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1952-02-18 第13回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十八日(月曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 塚田十一郎君    理事 有田 二郎君 理事 上林山榮吉君    理事 北澤 直吉君 理事 苫米地英俊君    理事 井出一太郎君 理事 川島 金次君       淺利 三朗君    井手 光治君       尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君       小淵 光平君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       小坂善太郎君    志田 義信君       田口長治郎君    玉置  實君       永井 要造君    中村  清君       中村 幸八君    南  好雄君       今井  耕君    川崎 秀二君       中曽根康弘君    藤田 義光君       岡  良一君    水谷長三郎君       風早八十二君    山口 武秀君       横田甚太郎君    稻村 順三君       成田 知巳君    世耕 弘一君       石野 久男君    小林  進君  出席国務大臣         法 務 総 裁 木村篤太郎君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         通商産業大臣  高橋龍太郎君         運 輸 大 臣 村上 義一君         厚 生 大 臣 吉武 惠市君         国 務 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         内閣官房長官  保利  茂君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農政局長)  小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   東畑 四郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 永山 時雄君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      井上 尚一君  委員外出席者         通商産業事務官         (振興局経理部         緊要物資課長) 石井由太郎君         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月十八日  委員並木芳雄君辞任につき、その補欠として平  川篤雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  分科会設置に関する件  昭和二十七年度一般会計予算  昭和二十七年度特別会計予算  昭和二十七年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 塚田十一郎

    塚田委員長 会議を開きます。  昭和二十七年度本予算の各案を議題に供します。これより質疑を継続いたします。苫米地英俊君。
  3. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 これまでにいろいろの大きな問題が取上げられており、大体私どもとしては了承できるので、こまかい問題の二、三について、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  まず第一に日本在外財産に関する問題であります。講和條約の第十四條の四項に、こういうことが書いてあります。「前記の」「日本財産を差し押え、留置し、清算し、その他何らかの方法で処分する権利は、当該連合国法律に従つて行使され、」日本の「所有者は、これらの法律によつて與えられる権利のみを有する。」この條文から見ますと、当該連合国法律によつて、ある程度日本財産保護せられるということがあり得ると考えるのでありますが、この点いかがでございましようか。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通り、そういうことがあり得ると思います。現に中米のサルヴアドルでございましたか、憲法上そういうものは自分の国で処分し得ないというふうなことを、言つてつた国もあります。また最近の情報によりますと、ブラジルにおきましては、日本在外財産を没収しないということをきめたそうでございます。必ずしも全部放棄することにきまつておるわけではなくて、当該国の自由にまかされておるということに相なつております。
  5. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 そういうことがあり得る、現に実情があるといたしますると、これは連合国の方に一任しておくよりは、日本政府の方から積極的に働きかけて、日本在外財産をできるだけ保護することが、望ましいという気持がいたしますが、今までに政府でそういう処置をとられたか。もしくは今後どういうふうにするというような方針を持つておられるか。それを伺つておきたいのであります。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 外交関係が復活しておりませんので、積極的には今まで別に措置をとつていないと考えておりますが、講和條約成立後におきましては、外交関係が復活いたしますので、望ましいことと思いますので、とるべきではないかと思つております。
  7. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 大蔵大臣の御答弁通りだと存じますので、この点はぜひ最も早い機会において、積極的に行動をとられるように希望いたします。  その次にお伺いいたしたいのは、この給與制度簡素化という問題であります。現在は給與のほかにいろいろのものがついている。家族手当とか地域給とか寒冷地手当とか石炭手当とか、いろいろなものがついて非常に複雑になつてつて、このために会計を預かつている人々は、非常な煩瑣なことをやつておるし、また年々このためにいろいろの運動があり、政府もいろいろ苦心をしておられることを了承いたしておるのであります。ことにこの地域給につきましては、ある一点が地域給がよくなると、その周囲承知しな。その周囲をやるとまたその外郭が同じように動くということで、これは非常な悪い影響があることを認めておるので彫ります。ことに義務教育に従事している職員等について、困難な問題が起つておりますし、また東京ならば給與が下つても行こうという人があるのに、東京あたり地域給が非情にいいというようなことで、そこにも矛盾があるかと思うのでありますが、まず第一にこれを簡素化するとすれば、何か大蔵省に案でもお持ちになつておるかどうか。それをまずお伺いしたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 御説のように非常に複雑になつており、またそれが必ずしも厳密な意味で公平でない場合もあるのであります。従いまして適当な方法考えるべきではないかという気持は持つておりますが、何分にもこの点につきましては人事院の所管でありますので、今大蔵大臣としてこうすべきだという案は持つておりません。
  9. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 第一に、それでは家族扶助料は現在どのくらいの金額が出ておりますでしようか。その数字を伺いたいと思います。同様に地域給寒冷地手当石炭手当等についてもお伺いいたしたいと思います。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 今特別の手当の分の数字を持つておりませんから、いずれ取調べましてお答えいたします。
  11. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 次にお伺いいたしたいのは、航空事業に対してでありますが、将来航空事業はますます盛んになつて行かなければならない、またなつて行くものと思いますし、せんだつて同僚議員の質問に対して、いろいろのことをお答え願つたのでありますが、私がこの問題について特に取上げたいと思つておるのは、ガソリン税の問題であります。航空事業に対するガソリン税は、私の過ちがなければ、戦前にはなかつたように記憶しておるのでありますが、諸外国においても、航空用ガソリン税をとらないところが多いように聞き及んでおります。この点について、大蔵省はどういう見解を持つておられますか。まずお伺いしたいと思います。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 日本航空会社は、設立当初でございまして、まだ収支の見通しその他がはつきりいたしませんので、ただいまのところガソリン税のみならず、通行税徴収いたしておりますが、航空会社の決算の結果等を見まして、適当な措置をとる必要があるのではないかと考えております。
  13. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 現在ガソリン税はどのくらい徴収されておりますか。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 全体といたしましては六、七十億円ではないかと思います。航空会社の使用しまするガソリン税を免税いたしますると、六、七千万円に相なることと思います。
  15. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 それでは次の問題に移りまして租税徴收に関する問題でありますが、これもすでにたびたび問題になつておりますので、私はそういう煩瑣なことをお伺いしようとするのではありません。徴税費が昨年度の百四十一億に比べて、二十七年度は百三十二億に減つておりますが、これは徴税が非常に整備されて来て、経費が少くなつて来たものと見て、慶賀にたえないことと存じておるのであります。ところが現在この徴税費を、さらに減らすくふうをする必要があると考えておるのでありますが、地方へ行つてみますと、近ごろ納税組合がだんだん発達しておると同時に、納税組合に対する政府補助金の増額というようなことも、非常に希望があるようであります。それよりもさらに大きい問題は、国税県税市町村税等の別個の納税組合ができておつて、これが互いに競合しておる。国税の方が優先的にとつておるというようなこと、また組合に與える金の高が、この三つの税によつて非常に違つておるようなことで、いろいろの問題を起しおるようでありますが、私は、なるべくならば納税組合は一本化した方がいい、こう考えておるのでありますが、この納税組合に対する助成金、並びに今後の大蔵省方針を承りたいと思います。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど揮発油税の収入を六、七十億と申しましたが、二十七年度は百億程度になつておりますから訂正いたします。  納税組合の点につきましては、御承知通り終戦後は、納税組合はよくないというので実はやめたのであります。ところがその後実情に沿わない点がありますので、徐々に改正して行つたようなわけであります。お話通り、税は国民各自がお納めになるのでありますから、国税であろうと、県税であろうと、あるいは市町村税であろうと一体であるべきではないか、理想は一体の方がいいと考えております。なお国税徴収でも、今は全都直接徴收、税務署が面接に納税者の方から納めていただくようになつておるのでありますが、昔のように間接徴収、すなわち市町村徴収した方が便利のところもありますので、今後研究題目として、そういうふうな方法に進んで行つたらどうかと考えております。もしそうなりますれば、府県市町村一体になりやすいと考えておるのであります。できるだけ納める方々の御便宜なように仕事をかえて行きたい、こういう気持研究いたしております。
  17. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 御承知通り国会内に租税完納本部というものがあるのであります。これは先年できたのでありますが、その後いろいろな関係から有名無実に近いものになつております。近ごろはその経費国税庁が持つてつて、非常に運用がうまく行かないようなことを聞いておるのでありますが、今のような状態ならば、むしろ租税完納本部というようなものはやめてしまつた方がいいんじやないか、私はこう考えておるのでありますが、地方に行つてみると、この租税完納本部をこういうふうに生かしてもらいたいというような希望が相当あるのでありまして、これはもちろん国会議員がある程度考慮して行くべきものと考えますが、やはり大蔵省と歩調が合わないとうまく行かないと思うのであります。そこでこの租税完納本部というものの将来について、もしくは現在について、御意見を承りたいと思うのであります。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 納税の大切なことは万人も認めるところでございまして、われわれ徴税当局といたしましては、納税奨励のためにいろいろな手を盡しておるのであります。昨年も四十数年間国税完納された全国で三箇村を表彰いたしますとか、いろいろな表彰方式等考えまして、租税完納奨励いたしておるのであります。今いろいろの機関がございますが、その機関のうちで十分働いていないところもあり、また働いているところもあるのであります。そういう点はできるだけ調整しながら、とにかく納税を完全に行つていただくように、仕向けて行きたいと考えております。
  19. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 次にもう一つだけお伺いしておきたいのですが、これは事柄があまり小さくなりますので、適当であるかどうかわかりませんが、砂糖消費税の問題であります。世界的な砂糖値下り、また砂糖統制をはずすというようなときに、北海道ビート糖のことが考慮に入れられておらないかのごとく見受けられるのであります。私は統制をはずすということには賛成でありますが、およそ統制をはずすときには、あらゆる産業を見渡して適当な処置をとるということも、同時に必要であると考えるのでありますが、現在のビート糖にはこの考慮が拂われておらないために、北海道農民は今非常に迷つて連日陳情に来ているような次第であります。これは單に日本甜菜糖会社浮沈という問題だけではなしに、北海道農業政策上きわめて重要なる問題であり、七万の農民の運命に関する問題であり、また将来の畜産奨励もしくは増殖等についても、重要な関係があるのであります。このヒートはすでに種をおろす時期がきわめて接近しており、この問題の解決は急を要するのであります。いろいろ理論的にいえばむずかしい点がありますが、この会社をつぶしてしまうということは——また会社は、もし適当の処置がとれなければ解散する、今年解散する方が一番有利な状態にあるというように申しておるのでありますが、これは一会社浮沈だけでなしに、農業政策上きわめて重要なものであり、またきわめて望ましくないことであります。海外からの砂糖の供給が得られないとか、もしくは非常に減少するとかいう場合には、唯一の国内における砂糖源であるのでありますから、むろん農林省にも関係がある問題でありますが、この点について、大蔵省として緊急にどういう処置をとることが可能であるか、またとるつもりでおるかという点について、一応承つておきたいと思うのであります。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 甜菜糖奨励と申しますか、とにかく原価が高くなつておりますので、輸入糖との関係考慮いたしまして、実は砂糖消費税の官庁千円引上げの予定を三百円ほど関税の方にまわしまして、甜菜糖保護を計画いたしておるのであります。ただそういう関税政策だけで行かない点があるやに聞き及んでおりますので、今後どういうふうな方法甜菜糖保護しようかということは、ただいま検討中であるのであります。
  21. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 関税精製糖で三割、粗製糖で二割というように改訂せられたことはよく了承いたしております。しかしこのビート糖に最も多く響くのは、精製糖でなくて粗製糖の方である。しかるに粗製糖の方の関税上り方が少いということは、その保護影響がきわめて乏しいことになるのでありますが、それよりもつと重要なことは、現在アメリカの方でも同様にビート業者が非常に苦しんで、ここに持つておりますが、外字新聞を見ても、その値上げもしくは保護ということに、非常に大きな関心が拂われております。ジャワ糖等世界砂糖の増産のために先物が非常に安くなつておる。こういうことを考えるときには、現在の値段よりは光物考えなければならない。その先物が非常に安くなつているという状態であります。そこで現在すでに関税の上げただけは値下りで帳消しになつてしまつている。さらにその上に先物が安くなつておるというような情勢がありますので、このままではどうしても行かないのですが、こういうことは考慮のうちに入り得るかどうか。それは本年産のビート糖政府で買い上げる、適当の値段でそういう特例をもつて保護するということは、いかがなものでございましようか。その点をひとつつておきたいと思います。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 世界的商品を生産いたします場合におきまして、世界市況影響を受けることは当然であるわけであります。しかし、当然であるといつてつておくわけには行きません。国際的商品につきましての保護政策は、非常にやつかいなものであるという意味におきまして、今の関税引上げだけで行かない場合にはどうして行こうかということを、ただいま検討いたしておる次第であります。
  23. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 大蔵大臣並びに大蔵省農林省関係各位が真剣に考慮しておられることは、よく了承し感謝いたしているのでありますが、現在はすでに時期が問題というところまで押し迫つておりますので、ひとつ早急にこの御解決を願いたいと存じます。  大蔵大臣は健康を悪くしておられるようでありますから、私はさしあたりこれだけをお尋ねしてやめたいと思います。
  24. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、一万田日銀総裁は下期好況説を出しておられますが、大蔵大臣として、本年度の経済見通し、不景気になるかあるいはこのままの状態で行くか、あるいは景気がよくなるか、これに対する簡単な御答弁を承りたいと思います。
  25. 池田勇人

    池田国務大臣 国際経済につながつておりますわが国経済見通しといたしましては、なかなかはつきりしたことは申し上げかねるのが実情であるのであります。しかし国際経済も不景気になるとは考えません。徐々に好景気になると思います。従いましてわが国経済もこれにつながつている関係上、国民各位の御努力によりますれば、だんだん経済は活況を呈する考えております。
  26. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣投資銀行構想は、一部に反対もありまするけれども、大体において好評のように見受けられます。その投資銀行法案がもしも上程されるとして、その銀行に入るものは今のところ日本興業銀行以外にはないのではないか。それで勧業銀行については、すでに市中銀行の方へ行きたがつているし、二十三年三月再建整備を行つたとき、預金銀行として出発することを勧銀として大体決定している。そして現在預金は約六百億円を越えている。一方債券は二百億円程度で、実質的に商業銀行の性格を勧銀は備えている。店舗も百を越えているなどの理由から、投資銀行法案が出れば、長期金融をやめて、一般商業銀行になるというのが大体既定の方針のようであります。この勧銀がもしも商業銀行になる場合に、勧業債券という制度について、他の銀行とのアンバランスの点も考えられまするので、別にお考えになるか、そのままの状態勧銀商業銀行になつても、勧業債券勧銭でやらせる御趣旨であるかどうか、承りたいと思います。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題はただいま検討を加えているのであります。投資銀行と申しまするか、発券銀行と申しまするか、そういう構想長期金融機関専門店を設けた方が、金融機構がはつきりするのではないか、こういう考えのもとに、今金融制度懇談会話題として提供しているのであります。投資銀行あるいは発券銀行制度を置く場合におきまして、今の個々の銀行についてどうするかという問題につきましては、まだ検討中でございまして、はつきりいたしておりません。日本勧業銀行話題にお出しになりましたが、まだ別に北海道拓殖銀行もございますので、こういう点は十分検討を加えてみたいと考えております。
  28. 塚田十一郎

    塚田委員長 有田君に申し上げますが、通産大臣が見ましたので、苫米地委員通産大臣に対する質疑を継続いたします。
  29. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 通産大臣にお伺いするのでありますが、昨日の新聞を見ると、ポンド手持ちの過剰に対する対策ができたようであります。大体日本外貨手持ちは、私の了承しているところでは十億余、その二五%約八千五百万ポンド英貨となつているようであります。このポンド対策としては、先物為替相場変更ということと、ポンド地域向け輸出予約期間短縮ということ、それから輸出金融措置という大体この三つにわかれて出ているようであります。あの新聞記事は多分ごらんになつたと思いますが、あの通りでまず大体間違いないものでございますか。それについて注釈があるならば、ひとつ伺いたいと思います。
  30. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 一昨日の外為から発表いたしました新聞記事、あれは大体あの通りであります。ポンド蓄積の問題は、御承知通り今われわれとしては大きな問題として、苦慮いたしているのでありますが、こういう方法をとれば解決するという方法はなかなかないのであります。要するにポンド信用世界的に低落して来た結果なのでありますから、わが国でいろいろな措置をしても、それですぐそれが解決できるとは私は思いません。今日から施行しまする金融措置も、あのままにほつておくわけに行きませんから、至急に一時的の措置としてああいう措置をとることにしたわけであります。実際にあれを実行してみまして、その結果によつては適切な改正をはかつて行くという方針なのであります。
  31. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 現在のポンド過剰の悩みは、ポンド貨を持つていることによつて、その信用低下によるポンドの価値の減退ということと、これに伴つてボンド地域の物価の上昇と、この二面から日本が非常に不利を受けているのでありますが、この先物為替相場変更、これは業者にはあまり響かないので、その効果が大してあるかどうか非常に疑問に思われますが、その次の輸出予約期間短縮という問題は、そこにいろいろの影響が出て来ると思うのであります。第一に、業者負担が増すということ、それから第二には、東南アジア開発に対して、これでは動かないということが考えられるのでありますが、その点通産大臣はどういうふうに見ておられますか。
  32. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 御意見通りで、あの結果輸出方面にいろいろな影響があるということは私は認めます。元来われわれとしてはああいう措置はなるべく避けたい。これは外為にいたしましても大蔵省にいたしましても、みな同じ意見であるのです。昨年未来われわれでいろいろ研究した結果でありますが、多少のそういう支障はあつても、あのくらいの措置はとらなければいかぬであろうという、結論に達したわけであるのであります。
  33. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 通産省では、業者負担かどのくらい増すという見通しを持つておられるか。また東南アジア師発プラント輸出というようなことについては、これでは絶対取引ができないことになりますが、その点についてどういう措置をとられますか、これを伺いたいと思います。
  34. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 どのくらいの程度影響があるかということは今お答えができません。せつかく一昨日からそれぞれの業者についていろいろ実情を調べております。あのためにプラント輸出に多少影響はありましようが、これらの輸出ができなくなるとは、私は考えていないのであります。多少の影響があるということは認めます。それらについても適切な措置をとつて行かなければいけませんので、その辺は今しきりに研究しております。数日中には結論に達すると思うのでございます。
  35. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 プラント輸出とか、東南アジア開発のためのいろいろな資材の輸出は、そう簡単に、三箇月というような期間に決済されるというような條件では、私はできないと思うのであります。大臣は絶対にできないということないという御説でございますけれども、例外的にはできるかもしれぬ。相対的に見ればまず不可能になると考えるので、これは何か特例を設けなければ動かないじやないか、こういうふうに考えます。が、まだ研究中ということでありますから、おわかりにならない。試案があつても発表する時期でないというお考えかもしれませんが、こういう措置をとる場合には、当然そういう例外的のものをはつきりさせておかないと、業者に不安を與え、生産を減退させるおそれがあるわけなのでありますが、この点についてどの程度まで発表できるか。発表のできる程度においてお話を願いたいと思います。
  36. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 ただいまはつきりお答えできますることは、あの三箇月の云々の期間は、事情によつては、必要があれば適当な例外措置をとることに、関係当局とも打合せ済みであります。そういう方針であります。
  37. 塚田十一郎

    塚田委員長 苫米地委員に申し上げますが、割当時間がもう少くなつております。関係閣僚はみなもう見えておりますから、他の閣僚に対する御質問を願います。
  38. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 そこで輸出金融措置について問題でありますが、これは大蔵大臣にお伺いするのが適当な問題唇ありますが、大蔵大臣が退席されたので、外貨予算上の措置はどういうふうにされるか。もし通産省の方と協議でもあつてわかつておりましたならば、それを伺つておきたいと思います。
  39. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 その点は私としましては、意見が齟齬するといけませんし、まだ結論に達しておりませんから、大蔵大臣答弁を譲りたいと思います。
  40. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 外貨の貸與ということがやはり問題になつておりますが、これに対する構想等はいかがでございましようか。
  41. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 外貨の貸與ということも問題にいたしております。まだ結論は得ませんが、そういう方向に進んで行きたいと私は考えております。
  42. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 外貨貸付の問題は相当有効でもあり、また他に及ぼすこともあつて相当考慮を要する問題と思いますが、これはそれでは後に留保することにいたします。もう一つ、市中の輸出貿手の割引が、従来八〇%であつたものを今後は下げることになつておりますが、これは商品の内容、相手等によつて違いましようけれども、どの程度くらいにお下げになるつもりであるか。この運用いかんによつては相当摩擦を起すことと思いますが、その引下げ率はどんなことになつておりますか。
  43. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 ただいま御承知のように輸出商社も非常に金融に困つておりますので、御意見には私御同感なのであります。この八割ということも、現在はつきり八割ということにきめておるのではないのでありますが、一昨日の発表も、割引歩合を幾らか下げる措置をとるかもしれないという程度の発表でありまして、案をきようからすぐ実施するということにはまだなつていないのであります。またその程度も場合々々によつて違いますので、どの程度引下げるということはきめておりません。
  44. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 この今度の措置によると、そういうことはないかもしれませんが、現在でも英国は大分輸入超過で困つているようでありますから、万一ポンド切下げをやるということが起つた場合には、貿易業者が痛手を受けるわけでありますが、これに対して輸出信用保険、これを適用されるのであるかないかという点を、はつきりしておきたいと思います。
  45. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今のお尋ねの輸出信用保険は、直接にはポンドの切下げには適用しないことになつております。それと一昨日の発表で政府ポンド切下げを予期しているように解せられますと、それは政府考えておるところと違いますので、大蔵当局も私どもも、まだポンドの切下げが近くあるというふうには考えていないのであります。おそらくポンドの切下げはなかろうという昨年までの考えは、まだ私どもは動いていないのであります。
  46. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 私も英国がポンド切下げをたやすくやろうとは考えておりません。しかしやはり万一のことを考えて、業者保護する処置をとつておく必要があるのではないか。ポンド地域からの輸入でも、これを促進して、日本の生産を活発にして行くためのものがあるのでありますから、この輸出信用保険というようなものを、今は適用しないという御方針のようですが、こういう大きな打撃を與えるものについては再考を煩わし、業者を安心させるように、一方では押えても一方では助成する方針をとつていただきたいと希望いたす次第であります。
  47. 塚田十一郎

    塚田委員長 有田二郎君。
  48. 有田二郎

    有田(二)委員 法務総裁と官房長官にお尋ねしたいのであります。来年の一月二十二日がわれわれ衆議院議員の任期満了でありますが、それまでにあるいは選挙もあるかもわからないという態勢であるのであります。今日までの選挙は、大体終戰直後の人口別によつて行われて来ておつたのでありますが、終戦後今日まで約六年以上経過いたしまして、相当人口の異動を来しておるのであります。従いまして今度の選挙におきましては、独立後の選挙でもありまするし、新憲法のいわゆる望本的人権の尊重という意味におきましても、当然別表を改正して選挙に当るべきである。少い人口のところに多数の代表者があり、多数の人口のところを少数の代表者でやるということは妥当でない。特に三月には批准が行われて近く独立国家になり、独立国家になつてからの最初の選挙でありまするから、当然これらの別表の改正があるべきだ、かような考えを持つのでありますが、まず法務総裁の御所見を承りたいと思います。
  49. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御趣旨はよく拜聴いたしました。その点につきましては選挙管理委員会においても、ただいま検討中のように承つております。われわれといたしましても御趣旨の点をよく考慮いたしまして、研究いたしたいと思います。
  50. 有田二郎

    有田(二)委員 官房長官からもひとつ意見を承りたいと思います。
  51. 保利茂

    ○保利政府委員 衆議院の選挙法改正特別委員会もございますし、法務総裁の言われます選挙制度調査の委員会でも、その点につきましてはいろいろ検討せられております。御趣意は有田さんの言われる通りでありますので、ただいま法務総裁が申しました通りに、研究をすみやかに進めたいと思います。
  52. 有田二郎

    有田(二)委員 さらにもう一点官房長官にお尋ねしたいと思います。総理は任期一ぱい解散しない、そして当然独立国家となつた後の、いろいろやるべきことをやらなければならぬ、かような御方針のようにわれわれは承つておるのでありますが、閣僚である廣川農林大臣は新潟において十一月解散説を出しております。しかもこれが総理の了解を得たかのごとき口吻を、漏らしておるように承るのでありますが、これは内閣の不一致である、かようにも考えられるので、総理が廣川農相の十一月解散説に御賛成になつておられるのかどうか、この点を官房長官にお伺いしたい。
  53. 保利茂

    ○保利政府委員 その問題につきましては総理からもしばしば責任ある言明をされております通り、任期一ぱい政局を安定して、この大事な場合の再建に専念をするというお考えは、寸毫もかわつておりませんと私は了解をいたしております。いろいろ説が出ますのは、その場合に二十八年度の予算一体どういうふうに取扱うかというようなことで、あるいは十一月であるとかいつたような説が出て来るのだろうと思います。いろいろ意見はあると思いますが、総理大臣のお考えは任期一ぱい、あくまでこの大事な場合の再建に支障を起さないように、政局を安定して動かさないという考えであることを、御了解いただきたいと思います。
  54. 有田二郎

    有田(二)委員 官房長官の御答弁で、総理の方針は任期一ぱいということに解釈をいたすのであります。そうすると廣川農林大臣の十一月解散説は、廣川君が農林大臣でなければ問題でないのでありますが、閣僚の一員であります。従つてこういう閣僚の一員が地方へ行つて十一月解散説を唱え、さらにまた名古屋においても同じようなことを重ねて言つている。こういうことはまことに私は與党の一員としても遺憾であります。どうかひとつ総理大臣から廣川農林大臣に、こういう軽率なことをしやべるなら、農林大臣をやめろということを厳重に御通達願いたいが、さらに官房長官の御答弁を承りたいと思います。
  55. 保利茂

    ○保利政府委員 任期一ぱい担当して行くということについては、農林大臣においても全然異存のあるところではないわけであります。ただ二十八年度の予算を扱うについて支障なからしめるために、いろいろの意見があるのであります。しかしこれは私どもの手において、そういう支障を生ぜしめないような研究をいたしておるわけでございます。しかしただいま有田さんの御指摘の点につきましては、私どもも非常に遺憾に思つておりますから、そういうふうにいたします。
  56. 有田二郎

    有田(二)委員 御趣旨はよくわかりました。廣川氏が、重ねて言いますが、農林大臣でなければ、閣僚の一員でなければ、これは一つの意見として私はかまわない。しかし閣僚の一員である限り、與党議員の立場からいつて、閣内不一致の感を国民に與えることは妥当でない、私はかような見解を持つものでありますから、どうか官房長官を通じて、総理にぜひこの点をおつしやつていただくと同時に、廣川農林大臣にもぜひさるぐつわをはめて、あまりべらべらしやべらぬように、ひとつ十分御伝達を願いたいと思います。
  57. 淺利三朗

    ○淺利委員 今の解散の問題について、関連して伺います。総理は任期一ぱいやると始終強調されておりまするが、世間の常識は、もはや情勢は早期解散に追い込まれるような情勢にあるというのが常識です。また一方においては、予算の審議の関係上、一月の任期一ぱいやつて解散しては、次期の予算の成立にさしつかえを生ずる、こういう実際問題があります。でありますから、この問題をいかに解決するかということの回答を與えなければ、この早期解散説というものは解消しない。そういうことについてはどういうお考えをもつて、任期一ぱいということを考えるのか。あるいは特に国会法を改正して、参議院の選挙と同じまで任期を延ばすというのか。あるいは暫定予算をつくつて一時を糊塗するというのか。その点を明らかにしなければ、世間の、政論のいろいろに紛糾するこの状態は解消できないと思うのですが、その点についてのお考えを明らかにしてもらいたいと思います。
  58. 保利茂

    ○保利政府委員 世間の常識だと言われますけれども、総理はかけ値なしに、任期一ぱい担当して政局の動揺を防ぐということについて、かたい決意を持つておられます。ただその場合に、お話のように、二十八年度の予算編成について支障なからしめるようにしなければならぬということは、お説の通りでございます。ただいま私どもも研究いたしておりますけれども、申し上げる段階に至つておりません。ただもう一点は、その場合の一つの手段として、衆議院議員の任期を延長する考えはないかどうかということですが、このことは私どもの研究の全然対象外であります。すなわちそういう考えは、ただいま政府は全然持つておりませんということを申し上げておきます。
  59. 淺利三朗

    ○淺利委員 それからもう一つ伺つておきたいことは、一月の任期一ぱいまでは解散しないということについてですが、今世間で騒ぐように、もし中途で選挙をすれば予算審議にさしつかえるということになつて、この問題は永久に起つて来る。解散を中途でやつて、一月から二月のころに解散をしたならば、またその次もその時期に解散しなければならず、予算の審議にさしつかえるという議論は、始終繰返されると思うのであります。そういうことでありますから、もし解散というものはいつ何どき突発するかわからぬという情勢にあるならば、予算審議との関係について、何かそこに法的の根拠を明確にしておく必要があると思いますが、そういうことについてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  60. 保利茂

    ○保利政府委員 その点はまつたくそうだと思います。国会法をあわせまして研究をいたしておりますが、まだ申し上げる段階に至つておりませんから、その点ひとつ御了承を願います。
  61. 塚田十一郎

    塚田委員長 藤田義光君に関連質問を一点に限り許します。藤田君。
  62. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来有田、浅利両委員から質問がありましたが、私から一点を限り質問をいたしたいと思います。現在の国会法の規定には、国会の常会は十二月にどうしても召集すべきである。十二月に召集して五箇月間とするという厳然たる規定がございます。ただいまの保利官房長官の御答弁によりますると、この点に関しましては何ら言及されておりません。要するに二十八年度の予算の処理のみを、単なる技術的な考慮から答弁されておるようでございますが、この点に関しましてもわれわれは大きな疑問を抱いております。国会法の原則を是正するほどの重大な理由があつて、常会中に解散されるのか。あるいは、この国会法の規定を修正するほどの理由があつて、来年の一月の任期一ぱいまでやられるというのか。この点に関する解釈を、この際はつきりとお伺いしておきたいと思います。同じ與党の一員である衆議院議長の林さんあたりは、盛んに五月、六月の総選挙を説いておられる。また閣内におられる廣川農林大臣は、先ほど有田委員も申しました通り十一月解散説を説いておる。特に自由党に所属する旧議員の追放解除者は、あげて五月、六月総選挙を実施するために、必死の暗躍をしておるということも言われております。その間に処しまして、総理が公開の席上でかりそめに言われた任期一ぱい説を、そのまま保利官房長官は請売りされておるというふうな印象を、ただいまの答弁から受けました。この点に関しましては、保利官房長官が総現の女房役として、一つ覚えの任期一ぱい説を言われましても、総選挙の時期というものは、おのずから輿論が決定するのではないかと思います。心から信念を持つて任期一ばいまで総選挙を延期されようとするのかどうか、もう一度はつきりとお伺いいたしておきたいと思います。
  63. 保利茂

    ○保利政府委員 決して私は請売りをいたしておるわけではございません。総現は独立後における政局の安定ということを、第一に考えられておるのであります。従つて任期が至るまで、国会を解散しなければならないという理由を、総理は持つておられないわけであります。従つて任期一ぱいを担当せられるということは、これはもう強い信念でございますから、そういうふうに御了解を願いたいと思います。
  64. 塚田十一郎

    塚田委員長 岡良一君。
  65. 岡良一

    ○岡(良)委員 私は日本社会党の立場から、昭和二十七年度の社会保障関係予算を中心に、以下数点について政府の所見をただしたいと思うのであります。  社会保障ないし国民の最低生活の保障は、これはもう憲法に明らかなるごとく、当然政府の責任でもあります。かつはまた敗戦後のこの国民経済棒非常に底の浅い、消費水準の低い、エンゲル係数の高い、人口の盲目的に膨脹する、生活保護法の適用を希望する者も圧倒的にふえつつあるというこの現状において、社会保障制度国民の大きな輿論であり要望であることは、すでに政府も御承知通りだと思いまするが、これについては、たとえば一昨年十月、また昨年の十月の二回にわたつて、社会保障制度審議会も勧告を寄せておられます。また一昨々年の国会において吉田内閣総理大臣は、総合的な勧告を見て善処したいということを、本会議で言明しておられるのであります。かつはまた一昨年の十一月の参議院においても、昨年の十一月の衆議院においても、政府の方では関係閣僚の懇談会を設けて、具体的な方針を練りたいという御答弁があつたが、はたしていついかなる構成をもつて関係閣僚懇談最を開かれたか、またどういう具体的な決定をそのときにいたされたか。この点について官房長官からお伺いしたい。
  66. 保利茂

    ○保利政府委員 社会保障制度を漸進的に財政の許す限りこれを改善して参るということは、この内閣の一貫している方針でございます。なるほど一昨年の審議会の勧告及び昨年の勧告が、そのまま予算面に現われていないことはその通りでございます。しかしながら審議会の御勧告の精神に沿いまして、財政上とにかくできるだけのことはやつておるわけであります。これは吉田内閣成立以来の社会保障に関連するところの予算をごらんいただきましても、明瞭であると思うわけであります。来年度におきましても、昨年の審議会の勧告の中心をなしておりました、医療給付の一部国庫負担というところには遂に及んでおりませんけれども、その他につきましては十分審議会の精神を尊重いたしまして、予算面にも対処いたしておるわけであります。閣僚墾談会は、むろん一昨年、これは林厚生大臣のときであつたと思いますが、それから引績きそういう会合も持つてつております。今後といえどもこの社会保障制度審議会の研究に私どもは期待をし、それを尊重して、政府予算の面、施策の面に現わして行かなければならないという考えは、少しもわからないわけであります。
  67. 岡良一

    ○岡(良)委員 社会保障制度審議会の勧告を中心にして政府方針を決定するために、関係閣僚懇談会をいつ開かれたかということを実はお聞きしているわけであります。なるほど昨年は、林衆議院議長が厚生大臣のときには、一、二回は開かれたやに聞いておりまするが、しかし第二回勧告以後においては、関係閣僚の懇談会というものはわれわれは承知しておりません。しかも国会においては、はつきりと議場において公式に、政府としては関係閣僚懇談会を開いて、方針を決定するということを言明しておられるのであつて、それにもかかわらずその事実がないということについて、実はただしかつたのであります。それからさらに、社会保障制度審議会の設置法によれば、その第二條において社会保障制度研究し、その結果を国会に提出するように、内閣総理大臣に勧告する権限を有する、こううたわれておりまするが、一昨年の十月の勧告についもわれわれは報告を受けておらない。昨年十月の勧告についても、われわれは何らその報告をいまだに受取つておりませんが、政府としてはいつ国会に、審議会の設置法第二條に基く報告をなさる御意思であるか、この点をお伺いしたい。
  68. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいま研究はいたしておりますけども、必要を生ずればそういうふうな措置をとりたいと考えております。
  69. 岡良一

    ○岡(良)委員 今われわれは昭和二十七年度の予算を審議しておるのでありまして、しかもこの報告は当然相当な予算なり法律措置を伴うものであるが、にもかかわらず必要があらばというお返事ではどうも政府は、社会保障制度というものについて何らの熱意もない、実に責任も減じておられないというふうに、私どもは考えるよりいたし方ないのであります。それはそうといたしまして、もしそうであるならば、昨年の勧告あるいは一昨年の勧告においては、医療給付費の二割国庫負担を中心とする相当強力な勧告であつたのでありまするが、これに対して、今度の予算において社会保障に関する予算はどういうふうに具体的に組んでおられるか。この点を吉武厚生大臣から承りたい。
  70. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 お答えをいたします。ただいま社会保障制度を確立して、国会に報告をするというお話でございましたが、もちろんこの問題は私どもも検討を続けつつある問題であります。とかく社会保障制度というと、何か一つ別の制度があるようにお考えになりがちでありますが、社会保障制度とはその内容の個々の社会保障の問題を確立して行くことが主体であるんじやないか。ただ形だけ何か制度が別にできるようにお考えになりますが、その内容としては、いわゆる生活保護の問題であるとか、あるいは児童福祉の問題であるとか、あるいは国民健康保険その他の社会保険の問題であるとか、個々のこういう問題が漸次改善されて行くことが主眼であるのではないか、かように存じております。従いましてこれらの問題につきましては、われわれは財政の許す範囲において、漸次改善に努めつつあるわけでございます。そこで本年度におきましては、社会保障制度の内容といたしまして取上げられるおもな項目としては生活保護費の問題でございまするが、この問題は前年二百十三億でございましたものが本年は二百四十八億で、三十五億の増を来しておるわけであります。なお結核対策といたしまして、昨年八十八億でございましたものが、今年は百三億で、十五億の増を見ておるわけであります。社会保険にいたしましても、昨年四十億でございましましたものが、五十三億で十三億、すなわちこれらだけでも六十三億の増加を計上いたしておるようなわけでありまして、このほかに今まで取上げられなかつた遺家族の問題等も、今度の予算に計上しておるようなわけでございます。
  71. 岡良一

    ○岡(良)委員 いろいろ内訳を伺いましたが、私は何も社会保障制度が、健康保険や失業保険やあるいは生活保護法とは別個の体形のものだとは、申し上げておるわけではないのでありまして、こういうものを総合的に樹立していただきたいという気持で申し上げておることを、あらかじめ御承知を願いたい。そこで厚生大臣は、今生活保護法においては四十億近い増額と言われましたが、しかしながらすでにこの予算の中には、現在は標準家庭として一箇月都会において六千三百余円のものが、三十七年度からは七千五百円を上まわるところの給付を、物価高と伴つて、これを與えることになつておる。これはそれに伴うところの当然なる増加であつて数字の上の名目的な増加ではあるが、決して実質的な増加とは言えないと思います。あるいは結核問題にいたしましても、なるほど昨年は八十八億ではありまするが、しかしそれは半年度分を計上したものである。ところが今年は百三億となつておりまするけれども、一箇年分を計上しておるものである。現に結核ペツド増床にいたしましても、われわれが結核予防法を審議いたしました場合に、政府の方でも十九万床を目標といたしまして、一万七千二百床を年次計画として立てて行こう、こういうことでありますが、今度の予算面では一万床にしかなつていない。むしろ実質的には切下げになつておるのではないかという点であります。さらに厚生大臣にお伺いしたいのですが、国民健康保険が現在は二十七億という非常な赤な字を持つおる。しかも一点單価が値上りになりますと、政府の推定によつても三十一億の赤字だということが予想されて、計五十八億の赤字になりますが、これに対して、再建整備や振興奨励費等の名目で八億を出しておる。これは政府の発表された数字でありますが、この八億というものがかりに次々と出されましても、国保の経営がいよいよ赤字に追い込まれて行くことは、ねずみ算で当然である。こういう点について厚生大臣は、今日の苦しい国民保険の財政に対して、わずかこういう程度奨励金なりあるいはまた補助金なりをもつて、はたして国保が生きて行けると思われるのかどうか。国民健康保険についても相当額の増加ということを言われましたが、しかしその増加をもつてして、はたして今日の危機が救えるのかどうかという点について、責任のある言明をお願いしたい。
  72. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 なるほど社会生活保護費の問題あるいは結核対策の問題は、單価の増及び平年度の予算で増額して行くというのはその通りであります。しかしそれだけでもこれだけの予算の増加を要するのであります。従いましてわれわれとしては、予算のできる範囲において漸次改善をして行くわけでありまして、ただ審議会でこう決定したから、それをうのみに実現をしていないじやないか、こう言われましても、なかなか財政はそう簡単に行きません。  それから国民健康保険につきましては、お話のごとく非常に苦しいのであります。その点はわれわれもこれを認めるものであります。しかし、これは個々の国民健康保険におきましても、再建整備の努力を拂いませんで、滞納をそのままにしておいて、ただ苦しい、赤字が出たから、こういつて全部国に肩がわつて負担せよといつても、なかなか簡単に行くものではありません。従つて今回の予算措置といたしましては、国民健康保険において奨励金で四億余りの予算を計上し、さらに再建整備をするために、長期資金として四億余りの予算を計上しているようなわけであります。この額が少いじやないかと言われれば、それはその通りでありますが、今日の財政の状況におきましては、やむを得ないところであります。  なお国民健康保険の財政につきましては、私どももこれをあらゆる角度から、何とかしてお手伝いをしなければならないということで、すでに昨年結核療養費については、二分の一の国庫負担をするという大英断を実は行つておるのであります。国民健康保険の経済が苦しいのは、主として長期療養着すなわち結核にかかつている人が多いために、療養費がかさむのであります。従つてその分を半分国庫が負担するという制度にすれば、それだけ荷が軽くなりはしないかということで、真正面から国民健康保険の二割負担というようなことはいたしておりませんけれども、実は陰ながら何らかの方法で、その負担の軽減には努めておるつもりでございます。
  73. 塚田十一郎

  74. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、輸出銀行を将来輸出銀行に改められる御意思があるかどうか承りたい。
  75. 池田勇人

    池田国務大臣 輸出銀行に努める気持を持つております。
  76. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに、現在問題になつております市中銀行の外貨保有の問題でありまするが、市中銀行側は時期尚早であるといつておりまするし、河野銀行局長は政府を代表して、保有可能であるという意向を表明されておりまするが、大蔵大臣としての御所見を伺つておきたいと思います。
  77. 池田勇人

    池田国務大臣 輸入促進の方法といたしまして、いろいろな手を盡したのでありまするが、ただいまの状況といたしましては、やはり商社に普通銀行を通じて外貨を貸し付けた方が輸入促進に役立つ、こう考えましたので、為替銀行日本銀行より外貨を貸し付け、為替銀行から一般の商社に貸し付ける制度を開いたのであります。私はこれによりまして、相当の輸入促進ができると考えております。
  78. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣の御努力によつて、無記名預金制度が十一日から生れたのであります。非常に成績がいいように承つておりますが、大臣のお聞きになつた点を承りたいと思います。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 今月十一日から無記名預金制度を復活いたしましてまだ日が浅いので、十一日、十二日、二、三日の報告しか受けておりませんが、相当の預金増加を来すものと考えております。大体この順で参りますと、月に三、四十億、四、五十億の新規の増加が期待できるのではないか、こう考えております。
  80. 有田二郎

    有田(二)委員 商工中金の問題でありますが、商工中金の二十七年度の商工債券百億円に対して、資金運用部がこれに対して引受ける御用意があるかどうか伺います。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十七年度におきましては極力貯蓄の増強をはかりまして、資金運用部の方に予定以上に集まつたものを、金融債引受として、商工中金あるいは農林中金あるいは興業銀行勧業銀行の金融債を引受ける予定でおるのであります。ただいまのところこの二月、三月の金融がある程度逼迫いたしますので、予定をかえまして、三月末までに政府指定預金を返す計画だつた十三億円を、二箇月ほど延ばすことにいたしました。従いまして商工中金は二月、三月で十三億円の資金の余裕を見たのであります。なほまた計画通り月四億五千万円を一、二、三月資金運用部で引受けることにいたしますと、一般の市中銀行政府預金をしておつたのが、二月の末、三月の初めに十億円余り政府に返つて来ますので、一般市中銀行から返つて来ました政府資金を商工中金に十億ばかり融通いたしまして、差引三十億円ばかりの二月、三月、四月の特別融資を考えておる次第であります。
  82. 有田二郎

    有田(二)委員 最近国民金融公庫は非常によく行つておるように聞いておるのですが、商工中金につきましても、中小企業等協同組合法によつて組合金融の形でありまするけれども、現状の日本の置かれた段階、特に最近における金詰まりの中小企業へのしわ寄せなんかを考えましても、組合員以外の一社あるいは一個人に対して、商工中金から金を貸し出させるような制度に、改めて行く必要があるのではないかと考えるのであります。以前においてもそういうような方法のことが政府において考えられておつた。すなわち法律の改正によつて例外を設けて、組合のみではなくして組合員個人あるいは組合員の一社に対して、商工中金から貸すことができるように、規則をかえてはどうかという意見があつたのでありますが、大蔵大臣としての御所見を承りたいと思います。
  83. 池田勇人

    池田国務大臣 先般の改正で組合員からの預金の受入れを認めることといたしました。従いまして今お話のような方向で今後進んで行きたいと思つております。
  84. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに先般もお尋ねしました遺族公債の問題でありますが、昨夜の東京新聞では、「早くも遺族公債にブローカー、交付の前に買いあさる」という題のもとに、悪質のブローカーの暗躍を報道しております。即時換金の措置はむずかしい問題でありまするが、公債担保の融資の方法とか、あるいは国民金融公庫よりの借入れに特別な措置をとるとかして、せつかくの遺族公債に汚点をつけないように、また英霊に対しても万全な方途を講ずべきであると考えるのでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  85. 池田勇人

    池田国務大臣 お説ごもつともであつて、その方向で検討を続けております。
  86. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに機構の問題でありますが、伝えられるところによりますと、国税庁は今度の機構の改革で廃止して、主税局と一緒にするという構想が出ておるそうであります。私もまことにけつこうだと思うのでありまして、何も国税庁として別に一庁を設ける必要はない。長年大蔵省の中に一つの局として主税局があつたのでありまするし、大蔵大臣も長年主税局長をなさつておられて、一つも不便がなかつたはずであります。先般も間税の問題につきまして、国税庁の消費税課の人と主税局の税利課の人とが対立して、そのために小田原の間税課長に左遷されたというような例も聞いておるのですが、大蔵大臣としてこの国税庁と主税局とを一緒にするという構想について、どういう御意見を持つておられますか、承りたいと思います。
  87. 池田勇人

    池田国務大臣 昔がそうであつたから昔に返せという議論もありますが、徴税制度あるいは税法等がかわりましたので、今ただちに一緒にするという結論は出しにくいのでございますが、そういう方向では検討をいたしております。
  88. 塚田十一郎

    塚田委員長 有田君に申し上げますが、打合せの時間がもうかなり過ぎておりますので……。
  89. 有田二郎

    有田(二)委員 地方において、税務署を国税署に改称してはどうか。地方税の事務所ができましたために非常にまぎらわしいので、税務署を国税署と改称することについて、どういう御意見を持つておられるか。またさらに税務署を地方において統合する——非常に税務署が多くなつておりますが、今度の税法改正によりまして、相当地方納税者の数も減つて来たということで、税務署の統合改廃、この両点の御意見参を承りたい。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 税務署の名称をかえる気持はございません。納税者が相当少くなりましたので、税務署の配置統合につきましては、ただいま研究をいたしております。
  91. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに査察課の問題でありますが、世の中もだんだんおちついて参りましたし、以前の査察課ができた当時と大分状態が違うのでありますが、今日においても四国あたりにおいては査察会議が非常に多い。査察会議が多いと、やはり仕事をするというような関係で、東京とか大阪に比較して、非常にアンバランスであるということが考えられるのでありますが、査察課の機構改革についての大臣の御所見を伺いたい。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通りに直税部がありますし、また査察部があります、また調査部がありまして、屋上屋の観なきにしもあらずと思つております。従いまして先般もお答え申し上げましたように、査察部の実情、調査部の実情検討いたしまして、できるだけ簡素なものにいたしたいという気持をもつて研究を続けております。
  93. 有田二郎

    有田(二)委員 富裕税に対してはどういう結果になりましたか、承りたい。
  94. 池田勇人

    池田国務大臣 富裕税につきましては、その施行の実情から申しまして、自分はやめたいという気持をもつて検討を加えておるのであります。二十七年度からと思いましたが、もう少しよく検討する必要がございますので、ただいま検討をしております。将来はやめたいという気持を持つておりましす。
  95. 有田二郎

    有田(二)委員 協議団に対する構想、並びに監督官、監察官——特に最近税務署の汚職問題が非常に多くて、検察庁から摘発を非常に受けておる地方が多いのでありますが、これに対して監督官、監督官はもつと積極的にこれらの取締りに当つて、少くとも検察庁からそれらの摘発を受けないように、内部的に十分な制度——こういう監督官、監督官があるのですから、内部的に十分取締りをなさるべきだと思うのであります。これらの機構問題、それから協議団に対する構想なりを伺いたいと思います。
  96. 池田勇人

    池田国務大臣 協議団の問題は、施行当初でございまして、いいところもありますし、また不十分な点もあります。これを擾大強化するか、あるいは昔の所得税調査委員会というようなものを設けるか、今研究いたしております。また監察官等につきましては、ある程度職権を與えまして、検察当局に似たようなことをやりまして、相当効果を上げておるのであります。できるだけ税務官吏の内部におきまする非違をなくするように、相当効果を上げておると考えております。
  97. 有田二郎

    有田(二)委員 最後に一点お尋ねしたいのは、中小企業信用保険制度は、現在十五億の基金を擁しながら、その利用状況は計画の三割程度という実情であります。その原因については、一、保険率が七五%は低過ぎる。二、保険料が高いし、また借入人へ転嫁ができないので、市中銀行が乗り気にならない。三、保険金請求期間が六箇月というのは長過ぎる、という点にあるように聞いておるのでありますが、六蔵大蔵としては同制度の活用を促進するために、これらの諸点を改められる御意思があるかどうか、承りたいと思します。
  98. 池田勇人

    池田国務大臣 私は中小企業の保険制度としては、それでもう十分じやないか。保険の率を七割を九割にしてくれというような話があるのでありますが、私は制度としてはそれが限度だと思います。従いまして今後相互銀行、あるいは信用金庫、あるいは中小企業専門の方面を督励いたしまして、効果を上げよう。今の限度その他の制度を改める気持は、ただいまのところございません。
  99. 塚田十一郎

    塚田委員長 運輸大臣がお見えになりましたので、先ほど保留になつておりました苫米地委員の運輸大臣に対する質疑を許します。苫米地英俊君。
  100. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 きわめて時間が制限されておりますので、わずかな問題をお尋ねしたいと思います。第一に、北海道と本州方面との補助航路をつくるという問題であります。これは予備費から必要に応じて支出するというようなことに承つておりますが、これはどういうふうに運営なさるおつもりでありますか。私はこれは航路補助という形でなければ効果が上らない、荷主もしくは船主に補助をするというような形では、一向効果が上らぬと思いますが、その構想をひとつ……。
  101. 村上義一

    ○村上国務大臣 北海道におきまして滞貨がなかなか相当ある。北海道拓殖の増産の効果が上つて、バルキー・カーゴを除きました一般の物資、澱粉、ばれいしよ、魚油、魚かす、雑穀というようなものが、昨年十二月初めには約三十万トン滞貨があつたのでありますが、これをすみやかにマーケツトに運ぶことにしたいという考えで、二十七年度の予算で一億五千五百万円を航路補助に使いたい、そうして一掃したいという案を、運輸省としては持つとのであります。いろいろの関係上必要な場合には一般予備費から支出するという建前を、とつておる次第であります。これにつきましては、御説の通り定期航路を設定する方向に進みたい。もちろんまだ確定はいたしておりませんが、そういう考えを持つておるのであります。もちろん今日の滞貨は二十万トン余りに減縮いたしております。今後の情勢を見まして、出荷旺盛期までに適切な方途を講じたいと思つております。
  102. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 これはどうしても今大臣の言われたように、定期航路を補助するという形でなければ、滞貨の一掃ということは望めないのでありますから、どうかそういうふうに進んでいただきたいと思います。大蔵大臣もここに見えておりますが、大蔵大臣もどうかこの点をよく御認識されまして、その方向に行けるようにおはからいを願いたいと思います。  次に通運の複数制になりましてから、新しい新規の通運業者には制約があつて、非常に能率も上らないし、運営上も困つておるのでありますが、通運と地場、これを一元的に運営することができるように——もちろん能力その他のいろいろな條件はありましようが、これをがひ考慮してもらわないと、複数制になりましても効果が上らない。ことに通運の荷物が、貨車などの関係で閑散になつたり忙しかつたりする。こういうようなことを考慮すると、どうしてもこの方向に行かないといかぬと思うのでありますが、これに対する運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
  103. 村上義一

    ○村上国務大臣 通運の複数制を認めることになりまして、爾来おいおい複数店の駅が増加いたしております。これに対して地場運送をも認めたらどうかという御意見のようでありますが、現在までのところは地場輸送を認めておりません。その理由は、もちろん通運業としましては、御承知通り駅における積みおろし及び駅から店舗、倉庫までの小運送にあるのであります。小運送に相当するトラックはぜひとも確保せなければならぬという建前で、そういう標準で複数制を認めて来たのであります。従いまして、もしこれを地場輸送にも単純に認めるということになりますと、かんじんの通運業の方がおろそかになり、荷主に非常に迷惑をかけるということをおそれておるためであります。しかしながらある限度トラックの運搬部の力を増強しますれば、地場輸送をも認めていいのではないかという論議もありまして、現在調査を進めておる次第であります。
  104. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 この問題はむしろ荷主の方にも相当そういう希望があるのでありますから、地場輸送を兼ねるだけの能力と施設を持つているものに対しては、すみやかにこれを許可するような方向にお進み願いたいと思います。  もう一つだけごく簡単に……。運賃値上げ後の成積はどういうふうになつておるでしようか。見込み通りに運賃が上つておるか、上つておらないか、その実績をひとつ承りたいと思います。
  105. 村上義一

    ○村上国務大臣 順調な経路をたどつておるのであります。十一月は予算が百四十八億でありましたものが、百五十億の実収を上げております。それから十二月は百五十四億でありましたものが、実績は百六十一億ということに相なつております。一月は旅客は予算よりも多く収めておりますが、貨物はやや下まわつております。要するに十一月以降を通算いたしましても、予定よりも上まわつておるという実績でありまして、順調な経緯をたどつております。
  106. 塚田十一郎

    塚田委員長 岡良一君。
  107. 岡良一

    ○岡(良)委員 厚生大臣の御答弁は、私は残念ながら納得いたしかねるのでありまして、序曲大臣は結核療養所に対する半額国庫負担を、大英断をもつて実施したとおつしやつておりますにもかかわらず、政府発表の数字で、今度の一点單価の値上りに伴う国保の赤字が、三十一億といわれているのであります。現在二十七億ある。そこで国保の育成なり普及なりについて、何も運営の拙劣なものにまで悪平等に育成すべきだとは申しませんが、それにいたしましても、八億の助成補助というような仕組では、どうしたつて厖大な赤字が年々累積して行かざるを得ない。特に政府の方でも食糧の自給増産ということに、大きな力こぶを入れておられますが、農民のいわば生産と生活の元手は健康でありますので、この健康を病から守らんとする国保が、現在はわずかに三〇%しか普及しておらない。従つてそういう国の、あるいは政府の食糧自給対策の観点からも、農民の健康を守るこの国保が、今のように低調な助所補助の対策をもつてしてはを立ててくずれて行くことになる。これに対して、こういう程度ではたして済まされるのかどうか。いま一つは結核対策についても、先ほど申しましたように、昨年度の八十余億の予算は半箇年を組んだものである。現在は百三億である。一箇年分が百三億なんです。従つてベース・アツプだとか、あるいは物価の値上り等を考えますならば、当然前年度の半箇年分も実施できるかどうかわからぬ。現に一万七千二百床というベットの増床計画が一万床に削られておる。そういうふうに。結核予防対策事業のヴオリユウムが実質的に非常に低下している。こういうことで、国民病と言われ、日本国民生活にも大きな負担となつておる結核を一体予防し得るのかどうか。この二点について、あらためて厚生大臣の御所見を承つてみたいと思います。
  108. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 国民健康保險については先ほど申し上げた通りでございまして、今日の財政の許す範囲においての奨励及び助長を講じておるわけであります。  なお結核療養について、審議会では一万七千ベツドを要求したが、一万ベッドしか実現しないじやないかというお話でございますが、これまた今日の財政状態といたしましては、その程度しかやむを得ないことでありまして、私どもといたしましては、社会保障全般につきまして、国力の充実と相まちまして、漸次社会保障の内容の充実をはかつて行きたい、かように思つております。財政と不均衡に社会保障、社会保障といつて、そこへばかり力を入れておきましたのでは、日本の財政の基礎は確立しないと思つております。
  109. 岡良一

    ○岡(良)委員 結核に対しては何も社会保障制度審議会が一万七千二百ベッドを要求したのではなくして、昨年の結核予防法の画期的な改正に伴つて政府の方ではつきりと言明された五箇年計画なんでり。これが予算面において実質的に著しく縮小せざるを得ない立場になつておるということについて、お尋ねを申し上げたのでありますが、これはこれ以上お伺いはいたさないことにいたしまして、大蔵大臣にお伺いしたいのであります。御存じのように、社会保障制度審議会の勧告は、第一次においても、第二次においても、特に第二次においてはこの点を大きく強調いたしまして、医療給付の国庫負担をうたつております。厚生省の予算書にも三年来給付費の国庫負担ということをうたつているのでありますが、一体どういう理由でこの給付費の国庫負担ということについて、大蔵当局が拒否されているのか、われわれとしてはどうも納得が行かないのでありますが、大臣の所感を承りたいと思います。
  110. 池田勇人

    池田国務大臣 これはやつかいな問題でございまして、実は昭和二十四年度におきましては国民健康保險の事務費は三割しか上つていない。それがだんだんふえて参りまして、昭和二十六年度では事務費は全部負担する。それから今日の健康保険の方は、昭和二十七年度から事務費を全部負担することに相なつたのであります。健康保険の方は組合と使用人で全部負つております。国民健康保険は御承知通り半分自費でやつておる。国が医療給付にまで入り込んで行つたならば、おそらく私はイギリスのようになるのではないかという心配をいたしておるのであります。そこで医療費にまで行かない程度に、何とか国民健康保険を再建できるような方向というのが、今度御審議願いました一定以上に徴収があつた場合には補助金を出す、また五千の国民健康保険の中で、赤字の分が二千ばかりでございます。これを何とか再建整備方法考えよう、こういうことで、やすきにつくということでなしに、医療費というものはお互いに出そう、そこで国の補助としては医療費以外のことでひとつつて行こう、こういう私の考えであるのであります。従いまして、今回国民健康保険の五千のうちで、三千程度は赤字じやない。二千余りの赤字のところを見ますと、被保険者が医療費を完納しない。医療費に相当するものを税と一緒にとつておるのは、徴収方法が悪い、こういうところに原因があると考えておるのであります。従いまして、私はただいまのところ、その徴収のぐあいの悪いところをよくするような方法をまず講じて行くのが先決じやないか、こう考えまして、給付の方には入つて行かないのであります。この国民健康保険の問題は、非常にやつかいな問題でございまして、各国ともいろいろな制度がございます。私は医療費に国が入り込む前に、いろいろな点をもう少し研究してみたいというので、検討を続けておるのであります。考えとしては、原則として国が医療費に入り込まない、ほかの方法で行こうというのが私の考えであります。
  111. 岡良一

    ○岡(良)委員 保険運営についての事務費を、全額来年度から国庫負担ということになりましたが、健康保険は、ほとんど強制的に加入しはければならない立場のものでもあり、国保にいたしましても、国の責任として、これは当然普及さるべき性質のものであつて、その事務費を保険料負担の中に食い込むということは、当を得ないことであつて、これを全額国庫負担とされるということは、むしろおそきに矢したと私は言いたいのであります。そこで先ほど数字をもつて申しましたように、現実にはやはり医療給付費がどうしても保険の収入を上まわつておる。その結果として三十一億なり、健康保険にいたしましても来年度は十八億の赤字が、赤字というよりも財政負担が予想されておる。これは政府が発表されておる数字でありますが、これに対して、どうしても医療費は当然国が負担すべきものではないという原則を固持されることが、私どもは納得できない。もしそういう原則をあくまでも固持されるということになれば、実際国民健康保険は更改するよりしかたがない。この現状をどう見ておられるかというのであります。かつまた大蔵大臣は、イギリスのようなことになると言われましたが、具体的にどういうふうなことになるのか。その点もあわせてお答え願いたいと思います。
  112. 池田勇人

    池田国務大臣 岡君は、国民健康保険が絶対に今の状態では成り立たぬということを、前提にしておられるようでありますが、私はそうは考えないのであります。五千近い国民健康保険におきまして、半分以上は赤字を出していない。赤字を出しているところは、給付費が高いということよりも、保険料が拂い込まれない、滞納が非常に多いところに原因があると思うのであります。だから制度といたしましては、まず第一に保険料を十分拂われる、割当てられたものが税と一緒にとられる、この制度を確立すべきものだと考えておるのであります。従いまして第二段といたしましては、国民健康保険の相当部分は結核にあるのでありますかう、先ほど厚生大臣お答えいたしましたように、結核の方で国の補助額を少しふやし行こう、そうすれば間接的に国民健康保険の方の経営が楽になる、こういう方法をまず講ずるのがほんとうじやないか。御承知通りイギリスの社会保険制度、特に健康保険なんかを見ますと、相当私は、濫費とは申しませんが、そこまで行かなくてもいい程度のところまで行つておるのではないか。保守党内閣は最近これを改めるようでありますが、これは得てしてなかなかその金を自分の方から出さない。国から補助がありますと、濫診に流れやすいのであります。御承知通り健康保険というものは、使用者と組合とで全部負担しますから、一人の受診率、年に何回病気をして診断を受けるかというのは、健康保険におきましては二・四回でございます。しかし国民健康保険は、自分が半分負担するというので、一・一かあるいは一・二回でございます。こういうところは、これは人情の機微と申しますか、よほどよく考えて行かないと、医療費も国が負担するということになると、かつこうはよろしゆうございますけれども、結局は皆さんから出してもらう税金でまかなわなければならない。だから制度的にいろいろ知恵をしぼつて、とにかく国民健康保険が成り立つような制度を設ける、その意味において、今回赤字の健康保険組合の再建、あるいはまた最も赤字を出す原因である徴収ぐあいによりまして、補助金をやつて徴収をよくしよう、こういうことでやつて行けるのじやないか。全部が全部赤字じやない、半分以上はやつておるのでありますから、赤字の原因を突きとめて行くのがほんとうじやないかと、私は考えるのであります。
  113. 岡良一

    ○岡(良)委員 私が申し上げているのは、現在は国保の被保険者となつている者は全農民の約三〇%であります。しかも農民の生活なり生産の源泉が健康であるならば、この制度は当然もつともつと普及されねばならない、また当然国保の精神からいつても、これは全農民を包含するというところまで持つて行くのがほんとうじやないか。ところが大蔵大臣お話では、たとえば半数は経営が非常に不振であるのは、徴収が非常に悪いと言われますが、これは全国国民健康保険を通じての政府発表の統計によりますと、徴収はそう大して悪くはありません。保険料の滞納は一割にも満たない。また一部負担金額の徴収も相当入つている。むしろ受診率が非常にふえておるというのが、この国保なり健康の赤字の大きな原因であるという点を考えた場合、やはり底の浅い国民生活の実態から考えるならば、医療給付費についても、当然国がこれを大さくかばつてやるというのが、原則的に正しいのじやないかと思います。イギリスのことも申されましたが、私はむしろ学んでもらいたいのは、イギリスのよき点を学んでいただきたいと思います。現に一昨年は三十億万ポンドの中で、十二億八千万ポンドがいわゆる社会保障に使われた。昨年度も三十七億ポンドの中で、約十二億一千万ポンドは社会保障に使われている。保守党内閣になつて大きくかえられたと申されますが、しかしながらこれも一回の処方箋発行について、一シリングをとるというだけであります。これは濫診を防禦するというきわめて消極的な改正として、われわれも納得し得るのであつて、何もイギリスの社会保障制度なりあるいは国民保険サービスというものが、保守党内閣によつて大きく訂正されなければならないというほどの破綻は示しておらないと、私は思うのであります。私はそういう点から、どうしてもこの医療給付費というものは、受診率の逐年の増加とこういうことを考えた場合に、国が負担をするという原則を立てていただかなくては、国民健康保険も普及しないし、いつまでたつても財政の赤字に悩まれければならないということであつて、何としても給付費は国が負担しなければならないと思うのですが、この点もう一度大蔵大臣の率直な御所見を承りたい。
  114. 池田勇人

    池田国務大臣 大問題でございまして、イギリスの例をすぐ社会保障制度でとられますが、イギリスは社会保障制度をやつておるために、国民所得に対しまする税金というものは非常な額に上つております。とにかく百十億ポンドの所得の中で、税は三割七、八分から四割に行つております。これはやはり社会保障制度のために非常な高い税率であります日本の所得税は五五%でありますが、イギリスは所得税は最高九七・五%まで行つております。こういうふうにして徴税をして、社会保障制度をやつておるのであります。しかしノールウエーとかフランスとかに行きますと、そういうふうにやつていない。     〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕  私は今のように税金を徴收して給付費を出すか、あるいはそれよりも税金をまけて、お互いのところに金を置いて自分で給付してもらう。しこうして国が出すべき点ははつりしたもので出して行く。これが私は——悪く想像するわけではありませんが、給付費に入り込みますと、給付の半分とか六割くらいは三、四年のうちにいつてしまうのじやないか。これは濫診のもとをつくるものだと思うのであります。それで私は——もちろん病気の場合には、お医者さんに見てもらわなければならぬことは当然でありますが、今の国民健康保険の受診率と健康保険の受診率とから考えまして、片一方は農家でございますから、病気なさる機会も少いとは思いますが、健康保険というものは、全部組合とあるいは使用者側で出して、自分は一文も負担しない。そういうときには二・四回の受診であります。半分を自分で負担するというときには一・一二、こういういろいろな点から考えまして、私はただいまの日本の財政経済の状況から申しまして、給付費に入るという気持は持つておりません。
  115. 岡良一

    ○岡(良)委員 そうすると、社会保障の原則的な問題になつて来るわけでありますが、大蔵大臣はイギリスの社会保障制度実施によつて負担が三割以上越えておる、こうおつしやいますが、しかし昨年度におけるイギリスの所得税は、大体四百ポンド以下は無税であります。それから一万ポンドで大体六四%の税金を負担しておる。十万ポンドでは九三%の税金を負担しております。こういうふうに非常に所得がある者に対しては、税負担の均衡という立場から、大きく累進課税をやつて、この資金をプールして、そうしてこれをたとえば国民保健サービスに出しておる。昨年度の予算二億ポンドのうちで、四千万ポンドがわずかに保険料収入になつて、一億六千万ポンドは国が出しておる。だから、大蔵大臣お話でつい原則論みたいになりますが、当然、やはり社会保障を実施しようとするならば、累進高率課税で、イギリスのように大きな冨の者、所得のある者に対しては、負担の均衡をはかるという立場における所得税の累進高率をやつて、これを国の資金としてプールしながら、一億六千万ポンドは健康保険の方に出して行くというようなやり方をやらなくては、この問題は解決しないのでありますが、そういう点について大蔵大臣の御所見を重ねて伺います。
  116. 池田勇人

    池田国務大臣 戰前におきましては、わが国におきましても、所得税の負担が九割程度にまで行つておるのであります。しかし戦争によりまして大所得者というものはほとんど少くなつております。高率適用をいたそうにも、相手が少いのであります。ほとんど貧乏人になつてしまつておる。中には相当の人がおりますが、これはごくわずかの部分であります。従いましてイギリスのような高率適用をやりましても、日本で所得税をそうとることはできない。もう今でいうと、五万円の基礎控除では、所得税というものは大衆課税というふうなかつこうになつておるのであります。そこでイギリスは一八当り国民所得の五分の一程度でございますので、日本といたしましてはイギリスのような老大国の、まだ相当金を持つておるところのまねはできない、こういうことであります。
  117. 岡良一

    ○岡(良)委員 何も別にイギリスのまねをそのまま引写してやつてもらいたいというのではありませんが、ただ原則的なやり方として、やはりわれわれは大きな教訓を学んでよいのではないかということを申し上げたいのです。問題はやはり何と申しましても、九百億と申されても、本年度の予算の大体わずか一〇%を上まわつておるにすぎない。イギリスにすれば、三〇%以上のものが社会保障に出されておる。軍事費と突き合せましても、本年度の予算ではたしか十三億七千万ポンドだと思いますが、それに対して十二億二千万ボンドを出しておる。昨年度のごときは社会保障費の方が十二億ポンド、軍事費の方が七億六千万ポンドです。ところが日本ではどうなんです。八千五百億余の中で、千八百億がいわゆる防衛力の増強という費目に充てられており、その半額に充たないものが国民生活の安定に出されておる。これでは一体均衡予算と申しますが、名目上は均衡予算かもしれないが、実質的には明らかに非常に片手落ちな、跛行的な不均衡予算ではないかと私は申し上げたい。そういう点について大蔵大臣の御所見を重ねて伺いたい。
  118. 池田勇人

    池田国務大臣 イギリスの予算におきまして、国防費に近い社会保障費を出しておるとおつしやいますが、各国の例をひとつごらん願いたい。イギリスほど出しておる国はないのであります。私はこの社最保障制度というものを否定するわけではございません。できるだけはやる。ただ給付費の方に入つて行くことは今のところはしない。医療給付に入らず、ほかの方法でこれを適正化し助長しよう、こういう考えであります。イギリスが十二、三億ポンドの軍事費を使つて、社会保障費として十一億ポンドを使つておることは承知いたしておりますが、私はイギリスのまねは、先ほど申し上げたような理由でできないと考えます。
  119. 岡良一

    ○岡(良)委員 イギリスがそれほどに思い切つた国民生活の基礎的な支持を、国の責任において與えておるということが、イギリスの国民が今日でもあのきゆうくつな耐乏の生活にも甘んじて、国のために立ち上つておる大きな原因じやないかと思うのです。たとえばスエーデンにいたしましても、やはり社会保障の費用は総予算の二五%出しており、デンマークのごときは六〇%から出しておるのであります。これらの事実は、明らかに戦争に巻き込まれなかつた国が、いかに国民の生活に貢献しておるかということを、ありありと数字で物語つておる。こういう点について、私どもはもうあなた方とはどうにも意見が一致いたしません。実に平行線であつて遺憾千万ではありますが、これ以上は申し上げますまい。  ところで次にお伺いしたいのは、現在種々の社会保険制度なり共済組合なりの制度についても、いろいろ不統一な点があると思いますので、その点について厚生大臣の御所見を承りたいと思うのであります。  まず第一に、社会保険は健康保険、厚生年金保険、失業保険、労災保険、国民健康保険、あるいはまたこれに準じた国家公務員共済組合と、いろいろあるわけで、この所管が全部異なつておる。保険料の徴収の窓口、支拂いの窓口、備えつけの台帳、あるいはその統計事務、まことに二重三重になつておりまして、これが日本における社会保障制度の一つの大きな欠点ではないかと、私どもは考えておりますので、これをやはり今度の行政機構の改革等に伴つて、大きく一本化して行くということが望ましいと思うのでありまするが、そういう点について厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
  120. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 今日いろいろな社会保険の関係がわかれておるということは、御指摘の通りであります。従いましてこれらの所管が、もし労働省と厚生省とが一体化するようになりますれば、もちろん一体なところで取扱つて行くべきものだと、かように存じておりますが、もし今御指摘の点が、これらの社合保険を一つの社会保険制度にして、一体化するという御意味でございましたなら、私はさようにいたすつもりはございません。国民健康保険は、やはり国民健康保険の対象たるべきものでできており、健康保険は、職場における労使双方の負担という制度によつてできておるのであります。災害保険は、これは労働者の負担はないのでありまして、事業主が労働基準法において負担すべきものを、その個々の場合について負担することを避けて、保険制度によつてやるという建前になつておるのであります。共済組合は、個々の職場において個々にやつておる共済組合でありますから、これを一つの保険で一本でやるということはできがたい問題であります。
  121. 岡良一

    ○岡(良)委員 私は何も法律を一本にしろと申し上げておるのではなく、この運営上もう少し統一をはかられることが、実際事務費の負担なんかもたいへんなものであるので、必要ではないかということを申し上げておるのです。各国の社会保障制度予算を見ましても、事務費は大体五%以下であるのに、日本では健康保険のごときは一割四分を上まわつておる。こういうようなことで事務費に食われているということだけを見ても、もう少しこれは統一をされるのが至当じやないかということを申し上げたわけで、何も込みに一緒くたにしようというふうなことを申し上げたのではないので、この点は十分御研究を願いたいと思います。  なおさらにこの社会保険制度、特に現行の日本における社会保険制度の欠陷は、いわゆる年金保険というものが一部に限られておるというかつこうであります。現在でも対象人員約八百万、積立金も五百億になんなんとしておりまするが、これも厚生年金保険、船員保険、恩給、国家公務員共済組合というふうに、各制度において資格期間も、あるいは支拂い開始の年齢も、保険料も、給付額も、実に種々雑多で統一がとれておらない。特に日本では一番いわゆる早老性であるといわれておる農民が、何らこの養老的な年金制度に恵まれておらないということも、わが国の社会保険制度の欠陥だと思いますが、こういう点を勘案いたしまして、やはり将来は大きく全国民を対象とした年金制を私どもは主張したいのでありますが、それはさておきましても、その一歩前進といたしまして、やはりこの年金保険というものについては、もう少し企画なりあるいは運営において、統制をはかるべきじやないかと思いまするが、この点について厚生大臣の御所見を伺いたい。
  122. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 厚生年金なり船員保険の年金等は大体歩調をとつてつております。それから職場における共済組合は、これらの保険制度より自己の職場においてよりいい方法をとられる場合に、それに讓つておるのでありまするから、これを一本にするということは、かえつてよくないのじやないか、かように存じます。それから恩給も一緒にというお話でありますが、これはまた多少性質が異なつておるのでありまして、これを一本の社会保障にするということについては、私は相当検討を要する問題ではないか、かように存じます。   (上林山委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 岡良一

    ○岡(良)委員 恩給の問題は、これまたいろいろ原則なり観念のあれがありますから、この際時間の制約もあるので省略いたします。この際関連して大蔵大臣にお尋ねしたいのは、先ほども申しましたように、年金保険の積立金は大体四百八十億と、政府の方の御発表の数字承知しておるのでありますが、これは労働者にいたしましても、船員にいたしましても、船員にいたしましても、やはり公務員はもちろんのことでありますが、現在の乏しい所得の中から支拂つておるものであつて、これが積み立てられて五百億にもなんなんとしておる。こういうものはやはりこういう労働者やあるいはまた公務員や船員や、こういう人たちの福祉施設に還元活用する道がないものか。現在のように運用部資金に預けられているということで、何らこの方面へ還元されておらないという点が、われわれとしては非常に遺憾に思うのでありまするが、何らかそういう適当に還元活用するというような道が、講ぜられないものでありましようか。
  124. 池田勇人

    池田国務大臣 以前からそういう考え方がありましたので、われわれといたしましてもそういう方向に向つて行くべきではないかと思つて検討を加えております。
  125. 岡良一

    ○岡(良)委員 さらに大蔵大臣にお伺いしたいのでありまするが、現在そういう諸君が拂つておる保険料が、二十七年度の予算で健保だけでも百八十七億、国保で大体五十億と推定されるのでありますが、厚生年金保険が七十一億、船員保険四億、失業保険五十九億、共済組合七十七億、共済組合も加えまして約四百五十億というものが、保険料として支拂われておるのであります。ところが今度はまた所得税法の改正によつて、いわゆる営利企業である民間の保険会社に加入しているものについても、四千円に引上げての控除が意図されているようであります。してみれば、こういう法律によつて強制をされて加入しているところの、このために支拂うべき保険料というもの、は、当然基礎控除の対象となるべきものじやないか、私どもは一応そういうふうに考えるのであります。これは何とかひとつ基礎控除の対象にしてもらいたいというふうに考えるのでありまするが、大臣の御所見を承りたい。
  126. 池田勇人

    池田国務大臣 従来からそういう議論もありまして、検討は加えておりまするが、他の基礎控除等との関係を勘案いたしまして、結論に到達いたしておりません。
  127. 岡良一

    ○岡(良)委員 これは最近特にほうはいたる輿論としてこういう要求があるということを、ぜひとも御銘記せられて、できるだけすみやかなる機会に実現せらるることを、強く要望いたしておきたいと思います。  次にお伺いいたしたいのは、いわゆる遺族援護の問題でありまするが、これについては、われわれのいただいた予算書では、年金というふうにうたわれております。しかし最近また政府方針がかわつて、一時金で支給しようというふうなことも新聞で拝見いたしておりまするが、一体政府の最終的な決定版はどういうことになつたのでありますか。その点を承りたいのであります。
  128. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 遺族援護の問題につきましてはなお検討いたしまして、最後の決定には至つてはおりませんが、新聞に出ておりますように、年金を一時金にかえるという考えは持つておりません。
  129. 岡良一

    ○岡(良)委員 この問題は、前の厚生大臣の橋本氏がおやめになつたという事情もあつて、この日を待つておつた八百万の遺族はもとより、全国民の大きな注視を浴びている問題であつて、これに対してまだ政府として明確な答えを出しておられないということは、ぼくは非常に大きな政治的責任だろうと思うので、これはぜひともはつきりとした線を出していただいて、国会においてこれをわれわれに公然と審議する機会を、一日も早くつくつていただきたいということをお願いします。大体いろいろの問題について政府のお考えをおただししまして、私どもといたしましては、この社会保障予算に関する限り、またその運営に関する限りにおいては、どうしても納得のできない点のみであつたことは非常に遺憾であります。  最後に、さらにこの遺族の問題について、最近こういう歌を贈られておるので、これを申し上げたいと思うのであるが、それは石川啄木の歌でももじつたのでありましようか、「東海の大磯の浜に泣きぬるる遺族と会わで犬とたわむる」こういう歌を贈られた。これは決して吉田総理に対する単なる思いつきの諷刺ではないと思うのであります。こういうところに、やはり政府国民生活保障の施策の低調さに対する大きな憤りがあるということを、十分御銘記をせられたいことをここに衷心から警告いたしまして、私の質問は終えたいと思います。
  130. 塚田十一郎

    塚田委員長 川島委員より関連質疑の申出があります。一点に限りこれを許します。川島金次君。
  131. 川島金次

    ○川島委員 この機会に厚生大臣が見えておりますので、一言お尋ねをしておきたいと思います。と申しますのは、昨今遺族の国家補償の問題と並行いたしまして、国内に多数の人員を持つております旧軍人軍属に対する恩給停止の再開の問題について、厚生大臣は特に何らか積極的な対策を持たれておるというふうに伝えられておりまするが、もし大臣に何らかこれに関する具体的な対案がありますれば、この機会に明らかにしておいていただきたい、かように思うのであります。
  132. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 旧軍人軍属の恩給の問題は私の所管でございませんから、私は何とも答えようがないと思います。ただ政府といたしましては、審議会のようなものをつくりまして、根本的に遺家族の問題等ともあわせまして審議をして行きたい、かように考えております。
  133. 川島金次

    ○川島委員 あなたの所管ではないと言われておりますが、それもさようでありましようか、本日の毎日新聞によりますと、あなたが埼玉県へ行かれました途次、記者団との会見でこの問題について明確なあなたの構想が出ておるのであります。しかも今申されました審議委員会を設けて各方面の意見を聞く。おそくとも国会明けには現在の公務員恩給とにらみ合せた具体的な案を決定し、しかも早期にこれを実現の運びにいたしたいという旨の明確な記事がありますので、この機会にお尋ねしたのですが、政府部内において、あなたが記者団との会見の際にこのように明確な意見を漏らしたとすれば、ただいまのお話以上のもつと具体的な対案が進められておるのではないか、かように考えるのでありますが、繰返してもう一ぺん進んだお話を、この際承りたいと思うのであります。
  134. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私は昨日大宮に参りまして、地元の記者団と会見をいたしました。ただいま新聞に出ておるようなことは私は申しておりません。先ほど申しましたごとく、将来旧軍人軍属の恩給の問題も問題になつて来るであろう、従つて遺家族の問題とあわせて、審議会等においてこれらの問題は検討討をしたいつもりである。この程度しか申しておりません。それはすでに本会議等におきましても、政府から話しておつた通りであります。
  135. 塚田十一郎

    塚田委員長 川崎委員より議事進行について発言を求められております。この際これを許します。川崎秀二君。
  136. 川崎秀二

    ○川崎委員 議事進行に関し発言を求め、委員長に善処を御要望申し上げたいことがあります。  先般来、野党側といたしましては、日米行政協定の進行途上現われて参りました種々の問題につきまして、特に総理大臣の出席を求めて、本委員会において質疑をなすべきであるという提議をいたしまして、理事会においては種々ごあつせんをいただいております。ことに與党の理事諸君におかれましては、熱心にこの問題についてごあつせんをいただいてはおるのでありますが、いまだ実現に至らないのは、はなはだ遺憾であります。ことに数日来の新聞紙は、緊急非常事態に処する日米行政協定のとりきめに関連をいたしまして、かなり重大なる報道を続けております。たとえば緊急非常事態に関連して米軍の出動の問題、あるいはわが方に将来設けられるところの保安隊も、緊急非常事態に対しては、海外に出動するやに聞く報道もあるのでありましで、その真偽のほどはさだかではありませんが、吉田総理大臣の口から、これらの問題について十分に所見を吐露していただきたいというのが、今日国民の何人も聞かんとする要望であろうかと私は存ずるのであります。よつて、野党の各派といたしましては、本日、予算委員会だけではなしに、この問題はきわめて重大な政治問題であるからというので、党をあげで協議を進めつつある次第でありまして、そのような問題をもからみまして、理事会においてごあつせんをいただくだけではなしに、ぜひ委員長も、分科会に入る以前において首相の出席をあつせんいただくことを、切にこの際御要望いたしておきます。
  137. 塚田十一郎

    塚田委員長 川崎委員の御発言の趣旨は了承いたしました。今までも努力いたして参りましたが、今後も現事会にはかりまして、ぜひ明日中に出席を得られるように、委員長において努力をいたしたいと存じます。     —————————————
  138. 塚田十一郎

    塚田委員長 この際御報告申し上げることがございます。先般委員長に御任を願いました分科会の区分及び主査の選定につきましては、次の通り定めましたから御了承を願います。   第一分科会(皇室費、国会、裁判所、会計検査院及び大蔵省所管並びに他の分科の所管以外の事項)          主査 有田二郎君   第二分科会(内閣、総理府、法務府及び外務省所管)         主査 苫米地英俊君   第三分科会(文部省、厚生省及び労働省所管)          主査 庄司一郎君   第四分科会(農林省、通商産業省及び経済安定本部所管)          主査 小峯柳多君  第五分科会(運輸省、郵政省、電気通信省及び建設省所管)          主査 淺利三朗君  なお分科員の配置は公報をもつてお知らせいたしますから、御了承願います。  午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は、質疑の通告者が多数に上つておりますので、正一時半より委員会を再開して一質疑を継続することといたします。政府当局並びに各委員におかれましては、正確に御出席のほどをお願いいたします。   これにて休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  139. 塚田十一郎

    塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。川島金次君。
  140. 川島金次

    ○川島委員 質疑を始めます前に委員長希望があります。目下重要な予算を審議する予算委員会が開会中であるにかかわらず、重要な閣僚の一人であるところの農林大臣は留守であり、さらに農林大臣が都合の悪いときに代理をすることになるであろうところの政務次官もおらない、大臣、政務次官ともに東京を離れてこの重要な予算委員会に出席をすることのできない事情であることは、無責任もはなはだしいものであると私は思います。そういう意味で、委員長はこの委員会の権威にかけまして、厳重にこの旨を農林当局に発せられることを希望してやみません。従つて私の質問は、短時間でございまするけれども、残念ながら大臣も政務次官もおりませんので、大臣に質問を申し上げまする点の一、二点だけは、いずれ大臣が出席したときにあらためてお尋ねをいたすことに保留いたします。大臣以外にお尋ねをいたしてもさしつかえのない部分だけについて、本日はお尋ねをしておきたいと思います。  まず第一に農林当局にお尋ねをいたしたいのですが、最近わが国の食糧、ことに供出等の問題にからんで、米の需給調整は思わぬ困難な事情に遭遇しておるように承つております。従つて、今年度並びに明年度にわたつてわが国は従来に比較して一層の食糧を輸入することなくしては、日本の食糧の需給の達成が困難な事情にあることをわれわれは聞いております。そこで、最近における世界の食糧生産事情、ことにわが国が期待しております諸地域における生産状況は、どういう実況にあるかということについて、すずお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  141. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 お答え申し上げすす。世界における食糧の生産状況い九んといの御質問府ありますが、まずわが国に一番関係のありまするものは栄であります。米の生産事情は、戦前十体九千七百万トン程度でございましたが、この生産は世界的に見ましては、戦後それ以上に回復をいたしておるのであります。しかしながら、東南アジア等における米食人口の増加その点が減りまして、輸出余力から考えますと、戦前大体九百五、六十万トンの輸出士がございましたものが、戦後は三百八十万トン程度に減つております。この減つたおもな分が東南アジア方面であります。本年シャムの輸出力は、百四、四十万トンぐらいに考えております。ビルマが大体百二十万トン程度考えております。これに対しまして、アメリカ特にカリフォルニア等における米穀生産が増加いたしまして、これが五十万トン程度輸出力を持つということは、戦後の大きな変化でございまして、わが国といたしましても、現にカリフォルニア米等を相当に輸入いたしておる次第であります。  小麦につきましては、戦前の一億二千万トン程度の生産がございました。戦後これも増産をいたしまして、一億四千万トン以上の生産回復をいたしております。しかも米食が小麦にだんだんかわつておる、現にインド等が小麦を入れておるということで、世界における小麦の国際商品としての貿易量は相当ふえております。小麦協定では大体千五百八十万トンという小麦協定掛になつております。こたは世界における貿易量の半分を占めておると考えてよかろうと思つております。しかしながら輸出力としての大きな国は、大体におきましてアリメカ、カナダという二国になるのでありまして、カナダにおきましては生産も本年はふえております。持越量も昨年に比べまして相当ふえておりまして、輸出力は相当あるのではないか。アメリカは七、八百万トンの輸出力があるというようにわれわれの方は考えております。オーストラリアにおきましては、小麦協定量の輸出をするのが精一ばいであるように考えております。  大麦につきましては、わが国では主食なんですが、世界的に見ますと、これは飼料等に使われるのでありまして、国際性が少いのでありますが、アメリカ、カナダ、イラン等の大麦が日本に参つておりまして、生産におきましてもさしたる変化はないと考えております。
  142. 川島金次

    ○川島委員 わが国は今年度はもちろん、明年度は三百数十万トンの輸入が達成できませんと、国民の食糧の需給を達成することができない事情になつております。そこで端的にお伺いしますが、今年度における政府の輸入食糧の予定額に対して、最近までの輸入実績の比較はどういうことになつておるか、ことに米の輸入状況は、予定と実績においてどういう比較になつておるか、あるいはまた輸入食糧の価格は、政府が従来予定しておりました価格で円滑に買付ができておるのか、もしそれができないで相当大幅の価格の引上げ等を余儀なくされておる事情があれば、そういつたことについての説明を願いたいと思います。
  143. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 昨年の四月から本年の三月までの本会計年度で申します。四月から十二月までに参りました実績を申し上げますと、二百五十万トンでございます。そのうちで米は六十二万トン程度つております。本年度の計画は大体三百二十万トンと予想いたしておりますが、一月以降三月までに到着いたしますものは、われわれの見るところでは、まず七十万トンから八十万トンの間であると考えておりますので、二十六会計年度の輸入計画は、計画以上に達成できるのではないかというように考える次第であります。  それから輸入価格は国によりまして、実はいろいろ単価が違います。来年度予算等では、一応米につきましては、シフで百七十二ドル、小麦等につきましては、いろいろポンド地域、ドル地域、それから小麦協定のもの等で価格が違うのであります。ドル地域のものは大体百三ドル、ポンド地域から参りますものが百十ドル、それから小麦協定零参りますものは八十四ドル程度に実は考えております。これが大体今来ております実績でありまして、総平均しまして、大体百ドル程度というように考えております。それから大麦につきましては、大体九十七ドル程度というように考えておる次第でございます。
  144. 川島金次

    ○川島委員 今の輸入価格ですが、この平均した輸入価格は、日本の国内食糧の米、麦等の平均の消費者価格に比較いたしますと、どういう計算になるか、それをひとつ明らかにしていただきたい。
  145. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 輸入補給金は、来年度予算では二百七十億ということを予定いたしておりますが、われわれの予算で見積りました国内の米の価格を申し上げますと、百三十二ドル、大体差額が四十ドル、円に直しますと一万四千四百円ということになります。小麦は一応八十五ドル程度考えております。十五ドルの差額がございます。円に直しますと五千四百円であります。大麦は、先ほど申し上げました九十七ドルに対して七十六ドル程度考えております。二十一ドルの差がございますので、七千五百六十円ということになります。大体このような見積りをいたしておる次第であります。
  146. 川島金次

    ○川島委員 さらに最近伝えられるところによりますれば、明年度すなわち昭和二十七年度におきましては、少くとも外米にして百万トンの輸入を仰がなければ、今日の需給を保つことにならぬ。こういう意味政府は何か東南アジア諸地域に対して、特段の処置を講じて、この外米輸入の円滑な達成を期待するところの計画を持つておるという、新聞などの報道があるのでありますが、何かこの外米の明年度における輸入について、予定通り輸入が困難であるという事情があるのかどうか。もしあるとすればどういう事柄が見通しについて困難を持つておるかということを説明されたいと思います。
  147. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 タイ、ビルマ以外の国からの輸入につきましては、われわれといたしましてはこれをさしたる困難と考えておりません。タイ、ビルマにつきましては、先ほど申し上げましたように、おのおの百二十万トン程度輸出余力がございます。われわれがタイ、ビルマに依存したいと思う最低は、これより非常に少い数字でございます。従いまして量としての輸入力につきまして、われわれはさした心配はいたしておらないのであります。しかし向うの政府の割当、あるいは輸出方式等についても、いろいろの方式がございますので、これらを通じていろいろ交渉いたしておりますが、物量の確保については、努力をいたしますれば、さしたる困難はないのじやないかというように、実は考えておる次第でございます。
  148. 川島金次

    ○川島委員 そのタイとビルマに対しては、どの程度の期待を政府は持つておられますか。
  149. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 国際取引の関係もございまして、量の発表だけは差控えたいというように考えております。
  150. 川島金次

    ○川島委員 そこでお伺いしますが、国内の供出の状況は、政府の予定計画に対しまして、どういうような状況になつておりますか、具体的な数字で示していただきたいと思います。
  151. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 ごく最近の資料で、供出数量は二千三百三十三万石程度になつております。九一・八%でございます。減額補正等も相当にいたしましたが、超過供出数量につきまして、相当実は期待をいたしておるのであります。二千五百五十万石が割当でございましてわれわれはそれ以上の供出を懇請をいたしておるという実情であります。
  152. 川島金次

    ○川島委員 大体それで内外の事情はわかつて来たのでありますが、伝えられるところによりますと、最近政府では、米麦の需給調整について必要な問題としてこれを取上げ、その需給を円滑ならしめる一つの方策として、労務加配米の減額あるいは廃止を計画されておる、こういうふうに伝える向きがございまして、加配米を受けまする国内の産業労働者方面に、大きなシヨツクを與えておることは事実であります。この問題について政府はそういうような計画があるのか、またそうしなければならぬような重大な事情が現実に起きておるがかどうか、この点について明らかにされたいと思います。
  153. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 労務加配米は、米と麦とを出しておりますが、米につきましてはただいま申し上げましたように、われわれは超過供出をお願いし、来年の早場米等の出まわり等を期待いたしておりますので、米食率全体はもちろん減らさないという努力をいたしております。従いまして、労務加配米につきまして、ただいまのところこれを削減するということは、毛頭考えておらない次第でございます。
  154. 川島金次

    ○川島委員 それは政府が予定いたしております超過供出、あるいは早場米の計画が、順調に行つての話であろうと思う。もしそういうことが順調に行かないで、また一方今後の外米の輸入等が、政府が計画しております通りに行かないような事情に当面するということが、若干織り込まれておつて、早くも政府にそういう労務加配米、ことに米の加配米に対しての減額ないし廃止ということが、考えられるということを伝えられておつて、各方面に重大な懸念をされておるのであります。まことにくどいようでございますけれども、この機会に、責任をもつて、そういうことは断じてないということが言明できるのでありましたならば、さらにそのことについて見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  155. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 本年は西の方が非常に不作でありましたので、同じ米の中で、純内地米、外米等の配分についていろいろ作業いたしておりましたために、そういう話があつたわけであります。われわれといたしましては、全体としての米食率を減らさないように、最善の努力をいたしております。また早場米の食い率等は、過去の実績等から相当実は弾力性があるものと考えております。早場米の食い率を早めるということは、本年度もいたしております。来年もいたしたい。もちろん過去におきましても相当の平食いをいたしておりますので、そこにほんとうに弾力性のあることを御了解願えれば、米食率の問題が全体として響くことは、そう考えなくてもいいのではないかということを、実は責任をもつて考えている次第でございます。
  156. 川島金次

    ○川島委員 次にそれではお伺いしますが、問題の主食の統制廃止のことであります。米の統制の問題については政府はその所定の方針はかえておらないようでありますけれども、いずれにいたしましても、これは目下のところではたな上げの状態になつております。麦の統廃はもはや確定的のようでありますが、政府はどういう形で、いつこの麦の統廃を実施に移そうと考えておるか。事務当局にこういつた政治的な問題をお尋ねすることは無理かもしれませんが、当局で答えられる範囲でこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。
  157. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 これはいずれ法案を出しましたときに、十分御審議をお願いいたしたいと思います。それ以上の御答弁は私からは差控えたいと思います。
  158. 川島金次

    ○川島委員 その法案が出ることでございましようが、廃止の時期についての大体の目安はどのところに置いておるか。その点についてくらいならばお話が零きるんではないかと思いますが、重ねてお尋ねしておきます。
  159. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 新麦からやるという予定でやつております。法案を出しました上で、ひとつ御審議をお願いしたい、実はかように考えております。
  160. 川島金次

    ○川島委員 いうまでもなく日本の食糧事情は年々絶対量が相当額不足をいたしておりまして、政府は引続きその不足額を海外の輸入に仰がなければならないような実情になつており、そういうことにかなりな力を注ごうといたしておるようでありますが、一面私どもの立場から申し上げますれば、できるだけこの食糧の問題は自給対策というものを計画的に確立をいたしまして、国内の食糧は国内の生産においてまかなえるような形に、一日も早く対策を積極的に講じて確立することが、私としては最も望ましいことではないかと信じておるのであります。そこでこの食糧の自給対策について、政府には計画的、積極的なものが何か今日立てられておるかどうか。その事柄について構想があろうと思いますので、簡単でけつこうでありますから、ありましたならば、説明をしていただきたいと思います。
  161. 周東英雄

    ○周東国務大臣 便宜私から申し上げますが、お話のようにこれを理想的にいたしますると、日本国内で生産するもののみによつて自給することが一番安全なことであり、理想であります。しかしふえて行く人口と、そして御指摘のような形において、現在年々三百万近くの輸入を仰いでいるものを、ただちに内地で生産するということは急速にはむずかしい。しかし政府といたしましては、自給度の向上といいますか、でき得る限り内地における生産を高めて行くということは、一面において米麦に対してとらるべき処置であり、そうしてできるだけ輸入食糧を減ずるという行き方が一つの行き方でありまして、その現われといたしまして、ことしの米麦増産対策といたしまして、特に予算を従来よりも百億近くふやしまして、農業食糧増産のために四百三億というものを、いろいろな形において出したわけであります。この行き方は今後も続けて参るつもりであります。同時にもう一つ問題は、水産、畜産の方もことしは増産いたしまして、蛋白、脂肪の面からの質的な改善と、あわせて将来の日本国内におけるでき得る限りの自給度を高めて行くということに向つて進みたい、かように考えております。
  162. 川島金次

    ○川島委員 当面の対策としての米麦生産量の向上をはかるという事柄は、もとより異存はございません。しかしながら政府考えておるような国際的な諸般の事情を勘案いたしますと、どうしても国内の単なる自給度の向上程度では非常に不安がある。ぜひとも国内の生産量によつて、自給自足の域にまで引上げて行くという強力な対策を必要としておるのではないかと思う。もしそういうことが必要でないとすれば、何もあわてて再軍備へ走つたり、税金の巨額な金るまとめてそういつた不生産的な方面する投入する必要もない。政府が非常に急いで再軍備などをしようとするような傾向に見えるとも、やはり諸般の情勢が、政府の観点からすれば、逼迫しておるのではないかという感じがあるのではないかと、われわれは想像しておる。従つてまず何はともあれ食糧の自給対策というものは、政府の観点からすれば、きわめて焦眉の急務でなければならないというふうにわれわれは考えられるのでありまして、少くとも食糧の自給対策については、年次的な計画に基いて漸次具体的に食糧自給の対策を推し進めて行くことが、根本的な問題であろう。国際的な情勢は別といたしましても、これは日本経済自立態勢に課せられました必須の任務だと私は感じております。そこで政府はすみやかにそうした計画的な食糧自給の態勢への計画を立てるべき責任があるのではないかと、われわれは思うのであります。そういうことに関する政府考え方についてこの際承つておきたいと思います。
  163. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御指摘の点はまつたく同感であります。政府といたしましても、軍備の問題がどうこうという関係を離れまして、経済的に見ても、多額の食糧を外国にいつまでも仰ぐことは、他の面において必要とするものの輸入を要する立場からいたしましても、これを減らすことが根本の対策でなければなりません。いわんや御指摘のような事情等も勘案すれば、もとより日本国内における自給度の向上を極力はかり、理想的に行けば、全部自給できるように持つて行くことがよろしいことと思います。しかしおのずから土地の問題なり、あるいは経費の問題などがありますが、大体といたしましては、ことし着手いたしました思い切つての土地改良あるいは開拓というような面、あるいは畜産の新しい奨励方法というような面、また害虫駆除等の減損防止による消極的な意味における増産という面に、ことし極力集中して百億も増加したことは、今御指摘のような点を政府考えているのでありまして、この点についても今後なお財政の許す限り計画的に国内における米麦の増産、蛋白脂肪面の増産に向つて、計画的に進めて参りたいと考えております。
  164. 川島金次

    ○川島委員 そういう食糧自給度の向上をはかり、あるいは自給対策を確立いたしますにつきましても、何といいましても、まず最初の根本的な問題は、私は農民をして主食糧の生産の意欲を奮い立たしめるということが、一番先決の問題であろうと思う。その生産意欲を奮い立たせまするためには、まず何といいましても、主食糧生産価格が、農民をして納得せしめるところの価格でなければならないということが、これまた第一の要件であろうと私は信じております。しかるに今日の政府の米麦に対するところの生産価格というものは、農民の営農の実態の諸経費、あるいは農民自体の生活の実態にも、はなはだしくそぐわないものがあるということを、われわれは認めざるを得ないのであります。そこ皆政府に端的にお伺いいたしますが、来るべき新米穀年度に相呼応いたしまして、米価の再度の引上げ政府考えておるのかどうか、あるいは麦価にいたしましても、そのような事柄について、政府は配慮するというところの計画を持つておるかどうか、その点についてできますれば明白な政府の所信、方針なりをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  165. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ことしの十一月できる二十七年産米価について、引上げるつもりがあるかどうかというお尋ねであります。政府といたしましては、従来の米価の決定の行き方と同様に、諸物価の高騰があり、パリテイの上において変化をいたしますれば、それに応じて米価の改訂ということが行われる、かように考えております。その米価をいかなる算定の方式によるかということについては、いろいろ議論がありますが、いずれにいたしましても、もし他の諸物価等の高騰関係から、パリティに変化を生ずるいうことが起つた場合においては、その事態を見まして考慮いたしたいと考えております。
  166. 川島金次

    ○川島委員 今お話の出ました米価の算定基礎であるところのパリテイ方式、このパリテイ方式というものが、非常に実は問題であろうと、われわれは思つておるのであります。政府はこの問題であり、疑念のあるところのパリテイ方式を、完全なものと今でも思つておるかどうか、この点について、政府のパリテイ方式に関するところの見解を明らかにし、このパリティ方式に対する再検討の用意を持たれておるかどうか、この点についてひとつつておきたい。
  167. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御指摘の点ごもつともでありますが、今日までパリティ方式につきましても、一長一短があります。生産費計算についても一長一短があります。実は昨年米価審議会の委員でありまする学者、並びに農民の代表着も入つておられると思いますが、そういう方に依頼して、いかなる形をとることが一番妥当なりやということで、御研究を願つたのでありますが、結局のところどれもこれもこれがいいという結論が出ずに、パリティ計算と生産方式と、そのちやんぽんの方式と、三つの答申がなされたような次第であります。私は今日どれもやはり一長一短があると思うのです。実際問題として、農家の生産に使う各種の物品のとり方、今日七十二ですか、九十二ですか、ちよつと忘れましたが、その品目のとり方によりましては、それと見合つた形においてパリティ方式をとるということも、一つの行き方と思います。生産費にいたしましたところで、どうもこれは五百五十万農家のピンからキリまでの生産費でありますので、その中庸生産費をどこにとるかということについて、いろいろ問題もございます。原価計算のような形で、一番高いところをとるのもいいかもしれませんが、これは不当に高めることになり、消費者に対する問題もございますので今日のところまだ一応パリテイ方式をとつて行くべきではなからうかと考えております。
  168. 川島金次

    ○川島委員 私はその点においては見解を異にし、パリティ計算の慎重なる再検討を必要とすることを強調いたしたいものでありますが、その問題はその程度にしておきまして、時間がございませんので、さらに別な質問を申し上げます。  最近問題となりまして、この委員会でも、先般ちよつとどなたかから触れられたと和は記憶いたしておるのでありますが、予備隊あるいは駐留軍の今後の駐留の事情に伴いまして、集団開拓農地が接収され、かつまた将来されるという不安が全国的に増大いたしまして、今やせつかく海外から着のみ着のままが引揚げて、再び国内において開拓地にくわを振つております多くの人たちに、少からぬ脅威を與えていることは、政府も認めておるのではないかと思うのであります。そこでお伺いいたすのであげますが、一体この開拓農地にして、すでに接収されました耕地及びそれらの農地に携わつておりますところの戸数、人口、あるいはまたその接収したあとにおいて、どのような手当をしておるかという、従来の実況について、この際明らかにしてもらいたいことと、現在集団的な開拓農地が国内に一体どのくらいあつて、しかもその開拓農地にどのくらいの人口がこれに携わつておるか、それからまた目下すでに開拓農地の接収を必要とする向きがあるようでありますが、そういつた事柄について、一体どのくらい接収をしなければならぬような事情になつておるか、並びにそれに伴うところの政府手当一体どういう形で、これら接収農地の農家に対して処置をするつもりであるか、そういつたことについて、一連の関係をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  169. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 お答えいたします。農地の接収の問題に関しましては、先ほど来外務政務次官からいろいろお答えいたしておりますように、できるだけ農地あるいは開拓地を接収しないように外交交渉をし、あるいは予備隊につきましては、予備隊の担当の官庁の方に申出ております。もしどうしても接収しなければならないという場合には、これに対する補償を十分にするようにということで、交渉を続けております。今後接收さるべき土地につきましては、予備隊関係ではいろいろ予算の要求等をしておりますが、それにつきましても、今後具体的になるにつれまして、これは農地でありますれば、農地関係法律に従つて処置をしなければいけませんので、農林省に協議があるものと思います。その際先ほど申しましたような方針処置をすることになつております。それから駐留軍の関係は、今後どういうふうな場所が要求されるかというような点は、目下わかりません。現在あるところがどういうふうになるのかもまだわかりません。しかしこれも外務省を通じまして、先ほど申し上げましたような方針を十分実現いたしますように、行政協定等で要求するようにとりはからつております。
  170. 川島金次

    ○川島委員 今私がお尋ねいたしました事柄について今の答弁は非常に抽象的であります。私のお尋ねをいたしましたのは、現在すでに接収をされた開拓農地がどのくらいに上つておるか、しかもそれに対してどの程度手当を今日までして来たか、将来そういうことの起る場合には、一体どの程度の額において、それを補償するという目途を持つておるか、そういつた具体的なことについてお尋ねをいたしたのでありまして、その具体的な目途でもよろしいから、また過去のことについては、実際の手当の金額、そういつたことについて尋ねておるのであります。それをひとつ……。
  171. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 お答えいたします。過去の数字につきましては、今手元に数字がありませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。それから将来の接収価格につきましては、いろいろな場所によりまして違いますが、その単価につきましては、相当の経費を計上してもらうように交渉中であります。これも具体的にあるいはこの予備隊の買収の予算を、予備隊の方で大蔵省の方の主計局の査定を受けておるのじやないかと思いますので、それが具体的に幾らになつておるかということにつきましては、今農林省の方で予備隊の方と折衝しておるのでありますが、まだはつきりしておりません。今後はつきりして来るものと思うのであります。あるいは予備隊の方の予算折衝上の単価は、予備隊の方にお聞きくださればわかるのじやないかと思います。まだ農林省の方には正確な数字が入つておりませんので、さらに調べてお答え申し上げたいと思います。
  172. 川島金次

    ○川島委員 どうも資料を持たないで答弁されて、その答弁がきわめて貴重な時間にかかわらず抽象的で、われわれの要求にかなつておりません。もう少しあらかじめ用意をされて、貴重な時間での質疑でありますから、明確なお答えができるように、ひとつ勉強を願いたいと思います。  なお時間がありませんから、一言お尋ねいたしまして、臨時御質問を申し上げたいという方の時間に、譲ることにいたしたいと思いますが、最近農村におけるところの耕作面積が、平均反別において逐次零細化をしておるという、農村の経済、あるいはまた民主的な立場から言いましても、非常に憂うべき現象が各所に現われておりますることは、政府もすでに同様懸念をいたしておるところではないかと私は思うのであります。そこでこの農村の耕作面積の平均反別の零細化の問題に対して、これを阻止する何らか具体的な方策がなくてはならぬと、私どもは考えておりますが、この零細化の問題に対する対策として、農林省はいかなる積極的な対策を持たれておるか、そのことについて尋ねておきたいと思うのであります。
  173. 平川守

    ○平川政府委員 お答えいたします。農地が零細化することの原因はいろいろございますけれども、主として一番心配いたしまするのは相続等の関係において、農家の次、三男、後継者が非常に多いために、これが零細化するということが一つの問題であります。これに対しましては根本的になお考慮すべき点もあろうかと思いますけれども、最近相続税法の改正の機会に、相続税負担を、個人が農地を相続いたしましても、免税点の引上げということによつて不利ならしめないようにするということによりまして、均分相続の弊害によつて零細化することを防ぐ、これが一つの政策になると考えます。なおそのほか農家の資金の金融関係におきまして、非常に資金に逼迫しました場合に、土地を手放すという現象が起りますので、これに対する融資の道を開きたい、かように考えておるのでありますが、ただいまのところでは強制譲渡の制度によりまして、国家が非常に金融的に困つた場合の農家の農地を買い上げまして、これをただちにまたその人に年賦償還によつて拂い下げるという方法によつて救済して参りたい、これのための予算を約八億五千万円ほど計上しておる次第であります。
  174. 塚田十一郎

    塚田委員長 成田知巳君。
  175. 成田知巳

    ○成田委員 法務総裁はお急ぎのようでありますから、まず法務総裁に二、三お尋ねしたいと思います。占領下におきましてたとえばマツカーサーの命令だとか、あるいはポ政令二〇一号、こういうものが憲法に優先するということは、やむを得ざることとして一応認めなければいかぬと思うのですが、もし今度の講和條約で言うがごとく、日本が独立したといたしましたならば、憲法で規定されております特に基本的人権の條項はいかなる法令といえどもこれを侵害することはできない、こう解釈するのですが、いかがでございましよう。
  176. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まことに御説の通りであります。
  177. 成田知巳

    ○成田委員 法務総裁は憲法に規定した基本的人権は、いかなる法令といえども侵害することはできない、こういうことをお認めになつたのですが、現在御承知のように国家公務員法あるいは地方公務員法、これによりまして公務員の団結権、団体交渉権、罷業権というものは剥奪されております。また労働三法も現在労働関係法令の審議会において労使の意見の対立がある、こういう問題で現在憲法二十八條で規定しておる基本的人権が侵害されておる、こういたしましたならば、当然これは改正さるべきことと考えるのでありますが、いかがでありましよう。
  178. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 基本的人権は、むろん尊重しなくちやなりませんが、これは御承知通り公共の福祉ということで、ある制約を受けるのであります。公共の福祉の範囲内において、これは最大の尊重を受ける、こう考えております。
  179. 成田知巳

    ○成田委員 今公共の福祉の制限内と言われましたのですが、この公共の福祉というのは、憲法十二條の公共の福祉でございましようか。
  180. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 憲法第十二條と第十三條に規定しております。御承知通り公共の福祉に反しない限りにおいて尊重を受けると十三條にあり、また十二條におきましては憲法に保障された自由並びに人権は、これを濫用してはならない、公共の福祉のためにこれを利用しなければならない、この二つの箇條から参るものと心得ております。
  181. 成田知巳

    ○成田委員 そこでお尋ねしたいのですが、十二條の公共の福祉の問題ですが、政府はこれをオールマイティーのごとく考えられまして、広く解釈されておりますが、この十二條には今法務総裁の言われましたように、基本的人権は国民は濫用してはならない、常に公共の福祉のために利用する責任を負う、こう書いてあります。このことは二十二條の居所移転あるいは職業選択の自由でありますが、この條文と対照いたしますと、この二十二條にも公共の福祉を規定しております。何人も公共の福祉に反しない範囲において、居住の自由あるいは移転の自由あるいは職業選択の自由がある、こう規定しております。こういう條文の排列から考えますと、十二條の公共の福祉というのは、あくまでも訓示的な、精神的な規定なのです。「国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」こういう規定があるのです。そう解釈すべきだと思うのです。従つて二十二條の反対解釈から行きましても、十二條の公共の福祉というものは、一応二十八條で規定された基本的人権、これを濫用してはいかぬ、またこれは公共の福祉のために利用する責任がある。こういう精神的な訓示と解釈をするのが当然であると思います。二十二條と十二條の関係からいつて、はたしてその逆な解釈ができるかどうか、御答弁を願います。
  182. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はそれを逆とは考えておりません。すべてこの公共の福祉ということが基本になりまするので、そのもとに制約を受けるようになると考えております。公共の福祉に反しない限りにおいては、すべての基本的人権は国政の上並びに立法の上において、これを尊重しなければならない。こう解釈しております。
  183. 成田知巳

    ○成田委員 もしそういう御解釈ならば、十二條十三條で事足りるのでありまして、ことさら二十二條で「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」こういう特別な規定を必要としないと思います。従つて私たちの解釈から行きましたら、公共の福祉という点で制限を受けるのは、憲法の條文で二十二條のごとく具体的に規定した場合に限つて、公共の福祉という制限を受けるのでありまして、十二條どいうものはあくまでも精神的な規定であります。従つて二十八條では、二十二條の公共の福祉に反しない限りにおいて、団結権とか団体交渉権、罷業権などということを規定してない。二十二條と二十八條の関連から考えまして、当然団結権団体交渉権、罷業権は憲法においていかなる場合においても動かすことのできない規定である。ただ十二條で精神的な、訓示的な規定ができておる。こう解釈するのが條文の解釈からいつて当然だと思いますが、いかがでありますか。
  184. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 遺憾ながら成田君と私とは見解が相違しておるのであります。私はどこまでも憲法の精神は、公共の福祉ということを強調しておるのであります。公共の福祉に反しない限りにおいて、すべてこの自由の人権は尊重を受ける。こう解釈しております。
  185. 成田知巳

    ○成田委員 見解の相違と言われますが、ではなぜ十二條に公共の福祉云々の規定があるにもかかわらず、二十二條にさらに「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転、及び職業選択」云々と規定して、公共の福祉というのを特に加えて、二十八條では公共の福祉ということは書かないのか。原則的に無制限に団体交渉権、団結権あるいは罷業権を認めている。この二十二條と二十八條の差はどこから出ているか。その御答弁を願いたいと思います
  186. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 二十二條の規定は、これはことに住居移転の自由などということは、とかく解釈のしようによつてあまりに自由にやり得るものでありますから、それで特別に公共の福祉に限りということを入れたものと私は解釈しております。しからざればほかの條文にもみな公共の福祉に反しない限りということを規定しなければならない、そういうことであります。
  187. 成田知巳

    ○成田委員 どうも法務総裁の御答弁は満足に聞けないので、また別の機会にお尋ねしたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、現在の警察予備隊というものは、その内容から行きましても軍隊である。従つて憲法第九條違反だ、こう考えまして、新聞紙上でも御承知のように、最高裁判所に違憲の訴訟を提起する予定でありますが、聞くところによりますと、最高裁判所が受理する場合は、具体的な個々の事案に限る、こういうような一部の意見もあるそうでありますがこれに対しまして法務総裁はどうお思いになりますか。
  188. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの通説といたしましては。ことに現在は三審制度でございまして、一審から参るのでありまして、最高裁判所にただちにその法律が憲法違反であるかどうかということの訴訟はでき得ないものと考えております。やはり具体的な事象がこれは憲法に違反するかどうかということで争わなければならぬ。私らはこう解釈しております。
  189. 成田知巳

    ○成田委員 現在の通説と言われるのでありますが、この通説というのは、今までの裁判官なり弁護士の過去の法律観念から来ていると思うのです。新憲法で最高裁判所に違憲の有無を裁判するところの権限が與えられた、こういう新しい事態のもとでは、新しい観念でこの問題を処理すべきだと思うのであります。特に憲法手続上こういうことはできないと言われるのでありますが、憲法の八十一條では法律が憲法に適合するやいなやを最高裁判所は判定するとなつておりますが、さらに七十七條で最高裁判所は訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規則を定める権限を有する。こうなつておりますので、新憲法の精神からいつて、もし法律あるいはその他の予算というような問題が、憲法違反というような形をとる場合は、当然最高裁判所はみずからの権限でその手続を定めて、ただちに最高裁判所で違憲であるかどうかということを判定する。こういう努力をやるべきだと思うのでありますが、いかがでありましようか。
  190. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは個々の具体的事案が係争になりますると、最終的大法廷において、最高裁判所が憲法に違反するかどうかということを判定を與えるのであります。これは成田君も裁判所の扱いはすでに御存じだと考えております。これは結局は裁判所で解決すべき問題と思つております。
  191. 成田知巳

    ○成田委員 個々の問題について一審から裁判所で、現在の手続で解決すべきだ。こういう御答弁でありますが、と申しますと、もしこの予算案が通過いたしました場合、この予算案で警察予備隊の内容というものが規定されておるわけであるから、この予算案が通過した場合、これに伴つて納税の義務ができると思います。その場合に予算の通過と同時に納税の義務者が、これは憲法違反である、こういう訴訟を提起することができるかどうか、御答弁を願います。
  192. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは私が答弁するよりか、裁判所に持つてつていただいて、裁判所で御判断をお願いいたしたいと思います。
  193. 成田知巳

    ○成田委員 最初の問題も法務総裁御答弁になつておりますから、法律解釈の最高権威であると言われております法務総裁は、そういう具体的の事例に当るかどうか。法務総裁は具体的な問題になつた場合には、訴訟を提起することができると言われておるのでありますから、予算案が通過した場合には税金を納めることに関連して違憲の訴訟を出すことが具体的な事例に当るかどうか。これについての見解を承りたい。
  194. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは裁判所との関係でありますから、私は軽々しくここで私の意見は差控えたいと思います。
  195. 成田知巳

    ○成田委員 次にお尋ねしたいと思いますが、この委員会で中曽根君から吉田総理に質問したのでありますが、天皇退位の問題であります。その際吉田総理は天皇退位を云々するというのは非国民だというような、感情論と申しますか、極論をなされたのでありますが、これは吉田総理の考え方は別といたしまして、やはり今まで神様とされておつた天皇が人間になつた以上、人間天皇が退位するということはあり得ることと思います。たとえば不時の重患にかかつた、あるいは天皇の自由の意思によつて退位したい、あるいは道義的に、道徳的に責任を感じて退位しよう、こういうような感じを持たれることは人間として当然だと思います。吉田総理は天皇に対するひいきの引き倒しになつておると考えるのでありますが、これに対して現在の皇室典範では退位の規定がないのであります。当然これは皇室典範を改正しまして、退位の可否は別といたしまして、退位の規定を設けるべきだと思うのでありますが、いかがでありますか。
  196. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はその問題については答弁はいたしかねます。
  197. 成田知巳

    ○成田委員 次にこれは一昨日厚生大臣にお尋ねしたのですが、厚生大臣は事実を知らないから、調査の上回答するということでありましたが、実際は法務総裁の所管になると思いますので、お尋ねしたいと思います。多分御承知と思いますが、松江の日赤病院と高価の日赤病院と、(「それは済んだ」と呼ぶ者あり)答弁がなかつたのです。日を同じゆうして大体同じような人権蹂躪の問題が起きているわけであります。松江の日赤病院の場合には、患者が入院料値上げ反対の運動をやつた。その運動に加盟した数名の患者はまだ病気が全治していないにもかかわらず、強制的に退院を命ぜられた。これに対しまして松江の法務局でも調査に乗り出しまして、長澤松江法務局人権擁護課長もこれは人権蹂躪である、こういう談話を発表しております。このことは入院料値上げ反対の運動をやつたという意味において強制退院させたとすれば、憲法二十一條の集会、結社、言論の自由に対する抑圧である、こう考えるわけであります。これと日を同じゆうして高松の日赤病院で、これも法務局ですでにお調べになつておりますが、ある県庁の職員が日赤の看護婦と婚約した。そうすると日赤の方で看護婦は結婚してはいけないのだ、これは不文律だというので、これまた強制的に退職を強要した。これをいろいろ調べますと、過去においてもうすでに四件ぐらいあつた。しかも日赤の当事者は看護婦の部屋に無断で入り、あるいは信書の秘密を侵した、こういうような事実が判明しまして、法務局でもこれまた憲法二十二條あるいは三十五條違反である、こういうことで法務局で取調べをやつておるそうであります。もしこれが事実であるとすれば、法務府としていかなる処置をとる御方針であるか承りたいのであります。
  198. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。成田君の今の問題につきましては、私はすぐ人権擁護局を呼びまして、かような事実があつたかつどうかということを聞きただしたのであります。また法務府の人権擁護局長の手元まで何らの報告も参つておらぬそうであります。至急その地方の法務局に連絡をとりまして、そうして何分の処置をしたい、こう考えております。成田君も御承知通り、法務府に人権擁護局というものを設けておりますが、これは御承知通り憲法でもつて保障された人権を、どこまでも擁護しなければならぬという建前でできております。これは相当の活動をしております。しかしながら私、在野法曹時代から各地の弁護士団と連絡をとりまして、東京の三会を初めとして人権擁護委員というものを設けておるのであります。これは具体的な問題について、相当活発な活動をいたしておりますから、その方面にも連絡をとりまして、十分なる調査をして、その確実なる調査に基いて何分の処置を講じたいと思つております。さよう御承知を願います。
  199. 成田知巳

    ○成田委員 次に大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。今度の一般会計予算なり特別会計予算は、健全財政だということを大蔵大臣は言われておるのですが、数字の上から見ましたら、収支バランスをとつているので健全財政ということも考えられるのですが、大蔵大臣自身一昨日かここで、單に数字だけで結論を出すことは、論理の飛躍だということを言われておりますので、私たちも今度の予算を見まして、表面上は収支バランスをとつておりますが、実質的に内容を見ますると、決して健全財政でない、こういう感じを受けるのであります。その点について二、三お尋ねしたいと思うのですが、最初インヴエントリー・ファイナンスの問題であります。昭和二十六年度の予算で、当初外為特別会計五百億、補正予算で三百億、八百億のインヴエントリーを組んだのですが、今度の予算説明書を見ますると、受取り超過に基くところの円不足に対して四百六十四億ということになつておりまして、あとは甲種ユーザンスの残高の減少と、二十五年度の繰越しと国際通貨基金への出資に伴う外貨の売却収入、こういうものに当てておる、こういう説明があるのでありますが、この甲種ユーザンスの問題、二十五年度の繰越し、あるいは外貨売却収入、この内訳はどうなつておるか、御説明を願いたいと思います。
  200. 池田勇人

    池田国務大臣 健全財政なりやいなやにつきましては、私らは前から成田君とは見識を異にしておるのでございます。いまさらとやこう申し上げませんが、外為会計の繰入れ三百五十億というのは、昭和二十六年度とは非常に違いまして、政府勘定のガリオアもなくなりますし、大体貿易じり、あるいは外貨の受取り支拂いのしりが九千七百万ドルになりますので、三百五十億といたしたのであります。
  201. 成田知巳

    ○成田委員 その三百五十億となつた理由をお聞きしているのじやなしに、受取り超過関係のものは四百六十四億、当初八百億組んでいるわけです。あとの三百三十六億の内訳でございますね。政府予算説明書によりますと、甲種ユーザンス云々というように三つばかり例をあげておりますが、その内訳を御説明願いたいのであります。
  202. 池田勇人

    池田国務大臣 甲種ユーザンスの内訳ですか。
  203. 成田知巳

    ○成田委員 甲種ユーザンスと二十五一年度繰越しと外貨の売却収入、この三つがどうなつておるか。
  204. 池田勇人

    池田国務大臣 これは昭和二十六年度の予算の説明になりますね。昭和二十七年度じやなしに……。
  205. 成田知巳

    ○成田委員 そうです。
  206. 池田勇人

    池田国務大臣 年度が違つておりますので、私は二十七年度の予算の審議を願つておるものですから、二十七年度を申し上げましたが、二十六年度の予算の記憶をさかのぼつて申し上げますと、御承知通り二十六年度におきましては、一億七千四百万ドルの外貨のしりが出て来るのであります。そこで四千七百万ドルの政府輸入の関係がございますので、一億三、四千万ドルが貿易じりの関係でございますが、これが四百数十億円になります。しこうして片一方では甲種、乙種のユーザンスを四月一日からかえました関係上、四百億余りの円資金がいることになるのであります。合せて九百億近かつたところを昭和二十五年度の繰越金がありましたので、それを差引いて八百億円として追加予算は間に合うことになつておるのでございます。
  207. 成田知巳

    ○成田委員 これは昭和二十六年度でありますが、昭和二十六年度の外為の八百億、食管へ百億、貴金層特別会計に三十七億、国際通貨基金に二百億、約一千百四十億近くのインヴエントリーが行われておる。昭和二十七年度の予算といたしましては、これが三百五十億になつておる。このインヴェントリー・ファイナンスが編成されましたときに、池田蔵相は、このインヴエントリー・ファイナンスというのは、インフレーシヨンに対する一つのクツシヨンの役割をするのだと言つて豪語されて来たのでありますが、これほど減少して、はたしてインフレ要素を抑制することができるかどうか。特にこれは一般会計の問題でありますが、対日援助見返り資金の問題でも、今度二十七年度においては対自援助が打切られる関係上、大体四百八十億くらいの散布超過となると思うのでありますが、こういう問題で、はたしてインフレ抑制ができるかどうかということをお尋ねいたします。
  208. 池田勇人

    池田国務大臣 このインヴエントリー・ファイナンスをやるのは、インフレーシヨンに対するクツシヨン——私はインフレーシヨンに対するクツシヨンということをはつきりしなければならぬのですが、運転資金のための通貨の増発はインフレーシヨンであります。そこで運転資金のための通貨の増発を一般会計の方で押えて行くのがインヴエントリー・フアイナンスの効果であるのであります。しこうして昨昭和二十六年度外為会計への九百億の分は、貿易じりが非常に受取り超過になります。また日本銀行もユーザンス制度を改正しましたので、あれだけの数字がいつたのでありますが、昭和二十七年度におきましては貿易じりのみならず、外貨の収支を九千七百万ドル程度で押えられるので、三百五十億円でけつこうなんであります。これは理論的に申しますると、ないに越したことはない。しかし物価高あるいは貿易じりの関係で、やむを得ずやつておるのであります。食管会計の方におきましても、あの買入れまする米とか麦の値段が上りますと、インヴエントリー・フアイナンスが出て参ります。昭和二十五年度の分は三百億に達したことは御承知でありましよう。米の値段統制されまして、昭和二十六年度は百億円の繰入れで済んだ。二十七年度におきましては、それがいらなくなつて、だんだん正常化しておるのであります。しこうしてまた貴金属特別会計の方におきましては昭和二十四、五、六と三箇年、十数億円のインヴエントリー・ファイナンスをやりました。しかし昭和二十七年度においては、今までの運転資金が相当ふえたことと、そうして貴金属特別会計で持つております銀を外国に売つて金が相当入つて来たためにインヴエントリー・ファイナンスがいらなくなつた。いるときにはあなた方が御反対になつても出しますが、いらないときにはわれわれは出さないのであります。
  209. 成田知巳

    ○成田委員 次にお伺いしますのは、これは昭和二十六年度の預金部資金の問題ですが、三百億の金融債を引受ける、こういう予定になつておつたのですが、この金融債の引受け状況は現在どうなつておるのですか。
  210. 池田勇人

    池田国務大臣 当初の金融債引受け三百億円は計画でございまして、第七次造船の前期のずれ、第七次造船の後期のためのお金を百数十億円、見返り資金から出しましたので、三百億円の予定が、百九十五億円に減つておりまして、百九十五億円はこの年度内に日本興業銀行勧業銀行あるいは商工中金、農林中金で全部引受けます。それから先ほどの御質問にありましたように、見返り資金の方からは四百五十六億円散布超過になる。しかしそれがインフレになりはしないか、こういうお話でございます。全体六百億円でありますが、見返り資金の方に新たに入つて来るのが、百三十五億円、その差額は四百六十五億円散布超過になりますが、資金運用部の方でそのじりを見ておりますから、予算にはつきり載つております。インフレにはなりません。
  211. 成田知巳

    ○成田委員 次にお聞きしたいのは、最近新聞紙上で御承知のように、大山郁夫氏にスターリンから平和賞が授與される。邦価に換算して約九百万円ですか、この前に湯川博士にノーベル賞が授與されたときには免税になつたと思うのですが、大山郁夫氏にこの平和賞が授與された場合に、政府としては免税措置をおとりになるかどうか承りたい。
  212. 池田勇人

    池田国務大臣 湯川氏はアメリカにおられまして、そうしてノーベル賞の賞金はノールウエーかどこかで発生しております。従いまして日本法律の關與する範囲外であります。(「ノールウェーじやない、スエーデンだよ」と呼ぶ者あり)
  213. 成田知巳

    ○成田委員 この前議会で決議案を出しまして、聞くところによりますと、所得税法第六條の六号でありますか、それによつて免税措置をとるということを、政府は御決定になつたと思うのですが、何だか今の答弁は少し筋違いのような感じがするのですが——。
  214. 池田勇人

    池田国務大臣 ノールウエーとスエーデンと間違つて恐縮でございましたが、私の解釈は所得の発生地が日本法律の関與範囲外であつて、しかも受取人が税法施行地外でございますから、当然日本の税法が及ばぬと私は解釈しておつたのであります。しこうして事務当局でどういう説明をいたしましたか存じません。従いまして、今何か何とか賞をだれとかがおもらいになつたということでございますが、これは事実を知りませんので、事実をはつきりおつしやつていただいたら、どういうふうな税法になるかということを申し上げたいと思います。
  215. 成田知巳

    ○成田委員 事実をはつきりと言われたですが、スターリン賞を今度大山郁夫氏が、平和運動の功労者として授興されるという報道が伝わつておるわけですが、もしそのスターリン賞が授興された場合に、免税措置をおとりになるかどうか。
  216. 池田勇人

    池田国務大臣 これはその所得の発生をどこと見るか、なかなかむずかしいのでございまして、いよいよそういうものが出ましたときに、向うのソ連の税法その他との関係がございますので、研究の上お答えいたしたいと思います。
  217. 成田知巳

    ○成田委員 所得の発生云々と言われるのでありますが、所得税法の第六條に、外国または外国団体から、学術その他に関連して賞金をもらつたときには免税する、こういう規定があるわけですから、所得の発生云々ということは問題にならない、所得税法第六條の解釈としてやれるかどうか、こういうことを御答弁願いたいのであります。
  218. 池田勇人

    池田国務大臣 学術の関係でおもらいになるのか、あるいはほかの関係でおもらいになるのかわかりませんから、よく調べないと答弁ができません。
  219. 成田知巳

    ○成田委員 次に、この委員会で問題になりましたのですが、対日援助資金が債務であるかどうかということ、いろいろ議論がありますが、もし国会で債務として承認された場合、外債の支拂いあるいは賠償とどちらが優先して支拂うべきであるか、この点について明確な御答弁がなかつたと思うのでありますが、その点はつきりと御答弁願いたいと思います。
  220. 池田勇人

    池田国務大臣 これは前の国会、あるいはその前の国会でも申し上げたと思うのでございまするが、対日援助が債務と確定いたしました場合に、アメリカにおきましては賠償よりは優先するだろうという説が多数説でございます。それから外債と対日援助資金との優先の問題につきましては、これは全体の問題といたしまして、私はこの賠償が日本経済をこわさないように、国民生活を維持しながら、しかも外債あるいは対日援助等と見合いになるものでございまするから、私としては三者をとくと考えてやらなければならぬ問題だと考えます。
  221. 成田知巳

    ○成田委員 アメリカでは対日援助資金が賠償よりも優先する、こういう見解をとつておると言われたのですが、もしそうだとしましたら、私たち今度の予算の編成過程から見ましても最初、外債と賠償関係にそれぞれ二百億組む、こういうことで、政府は折衝しておられたと思います。ところが急にこれが総額百十余億に減らされて、さらに対日援助資金の支拂いもこの中に入るものだ、こういう予算の編成過程から申しまして、防衛支出金とか再軍備にじやまになるような賠償というものは、この対日援助資金の支拂が優先するのだ、こういう建前のもとに、これを拒否する、こういうような含みがあるのじやないかということを、私たちは憂えるものでありますが、そういうことがあるかないか御答弁願いたいと思います。
  222. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問は対日援助費の支拂いを拒否すると、こういう御質問でございますか。
  223. 成田知巳

    ○成田委員 いやそうじやないのです。もう一度申し上げますが、今までのこの予算編成の過程から申しますて、最初対日援助費の支拂いというものは予算に入つていかつた。急にこれも入りまして、総額百十億にきまつた。その過程から見まして、この対日援助資金の返済というものは、先ほど蔵相の言われたように、賠償に優先する、こういう見解を米国は持つておる、こういうことになりますと、賠償よりもまず対日援助資金の支拂いだということになつて、賠償を拒否するというような方向に出るおそれがあるのじやないか、こういうことを質問しておるのです。
  224. 池田勇人

    池田国務大臣 これはあなたが想像されて、想像によつて御質問なさるのであつて、賠償幾らく、外債の支拂いを二十七年度に幾ら幾ら、あるいは対日援助を幾ら幾らと計算してやつたのではございません。初めから私は二百億という考えを持つていない。これはいろいろな点から考えまして、今年度の平和回復善後処理費が大体百億円繰越して予想されますので、もう百十億円を加えれば、二百十億円で昭和二十七年度はまかなえる、こういうのでありまして、賠償、対日援助金、あるいは外資というものの順序を考えてやつたわけではございません。先ほど申し上げましたように、三者はみな相関関係を持つております。アメリカではこういう説があるけれども、三者は相関関係を持つておる、そういう考え予算をつくつたのでございます。
  225. 成田知巳

    ○成田委員 最後に大蔵大臣に一点お尋ねいたしたいと思います。この委員会で問題になりましたオーバー・ローンの問題で、蔵相は、その根本的な解決は資本の蓄積にある、そのために銀行だとか、郵便貯金の増加、社債投資への増加の方法考えている、こう言われたのですが、これに関連しましてお尋ねしたいのであります。蔵相も多分御存じと思いますが、今全国的に保全経済会という一種の金融機関が、私たち何か実体のわからないものができておるのであります。多分二、三年前にできたと思います。その支店、出張所は、聞くところによりますと、全国で百五十くらいある。そうしてその投資額が総額十億円を越えている。一口一万円で、三箇月預けまして、利息を三分つけて返すという、非常に有利な金融機関のような働きをしておるわけです。この実体というものはどういうものであるか。また保全経済会に対する大蔵省の監督というものはどういう形で行われておるか。これを承りたい。
  226. 池田勇人

    池田国務大臣 金詰まりの場合におきましては、いろいろなことが起こるでございます。今のお話のような例も聞いておりますし、また五万円口でやつておるのもあります。またお話のように預金でなしに、株の募集というふうなかつこうでその経営者に出資をして——預金を集めて貸出しをするということになりますと、銀行法に違反しますので、それをくぐすていろいろな方法が行われておると聞いております。大蔵省といたしましても、今そういうものの実態を調べておるのでございます。もし銀行法等の法令に違反する場合におきましては、十分な取締りをいたしたいと考えております。
  227. 成田知巳

    ○成田委員 次に安本長官にお尋ねいたしたいと思います。今まで安本長官は、委員会における御答弁で——稀少物資の統制の問題でありますが、ニッケル、コバルトは現在消費制限をやつている。タングステン、モリブデン、合成ゴム——最近は銅も一つの統制に入れたい、こういう御方針でありますが、その統制の具体的な内容を承りたいと思います。
  228. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ニツケル、コバルト等につきましては、用途について一つの制限を加える行き方でありますが、また最近にタングステン、モリブデンにつきましては、やはり用途を制限する。銅につきましては今のところで十品目でありましたか、最終用途の商品を列挙してありますが、そういうものへの使用を禁止しております。
  229. 成田知巳

    ○成田委員 非鉄金属関係は、今御答弁なつ通りでありますが、鉄鋼の問題でございます。最近新聞紙上で、英国商社と日本との間に話合いができて、日本の鉄鋼を、十万九千トンでございますか、英国に売り渡すことになつておる。これに対しまして高橋通産大臣が、濠州の小麦、あるいは綿花を見返り物資によこせということを言つたために、英国で問題を起したという報道を見たのでありますが、この事実は、今西欧陣営の鉄鋼不足対策として、去年から巷間でうわさされておつたのでありますが、英国へ二十万トン、米国へ百万トンの鋼材を日本から輸出する、こういうことを裏づけているように、私たち考えるのであります。現在の需給関係から申しまして、これは多分安本長官の施政方針の演説にもあつた思うのですが、日本の生産が約四百六十万トン、これに対しまして、従来からのプラント輸出も入れて、輸出に要する鋼材が約百八十万トンくらい、それから国内消費が約三百万トンといたしますと、国内需給だけでも相当きゆうくつなんです。それにさらに百二十万トンの鋼材を英国より米国に輸出して、はたして日本の鉄鋼事情というものがやつて行けるかどうか、これについての御答弁を願いたい
  230. 周東英雄

    ○周東国務大臣 日本の来年度等における鋼鉄の生産量四百六十万トン、その中から、今お話のように百万トン前後の要求があることは事実であります。これは決して日本の国内における鉄材の需要を圧迫する数字ではございません。ただいま英国とのお話がございましたが、これにつきましても、実はお話のようにまだはつきりきめておりませんが、これはポンド貨の集積が最近非常に多いので、むしろそういうものが出るとすれは現実に必要な物資が欲しいというようなことで、懇談をしている過程でございます。
  231. 成田知巳

    ○成田委員 今のポンドの累積の問題で、きのうの新聞でございましたか、輸出予約期間短縮、それから貿易手形の割引限度を引下げる、こういう金融面からの措置で、ポンド圏への輸出を抑制する、こういう方針がとられるらしいのでありますが、金融面の操作だけではだめだと思う。やはり物の面からの輸出制限ということをやらなければいかぬと思うのでありますが、この稀少物資のただいまの消費制限に関連いたしまして、こういう稀少物資その他を輸出制限なさる御方針があるかどうか承りたい。
  232. 周東英雄

    ○周東国務大臣 世界的に稀少物資について、必要があれば将来輸出を制限することはあり得ましよう。しかし今の鉄鋼のごときものについては、そういう意味において実はまだ許可しておらないという意味ではありません。お話のように、金融の面からということだけではいけないのでありまして、むしろポンド圏から必要な食糧、小麦のようなもの、あるいはゴムとか、そういうものを輸入物品として輸入させて、それと見合つて出すことによつてポンド貨の調整をいたしたいということが一つの考えであります。
  233. 成田知巳

    ○成田委員 約百万トンばかり英国あるいは米国へ輸出の話があるが、国内の需要にはさしつかえない、こう言われたのですが、四百六十万トンの製造計画といたしまして、国内需給の見通しは、この百万トンを入れて、どうなつているか、御答弁を願いたいと思います。
  234. 周東英雄

    ○周東国務大臣 大体百万トン前後の輸出であるならば、別に国内の需要を圧迫するものでありません。
  235. 成田知巳

    ○成田委員 最後に岡野さんにお尋ねしたいと思います。大蔵大臣の財政演説で、地方財政の規模が約七千億円に上つておる、こういう演説がありましたが、今回予算を見ますと、地方財政平衡交付金は、昨年度の千二百億に対して五十億の増加、それから一般の公共事業費は千八十五億で、約二百億の増加だと思うのであります。これでは実質的に地方の事業量というものは、縮小されるのではないかということを、私たち憂えるものであります。と申しますのは、二十六年度の予算編成のときは、朝鮮事変勃発当時の単価で予算を編成した。その補正予算を編成するときにも、その後の値上りというものは考慮してないのです。ところがその後の物価の値上りというものを考えますと、卸売物価において約五〇%の値上りがある。そのうちで生産財が約七〇%、消費財が約三〇%平均で約五〇%の値上りがある。こういう物価の上昇にあるにもかかわらず、かたがた五十億や二百億の地方財政平衡交付金あるいは一般公共事業費の増額では、実際の地方財政に対して相当な圧迫である、事業量の縮少になる、こう考えるのであります。現に地方財政の赤字というものは、都道府県で約四十億、市町村で三百億ですか、あるといわれておるのであります。これに対して岡野国務大臣はどういうふうなお考えを持つていらつしやいますか。
  236. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これは地方財政委員会におきまして、来年度の財政需要額を出しますときに、約七千億でございました。それに対応しまして、今度の財政計画といたしましては、租税収入が約二千九百二十四億とれます。それから平衡交付金がとにかく千二百五十億ございます。起債が六百五十億、その他、こういうふうになつておりまして、来年度に関する限りは地方財政はバランスが合つているわけであります。ただ問題といたしましては、御承知通り地方の事業といたしまして、戦時中並びに戦後、戦時中はいろいろな事業をうつちやらかしておつた。それからまた戦後いろいろな災害が出て参りまして、そういう方面でしなければならぬ仕事がたくさんありまして、昨年度におきましても、たしか千三百七十億くらいの起債の申請があつたのに対しまして、わくが五百億くらいしかございません。ことしはそれに対して百五十億とにかくわくを増しまして、起債の点においても幾らか増加しておるということでございまして、むろんきゆうくつではございますけれども、今一時に戰時中——戦後の災害対策などはどんどんやつお書すけれども、戦時中非常に荒れ果てた、それをだんだん直して行くことは一時にはできませんから、なしくずしにやつて行くということになれば、地方財政はどうにかこうにか来年度の分はやつて行けると思います。二十六年度の分はまた別問題であります。
  237. 塚田十一郎

    塚田委員長 風早委員から関連質問の申出がありますので、一点を限つてお許しいたします。あまり長時間にわたらないように御注意願います。
  238. 風早八十二

    ○風早委員 この平衡交付金の問題について今成田委員から御質問がありましたが、これは確かに物価の値上りにスライドという点はあるのであります。しかしそれを抜きにしても、地方財政委員会では大体千三百億の答申をやつておるはずです。千三百億円だと思う。しかるに吉田総理大臣から千二百五十億以上は出せない。これを何とか考えてくれというような手紙をわざわざ出しておるという事実を聞いておるわけでありますが、そういうことが大体あるのですか。そうして地方財政委員会も千二百五十億で一応がまんしたのだ、こういうようないきさつがあると伝えられておりますが、その真偽、そうしてもしもそうだとすれば、これは国会というものに対しても、あるいは地方財政委員会に対しても、総理大臣が私信でそういうことを問題にする、これを押えるということは、非常に問題だと思う。こういう点は、岡野国務大臣としては一体御存じなのかどうか。御存じであるとすれば、どういう御見解であるか、これを伺いたいわけです。われわれは六・三校舎建築などにしましても、これが今度は一五%も減つておる地方財政交付金にしましても、これが千二百億から千二百五十億にふえたと思つたらたいへんな間違である。千三百億は最低限いるという線が出ておつたのに、これが五十億減らされておるわけです。そのしわ寄せが結局は地方への税金であるとかその他のしわ寄せになつて地方自治体にかぶつて来るわけです。その点をひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
  239. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。吉田総理がどこへ手紙を出したとおつしやるのですか。
  240. 風早八十二

    ○風早委員 地方財政委員会あてです。
  241. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 絶対にそういうことはございません。同時に千二百億の二十六年度の平衝交付金に対して、もう百億二十七年度はいるということの一番最初の地方財政委員会の要求があつたのであります。それは事実です。しかしそれは附加価値税を実行するという意味において必要であります。附加価値税を一年延期するという方針がきまりましてからは、事業税の徴收によつて十分カバーできることになりますので、何ら問題はございません。
  242. 成田知巳

    ○成田委員 今起債は六百五十億と言われたのですが、それできゆうくつだが、何とかやつて行けるというお話でありますが、岡野さんの御意見として、今までの起債は資金運用部資金からで非常にきゆうくつであつた。今後は公募主義をとる必要がある、こういうようなお考えを持つていらつしやるそうでありますが、はたしてそうでありますか。
  243. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答申し上げます。来年度からは資金運用部の資金によつて起債を引受けさせると同時に、市とか県とかいう方面で、もし公募公債ができ得るならば、公募公債も相当許していいという考えを私は持つております。
  244. 成田知巳

    ○成田委員 今附価値税の問題にちよつと触れられたのでありますが、御承知のように附加価値税は、地方税法ができまして二回延期されたのであります。二回も延期されるような税法というものは、本質的に問題があると思う。従つてこの際附加価値税を廃止する御方針をお持ちになつておるのかどうか、これをはつきり承りたい。
  245. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいま私は廃止する意向は持つておりません。
  246. 成田知巳

    ○成田委員 といたしますと、また来年度になりますと一年延期というような御方針でおやりになるのでありますか。
  247. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいまの方針といたしましては、来年度から実行いたしたいのであります。
  248. 成田知巳

    ○成田委員 最後に一点お尋ねいたしますが、一昨日文部大臣は、教育委員の公選制度は、これ臓原則として認めるべきだ、こういうことを言つておられた。ところがきようの情報では、農業委員会とか教育委員の公選制度を廃止すとというような政府方針であるかのごとき報道が伝わつておるわけでありますが、最近こういう委員制度の廃止に関連しまして、どうも官僚化の萌芽が芽ばえておるという印象を受けるのであります。これに関連しまして知事、市町村長の公選制度を廃止する、こういう案もあるやに承つておるのでありますが、はたして事実かどうか承りたい。
  249. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 知事並びに市町村層の公選制度を廃止するということは考えておりません。
  250. 成田知巳

    ○成田委員 公選制度を廃止されないというのですが、現在の直接選挙の制度をやめまして、県議会あるいは市町村議会の間接選挙にするという御方針もないのでありましようか。
  251. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 それも考えておりません。
  252. 成田知巳

    ○成田委員 よろしゆうございます。
  253. 稻村順三

    ○稻村委員 関連してちよつと……。岡野国務大臣にお尋ねしたいのですが、最近平衡交付金の交付にあたりまして、しばしばわれわれ予算の上で、たとえば兒童の措置の費用だとか、その他地方公務委員給與に関する費用とかいうものが計上せられましても、地方財政交付金が一括して地方に出されるために、その目的のために使われないでおるという例がしばしばあるのでありますが、これに対して何とか目的通りに使うように督励するという方法をお考えになつておるかどうか、その点お尋ねいたします。
  254. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金は御承知通り地方の自治を十分自主的に運用させて行くという意味から編み上げたものでございまして、平衡交付金の算出の基礎は、警察費がどうであるとか、教育費がどうであるとかいうことで、ちやんと割出して各団体にわけます。けれども、その団体がおのおの自分の自主性を十分発揮した行政をやつて行くのに流用できるようにするための平衡交付金法でございますから、私はその平衡交付金法の趣旨から申しまして、地方の自主を尊重して、地方で自由にこれを使うという方法がいいことと思います。
  255. 稻村順三

    ○稻村委員 それは地方自治体が、相当の訓練と力とをある程度つておるということを前提としての国務大臣の御答弁だと思います。しかしながら実際上その訓練というものが十分に行われず、またそれをやる力がない、そういうような場合においてこの交付金の算定をする場合に、それは一銭一厘も間違いなく、菅のような補助金のようにやれという意味ではないにしても、概略そういう方向に使われるということを、やはり督励するか何かしないと、われわれの予算審議の意味がなくなつてしまう、こういうように考えるのであるが、その点もう一度御返答を願いたい。
  256. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答えを申し上げます。今の地方財政についてのそういうふうな御説はもとよりごもつともな点であります。それは結局地方の財政が窮迫しているということに盡きるわけでございます。もし地方財政が十分に財政力がついておりますれば、平衡交付金なんかの問題が起きないだろうと思います。そこでわれわれといたしましては、今の地方税法もまた地方制度も、この六年間にばらばらに地方の自治を確立せるための法案が出て来たものでございますから、その総合的の調整が十分とれておりません。ですから来年度地方制度調査会というものをつくりまして、税法、平衡交付金法並びに地方の事務というようなものも一括しまして、機構もあわせ考えて、そうして地方の自治がほんとうに確立し、財政も自治行政が十分にやつて行けるように確保して行くという方向に、総合的の結論を出したいとわれわれは考えておる次第でございます。ただいまのところでは、精度がばらばらにできたということが一つの欠陷で為り、また地方は税収があちらこちらに不均衡になつてとられておるということも一つの欠陥であります。そういうことは十分私たちも気づいておりまして、お説ごもつともでございますが、いましばらく自治確立のためにはごしんぼう願わなければならぬと思つております。
  257. 塚田十一郎

    塚田委員長 世耕委員より関連質疑の申出がありますが、一点に限つてこれをお許しいたします。場
  258. 世耕弘一

    世耕委員 ちよつとお尋ねしますが、地方財政平衡交付金が正当に使用されていないという批判が非常に多い。現に熱海の事件のごときもその一例じやないかと思う。もう一つ、これははつきり申しますれば京都がそうだ。私のところ今多量の資料が届いており、疑獄事件に発展しつつあるような状況であります。そういう点に対してどういう御監督をなさつておるか、あるいは御調査をなさつておるか、きようは関連質問でありまして、明日あらためてお聞きしますが、ただ政府側の交付金が正しく地方自治に使用されているかどうかということのお見通しを御説明願えればけつこうであります。
  259. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金は御承知通りに、各地方に対して昔のように補助金とかそれから国庫負担金とかいうような意味で出しておるものではございませんから、地方が自由に使つてくれるのが実はほんとうの性格なのでございます。ただ問題は平衡交付金として割当てて、これだけの算出がしてあるのにほかに使つたという点はたくさんあるでございましよう。その点は結局地方の財政全体の窮迫ということから、またあるいはその地方の人の考え方によつて、とれだけの金は自分のところへもらつておるけれども、しかし重点的に見れば、Aの仕事はやめておいてBの仕事をした方がいいという自主的の考えから流用することもあり得るのでございます。またそういうことをさせることがほんとうの平衡交付金の趣旨に合うものだとわれわれは考えていますが、しかし昨年以来いろいろ問題になつておりますように、地方財政が窮迫しておりますので、削られない方はいいけれども、削られた地方ではやはりいろいろ非難があるものですから、それがわれわれの耳に入つて来ます。しかし地方財政がもう少しきゆうくつでなくなれば、そういうようなことはなくなるだろうと思つております。
  260. 世耕弘一

    世耕委員 私の言うのは、公正に使われているかどうかということに対して、どういう指導をなさつておるかということなんです。もう一つ、私の手元へ出ている資料では、濫費という問題で疑獄事件に発展しつつある状況であります。この点はおそらく千数百億に上る大きなものが正しく使われておるか使われていないかという、財政的に非常に大きな問題だと思います。ある意味においてはこの費用ぶんどりのために、いろいろなことが話題に上つておるのであります。この点は大蔵大臣からも、この地方財政平衡交付金を交付する場合における大蔵大臣の態度は、どういうような建前からこれを検討してお配りになつたかどうか、この点だけを伺つておきます。
  261. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金に限らず、地方財政が汚職とかその他悪いことに使われたということに対する監視は、これは財政委員会の方の問題でなく、おそらく司直の方の責任だろうと思います。われわれの方といたしましては、地方財政全体としまして財政支出額に対して財政收入額がどのくらいになるか、そのうち税金でどれくらいとれるからあと平衡交付金でやつてやろう、そういたしますと税金と平衡交付金ともう一つ起債がございます。そういうものが地方団体にございますが、それは地方団体が行政を行います上において自由に使うことはけつこうであります。ただ後段におつじやつたように、これを濫費しておる、この濫費の問題は財政委員会でも昨年の春ごろでございましたか、地方団体がたいへん濫費しておるということでございましたから、いろいろ資料をとりまして、疑いのあるところ、うわさのあるところに対しては、地方財政委員会においてその財政の運用の状態を十分調べておるはずでございます。
  262. 塚田十一郎

    塚田委員長 井出委員より関連質疑の申出がありますのでこれを許します。
  263. 井出一太郎

    ○井出委員 岡野さんに一点関連して伺います。地方公共事業費の問題でありますが、本年度の予算は国庫において公共事業費の増加が大体三百九億円ばかりございます。ところが地方の分を合せますと四百七十億円ばかり全額においてはふえるわけであります。これが中央と地方を合せた公共事業費であります。そういたしますと、せつかく中央で三百九億ふやしても、地方の負債はまだその上百七十億よけいになるわけであります。しかるに平衡交付金で地方財政へ五十億あるいは起債のわく、これが百五十億広がつたにいたしましても、これは二百億でありますから、地方へしわの寄つて行つた公供事業費負担百七十億というものをカバーする程度のものしかふえておらぬ。これは地方へ非常にしわが寄つてつて、現在の地方財政ではこれだけの規模の公共事業に耐え得るかどうか、その点国務相のお考えを伺いたい。
  264. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。そういう点におきまして平衡交付金の問題は、これは別問題でございます。税収と平衡交付金とその性質のものに出し得るものはわかつておりますけれども、公共事業費のしわ寄せによりまして起債のわくが狭過ぎるということはお説の通りであります。そこで私どもといたしましては、六百五十億にはしていただきましたけれども、これではまだ足りない。その点におきまして、もし信用能力がありまして、一般の市場から公募公債でもできればこれを許してもらつて、そうしてこれをカバーして行きたい。その点につきましては、私は大体公募公債がで曇るものと思います。私どもはそれを許して行こうという考えでございますから、御心配なく行くんじやないかと私は考えております。
  265. 井出一太郎

    ○井出委員 よろしゆうございますね。
  266. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ええ。
  267. 塚田十一郎

    塚田委員長 志田義信君。
  268. 志田義信

    ○志田委員 大蔵、安本両大臣のほかに、私は通産大臣にも御質問申し上げたいと思いますが、通産大農を委員長において当委員会に御出席方を要望していただきたいのであります。  一番先に大蔵大臣にひとつお尋ね申し上げます。先ほどもちよつと岡野国務相に他の委員から御発言がございましたが、一年延期になりました附加価値税の実施につきましては、聞くところによりますと、マーカツト経済科学局長がただいま渡米中でありまして、この原案の古拙者であるシヤウプ博士に意見を求めておるというような外国新聞等の情報がございますが、これに対する蔵相のお考えがありましたら、ひとつお漏らし願いたいと思います。   (委員長退席、苫米地(英)委員長   代理着席〕
  269. 池田勇人

    池田国務大臣 附加価値税の問題につきましては、私は所管ではないのでございまして、共管というところですからあまり関係は少いのであります。どうしてもやれという話があつたもんですからマーカット少将と会いましたときに、それはやらない方がよろしゆうございます、一年延期すべきだ、こういう話をいたしました。岡野さんの御了承も得ましたので、私は一国務大臣としてマーケット少将と延期を約束して帰つたのであります。あとから復活するようなことは万々ございません。
  270. 志田義信

    ○志田委員 蔵相の二十七年度の均衡予算につきましては、増税もしないし、あるいは防衛費で国民の生活水準の低下もさせない、こういうような予算を組まれた御苦心のほどはよくわかるのでありますが、ただいまアメリカに行つておりますマーカツト経済科学局長がドツジさんに会見をいたして意見を交換しておられるようであります。これによりますと、場合によつてはまたドツジさんが日本に来るやの情勢になるかもしれぬというようなことが伝えられておるのでありますが、蔵相はこれに対してどういうお考えを持つておるのでありましようか。
  271. 池田勇人

    池田国務大臣 その新聞報道は聞いておりませんが、ドツジさんが来られてもこの予算変更はないと確信を持つております。
  272. 志田義信

    ○志田委員 本予算には変更がないといたしましても、野党各派の今までの意見によりますと、あるいは補正予算を必要とするのではないか、こういうことを野党の各委員は相次いで質問いたしております。蔵相はドツジさんが来朝するというようなことがもしありとすると、何かそうしたことに関連するものがありはしないかということをわれわれも一応考慮に入れてみなければならぬのでありますが、その点につきましてはいかがですか。
  273. 池田勇人

    池田国務大臣 ドツジ氏やあるいはほかの司令部の方からとやかく言われて補正予算を組むということは、独立後にはないと考えております。
  274. 志田義信

    ○志田委員 二十七年度はとにかくといたしまして、対日援助見返資金がなくなりました今後の産業投資の財源というものは、かなり私はきゆうくつになる、かように思うのでありまして、ことに二十七年度以降におきましては、電源開発やあるいは造船の点で、ないしは産業設備の近代化という点から考えましても、ますますこれらの産業投資への資金は先細りするのではないかという気がするのでありますが、蔵相はもちろんインフレによらない、また増税によらないで、どこからこうした財源を今後考えて行かれるつもりでありますか、その点をひとつお漏らしを願えれば仕合せに存ずるのであります。
  275. 池田勇人

    池田国務大臣 これは一にも二にも国民のお働きによりまして節約をし、生産を擴大して資本蓄積するよりほかにないのであります。極力資本蓄積すれば、そこにまたおのずから通ずる道がありまして、外資の導入等もできて来るのであります。ただいまのところは御承知通り国内資金の蓄積もかなりできております。また外貨獲得も相当増大しておりますので、一昨日も大蔵省発表として出しましたように、この蓄積せられた外貨を有効に早急に使うというのが、今の焦眉の問題であると私は考えておるのであります。だから対日援助がなくなりましても外貨はどんどんふえて行つておるのであります。しこうして外貨がふえ、国内の資金が蓄積されれば、おのずから外資の導入の道も開けて来る。こういう両面で進んで参りたいと思います。
  276. 志田義信

    ○志田委員 この前大蔵大臣は外資の問題に触れられまして、アメリカ政府の投資あるいはプレトン・ウツズ協定による国際開発銀行からの借入れないし輸出銀行からの借入れ、最後に民間の投資の点についてあげておりましたが、たとえば対日民間投資に対しては政府は最近において何か有力な手がかりでも得ておられるのかどうか、その点をひとつお尋ね申し上げたいと思います。
  277. 池田勇人

    池田国務大臣 今の民間と民間の分は各業者が個々に行つておりますので、全部私にはわかつておりません。しかし相談受けるものが相当数に上つております。近々外資法の改正案を出しまして、それが通過すればよほど効果があると思います。先般十二日でございましたか、米国商業会議所と日本の商工会議所と連合でこの問題に触れましたところ、相当関心を持たれたようでございます。私は民間の方の外資導入も四月以降相当活発になるように考えております。
  278. 志田義信

    ○志田委員 私の持ち時間はきわめて少いので残念ですが、大蔵大臣に対する質疑は以上にいたしまして、今度は経済安定本部長官にお尋ねいたします。  長官のこのたびの二十七年度予算に対する演説におきましても、日米経済協力の点を主張せられております。この日米経済協力はもちろん安保條約に基く行政協定と日米通商航海安全條約の細目折衝に並行して行われていると思うのでありますが、この日米経済協力におきまして、従来安本で考えておりました三つの柱といいますか、たとえば民需生産は圧迫しないのである、あるいは資本の援助はアメリカから受けるのである、経済方針はかえないのである。こういう三つの柱は今もその通り考えになつて、これを将来に持続して行かれる御方針であるかどうかお尋ね申し上げます。
  279. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お答えいたしますが、日米経済協力の実行にあたりまして、今お話のように民需を圧迫するということのないように、すべての施策を進めるについては今も昔もかわつておりません。従つてまたお話のように、それに必要なる原材料等の供給については、現在アメリカその他の自由諸国家から確保するように努力するとともに、東南アジア開発等によりまして近いところから、できるだけ必要たる原材料を輸入をしたい、かように考えております。
  280. 志田義信

    ○志田委員 この日米経済協力を推進して行く建前におきまして、今お話東南アジア開発計画の構想が、民需生産を圧迫しない建前で行く、こういうような御説明のようでありました。ところで日米経済協力を推進するのは政府でありますが、これを実行するのは民間であります。そういう意味におきまして、日米経済協力の受入れ態勢が、今国内につくられつつあるやに聞くのであります。特に重工業部門の受入れ態勢がいろいろとつくられてあるようでありますが、これに対する長官のお考えをひとつお尋ね申し上げます。
  281. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お話通り政府がいろいろ推進いたすにいたしましても、実行は民間の方でやることになります。その関係上、常に政府の方といたしましては、日本の工場設備余力がどれだけあるか、それに対してどれだけの原材料があるならば、どれだけの生産の要求に応じ得る、またそれに対してどれだけの動力の開発を要するか、また従つてそれに関して、資金の援助をどれくらい得たいということと見合せつつ、均衡を得るように話を進めて行きたいと考えておるのでありまして、ややともすると、民間に直接当る結果、かたわの、でこぼこのあるような行き方になることは、産業全体をながめた上において不適当だと考えております。従つてそういう考え方で民間の動き方に対しましても、政府が大綱的には均衡せしむるように考えて行きたいと思つております。
  282. 志田義信

    ○志田委員 この日米経済協力の受入れ態勢が具体化されて行きまして——現在は日米経済懇談会のようなものがあるようでありますが、これが具体化されて、たとえば大量の注文を受ける親工場、下請工場、かようなものがスクラムを組んでフルに運転するようになりました場合におきまして、その結果は現在ございまする事業者団体法と抵触するようなおそれはないかどうか。また事業者団体法、独禁法改正の意見もただいまあるようでありますけれども、これがどの程度まで改正されるのであるか、政府の御所信を承りたいと思います。
  283. 周東英雄

    ○周東国務大臣 事業者団体法の改正につきましては、ただいま研究をしつつ案を練つておりますが、まだ具体的にこれを提案の運びに至つておりません。しかし将来とも日本産業構造、廃業の進め方について、日本的に見て不適当だと認められるものにつきましては、改正はいたしたいと思つておりますが、まだ具体的にどの箇所をどうということはきめておりません。
  284. 志田義信

    ○志田委員 日米経済協力を推進して行く上におきまして必要とする資金は、政府輸出によつて入手した金でやるのでありましようか、それともクレジットでやるのでございますか、その点をお尋ね申し上げます。
  285. 周東英雄

    ○周東国務大臣 日米経済協力を推進するにいたしましても、まず国内における資金計画をしつかり立てた上、不足する分について外資に対して協力を求めるという行き方がよろしかろうと思つております。しかし先ほども申し上げましたように、常に日本の生産設備の余力、それに原材料をいかにして確保するか、またその設備の資材等についてどれだけの必要が起るかということと見合せつつ、必要な場合において外資の供給を仰ぐという形に出て行くことはあり得ると思います。
  286. 志田義信

    ○志田委員 この日米経済協力の建前におきまして、これが進行して行く状態において、輸出やあるいは内需の調整ないしは消費節約等をやらないように、進むのであるかどうか、価格政策の面で、さらに変化を予想することがないかどうか。さらに不急な輸入を抑制するようなことになりました場合におきましては、この国民の消費が削減されることになりますから、生活水準の低下を招かないという保証をどこですることができるか、その点をひとつお尋ねいたします。
  287. 周東英雄

    ○周東国務大臣 先ほども申しましたように、協力を進めて行くについて原材料の有効な利用、有効な活用ということは必要になつて来ると思います。しかしどこまでも私どもは、協力という事柄は、急速に日本の国内の生活水準が上るということを望むことは困難であるにしても、協力することによつて国民生活が圧迫されるということのないように、徐々にでもこれが維持され、向上して行くという形をとりたい、こういうことを考えております。あくまでも日本の未稼働の設備、機械力というものを活用し余剰の労力を活用して、アメリカその他の自由国家の国防生産に寄與し、またその日常必需品の生産に協力することが一つの眼目であり、そのために必要なる原材料を仰ぐ、こういうことであります。従つてその間に、今お示しのように消費を制限することなきやということでありますが、これらについて一般的の民需に対してはまず現在のところ、そういうことは予想せられません。しかし先ほどもどなたかの御質問にお答えしたように、世界的に稀少な物資について、たとえばニッケル、コバルト、アルミ、銅というようなものにつきましては、有効な需要を確保するために、使用を制限することがある、かように考えております。
  288. 志田義信

    ○志田委員 大体昨今の国際情勢はいずれも軍擴に向つておるのでありまして、世界的な原料の買付の競争が行われておる現況であります。そうなりますれば、その価格におきましても、先行き値上りと不足が予想されるのでありますが、そういう場合に日米経済協力で日本とアメリカとは協力するといたしましても、好んで日本にクレジットを提供いたしたり、あるいは自分らの必要とする原料を割愛してまで日本によこすようになるのであるかどうか、その点に対するお見込みをお漏らし願いたいと思います。
  289. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、今日世界的に稀少な物資さえ、アメリカにおいて行われる割当会議によつて関係諸国にわけておるのであります。物資の問題について割当をすると同時に、日本に対する要求は、日本の工場、設備等の活用にあると思いますので、おそらく将来に向つて日本の工場力を利用するために必要な物資供給の確保はできると、かように考えております。
  290. 志田義信

    ○志田委員 公共事業の問題につきまして、ちよつと安本長官にお尋ね申し上げますが、二十華麗からいろいろな部、款の廃止によりまして、予算科目上は公共事業費という区分はなくなりました。これに関連して経本の認証制度も廃止することになりましたが、二十七年度の予算では、事業の施行にあたり各省に計上されておる予算を見ましても、なお公共事業の遂行に関しまして相当降路を生ぜしめるのではないかという懸念が多分にございます。安本ではかねて公共事業法を出したいというお考えを持つておりましたようでありますし、さらに各地方建設局の局長は、連署して公共事業法の降路打開に関する請願をいたしております。安本はこの公共事業法を出す御意思があつてただいま準備中であるかどうか、もし準備中であるとすれば、どの程度にお進みになつておるか、お伺いしたいと思います。
  291. 周東英雄

    ○周東国務大臣 まだその点については研究中であります。
  292. 志田義信

    ○志田委員 通産大臣がお見えのようでありますから、通産大臣に御質問申し上げます。輸出信用保険法をつくりまして、わが国輸出の相当な振興を見たのでありますが、どうもまだ一方的な盲貿易の不利益から輸出業者保護するまでには至つていないと思います。輸出信用保険法施行令その他におきまして、政府はこれで十分輸出業者保護しているとお考えになつておるかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
  293. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 あれは実施してみまして、だんだん欠陥も認めておりますので、漸次改善して行きたいと考えております。あるいは本国会にも多少の改善案を出しまして御審議を願うことになると存じております。
  294. 志田義信

    ○志田委員 輸出信用保険法の改正については、私もただいま本国会に出されておることは承知いたしております。しかし保険契約者が善意で、ないしは客観的に当該輸入国から輸入禁止処置をとられて、それから指導する官庁である通産省から何らの通告にも倍しない、しかも保険契約を締結して輸出したものに対しては、通産省は何も保護をしないというような結果が最近アフガニスタンとの貿易において出ておるのでおりますが、大臣はこの事実をお知りでごいざましようか。
  295. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 承知しております。その問題は私直接に陳情を聞いておりますが、たいへん複雑しておりますので、私にその答弁ができかねますから、政府委員からお答えいたさせます。
  296. 石井由太郎

    ○石井説明員 ただいま御質問のございました輸出信用保険の保険契約成立にもかかわりませず、その保険期間の開始前に、契約当事者のまつたく善意にもかかわらず保険事故が発生しておりましたという場合に、政府が何らの保険契約上の責任を負わないのは欠陥ではないかという御指摘と考えますが、この点につきましては、立法論等といたしましては、いろいろの論議あるのでありますけれども、保険期間を定めまして保険契約を締結いたします場合には、すべて保険者の責任は、保険期間の開始後保険期間内に発生いたしました保険事故に対して責任を負うということは、現在のわが国におきまする保険の通則になつておると考えるのでございます。従いまして、現行の輸出信用保険法に関しまする限りでは、保険期間開始前に起りました事故につきましては、当事者が善意である場合といえども、責任を持ち得ないということになつておるのでございます。お若干話がそれますが、このような場合には、普通の火災保険等におきましても、保険期間開始前の事故に対しては、責任を持たないという原則をとつておるわけでございまして、輸出信用保険に限つたことでにございません、なお輸出信用保険は、一般損害保険会社が行いまする保険事業として引受けられておるのでございますのでその約款並びに商法の保険に関する諸規定等が通用されまして、かような解釈で、はなはだ不幸な事件等もありましたが、現在のところ運営いたしておる次第でございます。
  297. 志田義信

    ○志田委員 この点は詳しいことを申し上げると、時間がたつてしようがないのでありますが、それはいずれ他の機会に譲るといたしまして、ただ私のお尋ね申し上げたいことは、輸出信用保険の趣旨によりまして、日本政府でさえ認知し得なかつた事態、つまり三箇月後に認知したというような、輸入禁止がアフガニスタンにおいて行われておる。そういう事実をどうして一業者が認知することができるか、政府の認知できないような事態を業者に認知さそうというような方法は、現在の状況としてはないのであります。そうすれば、貿易を保護しようとすることがこの信用保険の本来の趣旨であるとするならば、保険期間にとらわれて、商業的に、採算的に、あるいは免責事項として政府が放置するということになりますならば、この種のあらゆる危険の発生に対して、日本輸出業者は何ら対抗する力を持ちません。非常な危険にさらされて、自己の責任で輸出貿易をしなければならぬということになりますが、政府は、保険契約の法律論にとらわれて、あるいは期間というような問題にとらわれて、大局的な見地からこれを保護救済する考えはないのかどうか、通産大臣に特にお伺い申し上げます。
  298. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 ただいまの御趣意のような点もあると私認めております。この点はひとつ意見を参考にしまして、なお一層研究をしてみたいと考えております。
  299. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員長代理 甲木保君。     〔苫米地(英)委員長代理退席、塚   田委員長着席〕
  300. 甲木保

    甲木委員 私は農林大臣にお尋ねしたいと思つておりましたが、御出席がございませんから、事務当局の方から御答弁を願います。  まず第一に、農林補助金は非常に多岐にわたつて補助されておりますが、補助率を明確にせず、予算の範囲においてと規定しておるのであります。かりに規定しているものでも、ただ何分の一以内と最高限度を示しているだけで、明確に補助率を規定しているものは一つもないようでございます。この結果、もし補助金の申請がたくさん出て来ると、一件当りの補助金はきわめて小さくなり、補助率は自然低下せざるを得ないような状態でございます。しかも年度がある程度まで進んでからようやくきまることが多いようで、はなはだしきはその年の八月か九月ごろ決定するような次第でございます。それまでに事業を行う地方団体や農業団体は、どの程度補助金が来るか不明のままで事業を行わなければならないという実情でございます。補助金が規定の最高限度に来たところで、それはせいぜい経費の三分の一くらいの程度で、残りは地方団体なり農業団体の負担になるわけですから、団体の財政の膨脹もこうしたところから出て来るのでございまして、これら補助金の効果を上げる意味合いから、できるだけ重点的に、そうしてもつと時期を早くする方法はないものでありましようか。当局の御答弁を願います。
  301. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お答えいたします。補助金の交付率につきましては、法律できめているものもありますが、おおむね補助要綱というものできめております。従いまして、ものによつて率はかわりますけれども、ただいまお話のように、懇意的に補助率をかえるということはいたしておりません。ただ委託費というようなものになりますと、あるいはお話のような点が小さい金額であつた場合があるかもしれませんが、補助金の点では、きちんと法律または規則で補助率をきめておりまして、悪意的にこれをかえるということはいたしておりません。
  302. 甲木保

    甲木委員 ことに生産的補助金についてでありますが、補助金の多くは地方団体や農業団体を通じて支給されるのであります。出発点たる農林省において生産的補助金として支出されていても、現在の機構や人員の整理をなさざれば、事実上仲介機関において事務費あるいは人件費等に流用される可能性はきわめて多いのでございます。それがために、せつかく出していただいた補助金によつて、農業生産力を高めることはでき得ないと思うのでありますが、これらの機構及び人員の整理を行う意思ありやいなや、御答弁を願います。
  303. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいまのお話は、地方団体等における人員の問題と了解してお答えいたします。お話のように、補助金の使用にあたりまして、補助事業の推進のために協議会を持つとか、あるいはいろいろな費用を必要とするのであります。この点は地方団体のみずからの仕事でありますので、地方団体の経費として支出していただければいいのじやないかと思いまするときたま補助金がそういうものに流用されるというような話を聞くこともありますが、そういう点は、農林省としましては厳に戒めまして、そういうことのないように努力しております。
  304. 甲木保

    甲木委員 次に、農地改革は比較的財政負担をかけることなく行われて参りましたが、このところ農村の経済状態が急激に悪化し、広汎な農民の没落が進行しつつある事実は、今日農業問題がいよいよ重大化しつつあることを端的に示すものであります。すでに地方的には耕作権のやみ売買や質入れが行われ始めているのでありますが、これらに対して農林省はいかなる対策を持つておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  305. 平川守

    ○平川政府委員 農家の経済が苦しいために、その農地を手放そうとする傾向がある。それを一面法律で制限いたしております関係上、お話のような場合が若干あるかと思います。これに対しましては、やはり法制の制限を励行いたしますとともに、裏づけといたしまして、やはり経済自体についての援助が必要かと存ずるのであります。特に農家の資金面におきまして金融の問題が相当重要かと思うのであります。従つて農家の経営に対しましては、短期資金あるいは農業手形の制度を設けております。また長期の資金につきましては、農林漁業の長期融資の制度を設けておりますが、なおそのほかに自作農の各種の資金の必要に応じますために、現在の強制讓渡の制度によりまするところの実質上の融資ということを擴充して参りたいと考えまして、二十七年度におきましては八億五千万円ほどの資金を自作農創設特別会計の中に繰込んでおるような次第でありまして、それらの資金のめんどうを見ることによりまして、農家が土地を手放す、またそれを脱法行為によつて行うということを防いで行きたいと考えております。
  306. 甲木保

    甲木委員 最近の農業危機は刻一刻とその深刻さを増して来ているのであります。その結果農家は生活程度の切下げと自家労働の強化によつて、窮乏に耐えつつあるのであります。これはわが国農家の永久的停滞を意味し、明らかに農業近代化に逆行するものと思われるのでございます。独立後のわが国は国家万般の施策の根幹を農業に置くということを、特に農林省考えていただきたいのでございます。  次に農業災害補償制度についてお伺いいたしたいと思います。農業災害補償制度は、農業経営の安定をはかり、農村の民主化、ひいては生産の増強をはかるをもつて目的とされておりまするが、この農業災害補償法案第百七條第五項の規定により、本年度がその改訂期に当つており、例年の災害から見ると相当の掛金増額を予想されるのでありますが、今日の農家の経営は、先ほど申し上げましたごとく、破綻に瀕している今日、水稲共済掛金の農家負担増額は、農村経済をますます困難に陥らしめるようになると思われるのでございますが、この負担金を軽減する意思ありやいなや、お伺いいたしたいと思います。
  307. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お話のごとく農業災害は非常にふえて来ております。従いまして、農家の負担もだんだん重くなつておりますので、稲作につきましては、二十七年度から一応国庫の負担分を増加しまして、さらに共済連合会の異常災害による負担の不足金は相当累積しております。昨年度は約十九億。今年もまた相当出るのじやないかというような予想をしております。従いましてこれにつきましても政府は今年十五億を基金として出します。それと同額のものを連合会で出してもらう。そういつた異常災害に対する負担の均衡化をはかつて行くというような措置考えております。
  308. 甲木保

    甲木委員 それから地方負担の不均衡をどう解決するかの問題でございます。すなわち地方経費特に農村の経費は教育費または役場費、土木費、勧業費等がその中心をなしておるのでございます。大都市においては大所得者が集まつて担税力が増加しておるのでございますが、所得の小さい地方ほど地方経費負担率は相対的に重くなつて来ておるようでございます。地方負担が概して貧窮な地方に重いことは、今日経済の不公正の増大に基因することを思うのでありますが、これは大蔵省にも関係するものと思いますが、これに対して農林当局の御回答を願います。
  309. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 地方税の負担が附加税制度はなくなつたり、あるいは税制がシヤウプの勧告によつてかわつた結果、貧窮な村に税が重くなる。これは市町村民税で申上げますと人頭割負担東京地方であれば所得納税額の一八%というようなのがありますが、そういうことでやるとほとんど再度の税制改革からいつて地方町村では市民税が集まらぬというような現象もできることになると思います。従つて市民税のかけ方には所得納税額の一八%のほかに、扶養家族控除だけを除いた課税所得額に対する一〇%とかあるいはいろいろの方法でかけることになつております。これをできるだけ軽減することは必要でありますけれども、現在の地方財政平衡交付金との兼ね合いから一定限度まではとらなければならぬことになると思います。これは政府のみならず、平衡交付金との関連において解決しなければならぬ問題だと思います。
  310. 甲木保

    甲木委員 次に文部大臣にお尋ねしたいのですが、これは特に私大蔵大臣にお尋ねしようと思つたのでございますが、不幸にして病気のため早く帰られたので、主計局長からお答え願いたいと思うのでございます。  今国会に文部省が教育功労者表彰法案なるものを提出しようとして、その予算も二百五十万円を組んでおりましたが、このわずか二百五十万円の予算を削除したということはどういう意味であるか。一応大蔵省お答えをお願いしたい。
  311. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 昭和二十七年度予算の編成に際しまして、教育功労者について表彰の経費というお話があつたことは事実でありますが、表彰と申しましても、いろいろ教育の重要性ということについては十分存じているのでありますが、各種のものについて各省所管において表彰ということをいろいろやりますと、これは相当な金額になるわけでございます。ことに年金をもつてやります表彰というものについて、いろいろこれが榮典との関係、その他のいろいろな問題がざいますので、そういつた点についての破究をもう少しいたしてみたらどうであろうかというようなことで、昭和二十七年度予算としては予算化いたさなかつた次第でございます。
  312. 甲木保

    甲木委員 ただいま伺いますと、各省からこういうものが出ると相当な金額になるとおつしやるが、文部省がわずか二百五十万の予算を出している。これは全省が出したところで二千万円かそこらで私は事足りると思うのです。こういう各省に関係するいわゆる国家的に功労のあつた人を表彰することについては、わずか一千万や二千万の予算は、この二十七年度の予算面からいうと、すずめの涙ほどであると私は思うのです。だからいま一応私は考えていただきたいと思う。およそ国家社会の改善進歩は、一見迂遠のようではありますが、結局教育の普及徹底にまたなければならないと私は思うのです。真に教育を尊重する社会にのみ確実に繁栄は約束されるのであります。しかも教育の成果は主として教師の良否によつて左右せられるのでありますが、教育の尊重はやがて教師の尊重を意味するゆえんであります。しかるにわが国においては、概して教師は正当な尊敬を受けていないし、また尊敬に値する教師も遺憾ながら多いとは言えないのであります。教育の振興のためには、どうしても教師に社会の発展における教育者の果すべき基本的役割とその意味とをとくと反省せしめ、教育者が人の子の人間的成長に参與する大切にして高貴な任務を負えるものたることを、従つて決して単なる労務提供者とは類を異にする職種に属することを、十分に自覚せしめなければならないと思うのであります。それには一方において識見と誇りとを持てる教員の養成に努めること、他方において生涯の大半を黙々として教育の事業にささげ盡して来たところの教育功労者を顯彰し、それらの人々に国民的感謝と尊敬の念を公に表明することは、その考後を慰めるのみならず、全国数十万の若い教育者の志気を鼓舞するに必ずや私は役立つものと信ずるのであります。がゆえに、この予算をいま一度考えていただきたいと思うのでございます。また文部大臣といたしましては、こうした予算に対してもつと大蔵当局に積極的に交渉されるというような強い意思を持つていただきたいと思うのでございます。文部大臣の御所見並びに大蔵当局の御回答を願います。
  313. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 私からお答え申し上げます。誤解をいたされますと因るのでありますが、われわれといたしましても、教育功労者の表彰がいかぬということを申し上げているのでは決してないのでございまして、各省の所管において、科学技術功労者でありますとか、あるいは米作日本一でありますとか、農林省、通産省所管のおのおの大臣が表彰なされる制度はあるのでございます。あるいは社会加労者、社会事業家というものについてもあるのでございますが、金銭を差上げることについて、いろいろな点において問題があるのではないかと私ども考えるのであります。ことに国家公務員法におきまして、給與準則と申しますか、これで金銭を給料以外にもらつてはいけないというような法律の規定もあるのでございます。そういつた関係におきまして、表彰自体は非常にけつこうなことだと思うのでございますが、それに対して金銭ということについていろいろの問題があろうというふうに考えておる次第であります。
  314. 塚田十一郎

    塚田委員長 甲木君に申し上げますが、割当時間を超過しておりますので、あと一問にお願いいたします。
  315. 甲木保

    甲木委員 次に商業教育法がさきの国会で通過いたしまして、現在では産業教育の振興計画が着々と進められておるのでございます。本年度の予算によりますと、三分の二が地方負担になつておりますが、この三分の二の地方負担は起債でまかなうということにしてはどうかと思うのでございますが、文部大臣の御意見を伺いたいと思います。
  316. 天野貞祐

    ○天野国務大臣 私も同意見でございます。全部でなくとも、どれだけかを起債でまかなうというようなことをしたらよいという考えを私は持つております。
  317. 塚田十一郎

    塚田委員長 淺利君。
  318. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいま教育者の表彰の問題がありましたから、この際文部大臣の御所見を承りたいと思います。  教育者の表彰ということはまことにけつこうなことでありますが、これが予算の上に現われず、やみに葬られたのでありますから、その内容はわからぬのでありますが、どういう基準で表彰するか。永年勤続者を表彰するのか、過去の教育の功労を表彰するのか、その構想を承つてみたと思うのであります。それよりも、これに関連して私が伺つてみたいのは、日本国民教育の基準となるものを歴史的に見れば、かつては儒教によつて日本国民道義が振興され、また明治、大正の時代を通じましては、教育勅語なりあるいは各種の倫理教育によつて国民の道義が振興せられておつた。ところが戦争の後においては、国土の荒廃にもまさつて人心の荒廃というのは最もはなはだしいのであります。日本がただ残された人的資源の八千四百万の人間の最高の能力を発揮せしむる上において、その基本となるものはどうしても道義である。この道義教育はどうするか、これは政府の責任でやるのか、あるいは各大学なりあるいは各教育委員会、中小学校の教育者の盛り上る力によつてその基準を見出そうとされるのか。もし政府国民道義高揚の責任があるとすれば、どういう方法をもつてやろうとするのか。今後日本国民道義をどう振興し、倫理観をどう進めるか。西洋においては宗教というものが非常に道義の上に益しておる。古来法律と礼儀の裏づけとなつたものは必ず道義精神であるが、これをどういうふうに振興するのか。今日の事態に即応して、政府はどういう方法でこれを振興される御意思であるか。文部大臣はさきに倫理綱要をお考えになつて、遂にこれはある一点においてお見合せになつたということもありますが、これについての御構想なり、あるいは御抱負をこの際お漏らし願えたならば、たいへんわれわれの将来のために啓発するところが多いと思う。と同時に、日本国民の道義高揚について、どういう方針を持たれるかという一点についてお伺いいたします。
  319. 天野貞祐

    ○天野国務大臣 初めの教育者の表彰ということにつきましては、教育を盛んにするには、どうしても教育界に人材を集めなければならない。それには年をとられた教育者などが社会から十分尊重されないというようなことではいけないからして、教育者を尊重するというようなことをどういう方法かでいたしたいと思つたのですが、その方法については、いろいろ今疑問も、ただいま主計局長の申されたような点にございますので、なおよく研究して、何らかの方法により表彰したいと考えております。  第二の道義の高揚ということにつきましては、教育は直接そこに当つておる、大学でしたら大学そのもの、また地方でしたら教育委員会というようなところに直接の責任がございますけれども、文教をあずかつている私としては、どうしたら一体日本の国の一番の根幹である道義を確立することができるかということを苦慮いたしておる次第でございます。西洋のように宗教というものが一般に普及しておるのと違いまして、日本のような現状では、これるどうしたらよいかということですが、もちろん教育基本法というものが根底にありますから、それにのつとつて行けばよいのでございますが、なお何か人が生活して行く上に、日常の心得になるような、あるいは参考になるようなものを提示するのも、一つの案ではないかと考えてそういうものを研究してみましたが、しかしそれに対してはまたいろいろの御議論も世間にありますから、私も虚心坦懐によくそういう御議論を聞いてまた考えようと今思つておる次第でございます。そういうような考えをもつて、根本においてはやはりこれからの教育は、教育基本法が示しているようなその線で持つて行きたいと考えております。
  320. 塚田十一郎

    塚田委員長 今井耕君。
  321. 今井耕

    ○今井委員 一点だけ文部大臣にお伺いします。一昨日私教育委員会の委員の公選制の問題につきましてお伺いいたしましたが、その節文部大臣は、公選制を廃止する意思はない、とこういうふうに御言明になりました。ところが本日の新聞によりますと、地方自治庁案といたしまして、地方行政の簡素化をはかるため教育委員会、農地委員会、その他の委員会の公選制を廃止する。その線に沿つて、司令部の了解を得てからさつそく具体化をする。こういうことが発表されております。こういうことはあらかじめ文部省の方へも連絡があつたのかないのか。また文部大臣の言明に対しまして、今後こういう問題が具体化されると思いますが、いかに対処されますか、その点につきましてひとつ御所見を承りたいと思います。
  322. 天野貞祐

    ○天野国務大臣 私は原理的に言うならば公選である。しかし今非常な弊害がいろいろ起つておるから、ここで十分研究する必要があるということを崩したのであります。公選制は必ずやめぬと私はここで断言したわけではありません。私は十分研究すべき制度である、しかし原理的にはそういうものだということを申したのであります。けれども私はまだ一つもそういう交渉を受けておりません。文部省は何も聞いておりません。
  323. 塚田十一郎

    塚田委員長 先刻の川島委員の農地接収に関する質疑に対し、答弁のため農林当局より発言を求められております。この際これを許すことといたします。
  324. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほど川島委員から御質問がありました、米軍及び予備隊の農地の接収の状況でありますが、これは実は正確な数字がなかなか得られないのであります。従いまして多少の違いはあるかもしれませんが、そのおつもりでお聞きを願いたいと思います。  米軍関係では農地は約七百町余りであります。それから開拓地は五千六百町程度であります。それに関係しております農家は、農地の関係では千七百戸くらい、それから開拓地は五千九百戸くらいになつております。今後の問題はどの程度あるか、これもなかなかはつきりいたしませんが、いろいろな方法を通じて調べて、今までわかつているところでは、農地の関係では約八百町余り、開拓地では八千町程度くらい出るんじやないか、こういうふうに考えております。  それから予備隊の関係でありますが、予備隊の関係になりますと、地元の府県なり町村なりの誘致運動等の関係がありまして、一層調査困難でありますが、ただいままでわかつておるところは約四千八百町くらい。これに関係する農家が三千九百戸くらいというふうに私どもの調査ではなつております。  それから補償の單価につきましては、予備隊と主計局の方で交渉中でありまして、今までのものは反当一万五千円から二万五千円くらいのものも出ておりますし、あるいはそれでは安過ぎるというのでもんちやくを起しているのもありますが、今後の問題でそれをはつきり解決しなければいかぬというので、結局予備隊から支拂い予算を出していただかなければならぬわけですから、予備隊と大蔵省の方で交渉中でありまして、まだはつきりきまつておりません。
  325. 川島金次

    ○川島委員 従来の農地の買収価格は反当十一方くらいだと思つていたのですが、これとこの問題とを比較いたしますと、はなはだしい違いがあるのですが、農地買収の従来やつておりました反当価格は幾らですか。
  326. 平川守

    ○平川政府委員 ただいまお話の反当十何万円というのは、おそらくは民間の工場等で敷地を買収いたします場合に、いわゆる農地価格ということでなしに、作離料と申しますか、そういう意味で支拂つておるものと存じます。政府の方では現在では最低価格反当五千円ということにいたしております。これは純粋の農地価格であります。実際問題として工場等の買収の場合には、その純粋の農地価格以外に、そういう作離料的なものを支拂つておるわけであります。そういう意味におきまして予備隊関係等につきましても、離農をしなければならぬという場合には、純粋な農地価格だけなしに、そういうものの補償を見てもらいたいということを私どもとしては要求しておるのであります。
  327. 塚田十一郎

    塚田委員長 永井要造君。
  328. 永井要造

    ○永井(要)委員 私は本日大蔵大臣にお尋ねいたしたいと考えておつたのでありますが、大蔵大臣が御退席になりましたので、便宜主計局長からお伺いしたいと思うのであります。二十七年度の予算につきましては私ども十分検討して、当局の御労苦に対しては非常に多としておるものでありますが、ただ一点私は産業人として伺つてみたいと思うのであります。これは私ばかりでなく産業人全体の声であると御承知を願いたいのであります。  現在の世界情勢にかんがみまして、今日わが国が十数年世界の文化から遅れておることは御了承の通りであります。この場合産業を振興して大いに外貨獲得の線に進まなくてはならぬということは、われわれ常に当局から伺つて承知しておるのでありますが、本年の予算を見ますと、どうもそういう面があまり大きく現われておりませんのを、はなはだ遺憾とするものであります。私は最近西欧からあちらを一応一まわりまわつて参つたのでありますが、各地で産業の博覧会、世界産業博覧会というようなものを開催しております。まずイタリアのミラノ、ブラッセル、フランス、ロンドン等その他でも博覧会をやつておりました。そういうところを私どもつぶさに視察して参つたのであります。わが国では私ども承知しておりますところでは、かつて上野の不忍池畔に大きな常設的な博覧会場が設けてありまして、毎年ないし二年置きくらいには産業博覧会または世界博覧会というようなものを時々政府が開催して、そして国民の進歩発展に寄與されて来たのであり、また貿易振興等に対しましても、文化的機械をつくる場合においても、世界のいろいろなものを基準として、博覧会の真意を発揚して参つたのでありますが、戦争から今日に至るまでほとんど博覧会的な、ほんとうに国民がその恩恵にあずかるような催しを全然されておらないのであります。わが国の再建も叫ばれておる際に、大蔵当局としては常設的な建物を東京並びに大阪辺に相当大におつくりになつて、そうして非常に遅れましたところの日本産業を、文化的に進ますというようなお考え方はあるかどうか、その点を伺つてみたいと思います。
  329. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 産業博覧会といつた催しで、国が財政的に援助すべきじやないか、これは非常にごもつともな御意見なのでありますが、従来博覧会は国内的なものとして各地において開催されておりまして、これにつきましては国有財産その他で相当の援助をして参つておるのでありますが、国際的博覧会の問題につきましては、御承知のように現在の状況は東洋の跼蹐した地にあり、また外交関係が正式にはこれからといつた状況下におきまして、海外各地から博覧会のために多数の人が入つて来るといつたような点も、まだその域に至らないのではないかというふうに考えられるのであります。現在わが国のそういつた施設としましては、海外にこちらから積極的に出て参りまして、日本の商品等につき、あるいは機械等につきまして、その成果を示すといつたような方向に力を注いでおるのでありまして、明年度におきましても貿易見本市あるいは海外市場調査のためのいろいろな経費ということで約七千万円を出しておるのであります。国内においてはそういつたような施設をどうするかという問題については、今後十分に検討してみたいと考えております。
  330. 永井要造

    ○永井(要)委員 ただいまの御答弁けつこうでありますが、私がお願いをする点、希望する点は、政府がある種の費用を投じて産業の科学的発展ということにもう少し考えを持つていただきたいというのであります。すなわち常設的な館を比較的大規模に建設しまして、日本産業世界水準まで進むまで、毎年世界的な博覧会を開催していただくということは、産業人に対するところの大きなプラスになり、また国家的に見ましても、外貨獲得の大きなものになるということを私どもは信じておるのであります。英国におきましては百年博覧会と申しまして、百年に一回、しかも皇室が——皇帝、皇后が主催者になつて、そして百年間の文化の進歩を国民に親切に示しておるのであります。私どもはそれを現実に見て参つたのでありますが、非常に親切にして、まことに当を得た催しであり、なるほど世界に有名な世紀の博覧会ということを現実に見て参つたのであります。ああいうものがわが国にもぜひほしい。そういたしますれば産業の振興というものは自然に養われて参り、東洋におけるところの工業国としての日本に大きなプラスになるということを私どもは信じておるのであります。これは私の希望ではありますが、産業人全般の希望であるということを私は確信しております。どうか政府におきましては、その意味においてでき得るだけの経費を捻出していただきまして、政府の手によつて常設館を比較的大規模なものをつくつていただくことを希望する次第であります。
  331. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 現在通産省におきまして、貿易館その他の施設を多少は持つておるのでありますが、今後日本が外交を回復し、国際経済社会に正式に乗り込んで行つて、国際的な競争に伍して行くという意味におきまして、そういつた施設は今後ますます必要を加えると思うのであります。御趣旨の点はよく了承いたしまして、今後十分考究してみたいと考えます。
  332. 永井要造

    ○永井(要)委員 次に食糧問題につきまして、私は、食糧庁の長官がおいでになつておりますから、東畑長官に伺いたいと思うのであります。御承知通り、人間生きて行くには衣食住が一番大きな問題であります。このうちの食糧問題を私は一言農林当局に伺つてみたいと思うのですが、現在毎年々々同じことを繰返しておりまする主食の不足問題、絶対量が不足しておるわが国においては、毎年この問題は大きな問題として国民全般から取上げられておるのであります。国家的な問題も他にいろいろ重要な問題がたくさんありますが、私は国民が生活をして行く上において、食糧の確保ということが一番安定感を持つものであるということを常に考えておるのであります。はなはだ遺憾ながらわが国の食糧事情は、年々人口がふえて行くにもかかわらず、これに対する何らの手段を講じておらないということは、はなはだわれわれ心外千万に思うのであります。この際農林御当局に伺いたいのは、何か食糧の大幅の輸入をしなくても、国内において適当な方法を講じて、そしてこの食糧問題を——一概に片づけるというわけには参りますまいが、できるだけ早く片づけて、そして国家の安定を期することが、あらゆる角度から見まして必要だと私は強く感じておるものであります。この意味においてどういう対策を御当局は持つておられるか、二十七年度におきましては、食糧増産に対する国費も相当計上されておることは十分了承しております。しかしながら消費面においての考慮を拂うことが必要だと私は考えるので、この際ひとつ食糧庁長官の御抱負を伺つてみたいと思います。
  333. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 国内で食糧自給化の方向に向つていることにつきましては、たびたび大臣からも申し上げている通りでございます。食糧庁といたしましても、今日やはり日本の主食形態が米依存度が非常に強いこと、今日の生産事情からいいましても、この消費構造をかえることはなかなか困難だと考えております。われわれといたしましては、今後の食糧事情等を考えますと、一般の粉食でございますとか、小麦食でございますとか、その二次製品等の粉食を大いに奨励いたしまして、食生活の改善につきましては消費の実態に即しましてますます努力をいたさなければならない、実はこういうふうに考えまして、本年度は若干の経費を計上いたしたのでありますけれども、今後ますます価格なり形態なりの改善に努力して参りたいというふうに考えます。
  334. 永井要造

    ○永井(要)委員 ただいま長官からの、粉食によつてこれを解決して行くということは私も同感であります。粉食の問題はすなわちパンとか麺類その他いろいろありますが、大体においてパン食に重点を置かれておることはよく了承しております。しかし日本人にはパンを主食として消費させることはなかなか困難じやないかと思うのであります。相当な困難が伴うのでこれを宣伝的に普及させようとしても、パンを食べましてもあとお茶づけ一ぱい食べないと日本人の満足感はどうしても許されないのであります。この場合において私どもはもう一段とこの主食という点について考えてみていただきたいと思うのであります。児童に対する給食等においてもパン食が相当用いられておるようでありまして、パン食の普及には子供にもこれを宣伝して、順次その方向に向つておるという政府のお考えも十分了承しておりますが、私は日本の麺類などは非常に遅ておるものだと思うのであります。それは非常に弊害が伴います。乾麺をゆでるにしても、生麺をゆでるにしても非常に技術を要するのであります。これは生ゆでの場合においては、子供などがもし生ゆでの麺類を食べたとするならば、四日間くらいは下痢がとまりません。腸の疾患が起きて参りまして、そうして四日間くらいはいかに薬をやつてもなかなかなおりません。そういう欠陥を補うには、もう少し文化的な麺類を食べさせるというところに私どもは考えを持つておるのであります。私はこの粉食の励行ということに対しては、常に研究をしておるのでありまして、その面についてはまつたくもう自信を持つております。なぜ自信を持つておるというに、私は、マカロニの普及をどうしても日本国民全体に、老若男女を問わず宣伝して、そうして粉食によつて絶対量の不足を補つて行くという考えを強く持つておるわけであります。その意味において政府は、マカロニというものを主食の代替として、絶対量不足の米を補う意味において、取上げられるかどうか、その点、食糧庁長官どういうふうにお考えになつているか、お伺いしたいと思うのであります、
  335. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 現在粉食の形態と申しますか、戦後パン食が相当普及いたしておるのでありますけれども、なおおもなる形態といたしましては、永井さんのおつしやいましたように、乾麺でありますとか、そうめんというような形で実は消費が行われておるのであります。貯蔵性でありますとかあるいは味の問題以外に、調理上の問題等でマカロニという形態のいいことは、食糧庁といたしましても十分これは心得えておるところであります。何分にも今日の消費実態が、マカロニの需要がそう急速に普及いたしませんものでありますから、今のところマカロニの普及につきまして、何ら奨励的なことも講じておらなかつたのであります。乾麺、そうめんと同じ意味におきまして、マカロニ等も、われわれといたしまして、今後需要の促進なり、形態の変化に応じまして、これを普及いたしますことにおきましてやぶさかではございません。
  336. 永井要造

    ○永井(要)委員 マカロニの点について相当お考えを持つてくだすつているということにつきまして、私は非常に欣快とするところでありますが、マカロニは御承知通り、東亜においてギリシャ文明の中世紀においては相当用いられた主食であつたのでありますが、これが西欧に持つて行かれまして、残つたのは今日本で使つておるそばだとかうどんだとかいうような、比較的簡単なものが残つて現在に及んでおるわけであります。西欧においてはマカロニを取上げて、ほとんど主食としてそれを全世界に普及しようという考え方でやつておるのでありますが、アジアにおいてはやはり乾麺、生麺、というものに重点を置かれて、比較的主婦が勤労をしながら、主食としてあまりりつばでもない、ゆで方等においても不安なものを、主食として現在食べておるというようなことであります。私はあちらへ参りましても、このマカロニの点については非常に研究いたして参つたのであります。二箇所も三箇所もマカロニの製造所を視察をし、また製粉等に対しましても相当研究をして参つたのでありますが、マカロニはまず第一に、食べておいしいのでございます。確かにうまい。それから滋養の点におきましては、グルテンが非常に強いために滋養があるわけであります。特に幼児等においてはまことに消化がよく、そうして価額が実際にきわめて安い。それからこのマカロニは、主婦が苦労をせずして簡単に調理ができる。経済的であり、文化的食糧であり、そしてしかも長期の保存に耐える。こういうことであります。長期保存と申しましても、七年、八年、十年を保存することができるのはマカロニだけであります。このマカロニの普及徹底こそ、日本が真に食糧問題を解決するかぎである、かように私どもは強く主張したいのであります。それからいま一点は、これは聞きのがしてはならないことであります。マカロニによつて悪病が解決つくそうで、いわゆる胸の病も、子供のうちの食糧いかんによつて——むりに米のような不消化のものをたくさん詰め込んで、そうして運動しないとか、またいろいろの面で米を余分に食べるいう意味において、五臓を非常に疲れさせます。そういうことがだんだん重なりますと、やはり五臓の病気が起きるのであります。こういう問題が解決つかぬのは、やはり主食が米に重点を置かれておるからであるということを私はかたく信じておるのであります。非常に消化力の強い、良質な粉によつてつくられたところのマカロニは、実に文化食糧の最高であると私は考えるのであります。この意味おきまして、マカロニの製造にはどうしても小麦の品種の改善が絶対必要であります。現在の日本の小麦の作付等におきましても、また品種等におきましても、きわめて遺憾な点があるのであります。三十年も四十年も同じ小麦は小麦として、ちつとも改善されておらぬように私どもは考えるのであります。さらに製粉機におきましては、大正年間に、日本の最大のメーカーである日本製粉、日清製粉が輸入された機械が、今わが国の最高の製粉機械であります。そういう意味から行きましても、この点を農林御当局、食糧庁御当局は十分に検討をされまし、大きく予算を組んでいただいて、そうして相当な研究心を持つた者をかの地へつかわして、小麦の品種の改善並びに小麦粉の生産のあり方等に対しまして、十分御検討なさる必要があると思うのであります。そうして初めて完全なるマカロニが国民の主食の代替として宣伝普及され、マカロニ食堂の建設その他あらゆる面においてそれを順次とり行つて行くならば、必ずや粉食による徹底した政策が具現できるということを私は信じておるものであります。保存の長期にわたるということは、まつたくこれはマカロニ以外にはないのであります。日本の乾麺の製造はたしか二十五年度、二十六年度において二十四万トンの製造を委託加工しておるそうでありますが、そのうちで約二割以上は、全部かびて食糧にならないということを私どもは承知いたしております。そういつた意味合いにおきましても、国幣をもつて海外から輸入した小麦を製粉して、それで第二次加工をした生麺が、その二割以上が全然国民の食糧に供せられないというような不良品をつくつておることは、小麦粉か悪いわけであります。そうして製造の仕方が理想的でないのであります。やはり旧態依然たる乾麺によつてその順序をつけられおてるということに大きく響いて来るのでありまして、私どもはこの乾麺のゆで方についても非常不安を感じておるわけであります。私ども乾麺……。
  337. 塚田十一郎

    塚田委員長 永井君に申し上げますが、もう時間も大分過ぎておるようでありますから、御質問の要旨を簡單に願います。
  338. 永井要造

    ○永井(要)委員 そうですが……。マカロニの宣伝のようでありますけれども、しかし私どもとしては、国民の一番大きな問題を解決することが、われわれ議員の職責だと思うのであります。その意味合いにおいて、農林御当局が率先これを提唱して、できるだけの援助を與え、絶対量の不足をわずかずつでも補いながら、この食糧問題の解決をはかられたいことを熱望する次第であります。まだいろいろ材料を申し上げて御参考に供したいと思うのでありますが、もう時間もございませんので、いずれまたその方面に対しましては、農林御当局とじつくりお話をいたしまして、その面の御援助を願いたい、かように考えるわけであります。
  339. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 いろいろマカロニについてお話がありました。私どもまだ研究が足りないのでありますが、日本の小麦の品種は、やはりうどんというものが中心でありましたために、グルテンが少い。うどん向きの品種が多いのでありますが、農林省といたしましても、ただいまパン食でありますとか、マカロニに向きますグルテンの多い品種を、寒冷地帯あるいは北海道等に奨励するために努力いたしております。今後消費が増加いたしますとともに、寒冷地帯の小麦の品種改良を進めますならば、品質のいい小麦の増産ができるのではないかと考えておる次第であります。  機械等につきましても、戦後食糧が非常に不足いたしておりましたために、いろいろこまかいとりわけ等をいたさないようにいたしておつたのでありますが、だんだん食糧生活が安定いたしますに応じまして、用途々々におきまする機械を整備することは、当然必要かと存じます。われわれといたしましても、そういう方向の合理化等につきましては、さらに推し進めて行きたいと考える次第であります。
  340. 永井要造

    ○永井(要)委員 小麦の品種の改善につきましては、長官も御了承でありますからあえて申し上げませんが、寒冷地帯、灘地地帯に小麦を植えつけることは、日本としては絶対必要な問題であると思うのであります。品種を改善して優秀な小麦を収穫するには、やはり寒冷地帯がグルテンの多いものが一番できると思うのであります。そういう意味合いにおいて、北海道等には大いにこれを奨励して、品種の改善をしていただくことを一言お願い申し上げまして私の質問を打切ります。
  341. 塚田十一郎

    塚田委員長 本日の会議はこの程度にとどめまして、明日十九日は午前十時より委員会を開会して、質疑を継続することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十三分散会