえないのでありますが、これについて当然来るべき国会における補正予算などが気構えられます場合には、どういうふうに御考慮になつておられますものか、特に施設局長から御答弁を得たい。
  98. 立花次郎

    ○立花説明員 ただいまお話の電化設備費五十一億に対しまして、東海道線の浜松、姫路間の電気及び土木建築等の工事費が二十億しかなくて、はなはだ残念であるというお話、まことにごもつともでありまして、五十一億のうちの相当部分が、今度の上野、高崎間の電気機関車に使われております。いつも予算が足りません関係上、車輌の方は常に遅れて参るというような関係で、予算がそちらに参りまして、そうして東海道の電化が思うように進まない。これは私どもはなはだ残念に存じております。でき得れば、補正予算を出す機会がございますれば、出していただきまして、なるべくすみやかに二十八年のなるべく早い時期に、名古屋あるいは稲沢まで開通させたいというふうに心がけておる次第でございます。
  99. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 それで話が大体わかつて来るのでありますが、われわれが大蔵大臣と折衝したときには、東海道には最低三十五億をまわす、こういう話であつた。それが設備費として二十億しかまわつていない。もちろん東海道線はまだ車輌をふやして名古屋まで運行するだけの工事を見ておらぬわけでありますから、自然高崎線へ、そろばん勘定で行くと、大体また十億か十五億車輌費を持つてつてしまわれる党の総務会で大蔵大臣との間の了解事項と、あなたの手元へ帰つて来た——帰つて来たというより、あなたの手元からお出しになつたものと、食い違いが生じておる。もつとも軍輌費は東海道線が名古屋まで行けば、また高崎線から東海道線へまわることがあるかもしれませんから、あえてさようなことをぐずぐず申し上げるわけではありませんが、東海道の電化ということは、少くとも政府与党としても強く取上げておる。ローカル問題とは違う。いわゆるほんとうの国鉄の電化という中心課題として、これは重く取扱つておる。そうしてこの予算計上については、大蔵大臣も同時にまた政府与党の総務会も熱意を傾けておる。これがたまたま予算に計上せられると、よそへ流用せられるということではまつたく困る。特に国鉄におかれても、与党それぞれの機関の熱意、同時にまたそれを認める大蔵大臣の熱意というものをくまれまして、今後さようなことのありませんように、十分東海道線にも熱意を持たれたい。当然これは出るべきものであるから、他の線にそれを流用して、荏苒日を延べられるということでは、いささか迷惑をすると思います同時にまた政府与党の重大政策として、それに入れておる重点がぼやけるおそれがありまするので、この点十分留意を願いたいと思うのでありますが、この点特に国鉄総裁にもあわせ要望を申し上げたいと思います。総裁はこういう問題についてどういうふうにお考えになりますか。御決意のほどを承りたいのであります。
  100. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 予算の組み方と皆さんの御要望というものとは、なるべく一致させるのがほんとうでございます。それをできるだけ早い時期に実現して行くことが、私の念願でございます。従いましてただいまの御意見を十分尊重して、将来進んで行きたいと考えております。
  101. 小峯柳多

    小峯委員 自動車局長に少し自動車貨物営業のことについて伺いたいのであります。その前に、今江崎委員からるるお話がありましたことは、まつたく同感であります。私は東海道線をおろそかにするという意味で申し上げておるのではないので、私も一緒に御要望申し上げます。大いに東海道線電化を促進し、但し地方の線にも政治の恩恵が及ぶことが善政でありますから、忘れてはならぬということを付言いたしたいと思います。  このごろ貨物自動車の営業に関して、あるいは免許に関して、いろいろの運動があつたり、要望があつたりしておりますので、この線に沿つて自動車局長に所信をただしておきたいと思いますが、最初に貨物自動車の営業が、あなたの立場から見て、満足すべき状態に行つておると思つておりますか。この点伺つてみたいと思います。
  102. 中村豊

    中村(豊)政府委員 現在の貨物自動車の営業が、満足し得る状態であるかどうかということにつきましては、骨と質の二つの面があると思うのであります。量的に見ますと、自動車の数も非常にふえまして、貨物自動車に対しては戦前をはるかに凌駕するような状態でございますし、燃料、資材その他の事情も非常に好転して参りましたので、輸送力という量的には、現在全国的に見て、満足し得る状態になつておると思うわけでございます。但し地域的、局地的にはまだアンバランスがございまして、不足しておるところももちろんあると思つております。次に質の点でございますが、質的に見ますと、遺憾ながらまだまだ満足し得る状態になつていないと言わざるを得ません。特に運賃の面につきましては、公定価格もございますけれども、現在輸送力が相当多過ぎるくらいなものでありまして、公定価格を割つて下まわつておりますから、やみ運賃ということはほとんどないと思います。むしろ荷主からの要望に対して、設備あるいは迅速、正確というような点については、十分にいまだ満足を与えていないということは認めざるを得ない、かように思います。
  103. 小峯柳多

    小峯委員 私は質の方の問題で特に伺つてみたいのでありますが、私勉強が足りませんのでよく承知はいたしておりませんが、戦前の自家用の貨物自動車の数と、営業用貨物自動車の数、その割合が今日どんな関係なつていましようか。私どもの考え方では、パーセンテージの面で自家用自動車が相当ふえて、営業用が減つているのじやないかと考えますが、大体の数字でけつこうであります、どんなことになつておりますか。
  104. 中村豊

    中村(豊)政府委員 大体お説の通り、自家用自動車が非常にふえておるのでございます。例を申し上げますと、たとえば戦前では昭和十二年が一番車が多かつたのでありますが、そのときは営業用のトラックが四万三千台、それに対して自家用のトラックはわずか九千八百台くらいでございました。これは普通車で、小型車は一応問題外にいたします。それに対して昭和二五年の実情では、営業車が四万五千六百台に対して自家用車が八万八千二百台、ラウンド・ナンバーでございますが、そういうようなわけで、この数字は二十六年はただいま手元に持つておりませんが、もう少し自家用がふえておりますので、非常に著しい現象としては、戦前は営業用に対して自家用がほとんど微々たる存在であつたのが、終戦後だんだんと自家用がふえまして、現在は自家用が営業用の倍になつておるようなわけでございます。
  105. 小峯柳多

    小峯委員 今の数字を伺いましても、自家用車が非常にふえておるのでありますが、自動車行政としましては、あなた方のねらいがこの線に沿つて進められておると承知してよろしいか。言いかえると自家用のものをどんどん許可して、むしろ貨物自動車の運送というものは、自家用によることが主体であつていいのだ、こういうふうにお考えになつておるのですかどうですか。
  106. 中村豊

    中村(豊)政府委員 一般方針といたしましては、営業用は一般貨物を扱うのでありますけれども、自動車が発達すれば、できるだけ大きな会社、工場、あるいは大きな荷主というものは、自家用を持つのが当然でございまして、輸送の需要は自分の設備でもつて満足させるというのが、私は交通の発達の理想であろうと思うわけでございます。従いましてこの傾向は、一応傾向としてはいいことだと思つております。但し問題なのは、この自家用の中にほんとうの自家用でなくて、これだけふえた原因の中には、終戦後のあの混乱でもつて、軍用自動車が多数放漫に放出されまして、それが自家用の激増した大きな原因なつておるのでございます。それなんかは正しい目的に、正しい用途に合うように、そちらへおちつけさせてやることが一番必要だと思うのでございまして、そういう過渡的な、変態的な現象だけはぜひ是正いたしたい、かように思つております。
  107. 小峯柳多

    小峯委員 私は今局長からお話のあつたのが一般原則としても、その原則の中にはなかなか問題があると思うのであります。なぜかといいますと、これはお説の通り自分の貨物は自分で輸送するという態勢は確かにいいには違いませんが、これを国民経済的な角度から見ると、どういう形にしておいたときが、貨物自動車の設備というものが一番有効に運用されるかという問題が実はあるのです。従つて荷物が十分ない、遊んでおる車が多いというふうな形で自家用車を認めることは、やはり国民経済的な問題があるのであります。いわんや私どもは、今の内閣の方針といたしましても、自由企業というものを相当重く見ておるのだし、自由経済というものは自由企業の原則から成り立つのであります。そういう意味合いで、もちろんあなたのお考えが全面的に間違つておるという意味じやありませんが、そういう点まで考慮して、自家用車に対する考え方というものを少し精細に御検討あつてしかるべきじやないかと思います。いわんやあなたの御指摘になりましたように、名前は自家用車でありますが、自家用車の中に営業しておりますものが相当あるのでありまして、この点少し間引きをいたしませんと、本来営業税を払つて自動車で営業しておつた、しかもいたずらに戦前に帰れという意味ではありませんが、戦前まじめにやつて来た業者が、戦争中のいわゆる統制で中へ吸収されて、その営業権というものはまだ十分に保障されていない。こういう問題もありますので、この点はよほど精細にお考えいただきませんと、うまく行かぬのじやないか。そういう点も含めて、特に御指摘になつた点を整理するために、どんなことをお考えになつておられますか、ひとつ伺つて置きたいと思います。
  108. 中村豊

    中村(豊)政府委員 御指摘の御意見は、まことにごもつともなことと思います。われわれといたしましても、本来の自家用でないものが、自家用の名前で無理な仕事をしているのを放任し、そのまま許容するということはできませんので、何とかして正しい道に、正しい形に直して整理をいたしたい、かように存じております。その道といたしましては、トラック事業の免許をとることでございますが、これにつきましては道路運送法に、免許基準ということで五項目ばかりあげてございます。その要点として特に問題になりますのは、その地区における輸送に対する需要と供給輸送力とのバランスを見まして、著しく供給輸送力が多いときには、遺憾ながら免許はできないという一つの大きな基準がございます。しかしこの問題は輸送需給の見込みなり、今後の経済、あるいは荷動きの情勢、あるいは伸び方ということも勘案して、幅のある考え方をいたしております。次に大きなポイントは、その事業を遂行するに足る十分な能力を持つているかどうかという点でございますが、これにつきましては申請の内容をよく見まして、その事業を公共事業として十分な責任を尽して行くだけの資力、信用の十分あり、それだけの適格性があるかを検討しなければいけないのであります。この第二の点について、現実の申請を拝見していろいろ調べますと、非常に問題がございまして、ただまつたくどんぶり勘定で名義だけをとつてあとはみなかつてなことをやつて、社会、荷主に対しての責任はとうてい尽せないような内容しか持つていないというようなものが多いので、そういう観点からいろいろと審査した結果、却下するような事例も多いのでございます。この点について十分な配慮をし、十分団結してりつぱな内容の会社をつくつてつて来てくださるということになれば、われわれとしては十分考慮いたしたい、かように思つているわけであります。
  109. 小峯柳多

    小峯委員 今免許基準のお話がありましたが、この免許基準という問題が、実は逆にいろいろな問題を複雑にしているような点もあります。なお御承知かどうか、多分知つていると思いますが、自家用の貨物の中で営業をしているものもありますし、逆に今どんぶり勘定というお話もありましたが、相当な金を払つて名目上営業用のナンバーを借りて、実際上自分でやつている姿が現実にあるのであります。その料金も相当高いので、月に七千円から一万円、あるいは一万五千円というものも場所によつてはあるようでございますが、こういうようなことがあつて貨物の輸送体系を乱しておるということも、実は免許基準の問題に関連があるのであります。今私の指摘したような点を局長としても御承知なつておるかどうか、またそれに対する修正の方法としては、今あなたが答弁なさつた程度のことで解決ができるとお考えになつておるかどうか、伺つておきたい。
  110. 中村豊

    中村(豊)政府委員 ただいま御指摘のような事例があることは、私もいろいろと聞いておりますので、非常に残念に思つております。それで道路運送法の精神なり目的にかんがみましてぜひそういう点を整備いたしたいと思いまして、本年はそういう仕事に重点を置きたいと思つております。これを具体的に申しますと、名義貸しあるいは名義借りということは違法行為でありますので、これをできるだけやめていただく。しかしその持つて行く先が問題になりますので、持つて行く先はりつぱな事業として固まつていただいて、それに対してその内容さえよければ免許をするというようなことで、自家用の営業類似行為という違法行為を取締るだけではなしに、それが必要であり、しかもりつぱなものであれば、生きるだけの道を与えたい、かように思いますし、既存業者に対してもそれを単に擁護するだけではなしに、その権利の上に眠つて、他に名義を貸して頭金をはねておるというようなものに対しては、これを徹底的に粛正いたしたい。かようにして、何とかしてこの業界をすつきりしたものにいたしたい、かようなかたい決意を持つておるわけであります。
  111. 小峯柳多

    小峯委員 御方針のほどは了解できるのでありますが、今のナンバーを貸借する場合の料金に関して、これはうわさでありますから確めておきたいのでありますが、道路事務所等が中に入つて、一応の値段まできめておるというようなことまで言つておる諸君もおるのであります。まさかそんなことはあるまいと思いますが、何かそういうようなことをあなた方でも、暗黙のうちに了解するような行政措置をとつておるかどうか、伺つておきたいと思います。
  112. 中村豊

    中村(豊)政府委員 さような事例は存じておりません。またさような指導をいたしたことは一切ございません。
  113. 小峯柳多

    小峯委員 そうでなくてはならぬと思うのですが、事実はこれを一応暗黙のうちに了解しているとまでいわれている流説があります。私はその流説であなたを責めるつもりではありませんが、火のないところには煙は立たぬというたとえもあるのでありますから、一応そんなふうにまでしなければならぬほど、この業界に対する行政措置というものが乱れているとすれば、よほどこれは御決意をかたくして処理いたしませんと、これは遂にはほんとうに行政の権威を失墜するような問題も起り得ると思います。うわさだけでありますから、私は重ねて申し上げるつもりもありませんし、それで責めるつもりはありません。とにかくそんなうわさがあるのでありますが、これは私の聞き違いか、あるいはそんなうわさが立つようなことが、事実でなくても何かそれに誤解されるようなことがあるのかどうか、これは局長として少しお気づきになつて、精細に調べていただきたいと思います。  なお免許の基準の問題、これは当然運送業本来の使命から申しまして、ひよわいもので、あるいは貨物の補償のできないようなものに簡単に許可をするというようなことはあり得まいとは思いますが、しかし今の基準というものが、相当具体的には高きに失するというふうになつているのではありませんか、この点を伺つておきたいと思います。
  114. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この基準は、実はつくるときも非常に問題がございまして、数字を盛つた方がいいかどうかということ、あるいは具体的にもう少し詳しく書くことの必要を勘案したのでございますけれども、いろいろ研究の結果、現在ではお読みになればおわかり願えるように、非常に抽象的になつておりますので、この基準そのものからは、別に高過ぎるということは出て参らないと思うのであります。ただ問題は、この基準を現実の事例に当てはめて運用する場合に、少しものさしが高過ぎるのではないかというようなことを、いろいろと批判されておる状態もよく存じておりますし、われわれも十分その点は反省しておるのでございます。そこでどういう数字、たとえば具体的にいえば、免許をやるには何台トラックを集めたらいいかというようなことが問題になるわけですが、これについては実はただいま申し上げられないのを残念に思います。各地区によつてもちろん違うわけでございますが、何とか早く具体的な数字もはつきりさせて、むしろ簡明に問題を解決いたしたい。それにはその基礎になる材料として、いろいろ現実の事業運営の内容などもただいま検討中でございますから、もうしばらくお待ち願いたいと思います。
  115. 小峯柳多

    小峯委員 私の言つた基準も、今あなたのおつしやつたものさしなんです。そこに実はいろいろ問題があるわけですし、ことにまた基準を抽象的に書いておるところに、言いかえれば問題があるわけです。これはそのときの行政担当者の感覚で多少かわつて来わせぬかと思うし、そういう意味でむしろ具体的なものがないだけに、私は問題が多いと考えるのであります。ことにまた、そういう欠点がありますが、同時にもしこれをよくすれば長所にもなりますので、少しものわかりのいいと言つては失礼ですが、慣熟した行政指導者が出て来れば、問題は解決するというふうにも思います。  そこでお話の貨物をどのくらい集めたらいいかという点ですが、最近私どももそういう話を聞くたびに、とにかく公共性からいつて、簡単な菓子屋を開くようなわけにも行かぬことは、よくお話しておる連中にも申し上げておりまして、私もよく承知しております。しかしある程度までその基準といいますか、ものさしを緩和して、相当数拾い上げるような手を打ちませぬ限り、あなたのおつしやる積極的な解決にはならぬのであります。事実は、今までお話合いいたしましたように、非常に不透明なものがたくさんあるのでありますから、不透明なものを直すということは、これは存在するものは合理的だという言葉を借りるまでもなく、やはりそれ相当の理由があつて発生しておるのですから、よほどこの基準というものに対しては思いを新たに考えないといかぬと思います。その線に沿つて将来営業の許可を受けるという見通しのもとに、協同組合のようなものをつくつて、お客さんの貨物に対す共同補償までやろう、こういうふうな動きを寄り寄り相談しておる者もあるやに見受けますが、あなたのおつしやる基準は、一企業体としての会社でなくてはならぬとお考えになるか、協同組合等もこういう中に取入れてやるようにお考えになつておるか、その点を伺つておきたいと思います。
  116. 中村豊

    中村(豊)政府委員 協同組合についてはいろいろ研究してみたのでございますが、協同組合も、事業協同組合といつたような共同購入、共同販売をやるような程度のものでは、事業体としてのまとまり方、団結が弱いものですから、これは無理だろうと思います。企業協同組合という形であれば、これは拒否すべき理由はないと思うのでございます。企業協同組合の目標とするところは、われわれ、十分是認できるのでございますが、ただ問題は、企業協同組合の形にある弱点を申しますと、構成員が絶えず変動する、従つて役員も安定を欠いておるという点で、ただ一つのわくをきめて出入は自由になつておる。加入脱退の自由がいろいろありますから、そういう点で何だか不安定な感じがするのでございますけれども、その締めておる全体のわくなり定款のようなものが相当強いもので、根本のしんだけはしつかりしておるということが確認されれば、この形でもさしつかえないと思います。実は関係官庁において、この企業協同組合を現に相当活用しております。たとえば通産省方面の他の事業の例などもいろいろ調べまして、ほんとうにこの制度が活用されて生きておるならば、この制度を運送界に取入れることもいいのではないか、そういう気持のもとに、根本的な考えとしては必ずしも拒否すべきものでない、かように思つておるわけであります。
  117. 小峯柳多

    小峯委員 今の企業協同組合に対するお考えはよくわかりましたが、私は問題はもう一つあると思うのであります。言いかえますと、企業協同組合に入るということが條件で個人に営業をさせるのか、いわば営業権のないものが企業協同組合をやるわけには行かぬように私は思います。もしやるとすれば企業協同組合をつくることを條件として、個人に営業の許可をするかどうか、その辺はどういうふうにお考えになつておりますか。
  118. 中村豊

    中村(豊)政府委員 企業協同組合をつくつていただいて、その企業協同組合そのものに免許を与えるということがいいのだろうと思います。個人に対して免許を与えることは、どうも公益企業で免許制度をとる以上は、少し無理ではないかと思つております。
  119. 小峯柳多

    小峯委員 私は企業のないものは企業協同組合ができないように、思い違いかもしれませんが思いますので、一応営業権を持ちませんもので企業協同組合をつくることができるとお考えになつておりますか、お伺いいたしたい。
  120. 中村豊

    中村(豊)政府委員 営業権を持つてもらつて、それで企業協同組合をつくるという考え方でなしに、もちろん発起でありますから、企業協同組合を発起設立して、それに対して免許をとるということで、法律的にはさしつかえないと思つております。
  121. 小峯柳多

    小峯委員 この問題は私は予算総会でも大きな問題として、こんなに詳しくは伺いませんでしたが、運輸大臣に伺つておるのであります。運輸大臣はすぐにこれを下に移して、研究して答弁するというお話でありましたが、あなたの方に大臣からお話がありましたか。
  122. 中村豊

    中村(豊)政府委員 ございました。御質問によつて初めてあつただけではなしに、かねがねから十分研究しろという御命令があつたわけでございます。
  123. 小峯柳多

    小峯委員 いつごろまでに結論を出せというお話がありましたか。
  124. 中村豊

    中村(豊)政府委員 別に期限は切られておりませんけれども、切られていないだけに私としてはできるだけ早くいたしたいと思います。この点はそのつもりで非常に努力しておるわけでございます。
  125. 小峯柳多

    小峯委員 私は実は運輸大臣にも、委員会の答弁というものが、研究するとかなるべく早くやるという答弁になりがちだ、私も予算をずつとやつていて非常に古いのでありますが、この委員会というものを権威あらしめるために、大臣ももう少し具体的にいつというお話ができぬかと聞いたのであります。そしてすみやかに結論を出して報告するというお話でありました。私もだてや酔狂に質問しているのではないので、委員会で取上げましたら、なるべく早くこれを行政の上で措置するようにしたい。そうしないと実は議会というものの重みが出て参りません。私どもも政党政治というものを非常に信じておるのでありまして、まじめに質問し、また意見を闘わしておるつもりであります。あなたはお忘れになつたかもしれませんが、私去年のうちにも一度、非公式ではありましたけれども、注意を喚起したことがありました。問題は古いのでありますから、一歩でも二歩でも前進させるという意味で、行政措置をとるつもりはありませんか。もしその点がはつきりしませんならば、まだ予算総会はありますから、運輸大臣に重ねて御質問を申し上げて、少し具体的に責任のある措置をとつていただくようにしたいと思いますが、あなたのお目安で、どのくらいになつたら少し具体的な措置がとれると思いますか、お考えを伺つておきたい。
  126. 中村豊

    中村(豊)政府委員 先般非公式にお話があつたことも私記憶しております当初からいろいろ努力しておるのでございますが、こまかい話になつて恐縮でございますけれども、こちらの事情を申し上げるために申しますと、現在道路運送法というものが施行されまして、これによつて既存の事業を免許の確認をする、過去の実績を考慮して新しい法律の形に格付するわけです。その仕事が非常に追われておりまして、またこれがされない限りは輸送秩序は確立されないというので、その仕事に全力を集中しておりましたのが昨年来の模様でございますが、これが三月中には完了すると思いますので、おそくとも四月早々にはこの問題を取上げて、つまり二十七年度最初の大きな問題として、ぜひとも解決いたしたいと強く考えておるわけなのであります。
  127. 小峯柳多

    小峯委員 最後に一つ要望を申し上げておきたいのでありますが、この営業権獲得の運動がありまして、私どもがこれを見るとき、実は非常に胸を打たれます。というのは、同情するばかりでなしに、法に触れた諸君が声を大きくしてああいう運動をする。明らかにこれは今の法に触れている人たちが運動しているということで、普通の運動と違つて非常にいやな思いで見ておるのであります。こういうこともやむにやまれぬ動きではあると思いますが、動き自体は実は法に触れた諸君の運動であるという意味で、政治を扱つておる私どもといたしましては、非常に胸を痛めておるのであります。どうかそういう意味合いで、今御答弁がありましたように、急にやるといつても無理だろうと思うのであります。これは私ども承知しておりますから、一歩でも二歩でもすみやかに前進のできますように、これは特に、新局長であると記憶しますが、あなたの責任において、またあなたの良心に対して、ひとつ実施いただきますように要望いたしまして、私の質問を終る次第であります。
  128. 淺利三朗

    淺利主査 それでは川島予算委員から発言の通告があります。これを許します。川島金次君。
  129. 川島金次

    川島委員 この機会に総裁に二、三お尋ねをいたします。時間がございませんので、私の方から簡単にお尋ねをいたしますから、総裁の方からもなるべく簡明にお願いをいたします。総裁は国鉄に対する。長年の経験者であります。今の国鉄は公共企業体の形をとつておりますが、御承知のように戰後の諸般の事情は、必ずしも当時の政府並びに国会及び国鉄の諸君が満足する一致した意見によつて、こういう体形になつたとは言えないのであります。従つてその間に国鉄自体の特殊性からいつて、今日非常に不都合なことが内包されてそのまま残つておると思います。長所ももちろんわれわれは認めることにやぶさかではありませんが、国鉄全般の経営の上において、必ずしも満足でない点がわれわれにはあるように見受けられます。総裁は国鉄総裁に就任されまして、そういつた点で何かお気づきの点や、あるいは要すれば改正を望ましいとするという点等についても、お気づきの点があるのではないかと思いますので、この際それに対する率直なお話をわれわれに聞かしていただきたいと思います。
  130. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 川島委員から、私が長い間鉄道にごやつかいになつておつたので、そういう者から見て現在の公共企業体のあり方というか、気づいたことはないかというお話でございますが、なるほど私は仰せの通り長いこと昔の国有鉄道にごやつかいになつたのであります。これは決して短かいと申されないものでございます。しかし当時と日本の状況、のみならず世界全体の状況でさえ非常にかわつておる現状でございます。従いましてわれわれ過去の経験が一体どれだけ役に立つものか、非常に疑問だと思つておりまして、むしろ逆に公共企業体なるものの内容を、ここ六箇月ばかり勉強しておるという状況でございます。従いまして具体的にここはどうだ、ここはどうだということを申し上げましても、これは過去の国有鉄道と現在の公共企業体とを比較するようなものであつて、そう大して役に立たぬのではないかと思います。ただ二、三気づいておる点を申しますと、よく公共企業体云々ということを言うのですが、公共企業体というものの本質がはつきりしないのではないかと私は思います。何か会社らしいもののごとくに仰せになる方もございます。公共企業体であるがゆえに独立採算でなくちやならぬ、あるいは非常に会社らしい経営、すなわち経済の変転につれまして、それにすみやかに順応して、巧妙に能率の高い弾力性のある運用をするものだ、かように言う一方におきまして、いや公共企業体というのは公共性ということ、たとえて申しますと新線の開発、国土の開発に対するものは、採算を無視してもやらなければならぬのだというようなことを申されます。そうなつて参りますると、どこら辺が一体独立採算制と公共性との接触点になればいいのか、このカーブの二つの線が交わるところをどこに見出すかが、私は一番むずかしいのではないかと思つております。しかも独立採算と申しましても、これは川島委員もよく御承知ですが、昔の国有鉄道においてと自分の収入でもつて支出をまかなう、収支の権衡をはかるという考えは決してかわつていない昔からあつたことです。それから国土の開発とか経済の再建とかいうところに、国有鉄道が歩を進めなければならないという点も、これは過去のいわゆる政府の機関としての国有鉄道時代においても存在を見ております。かように考えて参りますと、一体どこに相違があるのかということが、実はまだ私はつきりわかつておらないのであります。ただ厳然と違うのは、われわれが公務員でないという一点に集中して来るのじやないかと思うのであります。
  131. 川島金次

    川島委員 総裁就任早々であり、大分謙遜されたお話で、一応はわかるのでありますが、この問題については私もかねがね重大な関心を持ち、一つの意見を持つてつたのですが、本日は不幸にして時間がございませんから、いずれ運輸委員会等に私も出席する機会を見出しまして、そのときに総裁にも御列席を願い、総裁その他に私の意見を申し上げ、検討の材料にしていただきたいと思います。しかしなお総裁におかれましても今の公共企業体の実態について、すみやかに詳細なる把握をされまして、それに対する所員等をまとめていただき、それでお話合いを進めたい、かように思いますので、その点御了承を願います。  次に時間がございませんから端折つて申し上げますが、最近国鉄は、この三月一ぱいでおよそ二万名程度の整理をするということで、退職申出者に対しては従来と違つた特別な措置をしておりますことは承知しております。その関係でかなり退職者の申出があるように承つてわりますが、最近の情勢によりまして、国鉄が予想しております整理人員と退職申出の人員の比較はどういうふうになつておりますか、その点おかつておりましたら御説明願います。
  132. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 昨年十二月末現在で四十六万七千五百六十人であります。本年一月中において休職発令をしたものが一万一千四百十六人で、退職発令が一万三千五百六十二人で、合計二万四千九百七十八人が実働から落ちた、こういうことになるわけでありますが、その結果実働現在員は四十四万二千五百八十二人となります。二十七年度予算人員は四十四万六千九百十九人でございますから現在四千三百三十七人の欠員となつておるわけであります。これに対しましては、とりあえず臨時に人夫をもつて対処しておるわけであります。数はこういうことでございますけれども、御存じのように地域的に見まして、また職種的に見まして、あるものは過員であり、あるものは欠員であるというふな状態で、過員欠員の均衡は大分改善されましたけれども、十分にとれていない面もありますので、本年度までには人員の配置調整を十分に進めて行かなければならないというふうに考えておるわけでございます。なお現在の過程においても、退職者は若干ふえて来るのではないかと考えております。
  133. 川島金次

    川島委員 そこで総裁に伺いますが、最近退職者が非常にふえております。この退職者に対する手当の問題でありますが、今度は諸般の事情から国鉄の退職者に対しましても、三月末までに退職を申し出でた者に対しては特段の措置を講じております。この特段の措置は、今日の財政事情あるいは物価の事情等から見まして、むしろこの程度が当然の措置ではないかと思います。特段の措置といつても、少しも実際は特段の措置ではなくて、当然な措置ではないか。退職の率から見ましてお伺いするのですが、これは国鉄自体の財政の状況等も考えなければなりませんけれども、原則としては総裁において、この程度の特段の措置といわれている措置を恒久化して行く必要がある。そのようなことについて総裁は何か考えておられるか、熱意のあるところを示していただきたい。
  134. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 ただいまの川島委員の御意見に私も同感でございます。従いまして特段といわれておりまするものではございまするが、なるほど一般行政官庁においては、行政整理というようなことは珍しい現象であると思います。しかし私どものところは川島委員のお説のように、運輸数量の増減に応じて、必然的に退職してもらわなければならぬような場合が相当あるのであります。そういうような場合におきましては、やはり特例と同じ意味合いにおいて処置をして参りたいと考えております。これは国の財政の問題、あるいは政府の方針などいろいろございますけれども、何とか考えられぬものかという意味合いにおいて、実はせんだつても運輸大臣にお話申し上げたのでございます。そのほか殉職して退職せざるを得ないような方々、これはまことにお気の毒な方でありまして、まつたく戦争で倒れるのと何らかわるところがない姿の者もございますので、ぜひ国鉄だけには適用できるようにお願いしたいものだという気持は持つております。この点強く要望しておきます。
  135. 川島金次

    川島委員 総裁のその熱意に大いに私どもは期待を申し上げたいと思います。戦争前における国鉄、ことに現場に長年勤務いたしました者、しかもとうとい人生の大部分を国鉄にささげて退職すり永年勤続者の退職手当、その手当によつて土地をあがない、あるいはささやかながら自分の住宅を求め、老後の余生を楽しむというわけには行かぬが、どうやら生活ができたということによつて、初めて国鉄に大きな家族的な魅力を従来は持つてつた。ところが最近における国鉄の従業員の現状は、その半生を国鉄にささげ尽して血も肉も骨も国鉄にささげて、しかも退職して見ればもらうものは、税金を差引くと手取りは少い。それは鶏小屋一軒も建たないような手当であります。しかしこうあつてはならないと私は思う。日本の経済の自立達成のために、今後さらに一層国鉄の人たちには努力、精勤を願わなければならぬ面がありまして、そのことについて十分にこたえてくれる従業員の諸君に対しては、これまた政府並びに当局は格段の熱意をもつて、これにこたえてやらなくてはならないと私は信じておりますので、どうぞその点について総裁は長年の御経験者でありますから特段の熱意を持たれまして、具体化のできるような計画を立てていただきたいと要望しておきます。それからこの間予算委員会で運輸大臣にちよつと申し上げましたが、国鉄の現場におりまする者の中で、非常な過重の労働を余儀なくされております職場が数少くない。しかもそれらの人たちの中には、今申し上げましたような身命の危険にさらされながら、仕事をしなければならないという若い人たちがたくさんおります。しかも国鉄を唯一無二の職場として精励恪勤をしておる従業員も、数限りなくあることを私はこの目で見ております。こういつた人たちに対して、一般の行政公務員と同じでいいのだというこの政府の考え方は、私は断じて誤りであると思う。なるほど今日国鉄の現場の職員に対して、一般行政公務員とは少しは違つた措置がされておることは私も認めます。しかしそれはまつたく満足なものではないのではないかという感じが、私どもは強くいたしておりますので、この点について運輸大臣にお話いたしましたところ、その点については、長崎総裁と最近においても話し合つたことがある。そういう現場の過重の労働に携わり、しかもその上に身命の危険にさらされておるというような職分の者に対しては、何とか特別な体系をもつて、給与的にも満足な措置をしたいものだということを話し合つたことがあると言われておりますが、総裁はそういうお話合いをされたことがあるかどうか、またそういうことについて何か計画をされたりしておるか、その点について伺いたい。
  136. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 御承知のように村上運輸大臣もわれわれの大先輩でありまして、鉄道の仕事についてはきわめて御理解のある方であります。従いまして寄るとさわると、ただいま御質疑のようなお話合いはいたしております。何とかしたいものだということをいろいろ話し合つております。また私も、過去のことだけを言つたのではいけませんから、新しい意味合いにおいて、新しい観点に立つて、そういう危険にさらされているような職員、また熱心に働いてくださる従業員諸君に対しては、むろん十分とは参りませんけれども、できるだけのことをしてあげたいかように考えはおります。
  137. 川島金次

    川島委員 私どももそういう言葉だけで、総裁の人柄から推して御期待を申し上げるのですが、先ほど小峯君からもお話がありましたように、国会の中での当局とわれわれとの話合いというものは、大体その場限りのことが実は多いことを、われわれは遺憾に思つております。しかし総裁に限つてはさようなことはよもやないと私どもは確信をいたします。どうぞひとつその点について十分な御努力をされんことを要望してやみません。それから、これはまた遺憾なことでありますが、戦後国鉄の従業員の中において、ややもすれば道義が頽廃し、そうして国鉄内部における犯罪、あるいは国鉄の従業員にして社会においていろいろの犯罪を犯すという数が非常に多いということも、遺憾ながら率直に認めなければならぬと思います。これは戦争中に従業員を無理にかき込みましたこと、また敗戦後において国民的に道義が頽廃したという現象でもあろうし、また国鉄従業員が幾ら働いても生活のかてに追いつかないといつた、逼迫した生活苦という問題も大きな要素ともなりまして、まことに残念ではありますが、国鉄は大体全国的におりますので、その間には若干の世間の目に立つような犯罪が検挙されております。そういつたことをわれわれ考えた場合に、やはり国鉄の内部で、技能的な教育だけに重点を置かないで、一種の国鉄従業員に対する技能と教養とをにらみ合せた教育ということをやるということを、この機会に再検討する必要があるのではないか。もちろん総裁も御承知通り、国鉄の中においては技能のみでなくて、いわゆる人格の陶冶あるいは教養の向上といつたことを主眼とする教育が行われ、しかも貧しくて優秀な職員がその最高の教育機関に進学できて、しかもその事柄を通して、昔流に言えば自分の立身出世ということが望まれる。そういうことで国鉄は、教育の面においてもかなり他の省とは違つた特異なものを発揮しておつたのではないかと私は思う。またそのことによつて国鉄従業員の教養を高め、人格をみがき、あわせて国鉄特有の技能を相当に高めて来たことは、争うべからざる明白な事実だと思うのでありまして、そのことはかつての国鉄のことではありましたが、他に誇つてもよかつたのではないかとさえ今でも私は信じております。但し今日の日本は民主主義国家でありますから、国家が天くだり的な教育を行つて、個人の個性を無視した一つの型にはめて行く教育をやれと、私は今言つておるのではございません。今日の日本の置かれた至上の任務に従つて、それに沿うところの国鉄の青年諸君の教育を再検討して、この際独立の第一歩を踏み出すと同時に、国鉄自体の教育を考え直すということも、非常に大切なことではないかと思う。今の国鉄内部では、ほとんど技能一点ばりの教育で、たとえば下級従業員が何かの教習所に入るが、それは技能であつて、またそのまま職場に帰つて、一生転轍手、荷物扱いは荷物扱い、機関車乗務員は機関車乗務員というような状態でありますが、これでは私はいかぬと思う。やはり人間本来の心理を巧みにつかみながら、それを存分に発揮させるところに人間社会のうまみがあると思う。そういうことについてぜひひとつ考えるときが来たのではないかと思いますが、総裁の方針をひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  138. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 お説のような現象が国鉄の中ちよいちよいあつて、その数が目立つて来ているということは、まことに遺憾でございますけれども、私率直に認めざるを得ないと思います。これの対策につきましては、お説のようにやはり根本は教育にあると思います。まだるつこいようですが、根本的な改善は教育にある。しかもそれは今川島さんがおつしやられたように、若い従業員もあるいは年取つた方もそうでありますが、全従業員が人格の陶冶、教養ということに熱意を持つて行くように仕向けなければならぬ。それをどういう型にはめるかということは、お説の通りある一つの型にはめるべきではないと思います。私も東北あるいは北海道に参つて、いろいろ現地の従業員諸君にも接触し、またお話も聞いて来たのでありますが、最近は大分そういう方面に従業員諸君自身が気がつき出して、いろいろ教養、人格の陶冶という面に熱意を持つて来たようであります。従いましてこの機会に私とピントを合せて、ぐんぐん成績が上るようにして参りたいと考えております。教育の方法等についても、従来のように一箇所にとりまとめて教習所というようなところでやるのがよいのか、それと現場においていろいろな指導をして行くのがよいのかということについて考えております。これについては、映画でありますとか、あるいはラジオでありますとか、いういろいろな便利なものができておりますので、こういうものを利用して従来とは違つた新しい行き方で、あまり現場の人に手数をかけずに、こちらから出向いて行つて教えてあげるというような方法をとつたらどうか。また御承知のように通信教育も今やつております。また上の方の方々の再教育、中堅幹部の養成ということも、いたしております。これはどうしてもきわめて簡単なことを具体的に教えることが大事だし、またそうしなければいけないと思います。現場の従業員諸君は、長い間やつてつて当然わかつている。だからもう五年もやつた若い連中にもわかつておるだろうと思つておるかもしれぬが、それが先ほど申しましたように、戦時中のごたごたの関係上わかつていない。しかもそれが統制のもとで仕事をして来たので、サービスその他の点でわかつていない点がたくさんあるのではないかと思います。だから若い諸君を自分の子供をしつける気持でやつてくれと、幹部諸君に話をしておる次第であります。教育問題は重要ですから、ぜひやつて行きたいと考えております。
  139. 川島金次

    川島委員 予算説明によつても明らかでありますが、昭和二十七年度より旅客三・五%、貨物一・九%、しかも貨物のごときは、終戦当時に比較して驚くべき増強を見る方針であります。その数一億六千万トンに達する。こういうことを目標として、国鉄は国鉄の再建と経済の再建のために努力をすることになることはけつこうであります。これだけを見ても、昨年度に比して二十七年度は平均して二・七%、三割近い輸送増強をやることを目標としております。ところが一方において二万数千人の従業員を整理するということでは、結局労働者諸君の労働過重の犠牲の上に立つて、この大輸送計画を立てることにならないかということを、私は非常に心配するのであります。一方従業員諸君の組合の方からは、今日の組合員の生計の実態、国内のいろいろな物価の実情等をにらみ合せ、あるいは職分の完遂を目標としての計算の上から、新たなるベース・アツプを決定して、それぞれの平和的な機関を通じて、このベース・アツプを闘い取ろうという態勢に今日なつておる。終戦当時は別として、今日はできるだけ平和的に自分の生活問題を闘い取ろうというこの姿は、総裁といえども涙なくしては見られないのではないかと思う。暴力あるいは陰謀というものを排して、あくまでも政治上与えられた筋道を通して、自分の生計を守ろう、また国鉄の大輸送を守ろう、こういう平和的な健全な行き方を持つ組合員諸君の姿には、総裁は大いに敬意を表してしかるべきじやないかと思う。そこで今申し上げた国鉄の諸君が決定した賃金のベースアップが、日本の財政上あるいは国鉄の現状において、適当なものであるかどうかは別でありますが、国鉄の諸君はぜひともその立場をとりたいという熱意をもつて、立上りかけておるようであります。これに対してすでにそれぞれの手続は開始されたようでありますけれども、総裁におかれては、この健全な国鉄労働組合の運動のあり方に対して、十分関心を払いながら、賃金べース・アツプに対してある程度こたえる用意を持つてしかるべきじやないかと思いますが、総裁としてはこの問題を今後どう考えるか、聞かしていただきたい。
  140. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私が常にどういう態度で組合員諸君に応待しておるかということは、これはあまり個人的な問題にもなるかもしれませんが、川島委員よく御承知だと思います。私は常に組合員諸君に、私総裁なる者が自分のふところから出す金ではないのである。諸君が働き、諸君がもうけて、そうして出す金なんだから、そのつもりで話をしてくれ。しかしただそう言つたところで、経営の全体のバランスというものがあるので、そのバランスをにらみ合して、ともに栄えるよう、組合員諸君も繁栄しなくちやならぬ、同時に日本再建のための国鉄の力というものは相当大きな地位を占めるのだから、国民全体の利害から申しましても、これを健全なものにしなければならぬという、二つの面があるのじやないかという考え方でおります。ただいま申し述べましたベース・アツプの問題につきましては、これはひとつとくと考究をして、その上での問題になると思います。ただ考え方の全体としては、ただいま申し上げたように、両々相まつて行かなくちやならぬということを考えておる次第であります。
  141. 川島金次

    川島委員 最後に一言総裁に申し上げておきたい。御承知のように国鉄は、労働組合としても国内で最大のものである。この組合の右翼偏向あるいは左翼偏向のいかんは、日本経済はもちろん、日本民族の運命にもかかわる重大な力を示すものであることは、われわれも認めておる。従つて国鉄労組のあり方というものは、日本全体の労働組合のあり方に、大きな力をもたらすことは言うまでもない。従つてこの国鉄労働組合の今日の健全なあり方をすなおに受取つて、むしろ助長することこそ、日本国内における今後の労働組合運動の基本となり、それがやがて日本経済の自立達成への大きな力ともなつて来るのではないかとさへ思つております。総裁には理解と友好の上に立つて進まれ、この健全なる歩みを前進させて行くよう、重大なる決意をもつて万全を期していただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  142. 淺利三朗

    淺利主査 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時より再開いたします。     午後一時九分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  143. 淺利三朗

    淺利主査 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上林山榮吉君。
  144. 上林山榮吉

    ○上林委員 この前予算委員会において、村上運輸大臣質疑を試み、後刻調査の報告を願つたのでありましたが、それは二十六年度一般会計から繰入れた二十億円の問題についてであつたわけであります。そのときの説明によると、これは何も新線建設のために一般会計から持つて来たのではない、よつてこれはほかの方面に流用したのだ、ただそのとき、両院の運輸委員長あるいは政務次官等が協議の上、できるだけこれは新線に充当すべきものであるとの附帯決議はあつたけれども、本来の趣旨が決して新線のためではなかつたのである、但し五億円程度の別途の金によつて、新線の建設を希望に沿うようにやつたのであるという趣旨の御答弁があつたのでありますが、それはそういうふうに解釈していいものであるかどうか。ことに両院の運輸委員長と政務次官が立会いの上で協議をされたということは、それは単なる問題として扱つてよいのか。これは四角四面に言えばいろいろ複雑にもなりましようが、そこには四角四面にならないで、できるだけ新線の建設にこれを使うという強い趣旨が織り込まれておつたのではないかと私は了解しており、なおまたこれに関係した有志議員団の話も聞いておるわけでありますが、これに対しての大臣の答弁をさらにこの機会に伺つて、さらにこの問題に関連して一、二継続してみたいと思います。
  145. 村上義一

    ○村上国務大臣 ただいま二十六年度の車輌新造費二十億円という問題について、重ねて上林山さんからの御質問でありますが、総会の節に申し述べましたように、両院の運輸委員長並びに政務次官の打合せ事項を拝見しますと、車輌増備費として計算された二十億円は、新線建設費としてきわめてかつこうなものであつて、今車輌、特に貨車不足の際で、滞貨がずいぶん多い際であるから、これは車輌に充当せぬければならぬが、補正予算を考える際に、特に新線建設費を考慮すべきである、こういう趣旨の申合せがあるのであります。最初提出された予算書に印刷してあります通り、車輌増備費ということになつております。そのままで承認されまして、そのまま時日が推移いたしまして、補正予算を考慮する時期になつて、当局としても大いに考慮したけれども、なお滞貨が非常に多くて、貨車及び機関車の増備を第一にはからなければならぬという事態であつて、他の予定をされていた一般の工事をも方針を変更して、車輌増備費の方へ繰入れたというのが実際であつたのであります。そのために新線建設費に大きく割当することが不可能に相なつたというふうに承知いたしておるのでございます。但し新線建設の要望はきわめて熾烈なものがあるし、それで一般経費の中から約五億を捻出して、窪川線、赤穂線等三本だけを建設したのであるというふうに承知いたしております。この前にもその趣旨を申し上げたと記憶いたしておりますが、一応御説明申し上げます。
  146. 上林山榮吉

    ○上林山委員 これは有志議員団から承つた問題でありますが、一般会計から二十億円の予算を、車輌費の名目で大蔵当局からとる場合に、非常に新線建設をやつてもらいたいという趣旨を含んで、有志議員団がこれに協力したと聞いておるが、その点はそうであるかという点が一点、第二点は二十億円の金は、運輸政務次官としても両院の運輸委員長としても、新線建設に充当してもかつこうな予算であるということを申合せ事項として決議するということは、これは予算編成の技術といい、運営といい、あらゆる角度から考えてみても、こういう附帯決議ないしは申合せということはできるものではないわけなのです。しかしそういう申合せをしたということは、最初から新線建設に充当してもらいたいという含みがあつてのことではなかつたのか。こういうふうに考えられて来るわけであります。ことに第三点として伺いたいことは、運輸委員会あるいはその他の委員会において、この二十億の使途について、今どういう方面にどれだけ使つたか、あとの残つておるものは新線等に使う意思はないのか、こういうお確かめをしておるのに対して、一部は今言つた車輌の修繕その他に流用したけれども、大部分の金額が残つておるから、この金額は新線建設の方にできるだけ流用したいのであるという答弁を、前の運輸大臣かその前の運輸大臣かはよく承知しませんがなさつた、そういういきさつはないのかどうか。これは運輸大臣で無理であれば、事務当局からでもけつこうでありますが、その点はどうであつたのかという三つの点についてお答えを願いたい。
  147. 村上義一

    ○村上国務大臣 詳細なことにつきましては事務当局からお聞きを願いたいと思いますが、とにかく予算審議の当初印刷で提出されております書類には政府貸付金二十億円、その説明といたしまして、緊急輸送のための車輌増備に必要な財源を一般会計から借り入れるものであるという、簡単な説明がつけられておる。これはもう御承知通りであります。今御質問のように、最初この二十億を政府から貸し付けることに決定するに際して、これは新線建設の費用に持つて行くのだという話があつたとは、どうもこれによると考えられないのであります。但し総会の席でも申し述べましたように、あとの申合せ事項に特殊のものがあります。ああいう申合せ事項があるところから考えますと、何らかそこに若干の問題があつたということは想像されるのであります。その申合せは、今日そのコピーを持つておりませんけれども、一般会計からの貸付金は、新線建設の費用としてきわめてふさわしいものである。しかしながら今日輸送力が非常に不足しており、滞貨がすこぶる多いこのときにあたつては、車輌の増備にこの二十億を充当することはやむを得ないが、補正予算のときに考慮することにする、こういう申合せになつておる。そして補正予算のときに至りまして、一層滞貨がふえて来たために、他の工事をも削減しまして、車輌の増備に充てたというのが実情なのであります。それで五千七百輌の貨車を新造した、こういうことに相なつております。但し実際問題としては、新線建造の要望がきわめて熾烈であるから、三本だけをやる。そのために一般工事費から、というのは他の工事費からという意味でありますが、約五億を捻出して三本だけを建造した、こういうふうに承知いたしておるのであります。なお第三点の御質問につきましては、政府委員の方からひとつお聞き取りを願いたい。
  148. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 予算が残つてつて、新線建設の方に使えるという資金はないと思います。そういうお話がございましたらひとつ、内部の事情を存じませんので……。
  149. 上林山榮吉

    ○上林山委員 もう使つてしまつた金であるから、私はあまり議論を進めたくないのであります。しかし運輸当局と議員団とが協力して、財政当局から二十億円の借入金ができた。しかもこれは大臣説明通り、名目は予算としての形式を備えておるけれども、内容は適当な時期にこれを補正で流用するというような予算処置をとる含みがあつたのじやないか、そうやつている間に結局、修繕費とか設備費とかいうものが非常に必要な時代であつたので、そちらの方に最初の名目通り予算の運用をしてしまつた、こういう結論になつて来るのじやないかと私は前後の事情から思うのでありますが、特にその中間において、予算委員会であつたか、運輸委員会であつたか、その他の委員会であつたか存じませんが、あれはみなが苦労して、新線建設の金として実現したのであるから、いろいろな方面に使われておるそうだが、できるだけ使わぬようにして、補正によつて新線建設にこれをまわしてもらうようにしなければならぬというような質問をしたのに対して、一部使つておるけれども、まだそういう金は残つておるということだつた。二十六年度中の委員会における質疑応答の中で、確かに私はそういうことがあつたと記憶するのでありますが、そういうことはなかつたかどうか。私はほんとうはこの程度にしておきたいのですが、今後の新線建設に対してどれだけの熱意があるか、これが問題であるので、この問題のいきさつを頭に入れて運輸当局も考えてもらいたいし、われわれも考えて行かなければならぬという趣旨で聞いているわけなのです。なるほど予算の書類を見ると、おつしやるようになつておる。なつておるのだが、これははたして運輸当局が独力でおとりになつた二十億であるか、あるいは有志議員団の協力を得て、司令部との関係もあろうから、予算は形式上そういうふうにしてとるが、補正のところで新線建設の要望にこれを向ける、こういうような含みがあつたればこそ、両院の委員長及び政府を代表する政務次官であるか事務次官であるか知りませんが、そういう人たちがそのような決議をしたのです。普通ならば何も政府と国会の委員会とが、そういう申合せの決議をする必要はないのです。そこで問題なのですが、これは時間の関係もありますし、一問という約束でありますから、これ以上私は申し上げません。要は新線建設に対して、これは審議会の答申も得なければならぬと思いますが、大体現在の予算でどれくらいの新線建設を予定しておるか。どこをするかということは第二として、これは長いところと短かいところとあり、また単価も違うので、一概には言えないと思いますが、おおむね今回の新線建設にはどれくらい入れる腹構えを持つておられるか、この点を運輸大臣に伺つておきたいのであります。
  150. 村上義一

    ○村上国務大臣 お説の通り建設疑議会の御答申を待たなければ、的確なことは申し上げられませんけれども、大体私の常識として考え得ることは、まず二十億では六本か七本が最も好適なところではないか。もちろんお説の通りその地形あるいは工事の難易等、種種の点がありますが、大体から言つて六、七本程度が適当ではないかと思います。しかしながらまた考え方によりまして、十本くらいはできるのではないかという考えも持つております。各方面で工事に着手して中止した線が三十本近くもあるのでありまして、これらの方面はいずれもその完成の御希望熾烈なものがありますので、でき得る限りその御要望にこたえるようにすることもまた必要だと思います。十本くらいはやるのが至当ではないかと考えております。
  151. 上林山榮吉

    ○上林山委員 七本ないし十本くらいは常識上必要だという答弁を得たのでありますが、現在は司令部などの長いキロ数のところは除けという指示はなくなつているかどうか。今まではできるだけ短かいキロ数のところを優先的にやつた方がいいというような司令部の意向であつたようでありますが、現段階においては大分空気がかわつているであろうし、しかも大体講和発効後に着手する仕事でありますから、そういうことは全然関係がないとも考えられますが、この点はどうですか。ことに大臣としてはそういうことにとらわれずに、かりに四、五十キロ程度のものであるならば、その必要性に応じて審議会の答申等を参考にしてやつていいものだ、こういうようにお考えになつているかどうか。その点だけ承つて私の質問を終ります。
  152. 村上義一

    ○村上国務大臣 線路が短かいからやるとか、長いからやつてはいかぬというようなことは、私耳にしたことはありませんし、そういうことによつて決定すべきでないと確信しております。もしそういう話があれば、あくまで話し合えばわかるのではないかと私は思つております。これは必要によつて緩急をつけて行かなければならぬと思う。かりに非常に長い線だとしても、工事能力の上から言いまして必ずしも一年でできない。現在あります線は一年で仕上がるという線は、非常に少いと私は思つております。昨年かかりました線はいずれも一年で仕上がりましたけれども、二十七年度に着手するものは一年で仕上がる分は比較的少いと思つております。長い線ならば二年、三年あるいは四年かかるかもしれません。とにかく必要度の高いものを審議会は御選定になることと信じます。そういうものから着手して行きますが、これは必ずしも一年では仕上がらないということを御了承願いたいと思います。
  153. 淺利三朗

    淺利主査 この際ちよつと関連してお聞きしておきたいと思いますが、今上林山委員から新線の問題で質問がありましたが、鉄道建設審議会の答申を待つてということにして、一々審議会に重点を置くようでありますが、講和発效後における日本の鉄道計画というものは、経済再建の上において非常に重要な要素を持つていると思います。これに対して運輸省として、何らかの全国的に新線を敷設する構想をお持ちになつているかどうか。もしあつたらこの際それを説明していただきたいと思います。
  154. 村上義一

    ○村上国務大臣 大体から申しまして帝国議会当時に予定線の中から選定をいたしまして、予算を添えて貴衆両院を通過いたしました、いわゆる建設線と称しておりますものが、全部で約二千六百キロあつたのでありますが、この中で今日までに開業しておりますのは九百二十キロしかないのであります。千六百八十キロほどは工事を中止したり、また未着手のものであるのであります。もちろん帝国議会当時にかなり過去において選定したのでありまして、その後情勢の推移によりまして変化を来しております。必ずしもこの建設線からのみ選定さるべきものではないと思います。今日の客観情勢から見まして必要なものと考えれば、予定線の中からさらに選定をする、また予定線になくても選定するということも、何らさしつかえないと私は考えております。今お尋ねのどういう構想を持つているのかということでありますが、一面におきましてこれらの工事費、また地形の図面でありますとか、測量の結果の諸種のデータを、審議会にそれぞれ提出いたしているのであります。それがどこまで及んでいるか。これはひとつ政府委員の方からお聞き取りを願いたいと思います。
  155. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 いわゆる建設線は四十八線あるわけでありまして、その中から三十二線を選び出して、詳細な資料を審議会の方に提出いたします。敷設線のいわゆる予定線はたくさんありますが、予定線の中から九線、それから予定線に編入されておりませんけれども、現在の情勢で必要ではなかろうかと思うものが二線、これだけについて参考資料を審議会の方に提出いたしたのでございます。
  156. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 数字その他の問題につきましては、政府委員に伺うこととしてあとまわしにいたしまして、大臣はお忙しいかもしれませんが、おもな問題について御質問申し上げます。  大体新線建設に関しましては、今上林山委員並びに主査の方からも御質問があつたようでありますから、ごく簡単にいたしますが、大体二十七年度の新線建設に関しましては、一般会計の方からもう少したくさん貸出しができるもの、また貸してくれ、まわしてくれという運動を私どももやつてつたのでありましたが、当初は相当借入れができそうであつたのが、二十億ということに二十七年度も限定されてしまつて、少くされてしまつた。こういうことはまことに遺憾でありますが、このことは先般予算総会における冒頭質問におきましても、大蔵大臣に対しましていささか触れておきましたので、詳しくむし返しませんが、ただ私が言わんとするところは、この程度のものをもつてしては、新日本を建設するため、もう少しこまかく申しますれば、経済開発と文化の向上をはかるためにはまことに少いのであります。そこで今政府計画しておられる電源開発のために、相当巨額の経費を投ずる、他面においてはまたいわゆる資本の蓄積等の観点からもいたしまして、貯蓄債券を発行する、こういうような計画がある際でありますから、鉄道のいわゆる建設公債とでもいうべきものを発行いたしまして、これを新しい建設に充てる。特に新線を建設してもらいたいということを要望しておる関係地方の府県議会なり、あるいは町村議会等におきましては、もし新線の建設ができるならば、またその経費として債券等の発行ができるならば、その全部または一部を引受けてもよろしいという申入れを沿えて陳情いたしておるのが、私の記憶によりましても五つほどあるようであります。このくらいでありますから、この債券を発行してこの経費に充てろということは、まことに適切な方法だと思うのでありますが、この点につきまして大臣はどうお考えになつておるか、これを伺いたいのであります。
  157. 村上義一

    ○村上国務大臣 お説の通り二十億の金額では一キロ大体五千万ないし五千五百万を要すると思うのであります。五千万としても、わずかに四十キロの建設費しかないのであります。これくらいでは今の熾烈な建設の要望にこたえることは、非常に至難だということは私も痛感しておる次第であります。要するに国鉄の工事費が、本年度総額三百七十八億であります。二十七年度は御承知通り四百十七億になつております。私の見解から申しますと、この倍額くらいないと国鉄は生気をとりもどし得ないと憂えておるような次第であります。と申しますのは、建設線もさることながら、今老朽した車輌、施設が非常に多いのであります。つまり戦災をこうむり、またその後工事が施工できなかつたというために、これは取替経費と申しておりますが、とりかえて若返らすところの工事が遅れておるという分が非常に多いのでありまして、国鉄の首脳者の計算によりますと、今日それが金額で見積りますと千八百七十億にも達しておる。これは一面において、運転の安全度が非常に薄くなつたということを意味するのであります。事実昭和十年、十一年ごろの基準年次に比較しまして、今日は運転事故がちようど五倍に相なつております。これは明らかに国鉄に対して警鐘を乱打しておるものだと私は解釈をしておるのであります。ぜひともこの取替工事費を何とかして充足して、すみやかに今の設備をよくして、初めてサービスの完全を施行し得るのでありまして、今五等車が動いておる、六等車が動いておるという非難を受けるのは、まつたくそこなのであります。この遅れておる工事を五年間に取返すとすれば、一年に三百七十億ずつ工事費をかけなくちやならぬということに相なる次第であります。それから今後の取替工事費は償却でまかなうべきものでありまして、二十六年度の決算も三百四億円を計上して、二十七年度工事費に充当することに相なつております。その以外に政府から百十億借り入れる。そうして約三億円が不用品の売払い代金、この三口を合計して四百十七億ということに相なつております。今後の毎年の取替工事費は、償却で処理して行かなければならぬものだと思うのであります。その以外に電化を初めとして、あるいは複線工事をやらなければならぬ、またいろいろの改良工事を必要とする次第であります。それでこれらのものをすべて考えますると、かなり大きい金額にならざるを得ないのであります。ここ五年間ぐらいは大体今の倍額くらいの工事費をもつてかからなければならぬというふうに考えられる次第であります。さてその資金をいかに求めるか。ただいまお話のような鉄道公債を発行することは、日本国有鉄道法に認められておるのでありまして、この点について国鉄当局も、二十七年度において鉄道公債、社債を発行したいという意見が出ておつたのでありますが、予算委員会でも申し述べましたように、超均衡予算であるために、これを発行することを政府としては認めることができないという結果に相なつた次第であります。超均衡予算もいつまで実施せねばならぬものか、これはいろいろ皆様の御判断におまかせするよりしかたがありませんが、どうしても鉄道公債、社債を発行するか、何らかの方法によつて資金を求めんければ、一般国民の要望に沿うことができないと私は思つておる次第であります。
  158. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 先ほど上林山委員の御質問に対しまして御答弁申し上げたのでありますが、数字を間違えましたので訂正いたします。四十八線中三十二線と申しましたが、三十二は四十八の間違いでございます。これは建設審議会に対しまして、線路の実情を御報告申し上げたという程度のものでございます。これが候補者であるとか何とかいう意味合いのものではございません。ただ事務的に調査した結果を御報告申し上げたということを申し上げておきます。
  159. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その問題をもう少しつつ込んで伺いたいと思うのであります。ともかく超均衡予算であるというそのことは承知いたしておるのでありますが、一方におきましては政府の政策といたしまして、先ほど申し述べましたように資本の蓄積という考え方から、他の面においてあらゆる施策が講ぜられつつあるのでありますから、資本の蓄積という観点から考えましても、この建設に要する公債の発行はまことに適切なやり方だと私は考えておる。特に一部の者に懸念されておるような、予算の中に、鉄道の建設費が非常に多くなつたために、インフレに影響があるなどという間違つた議論をする人も中にはないでもありませんが、私どもの承知いたしておりますところは、過去におきましても鉄道の新しい建設は、いわゆる経済開発のために最も力あるがゆえに、これによつてインフレを激化したなんという例がかつてつたことを私どもは知らないのです。それほど鉄道の建設に関しては、いかに多くの工事費を使つてもインフレ等に影響はないということが、過去の例においても証明せられておるのでありますから、公債発行によつて建設費に充てるというこの問題は、ぜひともひとつ早目に解決ができるようにお願いいたしたい。なお先ほどもいろいろ御説明を伺いまして、まことに同感でありますが、その中で、前にもそういうことがあつたかと思いますが、建設に要するものは公債でこれをまかなうとか、あるいは改良復旧には益金を充てるとか、こういうような一つの方針をきめて、そこに重点を置いたやり方をやつて行く。こういうようなことについての御所信があるかどうか、伺いたいのであります。
  160. 村上義一

    ○村上国務大臣 なお先刻均衡予算の見地からということを申しましたが、それ以外に政府といたしましては、こういう公債等の発行は一手にやるべきだ、鉄道公債といい、電話公債といいいろいろのものを出すということは困るという意見がなおつけ加えてありましたから、この点補足いたしておきます。  それからお説の通りある地方で建設線をやる、その工事費を全額もしくは半額にしても、その地方で応募していただくということは、非常におもしろいやり方だと前から考えておるのでありまして、しかもこれがもしいわゆるたんす預金であるならば、決してインフレの素因にはならないと私ども考えております。なおお尋ねの建設費は鉄道公債により、改良工事費は益金によるということは、過去においてよく唱えられたことであります。その当時は相当巨額の益金が出ておつたのでありまして、大体はがき一枚と一キロの三等乗車運賃とが同額であつたのであります。その当時はがきは一銭五厘であり、鉄道乗車運賃は一キロ一銭五厘六毛であつたのであります。それから急ピッチで上つて参りましたが、今日では鉄道は一円八十五銭、はがきは五円になつており、非常な開きが生じて来ておるのであります。なお当時はうどん、そばの価格と同額であつたのでありますが、今日ではこれまた非常にかけ離れたものに相なつておるのでありまして、これは鉄道運賃の問題にただちに関連して来る次第であります。益金をもつて改良工事費に充当するという建前をとつて行くといたしますれば、これは一つのプリンシプルだと思いますが、そうすれば鉄道運賃をかなり上げなくてはならぬということになると思うのであります。この点も平素考慮しておることでありますが、また運賃の負担を多からしめるということについても、慎重な考慮をしなければならぬと思つておるような次第であります。
  161. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大臣の方にあとで御質問申し上げたいと思つてつたことと関連していることも出て参つたようでありますが、いわゆる国鉄の採算は、今のような行き方で成り立つかどうか、あるいは現状からだんだん進んで行つて、あまり遠くない時期にまた運賃値上げ等の問題が起らないか、こういう見通しについて御質問申し上げようと思つてつたのでありますが、ちようど大臣から似たような御答弁があつたので、それについて話を進めてみたいと思います。国鉄総裁の午前中の御答弁にもありましたように鉄道に対して、独立採算だからひとつ商売が成り立つようにやつて行かなければならないという議論と、一方においては公共性を持つたものであるから、引合おうが引合うまいが国民の要望のあるところには、建設もやつて行かなければならないのじやないかという議論もあつて、両極端のものができて非常にお困りになつておるようでありますが、その実情は私どもにもよくわかるのであります。でありますからその一方の議論をとりまして、いわゆる公共性という点から申しますと、国費をもつてつておるところの他の建設省や農林省関係等における公共事業と何らかわりない、もつとそれ以上に公共性を持つたものが鉄道だ、こういうことを言われますから、そこでお伺いしたいのは、こういう大事なものでありますから、先ほど御答弁になりましたように、公債は各種のものを発行したのではおもしろくない、一本にまとめて発行すべきだという議論が政府にあることはよくわかるのでありますが、それならば新しく計画をせられているところの貯蓄債券等のごとき性質のものが、一本に発行せられ、その中から鉄道の建設の方に何ほどか、相当多額のものをまわせば当然成り立つ主張だと思います。その点が一点。同時にその公共性という建前から考えまして、建設に使つた債券の利息に充てるものは一般会計をもつてまかなうべきだ、これは思いつきでなく私の長年の主張であります。この二つの点について大臣の御所見を伺つておきたいのであります。
  162. 村上義一

    ○村上国務大臣 今政府が一本にして募集しておりまする貯蓄債券につきましては、その成績いかんによりましては、適当な機会に鉄道借入金の方に充当して行きたい願望を私は持つておるのであります。  次の利息を一般会計から支弁することは、筋としてはこれは益金から支払うべきものであり、経費として支払うべきものではないかと私は考えているのであります。普通会社ならば配当に充当するものは必要なりと思いますけれども、利息だけは経費として支弁して行くのが適当ではないかと考えているのであります。
  163. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 第一点の方は御答弁によりまして御所信がよくわかりましたので、そのお考えをよく推進していただくように要望しておきます。  第二点につきまして、長年のやりきたりから考えますれば御答弁の通りであることは承知をいたしておるのでありますが、新しく平和條約が発効いたしまして、ことに新日本建設をして行かなければならぬ時代になつて参り、その新しい時代に新しい方法を案出し、実行して行くことは当然なことでありますのと、他にも赤字になつておる利息を一般会計の方で支弁してもらうということが、昨年あたりからちよいちよい出て参つておるのであります本年もそういうものが二、三あるのでありますから、努力の仕方によつてはそういうようなやり方ができるのではないかと私は考えておるのでありますので、その点はなお大臣にも御研究を願うことにいたしまして、この問題はこれでおきます。  次は海上保安庁の問題でありますが先般来予算総会におきましても大きな問題となりました防衛力に関連をいたしまして、海上保安庁と警察予備隊とが総理府に移るとか、その他の機構が新しくかわるところに移るやのことを聞いておるのでありますが、運輸省関係であつた海上保安庁が、新しい機構の方に移つて行きました場合、海上における保安の仕事、すなわち密輸であるとか密入出国であるとか、そういつたものの取締りは、どういうふうなやり方でやろうとお考えであるのか、海上保安庁が治安の任務の方に移つてしまつた場合に、新しく密輸や密入出国等の取締りに当る機関をおつくりになるつもりであるか、この点を伺つておきたいのであります。
  164. 村上義一

    ○村上国務大臣 海上保安庁の仕事の一部が総理府の方に移る案があることは、お説の通りであります。しかしながらどの範囲に移るかということは、まだ検討中であります。今お示しのような密入国、密貿易あるいは密漁の取締り、その他海上における犯罪の予防、捜査というような海上警察事務は、今日海上保安庁において航海安全事務とともにやつておるのでありまして、こういう航海安全の業務と警備救難の業務は、普通の船舶行政、航海行政のものと海上警察のものとであります。今日の海上保安庁の機構では、この二つの範囲を一歩も出ておらないのであります。海上警察事務、要するに警備救難の業務を新設の保安庁に移すということに相なります。これはいつもともに移るということに相なるのでありますが、海上警察の警備救難の業務が運輸省に残るということであれば、総理府にわかれる部分はほとんどないということに相なるのであります。警察事務が移るかどうかというのが今問題のわかれ目だと思います。
  165. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 私は昨年の行政機構改革の際に、海上保安庁の中に農林省の中の水産庁を持つて来い、こういう案を出して、総理やその他に説明して推進をしたことがあつたのであります。その際に私は考えたことでありますが、今大臣の御答弁のよりに海上の取締り等は依然として残すことになるであろう、こういうことであります。ちようどアメリカにおけるコースト・ガードのような行き方で、一朝非常時の場合においては防衛力としての任につく、ふだんの場合においては海上の保安の任につく、こういうような行き方が警備の上や日常の訓練の上からもよいのではないかという考え方を持つておるのでありますが、そういう考え方によつて大臣の声から新しい機構改革に対して、何らかの意見を御主張になるお考えはないかどうか。
  166. 村上義一

    ○村上国務大臣 お説の通り現在の海上保安庁の使命は、お示しのコースト・ガード・システムによつておるのであります。従つて先刻も申し述べますように航海安全業務、その他難船救済または密漁なり密入国、密貿易等の取締り、海上の犯罪の予防、逮捕、鎮圧といつたような警察事務等も、両方兼ねておる次第であります。密漁の取締りということは、厳格に言えば農林省関係であり、密入国等の取締りは外務省関係であり、また密貿易関係は大蔵省関係であると思います。しかしながら縦割主義を徹底せしめて、みなパトロールを持ち、それぞれ通信施設を持つてやるということになると、その設備は莫大であります。のみならずそれはまつたくのウエイストであります。それですべてを一括してコースト・ガード・システムによることに二十三年になつたのだと思うのであります。しかし船舶の検査であるとか船員の試験であるとかいうものは、もちろん運輸省の方に残るもので、ぜひとも運輸省でやらなければならぬものであります。さらに進んで燈台、標識、それから水路部の仕事、こういつたものもいわゆる警察事務以外であると思うのであります。問題は警察事務を持つて行くかどうかという点に、おそらく議論のわかれ道があるのだと思うのであります。運輸大臣としてこの問題についてどう考えるかという御質問でありますが、今総理府に保安庁を設けるということは承知いたしております。その保安庁の性質がどうなるかということによつて、この問題に対する考え方がおのずからかわつて来ると思うのでありますが、今その点について考究しておるような次第であります。
  167. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 郵政大臣かおいでになりましたので、郵政大臣に御質問申し上げます。時間の関係電通省関係のことをおもに御質問申し上げたいと思いますが、電通省を他の新しい機構にかえるというようなことについて何か御構想か御計画があるか、まず伺いたい
  168. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 電気通信省の機構改革と申しますか、国が直接やらないで、これを民営なり公社なりにするということにつきましては、過去相当長い期間にわたりまして研究を進めておるのであります。なおこの点につきましては衆参両院の委員会等におきまして、これをぜひ会社に移行するようにという決議もいただいておるのであります。従いまして、そういうような国会の決議等も尊重し、また真に業務能率が上るような改正を加えたいと思いまして、せつかく研究中であります。
  169. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで衆参両院の委員会の方でもそういう希望であり、かつまた大臣もそういう構想を持つておいでになるとすれば、近くそういうことが実現するであろうというようにわれわれにも予想せられるのであります。つきましてはこの際、昨日予算委員会においても問題になりました電気通信省の汚職事件について、野党の一部の方からやかましく言われたようでありますが、もとより私ども与党であるからむやみに擁護するというのでなくして、現大臣が就任前に行われた問題を、今の大臣の時代に論議せられ、そのことが今の大臣の時代に論議せられ、そのことが今の大臣の責任になるかならぬかということについては、もちろんはつきりせぬことでありまして、そういう論法で行けば、安政、嘉永の昔に起つた問題を、今責任を負わなければならぬということになろうと思いますので、そのことについてはあらためて申し上げません。その必要はないと思つておりますが、ただここにそういう機構の改革でもやるということになる際を考えまして、総覧的に申しますと、あの電気通信省関係の汚職事件というものが、どういう病根によつて出て来たかということであります。時間の関係で急ぎますから、私の方でよけい述べながら伺います。これは思うに、機構から生れて来た事件じやないか。かつて私は同じ趣旨のことを片山内閣のときにおきまして、機構から生れて来た犯罪であるということをかなり長き間にわたつて質問した経験を持つておりますが、その考え方から申しますと、今回のこの問題は、機構の不備なところから出て来たのではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。すなわち郵政省とわかれまして、電気通信省ができました当時以来、今日までの間の機構が縦割になつておる。こういうところから出て来た問題じやないか。もう少しこれを具体的に申しますと、工事関係であるとか、経理の関係であるとか、あるいは事業の関係というものが、横の連絡がなくて、縦割になつてしまつておる。こういうことを考えますので、こういうものは新しい機構に移す際に、従来の経験から見てやり直すお考えがあるかどうか、このことをまず伺つてから、次に進みます。
  170. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 御説のような点も確かに看取されるのであります。具体的に申しますれば、縦割のシステムに非常に能率的だというので、特に慫慂されたと思います。たとえば工事を請負に出す。同時にその人が金の支払もするし、また過誤等がありますれば、その本人が責任をもつて処理する。これは一面から言えば、非常に能率的であるには違いないのでありますが、わが国の行政機構から見まして、必ずどこかでチェックするようになつておるのであります。たとえば支払いをする。それが過誤払いのないように、支出をする者と工事を担当する者が別におりまして、その間に間違いがないように、お互いにチエツクするということになつておるのが普通でありますが、特に能率を上げるという意味において、一人の者にやらしておる。こういうことは比較的間違いが起りやすい、その人だけで処理されやすいという点が確かにあるのであります。根本的には何と申しましてもその当時の社会情勢なり、社会規律なり、あるいは道徳観念なり、こういうものを考えなければ制度そのものの運用はうまく行かないのであります。さかのぼりますれば、終戦後のあの混乱時代の遵法精神の欠如、こういうところにも根本的なものがあろうかと思います。ただいま御指摘のように、制度そのものといたしましても非常に簡単であり過ぎて、それだけに間違いが起りやすくなつておる、こういうことも見受けられます。
  171. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでそういうのを改める御意思があるかどうかということを伺いたいのであります。私の承知しておりますところでは、本省におきましても業務局と施設局と経理局とが、おのおの縦割の関係にあるようであります。特にその中で最も大きな役割を果しておる施設局に対して、経理をつかさどつておる経理局の方で監督と申しますか、連絡というか、そういうものが行われていない、こういうふうに聞いておるのでありますが、まず伺いたいのは、経理局と施設局との関係において、経理に対してどういうやり方でやつておられますか。
  172. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 お話を申し上げますと、長くなりますが、先ほどお尋ねのありましたように、今機構の欠陥をどういう点に見ているか、こういう意味合いでお答えいたしたいと思います。電通省の中で縦割のシステムができて、そのために本省の部局間におきましても、相互の連繋が十分とれないものももちろんあります。また同時に本省、地方通信局、またその下に通信部、それから管理所、そうして電話局、電報局というふうになつておるわけであります。この五段階のシステム等も管理者の目が十分現場の末端に届かない、こういうこともあるわけであります。従いまして監督機構と申しますか、管理機構を簡素、協力にすることが、まず第一でありましよう。また本省の部局にいたしましても、非常に多数の課があり、また局がある。これらのものももつと簡単にいたし、また今御指摘になりました工事担当の局と、経理事務を扱つておりますものは截然とわけまして、双方の協調がとれるようにいたさなければならない。ただいままでのところ施設局がある程度自分自身で予算を運用し得るようになつておる。この点にもいろいろ批判を受けるものがあろうと思います。これらの点は電通省全体の問題といたしまして、簡素に、しかも強力にして、十分管理者の目の届くような機構にし、また係相互間もお互いにチェックし合うような機構にかえて参りたいと思つております。
  173. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 四時までということでありましたから、非常に質問もしにくいし、御答弁もしにくいだろうと思いますので、私もこの程度にしておきます。とにかく私どもの聞いておつたことでも、大臣の御答弁によりましても、結局機構の上から出て来た問題が世の中に非難されて参つたのが、電通省の汚職事件だと私は結論づけて言うことができるのであります。でありますから新しい機構改革の際においてそれらの点について十分大臣の御手腕を発揮されるように希望をいたしておきますが、いわゆる機構改革になる前におきましても、こういう点は必要じやなかろうかと思うのであります。たとえば人事の問題等におきまして、地方に出た者は地方に出放しで、本省の中においても、本省のある部局にそのまま十年も十五年もおる。こういうことでは、一面においては非常にすぐれたところも出て参りましようが、一面においては大きな欠陥が出る。昔内務省でやつたみたいに、絶えず人事を異動して、地方から中央へ、中央から地方へと異動しますと、一方においては欠陥が出て来るが、一方においては非常に長所もある。こういう点もよく長をとり、短を捨てて行くべきであると思いますので、いわゆる機構改革等がもし近くあるとするならば、早い機会において大幅な人事の刷新的の異動によつて、当面の問題を間違いないように処理して——間違いないようにというのは失礼でありますが、大いに積極的にやつていただきたいと考えておるのでありますが、そういうお考えがあるかどうか。
  174. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 人事の適正配置は、もちろん事業を管理して参ります上からは、根本になる問題であります。従いまして私どももその考え方で進んで参るつもりでございます。ただ問題になりますことは、事業官庁におきまして最も大事な点は、従業員が動揺するということは最も困ることでございます。安心してその業務を遂行するということを念願しなければならないのであります。でありますので、ただいまの人事の刷新はもちろん絶えず計画をして参る、これは常時の問題であります。そうして適材適所の配置をして行くということに、この上とも努力して参るつもりでおります。同時にまた事業官庁の特殊性といたしましては、事業の実態を十分認識し、十分の知識を持たないと、りつぱな事業の遂行はできないように思うのであります。管理者になりましても、事業の実態をつかんでおらない、そのために部下の事務担当者がどういうことをやつているか、どういう間違いをしたか、これがわからないようでは、管理者の職務は尽せないと思います。従いまして事業官庁の特殊性といたしましては、幹部になる者はもちろん事業の実態について深い知識を持つ、かような意味から見ますと、やはり機会あるごとに現場と接触を保つて行く。それでこの人事が交流されることによりまして、初めてりつぱな運用ができるように考えるのであります。私どもも機構を簡素、強力化することと人員を適材適所に配置する。この二つを合せて電通省をりつぱな役所にいたしまして、そうして国民の利便を十分増進、確保し得るようにいたして参りたいと考えております。
  175. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御所信はよくわかりましたから、これで打切りますが、ごく簡単にもう一つ伺います。郵政省関係でありますが、郵政省予算の中に予備費というものがわずかに一千万円しか組まれていないようでありますが、予備費一千万円というのはどの省にもほかに例があまりないように思いますが、それほどの予備費で、一朝事があつた際に間に合うのですかどうですか。その点を伺いたい。  もう一つは、電気通信省の方にはもとより技術その他に対する研究所があるようでありますが、郵政省の方の関係において、能率を上げるなりあるいは技術を向上させるなり、こういうことのために何らかの研究機関が設けられているか、この二点を最後に伺いたい。
  176. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 予算費一千万円はいかにも少いようであります。いずれ私ども実行予算をつくります際に、各部局等におきまして適正な実行予算をつくり上げるわけでございます。それによりまして予算の運営はうまく参るかと思います。  第二点の教養の問題でございますが、ただいま二十四万の職員を擁しておりますので、部内におきまする職業教育はそれぞれいたしております。しかし私ども考えますのは、これらの二十四万の従業員を擁している大事業体といたしましては、職業教育ばかりではどうも不十分のように考えますので、さらに一般教育をも職場なりまた郵政省の教育施設等を通じまして、もつと人物、人格の陶冶ができるとか、教養を高めるというような制度をぜひとも設けて参りたい、かように念願いたしておりまして、文部当局に対しましてもその意味においてある程度の了解は得ている次第でございます。ただ御承知のようにただいまは新しい学制ができまして、その関係において郵政省自身がこれをやるということに、いろいろの難点があるやに見受けるのでありますが、どこまでも郵政省の学校機関を通じて、ただいま申し上げるような範囲をも加味しての教育を与えて行くということにいたしたいと考えております。
  177. 淺利三朗

    淺利主査 この際私から大臣に一言要望しておきます。従来郵政省電通省が一つであつた関係上、出先の窓口の郵便局と電報局、電話局が一つの局舎にあるのであります。しかるにその局舎が腐朽はなはだしく、これを改築しようとして、郵政省の方では予算をとつて、二十七年度からこれを着手しようとする。電通省の方は二十五年に予算をとつて、すでに敷地は買つておる。しかしながら二十七年度にはその実行はできない。これがために郵政省においては郵便局の改築ができない。現在電話局がそこにたな子として入つておるためにできない。こういう矛盾があるのでありますが、こういうことはすでに電通省で敷地を買つておるから、郵政省と軌を一にして、同時に改築ということに調整すべきであるが、大臣は両省の兼摂でありますから、こういうものはどうされるか。こういうことであれば各省予算をとつても、ばらばらになつて、ことに今日のせちからい予算において、敷地は早く買つて置いて、その金利を遊ばせておいて、将来いつ建てるか見通しがつかぬ、こういう経営方法はどうかと思うのでありますが、これらについて大臣は将来両者の間をどういうふうに調整されるか。その点について一言だけ伺つておきたい。
  178. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま御指摘のような箇所が、全国的に相当出て参つております。この点は両者の間におきまして十分相談をし合つて、そして順位をきめて参つて、解決をいたして参りたいと考えます。なおまた私が両省を預つております関係から申すのではないのでありますが、ただいままでの利用大衆から見ますと、郵便と電報はどうも同じような気持でお考えになるし、また速達、書留等の場合においても、双方同時に御利用になるような場合もありますので、省は違いますが、分離いたしますような際におきましても、あまり場所が離れないように何とかくふうをいたさないと、利用大衆が非常に迷惑するのじやないかというようなことも、実は考えておる次第でございます。従いましてこれらの点を考えますれば、両省の事務担当者相互間で、もつと連繋を緊密にいたしまして、協議を遂げて順位をきめて参り、ただいま御指摘のような点をできるだけ早目に解決をいたして参りたいと考えております。
  179. 淺利三朗

    淺利主査 時間がありませんから、いずれ他日の機会に意見を申し上げます。なお午前中尾崎委員より御質問がありました件について、政府当局より答弁がありますので、これを許します。寺本政府委員
  180. 寺本齋

    ○寺本政府委員 午前中尾崎委員からお尋ねがございまして、答弁を保留しておりました郵政省の労働組合の専従職員の数でありますが、これは昭和二十六年十二月末現在で百十一名となつております。
  181. 淺利三朗

    淺利主査 それでは運輸省関係質疑を続行いたします。尾崎君。
  182. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 運輸大臣に御質問申し上げる前提として、若干航空庁長官にお伺いします。まず第一に航空庁は終戦以来今日までどういう仕事をやつておられたか。この点をまず伺いたいと思います。
  183. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 御回答申し上げます。終戦直後逓信省にありました航空局は廃止になりまして、ただそのときに地上施設としまして飛行場の管理、あるいはラジオ・ビーコンの管理、あるいは航空燈台の管理というものが、一部占領軍のために利用されるというところから、この管理機関のみが残りまして、進駐軍の要求にこたえていたわけでございますが、その後、飛行場の建設というものが随時起きるに従いまして、空軍の技術者が不足を来した結果、それらに政府の技術者を派遣いたしまして、その技術の習得あるいは空軍への協力という意味で、飛行場へ土木あるいは建築、あるいは機械の技術者を派遣いたした。その後、あるいは通信施設の運用というものにつきましても政府職員の派遣、あるいはラジオ・ビーコンの建設保守というものにつきましては政府職員を派遣して、空軍へ協力をとつて来たわけでありますが、御承知のように一昨年民間航空事業の許可を受けるにあたりまして、一部GHQの覚書の緩和がありました。各地における航空機の修理というものにつきまして、その技術者のあつせんを航空庁でやつて来た、あるいは空軍の航空機に関する技術者のあつせんというものを続行してやつて来たわけであります。その後、民間航空事業の開発とともに、それらの経験者を充当して今日に及んで来ておるわけであります。
  184. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 施設及び技術等について、結局現在までに必要なることに対しては、それぞれの対策をおやりになつて来た、こういうことは一応わかりました。つきましては昨年あのダグラス使節団が来朝したのでありましたが、あの使節団が参りました後において、航空機の修理なりあるいは再製なり、生産なりに関して、どういうふうの動きがあるか、そういうふうの動きについて、おさしつかえない程度なるべく詳細に伺いたいと思います。
  185. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 昨年ダグラスの調査団が日本へ参りまして、空軍のいわゆる航空機修理というものの下請工場を、日本としてやる可能性があるかどうかということについて調査をしたわけでありますが、それにつきましてはいろいろ御承知のように、終戦直後から今日に至る間、航空機の製作というものは全部中止をされ、あるいは御承知のように戦争中にほとんど爆撃でこわれた部分が大部分でありまして、残る部分につきましては賠償という対象になりまして、それを確保されていたわけでございまするが、それらについて調査団はいろいろ調査をして帰つたわけでありますが、その際調査団の意向としましては、修理対象としまして、月に双発機十機、四発程度の飛行機五機、発動機二百基というものを対象にして、修理工場を回復する際に、各工場としてどのくらいの経費と、どのくらいの日月とを要するかという一つの問題を提案されたわけでありまして、その提案に対しまして、現在あります中島、あるいは三菱、昭和、川崎、川西、この五社がその提案に対して、各自の見積りを先方へ提出したのであります。その間航空庁といたしましては、極東空軍と十分の連繋をとつて、業者の設計に対しまして十分の援助をして来たものであります。
  186. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その業者に対する援助もしくは指摘と申しますか、そういうことの内容のおもなるもの二、三をお述べ願いたいと思います。
  187. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 たとえば工場の設計にしましても、今申しました提案に対する工場の容積あるいは機械の種類等をいろいろ検討して、そこに算出基準を設けて出した。あるいは修理でありますから、当然滑走路を必要とするわけでありまして、その滑走路の見積りあるいは設計というものにつきましては、航空庁として全面的に設計をしてお上げをしたというように、業者と航空庁とが一体になつて一つの見積り、設計を仕上げたというところでございます。
  188. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 一通りわかりましたが、そうしますとそういつた航空及び航空事業に力を尽した機関が、あなたの航空庁以外にありますか。
  189. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 私の存じておる限りでは、おそらくないと思います。
  190. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もう少し伺つてみたいのでありますが、そうしますと国際民間航空條約というものがあるのでありますが、この国際民間航空條約においては、主として航空機の運航及び生産に関して、その内容はどういう内容を盛られた條文になつておるか、その点だけを御説明を願いたいと思います。
  191. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 国際民間航空機構におきましては、航空機の運航、生産その他に関しまして、詳細な一つの規定を設けてあるわけでありまして、その規定は各国の技術者が寄りまして会議の上において、一つの航空機の国際基準というものを設けてあるわけであります。その機構に加盟しておる各国は、その基準に沿つて各国の基準を訂正しつつあるわけであります。従いまして日本におきましても、講和条約の条案にあり、かつまた宣言してある通りに、今後は国際民間航空機構の標準に従つて、日本のあらゆる航空機の制度、標準をのつとつて行きたいと考えておるわけであります。
  192. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その基準というものの内容は、どういうことになつておりますか。
  193. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 基準の内容は、実はすべてこまかくて、ちよつとここで申し上げるだけの資料がないのですが……。
  194. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 航空の運航に関することと、生産に関すること等についての参考になる点を、御記憶でありますれば伺いたい。
  195. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 航空の運航につきましては、一つの基準がありまして、地上統制というものに従いまして、すべての航空機は運航しなければならない。同時に、生産に関しましては一つの検査規定がありまして、その検査標準に従つた検査を実行しまして、かつ最後に耐空証明というものの発行をする。その発行に伴つて国籍が生ずるわけであります。その耐空証明のある飛行機でなければ、運航の用には供し得られない。関連性としてはその点でないかと思います。
  196. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますと結局航空機の耐空性ということが主になつておるという御説明と思うのでありますが、そうしますと航空機の耐空性を必要とする以上は、その耐空性のある航空機を生産することと相関連して来ると思いますが、私がまわりくどくこういう御質問を申し上げたのは、こういうことであります。最近通産省の方面から、航空機の修理もしくは再製、改造等を含めた生産行政を通産省の方に持つて来たい、こういうことがあるやにしばしば新聞に出て参りますので、そのことを大臣に御質問申し上げる前提として、航空庁長官のお話を伺つたのであります。大臣にひとつこの点についてお伺い申し上げるのでありますが、一体今の国際民間航空條約においては、今言いますような航空機の耐空性というものに非常に重点を置いている、こういう説明でありますが、通産省が言いますような、修理、再製、改造等を加えた生産行政というものを通産省に持つて行くその根拠として、新聞に出ておりますところを見ますと、通産省が資材を扱つているから、資材行政と生産行政は一貫したものでなければいかぬ、こういう議論のように新聞で見ております。ところが国際民間航空條約の趣意とするところは、耐空性というものに主を置いておる、こういうのでありますが、そうしますといわゆる航空機の運航に関する行政と、生産の行政というものとが一致しなければ、国際民間航空條約の精神にのつとつたような行き方はできないのじやないか。こういうことの大きな考え方が出て来るのでありますが、一体資材と生産との行政を一つにしようということと、運航と生産との行政を一つにしようということとの二つの議論の、どつちが大事だとお考えになるか。その点を大臣にまずお伺いいたしたいのであります。
  197. 村上義一

    ○村上国務大臣 お示しの通り資材の統制あるいは手配ということが、生産の上に相当重要であるということは、私も感じておる次第であります。しかしながら航空機につきましては、ただいまお聞きのように、耐空証明ということが非常に重大なポイントだと考えております。これは他のマス・プロをやりますものと異なりまして、とにかく一機が数億円を要するというようなものでありまして、ある工場で任意にこれをつくり上げるという場合に、今耐空証明を責任を持つてやる機関が別にある、そういうことでありますと、耐空証明を責任を持つて発行するためには、もう一度解体を要する。部品についてまでさらに試験を要するということにならざるを得ないと思うのであります。そういうことでは、この生産の発達というものは、しよせん至難であろうと思いますし、またこれを発注する側から言いますと、非常に迷惑しごくであり、のみならず経済的にも非常な損失をこうむる場合が生じて来ると思うのであります。いずれが重きやという御質問でありましたが、結論としては軽重の問題ではないと私は思つておるのであります。
  198. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。一体アメリカなどの航空行政の組織から見て、学ぶべきところが相当あると思うのでありますが、アメリカの航空行政というものは一体どういうふうなやり方をやつておりますか。大臣でも長官でも、どちらでもけつこうですが、御説明願いたいと思います。
  199. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 アメリカにおきましては、商務省の中に航空局があり、それをCAと申しておりますが、それが実行体でありまして、CABと申しまして、法律その他認可を取扱つているところと、二つあるわけであります。実行体といたしましては、今の航空局が実施しているわけでありまして、航空機の生産を対象にしている局は航空局でありまして、航空局の中に安全局というのがありまして、それが本部として総合的に報告をまとめて行政をとつている。その下に各地方に九つばかりの出先機関がありまして、そのうちに航空機の製造課あるいは整備課というものがありまして、その課から各工場に対して検査官を派遣して、航空機の生産工程における検査を実施しているわけであります。
  200. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今伺つた中でちよつと奇異に感じます点は、アメリカの航空関係の行政が商務省の中にあるということですが、アメリカには航空省とか航空庁というものはないわけですね。
  201. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 ありません。
  202. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますと日本における運輸省というようなものがないから、商務省の中にあるが、航空行政は一貫してやつておる、こういうふうに了承していいわけですね。
  203. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 今申しましたように、航空に関しましては安全第一だ、また安全のためには、その責任の帰趨を明らかにするというところから、アメリカの方針は出て来ているわけでありまして、今申しましたように一貫した一つの組織のもとに、民間航空局が取扱つているわけであります。
  204. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますと大体こういうふうに考えてよろしゆうございますか。わが国におきましても、もとより国際民間航空にマッチするようなやり方をやらなければいかないのでありますから、少くとも航空行政に関することは、一貫してすべてのものが一本でなければいけない。早く申しますれば、これが運輸省でやるか、通産省でやるかは別として、今航空庁は運輸省にあるのでありますから、結論としては運輸省になるかもしれませんが、少くとも航空庁というものの中に、運航に関しても、生産に関しても、あるいは検査に関しても、すべてのものが一本でなければならぬ。これでなければ、国際航空の水準から考えてみても、今後の実際の上から考えてみても、こういうことでなければならぬ、こういうことになるという結論になりましようか。
  205. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 私の意見を述べますと、今の御説の通りでありまして、日本の戦前におきましても、航空局が民間航空事業に関しては一本であつたごとく、また今申しましたアメリカが一本であるごとく、カナダ、イタリア、フランス、イギリス、すべて航空に関してはその局が一本であります。この点は世界各国とも共通であります。
  206. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 戦時中いわゆる国家総動員態勢の必要から、商工省が軍需省にかわつて、軍需省の中において航空機の生産あるいは資材等に関することをやつて行つたのは、なまなましい記憶でありまして、私も航空機生産の会社を三十六の工場を持つてつておりましたので、このことはなまなましい記憶を持つておるのであります。ところが終戦以来、その軍需省というむのはもとよりなくなつてしまつた。そこで伺いたいのは、軍需省の中にあつた航空機の生産、またはその他航空に関する一切のことですが、これに関する何らかの人なり機関なりというものが、現在の通産省に幾らか残つておるかどうか、あるいはまた軍需省にあつたところのものは、現在長官のおられる航空庁にみな来ておるのかどうか、この二つの点を伺いたいのであります。
  207. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 御承知のように終戦直後GHQの覚書によりまして、日本の航空に関するあらゆる政治機関、民間機関を通じまして、すべては禁止されたのであります。従いましてそのときの航空といわず、そのときの軍需省といわず、あらゆる政治機関から航空に関する行政は全部とられたわけでありまして、その機関が今日に至るまで残つているはずはないと思います。ただ許されているのは、航空保安庁としての現在の機構が、GHQから認められているという一つであります。
  208. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますと終戦後結局すべてこれに関するものがとりつぶしになつて何らどこにも残つていない。残されているものは、要するに許しを受けてやつておる現在の航空庁だけである、こういうことになりますか。
  209. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 お説の通りであります。
  210. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そういたしますればこの問題についての行くべき道というものは、相当明瞭になつたようでありますから、この程度でこれをおきます。  そこで大臣に伺いたいのは、この航空事業に対して一体政府はどういうやり方をやつておるか。あるいは補助なり助成なり、そういうやり方について、現在ただ民間航空事業にだけまかしておつたのでは、とうてい立ち上りにおいてうまく行くはずはないのであります。どういうふうにやればこれをうまく発達させて行けるとお考えになつておるのか、それらの補助なり助成なりの政策についてのお考えがあれば伺いたいのであります。
  211. 村上義一

    ○村上国務大臣 今後航空事業を育成して行きますについては、いろいろの点を考慮して実行に移して行かなければならぬと思うのであります。もちろん一面において飛行場の確保をし、その施設を完全にし、これを運営して行く、政府事業としてこれはやつて行かなければならぬことだと思うのであります。またその飛行場においての人的な施設も、政府のものを配置する必要があると思うのであります。または航空路も御承知通り、現在のところはきわめてわずかでありますので、これをさらに拡張する。拡張するということは、結局航空燈台、標識等を備えて行かなければならぬ。また飛行場間の通信機関を、有線、無線ともに完璧にして、その要請に応ずるようにして行かなければならぬということも考えられるのであります。特に操縦士、あるいは機長、あるいは機関士でありますとか、あるいは整備士でありますとか、あるいは管制官でありますとかいつたような人を養成する機関の必要であることも明瞭でありまして、この従業員の養成、特に技術家の養成につきましては、世界各国ともみな政府が行つておるところであります。これについては相当大きい規模の教材、施設を要するのであります。また優秀な教員も必要であります。これらをそれぞれ教養、訓練をして行くというにつきましては、その設備におきまして相当巨額な経費を要すると考えております。ただ現在のところ御承知通り製作、修理、あるいは組立て、運航、すべて禁止されておる現状であります。もちろん平和條約が発効しますれば、それらの制限は解消して、自由に一切の航空活動をなし得る。ただ先刻も御指摘になりましたごとく、平和條約の第十三條のC項にありまする国際民間航空條約を遵守して行く。これに関連して航空法を制定して、一般の準拠規定にして行くということは必要でありまするが、とにかく今後修繕工場、組立て工場、また滑走路等は、ただちに必要になつて来ると思うのであります。これらの点につきましても近く講和発効に備えて、今その筋にいろいろ交渉を進めておるような次第であります。一面学校、いわゆる教育関係の方では、今この操縦士等の教官になる人を、来月早々に、ごく少数でありますがオクラホマの民間訓練所に入学せしめるということにいたしております。なお年度当初に、予算案で御審議願つておりますごとく、約二十名の操縦士等を再教育いたすために、約三千万円を計上いたしまして、四箇月半の予定留学期間中の約半額を、それぞれ補助するという方法を講じまして、これは観念としましては航空技術学校の一つの芽ばえだというつもりで、予算措置をとつたような次第であります。
  212. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御答弁によりまして、結局生産技術あるいは施設あるいは航空の技術、それらに必要なる幹部になる人員、そういう問題についてはよく明らかになりました。なお将来に対するこれらの教育の御計画についてもよくわかりましたが、その前の補助の問題につきましては、結局伺いました飛行場であるとか、燈台であるとか、照明であるとか、通信機関であるとか、こういつたものはもとより国家がなすべきものでありましようし、これは一言にして申しますれば、いわゆる間接の補助であるように思いますが、直接の補助、この点は昨日もいささか郵政大臣に対しまして質問いたしたのでありますが、たとえば航空郵便料金等はすべて航空事業者にやる考えはないか、計画はないか、こういうような点から、いろいろ政府全体としての考え方について質問いたしておいたのでありますが、ここに大臣に重ねてお伺いいたしたいのは、たとえば税金の免税とか、あるいはその他何らかの形においての直接の補助とか、そうした今まで伺つた間接の補助ではなくて、直接の補助に関するような点についての何らかの御所見があれば伺いたいのであります。
  213. 村上義一

    ○村上国務大臣 現金で直接に補助するという方法よりも、お示しのごとく郵便逓送料金を比較的有利にとりきめる、つまり民間航空会社に有利にとりきめるということも、一つの方法だと思います。もちろん昨年十月十五日、民間航空事業を始めました当時から、郵便逓送は始めておるのでありますが、その料金の契約につきましては、いまなお本契約ができておらぬのであります。ただ一部の前渡金と申しますか、内金と申しますか、そういう支払いは今日民間航空会社が受けておるのであります。本格的の郵便逓送契約は、料率の点においてなお未定であります。しかしながら近く決定すると期待いたしております。この場合に、アメリカのごとく非常に航空事業の発達しておりますところでも、これは大体州の場合もありますが、政府は、航空郵便料金として郵便切手によつて個人から支払わしめる金額よりも、さらに大きい金を航空会社に支払つているというような例も少くないのであります。また一通々々はとにかくとしまして、その郵便物を搭載する空間をともかく計算いたしましてその一立方フイートに対して幾らとかいう、郵便物を搭載するしないにかかわらず、郵便物を搭載すると予定した空間に対して、常に全額の料金を支払うという契約もやつておるようであります。とにかく郵便逓送料金という点において間接な補助をしておるところが、米国においても少くないようであります。特に日本におきましては、この点もさることながら、石油類はわが国では需要量のきわめてわずかの部分しか生産ができないのでありますから、御承知のごとく飛行機で使います高度のガソリンに対しまして、特に消費税を免税にするといつたようなことは、ぜひとも必要なことだと考えておるのであります。これを実現せしめるために、種々今検討し、また交渉しておるような次第であります。
  214. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 私も時間の約束がありますから大体この辺でおきますが、要するに大臣並びに航空庁長官から伺つたことを総合して申しますと、急いで航空法を制定する必要がある。その航空法というものは、さき申しましたように航空法の中には、航空行政に関するものはすべて一本にまとめなければいかない、こういうことの結論になるようでありますが、大臣はその通り考えておいでになるかということと、その航空法というものをきわめて最近に御提出になるかどうか、この二点をあわせて伺つておきたいのであります。
  215. 村上義一

    ○村上国務大臣 お示しの通りに、ぜひとも航空庁一本でまとめるべきであると考えております。また必要なる航空法は、大体各般の検討を終えて、最近にも提出したいと考えておる次第であります。
  216. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体本日は私はこの程度にしておいて、明日国鉄に対しまして若干の御質問を申し上げて終りたいと思います。
  217. 淺利三朗

    淺利主査 大体通告の質問は尾崎君を残して終りました。  この際私から関連して、一、二確かめておきたいことがあります。それは先刻来鉄道の新線建設の問題、あるいは補修の問題がありましたが、災害復旧の問題はどうなつておりますか。たとえば山田線のごときは、二十二、三年の水害のために寸断されていまなお不通であります。先般再建の工事を開始したようでありますが、これが予算化されているのか。二十七年度以降いずれの予算によつて何年間にこれを完成するのか。もしおわかりならばその点を伺いたい。  第二点は、これは国鉄の運営のことであります。過日尾崎代議士が一ノ関まで出張されました。朝の二時に着いて、また翌朝の二時半の汽車で東京に帰つた。今北海道中心のダイヤを編成している関係で、盛岡から仙台の間は非常に不便であります。ことに「みちのく号」と申しまするか、あの急行列車のごときは、一ノ関の始発においては六時十五分、次の準急は九時三十六分であります。そうして東京に着くのは、急行列車は朝の五時二十分、準急は七時二十五分、一ノ関において三時間二十分早く出て、東京へはわずかに二時間五分しか早く着いておらぬ。そういう関係上、この急行列車はほとんどがらあきであります。二等車が百二十八席に対して、私どもの乗つたときはわずかに三十八人、特別二等車もこれに準ずる次第であります。こういう状態でありますれば、この急行列車は三等も非常に少いわけですから、その乗客が非常に少い。こういう運用をいたしますれば、鉄道歳入に非常に影響するところと思うのであります。こういう点はもう少し民衆の利便ということを考えて、ダイヤの編成を考えられるということが最も必要じやないか。ことに北海道だけが国鉄のお客じやないので、東北の人も客であります。岩手県には花巻温泉とか、あるいは釜石線、横無線、大船渡線、また小牛田にも秋田県に通ずる路線があるのでありますが、こういうものはみな犠牲になつております。こういう点について、何か国鉄においてはこういうダイヤの編成がえをして、もう少し国鉄の経済的運用をするというようなお考えがあるかないか。この二点についてひとつ明快なる御答弁を願いたい。
  218. 細田吉藏

    ○細田政府委員 山田線の復旧の問題について申し上げます。山田線につきましては御承知のように、非常に被害が大きかつたのであります。第一段の対策といたしましては、御承知の花巻から出ている釜石線の建設を急いだわけであります。引続きまして山田線の復旧でありますが、昭和二十六年度の補正予算から、わずかではございましたが予算を盛りまして、着工をいたしております。なお引続きまして二十七年度におきましても予算を見込んでおりますので、工事を続けて参りたいと思つております。  それから次の東北線のダイヤの問題でございますが、この点は御承知と思いますけれども、青函の航路に機雷が出まして、旅客船は日照時間のみにして、夜間の運航をいたしておらない次第であります。昨年の春以来数次にわたりまして、この日照時間がかわつて参ります関係から、ダイヤの変更をいろいろいたしております。それにいたしましてもこちらの上野を夜出ます汽車でありますが、この汽車が非常に込みまして、先ほどお話の「みちのく号」というのは、利用度が非常に低いというような状態になつております。東北線のダイヤにつきましては、何といたしましても在来のいろいろな関係から北海道——もちろん北海道だけ中心に組んでいるわけではございませんけれども、多分に青函航路の影響を受けているような次第であります。私どもといたしましてもこの「みちのく号」の時間が、列車といたしまして非常によくないということにつきましては、十分承知いたしておりまして、種種国有鉄道の方で研究をしていただいております。特に東北の旅客に対しまして、この点いろいろ研究はいたしているのでございますが、各方面の沿線の各地の要請が、必ずしも一致いたさないものでございますから、満足の行くようなダイヤになつておらないと思うのでありまして、この点につきましては国鉄当局において、研究してもらうということに考えております。
  219. 淺利三朗

    淺利主査 重ねて申し上げておきますが、この利用価値の少いダイヤで運転するということは、民間業者などと比較していかにも国鉄らしい運営の方法だと思うのであります。私は個々に統計は要求いたしませんが、朝の七時二十五分に上野に着くあの準急と、それから五時二十分に着くところの列車との収入を御比較になつたならば、愕然として改善を考えなければならぬ。もう少し民衆の利用価値ある運転をして、鉄道収入をはかるべきだということは、お心づきになると思うのでありますが、この点について将来の御検討を要望しておきます。  なお山田線は、二十七年度以降何年計画でこれを完成されるか、そのお見通しがついているなら、あわせてちよつとお伺いしたい。
  220. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 あの災害がなかなか大きいものでありますから、確たる見通しはまだつきかねておりますが、なるべく早い時期に完成したいと思つております。なお申し添えておきますが、これは建設費ではございませんで、工事費のいわゆる改良費で出しております。
  221. 淺利三朗

    淺利主査 これはすでに治水計画もできております。ことにこれは災害復旧でありますから、改良費というよりも、むしろこういうものは災害復旧費として予算をおとりになるべきではないかとわれわれは考えておりますが、将来の善処を要望いたしまして、本日は私はこの程度にとどめ、機会があつたら御懇談いたしたいと思います。  それでは本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より質疑を続行いたします。  これるもつて散会いたします。     午後四時五十九分散会