○野原
政府委員 小平
委員の御質問にお答えいたします。農林省といたしましては、国内における酪農を振興いたしまして、酪農製品を潤沢に供給することにいたしたいということで、畜産振興の計画を立てまして、着々その振興をはか
つておるわけであります。まだ
日本の酪農は、小平
委員のおつしやるように発展の初期にあるのでありまして、
従つて酪農方式も、農村におきましてはまだ十分徹底されておりません。
従つて集乳費が非常にかか
つたり、また酪農工場における処理費もかかるというような点、あるいはまた飼料等の対策も従来十分でなか
つたというような点から、どうしても生産されるものが高いのであります。国際市場と比べますと、非常に高くな
つております。他の諸物価に比べてバターは高くないというおり話でございましたが、ある時期を画して、物価の上昇率という点から見ますれば、お説の
通り他の物価との均衡上さほど高いとも思えないのであります。しかしながら現実の問題といたしまして、バターはか
つては非常に高級な、上流階級だけがこれを少量に愛好してお
つたというようなことから、最近はほとんど大衆の中に入
つておる。もつとなかなか高いバターで、
国民大衆が十分食べるわけに行きませんが、しかし最近は、著しく
国民の各層にもバターが愛好されるように
なつた。
従つてバターに対する
国民の要求というものは非常にふえておるわけであります。そういう点から見まして、あえてこれは非常に特殊な、高級な食料ではなくて、むしろ結核患者であるとか、栄養の問題から見ましても、非常に普及されなければならぬ食料の重要なものであると了解しておりますので、そういう観点から見ますと、この価格がどうも高過ぎるということにな
つて来る。
従つて他の物価との均衡において、外国から安いものを入れるということが問題になるわけであります。しかし農林省としましては、いたずらにこれを国際市場との競争、そのままするということは、せつかく発展の
段階にあります
わが国の酪農業をして、その伸びようとする芽をつむようなことにな
つては困るという点を実はおもんばかりまして、
輸入にあたりましては十分国内の酪農の将来の問題を考慮し、その影響を最小限度にとどめるように、また価格操作等の問題につきましても、これは当然安いバターと国内の製品の価格プールの問題もあわせ
考えて行きませんと、
日本の酪農界は非常な混乱に陥るのではないかという点を心配しておるのであります。根本対策といたしましては、いまさら申すまでもないのでありますが、要するに酪農の製品をもう少し豊富に、低廉にするという政策を強力に進める以外に、解決の道がないのであります。その点からいたしまして有畜農家創設十箇年計画というものを立てまして、畜産の振興に当
つておるわけであります。二十七年度には二十四億円の融資をいたしまして、畜産、主として酪農の振興に当るつもりであります。あるいはまた、乳製品、酪農製品の価格を引下げる問題に最も緊密な
関係のありますのはえさの問題であります。えさの問題につきましては、もつぱら自給飼料の生産に努めるという政策をと
つておりますが、ある程度濃厚飼料を購入するという問題もございますので、その点は近く飼料の需給調整法を
国会に提出をして、御審議を願うということにして、この価格につきましても、できるだけ安い飼料が生産者の手に届くような
措置を講ずるということを
考えております。あるいはまたこれに関連いたしまして、従来畜産振興上、非常に重大な問題とな
つておりました酪農家のサイロの問題であるとか、あるいはまた畜舎の改善、あるいはまた尿だめの
施設というようなことにつきましても、近く具体的な方途を講ずるつもりで着々研究を進めております。あるいはまた、非常に広大な地積を持
つておる牧野改善につきましては、二十七年度の
予算におきまして、これまたわずかでありますけれども、五千万円ほどの
予算を置きまして炭カル等を購入いたしまして、実験的に改善をはかるわけであります。これは非常に自給飼料の造成に役立つものでありまして、今後この
方面には特に相当大幅な
予算を投入いたしまして牧野改善をはかるならば飼料の問題はおそらく根本的に解決するというふうに
考えております その他水田裏作奬励、寒冷單作地帯における復興法案と関連いたしまして、自給飼料の造成に対しまして、大いに積極的な施策をやろうということで進めておりますので、おそらく
わが国の酪農も近い将来においては必ず国際の水準に達して、安いまたりつぱな酪農製品が潤沢に
国民に愛好される日日がそう遠くない。またそうあらねばならぬというようなことで、われわれは国内における食糧自給態勢の確立、強化という問題とあわせまして、総合食糧対策の一環としてこの問題を取上げ、着々進めて行こう、こういう方針であります。今回バターを究如として
輸入したという点につきましては、全国酪農家の諸君が非常に将来を心配されておりますが、これは
一つの衝撃でありましよう。おそらくその点については、
政府の施策について非常に心配されておる方もあると思いますが、
政府におきましても、
輸入についてはある程度のコントロールは当然しなければならぬと
考えております。生産農民に対する
保護指導の上からい
つて、安いからと
つてむやみにどんどん
輸入せられるようなことは、農林当局としてはあくまでもやめたい。ある程度の
刺激、あるいはどうしても絶対量の足りないものについての補給という点については、
輸入によ
つて補う以外にありませんが価格操作におきましては、安いバターと高いものとの。プール等の問題もあわせまして、この問題の影響をできるだけ少くするような方途を講ずることに
努力したいと思うのであります。