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1952-05-19 第13回国会 衆議院 予算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十九日(月曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 塚田十一郎君    理事 有田 二郎君 理事 上林山榮吉君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 苫米地英俊君 理事 井出一太郎君    理事 川島 金次君       尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君       角田 幸吉君    甲木  保君       川端 佳夫君    鈴木 正文君       田口長治郎君    玉置  實君       中村  清君    宮幡  靖君       中曽根康弘君    早川  榮君       平川 篤雄君    藤田 義光君       西村 榮一君    木村  榮君       山口 武秀君    横田甚太郎君       世耕 弘一君    小林  進君       小平  忠君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         通商産業大臣  高橋龍太郎君         国 務 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾トシ子君         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 五月十七日  委員小川原政信辞任につき、その補欠として  増田甲子七君が議長提名委員に選任された。 同月十九日  委員志田義信君及び黒田寿男辞任につき、そ  の補欠として小野瀬忠兵衞君及び石野久男君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  予算実施状況等に関する説明聽取の件     —————————————
  2. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 これより予算委員会を開会いたします。  先週の会議に引続きまして、これより質疑に入ります。中村清君。
  3. 中村清

    中村(清)委員 私は、実は外交問題に関連いたしまして、岡崎外務大臣の御答弁を求めたいと思つてつたのでありますが、本日はまだおいでにならないようであります。そこで私は外交関係のうち、経済的な問題に関しまして、特に周東安本長官の御意見を承りたいと思うのであります。  先日の本委員会におきまして、吉田総理大臣から、外交の基調は経済に暑くというお話がございまして、私はまことに当を得た御意見と意を強ういたしたのであります。いよいよわが国政治的に独立いたしましたけれども、何を申しましても経済自立ということを主眼に置かなければ、日本の前途は暗やみと思うのであります。そこでわが国国際収支改善ということになりますが、これには今七億ドルの外貨があると申しましても、それは特別需要に基くものでありまして、やはり本筋は貿易の振興ということにまたなければならぬのであります。ところ外国の情勢を見ますと、どこもかしこも輸入制限輸入の割当というふうなことが非常に多いのであります。これでは日本を含めまして国際経済改善ということはとうてい望むべくもない、全世界のために惜しむのでありますが、特に私は最近起きました問題のうちで、アメリカにおけるまぐろ輸入関税の問題につきまして御質問をいたしたいと思うのであります。  まぐろの問題については、先般カン詰について新しく税金が課せられまして、われわれまことに遺憾に思つてつたのでありますが、また今回今度は原料のまぐろについての輸入関税を設けるということであります。     〔委員長退席有田(二)委員長代理着席〕 これは事外国に関することでありますから、慎重を期さなければなりませんが、しかしながら政府当局は、わが国の実情について関係国認識を深くすることに努力せられて、適当なる手段を講じていただきたいと思うのであります。これについて政府側はいかなる情報を入手いたしておられますか、これについてまず周東安本長官にお伺い  いたしておきたいのであります。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えします。ただいまのまぐろ輸入関税の問題に関しては、お話通り、私もこれが課せられるということは非常に遺憾に思います。政府としても、業界人たちがこの前に行つたときも、ぜひ日本に対するまぐろ輸入関税をかけないようにしていただきたいというような話合いはしておるのでありますが、向う業界の方では——やはり製造業者の方の方が主であると思いますが、これに対して強い希望——関税をかけるようにとの希望を持つておるようであります。しかしこの間新聞に出ておりましたように、アチソン長官の反対が出ておりましたが、政府の部内にはこういう考え方が強いようであります。まぐろの輸出というものは、日本にとつては非常に重大な問題であるけれども、アメリカ側にとつてはさほどの問題ではない。むしろこういうものをかけることによつて日本アメリカとの間の関係がおもしろくない感情に至ることを避けるべきであるという考えのようであります。私どもは、ぜひそういう考え方のもとに、関税がつけられないようにしていただきたい、こういうふうに努力いたしております。
  5. 中村清

    中村(清)委員 ただいまの御答弁で意を強ういたしましたが、ただ問題は、政府当局から問題が起つたのではないのであつてアメリカ国内における業者の御意見が非常に国会に反映しておると思うのであります。そこで私はこの際、今後の外交あり方ということに結局関連するわけでありますが、わが国の方の側といたしましても、業者から向う業者へ、さらにまた向う国会方面へ、いろいろ善処願うように働きかける、こういうようなことに力を注いでいただきたい。このまぐろの問題はただ單なる一例でありまして、今後この種の問題が非常に起つて来る。世界経済は、自由主義国の間におきましても、やはりポンド圏ドル圏にわかれておるというような状況でございまして、どうしてもこの際アメリカ世界経済指導的地位にあるわけでありまするから、政府におかれましても、これが打開に最善の努力を尽していただきたい、これをお願いいたして、私の質問を終ります。
  6. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 答弁はいりませんか。
  7. 中村清

    中村(清)委員 よろしゆうございます。
  8. 有田二郎

  9. 川島金次

    川島委員 最初に、大蔵大臣に若干お尋ねをしたいと思います。  これは先般私がちよつと糸口だけをお尋ねした問題なのですが、まず日本経済自立達成の上にとつて重大な関連を持つておるものと、政府考え国民もまた重大な関心を持つております外資の問題であります。大蔵大臣も御承知通り、この外資導入については先般もちよつと申し上げたのですが、吉田総理みずからがすでに今国会の劈頭において、施政方針演説の中に、日本経済自立達成のため、ことに電力の大規模な開発のためにも、外資導入の必要であるということと、あわせて相当額外資が入つて来るであろうという確信ある言明をされております。言葉表現は、ことに本年における政治の究極の目的外資導入にありとさえ言明されておる。その見通しのもとにおいて、政府は今後の日本経済自立達成に向つて力を注ぐのであるという旨が明らかにされた。その後総理大臣も一、二の箇所において、やはり同一のことを繰返し言明して、国民外資の有望なる旨を強調されて来ておる。しかるに、この間もお話を申し上げたのですが、大蔵大臣は最近における経済同友会の席上においては、外資導入は現状の段階においては、まつた見込みがない旨を強調されたやに伝えられておるのであります。この事柄は、先般の答弁によりますと、総理大臣言明が従来とは非常にかわつて来たという感じを強く受けまして、むしろ大蔵大臣言明の方が政府見通しのようなものであるかに私は印象を受けたのであります。この外資導入問題は非常に重要な事柄でありますので、ここで重ねて政府のこの問題に対するところの従来の見通しとかわつて来た事情、そしてこの問題に対する今後の新たなる認識の上に立つた見通しを、この際あらためてひとつ大蔵大臣から言明をしてもらいたい。こういうことによりまして、今後国民日本経済自立達成を推し進める上において、もはや外資が当てになるのかならないのかによつて心構えも非常にかわつて来るでありましようし、さらに政府自身の今後におけるところ経済財政諸政策の上にも、大きな転換がなされなければならない事情に来るのではないかと考えられますので、くどいようでありますが、さらにお尋ねをしておきたい。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 政府考え方は従来とかわりございません。外資導入につきましての見通しにつきましては、ある程度楽になつたのか、きつくなつたのか、これはなかなか現がむずかしいのでございますが、外貨が予定以上にたまつたということは、貸手の方から見ますと、そんなにしなくとも外貨があるのではないかという考え方から行けば、マイナスの方であります。しかし外貨が非常にたまつて日本経済がそれだけ信用度を増したということになれば、これはプラスの方でございます。そこでいろいろ議論をせられますが、外資というものは政府借款であろうが、ワールドバンク貸付であろうが、輸出入銀行のそれであろうが、民間投資であろうが、お金にかわりはない。従つて今あなたの問題にされているのは、政府借款か、あるいはワールドバンクからの貸付か、こういうことになると思います。それ以外の輸出入銀行並びに民間投資というものは、よほど順調に進んで行つております。こういう点から申しますと、問題になつているワールドバンク並びに政府借款というものになりますと、前提要件として二つあります。一つは、国際通貨基金加入いたしましてワールドバンクから借りる問題、もう一つは、今までの政府借金をどうして払うかということによつてこれがきまつて来る問題、こうあるのであります。従いまして、われわれといたしましては、ワールドバンク並びに政府借款の問題については、できるだけ早く国際通貨基金の方に加入すると同時に、今までの借金をどういうふうにして払います、こういうことをきめてからの方が、これからの借金が楽なのです。民間あるいは輸出入銀行を通じての分は、大してこれに影響ありません。影響はもちろんありますが、決定的なものではない。そこで外資導入をしなければならぬという政府方針に一向かわりはありません。しこうして、いつ、どれだけの金が来るかということにつきましては、なかなか見通しがつかぬ。これは一に向う日本に対する信用をどの程度つてくれるか、また日本がどの程度外国からの信用を得る資格があるか、こういう問題であります。具体的には、外債支払い具体的方法をきめること、並びに国際通貨基金加入すること、この二つができますれば外資導入が非常に楽になる。方針かわりはありません。見通しの問題としていろいろな問題があるのでありますが、これは両者のいわゆる相互信頼相互の力のあり方、この問題でありますので、こういう問題はコマーシャル・ベースでありまして、あまり議論をしてみても、議論倒れになるのではないかと思います。
  11. 川島金次

    川島委員 私はこの問題で政府議論をしようという意思は毛頭ありません。先ほど申し上げましたように、かりそめにも政府最高責任者である吉田総理議会において言明され、そして議会外においてもしばしば繰返しておる。     〔有田(二)委員長代理退席小峯委員長代理着席〕 しかも、その外資導入ということについて、われわれ国民側の理解するところによれば、今大蔵大臣の言われました外資のうちの、政府借款あるいはワールドバンクからの借入れ、こういうことを中心としての外資であろうと、国民総理言明を理解して参りました。その言明がさらに、最近のことでありますが、去る九日の日商の総会の席上においてすらも、外資導入必要性総理みずからが強調し、しかもそれに対して十分の確信があると言明をいたしております。そういう立場政府最高責任者はとつて国民言明をし、外資をめぐつて国民期待を強めたわけであります。そういうことである以上は、政府において十分なる見通し確信を持つてやられているであろうということは、国民が常識的にそれを理解し、期待するということは、当然のことであると私は思うのであります。しかるに今大蔵大臣お話によると、もうその事柄は何か元へもどつて来て、これから外資の問題について検討をするかのごとき言明であります。そういうことになりますと、今まで最高責任者である総理の言われて来た、しかも国民に多くの期待を強めさせて来た問題が、ここに至りまして急遽何かあいまいなものにかわつて来たという印象を強くせざるを得ないと私は思う。ことに政治家の、しかも最高責任者言明というものは、国民に大きな影響期待とを与えることは、言うまでもありません。それがかわつて来たということについては、何か根拠があるのであろう。いたずらにただ総理大臣施政演説を述べたり、あるいは財界の有力者の会合の席上で、そういうことを繰返して来たのではないと思う。しかもそれがつい最近まで言明されて来た問題である。それがかわつて来ておる。そこには国民の側からいえば、従来総理大臣の言つている外資というものは、政府借款であり、あるいはまたワールドバンクからの借入れという問題を中心としての外資導入であるということを理解して来ておつた。それをまた国定の多くはその言明従つて期待をかけておつた。それが突如として何か挫折するのではないかという感じを強めている。この現実の問題に対して、この間の事情というものを国民の前に明らかにする責任政府にあるのではないか、私はこういうふうに考えるのであります。この間のいきさつは、くどいようでございますけれども、非常に大切な事柄だと思いますので、もう一ぺん大蔵大臣お話を承つておきたい。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 外資導入は、政府借款並びにワールドバンクに限つたものではございません。経済的に見ましても、先ほど申し上げましたようにどの型でもいいのであります。政府外資導入に関する方針がかわつたとか、挫折したとかいう問題はないのであります。何ら従来とかわつてはいない。政府外資導入につきましてはできるだけの措置を講ずる。すなわち今国会におきまして外資法の改正をいたしますとか、また民間の方にアメリカの方からの物資の輸入について輸出入銀行協力を求める、こういう方向も進んでおります。それから今のお話国際通貨基金ワールドバンクからの借入れ、これにつきましてももうこちらから加入申込みをしております。近いうちに九月の総会まで待たず加入し得ることと考えております。また政府借款前提ともなるべき昔の外貨債支払い方法につきましても、政府部内におきましていいろな方面の知識を集めて研究もいたしておりますし、また在外事務所を通じまして向うの意向も聞くようにしておりまして、外資導入につきましては政府は全力をあげてこの準備をいたしておるのであります。何ら外資導入は頓挫したというような問題ではない。ただ表現をどうするか、外資は入れなければならぬ、また望みもあります。望みのないものなど努力しない、望みもあります。しかしなかなか楽ではない、相当困難である。すなわち今までの借金をどういうふうにして払うか、こういうことが今後の借入金につきましても一つのスムーズに行くか行かぬかのバロメーターになるわけでございまして、そういう点は政府はもう日夜検討を加えておる状況であるのであります。
  13. 川島金次

    川島委員 これ以上お尋ねしても、どうやらのれんに棒押しみたいな感じがいたしますのでやめます。  そこでさらにお伺いしますが、今大蔵大臣の言われる開発銀行への借入れの問題、それについても何か今のお言葉では非常に確信のあるような具体的なお話でありました。その問題についてその後の政府のとつております状況などについて、この際あらためてわれわれはお聞きしておきたいと思うのでありますが、どうぞそれをひとつ御説明願いたい。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 国際通貨基金加入また国際開発銀行への参与の問題については、向う理事会日本のクオータ、持分をきめるのが先決問題であります。この持分につきまして二億ドル説と三億ドル説とがありまして、われ日われは極力三億ドルを主張しておりますが、大体二億五千万ドルでおちつく通しであります。われわれは三億ドルを一応二億五千万ドルに下げることを了承いたしまして一億五千万ドルで加入を申し入れております。実は九月くらいまでにきめればいいのではないかというので、三億ドルでがんばつたのでありますが、二億五千万ドルなら早急に加入ができる、三億ドルならば九月でもとてもだめだろう、こういうふうな見通しになりまして、二億五千万ドルで申込みをいたしております。これは一、二箇月のうちには私はできることと確信しておるのであります。
  15. 川島金次

    川島委員 そのことが予期いたしておりますように実現することをば強くわれわれも望む一人であり事。私はこの開発銀行のいろいろの事情については、詳しくいたしておりませんのでついででありますからこの機会お尋ねしておきますが、かりに政府の申し入れております一億五千万ドルの持合加入ができたといたします。開発銀行の従来の慣例といいますか、そういつた形においてその持分によつて加入いたしましたあかつきにおいて、もちろん日本のいろいろの諸事情にも支配をされることであることは想像にかたくないのでありますが、そのことによつて日本が必要とされる将来における借入額というものは、従来の開発銀行世界各国になしておりました事情等に照し合せたならば、どのくらい見込まれる形になるのか、その点は政府はどういう見込みでありますか、それをひとつ伺いたい。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 相手方がきめることでございますから、私が日本大蔵大臣として、これだけ借りられるだろうということは、言明いたしたくないと思います。
  17. 川島金次

    川島委員 先ほど大蔵大臣お話では借入れ申込みをしている、こういう私は言葉のように理解したのであります。そこで私はそれをちよつとこの場合聞いておきたい、こう思つたのですが、そういうのではなかつたのですか。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 借入れ申込みでなしに、加入申込みをしているのであります。
  19. 川島金次

    川島委員 そうして少くとも一国の政府がその規定に基いてこの機関に参をいたします。参加をいたしますのは、とりもなおさず国際開発協力するという建前をとるという一方の立場ももちろんわれわれは理解されます。しかしながら日本のこの乏しい経済事情を、何らかの形でこの機関を通じて打開するという一つのてこになる力を借りたい。こういうこともやはり加入する一つ条件であり、希望であつたろうと私は思う。従つて二億五千万ドルの問題でおちつけてこの持分加入するからというには、国際経済への協力はもちろんであるが、同時にあわせてこの持分をもつて日本にも大きな経済援助をしてもらおうということを、十分考えに置いての私は加入であろうと思う。そういうことになれば、必然的に将来この機関への加入によつて日本に対するところ借入れを、あるいは援助というか協力を、同時にしてもらいたいという若干なりと心構え希望というものがあつてしかるべきだと思うのです。そういう意味合いにおいて、これは確定的な話でなくてもけつこうと思いますが、国民立場から申しますと、相当期待をしている問題でもありますので、大蔵大臣としての希望なりあるいは見通しなり、そういつたことについて、従来の開発銀行がとつて来たいろいろの事情等も勘案して、この程度ならひとつ見込まれるのじやないかというような腰だめ程度のものがあつてしかるべきじやないかと思う。そういう点についてお尋ねしているわけであります。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ加入をしておりませんので、借入れの総額並びに条件等につきましては申し出ておりません。また自分のいろいろな考えがありますが、国内金融的の問題と、また開発銀行世界開発基金にどれだけ余裕金があつて、どれだけ社債を発行しようとか、こういう問題もありますので、今私がどれだけ借りたいと思うということを、ここで申し上げるのは早過ぎると思います。
  21. 川島金次

    川島委員 早いおそいを論じてしまうならばこれは何をか言わんでありますが、しかし少くともこういつた問題に対して、二億五千万ドルという少からざる持分をもつてこの機関に入る場合には、それはやはり入るだけの目的というものがある。その目的達成するための加入なのた。そういうことになれば、まだ加入は決定していないから言明の時期ではないといえばそれまででございますけれども、少くとも入るということがきまつた以上は、やはりきめる前にその機関を通じての協力というものを具体的に期待をして入ることなのですから、そういうことについて率直に私はこの機会大蔵大臣としての考え方なりを承つておきたい、こう思つたのでありますけれども、それがあなたには時期尚早で言えぬということでありますならば申し上げないことにいたします。 そこでさらに私は続いてお伺いいたしたいのでありますが、何にいたしましても、政府の最近言明によると、われわれ国民が理解する範囲におけるところ外資導入というものが、そうやすやす見込みのあるものではない、きわめて困難な事情であるということが、国民の前に今回は明らかにされたと私は思うのであります。そこで引続いてお尋ねするのですが、総理大臣もしばしば言明しており、大蔵自身言明しておるのでありますが、何といつて日本独立経済自立だ。経済的独立のないものに何の独立があるかということは、政府がしばしば言明し、国民もそうであろうとこれには同感をいたしております。そこでその経済的な自立経済的な独立達成いたしますために、外資の問題が大きく登場して来たのでありますが、その問題が当面非常に困難だということになりますれば、外資導入という問題の以前に返つた立場において、日本経済自立達成というものをもつと真剣に考え直さなければならぬ事柄ではないかと私は思う。ことにこの過大な人口をか場かえ、きわめて僅少なる資源の上に立つて、非常に運命的な日本経済条件の上に立つたこの日本経済をして、真に独立国にふさわしい経済自立達成させるためには、私は非常に真剣な立ち向いというものを必要とするのではないかと思うのです。そこでこれは安本長官にあわせてお伺いしたいのでありますけれども、外資導入の問題を離れて、一応日本経済自立というもの自体も真剣に考えておく必要がある。外資々々と言つて国民期待させたり、あるいはまた政府自身期待をして、その事柄がまつたく困難なような事情に陥つた場合においては、相当考え直さなければならぬ事柄である。国民としてもこれについては重大な関心を持たなければならぬことになりますので、そういう一連の外資導入という問題を抜きにして、日本の自力において自立達成をするという、この独立後におけるところ経済自立達成構想が、新しく生るべきではないかと私は感ずるわけであります。これについてひとつ大蔵大臣並びに安本長官の新構想を、独立経済構想というものを伺つておきたいと思う。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 川島君は外資導入が困難だと言われるが、困難という言葉には二通りございます。不可能のように思われるのだつたら少し違うのでございまして、私は可能を前提としての困難です。だから外資導入はできます。できますが、その前提措置として、外貨債の処理とか、国際開発銀行加入の問題とか、いろいろの点がありますので、これを踏み越えなければならぬ、こういう意味でありまして、私は困難ということは可能である困難である、こう御承知おきを願つておきます。しかもまた今の場合におきましては、手持ちの外貨がドルに換算いたしまして十億ドルもありますので、こういうものもどんどん使つて行きたい。こういうものもまた外資導入一つ前提になるのであります。日本はまだ外貨相当つているじやないか、こういう議論もあるやに聞きますので、この金を使つて行こう、ある金を使うのは楽じやないかといつても、なかなかある金も使うのには困難を来している。こういう意味でありまして、外資導入望みはないのだというふうにおとりになつてはいけません。総理の言う通り望みはある。しかしその前にいろいろな手を打たなければならぬということを私は言つているのであつて方針に何のかわりもございません。そういうことになりますと、今の御質問外資導入がない場合の措置という御質問でございますが、今相当外資も入つて来つつある。たとえば輸出入銀行から四千万ドルという綿花借款をしてくれておりますが、これも使い切れぬ。半分も使つておりません。こういう状態でありますので、今外資導入望みがないのだというので新しい経済政策を立てる必要を感じておりません。
  23. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま大蔵大臣から申しましたように、外資導入に関しては、もう全然ないのだという前提のもとにお尋ねでございますから、少しそれに対しては答弁がかわつて参るかと思いますが、私どももあくまでも外資導入に関しての望みは捨てておりません。それに対する努力はしているということは申し上げてよろしいと思います。従つて今後における日本自立経済達成に関しましても、御忠告の点はもちろん大事でありますが、その基本においては生産の増加とそれによる国民所得の増大ということが問題になつて参る。これに関してはただいまのところ外資があればなおさらよろしい。しかし相手方のあることでありますので、今なかなか困難な事情で、かりになにがしかということが決定しないからといつてすぐに悲観するには及ばぬと私は思う。ただいま大蔵大臣も申しましたように、現在日本たまつている外貨相当あるのです。従つて問題は、朝鮮事変等によるたなぼた式の利益のたまつている、これをいつまでも期待することはむずかしいでしようが、今後においては、すみやかなる自立経済達成のためには、将来日本生産が質的にも量的にも改善されることが根本になると私は思う。そういう面においては今たまつている外貨等を使つて必要な設備の合理化をし、質的改善をすることが根本であり、同時に日本の生産力増強の基本としては、未稼働の補助設備を活用すること、それに関して必要な原材料の獲得と同時に動力、これが根本である。しこうしてそれに対しては外資があればよりよくスムーズに行くものでありますから、それに対してはあくまでも望みを捨てぬということにいたしております。それが時間的のずれがあつたにしても、重点的に動力開発なりあるいは原材料獲得について、アメリカその他の協力を得て資源の開発、こういうことによつてそれぞれ具体案を進めているわけでありますから、この点は御安心をいただいてけつこうだ、かように思つております。
  24. 川島金次

    川島委員 なかなか安心ができぬものだから繰返して尋ねているわけです。  そこでさらにお伺いしますが、先ほど大蔵大臣は、外資導入は困難だと言うけれども、見込みはあるのだ、しかしその見込みを立てるためにも、やはり前提要件としては外債をどうして返すか、あるいは対日援助資金等の問題もあるのだろうと私は想像するのですが、そこでそれではお伺いしますが、この対日援助資金も一部これは債務として、われわれは認識して行かなければならぬことになつたらしい。そこで政府はこの対日援助資金の返還の計画について、何らかその後話合いを進めているのかどうか。あるいはまた外債の問題についても何か話合いが進んだり、あるいは政府自身の方において何か計画を立てているというようなことについて、ひとつこの際——この前聞きましたことはまだほんとうに大ざつぱなことで、その後大分日がたつておりますので、その問題等についての経緯等がわかりましたならば、この際御説明していただきたいと思います。
  25. 池田勇人

    池田国務大臣 対日援助見返り資金につきましては、たびたび申し上げております。ように債務と心得ているので、債務ということが確定いたしますれば、国会の承認を得る考えでおります。しこうしてアメリカ政府とこの問題について私が直接話をしたことは、ここ一、二箇月ございません。  なお外債処理の問題につきましては、御承知のごとく、ドイツの外債処理につきまして、債権者各国が本年の初めから三月の終りごろまで会議を開いておりますが、きまりません。四月の初めごろにアメリカの方から、五月の十三日からドイツの外債処理がまた再開されるから、その前にひとつ日本の方で相談を持ち出したらどうか、こういう話が非公式にあつたのでありますが、これはお断りいたしました。今五月十三日からドイツの会議が開かれております。われわれはその会議の様子を見守つておりますが、同時に、国内的に各個の外債につきまして、どういうような支払い方法を案として考えるかということを今研究いたしておるのであります。私の腹は一応できかけておりますが、これまた相手があることでありますから、強引に持つて行こうとか、向うでこう出たらどうしようということは差控えたいと思います。ドイツの会議を見守りながら、適当な時期にこちらからだれかを派遣して、債権者の意向を聞き、折衝いたしたい、こういうふうに考えております。
  26. 川島金次

    川島委員 ついでにその問題で伺つておきたいのですが、対日援助資金はわが国では債務と了承したことになります。この債務の返還について、この問題はこちらから折衝することなくして、いずれこの債務全額についてアメリカ自身日本に請求をして来るという事情になるのか、それともこの問題について何らかの話があつて、事前に日本アメリカとの間に話合いがあり、その上において対日援助資金の全額をどうするか、あるいは全額のうちどう切捨てて、こういうふうに処理をするとかいうような話合いができる形になるのか、それとも政府アメリカからの請求を待つという形になるのか。その間の何か経過的な処置とか、あるいは事前的な打合せというようなものができるような形になるかどうか、その点の見込みはどうですか。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 一方的にどうこうということはないと思います。やはり意向が伝わつて、こちらから意見を言うような機会が与えられるだろうと私は確信いたしております。しかし問題はデリケートでありまして、こちらから申し出るべきか、向うから出るのを待つべきか。こういう問題は、賠償の問題、外債の問題とみな兼ね合いがありますので、その手続、時期、方法につきましては、いましばらく研究いたしたいと思います。
  28. 川島金次

    川島委員 そこで元へ返つて、これは結論的にお伺いしておくのですが、大蔵大臣は、外資導入は困難ではあるけれども、見込みがないわけではないと言われました。困難ではあるが、見込みがないわけではないのだということは、受取る国民の側にとつては、非常にあいまいに響くわけです。そこで大事なことでありますから、その見込みのあるということは、今年度中に大体どのくらいの見込みがあるということも言えるようなことにならないのか、その点はどうですか。ただ漫然と、困難であるが見込みがないわけではないということで、このまま今年を過してしまうというようなことにならないのか、その点はどうなのですか。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 民間並びに輸出入銀行を通じての分が相当つて来ると思うのであります。開発銀行あるいは政府借款というものにつきまして、今年度どれだけ入るかということは、はつきり申し上げられません。
  30. 川島金次

    川島委員 この問題はその程度にしておきます。そこで具体的な最近の問題としてちよつと大蔵大臣についでに聞いておくのですが、二十六年度の租税の全体的な収納の状況はどういうこ  とになつておりますか。ずつと以前の話でありましたが、二百億程度の自然増収があるだろうという予測的なお話がありました。もうすでにあれから大部たつておりますので、もつと具体的な集計がされておるのじやないかと思いますが、税収の状況をひとつ結果的に伺いたいと思います。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまもうほとんど締切り近くなりました租税収入は、四百十億程度の自然増収であります。このうち増収のおもなるものは、法人関係におきまして相当ふえております。その次は源泉徴収で、その次は酒、お酒の方が七十億円、それから関税収入が非常にふえております。合計六百億近い増収がございましたが、申告所得税において二百億余の減収がございましたので、各税を合せたところで四百十億ないし二十億の自然増収であります。
  32. 川島金次

    川島委員 そこでお伺いしたいのですが、今の四百十億という巨大な額に上る自然増収があつたことですが、この中でかなり無理をした税収も相当部分加わつているのではないかというふうに私は感ずるのであります。ことに法人税に次いで成績のいいのは源泉所得の税でありまして、これもかなり予定よりも上まわつているようであります。これは賃金の引上げあるいは雇用量の増大等の反映であろうと理解をいたすのでありますが、最近の物価の事情あるいは勤労者自体の生活の実態等を勘案されまして、こういう実情に照し合せて勤労者の生活の安定をはかるという一つの施策といたしまして、それを通じて、日本の生産力の増大という大きな目標に向つて、それを引上げるという建前からいたしまして、やがて臨時国会も召集され、補正予算なども組まれるというお話も聞いておりますので、この臨時国会召集を機会に、勤労所得税の大幅な引下げ——たとえば勤労控除の引上げといいますか、そういう方策などによつて、勤労者の負担を少し切り下げて行くという方策を、この際とるべき必要があるのではないか。これは現実の生活の問題と、さらに、独立後における日本経済自立達成のための生産増大の意欲を一層高揚するという、二つの施策的な意味において、そういう考え方も必要ではないかと私は考えておりますが、大蔵大臣はそのことについてどう考えておりますか。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のような点がありますので、昭和二十五、六、七と三回にわたつて大きい減税をしたのであります。しかしこの減税というものは、将来にわたることでございますので、この年度にたまたま自然増収があつたからといつて、それをすぐ減税財源に充てられ得ないことは御承知だと思います。しかも二十八年度のことを考えますと、遺家族の方々に交付いたしました交付公債の償還の問題もありますし、また旧軍人の恩給の問題も出て来ておりますし、今までの内政費の中でも社会保障制度の増額とか、義務教育費の問題とかいろいろありますので、恒久的な財源が見当らざる限り、一時的の自然増収で将来の減税ということは——私はあなた以上に減税したいのでありますが、なかなか今ここで申し上げかねるのであります。しかしこれは、常に申しております通り大蔵大臣はまず第一に減税を考えるのが一番だ、政府の機構はできるだけ縮小して、減税が第一に考えられるべきだ、こういう点については人後に落ちないつもりであります。将来十分研究いたしますが、今お話申し上げましたように、新たな財政需要が相当出て来るのであります。まだ申し上げておりませんが、賠償あるいは外債の支払いが今年度は二百億程度でございますが、普通に参りますと、相当考えなければならぬ。そういたしますと、今のように四百億集まりましても、すぐそれが減税の財源には向きかねるという状況でございます。
  34. 川島金次

    川島委員 なるほど大蔵大臣の言われた通り、二十四、五、六年にわたつて減税措置はありました。しかしこれは、物価事情とにらみ合せれば、あくまでも單なる税法上の減税にすぎない。むしろ勤労者の生活は、物価高によつて、より大きな圧迫を受けておるというのが現実であります。そういう事柄からいたしまして、ことに源泉徴収が非常に成績がよい。この成績がいいということは、天引きであるということ、それから勤労者の所得がガラス張りである。この上に立つてこれほどの予定額以上の増収になるならば、この際実質上のひとつ減税をやるべきだ。ぼくよりも大蔵大臣の方が減税の問題は非常に強く考えておると言うなら、そのくらいの大蔵大臣であつたならば、この際ひとつ考えるべきではないかと思うので申し上げたのですが、それができそうもありません。まことに減税政策もただ口頭禅に終るようなことであるように私は理解をする以外に方法はないと思うのです。  そこでさらに引続いて伺つておくわけでありますが、来るべき九月か十月には——われわれも予想をいたしておるのですが、また自由党方面でもこれはしばしば責任ある人が言明しておるのですが、おそかれ早かれこの九月か十月には臨時国会を開かなければならない。それは補正予算だ。新しい支出問題が起つて来ようし、またこのような自然増収等もありますので、それをひつくるめてひとつ補正予算をつくるべき機会が来るであろう。ところでその補正予算は、必ずしも国民生活の負担軽減の補正予算ではなくして、むしろ国民の負担は増大するであろうというおそれのある補正予算ではないかというふうにも見ておる向きが多いのであります。ことに最近では、自由党の増田幹事長のごときは、補正予算はおそらく一千億に上るであろう。一千億に上るとすると、財源は、今大蔵大臣の言われた四百億の自然増収と、あるいは二十六年度に使われなかつた金が若干あるでしよう。そういつた不用額が出て来て、五、六百億円あるのじやないかとわれわれは推測できます。そこで一千億円だとすると、まださらに四、五百億金が足らない。そういうことになると、増税すらされるのじやないか。増税はなかなか選挙を前に控えてできないであろう。そこで大蔵大臣は、腹づもりとしてどうしても千億くらいの補正予算を組まなければならぬ。しかも財源が足らない場合は、またしても酒の税金かタバコの値上げでもして、これをひとつつじつまを合せようじやないか、こういうことになるのじやないかといつて、勤労階級は実は脅威を感じておる、これは事実です。そういうことについて、一体この補正予算というものが十月ごろ組まれることになるのか、そしてそういう場合に、仮定の問題として議論することはどうかと思うのですけれども、ひとつ率直にこういう場所でありますから、聞いたり答えたりしてもらいたいと思うのでありますが、そういうことについて、大蔵大臣はどういうふうに今後の補正を考えられておるか。それについて今後の見通し、あなたとしての責任ある見通しに立つた言葉をこの際ひとつ聞いておきたいと思うのです。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 補正予算のわくの問題の御質問でございますが、私はこの前から言つておりますように、補正予算をただいま組む考えを持つておりません。従いましてわくも申し上げられません。
  36. 川島金次

    川島委員 補正予算を今のところでは組んでおりませんというのは普通の答えだと私は思う。私どももつと真剣に、もつとすなおに話してもらいたいというので予算委員会を開いたのです。形式的な大蔵大臣の回答だけを聞こうというので、あるいはその他の閣僚からの話を聞こうというので開いたのではなくして、国民政府とが裸になつて、久しぶりで予算委員会を開いて話を聞いたり、聞かしたりしようじやないかというのが、この予算委員会招集の根本的な趣旨なのですから、あなたの与党であるところの、あなたの背負つてつておるところの自由党の幹事長が、この九月、十月には一千億に上る補正予算を組むのだ。そうして臨時国会を召集するのだ。しかも千億の中には公共事業費がこうだとか、いろいろなことが具体的に国民の前に放送されておるわけです。これは政府責任者と与党の幹事長の言葉とおのずから違うのだと言つてしまえばそれまででありますけれども、少くとも政党内閣であります。与党を離れたところの内閣ではない。有田君らがあつて初めて池田大蔵大臣があるのである。与党の責任ある幹事長が国民の前に言明をしておることと、大蔵大臣が違う、そういうことであつては、私は少くとも政党政治に対する国民の信頼感というものが違つて来るのではないか。与党の言うことも、政府のときの責任者の言うことも、大体一つだ、こういう信頼感を持つてこそ、私は初めて立憲政治であり、政党政治に対する国民の信頼というか、期待がつながれるわけであると思う。そういう意味でぼくは与党の責任者である幹事長の言葉を一応重視して、国民もこれを一応重視するわけである。それを通じておそらく政府との間においても相当の話合いも進んでおるだろうということを想像するのは、理の当然だと私は思うのであります。そういうことで聞いておるのでありますから、もう少し率直に、ここは国民の話合いの場所ですから、何も議案があつてつつつきあつている場所ではないのでありまして、そういう点についても、もう少し大蔵大臣の率直な、しかつめらしい責任感を感ずるというような形における答弁でなしに、話合いだという形で、もう一ぺんその問題について聞いておきたいと思うのですが、どうですか。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 国会の最も権威のある予算委員会で、私は無責任なことは申し上げられません。しかして増田幹事長がどういうことを言われたか、私は直接に聞いておりません。補正予算の問題は、閣議の議題にもなつておりません。だから私は率直にありのままを申し上げたのであります。私は臨時国会が、いつ開かれるとか、あるいはそのときにはどういう案を出すとかいうようなことは、今のところ考えていないのであります。これはほんとうの私の言葉でございますから、御了承願います。
  38. 川島金次

    川島委員 まだ残つております。が、あとに保留いたします。
  39. 小峯柳多

    小峯委員長代理 有田二郎君。
  40. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣と外務大臣にお尋ねしたいのでありますが、英濠軍の経費の問題が今問題になつております。これについて御所見を承りたいと思います。
  41. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 経費の問題はどういうふうになりますか、今後話合いをいたすのでありますが、原則としては、すでに終戰処理費の支出は打切つておりますから、英濠軍が国連軍として今後必要な経費は、当然国連側で支払うべきものとわれわれは考えております。
  42. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣も一緒の御意見ですね。
  43. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題につきましては、外務大臣が折衝いたしておるので、私はただいまのところ関知いたしておりません。外務大臣から交渉の経過をちよちよい聞いてはおりますが、一応外務大臣がその衝に当つておりますので、外務大臣がおつしやる通りだと思います。
  44. 有田二郎

    有田(二)委員 今予算委員長がおられませんから、予算委員長にあわせて承りたい。予算委員長にはあとから御答弁ちようだいいたしたいと思いますが、大蔵大臣に対しては、御所見を承りたいのであります。  最近予算を伴う法律が数々国会に提出されておることは御承知通りでありますが、成立した予算を法律をもつて修正するがごとき感じを受けるものもあり、また二十八年度予算を法律によつて拘束するがごときものもありますが、ことに地方税の改正法案のごときは、附帯決議として、もし二十七年度内に補正予算を組む際は、これを組み入れることになつておるが、二十六年度税収増の四百十一億円を財源とする所信があるかどうか、それともこれは二十八年度の予算の財源に充当するお考えであるかどうか、この点をひとつ大蔵大臣にも御答弁を願いたいのであります。  さらに、いわゆる承認オーケー予算から自主予算が編成できることになりましたが、これらの予算を伴う法律が議員提出の形で提出され、もしこれが次々と成立しては、財政の基礎を危うくするのみならず、国際的信用にも関係する事態を生ずるおそれがある、こう私は考えるものであります。これらの問題は、もちろん国会側で話合いをし、修正せねばならぬ問題でありますからして、この点に対する予算委員長の所見と、それからまた大蔵大臣としてのお考え大蔵大臣からお聞きしたいと思うのであります。この点について大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 それはむずかしい問題で、法律問題と政治問題と一緒になつて、非常にやつかいな問題だと思います。予算を伴う法律にいたしましても、この法律案が予算の範囲内でとか、いろいろな条件がある場合が今まではほとんど大部分であつたのであります。それからまた予算案が先へ出まして、そうして予算の審議中にその予算に盛られた金額を法律に書くという場合も今回ございました。しかし今後の問題として、国の支出を法律できめて、そうして後年度において縛るということが、予算発案権が政府にあるということと兼ね合いの問題であります。また政党政治の上においてよほど研究をしなければならぬ問題だと思います。私はこの予算提出権が政府にあるといいましても、予算審議の過程において、全体のわくを動かさざる限りにおいては、国会においてやりくりができることは、これはもう当然のことでありますが、予算の提出権がないからといつて予算の総額を国会でかえ得られないというふうなきゆうくつな解釈はいたしたくない。やはり政治的に租税の見積りが少な過ぎて、その程度の増収が見込まれるという、予算の総額の増加を国会でなさることは、何も提出権を侵害するものではない、こう割に楽な解釈で進みたいと思つておりますが、今の予算に全然ないものを法律案でまずきめてしまつて、そうして予算の範囲内というのでなしに、幾ら幾らを出すという、こういう法律案が先行するという問題につきましては、予算提出権の問題と兼ね合せて、よほど研究しなければならぬ問題だと思います。  第二段の自然増収がこれだけあるから、地方税を減税するという問題につきましては、自然増収の使い方は大蔵大臣の所管でございます、地方税の方におきまして、何か他に財源があつて減税をなさるならけつこうなことでありますが、自然増収の金額をすぐ持つて来いと言われるのでは困ると思います。今のところきめ得られない問題でありますから、その問題につきましては、私は困ります。結論が出せませんと、こう答えざるを得ないのでございます。
  46. 有田二郎

    有田(二)委員 今、川島委員との間に減税の問題が論議されておりましたが、もちろん大蔵大臣の言われることも私は納得できるのでありまして、また最近における第二次吉田内閣以来、減税についてかつて社会党なり、当時の民主党内閣においてようやり得なかつた減税を断行し得たという点は、池田大蔵大臣の努力を私は多とするものであります。しかし、ただいままでは占領下にあつて、そうして思うようにできなかつた独立国家になりました今日の段階において、私は、税制はうんと改革する余地があると思う。たとえば税率が非常に高いために正直に申告しない。各地方の税務署長なり、国税局長の意見を徴しても、税率を改めることによつて仕事のしやすいようにできる、あまり税率が高いために困るのだという声は、大蔵大臣もよくお聞きになつておられる点だと私は思うのでありますが、こういう点から考えまして、独立国家になつた今日の大蔵大臣として、減税という言葉は当らないかもしれませんけれども、税制を改めて、実際に、正直に申告していただけるように、さようなことにひとつ大蔵大臣として御尽力を賜われるかどうか。私はこの二十五年度の会計検査院の決算報告書を見ましても、会計検査院が訂正を税務署に要求しておる額が非常に多いのであります。これなんかを見ますと、税制の改革ということが私は非常に必要でないか、かように思うのであります。この会計検査院に税収過不足を訂正さした件数は、枚挙にいとまなく、非常な数に上つておるのであります。しかも私が調べました浜松税務署の件を例にあげましても、二十二年度、二十三年度には、各業者の比率を出して、そうして頭割から持つてつて比率で税金をかけておつたようなことが、実際において行われておつた、そこへ会計検査院が行つて帳面だけを見て是正させるというようなあり方があつたのでありますが、とにかくそういつた税制の欠陥是正という面からいつてのいわゆる減税ができないものか、この点をひとつ御所見を承りたいと思います。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 減税はしたいのでございますが、先ほど来申し上げました通り、税制の問題になりますと、私はいかにも簡素化すべきだ、こういう気持を持つわけであります。国税におきましてもそうでありますし、地方税におきましても、もつと国税と地方税を一体に考えて行くことがほんとうじやないか。たとえば同じ業者のうち、税務署から来る、県庁から来る、町村役場から来る、これでは受ける方の業者もたいへんではないか、同じ営業の実態を調べるのに、いろいろな方面から行くというのは、業者の方もお困りじやないかという問題について、ただいまも検討いたしております。また人員問題から申しましても、税務署が地方で直接徴税することが、どうも昔に返つた方がよいのではないかという気持を持つて、税制全般についてただいま検討するように言つております。私は、経済機構は今まで通り大体資本蓄積がああいう今のような現状では、やはり税制につきましては思い切つた改革をすべきときではないかと、こう考えております。
  48. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣考えもよくわかつたのであります。ぜひとも私はこの税制の改革をなすことによつて、いわゆる金額における減税に当らないかもしれませんけれども、納税者に対する実質的な減税ということをぜひともひとつ協力を賜わりたい。この会計検査院の是正の面から見ましても、二十五年度に徴収不足の分が二百三十五件、金額にして一億二千五百五十一万九千七百十八円、徴収の多かつたものは二十四件、金額が一千八百七十九万九千八百一円というように全国的な税務署が指摘されておるので、どの国税局でも指摘されていない国税局は一つもない。税務署はほとんど全部といつてもいいくらいな指摘を受けている。これにはもちろん徴税技術のまずかつたという点もあるかもしれませんが、税制の改革が必要であるということは、この数字をもつてもはつきりすることができると思うのであります。さらにまた予算の立て方の面においてでありますが、予算の立て方において、架空名義によつて支払つたもので会計検査院に上つておる数が非常に多い。すなわち一例を申し上げますと、東京国税局及びその管内の税務署、すなわち日本橋、京橋、芝、四谷、下谷、大森、玉川、目黒、淀橋、板橋、荒川、足立、葛飾、江戸川、横浜中、鶴見、川崎、横須賀、藤沢、平塚、成田、この二十一税務署において、自動車使用料金一千百十二万八千百六十二円というものが食糧費、接待費、物品購入費等に使われておつた。また関東信越国税局においても大宮税務署、行田、春日部、高崎、桐生、新潟各税務署のものを入れまして、百二十二万九千百八十六円というものが自動車使用料の名義で、架空名義で、実際は食糧費、接待費、物品購入費というものに使われておつた。あるいは札幌国税局管内の札幌外四税務署、仙台国税局管内の塩釜、大河原、山形各税務署、これらもやはりそういう百万円以上の金額が使われておつた。金沢国税局管内の輪島税務署、広島国税局同局管内の三原、倉敷、高松国税局管内松山税務署、熊本国税局管内の熊本、中津税務署、この中に委託費とか会場借上料とか、自動車使用料という名義のもとに金が表面使われており、実際においては食糧費、接待費、修理費その他の費用に使われておるというようなあり方を見ましても、私は各税務署を歩いて見て、実際において食糧費とか、あるいはそういう接待費と申しましても、徴税の調査をするためにお茶菓子を出す程度の接待費、われわれが見ても無理でないと思われるような費用が予算面に現われていない。私はこういうものは、はつきり独立国家になりました今日の段階においては、こういう会計検査院がやつて来て、会計検査院に摘発されないで済むところ予算の立て方が願いたい。私は先般も会計検査院でやかましく言つてつておいたのでありますが宇治の国警予備隊に会計検査院の者が行つて、夜も徹夜で飲み明かしておつたという。これは予算の立て方に無理がある。だから結局は会計検査院が来るとこれを接待する。一昨年の決算委員会において、下岡検査官並びに長官を呼びまして、なぜ地方において会計検査院がごちそうになるかという私の質問に対して、確かにごちそうになる、これは地方の情勢を知りたいから、教えていただきたいから、ごちそうになるという話でありましたが、教えていただきたいなら、なぜ会計検査院において逆にごちそうしないかということを申しまして、全国的にそういう接待に応じないように会計検査院から厳重な通達を出して、今日では比較的まじめに会計検査院の方々がその職務についておられるということを聞いておるのでありますが、会計検査院の方方を接待しなければならないような予算の立て方は、今まではいたし方ありませんけれども、独立国家になりましたこれから後におきましては、私はどこへ持つてつてもはずかしくない、会計検査院が来ても堂々と書類の出せるような予算の立て方に改めるべきだ、かような見解を持つておりますが、大蔵大臣の御所見を承りたい。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 もつともな御意見でございまして、逐次そういう方向に進んで行つております。地方部局のみならず、各本省においても、そういう方針で昭和二十七年度の予算を組んでおるのであります。
  50. 有田二郎

    有田(二)委員 先刻のお話では、大蔵大臣は補正予算を組むことを考えていない、こういうお話でありますが、もしかりに補正予算を組むような場合におきましては、十分ひとつこの点をお考えつて、そういうことのないように、逐次というようなゆつくりしたことでなく、画期的に改められんことを私は希望いたします。  さらに物品税の点について一点お尋ねいたしたいのであります。近く大蔵当局において物品税を廃止して、これを売上税のごときものにするという準備をされておるということを聞いております。私はそういうことはないと思いますが、この際ひとつ大臣のはつきりした御所見を承りたいと思います。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 私はただいまのところ、そういうことを考えておりません。
  52. 有田二郎

    有田(二)委員 シヤウプ税制勧告により、従来ほとんど強制的にとられておりました寄付金四百億円のうち、二百億円は地方税に吸収されましたが、残りの二百億円は依然として強制的にとられておるかどうか、この点を承りたい。さらにおそらく二十七年度においては予算に吸収されているものと思われますが、この点についてお伺いしたいと思います。最近私の手元に届きました情報によりますと、某県の地方裁判所法廷新設に対して、当該所長は、すでにでき上つた部分をさらに予算以上の多額を要する変更をあえてせしめ、その費用はその地方の寄付に仰いでおるという話を聞いておるのでありますが、これらの寄付に対して、政府の御方針を承りたいと思います。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 シヤウプ博士の勧告に、寄付金が大体四百億円あるだろうという推算でございました。そのうち三百億円くらいを地方に確定収入にして、百億円くらいはやむを得ないだろうというような答申があつたと思います。その地方財政の方にもある程度見込んでおつたと思いますが、ただいま金額の記憶はございません。それから特定の官庁の施設その他に寄付金がいまだに行われておるというのは、まことに遺憾でございます。こういうことは、やはりそういう地方の人がお考えになることもさることながら、為政者が慎まなければならない問題だと考えております。
  54. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに大蔵大臣に御所見として承りたいのですが、先般の予算委員会の分科会におきまして、最高裁判所の裁判所施設費について、私も主査として審議したものでありますが、もちろん裁判所は三権分立の建前からいつて、非常に大切であることは、われわれもひとしく認める点であります。しかし重税にあえいでおる現段階において、裁判所といえども十分なる節約をなさるべきものと私は考えております。従つて先般の予算について裁判所側から出されたものが約九億円、それに対して大蔵省の査定がたしか六億数千万円と査定して、両方が合わないで国会に出て参つたのでありますが、この点については事務当局の折衝もさることながら、最高裁判所長官と大蔵大臣との間において、これらの是正が行われるべきであつて、下の事務当局のみにまかしておく問題ではない、かように私はそのとき痛感したものであります。私は最高裁判所の事務総長にもそのとき申し上げたのでありますが、今日置かれた現段階というものを考えて、十分節約をしてもらいたい。特に私の聞くところによると、某地方裁判所の一番上の法廷に非常な金がかかつておる。それからまたこれは静岡だつたと記憶しておるのでありますが、静岡の裁判所に本省の事務局長か何かが行きまして、ここはいかぬから改めろというように、でき上つたものをかえさせて、そして数百万円さらに経費がかかるように改めさせるというような、日本の現在の置かれた状態を考慮に入れないで、裁判所という立場のみを考えてやられる面が非常に多い。従つてこの面につきましては、国会としても、国会予算委員会としても、最高裁判所にこの点を御注意すべきだと思うのでありますが、予算の当該大蔵大臣として、これらの点についても、最高裁判所長官との間に将来話合いをなさるかどうか、これらについての御見解を承りたいと存じます。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十七年度の裁判所の営繕予算につきましては、お話通り状況であつたのであります。事務当局をして折衝に当らしめまして、私も直接裁判所長官に話をしようかと思つたのでありますが、かえつてこのことが将来のためによくない、こう思いましたので、あの営繕予算を出したのであります。幸いに裁判所の方でお取下げくださいまして、円満に行つたと思うのでありますが、御趣旨のような点を十分知つておりますので、特に裁判所の分を削るというわけではございませんが、他との権衡ということをやはり考えて、要求は相当つたのでございましたが、五、六億程度に納めたのであります。
  56. 有田二郎

    有田(二)委員 私の質問申し上げましたのは、もちろんお下げになつたのでありますが、こういう下げたというような姿が国会に現われて、片方では裁判所の九億幾ら、大蔵省の査定が六億幾らというようなものが、われわれのところへ来るというところからして、私はおかしいと思うのであつて、これらは、私は大蔵大臣と最高裁判所長官の、最高のお二人の方々においてもよくお話合い願つて、こういう数字が国会に現われて来ることのないようにということをお願いするものでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  57. 池田勇人

    池田国務大臣 百方努力したのでありますが、裁判所の方は多数決でおやりになつたようでございまして、微力をもつてしてこれを未然に防ぐというところまで行かなかつた。これはいろいろな事情はございますが、とにかくわれわれとしては、公正な立場から検討して、結論を得て、あなた方に御審議願おう、こういうことで、その間にあまりいざこざをしたくない、こういう気持があつたのでございますから、ああいうふうな状況になつたのでありますが、今後はよほどよく行くと思います。
  58. 有田二郎

    有田(二)委員 先日の当委員会において、野党の質問に対しまして、大蔵大臣は、現在の経済界は不況と思わぬと答弁をされましたか、二十七年度予算審議の際の答弁では、依然インフレの要素があるので、いわゆるドツジ・ライン、すなわち油田大蔵大臣の鉄則であるディスインフレーシヨンの政策を堅持したいと説明されておりましたが、私はむしろデフレーシヨンが来つつあるかのごとき感じを受けているのであります。この際、インフレーシヨン、デイスインフレーシヨン、デフレーシヨンに対する、政府の定義と申しますか、見解をひとつ明らかにしていただき、われわれと食い違いのないように願いたいと思うのでありまして、この際大蔵大臣の明確なる御説明を願いたいのであります。
  59. 池田勇人

    池田国務大臣 今までの方針と何らかわつておりません。金融面につきましても、財政面は一応きまりまして、この財政資金の使い方の問題でございますが、これも金融面と常に協調連絡を保ちながら、いわゆるデイスインフレの線で進んで行こう、経済界は世界経済につながつておりますので、起伏はあります。時間的起伏はありますが、全体的に見まして、私は、今デフレだからインフレ政策をとるべきだ、あるいはインフレの要素もなきにしもあらず、こういう議論もありますので、今までの政策を変更するという気持はございません。このままでやつて行けると確信しておるのであります。
  60. 有田二郎

    有田(二)委員 今の川島委員からのブレトン・ウツヅ協定に加盟する問題につきまして、すでに国際通貨基金協定への加入についで承認を求めるの件というのが国会に出ておりますし、また国際通貨、基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案というものが大蔵委員会にもかかつて知るのであります。従つて私は国際通貨基金及び国際復興開発銀行へ加盟のために、加盟に先だつて、一億一千二百五十万ドル払込みを要するはずであると聞いております。これを円に換算すると、約四百億ということになるのでありますが、これに対する予算は二百億円を昨年補正予算で計上されておるだけでありまして、私はこれでは足りないと思うのでありますが、これに対して大臣の御所見を承りたいと思います。
  61. 池田勇人

    池田国務大臣 国際通貨基金への加盟につきましては、二億五千万ドルのクオータといたしますと、六千四、五百万ドルの金がいるのであります。六千四、五百万ドルの金がいりますと、二百億円では足りませんので、日本銀行の持つております金を簿価、記帳価格で買入れまして、特に補正予算を組まずに、六千四、五百万ドルの払込みをいたそうと考えておるのであります。また国内的にとります措置は、一応帳面づらで払込み形式をとればいいのでございます。これは実質的に金額の動きはございません。
  62. 有田二郎

    有田(二)委員 その問題でありますが、すなわち国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の第四条第一項、第二項において、日本銀行から金地金を帳簿価格で買い上げることを規定されております。その現在価格との差額を別に法律に定めるというのは、それは補填するものであると私は思います。今大蔵大臣の御説明がありましたが、別に法律で定める措置というのは、日銀に対して補償するということであると思うのでありますが、これらについて、言葉をかえていいますと、すなわち補正予算を計上することを予約するものであるとも考えられますし、補正予算を計上せずにそういうやりくりをやる理由は、一体どういうところにあるのか、この点をひとつ承りたいと思います。
  63. 池田勇人

    池田国務大臣 結論から申しますと、補正予算を組まずに、別に法律で措置する、こういうことにいたしたいのであります。御承知通りに、初めは日本の払込み金額が幾らであるか実はさまつていなかつたので、われわれは五千五百ドル程度でいいのではないかという計算のもとに、二百億円を算出したのであります。しかるところ、その後の様子で、六千四、五百万ドルになつておりますので、二百億円では足りない、そこで補正予算を組むかどうするかという問題で考えたのでありますが、この二百億円のうち五千万円程度日本銀行の持つておる金を簿価で買うならば、相当の得と申しますか、予算を動かさずに払込みができる、こういうので、そういう措置をとつたのであります。日本銀行の今持つております金は、一グラム二円五十五銭だつたかと思います。時価は一グラム四百円でございます。その法律によりまして、出資に充てる金の足らずまえを補おう、こういうことでしたのであります。
  64. 有田二郎

    有田(二)委員 さらにお尋ねしたいのでありますが、今日の日本経済新聞に「金融債引受を再開、今年度三百四、五十億円」という題で、「大蔵省では資金運用部資金による金融債引受再開を経済情勢の推移とにらみ合せて検討していたが、このほど五月から実施することを内定、二十三日開く資金運用審議会に諮ることになつた、」こういうようなことで、あとずつと記事が載つておりますが、これに対する大蔵大臣の御所見を承りたい。
  65. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知のごとく、昭和二十七年度予算編成にあたりまして、各会計を通じて、均衡予算の原則を貫きましたために、昭和二十六年度におきましては、二百億近い金融債の発行があつたにかかわらず、二十七年度ではこれを予定することができなかつたのであります。しかるところ二十六年度の様子を見ますと、予定よりも資金運用部の資金に百億円程度の余裕がございまして、また一般会計の方も収支の収入超過でありますので、予算の説明の際には、将来の情勢を見て発行いたしますが、今は発行しない予定でございます、こう説明しております。それが先ほど申し上げましたような状況になりましたので、大体四、五、六、第一・四半期の分として、百億円程度の金融債の発行を計画いたしまして、今月二十二、三日に運用部委員会を開こうかと考えております。この金融債の百億程度のものと、それにもう一つは労務者の住宅について資金運用部資金から十億程度を出すことをはかる、こういうので運用部委員会を開く予定でおります。しかし二十七年度全体としまして、私もちよつと見たのでありますが、三百億とか四百億とかの金融債の発行というものはきめておりません。私は今は第一・四半期として百億程度のものを計画しているが、その後の問題は資金運用部の金繰りの状況、一般会計の状況から考えて行くべきである、こういうことであるので、その新聞に昭和二十七年度全体として三百億とか四百億とかきまつたというのは、まだそこまで行つておりません。
  66. 有田二郎

    有田(二)委員 質疑を保留しまして中村委員に譲ります。
  67. 小峯柳多

    小峯委員長代理 中村君、外務大臣は非常に時間が少いようでありますから……。
  68. 中村清

    中村(清)委員 それでは本日は外務大臣が御病気と承りましたので、安本長官に承つたのでありますが、幸いお見えでありますから、時間の関係上、簡單に御質問をいたしたいと思うのであります。まず二点についてお聞きしたいと思う。  まず第一の点は、先日も政府側におきまして、本委員会におきまして、今後の外交経済を基調とする、重点を置くというようなお話でございました。まことに意を強うするのでありますが、世界の情勢をながめますと、経済の復興に逆行するような傾向が相当見られるのであります。ことに自由三義諸国の間におきましても、ドル圏ポンド圏とが自由な貿易を妨げておるというようなことがありますが、最近各国々におきましてまたアウタルキーのような思想が芽生えて来ておる、いろいろ輸入制限輸入の割当とか関税の引上げ等を試みるかの傾向がありまして、まことに遺憾に存ずるのであります。資源の少い日本といたしましては、何をおきましても、こういう風潮を打開するように努力をして行かなければならぬと思うのでありますが、これに関しまして岡崎外務大臣はどういう御抱負を持つておられますか、お尋ねをいたしたい。
  69. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 各国がとつております輸入制限措置等は、別に私はアウタルキーの思想とかいうことでなく、ただ自国の産業の保護だとか国際収支の必要上、やむを得ずやつておるものと思います。関税を高くしたり、あるいは輸入の制限をしたり、あるいは輸入許可制、いろいろなことがあると思いますが、これは日本としてもそれぞれその場合によりまして、異なつた対策を講じなければならぬわけであります。われわれとしては通商航海条約を締結することが先決問題である、そのほかガツトヘの加入考えております。さしあたりは貿易協定とか支払協定を締結したり、あるいは今までのことをかえたりいたすわけであります。この貿易とか支払協定を締結する場合に、できるだけ各国のそういう制限措置を緩和するように努力しておるわけであります。これが私はまず一番実際的な問題だと思います。究極には通商航海条約あるいはガット加入というようなことでまつすぐに行くのがよろしい、こう考えて今いろいろ研究中であります。
  70. 中村清

    中村(清)委員 いろいろ選べでございますが、ガット加入見通しはどういうふうになつておりますか。     〔小峯委員長代理退席委員長着席〕
  71. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはいろいろ各国において利害が異なりますから、さしあたりちよつとむずかしい点もあるようでありますが、究極においては私は当然加入ができるものと考えております。ちよつとまだその兼ね合いできまらないでおる、こう考えておるのであります。
  72. 中村清

    中村(清)委員 最近の新聞紙上で注目している記事が若干あるのであります。たとえば昨日の夕刊では、オーストラリアにおける輸入制限の問題が起きましたが、先般はアメリカまぐろ輸入関税の設定ということが問題になつたようであります。このまぐろの問題につきましても、日本としまして非常に領土の少い国として、水産業の発展に日本経済の安定の相当部分を期待しなければならないわけでありますが、先般はカン詰に対しまして新税を設定するということがありましたが、今度またまぐろにそういうことがある。まことに私どもはそういうことが残念なことであると思う。これにつきまして外務大臣はいかなる情報を得ておられますか、した今後いかなる御処置をおとりなさりますか、お伺いをいたしたい。
  73. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 冷凍まぐろは御承知通り無税であつたものが、ポンド当り三セントの税金をかけるという法案が昨年アメリカの下院を通過しまして、上院にまわされまして、上院ではあるいは成立せずに済むのではないかと思つておりましたところが、五月の初めに財政委員会を通つてしまつた。上院の本会議にいつ上程されるか、まだ日程等はきまつておりませんが、日本としては非常に重要なことでありますので、前から民間業者を通じたり、あるいは政府機関を通じていろいろ話をいたしておりますので、われわれの方の気持はアメリカ政府としてはよく了解してくれていると思つております。現にアチソン国務長官は、日本もペルーもまぐろの対米輸出がドル獲得の一番多い主要なもとである、そこで冷凍まぐろに対する課税というようなことは、米国とこれらの国との関係に非常に影響するところが多いので、国務長官としてはこの法案が成立しないことを、希望するということをはつきり述べております。この一番大切なことは、立法府の議員に対してよく事情を了解させることでありますが、これがうつかりやりますと、何かアメリカの立法府に対して外国側の利益まで干渉するということにとられまして、逆効果を起すこともあるわけであります。その点はなかなかデリケートでありますが、政府としては今までもやつておりましたが、今後もできるだけこういう点について、日本側のことを了解してもらうことを協力してもらうように考えております。まだ法案が本会議を通るかどうか、これも委員会の決定も必ずしも全員一致というのではなく、かなり賛成と反対が接近しておつたような事情もありますから、本会議ではたして通過するかどうかも必ずしもわからないのであります。われわれとしてはできるだけそのために努力を払いたいと思つて、ただいまやつている最中であります。
  74. 中村清

    中村(清)委員 まぐろ輸入関税の問題につきましては、結局重点はアメリカ業者並びに消費者大衆の理解を深めるということが一番大事だと思います。どうかさような点につきまして、政府側におかれましても御遺漏のないように、日本業者から向う業者に働きかけるということも一つの方法だと思いますが、單なる政府間の交渉ばかりでなしに、そういうことについてもいま少し御考慮を願いたいと考えております。  次にいま一つ問題を申し上げまして、お伺いいたしたいのであります。国民外交ということについて、ちようど岡崎国務大臣が御就任になりましてから初めての予算委員会でありますので、この機会に承つておきたいと思う。と申しますことは、先般私どもいなかの方に行つて参りました。ところがどうも野党側が中心になりまして、行政協定等について非常に歪曲された宣伝というか、そういうものがあるのを見まして、まことに遺憾に思いました。私どもは今回の講和関係二条約の締結、あるいは行政協定の締結等につきましては、容易ならざる国際環境の中にありまして、最善の方法だと考えておりまして、とにかく感謝をしておるわけであります。国民外交まことにけつこう、今後は国民外交で行かなければならぬのでありますが、ややもしますと、中には国民に対しまして妙な局部的な扇動をして、誤つた国粋主義を唱えるという者もありまして、日本の代表者が戰前におきまして、十三対一、あるいは四十三対一ということで世界の孤立下にあつても、なお日本の国内においては国民が拍手喝采をしたということを覚えております。もとより国民外交ということで行かなければならぬのでありますが、外交のことでありますから相手国もあるわけです。秘密の外交ということももとより必要ではありますが、私の聞きたいことは、国民に対する啓発というか、普及宣伝というか、そういうところがどうも日本政府においては欠けておると思う。私ども与党の議員にも責任があると思いますが、もう少し国民に対しまして、宣伝啓発をしつかりやつて行かないと、かえつて国の災いをなし、妙なところ外交が持つて行かれるということになるおそれがありますので、これらの点についていま少しく積極的に、国民に対して宣伝啓発をすることを努力してもらいたい。この点がどうも欠けているように私は痛感しておりますので、この点に対する御意見を承りたいと思います。
  75. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 お説はまことにごもつともでありまして、私も実ははなはだ残念に思つております。ただ行政協定につきましては、あの協定ができましたあとで、すぐに行政協定の解説書を出しました。また講和発効の日に、行政協定、安全保障条約、あるいは平和条約の背景をなす国際情勢について、率直な意見を述べたパンフレットを出しまして、予算の許す限りたくさん印刷して配布してあります。これらを見まして外務省の方に講演等の依頼が非常にたくさん来ております。われわれもできるだけこの依頼に応ずるつもりでおりますけれども、御承知のように、吉田前外務大臣の方針で、外務省の職員は極度に縮減をいたしまして、ただいま海外に派遣する人にも事足りないような状況でありますので、なかなか各地に人を派するというだけの余裕がないのでありまして、非常に困つております。将来私は、やはり国内の啓発といいますか、国民の理解を深めるためには、多少人を増してもいいくらいに考えております。できるだけその方に努力を注ぎたいと思つておりますので、御協力を願いたいと考えております。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時半より委員会を再開することといたします。  これにて休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議
  77. 小峯柳多

    小峯委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。  これから質疑に入りますが、大橋国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大橋国務大臣。
  78. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 去る十五日の当委員会におきまして、中曽根委員から予備隊の顧問の今後の取扱い方について御質問をいただきました。これに対しまして、政府は今後においては予備隊に対する一般的行政管理権に基きまして、進駐軍の協力を要請し、これを受入れるという形で引続き顧問の協力を得たい、こういうお答えをいたしましたところ、中曽根委員より、第二分科会における私のかつて答弁と食い違いがあるという重ねての御質問がございましたので、速記録を取調べの上お答えをいたすということを申し上げたわけであります。     〔小峯委員長代理退席委員長着席〕 速記録を取調べましたところ、第二分科会におきまして、中曽根委員から、講和後の予備隊の顧問をどうするかという御質問に対しまして、私より研究中であるというお答えをいたしてあることが明らかと相なりましたので、先般の中曽根君の御質問は、何か御記憶違いに基くものではないか、かように存じますので、この旨を明らかにいたしまして、御了解を願う次第でございます。
  79. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 中曽根康弘君。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 大橋国務大臣から答弁がありましたが、それはまず第一に、予備隊に対しては政府は一般的管理権を持つておるから、それに基いて処理をするのである、こういうのが第一と思う。もう一つは、先般の私の質問に対して、速記録を調べたら研究中ということになつている、こういうお話であります。そこでまず速記録のことから申し上げてみますと、たとえばあなたはこういうふうに答弁をされておる。私が「あなたは研究中という御答弁をなすつたけれども、それではどういうふうにやるように研究中ですか。ただ研究中というのでは不誠意な答弁です。一体契約を結ぶのか、あるいはほかに別個の協定を結ぶのか、それ以外にはないわけです。昔大学や高等学校にあつた傭外人教師みたいにやるのか。そうでなくて別個の協定をして政府間できめるのか。そういう問題は一番予備隊の士気に関する問題でありますので、これを明確に御答弁を願いたいと思います。」こういう質問に対して、「予備隊といたしましては、いかなる形としても顧問の協力が得られるようにいたしたい、こう考えておるわけでございます。いかなる法律関係において得られるか、たとえば個人に対して契約を結ぶか、あるいは政府間において何か話合いによつて日本側が顧問の援助を受けるか、その点のところを研究いたしておるわけでございます。」そういう答弁であります。そうすると、この答弁に含まれている内容はともかく、何らかの形によつて契約または法律関係を設定して、予備隊の顧問というものを日本としてはこれを受入れる、そういうふうに解釈せざるを得ない。何らの法律関係なしに、事実上顧問を予備隊に入れるということはあり得ないということが、この答弁の中ではつきりしておる。ただその内容は、個人的な契約によるか、政府間の協定によるか、それは研究中である、こういう趣旨になつております。  そこで質問を初めにもどしまして、大橋国務大臣に御答弁願いたいと思います。今までは占領状態でありましたから、向うが占領政策という形で、いかなることをしようが自由でありました。しかし四月二十八日に独立してからの日本は、対外関係は、あらゆる問題について、何らかの法律的関係を設定しなければ公のことはできないはずであります。たとえば約二十億ドルに及ぶ終戰以来のアメリカ援助物資にしても、これは一応債務と心得ておると、池田大蔵大臣はきようも答弁なすつておる。そうして金額その他が確定次第国会へ出す、こう言われておるわけであります。アメリカにおきましては、あれはむしろ贈与という形になつておりまして、アメリカの臨軍においては打切りの経費になつておる。そういうものについてすら一応法律関係を設定しようという意思が、日本政府側にはあるわけであります。いわんや予備隊というようなものに対して、アメリカ側がフリゲート艦を与えている、あるいはバズーカ砲を与えている、それは池田大蔵大臣のこの間の言明によれば、一年間に二百億くらいの武器弾薬をすら与えている、あるいは人間を動かすところの軍事顧問すら来ておる。そういうような日本の国防あるいは治安をつかさどる中枢部に外国人が入るということは、士気や作戰に影響するところきわめて大であるので、これを單なる事実上の関係に放任するわけには行かないのであります。もし放任するならば、政府責任ある態度をとつていないということになるのであります。そこで今後アメリカ側のそのような武器、装備の援助に対して、どういう法律関係を設定するのか、あるいは軍事顧問に対してどういう法律関係をもつて受入れるのか、政府の明確なる答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  81. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この問題につきましては、政府は一般的行政管理権を持つておりますから、さしあたりこの権限に基きまして、妥当なる処理をいたして参りたい、かように存じております。
  82. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その一般的行政管理権というのは、これは日本政府内部の問題である。しかるに予備隊に軍事顧問が来るとか、あるいは駆逐艦が十ぱい参るとかいうことは、向うのやることであります。従つてこれを受入れるとか、あるいはこれに対して何らかの処置をするという限りにおいては、両国間の合意あるいは何らかの法律関係が設定されなければできないわけであります。もしそういう関係を設定しないと、事実上これはちようどおめかけさんが仕送りを受けて、ずるずると悪い関係に引きずり込まれることになるのである。吉田内閣が今までやつて来たことはそれなんだ。そういうことは独立後は打切つてもらいたい、日本国家の権威と名誉にかけても、きつぱりした関係にしてもらいたいというのが、独立意識を持つた日本国民の要望であります。従つて一般的行政管理権を持つておる日本政府は、日本政府として適当な処置をするというのでは、答弁になつておらぬ。もう少し国民がわかるような答弁をして、ひとつここで御親切にやつていただきたいと思うのであります。
  83. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 予備隊といたしましては、事実上顧問の援助が支障なく得られることが確実であれば、よろしいと考えるのでございます。ただいまの見通しといたしましては、先ほど来申し上げましたような措置によつて、支障なく予備隊の顧問の協力が得られる、こう考えておるのでございます。そういう形で顧問の協力を供与することは不適当であるということを、もし米国側において主張される場合におきましては、もとよりこれを受入れますために、当方としても他の措置を講ずべきものでございます。現在はその必要がない。支障なくこれで処理できるものと考えております。
  84. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その答弁答弁になつておらぬ。私が質問したキー・ポイントに触れておらないのであります。どうしてそういうあいまいな答弁をせざるを得ないのでありますか。なぜもう少し明確なる関係を設定するということをここでおつしやらないのか。およそ一国が他国との間に、物資の供給であるとか、あるいはその他の援助等を受ける場合には、必ず明確にしなければならぬ。戰争前においてすら、外国人の教師を学校で雇うというときでも、ちやんとこれは私法上の契約によつて、法律関係を設定してやつたわけであります。いわんや日本が駆逐艦を十ぱいもらうとか、あるいはその他の援助を受けるという場合には、これはいいかげんな事実上の関係に置いておいてはならぬのであります。もしそういうような関係に置いておいて、あとで莫大なつけ書が来たらどういたしますか。少くともそういうことについては、明確なる法律関係を設定しておいて、国民の了解のもとにやらなければならぬのである。しからば大橋国務大臣に伺いますが、政府は、外国から来ている今の軍事援助的な装備や弾薬その他に対して、将来もこのままずるずると受取つてつて、何か向うと明確な法律関係を設定する意思はないの、か、そのことをまず明確に承りたいと思います。
  85. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この問題につきましては、条約その他の措置によつて、法律関係を設定することが必要であるということになれば、むろんそうすべきものと考えております。ただいまの見通しといたしましては、政府の一般行政管理権の作用といたしまして、事実上十分に解決し得る、こういう見通しでございますから、ただいまそれによつて措置をいたしておる次第であります。
  86. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 一般行政管理権の範囲内において必要としないというのは、どういう意味で必要としないのか。およそ菌が外国からいろいろな物資その他の援助、供給を受ける場合には、必ずこれは法律関係を明定することは、財政法その他も要求しておるところであります。従つてそういう措置政府はやる責任を持つておる。しかし一般的行政管理権の範囲内で必要としないというのは、一体財政法のどういう精神、条文から来ているのですか、あるいは特にアメリカとの関係において、どういう理由でいらないのでありますか、明確にひとつ答えていただきたい。
  87. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 そういうことなしに米国が貸してくれるのでございますから、従つてこれは財政法上の問題を生ずる余地が、現在において見通しとしてはない。従つて一般行政管理権の作用として、当然処置し得る範囲である。こういう次第であります。きわめて明白だと思います。
  88. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、そういうことなしに米国が貸してくれるというのは、日本に対しては何ら精神的、あるいは法律的、あるいは物質的負担を伴わずに、今後そういうような装備の貸与をずつと続けられるという見通しでありますか。
  89. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 現在のところは、予備隊において装備を受取るについて、何らの法律的な負担を将来に残すという形で受取つてはおりません。但しこれらのものにつきまして、将来そうした問題を協議する必要がある場合においては、そのときになつて協議をして、法律関係を明らかにすべきものである。また必要があればそうしたいというふうには考えておりますが、現在においては、そうした法律上の義務あるいは負担という問題を発生するものと考えられないような、そうした形で受取つておるわけでございます。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 現在そういう負担を伴わずにやつているというのは、しからば向うと話合いで、将来こういうようないろいろな援助、供給や、その他について、日本は請求権を受けるとか、あるいは何か負担を持つということはないのだ、そういう約束がはつきりできているのですか、そういう明確なとりきめ文書ができておつて、そういう見解を通じてやつておるのでありますか。
  91. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 中曽根君も法律の御専門でございますから、十分御承知かと存じますが、権利義務というものは、法律的にあるということがはつきりした場合においてのみ、主張し得るものでございまして、権利義務がないということについては、何らこれを明確にする必要はないわけです。これは明確になつておらぬということは、法律上主張すべき権利なり義務なりということが、ないということを意味する。従いまして、今日までの話合いといたしましては、この問題につきまして、日本政府が義務を負担する、あるいは負担を将来に約束するという事実はいたしておりません。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 しからば質問の方向をかえて、大橋国務大臣に申しますが、アメリカには御存じのようにヴアンデンバーグ決議というのがあります。従つて相互援助あるいは自助をやらない国に対しては、アメリカ側としては、武器の貸与あるいは軍事援助というものが、政府間の行為としてはやれないということになつている。ところが現在の日本の警察予備隊というものは、これは軍備ではない。従つてアメリカ側から見れば、日本は現在相互援助及び自助の意思も能力もないということになつておる。従つて政府間の行為として、これに対して武誌貸与をやるというわけには行かぬ。これはアメリカ国内のヴアンデンバーグ決議、あるいは相互安全保障法によつてできない。そこで現在日本へ来ている予備隊の装備は、われわれが聞いている範囲では、たとえば私の方に新町というところがあるが、そこで持つている予備隊の鉄砲は、あそこへ来ているアメリカの中尉が個人的に予備隊員に貸している、そういう形をとつているということを聞いている。それはヴアンデンバーグ決議があるから、事実上個人的に貸すというやり方以外はないのだ。もし日本に正規の軍隊ができれば、ヴアンデンバーグ決議に対応して、政府間のとりきめで正規の軍事援助ができる。たとえば韓国の李承晩、あるいは蒋介石、あるいはイギリス、あるいはフランス等に、アメリカ側が正々堂々とやつているものに切りかえることができる。しかし日本の場合はそういう対象がない。従つて個人的にアメリカの中尉や大尉が、日本の予備隊員に事実上貸しているという関係をとらざるを得なかつたのであるということを聞いている。そういう関係でこれが行われているのではないですか。
  93. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 現在の使用関係につきましては、たびたび申し上げました通り、キャンプに派遣されております顧問将校が、自己の責任において、米国の国内法上保管いたしております武器について、予備隊員に対して事実上使用を許容するという形で行われているわけでございます。この点につきましては、米国側においても困難な問題を生じております。それはいかなる点であるかと申しますと、ただいまのような状況では、米国国内法に基きますと、顧問将校が保管の責任を持つておるのでございますから、その損害、亡失等の場合におきまする米国国内法上の賠償責任につきましては、顧問将校個人が全責任を米国政府に対して負わなければならぬ。しかるに実質上これを使用する者は日本の隊員でございますので、不幸にしてそういう事態にあたりましては、何ら責任をとり得ないような状態にあるにもかかわらず、この責任を米軍将校が負わなければならぬ、こういう状況になつているわけでございます。そこで今後この取扱い方を改めたいという強い希望を、司令都側においては持つておるのでございまして、それは日本側の責任者に対して、アメリカ側の司令部の中央的な——中央と申しましても駐留軍の司令部の相当なる官憲から、予備隊の相当な官憲に対して、その引渡しを行う、そうしてこの引渡しによつて、爾後米国国内法上の保管責任を、米国国内法によつて免除されるような措置考えるようにいたしたい、こういうふうな希望を漏らしておりました。その線に沿いまして、ただいま討議を進めておるという状況でございます。
  94. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 アメリカ側とすれば、当然そういう関係にかえる要望があるということは、われわれも了解できるところであります。その辺でだんだん現在の状態がはつきりして来たと思うのでありますが、日本政府側としては、今のような事実上の関係で、個々人が事実上貸与を受けているというような関係で行くのが有利なのか、あるいはそうでなくて、中央当局間にそのような貸与の関係を設定するのが有利なのか、一体どちらが日本のためになるのか、大橋国務大臣の御所信を披瀝していただきたい。
  95. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 日本政府といたしましても、米軍の申出の通り措置することが、予備隊の隊務管理の上から申しまして有益である、かように観察をいたしております。
  96. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうしますと、アメリカ側の中央当局と日本側の予備隊の中央当局との間に、何らかの法律的とりきめが行われて、正式の貸与関係に入るということになると思うのでありますが、それは一体安保条約及び行政協定の一部分の事項として行われるのであるか、あるいはまつたく別個の関係において処理されるのか、その点を伺います。
  97. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは安全保障条約あるいはこれに基く行政協定とは何らかかわりのないことでありまして、かりに日本側の中央機関においてこの品物を一括して受取り、これを予備隊に管理せしめるという場合におきましても、その法的な基礎は、日本側の国内法といたしましては、予備隊に対する政府の一般行政管理権に基くものである、こう考えております。
  98. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 アメリカ側の中央当局と日本側の予備隊の中央当局が契約を結ぶ場合に、こちらの当事者はだれになりますか。
  99. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは当然行政機関であります予備隊の関係官吏が向うと話合いをすることに相なります。
  100. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 予備隊の関係官吏というのはだれですか、警察予備隊の増原長官になるのか、あるいはその管理をやつておる大橋国務大臣、つまり国務大臣になるのか、あるいは林総監になるのか、三人のうちだれがなることになるのですか。
  101. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊の一般行政権は国務大臣にはございませんで、これは独立総理府所管の機関ということになつておりますので、当然その機関に属する者がやる、すなわち予備隊長官または予備隊の総隊総監、こうした機関がやるか、あるいはその補助者がやるか、こういうことになると思います。
  102. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、その場合に外国日本側の管理が特定の法律関係に入るわけでありますが、それは一体いかなる性質の法律関係になるのでありますか。条約であるのか、それとも協定であるのか、あるいはそのほかの別個の法律関係になるのか、外国との関係でありますから、必ず何らかの法律関係になる。まさかそれは私法上の契約とは言えない。少くとも公法上の契約であります。これは一体いかなる性格の契約に入るのか、ここで明確にしていただきたい。
  103. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 契約であるか条約であるかという御質問でございますが、契約にいたしましても、条約にいたしましても、これは法律行為でございますが、法律行為というものは権利あるいは義務の発生を目的とした行為を法律行為というわけであります。従いましてこの場合においてはいかなる権利、いかなる義務が将来において発生するか、單に占有の移転を伴うというだけでありますならば、これは条約というような事柄ではない、こう思うのであります。国家間の国際法上の権利義務がこれによつて発生するという性質ではなく、事実上武器の占有が移転され、占有の移転という事実に伴いまして、その使用権というものが移転される。これは国際法上の国家間の権利義務とは関係のない事柄でございまして、条約という性質のものとは考えておりません。それで先ほど来申し上げましたごとく、かくのごとき事柄というものは、警察予備隊に対しまする政府の一般的行政管理権に基いて処置されるものであります。あくまでも国内法上のものである、こう考えております。
  104. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その辺の法律関係のことは相当デリケートでありまして、今後研究を要すると思いますので、私はここで私の考えをただちに申し上げることは留保いたしまして、別の機会に大橋国務大臣にもう少し正確に質問いたしたいと思います。ただここで明らかにしておきたいのは、政府考えによると、それは条約ではない、国家間の権利義務を伴う行為ではない、單に事実上占有を移転して所持するにすぎない、あるいは使用するにすぎない、そういう関係であるということをここで明確にいたされましたが、はたして何らの権利義務その他の国家間の関係が伴わないで、そういうことが直接、間接に行われ得るかどうか、特にアメリカの国内法規や日本の国内法規等から考えてみて、その辺はよほど研究を要する問題があると思います。  そこで大橋国務大臣にお尋ねいたしたいことは、そういうような国家間の権利義務が伴わないで、そのような協定なり、とりきめというものをつくれるものと確信してよろしいのか、そのことであります。たとえば弾薬を使つた、あるいはフリゲート艦を沈没させた、そういう場合に日本側に財政負担がかかつて来はしないか、損害賠償とかその他の問題、あるいはそのほかのそういう貸与を受けることによつてアメリカ側の軍隊に対してある協力義務その他の問題が発生して来はしないか、そういうような物的あるいは軍事的あるいは治安上の協力その他の負担が日本に生じて来るおそれはないか、この点を明確にしていただきたいと思うのであります。
  105. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいままでの先方との話合いは、さような義務あるいは負担が生ずるという、そうした問題と関係のない事柄だけを処理しよう、そうした問題について、将来とりきめをする必要がありといたしますならば、将来あらためてそういう問題を協議しよう、こういう態度で進んでおるのでありまして、ただいまさしあたつて措置しようとしておる問題は、先ほど来申し上げましたごとく、将来に対するわが国の負担あるいは義務というものと関係のない事柄についてのみ、この際相談をしよう、こういう態度で進んでおります。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それで大体明らかになりましたから、この問題はこれで一応留保しておきます。  次の問題は軍事顧問の問題でありますが、これは物の貸与や占有の移転という問題ではなく、人間の意思を伴つた行為であつて、同時に日本の予備隊に対して精神的なあるいは技術的な影響力を持つておるものであります。この軍事顧問との関係は一体どういうふうにしてとりきめられるのか、今までの御答弁の中に包括してあるのか、あるいは何らか別の形でやられるのか、この問題を説明願いたい。
  107. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 軍事顧問の今後の協力要請につきましての政府考え方も、大体先ほど来申し上げたのと同じことでございまして、特別なる条約あるいはとりきめという国際的な形でなくして、日本側といたしましては、政府の一般的行政権の作用として、この協力を受入れるという形で進みたいと思つております。もつとも米国側において、さような形において協力することを拒否されれば、これはそうした処置は不可能になるわけでございますが、ただいままでの話合いでは、日本側においてその意思があれば、米国側においては事実上は顧問として協力することについてはやぶさかでない、こういう態度であるように観察をいたしております。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その場合財政的な負担が日本に課せられることはないか。具体的に言えば、軍事顧問の給料であるとか、あるいは特別の手当であるとか、あるいは旅費であるとか、あるいは不幸にして傷害や死亡があつた場合に、その負担はどうなるのか。つまり日本側に経費の負担を伴わせずに、そういうことが行われるのかどうかということが第一点です。  第二点はその軍事顧問の発言権の内容であります。日本の予備隊の運営上、軍事顧問の発言というものは、一体どの程度まで認めるのか。これは單に法律的なことばかりではありません。隊の内部、あるいは行政機関の内部の訓令上の内容についても、政府考えをここで明らかにしておいていただきたいと思います。
  109. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御質問の第一は、顧問の協力を受けることによつて日本側が財政上の負担を伴うことはないかという問題でございますが、これはまつたく先方の好意的な協力でございまして、これに伴いまして、費用の全部または一部を負担するということは、何らないという前提で話合いをいたしております。但しこちらとしては、協力を受けるのでございますから、執務に必要な事務室等を隊内の適当な箇所に設けることは、顧問の事務そのものが日本側を援助するための事務でございますから、これは当然やらなければなりません。しかしそれ以外に予備隊として義務を負担するということは考えておりません。  それから予備隊の顧問が顧問として持つております仕事は、どういう仕事であろうかという御質問の趣意に伺つたわけでありますが、予備隊におきましては、顧問は各キャンプにおいて一名に限るということに相なつております。これはもちろん将校でございます。この将校が仕事をするにつきまして、たとえば自動車に乘るとか、あるいは手紙の受付をするとか、食事をするというような、顧問のいろいろな仕事上の援助のために、二、三名の助手として米軍の下士が付属せられると思うのであります。しかし顧問はこのうちで将校だけに限ることに相なつておるのでございます。そしてこれらの将校は、キャンプの最高責任者のスタツフといたしまして、この責任者に対して助言と勧告を行うことによつて、予備隊に協力をするということにいたしております。この助言と勧告は事実上の行為でございまして、何らこれが部隊の指揮官を拘束するようなものではございません。その指揮官の自己の責任において、その助言と勧告を受入れるかいなかを決し得ることであります。従いまして、これはまつたく法律上の問題にあらずして、事実上の援助であるという事柄であります。
  110. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 警察予備隊の部隊の責任者と軍事顧問の関係というのは、現在大橋国務大臣がその事務所を置いている深川の越中島の予備隊本部におけるあなたと向うとの関係の縮図だろうと思う。私はかつて予算委員会の第二分科会において言いましたが、深川の越中島の庁舎はどこの軍隊の庁舎なのか。行つてみて驚いたことには、一階、二階のオフイスの大部分はアメリカ人が使つておる。アメリカの軍事顧問と称する者が使つておる。三階の片すみに大橋国務大臣の部屋があり、その片すみに増原長官の部屋があつて、そうしてその外側のごくわずかのところにあなたのスタッフの部屋があるにすぎない。大部分はアメリカ人が使つている。それが警察予備隊の本部の庁舎のありさまである。日本の警察予備隊の長官や国務大臣というものは、実は向うの庁舎に居候しておるというのが事実上のかつこうである。先般の質問に対して、あれは向うの庁舎であるのでありまして、実はその片すみに置いてもらつておるのですと、あなたはお答えになつたが、独立後の日本においてもそういう関係であるのかどうか。  第二番目に、警察予備隊の権威にかけても、ただいまのような状態を改善して、顧問は顧問で別のところに置くとか、予備隊の庁舎は予備隊の庁舎らしく権威を持たせるというような、何らかの方法をとる御意思はありませんか。
  111. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 役所の建物はできるだけ広くてりつぱな方がよろしいにはきまつておりますので、今までもいろいろ心がけてはおりますが、なかなか適当な施設がなくて、ああいう状況でおるわけでございます。独立後におきまして、いろいろ米側に用立てておりました建物等も、逐次返還されつつあるような状況でございますから、予備隊の本部として適当な建物がありますならば、これを利用するようにいたしたいとせつかく心がけておるところであります。
  112. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 キャンプに顧問が一人ずつおるというのは今のお話でわかりましたが、一体予備隊の本部にいるあの厖大な向うの組織は何ですか。顧問ですか、それともただ仕事上おるというのですか、どういう関係ですか。
  113. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 従来あの建物は総司令部の民事局の使用するものだつたのであります。あそこには民事局がおつて局務をやつてつたわけであります。
  114. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 中曽根委員に申し上げますが、高橋通産大臣がお見えになつておりますので、適当なところで打切り願いたいと思います。
  115. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その民事局なるものは、日本の警察予備隊を指揮し、指導するのがその職務の大半である局ではありませんか。実際行つて見ると、日本の予備隊に対応するようないろいろなセクシヨンやデイヴイジヨンがあつて、それぞれ仕事をしておるじやありませんか。従つてあなたは向うの役所だというけれども、その向うの役所の仕事というものは、実は悪くいえば予備隊に干渉する機関である。よくいえば指導する機関である。その片すみに日本の予備隊の長官以下が居候させてもらつているという関係にある。これは実に予備隊の根本を冒涜するやり方なんだ。第一考えてみても、日本の予備隊というものは、朝鮮事変が勃発して日本における師団を一線に移すために、マツカーサーがあわてて代用品としてつくつたものです。真空を埋めるために代用品としてつくつたものだ。そういう過渡的な存在であつたために、アメリカの庁舎の片すみに本部が居候したということになつている。それがそのままずるずるべつたりになつている。言いかえれば手ごめにされた内縁関係と同じなんだ。それを独立後もそのまま継続しておるなんていうのはとんでもない話だ。もしそういうような考えで大橋国務大臣あるいは吉田さんがおるならば、これは日本人に対する裏切り行為だ。そんなものは断じて日本の治安や国防を全うする力にならぬ。元が正しくなければ末は働かないのであります。そういう一番根本的な問題を処置しないで、この独立後においてもずるずるべつたりとやつていて、どうして独立の成果を上げることができますか。あなたは民事局の役所だとおつしやつているが、そういう答弁がいけない。もつとまじめに日本独立の根本義をお考え願いたいと思うのであります。私は時間がないようでありますから、質問はこれでやめますけれども、この予備隊という問題は、とにかく朝鮮事変勃発の際の代用品が、そのままずるずると日本の陸軍の母体になろうとしている。その母体になるステツプとして向うと武器の包括的契約をやろうという関係に進めておるのだろうと思う。これは禍根を残すことです。日本の第二の悲劇を生むことです。私ははつきり申し上げておく。そういう悲劇を生まないように、日本の国政の根本というものは正々堂々と公明にやつていただきたい。そういうことを吉田内閣及び大橋国務大臣に要求いたしまして、また過般来の質問については留保いたしまして、一応私の質問を打切ります。
  116. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 川島金次君。
  117. 川島金次

    川島委員 大蔵大臣が見えますまでの間、高橋通産大臣に若干お伺いしたいと思います。  いよいよ日本も形式的には独立をいたしました。しかし何といいましても、一国の経済独立的な形態が完成せずして、名実兼ね備わつた独立国だとは言いがたいことはいうまでもありません。そこで通産大臣にお伺いいたしますが、日本の真の独立形態を達成せしめるための日本経済自立を完成しなければならない、そのためには通産大臣として、あるいは政府として、日本経済自立達成構想はどういうふうに持つて行けばよろしいのか。たとえば産業構造はいかにあるべきか、あるいは貿易関係はどうあるべきか、こういつた事柄について、一つ見通しのある確立された構想あるいは計画的なものが当然そこになければならないと思うのであります。そこで通産大臣は今後の日本経済の構造をどこに重点を置き、どういう形態で経済自立目的を達しようとするか、そういうことの構想について率直な、しかも明快な意見をこの際聞いておきたいと思います。
  118. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 将来の構想という御質問でありますが、一方では日本の生活水準を落さないように、また高めて行くべく、そこに重点を置いて考えなくちやいけないのであります。もう一つそのほかに、自立経済を確立するのに非常に必要なことは、日本としてはどうしても輸出によるよりしようがない。それで産業の構造をどういうように考えるかということは、これは機動的のもので、始終世界の情勢に関連して考えて行かなければいけないのだと思うております。御承知通り、現在日本の輸出の一番大きな部分は繊維品でありますが、繊維品についてはわが国も再検討する必要に迫られておると思うのであります。というのは戰後、繊維品の生産は世界的に非常に復興して来ておる。そうしてしかも現在の繊維品の生産を国別に考えますと、戰前とは非常に傾向がかわつて来ておる。生産は復興して来ましたけれども、各国別の生産額を比較してみますと、昔の繊維品の大生産国であるイギリス、日本の生産の割合が非常に少くなつて、以前には繊維品の方からいえば、あまり著しい生産を持つていなかつた国々、たとえばインド等の生産が非常にふえて来ているのです。生産額は元の通りになりましたけれども、そういう分布が非常にかわつて来たので、日本の繊維品の輸出について昔のように期待を持つことができるかどうか。これは今日わが国の繊維工業の一番考えねばいけぬ問題だと考えて研究をいたしております。
  119. 川島金次

    川島委員 今通産大臣は繊維問題を重点的に取扱う旨の指摘があつたのですが、そうすると今後の日本経済、ことに貿易関係においては、繊維工業を中核として貿易の増強を期する。そういうことになると、日本経済自立達成のための貿易増大は軽工業本位である、こういう形にも受取れるようなあなたの言葉であつたのですが、そういう形で行つてはたして、政府の目標といたしておるように日本経済が進んで行かれるかどうか。それによつて経済自立達成できるかどうか。たとえば重工業の問題について一体政府は今後どうしようというのか。そういつたことも今後の経済自立達成の上に非常に大きな問題ではなかろうかと思うので、そういう意味で私は通産大臣にお伺いをいたしたのであります。そういう方面の関連はどういうふうに考えられますか。
  120. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私の言葉が足りなかつたのですが、今一つの例として繊維品の工業について私の意見を述べたのですが、むろんこういう軽工業のみをたよりにすることはできないのです。私の申しましたようにこの面からいうと、むしろ以前の軽工業の部面を確保することが困難であろうかと考えられるような状態でありますから、あなたの御説のように、将来は既往よりも一層重工業方面に力を尽さなくちやいけぬと、私も同感に考えます。重工業問題についていつも議論の種になりますのは東南アジアの開発であります。これは私ども非常に重点を置いておりますが、実際にはまだ思うように進んでいない。これは非常に遺憾に思いますが、私は決して悲観をしていないのです。プラント輸出だとかなんとかは、それらの地方が開発され、日本の製品の消費地の地盤ができるのでありますから、非常に重要でありますが、一方で相手国の経済復興は遅々として進んでおりませんために、われわれの意見とそれらの国々との事情がマツチして行かないのでございます。しかしこれは御承知アメリカのフオア・ポイントなどの政策から申しましてもこういうものがだんだん解決されて行きますから、これらの諸国の購買力もアメリカ援助によつて漸次ふえて行く。そういうふうに私は考えておりますから、必ずしも悲観しておりません。その点はますます緒について行くと思いますが、今日までの成績については私も不満足に思つておる次第であります。
  121. 川島金次

    川島委員 日本経済自立達成の重要な課題は、今後の日本の産業構造をどういうふうに考えるかにある。それによつて年々増大するところの新しい労力をいかに吸収し、その新しく吸収した労力を最大限に活用しての生産の増強、それを通じての貿易の増進、こういう形というものがわれわれには考えられる。そこで大臣は国際事情もあるから固定的な方針を立てることはどうかというような意味のことを言われておりますけれども、私はそれでも満足ではないと思う。もちろん国外における経済事情あるいは需給事情に支配される、このことが相当大きな問題であるということは言うまでもありませんが、ただ日本政府として、今後の日本経済自立達成の場合に、どういう産業構造で、どこに重点を置き、そしてどういう形において貿易の増大をはかるかということが、年々歳々百万近くの青少年の新しい労力が日本にはふえて行く、こういつたものをいかに吸収し、消化して行くかという問題とも相からんで、きわめて私は重要な経済自立前提要件ではないかと思う。そこでそういうことについての大臣の構想を聞いたわけであります。そのことについて議論をいたしますことはどうかと思いますので、さらに続いてお伺いいたしますが、今大臣からこれから大いに貿易の増大、ことに輸出の増進をはかつて行くべきだという言葉がありました。どうもわれわれとしても異議ある筋合いのものではありませんが、今日の対米貿易事情を見ましても、通常の形からいえば非常に著しい入超でございます。ただその入超のギヤツプを、朝鮮動乱をめぐつての特需あるいは新特需あるいはそういつた特需以外の貿易外手取りというようなことで、辛うじて埋め合せて、ときには埋め合せてなお余りがあるというような形になつてつて、私はこの対米関係の貿易状態は、必ずしも正常な形ではないということが言えるのではないかと思う。かりに朝鮮動乱が今後急速に平静に帰するようなことがありといたしますならば、いかにアメリカの軍事予算の動きが今後とも緩慢ながらあろうとも、かなりこの特需方面における影響は大きいことになつて来ます。さらでだに、最近におきましては特需をめぐる注文がかなり減つて来ておるということがいわれておるのでありまして、そういう特需を除いた正常な姿における日米の貿易関係は、食糧を中心として非常に好ましくない不均衡な形になつておる。また今度はアジアその他の貿易関係を見れば、これまた輸出は進んでおるが、輸入ははかばかしくないので、ここにも大きな不均衡を見せておる。こういう形で、大臣がいかに日本の輸出を増進させるのだと言つても、実際上の問題としては、なかなかそれが思うように行かない対外的な現実の事情になつておるというのが、日本貿易の現状ではないかと私は思うのであります。ことにポンド圏に対する今後の輸出の問題等につきましては、日本経済自立国民経済、生活水準の維持向上というような観点に立ちましても、これは重大な影響のある問題であるのであります。そこで何か最近政府ではこれらの総合的な貿易関係の不均衡を、抜本的に是正するという一つの方策を立てて行かなければならぬという考え方になつて来たと、新聞はしばしば報じておるのでありますが、そういつた貿易不均衡の問題について、何か政府はこれに対してメスを加えて、本来の貿易の姿、日本経済自立達成の上にかくあるべきだという、一つの軌道に乘せる貿易構造がなければならないと思うのでありますが、その点通産大臣はどういうふうに考えておりますか、ひとつその考え方を承りたい。
  122. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 日本の輸出入貿易は、現在貿易全体から見ますと均衡がとれておる。しかしその内容を調べると、あなたのお言葉通り非常に弱い面があつて、特需、新特需のためにようやくカバーされておる、それが日本の貿易についての非常な弱点である、これは私も全然同じ意見であります。これは何とかしてかえて行かなくてはいけないわけであります。それからもう一つは、今のお言葉の中にありました特需品の注文が現在減つておりますが、これは一時的な現象だと思います。アメリカ側事情で、今年度予算が切りかえのときになりましたのと、また連合軍、進駐軍いろいろ性質がかわつて来たのにも影響しているのだと思いますが、この特需品は、私はいろいろな方面から聞いておりますのに、そう悲観する必要はない、昨年以上に本年度はふえるのじやないかと思いますが、それはどうでもよい。あなたの御意見のように、日本の輸出入貿易というものには先に述べたような弱点があります。それは特需品がふえるとか減るとかいうことと別に、弱点があることは確かなのですから、この改善をはかることはむろん日本として非常に必要なことであると存ずるのであります。  それから現在各方面で輸出が非常に減つている、何か政府として抜本的の政策を考える必要があるのではないかという御意見でありますが、現在輸出は遺憾ながら非常に減つております。しかしこれは日本だけでなくして、世界経済界が各国ともデフレ状態になつておるわけです。このデフレ状態になつておることは一面悲しむべきことのようでありますけれども、私は国内的にいつても、世界的にいつても、景気というものはときどき足踏みをするということは必要なのだと思います。現在の世界的のデフレというものが、必ずしも消費の面が非常に減つておるのではないのでありますからして、将来非常な悲観はしない、世界的にそういう状態になつておるときに、日本だけが何かかわつた抜本的の方針を立てるといつても、これは非常にむずかしいことでございますし、また一つ誤りますと、かえつて害を来すのだと思います。
  123. 川島金次

    川島委員 どうもちよつとはつまりしない点もあるように感ずるのでありますが、輸出が現実においては非常に減つて来て、この輸出増大ということが、今日の日本では眼目になつておるのだが、それが思うようになつておらぬ。そこでしかも一方においてはポンドにおいても、ドルにおいても、日本はこれをかかえておつて、いわば金持ち貧乏の形に今日本はあるのではないか。この金持ち貧乏でなしに、何か金持ちの機会を活用して、ここを一つのスタートとして何か展開をさせながら、いわゆる金持ちらしい一つ日本経済を打立てて行くということに、政府考えを及ぼす必要があるのではないか。いたずらにポンドやドルをかかえて貧乏しておる。こういうばかげた話はないと私は思う一人であります。そういうことで今お尋ねしておるのでありますが、そういうことについて通産大臣は、この金持ち貧乏を何らかの形で打開して行くという、展開的な、積極的な方策というものがこの機会にほしいものだと思つておる一人であります。そういうことでそれを聞いておるのでありますが、その点について大臣はどういうふうにお考えですか。
  124. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ただいま金持ち貧乏というお言葉がありましたが、今の日本の現状はお言葉通りであります。しかし同じ貧乏でも、金を持つた貧乏の方が、金を持たぬ貧乏の方より非常に喜ぶべきことなのでありますが、金を持つておるので、これを適当に利用する、外貨貸付けをするとか、海外に対してインヴエストを行つて行くとか、そういうことは政府では極力やるつもりでおります。これは一部実行に移しております。
  125. 川島金次

    川島委員 いかにふところに金があり、銀行に預金があつても、夏が来ても夏シヤツも買えないで、冬着で暮しておるというのが、今の状態ではないかと思います。夏が来たら夏が来たように、金はあるのですから、夏着に着かえ得る経済構想というものを立つて国民の生活水準を高めて行くというという構想が、絶対必要だと思うけれども、その点を聞いておるのであります。  そこで貿易のついでにお伺いするのでありますが、これは先般来予算委員会でも幾たびか問題になつたことで、若干むし返しのきらいはあるのでありますが、最近政府考え方が二、三箇月前とは若干かわつて来たのではないかという印象を私どもは持つておりますので、この機会にお伺いしたいのであります。問題は中共貿易の問題でありますが、この中共貿易の事柄については、二、三箇月前までは政府は非常にかたくなな立場をとつておるというふうに、われわれは強い印象をもつて見ておつたのであります。しかしながら最近この中共貿易という問題も各方面に指摘をされまして、また各財界、経済方面でも、政府に対して相当要望も行われており、また期待をする向きが逐次増大しておるということも、これまた事実であります。そういうことにかんがみまして、何か中共貿易に関して、たとえば従来バトル法の拘束を受けております。元来日本アメリカから軍事的援助を受けておらないのに、バトル法の拘束を受けるということは、ちよつとばかばかしくて、われわれも考えられない。しかるにいろいろな意味において政府はそういうバトル法を今日みずから持つて来て、みずからを縛つておるというような、私に言わせるならば、ぶかつこうな形になつておると思うのでありますが、こういつた問題についても、従来よりもこの考え方をひとつ転換して、何らかの形でもう少し中共貿易の窓口を広げよう、こういうような考えがどうやら政府部内にもあるのではないかと伝えられておるのでありますが、通産大臣はこの問題について、どういうふうに昨今お考えになつておるか、また今後の中共貿易について、どういうような構想を持たれておるか、この機会にあらためてお伺いしておきたいと思うのであります。
  126. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 中共貿易が非常に縮まつておる現在、私は昨年もこの委員会で述べたと思うのでありますが、私としては世界の貿易が政治上の理由で阻害されておるということは、非常に遺憾に思うのであります。ことに中共のような世界で屈指の消費地があり、その隣に日本という生産地がある、そこへ政治的の理由でその貿易が円滑に行かないということは、はなはだ遺憾であつて、こういう政治的の障害が一日も早くなくなつてしまつて自由に貿易ができるということは、非常に望ましいことだと思うのであります。それから今バトル法云々のお話がありましたが、これは、バトル法は日本もあれを尊重する義務があるのだと思います。というのは、バトル法を遵守して行かない国には、アメリカ政府としては援助しないということになつております。日本は現に経済的にいいましても、たとえば綿花クレジツトでアメリカ輸出入銀行からあれだけの融資を受けておる。これは考えて行かなければいけない。しかし私は何とか中共貿易というものが、今よりも盛んになつて行くことは熱望するわけでございます。ただ政府の同僚などが繰返して申しておりますように、しかし今日のところでは、以前のような中共貿易の復活ということは望めないと考えます。
  127. 川島金次

    川島委員 中共貿易について通産大臣は、政治的なイデオロギーに支配されて貿易が梗塞するというようなことは残念だ、さらにしかも中共貿易に対して今日より以上に盛んになることを望むと言われる。しかしこれだけでは私はやはり貿易の具体的な実践活動になら、ないと思う。やはり政府としてそういう一つの熱意を持たれるということになりますれば、それを具体化するという一つの積極的な熱意がなければ、言葉だけでは私は貿易にはならぬと思う。もし大臣にそういう熱意があれば、それを具体化する構想が当然なければならぬと思うのですが、そういつたものは今のところでは、一体大臣には持合せがないのか。政府全体としても、そういう事柄について具体的には考えておらないのかどうか。そういつたことについて、ひとつ率直に所見を承つておきたいと思います。
  128. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 中共貿易の復活といいますか、今以上に盛んにするということは、私は先刻申しましたように、中共貿易というものが自由にできるようになることは、これは世界人類のためにも喜ぶべきことで熱望しておりますけれども、今急速に現在より非常に改善されるということは、なかなか困難であると考えております。
  129. 川島金次

    川島委員 もう一つつておきますが、最近、先月あたりから新聞の報ずるところによりますと、電力の再値上げ問題が報道されておる。電力当局はそれぞれ試算して、当然これだけの値上げをしなければならぬというので、何か伝えられるところによりますれば、三割程度の再値上げが必至であるということであります。政府とも折衝の模様でありますが、今日電力会社と政府との間に、その問題について具体的な折衝があるのかどうか。そして電力会社が主張しておるところの電力の三割近くの再値上げが、はたして今日の日本経済の実情に照して妥当なものであるか。こういつたことについて、通産大臣としては重大な関係を持たれる事柄でありますので、それに対するところの見解をひとつ率直に示していただきたい。
  130. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ちよつと伺いますが、最近に値上げをしたわけですが、さらにですか。——そういうことは政府考えておりません。今研究もしておりませんが、私は通産大臣としては、できるだけ避けたいと思つております。
  131. 川島金次

    川島委員 そぅするとさらに電力料金の再値上げの問題は、当分の間政府としてはこれを押える、こういう確信見通しで行かれるということを言明できるのでしようか、その点をひとつ伺いたい。
  132. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私は現在のところでは、電気の方は所管ではありませんが、通産大臣としてはさらにまた値上げをすることは避けるべきだと考えております。
  133. 川島金次

    川島委員 もう一言大臣に簡單に聞いておきます。それは今度の行政機構改革によりまして、中小企業庁の廃止の問題が起つておるようであります。私どもの立場からいいますと、今日の中小企業はより積極的に、計画的に政府は熱意を持たれまして、この中小企業の振興あるいは育成ということに当るべきだと私は考えております。そういう観点から見ますと、中小企業庁という一種の特別な機関を設けて、その機関を通じて、今日の日本の中小企業の育成と振興、並びにそれを通して日本産業の発展に寄与せしめるという行き方は、私はきわめて必要なことではないかと思うのであります。何も役所がないからといつてどうという意味ではありませんが、現実の問題といたしましては、私は中小企業庁のごときは、中小企業の現状から見ましても絶対に必要ではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、大臣は、その管轄の中におきましての行政機構改革にあたりまして、中小企業庁が廃止されるやにわれわれ聞いおるのでありますが、これに対して大臣としてはどのように考えられておりますか。その点をひとつ伺いたい。
  134. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 中小企業庁を内局に移すというのが先日提出しました通産省の設置法の趣旨であります。これは政府が中小企業の行政を軽く見た結果ではないので、政府は中小企業行政というものは、ますます重要視しておるのであります。ただ今回の行政機構改革の方針が、ある特殊のもの以外は外局としての庁を置かないという方針であつたので、内局に移したにすぎないのであります。中小企業行政というものはますます重要視して行くつもりであります。
  135. 川島金次

    川島委員 その点についてもう少し言いたいのですが、大蔵大臣が見えましたから、通産大臣にはいずれかの機会に譲りまして、大蔵大臣に残つた分だけお尋ねします。  まず最初に大蔵大臣にお伺いを申し上げたいのは、日本経済、特に物価政策という問題について、一体大蔵大臣はどういう考え方を持たれ、今後の物価政策に処して行こうとなされておるかどうか。この物価の問題は、一口に安い方がいいと言つてしまえばそれまででありますが、その低物価政策にするにしても、なかなかいろいろな事情で容易でない形にあるように思うのです。さりとてさらに物価を引上げるような政策をとられることについては、国民もまことに迷惑なことになり、政府もそのことはあまり考えておらないでありましようが、その物価政策の今後のあり方について、大蔵大臣は基本的な立場として、どういうふうに考えられておるかということについて、この機会にまずお伺いしておきたいと思うのであります。
  136. 池田勇人

    池田国務大臣 物価政策の第一の要諦は安定することにあります。しかもその安定は、国際物価と見合つて安定すべきものであります。しこうしてまた第三番目には、なるべく国際物価より安いことが望ましい。しかし安過ぎては産業復興、生産増強に非常に支障がある。縮小的の生産になるということはいかぬ。こういうふうなことが基本になると思うのであります。
  137. 川島金次

    川島委員 その程度の大臣のお言葉では、私どもは満足ができません。もう少し、もつと高い立場において、ただ單に国際物価にさや寄せをする、できれば国際物価より安い方がいい、しかしそれは当然であります。しからばそういう考え方を持つておるとすれば、どういう施策を持つてそういう形に持つて行こうという努力をされるか。その努力をされるところの実際的な政策を私は聞きたい。その点をもう一ぺんお尋ねします。
  138. 池田勇人

    池田国務大臣 初めの御質問に対しては私は今の答えでいいと思います。しからばそういうことをどういうふうにして安定をし、国際物価とさや寄せをし、低位に置くかという問題であると思うのでありまして、私はさきの御質問には答えたつもりでおりますが、何と申しましてもまだ未熟でございますから、あなたの御満足の行くような答弁はできません。第二段の問題といたしましては、今の物価を安定させる、物価安定にはストツクの問題その他もございます。ストツクをある程度持つ、これも国際的に見なければなりません。そして適正な利潤で生産が伸びて行くような方法も考えなければなりません。それからできるだけ安いものというのは、生産増強に対しまして、設備の近代化とかあるいは金融の適正化、こういうことも考えなければいけませんし、また思惑防止ということもいろいろな点から考えて行かなければならぬ。今申し上げましたような安定、さや寄せ、低目ということ、それから適正な利潤、こういうことがいろいろな問題ごとにその問題に適応するような措置をとつて行かなければならない、またとりつつあるのであります。
  139. 川島金次

    川島委員 そこでさらに進んでお伺いいたしますが、そういう一種の低物価政策への構想があるといたしますれば、それをさらに具体化いたしますためには、一体日本の産業の構造あるいは労力の問題あるいは賃金の問題、いろいろからまつて来ようと思うのでございます。そこでまず第一に、その物価政策と相並行して、どうしてもからまつて参ります通貨の問題であります。通貨の問題といたしましては、通貨が出過ぎれば、これはもうインフレーシヨンになる危険が当然起る、しかしながら通貨を引締めると、これまたデフレ傾向になつて産業を脅威する、こういう形となりますが、一体この通貨の問題について、物価とのにらみ合せにおいて、大臣は日本経済の現状においては、通貨の適正量というものはどの辺にあるべきか、こういつたことを中心としての通貨に関する大臣の見解を、しばらく聞きませんので、大分かわつているのではないかと思う点もありますので、この際さらにあらためてお尋ねしておきたいと思います。
  140. 池田勇人

    池田国務大臣 通貨の適正量——まあ通貨数量説をいまさら私も出したくはないのでありますが、せつかくの御質問でありますから申し上げます。これは経験的に申しますと、大体国民所得の一割程度の通貨が普通の状態だといわれることは、あまり異論はないと思います。しかしその通貨に対しましても、預金通貨というものは度外視しまして、中央銀行の発行しておる、いわゆる銀行券を主にして一割程度日本でも正常な状態のときには大体九%、一〇%程度でございます。     〔委員長退席、苫米地(英)委員長    代理着席〕 一時二一%、一三%になつたこともございます。今では国民所得の九%程度ということになつております。アメリカあるいはイギリスにおきましても、大体国民所得の一〇%程度、フランスはこのごろインフレ傾向で一五—六%、イタリアがやはり一三—四%と記憶しておるのであります。そうすると日本は今、四千三百億円台になつたり、四千五、六百億円台になつたりしますが、そういう点から行くと少し少いのではないか。ただこれは回転率、小切手の問題、こういうものがございますから、一概には言えませんが、四千三、四百億というのは少し少いのじやないか。ただ通貨の問題よりも、日本銀行の信用供与が昨年の今ごろに比べまして、外貨貸付を入れまして、千億円ほど縮小しております。一般の貸付は千億円ふえましたが、外貨貸付の方が二千億ばかり減つております。信用供与は少くなつております。しかし問題は、コール市場などから申しますと、コールは相当出ている、金利も一銭九厘ぐらいに下つておる、こういうような状態でありますが、いずれにいたしましても、四、五年前に比べまして、通貨がちよつと二、三百億ぐらい少いのじやないかという気がいたしております。
  141. 川島金次

    川島委員 私も今大臣の言われた通り国民所得が本年度は政府の算定では五兆三百億円これを国際的な一つの基準で見て、それに対する通貨の発行高が一〇%、大体五千億、それが日本の現状では四千二、三百億、多くなつたときで四千四、五百億だつたと記憶しております。そこで物価の事情と所得の関係と通貨の問題とが、バランスがとれていないというような感じを私は強くする、そこに金融の梗塞を感ずる面が多い。ことに中小企業にいたしましても、あるいは直接間接に当面の重要産業に携わつておる方面にさえも、ややもすれば昨今では金融が逼迫しておる、こういう現実にあります。こういう形では私は産業の正常な展開と発展を求めることも非常に困難ではないかと思うのでありまして、私は決してインフレーシヨンを望むものではありませんが、大蔵大臣は物価と国民の所得と通貨の数とが均衡のとれたという一種の感じで申されておるのですが、大臣はそういうことにもう少し考える必要があるのではないか、こういうふうに私は思います。いたずらに政府資金の引揚げ超過などをやつてつてちよつと深刻な脅威を与える向きをこしらえる、そうしてまた時を経て若干金を流してみるというような、回転方式みたいなかつこうでやつておりますけれども、それはとらざるところじやないかと私は思いますので、大蔵大臣としてどうですか、物価事情国民の所得事情とをにらみ合せて、この通貨量の問題についてはもう少し考える必要が今日ではあるのではないか、そうして産業をもう少し刺激する必要がありはしないか、こういうふうに感じますが、この点は具体的にどういうふうに考えておられますか。
  142. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまのところ、そう特別の措置をとる必要はないと思います。これは財政、金融、その他を見ながらやつて行かなければならぬ、二十七年度予算が今全面的にスタートいたしておりません、切りかわり時でございます、それから昨年の今ごろに比べまして大体四百億程度通貨はふえております。今二、三百億とか、四、五百億とか多いから、すぐこれをああするとかこうするとかいう意味で、そのときどきの手を打つということは、なるべく避けるべきである。たとえば先般も百五十億の指定預金を出しましたが、新たな指定預金をするということよりも、今出している分を延ばすとかなんとかいう方法でやつて行きたいと考えておりまして、昨日なんかの様子でも政府の当座預金は三百億円くらいしかない。ただ外為の方とかあるいは食糧証券を政府は一般会計資金で持つておりますから、これを売つてやるということになりますと、これは日本銀行引受けになるのでございまして、その点はよほどあらゆる方面に気を配つてやらなければならぬ。私は毎日国庫の状況を見ておりますが、民間の方で資金の需要が今ちよつと落ちております。だからここではつぱをかけ出しますと、また需要が多過ぎて困るようになる。もう少し様子を見て行かなければならぬ問題だと考えております。
  143. 川島金次

    川島委員 その問題はその程度で一応打切つておきたいと思います。  そこでさらに午前中の質問に関連してもどるのでありますが、大蔵大臣の午前中のお一話でわかつたのでありますが、二十六年度の租税の自然増収が四百十億もある。さらに二十六年度中に予算は立てたが予算を実施せずして終つた額もあるのではないかと思うのですが、それは一体どのくらいの額に上りましようか、それを御存じでありましたならば伺いたい。
  144. 池田勇人

    池田国務大臣 各会計でまちまちでございますが、この分はちよつと締切りが遅れる。租税収入の方は各税務署、国税局を何しまして毎日の状況をとつておりますが、各省で契約なさる分は、逐一税金が銀行に入つて来たような報告をとる制度にしておりませんから、正確なところはわかりませんが、大体いわゆる前年度剰余金としての不用額は五、六十億くらいではないか、こう考えております。あるいは六、七十億くらいになるかもしれません。正確なところはわかりません。
  145. 川島金次

    川島委員 二十六年度中の講和に伴う善後処理費といいましたか、あれが百億か二百億あつたと思うのですが、これは繰越しされないのですか。
  146. 池田勇人

    池田国務大臣 これは翌年度繰越し明許の規定がありますので、剰余金のうちには入つておりません。
  147. 川島金次

    川島委員 そうすると、自然増収の四百十億、今の大蔵大臣の言う五、六十億、さらにまた平和善後処理費ですか、それが百億でしたか、それを加えると約六百億くらいになる、こういうふうに理解してよろしいでしようか。
  148. 池田勇人

    池田国務大臣 こまかく申し上げますと、午前中の問題の国際通貨基金への加入の二百億も使わずに残つております。それから平和回復善後処理費百億円も残つております。それから、たとえば警察予備隊で補正予算へ百五、六十億入れました、これも二、三十億は残つている。繰越し明許で翌年に当然来るものは剰余金の中に入れておりません。従つてただいま申し上げました分は各会計で支払い契約をしていない分で残つた分でございます。たとえば終戰処理費も六、七十億繰越しましたが、これも今年度へ繰越し使用ができる。四月の二十八日までに四十億足らずいつたと思います。従いまして今度は二十七年度の剰余金になる分が終戰処理費は二十億余りではないか。だから今までの剰余金というものは繰越上明許のついている分は入れない。これは当然使うのです。つまり半分を公債償還に充てるとか、あるいはその残り半分を翌々年度の財源に入れるというものは繰越し明許のつかぬのを言つているのであります。
  149. 川島金次

    川島委員 さらに午前中の質問に答えて大臣は、今のところ補正予算の予定はまつたくない、こう言われて、きわめて明白に言明されたようですが、どうも私どもの感じから申し上げますと、いろいろの事情で補正予算は必至ではないか。たとえば今後折衝されますであろうところの対日援助資金の問題やら、あるいは外債の償還の問題、あるいは外国の財産補償の問題もありましようし、賠償の問題もありましよう。これが一つも今年中に動かないとすれば、そういうことも考えられると思うのですが、この中でたつた一つでも動き出して具体化して来れば、それに伴つて当然補正も必要になつて来るのじやないかというような感じが私どもはいたすのであります。従つてあなたの所属する与党の増田幹事長の九月、十月補正一千億円説ということについても、これは必ずしも根拠のない問題ではない、こういうふうに私どもは理解をしているわけであります。しかし大蔵大臣はそういう問題をにらみ合せても、補正の要は当分ないということが言い切れる状態にあるかどうか、その点はどうですか。
  150. 池田勇人

    池田国務大臣 午前中に答えた通り、増田君がどういうふうな考えのもとに一千億の補正予算ということを言つたか聞いておりませんので、私はそこまで知恵が及んでおりません。ただ今お話の対日援助あるいは外債、賠償で今年度足りなくて補正予算を組むかという問題については、私はただいまのところ補正予算を組む必要はないと考えております。その他の国内的な問題で今特にここで補正予算を組まなければやつて行けぬという問題はございません。
  151. 川島金次

    川島委員 一応そういうことで了承しておきましよう。  そこでさらに続いてお尋ねをしておきたいのですが、最近の新聞の伝えるところによりますと、何か封鎖預金の第何次かの解除をする、こういうことがきわめて具体的に新聞に一部報道されておりますが、そういう封鎖解除の方針政府に立つて来ているのかどうか、その点をひとつ伺いたい。
  152. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ事務当局からそういう問題は私のところに持ち上げて来ておりません。実はきようこれから帰つてそういういろいろな案件を事務当局から聞こうと思つているのでありますが、毎日のごとくこつちでこうやつているのでありまして、下の方からまだ仕事が上つて来ておりません。聞きましてから答弁いたしたいと思います。
  153. 川島金次

    川島委員 下の方から上るまでもなく、大蔵大臣として封鎖預金が残つているのは御承知通りであります。その額は私も忘れましたが、数十億近くあるのではないかと思う。独立となつて、こういう問題も片づけなければならぬ事柄だと私は思うので、新聞に出まして、なるほどとうなずいた一人なのでありますが、大蔵大臣としては今の立場で今の主観でこの問題について率直に感ずる点はどうか、どういうふうに感じますか。
  154. 池田勇人

    池田国務大臣 こちらで御質問申し上げますが、封鎖預金というのは前の封鎖預金のことでございますか。私は前の封鎖預金が五、六十億残つているということは考えておりません。ただ金融機関再建整備法で預金額をちぎりまして、その見合いの分をどうするかという問題は前からあるのであります。これは金融機関の問題ばかりではありません。今の企業再建整備法の何にしまして第二会社の問題もあります。またこれに関連しまして賠償指定の問題、いろいろな問題があるわけでございます。そこで私はそういうようなものにつきまして、今いろいろな措置をとるということは、どれだけちよん切られている預金があり、そうしてどれだけの分が各人のものにあるかということは、資料を見ないとなかなか結論はそう急に出るものではないと考えております。
  155. 川島金次

    川島委員 なお続いてお尋ねしますが、最近一般の納税国民の間に、講和に伴う、何といいますか、いわば税金の大赦が行われる、たとえば脱税者の復帰というか、復活というか、あるいはまた三、四年以前の滞納等について、これを講和発効を機会に免除するというような事柄が盛んに伝えられております。何かそういうことで、正常な理由において納税ができなかつた者、あるいはそれのみならず脱税者等の問題についても、何か講和発効を機会に処置するなどというような、ちよつとわれわれの常識では判断のできない事柄が、いつとなく国民の間に伝えられておりまして、中には、それを本気で待つておるというような連中もなきにしもあらずという状況を私は見聞しておるのでありますが、そういう事柄大蔵省では何か考えられておるのでありますか。そういうことではなしに、そういうことに近いものを何か考えられているのですか、その点いかがですか。
  156. 池田勇人

    池田国務大臣 講和発効を記念いたしまして、大赦の発動があつたのでありますが、その機会におきまして、税法関係で罪になり、あるいは告発されておられる方については、どういう処置をとるかという問題で、考慮の結果、査察等によりまする法人税、所得税につきまして、昭和二十四年の旧税法の分については、大赦の恩典に浴せしめることが適当ではなかろうかというので、相談を受けて私は了承したのであります。そこで問題は、脱税しておつた分の脱税額、加算額その他は全部徴収いたしておりまして、ただ体刑の問題を主にしてのあれであるのであります。
  157. 川島金次

    川島委員 それで、それに該当する税額といいますか、そういつたものは大体どのくらいあるのですか。大ざつぱでけつこうであります。
  158. 池田勇人

    池田国務大臣 この税額は、加算税その他みなほとんど納めておられます。体刑について主としてやつておるわけであります。昭和二十四年度までの分をなぜやつたかと申しますと、実は旧法の分でございまして、しかも所得税、法人税につきましては、戰争前はもちろんのこと、終戰後におきましても、告発をいたしたということは例が実はないのであります。明治時代に一、二件と、経済違反で昭和十五、六年に数十件くらい出ておつて、終戰後急に方針をかえてぴしやつとやつた。国家に非常に不利を与えたかと申しますと、税金並びにその加算税等は、みなとつております。ただ体刑の問題について大赦ということを考えるということで了承いたしております。
  159. 川島金次

    川島委員 まだほかにも質問者が待つておられるようですから、最後にもう一つだけ聞いて、いずれまた機会を改めたいと思うのであります。  最近財政経済方面の先輩などの間に、何かの機会ちよちよく話題になつて来るのでありますが、いわゆる平価の切下げに準ずるような形のもので、ひとつこの辺で、平均年次から比べれば、物価も何百倍になつておるし、一々一つの品物を千円という感じを持つて呼んだり、あるいは百円と呼ぶということも、非常に経済の観念からいつてもおもしろくないというようなことで、ひとつ呼称を一思いに下げたらどうか、そうして、できれば百円を一円ぐらいに相当するような呼名に引直してみたらどうかというような、一種の平価切下げにひとしいようなかつこうを考えて、そうして各地の座談会その他でそれを放送しております。それがなかなか方々に誤り伝えられまして、何か政府方面でも、裏にはそのことを考えておるのではないかというようなことで、一部にはおもしろい案だと支持され、一部、わからぬ大衆には非常に不安を持たれておるという面もなきにしもあらずというのが実情であります。大蔵大臣もおそらくそういうことについて、すでに若干お聞き及びのことと思うのですが、そういう事柄について現在どういうふうに考えられておるか、その点を最後にお尋ねをして、私の質問を一応終りたいと思います。
  160. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまも大蔵委員会でそういう質問をある委員から受けたのであります。従来から答えておりますように、私は毛頭考えておりません。実はそういう議論をなさる人がおつたら、私、直接に、どんな方法でどういう効果があつて、その間にどういうふうな問題が起るかということを聞いてみたいと思います。私には直接にそういう意見をおつしやる人はございません。私はデノミネーシヨンというようなことは考えておりません。
  161. 川島金次

    川島委員 大蔵大臣も知つてつて、白ばくれたかつこうなのでしようが、あなたの先輩の石橋湛山氏、日本経済の小汀利得氏などが盛んにそういう問題を取上げてやつております。いずれひとつゆつくり、これらの先輩にも会つて意見の交換をしてもらいたい、こういうふうに思います。参考のために申し上げておきます。
  162. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 中曽根康弘君。
  163. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 大蔵大臣に簡單なことをお尋ねいたします。  問題は軍人恩給の問題でありますが、政府におかれては、軍人の恩給に関しては権利は確認しておる、つまり財産権として確認をしておる。しかもこれは停止をしておるけれども、その実施方については、本年度は審議会をつくつて研究されて、来年の四月からこれを実施するとい言うにわれわれ承つておるのでありますが、この軍人恩給の問題は、国民の負担の公平ということも考え、特に和解と信頼の条約というものが成立して、日本独立国となりました今日から考えますと、ある程度文官との均衡もとらなければならぬと思うのであります。この点に関して、本年度の経過中に、政府側はどういうような処置をおとりになる用意があるか、この際大蔵大臣考えを承りたいと思います。
  164. 池田勇人

    池田国務大臣 軍人遺家族に対しましての予算的、法律的措置をとりますときにも、私の頭には軍人恩給の問題はあつたのであります。しかし何をおきましても、軍人遺家族の方にまず第一手を打たなければならぬというのでやつたのであります。国会の説明におきましても、昭和二十七年度中に何とか成案を得て、来年の四月一日、二十八年度から実行して行きたい——先般も参議院で、ある議員の質問があつて、二十八年度までたな上げにするか、こういう問題であります。しかし、納得のできる、いい案ができ、そうして財政の裏づけができれば、何も二十八年まで——二十七年度中に絶対にやらぬというわけではありません。とり急いで案をこしらえますが、必ずしもそう急には行かぬのではないか、こう心得ております。政府といたしましても、軍人恩給につきましては、審議会等を設けまして、できるだけ国民全般の納得の行くような案をこしらえたいというので、内閣の方でも検討いたしておるわけであります。
  165. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 お答えはもつともだと思いますけれども、特に公平という点から考えますと、老齢軍人には昔はかなりの経歴を持つてつて、国家にかなりの功績のあつた人もあつたわけであります。特に今事変あるいは戰争に関係のない昔の方もあつたわけでありまして、そういうような少くとも六十、七十というような老齢の軍人が、今、昔の肩書きをかなぐり捨てて、どぶさらいをやつたり、あるいは監視人をやつておる、そういうようなかなり逆境にあるのが多々あるのでありますが、少くとも本年度ぐらいには、特定の年齢以上のそういう特に困つている人に対して、国家としてめんどうを見てやる措置をやることが望ましいと思うのであります。これは一般的な問題を離れて、特別のそういう措置を講ずる必要があると思うのでありますが、政府側にはそういう用意があるかどうか、この際承りたいと思います。
  166. 池田勇人

    池田国務大臣 軍人恩給といいましても、一概に行かないのでございまして、お話のような点もあります。しこうしてまた一、二年勤めただけの人もあります。今特に日清、日露、北清事変あるいは満州事変——満州事変が入るか入らぬかわかりませんが、こういう問題について特定の人を取上げて、軍人恩給の一環として今考えるということは、私はまだ踏み切らぬところがあるのであります。それよりもできるだけ早い機会にひとつ案を出すように努力するのが筋じやないか、こう思います。
  167. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 最後にそれではお尋ねいたしますが、必ずしも昭和二十八年の四月から実施する必要はないので、少くともそういう案ぐらいは半年とか三箇月たてばできるはずであります。問題は財源の裏づけだろうと思うのであります。しかし昭和二十七年度も、年度の経過によつては先ほどいろいろ御答弁にあるような財源もあるようでありますし、必ずしもできないことではないだろうと思うのであります。従つて昭和二十七年度中に追加予算を組んで、何らかのそういう特に困つている人たちを救護するというような措置を講ずるお考えはあるものですか、どういうものでありますか、承りたいと思います。
  168. 池田勇人

    池田国務大臣 これは軍人恩給を一貫しての案ができましてから後に考えることが適当ではないか。その案ができないうちに救護とかなんとかをいたしますと、せつかくの案が遅れたりすることになつても困ると思います。こういう例外的な措置は、根本的な措置がきまつて、そうして手を打つのが筋じやないかと思います。
  169. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そこでその軍人恩給全般の案というものを早く成案を得て、本年の年度の経過中に補正予算を組んで実施する用意はあるかないか、このことを承りたいと思うのであります。
  170. 池田勇人

    池田国務大臣 今後の案の審議の状況によつてでないと、いつできるとも言われ喜んので、われわれはなるべく早く案をこしらえて、そうして皆さんの御希望国民全体の方々が納得されるような案を早くつくるのが必要だと考えております。
  171. 上林山榮吉

    ○上林山委員 軍人恩給の問題について、政府においては遺家族の問題を解決する際、さらに傷痍軍人の問題を解決する際にも、相当調査を進められ、できるものならば、財政が許すならば早くやりたい、こういう意向を、われわれの要望に、あるいは国民の要望にこたえて明確な答弁をしておられたのでありますが、すでに御承知通り、遺家族の問題も不満足ながらもあの程度に実現したし、傷痍軍人の問題も御承知通りに解決されたりしたのでありますから、私はでき得るだけ早くこの問題を解決してもらわなければならぬ時期に至つたのではないか、こういうことを考えるものであります。そこで政府特に大蔵大臣が、ただいま理解のある答弁をせられたのでありますが、補正予算に出すか、二十八年度の予算に出すかは、諸般の情勢をよく考えた上で善処することが、かえつて受恩給者の立場から考えても、私どもはいい案ができるという前提において、その方がいい場合もある、こういうふうに考えるのであります。そこで具体的にもう少し伺いたいことは、たとえば現在の段階では、調査が十分にできていないから、あるいは発表せられるべき時期ではないかもわかりませんが、まず今度行われる軍人恩給の性格であります。この性格は現段階で言えるものとしてどういうふうにお考えになつておるか。たとえば国家的な補償という考えで行くのか、あるいは援護というような意味で行くのか、あるいは今までの軍人恩給を多少修正した意味の純粋な恩給という性格で行くつもりであるのか、この辺のことをまず伺つておきたいものだと考えます。
  172. 池田勇人

    池田国務大臣 なかなかやつかいな問題でございます。いろいろな実情を調査した上で、しかも財源その他との関係があります。ので、十分慎重に研究いたしたいと思います。
  173. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私は大蔵大臣責任者としての答弁として、慎重を期するという点はよくわかります。しかし性格の問題は、これは将来のいろいろな問題に影響を及ぼす問題でありますので、政府におかれては、この恩給の件をどうするかという問題については、特に私は慎重を期していただきたいという希望を付して、これ以上お答えを要求いたしませんが、次にお尋ねいたしたいことは、年齢に相当制限を加える考えがあるかどうか、あるいは一律に金額をきめるのか、それとも相当の差等を設ける考えがあるのかどうか、こういう点は、私はもう考えていい時期だ、あるいは構想ができておる時期だ、こう考えますので、この点を承つておきたいと思います。
  174. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう問題は、この軍人恩給の問題の基幹をなすものであります。十分審議会等で研究していただきたいと思います。
  175. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 最後に、前から通産大臣にお尋ねいたしたいと思つたのでありますが、おいででありますから二つだけ御質問をいたしておきます。  第一は、先般来帝石の問題で、私はここでいろいろ質問をいたしたのでありますが、この帝石について最近政府が重役陣に対してある勧告をなさる処置をやられたようであります。これは本間政務次官が私に対する答弁の履行としておやりになつたと思うのでありますが、政府はいかなる措置を帝石に対してやつたのか、予算委員会に当然報告する責任があろうと思うのであります。その措置と、政府側の意図をここでお示し願いたい、これが第一点。第二は同じく四日市の燃料廠の問題でありますが、これも先般来私がいろいろお尋ねをいたしておりまして、現在政府側においては慎重に御検討のことと思います。幸いに石坂委員もお帰りでありまして、五人委員会も正式に機能を発揮する段階になつたのでありますが、先般来私がここで主張いたしましたように、特定の商社、特に外資の過剰導入という危険のあるようなおそれのあるやり方をやめて、日本の自衛力漸増計画その他とにらみ合して、経営の自主権を確保すると同時に、国民の負担公平という原理から考えてみても、納得の行くような措置をおやりになつていただきたいと思うのでありますが、この点について決定を大体いつごろやらせるつもりであつて、どういうふうにおやりになるか、大体の構想をお示し願いたい。以上の二点を御質問申し上げます。
  176. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 御質問の最初の点でありますが、帝石の社長に対して勧告をいたしたことは事実であります。どういう勧告か、その意味は、こちらからどうせい、こうせいというような勧告ではないのです。あそこの経営につきまして、非常に遺憾な点があることがだんだんわかりましたので、また昨年採掘の方法などについて勧告をいたしたのでありますが、それを実行していない点などがわかりましたので、社長に対してはそれらの警告をいたしまして、経営の思い切つた改善をする必要があるのではないか。その案を社長が立てて持つて来るはずになつております。それをさらに検討してみたいと思つております。そういう状態であります。  なお四日市の問題はまだ研究中であります。石坂君も帰つて参りましたけれども、いろいろ石坂君にさしつかえがあつて、まだ委員会を開くことができませんので、決定までにはもう少し時日を要するかと存じます。あなたの御意見の点は、私からもあなたの御意見として委員諸君に伝えておきます。
  177. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それでは私はこれで質問をやめますが、最後に希望を申し述べさせていただきたいと思います。それは帝石側に対しまして勧告をなすつたのは、きわめて適切な処置だと思います。その御勧告によりまして、帝石の首脳部においても必ず善処されると思うのでありますが、経営の改善というのは、そういうような失態をやつた重役陣の一掃、現在の酒井社長以下、これが引責辞職するということが当然含まれねばならぬ。大体そういう方向へ進んでいる由であります。ところがそのあとがまに通産省の古手官僚を持つて来るという情報が、まことしやかに伝えられておる。私らが聞いている範囲では、前菜次官があとがまの社長になるとか、あるいはこんなことはないと思いますけれども、始関資源庁前長官が社長のあとがまにすわるとか、そういうことを現役の通産省の官僚が先輩を押してやつておるということを、これは情報として聞いておるのであります。これはしかし政府の御政道としてきわめて遺憾なやり方でありまして、いやしくも監督官庁にある人間が、監督さるべき会社に天くだりするということは、国家公務員法の精神から見てもやるべきことではないのであります。いわんや民間にありましてそういう弊害を一番知悉しておられる高橋通産大臣は、絶対におやりにならぬだろうと思います。これが行われると、国家の政治にひびが入ります。こういうことを絶対に行われないように、この際通産大臣に要望いたしたいと思います。通産大臣からお答えがあれば幸いだと思います。
  178. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 帝石は今日では民間の普通の会社でありますから、今の重役陣を改めることについても、われわれに何も権能はないわけで、これは株主総会できめる問題だと思います。従つてあとがまに私どもがある特定の人を推薦するというようなことは、私はやらないつもりであります。はつきり申し上げておきます。
  179. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 以上で私の質問を終ります。
  180. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 横田甚太郎君。
  181. 横田甚太郎

    ○横田委員 高橋御老体大臣には非常にお気の毒ですが、通産の実権を握つておられるので、一応尋ねなければならないので、尋ねるのです。大体これは川島さんに対する御答弁にもありましたように、こういうことをおつしやいました。私が聞きたいのは、占領下においては非常にいまいましい通産行政をやらされた。なぜかと申しますと、日本外交がなかつた。従いまして日本人は外を見られなかつた。だから外を知らないのをいいことにいたしまして、日本アメリカ人がかつてに判断をした。その判断の結果、日本は土地が狭くて、人間が多くて、食うものが足りないのだから、アメリカの余つたものを持つてつて、安く働かせて、かつてに使つてやれ、こういうことであつた外交がないにもかかわらず、日本の品物の売り買いをやつてつた。このやり方がアメリカの得をするやり方であつたために、日本が貧困になつた。それが今日の治安問題になつているのだと思います。だから独立国の今日におきましては、第一に今までのやり方とは違つた通産をやつてもらわなければならない。その通産とは、前は外交に押えられておつたのですから、通産大臣が外務大臣に反逆する、外交に対して反逆するという通産行政をやつてもらわなければならない。これが第一だと思うのです。それが高橋さんの言葉によりますと、川島さんに答えられた言葉のうちに、政治的な事由で中共貿易がうまく行かぬのは遺憾だと思う、もうこんなものは早くなくなつてしまつた方がいい、こういう言葉になつておる。しかしこの言葉だけでは、非常に現在の世界の動きから置き忘れられた、御老体の火ばちのそばに当つての思い出話になつている。しかし実際はもつと進んだ手を打たねばならぬ。聞きたい材料はたくさんありますが、まず大臣の側に、今後の通産行政について一つの抱負があり、政策を変更すべき具体的なものがあるならば、それを承りたい。
  182. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私には一向抱負はありません。
  183. 横田甚太郎

    ○横田委員 抱負がないなら大臣をおやめになつたらどうですか。抱負のないような人が大臣になつてつて何になるのですか、それはどうなんですか。
  184. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 横田君、答えがないそうです。
  185. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは具体的にあなたの答えられるものから聞きますが、今中共、ソビエト、これは世界では非常に大きな力のある国であるにもかかわらず、アメリカにきらわれている。アメリカに追随するところ日本の自由党政権からもきらわれている。ところ日本の財界人は、中共との話合いが非常にうまく行くような何を見て来たのです。だから外務大臣がアメリカ人にそそのかされて、中国へ行つてはいけない、ソビエトへ行つてはいけないと言うておるにかかわらず、共産党員でない改進党の宮腰さんや、あなたと同じ会派である緑風会の高良さんまでモスクワへ飛んで行く。これに対しまして憎たらしい自由党の外務大臣はどういうことを言つたでありましよう。あれは宣伝会議だと言つた。モスクワ経済会議十日間は單に宣伝だけではないのでありまして、二億ポンドの商取引がやられたのです。日本の金に直しまして二千四百四十億円の取引がやられた。これは宣伝ではない。こういうような取引がやられましたモスクワ経済会議のことについて、日本の通産大臣としてはどういうようなお考えをお持ちですか。
  186. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 モスクワ会議の内容、については、私は何も知りません。ここで批判することはできません。なおモスクワの経済会議に行つた人たちが、はたしてソビエトの真相を見て帰るかどうか、それも帰つて来て話を聞いてみぬと私はわからない。
  187. 横田甚太郎

    ○横田委員 何も知りませんと言われるが、これは知らなくてもいい会議でしようか、通産大臣として知らなければいけない会議でしようか、これを第一に聞きたいのです。あとの言葉のモスクワの会議に参加した人たちが、ソビエトの実相を見たか見ないかというような僧たらしいことはあなたとして言わない方がいいのです。だからまず第一に通産大臣に聞きたいのは、何も知らないというのは、通産大臣は恥じやないのでしようか、それでいいのでしようか、それを承りたいのです。
  188. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 通産大臣は答弁がありません。
  189. 横田甚太郎

    ○横田委員 答弁がないとはどういうわけですか。通産大臣はどうしたのですか、ごきげんが悪いのですか、答えられないのですか、程度があるのじやないですか。
  190. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 そういう質問に対しては、答えなくてもしかたないと思います。
  191. 横田甚太郎

    ○横田委員 しかたないなどと、委員長何を言うのです。普通の委員会なら黙つていないが、きようは予算原案通過後のひまな委員会だから黙つておきます。それでは具体的に承りますが、中国から大豆を買わぬかと言うて来ておる。これを承りたいのです。今日本はどこから大豆が入つているのですか。そして今買わないかと言うて来ておる中国大豆と、今日本が買うているところの大豆とは一体どういうふうに違うか。それが日本経済にどういうように影響を与えるか。このことについて、お考えがあるでしようかないでしようか。
  192. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 中国の大豆の問題は私は具体的に存じません。売りたいといつても、その条件によつて判断するわけです。
  193. 横田甚太郎

    ○横田委員 条件は非常にいいのですが、御希望ならば知らせましようか。これは大体通産大臣だけでは、初めから断つているように、お気の毒です。私は外務大臣とともに聞きたかつたのです。なぜかといつて日本外交というものが、現在自主性を回復しておらない。従つて通産行政を圧迫している。これが原因だと思つております。だから私は、高橋通産大臣から、日本外交はけしからぬ。もつと日本の利益のために元気を出さなければいかぬ。こういうふうな答弁をされるのであつたら、割合と毒づかないのです。そうでないとたよりのうて、通産省なんてなくてもいいと思う。ここに出ておるところによりますと、大体中共からの大豆は、これは共産党の新聞じやないのです。食糧業界新聞という新聞に出ているのです。これは大豆を扱うところ業界新聞です。それによりますと、中国からもし大豆が入りましたならば、これはCIFで大体トン百ドルで入るのです。アメリカから現在入つておりますところの大豆はトン百三十ドルです。だから通産大臣に失礼なことを申し上げますが、百ドルと百三十ドルとどちらが高いか安いかということです。それがきまりましたら、次には百ドルの大豆がよくて、百三十ドルの大豆の質が悪い、油の含有量が少いということが一つ。しかもアメリカ大豆には夾雑物が多い。それも共産党の私が言うのではないのでありまして、業界の新聞に出ております。日清製油の常務、あるいは日本大豆協会の常務理事、あるいは吉原製油東京支店長、あるいは大豆協会の人たちがこれをはつきり言つている。アメリカの大豆を扱つた人が言つておる。長くなりますと初めの方をお忘れになるから、大体百二十ドルと百ドルと一体どちらが高いのですか、得なのですか、どちらの大豆を日本人は買うように努力したらいいのか、これを承りたい。
  194. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 百ドルと百三十ドルのどちらを買う方がいいかということは、ちようど今そろばんを持つていないので、判断に苦しみますが、ただ値段だけできめるわけには行かない。支払い条件も非常に重要なフアクターであるのですから、ただ安ければ買う方がいいという結論には達しないのです。今あなたのおつしやつたことを私も新聞で拝見しましたけれども、それはそのまま信用ができるかどうかも疑問であります。
  195. 横田甚太郎

    ○横田委員 よくそんなことを言いますね。紙はどうですか、日本の占領下においても、海外事情を一番よく知つておらなくちやならない新聞社の人々でも、紙で御存じのように米人に詐欺をされた。紙をごまかされたのです。何億の損をしたのです。マニラの砂糖は一体どうなつたのですか、こういうのもやはり占領下の通産行政のもとにおいてやられた。支払い条件がいいとか悪いとか、そんなことできめられませんというようなことで、みすみすわかつた百三十ドルと百ドルの商取引を、逆説的に反対の答弁をしていいのですか、そんな良心のないことで大臣としていいのですか、どうなんですか。
  196. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 その支払い条件も、フアクターに考えてきめるべきだということを私は申したのですが、その答弁で十分だと私は思います。
  197. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではその支払い条件に入つて行きますと、こういうことが出ているのじやないですか。日本のブリキ板を買おうじやないかと言つて来ている。これがバトル法のどこに触れるか。出したら出せる。ブリキ板、これが日本で足りないのじやなく、余つている。条件がいいじやないですか。どこが悪いのですか。
  198. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 全体この大豆を売るとか、ブリキを買いたいとか、今新聞の記事いろいろお話でありますが、そういう問題で通産省はまだ何も、どの方面からも交渉は受けていない。通産省の問題には一つもなつていない。通産省の問題になつて研究すべき問題だと思います。
  199. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、あなたは新聞記事で知つた、こういうことを言われますが、私も新聞記事で知りたくないのですよ。だからこういうところへは人間が行つたらいいのです。行く意思のある人もあるのですよ。それを旅券法にかこつけて、下関くんだりでつかまえて、中国を知らさないように、見ささないようにしておいて、新聞記事だけしか知りませんというような政治は、何ですかと言うのですよ。だからこの外交のやり方が、あなたが言われるように、通産省にいいニユースが入つたならば、それを基礎にして判断しようという、健全な、やはり紳士としての判断を持つておられるはずなのですから、閣議に出席された場合においては、今の外交に対して反逆なさいまして、そして中国へ自由にやつたらどうだ。見て来て、もつと真相を知るようにしたらどうだ。そういうようなことに努力される意思があるのですか、ないのですか。
  200. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 旅券の問題は、これは外務大臣の方に御質問願いたい。今の中国へ日本民間人が行くことに、閣議で努力する意思があるかないかという御質問に対してお答え申し上げます。私はありません。そういう考えを持つておりません。
  201. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、一番最初に言われましたところの、政治的事由でうまく行かぬのは遺憾に思う、うまく行かないようなものは、早くなくなつてしまう方がいいということは、單にじつと見ておるという意味でしようか、努力する意味でしようか。もし努力されるとするならば、どこでどんな形で努力されるのですか。
  202. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 私は今の世界政治的情勢で、各国間の貿易を阻害するようなことは、非常に遺憾だ、それは一日もよくなることを希望するということを申しておるのであります。この問題は私が少々努力したところで、なかなか実現できません。
  203. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんなことを努力したところが、どうにもならないということを言わずに、こういうような努力の先端に立つ大臣があつていいのですよ。前のことを言うと、後藤新平さんは何をやられて、どんな人ですか、それもよく考えてもらいたい。今国の境、政情の相違を越えて、呼びかけているのが中国の貿易であり、ソビエトの貿易であります。だからあのモスクワ経済会議の記録を読んでごらんなさい。アメリカから出た代表者は、アメリカの自由経済主義がいいものとして、それを前提として報告し、討議している。このことは日本国内におりまして、あなたたちの政権であるところの弾圧機関、特審局からねらわれている私たち自身が知つている。だからあなたたちはもつとわかるはずだ。努力しないのは卑怯なんです。だからこういうようなことに対して政治的な条件を早く除かれるようにやつてもらつておれば、日本の通産行政に対してわれわれがつまらない文句を言わなくてもよくなるのだと思います。特にこの点で伺いたいのは、大豆は非常に重要なものでありまして、この大豆は大体満州から入つておりましたときには非常な量であつたことは御承知でありましよう。通産大臣もよく御存じでありましよう。昭和十年を基準にとつてこの大豆が日本にどのくらい入つて日本の産業上にどのくらい裨益しておつたかということは御存じでありましようか。もし御存じであれば、大豆の大という字を聞いただけでも、もう少し熱意ある御答弁をなされてよいのじやありませんか。そういうものの言い方はないのでありまして、大豆は日本に入るのであります。大豆のことについてはもう少し努力された方がいいのではないか。その努力に何か具体的なあなたのやり方があるかないかということを承りたいのであります。やりませんか。
  204. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 先刻も申し上げましたように、大豆を日本に売りたいという希望があるということを新聞記事を通してあなたは喋々しておられるが、われわれの方には何も言つて来ていないので、取上げようがないのであります。
  205. 横田甚太郎

    ○横田委員 大豆を売りたいといつて、私が中国から頼まれてあなたに紹介しておるのではない。日本業界の人々が買いたいといつておるのです。買いたいという意思があるところへ売りたいという電報が来ておるのです。買いたい人はいろいろと他のものも買いたかつた。だからこういう意味になつておるのです。私があなたに申しますのは、こちらが中国側の意向を代表いたしまして売りたいといつておるから亜鉛板を買いたいというのではなくて、亜鉛板をどつかへ出したいという日本業界の人がある。また油も、アメリカの大豆で油をこさえていた人が、中国の大豆を使つて油をこさえたい、こういう動きがある。これは国内の一つの要求である。これを解決するというように努力してもらえるのか、どうですか。
  206. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 日本の国内業者が中国の大豆を買いたいという意思があるならば、通産省に来て話があろうと思います。今度新聞でどうだとか、電報が来ておるとかおつしやるけれども、私は知らぬのです。まだないのです。
  207. 横田甚太郎

    ○横田委員 まだないと言われるのですね。これがもし治安関係の木村法務総裁であるならば、そうは言わせない。あなただからその言葉だけで済ましておきますが、大体まだないと言われるが、あるのです。あるものをないとしらを切るから、私は具体的にこういう商取引をしたい人がおる、あすでもよいのですよ。あなたのもとに連れて行きます。そのときのあなたの返答の用意はできておりますか、議会での答弁国民への答弁です。その辺はどうですか。
  208. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 それはその話を聞いてみて適当な御返事をするほかありません。
  209. 横田甚太郎

    ○横田委員 話は今言つた内容そのままを言つて行くわけです。その内容についての判断を願いたい。そんなとぼけるのもよいかげんにしなさい。どうでしようか。もつともお年もお年ですが……。もう一ぺん申しましようか。トン百三十ドルと百ドルです。しかも品質は中共大豆の方がよいのです。引合いはブリキ板三種目も四種目もあります。しかしそれをいうと品目が多くなるとまた忘れるといけませんから、大体百三十ドル、百ドル、そうして大豆は中共のものが上質であつて、それをやりたいという中共側があり、日本側にも業者がある。この話はまだ聞いておられなかつたら、また聞いた後に判断なさるというなら、あすあらためてこの人を連れて行きますから、そういたしますとこれは新聞ではなくして、人間が話をするのです。大豆を買いたい人がおるのですから、そのときに即答できるのですか、それとも研究なさるのですか。
  210. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 あなたは先刻から私は買うのじやないが、買う人があるのだと言われるが、そういう買う人が通産省に参れば、ひとつ担当の局長に会つていただきたい。ただ買う人があつたところで、支払いの条件がある。いろいろの条件考えて判断しなければいけないのであつて、買う人があるといつてすぐそれを許すわけには行かぬ。よく研究してみます。
  211. 横田甚太郎

    ○横田委員 ブリキ板というものは出せるのですか、出せないのですか。その点はどうでしようか、伺いましよう。
  212. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 ブリキ板は中国への輸出は許さぬことにしております。
  213. 横田甚太郎

    ○横田委員 念のために伺つておきますが、どういうわけで許さぬのですか、それを伺いたい。
  214. 松尾トシ子

    ○松尾説明員 亜鉛鉄板は現在のところ輸出許可品目になつておりまして、中共向けには輸出を許可しないことになつております。
  215. 横田甚太郎

    ○横田委員 この輸出許可品目になつておるのはわかつておりますが、どういうふうな意味の許可品目になつておるのですか、それをもう一度承つておきたい。
  216. 松尾トシ子

    ○松尾説明員 中共向けに対しましては、現在の特殊事情にかんがみまして、一定の品目が許可品目になつております。その中に亜鉛鉄板などが入つておるわけであります。
  217. 横田甚太郎

    ○横田委員 私が聞いておりますのは、これは西村先生の質疑応答のときにもありましたが、バトル法より以上の日本にはきつい取締り法規がある、しかもアメリカ人の命令だ、その名前はわかつておるが、あなたの品からもう一回聞きたい。こういう不必要なものになぜ従つておるかということを私は聞きたい。
  218. 松尾トシ子

    ○松尾説明員 バトル法よりも若干現在の日本の許可品目は範囲が広いのであります。その中に不幸にして亜鉛鉄板などというものが入つておるのでございます。その問題につきましては事務当局としてはいろいろ研究をいたしておりますが、今ここでどうこう申し上げる段階になかろうと思います。
  219. 横田甚太郎

    ○横田委員 不幸にしてブリキ板が入つておる、こう言われておるけれども、これを不幸でないようにしてはどうですか、そうしてやつた方がよいじやありませんか。研究中だ研究中だというが、あまり研究が長過ぎる。もうぼつぼつそういうことは事務的にやつてつたらどうですか。英国人、フランス人などは思い切つたことをやつておる。アメリカに軍拡をそそのかされた英国は物資不足、フランスはインフレ、イタリアは失業だ、これに軍拡をさせたら骸骨が鉄砲をかついだようなものである。こういうことをいつて、非常に大きな商取引をソビエト、中国の人たちとしようとしておる。これ以上はもう十分ですから強くは申しませんが、社会党の人も、改進党の人もみなそれを言つておる。もつと日本よりひどい大きな援助を受けておる英国、フランス、それ以外の国々が、もつとゆるやかな禁止条項の中に貿易をやつておるにかかわらず、日本においては援助ではなくて、略奪、収奪である。米軍占領中はむちやなやり方が多かつた。そういう現状のもとにおいて、日本人が大きな貧乏をして喜んでいなければならないわけがない。この点は、次官か、局長か何か知りませんが、そんな者の答弁なら、私も通産委員ですから、通産委員会でゆつくり聞きます。これは大臣から承りたい。そういうものは勇気をもつてやめてしまう気があるかないか。
  220. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 そういう問題は慎重に研究いたします。
  221. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 横田君、大分時間が経過いたしましたが、ひとつこの辺でまとめてもらいたいと思います。
  222. 横田甚太郎

    ○横田委員 初めに断つてありましたように、通産問題で通産大臣にだけ聞くほど、日本の通産行政は自主性を持つておらないのです。これは外務大臣の岡崎さんをいじめなければしようがない。外務大臣不出席で高橋さんにこうやつておると、高橋さんとかみ合わねばならない、かみ合つておりますと、あなたの人柄と年齢の関係で、私の方がかえつて逆効果になりますから、もうこの辺でやめまして、結論に入ります。  大体日清製油の常務の坂口幸雄さんなんかでも「すぐ隣りの中国と取引できないということは、日本経済にとつて変則的なことだ、赤い政府相手だろうと何だろうと、有利な取引をすることが商売人の常道だ、」こう言つて、「最近の中国の油脂原料は質の点では非常に信頼できる、昨年入れたごま、綿実にしてもそうだ、油かすをみそ、しようゆ等に利用する日本人としては中国大豆が切望される、トタン、ブリキのバーターという条件も生産過剰で悩んでいる折も折なので、渡りに船ということであろう、」こう言つておるのですね。それから日本大豆協会常務理事三堀参郎さんは、「昨今の政府の態度は、できるだけ中国との貿易を避けようとしているので、この転換を業界で待つていては、いつまでたつても実現しないだろう、」と言つているのです。それからアメリカ大豆につきましては、「日本大豆協会では、アメリカ大豆の品質粗悪及び夾雑物の多い点を調整してもらいたいとの意見書を、近くアメリカ大豆協会、農務省検査局、監理局等に発送する」と言つておるのですね。これを申しましたのは、今度は中共側ではないのでありまして、日本側の業者が非常に買いたいといつておるのです。中共貿易でありますから、開らん炭とか鉄鉱石のことも言いたい、いろいろ言いたいですけれども、まず大豆が一つのきつかけでありまして、一つの禁輸のせきを切りますと、中国との貿易が順調に行くのですから、中日ソ貿易再開に対して勇気をもつてつてもらいたい、この中国から入らない大豆のかわりとして、アメリカ人がいばつて入れておる大豆なるものは、ここにも書いておるように、使つた人が言うのです。非常に夾雑物が多いし、油の含有量が少い。こういうものを早く切りかえなければならない情勢にある。しかももう一つだけ言つておきますが、これはソビエト側からの宣伝であります。その文書によりますと、大体日本という国は、米一つにしたところが、トンについて六十ドル、いわゆる二万一千六百円も高くアメリカから買うておる。これは石に直すと三千二百七十二円、高く買うておる、こういうことを言つておる。これは事実ですが、これを知らずにやらずにおれといつて、しんぼうを強要されておるところ国民として、悪くて高いものをなぜ買わされねばならないか。その反面、アメリカ人の思うままに、こちらへは売つてはいけない、こちらへだけ売れといつて日本国内でたくさんのものを滞貨にし、そのために滞貨に対しましては、金融統制でいろいろな面から滞貨融資を条件付でやります。その滞貨融資を基礎にして、日本では銀行だけを太らせて、その暴利をあげた銀行を守るために、刑務所と巡査と、人殺し集団をたくさんこしらえて、日本の治安を乱して行つて、この国をなぜアメリカの思うままにしなくちやならないか。このことは非常にむちやくちやなやり方である。だからこのようなことをよくにらめて、この明明白々な事実を聞きわけないところの吉田ワン・マン総理に言つていただきたいのです。これを言うのは、年齢の点からいいましても、また人柄から申しましても、政党関係から申しましても、あなただけしかないのですから、大阪の業界において、あなたに期待しておつたのでしよう。ところがあなたは、中共貿易に対して非常に不熱心であるがために、皆が怒つておるのです。だからこの点をよく考えて、中共貿易のために、首を切られようとも、職を辞そうとも、あなたの今の人となりにおいて、別にかまわぬ人なんだから、やつていただきたい。これを私は希望しておきます。
  223. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 本日の会議はこの程度にとどめまして、明後二十一日は午前十時より委員会を再開し、残余の質疑を継続することにいたします。  これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会