運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-15 第13回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十五日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 塚田十一郎君    理事 有田 二郎君 理事 上林山榮吉君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 苫米地英俊君 理事 井出一太郎君    理事 川島 金次君       淺利 三朗君    井手 光治君       江崎 真澄君    江花  靜君       遠藤 三郎君    尾崎 末吉君      小野瀬忠兵衞君    小淵 光平君       角田 幸吉君    甲木  保君       川端 佳夫君    倉石 忠雄君       栗山長次郎君    黒澤富次郎君       小坂善太郎君    志田 義信君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       田口長治郎君    玉置  實君       中村 幸八君    西村 久之君       南  好雄君    守島 伍郎君       今井  耕君    川崎 秀二君       中曽根康弘君    並木 芳雄君       早川  崇君    平川 篤雄君       藤田 義光君    西村 榮一君       水谷長三郎君    風早八十二君       山口 武秀君    横田甚太郎君       世耕 弘一君    石野 久男君  出席国務大臣         法 務 総 裁 木村篤太郎君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         通商産業大臣  高橋龍太郎君         労 働 大 臣 吉武 惠市君         国 務 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 岡崎 勝男君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         刑 政 長 官 草鹿淺之介君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月十五日  委員天野公義君、小坂善太郎君、永井要造君及  び平川篤雄君辞任につき、その補欠として守島  伍郎君、倉石忠雄君、黒澤富次郎君及び並木芳  雄君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事西村久之君の補欠として北澤直吉君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十七年度一般会計予算  昭和二十七年度特別会計予算  昭和二十七年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 塚田十一郎

    塚田委員長 会議を開きます。  昭和二十七年度予算の各案を議題に供します。これより質疑を継続いたします。有田二郎君。
  3. 有田二郎

    有田(二)委員 この際大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、遺家族公債八百何十億というものが出るのでありますが、遺家族も非常に貧乏で困つておられますから、おそらくこれが換金ということが考えられるわけであります。これが換金されました場合における経済界金融界に及ぼす影響、これをどうお考えになつておりますか、大蔵大臣並びに安本長官の御所見を承りたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 遺家族の方に一時金といたしまして八百八十数億円の交付公債を交付する考えでおります。この八百八十数億円は、原則といたしましては一年すえ置きの十箇年年賦、こういうことで行きたいと考えております。中に非常に生活困難の方につきましては、先般来申し上げておりますように、生活保護費と両建で行くよう行政措置をしたい、こういうので生活保護費の方でそういう貧困の方につきましては措置する。原則といたしましては一年すえ置きの十箇年年賦という考えでおるのであります。生活保護費まで行かぬけれども、とにかく早く償還を望まれる方で、しかもその理由ありと認むるときは原則の十箇年を五箇年にする場合も考えておるのであります。従いまして昭和二十七年度におきましては二百三十一億円でありますが、昭和二十八年度になりますとそれが加わつて参りますので、やはり三百数十億円になることを覚悟しなければならぬと考えております。
  5. 有田二郎

    有田(二)委員 その公債の売買ということが考えられる、あるいは公債を担保にして金を借りるというようなことも考えられるわけでありまして、非常な巨額なものになりまするし、影響を心配いたしておるのでありますが、心配ないですか、この点をもう一度お伺いいたします。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 今交付公債償還につきましては検討しておりますが、私はただいまのところではやはり融通性を認めない方がいいんじやないか、こういう考えを持つておるのであります。そこで融通性を認めないが、今のように例外として五年の償還ということでやつて行くのが適当じやないか、金融界に及ぼす影響等を考慮いたしますと、融通性を認めない方がいいと思います。ただ問題は十年年賦償還、税金を徴収して償還するというので、その意味で金融界に大した影響があるとは考えておりません。またたとい融通性があるといたしましても、これは銀行とか、あるいは他の人が、既存の今発行しております通貨でやるのでありますから、そう大した影響もないと考えております。
  7. 有田二郎

    有田(二)委員 もう一点明らかにしておきたいことは、先般大蔵委員会大蔵大臣と話合いをした点でありますが、第三者通報制の問題で、今日査察官において、第三者通報制によるものが約一割程度でありまして、第三者通報によつて五十万円謝礼をもらうというよう制度は、日本民族性に合わないということは、大蔵大臣もひとしくお認め願つておる点でありまして、この点は先般の大蔵委員会でも、近く何とか善処したい、こういう大蔵大臣の御答弁を得ておるのでありますが、第三者通報制による五十万円の国からの謝礼という問題について、大蔵大臣からこの際いま一度明らかにしていただきたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 査察制度のもとにおきまして、脱税者脱税事実を通報した方には、脱税額一定割合を出す規定になつておると考えておるのであります。従いまして、今までの実績がどういうふうな状況になつておりますか、十分まだ検討いたしておりませんので、そういう今までの実績を検討いたしましてからお答えいたしたいと思います。
  9. 有田二郎

    有田(二)委員 先般の大蔵委員会の御答弁では、そういう謝礼を出すことは、日本国民性にも合わないというような御見解も大蔵大臣としてお出しになつておられたのですが、私はこういう日本国民性に合わない制度は、しかるべく廃止さるべきものである、むしろ政府の方でお廃止になる意図がなければ、議員提出法案でこれを提出いたしたい、かようにすら考えておるものでありますが、もう一度御所見を承りたい。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、考え方としては、第三者通報制で褒賞を出すというやり方は、あまり感心はいたしませんが、またいいところもあるやに聞いておるのであります。従いまして、私は今までの実績を調べまして結論を出したいと思います。
  11. 塚田十一郎

    塚田委員長 石野君にちよつとお諮りいたしますが、文部委員会から大蔵大臣ちよつとお借りできないかと言つて参つておりますが、十分か十五分でありますから、よろしゆうございますか。——石野君。
  12. 石野久男

    石野委員 それでは周東安本長官にお尋ねいたします。八千五百二十七億の一般会計予算を組んで、講和條約が成立後における自立経済の初年度のいろいろな国家財政運用が行われるわけなのでございますが、この際に承つておきたいことは、この予算の前提になる日本講和後における経済構造産業構造というものは、どういうよう方向に変化して行くであろうかということについての一応の御所見がおありになるだろと思いますので、どういうふうにお考えになつておるか、ひとつ伺いたいのであります。
  13. 周東英雄

    周東国務大臣 お尋ねの点でありますが、日本の今後における経済発展の基礎をなす経済構造は、もとより従来通りの軽工業的な方面が重視されると同じよう程度に、機械工業化学工業等重化学工業の問題が、これに並行して進んで参らなければならぬ、かよう考えて起ります。
  14. 石野久男

    石野委員 安本長官のそういうような意向が正しくこの予算の中に盛り込まれておるかどうかということについては、われわれにとつては非常に疑問があるのであります。特に平和産業といわれるような、繊維あるいは食品工業というようなものが、この予算見通しとしてだんだんと圧縮されて行くのではないか。本年度予算の中に組まれております防衛費関係のパーセンテージというものは非常に大きい。ことに租税の約三分の一というものがその方向に繰入れられておるということなどは、われわれはこの予算の傾向が、多分軍事的方向に向いて行くのではないかという危惧を持つのでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  15. 周東英雄

    周東国務大臣 御懸念の点でありますが、私どもはさよう考えておらないのでありまして、ことに平和産業といわれておる一つの例として紡績工業にいたしましても、すでに今日政府といたしましても、民間といたしましても、これには十分の力を入れておる次第でありまして、終戦後三百八十万錘であつたのが今日すでに六百五十万錘くらいになつております。この点は私ども将来もやはりある程度進めて参りたいと思うのでありまして、国民生活にも必要な衣料の供給という面からいたしましても、今日われわれが力を入れていることは終戦直後二ポンド程度でありましたのが今日約六ポンド程度まで上げて来たというところにも、政策の目標がうかがわれるのであります。また食品工業あるいはその他の民需産業というものの増進のパーセントが今日相当に上つておるということは、私どもの方から出しておる統計の示している通りであります。鉄鋼業とか、あるいは化学工業、あるいは石炭工業というよう部面においても、伸び方に多少のでこぼこはありますが、いずれも終戦直後より今日までずつと増加しているこの実例をもつてお示しし得ると思いますし、なお今後におきましても、やはりそういう部面は並行して進み得ると考えております。
  16. 石野久男

    石野委員 安本長官の話によると、平和産業関係も伸びて来ているし、これから伸びるということでありますが、しかし今例をとつて答弁なさつた紡績工業の問題などについても、いろいろな関係で非常な恐怖にさらされて来ているのではないか。特に昨年からの貿易関係におけるこういう方向の不安というものは、最近では商社、メーカー、銀行との関係から、繊維事業関係で非常に大きな恐慌にざらされているという事態が出て来ていると思う。このことは、明らかに日本産業における生産力購買力との間における不均衡から来ているのであつて安本長官が希望するように、日本経済がそう堅実に伸びていないという証左だと思うのであります。しかも政府当局から出ている二十七年度予算分類を見ても、治安行政費、あるいは安全保障関係費等を含めた率が二七・四%を占めているということは、二十七年度予算分類の中からもはつきり出て来ている。われわれはこういう問題はことごとく軍事的な要素であるというふうに考えられる。一般会計の中でも約三〇%近いものがはつきりそういうふうに出て来ている。広義のそれに関連するものを含めれば、おそらく四〇%から五〇%近くにもなるだろうと思う。こういうふうなことは普通の財政構造とは違うと思う。日米安全保障協定、あるいは日米経済協力を契機とする日本産業構造方向というものは、非常に軍事的な方向に進んで来ておるというふうに見るのであるけれども、その点についてはいかがですか。特に繊維工業等についての問題はいかがですか。
  17. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えいたします。石野君の仰せの通り、昨年の下半期ごろから繊維工業関係等において一時伸び悩んでおつたことは事実であります。しかしこれは主として繊維関係を需要する東南アジア地区等における関係もあり、繊維価格関係もあつて一時伸び悩んでおりましたが、東南アジア地区における大衆の繊維製品に対する需要は、決して減るものではないと思うのでありまして、それに対してもちろん競争的な立場に立つ国もありますが、相当大部分のものは日本のものでまかなつて行かなければならぬ立場にある。また幸いに日本原料綿輸入も相当あるのでありまして、今輸出が伸び悩んでいるために、国内的に繊維関係業者が困つている点はあるにしても、生産力も伸び、原料綿輸入も順調に行くとすれば、将来に向つては決して悲観すべきものではないと考えます。  それから、今予算の面において防衛費あるいは講和関係諸費が相当な割合を占めておるので、ほかの部分がいためられるのではないかという御懸念はごもつともでありますが、私ども予算面に現われておることだけで処理して参りませんで、当然これに資金運用考えております。あるいは見返り資金、あるいは資金運用部資金等運用に関する資金計画の上から、予算と一体としてこれに関する民間の企業の推進をはかつて行ける、かよう考えております。
  18. 石野久男

    石野委員 経済の運営について、一般会計だけでなしに、その他資金運用部資金、あるいは見返り資金等運用考えているというお話ですが、それはまたあとでお尋ねするとして、当初私がお尋ねいたしました日本独立後における経済構造変化というものについては、多分軍需生産方向へウエートがついて行く、特にわれわれが懸念しなければならないことは、日本がかつて戦争当時において経験したと同じよう方向機械産業等がぐんぐんと伸びて参りまして、それがために非常に変調を来すような危機を感ずるのであります。安本においては少くともそういうことに対する相当な作業が進められているとわれわれは信じておるのでありますが、たとえば機械産業、あるいは金属、化学工業等の比率が、将来どういう方向に向いて行くかということのはつきりした構想を聞かせていただきたい。どういう構想で今度の予算を組んでいるか。
  19. 周東英雄

    周東国務大臣 機械工業その他軍需関係工業が今後どんどん盛んになつて平和産業を圧迫しないかという御質問でありますが、私どもはただいまのところさよう考えておらぬのであります。もちろん日本の未稼働工場設備等の中には、これを活動させるために、あるいは日米経済協力等の線から、必要な生産考え、それに必要な原材料を新たにプラスしてこれに與えるということができるなら、もちろん協力して参らなければならぬのであります。そのために必要な原料なり動力の確保ができれば、あなたのお話になるように、かつて日本よう軍需工業がどんどん盛んになつて行くようにも考えられない。現在日本にある未稼働工場の中には、工作機械その他において相当活用し得る余地があるのであります。それを動かすときには、地の産業を圧迫しないように、必要な原材料をプラスしてこれに與えるという方向をとつて行くことによつてこれを動かして行くということがいいのではないか。もとより日本の将来の輸出関係をとらえましても、何も平和産業というのは繊維紡績だけではだめなので、やはりある程度機械等輸出考えなければならぬので、何も軍需工業という事柄にのみ限定せずとも、機械工業等によつて機械輸出プラント輸出というよう方面にも、新しい輸出市場開拓があるという立場から私ども考えているわけであります。
  20. 石野久男

    石野委員 軍需工業に限らないで機械等輸出もあるという話でありますが、しかしそれは基本的にはやはり日米経済協力の線に沿い、しかもそれの根底をなすものが日米安全保障で、従つて日本経済の今後は今まで以上にアメリカ経済に依存する度合いが深くなつて行くということはお認めになられるのでありますか。
  21. 周東英雄

    周東国務大臣 石野さんは、安全保障條約というものが結ばれれば、ただちに日本の国情が軍需産業になるように一足飛びにお考えようでありますが、私どもはそうは考えません。私ども独立後の日本経済発展については、もちろんアメリカその他の国家協力し、その援助を受けつつ原材料を求め、また製品輸出市場を確保しなければならぬのでありますが、アメリカだけに片寄つて行くという考えは決して持つておらないのであります。とにかく必要な相当なものがアメリカから入つて来る。またアメリカに買つてもらうこともある。東南アジアその他の自由国家に対する協力市場開拓ということはあわせて考えらるべきものであると考えます。
  22. 石野久男

    石野委員 東南アジアとからみ合せて考えるというのは当然だと思うのでありますが、いずれにしてもアメリカ経済に依存する度合いが深まつていることだけは事実だと思う。それでアメリカ経済の今後の見通しというものは、日本経済にとつても非常に重要だと思うのであります。特に本年度アメリカ経済に対して、安本ではどういうような見方をしておられますか。
  23. 周東英雄

    周東国務大臣 アメリカ経済というお話ですが、アメリカにおける軍事予算状況をおさしになつたのだと思いますが、これは今後における国際社会情勢がどういうふうにかわるかということにかかつていることで、急速にアメリカ予算関係が収縮するとは考えません。しかしだからと言つてそれにのみたよつて日本経済計画を立ててやつておりますると、思わぬところに破綻が出ますから、私どもは一面には世界の国際情勢とにらみ合いにおけるアメリカ動き、その他の国の動き考え、またそういうふうな形のない場合における日本経済をどう持つて行くかという、両面について考えつつ施策をして行くべきだと考えます。
  24. 石野久男

    石野委員 二十七年度国際収支見通しについて、特にドル関係安本作業の中に特需関係が非常に減るよう計算がされているというふうに存じておりますが、そういうよう作業をなされておりますか。
  25. 周東英雄

    周東国務大臣 二十七年度におきましての特需関係についても、今ちよつと数字を思い出しませんが、そうえらく減るという考えをしておらぬのであります。正常輸出その他の特需あるいは貿易外収支というものを合せて二十二、三億ドルだと思いますが、そういうよう見通しのもとに差引約一億ドル弱の受取り超過ということを考えております。
  26. 石野久男

    石野委員 全体としての受取り超過は出ておつたとしても、ドル関係において、特に特需関係では本年度が四億ドル、それが来年度においては三億三千万ドルくらいに約七千万ドルの減少が見込まれているはずでありますが、そうではないのですか。
  27. 周東英雄

    周東国務大臣 大体お話ように三億三千万ドル程度考えておりますから、二十六年度に比較すると少し減になります。
  28. 石野久男

    石野委員 これはどういう見通しに基いて設定しているのですか。
  29. 周東英雄

    周東国務大臣 具体的の数字について政府委員から御説明申し上げます。
  30. 河野一之

    河野(一)政府委員 朝鮮の特需関係、この予算説明にもありますように前年度は三鷹、明年度は三億三千万ドルにふえております。
  31. 石野久男

    石野委員 今ちよつと聞きのがしましたが、明年度はふえているというのですか。
  32. 河野一之

    河野(一)政府委員 予算説明書の十ページをごらん願います。
  33. 石野久男

    石野委員 十ページ。失礼な答弁ですが、二十六年度と二十七年度国際収支見通しでは、二十六年度よりも来年度特需関係ドルの受取りが減る計算になつているはずですね。
  34. 河野一之

    河野(一)政府委員 特需でありますが、これはドル収入でありますが、二十六年度補正予算の見込みが三億ドルで、明年度は三億三千万ドルという数字に出ております。
  35. 石野久男

    石野委員 これは安本からの資料だと思うのでありますが、特需関係は四億ドルのやつが、三億三千万ドルに減つているという資料をぼくは持つているのですが、これは違うのですか。
  36. 河野一之

    河野(一)政府委員 どういう資料か存じませんけれども、私の方はそういう資料を出した覚えはございません。
  37. 石野久男

    石野委員 資料ちよつと間違つているのかもしれませんが、それならば貿易外收入関係はどういうふうになりますか。
  38. 河野一之

    河野(一)政府委員 貿易外収入のお間違いではございませんでしようか。これは四億ドルの四億三千九百万ドルですから、貿易外収入もふえております。
  39. 石野久男

    石野委員 今この資料ちよつと違うのでありますが、いずれにいたしましても来年度におけるところのドル收入の問題あるいはボンドの関係国際収支の問題については非常に大きな問題が内包されていると思うのでございます。最近ポンド関係の問題が非常に困難を来したために、先ほど安本長官から言われている東南アジアに対する貿易期待というものが、かえつて逆にいろいろな点で弊害が出て来ているのじやないかというようなことが考えられるわけであります。それはたとえば最近に、昨日ですかの新聞の報ずるところによりますと、イギリス日本との間においてとりきめられておつた鋼材十万九千トンの輸出ですが、これはポンド関係の操作の上から吉田首相通産大臣に指示して、その貿易のとりきめをとりやめるようにというような話があつたと報ぜられておりますけれども、それはほんとうでございましようか。
  40. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 ただいまイギリスと鋼鉄十万九千トン買入れの交渉中であるということは事実でありますが、別段総理から私に指示してどうというようなことはありません。ただ私としては、御承知ようポンドが蓄積されて困つておりますから、鉄のよう原料ドルで払つておりまする製品を、無條件ポンド地域に出すということは、ポンド蓄積関係からいいまして、できないことだと考えております。
  41. 石野久男

    石野委員 東南アジアに対する貿易関係でございますが、今もポンドあるいはドルとの関係等から、思うように、期待するよう貿易関係の進捗ができ得ないのではなかろうかということを懸念いたしますが、安本長官はどういうふうにお考えになりますか。
  42. 周東英雄

    周東国務大臣 今日の場合実はポンド地域輸出は出るのであります。それは御承知ように、ポンド地域におけるポンドポンド安の結果あちらの方が高くなります。その結果ともすると向うの方の要求は多いので輸出がふえております。これに反して輸入の方はやや遅れるというかつこうになつております。こういう点につきましては、私ども東南アジア地区との貿易ポンドドルとの調整のために、できるだけ今具体的のものを選びまして、ドル地域から輸入しておる食糧とかあるいは鉄鉱石、粘結炭というようなものについては、そういう地域から輸入しつつドルの支払いを少くし、また輸出についてはできる限りアメリカその他のドル圏への輸出をはかるように、今いろいろ施策をいたしておる最中であります。その調整はもとよりなさなければなりませんが、あなたのお話ようポンド地域貿易が非常に悲観的なものであるとは私は考えておらないのであります。
  43. 石野久男

    石野委員 東南アジア日本との貿易関係については、結局日米経済協力の線に沿つて後進国開発計画貿易が行われるものと存ぜられます。ところが東南アジア自体におけるところの貿易に対する期待というものは、日本考えておるように、あるいはまたアメリカ経済が要望しておるように、そうばかりは行かないのじやないかと思う。最近では特に東南アジアにおけるところの農業の近代化であるとか、あるいは工業近代化というようなことを強く要望しておる線が出て来ておると聞いておるのであります。そのためにかえつて日本からの輸出についても、向うにおけるところの選択が非常にきびしくなつて来ておるということが言えると思うのであります。それと同時に、今度は日本におけるところの物の輸入の仕方についても、いろいろな障害が出て来ておるということを予想されるのでありますけれども、そういう点についてはどういうように打開して行こうというふうに考えておりますか。
  44. 周東英雄

    周東国務大臣 東南アジア地域につきましては、お話よう後進国開発の線に沿うて、日本も、技術なりプラント輸出機械等によつて開発を助けつつ開発された資源を国内に持つて来、さらに商品化してもどすという考え方は、どうしてもとつて行かなければならぬと思います。現在の状態において考えましても、かなり多くの地下資源——鉄鉱石とかあるいは粘結炭等というよう方面におきましては、日本と提携しつつ開発し、その開発されたものを日本に送ろうとする機運はあるのであります。従つてそういう面は十分に伸ばして行きたいと思います。また東南アジア地区における農業経済についてのお示しでありましたが、これらについても肥料等の要求があります。おそらくああいうふうな処女地に対して必要な肥料を少しやることができれば、もつと農業生産を上げることができると思うのであります。こういう点におきましても化学肥料等に対する要求があるのです。しかしこの点につきましては、日本の肥料化学工業の増加ということを考えて行かなければならず、日本内地における農民を犠牲にして輸出することはこれは困るのであります。そういう面につきましても、われわれとしましては、将来肥料化学工業部面における増産計画を立てつつ、その増産分についてはこれを向うへ送りつつ、向うでできた食糧等については、日本の足らざる部分輸入にまつというようなことにおいて、双方が協力貿易の進展を考えたい、かよう考えております。
  45. 石野久男

    石野委員 東南アジアから特に日本が必要とされるもの等で、たとえばゴアの鉄鉱石のごとく、われわれはあそこからの供給を期待するにもかかわらず、東南アジアでは、この鉄鉱石等の供給については、世界的な軍拡のあおりを食いまして、やはりなかなか思うよう日本に出せないというか、向うは非常に強気になつて来ているという状況が報ぜられております。こういうふうにこれらの東南アジア地区におけるところの鉄鉱石買付が非常に困難を来しておるようなとき、日本としては、これからの東南アジア貿易をどういうふうに有利に持つて行こうという施策を特にお持ちでありますか。
  46. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 お尋ねの鉄鉱石などの東南アジアの埋蔵量は非常に多いようでございます。また開発の余地は非常にあります。開発さえしますれば、まだまだ日本への輸出も十分余力があります。ただ開発をいたしましても、たとえば今お示しのゴアのごときも、昨年契約ができて約束ができても、ようやく本年の十月ごろに鉱石をこちらへ送ることになるのです。しかし現在これらの地方で出ておりますものを日本が買約してとるという計画はないのであります。
  47. 石野久男

    石野委員 開発すれば幾らでも入るということは、それはよくわかつているのです。しかもその開発のときに、そう無條件に開発はできないので、むしろ向うでは——たとえばマレーの某鉱山のごときは、濠州に対して鉄鉱石を供給する條件として、濠州向けに日本鋼材一手販売権を要求するとか、あるいはララツプ鉱山のごときは、半額の日本からの投資がなければ開発ができないとかいうような、そういういろいろな要求が出て来ておるはずですが、政府はそれに対してはどういうよう施策をもつて臨もうとするのですか。
  48. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 交渉中には先方からも、先方に有利なようないろいろな條件を出しますけれども、私ども考えておる実際は、これらの地方の開発をして、天然資源を出すことを希望しておるのですから、必ず適当なところで話合いができるものと思います。
  49. 石野久男

    石野委員 適当なところで話合いができるということで、まあ百歩下つてそのように見ましても、それならばその開発が行われるまでの間の鉄鉱石等の需要は、日本としてはどういうふうにまかなつて行こうとしておられるのですか。
  50. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は、今日でもアメリカ等から必要な鉄鉱石等は入れておることは御承知通りであります。これはできるだけ早く近いところから、また運賃等も安くなるように開発を計画しておりますが、多少の時間的のずれがあることは認めます。しかし、いろいろと今通産大臣が申されたような形で交渉を進めておるので、その見込はあるのであります。
  51. 石野久男

    石野委員 問題は、近場から鉄鉱石を得れば非常に安く入るものを、多少の時間的ずれはあるけれども遠くからとるんだというところに、講和後における日本自立経済の達成についてのわかれ道が出て来るのではないかと思う。先ほどから何べんも私はお尋ねしておるように、日本経済講和後における構造変化は、多分に二十七年度予算の中に盛られた傾向を含めて、軍需的方向へ向いて行くことは、何人も隠すことのできない事実だと思います。そういう中で原材料を海外に得なければならない日本が、それを高価なものでとらなくちやいけないというところに、日本経済の将来の脆弱性が一層強く出て来るのではないかと心配するのであります。この点について、国の経済の大本を企画されております安本長官としましては、十分採算のとれる見通しをお持ちになつておるでしようかどうか、これが第一点。  第二点としては、おそらく安本長官は大丈夫だ、こう言うかもしれません。しかし繊維工業が示しておるように、生産力日本は非常にあるのであります。しかしながら、対外的な諸事情と国内の事情からいたしまして、特に購買力の点で、国内には非常に枯渇して来ている事態が出ております。ここに繊維工業の非常に苦しい立場が出て来ている。こういうように私たちは見るのでありますが、この点の将来に対する見通しについて、もう少し……。
  52. 周東英雄

    周東国務大臣 石野さんはたびたび二十七年度予算を引かれて、軍需生産に移行することを確信されて、すべての民需が圧迫されるようなことを言われておりますが、先ほど申し上げたように、一つの方法として、これは安全保障協定のあるなしにかかわらず、日本の将来の産業の基礎を固めて行くために、輸出貿易のうちにはどうしても機械工業等輸出が入つて来るのであります。おのずからその中に機械工業化学工業部門の発展考えることは、安全保障協定のあるなしにかかわらず、当然なすべき仕事であると考えております。今日安全保障條約とか、二十七年度予算がそういうものから盛られておるゆえに、急激に産業構造がかわるというお示しでありますけれども、そうは私はとらぬのであります。重ねてこれははつきり申し上げておきます。  それから同時に、今のような状態で遠いところから原材料を買つているから、日本は将来とても耐え切れないのではないかというお話であります。これは、今日アメリカ等からやむなく原鉱石を入れておるために、やや割高になつておりますけれども、それにもかかわらず、今日鉄材、鋼材の輸出があることは、アメリカ等が売つてくれる値段が、ヨーロツパにおけるその他の諸国から出される価格とある程度近似した価格であるからであります。それで今日でも売れる。しかし、いつまでもそれを続けるわけには行かぬ。そこである時間をかせいで、その間に東南アジアの開発によつて、近場からそのものをとろうというのですから、永久にいつまでも遠いところから高いものをとろうという考えを持つておらない、できるだけ近くから品質のいい安いものをとりたいという意図を持つて、着着その点について施策を進めておるのであります。
  53. 石野久男

    石野委員 非常に高い品物を買つておるが、とにかく今日本の鉄鋼は外国に売れている、そこに日本の力の強いところがあるというお話ようでございますが、日本の国内においては産業は非常に近代化され、独占金融資本は大きな工業に集中されている。また海外ではほとんど植民地を失つておりまして、われわれの商品が売れて行く場所は非常に少くなつて来ておる。そういう状態で日本が国際的な立場を守ることは非常に困難だと思う。現在日本の商品が高い材料費を含めて出て行つておる理由は、やはり国内における労働力のより強い強化、そしてそこから来る低賃金、長時間労働というものに依存しているからだと考える。これは労働力のダンピングである。おそらくこれからはそういう形が強く出て来ると存じておりますが、それについては安本長官はどういうふうに考えますか。
  54. 周東英雄

    周東国務大臣 将来安くするために労働タンピングをするのではないかというお話ですが、私どもはそういうことは考えておらないのであります。あくまで世界的に日本の労働力に対してはこれを尊重して行く。昔のような労働搾取をするという考えは持つておりません。かるがゆえにこそ将来に向つて、できるだけ近いところから安い原料を得るように今から施策をしておるのであります。今は経過的に遠いところからとつておるので割高になつておることは率直に認めております。しかし、そのままにしておくという意思はないのであります。この点はよく御了承を願つておきたいと思います。
  55. 石野久男

    石野委員 今年度予算説明される際に、国民生活の安定ということを強く強調されました。しかしながら今年の予算の傾向を見ても、国民生活は決して楽にならない、むしろ非常に窮迫化するだろうとわれわれは考える。昨日のニュースを聞くと、電力事業経営者会議の方では、今度電力料を平均して二割九分くらい上げるというようなことが報ぜられておるのであります。そういうことは早晩出て来るだろうと思うのですが、これについて安本としてはどういう立場をとり、また国民生活を安定させるために、そういう方向が今日必要なんだというようにお考えですか。
  56. 周東英雄

    周東国務大臣 電力料金の値上については、まだ具体的に聞いておりません。しかし、私どもは電力のごとき公益的なものについては、そのものの及ぼす影響考えて、できるだけあまり高く上らないように努力いたしたいと思つております。  国民生活の安定につきましては、私どもは衣食住の面から施策をしておるのでありまして、食糧につきましても、量と質との面から考えて今日まで来ております。今後もこの点は続けるつもりであります。御承知ように今日は終戦当時二合一勺であつたものが二合七勺になつております。二合一勺の時代にはとうもろこし、小麦、いもが入つて米換算で二合一勺だつた。ところが今日では二合七勺はいも、とうもろこし、こうりやんなどはみんなやめて、二十四年以来米、麦だけでやつて来ておるという質的問題も考えていただかなければならない。量並びに質、そしてここに価格の問題があると思うのであります。この点については十分施策考えておるのでありまして、こういうものもあわせてごらん願いたいと思います。
  57. 石野久男

    石野委員 電力問題については、最近電力開発のために外資の導入が確実になるということがいわれておりますが、三億ドルの外資が本年度に確実に入るという場合、それらに対する資材等の見通しの問題はどういうふうになつておりますか。
  58. 周東英雄

    周東国務大臣 電力開発に関する資金計画等については、この前の国会で申しましたが、それに相応して二十七年度における工事施行に関する資材については、七メントとか銅とかあるいは鉄の問題については優先的にまわしたいと考えております。
  59. 石野久男

    石野委員 時間があまりありませんので、あと大蔵大臣にお尋ねいたします。本年度予算でわれわれが一番当面する問題で心配になるのは金融の面なのでありますが、この金融の面が従来非常に大きいところに片寄つてつて、小さな部門に対する金融が円滑に行つてないというところに問題点があると思うのであります。ことしの予算の中でそういうようなものについては、特にどういうような点を強く御着意なされ、またそれを打開されようとしておられますか、構想をお伺いしたいと思います。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 今までの市中銀行の融資が、おおむね大会社あるいは大会社でなくても商社等に対しまして、相当集中的に行われておつて、中小企業への貸出しが十分でないという傾向がありますので、それを是正して参ります。今後におきましてもそういう方針で行きたいと思います。なお中小企業方面での特別の機関といたしましては、御承知通り商工中金があります。また国民金融公庫があるのであります。国民金融公庫の出資は、できるだけ毎予算を提出する都度増加いたしております。今回も三十億円を出資いたしますので、出資合計百億円に相なります。また資金運用部からも考えて行きたいと思つております。それから商工中金の方は御承知通り二年余りのうちに貸出しが十倍程度、二百億を越えております。この商工中金の方もむろん力を入れて行きたいという気持でおるのであります。ただ均衡予算の建前上、一応金融債の引受けは、今のところ、はつきり具体化しておりませんが、郵便貯金の利子引上げ、あるいは預金額の引上げ、簡易保險その他の資金源も相当期待できますので、その増加を待ちまして、中小企業方面への金融策等を講じたいと考えております。また農林漁業方面の組合融資等につきましても、御承知通り年度は当初六十億であつたのを、補正予算でなお六十億ふやして、百二十億でありましたが、今回はこれを二百億に増加する、こういうふうな措置をとつておるのであります。
  61. 石野久男

    石野委員 本年度予算の中で、防衛関係費が相当出るわけであります。ことに防衛支出金、あるいは安全保障諸費というものが出て行きますと、これは先ほどから、私が何べんも言つておるように、相当程度軍需生産的な方向への資金が集中して行く形で出て来ると思うのであります、そういう形から平和的な諸産業が非常にそれの弊害を全面的に受けなければならないような状態が出て来るのではなかろうか、こういうように心配されます。ことに繊維工業等がそういうあおりを食つて来ているというように思うのでありますが、その中でも特に中小の企業に対するあおりが強く出て来る、こういうふうに思われるのであります。防衛関係の中で防衛関係費がこういうように組まれているときに、軍需的なものと平和産業的なものとの傾向がどういうふうに振りわけられるかという点が一点。それから防衛関係産業というものの中で、大企業と中小企業との間でどういうふうに資金の割振りといいますか、財政的な金の流れというものが出て行くかということについての見通しを聞かせていただきたい。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 防衛麦出金の六百五十億の内訳は、終戦処理費と同じように、二十数万人の労務者の月給、国鉄あるいは電気通信関係での鉄道運賃、電話料金、備品の買入れ、光熱費の電気ガスあるいは石炭代、こういうふうなものからなつているのであります。そのうち最も多いものは二十数万人の労務者の給料、その次に電気、ガスの費用であります。警察予備隊の方も五百四十億円、あるいは海上保安庁の方々の経費——これはまああなたの軍事的という言葉がちよつと私にはわからないのですが、警察予備隊の費用は大体初度費で、これが一人当り四十万円ばかり、こまかく申しますと、警察予備隊員一人置きますと、自動車代が十四万円、これは六、七人に一人の自動車を持ちます。通信関係では六、七人に一つの無電を持ちます。これが一人当り十一万円ばかり。それから今着ております警察予備隊員の服装は、大体全部純毛でございまして、これが七万円ぐらいかかりますが、われわれとしてはある程度雑綿等を入れまして、四万円くらいの服装にいたしたい、こういうよう計画であります。これも自動車とか無電機械が軍需だと言えばそうかもしれませんが、自動車も通信機械も平和産業と言えば平和産業と言えるのであります。被服その他につきましては、これは平和産業と言えましよう。また警察予備隊の施設費ですが、これは警察予備隊員一人を募集いたしますと、営舎関係だけでも大体四坪いります。こまかく申しますと、三・八一八坪ですが、寝台は一人〇・八坪の計算で大体四坪の計算になる。それから食堂とか学校というものになりますと、大体四坪、こういう施設費は一入当り二十二、三万円かかるのであります。その他月給が大体平均十万円、一人当りの物件費が十万円、食費がその上にかかるのであります。それで大体一人の警察予備隊員を置きますと、初度費を含めて八、九十万円程度かかるのであります。これにはあまり軍需的資材というものはありません。海上保安庁にいたしましても船は今まであるもの、あるいはアメリカから借りる分がございまして、人件費と油代ぐらいなもので、あなたのおつしやる軍需生産というものはない。いわゆる鉄砲にいたしましても、機関銃にいたしましても、全部向うから借りておるので、日本はつつておりません。こういう関係で、今回の予算でそういう軍需的のものを生産して、そして他の平和産業を圧迫するというようなことはないと私は確信いたしておるのであります。
  63. 石野久男

    石野委員 考え方の問題がいろいろあると思うのです。平和産業であるか軍需産業であるか、今ここでは時間がありませんから論じませんが、今そういうよう関係の経費は、おそらく中小企業、特にわれわれが考えておる平和的な中小企業を非常に圧迫するというふうに考えます。大企業の線に出て行くものと中小企業に対する金の出方とは非常に違つて来ると思のでありますが、そういう点についてはどういうふうに考えられますか。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 日本産業というものは、船をつくるにいたしましても、造船所でやる仕事は大体半分以下で、中小企業に半分以上行くことは御承知だと思う。大企業と中小企業というものは、その間に下引請け等があつて、一体となつておると私は考えておるのであります。従いまして、今度の予算で中小企業を圧迫するというふうなことは私は考えておりません。
  65. 石野久男

    石野委員 大企業に出た金が中小企業にまわつて行くということは、一応のりくつは言えても、手形等の割引関係などを考えると、必ずしもそうは行かない。これは多くは申しません。それから前に旧軍人の援護に関する生業費関係資金を今度の国民金融公庫の中からわくを別にとるのだという話を大蔵大臣は言われたのであります。しかし国民金融公庫の実情は非常に逼迫しておつて、需要に対して供給が円滑に行つていない。そういうときに、そのわくを別にとられることは非常に危険だ、こういうよう考えるのであるが、どのくらいのわくを別に組むつもりでおるのでありましようか。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 国民金融公庫につきましては、一般の生業資金以外に、御承知の引揚者に対しまする貸付等もやつております。その引揚者の方は四億五千万円の予定でございますが、今三十億円の出資と、それからすでに貸し付けております六、七十億円のうちからの回収状況を見まして、そうして実情によつてその割合をきめて行きたいと考えております。何分にも国民金融公庫の資金源というものは、一般会計から出すことを原則としております。相当の申込みはあります。これは国民金融公庫ばかりでなしに、商工中金でも、各銀行に対しても、金を貸してくれという申込みが貸出額の何倍とあるのは、今の実情からいつてやむを得ない。だから、できるだけ国民が貯蓄せられまして、貸し出す率をふやすことが第一番であります。国民金融公庫から軍人遺家族の方々に対しましては、そういう制度を認めようということだけで、どれだけの金額ということはまだきめておりません。
  67. 塚田十一郎

    塚田委員長 石野君に申し上げますが、もう持ち時間も非常に少くなつておりますので、法務総裁に対する御質問がありますれば、どうぞ。
  68. 石野久男

    石野委員 それでは法務総裁にお尋ねします。最近行政機構改革にからんで、今まであります警察予備隊、海上保安庁を一つにまとめる構想があると聞いておりますが、それはどういうふうな構想を持つておりますか。
  69. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいままでの構想では、これを一まとめにして行きたいということでありますが、まだ決定はいたしておりません。
  70. 石野久男

    石野委員 一まとめにして行きたいということは、よく報ぜられておるように、何か別の一つの省をつくるという意味ですか。それとも大体総理府の中にそれを何らかの部局として設けるというふうな構想ですか。
  71. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまのところでは別に一省を設けるという考えは持つておりません。総理府のもとに所管大臣を置いて、そのもとに管轄して行くということになろうかと考えております。しかしまだそれは予定であります。
  72. 石野久男

    石野委員 総理府の中に警察予備隊とか海上保安庁を一まとめにして、それから従来法務府にあつた特審局、あるいは国警とか、あるいは入国管理庁というようなものを一まとめにするもの、それから国家警察を別に、こういうふうに大体三つくらいのものにして行くよう構想を木村さんお持ちになつているというふうに聞いておりますが、どうですか。
  73. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 新聞にはいろいろ報道されておりますが、実はまだはつきりした構想はきまつていないのであります。
  74. 石野久男

    石野委員 構想はきまつていないが、行政管理庁長官としてはそういうふうな考え方は持つておりますか。
  75. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まだ私がここで意見を申し述べる段階に至つておりません。
  76. 石野久男

    石野委員 海上保安庁関係は、近いうちに警察予備隊が保安隊にかわるころには、一応運輸省の機構の中からはずさなければならない情勢が出て来るように聞いております。けれども、そういうふうになつて行きますか。
  77. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点もまだはつきりしておりません。これはいろいろ海上保安庁関係の内部の問題も錯綜いたしておりますので、その点についてはまだはつきりしたことは申し上げかねるのであります。
  78. 石野久男

    石野委員 先ほども大蔵大臣からちよつと話がありましたが、アメリカから駆逐艇等を借用するということが大体具体的な事実になつておる。それが来れば、結局海上保安庁が所管することになろうと思うのであります。これを持つときには、おそらく運輸省の機構の中では非常に無理だろうということが大体予想されるので、そういうときは別に運輸省から離すというふうに考えておりますか。
  79. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そういう段階に至れば、あるいは離さなくちやならぬかとも考えられますが、今のところではまだはつきりしていないのであります。
  80. 石野久男

    石野委員 そういう段階が来たときの海上保安庁というものは、これは今の保安業務よりも別個のものになつて、警察予備隊が保安隊にかわるのと同時的に、通念上私たちはそれを軍隊機構の中に入り込むようなふうに考えられますが、法務総裁はそれをどういうふうに考えますか。
  81. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は今のところ、どれだけの船が入るかということは承知いたしておりませんが、それが来たところで、必ずしも軍隊的構想を持つべきものじやないと私は考えております。
  82. 石野久男

    石野委員 昨日の本委員会で大橋国務相は、予備隊は直接侵略を想定しているということの答弁をしております。直接侵略を想定する予備隊の任務、活動というものは、これは従来の治安業務とは非常に違つて来た構想考えられますけれども、これは法務総裁はどういうふりに考えますか。
  83. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 大橋君がいかよう答弁されたか私は存じておりませんが、予備隊は治安確保の予備隊でありまして、決して軍隊的性格を持つべきものではないと了承しております。
  84. 石野久男

    石野委員 今日われわれが審議しなければならないこの予算案は、少くとも予算の具体的な款項目を審議する以上に、この予算を切盛りして行く構想といいますか、政策というか、そういうようなものが非常に重要な段階に来ていると思うのであります。ことにこの中には日米安全保障協定に基く防衛関係が非常に大きなものを含んでおります。そのことは日本の将来の方向を決する重大な問題になつている。その基本的な中心点をなすものとして、日本の警察予備隊あるいは海上保安庁というものが、だんだんと軍隊化して行くのではないかということの懸念を、国会はもとより国民諸君もみな持つていると思うのであります。われわれとしては、現在の憲法をしつかり守つて、そして憲法に準ずる政治をしなければならないというよう考えておるのであります。先日公聴会のときにも、公述人のある者は、国会の中では、いろいろと警察予備隊は軍隊であるとかないとか言つておるけれども、国民は、もうすべてこれを軍隊だというように見ておると、こういうふうな公述をしておりました。政府の見解とは非常に違うようでございます。この際私は、法務総裁が特に憲法の番人としての直接の任務を持つておるという観点に立つて、特に法務総裁にお聞きしたいことは、法律の解釈について、いろいろとりくつはあつても、国民諸君が真剣にそうだというよう考えておるところを無視することはできないと思うのであります。私は軍隊かどうであるか、木村法務総裁はかつて原子爆弾に対する装備を持つまでは、憲法は改正しないんだということを言われた、原子兵器を具備するまでは、憲法は改正しないのだ、それまでは軍備だとかあるいは戦力とかいうものでも何でもないのだというようお話であつたけれども、現在でもやはりそういつた考え方を持つておりますか。
  85. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は原子爆弾やジェット機を持たなければ、軍備ではないと言つたことはないのであります。現在ジエツト機や原子爆弾を持つておる国があるのである。それらの国の軍隊と対抗してみて、日本の警察予備隊というものはきわめて微弱なものであつて、いわゆる国際社会の通念による軍隊とは申すことはできないと、こう申したのであります。
  86. 塚田十一郎

    塚田委員長 石野君に申し上げます。お申合せの時間ですので、あと一間で結論をおつけくださるようにお願いいたします。
  87. 石野久男

    石野委員 まだ労働大臣が来ていないから……。
  88. 塚田十一郎

    塚田委員長 それはまた次の機会に。
  89. 石野久男

    石野委員 軍隊であるかどうかという問題は、これはわれわれにとつて、ただ一時のがれの論議をすることじやなくして、ほんとうにやはり日本の将来のために、真剣に考えなければならぬ問題だと思うのであります。木村法務総裁は、少くともやはり憲法問題をもつと真剣にお考えにならなければならないと、こういうように私は思います。私たちは、今一方では行政協定が進んでおるときにこの予算を審議しておるのでございまして、この行政協定でさえも、実際はいろいろな問題があるにもかかわらず、われわれは全然つんぼさじきにされておる。こういうようなことでは、とてもとても日本の国会運営というものが、正常な道を歩んでおるというふうに思われない。私は法務総裁にはつきりとお聞きしておきたいのですが、海上保安庁が少くとも駆逐艦を持つて来るような段階があつて、それが運輸省から機構上離れなければならないような段階へ来たときには、少くとも一つの軍備を持つことになる、こういうふうに考えて行かなければならぬというふうに思うのであります。その点について、法務総裁はどういうふうに考えるか、そのときには憲法の改正をしてからやるべきだと思うのでありますが、そういう点については、法務総裁はどういうふうな考え方を持つておるか、これをひとつ聞いておきたい。  いま一つ聞いておきますが、行政協定が進行中に、行政協定の問題は、おそらく駐留軍のいろいろな諸経費の問題が検討されておると思うのであります。駐留軍の問題については、これは日米安全保障協定の中にもはつきりしておるように、講和成立後の問題が論議されるのであると思うのであります。現在駐留軍として北海道等におるこれらの諸経費の問題までもさかのぼつて、行政協定の中の分担金に繰入れられて来るかどうかという点について、これは大蔵大臣に聞いておきたい。
  90. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御質問の御趣旨は、近くアメリカから駆逐艦程度のものが来ることになつておる、その船が来たときには、それが海上保安庁に所属されれば、それを軍隊とみなすべきであるが、そういう場合には憲法を改正しなければならぬかという御質問の趣旨のようであります。駆逐艦程度の船が来るか、かりに来ておつても、おそらく近海における取締りの任に当るべきものと私は考えております。これを戦争の具に供するようなことは断じてなかろうと思います。いわゆる憲法第九條の戦争というものは、これは御承知通り憲法の趣旨にかんがみまして、他国と交戦をしない、交戦権の放棄を規定し、しかして交戦権に必要な戦力を持たないということを規定したものでありますから、従つてような駆逐艦程度の海岸の取締りの任に当るような船が参つたところで、これは戦力とならず、従つて軍隊とも言うべきものじやない、かるがゆえに憲法は改正する必要はない、こう考えております。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 講和成立前までは終戦処理費でまかないます。講和成立後は防衛支出金でまかなうのであります。
  92. 塚田十一郎

    塚田委員長 山口武秀君。
  93. 山口武秀

    ○山口(武)委員 委員長ちよつとお伺いしますが、大橋国務大臣と岡崎国務大臣は午後になるのですか。午前中に参りますか。
  94. 塚田十一郎

    塚田委員長 英国皇帝の葬儀に参つておりますので、午前中は出られないということでありますから、木村法務総裁で済む話だけをおやりなさつて、あとは午後やつてください。
  95. 山口武秀

    ○山口(武)委員 ほんとうは大橋国務大臣、岡崎国務大臣、それから木村法務総裁に聞きたかつたのですが、やむを得ません。木村法務総裁に先にお伺いしたい。  初めにお伺いしたいと思いますのは、今月の八日に、吉田総理大臣、木村法務総裁、大橋、岡崎、山崎の三国務大臣、それから総司令都側で参謀部関係の軍人、リッジウエイ大将、これらの人たちによりまして、日米の防衛首脳部会議というものが開かれた、このように新聞に伝えられておりますが、これは開かれたことが事実なのかどうか。これはどういうような性格の会議であつたのか、まずこの点をお伺いしたいのです。
  96. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。この会同は正式な会同ではありません。私は就任以来リジウエイ将軍とは会つたことがありません。かるがゆえに吉田総理は、一応われわれを引会わせるのがよかろうというので話があつたそうであります。それでリッジウエイ将軍から招請を受けたにすぎないのであります。
  97. 山口武秀

    ○山口(武)委員 納得が行きません。あなたを紹介するためにこういう会合が持たれたといいますが、ここに出た人たちというのは、日本では吉田総理大臣以下治安関係の閣僚である。それから総司令都側においては、参謀部関係の軍人が出ておる。こういうような特殊な紹介の会合というものがありますか。しかも現在行政協定の交渉が進行中である。そういう際にこれをたまたまあなた個人をリツジウエイ大将に紹介するために、このよう会議が開かれたということをだれが承服できますか。ほんとうのことを言つてください。
  98. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは御想像にすぎないのでありまして、事実はさようであるからいたし方がない。事実は事実であります。
  99. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうすると、この新聞の記事はうそなんですか。
  100. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 新聞の記事については、私は責任は持てません。
  101. 山口武秀

    ○山口(武)委員 今の木村法務総裁の答弁というものは、私が聞いても納得ができない。これはだれが聞いても納得できない。おそらくあなたはアメリカから何かさしずをされて、それを日本側に発表してはいけないと言われたので、そのような態度をとつているのだろう、こう思つて、次の質問に移ります。  ここでひとつお伺いしておきたいのは、昨年の秋に飯田七三、そのほか数名の人たちが軍事スパイという名目で検挙をされている。そしてこれは日本によつて逮捕されているのですが、これがアメリカ側に引渡されている。この事件はどういうものなのか、お伺いしたい。日本で逮捕してアメリカに引渡すというようなことは、きわめて重大なことである。これは当然法務総裁も責任を持つてやられたことでしようから、お伺いします。
  102. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の就任前のことでありまして、詳細な報告はまだ私は受けておりません。
  103. 山口武秀

    ○山口(武)委員 法務総裁というのは、それほどずさんなことを言つていていいのか。日本国民をアメリカに引渡すという問題について、前任者がやつたから知らない、このようなことで済ましてしられるのかどうか。
  104. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 事実は事実で、よく調査いたしまして適当な措置をします。     〔「その通りその通り」と呼ぶ者あり〕
  105. 山口武秀

    ○山口(武)委員 自由党の諸君はこのことをきわめて簡単か、あるいはその通りというよう考えておりますが、第二次世界大戦中に、フランスがドイツ軍の占領を受けていた時代に、フランスの売国政府は、フランスの愛国者がドイツ軍に対して反抗運動をやつたが、これをナチスに引渡して銃殺にしていた、こういうような重大な実例も出ている。このような問題でありはせぬかどうか。これは日本国民がだれでも関心を持つているものであります。それで新聞によりますと、これは軍事スパイ事件である、このようなことをいわれております。あなたがこの事件を知つていても知らないとしても、日本で軍事スパイというような犯罪があり得るのかどうか、この点お伺いします。
  106. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 日本国内法では軍事スパイという罪名はありません。
  107. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうすると、これはアメリカに対する、アメリカの法規上軍事スパイということがあり得る、こういうことになりますか。
  108. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 おそらくアメリカには軍事スパイの規定はあるだろうと考えておりますが、詳細のことはわかりません。
  109. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それは日本国内において、日本人に適用されますか。
  110. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 占領政策違反の行為があれば、それはアメリカ軍の規定の適用はおそらくアメリカが適用するでありましよう日本の内地のことであれば日本国内法の適用を受けるのであります。日本の国内法によつて日本が、スパイ行為があつたからといつてそれが処罰をすることはできないのは、これは当然であります。
  111. 山口武秀

    ○山口(武)委員 占領下といいますか、日本では一切の軍備を放棄しているはずだ。戦争は一切やらないことになつている。こういう状況のもとにおいて、軍事スパイというようなことはあり得ない。(「占領下じやないか」と呼ぶ者あり)占領下であつても、これは特別な問題だ。
  112. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは日本がそういう軍事スパイの名目をもつて逮捕あるいは監禁したわけではありません。
  113. 山口武秀

    ○山口(武)委員 日本の官憲が逮捕して、どういう理由によつて外国に引渡したのか。理由がなければアメリカに引渡せないではないか、これはアメリカが逮捕したのではないのだろう。
  114. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それはよく調査いたしましよう
  115. 山口武秀

    ○山口(武)委員 日本国民を外国に引渡しておきながら、まだ調査もしないのか。
  116. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は率直に申しまして、まだ報告を受けていないから調査しておりません。
  117. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それではさらにお尋ねしますが、飯田七三君たちが逮捕されて、軍事スパイだという名目を受けられたのですが、その理由に、建設省で作成した地図を持つていたことが軍事スパイだという名目になつている。このようなことが一体あり得るのかどうか、このようなことで日本政府日本国民をアメリカに引渡してよかつたのかどうか。
  118. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 飯田君の事件は占領政策違反行為によつて、これは捜査をしたにすぎないのであります。
  119. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そんなことは聞いていやしない。日本の建設省で公に発行されている地図を持つていたことが、スパイという名目になり得るかどうかということです。
  120. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは法的根拠に基いてやつたのであります。     〔発言する者多し〕
  121. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員外の発言はやめてください。
  122. 山口武秀

    ○山口(武)委員 その法的根拠を説明してくれというのだ。
  123. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 占領政策違反に基いての行為であります。
  124. 山口武秀

    ○山口(武)委員 日本ではポツダム宣言を受諾して、平和憲法を持つていて、戦争には一切関係しない。もう戦争は懲り懲りだ。これに対して支配者も憲法でもうそういうことはしないという約束をしたはずなんだ。そういう場合に、もし日本国内において戦争を進めているような準備がある、あるいは軍事基地がつくられている、こういうような問題が起つたときに、国民がこれに関心を持つのは当然な話だ。     〔発言する者多し〕
  125. 塚田十一郎

    塚田委員長 御静粛に願います。
  126. 山口武秀

    ○山口(武)委員 早い話が、B二九がしばしば落ちるではないか、あのために死んでおるではないか。こういうようなことに対して自衛のために、こういう問題を調査しなければならない、あるいは関心を持たなければならない、これは当然な話だ。そういう問題について関心を持ち、調査をしているということが犯罪になるのか。これが軍事スパイといわれるのか、この点をお伺いしたい。
  127. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 具体的の行為がありますと、よく調査して、それに適当な処置をとるのであります。
  128. 山口武秀

    ○山口(武)委員 私は一つの具体的な例をあげて聞いているのです。だから具体的に答弁してもらいたい。
  129. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは私はあらゆる資料に基いて、下僚から報告を受けたときに、それに対して適当な処置をとるのであります。
  130. 山口武秀

    ○山口(武)委員 私は一つの場合の想定を出しているのではない。これに対して答えてもらいたい。
  131. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 具体的な問題と申しますと、それに対していろいろな資料がいるのであります。ただ單にあることがあつたからというだけではいけない。それについて裏づけのあるいろいろの資料に基いて、それに対する措置をとるのであります。
  132. 山口武秀

    ○山口(武)委員 これはおかしなことを聞くものだ。日本の国民は、国民だれにしても戦争を放棄している。戦争には懲り懲りだということになつておる。そういう状態のもとで、日本の国内でどのような軍事基地がつくられているか、あるいはどのような戦争準備が進められているか、これに対して取締りを受けるのだ、具体的な場合を見なければ犯罪を構成するかどうかわからない——こんなものは犯罪を構成する道理がないではないか。こんなことは犯罪を構成するどころか、日本人が当然やるべきことだ。当然に許さるべき自由としてあるはずではないか。
  133. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 委員長、もう答弁しません。
  134. 塚田十一郎

    塚田委員長 法務総裁からは答弁がないそうであります。
  135. 山口武秀

    ○山口(武)委員 答弁しないということなら、答弁しないということはこういうことだろうと思うのです。法務総裁にとつて日本国民の自由平和ということを守る、あるいは日本国民に対してこれについて責任を負うという態度がないのだ、あなたにとつて目に映つているものはアメリカだけなんだ。そういう態度があなたに答弁させないのだ。この点を明確にしたと思います。それから……。     〔発言する者多し〕
  136. 塚田十一郎

    塚田委員長 静粛に願います。
  137. 山口武秀

    ○山口(武)委員 木村法務総裁は、団体等規正法、これは名前はかわるとは思いますが、これを提出される用意を政府としてなさつておるというような話ですが、これはいかなる状態にあるのですか。
  138. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 近く成案を得て御審議を求めるつもりであります。
  139. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それはどういう名前の法律になり、どういうことを目的としてつくられるのですか。
  140. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 名前のところはまだ決定しておりませんが、主たる目的は、不法に暴力を用いて、破壊行為をしようという団体を、規正して行こうということを目的としております。
  141. 山口武秀

    ○山口(武)委員 不法に暴力を用いるというのは、具体的に申しますと、どういうことになりますか。
  142. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 内地の治安を撹乱するような、不当な暴力行為ということであります。
  143. 山口武秀

    ○山口(武)委員 その例を幾つかあげていただきたいのです。
  144. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは近く法案を提出して、御説明申し上げたいと思います。
  145. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そういうような不法な暴力行為が発生することが予想されるというわけで、この法律がつくられるのでしようが、どういうような理由でそういうことが起ろうとしておるのですか。
  146. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在の種々な事情を考慮に入れてやつております。
  147. 山口武秀

    ○山口(武)委員 種々な事情というのは何でしよう
  148. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまそういうことは申し上げることはできません。これは終戦直後の事態等にかんがみまして、あるいは極左あるいは極右の動きがあると考えてやつておるのであります。     〔発言する者多し〕
  149. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員外の発言をお愼みください。静粛に願います。
  150. 山口武秀

    ○山口(武)委員 不法な活動が起るということを言われておりますが、私はそれが起るというような諸般の事情についてお伺いしておるのです。これに対して答弁がなかつたわけです。私は不法な暴力行為が起るとは思つておりません。思つておりませんが、私があなたにお尋ねしたいと思つたのは、政府では国民の目をごまかして再軍備を強行している。戦争準備に突入しようとしている。しかも日本の軍隊を外国にまで派遣しようというようなことをやつておる。こういうように国民の目をごまかして、再び日本を戦争の中にたたき込もうとしておる。外国の戦争目的のために、国民の意思を無視してこれに奉仕させようとしている。こういう事態を国民に率直に告げる活動、それからそういうよう日本を戦争計画のもとに動員して行くことに対する反対活動、そういうものに対して、あなたは弾圧をする目的でこういう法律をつくろうとしておるのではないか、これを聞きたかつたのであります。
  151. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 断じてさようなことはないのであります。日本が外国と戦争をするというよう考えは毛頭ありません。また日本の予備隊を海外に派出するというよう考えも、これまた絶対にないということを私は申し述べておきたいと思います。ただただ内地の治安確保のために十分な準備をし、それに基いてわれわれは法案を作成しております。
  152. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうですか、それではお伺いしておきましようアメリカは現在世界各地におきまして、アメリカ軍の指導下に反ソ軍をつくろうとしている。ヨーロッパにおきましても、きわめて強硬にヨーロツパ統一軍をつくつて、これをアメリカの指揮下に置こうとしている。北大西洋同盟におきましても、それぞれの国の軍隊を海外に派遣して、アメリカの戦争計画あるいは作戦計画に一致させようとしている。これがきわめて強硬に行われている。これに対してヨーロッパの各国において、それぞれ強い国民の反対があるにもかかわらず、あの手この手と手を盡している。こういうよう状況、しかも東洋におきましても、やはり東洋におけるアメリカの強硬計画というものが進められている。これはしばしばイギリスの方針とも衝突しながらもなお強硬に進めている。チャーチルがアメリカまで行つて会談して、なおトルーマンにチャーチルの意見が押えられるほどアメリカは強い決意を示している。こういう状況のもとでアメリカ日本の軍隊の海外派遣というもの、あるいは日本に軍隊をつくつてこれをアメリカのもとに置こうということ、これを考えないということがありますか。日本だけがこれから例外にのがれるという理由がどこにあるのですか。
  153. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 アメリカが世界政策の一環としてどのようなことをやつているかということは、われわれの関知するところではないのであります。日本日本として考えなければならぬ。断じてさようアメリカの指導によつて、あなたの言うような軍隊派遣というようなことはない。日本はどこの国とも戦争をするような目的で軍備を持つものではないということを申し上げておきます。
  154. 山口武秀

    ○山口(武)委員 あなたはアメリカの政策を知らない、こういう無責任なことを言つておりますが、今日本の方針をきめる場合に、アメリカを拔きにしてきめられますか。そういうことで日本政府の閣僚の一人としての務めができるのですか。あなたがどう言おうと、アメリカの意向というものはどこまでもそう出て来るのだ。しかし現実に日本を支配しているのはアメリカの武力なんだ。こういうよう状況のもとにおきましても、なおあなたはアメリカの政策は知らない、こういうことを言われるのですか。それで政府の閣僚の一人として責任が持てるのですか。
  155. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はアメリカがいかなる政策をとるかということについては関知しないというのであつて、知らぬとは申しません。研究はしております。しかしそれに対して、われわれはとやかく言うべきものではないのであります。日本日本として独自の見解に基いて政策をとつておるものであります。
  156. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そのようなことができますか。日本は現在アメリカの武力によつて支配されている国なんです。ところがアメリカの政策については関知しないで日本の政策をきめて行く、こういうことができるのですか。
  157. 塚田十一郎

    塚田委員長 法務総裁からは答弁がないそうです。  横田委員より関連して質疑をいたしたいとの申出があります。これを許します。横田君。
  158. 横田甚太郎

    ○横田委員 木村法務総裁にはつきりと言つておきますが、あなたたちが心配しているのは共産党なんです。だからはつきりした立場からお答え願いたい。しかもここは国会なんですから、あなたたちが治安維持として非常にたくさんの金を使つて、そうして国会で非常に問題を起しておる。問題になつておるところの対象はわが党なんです。わかつておりますね。わが党であつて、わが党の内容をあなたが知らないために、自由党代議士会の中へ吉河さんを連れて行つて説明をしたが、月給取りの説明では間に合わなかつたので、木村さんの共産党観は自由党の議員にまで笑われた。ここは国民環視の的の国会なんですから、治安というもの、あるいはあなたが今言われた占領下というもの、占領政策違反というもの、これがはつきりしない限りにおいては、山口君の良心的な質問は生きて来ないのです。だからこの三点について質問をします。実は一々資料があるのですから御安心を願いたい。占領下というもの、この占領下というものは、自由党の言によりますと、最近終りそうなんですね。その終る形は、占領ではなしに占領の継続という形であるというのが、わが党の主張であることは、よく御存じですね。お忘れになつたなら、それは占領が長かつたので政治的に眠つておられたのかもしれない。それでお聞きしたいのですが、あなたが追放中にも占領があり、追放を解除されても占領はあるのですが、その占領というものは、日本の人民全体にどのように作用したかということに問題がある。占領下におきましても、西欧民主主義というものは、決して共産主義の活動を妨害しないはずだつた。それゆえに第二次世界大戦ではヒトラーの軍隊に対して、ソビエトの軍隊は大きな役割を果した。東においては蒋介石、毛沢東の中国人民とその軍隊が大きな役目を果しておる。それゆえ日本にあるところの対日理事会においては、ソ連の代表者も入つておるということははつきりしておりますね。そうすれば、その間におけるところの共産党の活動は自由であつた。それからの政治は占領を終らすための講和という條件をつくることである。講和というものに対しては国民の意思を十二分に盛り上げねばならないということは、自由党も十分に御存じのはずなんです。そのときに日本の国民は、公平な立場から活動しなければならないにもかかわらず、他党の演説は許しながら、共産党の演読会を許さなかつた。ここに生きた例がある。共産党が演説をやるときにやらせなかつた有田君もよく御存じだと思う。大阪においては、他党の売国演説はやらせたが、共産党の愛国演説はやらせなかつた。それが共産党と人民の圧力によつてやつとやらすようなつたときにおいて、ごく最近におきまして、共産党の演説会が、言論の自由が保障されておるにかかわらず——こういうようなことが書かされておるのです。 弁士は国会議員のみとして、その論旨は單なる議会報告にとどめさせること。司会は塩田伍一一名を指名し、弁士の紹介と開会、閉会のみのあいさつを簡潔に行わせること。政令三百二十五号違反にわたるような反米言論、並びにその他の法令違反にわたるような言論をなさざること。署名運動、ビラ散布等は、演説会場及びその付近では行わせないこと。質疑応答、討論等も行わせないこと。こう書いてある。ここで聞きたいのは反米というものです。反米というものの内容は、一体何ですか。そうして反米というものをわれわれが取締官であるところの警察官に聞いたときに、取締りに来てわれわれの演説を聞いている取締官自体が反米の解釈ができない。反米を解釈できない人が反米を取締りに来ておる。あなたのお手元には一体どんなものが報告として行つているか、その反米の内容を伺いたいのです。
  159. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の手元にはまだ参つておりません。
  160. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、あなたの暦は一体どういう暦なんですか。一日は二十四時間でありまして、あなたのところに迅速にものを処理するために行かなければならない。しかも治安閣僚のところには報告は密なるをもつてよしとする。こういう立場であるにかかわらず——これをやりました日にちは十二月二十一日です。間に正月がはさまつておる。去年のことですが、去年から今年のことをいえば、来年のことを言うと鬼が笑うということわざが日本にはありますが、それをあなたみたいぼんくらが——いやぼんくら以上です。まだ報告が行つていないとは何事だ。報告が行つていない理由を言え。
  161. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そう一々こまかいことで私は報告を受けないことがあるのであります。それは率直に申し上げます。御承知通り議会に来ておりますから委員会を実際やつておるので、役所に行く時間が一つもありません。これは実情を申し上げます。はなはだ私は残念だと思つておる。私はこまかい仕事に丹念できるようにしたいと思つております。今のところそれはできません。まことに遺憾千万でございます。
  162. 横田甚太郎

    ○横田委員 そう怒つて来ないとおもしろくない。あなたと私が笑つて話をするわけには行かない。議会が開かれておつたということは一体何ということです。これは去年の十二月二十一日だから、去年と正月にあなたは何をしておつたか。リッジウエイ将軍と話をしておつたんじやないか。そんないらぬことを言うな。だからここで聞く。二、三反米の内容もわからずに取締りを云々するということのために、わが党は演説会をやるのを二日延ばし、三日延ばし、一箇月も二箇月も何回も延ばしているんだ。しかもそのために塩田伍一というのは自由労働者であるが、仕事をほつて警察へ交渉ばかりに行つているじやないか。しかも警察は事情がわからないのに交渉に行くから、こいつはうるさいやつだというので、塩田伍一は映画俳優でも何でもないのにかかわらず写真ばかりとられている。これは人権蹂躙である。こういうようなことがあなたのところに行つているのかいないのか。  それから三百二十五号違反というのは、何だ。私のは反米的な演説なのか何なのだ。はつきり言つておく。私の演説はひつかからない。ほかの人のはかかる。同じことを言つても違うのだ。そういたしますと、三百二十五号違反あるいは反米というものの内容は、ときによつて違うのが日本の現状である。だから反米並びに三百二十五号違反という、占領下において日本の進歩的な連中は実にのろうて余りあるこの魔の法令なるものは、一体何を基準にきめておるのか、これを聞きたい。
  163. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは今後の問題として、私はすべての資料を集めて整備したい、こう考えておるのであります。
  164. 横田甚太郎

    ○横田委員 関連ですから、なおうんと言いたいのですが、山口君が資料をたくさん持つておりますから、次の治安の問題に移ります。治安というものを承りたい。治安を乱すのは共産党だけだとは、そんなとぼけた答弁はできないだろう。たとえばこの間B二九が落ちましたね、B二九が落ちるやいなや、その付近には村民がわが家に寄れない。この因果なB二九が落ちたところには村会がある。村会を開かなければならないにもかかわらず、B二九が落ちたというだけで、どの法規をどう適用したのが知らないが、そこへ立ち入つてはいけないという命令をしたのがアメリカ人である。それがために日本人の憲法によつて保障されたところの村会が開かれなかつた事実を知つておるか。村会が開けないこの正常でない状態は治安の乱れじやないのか、どうなんだ、君。
  165. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点についてはよく調査いたしたいと考えております。
  166. 横田甚太郎

    ○横田委員 アメリカ軍を調査するのは非常に気が長いんだね。飯田君を取締るときには気が早いんだね。三鷹のごときは犯罪事情がそろわないのに長い間拘置所にぶち込んだ。アメリカの場合はこれは気が長い。占領下において占領している国の飛行機が空を飛び、戦後においてわれわれ軍隊、軍事力を持つておらないときに、B二九という殺人兵器だけを積んでいるものが空をぶんぶん飛んでいる。これを治安の乱れと思わないか、これはどうですか。
  167. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 B二九が空を飛ぶことをもつて治安が乱れておるとは断じて思いません。治安が乱れているというのは、いわゆる破壊的活動行為をした場合、ある一定の意思をもつてやるものを私はさすのです。
  168. 横田甚太郎

    ○横田委員 お気の毒な、おそまつな御答弁ですね。こちらから伺いたいのはまだ次にある。どんなことかというと、このごろ新聞紙上におきましてはアメリカ人が防空演習をやつている。防空演習ですよ、わかりますか。その防空演習をやつているのは、日本の空で日本の土地に空襲がある、爆弾を落す外国の飛行機であるそうであつて日本の空でたまが炸裂すると言つている。日本には八千四百万人の日本人が住んでいる。アメリカ人は日本にはわずかしか来ておらない。ところが占領下の防空演習をやつておるときに、アメリカ軍はアメリカ人を対象にしてやつておる。これは日本人を除外しておる。こういうようなことは治安の乱れる大国になるのじやないか。その点に対する見解はどうなのだ。
  169. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はアメリカ人の防空演習のことについては少しも関知しておりません。存じません。
  170. 横田甚太郎

    ○横田委員 存じないならどこの法務総裁だ。あなたは日本人の治安を云々する人でしよう日本の新聞で、日本の活字で、日本の空でやられている外国軍隊の演習、しかも原爆に備えての演習だ。あなた方が追放された、過ぐる戦争には非常に功績のありました過去の戦争協力の過程におきまして、何も知らない人民は敵の飛行機におつかけられてどのくらい苦心したことか。これはあなたたちは追放者だから、あまりそういう苦痛をお受けにならなかつたでしよう。そこであなたに伺いたいのは、こういうように平和に暮しておる日本人に、外国人が来ておつて空襲警報が発せられるよう條件があるような演習や行為をするということは、これこそが治安を乱す唯一の原因であるというのである。だから外国軍隊がいることが、すなわち簡単に申しますと治安の乱れであつて、外国軍隊がおらないのが治安の確保だと、私はこう思う。それがためにこの日本におきましては一体どうなのですか。安全保障処置費の問題、あるいは防衛分担金の問題、これは日米安全保障條約に賛成せられた党までが、白い札を持つて行かれた党までが、今度の国会ではこれはいけないと追究しておるところが議会における審議の中心になりまして、非常な国会論争の種になつているじやないか。これも一つの小さい意味における波瀾でありまして、こういうふうな大きな原因を除外して、小さく取締ろうとするところの治安軍の創設が売国軍隊であつて、いわゆる売国軍備であると、私はこう言う。だからこの点において答えられないのだから、あなたのようについこの間から最近の政治にお入りになりました人に聞こうとしない。聞きはしない。要はこういうふうにアメリカ軍が防空演習をやつているということが、すなわち治安の乱れになるということをはつきり私は確認することができる。その点におきまして、日本の空に脅威があるのかどうかということを一応明らかにしまして、できるならばこの間リツジウエイ大将から相当お仕込みをお受けになりましたところの、日本の国に対する外からの治安の乱れについて、懇切なる御答弁を願いたいのです。
  171. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 先ほど申し上げました通り、リツジウエイ大将との会談は、さような点には毛頭触れてないのであります。この際特に申し上げたいのは、治安維持ということは、いわゆる暴力による破壊行為的不法活動を私はさしているのであります。アメリカ軍の飛行機が飛ぶとか防空演習をやつたからといつて、こういうことをもつて日本の治安の乱れとは考えておりません。
  172. 横田甚太郎

    ○横田委員 その破壊的行為については、私が一般質問の時間を持つておりますからそのときゆつくりあなたにいたします。破壊的行為としては、労働者がもらえるところの賃金をもらえない、農民がもらうべき米の値段をもらえない、公務員が十分なる給料をもらえない、税金がむちやに高い、ここに騒動があるのであります。ここにすなわち現在の憲法によつて保障された日本が、憲法に保障された日本とは全然逆の形に移つているときに、せめて今の憲法の形の日本に持ち直したいという人々と、あなたたちの方では憲法を蹂躙して不当の利得を受けて、その上にあぐらをかいているのが治安の乱れになる。だから現在においてそれを守るための何ものでもない。そういうようなことから「改造」三月号の警察予備隊の記録でもよくお読みになつてよく思案なさいまして、私の質問のときにゆつくり答えていただきたい。  最後に私は、関連質問でありますから簡単に伺いたいのは、日本が軍隊を持つということは非常に私は残念です。国辱です。なぜかと申しますと、軍隊は国威を発揚するものであります。この国が伸びるために、この国の発展のためになくちやならないものだと再軍備派は言うにもかかわらず、この軍隊はそうでない証拠があるのです。ここに一つの事実があります。これは二十七年二月十一日の読売紙の報ずるところによりますと、西欧において人手が足りない、アメリカが自国の権益と搾取を擁護するためには、どうしても西ドイツの人たちの命とからだをもらわなくちやならない、そのためにドイツで軍隊をこしらえる、これを一歩讓つてこしらえるといたしまして、この軍隊をこしらえたときに、必ずドイツは、押し詰められた四方に対しまして自由になりたいその結果、西に向つたときフランスの心配になる、西に向わずに東に向つたときにソ連と衝突し、ドイツと同盟したフランスが東に向つたドイツを助けるために強大なソ連勢力と争わなければならない、この二つの脅威に対してアメリカがとつた態度は一体どうなんだ。心配するな、ドイツがアメリカの世界秩序維持のために軍隊を出す、そこでその軍隊を出した結果、もしドイツがフランスが心配し、ベルギーが心配し、オランダが心配するような強いドイツの軍隊になつた場合には、アメリカが実力をもつてドイツ軍を弾圧するとこう書いてあるのです。それではドイツ人の血を流しながら、ドイツの権益のためにこれでは何になるか。それは外国のことだから答えないといつておそらくとぼけるだろうから、日本の問題で申しますと、安全保障條約の前文ではどう出ておりますか。「アメリカ合衆国は、平和と安全のために、現在、若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従つて平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、」云々と書いてあるのです。そういたしますと、日本の軍隊は三十一万になるのです。うんとほらを吹いて現在言われるところは三十一万なんです。三十一万の軍隊をもつて日本の国威の発揚になるだろうかというと、それ以上伸ばしたならば、アメリカが恐ろしい、フイリピンが恐ろしい、そのために太平洋の国々の協調ができないから、これをちよちよき切る。だから日本は血の犠牲として三十一万の人命をアメリカに供出しろと言われておるだけじやないか。これは日本の人間をいたずらに殺すことなのであり、このために何千億の金が食われて日本のためにはならない。しかも日本の純真な青年が警察予備隊に入つて、そこで白骨になる。白骨になつて引取人もないような目にあわせられる。こういうような形は一体どういうわけなんですか。だから日本のこういう軍備なるものは、こういうふうな形において再軍備に賛成しつつある遅れた大衆に対しては、間違つた形において、何といいますか、事実を曲げて宣伝煽動をされておる。だから国会の答弁におきまして、あんたたちの答えは一つになつておる。装備は軍隊でありながら軍隊でないと言つておる。まさしくその答弁は正しい。アメリカのためには軍隊であつて日本のためにはこのように役に立たない軍隊であるがために、日本の閣僚は軍隊でないと答えざるを得ないのだろう、こう思うのです。だからこういう点におきまして、この軍隊が日本の国威のためになるというところの根拠だけをちよつと承つておきたい。
  173. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 日本の予備隊は決して日本国発揚のものとは考えておりません。やむを得ず日本の治安確保のために設けたものと考えております。なお申しますが、日本の警察予備隊は、海外出動なんということは毛頭考えておりません。またさようなことはあるべきものでもないと考えております。
  174. 横田甚太郎

    ○横田委員 あわてて海外出動なんか白状してしやべらないでもいい。私の質問にはまだその項はないのです。その点は非常に気が小さいのであきれるのですが、そういうような形で、あんたの言によると三十五万の命がけといわれる共産党員が取締れず、自由党の会合で笑いものになるのはあたりまえです。この点は私の一般質問のときに、あなたにゆつくり恥をかかしますからどうか御覚悟願います。
  175. 塚田十一郎

    塚田委員長 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時半より委員会を再開して質疑を継続することにいたします。  これにて休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  176. 塚田十一郎

    塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたすことがあります。理事西村久之君より理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 塚田十一郎

    塚田委員長 御異議がなければこれを許可するに決しました。  つきましては補欠の選任をいたさたければなりませんが、これは先例により委員長の指名に一任するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 塚田十一郎

    塚田委員長 御異議がなければ北澤直吉君を理事に指名いたします。     —————————————
  179. 塚田十一郎

    塚田委員長 これより午前中に引続きまして質疑を継続いたします。山口武秀君。
  180. 山口武秀

    ○山口(武)委員 岡崎国務大臣にお尋ねいたします。これはきようの新聞の記事ですが、アメリカ人筋からの情報としまして、アメリカ軍が日本で必至とする特定の基地、地域その他施設については、その協定は日米合同委員会で結ばれると、このような情報を見たのであります。これについてお尋ねいたしたいのです。お尋ねすることは、新聞記事に対して云々ということではなくて、このように書かれているような事実があつたのかどうかということ、これをお伺いいたします。
  181. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 まだ正確にはきまつておりませんが、話合いの内容はそういうことになつております。
  182. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうしますと、行政協定の中において日米代表は朝鮮動乱のための軍隊も含めて日本にあるすべての米軍を米防衛軍として取扱うことに意見の一致を見た、このように書いてありますが、この点はいかがですか。
  183. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 それはやや正確でないと思います。行政協定においては日本の防衛のために駐屯するアメリカ軍の配備を定めるものであります。そこで国連協力という見地から国連軍の行動に対しては、別に日本としてはできるだけの援助をいたすことにしております。そこでいよいよ占領が終つた場合に、日本の防衛をする軍隊が同時に国連軍であるということになりますれば、国連軍に対しても同様に協力をいたすことになります。
  184. 山口武秀

    ○山口(武)委員 先日の岡崎さんの答弁によりますと、日本の兵力について、これは予備隊のことでしようが、海外派遣は公式にも非公式にも防衛協定の交渉その他のときにおいても話がなかつた、こういうように言われております。やはり今あげました情報によりますと、日米代表は原爆の攻撃のため日本基地を使用するとか、あるいは日本基地から中国本土を攻撃するというような問題、こうした緊急事態の問題に関しては討議をしていない、こういうように載つております。これは先般の岡崎さんの答弁と一致する向きがあるとも見られるわけでありますが、そういたしますと、このような問題については別個の交渉あるいは別個の協定がつくられることになるのですか。
  185. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 別個の協定等はないものと考えております。
  186. 山口武秀

    ○山口(武)委員 このような問題が出て来ることが当然考えられます。あるいは講和発効後において朝鮮会談がまとまらないで、中国本土爆撃というような問題が生じたときに、当然これはあらためて問題にならなければならないわけですが、この問題についてもお考えになつていないというのですか。
  187. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 国際連合が国際警察として行動することに対しては、日本政府はあらゆる可能な範囲の援助をいたすことにしております。
  188. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうしますと、中国本土爆撃のために日本の基地が使用される。あるいはこれは原爆の基地としても使用されるということがあり得ると言えるのですね。
  189. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 そういうことはあり得るかあり得ないか、まだ全然話に上つておらぬ仮定の問題であります。
  190. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そういう問題についての政府のお考えを聞きたいのですが、この問題はまだ話が進んでいないとか、あるいは交渉していないということで済まされる問題ではないのです。この問題が起つたとたんに、日本は戰争の中にたたき込まれてしまう。日本国民の生命というものは奪われる事態が生ずる。これについて政府は当然考えを持たなければならないし、たとい交渉にその問題が話題として上らないとしても、政府の態度は明確になつていなければならないはずです。この点をお尋ねいたします。
  191. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 原爆等の問題は何ら話に上つておりませんから、お答えする限りでありません。国際連合が国際警察行為としてなすべきことは、戰争を目的とするものでなくして平和の維持であります。この平和の維持として努力する国際連合の行為に対しては、われわれは可能な範囲で協力するということを申した。
  192. 山口武秀

    ○山口(武)委員 政府はいつそのような権限を国民からまかされたのでありますか。国民にしますれば戰争はまつぴらごめんだ。中国本土爆撃の基地に日本が使われるような場合、また戰争に追い込まれる場合、あるいは警察行動であるとか、戰争であるとかいう議論を別にして、現実の問題になつて来る。現実の戰争状態になつて来る。こういうことについて政府に国民が、日本を中共爆撃の基地にしてよろしい、戰争にぶち込まれてよろしい、こういうようなことをまかせた覚えは私はないと思うのです。何に基いてそういうことをなしたか。
  193. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 国際連合はたびたび言う通り、戰争をいたしておるのではなくして、国際警察軍として平和の維持に努力をいたしている。従つてこれは戰争では全然ありません。
  194. 山口武秀

    ○山口(武)委員 武器を持つて人を殺し合つている。しかも国家の意思においてやつている、これは戰争というのだ。鉄砲を撃ち合いしている状態を戰争という。そうあなたは議論をしておりますが、かつてなことを言つておりますが、現実に中国本土爆撃というような問題が起つたときには、日本国民は戰争に追い込まれてしまう。あなたたちがいかにこれは警察行為になるのだといつても、殺されるのは日本人だ。国を破壊されるのは日本国なのだ。こういう状態について言つている。あなたはこれには責任を感じられていないようです。それはまあいいでしよう。よろしいですが、やはりこれは情報でありますが、日米防衛委員会というものをラスク氏とあなたが非公式の会談で話をまとめた。このようなことを言つておりますが、やはりこれも新聞に対して責任を持てないとかどうとかいうことでなく、こういうような事実があつたのか、ないのかということを伺いたい。
  195. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 そういう事実は公式にも非公式にもありません。
  196. 山口武秀

    ○山口(武)委員 岡崎さんの先般の答弁によりますと、日本で非常事態が起つた際、これは直接侵略あるいは間接侵略、そういうよう政府の言われる言葉の意味での非常事態という意味です。そういう場合に日本の予備隊それからアメリカの駐屯軍、これに対する総合的な指揮官というか司令官というか、これについてはまだ話をした覚えがない、問題にもなつていない、しかしこういうような問題は、当然今後問題にならざるを得ないと思う。それが問題にならないとするならば、初めからあなたたちの意図するような駐屯軍はいない方がいい、警察予備隊も必要ないのです。そういうことについて当然きめなければならないのですが、あなたはそういうことは問題になつていないと言う。そうしますと、こういう問題をきめるのに、今後別個な交渉が持たれるのか、これはどういうふうにされるのか、この点お伺いしたい。
  197. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはこの前もこの席で申した通り、米軍の駐屯の真の目的は、いわゆるデイターリング・パワーということであります。日本を侵略せんとするような国があつた場合に、アメリカの強大なる武力を背後に置いておれば、このアメリカ軍に対する挑戦はおそらくいたさないであろう、従つて非常な抑制の力になる。すなわちアメリカの軍隊がここにいるということは、日本の平和を維持し、侵略をあらかじめ阻止する手段である、こういうふうにわれわれは考えておるのであります。従つてそういう非常事態の起らないために置いてあるのであります。しかしながら万一そういうことがあるかもしれぬ、これは想像をすれば、りくつから言つてないと断定もできないわけでありますが、そういうときにはまたそのときの事態に応じて、適当な措置を講ずるよりしかたがない、こう考えております。
  198. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そのような重大な問題を、あなたはそういう問題が起つたときはそのときでやる、こう言われる。そういうような国の運命に関する重大な問題を、ないがしろにしているというか、まあここでごまかされているのか、それはどうかわかりませんが、それでよろしいものなんでしようか。政府の態度は、その程度の責任においてやられている政治なのでありますか。
  199. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 決して重要でないとは言いません。重要であるからこそ、アメリカ軍にここに駐屯してもらうというような非常の手段を講じておるのであります。しかしながらアメリカ軍がおるということは、もし侵略の野望を持つているような国があるとしたならば、何か行動を起す前に、再三再四考えさせられるのであろうから、平和は維持できるであろうという予想のもとにやつておるのであります。
  200. 山口武秀

    ○山口(武)委員 大分おもしろいことを聞かされましたが、一体どこの国が日本を侵略するというのですか。私は非常事態というものを駐屯軍によつて事前に起らないようにする、このことは少々納得いたしかねるのです。これはアメリカ軍の戦争についての方針というもの、それからアメリカ政府の戦略というもの、こういう状態を見たとき、そのようには納得いたしかねるのであります。例を申し上げますならば、仏領インドシナに対して、いろいろアメリカが干渉して意見を発表している。あるいは東南ア防衛のための各国の軍事会談ということをやつて、これに対してどうこうということを進めておる。しかしながら、仏印に対してアメリカが何の関係があるのです。ホー・チミン軍とフランス軍が戰つておる。アメリカに何の関係もない。(「ソ連に何も関係ない」と呼ぶ者あり)ソ連は何もやつていないじやないか。そういうように、アメリカ軍が干渉するという事態がある。そういう点から見ても、日本における駐屯軍というものが、これはあなたの言うような意味には私には受取れない。それからもしもそういうような問題を未然に防ぐためとするならば——一体それを政府は言い切れるのか。サンフランシスコの講和会議で吉田さんは何と言つたのか。ソ連あるいは中国に対してきわめて挑戦的な演説をやつているじやないか。どこに平和を未然に防止するというような態度があつたか。ポツダム宣言を受諾していて、ソビエトや中国に降伏していながら、サンフランシスコの講和会議と称するもので、これを非難攻撃している。どこに誠意があるのか。この態度こそ、中国あるいはソ連がいくさをするならやろうじやないかと言つたも同じじやないか。それから台湾についても、台湾との修好を再開する。これに対して中共は、これは吉田政府が中国に対して宣戦を布告したものである、挑戦したものであると言つている。こういうように見て来たときに、一体どこに、日本が非常事態が起るのを未然に防ぐというようなつつましい考え方があるのか。どこにもないじやないか。それでもなおそういうことが言えるのか。
  201. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 山口君の御意見はどうもよくわかりませんが、初めの方は、日本を侵略する国はどこにもないじやないか、こういうわけでありますから、それを山口君の口から聞くことははなはだ幸いであります。そうすればほんとうに非常事態ということは考えなくてもよろしい、万一のために、平和のために備えておればよろしいということになりますから、たいへんけつこうであります。従つて、先ほど言われたように、非常事態に対するいろいろの措置は別段必要がなくなるかもしれない、こういうことであります。  なお中共の方で、われわれが善隣の友好のために台湾の国民政府と平常状態を回復するというのに、一々、これはすなわち挑戦だと言われるのははなはだ迷惑でありまして、われわれは別に武器を持つておるわけでもないし、よその国に戦争をしかけようとしているのでもないので、まつたく平和の関係をだんだん広げて行こうというだけでございますから、こういうことを目して、一々挑戦だと言われる方がはなはがだ穏やかでないと思います。
  202. 山口武秀

    ○山口(武)委員 岡崎さんは、侵略国がないならたいへんけつこうだ、こう言われましたが、それならどうなんですか。日本の国民の権利が制限される、日本の主権が制限される、あるいはさらに言うならば、日本が外国の支配を受ける。事実問題として、日本という国がアメリカの駐屯軍によつて武力的に支配される。こういう状態をもたらす駐屯軍は帰つてもらつたらいかがですか。それから中国に対して挑戦した覚えはないと言われますが、中国人を相手にしない、こういうことは吉田さんが明らかに言われたじやないですか。それでもなおそのような強弁を張られるのですか。
  203. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 初めの方の御質問としては、アメリカ軍に帰つてもらつたらいいだろう、こういうお話でありますが、われわれの方は、うつかりするとまだまだ無責任なる軍国主義が世の中から跡を断たないと認められるので、万一の場合に備えて、アメリカ軍にはしばらくいてもらおうと思いますが、アメリカの勢力のもとに立つなんということはとんでもない誤解でありまして、われわれは決してそういうことを考えておるのではないのであります。また中国に対しては、すでに国際連合ですらある種の措置を中共政府に対してとつておりまして、これに対してわれわれが同調するのはこれは当然であります。
  204. 山口武秀

    ○山口(武)委員 今の答弁はまつたく納得行きません。納得行きませんが、(「わからないのか」と呼ぶ者あり)わからないのじやない。繰返しても同じだからやめておいてやろうというのだ。(どつちが先に手を出した」と呼ぶ者あり)内戦だよ。     〔「質問をやれ」と呼び、その他発言する者あり〕
  205. 塚田十一郎

    塚田委員長 御静粛に願います。
  206. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それは現在進められております行政協定の交渉あるいは行政協定交渉のうち外における場合として進められているか、その点はわかりませんが、いずれにいたしましても、そうしたとりきめの交渉の中におきまして、アメリカ軍の駐屯する地区とか地域とかいうものがきめられることになると思うのですが、この場合にこれは明確に言えば軍事基地の問題ですが、地区あるいは地域、こういうような形できまるのでしようか。
  207. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 おそらく施設とか区域とか、こういう名前できまるだろうと思います。
  208. 山口武秀

    ○山口(武)委員 その区域という場合ですが、区域という場合に、たとえばアメリカ軍がそこにいる所を地区とかそういうことで称して、それからさらにその周囲何キロとかいうものを区域と称する、こういう二段構えのきめ方というものはないのですか。
  209. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 まだこの問題については具体的に話をしていませんから、はつきりしたことは申せませんが、そういうことはないであろうと考えております、
  210. 山口武秀

    ○山口(武)委員 地域というものがきまるといたしますと、そこに住んでいる住民の自由というもの、あるいは権利というものは、どのようになるのでしようか。たとえば、先ほど横田君の質問にもありましたが、この間B二九が埼玉に落ちましたときに、その地域一帯に立ち寄れなかつた、村民も立ち寄れなかつた、村長も入れなかつた、それから家屋について被害を受けている被害民もそこに入ることはできなかつた。こういうように現実の事態として、住民の権利、自由というものが制限をされているわけですが、そうしたことを考えますときに、個々の地域内における住民の権利、自由というのは、どういうことになるのですか。
  211. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 施設、区域等の中には、住民というか、一般の国民の住居等はないような場所になると思いますが、これはまだきまつておりませんから、はつきりは申せません。この間の飛行機の事故のときは、あれは不発弾があつて、爆発する危険があつたから、不発彈を処理する間だけ立ち寄らせなかつた。これは危險防止のための当然の措置であります。
  212. 山口武秀

    ○山口(武)委員 危險のために立入り制限したのだ、こういうことを言われますが、あるいは一、二そういう事例もあつたかもしれません。ですが、そういうことは、地域の中においても、ここはアメリカの危險な火薬がある、今ここは重要なあぶない作戦に使うのだ、こういうような場合が同じように起ると思う。こういう場合の住民の権利、自由というものについて聞いたわけです。
  213. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 あぶない所には立ち寄らないようにするのは、当然であります。
  214. 山口武秀

    ○山口(武)委員 この軍事基地というもの、アメリカ軍の駐屯する地域というものは、もともとあぶないわけです。つまり戦争をやる、そこを基地として人殺しをやろうとするのだ、このくらいあぶない所はないはずだ。それだから、それ自体が制限になるのじやないか、こう聞いたわけです。
  215. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 日本に駐屯するアメリカ軍は、戰争をするために来るのではありません。日本を万一侵略するようなものがあつた場合に、これを防衛するために来るのであります。
  216. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それはどこの軍隊でもそう言つております。日本の東條の軍隊ですら、そう言つておりました。やはり平和のためだと言つておりました。それは説明にならないと思うのです。次に駐留軍ということについてお伺いいたしたい。駐留軍というものの構成についてお伺いしたいのです。これは新聞の報ずるところによりますと、軍人、軍属、その家族、こういうことを言われておりますが、米軍のもとで働いている労働者あるいは御用商人、こういうものはどういうように取扱われるのでありましようか。
  217. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 それは駐留軍じやありませんから、普通の日本人として取扱います。
  218. 山口武秀

    ○山口(武)委員 念のためにお伺いいたしますが、これは今後の交渉におきまして、あるいは現在までの交渉において出ているかもしれませんが、たとえばアメリカ軍の作戦の関係からして、米軍のもとに働いている労務者、御用商人というようなものを、駐留軍という構成の中に含めろというような要求が出ましても、それはしないことができるというわけですね。
  219. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 日本国民等は、アメリカの法律からいつても、アメリカの軍人軍属にはなれません。駐留軍の構成は、軍人軍属とその家族しかないのであります。
  220. 山口武秀

    ○山口(武)委員 岡崎さんの言われる、地域と言われましたか、何と言われましたか、それから施設というようなものは、現在まだ日米間の交渉において決定を見ていないのでしようか。
  221. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 現在はまだ遺憾ながら占領下にあるのでありまして、この地域とか施設とかいうものが決定しますのは、日本独立した後にきまるわけであります。でありますから、まだ決定はいたしておりません。
  222. 山口武秀

    ○山口(武)委員 もちろんそういう意味で言うなら、決定しているとは言えないかもしれません。しかし私の言うのは、講和発効後においてこれをこうするというようなとりきめがつくられていないかどうかということを聞いたのです。
  223. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 準備としては、できるだけ予備的にでもそういう話を早くやりたいと思つておりますが、まだそういうことはきまつておりません。
  224. 山口武秀

    ○山口(武)委員 この地域、施設というようなものについては——特にこれは地域の問題ですが、これがきまりますと、これにつきまして政府ではそのきまつた事柄について、どこどこがどうきまつたということについて、国民に発表いたしますか、それとも秘密にいたしますか。
  225. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはその都度発表いたします。
  226. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうすると、私多少ならず疑問が起つたのですが、二月八日の毎日新聞によりますと、アメリカ軍は二十億の予算で、講和発効後の駐屯軍の総司令部ですか、これを朝霞に移転することにきめた。先ほどの話によりますと、まだそれは確定はしていない。ところがここじやきまつた言つている。しかも在日建設工事部では朝霞地区の拡張増強をはかつているのだ、すでにやつているのだ、こう言つております。これは協定違反じやないですか。
  227. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 協定はまだできておりませんから、協定違反ということにはなりませんが、いまだそういう話は何もきまつておりません。
  228. 山口武秀

    ○山口(武)委員 協定がまだできていないことをやつたのは協定違反ではない。なるほどそうでしよう。しかし協定を無視して、協定というようなものを問題にしないで、実力でやつたということを言つたのです。朝霞の工事が行われておるということはうそですか。はつきり政府は否定できますか。
  229. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 朝霞に工事が行われているとすれば、それは占領軍の必要に基いて行われた工事であります。
  230. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それはごまかしでしよう。だれが聞いてもごまかしです。あらためて私が聞く必要もないことです。  それからこれは昨年秋の北京放送ですが、それによりますと、日米間の行政協定の米国案というものを言つておる。それの中で、日本国内の非常の際には、アメリカ軍が日本の予備隊はもとより全警察機構をその指揮下に置くことになる。こういうことを言つておりますが、こういうようなことがあるのかどうか。
  231. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 そういうことは、まだ全然話に上つておりません。
  232. 山口武秀

    ○山口(武)委員 まだ話に全然上つていないということになりますと、今後においては上る可能性があるという意味ですか。
  233. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 別に今後上るという意味ではありません。
  234. 山口武秀

    ○山口(武)委員 答弁があいまいですが、こういうことは絶対にない、こう政府は言い切れるでしようか。
  235. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はただいまの現状を率直に申し上げておるのでありまして、北京放送について議論をしておるのではありません。
  236. 山口武秀

    ○山口(武)委員 私も北京放送について議論はしておりません。北京放送が、日本国の非常の際にアメリカ軍が、予備隊はもちろんのこと全警察機構をその指揮下に置く、こういうことを言つておるが、こういうことの話があるかないか。それから全警察機構がアメリカ軍の指揮下に置かれるというようなことは、今後絶対にないということを政府が言い切れるかどうかということを聞いておる。
  237. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 現在全然話に上つておりません。また将来もこういう問題は両国政府の話合いによつてきまることでありますから、そういうことは両国政府がお互いに適当と認める処置を講ずることになると思います。
  238. 山口武秀

    ○山口(武)委員 大分ごまかされましたな。ごまかされたというのは、あなたがごまかそうとしたという意味です。私はごまかされません。国民もごまかされませんよ。時間の関係がありますので、もう一つ大橋国務大臣に聞きたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。  私は大橋国務大臣に、予備隊の海外出動の問題についてまずお尋ねいたしたいと思います。このことは繰返して申しますが、明確な答弁がまだなされていないのです。それからまだこれまでの政府答弁におきましては、国民を納得させるものがなく、疑惑が多く残つているのですが、講和條約によりますと、国連への協力ということが書かれている、それからアメリカ軍の状態というもの、アメリカの世界戦略というものから見ても、当然予備隊の海外出動ということが要求されると思います。これは事実だ。今すぐ、あすにということではかりにないとしても、海外出動を準備しておけとか、あるいはその要求に応じられるようにしておけというような要求が、アメリカから出ていないかどうか。
  239. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私は全然承知いたしておりません。
  240. 山口武秀

    ○山口(武)委員 かりに海外派遣を要求されたときには、どうなさいますか。これはこの間の大橋国務大臣の答弁によりますと、頼まれたらお断りする、こういうことを言つております。しかしながら、頼まれて断れるのかどうか、この点を聞きたい。
  241. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 頼まれたらお断りするつもりでございます。
  242. 山口武秀

    ○山口(武)委員 私はそうは行かないと思う。日本の状態を見たときに、日本政府の意思というものが、あなたの言うような意思で生かされますか。現実に日本を支配しているものはだれなんだ。これは日本国内に強力な軍隊を持つているアメリカだということは明瞭なんだ。これをおいて日本の政治はとれないはずなんだ。こういうよう状況考えてみましたときに、あなたの言うように、頼まれたら断る、こういうような簡単な話に行くのですか。行くということが保証できましようか。
  243. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ソ連をめぐりまする衛星国におきましては、ソ連の意思は絶対であるそうでございますが、日本におきましては、かような問題につきましては、日本政府が自主的に決定すべき問題である、こう了解しております。
  244. 山口武秀

    ○山口(武)委員 そうですか。ソ連圏内においてはそうなんですか。あなたはどこでそういうことを聞いて来られたのですか。それよりも、そういうことを言うならば、ヨーロッパ統一軍をつくれと言つたのはだれなんですか、アメリカでしよう。それから台湾の蒋介石の軍隊を援助して、これをアメリカ軍の作戦計画の中に入れようとしておる、あるいは東南アジアの軍事会議を開いておる、これがアメリカではないか。こういうような状態が起つて来たとき、当然これは日本にも要求されて来るはずだ。要求されないで済むはずがない。たとえば日本は西ヨーロツパにおける西ドイツと同じようになぞらえられている。日本の国を再軍備させて、ここの軍隊を使うということが、アメリカの世界戦略にとつて決定的に重要な意味を持つているはずだ。こういうときに、アメリカがこういうものを要求しないと言われる根拠というものは、もう少し説明してもらわないと、私のみならず、全国民が理解できないと思う。ひとつ御親切に御説明願いたい。
  245. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この警察予備隊の海外の出動の問題につきまして、御懇篤なる御質問を賜わつたのでありますが、この点につきましては、一番初めに国連協力ということを申し上げました。この国連に対する協力ということは、日本は確かにしなければならない、こう考えておる次第でありますが、日本政府の理解しておりまする範囲におきましては、国連に対する協力というものは、わが国の憲法並びにその他の国内法規に準拠いたしまして、許されておる範囲内において日本政府が自主的に協力をしよう、こういう範囲に考えておる次第でございます。しかして現在におきまして、予備隊の海外出動ということは、国内法において許されておる範囲とは考えておりません。従つてような要求がございました場合におきましても、政府といたしましては、国内法の許されたる範囲においてのみの協力をお引受けするのでありまして、それ以上にわたります海外に対する予備隊の出動というようなことは、これはお引受けできない、こう思う次第でございます。
  246. 山口武秀

    ○山口(武)委員 懇篤な説明でありがとうございましたが、だれも今の説明では了解できないだろうと思います。国内法が許さないと言われるならば、現在の警察予備隊というものも、国内法から見て存在し得ないはずなんです。(「ノーノー」)これをノーと言われるのは自由党の諸君だけです。あとはだれもそうは言わない。     〔「国民の一%だけだ」と呼ぶ者あり〕
  247. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員外の発言を禁止いたします。
  248. 山口武秀

    ○山口(武)委員 しかも現在におけるアジアの情勢を見まするときに、アメリカ軍の朝鮮における戰争というものは、少くとも鴨緑江まで侵略すると言つたマツカーサーの計画は完全に破綻した。しかも最近は空中戦におきましても、アメリカが唯一のたよりにしていた空中戰におきましても、ミグ戰闘機ができてから、現在すでにもう晝間爆撃もできない状態にまでアメリカの空軍の優位性がなくなつて来た。しかも今後ますます中共あるいは北鮮における空軍力というものは増大される、そういう状態、しかも中国における軍事力というものも、政府の皆さんが考えているよりも、もつと加速度的に強くなると思う。こういうよう情勢を見まするときに、どうしてもこれは日本を再軍備し、アメリカ軍の指揮下に入れての海外派遣ということを考えざるを得なくなるということは、だれでも思うことである。しかも最近におきまして仏印の問題が大分議論になつておる。現在仏印には中共軍というものはただの一人もいないはずである。外国軍はいないはずだ。全部仏印の原住民、これとフランス軍の戦いである。そういうようなことを考えまするときに、アメリカが仏印について大分云々しておる。こういう状態を見るときに、日本の軍隊が、朝鮮のみならず、あるいは仏印に派兵されるというよう状況も、アメリカのアジア戦略というところから見た場合、当然起つて来る問題である。こういうところから私は予備隊の海外派遣という問題が生ずるのではないだろうか、こう考えたわけなのです。こういうことは今後とも絶対にないということを大橋国務大臣は言い切つてくれるでしようか。
  249. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 どうも山口君の御質問を承つておりますと、何とか予備隊を海外に出したいような御口吻のようでございますが、遺憾ながら政府は全然反対の見解を持つております。
  250. 山口武秀

    ○山口(武)委員 それではお伺いいたしますが、予備隊が南方向けのテントを発注するという問題が起つておる、こういうことを聞いておるのです。政府の方で、約三億円の南方向けの特別な構造を持つたテントを発注しておる、その大部分が予備隊用のものなのだ、こういううわさを聞いておるのです。こういうようなうわさが出ていると、ますます予備隊の海外派遣という問題が、国民として考えざるを得なくなつて来るのです。心配せざるを得なくなつて来るのです。このような事実はないと言われるのでしようか。
  251. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 テントは多少買つておりますが、別に南方向けとして買つたことはございません。
  252. 山口武秀

    ○山口(武)委員 南方向けとして買つたことはないと言われましたが、私は南方向きの構造を持つテントの発注ということを申したのです。これを日本繊維、それから帝国製麻、この両社のいずれかに発注しておるということで、大分問題が紛糾した。こういう事案はないと言われるのでしようか。
  253. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私にはテントの構造も、南方式というのも、まだ見たことがございませんので、お答えいたしかねます。
  254. 山口武秀

    ○山口(武)委員 南方向けのテントの構造というものを知らないから、わからないという……。(「どんなテントか説明してくれ」と呼ぶ者あり)暑い国で、のみや蚊なんかが入らないようなテントだ。それではその問題ははつきりした。大橋国務大臣の否定がなかつたということでありますので、これはその程度にいたしておきます。  次にお尋ねしたいのは、この点についても、まだこれまでの政府答弁におきましては、われわれ納得行かないことがあつた。それは原爆の基地の問題です。たとえばこの原爆の基地の問題について、そういうことはないと言われましたが、原爆の問題になりますと、事きわめて重大なのです。おそらくその基地になりますと、日本もその場合原爆の応酬を受けるわけなんです。下手をすると、日本国民の半分くらいが死んでしまうわけです。そういうような重大問題なのです。総理大臣は、ないと言われますが、日本に原爆の基地を持ちたいというアメリカの要求はきわめて強烈である。これはイギリスでもあれほど重大問題になつた。イギリス政府でも、イギリスに原爆の基地を持つて、それを一方的にアメリカが使用することに反対だ。これで何べんもアメリカとの交渉をしたわけです。おそらく日本の吉田総理大臣よりはアメリカに対して強力な立場にあるところのチャーチル氏にしても、あれほど強硬な主張をして、この問題についての解決をはからなければならなかつたのです。現実に日本国内におきまして、アメリカの軍人軍属に対して、原爆待避の訓練が行われておる。情報によりますと、日本に原爆の基地をつくるつくらぬということは、問題にする必要はない、大きな飛行場ならいくらでも原爆を出せるのだから、あらためてきめておく必要はない、こういうことも言われている。イギリスにおきましては、イギリス国民の了解のもとに、あるいは政府の同意のもとに、原爆の基地をつくるかつくらないかということが問題になつたわけですが、日本で原爆の基地をつくる場合、日本政府に話がなくて、アメリカだけで大きな飛行場をつくつて、これをかつてに原爆の基地にしてしまう、こういうような心配も考えられるわけであります。そういうようなことが起つては困る。吉田首相は、原爆の基地にしないと言つたかもしれない。しかし相手が黙つてつたらどうするのです。これは相手がやることだから、おれは知らないといつて済ませることではないはずなんです。吉田総理大臣は命を一万張つても二万張つても、これは阻止すべきことなんです。それほどの重大な問題なのですから、ひとつ安心の行くよう答弁をお願いします。
  255. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私どもは、総理の申し上げましたお言葉の通り、きわめて安心をいたしておるのでございます。
  256. 塚田十一郎

    塚田委員長 風早君より関連質疑の申出があります。これを許します。風早八十二君。
  257. 風早八十二

    ○風早委員 山口君の今の質問の中で、南方向けのテント三億円の発注の問題があるのでありますが、これに対する大橋国務大臣の答弁は、はなはだあいまいです。これは帝国製麻と日本繊維、この二つの会社に対して発注せられておると言われておるのでありますが、この帝国製麻には大橋国務大臣が関係しておる。日本繊維には池田大蔵大臣関係しておる。この二人が利権争いをやつておるという情報があるのでありますが、そこまでこの問題が明確になつておるのに、今の国務大臣の答弁は、はなはだあいまいである。     〔「これは聞き捨てならぬ問題だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  258. 塚田十一郎

    塚田委員長 御静粛に願います。
  259. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの風早君の御質問の御趣旨は、何のことか全然私はわかりません。利権問題というのはどういう意味ですか、はつきりおつしやつていただきたい。
  260. 風早八十二

    ○風早委員 二重煙突事件においても、大橋前法務総裁はこれを否認しておつたけれども、今回どうです。参議院の委員会において、すでに高橋証人からすつかりばらされておるではないか。すつかり事件がばれてしまうまで国務大臣は絶対にしらを切ることは常套手段である。われわれはこの事件について徹底的に今後追究するつもりであるから、もう少し責任のある答弁を願いたい。
  261. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 風早君の御質問の趣旨がわかりません。何か二重煙突事件で私が否認しておつて、今度ばれたと言うか、一体何を私が否認しておりましたか。私が初めから申し上げたことは記録にあるのでありますから、そのことが別にばれたとも何とも思いません。事実は初めにきまつた通りであります。  次に、ただいま仰せられました帝国製麻に私がいかなる関係があるというのでありますか、そのことをひとつはつきりおつしやつていただきたい。     〔「関係がないなら、ないと言いなさい」と呼び、その他発言する者あり〕
  262. 塚田十一郎

    塚田委員長 山口君の御質疑を継続願います。     〔発言する者多し〕
  263. 塚田十一郎

    塚田委員長 御静粛に願います。——御静粛に願います。
  264. 山口武秀

    ○山口(武)委員 大橋さんの先日の答弁によりますと、予備隊は直接、間接の侵略に対して国内の治安の維持に当るのだ、このようにおつしやられたと思うのです。そういたしますと、その点におきましては米国の駐留軍と同一の目的を持つと思う。そういうように同一の目的を持つている場合、当然ここに予備隊と駐屯軍の関係というものは、いわゆるそうした意味の非常事態の際に生じて来ると思う。この関係は一体どういうふうになるか。
  265. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 日本に駐留いたします米国軍隊は、もともと直接侵略の場合並びに外国の干渉または煽動によりますところの大規模なる内乱、騒擾に対しまして、日本国の治安のために立ち上る、こういうことに相なると思うのでございます。国内におきまして米軍がさような行動をいたす場合におきましては、当然国内治安の重大なる妨害が迫つて来ておる、ないしは行われつつあるということになるわけでございますから、その場合におきましては、日本政府といたしましても、米軍に対しまして出動を、明示の要請をいたしますると同時に、警察予備隊本来の使命を達成せしめますために、これに対して出動を命ずるということは、当然あり得ることでございます。従いましてこの場合において、米軍と日本の警察予備隊というものは、日本国内の治安の回復という共同の目的のために行動をいたすわけでございまして、その際は共同の目的のために、共同動作をとりまする以上は、互いに連絡、協力をいたし即して、その目的の達成に努力すべきものと考える次第であります。
  266. 山口武秀

    ○山口(武)委員 ただいま予備隊と駐留軍の共同動作が生れるということを言われておりましたが、この連絡調整、さらに厳密に申しますと、この場合における両者の指揮権というものはどこにありますか。
  267. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 米軍の指揮権は当然米国にあるわけであり、警察予備隊に対する指揮権は当然、日本政府、すなわち内閣総理大臣にあるわけでございます。
  268. 山口武秀

    ○山口(武)委員 二つのものが別個に存在しておる、しかしそこに共同動作が生れる場合に、連絡調整というものがある、こう言われた。そういう場合に連絡調整ということは、私は厳密な意味でいいますと、両者の指揮権ということになると思う。指揮権ということにならないといたしますならば、そのために特別な調整委員会というものが生れるのかどうか。しかもそれが、重大な目的で駐留軍が存在し、予備隊がつくられたとしまするならば、あらかじめそういうことが考えられていなければならないと思う。そうした場合に、日本の予備隊はアメリカ軍の指揮下に入る、アメリカ軍の司令官のもとに指揮されるというような事態が生じないかということを聞いたのです。
  269. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのところでは、この米軍の活動と日本の警察予備隊の活動とをいかに連絡調整するかということにつきましては、政府といたしましては、まだそこまで考えていない次第でございます。従いましてこのために委員会をつくるということも、ただいま考えておりませんし、またこの委員会の話合いの結果、どちらかの側が他の方を含めて指揮権を持つかどうかという問題も、ただいま全然問題になつておりません。
  270. 塚田十一郎

    塚田委員長 山口君に申し上げますが、お申合せの時間になつておりますので、この一間で一応結論をつけていただきたいと存じます。
  271. 山口武秀

    ○山口(武)委員 時間がなくて予定通りにお聞きできなかつたわけですが、最後にお聞きいたします。私の疑問とするところ、あるいは国民の疑問とするところはこうだと思うのです。結局予備隊はアメリカ軍の指揮下に入るのではないか、アメリカ軍という言葉があるいは時期的に正確を欠くといたしますならば、アメリカの軍人から選ばれた指揮官のもとに入ることになりはしないか。これはそういうような共同動作が生れた場合に、指揮官というものは当然なければならない。特にそのために調整委員会というようなものがないとしますと、一層そうなると思います。もしも調整委員会というものが生れた場合に、事実問題としてはアメリカ側に指揮権がある。なぜかといいますと、現実に予備隊の武器はアメリカの武器ではないか、しかもアメリカの駐留軍が持つ武器と日本の予備隊の持つ武器を比べてみた場合に、アメリカ軍が共同動作の際の中心になれるようなすぐれた武器を持つている。日本の予備隊はアメリカ軍の主力に付随して戦うような武器を持たされる、こういう事実から見てもそうなりはしないだろうか。それから戦闘訓練の状態を見ましても、アメリカの方式による戰闘訓練が予備隊においてなされておる。これは当然その実力から見ても、アメリカ軍の指令官の指揮下に入るということが必然的な問題として起るのじやないか、現実に予備隊の指導をしているのはアメリカ軍の顧問団ではないか、こういうふうに見た場合に、日本国内のものであるから日本人がその指揮権を持てるというようなことを言つていいでしようか。
  272. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先ほどから申し上げる通り、予備隊は内閣総理大臣が最高の指揮者であり、米軍の指揮下に入るということは考えられません。
  273. 山口武秀

    ○山口(武)委員 どうも大橋国務大臣にはつきりしたことを言つてもらおうと思つたのですが、きわめて残念です。そうは言われますが、私の言いたいことは、アメリカ軍は武器を持つている、そして事実上実力を持つて日本を支配しているのは現在のアメリカ軍である。講和発効後もアメリカ軍が留屯する以上これが実力を持つだろう。しかもアメリカの武器をもつて予備隊が訓練され、アメリカの軍事顧問団によつて予備隊が指導され、アメリカの兵式による訓練がなされておる。しからば事ある場合の指導権は当然アメリカにあるもはないか、こういうふうに聞いたのです。
  274. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 予備隊の指揮権は、先ほどから申し上げる通り日本が当然持つておるわけでございます。アメリカがこれの指揮権を持つというようなことは全然考えられないことであります。
  275. 山口武秀

    ○山口(武)委員 私は納得いたしません。国民も今の答弁ではわからなかつたろうと思うのです。何か機会がありましたら、またひとつお聞かせを願いたいと思います。
  276. 川島金次

    ○川島委員 議事進行について……。ただいま共産党の風早委員から予備隊の予算に関連いたしました質疑の中に、われわれ議員として、他面国政の衝にある政府閣僚の立場からいいましても、きわめて重大な発言がありました。すなわち予備隊は最近において南方向けのテントを発注した、その発注先は日本繊維並びに帝国製麻である、しかも帝国製麻には大橋国務相がこれに関連し、日本繊維には池田蔵相がこれに関連し、なおかつ両名が利権争いを行つておるという発言でありました。この問題が事実といたしますれば、きわめて重大な事柄と申さなければならない。ゆえに私はこの機会にこの発言に対する大橋国務相並びに池田蔵相の良心と責任ある立場における明確な言明をこの席上で要求いたすものであります。  同時にまた委員長においてとりはからわれたいことは、両国務相の釈明いかんにかかわらず、われわれは重大な発言に重大な関心を持つがゆえに、予備隊が最近において帝国、日本両会社にテントを発注したりといわれる事実がありとすれば、その発注の状況並びに両会社の重役、顧問もしくはこれに準ずる等の役員の機構等について政府側はこれを調査し、本委員会にその事柄が明瞭になるよう資料を提供されんことをこの機会に委員長に要求するものでございます。
  277. 塚田十一郎

    塚田委員長 川島委員よりの委員長に対する要望は了承いたしました。  なお、ただいまの議事進行は政府もお聞き及びの通りでありますから、この際政府側より何か発言がありましたらこれを承ります。
  278. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま川島君からの議事進行の発言におきまして、警察予備隊の発注いたしましたるテントについての契約の状況、これについて詳細なる調べを出せということでございます。これは了承いたしました。  なお帝国製麻並びに日本繊維の重役の名前を出してくれ、それは速記録によりまして取調べの上御希望に沿うたものを出すつもりであります。  それから私の一身につきまして申し上げます。私は帝国製麻なるものがいかなる会社であるか全然存じておりません。  なおこの際に私の個人的希望を申し上げることをお許しいただきますならば、少くともかような事柄につきまして、いやしくも政府の責任者に疑惑を抱かしめるがごとき発言を、議員が公開の席においてされるという場合におきましては、私はもしさようなる事実がなければみずから議員を辞して責任をとるというだけの覚悟を持つてつていただきたい、こう思います。     〔発言する者多し〕
  279. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま決算委員会の方に行つておりましたのでよく存じませんが、日本繊維という会社は存じません。
  280. 塚田十一郎

    塚田委員長 質疑を継続いたします。川島金次君。
  281. 川島金次

    ○川島委員 私は順序といたしまして、劈頭に岡崎国務相にお尋ねをいたしたいと存じたのでありますが、たまたま出席が間に合わない様子でありますので、順序が違う形になるのでありますが、出席中の大橋国務相に若干のお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  まず最初に、大橋国務相は過般この席上におきまして、現在の警察予備隊を来る十月に、仮称ではあるが、保安隊という形に切りかえるであろうという言明をされました。そこでお尋ねいたしますが、保安隊に切りかえられます際は、現在の警察予備隊令を根本的に改正する意図があるのか、それとも單に現在の警察予備隊令の條文をそのままに置いて、名称のみを改正して切りかえの手段とする意思であるか、その点についてまずお聞かせを願いたいと思います。
  282. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 立法技術につきましては、ただいま事務当局におきまして熱心に研究をいたしております。これはまだ私の個人的な希望の段階でございますが、私のただいまの考えといたしましては、名称をかえるばかりでなく、この際過去の経験に徴しまして、現在の予備隊令では不十分であると認められる若干の規定を補足いたしまして、改正法律案を提案いたす、こういうふうにいたしたいと考えております。
  283. 川島金次

    ○川島委員 今の国務相のお話によると、現在の警察予備隊令では実際に適応しない面がある、いわゆる不十分な点があるとの説明であろうと私は了承いたしたのでありますが、しからばその不十分な点というのは、どの点とどの点にあるかということについての率直な御説明を願いたいと思う。
  284. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これらの点は全体ただいま検討中でございまして、この点が不十分であると考えて、法律改正の際にこれを是正する條項を入れたいということにまだはつきりきめておる段階ではございません。ただ研究すべき事柄として研究中の事柄を申し上げますと、おもなるものといたしましては、第一にはただいまの予備隊令におきましては、個人の退職希望がありました場合に、これは自由に退職を許さなければならないというふうに相なつております。かような点は警察予備隊の依命というものから考えまして、また警察予備隊の隊員を組織いたしますのには、訓練に相当長い期間をも要する等の点を考えまして、この自由な退職についてある程度の制限を設ける必要がありはしないか、この点が第一の点てございます。それからまた警察予備隊がただいまの状況では不十分でありまして、これが拡充強化をはかつておる、特に増員をはかつておるというような次第でございますが、しかし警察予備隊の本来の使命を達成するために、警察予備隊が活動をしなければならないときにおいて、必要といたします隊員の数を平生から準備いたしておくということは、わが国の財政その他の面から申しまして、相当困難な面もあるように存じております。これに対する方策といたしましては退職いたしました者に対しまして、ある期間応召の義務を課するということも研究の点である、こう考えておるようなわけであります。これらの二つの点はいずれもきわめて重大なる問題でございますので、憲法その他の法令等とも考え合せまして、現在愼重に検討をいたしておる次第でございます。
  285. 川島金次

    ○川島委員 そのほか国務相は、保安隊に切りかえるにあたつて、今後保安隊に入隊をせしめます隊員の年齢——最高の年齢あるいは最低の年齢等についての規制を設けるというような意図をお持ちであるかどうか。現状のままでの隊員の年齢をそのまま踏襲するということになるかどうか、その点も伺いたい。
  286. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 一昨年創設の際におきましては、一般隊員はたしか三十五歳未満の者をとるということに相なつてつたのであります。しかし昨年の募集の際にはその年齢を多少低下いたしまして——ただいまはつきり記憶はいたしておりませんが、二十五歳ないし二十七、八歳くらいのところで切つたかと存じます。今後継続して毎年相当の募集をいたすということになるのでありますし、この年齢を何歳から何歳までにすることが適当であろうかという点は、ただいま確かに研究をいたしておりますが、結論には達しておりません。しかしながら一昨年のごとく、三十歳以上の者を一般の隊員として募集するというようなことはなるべく避けるようにし、できるだけ二十歳代の人たちから募集をするようにいたしたい、こう思つておることは事実であります。ただ年齢をどういうふうにするかという最後的な案はまだ研究中でございます。
  287. 川島金次

    ○川島委員 政府では、警察予備隊の世にいう再軍備化という問題に関連して、一部団体がこの予備隊応募に関する拒否の運動を展開するという事柄に対応して、この予備隊員の徴募を全ういたします一つの方法として、また予備隊の精神的な固めをいたします一つの方法とも合せまして、次の警察予備隊の徴募の際には、全国町村長の推薦による優秀な青年を募るという方法を何か講ずるやに伝えられておる向きがありますが、その計画があるかどうか、お示し願いたい。
  288. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 今年の募集につきまして、町村長に推薦方をお願いするようにしたいということを研究しておることを、私は事務当局から報告を受けた記憶がございます。しかしこれはたびたび申し上げましたごとく、町村に割当てまして町村長が義務的にある一定の数を責任をもつて推薦させようというような趣旨ではまつたくないのでございまして、警察予備隊の応募者が各町村において多数あるのでございますが、しかし政府といたしましては、できるだけ優秀な人を各町村からまんべんなく採用するようにすることが、予備隊の運営上適当ではないかと考えておるのでございます。このためにはまず優秀な人をとらなければなりませんので、身元調査、その他等に非常に苦心をいたしておるのでございますが、多数の応募者の中から特に町村長が、これこれの人々は適任であるといつて、責任をもつて推奨される場合におきましては、優先的に採用において考慮するということも考え得るのではなかろうか、こういう意味においてそういう点を研究いたしておる次第でございます。
  289. 川島金次

    ○川島委員 現在の警察予備隊の定員は七万五千であるが、今日まで七万五千の定員に対して欠員がありといたしますれば、どのくらいに及んでおるか。なお来る九月には予備隊の自由退職ができる形、いわゆる満期になつております。その満期に際して、現在残つておる予備隊員のうちでどのくらいのものが退職する見込みであるか、政府もすでに内々の調査がしてあろうと思いますので、その点についての内容をお示し願いたい。
  290. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊は一昨年の夏に七万五千を募集いたしましたが、その後非常に退職が多かつたのでございます。この理由は、当初予備隊の性格というものについて入隊者が十分なる認識を欠いておつた。入つて見たところが考えておつたものと多少の食い違いがある、この点が一つだつたと思います。それから次に、予備隊におきましては、一般隊員から試験の上幹部を採用いたしたのであります。入隊に際しまして幹部を希望して入隊いたしておりました者のうちで、この試験の結果幹部昇進の望みがなくなつたということで失望いたしまして退職を考えた、こういうことも大きな原因だと思います。この二つの理由によりまして、昨年の夏までに約一万以上の欠員を生じました。これは昨年の秋におきまして約一万人ばかりの欠員を補充いたしたわけであります。しかしその後におきましても、月々多少の退職者を出しておりますので、数千名程度の欠員があろうかと思いますが、大体において充員をいたしておると考えております。  それからことしの秋の切りかえの際にはどのくらいの人がやめるであろうか、その見込みはどうかというような御質問でございましたが、秋の二年間のいわゆる期間満了の際の退職の見込みにつきましては、正確なる調査はいたしておりません。大体の感じといたしまして、三分の一以内程度の退職者があるのではないかと思つております。
  291. 川島金次

    ○川島委員 七万五千の三分の一、約二万名を越える満期に伴う自然的な退職者が出るというお話でありますが、それと新たに募集の予定になつておる三万五千を加えますと、およそ数万にわたつての新たなる徴募を行わなければならぬ見込みになるのであります。それに対して現在予備隊に志願いたします者、及び政府が予定いたしております欠員、並びに新たに募集すべき人員について確信のある見通しが持たれるよう状況であるかどうか、この点について伺います。
  292. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ことしの秋の欠員並びに増員合計いたしますと約六万人程度になると思いますが、政府といたしましては、これは従来通り志願募集の形によりまして充足し得る確信を持つております。
  293. 川島金次

    ○川島委員 新たに秋に募集いたしまする隊員については、先ほど国務相が言明されましたように、自由退職の制限をあらかじめ了解せしめて徴募することになるのか。それはそのことなくして、法律がつくられた以後においてそういう制度が確立されるものかどうか、その点の政府の対策はどうなのか伺いたい。
  294. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 自由退職をかりに制限するといたしますと、それはやはり最初の応募のときの重大なる條件の一つであると考えるものでございます。従いまして、かような事柄は、いかに国会の協賛を経た法律といえども、そういうことを予想せずに入つたものに対しましていきなり法律を出してさような義務を課する、そういうやり方は、法律上可能か不可能かそれは私存じませんが、少くとも一国の政府が重要な警察予備隊の機構についてとるべきやり方ではないと考えております。従いまして、この自由退職の制限でありますとか、あるいは退職後若干期間内における応召の義務を課するというようなことにきまりましたならば、前もつて法律案を提案し、その法律案が法律となつて出た後にそれを條件として募集をいたして、その者に対してそういう制限をやるべきものである、こう考えており、そういたしたいと思つております。
  295. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、新たに募集される時期はこの九月ごろ——目下のところ警察予備隊令の改正案も出ておりません。今の国務相の言明によりますれば、必然的に予備隊令の改正案が、少くとも本国会かもしくは臨時国会等の召集によつて案が法律とならなければ、そのような手段ができないと私は信じますが、その辺はどういうふうに考えておりますか。
  296. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お見込みの通り政府考えております。従いまして、ぜひとも今期国会にさような法律案を出すべきものは出したい、こう思つております。
  297. 川島金次

    ○川島委員 そこでさらにお伺いいたしますが、伝えられるところによりますれば、現在も予備隊の中には幹部を養成する訓練所のごときものがあるように承つておりますが、さらに政府といたしましては、新しい保安隊への切りかえを機会として、その幹部の訓練について一前進を試みるやに承つております。たとえば戦術的な幹部訓練所、あるいは大学程度の幹部養成所というようなものを設置して、幹部の養成に違算ないよう計画をとると伝えられておりますが、その辺の訓練に関する事柄について、政府計画がありますればこの機会に明らかにしてほしいと思います。
  298. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府といたしましては、現在においては予備隊内に幹部の教育施設を持つております。これらの施設はいずれも予備隊に入隊いたしました者の中から幹部としての適任者を選抜いたし、これを教育して幹部に仕立て上げて行くというものでございます。かような教育施設は、今後においても充実をしなければならぬと考えておるのであります。なおこのほかに、ただいま研究中のものといたしましては、警察予備隊の幹部に採用いたします前に、警察予備隊の幹部になりたいという希望者を募りまして、除外におきまして特に予備隊幹部養成のための教育を考えてみてはどうかということがあるわけでございます。これはただいまなお研究いたしております。
  299. 川島金次

    ○川島委員 次に旧軍人の採用について政府は何か大幅に考えておるようにも伝えられておりますが、旧軍人の予備隊への採用についてはどのような方針を持たれておるか、それについて具体的にありましたならば明らかにしていただきたい。
  300. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まず現在までの旧軍人の採用の状況を先に申し上げます。ここで御質問にありました旧軍人と申しますのは、おそらく陸軍士官学校あるいは海軍兵学校を卒業した旧職業軍人という意味であろうと存じます。これらの諸君のうちで、昭和二十年に陸士あるいは海兵を卒業せられた方につきましては、一昨年すでに追放解除があつたわけであります。政府はその後これらの諸君を予備隊の幹部として迎え入れることについて研究をいたしておつたのでございますが、予備隊の仕事の性質から見て、これらの諸君に入つていただくということは非常にけつこうだと考えましたので、昨年八月に、昭和二十年に陸士及び海兵を卒業された方々のうちから約二百名を募集いたしまして、二箇月間の教育をいたしました後、各隊に幹部として配属をいたしたのであります。その後陸海軍の佐官級以下の追放解除が行われたのでありまして、その際に、政府といたしましては、陸海軍の中佐または少佐であつて追放を解除せられた人々のうちから約四百名を選抜いたしまして、十、十一の二箇月間教育をいたしまして、これを幹部として採用いたしております。その次に大尉、中尉、少尉という人々の中から同じく約四百名募集いたしまして、これも二箇月間の教育をいたした上で現在使つておるわけでございます。都合約千名の旧職業軍人の諸君が予備隊の幹部になつております。これは予備隊の幹部全体の数から見ますと、約四分の一くらいの数字になつております。
  301. 川島金次

    ○川島委員 今の国務相の説明によりますと、予備隊全体の隊員の比率から見ると、要するに職業軍人に属する旧軍人の比率は、早くも四分の一という大多数を占めておる。政府はさらに今後新しい保安隊への切りかえと同時に、これらの旧軍人の採用を大幅に考えておるのではないかと言われておるのでありますが、その点はどういうふうになりますか。政府計画がありますればこの機会に全貌を明らかにしてもらいたい。
  302. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 何分にも予算につきましては、ただいま御審議をいただいておる次第でございまして、幹部の採用計画につきましても、事務的に準備はいたしておるのでありますが、まだ確たる方針を申し上げるというところまでは参つておりません。しかしながら、旧軍人をこれ以上新しく採用しないというふうな方針はむろん立てていないのであります。しかしそういう人ばかりを採用するということも考えておりません。予備隊の性格、使命から見まして、適当な人をできるだけ数多くとりたいと思つております。
  303. 川島金次

    ○川島委員 新しく発足しようとしておりまする保安隊の中に、その兵種によりましては、あるいは婦人をも採用するのではないかという説もありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  304. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのところ、婦人の隊員を募集するということについては全然考えておりません。
  305. 川島金次

    ○川島委員 この予備隊の現在持つております装備が世上の論議の中心にもなつておりまして、その装備を通して、予備隊即再軍備への発足という見解を持つ者も、今日国内には多数出ておるのであります。現在予備隊が持つております装備中、世人の注目を浴びておりますものはバズーカ砲その他二、三ありますが、これを中心として予備隊はさらに一層の近代兵器を持つのではないかとも伝えられております。たとえば、戦闘飛行機のごときは別でございますが、運搬用あるいは通信用には飛行機をも備えるのではないか、こういうことも一部では想像する向きがないではないわけでありますが、どういうふうに今後の装備を充実する方針を持つておられるか、その点についての方針を明らかにしてもらいたい。
  306. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 予備隊の事務当局といたしましては、輸送と申しますか、通信と申しますか、そういうことで飛行機の一、二台も持つていると便利だというようなことを考えている者はあると思います。しかしながらこれは、当局全体としてそういうものをぜひ持とうという方針をきめたわけではございません。現在のところ私といたしましては、占領治下でもございますし、まだ航空機の使用ということは全然考えられない、こうお答えする次第でございます。
  307. 川島金次

    ○川島委員 航空機は持たないとのお話でありますが、航空機のことはそれでわかりました。しかし、現在持たれております装備のほかに、さらに充実すべき事柄を計画されておる、航空機以外で現在の装備以上のものを充実するという方針があるのではないかと思うのですが、その点はどういうふうになつているか。新しく充実すべき装備があればそれを明らかにしてもらいたい。
  308. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 来年度予算におきまして、装備のために相当の費用を計上いたしてございます。これらは主として運搬用の車両並びに電気通信用具というようなものを考えております。武器につきましては、引続き米軍から貸與を受けたいという考えで、ただいまそういうふうに思つております。
  309. 川島金次

    ○川島委員 その米軍から貸與を受けたいと期待されております武器の種類は、どういうものであるか、それを聞いてみたい。
  310. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 たしか先般お手元に資料を差上げてあつたと思いますが、現在は、カービン銃、ライフル銃のほかに機関銃あるいはバズーカ砲、それから迫撃砲、こういうものを持つております。来年度においては増員を計画いたしておるのでありますから、この増員の部分につきましては、当然従前と同様の兵器を借り受けたいと思つております。
  311. 川島金次

    ○川島委員 来年度において増員をいたしますと、十一万の隊員ということになるのでありますが、政府はこの十一万の隊員を計画いたしますることと合せて、若干の期間における漸増計画を持たれておるようであります。来年度において十一万、さらに二十八年度 においては二十万あるいは二十九年度に至れば三十万というような事柄も、世人には伝えられておるのでありますが、その予備隊に関するところの政府の長期的な計画というものが持たれておりますれば、この際にそれをできれば明らかにしておいていただきたいと思う。
  312. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 来年度の十一万は、これは確定計画でございまして、予算に載せてある通りでございます。その後の二十八年度につきましては、もちろんある程度の増員をいたしたいと考えておりますが、しかし財政の都合、国民負担その他の関係上、どれだけの増員が可能であるかということについての見通しをまだ持つに至つておりません。従いまして、増員はしたいと考えておりますが、どれだけ増員するということは、二十八年度についても、また計画としては固まつていない状況であります。従いましてその後の年度につきましては、もとより同様の状況でございます。
  313. 川島金次

    ○川島委員 そこで財政が許すという前提に立ちますれば、何らか政府にも計画があるやに私承つておるのでありますが、財政がもし許すという前提に立ちますれば、二十八年、二十九年、三十年の長期にわたる計画において、どの程度にこの予備隊あるいは保安隊というものを増員せしめたいと希望しておるか、その点について固まつておらぬものでもよろしゆうございますから、大臣が構想されております点だけでも明らかにしておいてもらいたい。
  314. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この点につきましては、新聞紙上においては、あるいは三十一万であるとか、二十五万であるとか、いろいろな数もあるようでございますが、政府といたしましては、最終的な予備隊の増員の目標というものについて、まださような具体的な数字考えたことはございません。
  315. 川島金次

    ○川島委員 先ほど国務相は近いうちに、今国会に警察予備隊令の根本的な改正案を提出する計画を持つておると言明されたのであります。その際に、私は念を押しておきたいのでありますが、今日の警察予備隊令の明文の中には、予備隊の出動に対する活動範囲というものが明らかに制約されております。と申しますのは、警察の任務の範囲を出ないこと、こういうことで、すなわちわれわれの従来の常識によるところの警察の任務という事柄に限定をされております。そこで今度政府が予備隊令を改正して、保安隊に切りかえまする場合には、この警察の任務の範囲を越えないという活動範囲の問題について、何らか訂正をすることが必至になるのではないかと私は想像いたすのでありますが、その点はどういうことになりますか、構想がありますれば承つておきたい。
  316. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この警察の任務の範囲ということの意味でございますが、これは国内治安を維持するという意味でございまして、その点につきましては、保安隊といえども、現在の予備隊と同様、国内治安を確保する以上の目的のために行動するということはないわけでございます。
  317. 川島金次

    ○川島委員 そこでこの予備隊令にありまする警察の任務の範囲を越えないというその範囲、これはまことに解釈のしようによつては茫漠たるものであり、ことに今度保安隊となり、一方においては日米安全保障條約に伴う駐留軍の形というものが、これは結果においては必至になるのだと私どもは想像いたしておるのでありますが、この駐留軍が出動しまする事態、それから予備隊が国内におけるところの治安確保のために、警察の任務の範囲を出ないという範囲内において活動する、その状況の違いというようなものは、どの程度からいわゆる警察の任務を出る事態になり、あるいはどの程度までは警察の任務活動の範囲内であるかというようなことについて、説明も若干むずかしいことではないかと思うのですが、国務相においてそれらの辺のけじめについての構想がありますれば、たとえの場合でもけつこうでありますので、その点を重要な事柄でありますので、承つておきたいと思う。
  318. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察の任務の範囲というのは、先ほども申し上げました通り、国内の治安の確保ということでございまして、この国内の治安の問題につきましては、日米安全保障條約におきましても、米軍は日本の国内治安確保のために行動することが期待されておるわけです。その場合におきましては、どちらも同じ目的のために共同して活動するということは、当然考えなければならぬものと思います。
  319. 川島金次

    ○川島委員 警察の任務の活動範囲の対象となる事態の判別というものは、おそらくその事態が発生して初めて認識され、判断をされることでありまして、この事柄について深く具体的にお尋ねをすることは無理かと思いますので、それはとりやめておきます。  そこで最後に一つ国務相に伺つておきたいのでありますが、先ほど来私が国務相にお尋ねをいたしております状況から総合いたしますと、どうやら今日の警察予備隊のあるままの姿といいますか、性格と、来るべき保安隊に切りかえられた以後における保安隊の性格、姿というものは、たいへん違つて来るのではないかという印象を強くするのであります。たとえば自由退職の制限、応召義務の設定、あるいは武器の新たなるところの充実、あるいはまたかつて軍人であつた旧軍人の大幅な採用による隊内の画期的な充実、こういつたことが一連的に計画されており、しかもなおかつ予算の許す範囲においては、政府はさらに明後年度からこの隊の人的の増強をも相当に計画もしくは希望しておることが、明瞭になつたわけであります。こういうことと、との委員会で繰返されて来たところの問題でありますけれども、今国務相が言明されました一連の説明から受取るところのわれわれの印象といたしましては、もはやこれは警察予備隊でもなければ、政府の言う保安隊の性格でもない。そういうものから逸脱して来るような感じをわれわれはきわめて強くいたすのでありまして、これを端的に申し上げますならば、もはや予備隊でもなければ保安隊でもなくして、二十七年度以降におけるところの隊の性格というものは、すでにわれわれの常識あるいは世界の常識から見て、軍備とさのかわりもない性格の一端がきわめて明白に打出されて来るのではないかという感じを強くいたします。そうすると、今日の日本において嚴として存在しております憲法の條章にも背反するという疑いが濃くなりますことは、この委員会においても、あるいは本会議においても、われわれ同僚から繰返して論及されたことでありますが、その点について国務相から明確な政府としての所見を最後にあらためて承つておきたい、かように思うのであります。
  320. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府は保安隊の組織につきましても、厳格に憲法の範囲内においてやつて参りたい、こう考えておるわけでございます。
  321. 塚田十一郎

    塚田委員長 藤田委員より関連質疑の申出がありますが、この際これを許します。藤田義光君。
  322. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま川島委員の質問に対しまして、大橋国務相の御答弁の中から、二、三質問を取上げてみたいと思います。  まず第一点は、警察予備隊令の第一條に予備隊の目的が掲げてあります。これを一瞥すれば、予備隊というものは、あくまで国警、自警の力の不足を補うために設置されるものであるという、嚴たる規定がございます。しかるに先ほど来の大橋国務相の御答弁によりますと、駐留軍との協力という問題が出て参ります。そうしますと、予備隊令第一條のいわゆる目的というものにまつたく相反するのじやないか。この点の調整はいかにやられようといたしておられますか、まずお伺いしておきたいと思います。
  323. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御質問の要旨は、警察予備隊令において、警察予備隊の職務は普通警察の力の足りない部分を補うのである、こう書いてある、その点はどうかというのでございますが、この普通警察の目的といたしましては、個々の小さな犯罪を検挙するということのほかに、国内の治安を実力をもつて守り続けるという大きな目的があるわけでございます。この点は警察予備隊とまつたく同様のものでございます。従いまして警察予備隊が国内治安のために働くという場合において、警察の力の足りないところを補うために、その警察予備隊の持つております優秀な実力を行使することは、当然あり得べきことと存ずるのでございます。  しかして駐留軍との関係はいかがであるかということでございますが、駐留軍は日本を中心といたしました極東におきまする全般の平和を確立するためにも、行動をすることはむろんあると存じますが、しかしその主たる目的は、日本独立と安全を守ることであり、しかして日本の安全と独立を守りますためには、ひとり直接の国外からの侵略に対することばかりでなく、国内におけるいわゆる間接侵略、すなわち外国の干渉または煽動によるところの内乱、騒擾についても、日本の治安の確保のために、行動をいたす場合があり得るわけであります。この点におきましては、警察予備隊の活動範囲と、駐留軍の活動範囲とは、まつたく相一致する面があるわけでありまして、この相一致する面におきましては、当然協力するのは必要なことでもあり、適当なことでもある。しかして相一致する面において駐留軍と協力するがゆえに、それは予備隊本来の目的を逸脱したものであるということは、言い得ないと思う次第であります。
  324. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁からすれば、一般警察と警察予備隊は、駐留軍に対しては法律的にまつたく同じ性格のものであるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  325. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御質問の御趣旨をちよつと捕捉いたしかねるのでございますが、私の申し上げました意味は、駐留軍も、警察予備隊も、一般の警察も、国内の治安の確立のために任務を持つておるという点は同一である。この同一である面においては、当然これらのものの間に協力があり得ることは、これは予想するにかたくはない。しかしながらそれは、決してこれらの全体のものを同じものであるということにはならない、こう申し上げたかつたのであります。
  326. 藤田義光

    ○藤田委員 御答弁からすれば、行政協定の効力発生の時期と、予備隊令の改正というものを、同時発効させることが、絶対必要ではないかというふうに私は解釈いたします。現在の予備隊令をそのままポツダム政令で継続することは、講和條約効力発生後に絶対不可能であります。あくまで法律によつてすつきりした形の予備隊、保安隊にかえることが、絶対必要ではないかと思います。この法律手続と同時に、行政協定も効力を発生することが、先ほどの御答弁の趣旨にかなうのじやないかと思いますが、この点に関しまして御意見を承りたいと思います。
  327. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 講和條約発効後におきまして、警察予備隊令を法律にすべきである。これは政府も同様に考えまして、法案をこの国会に提案いたしたいと考えております。そうしてその法律と行政協定の効力は、同時に発生せしむべきであるという御意見でございますが、この点は御意見として承つておきます。
  328. 藤田義光

    ○藤田委員 これは行政協定をいわゆる自主性あらしむるためにも、ぜひとも同時に効力を発生すべきである。もし政府に主体性があるならば、予備隊令のみを法律に改正いたしまして、行政協定は向うさんまかせであるというような意味の御答弁では、国民が納得せぬと思います。この点に関しましては、私個人の意見としてでなくて、おそらく全国民の要望であろうと思いますから、いま一度御意見を伺つておきたいと思います。この際重ねてお伺いしたいのは、予備隊令を法律にするということは、まつたく同意見のようであります。しからば現在予備隊の本部総隊総監、各管区本部、あるいは各部隊等に配置されているアメリカの将校、一般下士官兵はいかがなりますか、この点を予備隊令の改正時期にいかにする所存であるか、はつきりとお伺いしておきたいと思います。
  329. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まず第一の御質問は、予備隊令を法律にすることと、行政協定とは、同時に効力を発効させるのがよろしい、そういう御意見でございますので、私は御意見として承つておく、こう申し上げたわけでありまして、実はほんとうのところは、どういうわけでそういうことを言われておるのか、私にはよく理解いたしかねます。  それから第二の点でございますが、第二の点は現在の米人の顧問団の地位でございます。これは現在は各部隊に顧問として人つてつております。これは今後におきましても必要があれば顧問を置きたい、こう思つております。
  330. 藤田義光

    ○藤田委員 現在予備隊が武器を持つているということは、先般来関係閣僚がひとしく是認されておるところでございます。武器を現在の予備隊が持つておることに対しましては、今や一般国民にも異論はございません。日進月歩の今日、この武器に対する新しい知識を注入するための外国人の専門家の顧問は必要と思います。私たちは現在日本の予備隊におるアメリカの顧問を全部追つ払えと言うのではございません。しかしながらアメリカのためにも、現在地方の部隊に至るまで多数のいわゆる顧問なるものが存在しておつては、国民の心ある人が憂えておる。今度できまする保安隊は、アメリカの傭兵ではないかという誤解が起きるのであります。こういう点に関しまして、ぜひとも全国民の誤解を避けるためにも、今後最小限度の必要なる顧問団を置けばいいのでありまして、本部以外の顧問団は絶対必要でない。これは私の百歩を讓つた意見として申し上げるのでございますが、この点に対する大橋国務相の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  331. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 講和発効後におきまして、米人の顧問をお願いすることは必要であるかどうかということは、日本政府が自主的に決定するものでございます。従いまして政府といたしましては、現在の段階におきましては、なお顧問の協力をお願いすることが予備隊の完成のために適切である、こう考えておるのであります。しかして問題の顧問を置きまする場合において、本部だけに置くか、あるいは現地部隊にも置くかという問題でございますが、これは技術的な問題でありますがゆえに、実際効果的な方法として、どちらがいいかということによつてきめるべきであろうかと心得ます。なおこの点に関しまして、予備隊の自主性が顧問の現地部隊に駐在することによつて、破壊されておるのではないかという一般国民の誤解がある。だからその誤解を避けるために配置を考えたらどうか、こういう御意見でございましたが、誤解がありといたしまするならば、誤解を避けるにはおのずから方法があろうかと存じます。この誤解を避ける方法はどうかということによつて、顧問の配置をいかにするかということを決定すべきではなくして、いかに配置することが顧問団の有効なる利用を高めるかどうかということによつて日本政府が自主的に考えるべきことである。こう私は考えております。
  332. 藤田義光

    ○藤田委員 委員長のお許しを得まして、いましばらく質問を続けさせていただきたいと思います。  私はこれは大橋国務大臣個人の立場としても常に同情いたしております。月島の予備隊本部に参りますと、一階、二階のいい部屋は全部外国軍隊が占拠いたしております。日本の有能なる予備隊の職員は全部三階あるいは二階の片すみに押し込められておる。こういうかつこうです。もし講和條約効力発生後も継続いたしましたならば、必ずや国民の誤解が起るのは事実であるというようなことになることを私たちは憂えるのであります。この点に関しまして、よほど腰をすえて関係方面と折衝していただきたいと私は思います。  最後に簡単にお伺いしたいのは再軍備の問題でございます。軍隊というものは一体どういう定義であるか、私たちは武器を持つた国家機関であるというふうに解釈いたしておりますが、大橋国務相から軍隊の定義をこの際お示し願いたい。
  333. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 軍隊の問題にお答えいたします前に、たいへん私に対して藤田委員は御同情を賜わつておるそうであります。その問題について申し上げたいと存じます。ただいま警察予備隊の本部は深川の越中島にございます。この越中島の建物の所有権は日本側にあるわけでございますが、しかしこれは占領軍において占領軍のために必要ありとして接収になつておる建物でございます。司令部におきましては、警察予備隊創設の際におきまして、特に司令部のために必要として接収してあるこの建物の一部を、予備隊のために利用することを認めてくれておるわけでございます。現在はその建物を借りておるのであります。     〔「借りておるとは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  334. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員外の発言を禁じます。
  335. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 そうしてその利用のいたし方につきまして、藤田君の申されたことが、あるいは諸君の誤解を生ずる点があるかと存じますから、特に私は事実を申し上げておきます。先ほど藤田委員の発言中に一階、二階のいい部屋はみな米軍がおつて日本側は三階、四階の片すみに追いやられておるという、御発言がございました。これはまつたく事実に反する次第であります。藤田君がもし越中島の予備隊に行つてごらんになればわかります通りに、あの建物の中で最もいい部屋は二階の向つて左にありまする私の使つておる大臣室でございます。その次にいい部屋は長官の部屋であります。これらはいずれも二階にあるのであります。私どもこの建物を利用いたしておるということにつきましては、これは警察予備隊育成ということについての司令部関係当局の並々ならぬ好意のあるところと考えておるのでありますから、この点は先ほどお述べになりました点は、事実と非常に違いますので、お断りをいたしておきます。  それから次に御質問になりました軍隊の定義でございますが、事は憲法その他法律の解釈の問題に関連すると存じますので、その専門の方の法務総裁にお聞きをいただいた方が私としてはけつこうだと存じます。
  336. 藤田義光

    ○藤田委員 関連質問でありますから間もなく打切ります。いずれ一般質問で法務総裁にもお伺いしたいと思いますが、先般来大橋国務相もしばしば講和條約効力発生後、直接間接侵略に対しまして予備隊を使うということを言われております。この予備隊を使われるのは国権の発動として使われますかどうか、この点をお伺いしておきます。
  337. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊は内閣総理大臣の管理に属しておるのでございまして、内閣総理大臣の指揮によつて動くわけでございます。
  338. 藤田義光

    ○藤田委員 内閣総理大臣の指揮下に予備隊々使うということになれば、当然国権の発動でございます。国権の発動として直接間接侵略に予備隊を使うという、その使われる対象は外敵でありますか、あるいは単なる暴徒でありますか、この点をお伺いしておきます。
  339. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 国内治安を妨害する原因に対して実力で措置するわけであります。
  340. 藤田義光

    ○藤田委員 私の質問に対するはつきりした御答弁でないのでございますが、もし国権の発動として外敵に予備隊を使うということになりますと、現在の予備隊は武器を持つておりますから、これは完全な軍隊であります。この点に関しまして本国会における各大臣の答弁はどうも法理論がはつきりしておらぬと思いますが、この際簡単でけつこうですから、いま一度この点をお示し願いたいと思います。
  341. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 現在の警察予備隊並びにこれを整備いたしました場合の保安隊というものは、憲法の範囲内におきまして組織をいたしたい、こう考えておるわけでございます。従つてこれは軍備でもないし、軍隊でもない、こう考えております。
  342. 藤田義光

    ○藤田委員 ある大臣は原子爆弾を持たない軍隊は軍隊にあらずということを言つております。これは重複しますから多くを申し上げませんが、しかしながら、原子爆弾を持つたアメリカと共同防衛するならば、予備隊は軍隊であるということがわれわれは言えるのじやないかと思いますが、この点お伺いしておきます。日本の予備隊はなるほど原子爆弾はございません。しかし原子爆弾を持てるアメリカと共同防衛するならば、それは軍隊ではないかと私は思いますが、この点お伺いしたいと思います。
  343. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 木村法務総裁の答えられた問題につきましては、どうぞ御本人にお問いただしを願いたいと思います。
  344. 藤田義光

    ○藤田委員 まだいろいろございますが、関連質問でございますので、いずれ後負質問をいたしたいと思います。
  345. 塚田十一郎

    塚田委員長 上林山委員より、議事進行について発言を求められております。この際これを許します。上林山榮吉君。
  346. 上林山榮吉

    ○上林山委員 與党としては、できるだけ早く予算の通過をはかるという意味から、発言等も控え目にいたしておるのでありますけれども、警察予備隊の質問に関連いたしまして、よくかねて無責任な発言をするところの共産党の山口、風早両君から、いろいろと発言があり、しかも重ねて議事進行に名をかりて、右派社会党の川島君からも、念入りに本委員会において発言のありました、南方向けのテントをば作成をしておるという発言がありましたが、はたしてこれは南方向けのものであるか、内地向けのテントの発注であつたのかどうかという点が第一点。第二点は、帝国製麻並びに日本繊維の重役ないしは顧問に、大橋、池田両大臣が就任しておるという発言、しかも両大臣がこのテントの発注をめぐつて、利権争いをしておるという第三点の問題、これらについて、それぞれ両大臣から、その事実はない、相違しておるという発言がありましたが、私はこの際與党としても、この問題は無視できない重大なる発言であると考えますので、委員長を通じて両大臣の答弁を、さらに私はここに明らかにしてもらいたい。これをまず私は、委員長を通じてお伺い願いたいと思います。さらに引続いて一、二ただしたいことがあります。
  347. 塚田十一郎

    塚田委員長 ただいまの議事進行は、政府もお聞き及びの通りでありますが、この際政府側より何か発言がありましたら、これを承ります。
  348. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まず私からお答えを申し上げますが、第一の点、すなわち南方向けのテント、さようなものは警察予備隊においては必要がないのでございますから、従いまして注文をいたした事実はございません。  第二に、帝国製麻と私とが何らかの関係があるというお話でございますが、帝国製麻の重役にいかなる人がおるかということすら私は存じません。いわんや帝国製麻には何ら関係がございません。  それから第三の点、利権争い云々のことでございますが、利権争いということは、どういう意味か知りませんが、少くともこのテントの問題につきまして、私は池田大蔵大臣と話し合つたことも一度もございませんし、またこのテントの問題につきまして、池田大蔵大臣の名を聞いたこともございません。
  349. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど答弁いたしました通りでございます。
  350. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいまお聞きの通り、両大臣が責任を持つてその事実がないという答弁をいたしておりますが、私は公開の席上において、議員が発言をする場合においては、全責任を持つて議員として発言をしなければならぬものと考えております。ところがただいまの政府答弁を聞いてみますと、その事実がないということでありますが、委員長としては、この問題に対しまして、かかる不謹愼なるところの言論を吐いた議員に対して、取消しまたは陳謝の意思があるかないかということを、これらの議員の意思を確かめる考えがあるかどうか、この点をまずお伺いいたしておきます。
  351. 塚田十一郎

    塚田委員長 上林山君にお答えいたします前に、発言になつた風早委員の発言を許します。     〔発言する者多し〕
  352. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員長の運営が間違つておるそうでありますから、風早君の発言を取消します。     〔発言する者多し〕
  353. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員長より発言いたしますから御静粛に願います。  山口委員、風早委員及び川島委員に申し上げますが、先刻の警察予備隊の発注に関する発言は穏当を欠くものと認めますが、お取消しになりませんか。     〔「何が不穏当か」と呼び、その他発言する者多し〕
  354. 塚田十一郎

    塚田委員長 上林山委員。——(発言する者多し)上林山委員に発言を許しております。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  355. 塚田十一郎

    塚田委員長 上林山君の発言を許しております。
  356. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいま委員長から取消しないしは陳謝の意思がないかということを両君に確められたようでありますが、これに対して何らの返事がないようであります。この場合委員長といたしましては、国会の権威あるいは当委員会の権威のために、委員長としていかなる処置をとられる方針であるか、私はこの点をはつきりと承つてけじめをつけたいと考えます。
  357. 塚田十一郎

    塚田委員長 理事会に諮りまして適当なる処置をいたしたいと存じますので、この機会に暫時休憩をいたしまして理事会を開きます。  暫時休憩いたします。     午後四時四十四分休憩      ————◇—————     午後五時八分開議
  358. 塚田十一郎

    塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  先ほどの発言取消しに関する委員長の発言を一応取消しまして、あらためて風早委員に申し上げますが、先刻の警察予備隊の発注に関する発言は穏当を欠くものと認めますが、お取消しになりませんか。
  359. 風早八十二

    ○風早委員 国会議員が国民の……。     〔「あそこへ行つてやれ」「委員外で何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  360. 塚田十一郎

    塚田委員長 御静粛に願います。
  361. 風早八十二

    ○風早委員 国会議員が国民の疑惑を持つておる問題、特に政府部内に対する疑惑の問題に対しては、これを明白にするのは国会議員として当然の義務であります。予備隊が海外に派遣されるのではないかという問題が今国民の心配の的になつておる。従つてわれわれはこの問題を明らかにしなければならない。しかしこれは政府がただ單にこれを言葉の上で否定した、政府だけが、早い話が、いまだに予備隊は軍隊でないと言つておる。しかし言葉だけでいくら取消しても、事実がもしそれをよく反証するならば、やはりこの問題を明白にしなければならない。従つてこの南方派遣の問題にしても、それを裏書きするかのごとき事実がある。事実がもしありとすれば、これはやはり政府の言明がうそであるということになるこの点を明らかにして国民の疑惑を解くことがわれわれの義務である。従つてこの南方行きのテントの発注の問題に関しては、その事実をもつて明らかにしなければならぬということを私は言つておる。この事実ではないかと言われておるその事実に関連して、大橋並びに池田両大臣が関係しておるのではないか、しかもこの二人が利権を争つておるのではないかということが、事実われわれの耳に伝わつておる限りは、この事実があるかないかを政府に対して明らかにすることを要求することは当然の義務である。従つてこれらの国会議員としての当然の義務である発言に対して、これを多数の横暴をもつて封殺しようとすることは、これは国会の否定だ。われわれは断固としてこういう処置には賛成できない。従つてせつかくの委員長の御提案でありますが、私は断然この取消しの意思はないということをここに表明しておきたいと思う。
  362. 塚田十一郎

    塚田委員長 風早君はお取消しになりません。委員長は、適当の措置をとることといたしたいと存じます。  本日の会議はこの程度にとどめまして、明十六日は、午前十時より委員会を開会して質疑を継続することといたします。  これにて散会いたします。     午後五時十二分散会